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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】有機溶媒を精製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/36 20060101AFI20240620BHJP
   B01J 39/07 20170101ALI20240620BHJP
   B01J 39/20 20060101ALI20240620BHJP
   B01J 41/07 20170101ALI20240620BHJP
   B01J 41/14 20060101ALI20240620BHJP
   B01J 47/04 20060101ALI20240620BHJP
   C07C 43/13 20060101ALI20240620BHJP
   C07C 67/56 20060101ALI20240620BHJP
   C07C 69/14 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
C07C41/36
B01J39/07
B01J39/20
B01J41/07
B01J41/14
B01J47/04
C07C43/13 A
C07C67/56
C07C69/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021577595
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2019094706
(87)【国際公開番号】W WO2021000318
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チー
(72)【発明者】
【氏名】大場 薫
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-509165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 41/36
B01J 39/07
B01J 39/20
B01J 41/07
B01J 41/14
B01J 47/04
C07C 43/13
C07C 67/56
C07C 69/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を、前記親水性有機溶媒および前記加水分解性有機溶媒の混合物から、有機不純物を増加させずに、イオン汚染物質を除去することによって、精製するためのプロセスであって、前記プロセスは、前記親水性有機溶媒と前記加水分解性有機溶媒との前記混合物を、イオン交換樹脂の混合床と接触させることを含み、前記イオン交換樹脂の前記混合床が、(a)弱酸性陽イオン交換樹脂および(b)弱塩基性陰イオン交換樹脂の混合物を含む、プロセス。
【請求項2】
前記イオン汚染物質が、金属および非金属のイオン汚染物質を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記弱酸性陽イオン交換樹脂がマクロ網状型樹脂であり、前記弱塩基性陰イオン交換樹脂がマクロ網状型樹脂である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物が、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合物であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの比が、1/99~99/1であることができる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
マクロ網状型弱酸性陽イオン交換樹脂およびマクロ網状型弱塩基性陰イオン交換樹脂の組み合わせが、化学的当量において80:20~20:80のブレンド比であ、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記溶媒がイオン交換樹脂処理に供された後に、前記溶媒の金属汚染物質レベルが、50パーツパートリリオン未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記加水分解性有機溶媒が、エステル結合を有する化合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
有機溶媒からイオン汚染物質を除去するためのプロセスであって、
(a)陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを含むイオン交換樹脂の混合床を調製するステップであって、前記陽イオン交換樹脂が弱酸性陽イオン交換樹脂であり、前記陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂である、調製するステップと、
(b)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を、ステップ(a)のイオン交換樹脂の混合床と接触させるステップと、を含む、プロセス。
【請求項9】
前記ステップ(b)が、イオン交換樹脂の混合床で満たされたカラムに前記有機溶媒を流すことによって行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記有機溶媒の流量が、
1床容積/時~100床容積/時である請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶媒から汚染物質を除去することによって有機溶媒を精製するためのプロセスに関し、より具体的には、本発明は、イオン交換樹脂を使用することによって、親水性有機溶媒から、加水分解性溶媒から、および/または親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物から、金属および非金属イオン汚染物質を除去するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
純粋な溶媒、すなわち、イオン汚染物質を含まない溶媒は、典型的には、多くの産業目的のために、例えば、医薬品および電子材料の製造のために、必要である。例えば、金属イオン汚染物質のレベルが非常に低い有機溶媒は、製作される半導体デバイスの性能および製造収率に金属イオン汚染物質が悪影響を与えるため、半導体製作プロセスにとって必要である。いくつかの親水性有機溶媒、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、および加水分解性溶媒、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)は、半導体製作プロセスにおけるリソグラフィープロセスのために一般的に使用される。それらの有機溶媒が半導体製作プロセスで使用される場合、そのような溶媒は、非常に低いレベル(例えば、50パーツパートリリオン[ppt]未満)の金属イオン汚染物質を有することが望ましい。
【0003】
