(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】癌治療のためのバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
A61K 31/497 20060101AFI20240620BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240620BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALI20240620BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20240620BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240620BHJP
【FI】
A61K31/497
A61P35/02
C12Q1/6827 Z
C12Q1/6841 Z
C12Q1/6869 Z
(21)【出願番号】P 2021507694
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019046124
(87)【国際公開番号】W WO2020036852
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/100206
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/115826
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518258685
【氏名又は名称】ベイジン パーカンズ オンコロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リー, シャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, イヨウ
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-104703(JP,A)
【文献】Asahi Maki et. al.,Journal of Medical Oncology and Therapeutics,2016年,Vol.1, No.2,pp 62-71,DOI:10.35841/medical-oncology.1.2.62-71
【文献】Yvonne Voges et. al.,Cell Death & Disease,2016年,Vol. 7, No.10,e2410,DOI 10.1038/cddis.2016.257
【文献】Branka Radic-Sarikas et. al.,Scientific reports,2017年,Vol. 7, No. 1,3091,DOI 10.1038/s41598-017-03129-6
【文献】Xiao Jiao Cheng et. al.,Oncotarget,2016年,Vol. 7, No. 6,pp 7096-7109,DOI 10.18632/oncotarget.6898
【文献】Takei Hidehiro et. al.,JOURNAL OF NEUROSURGERY-PEDIATRICS,2009年,Vol. 3, No.1,pp 61-65,DOI 10.3171/2008.10.PEDS08105
【文献】Ohshima Keiichi et. al.,Scientific Reports,2017年,Vol.7,e641,DOI 10.1038/s41598-017-00219-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療を必要としているヒト対象においてそれを行うための方法において使用するための、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド
]を含む組成物であって、前記癌がリンパ腫であり、前記方法は、
(a)前記対象からの癌組織の試料中の、MYCC遺伝子染色体位置部位を決定することと、
(b)前記癌組織内のMYCC遺伝子染色体位置部位がMYCC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座している場合、前記組成物を、前記対象に投与することと、を含み、それによって、リンパ腫の治療を必要としている前記対象においてそれを行う、組成物。
【請求項2】
in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、または比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)によって、前記癌組織内のMYCC遺伝子染色体位置部位を決定することを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記方法が、データベースから前記MYCC遺伝子染色体位置部位を得ること、または対照からの非癌組織から前記MYCC遺伝子染色体位置部位参照を決定することを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記癌組織の試料が、前記対象から得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記癌組織の試料が、前記対象から得られた外科的試料、生検試料、胸水試料、または腹水試料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記癌組織が血液試料である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記癌が、バーキットリンパ腫である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月13日に出願されたPCT/CN2018/100206、および2018年11月16日に出願されたPCT/CN2018/115826に対する優先権を主張するものであり、それらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、癌治療におけるYM155モノブロミドなどのサバイビン阻害剤の治療有効性を予測するためのバイオマーカーとしてのMYC遺伝子の使用、ならびに癌の診断および治療を必要としている対象においてそれを行うための関連キット、組成物、および方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
YM155モノブロミドは、サバイビンの下方制御を誘導し、強力な抗腫瘍活性を示す小分子サバイビン阻害剤である(例えば、Minematsu et al.,Drug Metabolism and Disposition,37:619-628,2008を参照)。YM-155は、前立腺癌、膵臓癌、および肺癌を含む様々なインビボ癌モデルにおいて抗腫瘍効果を発揮する(例えば、Nakahara et al.,Cancer Research 67:8014-8021,2007、およびNa et al.,PLoS One 7(6),2012を参照)。
しかしながら、当該技術分野では、YM155モノブロミドの抗癌治療有効性をより良好に予測し、それによって、この化学療法および他の療法を用いた治療から最も利益を得るであろう患者を特定する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Minematsu et al.,Drug Metabolism and Disposition,37:619-628,2008
【文献】Nakahara et al.,Cancer Research 67:8014-8021,2007
【文献】Na et al.,PLoS One 7(6),2012
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、癌の治療を必要としている対象においてそれを行うための方法を含み、
(a)対象からの癌組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を決定することと、
(b)癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して増加している場合、または癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座している場合、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体を、対象に投与することと、を含み、それによって、癌の治療を必要としている対象においてそれを行う。
【0006】
いくつかの実施形態は、癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して実質的に増加していない場合、または癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座していない場合、YM155モノブロミドを除外する(またはそれ以外の)化学療法剤を対象に投与することを含む。
【0007】
また、癌対象における、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体に対する治療応答を予測するための方法も含まれ、
(a)対象からの癌組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を決定することと、
(b)(i)癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して増加している場合、もしくは癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座している場合、対象をYM155モノブロミド療法に対して応答性であると特徴付けること、または
(ii)癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して実質的に増加していない場合、もしくは癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座していない場合、対象をYM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けることと、を含み、それによって、癌対象におけるYM155モノブロミドに対する治療応答を予測する。
【0008】
いくつかの実施形態は、対照がYM155モノブロミド療法に対して応答性であると特徴付けられる場合、対象にYM155モノブロミドを投与することを含む。いくつかの実施形態は、対象がYM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる場合、YM155モノブロミドを除外する化学療法剤を対象に投与することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、癌組織内のMYC遺伝子コピー数は、MYC遺伝子コピー数参照と比較して約または少なくとも約1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍増加している。
【0010】
いくつかの実施形態は、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、またはマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)によって、癌組織内のMYC遺伝子コピー数を決定することを含む。いくつか実施形態は、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、または比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)によって、癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位を決定することを含む。いくつか実施形態は、データベースからMYC遺伝子コピー数参照を得ること、または任意にaCGH、SNPアレイ、CNV配列、もしくはMLPAによって、対照からの非癌組織からMYC遺伝子コピー数参照を決定することを含む。いくつか実施形態は、データベースからMYC遺伝子染色体位置部位を得ること、または任意にISH、FISH、NGS、もしくはCGHによって、対照からの非癌組織からMYC遺伝子染色体位置部位参照を決定することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態は、対象から癌組織の試料を得ることを含む。ある特定の実施形態では、癌組織の試料は、対象から得られた外科的試料、生検試料、胸水試料、または腹水試料であり、任意に肺、血液、乳房、消化管(胃、結腸、直腸)、卵巣、膵臓、肝臓、膀胱、子宮頸部、神経、子宮、唾液腺、腎臓、前立腺、甲状腺、または筋肉の組織のうちの1つ以上から選択される。
