(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A01K85/00 G
A01K85/00 C
(21)【出願番号】P 2021107999
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】請川 知彦
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0172537(US,A1)
【文献】特開2007-312765(JP,A)
【文献】特表2015-524666(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210466(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0102815(US,A1)
【文献】米国特許第9474257(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00
A01K 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニ又はエビの頭胸部を模したルアー本体と、
前記ルアー本体に連結され、前記ルアー本体
の前部から斜め前方に延在しカニ又はエビの爪を模した突起部と、
前記ルアー本体及び前記突起部の内部に配置される芯材と、
釣糸に連結される釣糸用接続部と、
前記芯材に取り付けられる釣針と、を備え、
前記芯材は、
前記ルアー本体の後方に配置される錘部と、
前記錘部に連結されるとともに前記ルアー本体及び前記突起部に被覆され、互いに離間して斜め前方に延在する一対の軸部と、
各前記軸部の先端側に設けられ
前記釣針が取り付けられる
一対の釣針用接続部と、
が一体形成されており、
前記釣針用接続部から前記ルアー本体までの距離は、前記釣針が前記ルアー本体に引っ掛からないように設定されており、
前記釣針用接続部は、
前記突起部から露出し、前記釣針を揺動可能に支持するとともに、前記釣針を着脱できるように構成されていることを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記ルアー本体及び前記突起部は、軟質材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
各前記釣針用接続部間の距離は、取り付けられる前記釣針同士が引っ掛からないように設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記釣針用接続部は、ワンタッチ式のスナップフックになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用のルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、カニを模した釣り用のルアーが開示されている。当該ルアーは、カニの頭胸部の外観を呈するルアー本体と、爪の外観を呈する突起部と、ルアー本体に連結された一対の釣針と、を備えている。当該ルアーの釣針は、ルアー本体に取り付けられるとともに、一対の爪の内部に各釣針が配置される形態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る発明の場合、ルアー本体に釣針が回動自在に取り付けられているため、キャスティングや誘い等の一連の釣り動作を行うことで、釣針がルアー本体に引っ掛かってしまうという問題がある。釣針がルアー本体に引っ掛かると、爪が動かなくなるため魚に対するアピールが弱くなるとともに、釣糸にも絡みやすくなる。また、ルアーは、長期間又は長時間のキャスティングに耐え得る強度を備えていることが好ましい。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、釣針がルアー本体に絡み難く、強度が高いルアーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るルアーは、カニ又はエビの頭胸部を模したルアー本体と、前記ルアー本体に連結され、前記ルアー本体の前部から斜め前方に延在しカニ又はエビの爪を模した突起部と、前記ルアー本体及び前記突起部の内部に配置される芯材と、釣糸に連結される釣糸用接続部と、前記芯材に取り付けられる釣針と、を備え、前記芯材は、前記ルアー本体の後方に配置される錘部と、前記錘部に連結されるとともに前記ルアー本体及び前記突起部に被覆され、互いに離間して斜め前方に延在する一対の軸部と、各前記軸部の先端側に設けられ前記釣針が取り付けられる一対の釣針用接続部と、が一体形成されており、前記釣針用接続部から前記ルアー本体までの距離は、前記釣針が前記ルアー本体に引っ掛からないように設定されており、前記釣針用接続部は、前記突起部から露出し、前記釣針を揺動可能に支持するとともに、前記釣針を着脱できるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、釣針用接続部をルアー本体から離間させているため、釣針がルアー本体に引っ掛かるのを防ぐことができる。また、ルアー本体及び突起部の内部に芯材が設けられているため、ルアーの強度を高めることができる。また、芯材の軸部は、ルアー本体及び突起部に被覆されているため、魚へのアピールを阻害することはない。また、本発明によれば、部品点数を少なくすることができるとともに、容易に製造することができる。また、例えば、エビやカニなどを模して一対の突起部(爪)を設けた場合、これらに設けられた釣針同士が絡むのを防ぐことができる。