これまで、いくつかのイオン交換樹脂は、有機溶媒から金属イオン汚染物質を除去することによって、様々な有機溶媒を精製するために使用されてきた。また、電子材料を製造するのに使用される有機溶媒には、イオン交換技術を使用する有機溶媒の精製が適用されてきた。例えば、イオン交換樹脂を使用して有機溶媒を精製するためのプロセスを開示している参考文献としては、出願公開第1989-228560(B)号;出願公開第2009-057286(A)号;特許第5,096,907(B)号;ならびに米国特許第7,329,354号;同第6,123,850号;および同第5,518,628号が挙げられる。
【0004】
しかしながら、イオン交換樹脂によって有機溶媒を精製するための上記の既知のプロセスは、溶媒の非常に高レベルの純度(すなわち、溶媒中の金属イオン汚染物質のレベルが50パーツパービリオン[ppb]未満のレベルの純度)を達成するのに十分なイオン汚染物質を除去するには効果的ではなく、かつ/または、上記の既知のプロセスは、様々な化学反応を引き起こして、不純物を生成し、その結果、得られる有機溶媒の純度が低下する可能性がある。したがって、既知のプロセスに従って精製され得られた有機溶媒は、高レベルの純度を必要とする用途には適していない。例えば、エステル型溶媒およびアミド型溶媒の加水分解は、従来のイオン交換プロセスを使用すると溶媒に悪影響を与えることがよく知られており、特に、電子機器処理用途では、エステル型溶媒の加水分解崩壊(hydrolysis decomposition)の結果として酸性物質が発生し、かかる酸性物質はフォトレジストの光反応に悪影響を及ぼす。また、エステル型溶媒およびアミド型溶媒はどちらも、イオン交換反応の望ましくない副生成物としてアルデヒドまたはケトンを生成する傾向がある。したがって、イオン交換樹脂による処理溶媒の化学的損傷なしに、有機溶媒から高レベルのイオン汚染物質を除去するプロセスが非常に望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(1)親水性有機溶媒、(2)加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を、イオン交換樹脂を使用して当該溶媒を処理することによって精製するためのプロセスに関する。
【0006】
一実施形態では、本発明は、副生成物不純物を生成することなく、イオン交換樹脂を使用して、(1)親水性有機溶媒、(2)加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物から、イオン汚染物質を除去するためのプロセスを含み、本発明の方法を使用することにより、超高純度の溶媒が得られる。
【0007】
別の実施形態では、本発明のプロセスは:(a)陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを含むイオン交換樹脂の混合床を調製するステップであって、陽イオン交換樹脂が弱酸性陽イオン交換樹脂であり、陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂である、イオン交換樹脂の混合床を調製するステップと、(b)(1)親水性有機溶媒、(2)加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を、ステップ(a)のイオン交換樹脂の混合床と接触させるステップと、を含む。
【0008】
一般に、Na、K、Ca、Al、Fe、Ni、Zn、Cu、Cr、およびSnなどの金属汚染物質の初期濃度は、溶媒の製造時に、それぞれ1.0ppb以下である。本発明の1つの目的は、弱酸性陽イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂とを組み合わせて含むイオン交換樹脂の混合床を使用して、(1)親水性有機溶媒、(2)加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物において、(例えば、イオン交換樹脂において100ppt未満の汚染物質の金属レベルを達成するために)より高い金属除去効率を提供することである。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明のイオン交換樹脂の混合床を使用することの利点のうちの1つとしては、例えば、イオン交換樹脂の混合床のイオン交換能力を低下させることなく、イオン交換樹脂にさらされる有機溶媒における不純物生成を防止する能力が挙げられる。
【0010】
他の実施形態では、本発明のプロセスを使用することの別の利点としては、例えば、いくつかの樹脂を組み合わせることの脱色問題を解決する能力が挙げられる。
【0011】
本発明の様々な実施形態を、以下の詳細な説明でより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この明細書全体で使用する場合、文脈で明確に示していない限り、以下に示す略語は下記の意味を有する:BV/hr=床容積/時、μm=ミクロン、nm=ナノメートル、g=グラム;mg=ミリグラム;L=リットル;mL=ミリリットル;ppm=パーツパーミリオン;ppb=パーツパービリオン;ppt=パーツパートリリオン;m=メートル;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;min=分;s=秒;hr=時;℃=摂氏;%=パーセント、vol%=体積パーセント;wt%=重量パーセント。
【0013】
一般に、本発明のプロセスは、有機溶媒を精製するためのプロセスであり、特に、(1)親水性有機溶媒、(2)加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を精製して、(1)超高純度の親水性有機溶媒、(2)超高純度の加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の超高純度混合物を製造するためのプロセスである。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「親水性有機溶媒」は、完全に水混和性である有機溶媒を意味している。親水性有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エタノール、イソプロパノールなど、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「超高純度親水性有機溶媒」は、かかる有機溶媒の純度が99.9パーセント(%)を超え、異性体および他の不純物を含む不純物が0.1%未満である親水性有機溶媒を意味している。他の不純物としては、酸、過酸化物、カルボニル、およびそれらの混合物などの反応性不純物を挙げることができる。かかる有機溶媒の金属含有量は100ppt未満である。超高純度の親水性有機溶媒としては、例えば、純度が99.9パーセントを超え、金属含有量が100ppt未満である上記の親水性有機溶媒のうちのいずれか1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「加水分解性有機溶媒」は、触媒の有無にかかわらず、水によって酸性および塩基性成分に分解され得る化合物を含む溶媒を意味している。