【0012】
ある特定の実施形態では、対象はヒト対象である。
【0013】
ある特定の実施形態では、癌は、癌腫、横紋筋肉腫、例えば、胞巣状横紋筋肉腫(骨、腱、軟骨、筋肉、脂肪(fat)、線維、血管、脂肪(adipose)、および/または結合組織に由来する肉腫を含む)などの肉腫、神経芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含む)、腺扁平上皮癌、癌肉腫、混合性中胚葉腫瘍、奇形癌、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腺癌、および肺扁平上皮癌を含む)、乳癌(転移性乳癌を含む)、消化器癌、胃癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌(例えば、ウィルム腫瘍)、前立腺癌、甲状腺癌、ならびに頭頸部癌のうちの1つ以上から選択される。
【0014】
ある特定の実施形態では、MYC遺伝子は、MYCCおよびMYCNから選択される。特定の実施形態では、MYC遺伝子はMYCCであり、癌は肺癌および血液癌、任意に白血病およびリンパ腫から選択される。特定の実施形態では、MYC遺伝子はMYCNであり、癌は神経芽腫、小細胞肺癌、前立腺癌、胞巣状横紋筋肉腫、髄芽腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、および乳癌から選択される。
【0015】
また、癌対象における、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体の療法に対する治療応答を決定するための診断キットの使用も含まれ、癌組織および非癌組織を含む対象からの組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、MYC遺伝子コピー数を測定するための手段は、ヒトMYC遺伝子上で、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、およびマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、MYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段は、ヒトMYC遺伝子上で、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、および比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む。いくつかの実施形態は、データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子コピー数参照値を含む。いくつかの実施形態は、データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子染色体位置部位参照を含む。
【0018】
また、患者ケアキットも含まれ、
(a)癌組織および非癌組織を含む対象からの組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段と、
(b)YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体と、を含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、MYC遺伝子コピー数を測定するための手段は、ヒトMYC遺伝子上で、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、およびマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む。ある特定の実施形態では、MYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段は、ヒトMYC遺伝子上で、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、および比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む。
【0020】
いくつかの実施形態は、データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子コピー数参照値を含む。いくつかの実施形態は、データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子染色体位置部位参照を含む。
【0021】
いくつかの使用またはキットにおいて、癌は、癌腫、横紋筋肉腫、例えば、胞巣状横紋筋肉腫(骨、腱、軟骨、筋肉、脂肪(fat)、線維、血管、脂肪(adipose)、および/または結合組織に由来する肉腫を含む)などの肉腫、神経芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含む)、腺扁平上皮癌、癌肉腫、混合性中胚葉腫瘍、奇形癌、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腺癌、および肺扁平上皮癌を含む)、乳癌(転移性乳癌を含む)、消化器癌、胃癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌(例えば、ウィルム腫瘍)、前立腺癌、甲状腺癌、ならびに頭頸部癌のうちの1つ以上から選択される。
【0022】
いくつかの使用またはキットにおいて、MYC遺伝子は、MYCCおよびMYCNから選択される。特定の例では、MYC遺伝子はMYCCであり、癌は肺癌および血液癌、任意に白血病およびリンパ腫から選択される。特定の例では、MYC遺伝子はMYCNであり、癌は神経芽腫、小細胞肺癌、前立腺癌、胞巣状横紋筋肉腫、髄芽腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、および乳癌から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】YM155モノブロミド(CAS 781661-94-7)の化学構造を示す。
【
図2】YM155が、ヒト肺癌細胞株の細胞増殖を阻害することを示す。NCI-H1975、HCC827、NCI-H226、およびHCC4006細胞を96ウェルプレート中で培養し、指示された用量(nM)のYM155で処理した。細胞増殖をEdU増殖アッセイによって検出した。提示されたデータは、平均±SEMである。
【
図3】YM155が、ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株の細胞増殖を阻害することを示す。U937およびHL-60細胞を96ウェルプレート中で培養し、指示された用量(nM)のYM155で処理した。細胞増殖をXTT細胞生存率アッセイによって検出した。提示されたデータは、平均±SEMである。
【
図4】YM155が、U937およびRAMOS細胞株の細胞増殖を阻害することを示す。U937およびRAMOS細胞を96ウェルプレート中で培養し、指示された用量(nM)のYM155で処理した。細胞増殖をXTT細胞生存率アッセイによって検出した。提示されたデータは、平均±SEMである。
【
図5】ヒトMYC遺伝子のゲノム情報を提供する(http://uswest.ensembl.org/Homo_sapiens/Location/View?db=core;g=ENSG00000136997;r=8:127735434-127742951)を参照)。
【
図6】ヒトMYC遺伝子のゲノム情報を提供する(http://uswest.ensembl.org/Homo_sapiens/Location/View?db=core;g=ENSG00000136997;r=8:127735434-127742951)を参照)。
【
図7】YM155が、ヒト神経芽腫細胞株、特にN-MYCのコピー数の増加によって特徴付けられる細胞株の細胞増殖を阻害することを示す(表E3も参照)。細胞増殖をEdUアッセイによって検出した。提示されたデータは、平均±SDである。
【
図8】24.3位の染色体2の短い(p)アーム上のMYCN遺伝子の位置を示す。
【
図9】マウスのHCC827異種移植片におけるYM155の抗腫瘍効果を示す。
図9Aは、腫瘍成長曲線を示し、
図9Bは、腫瘍体積の平均±SD(n=5)としてのデータを示す。**ビヒクル群と比較してp<0.01。
【
図10】マウスのHCC4006異種移植片におけるYM155の抗腫瘍効果を示す。
図10Aは、腫瘍成長曲線を示し、
図10Bは、腫瘍体積の平均±SD(n=8)としてのデータを示す。
【
図11】マウスのRAMOS異種移植片におけるYM155の抗腫瘍効果を示す。
図11Aは、腫瘍成長曲線を示し、
図11Bは、腫瘍体積の平均±SD(n=3)としてのデータを示す。**ビヒクル群と比較してp<0.01。
【
図12】マウスのU937異種移植片におけるYM155の抗腫瘍効果を示す。
図12Aは、腫瘍成長曲線を示し、
図12Bは、腫瘍体積の平均±SD(n=3)としてのデータを示す。
【
図13】マウスのIMR-32異種移植片におけるYM155の抗腫瘍効果を示す。
図13Aは、腫瘍成長曲線を示し、
図13Bは、腫瘍体積の平均±SD(n=3)としてのデータを示す。
【
図14】マウスのSH-SY5Y異種移植片におけるYM155の抗腫瘍効果を示す。
図14Aは、腫瘍成長曲線を示し、
図14Bは、腫瘍体積の平均±SDとしてのデータを示す(ビヒクルではn=2、YM155処置ではn=3)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態は、ヒト悪性腫瘍におけるMYC遺伝子の増幅および/または転座が、YM155モノブロミドなどのサバイビン阻害剤の抗癌有効性の増加と関連しており、したがって、それらの薬剤および他の薬剤による癌治療を最適化するためのバイオマーカー(複数可)として使用され得るという驚くべき発見に関する。いずれかの理論によっても束縛されることを望まないが、MYC増幅またはMYC転座癌細胞におけるMYC癌遺伝子の発現は、そのアポトーシス促進性シグナル伝達が、カスパーゼを阻害し、細胞死を遮断するアポトーシス阻害剤(IAP)タンパク質ファミリーのメンバーであるサバイビンによって負に制御されることを除いて、他の点ではアポトーシス促進性であると考えられる。したがって、YM155モノブロミドなどのサバイビン阻害剤を使用して、MYC増幅および/または転座の文脈でサバイビンのアポトーシス阻害活性を遮断し、MYCのアポトーシス促進性シグナル伝達に有利に働いて癌細胞死を増加させ、それによってこの文脈で最適な治療有効性を提供することができると期待される。
【0025】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法、材料、組成物、試薬、細胞が本開示の主題の実施または試験に使用され得るが、好ましい方法および材料が記載される。本明細書に引用される特許および特許出願を含むがこれらに限定されない全ての刊行物および参考文献は、各個々の刊行物または参考文献が完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に指示されているかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本出願が優先権を主張する任意の特許出願は、刊行物および参考文献について上述した方法で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
本開示の目的のために、以下の用語が以下に定義される。
【0027】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法的対象物の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。一例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0028】
「アンタゴニスト」または「阻害剤」は、タンパク質(例えば、サバイビン)などの別の分子の生理学的作用を妨げるかまたは別様に低減する、生物学的構造または化学薬剤を指す。場合によっては、アンタゴニストまたは阻害剤は、他の分子および/または他の分子の機能的リガンドに特異的に結合する。場合によっては、アンタゴニストまたは阻害剤は、他の分子(例えば、サバイビン)の発現を下方制御する。完全アンタゴニストおよび部分的アンタゴニストが含まれる。
【0029】
「アゴニスト」または「アクチベーター」は、別の薬剤または分子の生理学的作用を増加させるかまたは強化する、生物学的構造または化学薬剤を指す。場合によっては、アゴニストは、他の薬剤または分子に特異的に結合する。完全アゴニストおよび部分的アゴニストが含まれる。
【0030】
