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特許7507187ガスセンサの組立方法およびガスセンサの組立装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ガスセンサの組立方法およびガスセンサの組立装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/407 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G01N27/407
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022026349
(22)【出願日】2022-02-24
(65)【公開番号】P2023122700
(43)【公開日】2023-09-05
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】上田 春香
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173221(JP,A)
【文献】特開2017-173220(JP,A)
【文献】特開2018-100961(JP,A)
【文献】特開2020-126055(JP,A)
【文献】特開2016-173360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記貫通孔内に配置され、前記貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された圧粉体と、を備えるガスセンサの組立方法であって、
組み立ての対象とする前記センサ素子である対象素子の長さを計測する計測工程と、
前記計測工程にて計測された前記対象素子の長さと、組み立て途中の前記センサ素子における、前記筒状体から突き出している前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さの目標値である中間目標長とから、前記対象素子について、中間目標位置を決定する位置決定工程と、
前記筒状体に対して軸方向に移動可能な前記対象素子の、前記筒状体に対する位置を、前記位置決定工程にて決定された前記中間目標位置に確保した状態で、前記圧粉体を圧縮して、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を仮決めする仮封止工程と、
前記仮封止工程後に、さらに前記圧粉体を圧縮して、前記貫通孔内を気密封止する本封止工程と、
を含む、
ガスセンサの組立方法。
【請求項2】
前記中間目標長は、前記本封止工程における前記センサ素子の前記筒状体に対する移動を考慮して、予め設定されている、
請求項1に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項3】
前記本封止工程においては、
前記仮封止工程の実施後の前記筒状体の位置を制限しつつ、
前記対象素子の先端を他の部材に当接させずに、前記仮封止工程において前記圧粉体に対して加えた圧縮力よりも大きな圧縮力を前記圧粉体に対して加えることによって、前記圧粉体がさらに圧縮されて前記貫通孔内が封止される、
請求項1または2に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項4】
前記中間目標長は、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さに基づいて、更新される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項5】
前記中間目標長は、前記組立方法が実施される組立ラインごとに、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さに基づいて、更新される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項6】
前記中間目標長は、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置ごとに、前記本封止工程の実施後のガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さに基づいて、更新される、
請求項1から5のいずれか1項に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項7】
前記中間目標長は、前記組立方法により組み立てられた複数のガスセンサの各々における、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さを統計的に処理して算出した値に基づいて、更新される、
請求項1から6のいずれか1項に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項8】
前記複数のガスセンサは、前記対象素子を対象とする組立の直前に前記組立方法により組み立てられたガスセンサを含む、
請求項7に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項9】
前記中間目標長は、前記組立方法により所定の本数のガスセンサを組み立てるごとに、見直される、
請求項1から8のいずれか1項に記載のガスセンサの組立方法。
【請求項10】
センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記貫通孔内に配置され、前記貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された圧粉体と、を備えるガスセンサを組み立てるための組立装置であって、
組み立ての対象とする前記センサ素子である対象素子の長さを示す素子長データを取得する素子長取得部と、
前記素子長データにより示される前記対象素子の長さと、組み立て途中の前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さの目標値である中間目標長とから、前記対象素子について、中間目標位置を決定する位置決定部と、
前記筒状体に対して軸方向に移動可能な前記対象素子の、前記筒状体に対する位置を、前記位置決定部により決定された前記中間目標位置に確保する位置決め治具と、
前記圧粉体を圧縮する圧縮部と、
を備え、
前記圧縮部は、
前記位置決め治具により、前記筒状体に対する前記対象素子の位置が、前記中間目標位置に確保された状態で、前記圧粉体を圧縮して、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を仮決めする仮封止部と、
前記筒状体に対する前記対象素子の位置が仮決めされた後に、前記圧粉体をさらに圧縮して、前記貫通孔内を気密封止する本封止部と、
を含む、
組立装置。
【請求項11】
前記中間目標長を格納した記憶部と、
前記組立装置により組み立てられたガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さを示す突き出し長データを取得する突き出し長取得部と、
前記突き出し長データを用いて、前記記憶部に格納されている前記中間目標長を更新する更新部と、
をさらに備える、
請求項10に記載の組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子を備えるガスセンサの組立方法および係る組み立てに用いる組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定するガスセンサとして、センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記貫通孔内に配置され、前記貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された圧粉体と、を備えるガスセンサが知られている。また、このようなガスセンサの組立方法として、前記圧粉体を圧縮して前記筒状体に対する前記センサ素子の位置を仮決めし(つまり、仮封止する)、その後、さらに前記圧粉体を圧縮して気密性を確保する(つまり、本封止する)方法が知られている。
【0003】
ここで、仮封止の際、前記圧粉体を圧縮するのに伴ない、前記センサ素子も、前記筒状体に対して移動し、つまり、前記センサ素子の、前記筒状体から突き出した部分の長さ(特に、前記センサ素子の先端から、前記筒状体の所定部分までの長さ)も、変化する。また、本封止の際にも、前記圧粉体を圧縮するのに伴ない、前記筒状体に対する前記センサ素子は、仮封止後の「前記筒状体に対する前記センサ素子の位置」から、僅かながら変化する。以下では、前記筒状体から突き出した前記センサ素子の先端から、前記筒状体の所定部分までの長さを、「突き出し長」と称する。
【0004】
突き出し長は、前記所定のガス成分(特に、所定のガス成分の種類、濃度変化等)に対する前記センサ素子の反応速度に影響し、また、被水確率(ガスセンサが取り付けられた配管内で、配管内に発生した凝縮水が前記センサ素子に接触する確率)にも影響する。そのため、完成品における突き出し長は、一定であることが必要となる。ただし、前記センサ素子の長さは、必ずしも一定ではない。そこで、完成品における突き出し長を一定にするための方法として、組み立て対象のセンサ素子の長さに応じて、前記圧粉体を圧縮する際に、突き出し長を制御することが考えられる。例えば、下掲の特許文献1には、突き出し長のモニタと、モニタ結果に基づく前記センサ素子の位置制御とを繰り返しながら仮封止を実施する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-126055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、突き出し長のモニタと、モニタ結果に基づく前記センサ素子の位置制御とを繰り返しながら仮封止を実施する従来の方法では、仮封止に要する時間が長くなってしまう。
【0007】
本発明は、一側面では、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮できるガスセンサの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記貫通孔内に配置され、前記貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された圧粉体と、を備えるガスセンサの組立方法であって、組み立ての対象とする前記センサ素子である対象素子の長さを計測する計測工程と、前記計測工程にて計測された前記対象素子の長さと、組み立て途中の前記センサ素子における、前記筒状体から突き出している前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さの目標値である中間目標長とから、前記対象素子について、中間目標位置を決定する位置決定工程と、前記筒状体に対して軸方向に移動可能な前記対象素子の、前記筒状体に対する位置を、前記位置決定工程にて決定された前記中間目標位置に確保した状態で、前記圧粉体を圧縮して、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を仮決めする仮封止工程と、前記仮封止後に、さらに前記圧粉体を圧縮して、前記貫通孔内を気密封止する本封止工程と、を含む。「前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さ」は、「突き出し長」とも称される。前記中間目標長は、仮封止工程の実施後であって、本封止工程の実施前の突き出し長の目標値と言い換えることもできる。
【0010】
当該構成では、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を、前記位置決定工程にて決定された前記中間目標位置に確保した状態で、前記圧粉体を圧縮して、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を仮決めする仮封止工程が実施される。つまり、前記仮封止工程において前記筒状体に対する前記対象素子の位置は、前記対象素子の位置のモニタと、モニタ結果に基づく前記対象素子の位置制御とを繰り返さずに、予め決定された前記中間目標位置に確保された状態で、仮決めされる。
【0011】
そのため、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記対象素子の位置のモニタ、および、モニタ結果に基づく前記対象素子の位置制御を繰り返しながら仮封止を実施する従来の組立方法に比べて、前記対象素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。すなわち、前記仮封止工程は、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。
【0012】
また、前記仮封止工程において仮決めされる、前記筒状体に対する前記対象素子の位置は、前記中間目標位置にある。ここで、前記中間目標位置は、組み立て途中の「前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さ」(以下、「突き出し長」と称する)の目標値である前記中間目標長と、前記対象素子の長さとから設定される。例えば、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子の突き出し長が、前記中間目標長を確保できるように、前記対象素子の長さを考慮して、前記中間目標位置が決定される。そして、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を前記中間目標位置に確保した状態で、前記仮封止工程が実施される。そのため、前記仮封止工程は、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子の突き出し長が、前記中間目標長となるように、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を仮決めすることができる。つまり、前記仮封止工程は、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子が適切な突き出し長(前記中間目標長)を有するよう、前記対象素子の位置を、前記対象素子の長さに応じた適切な位置(前記中間目標位置)に仮決めできる。
【0013】