加水分解性有機溶媒としては、例えば、エステル、アミド、カーボネート、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において有用なエステルの例としては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルラクテート、ブチルラクテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチル3-エトキシプロピオネート、ガンマ-ブチロラクトン、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明において有用なアミドの例としては、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、ガンマブチロラクタム、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明において有用なカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「超高純度加水分解性有機溶媒」は、かかる有機溶媒の純度が99.9パーセントを超え、異性体および他の不純物を含む不純物が0.1%未満である加水分解性有機溶媒を意味している。他の不純物としては、酸、過酸化物、カルボニル、およびそれらの混合物などの反応性不純物を挙げることができる。かかる有機溶媒の金属含有量は100ppt未満である。超高純度の加水分解性有機溶媒としては、例えば、純度が99.9パーセントを超え、金属含有量が100ppt未満である上記の加水分解性有機溶媒のうちのいずれか1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で使用するとき、「親水性および加水分解性有機溶媒の超高純度混合物」は、上で定義した親水性溶媒と、上で定義した加水分解性溶媒との混合溶媒を意味し、かかる有機溶媒の貯蔵寿命を通して、かかる有機溶媒の純度は99.9パーセントを超え、かかる有機溶媒の金属含有量は100ppt未満である。
【0019】
溶媒の混合物、例えば、親水性溶媒と加水分解性溶媒の混合物を精製するとき、親水性溶媒と加水分解性溶媒との溶媒比としては、例えば、実施形態では1/99~99/1、別の実施形態では5/95~95/5であり、さらに別の実施形態では10/90~90/10が挙げられる。本発明プロセスの例示として、それにより限定するものではないが、PEME/PGMEAブレンドなどの親水性溶媒/加水分解性溶媒ブレンドの比率は、例えば、一実施形態では99/1、別の実施形態では95/5、さらに別の実施形態では90/10、なお別の実施形態では80/20、さらになお別の実施形態では70/30、もっとさらに別の実施形態では1/99であることができる。
【0020】
本発明のプロセスは、イオン交換樹脂の混合床の使用を含む。イオン交換樹脂の混合床とは、少なくとも(1)陽イオン交換樹脂および(2)陰イオン交換樹脂の混合物を指す。イオン交換樹脂の混合床に使用される陽イオン交換樹脂は、弱酸性陽イオン交換樹脂である。陰イオン交換樹脂の混合床に使用される陰イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂である。
【0021】
ゲル型樹脂の膨潤度は、溶媒の溶解度パラメーターに依存すること、および巨大網状(MR)型樹脂は、有機溶媒中で、例えば、“Behavior of Ion Exchange Resins in Solvents Other Than Water-Swelling and Exchange Characteristics”,George W.Bodamer,and Robert Kunin,Ind.Eng.Chem.,1953,45(11),pp 2577-2580に記載されている有機溶媒中で、寸法的に安定していること、が一般的に知られている。1つの好ましい実施形態では、「寸法安定性」を示す本発明で有用なイオン交換樹脂は、有機溶媒中の浸漬されたイオン交換樹脂の体積は、水中の浸漬された樹脂(すなわち、水和樹脂)の体積変化と比較して、±10パーセント未満しか変化しないイオン交換樹脂を指す。
【0022】
特定の理論に限定されるものではないが、ゲル型樹脂の場合、最初に金属イオンはイオン交換ビーズの表面にトラップされ、次いで金属イオンはポリマーの内部に拡散すると仮定される。イオン交換樹脂に関する製品テクニカルシートから当業者が知るイオン交換容量は、イオン交換部位が樹脂ビーズのどこにあるかに関係なく、化学当量/単位体積で表される。イオン交換容量を十分に利用できるとき、金属除去能力および金属除去容量は最大化される。樹脂ビーズに吸収された溶媒は、金属イオンを樹脂ビーズの内部に運ぶ。イオン交換樹脂ビーズが溶媒を吸収せず、樹脂分子が密にパックされている場合、金属イオンはポリマービーズの内部に移動できない。樹脂の膨潤度は、溶媒がどのくらい吸収されているかを示している。ゲル型イオン交換樹脂は、水和樹脂ビーズが40%から約(~)60%の水を含有するように設計されているため(すなわち、イオン交換樹脂は本質的に水または水混和性溶媒に対して強い親和性を有する)、イオン交換樹脂の膨潤は、溶媒の疎水性が増加するにつれて、例えば、混合樹脂の親水性溶媒の比率が減少するにつれて、目立たなくなろう。樹脂ビーズにおいて溶媒が不足していると、樹脂ビーズの内側に位置しているイオン交換部位を、イオン交換反応に利用することができない。その結果、金属除去効率および金属除去容量が低下する。極端な場合、樹脂ビーズの表面に位置しているイオン交換部位だけが、疎水性溶媒との接触において活性である。
【0023】
MR型樹脂の場合、ビーズ表面にマクロ細孔が位置しているため、樹脂はより大きな表面積を有し、イオン交換反応は、主に樹脂ビーズ表面に位置している細孔で起こるという原理がある。また、樹脂のマクロ細孔構造の破損を防ぐために、樹脂は樹脂ビーズの寸法と表面形態を安定させるように設計されている。MR型樹脂を使用する利点は、疎水性溶媒でさえ、イオン交換樹脂のサイズおよび表面形態に最小限の悪影響しか及ぼさないことであり、その結果、金属除去に利用できるイオン交換部位の数は、溶媒の疎水性によって、言換えると、混合溶媒中の親水性溶媒と加水分解性溶媒との比率によって、変化しない点である。
【0024】
したがって、MR型イオン交換樹脂は、本発明プロセスの混合樹脂床において使用される、弱酸性陽イオン交換樹脂のためにおよび弱塩基性陰イオン交換樹脂のために使用される。MR型樹脂のマトリックス材料は、架橋スチレン-ジビニルベンゼンコポリマー(スチレン-DVB)、アクリル(メタクリル)酸-ジビニルベンゼンコポリマー、またはこれらの混合物から選択することができる。
【0025】
本発明において有用な弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、少なくとも1種の弱酸性官能基、例えば、弱酸性カルボン酸基、弱酸性リン酸基、弱酸性フェノール基、およびこれらの混合物を有する陽イオン交換樹脂が挙げられる。本明細書で使用されるとき、かかる基は「弱酸性基」と称される。
【0026】
本発明において有用な市販の弱酸性陽イオン交換樹脂のうちのいくつかの例としては、例えば、AMBERLITE(商標)IRC76およびDOWEX(商標)MAC-3(両方ともデュポンから入手可能)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