「約」とは、参照数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%ほど異なる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
【0031】
本開示全体を通して、文脈上別段の解釈が要求されない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含むこと(comprising)」という用語は、記載されたステップもしくは要素またはステップもしくは要素のグループを含むが、任意の他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素のグループを除外しないことを暗示すると理解される。
【0032】
「からなる」とは、「からなる」という語句の後に続くものを何でも含み、かつそれらに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であり、他の要素が存在してはならないことを示す。「から本質的になる」とは、その語句の後に列挙された任意の要素を含み、列挙された要素について本開示に明記された活性または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素が任意であり、列挙された要素の活性または作用に実質的に影響を与えるかどうかに応じて、存在してもしなくてもよいことを示す。
【0033】
「50%阻害濃度」(または「IC50」)は、特定の生物学的または生化学的機能を阻害する薬剤の効力の尺度である。この定量的尺度は、所与の生物学的プロセス(またはプロセスの構成要素、すなわち、酵素、細胞、細胞受容体、または微生物)を半分阻害するために、特定の薬剤(阻害剤)がどの程度必要とされるかを示す。値は典型的には、モル濃度として表される。濃度は、薬理学的研究におけるアンタゴニスト薬剤効力の尺度として一般的に使用される。場合によっては、IC50は、インビトロで50%阻害に必要とされる薬剤の濃度を表す。薬剤のIC50は、用量反応曲線を構築し、所望の活性、例えば、腫瘍細胞増殖の阻害、腫瘍細胞死滅に対する異なる濃度の薬剤の効果を検査することによって決定され得る。
【0034】
「増加した」または「増大した」量は典型的には、「統計的に有意な」量であり、参照または対照と比較して、約もしくは少なくとも約1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくは1000倍、または約もしくは少なくとも約5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%である増加を含み得る(その間の全ての整数および範囲を含む)。「減少した」または「低減された」量は典型的には、「統計的に有意な」量であり、参照または対照と比較して、約もしくは少なくとも約1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000倍、または約もしくは少なくとも約5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%である減少を含み得る(その間の全ての整数および範囲を含む)。
【0035】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、mRNA、RNA、cRNA、cDNA、およびゲノムDNAを含むDNAを含む。この用語は典型的には、少なくとも10塩基長のヌクレオチドのポリマー形態(リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれか、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態)を指す。この用語は、一本鎖および二本鎖形態のDNAを含む。
【0036】
「遺伝子」は、染色体上の特定の位置を占め、機能分子またはタンパク質をコードする、DNAの配列からなる遺伝単位を指す。遺伝子の構造は、実際のタンパク質コード配列がしばしば小さい部分でしかない多数の要素からなる。これらの要素には、転写されていないDNA領域、ならびにRNAの非翻訳領域が含まれる。さらに、遺伝子は、コード配列の上流または下流に何キロベースにも広がる発現改変制御領域を有することができる。遺伝子内の情報はまた、RNAまたはコードされたタンパク質の配列によって表され得る(またはその中に見られる)。
【0037】
「対象」または「それを必要としている対象」は、ヒト対象などの哺乳動物対象を含む。
【0038】
「統計的に有意」とは、結果が偶然に生じた可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当該技術分野において既知の任意の方法によって決定され得る。一般的に使用される有意性の尺度には、帰無仮説が真である場合に観察された事象が生じる頻度または確率であるp値が含まれる。得られたp値が有意性レベルよりも小さい場合、帰無仮説は棄却される。単純な場合では、有意性レベルは、0.05以下のp値で定義される。
【0039】
「実質的に」または「本質的に」とは、ほぼ全体的にまたは完全に、例えば、ある所与の数量のうちの95%以上を意味する。
【0040】
「治療応答」とは、治療応答の投与に基づく症状(持続しているかどうかにかかわらず)の改善を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」、「治療用量」、「予防有効量」、または「診断有効量」という用語は、投与後に所望の生物学的応答を引き出すために必要とされる薬剤の量である。
【0042】
本明細書で使用される場合、対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)または細胞の「治療」は、対象または細胞の自然経過を変えるために使用される任意のタイプの介入である。治療は、医薬組成物の投与を含むがこれに限定されず、予防的に、または病理学的事象の開始もしくは病原体との接触の後のいずれかで行われ得る。また、治療されている疾患もしくは状態の進行速度の低減、その疾患もしくは状態の発症の遅延、またはその発症の重症度の低減に向けられ得る「予防的」治療も含まれる。「治療」または「予防」は、疾患もしくは状態またはその関連症状の完全な根絶、治癒、または予防を必ずしも示すものではない。
【0043】
「野生型」という用語は、集団において最も頻繁に観察され、したがって、任意に設計された「正常」型または「野生」型の遺伝子である、遺伝子または遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)を指す。
【0044】
本明細書の各実施形態は、明示的に別段の記載がない限り、他の全ての実施形態に適用されるものとする。
【0045】
本開示は部分的に、ヒト悪性腫瘍におけるMYC遺伝子の増幅および/または転座が、化学療法剤YM155モノブロミドの抗癌有効性の増加と関連しており、したがって、その薬剤および他の薬剤による癌治療を最適化するためのバイオマーカーとして使用され得るという驚くべき発見に関する。
【0046】
したがって、本開示の実施形態は、癌の治療を必要としている対象においてそれを行うための方法を含み、(a)対象からの癌組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を決定することと、(b)癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して増加している場合、または癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座している場合、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]を対象に投与することと、を含み、それによって、癌の治療を必要としてる対象においてそれを行う。ある特定の実施形態は、癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して実質的に増加していない場合(例えば、同じであるか、または約1.1倍未満の増加)、または癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座していない場合、YM155モノブロミドを除外する(またはそれ以外の)化学療法剤を対象に投与することを含む。
【0047】
また、癌対象における、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]に対する治療応答を予測するための方法も含まれ、(a)対象からの癌組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を決定することと、(b)(i)癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して増加している場合、もしくは癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座している場合、対象をYM155モノブロミド療法に対して応答性であると特徴付けること、または(ii)癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して実質的に増加していない場合(例えば、同じであるか、もしくは約1.1倍未満の増加)、もしくは癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座していない場合、対象をYM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けることと、を含み、それによって、癌対象におけるYM155モノブロミドに対する治療応答を予測する。ある特定の実施形態は、対照がYM155モノブロミド療法に対して応答性であると特徴付けられる場合、対象にYM155モノブロミドを投与することを含む。いくつかの実施形態は、対象がYM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる場合、YM155モノブロミドを除外する(またはそれ以外の)化学療法剤を対象に投与することを含む。
【0048】
「MYC遺伝子」または「MYC癌遺伝子」は、転写因子をコードするプ癌原遺伝子ファミリーを指し、その例としてはc-Myc(MYCCも)およびN-myc(MYCNも)が挙げられる。
【0049】
MYCC遺伝子は、細胞サイクルの進行、アポトーシス、および細胞形質転換に関与する核リンタンパク質をコードする。コードされたタンパク質は、関連する転写因子MAXと共にヘテロ二量体を形成する。この複合体は、EボックスDNAコンセンサス配列に結合し、特定の標的遺伝子の転写を制御する。上流のインフレーム非AUG(CUG)および下流のAUG開始部位の両方から翻訳が開始し、結果として別個のN末端を有する2つのアイソフォームが産生されることを示す証拠がある。ヒトゲノムでは、MYCC遺伝子は、染色体8:127、735、434-127、741、434、順鎖上に位置する(例えば、
図5および
図6、ならびにGene:MYC ENSG00000136997を参照)。
【0050】
MYCN遺伝子は、塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)ドメインを有するタンパク質をコードする。これは細胞核内に位置し、別のbHLHタンパク質と二量体化してDNAに結合する。MYCNは、例えば、神経芽腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、星状細胞腫、膠芽腫、網膜芽細胞腫、前立腺癌、乳癌、ウィルム腫瘍、および小細胞肺癌を含む、多数の異なるタイプの癌で過剰発現される(例えば、Beltran,Mol Cancer Res.12:815-822,2014を参照)。実際に、MYCN増幅は、神経芽腫における有害な予後因子である。アンプリコン(MYCNと共増幅された材料)は、対象間で異なり、ある特定の例では、例えば、DDX1遺伝子を含む。場合によっては、MYCN増幅は、1p36欠失および17q染色体の増加と相関する。ヒトゲノムでは、MYCN遺伝子は、24.3位の染色体2の短い(p)アーム上に位置する(2p24.3の細胞遺伝学的位置、染色体2上の塩基対15,940,438~15,947,007の分子位置、
図8も参照)。
【0051】
したがって、ある特定の実施形態では、MYC遺伝子は、MYCCおよびMYCNから選択される。
【0052】
「YM155モノブロミド」は、分子式C20H19N4O3・BrおよびCAS番号781661-94-7を有する、小分子[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]を指し、その薬学的に許容される塩および酸を含む。また、YM155モノブロミドの生物活性または等価の類似体および/または誘導体も含まれる。