したがって、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。また、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子が適切な突き出し長を有するよう、前記対象素子の位置を、前記対象素子の長さに応じた適切な位置に仮決めできる。
【0014】
上記一側面に係る組立方法において、前記中間目標長は、前記本封止工程における前記センサ素子の前記筒状体に対する移動を考慮して、予め設定されていてもよい。当該構成では、前記中間目標長は、前記本封止工程における前記センサ素子の前記筒状体に対する移動を考慮して、予め設定されている。ここで、圧粉体を圧縮して、気密封止を実現する本封止に際し、圧粉体の圧縮に伴ない、前記センサ素子が前記筒状体に対して、僅かに移動することが知られている。そこで、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、本封止の際の、つまり、本封止工程における前記センサ素子の前記筒状体に対する移動を考慮して、前記中間目標長を設定する。つまり、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記本封止工程の実施後における突き出し長が、所望の突き出し長(最終目標長)となるように、本封止工程における前記センサ素子の移動を考慮して、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子の突き出し長の目標値を、つまり、前記中間目標長を設定する。そのため、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記本封止工程の実施後における突き出し長を、所望の突き出し長(最終目標長)とすることができる。
【0015】
上記一側面に係る組立方法は、前記本封止工程においては、前記仮封止工程の実施後の前記筒状体の位置を制限しつつ、前記対象素子の先端を他の部材に当接させずに、前記仮封止工程において前記圧粉体に対して加えた圧縮力よりも大きな圧縮力を前記圧粉体に対して加えることによって、前記圧粉体がさらに圧縮されて前記貫通孔内が封止されてもよい。当該構成では、前記貫通孔内を気密封止する本封止工程を実施する際に、前記対象素子の先端は他の部材に接触することがない。そのため、前記本封止工程を実施する際に前記対象素子の先端が他の部材に接触して前記先端に傷が付いたりするなどの不具合が発生することを防ぐことができる。
【0016】
上記一側面に係る組立方法において、前記中間目標長は、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さに基づいて、更新されてもよい。当該構成では、前記中間目標長は、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける、「前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さ」(つまり、突き出し長)に基づいて、更新される。例えば、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長が、前記組立方法により組み立てられるガスセンサにおける突き出し長の目標値(最終目標長)よりも長ければ、前記中間目標長を短くする。また、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長が、前記最終目標長よりも短ければ、前記中間目標長を長くする。それゆえ、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記組立方法により組み立てられたガスセンサの突き出し長を用いて前記中間目標長を更新して、前記組立方法により組み立てられるガスセンサの突き出し長を、前記最終目標長に近付けることができる。
【0017】
上記一側面に係る組立方法において、前記中間目標長は、前記組立方法が実施される組立ラインごとに、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さに基づいて、更新されてもよい。当該構成では、前記中間目標長は、前記組立ラインごとに、前記組立方法により組み立てられたガスセンサの突き出し長に基づいて、更新される。ここで、前記組立ラインを構成する機械の特性等に応じて、前記組立ラインごとに、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長は、前記最終目標長よりも長くなりやすかったり、短くなりやすかったりすることが想定される。つまり、前記組立方法により組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長は、どの組立ラインで組み立てられたかによって、異なる傾向を示すことが考えられる。本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記組立ラインごとの傾向、特性等を考慮することによって、前記組立ラインごとの適切な前記中間目標長を設定することができる。
【0018】
上記一側面に係る組立方法において、前記中間目標長は、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置ごとに、前記本封止工程の実施後のガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さに基づいて、更新されてもよい。当該構成では、前記中間目標長は、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置ごとに、前記本封止工程の実施後のガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さに基づいて、更新される。ここで、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さは、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方において変化する。そして、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置の特性等に応じて、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さの変化は、一定ではない可能性がある。つまり、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置の特性等によって、前記本封止工程の実施後のガスセンサにおける実際の突き出し長は、前記最終目標長よりも長くなりやすかったり、短くなりやすかったりすることが想定される。言い換えれば、前記本封止工程の実施後のガスセンサにおける実際の突き出し長は、どの装置で、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方が実施されたかによって、異なる傾向を示すことが考えられる。そこで、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記本封止工程の実施後のガスセンサにおける実際の突き出し長を、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置ごとに、計測する。つまり、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置ごとの特性を反映した突き出し長を計測する。そして、計測した突き出し長に基づいて、前記仮封止工程および前記本封止工程の少なくとも一方を実施する装置ごとに、前記中間目標長を更新する。そのため、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記装置の傾向、特性等を考慮することによって、前記装置ごとの適切な前記中間目標長を設定することができる。
【0019】
上記一側面に係る組立方法において、前記中間目標長は、前記組立方法により組み立てられた複数のガスセンサの各々における、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さを統計的に処理して算出した値に基づいて、更新されてもよい。当該構成では、前記中間目標長は、前記組立方法により組み立てられた複数のガスセンサの各々の突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、更新される。例えば、前記複数のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、前記中間目標長は更新される。ここで、前記組立方法により組み立てられた1本のガスセンサの突き出し長に基づいて前記中間目標長を更新する場合、その1本のガスセンサの突き出し長は、前記組立方法により組み立てられるガスセンサの突き出し長の傾向とは一致しない可能性がある。例えば、その1本のガスセンサの突き出し長は、前記組立方法により組み立てられるガスセンサの突き出し長の平均値に比べて、長かったり、短かったりする可能性がある。そこで、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記組立方法により組み立てられた複数のガスセンサの各々の突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、前記中間目標長を更新する。それゆえ、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記組立方法により組み立てられた複数のガスセンサが示す傾向を適切に反映した値で、前記中間目標長を更新することができる。
【0020】
上記一側面に係る組立方法において、前記複数のガスセンサは、前記対象素子を対象とする組立の直前に前記組立方法により組み立てられたガスセンサを含んでもよい。当該構成では、前記複数のガスセンサは、前記対象素子を対象とする組立の直前に前記組立方法により組み立てられたガスセンサを含む。前記対象素子を対象とする組立の前に前記組立方法により組み立てられたガスセンサのうち、前記対象素子の突き出し長に影響を及ぼし得る要因からの影響を受けていた可能性が最も高いガスセンサは、前記対象素子を対象とする組立の直前に組み立てられたガスセンサであると考えられる。そこで、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、直前に組み立てられたガスセンサを含む、複数のガスセンサの各々の突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、前記中間目標長を更新する。それゆえ、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記対象素子の突き出し長に影響を及ぼし得る要因を適切に反映して、前記中間目標長を更新することができる。
【0021】
上記一側面に係る組立方法において、前記中間目標長は、前記組立方法により所定の本数のガスセンサを組み立てるごとに、見直されてもよい。当該構成では、前記中間目標長は、前記組立方法により所定の本数のガスセンサを組み立てるごとに、見直される。つまり、前記所定の本数のガスセンサの組み立てに際しては、共通の前記中間目標長が利用される。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、前記所定の本数のガスセンサについて、突き出し長を安定させることができる。
【0022】
本発明の形態は、上記組立方法の形態に限られなくてもよい。上記形態に係る組立方法の別の態様として、本発明の一側面は、以上の各構成の全部又はその一部を実現する組立装置であってもよい。また、本発明の一側面は、以上の各構成の全部又はその一部を実現する情報処理方法であってもよいし、プログラムであってもよいし、このようなプログラムを記憶した、コンピュータその他装置、機械等が読み取り可能な記憶媒体であってもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記憶媒体とは、プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的、又は、化学的作用によって蓄積する媒体である。
【0023】
例えば、本発明の一側面に係る組立装置は、センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記貫通孔内に配置され、前記貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された圧粉体と、を備えるガスセンサを組み立てるための組立装置であって、組み立ての対象とする前記センサ素子である対象素子の長さを示す素子長データを取得する素子長取得部と、前記素子長データにより示される前記対象素子の長さと、組み立て途中の前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さの目標値である中間目標長とから、前記対象素子について、中間目標位置を決定する位置決定部と、前記筒状体に対して軸方向に移動可能な前記対象素子の、前記筒状体に対する位置を、前記位置決定部により決定された前記中間目標位置に確保する位置決め治具と、前記圧粉体を圧縮する圧縮部と、を備え、前記圧縮部は、前記位置決め治具により、前記筒状体に対する前記対象素子の位置が、前記中間目標位置に確保された状態で、前記圧粉体を圧縮して、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を仮決めする仮封止部と、前記筒状体に対する前記対象素子の位置が仮決めされた後に、前記圧粉体をさらに圧縮して、前記貫通孔内を気密封止する本封止部と、を含む。
【0024】
上記一側面に係る組立装置は、前記中間目標長を格納した記憶部と、前記組立装置により組み立てられたガスセンサにおける、前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さを示す突き出し長データを取得する突き出し長取得部と、前記突き出し長データを用いて、前記記憶部に格納されている前記中間目標長を更新する更新部と、をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮できるガスセンサの組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本実施の形態において組立の対象となるガスセンサ(より詳細には、その本体部)の外観斜視図である。
図2図2は、本実施の形態における組立途中のガスセンサの様子を示す模式断面図である。
図3図3は、本実施の形態における組立途中のガスセンサの様子を示す模式断面図である。