本発明において有用な弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、少なくとも1種の弱塩基性官能基、例えば、一級、二級または三級アミン(典型的には、ジメチルアミン)基、またはこれらの混合物を有する陰イオン交換樹脂が挙げられる。本明細書で使用されるとき、かかる基は「弱塩基性基」と称される。
【0028】
本発明において有用な市販の弱塩基性陰イオン交換樹脂のいくつかの例としては、例えば、MR型スチレンポリマーマトリックスの例として、AMBERLITE(商標)IRA98、AMBERLITE(商標)96SB、およびAMBERLITE(商標)XE583、およびゲル型アクリルポリマーマトリックスの例としてAMBERLITE(商標)IRA67(これらはすべてDupontから入手可能である)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
1つの好ましい実施形態では、本発明の混合樹脂床において弱酸性陽イオン交換樹脂を使用することで、イオン交換の副反応から生成される有機不純物を最小限に抑えることができる。
【0030】
一般に、弱酸性陽イオン交換樹脂基は、強酸性陽イオン交換樹脂基よりも、金属陽イオンに対する親和性が低い。弱酸性陽イオン交換樹脂を単一床として使用するとき、弱酸性陽イオン交換樹脂基の金属除去効率は、強酸性陽イオン交換樹脂基よりも低いことがわかった。また、弱酸性陽イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂とを混合することによって、親水性溶媒および加水分解性溶媒の両方から金属を除去する優れた能力が達成され得ることがわかった。
【0031】
陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂との混合樹脂床を使用する利点の1つは、かかる混合樹脂床が、単一の陽イオン交換樹脂床よりも、溶媒から金属を除去する能力が高い点である。金属イオン除去のメカニズムは、陽イオン交換反応である。金属イオンが陽イオン交換樹脂に吸収されると、プロトンが放出される。イオン交換反応は平衡反応であるため、反応系からプロトンを除去することにより、高効率の金属イオン除去を達成することができる。また、遊離プロトンは、様々な副反応を引き起こす可能性がある。混合樹脂床では、陰イオン交換樹脂の効果により、プロトンが中和されて反応系から除去される。対陰イオンは、典型的には、金属陽イオンと一緒に存在する。強塩基性陰イオン交換樹脂の場合、陰イオン交換樹脂は、対陰イオンを吸収し、ヒドロキシルイオンを放出することができ、陽イオン交換反応から放出されたプロトンは、陰イオン交換反応から放出されたヒドロキシルイオンと反応して、水分子を形成する。しかしながら、水を加水分解性溶媒に加えると、水は加水分解反応の燃料になる可能性がある。
【0032】
弱塩基性陰イオン交換樹脂を含有する混合樹脂配合物を使用することの利点としては、例えば、かかる混合樹脂床が、加水分解性溶媒の加水分解崩壊を最小限に抑える点が挙げられる。精製される溶媒を陽イオン交換樹脂と接触させると、通常通りプロトンが放出され、放出されたプロトンは、弱塩基基内の窒素原子の非共有電子対と会合する。プロトンを吸収することにより、弱塩基性基は、正の電子電荷を有する。次いで、電荷中性の要件に起因して、陰イオン不純物は弱塩基性基に結合する。その結果、水などの望ましくない成分は、本発明の精製プロセスによって生成されない。したがって、イオン交換樹脂の混合床で弱塩基性陰イオン交換樹脂を使用すると、望ましくない加水分解を伴わずに、加水分解性有機溶媒の精製が提供される。
【0033】
弱酸性陽イオン交換樹脂を含有する混合樹脂配合物を使用することの利点としては、例えば、かかる混合樹脂床が、陽イオン交換樹脂の局在化によって引き起こされ得る加水分解崩壊のリスクを最小限に抑える点が挙げられる。陽イオン交換樹脂の部分的な局在化は、イオン交換樹脂の沈降速度の違いに起因して、樹脂床の構築プロセス中に、樹脂床内の混合物の均一性が崩壊するときに発生する可能性がある。陽イオン交換反応から放出されたプロトンは、中和されるまで活性であり、生成された不純物はプロトンが不活性化された後でも可逆的ではないため、陽イオン交換樹脂の局在化は、溶媒の精製中の加水分解などの副反応のリスクを高める可能性がある。弱酸性陽イオン交換樹脂は、局在化が起こったとしても、加水分解のリスクを減らすことができる。
【0034】
弱酸性陽イオン交換樹脂および弱塩基性陰イオン交換樹脂のビーズサイズの分布は、例えば、一実施形態では100μm~2,000μm、別の実施形態では200μm~1,000μm、およびなお別の実施形態では400μm~700μmのビーズサイズを含む。一実施形態では、MR型イオン交換樹脂ビーズの細孔径は、例えば、1nm~2,000nmの細孔径を含む。ゲル型樹脂の場合、ビーズの細孔径は、例えば、一実施形態では、0.01オングストローム~20オングストロームの細孔径を含む。
【0035】
MR型弱酸性陽イオン交換樹脂とMR型弱塩基性陰イオン交換樹脂とのイオン交換樹脂の組み合わせのブレンド比としては、例えば、一実施形態では、体積(または化学的当量)で1:9~9:1の配合比、および別の実施形態では、3:7~7:3が挙げられる。好ましい実施形態では、陽イオン交換樹脂:陰イオン交換樹脂のブレンド比は5:5である。9:1を超える陽イオン交換樹脂:陰イオン交換樹脂のブレンド比を使用する場合、または1:9未満の陽イオン交換樹脂:陰イオン交換樹脂のブレンド比を使用する場合、金属除去率は有意に低下する。
【0036】
(1)親水性有機溶媒、(2)加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物に関する金属除去のための、MR型弱酸性陽イオン交換樹脂とMR型弱塩基性陰イオン交換樹脂とをベースにした本発明のイオン交換樹脂混合物は、例えば、(1)1つの樹脂配合を、親水性溶媒と加水分解性溶媒との任意の比率のために一般に使用できる、(2)高い金属除去効率を達成することができる、(3)有機不純物の発生を回避することができる、(4)PGMEの場合、陽イオン交換PGMEで観察される純度低下は、混合樹脂処理では起こらない、および/または(5)PGMEAの場合、純度低下を引き起こす加水分解崩壊を回避することができる、ことを含む1つ以上の利点を示す。「純度低下」は、ガスクロマトグラフィー・水素炎イオン化検出器(GC-FID)などの従来の方法で測定され、溶媒の色特性は、イオン交換プロセスによって悪影響を受けない、すなわち、溶媒の色は、本発明のイオン交換樹脂を使用することによって濃くならない。「色」は、例えば、Pt-Co比色計およびASTM D5386に記載されている方法を使用することによって、測定される。
【0037】
広い実施形態では、有機溶媒からイオン汚染物質を除去するためのプロセスは、(a)陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを含むイオン交換樹脂の混合床を調製するステップであって、陽イオン交換樹脂が弱酸性陽イオン交換樹脂であり、陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂である、イオン交換樹脂の混合床を調製するステップと、(b)(1)親水性有機溶媒、(2)加水分解性有機溶媒、または(3)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を、ステップ(a)のイオン交換樹脂の混合床と接触させるステップと、を含む。