【0053】
上述のように、場合によっては、癌組織内のMYC遺伝子コピー数は、MYC遺伝子コピー数参照と比較して増加している。特定の実施形態では、癌組織内のMYC遺伝子コピー数は、MYC遺伝子コピー数参照と比較して統計的に有意な量増加している。いくつかの実施形態では、癌組織内のMYC遺伝子コピー数は、MYC遺伝子コピー数参照と比較して約または少なくとも約1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、または10倍(またはそれ以上)増加している。
【0054】
癌組織内のMYC遺伝子コピー数は、任意の様々な方法によって決定され得る。例えば、いくつかの実施形態は、MYC遺伝子コピー数は、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、またはマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)によって決定される。したがって、ある特定の実施形態は、癌組織の試料中のMYC遺伝子のコピー数を決定または検出するステップを、それを必要としている対象から行うことを含む。また、癌組織の試料中のMYC遺伝子のコピー数をMYC遺伝子コピー数参照と比較するステップも含まれる。
【0055】
癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位は、任意の様々な方法によって決定され得る。例えば、いくつか実施形態は、癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位は、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、または比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)によって決定される。したがって、ある特定の実施形態は、癌組織の試料中のMYC遺伝子染色体位置部位を決定または検出するステップを、それを必要としている対象から行うことを含む。また、癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位をMYC遺伝子染色体部位参照と比較するステップも含まれる。
【0056】
CGHは、細胞を培養する必要なく、参照試料と比較した試験試料のDNA中の倍数性レベルに対するコピー数変化(CNV)を分析するための分子細胞遺伝学的方法を指す。この技法は、染色体全体またはサブ染色体領域(染色体全体の一部分)のいずれかの増加または減少のいずれかの観点における差を含むことが疑われるため、最も密接に関連していることが多い2つの源から発生する2つのゲノムDNA試料間の迅速かつ効率的な比較を可能にする。この技法は、元々、固形腫瘍と正常組織の染色体相補体の間の差を評価するために開発された(例えば、Kallioniemi et al.,Science.258(5083):818-821,1992を参照)。CGH技法と併せてDNAマイクロアレイを使用することは、より特異的な形態のアレイCGH(aCGH)の開発につながり、100キロベースほどの低い分解能での遺伝子座毎のCNV測定を可能にした(例えば、Pinkel,Annu Rev Genom Hum Genet.6:331-354,2005を参照)。CNVは、細胞内の大きいゲノム領域の異常なコピー数につながる重要な遺伝的変異のよく見られる形態であり、高分解能配列データは、次世代シーケンシング(NGS)によって分析されて、その遺伝子を特定することができる(例えば、Zhao et al.,BMC Bioinformatics.14 Suppl 11:S1,2013を参照)。MLPAは、単一のプライマー対のみでの複数の標的の増幅を可能にするマルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応の変動を指す(例えば、Schouten et al.,Nucleic Acids Res.30(12):e57,2002を参照)。in situハイブリダイゼーション(ISH)および蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、標識された相補的DNA、RNA、または修飾核酸鎖(すなわち、プローブ)を使用して、組織の一部分または切片(in situ)に特定のDNAまたはRNA配列を局在化させるハイブリダイゼーションのタイプを指す(例えば、Parra&Windle,Nature Genetics.5:17-21,1993、およびGall&Pardue,PNAS USA.63:378-383,1969を参照)。したがって、場合によっては、本明細書に記載される方法およびキットは、前述の技法のうちの任意の1つ以上を用い、かつ/またはそれらを実施するための試薬を含む。
【0057】
「参照」の例(例えば、MYC遺伝子コピー数「参照」、MYC遺伝子染色体部位「参照」)は、データベースから得られた値もしくは量または位置、例えば、「野生型」MYC遺伝子コピー数の値もしくは量、または「野生型」MYC遺伝子染色体位置部位を含む(例えば、ヒトMYCC遺伝子染色体部位参照については
図5および
図6、ならびにヒトMYCN遺伝子染色体部位参照については
図8を参照)。「参照」はまた、1つ以上の対照、例えば、1つ以上の健康もしくは非癌対照対象(例えば、健康もしくは非癌対照対象集団)からの非癌組織、または試験されている対象からの1つ以上の対応する非癌対照組織から得られた値もしくは量または位置も含む。典型的には、「対応する」非癌対照組織は、試験されている癌組織と同じタイプの組織から得られる。癌組織と同様に、非癌対照からのMYC遺伝子コピー数参照は、例えば、aCGH、SNPアレイ、CNV配列、および/またはMLPA(上記参照)を含む、任意の様々な方法によって決定され得る。同様に、非癌対照からのMYC遺伝子染色体位置部位参照は、例えば、ISH、FISH、NGS、および/またはCGH(上記参照)を含む、任意の様々な方法によって決定され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、癌組織(または非癌対照組織)の試料は、対象からの外科的試料、生検試料、胸水試料、または腹水試料である。癌組織(または非癌対照組織)の試料の特定の例としては、肺、血液、乳房、消化管(胃、結腸、直腸)、卵巣、膵臓、肝臓、膀胱、子宮頸部、神経、子宮、唾液腺、腎臓、前立腺、甲状腺、または筋肉の組織が挙げられる。ある特定の実施形態は、例えば、MYC遺伝子コピーレベルまたはMYC遺伝子染色体位置部位を決定する前に、対象から癌組織(または非癌対照組織)の試料を得るステップを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、対象はヒト対象である。
【0060】
上述のように、ある特定の実施形態は、対象がYM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる場合、例えば、癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して実質的に増加していない場合、または癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座していない場合、YM155モノブロミドを除外する(またはそれ以外の)抗癌剤を対象に投与することを含む。YM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる対象に投与するための例示的な抗癌剤(YM155モノブロミド以外)としては、例えば、様々な癌の治療に有用であるとみなされている細胞毒性薬、化学療法剤、および抗血管新生剤などの小分子が挙げられる。抗癌剤の一般的なクラスには、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝抵抗物質、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質、白金、I型トポイソメラーゼ阻害剤、II型トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド、およびタキサンが含まれる。
【0061】
YM155モノ臭化物療法に非応答と特徴付けられる対象に投与するための抗癌剤の具体的な例には、クロラムブシル、シクロホスファミド、シレンギチド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、チオテパ、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブ イダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、およびパクリタキセル、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。抗癌剤のさらなる例としては、イマチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニチニブ、バタラニブ、ゲフチニブ、エルロチニブ、AEE-788、ジクロロアセテート、タモキシフェン、ファスジル、SB-681323、およびセマキサニブ(SU5416)が挙げられる(Chico et al.,Nat Rev Drug Discov.8:829-909,2009を参照)。
【0062】
YM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる対象に投与するための抗癌剤のさらなる例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ、シクロホスファミド(CYTOXAN(商標);スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチラメラミン(methylamelamine);窒素マスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア(nitrosurea)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝抵抗物質、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナル、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラストン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhne-Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオミチン(difluoromethylomithine)(DMFO);レチノイン酸誘導体、例えば、Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン);ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス);エスペラマイシン;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0063】
YM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる対象に投与するための抗癌剤のさらなる例には、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston)などを含む抗エストロゲン;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体などの、腫瘍に対するホルモン作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤が含まれる。
【0064】
