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特許7507129給湯システム、給湯制御方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】給湯システム、給湯制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20240620BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/248 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/273 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/457 20220101ALI20240620BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
F24H15/196 301W
F24H1/18 G
F24H15/248
F24H15/265
F24H15/273
F24H15/281
F24H15/375
F24H15/457
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021124271
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2023019504
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 信果
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 耕士
(72)【発明者】
【氏名】西村 圭輔
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-041157(JP,A)
【文献】特開2015-154248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0211099(US,A1)
【文献】特開2006-013563(JP,A)
【文献】特開2020-148378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの外出中、給湯機の付近の基準位置からユーザの携帯端末までの距離が第1所定値以下になった場合、前記給湯機による帰宅前の湯はり運転の通知を前記携帯端末に対して行う制御部を備え、
前記制御部は、前記通知を行った後、前記携帯端末から湯はり運転の開始指令を受信した場合、前記給湯機による湯はり運転を開始し、
前記制御部は、ユーザの帰宅前の湯はり運転の通知設定がなされている場合において、前記給湯機の貯湯タンクの湯量が不足しているときには、ユーザが外出中であるか否かに関わらず、当該湯量の不足分を補うように沸き上げ運転を行う、給湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記通知を行った後、前記携帯端末から前記開始指令を受信するまでは、前記給湯機による湯はり運転を開始しないこと
を特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記距離が第2所定値以上になった後、前記距離が前記第1所定値以下になった場合、前記通知を前記携帯端末に対して行い、
前記第2所定値は、前記第1所定値よりも大きいこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記制御部は、ユーザの外出中に前記距離が前記第1所定値以下になった場合、前記通知を前記携帯端末に対して行うとともに、外出中のユーザがまもなく帰宅する旨の通知を前記給湯機のリモコンに対して行うこと
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項5】
外出中のユーザがまもなく帰宅する旨の前記通知を前記リモコンに対して行うか否かが、前記携帯端末の操作で設定されること
を特徴とする請求項4に記載の給湯システム。
【請求項6】
ユーザによる前記携帯端末の操作で前記第1所定値が設定されること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記携帯端末からの前記開始指令に基づいて、前記給湯機による湯はり運転を開始した後、前記携帯端末から湯はり運転の中止指令を受信した場合、前記給湯機による湯はり運転を中止すること
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に給湯システム。
【請求項8】
ユーザの帰宅前の湯はり運転の通知設定がなされている場合において、給湯機の貯湯タンクの湯量が不足しているときには、ユーザが外出中であるか否かに関わらず、当該湯量の不足分を補うように制御部が沸き上げ運転を行う処理と、
ユーザの外出中、前記給湯機の付近の基準位置からユーザの携帯端末までの距離が第1所定値以下になった場合、前記給湯機による帰宅前の湯はり運転の通知を前記制御部が前記携帯端末に対して行う通知処理と、
前記通知を行った後、前記携帯端末から湯はり運転の開始指令を受信した場合、前記制御部が前記給湯機による湯はり運転を開始する運転処理と、を含む給湯制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の給湯制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯機等の家電機器に関して、例えば、特許文献1には、通信端末と家電機器との間の距離が所定の距離以内になった場合、家電機器の固定音出力部が所定の固定音を発することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6365338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、家電機器の音声ガイダンスに関するものであるが、ユーザにとっての利便性をさらに高める余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る給湯システムは、ユーザの外出中、給湯機の付近の基準位置からユーザの携帯端末までの距離が第1所定値以下になった場合、前記給湯機による帰宅前の湯はり運転の通知を前記携帯端末に対して行う制御部を備え、前記制御部は、前記通知を行った後、前記携帯端末から湯はり運転の開始指令を受信した場合、前記給湯機による湯はり運転を開始し、前記制御部は、ユーザの帰宅前の湯はり運転の通知設定がなされている場合において、前記給湯機の貯湯タンクの湯量が不足しているときには、ユーザが外出中であるか否かに関わらず、当該湯量の不足分を補うように沸き上げ運転を行うこととした。なお、その他については、実施形態の中で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る給湯システムの構成図である。