【0038】
有機溶媒をイオン交換樹脂の混合床と接触させるとき、液体をイオン交換樹脂と接触させるための任意の既知の従来の方法を使用することができる。例えば、イオン交換樹脂の混合床をカラムにパックすることができ、溶媒を、イオン交換樹脂の混合床を通してカラムの上部から注ぐことができる。プロセスの接触ステップ(b)では、混合樹脂床を通過する溶媒の流量は、例えば、一実施形態では1BV/時~100BV/時、および別の実施形態では1BV/時~50BV/時間であることができる。混合樹脂床を通過する溶媒の流量が100BV/時を超える場合、金属除去率が低下し、混合樹脂床を通過する溶媒の流量が1BV/時未満の場合、精製の生産性が低下するため、目標の生産スループットを達成するためには大きな樹脂床が必要となろう。本明細書で使用されるとき、「BV」は、床容積を意味し、イオン交換樹脂の同量の水和湿潤混合床と接触する液体の量を指している。例えば、120mLのイオン交換樹脂の水和湿潤混合床を使用する場合、1BVは、120mLの有機溶媒がイオン交換樹脂の混合床と接触することを意味している。「BV/時」は、流量(mL/時)を床容積(mL)で割ることによって算出される。
【0039】
一般に、有機溶媒をイオン交換樹脂の混合床と接触させるステップ(b)中のプロセスの温度としては、例えば、一実施形態では0℃~100℃、別の実施形態では10℃~60℃、およびなお別の実施形態では20℃~40℃を挙げることができる。温度が100℃を超える場合、樹脂は損傷し、また温度が0℃未満である場合、処理される溶媒の一部が凍結する場合がある。
【0040】
本発明において有用な弱酸性陽イオン交換樹脂および弱塩基性陰イオン交換樹脂は、元から水を含有することができる(水と平衡状態にある水によって膨潤する)。水は、酸性条件下で起こる加水分解反応のための燃料として機能する。したがって、好ましい実施形態では、溶媒処理の前に、水は、イオン交換樹脂から除去される。1つの一般的な実施形態では、陽イオン交換樹脂中の水の含有量および陰イオン交換樹脂中の水の含有量は、使用前に、それぞれ(すなわち、各樹脂について)10重量%以下に低下させ、別の実施形態では、各樹脂において5重量%以下に低下させる。一実施形態では、イオン交換樹脂から水を除去するための一般的な方法は、例えば、水混和性溶媒での溶媒和によるものを含む。上記の方法を実施する際に、平衡に達するまで樹脂を水混和性溶媒に浸漬する。次いで、樹脂を再び新鮮な水混和性溶媒に浸漬する。水混和性溶媒中に樹脂を繰り返し浸漬することにより、水分除去を達成することができる。別の実施形態では、イオン交換樹脂から水を除去する一般的な方法としては、例えば、イオン交換樹脂を有機溶媒と接触させる前に、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を乾燥させることが挙げられる。乾燥装置、ならびにイオン交換樹脂を乾燥させるための条件、例えば、温度、時間および圧力は、当業者に知られている技術を使用して選択することができる。例えば、イオン交換樹脂は、減圧条件下で、例えば、1時間から48時間間にわたって、60℃~120℃の温度のオーブン中で加熱することができる。水の含有量は、樹脂を105℃で15時間加熱する前後のイオン交換樹脂の重量を比較することによって計算することができる。
【0041】
典型的には、供給溶媒の金属レベルは、ほとんどの金属元素で1ppb未満であるが、一部の金属元素は、様々なファクターに応じて、例えば、使用される溶媒製造プロセス、製造設備、貯蔵施設、および/または包装材料に応じて、1ppbより高い場合がある。
【0042】
1つの一般的な実施形態では、上記のイオン交換樹脂処理後、溶媒の標的金属レベルは、供給溶媒が典型的な金属レベルを含有しているとき、50ppt(パーツパートリリオン、1兆分率)未満である。得られた有機溶媒は、極めて低レベルの金属および非金属イオン汚染物質を含む。金属汚染物質としては、例えば、Na、K、Ca、Al、Fe、Ni、Zn、Cu、Sn、およびCrを挙げることができる。これらの金属汚染物質の各々の濃度は、様々な実施形態において、それぞれ100ppt以下であることができる。したがって、本発明のプロセスを使用して得られた有機溶媒は、超高純度の溶媒を必要とする用途において有用であることができ、例えば、医薬品および電子材料の製造、特に、半導体製作プロセスにおける使用に有用であることができる。
【0043】
本発明のプロセスによって処理された(すなわち、イオン交換処理後の)有機溶媒における金属および非金属イオン汚染物質の濃度は、可能な限り低いことが望ましい。例えば、1つの一般的な実施形態では、有機溶媒中の金属および非金属イオン汚染物質の含有量は、ゼロpptであるか、または検出機器の検出限界よりも低いレベルである(例えば、ICP-MS機器モデルおよび金属元素に応じて、ゼロに近い、例えば、0.01pptである)他の実施形態では、本発明のプロセスによって処理された有機溶媒中の金属および非金属イオン汚染物質は、例えば、一実施形態では100ppt未満、別の実施形態では50ppt未満、およびなお別の実施形態では20ppt未満であることができる。他の実施形態では、特定の個々の金属汚染物質のいくつかは、10ppt未満の濃度レベルであることができる。超高純度溶媒を実現するには、金属の高い除去率が必要である。いくつかの実施形態では、本発明のイオン交換プロセスは、親水性溶媒、加水分解性溶媒、およびこれらの混合物に、13の主要金属の合計に関して90%を超える金属除去効率を有利に提供する。金属除去効率が低すぎると、供給材料の金属レベルを1ppb未満に制御しても、100ppt未満の金属レベルを達成することはできない。
【0044】
イオン交換処理後の有機溶媒の色は、ASTM D5386に記載されている方法などの当技術分野で知られているAPHA法によって測定したときに、可能な限り低いことも望ましい。例えば、1つの一般的な実施形態では、有機溶媒の色は、ゼロまたはゼロに近い、例えば0.1である。APHAカラー測定では、ゼロ調整のために純蒸留水を使用する。各溶媒は、その化学構造に関連する固有のAPHA色を有する。市場で入手可能な溶媒のAPHA色は、溶媒中の微量不純物の影響を受ける。カルボニル基および過酸化物基は、多くの有機溶媒のAPHA色に影響を与える色物質である場合がある。不純物を溶媒から除去すると、所望の固有のAPHA色を得ることができる。イオン交換プロセスによって不純物が生成されると、APHA色は一般的に増加する。いくつかの例外はあり得るが、ほとんどの有機溶媒の固有のAPHA色は10未満である。例えば、一実施形態では、溶媒の色は、イオン交換後にAPHAスケールで5だけ減少し、別の実施形態では、溶媒の色は、変化せず、APHA色スケールで+/-0.1以内である。好ましい実施形態では、イオン交換処理後の溶媒の色は、APHA法によって測定した場合、5未満である。
【0045】
また、イオン交換処理後の溶媒の純度変化は、GC-FIDなどの従来の方法で測定したときに、可能な限り低いことも望ましい。例えば、1つの一般的な実施形態では、有機溶媒の純度変化は、ゼロパーセント(%)であるか、または検出機器の検出限界よりも低いレベルである(例えば、GC検出器の選択、カラムの選択、および他の測定条件の選択に応じて、ゼロ%に近く、例えば、0.000001%)。他の実施形態では、イオン交換処理後の溶媒の純度変化は、例えば、一実施形態では0.05%未満であり、別の実施形態では0.01%未満である。
