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  • 特許-車両用表示装置 図1
  • 特許-車両用表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20240101AFI20240620BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B60K35/00
B60R11/02 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021569343
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020064729
(87)【国際公開番号】W WO2020239851
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】102019114357.8
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フスト,ヴィンフリート
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0368379(US,A1)
【文献】特開2020-126155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/06
B60R 11/00,11/02,
11/04,11/06
G06F 1/16, 3/041
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面の表示面(20)とその反対側の背面とを備えるディスプレイ(18)と、
上記表示面(20)の前方に配置されたカバープレート(14)と、
上記カバープレート(14)の縁に接続され四方から上記ディスプレイ(18)の縁に対して突出する装飾フレーム(16)と、
迫り出したエッジウェブ(38)を備える後壁(36)を有する背面筐体シェル(17)とを備え、
上記筐体シェル(17)の上記後壁(36)が、上記ディスプレイ(18)の上記背面に対して間隔をあけて配置されており、
上記筐体シェル(17)の上記エッジウェブ(38)が、接着剤により上記装飾フレーム(16)に接続されており、
上記装飾フレーム(16)が、上記カバープレート(14)の周縁上の接続部を有し、この接続部が、上記筐体シェル(17)の上記エッジウェブ(38)を上記ディスプレイ(18)の上記カバープレート(14)上で上記装飾フレーム(16)に接続する上記接着剤用の接着剤塗布面(32)を有する車両用表示装置(12)。
【請求項2】
上記表示装置(12)を車両計器盤上及び/又は車両計器盤内に自立して配置するため、上記筐体シェル(17)が、上記筐体シェル(17)を車両に取り付けるための取付部品(19)を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記筐体シェル(17)の上記エッジウェブ(38)を上記ディスプレイ(18)の上記カバープレート(14)上で上記装飾フレーム(16)に接続する接着剤が、帯状の接着材料床(34)の形で、上記装飾フレーム(16)上に構成されており、上記筐体シェル(17)の上記エッジウェブ(38)が、上記筐体シェル(17)の上記後壁(36)と反対側の端部(40)において、上記接着材料床(34)に埋め込まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置(12)。
【請求項4】
上記筐体シェル(17)の上記エッジウェブ(38)が、上記筐体シェル(17)の上記後壁(36)と反対側の上記端部(40)において、上記エッジウェブの延長方向にみて、上記装飾フレーム(16)に対して間隔を保った状態で、上記接着材料床(34)に埋め込まれていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記ディスプレイ(18)が、上記表示面(20)において、透明接着層(24)により上記カバープレート(14)に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置(12)。
【請求項6】
上記ディスプレイ(18)又は上記カバープレート(14)が、タッチパネル(22)を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願出願は、2019年5月28日の独国特許出願第1020191143578号の優先権を主張し、その内容を本願出願の対象を構成するものとして援用する。
【0002】
本発明は、情報の表示の他、必要に応じて命令の手動入力にも対応でき、そのために表示装置を例えばタッチ画面として実装することができる車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイを備える表示装置が、ますます車両に組み込まれるようになっている。このような表示装置は、例えば、所謂中央入力装置(CID:Central Input Devices)として用いることができ、命令入力の機能も有する。この場合、通例、多様なグラフィック面を有することができるタッチ画面が適用される。
【0004】
近年、計器盤に自立して配置された表示装置が、自動車分野に参入してきている。この表示装置は、表示装置のディスプレイを保持する安定した後壁を有する。自立型の表示装置は、計器盤に固定されているか、非使用時に自動的に静止位置もしくは格納位置に移動させることができるように、計器盤に可動に配置されている。