図2】第1実施形態に係る給湯システムが備える給湯機の構成図である。
図3】第1実施形態に係る給湯システムが備える給湯機の機能ブロック図である。
図4】第1実施形態に係る給湯システムが備える携帯端末の機能ブロック図である。
図5】第1実施形態に係る給湯システムが備える携帯端末のアプリケーションに関する説明図である。
図6】第1実施形態に係る給湯システムにおける、帰宅前の湯はり運転の通知設定に関するフローチャートである。
図7A】第1実施形態に係る給湯システムにおける、帰宅前の湯はり運転の通知設定に関する携帯端末の表示画面の例である。
図7B】第1実施形態に係る給湯システムにおける、帰宅前の湯はり運転の通知設定に関する携帯端末の表示画面の例である。
図7C】第1実施形態に係る給湯システムにおける、帰宅前の湯はり運転の通知設定に関する携帯端末の表示画面の例である。
図8】第1実施形態に係る給湯システムにおける、帰宅前の湯はり運転に関するフローチャートである。
図9】第1実施形態に係る給湯システムにおける、帰宅前の湯はり運転に関するフローチャートである。
図10】第1実施形態に係る給湯システムにおいて、ユーザが帰宅中であることを示す事前通知を台所リモコンで行う場合の表示例である。
図11】参考形態に係る給湯システムの構成図である。
図12】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電による沸き上げ運転の設定手順を示すフローチャートである。
図13】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電の利用設定に関する台所リモコンの設定画面の表示例である。
図14A】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電による沸き上げ運転の時間帯の許容範囲の設定画面の例である。
図14B】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電による沸き上げ運転の時間帯の許容範囲の設定画面の例である。
図15A】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電を利用した沸き上げ運転に関するフローチャートである。
図15B】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電を利用した沸き上げ運転に関するフローチャートである。
図16A】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電を利用した沸き上げ運転が行われる時間帯の例を示す説明図である。
図16B】参考形態に係る給湯システムにおける、太陽光発電を利用した沸き上げ運転が行われる時間帯の別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
≪第1実施形態≫
<給湯システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る給湯システム100の構成図である。
なお、図1の太い実線は、湯水が流れる配管を示している。また、図1の破線は、通信線(無線通信の場合も含む)を示している。図1に示す給湯システム100は、風呂リモコンR1(リモコン)や台所リモコンR2(リモコン)の操作の他、携帯端末3からの信号に基づいて、沸き上げ運転や沸き増し運転、湯はり運転等を行うシステムである。
【0008】
図1に示すように、給湯システム100は、給湯機W1と、通信ユニット1と、ルータ2と、複数台の携帯端末3と、サーバ4と、を備えている。また、給湯機W1から湯水が供給される浴槽B1の他、風呂リモコンR1や台所リモコンR2、通信ユニット1、ルータ2等が建物H1の内部に設置されている。
【0009】
給湯機W1は、沸き上げ運転や沸き増し運転、湯はり運転等を行う機器である。図1に示すように、給湯機W1は、ヒートポンプユニットU1と、貯湯タンクユニットU2と、風呂リモコンR1と、台所リモコンR2と、を備えている。なお、給湯機W1の各構成については、後記する。
【0010】
通信ユニット1は、給湯機W1とルータ2との間に介在して、通信を行う機器である。このような通信ユニット1として、例えば、無線アダプタが用いられる。図1の例では、通信ユニット1が、台所リモコンR2に接続されるとともに、ルータ2に接続されている。なお、通信ユニット1とルータ2との間で無線通信が行われてもよいし、また、有線通信が行われてもよい。
【0011】
ルータ2は、所定の通信プロトコルに基づいて、通信の中継を行う機器である。図1の例では、ルータ2が、通信ユニット1に接続されるとともに、ネットワークN1,N2を順次に介して、サーバ4に接続されている。
【0012】
携帯端末3は、スマートフォンや携帯電話、タブレット、ウェアラブル端末といった機器であり、ネットワークN2を介して、サーバ4との間で所定の通信を行う。携帯端末3のユーザは、例えば、給湯機W1を日常的に使う者(建物H1の住人等)である。それぞれの携帯端末3は、SSID(Service Set Identifier)の入力操作の他、WPS(Wi-Fi Protected Setup)等が行われることで、給湯機W1に対応付けられている。つまり、ユーザが携帯端末3を所定に操作することで、給湯機W1の設定変更や湯はり運転の開始等が行われるようになっている。
【0013】
サーバ4は、給湯機W1に関するデータを管理する他、ネットワークN2を介して携帯端末と3の間で通信を行ったり、ネットワークN2,N1及びルータ2を順次に介して、通信ユニット1との間で通信を行ったりする機能を有している。
【0014】
<給湯機>
図2は、給湯機W1の構成図である。
図2に示すように、給湯機W1は、ヒートポンプユニットU1と、貯湯タンクユニットU2と、リモコンRと、を備えている。ヒートポンプユニットU1は、沸き上げ運転や沸き増し運転の際、貯湯タンク21から流入する低温の湯水を加熱する機器である。なお、「沸き上げ運転」とは、貯湯タンク21の湯水をヒートポンプユニットU1で加熱する運転である。また、「沸き増し運転」とは、貯湯タンク21の高温水(残湯)が少ない場合に、ヒートポンプユニットU1を稼働させ、貯湯タンク21の高温水の量を増やす運転である。
【0015】
図2に示すように、ヒートポンプユニットU1は、圧縮機11と、液冷媒熱交換器12と、膨張弁13と、空気熱交換器14と、を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路を備える他、送風ファン15と、ポンプ16と、制御部17と、を備えている。また、ヒートポンプユニットU1は、液冷媒熱交換器12の上流側の湯水の配管68に設けられる温度センサ18と、液冷媒熱交換器12の下流側の湯水の配管69に設けられる温度センサ19と、外気温度を検出する温度センサ20と、を備えている。
【0016】