【実施例
【0046】
本発明のいくつかの実施形態をこれより以下の実施例で詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提示されるが、特許請求の範囲を限定するものと解釈するべきではない。すべての部および割合は、特に指示がない限り重量である。
【0047】
発明実施例(Inv.Ex.)および比較例(Comp.Ex.)で使用される様々な用語および呼称は、以下のように説明する:
「DVB」は、ジビニルベンゼンを表している。
「MR」は、巨大網状を表している。
「BV/時」は、床容積/時を表している。
「WAC」は、弱酸性陽イオン交換樹脂を表しており、弱陽イオン交換樹脂と同じ意味である。
「WBA」は、弱塩基性陰イオン交換樹脂を表しており、弱陰イオン交換樹脂と同じ意味である。
「SAC」は、強酸性陽イオン交換樹脂を表しており、強陽イオン交換樹脂と同じ意味である。
「SBA」は、強塩基性陰イオン交換樹脂を表しており、強陰イオン交換樹脂と同じ意味である。
【0048】
実施例で使用される様々な原材料または構成成分は、以下のように説明される:
DOWEX(商標)MAC-3、AMBERLITE(商標)IRC76、DOWEX(商標)MONOSPHERE 650C UPW、AMBERLITE(商標)IRA98、AMBERJET(商標)UP4000、AMBERJET(商標)9000 OH、およびAMBELITE(商標)IRA904 Clは、イオン交換樹脂であり、表IおよびIIに記載してあり、これらのイオン交換樹脂はDupontから入手可能である。
DOWANOL(商標)PM、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、The Dow Chemical Companyから入手可能な溶媒。
DOWANOL(商標)PMA、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、The Dow Chemical Companyから入手可能な溶媒。
【0049】
実施例で使用される「超純水」は、水処理技術により、HOに可能な限り近づけて作製された高純度の水を意味している。水は、固形物および塩分だけでなく、水に溶解したガスも除去することによって、超高レベルの純度まで処理される。理論上の純水の電気抵抗率比は18.24MΩcmであり、超純水は可能な限りこのレベルに近づけて作製されてきた。
【表1】
【表2】
【表3】
【0050】
実施例1-a-DOWANOL(商標)PM、プロピレングリコールモノメチルエーテルのためのAMBERLITE(商標)IRC76とAMBERLITE(商標)IRA98とを有する1:1体積比混合樹脂床
この実施例1-aでは、50mLの水和状態のAMBERLITE(商標)IRC76樹脂と50mLのAMBERLITE(商標)IRA98樹脂とを混合した。4BV/時で超純水を12時間流した後、洗浄した混合樹脂を、真空オーブン(50℃、10mmHg、および24時間)で乾燥させた。乾燥した混合樹脂を、内径50mmおよび長さ150mmのテフロンカラムに充填した。合計2LのDOWANOL(商標)PMを、水置換のために2BV/時でカラムに流した。次いで、4BV/時の流量においてサンプリングを開始し、流量を変化させた。
【0051】
実施例1-b-DOWANOL(商標)PMA、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのためのDOWEX(商標)MAC-3とAMBERLITE(商標)IRA98とを有する1:1体積比混合樹脂床。
この実施例1-bでは、50mLの水和状態のDOWEX(商標)MAC-3樹脂と50mLのAMBERLITE(商標)IRA98樹脂とを混合した。4BV/時で超純水を12時間流した後、洗浄した混合樹脂を、真空オーブン(50℃、10mmHg、および24時間)で乾燥させた。乾燥した混合樹脂を、内径20mmおよび長さ500mmのテフロンカラムに充填した。合計2LのDOWANOL(商標)PMAを、溶媒和のために2BV/時でカラムに流した。次いで、4BV/時の流量においてサンプリングを開始し、流量を変化させた。
【0052】
実施例2-溶媒混合物のための、実施例1の、AMBERLITE(商標)IRC76およびAMBERLITE(商標)IRA98を有する1:1体積比混合樹脂床
この実施例2では、50mLの水和状態のAMBERLITE(商標)IRC76樹脂と50mLのAMBERLITE(商標)IRA98樹脂とを混合した。4BV/時で超純水を12時間流した後、その混合樹脂を、真空オーブン(50℃、10mmHg、および24時間)で乾燥させた。乾燥した混合樹脂を、内径50mmおよび長さ150mmのテフロンカラムに充填した。DOWANOL(商標)PMとDOWANOL(商標)PMAとの合計3Lの溶媒混合物を、水置換のために2BV/時でカラムに流した。次いで、4BV/時の流量においてサンプリングを開始し、流量を変化させた。
【0053】
実施例3-DOWANOL(商標)PMAのための、実施例1の、DOWEX(商標)MAC-3とAMBERLITE(商標)IRA98とを有する化学量論的に混合された樹脂床
この実施例3では、31mLの水和湿潤DOWEX(商標)MAC-3と89mLの水和湿潤AMBERLITE(商標)IRA98とを混合した。その混合樹脂を、60℃および20mmHgの真空オーブンに15時間入れて、乾燥樹脂を調製した。その乾燥樹脂をテフロンカラムに充填した。DOWANOL(商標)PMA溶媒を、8時間、8mL/分でカラムに流した。次いで、4BV/時の流量においてサンプリングを開始し、流量を変化させた。
【表4】
【0054】
比較例A-DOWANOL(商標)PMのためのDOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)650C UPW
この比較例Aでは、120mLの水和状態のDOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)650CUPW樹脂を内径20mmおよび長さ500mmのテフロンカラムに充填した。DOWANOL(商標)PM(PM)を、40mL/分で3時間カラムに流し、PMによる水置換を行った。次いで、サンプリングを開始し、流量を変えた。
【0055】
比較例B1-DOWANOL(商標)PMのためのDOWEX(商標)MAC-3
この比較例B1では、120mLの水和状態のDOWEX(商標)MAC-3樹脂を、内径20mmおよび長さ500mmのテフロンカラムに充填した。PMを、16BV/時で6時間、カラムに流して水を置換した後、様々な流量でサンプルを採取した。
【0056】
比較例B2-DOWANOL(商標)PMAのためのDOWEX(商標)MAC-3
比較例B1の樹脂床を使用して、DOWANOL(商標)PMAを、DOWANOL(商標)PMAでDOWANOL(商標)PMを置換するために、16BV/時で3時間カラムに流した。次いで、様々な流量でサンプルを採取した。
【0057】
比較例C1-DOWANOL(商標)PMのための、AMBERJET(商標)1024 UP HとAMBERJET(商標)UP4000との化学量論的に混合された樹脂床