【0005】
安定性の理由から、上記表示装置の後壁もしくは後部の筐体シェルは、金属もしくは鋳物を有する。
【0006】
従来技術において、ディスプレイの背面が筐体シェルもしくは後壁に平面的に当接した状態で、ディスプレイが、接着テープにより筐体シェルもしくは後壁に固定される。ここでは、後壁が平面状になっている必要がある。これは、今日、主として用いられるTFTディスプレイが、機械的ストレスに対して非常に敏感であり、凹凸のある面に固着されると光学異常を呈するからである。
【0007】
独国特許出願公開第19722682号明細書に、乗合自動車のサイドウィンドウ、フロントウィンドウ又はリアウィンドウの後方に配置されている、乗合自動車用の表示装置が記載されている。表示装置は、固定具により保持されているディスプレイを有する。固定具は、表示装置が組み込まれた状態において乗合自動車の上記ウィンドウに対向する前面において開口しているため、ディスプレイの表示面を乗合自動車の上記ウィンドウを通して外から見ることができる。固定具は、ディスプレイの表示面が乗合自動車のウィンドウから離隔した状態で、上記ウィンドウに取り外し可能に取り付けることができる。
【0008】
独国特許出願公開第102014019324号明細書は、車両に組み込むためのディスプレイを備える表示装置について記載しており、表示装置は、ディスプレイを囲む装飾フレームを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第19722682号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014019324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ディスプレイが、ディスプレイと筐体シェルとの面接着を要せず、十分な安定性及び強度を備えて後部の筐体シェルに取り付けられている車両用表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明により提案されるのは、
前面の表示面とその反対側の背面とを備えるディスプレイと、
上記表示面の前方に配置されたカバープレートと、
上記カバープレートの縁に接続され四方から上記ディスプレイの縁に対して突出する装飾フレームと、
迫り出したエッジウェブを備える後壁を有する背面筐体シェルとを備え、
上記筐体シェルの上記後壁が、上記ディスプレイの上記背面に対して間隔をあけて配置されており、
上記筐体シェルの上記エッジウェブが、接着剤により上記装飾フレームに接続されている車両用表示装置である。
【0012】
本発明の概念によれば、後部の筐体シェルもしくは表示装置の後部の壁の接続は、筐体シェルをその縁において表示装置の装飾フレームに接着することにより行われる。表示装置の装飾フレーム自体が、「カバーガラス」とも呼ばれるカバープレートの一部である。表示装置の後壁は、この目的のため、周囲を囲んで迫り出したエッジウェブを備える筐体シェルとして構成されている。つまり、エッジウェブが、後壁(すなわち、筐体シェルの底壁)から迫り出し、ディスプレイを四方から囲んでいる。エッジウェブの自由端が、接着剤により、カバープレートを四方から囲む装飾フレームに接続されている。筐体シェルと装飾フレームとが接続された状態において、ディスプレイの背面は、筐体シェルの後壁から離隔しているため、両者の間に空隙が存在する。このため、ディスプレイが背面に接することはなく、特に背面に面接着されることもない。一般的な場合と同様に、ディスプレイは、透明接着層(光学的接着)によりカバープレートに固定もしくは取り付けられており、カバープレートに「掛かって」いる。このようなディスプレイとカバープレートとの接続は、運転時に車両内で発生する振動の観点から安定である。ディスプレイの表示面とカバープレートとが両方とも基本的に平面であるため、ディスプレイとカバープレートとの間に機械的ストレスは生じえない。湾曲したカバープレートを適用したい場合、湾曲したカバープレートとディスプレイの平面の表示面との間の差を透明接着剤で埋めたり、カバープレートに応じた形状に構成されている湾曲した表示面を備えるディスプレイとしたりすることで、両者を一定の間隔を保って接着することができる。これらすべての変形例において、タッチパネルが、光学式、容量式、誘導式又は抵抗式のタッチセンサシステムとして設けられていてもよい。
【0013】
既に上で述べたように、本発明は、特に自立型の表示装置に適している。このため、筐体シェルは、表示装置を車両計器盤上及び/又は車両計器盤内に自立して配置するため、典型的には、筐体シェルを車両に取り付けるための一体に構成された取付部品を有する。または、表示装置を自動的に引き出し格納することができる引出格納機構に、筐体シェルを連結することも可能である。
【0014】
本発明の別の有用な態様において、筐体シェルのエッジウェブをディスプレイのカバープレート上で装飾フレームに接続する接着剤が、帯状の接着材料床の形で、装飾フレーム上に構成されており、筐体シェルのエッジウェブが、筐体シェルの後壁と反対側の端部において、接着材料床に埋め込まれている。帯状の接着材料床は、「接着ビーズ」と呼ばれることもある。
【0015】
筐体シェルのエッジウェブが、筐体シェルの後壁と反対側の端部において、エッジウェブの延長方向にみて、装飾フレームに対して間隔を保った状態で、接着材料床に埋め込まれていると、公差の補償性の点で好適である。
【0016】
