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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】藻類における遺伝子の誘導発現
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/67 20060101AFI20240620BHJP
   C12N 1/13 20060101ALI20240620BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240620BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20240620BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
C12N15/67 Z
C12N1/13 ZNA
C12N15/31
C12N15/55
C12N15/53
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021535531
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019067127
(87)【国際公開番号】W WO2020132036
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】62/782,152
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509262736
【氏名又は名称】シンセティック ジェノミクス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィアー ジェシカ
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-500037(JP,A)
【文献】Journal of Applied Phycology,2018年05月,Vol.31,pp.269-279
【文献】Genetics and Molecular Research,2011年,Vol.10, No.4,pp.3427-3434
【文献】Proc. Nat. Acad. Scil. USA,2018年07月,Vol.115, No.30,pp.E7015-E7022
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含むDNA配列を含む、遺伝子操作された藻類であって、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAが、天然において前記プロモーターによって調節されず、前記DNA分子が、前記藻類のゲノムに組み込まれている、遺伝子操作された藻類。
【請求項2】
前記対象DNAと前記藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、同じ藻類種由来である、請求項1に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項3】
前記対象DNAが、ポリペプチドをコードし、前記ポリペプチドが、前記藻類種に対して異種である、請求項2に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項4】
前記対象DNAが、少なくとも1つのイントロンを含み、前記イントロンが、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに対して異種である、請求項3に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項5】
前記対象DNAが、転写因子、転写活性化因子、細胞シグナル伝達タンパク質、酵素、または選択可能マーカーをコードする、請求項2に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項6】
前記対象DNAが、Creリコンビナーゼをコードする、請求項5に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項7】
前記藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、配列番号1のうちの少なくとも100連続ヌクレオチドに対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項8】
前記DNA分子が、配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、かつポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに作動可能に連結された、ターミネーター配列をさらに含む、請求項7に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項9】
前記ターミネーターが、配列番号2のうちの少なくとも75連続ヌクレオチドに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項8に記載の遺伝子操作された藻類。
【請求項10】
リペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含むDNA分子を含む、発現カセットであって、前記ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAが、天然において前記プロモーターによって調節されない、発現カセット。
【請求項11】
配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ前記ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに作動可能に連結された、ターミネーター配列をさらに含む、請求項10に記載の発現カセット。
【請求項12】
前記藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、配列番号1のうちの少なくとも100連続ヌクレオチドに対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項10に記載の発現カセット。
【請求項13】
前記ターミネーターが、配列番号2のうちの少なくとも75連続ヌクレオチドに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項11に記載の発現カセット。
【請求項14】
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記DNA分子が、少なくとも1つのイントロンを含み、前記イントロンが、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに対して異種である、請求項10に記載の発現カセット。
【請求項15】
藻類細胞において、対象DNAを選択的に発現させる方法であって、
a)形質転換された藻類細胞を生成するために、藻類細胞を、対象DNAをコードする前記対象DNAに作動可能に連結された、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含む単離されたDNA分子を用いて形質転換することであって、前記対象DNAをコードする前記対象DNAが、天然において前記プロモーターによって調節されない、ことと、
b)前記形質転換された藻類細胞を、前記藻類細胞における前記対象DNAの前記発現を選択的に可能にする培地中で成長させることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記単離されたDNA分子が、粒子打ち込みによって導入される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単離されたDNA分子が、エレクトロポレーションによって導入される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記藻類細胞が、硝酸塩を含む培地中で成長し、それによって、前記対象DNAの前記発現が誘導される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記藻類細胞が、アンモニウム塩を含む培地中で成長し、それによって、前記対象DNAの前記発現が抑制される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記対象DNAが、転写因子、転写活性化因子、細胞シグナル伝達タンパク質、酵素、または選択可能マーカーをコードする、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、配列番号1のうちの少なくとも100連続ヌクレオチドに対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記DNA分子が、配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ前記対象DNAに作動可能に連結された、ターミネーター配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ターミネーターが、配列番号2のうちの少なくとも75連続ヌクレオチドに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象DNAをコードする前記DNA分子が、少なくとも1つのイントロンを含み、前記イントロンが、前記対象DNAに対して異種である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月19日に出願された米国出願第62/782,152号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容全体が、全体的に参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の組み込み
添付の配列表中の材料は、参照により本出願に組み込まれる。添付のSGI2220_1WO_Sequence_Listing.txtという名称の配列表テキストファイルは、2019年12月18日に作成され、107kbである。このファイルは、Windows OSを使用するコンピュータでMicrosoft Wordを使用してアクセスすることができる。
【0003】
発明の分野
本発明は、概して、対象となる遺伝子の選択的発現のための藻類細胞の遺伝子操作の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
藻類細胞は、有望なバイオ燃料の供給源である(Wijffels & Barbosa(2010)Science 329:796-799(非特許文献1))。太陽エネルギーを利用して二酸化炭素を炭素豊富な脂質に変換する能力は、既に、石油を産生する作物の能力を上回っており、加えて、バイオ燃料用に栽培された藻類が、農地用の石油を産生する作物と競合しないという利点がある(Wijffels & Barbosa,2010)。藻類の燃料産生を最大化するために、産業規模での成長と炭素固定のために、新しい藻類株を設計する必要がある(Wijffels & Barbosa,2010)。
【0005】
さらに、現代の組換え株の開発には、細胞代謝および生理学を所望の方法で改変するために導入遺伝子ならびに内因性遺伝子を発現するための堅牢かつ効率的なツールが必要である。任意の遺伝子操作「ツールキット」の必須要素は、導入遺伝子または内因性遺伝子発現を行わせるための一連の機能性プロモーターおよびターミネーターである。組換えDNA技術が開発されている株からクローン化された、検証された内因性プロモーター、ならびに藻類などの微生物の形質転換を増加させ、異種遺伝子の発現を改善するためのさらなる戦略が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Wijffels & Barbosa(2010)Science 329:796-799
【発明の概要】
【0007】
概要
藻類細胞において、天然および異種DNA配列の誘導発現のための誘導性の新規藻類プロモーター配列およびターミネーター配列が本明細書で提供される。誘導性の新規藻類プロモーター配列および/またはターミネーター配列を含むDNA構築物および発現カセットも提供される。誘導性の新規藻類プロモーター配列および/またはターミネーター配列を含むDNA構築物を含む藻類変異体、ならびに藻類細胞において、対象DNAを選択的に発現させる方法も提供される。
【0008】
一態様において、本開示は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、および51からなる群から選択される配列のうちの少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、もしくは少なくとも500連続ヌクレオチドに対して、またはその全長配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有する(が、任意選択で、任意の実施形態において、100%未満の配列同一性を有する)核酸配列を含む、誘導性の藻類硝酸レダクターゼおよび藻類亜硝酸レダクターゼプロモーター配列を提供する。例えば、プロモーターは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、および51からなる群から選択される配列の3’末端から5’方向に(あるいは、5’末端から3’方向に)延びる少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500連続ヌクレオチドに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する(が、任意選択で、任意の実施形態において、100%未満の同一性を有する)配列を含んでいてもよい。別の例において、プロモーターは、指定された配列のうちのいずれかに対して、または3’末端から5’方向に延びる少なくとも500連続ヌクレオチドに対して、少なくとも90%、ただし100%未満の配列同一性を有していてもよい。いくつかの実施形態において、硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼプロモーターは、硝酸レダクターゼと亜硝酸レダクターゼ遺伝子との間の遺伝子間領域に位置する。いくつかの実施形態において、硝酸および亜硝酸レダクターゼプロモーターは、それぞれ、硝酸および亜硝酸レダクターゼ遺伝子の5’-UTR領域に位置する。
【0009】
一態様において、本開示は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、および52からなる群から選択される配列のうちの少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、もしくは少なくとも150連続ヌクレオチドに対して、またはその全長配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する(が、任意選択で、任意の実施形態において、100%未満の同一性を有する)核酸配列を含む、藻類硝酸レダクターゼおよび藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列を提供する。いくつかの実施形態において、硝酸および亜硝酸レダクターゼターミネーターは、それぞれ、硝酸および亜硝酸レダクターゼ遺伝子の3’-UTR領域に位置する。
【0010】