制御部17は、貯湯タンクユニットU2の制御部50から受信する信号や温度センサ18,19,20の検出値等に基づいて、圧縮機11、膨張弁13、送風ファン15、ポンプ16等を制御する。ポンプ16が駆動すると、貯湯タンク21の下部に貯留されている低温の湯水が配管68を介して液冷媒熱交換器12に導かれ、さらに、液冷媒熱交換器12で熱交換した高温の湯水が配管69を介して貯湯タンク21の上部に導かれる。
【0017】
貯湯タンクユニットU2は、ヒートポンプユニットU1で加熱された湯水を貯湯タンク21に貯留する他、貯湯タンク21の湯水を適宜に温度調整した上で、浴槽B1や給湯端末(蛇口等:図示せず)に供給する機器である。図2に示すように、貯湯タンクユニットU2は、貯湯タンク21と、ストレーナ22と、減圧弁23と、給湯用混合弁24と、湯張り用混合弁25と、湯張り用開閉弁26と、逆流防止装置27と、を備えている。
【0018】
また、貯湯タンクユニットU2は、前記した構成の他に、循環調整弁28と、風呂循環ポンプ29と、追焚き用熱交換器30と、三方弁31と、排水弁32と、逃し弁33と、フローメータ34,35と、水位センサ36と、を備えている。さらに、貯湯タンクユニットU2は、逆止弁41~47と、制御部50と、温度センサ51~60と、を備えている。
【0019】
貯湯タンク21は、湯水を貯留するものであり、その外形が円柱状を呈している。貯湯タンク21の外周面には、高さ位置が異なる箇所に温度センサ51~56が設置されている。これらの温度センサ51~56の検出値に基づいて、貯湯タンク21内の高温水や中温水の量が算出される。なお、貯湯タンク21は、常時満水の状態になっている。
【0020】
給水源(水道管)から供給される水道水は、図2に示すストレーナ22及び逆止弁41を順次に通流した後、減圧弁23で減圧される。このように減圧された水道水は、逆止弁42を介して給湯用混合弁24に導かれ、また、別の逆止弁43を介して湯張り用混合弁25に導かれる他、貯湯タンク21の下部にも供給される。貯湯タンク21の下部に水道水が供給されることで、貯湯タンク21の上部の高温水が押し上げられる。その結果、貯湯タンク21の上部に接続された配管61、及び逆止弁44を順次に介して、給湯用混合弁24に高温水が供給される他、別の逆止弁45を介して、湯張り用混合弁25に高温水が供給される。
【0021】
給湯用混合弁24は、逆止弁42を介して流入する低温水(水道水)と、別の逆止弁44を介して流入する高温水と、を混合して所定の給湯温度の湯水にする。このように給湯用混合弁24で混合された湯水は、フローメータ34を介して、給湯端末(図示せず)に供給される。なお、フローメータ34は、給湯端末(図示せず)への給湯を検知するものである。
【0022】
湯張り用混合弁25は、逆止弁43を介して流入する低温水(水道水)と、別の逆止弁45を介して流入する高温水と、を混合して所定の給湯温度の湯水にする。このように湯張り用混合弁25で混合された湯水は、湯張り用開閉弁26、逆止弁46、フローメータ35、逆止弁47、水位センサ36、及び循環アダプタ37を順次に介して、浴槽B1に供給される。なお、湯張り用開閉弁26は、制御部50から給湯指令を受けた場合に開弁し、給湯の終了後に閉弁するようになっている。フローメータ35は、浴槽B1への給湯を検知するものである。
【0023】
図2に示す水位センサ36は、浴槽B1の水位を検出するものである。逆流防止装置27は、浴槽B1の湯水が湯張り用開閉弁26の上流側に逆流することを防止するものである。制御部50は、リモコンRや携帯端末3(図1参照)からの信号に基づいて、各弁や各ポンプを制御する。この制御部50は、ヒートポンプユニットU1の制御部17に配線を介して接続されている。
【0024】
また、貯湯タンクユニットU2は、浴槽B1から流入する湯水を、貯湯タンク21の高温水で加熱する追焚き用熱交換器30を備えている。図2に示すように、追焚き用熱交換器30は、貯湯タンク21内の上部空間に設けられている。そして、風呂循環ポンプ29が駆動することで、浴槽B1の湯水が追焚き用熱交換器30に導かれた後、浴槽B1に戻されるようになっている。具体的には、浴槽B1から配管62、水位センサ36、風呂循環ポンプ29、配管63、循環調整弁28、配管64、追焚き用熱交換器30、及び配管65,66を順次に介して、浴槽B1に湯水が戻されるようになっている。
【0025】
図2に示す循環調整弁28は、配管63を通流する低温水と、配管67を通流する高温水と、の混合比を調整する弁である。制御部50は、温度センサ59によって検出される浴槽B1の湯水の温度と、温度センサ60によって検出される高温水の温度と、に基づいて、浴槽B1に戻す湯水が所定温度となるように循環調整弁28の開度を調整する。
【0026】
三方弁31は、ヒートポンプユニットU1と貯湯タンクユニットU2とを接続する配管の凍結を防止するための弁である。すなわち、ヒートポンプユニットU1で加熱した高温水が再びヒートポンプユニットU1に戻されるように高温水を循環させ、配管の凍結を防止するようにしている。排水弁32は、手動で開閉される弁であり、メンテナンス時に貯湯タンク21の湯水を排水する際に使用される。逃し弁33は、湯水の圧力が所定値に達した場合に開弁し、大気(外気)に開放するようになっている。
【0027】
図2に示すように、給湯機W1のリモコンRは、風呂リモコンR1と、台所リモコンR2と、を含んで構成されている。風呂リモコンR1は、浴槽B1の付近に設けられている。また、台所リモコンR2は、給湯端末(図示せず)の付近に設けられている。風呂リモコンR1や台所リモコンR2が、ユーザによって所定の操作されることで、所定の運転指令が出される他、給湯温度や湯張り温度の設定等が行われる。なお、図2に示す給湯機W1の構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【0028】
図3は、給湯機W1の機能ブロック図である。
図3に示すように、給湯機W1は、制御に関する機能的な構成として、記憶部71と、通信部72と、操作部73と、制御部74と、を備えている。記憶部71には、所定のプログラムが予め格納されている他、給湯機W1の設定情報や各センサの検出値等が格納される。通信部72は、通信ユニット1等(図1参照)を介して、所定の通信を行う機能を有している。操作部73は、ユーザによって操作される風呂リモコンR1(図1参照)や台所リモコンR2(図1参照)である。制御部74は、ヒートポンプユニットU1の制御部17(図2参照)と、貯湯タンクユニットU2の制御部50(図2参照)と、を含んで構成されている。
【0029】
図4は、携帯端末3の機能ブロック図である。
図4に示すように、携帯端末3は、記憶部3aと、通信部3bと、プロセッサ3cと、入力部3dと、出力部3eと、がバス3fを介して接続された構成になっている。記憶部3aには、所定のプログラムが予め格納されている他、携帯端末3の設定情報等が格納される。通信部3bは、ネットワークN2(図1参照)を介して、サーバ4との間で所定の通信を行う。プロセッサ3cは、記憶部3aに格納されているプログラムに基づいて、所定の演算処理を実行する。入力部3dは、ユーザによって操作されるタッチディスプレイやボタンである。出力部3eは、所定の表示を行うディスプレイや、音声を出力するスピーカである。