図4図4は、本実施の形態に係る組立装置の概略的な構成を示すブロック図である。
図5図5は、図4の組立装置が実行する組立処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、図4の組立装置が実行する更新処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0028】
本実施形態に係るガスセンサの組立方法は、センサ素子と、前記センサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体と、前記貫通孔内に配置され、前記貫通孔の内周面と前記センサ素子との間に充填された圧粉体と、を備えるガスセンサの組立方法である。本実施形態に係るガスセンサの組立方法は、従来の組立方法と同様、前記圧粉体を圧縮して前記筒状体に対する前記センサ素子の位置を仮決めする仮封止工程と、その後さらに前記圧粉体を圧縮して気密性を確保する前記貫通孔内を気密封止する本封止工程と、を含む。ただし、本実施形態に係るガスセンサの組立方法は、前記仮封止工程の前に、以下の計測工程および位置決定工程を実施する。すなわち、前記計測工程において、組み立ての対象とする前記センサ素子である対象素子の長さが計測される。また、前記位置決定工程において、計測された前記対象素子の長さに基づいて、前記対象素子の中間目標位置(制御位置)が決定される。具体的には、前記対象素子の長さと、組み立て途中の前記センサ素子における、前記筒状体から突き出している前記センサ素子の先端から前記筒状体の所定部分までの長さ(以下、「突き出し長」と称する)の目標値である中間目標長とから、中間目標位置が決定される。そして、前記仮封止工程においては、前記筒状体に対して軸方向に移動可能な前記対象素子の、前記筒状体に対する位置が、前記中間目標位置に確保された状態で、前記圧粉体が圧縮され、前記対象素子の位置が仮決めされる。
【0029】
そのため、本実施形態に係るガスセンサの組立方法は、従来の組立方法に比べて、前記対象素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。すなわち、従来の組立方法は、前記対象素子の位置のモニタ、および、モニタ結果に基づく前記対象素子の位置制御を繰り返しながら仮封止を実施していた。これに対し、本実施形態に係るガスセンサの組立方法は、予め決定しておいた前記中間目標位置に前記対象素子の位置を確保した状態で、仮封止工程を実施する。したがって、本実施形態に係るガスセンサの組立方法(特に、前記仮封止工程)は、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。
【0030】
また、前記仮封止工程において仮決めされる、前記筒状体に対する前記対象素子の位置は、前記中間目標位置にある。ここで、前記中間目標位置は、組み立て途中の突き出し長の目標値である前記中間目標長と、前記対象素子の長さとから設定される。例えば、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子の突き出し長が、前記中間目標長を確保できるように、前記対象素子の長さを考慮して、前記中間目標位置が決定される。そして、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を前記中間目標位置に確保した状態で、前記仮封止工程が実施される。そのため、前記仮封止工程は、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子の突き出し長が、前記中間目標長となるように、前記筒状体に対する前記対象素子の位置を仮決めすることができる。つまり、前記仮封止工程は、前記仮封止工程の実施後であって、前記本封止工程の実施前の前記対象素子が適切な突き出し長(前記中間目標長)を有するよう、前記対象素子の位置を、前記対象素子の長さに応じた適切な位置(前記中間目標位置)に仮決めできる。
【0031】
本件発明者は、突き出し長が、前記センサ素子の反応速度に影響し、また、被水確率(ガスセンサが取り付けられた配管内で、配管内に発生した凝縮水が前記センサ素子に接触する確率)にも影響することを確認した。そして、本実施形態に係るガスセンサの組立方法は、前述の通り、ガスセンサの備えるセンサ素子(対象素子)が適切な突き出し長を有するように、前記ガスセンサを組み立てることができる。そのため、本実施形態に係るガスセンサの組立方法は、前記センサ素子の良好な反応速度と低い被水確率とを実現したガスセンサを組み立てることができる。以下、これらの構成を有するガスセンサの組立方法の一例を説明する。
【0032】
[構成例]
(ガスセンサの全体概要)
図1は、本実施の形態において組立の対象となるガスセンサ1(より詳細には、その本体部)の外観斜視図である。本実施の形態において、ガスセンサ1とは、その内部に備わるセンサ素子10によって被測定ガス中の所定のガス成分(例えば、NOx等)の濃度を測定するためのものである。
【0033】
センサ素子10は、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質セラミックスからなる素子体を主たる構成材料とする長尺の柱状あるいは薄板状の部材である。センサ素子10は、第1先端部10aの側にガス導入口および内部空所などを備えるとともに、素子体表面および内部に種々の電極や配線パターンを備えた構成を有する。
【0034】
センサ素子10においては、内部空所に導入された被測定ガスが内部空所内で還元ないしは分解されて酸素イオンが発生する。ガスセンサ1においては、センサ素子10の内部を流れる酸素イオンの量が被測定ガス中における所定のガス成分の濃度に比例することに基づいて、係るガス成分の濃度が求められる。
【0035】
センサ素子10の表面の、第1先端部10aから長手方向における所定の範囲は、保護膜Pで被覆されてなる。保護膜Pは、熱的な衝撃から第1先端部10a近傍を保護するために設けられる、例えばAl23などからなる厚みが10μm~2000μm程度の多孔質膜であり、耐熱衝撃保護層とも称される。保護膜Pは、その目的に照らして、50N程度までの力に耐え得るように形成されるのが好ましい。保護膜Pの形成範囲は、センサ素子10の具体的構造に応じて適宜に定められる。
【0036】
以下の説明においては、センサ素子10の第1先端部10aが配置される側をガスセンサ1の「先端側」と称することがある。同様に、センサ素子10の保護膜Pが設けられていない側の端部(第2先端部10b)が配置される側をガスセンサ1の「後端側」と称することがある。
【0037】
ガスセンサ1の外側は、主として、第1カバー2と、固定ボルト3と、第2カバー4とから構成される。
【0038】
第1カバー2は、センサ素子10のうち、使用時に被測定ガスに直接に接触する部分、具体的には、ガス導入口および内部空所などが備わる第1先端部10aを保護する、略円筒状の外装部材である。例えば、第1カバー2は、外側カバー2aと内側カバー(図示省略)との2層構造となっている。外側カバー2aと内側カバーは、それぞれ、一方側が有底の円筒状をしているとともに、側面部分に気体が通過可能な複数の貫通孔が設けられてなる。なお、図1には、外側カバー2aに設けられた貫通孔H1を例示しているが、これはあくまで例示であって、貫通孔の配置位置および配置個数は、第1カバー2の内部への被測定ガスの流入態様を考慮して適宜に定められてよい。
【0039】
固定ボルト3は、ガスセンサ1を測定位置に固定する際に用いられる環状の部材である。固定ボルト3は、ねじ切りがされたボルト部3aと、ボルト部3aを螺合する際に保持される保持部3bとを備えている。ボルト部3aは、ガスセンサ1の取り付け位置に設けられたナットと螺合する。例えば、自動車の排気管に設けられたナット部にボルト部3aが螺合されることで、ガスセンサ1は、第1カバー2の側が排気管内に露出する態様にて該排気管に固定される。
【0040】
第2カバー4は、ガスセンサ1の他の部位を保護する円筒状部材である。第2カバー4の端部からは、ガスセンサ1と図示しない駆動制御部とを電気的に接続するためのケーブルCが延在している。
【0041】
図1に例示するガスセンサ(の本体部)1は、第1カバー2、固定ボルト3、および第2カバー4によって、図2等を用いて説明する組立体40(特に、本封止工程MSPの実施後の組立体40)を被覆して構成される。すなわち、本封止工程MSPの実施後の組立体40に、第1カバー2、固定ボルト3、および第2カバー4を取り付けることにより、ガスセンサ(の本体部)1が完成する。
【0042】
(ガスセンサの組立方法)
次に、本実施形態に係るガスセンサの組立方法として、組立体40の組立方法Mを、説明していく。組立方法Mの理解を容易にするため、以下では先ず、組立体40について、その概要を説明しておく。
【0043】
(組立体)
図2は、本実施の形態における組立途中のガスセンサの様子を示す模式断面図である。特に、図2は、組立体40を組み立てる際の手順を説明するための、組立体40の組立途中の様子を示す模式断面図である。具体的には、図2の(A)は、仮封止工程TSPの実施中における組立体40の様子を示す模式断面図であり、図2の(B)は、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前の組立体40の様子を示す模式断面図である。
【0044】
図2に示すように、組立体40は、センサ素子10と、センサ素子10が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体30と、筒状体30の貫通孔内に配置され、貫通孔の内周面とセンサ素子10との間に充填された圧粉体9と、を備える。特に、図2に例示する組立体40においては、センサ素子10のうち、第1先端部10aと第2先端部10bとを除く部分に、ワッシャー7と、セラミックサポータ8と、圧粉体9とが、それぞれ、センサ素子10が軸中心に位置する態様にて環装されている。具体的には、センサ素子10に、ワッシャー7と、3つのセラミックサポータ8(8a、8b、8c)と、2つの圧粉体9(9a、9b)とが、環装されている。
【0045】
係る環装は、例えば、センサ素子10の保護膜Pが設けられていない側の端部(第2先端部10b)を、セラミックサポータ8c、圧粉体9b、セラミックサポータ8b、圧粉体9a、セラミックサポータ8a、ワッシャー7の順に挿入することで実現される。ワッシャー7、セラミックサポータ8、および、圧粉体9は、各々、円板状または円柱状をなす。係る環装を実現するため、ワッシャー7の軸中心位置には、円形状の貫通孔が設けられている。同様に、セラミックサポータ8および圧粉体9は、各々、センサ素子10の断面形状に応じた矩形状の貫通孔が設けられている。これらの貫通孔が、センサ素子10と嵌め合わされることで、各部材がセンサ素子10に環装される。なお、セラミックサポータ8cの、圧粉体9b側の貫通孔は、反対側の貫通孔よりも小さな開口を有していてもよい。ワッシャー7と、セラミックサポータ8と、圧粉体9とは、同軸に配置される。
【0046】
以下の説明において、3つのセラミックサポータ8a、8b、8cの各々を特に区別する必要がない場合には、単に「セラミックサポータ8」と称することがある。同様に、2つの圧粉体9a、9bの各々を特に区別する必要がない場合には、単に「圧粉体9」と称することがある。
【0047】
セラミックサポータ8は、セラミックス製の碍子である。一方、圧粉体9は、タルクなどのセラミックス粉末を成型したものである。なお、以降の説明においては、ワッシャー7、セラミックサポータ8、および、圧粉体9を環装部品と総称することがある。
【0048】
ワッシャー7、セラミックサポータ8(8a、8b、8c)、および圧粉体9(9a、9b)の外周には、セラミック製の円筒状部材であるハウジング5と金属製の円筒状部材である内筒6とが一体となった円筒状の筒状体(内筒溶接品)30が環装されてなる。
【0049】
筒状体30は、内筒6の一端部に備わる、外側へと屈曲する屈曲部が、ハウジング5の端面に溶接されることで、一体に構成されてなる。また、ハウジング5と内筒6とは、略同じ内径を有するとともに、同軸に接続されてなる。なお、筒状体30の内径は、各環装部品の最大外径の設計値よりも大きく設定されている。
【0050】
また、ハウジング5内部の一方端側(ガスセンサ1の「先端側」の端部、言い換えれば、組立体40の「先端側」の端部)にはテーパー部が設けられている。そして、本封止工程MSPの実施後、内筒6のワッシャー7の直上の位置には、内側に向けて窪んだ凹部が形成される。これらテーパー部と凹部とによって、センサ素子10に環装されたワッシャー7、セラミックサポータ8(8a、8b、8c)、および圧粉体9(9a、9b)が筒状体30の内部に係止されてなる。
【0051】
封止工程(仮封止工程TSPおよび本封止工程MSP)において、センサ素子10に環装されている圧粉体9は圧縮され、センサ素子10に密着する。圧粉体9とセンサ素子10との密着状態が実現されることで、筒状体30の内部においては、センサ素子10が固定されとともに、センサ素子10の第1先端部10a側と第2先端部10bとの間が封止される。これにより、センサ素子10の第1先端部10aが接する、被測定ガスが存在する被測定ガス空間(例えば、排気管内)と、第2先端部10bが接する例えば大気である基準ガスが存在する基準ガス空間との間の気密性が確保される。本封止工程MSPの実施後に形成される前述の凹部は、圧粉体9の圧縮状態を維持するために設けられている。
【0052】
そして、本封止工程MSPの実施後の組立体40が第1カバー2、固定ボルト3、および第2カバー4にて被覆されたものが、ガスセンサ1である。具体的には、ハウジング5の先端の筒状部には、第1カバー2が接続される。また、ハウジング5の外周には、突起部(フランジ部)5bと接触する態様にて固定ボルト3が環装される。さらに、係る環装によって形成される、固定ボルト3とハウジング5との間の環状の溝部に嵌め込む態様にて、第2カバー4が取り付けられる。
【0053】
(ガスセンサの組立方法の詳細)
以上のような構成を有する組立体40を組み立てる組立方法Mについて、以下に詳細を説明していく。なお、組立体40について、仮封止工程TSPの実施前の組立体40を、仮封止工程TSPの実施後の組立体40と区別する場合、仮封止工程TSPの実施前の組立体40を、特に、「組立体40(α)」と称することがある。仮封止工程TSPの実施前の組立体40である組立体40(α)は、仮封止工程TSPの実施後の組立体40と、基本的な構成は同様である。ただし、組立体40(α)においては、未だ圧粉体9が圧縮されておらず、そのため、組立体40(α)において、センサ素子10は、筒状体30に対して軸方向に移動可能な状態にある。
【0054】