一態様において、本開示は以下を提供する:ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含む、単離されたDNA分子であって、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAが、天然においてプロモーターによって調節されないか、またはプロモーターに作動可能に連結していない、単離されたDNA分子。藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、および51からなる群から選択される配列のうちの少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500連続ヌクレオチドに対して(または全長配列に対して)、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する(任意選択で、任意の実施形態において、100%未満の配列同一性を有する)。例えば、単離されたDNA分子は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、および51からなる群から選択される配列の3’末端から5’方向に(あるいは、5’末端から3’方向に)延びる少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500連続ヌクレオチドに対して(または全長配列に対して)、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する(任意選択で、任意の実施形態において、100%未満の配列同一性を有する)配列を含んでいてもよい。本出願の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーターは、藻類種に対して異種または同種である任意の対象DNAと作動可能に連結することができる。藻類に対して同種である対象DNAの場合、これらのプロモーターは、天然においてこれらの対象DNAに対して並置されておらず、天然においてこれらのDNA対象の発現を調節しない。
【0011】
いくつかの実施形態において、単離されたDNA分子は、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、および52からなる群から選択される配列のうちの少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、または少なくとも150連続ヌクレオチドに対して(または全長配列に対して)、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する(任意選択で、任意の実施形態において、100%未満の配列同一性を有する)核酸配列を含む藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列を含む。
【0012】
一態様において、本明細書で以下が提供される:対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含むDNA分子または配列を含む、遺伝子操作された藻類であって、対象DNAが、天然においてプロモーターによって調節されない、遺伝子操作された藻類。いくつかの実施形態において、DNA分子は、藻類のゲノムに組み込まれる。対象DNAは、藻類種に対して異種または同種であってもよい。藻類に対して同種である対象DNAの場合、プロモーターは、天然において対象DNAに対して並置されておらず、天然において対象DNAの発現を調節しない。
【0013】
一態様において、本明細書で以下が提供される:ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含むDNA分子を含む、発現カセットであって、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAが、天然においてプロモーターによって調節されず、対象DNAが、(a)脂質生合成に関連するタンパク質、(b)リパーゼ、(c)光合成に関与するタンパク質、(d)炭素固定に関連するタンパク質、(e)トランスポータータンパク質、(f)デヒドロゲナーゼ、(g)転写因子、(h)転写活性化因子、(i)細胞シグナル伝達タンパク質、(j)代謝酵素、(k)レポータータンパク質、(l)選択可能マーカー、(m)リコンビナーゼ、(n)アンチセンス配列、(o)shRNA、(p)siRNA、(q)gRNA、または(r)リボザイムをコードする、発現カセット。いくつかの実施形態において、発現カセットは、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列をさらに含む。対象DNAは、藻類種に対して異種または同種であってもよい。藻類に対して同種である対象DNAの場合、これらのプロモーターは、天然においてこれらの対象DNAに対して並置されておらず、天然においてこれらのDNA対象の発現を調節しない。
【0014】
一態様において、本明細書で以下が提供される:藻類細胞において、対象DNAを選択的に発現させる方法であって、a)形質転換された藻類細胞、または本明細書に記載される任意のDNA分子もしくは配列を生成するために、藻類細胞を、対象DNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含む単離されたDNA分子を用いて形質転換することであって、対象DNAをコードする対象DNAが、天然においてプロモーターによって調節されない、ことと、b)形質転換された藻類細胞を、藻類細胞における対象DNAの発現を選択的に可能にする培地中で成長させることと、を含む、方法。いくつかの実施形態において、単離されたDNA分子は、粒子打ち込みによって導入される。いくつかの実施形態において、単離されたDNA分子は、エレクトロポレーションによって導入される。いくつかの実施形態において、プロモーター配列が、亜硝酸レダクターゼであり、藻類細胞が、硝酸塩を含む培地中で成長し、対象DNAの発現が誘導される。いくつかの実施形態において、プロモーター配列が、亜硝酸レダクターゼであり、藻類細胞が、アンモニウム塩を含む培地中で成長し、対象DNAの発現が抑制される。
【0015】
上の態様のいくつかの実施形態において、藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーターは、プロモーターと同じ種に由来する。上の態様のいくつかの実施形態において、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAは、プロモーター配列に対して異種である。上の態様のいくつかの実施形態において、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAと、プロモーターとが、同じ藻類種由来であり、コードする対象DNAと、プロモーターとが、天然において互いに対して並置されていない。
【0016】
上の態様のいくつかの実施形態において、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つのイントロンを含むように遺伝子操作され、イントロンが、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに対して異種である。上の態様のいくつかの実施形態において、イントロンは、プロモーターと同じ藻類種に由来する。上の態様のいくつかの実施形態において、2つ以上の異種イントロン、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つのイントロンは、同じ遺伝子に由来していてもよい。上の態様のいくつかの実施形態において、1つ以上のイントロンおよびプロモーターは、同じ遺伝子に由来していてもよい。
【0017】
上の態様のいくつかの実施形態において、対象DNAは、アンチセンス配列、マイクロRNA、shRNA、siRNA、gRNA、およびリボザイムからなる群から選択される機能性RNAをコードする。
【0018】
上の態様のいくつかの実施形態において、プロモーターとターミネーターとが、同じ遺伝子に由来する。上の態様のいくつかの実施形態において、プロモーターとターミネーターとが、異なる遺伝子由来である。
【0019】
上の態様のいくつかの実施形態において、対象DNAは、(a)脂質生合成に関連するタンパク質、(b)リパーゼ、(c)光合成に関与するタンパク質、(d)炭素固定に関連するタンパク質、(e)トランスポータータンパク質、(f)デヒドロゲナーゼ、(g)転写因子、(h)転写活性化因子、(i)細胞シグナル伝達タンパク質、(j)酵素、(k)レポータータンパク質、(l)選択可能マーカー、または(m)リコンビナーゼをコードする。上の態様のいくつかの実施形態において、対象DNAは、Creリコンビナーゼをコードする。
【0020】
いくつかの実施形態において、変異体藻類は、アクナンテス(Achnanthes)、アンフィプロラ(Amphiprora)、アンフォラ(Amphora)、アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)、アステロモナス(Asteromonas)、ベケロビア(Boekelovia)、ボリドモナス(Bolidomonas)、ボロディネラ(Borodinella)、ボトリディウム(Botrydium)、ボトリオコッカス(Botryococcus)、ブラクテオコッカス(Bracteococcus)、キートケロス(Chaetoceros)、カルテリア(Carteria)、クラミドモナス(Chlamydomonas)、クロロコックム(Chlorococcum)、クロロゴニウム(Chlorogonium)、クロレラ(Chlorella)、クロオモナス(Chroomonas)、クリソスファエラ(Chrysosphaera)、クリコスファエラ(Cricosphaera)、クリプテコディニウム(Crypthecodinium)、クリプトモナス(Cryptomonas)、シクロテラ(Cyclotella)、ドナリエラ(Dunaliella)、エリプソイドン(Ellipsoidon)、エミリアニア(Emiliania)、エレモスファエラ(Eremosphaera)、エルノデスミウス(Ernodesmius)、ユーグレナ(Euglena)、ユースティグマトス(Eustigmatos)、フランケイア(Franceia)、フラギラリア(Fragilaria)、グロエオサムニオン(Gloeothamnion)、ヘマトコッカス(Haematococcus)、ハロカフェテリア(Halocafeteria)、ヘテロシグマ(Heterosigma)、ハイメノモナス(Hymenomonas)、イソクリシス(Isochrysis)、レポシンクリス(Lepocinclis)、ミクラクチニウム(Micractinium)、モノダス(Monodus)、モノラフィディウム(Monoraphidium)、ナノクロリス(Nannochloris)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、ナビキュラ(Navicula)、ネオクロリス(Neochloris)、ネフロクロリス(Nephrochloris)、ネフロセルミス(Nephroselmis)、ニッチア(Nitzschia)、オクロモナス(Ochromonas)、オエドゴニウム(Oedogonium)、オオキスティス(Oocystis)、オストレオコッカス(Ostreococcus)、パブロバ(Pavlova)、パラクロレラ(Parachlorella)、パスケリア(Pascheria)、ペラゴモナス(Pelagomonas)、フェオダクチラム(Phaeodactylum)、ファグス(Phagus)、ピコクロラム(Picochlorum)、プラチモナス(Platymonas)、プレウロクリシス(Pleurochrysis)、プレウロコッカス(Pleurococcus)、プロトテカ(Prototheca)、シュードクロレラ(Pseudochlorella)、シュードネオクロリス(Pseudoneochloris)、シュードスタウラストラム(Pseudostaurastrum)、ピラミモナス(Pyramimonas)、ピロボトリス(Pyrobotrys)、セネデスムス(Scenedesmus)、スケレトネマ(Skeletonema)、アオミドロ(Spyrogyra)、スチココッカス(Stichococcus)、テトラセルミス(Tetraselmis)、タラシオシーラ(Thalassiosira)、トリボネマ(Tribonema)、フシナシミドロ(Vaucheria)、ビリジエラ(Viridiella)、ビスケリア(Vischeria)、およびボルボックス(Volvox)からなる群のうちのいずれか1つ以上からなる群から選択される属に属する。これらの属は、本明細書に完全に記載されるかのように、あらゆる可能な組み合わせおよび副次的な組み合わせで本明細書に開示される。
【0021】
上の態様のいくつかの実施形態において、誘導性の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーター配列は、対象DNAと作動可能に連結されている。いくつかの実施形態において、硝酸レダクターゼまたは亜硝酸レダクターゼプロモーター配列と作動可能に連結された対象DNAの発現は、硝酸イオンの存在下で増加する。いくつかの実施形態において、硝酸レダクターゼまたは亜硝酸レダクターゼプロモーター配列と作動可能に連結された対象DNAの発現は、アンモニウムイオンの存在下で抑制される。
【0022】
上の態様のいくつかの実施形態において、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、および52からなる群から選択される配列のうちの少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、または少なくとも150連続ヌクレオチドに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む、藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列。上の態様のいくつかの実施形態において、藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列は、対象DNAと作動可能に連結されている。
【0023】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される発現カセットと、自律複製配列および選択可能マーカー遺伝子のうちの一方または両方と、を含むベクターを提供する。いくつかの実施形態において、ベクターは、少なくとも1つの複製起点を含む。いくつかの実施形態において、ベクターは、さらに、選択可能マーカーまたはレポーター遺伝子に作動可能に連結された追加のプロモーター、例えば、限定されないが、本明細書に開示されるプロモーターを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、ベクターは、真核細胞、例えば、限定されないが、微細藻類細胞または植物プランクトン細胞の形質転換のためのものであり、ベクターは、本明細書で提供されるプロモーター、例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、または51いずれかの少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、または少なくとも800連続ヌクレオチドに対して(または全長配列に対して)、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する(任意選択で、実施形態のいずれかにおいて、100%未満の配列同一性を有する)ヌクレオチド配列を含むプロモーターに作動可能に連結された選択可能マーカー遺伝子を含む。形質転換ベクターは、宿主細胞への移行のための1つ以上の追加の遺伝子または構築物、例えば、本明細書で上に開示されるいずれかに限定されないがポリペプチドをコードする遺伝子、または機能性RNAをコードする構築物をさらに含んでいてもよく、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする遺伝子は、任意選択で、本明細書に記載のプロモーターに作動可能に連結されてもよく、または任意選択で、別のプロモーターに作動可能に連結されてもよい。