YM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる対象に投与するための抗癌剤のさらなる例としては、3F8、8H9、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アラシズマブ(ペゴル)、アマツキシマブ、アポリズマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ(メルタンシン)、ブレンツキシマブベドチン、カンツズマブ(メルタンシン)、カンツズマブ(ラブタンシン)、カプロマブ(ペンデチド)、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(ボガトクス)、シクスツムマブ、クリバツズマブ(テトラキセタン)、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、デツモマブ、ドロジツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エロツズマブ、エナバツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、FBTA05、フィギツムマブ、フランボツマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ(オゾガマイシン)、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ(ベドチン)、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、インダツキシマブラブタンシン、インテツムマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イプリムマブ(MDX-101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(メルタンシン)、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ(パスドトクス)、ナコロマブ(タフェナトクス)、ナプツモマブ(エスタフェナトクス)、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、Neuradiab(登録商標)(放射性ヨードを含むまたは含まない)、NR-LU-10、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ(モナトクス)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サマリズマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、タバルマブ、タプリツモマブ(パプトクス)、テナツモマブ、テプロツムマブ、TGN1412、チシリムマブ、トレメリムマブ、チガツズマブ、TNX-650、トシツモマブ、TRBS07、トラスツズマブ、ツコツズマブ(セルモロイキン)、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ベルツズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、およびザルツムマブなどの抗癌抗体が含まれる。また、これらの抗体の断片、バリアント、および誘導体も含まれる。
【0065】
本明細書に記載される方法は、任意の様々な癌または腫瘍の治療および/または診断に使用され得る。いくつかの実施形態では、癌は、原発癌、すなわち、腫瘍進行が開始し癌塊を生じた解剖学的部位で増殖する癌である。一部の実施形態では、癌は、続発性または転移性癌、すなわち、原発部位または原発組織から1つ以上の異なる部位または組織に広がった癌である。場合によっては、癌は、癌腫、横紋筋肉腫、例えば、胞巣状横紋筋肉腫(骨、腱、軟骨、筋肉、脂肪(fat)、線維、血管、脂肪(adipose)、および/または結合組織に由来する肉腫を含む)などの肉腫、神経芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含む)、腺扁平上皮癌、癌肉腫、混合性中胚葉腫瘍、奇形癌、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腺癌、および肺扁平上皮癌を含む)、乳癌(転移性乳癌を含む)、消化器癌、胃癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌(例えば、ウィルム腫瘍)、前立腺癌、甲状腺癌、ならびに頭頸部癌のうちの1つ以上から選択される。
【0066】
特定の実施形態では、MYC遺伝子はMYCCであり、癌は肺癌および血液癌、任意に白血病およびリンパ腫から選択される。特定の実施形態では、MYC遺伝子はMYCNであり、癌は神経芽腫、小細胞肺癌、前立腺癌、胞巣状横紋筋肉腫、髄芽腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、および乳癌から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、上述のように、癌または腫瘍は、転移性癌である。上述の癌に加えて、例示的な転移性癌としては、限定されるものではないが、特に、骨、肝臓、および/または肺に転移した膀胱癌;骨、脳、肝臓、および/または肺に転移した乳癌;肝臓、肺、および/または腹膜に転移した結腸直腸癌;副腎、骨、脳、肝臓、および/または肺に転移した腎癌;副腎、骨、脳、肝臓、および/または他の肺部位に転移した肺癌;骨、脳、肝臓、肺、および/または皮膚/筋肉に転移した黒色腫;肝臓、肺、および/または腹膜に転移した卵巣癌;肝臓、肺、および/または腹膜に転移した膵臓癌;副腎、骨、肝臓、および/または肺に転移した前立腺癌;肝臓、肺、および/または腹膜に転移した胃癌;骨、肝臓、および/または肺に転移した甲状腺癌;ならびに骨、肝臓、肺、腹膜、および/または膣に転移した子宮癌が挙げられる。
【0068】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、生存腫瘍量の統計的に有意な減少、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上の腫瘍塊の減少、または変化した(例えば、統計的に有意に減少した)スキャン寸法によって示されるような腫瘍退縮をもたらすのに十分である。ある特定の実施形態では、記載される方法は、安定した疾患をもたらすのに十分である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、当業者に既知の特定の疾患兆候の症状の臨床的に意義のある低減をもたらすのに十分である。
【0069】
癌を治療するための方法は、他の治療モダリティと組み合わされ得る。例えば、本明細書に記載される併用療法は、症状ケア、放射線療法、外科手術、移植、ホルモン療法、光線力学的療法、抗生物質療法、またはそれらの任意の組み合わせを含む、他の治療的介入の前、最中、または後に対象に投与され得る。症状ケアには、脳浮腫、頭痛、認知機能障害、および嘔吐を低減するためのコルチコステロイドの投与、ならびに発作を低減するための抗痙攣薬の投与が含まれる。放射線療法には、全脳照射、分割放射線療法、および放射線手術、例えば、定位放射線手術が含まれ、これらは従来の手術とさらに組み合わされ得る。
【0070】
本明細書に記載される疾患または状態のうちの1つ以上を有する対象を特定するための方法は、当該技術分野において既知である。
【0071】
インビボでの使用のために、例えば、ヒトの疾患の治療または検査のために、本明細書に記載される薬剤は一般に、投与前に1つ以上の治療組成物または医薬組成物に組み込まれる。
【0072】
治療組成物または医薬組成物を調製するために、有効量または所望の量の1つ以上の薬剤が典型的には、特定の薬剤および/または投与方法に適していることが当業者に既知の任意の医薬担体(複数可)または賦形剤と混合される。医薬担体は、液体、半液体、または固体であってもよい。非経口、皮内、皮下、または局所適用に使用される溶液または懸濁液には、例えば、滅菌希釈剤(水など)、生理食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、PBS)、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗微生物剤(ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなど);抗酸化物質(アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなど)およびキレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);緩衝液(酢酸塩、クエン酸塩、およびリン酸塩)が含まれ得る。(例えば、静脈内注入によって)静脈内投与される場合、好適な担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が含まれる。
【0073】
本明細書に記載される薬剤の投与は、純粋な形態で、または適切な治療組成物もしくは医薬組成物中で、同様に役立つための薬剤の許容される投与方法のいずれかを介して行われる。治療組成物または医薬組成物は、薬剤含有組成物を、適切な生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせることによって調製され得、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐薬、注射液、吸入剤、ゲル、ミクロスフェア、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体、またはガス状の形態の調製物に製剤化され得る。加えて、他の薬学的に活性な成分(本明細書の他の箇所に記載されるような他の小分子を含む)、ならびに/または塩、緩衝液、および安定剤などの好適な賦形剤は、組成物内に存在し得るが、そうである必要はない。
【0074】
投与は、経口、非経口、経鼻、静脈内、皮内、筋肉内、皮下、または局所を含む様々な異なる経路によって達成され得る。好ましい投与方法は、治療または予防される状態の性質に依存する。特定の実施形態は、静脈内注入による投与を含む。
【0075】
担体には、例えば、用いられる投与量および濃度で曝露されている細胞または哺乳動物に対して非毒性である、薬学的または生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤が含まれ得る。多くの場合、生理学的に許容される担体は、水性pH緩衝溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化物質;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン;単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む);キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート20(TWEEN(登録商標))ポリエチレングリコール(PEG)、およびポロキサマー(PLURONICS(登録商標))などが挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態では、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)中で、例えば、コアセルベーション技法または界面重合(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)によって調製されたマイクロカプセルに、1つ以上の薬剤が封入され得る。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Oslo,A.,Ed.,(1980)に開示されている。粒子(複数可)またはリポソームは、他の治療剤または診断剤をさらに含んでもよい。
【0077】
正確な投与量および治療期間は、治療されている疾患の関数であり、既知の試験プロトコルを使用して経験的に、または当該技術分野において既知のモデルシステムにおいて組成物を試験し、それから外挿することによって決定され得る。対照臨床試験も実施され得る。投与量はまた、緩和される状態の重症度に応じて変化し得る。医薬組成物は一般に、望ましくない副作用を最小限に抑えながら、治療的に有用な効果を発揮するように製剤化および投与される。組成物は、1回投与されてもよく、または多数のより小さい用量に分割されて間隔をおいて投与されてもよい。任意の特定の対象について、特定の投与レジメンは、個々の必要性に応じて経時的に調整され得る。
【0078】
したがって、これらおよび関連する治療組成物または医薬組成物の典型的な投与経路としては、限定されないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔、直腸、膣、および鼻腔内が挙げられる。本明細書で使用される場合、非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技法を含む。本開示のある特定の実施形態による治組成物または医薬組成物は、その中に含まれる活性成分が、対象または患者に組成物を投与する際に生物学的に利用可能であることを可能にするように製剤化される。対象または患者に投与される組成物は、1つ以上の投与単位の形態をとってもよく、例えば、錠剤は、単一投与単位であってもよく、エアロゾル形態の本明細書に記載される薬剤の容器は、複数の投与単位を保持してもよい。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者には既知であるか、または明らかになるであろう。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000)を参照されたい。投与される組成物は典型的には、目的の疾患または状態の治療のための、本明細書に記載される治療有効量の薬剤を含有する。