組立方法Mは、第一計測工程FMPと、位置決定工程PDPと、仮封止工程TSPと、本封止工程MSPと、第二計測工程SMPと、を含む。なお、詳細は後述するが、組立方法Mにとって、第二計測工程SMPを含むことは必須ではなく、第二計測工程SMPは省略されてもよい。
【0055】
<1.第一計測工程>
第一計測工程FMPにおいては、組み立ての対象とするセンサ素子である対象素子(センサ素子10)の長さが計測される。前述の通り、センサ素子10は、長尺の柱状あるいは薄板状の部材であり、センサ素子10の長手方向の長さが、第一計測工程FMPにおいて計測される。
【0056】
<2.位置決定工程>
位置決定工程PDPにおいては、第一計測工程FMPにて計測されたセンサ素子10の長さと、組み立て途中のセンサ素子における、突き出し長の目標値である中間目標長Itlとから、センサ素子10の中間目標位置Itp(制御位置)が決定される。「突き出し長」とは、筒状体30から突き出しているセンサ素子の第1先端部10a(保護膜Pが形成された側の端部)から筒状体30の所定部分までの長さである。例えば、中間目標位置Itpは、仮封止工程TSPの実施後の組立体40における突き出し長が中間目標長Itlを確保できるよう、言い換えれば、仮封止工程TSPの実施後の組立体40における突き出し長が中間目標長Itl以上となるように、決定される。
【0057】
ガスセンサにおいて、突き出し長は、所定のガス成分に対するセンサ素子の反応速度に影響し、また、被水確率にも影響するため、完成品としてのガスセンサ1における突き出し長は、一定であることが必要となる。ただし、筒状体30に対するセンサ素子の位置を仮決めするために圧粉体9を圧縮する際、つまり、仮封止工程TSPの実施の際、圧粉体9が環装されたセンサ素子も、圧粉体9と共に、筒状体30に対して移動し、つまり、突き出し長が変化する。また、仮封止工程TSPの実施後に気密性を確保するためにさらに圧粉体9を圧縮する際にも、つまり、本封止工程MSPの実施の際にも、センサ素子は、圧粉体9と共に、筒状体30に対して僅かながら移動し、つまり、突き出し長が僅かながら変化する。
【0058】
そのため、組立方法Mにおいては、最終目標長Ftlおよび中間目標長Itlが予め設定されている。最終目標長Ftlは、本封止工程MSPの実施後の突き出し長の目標値であり、言い換えれば、完成品における突き出し長についての目標値である。また、中間目標長Itlは、組み立て途中のセンサ素子における、突き出し長の目標値であり、特に、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前の突き出し長の目標値である。
【0059】
特に、中間目標長Itlは、最終目標長Ftlと、本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」とを考慮して、予め設定されている。例えば、組立体40におけるセンサ素子(センサ素子10)の突き出し長が、中間目標長Itlに一致し、または、中間目標長Itlからの差異が所定の範囲内に収まるように、仮封止工程TSPにおいて、センサ素子の位置が仮決めされる。仮封止工程TSPの実施後に本封止工程MSPが実施されるが、本封止工程MSPにおいても、センサ素子(センサ素子10)は、筒状体30に対して移動する。この本封止工程MSPの実施後の突き出し長が、最終目標長Ftlに一致し、または、最終目標長Ftlからの差異が所定の範囲内に収まるように、本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」を考慮して、予め中間目標長Itlが設定されている。すなわち、本封止工程MSPの実施後の突き出し長の目標値(最終目標長Ftl)と、本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」とに基づいて、中間目標長Itlは、予め設定されている。
【0060】
以上に説明したように、組立方法Mは、本封止の際の、つまり、本封止工程MSPにおける「センサ素子の筒状体30に対する移動」を考慮して、中間目標長Itlを、予め設定しておく。つまり、組立方法Mは、本封止工程MSPの実施後における突き出し長が、所望の突き出し長(最終目標長Ftl)となるように、本封止工程MSPにおける「センサ素子の移動」を考慮して、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前のセンサ素子の突き出し長の目標値を、つまり、中間目標長Itlを設定する。そのため、組立方法Mは、本封止工程MSPの実施後における突き出し長を、所望の突き出し長(最終目標長Ftl)とすることができる。
【0061】
<3.仮封止工程>
仮封止工程TSPにおいては、組立体40(α)について、センサ素子10の、筒状体30に対する位置が、位置決定工程にて決定された中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9が圧縮され、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされる。すなわち、筒状体30に対して軸方向に移動可能なセンサ素子10の、筒状体30に対する位置が、位置決定工程にて決定された中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9が圧縮され、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされる。この仮封止工程TSPの実施によって、センサ素子10が筒状体30に対して軸方向に移動可能な状態にある組立体40(α)から、圧粉体9が圧縮されることで筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされた組立体40が得られる。
【0062】
(仮封止工程の実施前の組立体の準備)
仮封止工程TSPの実施前の組立体40(α)は、例えば、上述の特許文献1(特開2020-126055号公報)に記載の組立方法を用いて、準備されてもよい。
【0063】
すなわち、予め、長手方向に垂直な断面の形状が、センサ素子10の長手方向の断面形状に類似する、センサ素子10と同様の長尺板状をなす部材である素子ダミーを準備しておく。この素子ダミーは、セラミックサポータ8、および、圧粉体9の貫通孔よりも小さいもののセンサ素子10よりもわずかに大きい厚みおよび幅を有してなる。
【0064】
そして、素子ダミーに環装部品を環装する。例えば、ワッシャー7、セラミックサポータ8a、圧粉体9a、セラミックサポータ8b、圧粉体9b、セラミックサポータ8cの順に、環装部品を素子ダミーのところまで搬送し、さらに、それぞれの部品の貫通孔を素子ダミーに嵌め合わせる。このようにして素子ダミーへの環装部品の環装が完了すると、次に筒状体30が環装される。例えば、筒状体30を、環装部品が環装された素子ダミーの上方へと搬送し、さらに、内筒6を鉛直方向下側に向けた姿勢にて筒状体30を下降させて、環装部品の外周に筒状体30を嵌め合わせる。
【0065】
続いて、センサ素子10の第2先端部10b(保護膜Pが形成されていない側の端部)が素子ダミーに接し、かつ、センサ素子10と素子ダミーとが一直線上に並ぶように、センサ素子10を配置する。例えば、センサ素子10を、他の部材が保護膜Pと接触しない態様にて素子ダミーの上方へと搬送する。そして、保護膜Pが形成された側の端部(第1先端部10a)を上端側とし、第2先端部10bを下端側とする姿勢で、センサ素子10を素子ダミーの鉛直上方において下降させ、素子ダミーの上端に、センサ素子10の第2先端部10bが接するように、センサ素子10を配置する。なお、この段階では、圧粉体9は未だ圧縮されていないため、素子ダミーは、環装部品および筒状体30に対して、軸方向に移動可能な状態にある。
【0066】
このようにして、センサ素子10がその下端部(第2先端部10b)を素子ダミーによって支持された状態で、素子ダミーを鉛直下方へと下降させる。すると、係る下降に呼応して、下端部(第2先端部10b)を素子ダミーによって支持されていたセンサ素子10も鉛直下方へと下降していく。これにより、環装部品の貫通孔内においては素子ダミーとセンサ素子10とが順次に入れ替わっていき、結果として、センサ素子10に環装部品が環装された状態が実現され、つまり、組立体40(α)が準備される。
【0067】
以上に説明したように、仮封止工程TSPの実施前の組立体40(α)は、例えば、以下の(1)から(5)を実施することにより、準備されてもよい。すなわち、(1)センサ素子10の形状に類似する形状を有する素子ダミーを、鉛直方向に長手方向を有するように配置する。次に、(2)素子ダミーに、センサ素子10の断面形状に応じた貫通孔を備える環装部品(ワッシャー7、セラミックサポータ8、圧粉体9)の貫通孔を、鉛直上方から嵌め合わせる。さらに、(3)環装部品の外周に、筒状体30を鉛直上方から嵌め合わせ、その後、(4)素子ダミーの上端部にセンサ素子10を、素子ダミーとセンサ素子10とが一直線上に並ぶように当接配置する。そして、(5)素子ダミーを鉛直下方に下降させることによってセンサ素子10を下降させ、センサ素子10に環装部品の貫通孔を嵌め合わせる。以上の(1)から(5)を実施することにより、センサ素子10と、環装部品と、筒状体30とからなる組立体40(α)を得ることができる。
【0068】
組立体40(α)が得られると、仮封止工程TSPでは先ず、筒状体30に対して軸方向に移動可能なセンサ素子10の、筒状体30に対する位置が、位置決定工程にて決定された中間目標位置Itpに確保される。具体的には、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を中間目標位置Itpに確保するように、素子位置決め治具131が配置される。そして、センサ素子10の、筒状体30に対する位置が中間目標位置Itpに確保された状態で、筒状体30の貫通孔内に配置され、貫通孔の内周面とセンサ素子10との間に充填された圧粉体9が圧縮される。これにより、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされる。以下、図2を参照しながら、仮封止工程TSPの詳細を説明する。
【0069】
例えば、組立体40(α)は、第1先端部10aを鉛直上方側(最上端)とし、第2先端部10bを鉛直下方側(最下端)とする姿勢で、第1先端部10a(保護膜P)が他の部材に接しないようにして搬送される。そして、組立体40(α)は、この姿勢を保ったまま、図2の(A)に示すように、封止補助治具(支持治具)132上に載置される。なお、図2において、紙面上側を鉛直上方とし、紙面下側を鉛直下方とする。
【0070】
封止補助治具132は、鉛直方向に長手方向を有する、上端部が平坦な筒状の部材であり、その上端部にワッシャー7が当接されることによって、組立体40(α)を下方支持できるようになっている。封止補助治具132の上端部の外径は、筒状体30の内径(および各環装部品の外径)よりも小さくなっている。封止補助治具132の上端部の内径は、各環装部品に備わる貫通孔の最大サイズよりも大きくなっている。
【0071】
また、係る載置(下方支持)の際、鉛直下方に突出しているセンサ素子10の第2先端部10bは、封止補助治具132の貫通孔に挿入される。それゆえ、封止補助治具132とセンサ素子10とが干渉することはない。封止補助治具132の貫通孔には、素子位置決め治具131が備わっている。
【0072】
素子位置決め治具131は、仮封止(圧粉体9の圧縮)の際のセンサ素子10の鉛直方向における配置位置を定める(センサ素子10を位置決めする)ためのものである。具体的には、素子位置決め治具131は、筒状体30に対するセンサ素子10を中間目標位置Itpに確保するためのものである。素子位置決め治具131は、鉛直方向に昇降自在とされており、その上端部が仮封止後のセンサ素子10の下端部(すなわち、第2先端部10b)の配置位置となるように、配置される。
【0073】
前述の通り、仮封止工程TSPの実施前の組立体40(α)において、圧粉体9は未だ圧縮されておらず、センサ素子10は、筒状体30に対して軸方向に移動可能な状態にある。そこで、第1先端部10aを最上端とし、第2先端部10bを最下端とする姿勢で、組立体40(α)を封止補助治具132上に載置すると、センサ素子10は、その下端を素子位置決め治具131によって支持されることになる。そのため、素子位置決め治具131を鉛直方向に昇降させることにより、筒状体30に対するセンサ素子10の、鉛直方向の位置を制御することができる。そこで、素子位置決め治具131の鉛直方向の位置を調整することにより、つまり、素子位置決め治具131を昇降させることにより、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が、中間目標位置Itpに確保される。言い換えれば、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を中間目標位置Itpに確保できるように、素子位置決め治具131は配置される。
【0074】
例えば、図2の(A)において、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpよりも低い場合、つまり、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長が中間目標長Itlよりも短い場合、素子位置決め治具131は以下のように配置される。すなわち、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保されるように、素子位置決め治具131を、鉛直上方に上昇させる。素子位置決め治具131が鉛直上方に移動するのに伴い、素子位置決め治具131によって下端を指示されたセンサ素子10も鉛直上方に移動し、筒状体30に対するセンサ素子10の位置は中間目標位置Itpに確保される。つまり、素子位置決め治具131を鉛直方向に上昇させることにより、センサ素子10も鉛直方向に上昇し、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長について、中間目標長Itlが確保される。
【0075】
例えば、図2の(A)において、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpよりも高い場合、つまり、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長が中間目標長Itlよりも長い場合、素子位置決め治具131は以下のように配置される。すなわち、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保されるように、素子位置決め治具131を、鉛直方向に下降させる。素子位置決め治具131が鉛直下方に移動するのに伴い、素子位置決め治具131によって下端を指示されたセンサ素子10も鉛直下方に移動し、筒状体30に対するセンサ素子10の位置は中間目標位置Itpに確保される。つまり、素子位置決め治具131を鉛直方向に下降させることにより、センサ素子10も鉛直方向に下降し、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長について、中間目標長Itlが確保される。