【0025】
これに加えて、またはこれに代えて、本明細書で提供されるベクターは、本明細書で提供されるターミネーターを含み得る。例えば、本発明のベクターは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、または52のいずれかの少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、または少なくとも800連続ヌクレオチドに対して(または全長配列に対して)、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性を有する(任意選択で、任意の実施形態において、100%未満の配列同一性を有する)ヌクレオチド配列を含んでいてもよい。対象DNAまたは本発明のベクター上の選択可能マーカー遺伝子は、本明細書で提供されるターミネーター配列に作動可能に連結されていてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、選択可能マーカー遺伝子は、抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、またはそのアナログ、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ブラストサイジン、ブレオマイシンまたはフレオマイシン(Zeocin(商標))、ノーセオトリシン)、除草剤に対する耐性を与える遺伝子、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)をコードする遺伝子、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(ahas)をコードする遺伝子、アセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼをコードする遺伝子、アントラニル酸シンターゼをコードする遺伝子、ブロモキシニルニトリラーゼをコードする遺伝子、チトクロムP450-NADH-チトクロムP450オキシドレダクターゼをコードする遺伝子、ダラポンデハロゲナーゼをコードする遺伝子、ジヒドロプテロイン酸シンターゼをコードする遺伝子、クラスI 5-エノールピルビニルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)をコードする遺伝子、クラスII EPSPS(aroA)をコードする遺伝子、非クラスI/II EPSPSをコードする遺伝子、グルタチオンレダクターゼをコードする遺伝子、グリホサートアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、グリホサートオキシドレダクターゼをコードする遺伝子、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、ヒドロキシ-フェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子、イソプレニルピロリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子、リコペンシクラーゼをコードする遺伝子、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、フィトエンデサチュラーゼをコードする遺伝子、プレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子、プロトポルフィリンオキシダーゼをコードする遺伝子、スーパーオキシドディスムターゼをコードする遺伝子、arg7、his3、hisD、hisG、manA、nit1、trpB、uidA、xylA、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、マンノース-6-リン酸イソメラーゼ遺伝子、硝酸レダクターゼ遺伝子、オルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、2-デオキシグルコース耐性遺伝子、またはR遺伝子座遺伝子に対する耐性を与える遺伝子からなる群から選択される。検出可能マーカー遺伝子は、例えば、チロシナーゼ遺伝子、lacZ、アルカリホスファターゼ遺伝子、α-アミラーゼ遺伝子、西洋ワサビペルオキシダーゼ遺伝子、α-ガラクトシダーゼ遺伝子、ルシフェリン/ルシフェラーゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)、または蛍光タンパク質をコードする遺伝子であってもよい。
[本発明1001]
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含むDNA分子を含む、遺伝子操作された藻類であって、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAが、天然において前記プロモーターによって調節されず、前記DNA分子が、前記藻類のゲノムに組み込まれている、遺伝子操作された藻類。
[本発明1002]
前記藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、同じ藻類種由来である、本発明1001の遺伝子操作された藻類。
[本発明1003]
前記対象DNAが、ポリペプチドをコードし、前記ポリペプチドが、前記藻類種に対して異種である、本発明1001または1002の遺伝子操作された藻類。
[本発明1004]
前記対象DNAが、少なくとも1つのイントロンを含み、前記イントロンが、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに対して異種である、本発明1001~1003のいずれかの遺伝子操作された藻類。
[本発明1005]
前記対象DNAが、(a)脂質生合成に関連するタンパク質、(b)リパーゼ、(c)光合成に関与するタンパク質、(d)炭素固定に関連するタンパク質、(e)トランスポータータンパク質、(f)デヒドロゲナーゼ、(g)転写因子、(h)転写活性化因子、(i)細胞シグナル伝達タンパク質、(j)酵素、(k)レポータータンパク質、(l)選択可能マーカー、または(m)リコンビナーゼをコードする、本発明1001~1004のいずれかの遺伝子操作された藻類。
[本発明1006]
前記対象DNAが、Creリコンビナーゼをコードする、本発明1005の遺伝子操作された藻類。
[本発明1007]
前記藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、および49からなる群から選択される配列のうちの少なくとも100連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、本発明1001~1006のいずれかの遺伝子操作された藻類。
[本発明1008]
前記DNA分子が、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに作動可能に連結されたターミネーター配列をさらに含む、本発明1001~1007のいずれかの遺伝子操作された藻類。
[本発明1009]
前記ターミネーターが、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、および50からなる群から選択される配列のうちの少なくとも75連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、本発明1008の遺伝子操作された藻類。
[本発明1010]
変異体藻類が、アクナンテス(Achnanthes)、アンフィプロラ(Amphiprora)、アンフォラ(Amphora)、アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)、アステロモナス(Asteromonas)、ベケロビア(Boekelovia)、ボリドモナス(Bolidomonas)、ボロディネラ(Borodinella)、ボトリディウム(Botrydium)、ボトリオコッカス(Botryococcus)、ブラクテオコッカス(Bracteococcus)、キートケロス(Chaetoceros)、カルテリア(Carteria)、クラミドモナス(Chlamydomonas)、クロロコックム(Chlorococcum)、クロロゴニウム(Chlorogonium)、クロレラ(Chlorella)、クロオモナス(Chroomonas)、クリソスファエラ(Chrysosphaera)、クリコスファエラ(Cricosphaera)、クリプテコディニウム(Crypthecodinium)、クリプトモナス(Cryptomonas)、シクロテラ(Cyclotella)、ドナリエラ(Dunaliella)、エリプソイドン(Ellipsoidon)、エミリアニア(Emiliania)、エレモスファエラ(Eremosphaera)、エルノデスミウス(Ernodesmius)、ユーグレナ(Euglena)、ユースティグマトス(Eustigmatos)、フランケイア(Franceia)、フラギラリア(Fragilaria)、グロエオサムニオン(Gloeothamnion)、ヘマトコッカス(Haematococcus)、ハロカフェテリア(Halocafeteria)、ヘテロシグマ(Heterosigma)、ハイメノモナス(Hymenomonas)、イソクリシス(Isochrysis)、レポシンクリス(Lepocinclis)、ミクラクチニウム(Micractinium)、モノダス(Monodus)、モノラフィディウム(Monoraphidium)、ナノクロリス(Nannochloris)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、ナビキュラ(Navicula)、ネオクロリス(Neochloris)、ネフロクロリス(Nephrochloris)、ネフロセルミス(Nephroselmis)、ニッチア(Nitzschia)、オクロモナス(Ochromonas)、オエドゴニウム(Oedogonium)、オオキスティス(Oocystis)、オストレオコッカス(Ostreococcus)、パブロバ(Pavlova)、パラクロレラ(Parachlorella)、パスケリア(Pascheria)、ペラゴモナス(Pelagomonas)、フェオダクチラム(Phaeodactylum)、ファグス(Phagus)、ピコクロラム(Picochlorum)、プラチモナス(Platymonas)、プレウロクリシス(Pleurochrysis)、プレウロコッカス(Pleurococcus)、プロトテカ(Prototheca)、シュードクロレラ(Pseudochlorella)、シュードネオクロリス(Pseudoneochloris)、シュードスタウラストラム(Pseudostaurastrum)、ピラミモナス(Pyramimonas)、ピロボトリス(Pyrobotrys)、セネデスムス(Scenedesmus)、スケレトネマ(Skeletonema)、アオミドロ(Spyrogyra)、スチココッカス(Stichococcus)、テトラセルミス(Tetraselmis)、タラシオシーラ(Thalassiosira)、トリボネマ(Tribonema)、フシナシミドロ(Vaucheria)、ビリジエラ(Viridiella)、ビスケリア(Vischeria)、およびボルボックス(Volvox)からなる群から選択される属に属する、本発明1001~1009のいずれかの遺伝子操作された藻類。
[本発明1011]
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含むDNA分子を含む、発現カセットであって、前記ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAが、天然において前記プロモーターによって調節されず、前記対象DNAが、(a)脂質生合成に関連するタンパク質、(b)リパーゼ、(c)光合成に関与するタンパク質、(d)炭素固定に関連するタンパク質、(e)トランスポータータンパク質、(f)デヒドロゲナーゼ、(g)転写因子、(h)転写活性化因子、(i)細胞シグナル伝達タンパク質、(j)代謝酵素、(k)レポータータンパク質、(l)選択可能マーカー、(m)リコンビナーゼ、(n)アンチセンス配列、(o)shRNA、(p)siRNA、(q)gRNA、または(r)リボザイムをコードする、発現カセット。
[本発明1012]
前記ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに作動可能に連結されたターミネーター配列をさらに含む、本発明1011の発現カセット。
[本発明1013]
前記藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、および49からなる群から選択される配列のうちの少なくとも100連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、本発明1011または1012の発現カセット。
[本発明1014]
前記ターミネーターが、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、および50からなる群から選択される配列のうちの少なくとも75連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、本発明1012の発現カセット。
[本発明1015]
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記DNA分子が、少なくとも1つのイントロンを含み、前記イントロンが、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに対して異種である、本発明1011~1014のいずれかの発現カセット。
[本発明1016]
藻類細胞において、対象DNAを選択的に発現させる方法であって、
a)形質転換された藻類細胞を生成するために、藻類細胞を、対象DNAをコードする前記対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含む単離されたDNA分子を用いて形質転換することであって、前記対象DNAをコードする前記対象DNAが、天然において前記プロモーターによって調節されない、ことと、
b)前記形質転換された藻類細胞を、前記藻類細胞における前記対象DNAの前記発現を選択的に可能にする培地中で成長させることと
を含む、方法。
[本発明1017]
前記単離されたDNA分子が、粒子打ち込みによって導入される、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記単離されたDNA分子が、エレクトロポレーションによって導入される、本発明1016の方法。
[本発明1019]