【0079】
治療組成物または医薬組成物は、固体または液体の形態であってもよい。一実施形態では、担体(複数可)は微粒子であり、そのため、組成物は例えば、錠剤または粉末形態である。担体(複数可)は液体であってもよく、組成物は、例えば、経口油、注射用液体、または例えば、吸入投与に有用であるエアロゾルである。経口投与用である場合、医薬組成物は好ましくは、固体または液体のいずれかの形態であり、半固体、半液体、懸濁液、およびゲル形態が、本明細書において固体または液体のいずれかとみなされる形態内に含まれる。ある特定の実施形態には、滅菌注射用溶液が含まれる。
【0080】
経口投与用の固体組成物として、医薬組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠、ピル、カプセル、チューインガム、ウエハーなどに製剤化され得る。そのような固体組成物は典型的には、1つ以上の不活性希釈剤または食用担体を含有する。加えて、以下のうちの1つ以上が存在してもよい:結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微晶質セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプン、ラクトース、またはデキストリン、崩壊剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなど;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotex;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリン;香味剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香味剤:および着色剤。医薬組成物がカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態である場合、上記のタイプの材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは油などの液体担体を含有してもよい。
【0081】
治療組成物または医薬組成物は液体、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルション、または懸濁液の形態であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であってもよい。経口投与用である場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤、および香味増強剤のうちの1つ以上を含有する。注射によって投与されることを目的とする組成物では、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝液、安定剤、および等張剤のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0082】
液体の治療組成物または医薬組成物は、溶液、懸濁液、または他の同様の形態であるかどうかにかかわらず、以下のアジュバントのうちの1つ以上を含み得る:滅菌希釈剤、例えば、注射用の水、食塩水、好ましくは、生理食塩水、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒または懸濁媒体として機能し得る合成モノグリセリドまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化物質、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩、および張性の調節のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回投与バイアルに封入され得る。生理食塩水は、好ましいアジュバントである。注射用医薬組成物は、好ましくは滅菌である。
【0083】
非経口投与または経口投与のいずれかを目的とする液体の治療組成物または医薬組成物は、好適な投与量が得られるように、ある量の薬剤を含有するべきである。典型的には、この量は、組成物中少なくとも0.01%の目的の薬剤である。経口投与用である場合、この量は、組成物の重量の0.1~約70%になるように変化し得る。ある特定の経口治療組成物または医薬組成物は、約4%~約75%の目的の薬剤を含有する。ある特定の実施形態では、本発明による治療組成物または医薬組成物および調製物は、非経口投与単位が希釈前に0.01~10重量%の目的の薬剤を含有するように調製される。
【0084】
治療組成物または医薬組成物は、固体または液体の投与単位の物理的形態を変化させる様々な材料を含んでもよい。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含んでもよい。コーティングシェルを形成する材料は典型的には、不活性であり、例えば、糖、シェラック、および他の腸溶性コーティング剤から選択されてもよい。あるいは、活性成分は、ゼラチンカプセル内に包み込まれてもよい。固体または液体形態の治療組成物または医薬組成物は、薬剤に結合し、それによって化合物の送達を補助する構成成分を含んでもよい。この能力で作用し得る好適な構成成分としては、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、1つ以上のタンパク質またはリポソームが挙げられる。
【0085】
本明細書に記載される組成物は、時限放出製剤またはコーティングなどの、身体からの急速な排出から薬剤を保護する担体と共に調製され得る。そのような担体には、限定されるものではないが、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系などの放出制御製剤、ならびにエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、および当業者に既知の他のものなどの生分解性、生体適合性ポリマーが含まれる。
【0086】
治療組成物または医薬組成物は、医薬分野で周知の方法論によって調製されてもよい。例えば、注射によって投与されることを目的とする治療組成物または医薬組成物は、溶液を形成するために滅菌蒸留水と共に塩、緩衝液、および/または安定剤のうちの1つ以上を含んでもよい。界面活性剤が、均質な溶液または懸濁液の形成を促進するために添加されてもよい。界面活性剤は、水性送達系における薬剤の溶解または均質な懸濁を促進するために、薬剤と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0087】
ある特定の実施形態は、癌対象における、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]療法に対する治療応答(または応答性)を決定または予測するための診断キットの使用を含み、癌組織および非癌組織を含む対象からの組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段を含む。また、患者ケアキットも含まれ、(a)癌組織および非癌組織を含む対象からの組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段と、(b)YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]とを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、MYC遺伝子コピー数を測定するための手段は、ヒトMYC遺伝子上で、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、およびマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む。いくつかの実施形態では、MYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段は、ヒトMYC遺伝子上で、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、および比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む。
【0089】
ある特定の診断キットまたは患者ケアキットは、データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子コピー数参照値を含む。一部の診断キットまたは患者ケアキットは、データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子染色体位置部位参照を含む。キットはまた、例えば、対象からの癌組織の、および/または非癌対照からの試料中の、MYC遺伝子コピー数および/またはMYC遺伝子染色体位置部位を決定する方法に関する使用説明書を含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、診断キットまたは患者ケアキットは、組成物(複数可)および情報材料(複数可)用の別個の容器、仕切り、またはコンパートメントを含む。例えば、組成物(複数可)または試薬は、ボトル、バイアル、またはシリンジに含まれてもよく、情報材料(複数可)は、容器に関連して含まれてもよい。いくつかの実施形態では、キットの別個の要素は、単一の分離されていない容器内に含まれる。例えば、組成物(複数可)または試薬は、ラベルの形態で情報材料が付着されたボトル、バイアル、またはシリンジに含まれる。いくつかの実施形態では、キットは、複数(例えば、パックの)個々の容器を含み、各々が、YM155モノブロミドの1つ以上の組成物、試薬、および/または単位剤形を含む。例えば、キットは、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、またはブリスターパックを含み、各々が、試薬または単一単位用量のYM155モノブロミドを含む。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、水分もしくは蒸発の変化に対して不浸透性)、および/または遮光性であってもよい。
【0091】
患者ケアキットは任意に、薬剤(複数可)の投与に適したデバイス、例えば、シリンジ、吸入器、点滴器(例えば、点眼器)、スワブ(例えば、綿棒もしくは木製スワブ)、または任意のそのような送達デバイスを含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、定量の薬剤(複数可)を分注する埋め込み型デバイスである。また、例えば、本明細書に記載される構成要素を組み合わせることによって、キットを提供する方法も含まれる。
【0092】
ある特定の態様では、本明細書に記載される診断もしくは治療応答試験または方法は、診断検査室で行われ、次いで結果が対象に、または対象の健康管理および癌治療に関与する医師もしくは他の医療提供者に提供される。したがって、特定の実施形態は、応答性試験の結果を、それを必要としている対象、または医師もしくは他の医療提供者に提供する方法を含む。これらの結果またはデータは、ハードコピーもしくは紙コピーの形態、またはコンピュータ可読媒体などの電子形態であってもよい。
【0093】
本明細書において引用される全ての刊行物、特許出願、および発行された特許は、あたかも各個々の刊行物、特許出願、または発行された特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に指示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
前述の発明は、理解の明確さの目的で例示および実施例によってある程度詳細に説明されてきたが、当業者には、この説明または添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および修正がなされ得ることが容易に明らかになるであろう。以下の実施例は、限定目的ではなく、例示のみの目的で提供される。当業者であれば、本質的に類似した結果をもたらすように変更または修正され得る様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0095】
実施例1
癌細胞株におけるYM155モノブロミドの有効性
様々な癌細胞株におけるYM155モノブロミドの有効性を評価するために、またYM155モノブロミドの有効性をMYC遺伝子コピー数と相関させるために、研究を行った。
【0096】