【0076】
なお、図2の(A)においては、センサ素子10の下端部が素子位置決め治具131の上端部に当接されているが、組立体40(α)が封止補助治具132に載置された時点では、係る当接は必須ではない。詳細は後述するが、仮封止治具152を鉛直下方に下降させることにより、圧粉体9が圧縮され、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされる。圧粉体9を圧縮する際、センサ素子10の位置も下降することがある。そのため、圧粉体9を圧縮する際にセンサ素子10の位置が下降する場合にも、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpよりも下降しないように、素子位置決め治具131によって、センサ素子10の下端を支持できればよい。素子位置決め治具131は、圧粉体9の圧縮前に予め、「仮封止工程TSPの実施後における筒状体30に対するセンサ素子10の位置が、中間目標位置Itpを確保できる」位置に、配置されていればよい。
【0077】
以上のような態様にて組立体40(α)が封止補助治具132に載置され、素子位置決め治具131によってセンサ素子10が位置決めされる(つまり、センサ素子10の位置が、中間目標位置Itpに確保される)と、圧粉体9の圧縮が行われる。すなわち、仮封止治具152を用いた圧粉体9(9a、9b)の圧縮による、組立体40(α)内部の一度目の封止である仮封止工程TSPが実施される。仮封止工程TSP(一次圧縮)は、組立体40(α)の内部においてセンサ素子10の位置を仮に固定することを主たる目的として行う封止工程である。ここで、「仮に」と言っているのは、この後に行う本封止工程MSP(二次圧縮)の際にセンサ素子10にわずかながら第1の位置(例えば、中間目標位置Itp)からの変位が生じるからである。
【0078】
仮封止治具152は、鉛直方向に長手方向を有する円筒状の部材である。仮封止治具152は、鉛直方向に昇降自在とされている。より詳細には、組立体40(α)が封止補助治具132によって下方支持されてなる状態において、仮封止治具152が矢印AR1にて示すように鉛直下方に下降させられると、仮封止治具152の下端部が、筒状体30を構成するハウジング5の外周に備わる突起部(フランジ部)5bに当接するようになっている。すなわち、仮封止治具152の少なくとも下端部近傍は、係る当接が実現される径および厚みを有する。
【0079】
仮封止治具152はその内側に上方に開口した空隙部152aを有している。組立体40(α)が封止補助治具132に載置された状態においては、センサ素子10の保護膜Pを有する第1先端部10aが筒状体30の端部から鉛直上方に突出しているが、仮封止治具152が突起部5bに当接する際、第1先端部10aは仮封止治具152の空隙部152aに挿入されるので、封止補助治具132とセンサ素子10とが干渉することはない。それゆえ、保護膜Pが傷つけられたり剥がれたりして破損することもない。
【0080】
仮封止治具152は、その下端部がハウジング5の突起部5bに当接した後もさらに下降させられる。すると、係る下降に伴い、矢印AR2にて示すように筒状体30が鉛直下方に押し下げられる。一方、筒状体30内部の環装部品は封止補助治具132によって下方支持されているので、その位置を維持しようとする。それゆえ、筒状体30の下降に伴いワッシャー7が相対的に筒状体30の内部へと押し込まれることになる。結果として、封止補助治具132の上端部がワッシャー7を押圧し、ワッシャー7に対して鉛直上向きの力(荷重)F1(第1の力)を印加させる状態が実現される。なお、ワッシャー7に対し力F1を好適に印加できるのであれば、ワッシャー7に当接する封止補助治具132の先端部、および、ハウジング5の突起部5bに当接する仮封止治具152の先端部はいずれも、径方向において連続している必要はなく、例えばスリットが入っているなど、断続的な形状を有していてもよい。
【0081】
係る態様にて封止補助治具132からワッシャー7に対して力F1が作用すると、セラミックサポータ8a、8bを介して圧粉体9a、9bにも力F1が圧縮力として作用する。これにより、圧粉体9a、9bは圧縮され、環装部品は全体として、筒状体30の内部へと押し込まれた状態となる。また、係る圧縮に伴い、圧粉体9a、9bとセンサ素子10との間に存在していた隙間はなくなり、圧粉体9a、9bはセンサ素子10に密着する。これにより、それまでは鉛直方向に変位可能であったセンサ素子10が、素子位置決め治具131によって位置決めされつつ圧粉体9a、9bによって固定される。これが、本実施の形態において行う仮封止工程TSPである。すなわち、仮封止工程TSPの実施によって、センサ素子10が筒状体30に対して軸方向に移動可能な状態にある組立体40(α)から、センサ素子10の筒状体30に対する位置が固定された組立体40が得られる。なお、係る仮封止後の組立体40におけるセンサ素子10の配置位置を、第1の位置とする。
【0082】
ここで、力F1は、センサ素子10の固定が実現される一方でセンサ素子10に欠け(あるいは割れ)が生じることのない範囲の大きさにて、印加されるようにする。すなわち、仮封止工程TSPにおいては、圧粉体9はセンサ素子10が固定される程度には圧縮されるが、気密性が十分に確保される程度にまでは圧縮されない。係る気密性の確保は、後段の本封止工程MSPに委ねられる。
【0083】
仮封止工程TSPにおいて、センサ素子10の存在する第1の位置が、許容される下限位置よりも下降することがないように、圧粉体9の圧縮前に予め、素子位置決め治具131が、所望の位置に配置される。つまり、仮封止工程TSPにおいて、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpを確保できるように、圧粉体9の圧縮前に予め、素子位置決め治具131が所望の位置に配置される。例えば、組立体40(α)が封止補助治具132に載置された時点で、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpより低い場合、圧粉体9の圧縮前に予め、素子位置決め治具131を鉛直方向に上昇させる。そして、素子位置決め治具131によって、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9が圧縮される。例えば、組立体40(α)が封止補助治具132に載置された時点で、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpより高い場合、圧粉体9の圧縮前に予め、素子位置決め治具131を鉛直方向に下降させる。そして、素子位置決め治具131によって、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9が圧縮される。
【0084】
このように、圧粉体9の圧縮前に予め、素子位置決め治具131を鉛直方向に昇降して、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を、中間目標位置Itpに確保する。言い換えれば、仮封止工程TSPの実施後における突き出し長が中間目標位置Itpを確保できるように、圧粉体9の圧縮前に予め、センサ素子10の長さに応じて、素子位置決め治具131を配置する。そして、素子位置決め治具131によって、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9が圧縮され、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされる。
【0085】
これまでに説明してきたように、仮封止工程TSPにおいて筒状体30に対するセンサ素子10の位置は、センサ素子10の位置のモニタと、モニタ結果に基づくセンサ素子10の位置制御とを繰り返さずに、予め決定された中間目標位置Itpに確保された状態で、仮決めされる。そのため、組立方法Mは、センサ素子10の位置のモニタ、および、モニタ結果に基づくセンサ素子10の位置制御を繰り返しながら仮封止を実施する従来の組立方法に比べて、センサ素子10の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。すなわち、仮封止工程TSPは、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体9を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。
【0086】
以上に説明した仮封止工程TSPによって、図2の(B)に例示する組立体40が得られる。すなわち、圧粉体9の圧縮によって、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保された状態の組立体40が得られる。
【0087】
<4.本封止工程>
本封止工程MSPにおいては、仮封止後に、つまり、仮封止工程TSPの実施後に、さらに圧粉体9が圧縮され、筒状体30の貫通孔内が気密封止される。図3を参照しながら、本封止工程MSPの詳細を説明する。
【0088】
図3は、本実施の形態における組立途中のガスセンサの様子を示す模式断面図である。特に、図3は、組立体40を組み立てる際の手順を説明するための、組立体40の組立途中の様子を示す模式断面図である。具体的には、図3の(A)は、本封止工程MSPの実施に際して、本封止治具162の下端部がワッシャー7に接する(当接する)状態が実現された組立体40の様子を示す模式断面図である。図3の(B)は、本封止工程MSPの実施に際して搬送パレット106を鉛直上方に上昇させている間の組立体40の様子を示す模式断面図である。
【0089】
例えば、図2を参照して説明した仮封止工程TSPの実施後、仮封止治具152は退避させられ、組立体40は、その姿勢を保ったまま、不図示の反転機構が備える第1反転治具および第2反転治具に受け渡される。
【0090】
反転機構は、受け渡された仮封止後の組立体40の姿勢を、上下反転させる。具体的には、まず、反転機構が第1反転治具および第2反転治具を駆動し、反転機構に備わる第1反転治具および第2反転治具のそれぞれに組立体40を把持させる。第1反転治具は組立体40の下部において鉛直下方に向けて突出しているセンサ素子10を側方から把持し、第2反転治具は、筒状体30を(より具体的にはハウジング5を)側方から把持する。
【0091】
そして、反転機構は、第1反転治具による把持部分と第2反転治具による把持部分との上下関係が入れ替わるように、それぞれの把持状態を保ちつつ、第1反転治具と第2反転治具とを所定の水平軸回りにおいて180°周回移動させる。これによって、組立体40の姿勢が上下反転される。すなわち、組立体40は、保護膜Pが備わるセンサ素子10の第1先端部10a側が最下端部となる姿勢とされる。本実施の形態においては、係る姿勢反転に先立って仮封止工程TSPが実施され、圧粉体9がある程度圧縮されているので、反転に伴う圧粉体9の脱落(こぼれ)が生じにくくなっている。なお、第1反転治具、第2反転治具、および反転機構の具体的な構成は、組立体40(α)の姿勢反転が好適に行える限りにおいて、特に限定されない。
【0092】
姿勢反転がなされた組立体40は、図3の(A)に示すように、搬送パレット106に載置される。搬送パレット106は鉛直方向に昇降自在とされている。
【0093】
搬送パレット106は、鉛直方向と直交するその上面の側に、組立体40を構成するハウジング5に応じた形状の凹部である嵌合部106aを有している。嵌合部106aにハウジング5が嵌め合わされることで、組立体40は、長手方向を鉛直方向に延在させる姿勢にて搬送パレット106に載置固定される。
【0094】
好ましくは、係る載置固定の際、組立体40は水平面内において回転ずれを起こさないように位置決めされる。これは例えば、ハウジング5の外周形状に異方性を持たせ、嵌合部106aもこれに応じた形状とすることで実現されてもよいし、搬送パレット106に備わる図示しない保持手段が組立体40の水平姿勢を保持する態様であってもよい。
【0095】
また、嵌合部106aの下方には孔部106bが設けられている。組立体40の下部においてはセンサ素子10の保護膜Pを有する第1先端部10aが筒状体30の端部から鉛直下方に突出しているが、組立体40(α)が搬送パレット106に載置される際、第1先端部10aは孔部106bに挿入されるので、搬送パレット106と干渉することはない。それゆえ、保護膜Pが傷つけられたり剥がれたりして破損することはない。
【0096】
搬送パレット106に組立体40(α)が載置固定されると、続いて、本封止工程MSP(二次圧縮)が実施される。本封止工程MSPは、被測定ガス空間と基準ガス空間との間の気密の確保を主たる目的として行う封止工程である。
【0097】
本封止工程MSPに際してはまず、図3の(A)において矢印AR3にて示すように、本封止治具162が、組立体40の上方から鉛直下方に向けて下降され、本封止治具162の下端部がワッシャー7に接する(当接する)状態が実現される。
【0098】
本封止治具162は、鉛直方向に長手方向を有する円筒状の部材であり、鉛直方向に昇降自在とされている。なお、本封止治具162の長手方向に垂直な外径は、各環装部品の外径よりも小さくなっており、本封止治具162の内径は、各環装部品に備わる貫通孔の最大サイズよりも大きくなっている。
【0099】
本封止治具162がワッシャー7に当接されると、図3の(B)において矢印AR4にて示すように、搬送パレット106を鉛直上方に上昇させる。
【0100】
すると、係る上昇に伴い、筒状体30も鉛直上方に押し上げられる。一方、筒状体30内部の環装部品のうち、最上部にあるワッシャー7には、その上方から本封止治具162が当接しているので、環装部品はその位置を維持しようとする。それゆえ、搬送パレット106の上昇に伴いワッシャー7が相対的に筒状体30の内部へと押し込まれることになる。結果として、本封止治具162の下端部がワッシャー7を押圧し、ワッシャー7に対して鉛直下向きの力(荷重)F2(第2の力)を印加させる状態が実現される。なお、ワッシャー7に対し力F2が好適に印加できるのであれば、ワッシャー7に当接する本封止治具162の先端部は径方向において連続している必要はなく、例えばスリットが入っているなど、断続的な形状を有していてもよい。