前記プロモーター配列が、亜硝酸レダクターゼであり、前記藻類細胞が、硝酸塩を含む培地中で成長し、前記対象DNAの前記発現が誘導される、本発明1016~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記プロモーター配列が、亜硝酸レダクターゼであり、前記藻類細胞が、アンモニウム塩を含む培地中で成長し、前記対象DNAの前記発現が抑制される、本発明1016~1018のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記対象DNAが、(a)脂質生合成に関連するタンパク質、(b)リパーゼ、(c)光合成に関与するタンパク質、(d)炭素固定に関連するタンパク質、(e)トランスポータータンパク質、(f)デヒドロゲナーゼ、(g)転写因子、(h)転写活性化因子、(i)細胞シグナル伝達タンパク質、(j)代謝酵素、(k)レポータータンパク質、(l)選択可能マーカー、(m)リコンビナーゼ、(n)アンチセンス配列、(o)shRNA、(p)siRNA、(q)gRNA、または(r)リボザイムをコードする、本発明1016~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターが、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、および49からなる群から選択される配列のうちの少なくとも100連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、本発明1016~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記DNA分子が、前記対象DNAに作動可能に連結されたターミネーター配列を含む、本発明1019~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記ターミネーターが、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、および50からなる群から選択される配列のうちの少なくとも75連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、本発明1023の方法。
[本発明1025]
前記対象DNAをコードする前記DNA分子が、少なくとも1つのイントロンを含み、前記イントロンが、前記対象DNAに対して異種である、本発明1016~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼ誘導性プロモーターを含む、単離されたDNA分子であって、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAが、天然において前記プロモーターによって調節されない、単離されたDNA分子。
[本発明1027]
ターミネーターを含む、本発明1026の単離されたDNA分子。
[本発明1028]
前記ターミネーターが、前記プロモーターと同じ種に由来する、本発明1025~1027のいずれかの単離されたDNA分子。
[本発明1029]
前記ターミネーターが、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、および50からなる群から選択される配列のうちの少なくとも75連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、本発明1028の単離されたDNA分子。
[本発明1030]
前記プロモーターが、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、および49からなる群から選択される配列のうちの少なくとも100連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、本発明1025~1029のいずれかの単離されたDNA分子。
[本発明1031]
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAが、前記プロモーター配列に対して異種である、本発明1026~1030のいずれかの単離されたDNA分子。
[本発明1032]
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAと、前記プロモーターとが、同じ藻類種由来であり、前記対象DNAと、前記プロモーターとが、天然において互いに対して並置されていない、本発明1026~1030のいずれかの単離されたDNA分子。
[本発明1033]
ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAが、少なくとも1つのイントロンを含み、前記イントロンが、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする前記対象DNAに対して異種である、本発明1031の単離されたDNA分子。
[本発明1034]
前記少なくとも1つの異種イントロンが、前記プロモーターと同じ種に由来する、本発明1033の単離されたDNA分子。
[本発明1035]
少なくとも3つの異種イントロンを含む、本発明1033または1034の単離されたDNA分子。
[本発明1036]
少なくとも5つの異種イントロンを含む、本発明1035の単離されたDNA分子。
[本発明1037]
前記少なくとも3つの異種イントロンが、前記プロモーターと同じ種に由来する、本発明1035の単離されたDNA分子。
[本発明1038]
前記少なくとも3つの異種イントロンが、同じ遺伝子に由来する、本発明1037の単離されたDNA分子。
[本発明1039]
前記少なくとも3つの異種イントロンと、前記プロモーターとが、同じ遺伝子に由来する、本発明1038の単離されたDNA分子。
[本発明1040]
前記対象DNAが、アンチセンス配列、マイクロRNA、shRNA、siRNA、gRNA、およびリボザイムからなる群から選択される機能性RNAをコードする、本発明1026~1039のいずれかの単離されたDNA分子。
[本発明1041]
前記プロモーターと、前記ターミネーターとが、同じ遺伝子に由来する、本発明1026~1039のいずれかの単離されたDNA分子。
[本発明1042]
前記プロモーターと、前記ターミネーターとが、異なる遺伝子由来である、本発明1026~1039のいずれかの単離されたDNA分子。
[本発明1043]
前記対象DNAが、(a)脂質生合成に関連するタンパク質、(b)リパーゼ、(c)光合成に関与するタンパク質、(d)炭素固定に関連するタンパク質、(e)トランスポータータンパク質、(f)デヒドロゲナーゼ、(g)転写因子、(h)転写活性化因子、(i)細胞シグナル伝達タンパク質、(j)酵素、(k)レポータータンパク質、(l)選択可能マーカー、または(m)リコンビナーゼをコードする、本発明1041の単離されたDNA分子。
[本発明1044]
前記対象DNAが、Creリコンビナーゼをコードする、本発明1043の単離されたDNA分子。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本明細書に記載される図面は、全ての可能な実施態様ではなく、単に選択された実施形態の例示目的のためのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0028】
図1】選択培地中でCreリコンビナーゼを発現するParachlorella細胞において、Parachlorella亜硝酸レダクターゼプロモーターと作動可能に連結されたCreリコンビナーゼ遺伝子の発現の誘導および抑制のqRT-PCR結果を示す。抑制培地(RM-NH4+/NO3-)下で成長した組換えParachlorella細胞は、抑制され(左の欄)、一方、誘導培地(IM-NO3-)上で成長した組換えParachlorella細胞は、誘導される(右の欄)。
図2】選択培地中でCreリコンビナーゼを発現するParachlorella細胞において、Parachlorella亜硝酸レダクターゼプロモーターと作動可能に連結されたCreリコンビナーゼ遺伝子の発現の誘導および抑制のウエスタンブロット結果を示す。抑制培地(RM-NH4+/NO3-)下で成長した組換えParachlorella細胞は、抑制され(中央の欄)、一方、誘導培地(IM-NO3-)上で成長した組換えParachlorella細胞は、誘導される(右の欄)。野生型Parachlorella細胞の結果を左の欄に示す。
図3】Parachlorellaにおける亜硝酸/亜硫酸レダクターゼ遺伝子についてのBlastアラインメントの結果を示す。この結果は、上位Pfamヒットが、全て亜硝酸/亜硫酸レダクターゼ遺伝子であることを示す。
図4】硝酸および亜硝酸レダクターゼプロモーター配列をそれぞれ反対方向に含む、Parachlorella硝酸および亜硝酸レダクターゼ遺伝子のコード配列、ならびにこれら2つの遺伝子の間の遺伝子間非翻訳領域の概略図を示す。図4は、亜硝酸レダクターゼ遺伝子の3’-UTR領域にある亜硝酸レダクターゼターミネーターも示す。
図5】亜硝酸レダクターゼプロモーター/ターミネーターを使用することによって、アンモニウムが存在しない状態でCreリコンビナーゼ(天然のParachlorellaイントロンを含む)を発現するように使用されたプラスミドpSGE06785のプラスミドマップを示す。BleRおよびGFP遺伝子の発現は、構成的プロモーター/ターミネーターによって行われる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願は、RNA配列決定データ、Hidden Markov Model分析、BLAST分析、ならびにPfam PF01077およびPF03460のPfam分析に基づく、藻類硝酸レダクターゼおよび藻類亜硝酸レダクターゼ遺伝子の5’-および3’-非翻訳領域(UTR)における新規の藻類硝酸および藻類亜硝酸/亜硫酸レダクターゼプロモーター配列およびターミネーター配列を特定する。いくつかの実施形態において、亜硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼ遺伝子は、藻類の同じ染色体の反対方向にある。いくつかの実施形態において、亜硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼプロモーターは、2つの遺伝子の遺伝子間領域に位置する(図4)。いくつかの実施形態において、亜硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼターミネーターは、それぞれ、亜硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼ遺伝子の3’-UTR領域に位置する(図4)。
【0030】
本出願は、種々の藻類群、例えば、Parachlorella、Oocystis、Picochlorum、およびTetraselmisからのいくつかの新規な誘導性の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸/亜硫酸レダクターゼプロモーター配列を開示する。かかる藻類の硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸/亜硫酸レダクターゼプロモーター配列の非限定的な例は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、および51として列挙され、以下に示される。
【0031】
本出願は、種々の藻類群、例えば、Parachlorella、Oocystis、Picochlorum、およびTetraselmisからのいくつかの新規な藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列を開示する。かかる藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸/亜硫酸レダクターゼターミネーター配列の非限定的な例は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、および52として列挙され、以下に示される。
【0032】
本出願は、以下も開示する:ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする対象DNAに作動可能に連結された本明細書に記載の新規な誘導性の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーター配列を含む、DNA構築物であって、対象DNAが、(例えば、野生型生物において)天然においてプロモーターによって調節されないか、またはプロモーターに作動可能に連結していないポリペプチドまたは機能性RNAをコードする、DNA構築物。いくつかの実施形態において、プロモーターは、異種プロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、DNA構築物は、対象DNAに作動可能に連結される藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列も含む。本出願は、DNA構築物を含む発現ベクターも開示する。制御配列が天然において核酸配列を調節するかどうかは、その制御配列が、野生型生物において、その核酸配列を調節するかどうかによって決定することができる。
【0033】
本出願は、対象DNAに作動可能に連結された新規な誘導性の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーター配列を使用して、藻類において、対象DNAを選択的に発現させる方法も開示する。対象DNAに作動可能に連結された新規な誘導性の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーターを含む遺伝子操作された藻類を選択培地(例えば、硝酸塩を含む培地)中で成長させ、対象DNAの発現を誘導することができ、または遺伝子操作された藻類をアンモニウムイオンを含む培地中で成長させ、対象DNAの発現を抑制することができる。
【0034】
以下に、様々な藻類種由来の例示的な新規の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーター配列およびターミネーター配列を列挙する。
【0035】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語、表記、および他の科学用語または専門用語の全ての用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有することが意図される。いくつかの場合に、一般に理解されている意味を有する用語は、明確さのために、および/またはすぐに参照するために本明細書で定義され、そのような定義を本明細書に含めることは、必ずしも当該技術分野で一般に理解されているものに対する実質的な違いを表すと解釈されるべきではない。本明細書に記載または参照される技術および手順の多くは、当業者によって、従来の方法論を用いて十分に理解され、一般的に用いられる。
【0036】
単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈からそうではないと明確に指示されない限り、複数の参照物を含む。例えば、「分子(a molecule)」という用語は、1つ以上の分子を含み、その混合物を含む。「Aおよび/またはB」は、以下の代替物「A」、「B」、および「AとB」の全てを含むために本明細書で使用される。
【0037】
本明細書で使用される場合、任意の数値を指す場合の「約」または「およそ」という用語は、記載された値のプラスまたはマイナス10%の値を意味することが意図されている。例えば、「約50℃」(または「およそ50℃」)は、45℃~55℃の温度範囲を包含し、境界値を含む。同様に、「約100mM」(または「およそ100mM」)は、90mM~110mMの濃度範囲を包含し、境界値を含む。あるいは、「約」または「およそ」は、記載された値の5%以内を意味する場合があり、またはいくつかの場合に、記載された値の2.5%以内を意味する場合があり、または「約」は、最も近い有効桁数まで丸めることを意味する場合がある。本出願内で提供される全ての範囲は、その範囲の上限および下限の値を含む。
【0038】
本明細書で使用される「細胞」、「細胞培養物」、「細胞株」、「組換え宿主細胞」、「レシピエント細胞」、および「宿主細胞」という用語は、移入の数に関係なく、初代対象細胞およびその任意の子孫を含む。全ての子孫が親細胞と完全に同一なわけではないことが理解されるべきである(故意または偶発的な突然変異または環境の違いに起因する)。しかしながら、そのような改変された子孫は、子孫が元の形質転換細胞と同じ機能を保持する限り、これらの用語に含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「構築物」という用語は、任意の供給源に由来し、ゲノムの組み込みまたは自律複製が可能であり、1つ以上の核酸配列が機能的に作動可能な様式で、すなわち、作動可能に連結されている核酸分子を含む、任意の組換え核酸分子、例えば、発現カセット、プラスミド、コスミド、ウイルス、自律複製するポリヌクレオチド分子、ファージ、または線形もしくは環状の一本鎖もしくは二本鎖のDNAまたはRNAポリヌクレオチド分子を意味することが意図されている。