この比較例C1では、43mLの水和湿潤陽イオン交換樹脂AMBERJET(商標)1024UP Hと77mLの水和湿潤陰イオン交換樹脂AMBERJET(商標)UP4000とを1:1の化学当量比で混合した。次いで、得られた混合樹脂120mLをテフロンカラムに充填した。DOWANOL(商標)PM溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル、PGME)を、16BV/時で6時間、カラムに流して、DOWANOL(商標)PMで水を置換した。次いで、様々な流量でサンプルを採取した。
【0058】
比較例C2-DOWANOL(商標)PMAのための、AMBERJET(商標)1024 UP HとAMBERJET(商標)UP4000との化学量論的に混合された樹脂床
比較例C1の樹脂床を使用して、DOWANOL(商標)PMAを、PMAでPMを置換するために、7.5BV/時で8時間、カラムに流した。次いで、様々な流量でサンプルを採取した。
【0059】
比較例D-DOWANOL(商標)PMのための、ゲル型強酸性陽イオン交換樹脂AMBERJET(商標)1024UPHとMR型弱塩基性陰イオン交換樹脂AMBERITE(商標)との1:1体積混合物
この比較例Dでは、60mLの水和AMBERJET(商標)1024UP Hおよび60mLの水和AMBERLITE(商標)IRA98を混合し、次いで60℃および20mmHgの真空オーブンで15時間乾燥させた。次いで、その混合樹脂を150mLのテフロンカラムに充填した。DOWANOL(商標)PMAを、溶媒和のために24時間カラムにおいて封入した。次いで、サンプルを採取する前に、DOWANOL(商標)PMAを、16BV/時で5時間、カラムにプリフローした。
【0060】
試験方法
金属試験
溶媒サンプル中の金属濃度は、Agilent Technologyから入手可能なICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析)機器などの従来の装置によって分析し、分析結果は、以下の表に記載してある。オリジナルの金属レベル(濃度)および金属元素比は、供給溶媒のロットによって異なっている。
【0061】
純度および不純物分析
DOWANOL(商標)PMの場合、1-メトキシ-2-プロパノールおよび不純物の濃度は、GC-FID(ガスクロマトグラフィー・水素炎イオン化検出器)で分析し、その結果は、以下の「結果の考察」の項における表に記載してある。「純度」の定義は、GC分析における1-メトキシ-2-プロパノールの面積%である。また、2-メトキシ-1-プロパノールはDOWANOL(商標)PMに存在するベータ異性体である。
【0062】
DOWAMNOL(商標)PMAの場合、1-メトキシ-2-プロパノールアセテートおよび不純物の濃度は、GC-FIDで分析し、その結果は、以下の結果の考察の項における表に記載してある。「純度」の定義は、1-メトキシ-2-プロピルアセテートの面積%である。また、2-メトキシ-1-プロピルアセテートは、DOWANOL(商標)PMA中に存在するベータ異性体である。DOWANOL(商標)PMAの場合、酢酸および1-メトキシ-2-プロパノールは、加水分解崩壊の結果と同じモル比で発生する。典型的なGC条件では酢酸は検出されないため、イオン交換プロセスによって発生した1-メトキシ-e-プロパノールの量を、加水分解崩壊度の指標として使用した。
【0063】
呈色試験
イオン交換カラムに1日封入したDOWANOL(商標)PMの色を、ASTMD5386に記載されている標準的な方法に基づいて評価した。
【0064】
金属および純度の試験結果
弱酸性陽イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂、すなわち、それぞれAMBERLITE(商標)IRC76とAMBERLITE(商標)IRA98とを有する混合樹脂床を使用すると、DOWANOL(商標)PM中の金属残留物は有意に減少し、純度は増す(表Vの実施例1-aに記載されている)。DOWEX(商標)MAC-3とAMBERLITE(商標)IRA98との同様の配合混合物もまた、純度を低下させず、かつ不純物を増加させずに、DOWANOL(商標)PMAから金属を効果的に除去することもできた(表Vの実施例1-bに記載されている)。AMBERITE(商標)IRC76とAMBERLITE(商標)IRA98との混合樹脂を使用すると、DOWANOL(商標)PMとDOWANOL(商標)PMAとのブレンドにおいて、純度および不純物を変えることなく、有意に低い金属残留物(表VIの実施例3に記載されている)を得ることができた。混合イオン交換樹脂によって処理した後、すべての金属含有量を50pptレベル内に制御することができる。金属含有量の多くは10ppt未満であった。
【0065】
親水性溶媒と加水分解性溶媒との混合溶媒を処理するために、イオン交換樹脂床は、化学的損傷を受けずに、各溶媒から金属を除去する能力を有していなければならない。表Vに記載の実施例1-aおよび実施例1-bは、本発明の混合イオン交換樹脂が、親水性溶媒および加水分解性溶媒の両方に対して有効であることを示している。
【0066】
表VIIは、弱酸性陽イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂との混合比を体積比1:3に変更した場合の実施例データである。実施例1-b(体積比1:1)と同等の性能が確認された。
【0067】
しかしながら、比較例(表VIII~Xを参照されたい)で説明されているように、他のイオン交換樹脂の組み合わせを使用すると、0.1ppb未満の金属含有量を達成するのは困難である。また、純度の低下も観察された。
【0068】
単一の陽イオン交換樹脂は、効果の低い金属除去能力を示し、有意な純度の低下が観察された。表VIIIに記載されている比較例Aに示されているように、強陽イオン交換DOWANOL PMは、有意に純度が低下した。
【0069】
表IXに記載されている比較例Bに示されているように、弱酸性陽イオン交換樹脂床は、DOWANOL(商標)PMまたはDOWANOL(商標)PMAのいずれかから金属をほとんど除去することができなかった。また、弱酸性陽イオン交換樹脂を使用することによる溶媒の純度低下は、強陽イオン交換樹脂の場合ほど明白ではない(比較例Aを参照されたい)。しかしながら、この比較例Bでは、不純物の増加レベルは無視できなかった。当該不純物の増加レベルは、特定の望ましい用途ではまだ許容されていない。実施例および比較例の結果に基づいて、弱酸性陽イオン交換樹脂を弱塩基性陰イオン交換樹脂と混合すると、弱酸性陽イオン交換樹脂は、金属除去プロセスにおいて効果的に機能することが見出された。
【0070】
表Xに記載した比較例C1に示されているように、強酸陽イオン交換樹脂と強塩基陰イオン交換樹脂との混合床は、純度を損なうことなく、満足のいく効率的な仕方で、DOWANOL(商標)PMから金属を除去することができる。しかしながら、比較例C1の樹脂は、DOWANOL(商標)PMAなどの加水分解性溶媒から金属を除去するのに有用ではない。表Xに記載されている比較例C2に示されているように、DOWANOL(商標)PMAからの金属除去は、表Vに記載されている実施例1-bほど良好ではなかった。また、DOWANOL(商標)PMAでは、明らかな純度の低下と、加水分解分解生成物としての1-メトキシ-2プロパノールの増加とが、観察された。
【0071】