【0010】
また、各前記釣針用接続部間の距離は、取り付けられる前記釣針同士が引っ掛からないように設定されていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、例えば、エビやカニなどを模して一対の突起部(爪)を設けた場合、これらに設けられた釣針同士が絡むのを防ぐことができる。
【0012】
また、前記ルアー本体及び前記突起部は、軟質材で形成されていることが好ましい。本発明によれば、魚へのアピールをより高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、釣針がルアー本体に絡み難く、強度の高いルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本実施形態に係るルアーの芯材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は、適宜省略する。以下の説明において、「前後」、「左右」は、
図1の矢印に従う。なお、当該方向は、説明の便宜上用いるものであって、本発明の方向を限定するものではない。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るルアー1は、ルアー本体10と、突起部20,20と、芯材30と、釣針40,40と、を備えている。本実施形態のルアー1は、カニを模した形状の疑似餌である。
【0017】
図1に示すようにルアー本体10は、カニの頭胸部を模した部位である。ルアー本体10は、前側が顔となっており、側部には、カニの脚形状を呈する複数の脚部21を備えている。脚部21は、本実施形態では、カニに模して片側4本となっているが、本数は適宜設定すればよい。ルアー本体10は、硬質料で形成してもよいが、本実施形態では、例えば、ゴムや軟質樹脂等の軟質材で形成されている。
【0018】
図1に示すように突起部20は、本実施形態ではカニの爪(腕)を模した形状である。突起部20,20は、ルアー本体10の前側から前方に2本延在している。突起部20,20は、硬質材で形成してもよいが、本実施形態では、例えば、ゴムや軟質樹脂等の軟質材で形成されている。本実施形態では突起部20,20は、ルアー本体10と一体形成されているが、別体であってもよい。
【0019】
本実施形態の突起部20,20は、カニの爪(腕)を模した形状としているが、例えば、脚や触覚等を模した形状としてもよい。また、例えば、エビを模した場合は、突起部20を尾に模した形状としてもよい。また、突起部20は、単数であってもよい。なお、突起部20に、集魚剤を混入させたり、塗付したりしてもよい。
【0020】
図2に示すように、芯材30は、釣針用接続部31,31と、軸部32,32と、錘部33,33と、釣糸用接続部34とを備えている。芯材30は、左右対称となるように形成されており、釣針用接続部31,31と、軸部32,32と、錘部33,33と、釣糸用接続部34とが一体に形成されている。芯材30は、例えば、金属などの硬質材で形成されている。なお、芯材30は、例えば、錘部33などの一部の部材を別体として構成してもよい。
【0021】
芯材30は、釣針用接続部31,31及び釣糸用接続部34が露出されており、軸部32,32及び錘部33,33がルアー本体10及び突起部20,20に被覆されている。
【0022】
釣針用接続部31は、釣針40が着脱自在及び回動自在に取り付けられるリング状の部位である。本実施形態の釣針用接続部31は、左右それぞれの突起部20,20の前後方向の中間部位に設けられている。つまり、釣針用接続部31は、釣針40がルアー本体10に引っかからない程度にルアー本体10から離間した位置に設けられている。また、釣針用接続部31,31同士は、取り付けられた釣針40,40同士が引っ掛からない位置に互いに離間して設けられている。
【0023】
釣針用接続部31は、リング状でもよいが、本実施形態ではワンタッチ式のスナップフックになっている。これにより、釣針40の着脱が容易になっている。また、
図1に示すように、釣針40を突起部20に引掛けるようにしてもよい。これにより、釣針40が脚部21に絡むのを防ぐことができる。
【0024】