【0040】
本明細書で使用される「対照生物」、「対照微生物」、または「対照細胞」は、対象となる生物、微生物、または細胞について開示される操作された遺伝子操作または導入された変異を除き、対象となる生物、微生物、または細胞と実質的に同一であり、対象となる生物または細胞の表現型の変化を測定するための基準点を提供することができる、生物、微生物、または細胞を指す。したがって、「実質的に同一」には、例えば、対象微生物において関心のある遺伝子型、表現型、パラメータ、または遺伝子発現レベルに関連しないゲノム配列中の小さなランダム変化(「SNP」)が含まれる。それらの使用の特定の目的に応じて、対照生物または細胞は、例えば、(a)対象となる生物、微生物、または細胞に関して、対象となる生物、微生物、または細胞を生成するために祖先株、種、生物、または細胞もしくは微生物集合体に導入された遺伝子操作された構築物または変化を祖先が欠いている、祖先株もしくは種、細胞もしくは微生物集合体、または生物、b)野生型生物または細胞、すなわち、対象となる生物または細胞を生じる遺伝子変化について出発物質と同じ遺伝子型のもの、(c)出発物質と同じ遺伝子型を有するが、ヌル構築物(すなわち、対象の形質に既知の影響を及ぼさない構築物、例えば、レポーター遺伝子を含む構築物)で形質転換された生物または細胞、(d)対象となる生物、微生物、または細胞の子孫の間で形質転換されない分離個体である生物または細胞、あるいは(e)対象遺伝子が発現されない条件下、対象となる生物または細胞自体を含んでいてもよい。いくつかの場合に、「対照生物」とは、対象となるトランスジェニック生物中に存在する外因性核酸を含まないが、それ以外の様式で、このようなトランスジェニック生物と同じか、または非常に類似した遺伝子背景を有する生物を指してもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「遺伝子操作された」藻類は、そのゲノムのヌクレオチド組成の変化、または、異なる時間的、生物学的、もしくは環境的調節下での、かつ/もしくは天然に存在する程度とは異なる程度の遺伝子の過剰発現もしくは発現抑制、および/もしくは組換え細胞中で天然には発現しない遺伝子の発現を含む遺伝子発現の変化を有する、天然に存在しない組換え藻類細胞を指す。変化したヌクレオチド組成(1つ以上のヌクレオチドの変化、欠失、および/または挿入)は、遺伝子のコード領域内であってもよく、イントロン、3’UTR、5’UTR、またはプロモーター領域内、例えば、転写開始部位の2kb以内、または翻訳開始部位の3kb以内にあってもよい。例えば、本明細書に開示される遺伝子の発現が変化した、遺伝子操作された藻類は、変化したヌクレオチド組成を有していてもよく、これは、転写開始部位の遺伝子5’の領域内、例えば、非限定的な例において、既知もしくは推定の転写開始部位の2kb以内、1.5kb以内、1kb以内、もしくは0.5kb以内、または翻訳開始部位の3kb以内、2.5kb以内、2kb以内、1.5kb以内、1kb以内、もしくは0.5kb以内の1つ以上の核酸塩基の変化および/または1つ以上の核酸塩基の欠失および/または1つ以上の核酸塩基の挿入であってもよい。遺伝子操作された藻類細胞は、生物への異種または外因性(例えば、非ネイティブ)組換え核酸配列の導入によって操作され得る藻類細胞であり、限定されないが、遺伝子ノックアウト、標的化変異、および遺伝子置き換え、プロモーター置き換え、欠失、もしくは挿入、または核酸分子、例えば、導入遺伝子、合成遺伝子、プロモーター、もしくは他の配列の生物への移入を含む。遺伝子操作された藻類細胞は、遺伝子操作された親細胞の子孫も含む。
【0042】
本明細書で使用される「発現カセット」という用語は、発現制御エレメント(例えば、プロモーター)、および任意選択で、遺伝子の転写または翻訳に影響を与える他の核酸配列のいずれか、または組み合わせ、例えば、限定されないが、転写ターミネーター、リボソーム結合部位、スプライス部位またはスプライシング認識配列、イントロン、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、内部リボソーム進入部位などに作動可能に連結されたタンパク質または機能性RNAをコードする核酸構築物を指す。
【0043】
「機能性RNA分子」は、機能性RNA分子を産生した遺伝子以外の遺伝子または遺伝子産物の発現または活性に影響を与える構造的機能、触媒的機能、または調節的機能を行うか、またはこれに関与するために1つ以上のタンパク質または核酸分子と相互作用し得るRNA分子である。機能性RNAは、例えば、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、ガイドRNA(gRNA)、CRISPR RNA(crRNA)、またはCRISPR系のトランス活性化RNA(tracrRNA)、低分子RNA(snoRNAs)、piwi相互作用RNA(piRNA)、またはリボザイムであってもよい。
【0044】
「対象DNA」という用語は、ポリペプチドまたは発現RNAをコードするDNA分子の任意のセグメントを指すために広く使用される。したがって、対象DNAは、ポリペプチドコード配列を含み得る発現RNA、または例えば機能性RNAをコードする配列を含み得る。対象DNAは、さらに、調節配列の発現に必要であるか、またはそれに影響を与える調節配列、ならびにその天然状態でタンパク質またはRNAコード配列に関連する配列、例えば、イントロン配列、5’または3’非翻訳配列などを含んでいてもよい。いくつかの例において、対象DNAは、イントロンを含んでいてもよく、含んでいなくてもよいDNAまたはRNA分子のタンパク質コード部分のみを指していてもよい。対象DNAは、任意選択で、異種イントロン、すなわち、タンパク質または機能性RNAをコードする配列の由来となる遺伝子に対して天然ではないイントロンを含み得る。対象DNAは、好ましくは、50ヌクレオチド長よりも長く、より好ましくは、100ヌクレオチド長よりも長く、例えば、50ヌクレオチド~500,000ヌクレオチド長、例えば、100ヌクレオチド~100,000ヌクレオチド長、または約200ヌクレオチド~約50,000ヌクレオチド長、または約200ヌクレオチド~約20,000ヌクレオチド長であってもよい。対象DNAは、対象となる供給源からのクローニング、または既知もしくは予測される配列情報からの合成を含め、種々の供給源から得ることができる。
【0045】
対象DNAによってコードされるタンパク質の非限定的な例としては、脂質生合成に関連するタンパク質 リパーゼ、光合成に関与するタンパク質、炭素固定に関連するタンパク質、トランスポータータンパク質、デヒドロゲナーゼ、転写因子、転写活性化因子、細胞シグナル伝達タンパク質、酵素、レポータータンパク質、選択可能マーカー、およびリコンビナーゼが挙げられる。
【0046】
脂質生合成に関連するタンパク質、炭素固定および/または光合成に関与するタンパク質の非限定的な例としては、米国出願公開第2014/0220638号、米国出願公開第2016/0304896号、米国出願公開第2017/005830303号、米国出願公開第2018/0186842号に記載されるものが挙げられる。これらの特許出願刊行物はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
酵素の非限定的な例としては、リコンビナーゼ、例えば、Cre(NCBIタンパク質データベース受託番号:YP_006472.1、WP_063075144、WP_052200029.1)、CRISPR Cas9(NCBIタンパク質データベース受託番号WP_117329810)が挙げられる。
【0048】
N末端核局在化シグナルと、6つの亜硝酸Parachlorella亜硝酸レダクターゼイントロンとを含むCreリコンビナーゼの1つの例示的な核酸配列が、以下に示される。
【0049】
レポータータンパク質の非限定的な例としては、(NCBIタンパク質データベース受託番号:YP_002302326.1)が挙げられる。Creリコンビナーゼの1つの例示的な配列が、以下に示される。
【0050】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」または「ポリペプチド」という用語は、単数の「ポリペプチド(polypeptide)」および複数の「ポリペプチド(polypeptides)」を包含することを意図しており、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって線形に接続したモノマー(アミノ酸)から構成される分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸の任意の単数または複数の鎖を指し、特定の長さの生成物を指さない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2つ以上のアミノ酸の単数の鎖または複数の鎖を指すために使用される任意の他の用語が、「ポリペプチド」の定義に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、またはこれらの用語と互換的に使用され得る。
【0051】
DNA分子は、示された供給源からの核酸セグメントの単離(全体的または部分的)を含め、示された供給源に「由来する」場合がある。DNA分子はまた、例えば、示されたポリヌクレオチド源から、または示されたポリヌクレオチド源に関連する配列に基づき、直接クローニング、PCR増幅、または人工合成によって、示された供給源に由来し得る。DNA分子は、藻類ゲノムの一部であってもよく、または外因性DNA配列であってもよい。DNA分子は、藻類ゲノムに組み込まれた外因性DNAであってもよい。DNA分子は、1つ以上の遺伝子、5’および3’非翻訳領域(UTR)を含み得る。いくつかの実施形態において、5’-または3’-UTRは、1つ以上の調節エレメントを含み得る。
【0052】
特定の供給源または種に由来し得る対象のDNA分子またはDNAは、その供給源の核酸分子に関して配列改変を有する遺伝子または核酸分子も含む。例えば、ある供給源(例えば、特定の参照遺伝子)に由来する対象のDNA分子またはDNAは、供給源の遺伝子または核酸分子に関して、意図的ではなく導入されたか、または意図的に導入された1つ以上の変異を含んでいてもよく、置換、欠失または挿入を含む1つ以上の変異が意図的に導入される場合には、配列の変化は、細胞もしくは核酸のランダム変異または標的化変異によって、増幅もしくは他の分子生物学的技術によって、もしくは化学合成によって、またはこれらの任意の組み合わせによって導入され得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、「単離された」核酸またはタンパク質は、その天然環境またはその核酸もしくはタンパク質が天然に存在する文脈から、取り出される。例えば、単離されたタンパク質または核酸分子は、そのネイティブな環境または天然環境で会合する細胞または生物から、取り出される。単離された核酸またはタンパク質は、いくつかの場合に、部分的または実質的に精製され得るが、単離には特定のレベルの精製が必要とされない。したがって、例えば、単離された核酸分子は、それが天然において組み込まれる染色体、ゲノム、またはエピソームから切り出された核酸配列であってもよい。
【0054】
「精製された」核酸分子もしくはヌクレオチド配列、またはタンパク質もしくはポリペプチド配列は、細胞材料および細胞構成要素を実質的に含まない。精製された核酸分子またはタンパク質は、例えば、バッファまたは溶媒以外の化学物質を含まなくてもよい。「実質的に含まない」は、新規な核酸分子以外の他の構成要素が検出できないことを意味することを意図したものではない。
【0055】
「天然に存在する」および「野生型」という用語は、天然に見られる形態を指す。例えば、天然に存在するか、または野生型の核酸分子、ヌクレオチド配列またはタンパク質は、天然の供給源から単離された形態で存在していてもよく、ヒトの操作によって意図的に改変されない。
【0056】
本明細書で使用される場合、「発現」は、少なくともRNA産生レベルでの遺伝子の発現を含み、「発現産物」は、発現した遺伝子の結果として生じる産物、例えば、ポリペプチドまたは機能性RNA(例えば、リボソームRNA、tRNA、アンチセンスRNA、マイクロRNA、shRNA、リボザイムなど)を含む。「発現の増加」という用語は、mRNA産生の増加および/またはポリペプチド発現の増加を促進するための遺伝子発現の変化を含む。「産生の増加」は、遺伝子発現、タンパク質ターンオーバー率、タンパク質活性化状態などから生じるタンパク質の存在量、または活性タンパク質の存在量を指す場合に、ポリペプチドのネイティブな産生または酵素活性と比較して、ポリペプチド発現量の増加、ポリペプチドの酵素活性レベルの増加、またはこれら両者の組み合わせを含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「対象DNAの発現が誘導される」という用語は、所与の条件下、このような条件が存在しない状態での対象DNAの発現と比較して、対象DNAの発現の選択的な増加を指す。例えば、藻類亜硝酸レダクターゼプロモーターによって調節される対象DNAを含む藻類が、硝酸イオンを含む培地中で成長する場合、対象DNAの発現は、藻類が硝酸イオン非存在下の培地中で成長する場合の対象DNAの発現レベルと比較して、増加する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「対象DNAの発現が抑制される」という用語は、所与の条件下、このような条件が存在しない状態での対象DNAの発現と比較して、対象DNAの発現の減少を指す。例えば、藻類亜硝酸レダクターゼプロモーターによって調節される対象DNAを含む藻類が、アンモニウムイオンを含む培地中で成長する場合、対象DNAの発現は、藻類がアンモニウムイオン非存在下の培地中で成長する場合の対象DNAの発現レベルと比較して、減少する。
【0059】
さらに、遺伝子またはタンパク質に関して本明細書で使用される「外因性」という用語は、宿主生物種に由来しない遺伝子またはタンパク質を指す。
【0060】
本明細書で使用される「導入遺伝子」という用語は、外因性遺伝子、すなわち、ヒトの介入によって微生物または祖先に導入された遺伝子を指す。
【0061】
本明細書で使用される遺伝子またはタンパク質の「オルソログ」という用語は、別の種におけるその機能的等価物を指す。
【0062】
遺伝子または種の名称の後に一般的に本明細書で括弧内に提供される遺伝子およびタンパク質の受託番号は、United States National Institutes of Healthによって維持されるNational Center for Biotechnology Information(NCBI)ウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)で公的に入手可能な配列記録についての固有の識別子である。「GenInfo Identifier」(GI)配列識別番号は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に特有である。何らかの様式で配列が変化する場合、新しいGI番号が割り当てられる。Sequence Revision Historyツールは、特定のGenBank記録において見られる配列についての種々のGI番号、バージョン番号、および更新日を追跡するために利用可能である。受託番号およびGI番号に基づいて核酸もしくは遺伝子配列またはタンパク質配列を検索し、取得することは、例えば、細胞生物学、生化学、分子生物学、および分子遺伝学の分野で知られている。
【0063】