【0030】
図5は、携帯端末のアプリケーションに関する説明図である。
携帯端末3(図4参照)のアプリケーション80によって実現される機能的な構成として、図5に示すグラフ作成部81と、通知出力部82と、設定部83と、アクセス支援処理部84と、が設けられている。グラフ作成部81は、例えば、給湯機W1(図1参照)における湯水の消費量の推移を示すグラフ等を作成する。
【0031】
通知出力部82は、携帯端末3の設定に基づいて、所定の通知を行う。詳細については後記するが、第1実施形態では、外出中のユーザが帰宅しているとき、通知出力部82によって、湯はり運転の通知を行うようにしている。設定部83は、ユーザによる携帯端末3の操作に基づいて、各種の設定を行う。アクセス支援処理部84は、給湯機W1(図1参照)の使い方等を示す所定のサポート画面を出力(表示)する。
【0032】
<給湯システムにおける処理>
図6は、帰宅前の湯はり運転の通知設定に関するフローチャートである(適宜、図1図5を参照)。
例えば、ユーザが帰宅したとき、浴槽B1(図1参照)の湯はりが既に完了している状態であれば、帰宅してすぐに入浴できる。そこで、第1実施形態では、帰宅前に湯はり運転を開始するか否かを、ユーザの携帯端末3に通知して確認するようにしている。なお、図6の「START」時には、携帯端末3と給湯機W1との対応付け(ペアリング)が、SSIDの入力操作やWPS等によって既に行われているものとする。
【0033】
図6のステップS101において、携帯端末3の設定部83(図5参照)は、基準位置の登録を行う。すなわち、設定部83は、ユーザによる携帯端末3の操作に基づいて、この携帯端末3に対応付けられている給湯機W1の付近の位置情報(建物H1の位置情報)を基準位置として登録する。
【0034】
図7A図7B図7Cは、帰宅前の湯はり運転の通知設定に関する携帯端末の表示画面の例である。なお、ユーザの操作に応じて、図7A図7B図7Cの矢印の順に設定画面が遷移するものとする。
図7Aの例では、帰宅前の湯はり運転の設定を行う際、ユーザによる携帯端末3の操作で、「設定」(符号K1)が選択された後、「リモコン設定」(符号K2)が選択され、さらに、「GPS通知設定」(符号K3)が選択されている。ここで、「GPS通知設定」とは、GPS(Global Positioning System)を用いて、携帯端末3の位置(つまり、ユーザの位置)を特定し、帰宅中のユーザに湯はり運転の通知を行う設定である。
【0035】
そして、図7Bに示す「基準位置」(符号K4)がユーザの操作で選択された後、「計測開始」(符号K5)のボタンが押されると、その時点での携帯端末3の緯度・経度がGPSで計測されるようになっている。なお、「基準位置」を計測する際、携帯端末3を所持しているユーザが、給湯機W1の付近(建物H1の付近:図1参照)にいるものとする。また、ユーザによる携帯端末3の操作で、基準位置として、建物H1(図1参照)の住所が入力されるようにしてもよい。このようにして、図6のステップS101の処理が行われる。
【0036】
次に、図6のステップS102において、携帯端末3の設定部83(図5参照)は、通知のタイミングを設定する。例えば、設定部83は、ユーザによる携帯端末3の操作に基づいて、帰宅前の湯はり運転の通知を1回だけ行うのか、それとも、通知を行い続けるのかを設定する。図7Bの例では、「通知タイミング」(符号K6)として、帰宅前の通知を行い続ける方の「常時」(符号K7)が選択されている。
【0037】
次に、図6のステップS103において、携帯端末3の設定部83(図5参照)は、通知先を設定する。例えば、設定部83は、ユーザによる携帯端末3の操作に基づいて、帰宅前の湯はりの通知先に携帯端末3を含めるか否かを設定する他、通知先に自宅の風呂リモコンR1(図1参照)や台所リモコンR2(図1参照)を含めるか否かを設定する。図7Bの例では、帰宅前の湯はりの通知先に関する「通知設定」(符号K8)として、携帯端末3の「アプリ」(符号K10)が選択されている他、「自宅」(符号K9)の風呂リモコンR1(図1参照)や台所リモコンR2(図1参照)も選択されている。このように、通知先に風呂リモコンR1や台所リモコンR2を含めることで、ユーザの帰宅中、自宅にいる家族が浴室の掃除を行ったり、浴槽B1(図1参照)の栓の閉め忘れを確認したりすることができる。
【0038】
次に、図6のステップS104において、携帯端末3の設定部83(図5参照)は、通知を行う際の基準位置からの距離(第1所定値)を設定する。例えば、図7Cの例では、ユーザの操作によって、「通知設定距離」(符号K11)が選択された後、帰宅前の湯はりの通知を行う際の基準位置(自宅)から携帯端末3までの距離(第1所定値)が3kmに設定されている(符号K12)。
【0039】
図6のステップS104の処理を行った後、携帯端末3の設定部83(図5参照)は、通知設定に関する一連の処理を終了する(END)。なお、図6のステップS101~S104の処理の順序は、適宜に変更されてもよい。また、通知設定に関するデータは、ネットワークN2(図1参照)を介して、携帯端末3からサーバ4(図1参照)に送信され、このサーバ4に格納される。
【0040】
図8は、帰宅前の湯はり運転に関するフローチャートである(適宜、図1図3を参照)。
なお、図8の「START」時には、湯はり運転の通知設定(図6の一連の処理)が既に完了しているものとする。また、図8の「START」時には、夜間電力を用いた沸き上げ運転が既に行われ、貯湯タンク21(図2参照)に所定量の高温水が貯留されているものとする。
ステップS201において、給湯機W1の制御部74(図3参照)は、当日の帰宅通知設定(帰宅前の湯はり運転の通知設定)があるか否かを判定する。ステップS201において、当日の帰宅通知設定がある場合(S201:Yes)、制御部74の処理はステップS202に進む。一方、当日の帰宅通知設定がない場合(S201:No)、制御部74は、帰宅通知に関する処理を終了する(END)。
【0041】
ステップS202において制御部74は、貯湯タンク21(図2参照)の現状の湯量が足りているか否かを判定する。ステップS202において、現状の湯量が足りている場合(S202:Yes)、制御部74の処理はステップS204に進む。一方、現状の湯量が足りていない場合(S202:No)、制御部74の処理はステップS203に進む。
ステップS203において制御部74は、不足分の沸き上げ運転を行う。これによって、貯湯タンク21の高温水の量が十分に確保される。ステップS203の処理を行った後、制御部74の処理はステップS204に進む。なお、ステップS202,S203の処理は、ステップS201の前に行われてもよい。
【0042】
ステップS204において制御部74は、ユーザが外出しているか否かを判定する。例えば、制御部74は、ユーザの操作で設定された基準位置(自宅)から、ユーザの携帯端末3までの距離が第2所定値以上になった場合、ユーザが外出していると判定する。なお、携帯端末3の位置情報は、例えば、GPSを用いてサーバ4(図1参照)で取得され、このサーバ4から通信ユニット1(図1参照)等を介して、制御部74に送信される。また、前記した第2所定値は、ユーザが外出したか否かの判定基準となる距離の閾値であり、前記した第1所定値よりも大きい値に設定される。