軸部32は、ルアー本体10及び突起部20に被覆される線状の部材である。つまり、軸部32は、ルアー本体10及び突起部20の内部に配置されている。軸部32は、例えば、ワイヤーや靭性を有する線状の部材等を用いることができる。なお、軸部32は、例えば、枠状としてもよいし、曲部を設けてもよい。
【0025】
錘部33は、ルアー本体10に被覆されており、軸部32の端部に取り付けられている。つまり、錘部33は、ルアー本体10の後側に設けられている。錘部33は、ルアー1の水中での姿勢を考慮して設置位置を設定すればよいし、ルアー本体10内の他の位置に設けてもよい。また、錘部33は省略して、軸部32の材料や太さで重さを調節してもよい。
【0026】
釣糸用接続部34は、釣糸が連結されるU字状の部位である。釣糸用接続部34は、芯材30の一部であり、ルアー本体10の後側から後方に突出して形成されている。釣糸用接続部34の両端は、ルアー本体10の内部で、錘部33,33に接続されている。なお、釣糸用接続部34は、芯材30と別体であってもよい。また、釣糸用接続部34は、裏側(カニのお腹側)に露出させてもよい。
【0027】
本実施形態のルアー1の製造方法は、芯材形成工程と、一体成形工程と、を行う。芯材形成工程では、芯材30を形成する。一体成形工程では、芯材30にルアー本体10、突起部20,20及び複数の脚部21を形成する。一体成形工程では、例えば、圧縮成形やインジェクション成形を行って、芯材30にルアー本体10、突起部20,20及び複数の脚部21を成形する。
【0028】
以上説明した本実施形態のルアー1によれば、釣針用接続部31をルアー本体10から離間させているため、釣針40がルアー本体10に引っ掛かるのを防ぐことができる。また、ルアー本体10及び突起部20に芯材30が設けられているため、ルアー1の強度を高めることができる。より詳しくは、軸部32,32はルアー本体10の後部からV字状に延設され、突起部20まで連続して配置されている。これにより、ルアー1の強度を高めることができる。また、芯材30の軸部32,32は、ルアー本体10及び突起部20に被覆されているため、魚へのアピールを阻害することはない。
【0029】
また、芯材30は、釣針用接続部31,31と、軸部32,32と、錘部33,33と、釣糸用接続部34とが一体形成されている。これにより部品点数を少なくすることができるとともに、容易に製造することができる。
【0030】
また、ルアー1は、カニを模しており、ルアー本体10には一対の突起部(爪)20を設けている。釣針用接続部31,31は、それぞれ突起部20,20において、釣針40,40同士が引っ掛からない位置に設けられている。これにより、釣針40,40同士が絡むのを防ぐことができる。
【0031】
また、ルアー本体10及び突起部20は、軟質材で形成されているため、魚へのアピールをより高めることができる。また、ルアー1を左右非対称としてもよいが、本実施形態のように左右対称とすることでバランス良くアクションさせることができる。
【0032】
(変形例1)
次に、本発明の変形例1について説明する。
図3に示すように、変形例1に係る芯材30Aは、釣針用接続部31Aの向きが上記した実施形態と異なっている。上記した実施形態の釣針用接続部31(
図1参照)は、ルアー本体10に対して突起部20の外側から釣針40を着脱できるようにしていた。これに対し、変形例1の釣針用接続部31Aは、ルアー本体10に対して突起部20の内側から釣針40を着脱できるようにしている。つまり、釣針用接続部31Aにおいて、釣針40を着脱する際の開口部となる端部31Aaが、内側を向いている。これにより、釣針40を内側から掛けることができるため、突起部20の先端に釣針40を掛けやすくなる。また、端部31Aaを突起部20に埋設することができるため、釣針用接続部31Aの露出を極力少なくすることができる。
【0033】
(変形例2)
次に、本発明の変形例2について説明する。
図4に示すように変形例2に係る芯材30Bは、錘部33Bが分割されておらず、一つの部材として構成されている。このような芯材30Bであれば、より重い錘を使用することができる。
【0034】
以上、本願発明に係る実施形態について説明した。本発明は、前述の実施形態に限らず各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、本実施形態では、ルアー本体及び突起部を軟質材としたが他の材料で形成されていてもよい。例えば、ルアー本体及び突起部は、鉛、真鍮、タングステン、ステンレス等の金属、木製であってもよい。
【0035】
また、本実施形態のルアー1は、カニを模した形状としているが、例えばエビや他の甲殻類を模した形状としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 ルアー
10 ルアー本体
20 突起部
30 芯材
31 釣針用接続部
32 軸部
33 錘部
34 釣糸用接続部
40 釣針