本明細書で使用される場合、核酸またはポリペプチド配列に関して「パーセント同一性」または「相同性」という用語は、最大パーセント相同性を達成するために必要ならば最大パーセント同一性について配列をアラインメントし、ギャップを導入した後に、既知のポリペプチドと同一である候補配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセントであると定義される。N末端またはC末端の挿入または欠失は、相同性に影響を及ぼすものと解釈されるべきではなく、ポリペプチド配列への約30未満、約20未満、または約10未満のアミノ酸残基の内部欠失および/または挿入は、相同性に影響を及ぼすものと解釈されるべきではない。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列レベルでの相同性または同一性は、プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxによって使用されるアルゴリズムを使用し、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)分析によって決定することができ(Altschul (1997),Nucleic Acids Res.25,3389-3402、およびKarlin(1990),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,2264-2268)、これは配列類似性検索のために調整される。BLASTプログラムによって使用される手法は、まず、クエリ配列とデータベース配列との間のギャップの有無にかかわらない類似セグメントを検討し、次いで、特定される全てのマッチの統計的有意性を評価し、最後に、事前に選択した有意性閾値を満足するマッチのみを要約することである。配列データベースの類似性検索における基本的な課題の考察については、Altschul(1994),Nature Genetics 6,119-129を参照。ヒストグラム、説明、アラインメント、期待値(すなわち、データベース配列に対するマッチを報告するための統計的有意性閾値)、カットオフ、行列、およびフィルタ(低複雑性)などの検索パラメータは、デフォルト設定であってもよい。blastp、blastx、tblastn、およびtblastxによって使用されるデフォルトスコア行列は、BLOSUM62行列(Henikoff(1992),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,10915-10919)であり、これは85長(ヌクレオチド塩基またはアミノ酸)を超えるクエリ配列について推奨されている。
【0064】
ヌクレオチド配列を比較するために設計されたblastnについて、スコア行列は、N(すなわち、ミスマッチ残基についてのペナルティスコア)に対するM(すなわち、マッチング残基対についてのリワードスコア)の比率によって設定され、MおよびNのデフォルト値は、それぞれ+5および-4であってもよい。4つのblastnパラメータは、以下のように調整することができる。Q=10(ギャップ作成ペナルティ)、R=10(ギャップ伸長ペナルティ)、wink=1(クエリに沿ってwink番目の位置ごとのワードヒットを作成)、およびgapw=16(ギャップ付きのアラインメントが作成されるウィンドウ幅を設定)。アミノ酸配列を比較するための等価なBlastpパラメータ設定は、Q=9、R=2、wink=1、およびgapw=32であってもよい。GCGパッケージバージョン10.0で入手可能な配列間のBestfit比較は、DNAパラメータGAP=50(ギャップ作成ペナルティ)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティ)を使用することができ、タンパク質比較における等価な設定は、GAP=8およびLEN=2であってもよい。
【0065】
したがって、本開示のポリペプチドまたは核酸配列を参照する場合、全長ポリペプチドもしくは核酸配列、または全タンパク質の少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、もしくはそれ以上のアミノ酸残基の連続配列を含むそれらの断片、このような配列のバリアント、例えば、少なくとも1つのアミノ酸残基が、挿入および置換を含む開示された配列に対してN末端および/もしくはC末端、ならびに/または開示された配列内に挿入されたものと、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、もしくは少なくとも85%、例えば、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは約100%の配列同一性の配列同一性が含まれる。想定されるバリアントは、これに加えて、またはこれに代えて、例えば相同組換えもしくは部位特異的もしくはPCR変異誘発による所定の変異と、限定されないが、本明細書に記載されるもの、挿入および置換を含むポリペプチドもしくは核酸のファミリーの対立遺伝子もしくは他の天然に存在するバリアントを含む、他の種の対応するポリペプチドもしくは核酸と、を含むもの、ならびに/またはポリペプチドが、置換、化学的、酵素的、もしくは他の適切な手段によって、挿入および置換を含む天然に存在するアミノ酸以外の部分(例えば、酵素などの検出可能な部分)で共有結合によって改変された誘導体を含んでいてもよい。
【0066】
本明細書では、「ネイティブ」という用語は、それらが天然で宿主内に存在するときの核酸配列またはアミノ酸配列を指すために使用される。本明細書では、「非ネイティブ」という用語は、宿主中に天然に存在しない核酸配列またはアミノ酸配列を指すために使用される。細胞から取り出され、実験室操作を受け、宿主細胞に導入または再導入された核酸配列またはアミノ酸配列は、「非ネイティブ」とみなされる。宿主細胞に導入される合成遺伝子または部分的に合成の遺伝子は、「非ネイティブ」である。非ネイティブ遺伝子は、宿主ゲノムに組み換えられた1つ以上の異種調節配列に作動可能に連結された宿主藻類に内因性の遺伝子をさらに含む。
【0067】
「組換え体」または「操作された」核酸分子は、ヒトの操作によって改変された核酸分子である。非限定的な例として、組換え核酸分子は、以下の任意の核酸分子を含む。1)例えば、化学技術もしくは酵素技術を使用して(例えば、化学核酸合成の使用によって、もしくは核酸分子の複製、重合、消化(エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)、ライゲーション、逆転写、転写、塩基修飾(例えば、メチル化を含む)、組み込みもしくは組換え(相同組換えおよび部位特異的組換えを含む)のための酵素の使用によって、インビトロで部分的もしくは完全に合成されるか、もしくは改変されたもの、2)天然において連結していない連結ヌクレオチド配列を含むもの、3)天然に存在する核酸分子配列に関して、1つ以上のヌクレオチドを欠くように分子クローニング技術を使用して操作されたもの、ならびに/または4)天然に存在する核酸配列に関して、1つ以上の配列変化もしくは再配置を有するように分子クローニング技術を使用して操作されたもの。非限定的な例として、cDNAは、インビトロポリメラーゼ反応によって生成されたか、またはそれに対してリンカーが接続しているか、またはクローニングベクターもしくは発現ベクターなどのベクターに組み込まれた任意の核酸分子であるため、組換えDNA分子である。
【0068】
本明細書で使用される「組換えタンパク質」という用語は、遺伝子操作によって産生されるタンパク質を指す。
【0069】
「異種」という用語は、ポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチド、または酵素に関して使用される場合、宿主種に由来しないポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチド、または酵素を指す。例えば、本明細書で使用される「異種遺伝子」または「異種核酸配列」は、その内部に導入される宿主生物の種とは異なる種に由来する遺伝子または核酸配列を指す。遺伝子調節配列、または遺伝子配列(例えば、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、ポリA付加配列、イントロン配列、スプライス部位、リボソーム結合部位、内部リボソーム進入部位、ゲノム相同性領域、組換え部位など)の発現を操作するために使用される補助核酸配列、またはタンパク質ドメインもしくはタンパク質局在化配列をコードする核酸配列を参照する場合、「異種」とは、調節配列もしくは補助配列、またはタンパク質ドメインもしくはタンパク質局在化配列をコードする配列が、調節核酸配列もしくは補助核酸配列、またはタンパク質ドメインもしくはタンパク質局在化配列をコードする核酸配列がゲノム、染色体、またはエピソーム内に並置されている遺伝子とは異なる供給源に由来することを意味する。したがって、その天然状態で(例えば、遺伝子操作されていない生物のゲノムにおいて)作動可能に連結されていない遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターは、プロモーターが、連結されている遺伝子と同じ種(または、いくつかの場合に、同じ生物)に由来し得る場合であっても、本明細書で「異種プロモーター」と呼ばれる。天然において会合していない遺伝子に挿入されるイントロン(例えば、異なる遺伝子に由来するイントロン)は、プロモーターが、操作されている遺伝子と同じ種(または、いくつかの場合に、同じ生物)に由来し得る場合であっても、本明細書で「異種イントロン」と呼ばれる。同様に、操作されたタンパク質のタンパク質局在化配列またはタンパク質ドメインを参照する場合、「異種」とは、局在化配列またはタンパク質ドメインが、遺伝子操作によって組み込まれるものとは異なるタンパク質に由来することを意味する。
【0070】
「調節配列」、「調節エレメント」、または「調節エレメント配列」は、コード配列の上流(5’)、内部、または下流(3’)に位置するヌクレオチド配列を指す。コード配列の転写および/またはコード配列の転写から生じるRNA分子の翻訳は、典型的には、調節配列の存在または非存在によって影響される。これらの調節エレメント配列は、プロモーター、シスエレメント、エンハンサー、ターミネーター、またはイントロンを含み得る。調節エレメントは、特定のポリヌクレオチド配列からの非翻訳領域(UTR)から単離され得るか、または特定され得る。本明細書に記載の調節エレメントのいずれも、キメラまたはハイブリッド調節発現エレメントに存在し得る。本明細書に記載の調節エレメントのいずれも、本発明の組換え構築物中に存在し得る。
【0071】
「プロモーター」、「プロモーター領域」、または「プロモーター配列」という用語は、5’から3’(「下流」)方向において遺伝子の転写を開始するためにRNAポリメラーゼに結合することが可能な核酸配列を指す。プロモーターに対するRNAポリメラーゼの結合が、ある遺伝子の転写の最も近い原因である場合に、この遺伝子は、そのプロモーターの「制御下」にあるか、またはそのプロモーター「によって調節される」。プロモーターまたはプロモーター領域は、典型的には、RNAポリメラーゼの認識部位および転写の適切な開始に必要な他の因子を提供する。プロモーターは、遺伝子のゲノムコピーの5’非翻訳領域(5’UTR)から単離され得る。あるいは、プロモーターは、既知のDNAエレメントを改変することによって合成的に産生され得るか、または設計され得る。あるプロモーターの配列を別のプロモーターの配列と組み合わせるキメラプロモーターも考慮される。プロモーターは、例えば、代謝、環境、または発達の条件に基づいて、それらの発現パターンによって定義され得る。プロモーターは、作動可能に連結された転写可能ポリヌクレオチド分子、例えば、コード配列の発現を調整するための調節エレメントとして使用することができる。プロモーターは、RNAポリメラーゼによって認識される配列、好ましくは、他の転写因子に加え、作動可能に連結された遺伝子の転写に影響を及ぼすシスエレメントまたはエンハンサードメインなどの調節配列エレメントを含んでいてもよい。「藻類プロモーター」は、藻類細胞において機能するネイティブまたは非ネイティブのプロモーターである。
【0072】
「作動可能に連結された」という用語は、本明細書で使用される場合、制御配列が、ポリペプチドおよび/または機能性RNAのコード配列の発現を命令または調節するように、ポリヌクレオチド配列のコード配列に対して適切な位置に制御配列が配置される構成を示す。したがって、プロモーターは、核酸配列の転写を媒介し得る場合、核酸配列と作動可能に連結されている。ターミネーターは、配列の転写の停止を媒介し得る場合、核酸配列と作動可能に連結されている。宿主細胞に導入されると、発現カセットは、コードされたRNAまたはポリペプチドの転写および/または翻訳を、適切な条件下で生じさせることができる。翻訳されないか、または翻訳することができないアンチセンスまたはセンス構築物は、この定義によって除外されない。導入遺伝子の発現および内因性遺伝子の抑制(例えば、アンチセンスまたはRNAiによる)の両方の場合に、当業者は、挿入されたポリヌクレオチド配列が同一である必要はないが、その由来となる遺伝子の配列と実質的に同一であるだけであってもよいことを認識するだろう。本明細書で説明されるように、これらの実質的に同一のバリアントは、特定の核酸配列を参照することによって特定的に包含される。制御配列(例えば、プロモーターまたはターミネーター)が、核酸配列の転写または転写の停止を調節する場合、制御配列は、調節する配列に作動可能に連結される。
【0073】
本明細書で使用される「選択可能マーカー」または「選択可能マーカー遺伝子」という用語は、本発明の核酸構築物を用いてトランスフェクトされるか、または形質転換される細胞の選択を容易にするために発現される細胞に対して表現型を与える任意の遺伝子を含む。この用語はまた、上述の表現型を達成する遺伝子産物を指すために使用されてもよい。選択可能マーカーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。1)抗生物質に対する耐性を与える遺伝子、例えば、アミカシン(aphA6)、アンピシリン(ampR)、ブラストサイジン(bls、bsr、bsd)、ブレオマイシンまたはフレオマイシン(ZEOCIN(商標))(ble)、クロラムフェニコール(cat)、エメチン(RBS14pまたはcry1-1)、エリスロマイシン(ermE)、G418(GENETICIN(商標))(neo)、ゲンタマイシン(aac3またはaacC4)、ハイグロマイシンB(aphIV、hph、hpt)、カナマイシン(nptII)、メトトレキサート(DHFR mtxR)、ペニシリンおよび他のβ-ラクタム(β-ラクタマーゼ)、ストレプトマイシンまたはスペクチノマイシン(aadA、spec/strep)、ならびにテトラサイクリン(tetA、tetM、tetQ)、2)除草剤に対する耐性を与える遺伝子、例えば、アミノトリアゾール、アミトロール、アンドリミド、アリールオキシフェノキシプロピオネート、アトラジン、ビピリジリウム、ブロモキシニル、シクロヘキサンジオンオキシムダラポン、ジカンバ、ジクロホップ、ジクロロフェニルジメチルウレア(DCMU)、ジフノン、ジケトニトリル、ジウロン、フルリドン、グルホシネート、グリホサート、ハロゲン化ヒドロベンゾニトリル、ハロキシホップ、4-ヒドロキシピリジン、イミダゾリジノン、イソキサフルトール、イソオキサゾール、イソオキサゾリジノン、ミロアミドB、p-ニトロジフェニルエーテル、ノルフルラゾン、オキサジアゾール、m-フェノキシベンズアミド、N-フェニルイミド、ピノキサジン、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害剤、ピリダジノン、ピラゾリネート、スルホニルウレア、1,2,4-トリアゾールピリミジン、トリケトン、またはウレア、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(ahas)、アセト乳酸シンターゼ(als、csr1-1、csr1-2、imr1、imr2)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(apt)、アントラニル酸シンターゼ、ブロモキシニルニトリラーゼ(bxn)、チトクロムP450-NADH-チトクロムP450オキシドレダクターゼ、ダラポンデハロゲナーゼ(dehal)、ジヒドロプテロイン酸シンターゼ(sul)、クラスI 5-エノールピルビニルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)、クラスII EPSPS(aroA)、非クラスI/II EPSPS、グルタチオンレダクターゼ、グリホサートアセチルトランスフェラーゼ(gat)、グリホサートオキシドレダクターゼ(gox)、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ヒドロキシ-フェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(hppd)、イソプレニルピロリン酸イソメラーゼ、リコペンシクラーゼ、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(pat、bar)、フィトエンデサチュラーゼ(crtI)、プレニルトランスフェラーゼ、プロトポルフィリンオキシダーゼ、psbA光系IIポリペプチド(psbA)、およびSMMエステラーゼ(SulE)スーパーオキシドディスムターゼ(sod)、3)栄養要求性株で、もしくは他の代謝効果を与えるために使用可能な遺伝子、例えば、arg7、his3、hisD、hisG、lysA、manA、metE、nit1、trpB、ura3、xylA、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、マンノース-6-リン酸イソメラーゼ遺伝子、硝酸レダクターゼ遺伝子、もしくはオルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子、負の選択因子、例えば、チミジンキナーゼ、または毒素耐性因子、例えば、2-デオキシグルコース耐性遺伝子。