【0043】
具体例を挙げると、ユーザによる携帯端末3の操作で第1所定値が3km(図7Cの符号K12)として設定された場合、第2所定値は、この第1所定値よりも長い距離(例えば、4km)に設定される。これによって、基準位置(自宅)を中心として、半径が第1所定値である円(図示せず)の内側・外側の境界付近で、ユーザが行き来を繰り返した場合でも、帰宅前の湯はり運転の通知が携帯端末3に頻繁に行われることを防止できる。
【0044】
ステップS204において、ユーザが外出している場合(S204:Yes)、制御部74の処理はステップS205に進む。一方、ユーザが外出していない場合(S204:No)、制御部74は、帰宅通知に関する処理を終了する(END)。
【0045】
ステップS205において制御部74は、ユーザが帰宅中であるか否かを判定する。具体的には、制御部74は、ユーザの操作で設定された基準位置(自宅)から、ユーザの携帯端末3までの距離が第1所定値以下になった場合、ユーザが帰宅中であると判定する。前記したように、第1所定値は、ユーザによる携帯端末3の操作で設定される(図7Cの符号K12)。ステップS205において、ユーザが帰宅中である場合(S205:Yes)、制御部74の処理はステップS206に進む。一方、ユーザが帰宅中でない場合(S205:No)、制御部74は、ステップS205の処理を繰り返す。
ステップS206において制御部74は、帰宅に備えた湯はり運転を行う。このステップS206の処理の詳細について、図9を用いて説明する。
【0046】
図9は、帰宅前の湯はり運転に関するフローチャートである。
ステップS206aにおいて制御部74は、帰宅中のユーザの携帯端末3に湯はり運転の開始の事前通知を行う(通知処理)。すなわち、ユーザの外出中、給湯機W1の付近の基準位置(自宅)からユーザの携帯端末3までの距離が第1所定値以下になった場合(図8のS205:Yes)、制御部74は、給湯機W1による湯はり運転の通知を携帯端末3に対して行う。具体的には、制御部74は、通信ユニット1等を介して、ユーザの携帯端末3にプッシュ通知を行い、湯はり運転に関する画面を表示させる。このような画面として、例えば、図7Aの「風呂自動開始」(符号K13)のボタンを含むホーム画面を携帯端末3に表示させるようにしてもよい。
【0047】
なお、湯はり運転の事前通知を行う際の条件についてさらに詳しく説明すると、給湯機W1の付近の基準位置(自宅)からユーザの携帯端末3までの距離が第2所定値以上になった後(図8のS204:Yes)、この距離が第1所定値以下になった場合(図8のS205:Yes)、制御部74は、給湯機W1による湯はり運転の通知を携帯端末3に対して行う。前記したように、第2所定値は、第1所定値よりも大きい値である。
【0048】
ステップS206bにおいて制御部74は、給湯機W1のリモコンR(図2参照)での通知設定があるか否かを判定する。すなわち、制御部74は、帰宅前の湯はり運転の通知先に風呂リモコンR1(図2参照)や台所リモコンR2(図2参照)が含まれているか否かを判定する。ステップS206bにおいて、リモコンRでの通知設定がある場合(S206b:Yes)、制御部74の処理はステップS206cに進む。一方、リモコンRでの通知設定がない場合(S206b:No)、制御部74の処理はステップS206dに進む。
【0049】
ステップS206cにおいて制御部74は、リモコンR(図2参照)で事前通知を行う。例えば、制御部74は、風呂リモコンR1(図2参照)や台所リモコンR2(図2参照)で所定の表示を行ったり、音声を出力したりすることで、ユーザが帰宅中である旨の事前通知を行う。このように、制御部74は、ユーザの外出中に、給湯機W1の付近の基準位置(自宅)からユーザの携帯端末3までの距離が第1所定値以下になった場合、給湯機W1による湯はり運転の通知を携帯端末3に対して行うとともに(S206a)、外出中のユーザがまもなく帰宅する旨の通知を給湯機W1のリモコンRに対して行う。前記したように、外出中のユーザがまもなく帰宅する旨の通知をリモコンRに対して行うか否かは、ユーザによる携帯端末3の操作で設定される(図7Bの符号K8の「通知設定」)。
【0050】
図10は、ユーザが帰宅中であることを示す事前通知を台所リモコンR2で行う場合の表示例である。
図10の例では、「使用者1」(携帯端末3を所持している帰宅中のユーザ)がまもなく帰宅することが、台所リモコンR2のディスプレイ91に表示されている。なお、風呂リモコンR1(図1参照)にも同様の表示が行われる。また、このような表示の他、所定の音声が風呂リモコンR1や台所リモコンR2から出力されるようにしてもよい。これによって、自宅にいる家族等は、「使用者1」がまもなく帰宅することを把握できる。したがって、浴室の掃除を行ったり、浴槽B1(図1参照)の栓の閉め忘れがないことを確認したりすることができる。なお、携帯端末3から湯はり運転の開始指令が特にない場合でも、自宅にいる他のユーザが台所リモコンR2や風呂リモコンR1の操作することで、湯はり運転を開始することも可能である。
【0051】
再び、図9に戻って説明を続ける。
ステップS206dにおいて制御部74は、湯はり運転の開始指令があったか否かを判定する。つまり、制御部74は、携帯端末3の操作に基づく湯はり運転の開始指令を通信ユニット1等を介して受信したか否かを判定する。ステップS206dにおいて、湯はり運転の開始指令があった場合(S206d:Yes)、制御部74の処理はステップS206eに進む。
【0052】
ステップS206eにおいて制御部74は、湯はり運転を実行する(運転処理)。このように、制御部74は、携帯端末3に対して湯はり運転の通知を行った後(図9のS206a)、携帯端末3から湯はり運転の開始指令を受信した場合(S206d:Yes)、給湯機W1による湯はり運転を開始する(S206e)。これによって、ユーザが帰宅したときには、浴槽B1(図1参照)の湯はりが完了している状態になるため、すぐに入浴できる。
【0053】
また、ステップS206dにおいて、湯はり運転の開始指令がない場合(S206d:No)、制御部74の処理はステップS206fに進む。
ステップS206fにおいて制御部74は、湯はり運転を中止する。言い換えると、制御部74は、湯はり運転の通知を行った後(S206a)、携帯端末3から湯はり運転の開始指令を受信するまでは、給湯機W1による湯はり運転を開始しない(S206d:No、S206f)。これによって、帰宅前の湯はり運転を行わないというユーザの意図を適切に反映させることができる。ステップS206e又はステップS206fの処理を行った後、制御部74は、湯はり運転に関する一連の処理を終了する(END)。
【0054】