【0101】
本封止治具162からワッシャー7に対して力F2が作用すると、セラミックサポータ8a、8bを介して圧粉体9a、9bにも力F2が圧縮力として作用する。このとき、「F2>F1」であれば、圧粉体9a、9bはさらに圧縮され、環装部品は全体として、筒状体30の内部へとさらに押し込まれる。その結果、被測定ガス空間と基準ガス空間との間が気密封止される。これが、本実施の形態において行う本封止工程MSPである。
【0102】
本封止工程MSPの実施中、センサ素子10の保護膜Pを有する第1先端部10aは、孔部106bに挿入されており、かつ、他の部材と当接することもないので、本封止工程MSPの実施の際に保護膜Pが傷つけられたり剥がれたりして破損することもない。
【0103】
なお、前述の通り、仮封止工程TSPにおいて圧粉体9がある程度圧縮されているので、組立体40からの圧粉体9の脱落(こぼれ)は生じにくくなっている。そのため、本封止工程MSPにおいて、センサ素子10の第1先端部10aが最下端に配置される姿勢で組立体40(筒状体30)を下方支持しつつ、圧縮力(力F2)を圧粉体9に対して鉛直下向きに加えることは必須ではない。例えば、センサ素子10の第1先端部10aが最上端に配置される姿勢で組立体40(筒状体30)を上方支持しつつ、圧縮力(力F2)を圧粉体9に対して鉛直上向きに加えてもよい。本封止工程MSPにおいては、仮封止工程TSPの実施後の筒状体30の位置を制限しつつ、センサ素子10の第1先端部10aを他の部材に当接させずに、圧粉体9に対して圧縮力(力F2)を加えることができればよい。
【0104】
すなわち、本封止工程MSPにおいては、仮封止工程TSPの実施後の筒状体30の位置を制限しつつ、センサ素子10の第1先端部10aを他の部材に当接させずに、仮封止工程TSPにおいて圧粉体9に対して加えた圧縮力(力F1)よりも大きな圧縮力(力F2)を圧粉体9に対して加えることによって、圧粉体9がさらに圧縮されて筒状体30の貫通孔内が封止される。当該構成では、筒状体30の貫通孔内を気密封止する本封止工程MSPを実施する際に、センサ素子10の第1先端部10aは他の部材に接触することがない。そのため、本封止工程MSPを実施する際にセンサ素子10の第1先端部10aが他の部材に接触して前記第1先端部10aに傷が付いたりするなどの不具合が発生することを防ぐことができる。
【0105】
気密封止を確実なものとするには、ワッシャー7に対し印加される力F2が、仮封止工程TSPの際にワッシャー7に印加させる力F1に比して十分に、大きくなるようにする必要がある。その一方で、本封止工程MSPは、センサ素子10の第1先端部10a側のみならず、第2先端部10bの側についても、他の部材に当接させることなく行うことから、仮封止工程TSPの段階でいったんは圧粉体9a、9bによって固定され、第1の位置に配置されていたセンサ素子10が、本封止工程MSPの際にわずかではあるがさらに変位し得る。しかしながら、この本封止工程MSPの実施後のセンサ素子10の配置位置を第2の位置とした場合において、第2の位置がガスセンサ1において所望される特性に照らして許容される所定の誤差範囲内でありさえすれば、たとえそのような変位が生じたとしても、センサ素子10は第2の位置において良好に固定されたものとみなすことができる。
【0106】
それゆえ、本封止工程MSPにあたっては、本封止治具162がワッシャー7に与える圧力が、係る第2の位置があらかじめ定められた許容誤差範囲に収まるような大きさとなるように、搬送パレット106を上昇させるようにする。なお、係る圧力の上限値は、本封止治具162やワッシャー7あるいはセラミックサポータ8の材料強度等を鑑みて適宜に定められればよい。
【0107】
また、本実施の形態において行う2段階の封止(つまり、仮封止工程TSPにおける封止と本封止工程MSPにおける封止)は、封止を一度のみ行う態様に比して、センサ素子10に欠けや割れが生じるリスクをより低める効果がある。
【0108】
具体的にいえば、気密封止に際しては、圧粉体9を圧縮させるべく強い力が加える必要がある一方で、センサ素子10を所定の位置に位置決めする必要がある。それゆえ、位置決めを行うべくセンサ素子10を他の部材に当接させた状態で気密封止を行うと、センサ素子10と他の部材との当接部分にも強い力が作用し、センサ素子10に欠けや割れが生じる可能性がある。
【0109】
これに対し、本実施の形態の場合は、センサ素子10の位置決めを目的とする仮封止工程TSPにおいては、センサ素子10を素子位置決め治具131に当接させるものの圧粉体9に加える圧縮力は気密封止に必要な力よりも小さくしている。そして、その後の本封止工程MSPにおいては、圧粉体9に加える圧縮力は気密封止が実現されるよう大きくする一方で、既にある程度位置決めされているセンサ素子10は他の部材には当接されないようにしている。これにより、センサ素子10と他の部材との当接部分に強い力が作用することはないので、センサ素子10に欠けや割れが生じるリスクはより抑制されている。
【0110】
本封止工程MSPが完了すると、不図示のカシメ治具駆動機構による内筒6の加締めがなされる。具体的には、搬送パレット106および本封止治具162の配置を本封止工程MSPの実施後もそのまま維持した状態で、不図示のカシメ治具駆動機構が作動することにより、カシメ治具が内筒6に対し側方から接近し、ワッシャー7の直上の高さ位置において、内筒6をその外周側から加締める。本封止工程MSPの実施により内筒6の内部であってワッシャー7の上方には空間が出来ているので、係る加締めがなされることで、内筒6には、ワッシャー7の直上の位置に凹部が好適に形成される。係る凹部が形成されることで、環装部品が脱落することが防止され、筒状体30の内部における環装部品の係止が実現される。なお、係る凹部の形成に続いて増し締めが行われてもよい。
【0111】
上述した凹部の形成によって(あるいはその後の増し締めによって)、組立体40が完成したことになる。係る凹部の形成後、本封止治具162を上昇させて所定の退避位置に退避させる。その後さらに、搬送パレット106を鉛直下方に下降させ、本封止工程MSPの実施前の位置に復帰させる。以上により、組立装置100における一連の組立手順が完了する。
【0112】
<5.第二計測工程>
第二計測工程SMPにおいては、本封止工程MSPの実施後の組立体40について、突き出し長が計測される。第二計測工程SMPにおいて計測された突き出し長は、最終目標長Ftlと比較されてもよい。組立方法Mは、第二計測工程SMPにおいて計測された突き出し長が、最終目標長Ftlよりも所定値以上長かったり、所定値以上短かったりした場合には、本封止工程MSPの実施後の組立体40を不良品として破棄してもよい。また、組立方法Mは、第二計測工程SMPにおいて計測された突き出し長と、最終目標長Ftlとの比較結果を用いて、中間目標長Itlの更新処理(更新工程)を行なってもよい。更新工程について、詳細は後述する。
【0113】
[特徴]
これまで説明してきたように、本実施形態に係るガスセンサの組立方法Mは、センサ素子と、このセンサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体30と、筒状体30の貫通孔内に配置され、係る貫通孔の内周面とセンサ素子との間に充填された圧粉体9と、を備えるガスセンサの組立方法である。組立方法Mは、第一計測工程FMP(計測工程)と、位置決定工程PDPと、本封止工程MSPと、を含む。
【0114】
第一計測工程FMPにおいて、組み立ての対象とするセンサ素子である対象素子(センサ素子10)の長さが計測される。位置決定工程PDPにおいて、第一計測工程FMPにて計測されたセンサ素子10の長さと、組み立て途中のセンサ素子の突き出し長の目標値である中間目標長Itlとから、センサ素子10について、中間目標位置Itp(制御位置)が決定される。「突き出し長」は、「筒状体30から突き出しているセンサ素子の第1先端部10aから筒状体30の所定部分までの長さ」である。また、「中間目標長Itl」は、「仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前の突き出し長の目標値」である。仮封止工程TSPにおいて、筒状体30に対して軸方向に移動可能なセンサ素子10の、筒状体30に対する位置が、中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9が圧縮されて、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされる。
本封止工程MSPにおいて、仮封止後に、つまり、仮封止工程TSPの実施後に、さらに圧粉体9が圧縮されて、筒状体30の貫通孔内が気密封止される。
【0115】
当該構成では、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を、位置決定工程PDPにて決定された中間目標位置Itpに確保した状態で、圧粉体9を圧縮して、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を仮決めする仮封止工程TSPが実施される。つまり、仮封止工程TSPにおいて筒状体30に対するセンサ素子10の位置は、センサ素子10の位置のモニタと、モニタ結果に基づくセンサ素子10の位置制御とを繰り返さずに、予め決定された中間目標位置Itpに確保された状態で、仮決めされる。
【0116】
そのため、組立方法Mは、センサ素子10の位置のモニタ、および、モニタ結果に基づくセンサ素子10の位置制御を繰り返しながら仮封止を実施する従来の組立方法に比べて、センサ素子10の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。すなわち、仮封止工程TSPは、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体9を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。
【0117】
また、仮封止工程TSPにおいて仮決めされる、筒状体30に対するセンサ素子10の位置は、中間目標位置Itpにある。ここで、中間目標位置Itpは、組み立て途中の突き出し長についての目標値である中間目標長Itlと、センサ素子10の長さとから設定される。例えば、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前のセンサ素子10の突き出し長が、中間目標長Itlを確保できるように、センサ素子10の長さを考慮して、中間目標位置Itpが決定される。そして、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を中間目標位置Itpに確保した状態で、仮封止工程TSPが実施される。そのため、仮封止工程TSPは、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前のセンサ素子10の突き出し長が、中間目標長Itlとなるように、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を仮決めすることができる。つまり、仮封止工程TSPは、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前のセンサ素子10が適切な突き出し長(中間目標長Itl)を有するよう、センサ素子10の位置を、センサ素子10の長さに応じた適切な位置(中間目標位置Itp)に仮決めできる。
【0118】
したがって、組立方法Mは、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体9を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。また、組立方法Mは、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前のセンサ素子10が適切な突き出し長を有するよう、センサ素子10の位置を、センサ素子10の長さに応じた適切な位置に仮決めできる。
【0119】
組立方法Mにおいて、中間目標長Itlは、本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」を考慮して、予め設定されている。ここで、圧粉体9を圧縮して、気密封止を実現する本封止に際し、圧粉体9の圧縮に伴ない、センサ素子が筒状体30に対して、僅かに移動することが知られている。そこで、組立方法Mは、本封止の際の、つまり、本封止工程MSPにおける「センサ素子の筒状体30に対する移動」を考慮して、中間目標長Itlを設定する。つまり、組立方法Mは、本封止工程MSPの実施後における突き出し長が、所望の突き出し長(つまり、最終目標長Ftl)となるように、本封止工程MSPにおける「センサ素子の移動」を考慮して、仮封止工程TSPの実施後であって、本封止工程MSPの実施前のセンサ素子の突き出し長の目標値を、つまり、中間目標長Itlを設定する。そのため、組立方法Mは、本封止工程MSPの実施後における突き出し長を、所望の突き出し長(最終目標長Ftl)とすることができる。
【0120】
本封止工程MSPにおいては、仮封止工程TSPの実施後の筒状体30の位置を制限しつつ、センサ素子10の第1先端部10aを他の部材に当接させずに、仮封止工程TSPにおいて圧粉体9に対して加えた圧縮力よりも大きな圧縮力を圧粉体9に対して加えることによって、圧粉体9がさらに圧縮されて筒状体30の貫通孔内が封止される。当該構成では、筒状体30の貫通孔内を気密封止する本封止工程MSPを実施する際に、センサ素子10の第1先端部10aは他の部材に接触することがない。そのため、本封止工程MSPを実施する際にセンサ素子10の第1先端部10aが他の部材に接触して前記第1先端部10aに傷が付いたりするなどの不具合が発生することを防ぐことができる。
【0121】
<更新工程>
これまでに説明してきた組立方法Mは、第二計測工程SMPにおいて計測された突き出し長と、最終目標長Ftlとの比較結果を用いて、中間目標長Itlを更新する更新工程を行なってもよい。すなわち、組立方法Mにおいて中間目標長Itlは、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長に基づいて、つまり、完成品における突き出し長に基づいて、更新されてもよい。例えば、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長が、組立方法Mにより組み立てられるガスセンサにおける突き出し長の目標値(最終目標長Ftl)よりも長ければ、中間目標長Itlを短くする。また、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長が、最終目標長Ftlよりも短ければ、中間目標長Itlを長くする。それゆえ、組立方法Mは、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサの突き出し長を用いて中間目標長Itlを更新して、組立方法Mにより組み立てられるガスセンサの突き出し長を、最終目標長Ftlに近付けることができる。