【0074】
「レポーター遺伝子」は、検出可能であるか、または検出可能な産物を産生する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。レポーター遺伝子は、検出可能なシグナル、例えば、cat、lacZ、uidA、xylE、アルカリホスファターゼ遺伝子、α-アミラーゼ遺伝子、α-ガラクトシダーゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ遺伝子、β-ラクタマーゼ遺伝子、西洋ワサビペルオキシダーゼ遺伝子、ルシフェリン/ルシフェラーゼ遺伝子、R遺伝子座遺伝子、チロシナーゼ遺伝子、または蛍光タンパク質(限定されないが、青色、シアン、緑色、赤色、または黄色の蛍光タンパク質、光変換性、光スイッチング性、または光学ハイライター蛍光タンパク質、または限定されないが、コドン最適化された、迅速に折り畳まれる、単量体、安定性が増加した、蛍光が増強されたバリアントを含むそれらのバリアントのいずれか)をコードする遺伝子を産生する視覚マーカーまたは酵素をコードすることができる。
【0075】
本明細書で使用される「ターミネーター」または「ターミネーター配列」または「転写ターミネーター」という用語は、通常の様式で転写を停止するためのRNAポリメラーゼを通常のシグナル伝達する遺伝子配列の調節切片を指す。ターミネーターは、通常、DNA中の遺伝子、コード配列、またはオペロンの末端をマーキングすることができる。
【0076】
本明細書で使用される「形質転換」という用語は、1つ以上の物理的、化学的、または生物学的方法を使用することによる、宿主細胞または生物内への1つ以上の外因性核酸配列またはポリヌクレオチドの導入を指す。形質転換(すなわち、「トランスフェクション」)の物理的および化学的方法としては、非限定的な例として、エレクトロポレーション、粒子打ち込み、およびリポソーム送達が挙げられる。形質転換(すなわち、「形質導入」)の生物学的方法として、操作されたウイルスまたは微生物(例えば、Agrobacterium)を使用したDNAの移入が挙げられる。
【0077】
「イントロン」という用語は、RNAスプライシングによって遺伝子から転写されるRNAから取り出される遺伝子内のヌクレオチド配列を指すために本明細書で使用される(イントロンという用語は、スプライシング前のRNA分子内に存在するRNA配列、および遺伝子内に存在するDNA配列を指すために使用される)。本明細書で開示されるイントロンは、真核生物の核遺伝子内に天然に存在し、真核細胞のスプライシング機構(スプライセオソーム)によってスプライスアウトされる「スプライセオソームイントロン」である。天然に存在するイントロンに由来するイントロン、例えば、天然に存在するイントロン、またはその内部欠失バリアント、例えば、イントロンの境界内から1~1000bpが欠失したバリアントの配列に対して、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のイントロンも考慮される。2つ以上の天然に存在するイントロンのイントロン配列を含むキメライントロンも考慮される。イントロンは、5’末端にGT(一次RNA転写物中のGU)と、イントロンの3’末端付近に分岐部位配列と、イントロンの3’末端にAGアクセプター部位と、を含む。周囲のエクソン配列は、イントロンとの5’境界にGGと、イントロンの3’末端にあるAGの後にGと、を含む。かかる配列は、任意選択で、イントロン挿入部位で本明細書に提供される遺伝子のコード配列に操作され得る。
【0078】
本明細書で提供されるイントロン化遺伝子は、少なくとも1つの異種イントロン(すなわち、操作された遺伝子によってコードされるポリペプチドをコードする遺伝子において天然に存在しない少なくとも1つのイントロン)を含むように操作され、イントロン化遺伝子は、いくつかの実施形態において、好ましくは、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの異種イントロン(すなわち、遺伝子において天然に存在しない少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのイントロン)を含むように操作される。例えば、操作された遺伝子のアミノ酸コード配列は、異種イントロンの由来となる遺伝子によってコードされないポリペプチドをコードすることができる。異種イントロンは、例えば、遺伝子操作または遺伝子合成技術を使用して、それらが天然に存在しない遺伝子内に挿入される。操作された遺伝子のアミノ酸コード配列は、任意選択で、導入されたイントロンの正しいスプライシングを可能にするために、および/またはコドン使用を変更するために(例えば、宿主のコドン選好を反映するために)、および/または変異を導入するために、例えば、異種イントロンの直近に配列を生成するように変更されてもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも3つの異種イントロンは、操作された遺伝子のアミノ酸コード配列の由来となる遺伝子以外の1つ以上の遺伝子に由来しており、例えば、少なくとも3つの外因性イントロンは、天然に存在するイントロンに由来していてもよい。種々の実施形態において、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの外因性イントロンは、操作された遺伝子のアミノ酸コード配列の由来となる生物と同じかまたは異なる生物の別の遺伝子からの天然に存在するイントロンであってもよく、あるいは、例えば、天然に存在するイントロンからの配列の1つ以上の配列改変または内部欠失によって、操作された遺伝子のアミノ酸コード配列の由来となる生物と同じかまたは異なる生物の別の遺伝子からの天然に存在するイントロンに由来していてもよい。いくつかの実施形態において、操作された遺伝子に挿入される少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの外因性イントロンは、全て、同じ遺伝子の天然に存在するイントロンであり、いくつかの実施形態において、同じ天然に存在する遺伝子の複数のイントロンが、その由来となる天然に存在する遺伝子中で存在するのと同じ順序で、操作された遺伝子に導入されてもよい。いくつかの実施形態において、操作された遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されており、プロモーターと外因性イントロンは、任意選択で、同じ生物に由来していてもよい。いくつかの実施形態において、操作された遺伝子は、プロモーターおよびターミネーターに作動可能に連結されており、プロモーター、ターミネーター、および外因性イントロンは、全てが同じ生物に由来していてもよく、全てが同じ遺伝子に由来していてもよい。さらに、種々の実施形態において、操作された遺伝子のアミノ酸コード配列は、コドン最適化されてもよく、いくつかの例において、外因性イントロンの由来となる生物における発現についてコドン最適化されてもよい。
【0079】
発現カセット
本明細書に開示される発現カセットは、対象DNAの発現を行わせるための本明細書に記載の1つ以上の調節エレメントを含む。これらのカセットは、対象DNAに作動可能に連結された本明細書に記載の藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーター配列のうちのいずれか1つを含むDNA分子を含み、対象DNAは、プロモーター配列の下流に位置し、任意選択で、対象DNAの下流に作動可能に連結された本明細書に記載の藻類硝酸レダクターゼもしくは藻類亜硝酸レダクターゼターミネーター配列のうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを含む。本発明の藻類硝酸レダクターゼおよび藻類亜硝酸レダクターゼプロモーターは、任意の異種または同種の対象DNAと共に使用することができる。同種遺伝子の場合、これらのプロモーターは、天然において、これらの同種の対象となる遺伝子に対して並置されない。したがって、藻類硝酸レダクターゼおよび藻類亜硝酸レダクターゼプロモーターは、天然においてこれらの同種の対象となる遺伝子の発現を調節しない。対象DNAは、任意選択で、異種イントロン、すなわち、タンパク質または機能性RNAをコードする配列の由来となる遺伝子に対して天然ではないイントロンを含み得る。いくつかの実施形態において、発現カセットは、藻類細胞または生物のゲノムに組み込むことができる。いくつかの実施形態において、組み込みは、細胞または生物の形質転換を介して起こる。
【0080】
2つ以上のDNA配列を一緒に作動可能に連結するための基本的な技術は、当業者によく知られており、かかる方法は、標準的な分子生物学的操作のためのいくつかのテキストに記載されている(例えば、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,2nd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Gibson et al.(2009)Nature Methods 6:343-345を参照)。
【0081】
ベクター
本発明は、本明細書に記載の調節エレメントおよび/または発現カセットを含むことができるベクターも提供する。ベクターは、細胞における複製のための少なくとも1つの複製起点(「ORI」)配列をさらに任意選択で含むことができる。ベクターは、任意選択で、1つ以上の真核生物プロモーターの制御下での1つ以上の選択可能マーカー、1つ以上の原核生物プロモーターの制御下での1つ以上の選択可能マーカー、および/または標的細胞のゲノムへの外因性核酸配列の組換えを媒介する1つ以上の配列をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、藻類細胞または生物のゲノムに組み込むことができる。いくつかの実施形態において、組み込みは、細胞または生物の形質転換を介して起こる。
【0082】
さらに、本明細書に記載のベクターはまた、上述の選択可能マーカーを含んでもよい。
【0083】
選択可能マーカー遺伝子は、本明細書で提供されるプロモーターに作動可能に連結されてもよく、および/または本明細書で提供されるプロモーターの制御下にあってもよい。選択可能マーカーの発現を調節するプロモーターは、条件付きまたは誘導性であってもよいが、好ましくは構成的であり、例えば、本明細書に開示の任意のプロモーターまたは別のプロモーターであってもよい。あるいは、選択可能マーカーを、発現カセットプロモーターの制御下に配置してもよい。選択可能なマーカーが発現カセットプロモーターの制御下に配置される場合、選択可能マーカーおよび発現カセットは、発現カセットと選択可能マーカーとの間の内部リボソーム進入部位(「IRES」)エレメント(Komar & Hatzoglou(2011)Cell Cycle 10:229-240およびHellen & Sarnow(2001)Genes & Dev.15:1593-1612、全体が参照により本明細書に組み込まれる)または「2A」配列(Kim et al.(2011)PLoS One 6(4):el 8556、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に作動可能に連結され得る。
【0084】
形質転換方法
本発明は、本明細書に記載の発現ベクターを用いて真核細胞を形質転換する形質転換方法も提供する。本方法は、本明細書で提供される少なくとも1つのプロモーターまたはDNA配列を含む本明細書で提供される発現ベクターを導入することと、次いで、形質転換体について選択することと、を含む。発現ベクターは、米国特許第10,041,079号および米国特許出願公開第2017/0073695号(これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含め、当業者によく知られている多くの方法によって導入されてもよい。
【0085】
藻類細胞は、緑藻、例えば、Achnanthes、Amphiprora、Amphora、Ankistrodesmus、Asteromonas、Boekelovia、Bolidomonas、Borodinella、Botrydium、Botryococcus、Bracteococcus、Chaetoceros、Carteria、Chlamydomonas、Chlorococcum、Chlorogonium、Chlorella、Chroomonas、Chrysosphaera、Cricosphaera、Crypthecodinium、Cryptomonas、Cyclotella、Dunaliella、Ellipsoidon、Emiliania、Eremosphaera、Ernodesmius、Euglena、Eustigmatos、Franceia、Fragilaria、Gloeothamnion、Haematococcus、Halocafeteria、Heterosigma、Hymenomonas、Isochrysis、Lepocinclis、Micractinium、Monoraphidium、Nannochloris、Nannochloropsis、Navicula、Neochloris、Nephrochloris、Nephroselmis、Nitzschia、Ochromonas、Oedogonium、Oocystis、Ostreococcus、Pavlova、Parachlorella、Pascheria、Pelagomonas、Phaeodactylum、Phagus、Picochlorum、Platymonas、Pleurochrysis、Pleurococcus、Prototheca、Pseudochlorella、Pseudoneochloris、Pseudostaurastrum、Pyramimonas、Pyrobotrys、Scenedesmus、Skeletonema、Spyrogyra、Stichococcus、Tetraselmis、Thalassiosira、Tribonema、Vaucheria、Viridiella、Vischeria、およびVolvoxの種の藻類細胞であってもよい。例えば、本明細書で提供される方法を使用して形質転換された真核細胞は、任意選択で、Parachlorellaの種であってもよく、例えば、非限定的な例であるパラクロレラ・ケッシエリ(Parachlorella kessieri)、P.フッシイ(hussii)、P.ベイジェリンキイ(beijerinckii)、P.sp.CCAP 206/1、またはP.sp.pgu003であってもよい。