なお、図9には図示していないが、携帯端末3からの湯はり運転の開始指令に基づいて、給湯機W1による湯はり運転を開始した後、携帯端末3から湯はり運転の中止指令を受信した場合、制御部74が、給湯機W1による湯はり運転を中止することが好ましい。例えば、ユーザによる携帯端末3の操作で「風呂自動開始」(図7Aの符号K13)のボタンが押された場合、このボタンの表示が、湯はり運転の中止ボタン(図示せず)に切り替わるようにしてもよい。そして、湯はり運転の中止ボタンをユーザが押した場合、携帯端末3からサーバ4等を介して、給湯機W1に中止指令が送信されるようにしてもよい。これによって、例えば、湯はり運転の開始指令後に浴槽B1の栓をしていないことをユーザが思い出したり、また、「風呂自動開始」(図7Aの符号K13)のボタンをユーザが誤って押したりした場合でも、湯はり運転を中止することができる。
【0055】
<効果>
第1実施形態によれば、ユーザの帰宅前に制御部74が湯はり運転を開始することで、ユーザが帰宅してすぐに入浴できる。したがって、ユーザにとっての利便性や快適性が高められる。また、自宅からユーザの携帯端末3までの距離が第1所定値以下になった場合、制御部74は、携帯端末3に湯はり運転の事前通知を行い(図9のS206a)、携帯端末3から開始指令を受信したときに湯はり運転を開始する(S206d:Yes、S206e)。このように、帰宅前の湯はり運転を開始するか否かをユーザに確認することで、ユーザの意図を適切に反映させることができる。
【0056】
≪参考形態≫
参考形態は、給湯システム100A(図11参照)が太陽光発電パネル5(図11参照)やパワーコンディショナ6(図11参照)を備えている点が、第1実施形態とは異なっている。また、参考形態は、太陽光発電の電力を用いて、給湯機W1が日中(昼間)に沸き上げ運転を行う点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他(給湯機W1の構成等:図2図3参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0057】
<給湯システムの構成>
図11は、参考形態に係る給湯システム100Aの構成図である。
図11に示す給湯システム100Aは、第1実施形態で説明した構成(図1参照)に加えて、太陽光発電パネル5と、パワーコンディショナ6と、を備えている。
太陽光発電パネル5は、太陽光発電を行うものであり、複数の太陽電池5aが所定の枠体(図示せず)に設置された構成になっている。パワーコンディショナ6は、太陽光発電パネル5から出力される直流電力を交流電力に変換する機能等を有している。パワーコンディショナ6は、給湯機W1に電気的に接続されるとともに、電力系統E1にも接続されている。
【0058】
なお、太陽光発電パネル5の発電電力で給湯機W1の沸き上げ運転等を行うことも可能であり、また、この発電電力を電力系統E1に供給する(売電する)ことも可能である。参考形態では、太陽光発電の発電電力で給湯機W1の沸き上げ運転を行う際の時間帯の許容範囲を、ユーザが携帯端末3の操作で設定するようにしている。
【0059】
<給湯システムにおける処理>
図12は、太陽光発電による沸き上げ運転の設定手順を示すフローチャートである(適宜、図11を参照)。
なお、太陽光発電パネル5の設置位置を示す情報(建物H1の住所等)が、サーバ4等に格納されているものとする。図12のステップS301では、ユーザによる風呂リモコンR1又は台所リモコンR2の操作で、太陽光発電の利用設定が行われる。このステップS301の具体例を図13を用いて説明する。
【0060】
図13は、太陽光発電の利用設定に関する台所リモコンの設定画面の表示例である(適宜、図11を参照)。
なお、図13には、台所リモコンR2(図10参照)のディスプレイ91(図10参照)の部分を図示し、他の部分を省略している。また、台所リモコンR2の設定画面が、ユーザの操作に応じて、図13の矢印の向きに順次に遷移するものとする。図13の例では、ユーザによる台所リモコンR2の操作で、メニュー画面の「太陽光発電利用設定」(符号K14)が選択された場合、「太陽光発電を利用した沸き上げを設定しますか?」と表示される。
【0061】
そして、太陽光発電を利用した沸き上げの設定を「する」(符号K15)の方が選択された場合、「手動」(符号K16)、及び「天気連動」(符号K17)の選択画面が表示される。ここで、「手動」(第2の設定)とは、天気予報での当日の天気に関わらず、ユーザによって設定された時間帯に太陽光発電による沸き上げ運転を行う設定である。一方、「天気連動」(第1の設定)とは、太陽光発電による沸き上げ運転を行う時間帯の許容範囲がユーザによって設定された場合、この許容範囲内において、天気予報で当日の天気が晴れの時間帯に太陽光発電による沸き上げ運転を行う設定である。
【0062】
図13の例では、「天気連動」(符号K17)が選択されているため、天気連動(「アプリで設定した内容」:符号K18)に基づいて、沸き上げ運転が行われる。このような設定情報は、給湯機W1(図11参照)から通信ユニット1等を介して、サーバ4(図11参照)に送信され、このサーバ4に格納される。なお、台所リモコンR2(図11参照)の他、風呂リモコンR1(図11参照)でも同様の設定が可能である。
【0063】
このように、天気連動(図13の符号K17)に基づく「第1の設定」と、手動設定(図13の符号K16)に基づく「第2の設定」と、が風呂リモコンR1(リモコン)や台所リモコンR2(リモコン)の操作で切替可能になっている。これによって、ユーザによる設定の自由度を高めることができる。なお、前記した「第1の設定」及び「第2の設定」の一方から他方への切替えは、風呂リモコンR1や台所リモコンR2の他、携帯端末3で行うことも可能である。
【0064】
次に、図12のステップS302では、ユーザによる携帯端末3の操作で、太陽光発電による沸き上げの許容時間帯が設定される。このような携帯端末3の操作による設定について、図14A図14Bを用いて説明する。
【0065】
図14A図14Bは、太陽光発電による沸き上げ運転の時間帯の許容範囲の設定画面の例である。なお、図14A図14Bの矢印の順に、設定画面が遷移するものとする。
図14Aの例では、太陽光発電による沸き上げ運転の時間帯の許容時間が設定される際、ユーザの操作によって、「設定」(符号K19)が選択された後、「リモコン設定」(符号K20)が選択され、さらに、「太陽光発電利用時間」(符号K21)が選択されている。
【0066】
ここで、「太陽光発電利用時間」とは、太陽光発電を利用して日中の沸き上げ運転を行う際の時間帯の許容範囲である。前記した「日中」とは、日が昇り始めてから、日が沈むまでの間である。図14Bの例では、太陽光発電利用時間の開始時刻である「天気利用開始時間」が10時に設定され(符号K22)、また、太陽光発電利用時間の終了時刻である「終了時間」が14時に設定されている(符号K23)。そして、このような時間帯(10時~14時)での太陽光発電を用いた日中の沸き上げ運転が、「毎日」(符号K24)行われるように設定されている。
【0067】