【0122】
前述の通り、中間目標長Itlは、最終目標長Ftlと、本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」とを考慮して、予め設定されている。すなわち、本封止工程MSPの実施後の突き出し長が、最終目標長Ftlに一致し、または、最終目標長Ftlからの差異が所定の範囲内に収まるように、本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」を考慮して、中間目標長Itl予めが設定されている。
【0123】
本封止工程MSPの実施後の突き出し長が最終目標長Ftlよりも大きい場合、中間目標長Itlを設定する際に考慮した『本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」量』が、想定よりも大きかったと考えられる。そこで、本封止工程MSPの実施後の突き出し長と、最終目標長Ftlとの差から、『本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」量』(移動量)を算出し直す。そして、算出し直した移動量と、最終目標長Ftlとに基づいて、中間目標長Itlを再設定し、つまり、中間目標長Itlを更新する。すなわち、本封止工程MSPにおける移動量が想定よりも大きかったと考えられる場合、本封止工程MSPの実施後の突き出し長と、最終目標長Ftlとの差から算出し直した(小さな)移動量に基づいて、中間目標長Itlの値を以前よりも小さな値に更新する。
【0124】
本封止工程MSPの実施後の突き出し長が最終目標長Ftlよりも小さい場合、中間目標長Itlを設定する際に考慮した『本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」量』が、想定よりも小さかったと考えられる。そこで、本封止工程MSPの実施後の突き出し長と、最終目標長Ftlとの差から、『本封止工程MSPにおける「センサ素子の、筒状体30に対する移動」量』を算出し直す。そして、算出し直した移動量と、最終目標長Ftlとに基づいて、中間目標長Itlを再設定し、つまり、中間目標長Itlを更新する。すなわち、本封止工程MSPにおける移動量が想定よりも小さかったと考えられる場合、本封止工程MSPの実施後の突き出し長と、最終目標長Ftlとの差から算出し直した(大きな)移動量に基づいて、中間目標長Itlの値を以前よりも大きな値に更新する。
【0125】
例えば、組立方法Mは、組み立ての対象とするセンサ素子であるセンサ素子10を用いて、ガスセンサ1を組み立てようとする前に、以下の工程を実施する。すなわち、組立方法Mは、ガスセンサ1よりも前に組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長を計測する。そして、計測した突き出し長と最終目標長Ftlとを比較する。比較の結果、計測した突き出し長が最終目標長Ftlよりも長い場合、中間目標長Itlは、係る比較の前の中間目標長Itlの値よりも小さな値に更新され、つまり、中間目標長Itlは、短くなるように更新される。比較の結果、計測した突き出し長が最終目標長Ftlよりも短い場合、中間目標長Itlは、係る比較の前の中間目標長Itlの値よりも大きな値に更新され、つまり、中間目標長Itlは、長くなるように更新される。そして、位置決定工程PDPにおいては、更新後の中間目標長Itlと、第一計測工程FMPにて計測されたセンサ素子10の長さと、から、センサ素子10について、中間目標位置Itpが決定される。
【0126】
特に、中間目標長Itlは、組立方法Mが実施される組立ラインごとに、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長に基づいて、更新されてもよい。ここで、組立方法Mが実施される組立ラインを構成する機械の特性等に応じて、組立ラインごとに、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長は、最終目標長Ftlよりも長くなりやすかったり、短くなりやすかったりすることが想定される。つまり、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長は、どの組立ラインで組み立てられたかによって、異なる傾向を示すことが考えられる。組立方法Mは、組立方法Mが実施される組立ラインごとの傾向、特性等を考慮することによって、組立ラインごとの適切な中間目標長Itlを設定することができる。
【0127】
例えば、組立方法Mが実施される組立ラインとして、組立ラインL(1)、L(2)、L(3)、・・・、L(n)(「n」は「1」以上の整数)がある場合、組立方法Mは、以下のように、中間目標長Itlの更新(更新工程)を実施する。なお、以下の説明において、組立ラインL(1)、L(2)、L(3)、・・・、L(n)の各々を特に区別する必要がない場合には、単に「組立ラインL」と称することがある。
【0128】
すなわち、組立方法Mは、組立ラインLごとに、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長を計測する。例えば、組立ラインL(1)において組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長を計測し、組立ラインL(2)において組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長を計測し、同様に、組立ラインL(n)において組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長を計測する。そして、組立ラインLごとに計測された突き出し長を用いて、組立ラインLごとに、中間目標長Itlを更新する。例えば、組立ラインL(1)において計測された突き出し長を用いて、組立ラインL(1)において設定されている中間目標長Itlを更新し、組立ラインL(2)において計測された突き出し長を用いて、組立ラインL(2)において設定されている中間目標長Itlを更新する。同様に、組立ラインL(n)において計測された突き出し長を用いて、組立ラインL(n)において設定されている中間目標長Itlを更新する。このように、組立方法Mは、組立ラインLごとに、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長を計測し、計測された突き出し長を用いて、組立ラインLごとに、中間目標長Itlを更新してもよい。
【0129】
中間目標長Itlは、組立方法Mにより組み立てられた複数のガスセンサの各々における突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、更新されてもよい。例えば、組立方法Mにより組み立てられた複数のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、中間目標長Itlは更新される。ここで、組立方法Mにより組み立てられた1本のガスセンサの突き出し長に基づいて中間目標長Itlを更新する場合、その1本のガスセンサの突き出し長は、組立方法Mにより組み立てられるガスセンサの突き出し長の一般的な傾向とは一致しない可能性がある。例えば、その1本のガスセンサの突き出し長は、組立方法Mにより組み立てられるガスセンサの突き出し長の平均値に比べて、長かったり、短かったりする可能性がある。そこで、組立方法Mは、組立方法Mにより組み立てられた複数のガスセンサの各々の突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、中間目標長Itlを更新する。例えば、組立方法Mは、組立方法Mにより組み立てられたX本(「X」は「2」以上の整数)のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、中間目標長Itlを更新する。それゆえ、組立方法Mは、組立方法Mにより組み立てられた複数のガスセンサが示す傾向を適切に反映した値で、中間目標長Itlを更新することができる。なお、組立方法Mは、「統計的に処理して算出した値」として、平均値の代わりに、中央値または最頻値を用いてもよい。
【0130】
中間目標長Itlを更新する際に用いられる「組立方法Mにより組み立てられた複数のガスセンサ」は、センサ素子10(すなわち、組み立ての対象とするセンサ素子)を対象とする組立の直前に組立方法Mにより組み立てられたガスセンサを含んでいてもよい。センサ素子10を対象とする組立の前に組立方法Mにより組み立てられたガスセンサのうち、センサ素子10の突き出し長に影響を及ぼし得る要因からの影響を受けていた可能性が最も高いガスセンサは、センサ素子10を対象とする組立の直前に組み立てられたガスセンサであると考えられる。そこで、組立方法Mは、直前に組み立てられたガスセンサを含む、複数のガスセンサの各々の突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、中間目標長Itlを更新する。それゆえ、組立方法Mは、センサ素子10の突き出し長に影響を及ぼし得る要因を適切に反映して、中間目標長Itlを更新することができる。
【0131】
例えば、組立方法Mにおいて、中間目標長Itlは、組み立ての対象とするセンサ素子であるセンサ素子10を対象とする組立の直前に組立方法Mにより組み立てられたX本のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、更新される。具体的には、直前に組み立てられたX本のガスセンサの突き出し長の平均値が、最終目標長Ftlよりも長い場合、中間目標長Itlは、係る平均値が算出される前に用いられていた中間目標長Itlの値よりも小さな値に更新される。また、直前に組み立てられたX本のガスセンサの突き出し長の平均値が、最終目標長Ftlよりも短い場合、中間目標長Itlは、係る平均値が算出される前に用いられていた中間目標長Itlの値よりも大きな値に更新される。
【0132】
一例において、組立方法Mは、組立方法Mにより組み立てられた、1本目からX本目までのX本のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、「X+1」本目に組み立てるガスセンサを組み立てる際に用いる中間目標長Itlを算出する(更新する)。組立方法Mは、1本目からX本目までのガスセンサの突き出し長の平均値を用いて更新した中間目標長Itlを利用して、「X+1」本目のガスセンサを組み立てる。「X+1」本目のガスセンサの組み立てが完了すると、組立方法Mは、2本目から「X+1」本目までのX本のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、「X+2」本目に組み立てるガスセンサを組み立てる際に用いる中間目標長Itlを算出する(更新する)。組立方法Mは、更新後の中間目標長Itlを用いて、「X+2」本目に組み立てるガスセンサを組み立てる。
【0133】
中間目標長Itlを更新する際に用いられる「組立方法Mにより組み立てられた複数のガスセンサ」は、それまでに組立方法Mにより組み立てられたガスセンサから、不良品と判定されたガスセンサを除いたガスセンサであってもよい。
【0134】
例えば、組立方法Mは、第二計測工程SMPにおいて計測された突き出し長が、最終目標長Ftlよりも所定値以上長かったり、所定値以上短かったりした場合には、本封止工程MSPの実施後の組立体40(ガスセンサ1)を不良品として破棄する。そして、不良品として破棄した分を除いた、所定本数のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、中間目標長Itlを更新してもよい。
【0135】
例えば、組立方法Mにより組み立てられた1本目からX本目までのX本のガスセンサが全て、不良品ではない(良品である)と判定された場合、組立方法Mは、これらX本のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、「X+1」本目に組み立てるガスセンサを組み立てる際に用いる中間目標長Itlを算出する(更新する)。組立方法Mは、1本目からX本目までのガスセンサの突き出し長の平均値を用いて更新した中間目標長Itlを利用して、「X+1」本目のガスセンサを組み立てる。「X+1」本目のガスセンサの組み立てが完了すると、組立方法Mは、「X+1」本目に組み立てたガスセンサの突き出し長と最終目標長Ftlとの差を算出する。
【0136】
「X+1」本目に組み立てたガスセンサの突き出し長と最終目標長Ftlとの差が所定値以上だと、組立方法Mは、「X+1」本目に組み立てたガスセンサを不良品と判定し、この「X+1」本目に組み立てたガスセンサを破棄する。そして、組立方法Mは、1本目からX本目までのX本のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて算出された中間目標長Itlを用いて、「X+2」本目に組み立てるガスセンサを組み立てる。
【0137】
「X+1」本目に組み立てたガスセンサの突き出し長と最終目標長Ftlとの差が所定値未満だと、組立方法Mは、「X+1」本目に組み立てたガスセンサを良品と判定する。そして、組立方法Mは、2本目から「X+1」本目までのX本のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、「X+2」本目に組み立てるガスセンサを組み立てる際に用いる中間目標長Itlを算出する(更新する)。組立方法Mは、更新後の中間目標長Itlを用いて、「X+2」本目に組み立てるガスセンサを組み立てる。
【0138】
なお、中間目標長Itlを更新する際に参照する「組立方法Mにより組み立てられたガスセンサの突き出し長」が、「組立方法Mにより組み立てられた複数のガスセンサの突き出し長」であることは必須ではない。中間目標長Itlを更新する際に参照する「組立方法Mにより組み立てられたガスセンサの突き出し長」は、「組立方法Mにより組み立てられた1本のガスセンサの突き出し長」であってもよい。ただし、中間目標長Itlを更新する際に参照する「組立方法Mにより組み立てられたガスセンサの突き出し長」は、「組立方法Mにより組み立てられた、突き出し長と最終目標長Ftlとの差が所定値未満であるガスセンサの突き出し長」とするのが望ましい。