肺細胞培養。ヒト肺癌細胞株NCI-H1975、HCC827、NCI-H226、およびHCC4006細胞を、10%ウシ胎児血清(GEMINI、900-108)を補充したRPMI 1640(Hyclone(商標)、SH30809.01B)中で培養した。培養物を、5%CO2中、37℃でインキュベートした。NCI-H1975、HCC827、およびNCI-H226を、Cell Bank,Shanghai Institutes for Biological Sciences,Chinese Academy of Sciencesから購入した。HCC4006を、CoBioer Biosciences Corporation(Nanjing,China)から購入した。
【0097】
細胞処理および増殖アッセイ。NCI-H1975、HCC827、NCI-H226、およびHCC4006細胞をそれぞれ、200μL培養培地中2000細胞/ウェルで96ウェルプレート(Corning-Costar、3603)に24時間播種した。次いで細胞を、YM155(50、30、20、10、2、0.4、0.08、0.016、および0.0032nM;APExBIO、A4221)またはDMSO(0.1%;Amresco、67-68-5)で処理した。72時間のインキュベーション後、細胞を、同じ培養条件下でさらに4時間、5-エチニル-2’-デオキシウリジン(EdU、最終濃度1uM;Sigma、900584)で標識した。
【0098】
EdUとインキュベーションした後、細胞をホルムアルデヒド(最終濃度4%、Thermo、28908)で室温において30分間固定した。細胞をPBS(Hyclone(商標)、SH30256.01)で2回洗浄し、次いでPBS中0.5%Triton X-100(T8787-250ML)で4℃において一晩透過処理した。上清を廃棄した後、細胞を、室温において1時間、Hoechst 33342(Invitrogen、H1399)でインキュベートし、次いでPBSでさらに2回洗浄した。
【0099】
細胞を、染色混合物(Beijing Percans Oncology Medical Research Co.,Ltd.、RUO-00401#150T)と室温で30分間インキュベートし、次いでPBSで3回洗浄した。細胞をPBS中に保持し、実験全体を通して光から保護した。
【0100】
ハイコンテントイメージング分析。処理した細胞を、Hoechst 33342(Ex:386nm)およびEdU(Ex:560nm)用のフィルタを備えたCellInsight(商標)CX5 High-Content Screening(HSC)Platform(Thermo Fisher)で画像取得のためにスキャンした。総細胞数およびEdU陽性細胞数を、核領域のシグナル強度を測定することによって分析した。
【0101】
図2に示されるように、YM155は、ヒト肺癌細胞株の細胞増殖を阻害する。NCI-H1975、HCC827、NCI-H226、およびHCC4006を、異なる濃度のYM155に72時間曝露した。しかしながら、YM155の増殖阻害効果は、これらの細胞株で異なっており、計算したIC
50は以下の表E1に示される。MYC遺伝子増幅を伴うNCI-H1975およびHCC827(参照と比較してMYC遺伝子コピー数が増加)は、MYC遺伝子増幅を伴わないNCI-H226およびHCC4006よりもYM155に対して感受性が有意に高かった。
【表1】
【0102】
血液細胞培養。ヒト急性骨髄性白血病細胞(U937およびHL-60)ならびにヒトバーキットリンパ腫細胞(Ramos)を、10%のウシ胎児血清を補充したRPMI 1640中で培養した。培養物を、5%CO2中、37℃でインキュベートした。U937およびHL-60細胞を、Cell Bank,Shanghai Institutes for Biological Sciences,Chinese Academy of Sciencesから購入した。Ramos細胞を、CoBioer Biosciences Corporation(Nanjing,China)から購入した。Ramos細胞は、IgH-c-MYC転座変異を担持する。
【0103】
細胞処理および増殖アッセイ。U937、HL-60、およびRamos細胞を、YM155(200、100、50、25、12.5、2.5、1、0.5nM;APExBIO、A4221)またはDMSO(0.1%;Amresco、67-68-5)で処理した200μL培養培地中40000細胞/ウェルで、96ウェルプレート(Corning-Costar、3599)に播種した。72時間のインキュベーション後、細胞増殖を、製造業者のプロトコルに従ってXTTアッセイ(Cell Proliferation Kit II XTT,Sigma、11465015001)によって測定した。簡潔に述べると、YM155処理後、50μLのXTT標識混合物を各ウェルに添加し、その後、加湿雰囲気中でマイクロプレートを4時間インキュベーションした。490nm(OD490)および650nm(OD650)での波長の吸光度をそれぞれ、SpectraMax 190によって決定した。IC50を、OD490-OD650の値によって計算した。
【0104】
図3および
図4に示されるように、YM155は、ヒト急性骨髄性白血病細胞およびヒトバーキットリンパ腫細胞の細胞増殖を阻害する。U937、HL-60、およびRamosを、異なる濃度のYM155に72時間曝露した。しかしながら、YM155の増殖阻害効果は、これらの細胞株で異なっており、計算したIC
50は5以下の表E2に示される。MYC遺伝子増幅を伴うHL-60細胞(参照と比較してMYC遺伝子コピー数が増加)、およびMYC遺伝子転座を伴うRamos細胞は、MYC遺伝子増幅または転座を伴わないU937細胞よりもYM155に対して感受性がより高かった。
【表2】
【0105】
神経芽腫細胞培養。神経芽腫細胞株IMR-32、NB-1、KP-N-YN、SK-N-BE、SK-N-SH、およびSH-SY5Y細胞を、96ウェルプレート中で培養し、指示用量(nM)のYM155で処理した。ヒト神経芽腫細胞株IMR-32を、10%ウシ胎児血清(GEMINI、900-108)を補充したMEM(Hyclone(商標)SH30024.01)中で培養し、神経芽腫細胞株NB-1およびKP-N-YNを、10%ウシ胎児血清を補充したRPMI 1640(Hyclone(商標)、SH30809.01B)中で培養し、神経芽腫細胞株SK-N-BEを、10%ウシ胎児血清を補充したF12(Gibco、11765-054)/MEM(1:1)(Hyclone(商標)、SH30024.01)中で培養し、神経芽腫細胞株SH-SY5Yを、10%ウシ胎児血清を補充したMEM/F12(1:1)中で培養し、神経芽腫細胞株SK-N-SHを、10%ウシ胎児血清で補充したMEM中で培養した。培養物を、5%CO2中、37℃でインキュベートした。
【0106】
IMR-32、SH-SY5Y、およびSK-N-SHを、Cell Bank,Shanghai Institutes for Biological Sciences,Chinese Academy of Sciencesから購入した。NB-1、KP-N-YN、およびSK-N-BE細胞を、CoBioer Biosciences Corporation(Nanjing,China)から購入した。
【0107】
細胞処理および増殖アッセイ。IMR-32、SH-SY5Y、SK-N-SH、NB-1、KP-N-YN、およびSK-N-BE細胞を、200μL培養培地中2000細胞/ウェルで96ウェルプレート(Corning-Costar、3603)中に24時間播種した。次いで細胞を、YM155(200、100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.5625、および0.78125nM;APExBIO、A4221)またはDMSO(0.1%;Amresco、67-68-5)で処理した。72時間のインキュベーション後、細胞を、同じ培養条件下でさらに4時間、5-エチニル-2’-デオキシウリジン(EdU、最終濃度1uM;Sigma、900584)で標識した。
【0108】
EdUとインキュベーションした後、細胞をホルムアルデヒド(最終濃度4%、Thermo、28908)で室温において30分間固定した。細胞をPBS(Hyclone(商標)、SH30256.01)で2回洗浄し、次いでPBS中0.5%Triton X-100(T8787-250ML)で4℃において一晩透過処理した。上清を廃棄した後、細胞を、室温において1時間、Hoechst 33342(Invitrogen、H1399)でインキュベートし、次いでPBSでさらに2回洗浄した。細胞を、染色混合物(Beijing Percans Oncology Medical Research Co.,Ltd.、RUO-00401#150T)と室温で30分間インキュベートし、次いで細胞をPBSで3回洗浄した。細胞をPBS中に保持し、実験全体を通して光から保護した。
【0109】
ハイコンテントイメージング分析。処理した細胞を、Hoechst 33342(Ex:386nm)およびEdU(Ex:560nm)用のフィルタを備えたCellInsight(商標)CX5 High-Content Screening(HSC)Platform(Thermo Fisher)で画像取得のためにスキャンした。総細胞数およびEdU陽性細胞数を、核領域のシグナル強度を測定することによって分析した。
【0110】
以下の
図7および表E3に示されるように、YM155は、神経芽腫細胞株の細胞増殖を阻害する。これは、NMYCのコピー数の増加を特徴とする、IMR-32、NB-1、KP-N-YN、およびSK-N-BE神経芽腫細胞株の細胞増殖を阻害するのに特に有用である。
【表3】
【0111】
これらのデータは、MYC遺伝子増幅(すなわち、参照と比較してMYC遺伝子コピー数が増加)およびMYC遺伝子転座を使用して、肺癌、血液細胞癌、神経芽腫、および他の癌を含む癌におけるYM155モノブロミド療法に対する応答性を予測することができることを示す。
【0112】
実施例2
HCC827/HCC 4006異種移植片実験
4~6週齢の雌マウス(Balb/C-nu)を、BEIJING HFK BIOSCIENCE Co.,Ltd.から購入した。細胞培養培地の細胞懸濁液(HCC827(肺上皮腺癌):マウス当たり5×10
6/0.1mL;HCC4006:マウス当たり5×10
6/0.1mL)を、マウスの右脇腹に皮下接種した。腫瘍サイズが約100mm
3~150mm
3に達したとき、マウスを処置群および対照群に無作為化した。5mg/kgのYM155(Biochem partner、BCP01864)またはビヒクル(生理食塩水、Shijiazhuang No.4 Pharmaceutical)を、3週間にわたって週5日、1日1回皮下投与した。マウスの体重を週に2回評価し、標準的なキャリパーを使用して腫瘍直径(長径および短径)を測定した。腫瘍体積=1/2*長径*(短径)
2。2~3週間の観察後、マウスを分析のために屠殺した。データが
図9A~9Bおよび
図10A~10Bに示される。
【0113】
実施例3
RAMOS/U937異種移植片実験
4~6週齢の雌マウス(RAMOS:SCID;U937:NOD/SCID)を、BEIJING HFK BIOSCIENCE Co.,Ltd.から購入した。細胞培養培地の細胞懸濁液(RAMOS:マウス当たり1×10
7/0.1mL;U937:マウス当たり2x10
6/0.1mL+0.1mLのマトリゲル)を、マウスの右脇腹に皮下接種した。腫瘍サイズが約100mm
3~150mm
3に達したとき、マウスを処置群および対照群に無作為化した。5mg/kgのYM155(Biochem partner、BCP01864)またはビヒクル(生理食塩水、Shijiazhuang No.4 Pharmaceutical)を、9日間にわたって1日1回皮下投与した。マウスの体重を週に2回評価し、標準的なキャリパーを使用して腫瘍直径(長径および短径)を測定した。腫瘍体積=1/2*長径*(短径)
2。2~3週間の観察後、マウスを分析のために屠殺した。データが
図11A~11Bおよび
図12A~12Bに示される。
【0114】
実施例6
IMR-3/SH-SY5Y異種移植片実験
4~6週齢の雌マウス(IMR-32:NOD/SCID;SH-SY5Y:Balb/C-nu)を、BEIJING HFK BIOSCIENCE Co.,Ltd.から購入した。細胞培養培地の細胞懸濁液(IMR-32:マウス当たり5x10
6/0.1mL+0.1mLのマトリゲル;SH-SY5Y:マウス当たり2x10
6/0.1mL+0.1mLのマトリゲル)を、マウスの右脇腹に皮下接種した。腫瘍サイズが約100mm
3~150mm
3に達したとき、マウスを処置群および対照群に無作為化した。5mg/kgのYM155(Biochem partner、BCP01864)またはビヒクル(生理食塩水、Shijiazhuang No.4 Pharmaceutical)を、3週間にわたって週5日、1日1回皮下投与した。マウスの体重を週に2回評価し、標準的なキャリパーを使用して腫瘍直径(長径および短径)を測定した。腫瘍体積=1/2*長径*(短径)