なお、図14Bでは、当日の1時間ごとの天気予報が表示され、さらに、ユーザが設定した時間帯がハイライトで表示されているが(符号K25)、当日の天気をユーザが気にする必要は特にない。ユーザが設定した時間帯の許容範囲内(例えば、10時~14時)で、天気予報が晴れの時間帯に日中の沸き上げ運転を行うように、制御部74(図3参照)が当日のスケジュールを設定するからである。
【0068】
図15A図15Bは、太陽光発電を利用した沸き上げ運転に関するフローチャートである(適宜、図11を参照)。
なお、図15Aの「START」時には、SSIDの入力操作やWPS等によって、携帯端末3と給湯機W1との対応付け(ペアリング)が既に行われているものとする。また、図15Aの「START」時には、夜間電力を用いた沸き上げ運転がまだ開始されていないものとする。
【0069】
ステップS401において制御部74(図3参照)は、太陽光発電による沸き上げ設定が行われているか否かを判定する。図13の例では、太陽光発電による沸き上げ設定(符号K14の「太陽光発電利用設定」)が行われている。ステップS401において、太陽光発電による沸き上げ設定が行われている場合(S401:Yes)、制御部74の処理はステップS402に進む。一方、太陽光発電による沸き上げ設定が行われていない場合(S401:No)、制御部74は、太陽光発電を利用した沸き上げ運転に関する一連の処理を終了する(図15Bの「END」)。
【0070】
図15AのステップS402において制御部74は、太陽光発電による沸き上げ運転が天気連動として設定されているか否かを判定する。つまり、制御部74は、ユーザによって設定された時間帯の許容範囲内で、天気予報が晴れの時間帯に太陽光発電を用いた日中の沸き上げ運転を行う設定(天気連動)がなされているか否かを判定する。図13の例では、「天気連動」(符号K17)が選択されている。ステップS402において、太陽光発電による沸き上げ運転が天気連動として設定されている場合(S402:Yes)、制御部74の処理はステップS403に進む。
【0071】
ステップS403において制御部74は、気象情報(天気予報の情報)を取得する。例えば、制御部74は、通信ユニット1(図11参照)等を介して、サーバ4(図11参照)から当日の一日分の気象情報を取得する。この気象情報には、当日の予想天気、予想日照時間、予想気温等が含まれている。
ステップS404において制御部74は、日中の沸き上げ運転の時間帯を決定する。このステップS404の処理について、図16A図16Bを用いて説明する。
【0072】
図16Aは、太陽光発電を利用した沸き上げ運転が行われる時間帯の例を示す説明図である。
なお、図16Aの横軸は、時刻である。図16Aの例では、当日の天気予報として、8時~9時の天気が曇りであり、9時~15時の天気は晴れであり、また、15時~16時の天気は曇りになっている。また、携帯端末3の操作によって、日中の沸き上げ運転を行う時間帯の許容範囲(ユーザが選択した時間帯)が10時~14時に設定されている。ここで、天気予報では、10時~14時を含む時間帯では天気が晴れになっているため、制御部74は、この時間帯に太陽光発電を利用した沸き上げ運転を行うことを決定する(図15AのS404)。
【0073】
図16Bは、太陽光発電を利用した沸き上げ運転が行われる時間帯の別の例を示す説明図である。
図16Bの例では、当日の天気予報として、8時~10時の天気が曇りであり、10時~12時の天気は晴れであり、12時~14時の天気は曇りであり、また、14時~16時の天気は晴れになっている。また、携帯端末3の操作によって、日中の沸き上げ運転を行う時間帯の許容範囲(ユーザが選択した時間帯)が9時~15時に設定されている。ここで、9時~15時において天気が晴れになる時間帯は、10時~12時、及び、14時~15時である。したがって、制御部74は、太陽光発電を利用し沸き上げ運転を10時~12時、及び、14時~15時に行うことを決定する(図15AのS404)。これによって、太陽光発電を利用して、沸き上げ運転を効率的に行うことができる。
【0074】
再び、図15Aに戻って説明を続ける。
図15AのステップS404において日中(昼間)の沸き上げ運転の時間帯を決定した後、ステップS405において制御部74は、夜間の沸き上げ開始時刻を算出する。具体的には、制御部74は、まず、ステップS404で決定した時間帯に太陽光発電で沸き上げ運転を行った場合に生成される高温水の量を算出する。そして、制御部74は、当日に必要となる高温水の総量から、太陽光発電で沸き上げ運転を行った場合の高温水の量を差し引いた量の高温水が夜間電力で生成されるように、夜間の沸き上げ運転の開始時刻を算出する。なお、制御部74が、夜間電力を用いた沸き上げ運転で生成する高温水を、所定の余裕をもって多めに生成するようにしてもよい。
【0075】
次に、ステップS406において制御部74は、夜間の沸き上げ開始時刻に達したか否かを判定する。ステップS406において、夜間の沸き上げ開始時刻に達した場合(S406:Yes)、制御部74の処理はステップS407に進む。一方、夜間の沸き上げ開始時刻に達していない場合(S406:No)、制御部74は、ステップS406の処理を繰り返す。
ステップS407において制御部74は、夜間の沸き上げ運転を実行する。これによって、安価な夜間電力を用いて、貯湯タンク21(図2参照)に所定量の高温水を貯留することができる。
【0076】
次に、図15BのステップS408において制御部74は、現在の時刻が日中の沸き上げ運転の時間帯(図15AのステップS404で決定した時間帯)に含まれているか否かを判定する。ステップS408において、日中の沸き上げ運転の時間帯でない場合(S408:No)、制御部74は、太陽光発電を利用した沸き上げ運転を特に行わずに、ステップS408の処理を繰り返す。
【0077】
例えば、制御部74は、太陽光発電による沸き上げ運転を行う時間帯の許容範囲内において、天気予報で当日の天気が曇り又は雨の時間帯(例えば、図16Bの9時~10時、12時~14時)には、太陽光発電による沸き上げ運転を行わないようにする。これによって、日中の電気料金が比較的高い系統電力で沸き上げ運転が行われることを抑制できる。一方、図15BのステップS408において、日中の沸き上げ運転の時間帯である場合(S408:Yes)、制御部74の処理はステップS409に進む。
【0078】
ステップS409において制御部74は、太陽光発電による沸き上げ運転を実行する。すなわち、制御部74は、天気予報で当日の天気が晴れの時間帯に太陽光発電による沸き上げ運転を行う場合において(図15AのS402:Yes)、太陽光発電による沸き上げ運転を行う時間帯の許容範囲が携帯端末3で設定されたとき、この許容範囲内において、天気予報で当日の天気が晴れの時間帯に太陽光発電による沸き上げ運転を行う(図15BのS408:Yes、S409)。これによって、夜間電力で沸き上げ運転を行う際の消費電力量を削減できる他、電力料金が比較的高い日中の消費電力量も削減できる。その結果、給湯機W1の運転に要する電力料金を大幅に削減できる。
【0079】