本発明の別の有用な態様において、装飾フレームが、カバープレートの周縁上に延びる接続部を有し、接続部が、筐体シェルのエッジウェブをディスプレイのカバープレート上の装飾フレームに接続する接着剤用の接着剤塗布面を有する。既に上で述べたように、装飾フレームは、カバープレートに固定されており、その縁に沿って周囲を囲むように構成されている。装飾フレームに接着剤塗布面が配置されており、接着剤塗布面は、装飾フレームの接続部に設けられ、装飾フレームは、適宜帯状もしくはストランド状の接着材料床を介して、筐体シェルのエッジウェブへの接続に寄与する。エッジウェブは、装飾フレームに当接してもよいが、部分的に接着材料床に埋め込まれることにより、エッジウェブの接続部に対して間隔をあけて配置されていてもよい。
【0017】
典型的には、ディスプレイが、その表示面において、透明接着層によりカバープレートに接続されている、及び/又はディスプレイ又はカバープレートが、容量式、誘導式、光学式又は抵抗式のタッチパネル又はタッチセンサシステムを有する。タッチパネルは、通常、光学的に透明な接着剤によりカバープレート及び/又はディスプレイの表示面に接続されているが、ディスプレイの内蔵部品としてもよい。
【0018】
典型的には、ディスプレイの表示面を後方から照らすことができるバックライトユニットが、ディスプレイに設けられている。このようなバックライトユニットは、ディスプレイの表示面の後部に設けられている。一般的に、バックライトユニットとディスプレイの電子部品との間に、表示面の後方照明を均質化するための拡散体が設けられている。バックライトユニットが、ディスプレイの背面を構成する。
【0019】
以下、図面を参照して、実施形態により本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、計器盤に直立して配置された表示装置を備える車両の計器盤を示す図である。
図2図2は、表示装置の構造を明確にするための図1のII-IIにおける表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、車両内部における計器盤10の図を示す。本実施形態においてはタッチ画面として実装されている自立型の表示装置12が、計器盤10に設けられている。表示装置12は、その前面に、周囲を囲む装飾フレーム16を備えるカバープレート14を有する。カバープレート14の裏側には、表示装置12を背面で閉じる筐体シェル17が設けられており、筐体シェル17は、計器盤10に自立して取り付けるための取付部品19を有する(図2参照)。
【0022】
カバープレート14の後方には、表示面20を備える実際のディスプレイ18が設けられている。カバープレート14とディスプレイ18との間に、典型的には、透明接着剤(図示せず)によりカバープレート14に接続されているタッチパネル22が設けられており、ディスプレイ18の表示面20が、透明接着層24(光学的接着)によりタッチパネル22に固着されている。ディスプレイ18の後方には、通常、拡散体(図示せず)を備えるバックライトユニット26が設けられている。
【0023】
装飾フレーム16は、例えば接着によりカバープレート14に接続されており、ここでは、接着剤を28で示す。しかし、装飾フレーム16は、カバープレート14と一体に実装されていてもよい。装飾フレーム16は、例えば、内側に突出する接続部30を、一種の内部フランジとして有しており、カバープレート14が、接着剤28により接続部30に接着している。接着剤28と反対側の接続部30の下面に、ストランド状もしくは帯状の接着材料床34が塗布されている接着剤塗布面32が設けられている。
【0024】
筐体シェル17は、後壁36と、後壁36から迫り出し周囲を囲むエッジウェブ38を有し、エッジウェブ38の自由端40が、本実施形態においては、装飾フレーム16の接続部30の接着剤塗布面32に対して間隔をあけて、接着材料床34に埋め込まれている。
【0025】
筐体シェル17と装飾フレーム16とが接着された状態において、ディスプレイ18の背面40が、筐体シェル17の後壁36に対して間隔をあけて設けられている。
【0026】
表示装置12の取り付けのため、筐体シェル17が、例えば、装飾フレーム16と共にカバープレート14に予め取付けられているディスプレイ18に設置される。このとき、ディスプレイ18は、カバープレート14に接続されている。カバープレートもしくは表示装置12の装飾フレーム16も、既にカバープレート14に設けられている。そして、エッジウェブ38の自由端40が未硬化の接着材料床34に押し込まれるように、筐体シェル17が、位置決め装置により、後方からディスプレイ18に寄せられる。なお、このとき、筐体シェル17の後壁36は、ディスプレイ18の背面42に対して間隔を保つよう注意が払われる。エッジウェブ38と、装飾フレーム16の接続部30とが接触しないことにより、上述の方法にしたがって接続された2つの部品の製造公差を補償することができる。さらに、装飾フレーム16と筐体シェル17との間の設計間隔をそれに応じて調節することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 計器盤
12 表示装置
14 カバープレート
16 装飾フレーム
17 筐体シェル
18 ディスプレイ
19 取付部品
20 表示面
22 タッチパネル
24 透明接着層
26 バックライトユニット
28 接着剤
30 装飾フレームの接続部
32 接着剤塗布面
34 接着材料床
36 筐体シェルの後壁
38 エッジウェブ
40 エッジウェブの端部
42 ディスプレイの背面

図1
図2