2。2~3週間の観察後、マウスを分析のために屠殺した。データが
図13A~13Bおよび
図14A~14Bに示される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
癌の治療を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、
(a)前記対象からの癌組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を決定することと、
(b)前記癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して増加している場合、または前記癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座している場合、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体を、前記対象に投与することと、を含み、それによって、癌の治療を必要としている前記対象においてそれを行う、方法。
(項目2)
前記癌組織内のMYC遺伝子コピー数が前記MYC遺伝子コピー数参照と比較して実質的に増加していない場合、または前記癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位が前記MYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座していない場合、YM155モノブロミドを除外する(またはそれ以外の)化学療法剤を前記対象に投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
癌対象における、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体に対する治療応答を予測するための方法であって、
(a)前記対象からの癌組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を決定することと、
(b)(i)前記癌組織内のMYC遺伝子コピー数がMYC遺伝子コピー数参照と比較して増加している場合、もしくは前記癌組織内の前記MYC遺伝子染色体位置部位がMYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座している場合、前記対象をYM155モノブロミド療法に対して応答性であると特徴付けること、または
(ii)前記癌組織内のMYC遺伝子コピー数が前記MYC遺伝子コピー数参照と比較して実質的に増加していない場合、もしくは前記癌組織内の前記MYC遺伝子染色体位置部位が前記MYC遺伝子染色体位置部位参照と比較して転座していない場合、前記対象をYM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けることと、を含み、それによって、前記癌対象におけるYM155モノブロミドに対する治療応答を予測する、方法。
(項目4)
前記対象がYM155モノブロミド療法に対して応答性であると特徴付けられる場合、前記対象にYM155モノブロミドを投与することを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記対象がYM155モノブロミド療法に対して非応答性であると特徴付けられる場合、YM155モノブロミドを除外する化学療法剤を前記対象に投与することを含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記癌組織内の前記MYC遺伝子コピー数が、前記MYC遺伝子コピー数参照と比較して約または少なくとも約1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍増加している、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、またはマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)によって、前記癌組織内のMYC遺伝子コピー数を決定することを含む、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、または比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)によって、前記癌組織内のMYC遺伝子染色体位置部位を決定することを含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
データベースから前記MYC遺伝子コピー数参照を得ること、または任意にaCGH、SNPアレイ、CNV配列、もしくはMLPAによって、対照からの非癌組織から前記MYC遺伝子コピー数参照を決定することを含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
データベースから前記MYC遺伝子染色体位置部位を得ること、または任意にISH、FISH、NGS、もしくはCGHによって、対照からの非癌組織から前記MYC遺伝子染色体位置部位参照を決定することを含む、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記対象から前記癌組織の試料を得ることを含む、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記癌組織の試料が、前記対象から得られた外科的試料、生検試料、胸水試料、または腹水試料であり、任意に肺、血液、乳房、消化管(胃、結腸、直腸)、卵巣、膵臓、肝臓、膀胱、子宮頸部、神経、子宮、唾液腺、腎臓、前立腺、甲状腺、または筋肉の組織のうちの1つ以上から選択される、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記対象がヒト対象である、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記癌が、癌腫、横紋筋肉腫、例えば、胞巣状横紋筋肉腫(骨、腱、軟骨、筋肉、脂肪(fat)、線維、血管、脂肪(adipose)、および/または結合組織に由来する肉腫を含む)などの肉腫、神経芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含む)、腺扁平上皮癌、癌肉腫、混合性中胚葉腫瘍、奇形癌、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腺癌、および肺扁平上皮癌を含む)、乳癌(転移性乳癌を含む)、消化器癌、胃癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌(例えば、ウィルム腫瘍)、前立腺癌、甲状腺癌、ならびに頭頸部癌のうちの1つ以上から選択される、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記MYC遺伝子が、MYCCおよびMYCNから選択される、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記MYC遺伝子がMYCCであり、前記癌が肺癌および血液癌、任意に白血病およびリンパ腫から選択される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記MYC遺伝子がMYCNであり、前記癌が神経芽腫、小細胞肺癌、前立腺癌、胞巣状横紋筋肉腫、髄芽腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、および乳癌から選択される、項目15に記載の方法。
(項目18)
癌対象における、YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体の療法に対する治療応答を決定するための診断キットの使用であって、癌組織および非癌組織を含む前記対象からの組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段を含む、使用。
(項目19)
MYC遺伝子コピー数を測定するための前記手段が、ヒトMYC遺伝子上で、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、およびマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む、項目18に記載の使用。
(項目20)
MYC遺伝子染色体位置部位を測定するための前記手段が、ヒトMYC遺伝子上で、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、および比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む、項目18または19に記載の使用。
(項目21)
データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子コピー数参照値を含む、項目18~20のいずれか一項に記載の使用。
(項目22)
データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子染色体位置部位参照を含む、項目18~20のいずれか一項に記載の使用。
(項目23)
前記癌が、癌腫、横紋筋肉腫、例えば、胞巣状横紋筋肉腫(骨、腱、軟骨、筋肉、脂肪(fat)、線維、血管、脂肪(adipose)、および/または結合組織に由来する肉腫を含む)などの肉腫、神経芽腫、髄芽腫、星状細胞腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含む)、腺扁平上皮癌、癌肉腫、混合性中胚葉腫瘍、奇形癌、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腺癌、および肺扁平上皮癌を含む)、乳癌(転移性乳癌を含む)、消化器癌、胃癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌、膀胱癌、子宮頸癌、膠芽腫、子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌(例えば、ウィルム腫瘍)、前立腺癌、甲状腺癌、ならびに頭頸部癌のうちの1つ以上から選択される、項目18~22のいずれか一項に記載の使用。
(項目24)
前記MYC遺伝子が、MYCCおよびMYCNから選択される、項目18~23のいずれか一項に記載の使用。
(項目25)
前記MYC遺伝子がMYCCであり、前記癌が肺癌および血液癌、任意に白血病およびリンパ腫から選択される、項目24に記載の使用。
(項目26)
前記MYC遺伝子がMYCNであり、前記癌が神経芽腫、小細胞肺癌、前立腺癌、胞巣状横紋筋肉腫、髄芽腫、多形膠芽腫、網膜芽細胞腫、および乳癌から選択される、項目24に記載の使用。
(項目27)
(a)癌組織および非癌組織を含む対象からの組織の試料中の、MYC遺伝子コピー数またはMYC遺伝子染色体位置部位を測定するための手段と、
(b)YM155モノブロミド[1-(2-メトキシエチル)-2-メチル-4,9-ジオキソ-3-(ピラジン-2-イルメチル)-4,9-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-d]イミダゾリウムブロミド]、またはその類似体もしくは誘導体と、を含む、患者ケアキット。
(項目28)
MYC遺伝子コピー数を測定するための前記手段が、ヒトMYC遺伝子上で、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、一塩基多型(SNP)アレイ、コピー数多型(CNV)シーケンシング、およびマルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む、項目27に記載の患者ケアキット。
(項目29)
MYC遺伝子染色体位置部位を測定するための前記手段が、ヒトMYC遺伝子上で、in situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、次世代シーケンシング(NGS)、および比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)のうちの1つ以上から選択される診断アッセイを行うための試薬を含む、項目27または28に記載の患者ケアキット。
(項目30)
データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子コピー数参照値を含む、項目27~29のいずれか一項に記載の患者ケアキット。
(項目31)
データベースから得られた、または対照からの非癌組織から決定された、MYC遺伝子染色体位置部位参照を含む、項目27~30のいずれか一項に記載の患者ケアキット。
(項目32)
前記MYC遺伝子が、MYCCおよびMYCNから選択される、項目27~31のいずれか一項に記載の患者ケアキット。