親水性溶媒と加水分解性溶媒との混合溶媒を処理するに、混合溶媒を処理するために使用されるイオン交換樹脂床は、溶媒に化学的損傷を与えることなく、各成分溶媒から金属を除去する能力を備えている必要がある。また、強酸陽イオン交換樹脂と強塩基陰イオン交換樹脂との混合樹脂は、加水分解性溶媒を含有する混合溶媒を処理するには好適ではないことも類推できる。
【0072】
表XIに記載されている比較例Dでは、高い金属除去効率が観察されたが、微量レベルの1-メトキシ-2-プロパノールが、マイナーな加水分解(miner hydrolysis)の結果としてイオン交換によって発生するが、このような微量レベルの1-メトキシ-2-プロパノールの増分は、ある特定の用途では許容できる場合がある。マイナーなレベルの加水分解は、混合樹脂カラムにおける強酸性陽イオン交換樹脂の局在化に起因すると仮定される。弱酸性陽イオン交換樹脂は、局在化が発生する可能性は同じであるが、表IXに示すように、弱酸性陽イオン交換樹脂は、表VIIIに比較例Aとして示されているように、強酸性陽イオン交換樹脂ほど有意なDOWANOL(商標)PMAの加水分解を引き起こさない。陽イオン交換樹脂の局在化でさえ、弱酸性陽イオンイオン交換樹脂が混合床で使用される際には、加水分解のリスクは無視することができる。
【0073】
以下の表Vには、MR型弱酸性陽イオン交換樹脂とMR型弱塩基性陰イオン交換樹脂との1:1体積の溶媒混合物による、溶媒、DOWANOL(商標)PMおよびDOWANOL(商標)PMAに関するイオン交換処理の結果を記載している。
【表5】
【0074】
以下の表VIには、MR型弱酸性陽イオン交換樹脂およびMR型弱塩基性陰イオン交換樹脂の混合物による、溶媒混合物を処理した結果を記載している。
【表6】
【0075】
以下の表VIIには、MR型弱酸性陽イオン交換樹脂とMR型弱塩基性陰イオン交換樹脂との化学量論的混合物によって、溶媒DOWANOL(商標)PMAを処理した結果を記載している。
【表7】
【表8】
【表9】
【0076】
以下の表Xには、ゲル型強酸性陽イオン交換樹脂とゲル型弱塩基性陰イオン交換樹脂との混合樹脂によって溶媒を処理した結果を記載している。
【表10】
【0077】
以下の表XIには、ゲル型強酸性陽イオン交換樹脂とMR型弱塩基性陰イオン交換樹脂との混合樹脂によって溶媒DOWANOL(商標)PMAを処理した結果を記載している。
【表11】
【0078】
呈色試験
溶媒の呈色試験は、ASTM D5386の方法を使用して上記のように実施する。精製していないオリジナルのDOWANOL(商標)PMの色およびイオン交換樹脂で処理されたDOWANOL(商標)PMの色を、表XIIに示す。表XIIに記載されているように、DOWANOL(商標)PMの色を、そのオリジナルの色から退色させない比較例AおよびCの他のイオン交換樹脂と比較して、実施例1-Aで使用されているイオン交換樹脂は、DOWANOL(商標)PMの色をオリジナルの色から退色させるが、比較例BのDOWANOL(商標)PMの色は変化なしである。
【表12】
【0079】
他の実施形態
本発明のプロセスは、弱酸性陽イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂と含有する様々なカラムで実施することができ、精製される溶媒に応じて、溶媒の流速を変えることができる。しかしながら、一般に、イオン交換樹脂の混合床に接触する溶媒の流量は、1床容積/時~100床容積/時である。
【0080】
本発明のプロセスは、0℃~100℃の運転温度で実施することができる。
【0081】
本発明のプロセスは、親水性溶媒および加水分解性溶媒の溶媒比が1/99~99/1であることができる場合に実施することができる。
【0082】
他の実施形態では、イオン交換処理する前の溶媒の初期色は変化しないことが望ましく、様々な溶媒で初期色は異なり得る。好ましい実施形態において、それによって限定されるものではないが、イオン交換処理後の溶媒の色は、APHA法によって測定すると5未満である。
本願は以下の態様にも関する。
(1)(i)親水性有機溶媒、(ii)加水分解性有機溶媒、または(iii)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を、前記親水性有機溶媒から、前記加水分解性有機溶媒から、または前記親水性有機溶媒および前記加水分解性有機溶媒の混合物から、有機不純物を増加させずに、イオン汚染物質を除去することによって、精製するためのプロセスであって、前記プロセスは、(i)前記親水性有機溶媒、(ii)前記加水分解性有機溶媒、または(iii)前記親水性有機溶媒と前記加水分解性有機溶媒との前記混合物を、イオン交換樹脂の混合床と接触させることを含み、前記イオン交換樹脂の前記混合床が、(a)弱酸性陽イオン交換樹脂および(b)弱塩基性陰イオン交換樹脂の混合物を含む、プロセス。
(2) 前記イオン汚染物質が、金属および非金属のイオン汚染物質を含む、上記(1)に記載のプロセス。
(3) 前記弱酸性陽イオン交換樹脂がマクロ網状型樹脂であり、前記弱塩基性陰イオン交換樹脂がマクロ網状型樹脂である、上記(1)に記載のプロセス。
(4) 前記親水性有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルであり、前記加水分解性有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、前記親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物が、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合物であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの比が、1/99~99/1であることができる、上記(1)に記載のプロセス。
(5) マクロ網状型弱酸性陽イオン交換樹脂およびマクロ網状型弱塩基性陰イオン交換樹脂の組み合わせが、化学的当量において80:20~20:80のブレンド比であり、同時に、溶媒和体積で80:20~20:80のブレンド比である、上記(1)に記載のプロセス。
(6) 前記溶媒がイオン交換樹脂処理に供された後に、前記溶媒の前記金属汚染物質レベルが、50パーツパートリリオン未満である、上記(1)に記載のプロセス。
(7) 前記加水分解性有機溶媒が、エステル結合を有する化合物である、上記(1)に記載のプロセス。
(8) 有機溶媒からイオン汚染物質を除去するためのプロセスであって、
(a)陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを含むイオン交換樹脂の混合床を調製するステップであって、前記陽イオン交換樹脂が弱酸性陽イオン交換樹脂であり、前記陰イオン交換樹脂が弱塩基性陰イオン交換樹脂である、調製するステップと、
(b)(i)親水性有機溶媒、(ii)加水分解性有機溶媒、または(iii)親水性有機溶媒および加水分解性有機溶媒の混合物を、ステップ(a)のイオン交換樹脂の混合床と接触させるステップと、を含む、プロセス。
(9) 前記ステップ(b)が、イオン交換樹脂の混合床で満たされたカラムに前記有機溶媒を流すことによって行われる、上記(8)に記載のプロセス。
(10) 前記有機溶媒の流量が、
1床容積/時~100床容積/時である上記(9)に記載のプロセス。