【0086】
他の実施形態において、藻類細胞は、任意の真核微細藻類細胞、例えば、限定されないが、緑藻(Chlorophyte)、オクロ藻(Ochrophyte)、またはシャジク藻(Charophyte)であってもよい。いくつかの実施形態において、藻類は、分類学上の緑藻(Chlorophyceace)綱の、またはクロロデンドロン藻(Chlorodendrophyceae)綱の、またはプラシノ藻(Prasinophyceace)綱の、またはトレボウクシア藻(Trebouxiophyceae)綱の、または真正眼点藻(Eustigmatophyceae)綱のChlorophyte藻類であってもよい。いくつかの実施形態において、藻類は、Chlorophyceace綱のメンバー、例えば、Asteromonas、Ankistrodesmus、Carteria、Chlamydomonas、Chlorococcum、Chlorogonium、クロロデンドラレス(Chlorodendrales)、クロロエラレス(Chloroellales)、Chrysosphaera、Dunaliella、Haematococcus、Monoraphidium、Neochloris、Oedogonium、Pelagomonas、Pleurococcus、Pyrobotrys、Scenedesmus、またはVolvoxの属のうちの任意の1つ以上の種であってもよい。他の実施形態において、藻類は、Chlorodendrophyceae綱のメンバー、例えば、プラシノクラドゥス(Prasinocladus)、スケルフェリア(Scherffelia)、またはTetraselmisの属のうちの任意の1つ以上の種であってもよい。さらなる代替実施形態において、藻類は、Prasinophyceace綱のメンバー、任意選択で、Ostreococcusまたはミクロモナス(Micromonas)の属のうちの任意の1つ以上の種であってもよい。さらに代替的に、藻類は、Trebouxiophyceae綱のメンバー、任意選択で、クロレラ(Chlorellales)目のメンバー、任意選択で、Botryococcus、Chlorella、オーキセノクロレラ(Auxenochlorella)、ヘベオクロレラ(Heveochlorella)、マリニクロレラ(Marinichlorella)、Oocystis、Parachlorella、Pseudochlorella、テトラクロレラ(Tetrachlorella)、Eremosphaera、Franceia、Micractinium、Nannochloris、Picochlorum、Prototheca、Stichococcus、もしくはViridiellaの任意の1つ以上から選択される属、またはこの属の全ての可能な組み合わせもしくは副次的な組み合わせのいずれかであってもよい。別の実施形態において、藻類は、Trebouxiophyceae綱、Chlorellales目、オーシスト(Oocystaceae)科、クロレラ(Chlorellaceae)科、またはEustigmatophyceae科のChlorophyte藻類、任意選択で、Oocystis、Parachlorella、Picochlorum、Nannochloropsis、およびTetraselmisのうちの1つ以上から選択される属である。藻類はまた、Oocystis属、またはParachlorella属、またはPicochlorum属、またはTetraselmis属、または開示される属の全ての可能な組み合わせおよび副次的な組み合わせのいずれかに由来していてもよい。本明細書に記載の藻類のいずれかは、本発明のDNA分子または配列を含んでいてもよく、例えば、本明細書に記載されるような、対象DNAに作動可能に連結された藻類硝酸レダクターゼまたは藻類亜硝酸レダクターゼプロモーターを含む。
【0087】
培養物
形質転換された藻類細胞培養物を、単離されたコロニーをクローン株としてさらなる増殖のために選択することができるまで、希釈し、寒天上に播種し、成長させてもよい。
【0088】
形質転換された藻類細胞は、対象DNAの発現が誘導されるように、硝酸イオンまたは亜硝酸イオン存在下などの誘導培地(IM)中で培養することができる。形質転換された藻類細胞はまた、対象DNAの発現が抑制されるように、アンモニウム塩の存在下などの抑制培地(RM)中で培養することができる。
【0089】
さらに、光合成生物は、混合栄養学的に培養することができ、生物は、1日の少なくとも一部分の光の存在下で成長し、1つ以上の還元炭素源も提供される。光合成生物は、一定期間、続いて光合成成長の期間、またはその逆に、混合栄養学的に成長され得る。
【0090】
藻類の光栄養性または混合栄養性成長のための培地が当該技術分野で既知であり、培地は、特定の種に対する脂肪酸産物の成長または産生を増強するように最適化することができる。人工光源は、唯一の光源として、または自然光を増強もしくは延長するために使用することができる。
【0091】
藻類の成長は、例えば、池、運河、海峡、水路、もしくはタンクなどの解放領域内であってもよく、またはバイオリアクター内であってもよい。バイオリアクターは、混合栄養性成長にとって好ましく、光栄養性成長にも使用することができる。バイオリアクターは、任意の大きさおよび形態を有していてもよく、栄養素、添加剤、または気体(例えば、限定されないが、空気またはCO)を提供するための入口を備えていてもよい。バイオリアクターは、好ましくは、培養物のサンプリングのための出口も有する。バイオリアクターは、例えば、培養物を撹拌し、揺り動かし、振とうし、反転させ、培養物を通して気体をバブリングするなどによって、藻類培養物が成長期間中に混合されるような構成であってもよい。屋外の池、水路、タンク、運河などは、例えば、培地を循環させるためのパドル、ポンプ、ホースもしくはジェット、または培養物に空気もしくはCOを供給するためのチューブ、ホース、もしくは入口を介して培養物を混合するように設計することもできる。
【実施例
【0092】
実施例1.Parachlorella調節配列の特定
複数の配列を、プロモーターまたはターミネーターとして機能する能力について評価した。野生型Parachlorella株WT-1185についてのゲノムアセンブリ、RNA配列決定データ、Hidden Markov Model分析、BLAST分析、ならびにPfam PF01077およびPF03460のPfam分析に基づく、硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼ遺伝子に隣接する遺伝子間非翻訳核酸配列を、プロモーター配列について調べた。
【0093】
ParachlorellaについてのBlastアラインメントは、上位Pfamヒット(PF 01077およびPF 03460)が、全て亜硝酸/亜硫酸レダクターゼ遺伝子であることを示す(図3)。Parachlorella株WT-1185中の亜硝酸レダクターゼおよび硝酸レダクターゼ遺伝子は、同じ染色体内の反対方向にある(図4)。亜硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼプロモーターは、亜硝酸レダクターゼおよび硝酸レダクターゼ遺伝子の遺伝子間領域で特定された(図4)。亜硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼターミネーターは、それぞれ、亜硝酸レダクターゼおよび亜硝酸レダクターゼ遺伝子の3’-UTR領域で特定された(図4)。
【0094】
実施例2.発現カセットの生成
ParaCreXPベクター構築物を、Parachlorella組換え株の首尾良い生成に使用した(図5)。このベクター構築物は、選択可能マーカーブレオマイシン(Ble)、Creリコンビナーゼ、およびTurboGFPのための発現カセットを含んでいた。BleおよびCre遺伝子を、Parachlorellaコドン使用のために最適化したが、一方、TurboGFPは、Evrogen(モスクワ、ロシア)から購入されたpTurboGFP-Cから直接増幅させた。Ble遺伝子は、Parachlorella 40Sリボソームタンパク質S4(RPS4)遺伝子由来の5つのイントロンを含み、構成的RPS4プロモーターおよびターミネーターの制御下にあった。発現カセットには、緑色蛍光タンパク質(TurboGFP)レポーター遺伝子も含まれていた。GFP遺伝子の発現は、構成的アシルキャリアタンパク質(ACP)プロモーターおよびターミネーターによって調節された。Creコード配列(配列番号53)は、N末端NLS(sv40)と、Parachlorella亜硝酸レダクターゼ(NIR)遺伝子由来の6つのイントロンとを含んでおり、誘導性/抑制性NIRプロモーターおよびターミネーターの制御下にあった。Cre遺伝子の発現は、Parachlorella亜硝酸レダクターゼプロモーター(配列番号1)および亜硝酸レダクターゼターミネーター(配列番号2)によって調節された。ベクター構築物は、これらの部分から、Gibson Assembly(登録商標)HiFi 1 Step Kit(Synthetic Genomics、La Jolla、CA)を用い、puc19ベクター骨格へと組み立てられた。
【0095】
実施例3.エレクトロポレーションによる形質転換
ParaCreXPベクター構築物を、AscI/NotI制限酵素を用いて直線化した。Parachlorella WT-1185株を、US20170073695A1号(全体的に参照により本明細書に組み込まれる)に記載される形質転換方法を使用して、直線化されたベクターを用いて形質転換した。そのゲノム中にランダムに組み込まれた構築物を含むいくつかのParachlorella形質転換体を、GFP蛍光についてAccuri(商標)C6サイトメータ(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ,USA)で分析し、ウエスタンブロット分析のために持ち越した。
【0096】
実施例4.培地配合物および培養条件
誘導培地(IM-NO3-)は、35g/Lの海水塩類と、10xF/2の微量金属およびビタミンと、0.361mMのNaH2PO4とから構成されていた。N源は、15mMのNaNO3であった。抑制培地(RM-NH4+/NO3-)は、IM培地と同じ成分で構成されていたが、さらに、10mMのNH4Clが追加されており、15mMのHEPESでpH8.0に緩衝化されていた。細胞を、1%COを供給し、白色蛍光ランプからの連続光(50μmol光子m-2-1)が照射された成長チャンバ(25℃)中のオービタルシェーカーで、ベントキャップ付きの培養フラスコ内で3日間成長させた。
【0097】
実施例5.RNA抽出およびQRT-PCR
株を、IMまたはRM培地のいずれかにおいて、OD730が2.0になるまで成長させ、5mLの培養物を遠心分離によってペレット化した。細胞ペレットを、1.8mLの抽出溶液(5mLの粉砕バッファ、5mLのフェノール、1mLの1-ブロモ-3-クロロプロパンおよび20μLのメルカプトエタノール、粉砕バッファは、9mLの1M Tris pH8、5mLの10%SDS、0.6mLの7.5M LiCl、および450μlの0.5M EDTAを最終容積50mL中に含む)に再懸濁させ、200μmのジルコニウムビーズ存在下、4℃で5分間、激しくボルテックス撹拌した。遠心分離後、別個のチューブ中、水相に、1mLの25:24:1フェノール抽出溶液(25mLフェノールpH8.1、24mLの1-ブロモ-3-クロロプロパン、および1mLのイソアミルアルコール)を加えた。チューブを激しく振り混ぜ、21,000gで2分間遠心分離した。抽出を、1mLの1-ブロモ-3-クロロプロパンを用いて繰り返し、得られた水層を、0.356体積の7.5M LiClで処理し、-20℃で一晩、RNAを沈殿させた。LiCl沈殿後、RNAペレットを50μLのH2Oで再懸濁させ、RNAの品質を、2100 Bioanalyzerを使用し、製造業者の指示に従って(Agilent Technologies、La Jolla、CA)、オンチップゲル電気泳動によって評価した。
【0098】
cDNAを、iScript(商標)Reverse Transcription Supermixキット(Bio-Rad、ハーキュリーズ、CA)を用いて調製し、Ssofast(商標)EvaGreen(登録商標)Supermix(Bio-Rad)を用い、qRT-PCRのためのテンプレートとして使用した。Creのプライマー配列は、F:5’-GATCTTTGAGGCAACACATCG-3’(配列番号54)、R:5’-AATGCTCACTCCAGCTCTTG-3’(配列番号55)であった。qRT-PCRプライマーを、効率について評価し、2-ΔΔCT法を使用して、様々な条件にわたって低い変動係数を有すると経験的に決定された対照遺伝子(EMRE3EUKT595283、プライマー配列F:5’-GCCTTTGGTTATCGTGCTTTAG-3’(配列番号56)、R:5’-TCCCTCCGATCCTTTACTCTC-3’)(配列番号57)を有するに対して正規化された遺伝子発現を概算した。
【0099】
qRT PCRの結果は、組換えParachlorella細胞株におけるCreの発現が、硝酸イオンの存在下で誘導され、アンモニウムイオンの存在下で抑制されたことを示す(図1)。
【0100】
実施例6.ウエスタンブロット
Creを発現するParachlorella株を、IMまたはRM培地のいずれかにおいて、OD730が2.0になるまで成長させ、5mLの培養物を遠心分離によってペレット化した。ペレットを、TBSバッファ(50mM Tris-Cl pH7.6、150mM NaCl)で1回洗浄し、125mM Tris pH8.8、10%グリセロール、および2%SDSからなるSDS-PAGE抽出バッファ300μLに再懸濁させた。100μLのジルコニウムビーズを細胞スラリーに加え、細胞を30秒間ボルテックス撹拌した後、85℃で10分間インキュベートした。85℃でのインキュベートの間、溶解物を30秒間、3回以上ボルテックス撹拌し、次いで遠心分離し、上清を回収した。上清をNuPAGE(登録商標)LDS Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific、ウォルサム、MA)と共に比率3:1で混合し、85℃で10分間インキュベートした。25μLの混合物を、ゲルの各ウェルに加えた。CRE検出のために、4~12%Bis-Trisゲルを使用し、MOPS試行バッファを使用して電気泳動を行った。iBind(商標)Western blottingデバイス(ThermoFisher Scientific、ウォルサム、MA)を使用して、一次抗体および二次抗体と共にブロットをインキュベートした。CREブロットを、一次抗体(ウサギ抗CRE、1:1000希釈でMillipore)および二次抗体(ヤギ抗ウサギAP、1.5:1000希釈でNovex(商標))と共にインキュベートした。免疫シグナルを、Novex(商標)AP Chromogenic Substrate BCIP/NBTキット(Thermo Fisher Scientific、ウォルサム、MA)を使用して検出した。
【0101】
硝酸イオン、アンモニウムイオン存在下でのCreの発現を、Cre遺伝子を欠く野生型株と比較した。この結果は、Creの発現が、硝酸イオンの存在下で誘導され、一方、アンモニウムイオンの存在下で抑制されたことを示す(図2)。
【0102】
上の実施例を参照して本発明を記載したが、本発明の趣旨および範囲内に改変例および変形例が包含されることを理解されたい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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