次に、図15BのステップS410において制御部74は、日中の沸き上げ運転の終了時刻に達したか否かを判定する。ステップS410において、日中の沸き上げ運転の終了時刻に達した場合(S410:Yes)、制御部74の処理はステップS411に進む。一方、日中の沸き上げ運転の終了時刻に達していない場合(S410:No)、制御部74の処理は、ステップS408に戻る。
【0080】
ステップS411において制御部74は、貯湯タンク21(図2参照)に必要湯量が確保されているか否かを判定する。ステップS411において、貯湯タンク21に必要湯量が確保されている場合(S411:Yes)、制御部74は、一連の処理を終了する(END)。一方、貯湯タンク21に必要湯量が確保されていない場合(S411:No)、制御部74の処理はステップS412に進む。例えば、当日の天気予報で晴れと予想されていたにも関わらず、実際には曇りや雨であった場合、太陽光発電の時々刻々の発電電力が比較的小さくなることがある。
【0081】
ステップS412において制御部74は、系統電力による沸き上げ運転を行う。すなわち、制御部74は、系統電力を用いた沸き上げ運転によって不足分の高温水を生成する。ステップS412の処理を行った後、制御部74は、一連の処理を終了する(END)。
【0082】
また、図15AのステップS402において、太陽光発電による沸き上げが天気連動として設定されていない場合(S402:No)、制御部74の処理はステップS413に進む。つまり、太陽光発電による沸き上げが手動設定(図13の符号K16)である場合、制御部74の処理はステップS413に進む。
【0083】
ステップS413において制御部74は、手動設定に基づく沸き上げ運転を実行する。すなわち、制御部74は、天気予報での当日の天気に関わらず、携帯端末3の操作で設定された時間帯に太陽光発電による沸き上げ運転を行う。例えば、太陽光発電を利用した日中の沸き上げ運転の時間帯が10時~14時に設定されていた場合(図16A参照)、制御部74は、天気予報の内容に関わらず、10時~14時の時間帯で沸き上げ運転を行う。これによって、沸き上げ運転に関するユーザの希望を適切に反映させることができる。なお、手動設定に比べると、前記した天気連動の方が、晴れの時間帯に太陽光発電での沸き上げ運転が行われる可能性が高いため、電力料金を削減しやすいという利点がある。
【0084】
このように、参考形態では、太陽光発電の発電電力を用いて、制御部74が給湯機W1の沸き上げ運転を日中に行うようにしている。そして、太陽光発電による沸き上げ運転を行う時間帯が、ユーザの携帯端末3(又は給湯機W1のリモコンR)で設定された場合、前記した時間帯の少なくとも一部で、制御部74が太陽光発電による沸き上げ運転を行うようにしている。
【0085】
<効果>
参考形態によれば、太陽光発電を利用した昼間の沸き上げ運転を行う際、天気連動の場合でも、また、手動設定の場合でも、いずれにおいてもユーザが携帯端末3の操作で沸き上げ運転の時間帯を設定できる。したがって、ユーザにとっての設定の自由度を高めることができる。また、例えば、自宅から離れた場所でも携帯端末3の操作で昼間の沸き上げ運転の設定変更等を行うこともできるため、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
【0086】
また、日中の沸き上げ運転において「天気連動」が選択されている場合(図15AのS402:Yes)、制御部74は、ユーザが設定した時間帯の許容範囲内で、天気予報が晴れの時間帯に太陽光発電を利用した沸き上げ運転を行う(図15BのS408:Yes、S409)。これによって、太陽光発電を利用した沸き上げ運転で高温水を生成できるため、給湯機W1の運転に要する電力料金を削減できる。
【0087】
≪変形例≫
以上、本開示に係る給湯システム100,100Aについて各実施形態で説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第1実施形態では、ユーザの外出中、所定の基準位置(ユーザの自宅)から携帯端末3までの距離が第1所定値以下になった場合、制御部74が、携帯端末3に湯はり運転の開始の事前通知を行う(図9のS206a)ことについて説明したが、これに限らない。すなわち、ユーザが帰宅するまでの予測時間が所定値以下になった場合、制御部74が、携帯端末3に湯はり運転の事前通知を行うようにしてもよい。
【0088】
また、参考形態では、ユーザによる携帯端末3の操作で、太陽光発電による沸き上げ運転を行う時間帯が設定される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、太陽光発電による沸き上げ運転を行う時間帯が、給湯機W1のリモコンR(図2参照)で設定された場合、前記した時間帯の少なくとも一部で、制御部74が太陽光発電による沸き上げ運転を行うようにしてもよい。具体的には、太陽光発電による沸き上げ運転を行う時間帯の許容範囲が、給湯機W1のリモコンR(図2参照)で設定されるようにしてもよい。また、天気予報での当日の天気に関わらず、給湯機W1のリモコンR(図2参照)の操作で設定された時間帯に、制御部74が太陽光発電による沸き上げ運転を行うようにしてもよい。
【0089】
また、第1実施形態と参考形態とを組み合わせて、次のような処理が行われるようにしてもよい。すなわち、所定の基準位置からユーザの携帯端末3までの距離が第1所定値以下になった場合、給湯機W1の制御部74が携帯端末3に対して湯はり運転の通知を行い(第1実施形態)、さらに、ユーザが設定した時間帯の少なくとも一部で太陽光発電による日中の沸き上げ運転を行うようにしてもよい(参考形態)。
【0090】
また、各実施形態では、1台の携帯端末3(図1参照)に一つの給湯機W1(図1参照)が対応付けられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、1台の携帯端末3に複数台の給湯機W1が対応付けられるようにしてもよい。
また、各実施形態では、給湯機W1が図2の構成を備える場合について説明したが、他の種類の給湯機にも各実施形態を適用可能である。
【0091】
また、各実施形態で説明した給湯制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムは、通信回線を介して提供することもできるし、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0092】
また、実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0093】
1 通信ユニット
2 ルータ
3 携帯端末
4 サーバ
5 太陽光発電パネル
6 パワーコンディショナ
71 記憶部
72 通信部
73 操作部
74 制御部
100,100A 給湯システム
R リモコン
R1 風呂リモコン(リモコン)
R2 台所リモコン(リモコン)
U1 ヒートポンプユニット
U2 貯湯タンクユニット
W1 給湯機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B