【0139】
<組立装置>
これまでに説明してきた組立方法Mの別の態様として、本発明の一側面は、以上の各構成の全部又はその一部を実現する組立装置であってもよい。以下に、本実施形態に係る組立装置100について、図4図6を参照して、その詳細を説明する。
【0140】
(組立装置の構成例)
図4は、組立装置100の概略的な構成を示すブロック図である。図4に例示する組立装置100は、ハードウェア構成として、制御部101と、操作部102と、表示部103と、記憶部104と、搬送部105と、待機部107と、を備える。
【0141】
制御部101は、組立装置100全体の動作を制御し、ハードウェアプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)101a、ROM(Read Only Memory)101b、RAM(Random Access Memory)101c等から構成される。制御部101は、プログラム(例えば、後述する動作プログラム104p)および各種データ(例えば、後述する中間目標長データ104t)に基づいて情報処理を実行するように構成される。
【0142】
操作部102は、入力インタフェースであり、例えば、組立装置100に対して種々の実行指示などを与えるためのスイッチ、ボタン、マウス、キーボード、タッチパネルなどからなる。表示部103は、組立装置100の種々の動作メニュー、動作状態などを表示し、例えば、ディスプレイ、計器類などにより実現される。
【0143】
記憶部104は、メモリの一例であり、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等で構成される。本実施形態では、記憶部104は、組立装置100の動作プログラム104pと、中間目標長Itlを示す中間目標長データ104tとを格納している(記憶している)。動作プログラム104pは、組立処理を組立装置100に実行させるためのプログラムである。記憶部104は、さらに、不図示の動作条件データなどが格納されていてもよい。
【0144】
搬送部105は、組立体40(α)および組立体40を搬送し、組立体40(α)および組立体40が載置される搬送パレット106を含む。待機部107は、組立完了後の組立体40を、つまり、本封止工程MSPの実施後の組立体40を、保管する。
【0145】
組立装置100は、不図示の通信インタフェースを備えていてもよい。係る通信インタフェースは、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、ネットワークを介した有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。組立装置100は、通信インタフェースを利用して、他の情報処理装置との間で、ネットワークを介したデータ通信を実行することができる。また、組立装置100は、不図示の外部インタフェースを備えていてもよい。係る外部インタフェースは、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、専用ポート等であり、外部装置と接続するためのインタフェースである。外部インタフェースの種類および数は任意に選択されてよい。動作プログラム104pおよび中間目標長Itlを示す中間目標長データ104tの少なくとも一方は、外部の装置から取得されてもよい。この場合に、組立装置100は、通信インタフェースおよび外部インタフェースの少なくとも一方を介して、当該外部の装置に接続されてよい。
【0146】
なお、組立装置100の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換および追加が可能である。例えば、制御部101は、複数のハードウェアプロセッサを含んでもよい。ハードウェアプロセッサは、マイクロプロセッサ、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(digital signal processor)等で構成されてよい。記憶部104は、制御部101に含まれるRAMおよびROMにより構成されてもよい。操作部102、表示部103、搬送部105、待機部107、通信インタフェース、外部インタフェース、の少なくともいずれかは省略されてもよい。組立装置100は、複数台のコンピュータで構成されてもよい。この場合、各コンピュータのハードウェア構成は、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。また、組立装置100は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のサーバ装置、PC(Personal Computer)等であってもよい。
【0147】
組立装置100の制御部101は、記憶部104に記憶された動作プログラム104pをRAMに展開する。そして、制御部101は、RAMに展開された動作プログラム104pに含まれる命令をCPUにより解釈および実行して、各構成要素を制御する。これにより、図4に示されるとおり、本実施形態に係る組立装置100は、素子長取得部110、位置決定部120、位置決め治具昇降部130、圧縮部140、突き出し長取得部170、および、更新部180をソフトウェアモジュールとして備えるコンピュータとして動作する。すなわち、本実施形態では、組立装置100の各ソフトウェアモジュールは、制御部101(CPU)により実現される。
【0148】
なお、組立装置100が、突き出し長取得部170および更新部180を備えることは必須ではない。すなわち、更新工程に対応する更新ステップ(更新処理)を実行することは、組立装置100にとって必須ではない。前述の通り、組立方法Mは、第一計測工程FMPと、位置決定工程PDPと、仮封止工程TSPと、本封止工程MSPと、を含む。組立方法Mを実現する組立装置100は、組立方法Mの各工程に対応する、素子長取得部110、位置決定部120、素子位置決め治具131(位置決め治具昇降部130)、仮封止部150、および、本封止部160を備える。組立方法Mは、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける突き出し長に基づいて、つまり、完成品における突き出し長に基づいて、中間目標長Itlを更新する更新工程を行なってもよい。これに対応して、組立装置100は、更新部180を備えていてもよい。以下、組立装置100の各ソフトウェアモジュールについて、その詳細を説明する。
【0149】
素子長取得部110は、組み立ての対象とするセンサ素子である対象素子(センサ素子10)の長さを示す素子長データを取得する。例えば、素子長取得部110は、素子長計測部111に、センサ素子10の長さを計測させる。そして、素子長取得部110は、素子長計測部111による計測結果を、つまり、素子長計測部111によって計測された「センサ素子10の長さ」を示す素子長データを、素子長計測部111から取得する。
【0150】
なお、素子長取得部110が素子長データを取得できればよく、組立装置100が素子長計測部111を含むことは必須ではない。例えば、素子長計測部111は、組立装置100の外部の計測装置であってもよい。すなわち、素子長取得部110は、組立装置100の外部の計測装置である素子長計測部111から、素子長データを取得してもよい。
【0151】
位置決定部120は、素子長取得部110によって取得された素子長データにより示される「センサ素子10の長さ」と、中間目標長Itlとから、センサ素子10について、中間目標位置Itp(制御位置)を決定する。例えば、位置決定部120は、素子長取得部110から、素子長データを受け取る。また、位置決定部120は、記憶部104を参照して、中間目標長Itlを示す中間目標長データ104tを取得する。位置決定部120は、素子長取得部110から受け取った素子長データにより示される「センサ素子10の長さ」と、中間目標長データ104tにより示される中間目標長Itlとから、センサ素子10の中間目標位置Itpを決定する。
【0152】
位置決め治具昇降部130は、素子位置決め治具131によって、筒状体30に対して軸方向に移動可能なセンサ素子10の、筒状体30に対する位置を、位置決定部120により決定された中間目標位置Itpに確保する。例えば、位置決め治具昇降部130は、素子位置決め治具131を鉛直方向に昇降させて、筒状体30に対して軸方向に移動可能なセンサ素子10の、筒状体30に対する位置を、位置決定部120により決定された中間目標位置Itpに確保する。具体的には、鉛直方向における「センサ素子10の筒状体30に対する位置」が中間目標位置Itpよりも低い場合、位置決め治具昇降部130は、素子位置決め治具131を上昇させて、センサ素子10の筒状体30に対する位置を中間目標位置Itpに確保する。鉛直方向における「センサ素子10の筒状体30に対する位置」が中間目標位置Itpよりも高い場合、位置決め治具昇降部130は、素子位置決め治具131を下降させて、センサ素子10の筒状体30に対する位置を中間目標位置Itpに確保する。
【0153】
素子位置決め治具131(位置決め治具)は、図2において説明した素子位置決め治具131と同様である。素子位置決め治具131は、筒状体30に対して軸方向に移動可能なセンサ素子10の、筒状体30に対する位置を、位置決定部120により決定された中間目標位置Itpに確保する。上述の通り、素子位置決め治具131は、位置決め治具昇降部130によってその位置を調整されることにより、「センサ素子10の筒状体30に対する位置」を、中間目標位置Itpに確保する。
【0154】
圧縮部140は、圧粉体9を圧縮するソフトウェアモジュールであり、特に、圧粉体9に作用させる圧縮力を制御するソフトウェアモジュールであり、仮封止部150と本封止部160とを含む。
【0155】
仮封止部150は、素子位置決め治具131により、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が、中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9を圧縮して、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を仮決めする。例えば、仮封止部150は、仮封止治具152を鉛直方向に昇降させることにより圧粉体9に作用させる圧縮力を制御する仮封止治具昇降部151を含む。
【0156】
本封止部160は、仮封止部150によって筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされた後に、圧粉体9をさらに圧縮して、筒状体30の貫通孔内を気密封止する。例えば、本封止部160は、本封止治具162を鉛直方向に昇降させることにより圧粉体9に作用させる圧縮力を制御する本封止治具昇降部161を含む。
【0157】
突き出し長取得部170は、組立装置100により組み立てられたガスセンサの突き出し長(つまり、「センサ素子の第1先端部10aから筒状体30の所定部分までの長さ」)を示す突き出し長データを取得する。例えば、突き出し長取得部170は、突き出し長計測部171に、組立装置100により組み立てられたガスセンサの突き出し長を、つまり、完成品の突き出し長を計測させる。そして、突き出し長取得部170は、突き出し長計測部171による計測結果を、つまり、突き出し長計測部171によって計測された「完成品の突き出し長」を示す突き出し長データを、突き出し長計測部171から取得する。
【0158】
更新部180は、突き出し長取得部170により取得された突き出し長データを用いて、記憶部104に格納されている中間目標長Itlを更新する。例えば、突き出し長データにより示される「完成品の突き出し長」が、最終目標長Ftlよりも長い場合、更新部180は、中間目標長データ104tの値を、「完成品の突き出し長」の最終目標長Ftlに対する超過分に応じて、従前より小さな値に更新する。例えば、突き出し長データにより示される「完成品の突き出し長」が、最終目標長Ftlよりも短い場合、更新部180は、中間目標長データ104tの値を、「完成品の突き出し長」の最終目標長Ftlに対する不足分に応じて、従前より大きな値に更新する。
【0159】
上述の各ソフトウェアモジュールを備える組立装置100は、図5に例示する組立処理を実行することにより、ガスセンサ(ガスセンサ1)を組み立てる。
【0160】
(組立装置の動作例1-組立処理)
図5は、組立装置100が実行する組立処理の一例を示すフローチャートである。図5に例示するように、組立装置100が実行する組立処理は、第一計測ステップ(S110)と、位置決定ステップ(S120)と、仮封止ステップ(S130)と、本封止ステップ(140)と、を含む。
【0161】
<第一計測ステップ(S110)>
組立処理における第一計測ステップは、組立方法Mの第一計測工程FMPに対応する。第一計測ステップにおいて、素子長計測部111は、組み立ての対象とするセンサ素子である対象素子(センサ素子10)の長さを計測する。素子長取得部110は、素子長計測部111によって計測された「センサ素子10の長さ」を示す素子長データを、素子長計測部111から取得する。
【0162】
<位置決定ステップ(S120)>
組立処理における位置決定ステップは、組立方法Mの位置決定工程PDPに対応する。位置決定ステップにおいて、位置決定部120は、第一計測ステップにおいて計測された「センサ素子10の長さ」と、中間目標長Itlとから、センサ素子10の中間目標位置Itpを決定する。
【0163】
<仮封止ステップ(S130)>
組立処理における仮封止ステップは、図2を用いて説明した「組立方法Mの仮封止工程TSP」に対応する。仮封止ステップにおいて、仮封止部150は、素子位置決め治具131によりセンサ素子10(対象素子)の位置が中間目標位置Itpに確保された状態の組立体40(α)について、仮封止を実施する。具体的には、仮封止部150は、素子位置決め治具131によって筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保された状態の組立体40(α)について、圧粉体9を圧縮してセンサ素子10の位置を仮決めする。
【0164】
例えば、素子ダミーとセンサ素子10とを入れ替えることで準備された組立体40(α)は、第1先端部10aを鉛直上方側(最上端)とし、第2先端部10bを鉛直下方側(最下端)とする姿勢で、第1先端部10a(保護膜P)が他の部材に接しないようにして、搬送部105によって搬送される。そして、組立体40(α)は、この姿勢を保ったまま、図2の(A)に示すように、封止補助治具(支持治具)132上に載置される。
【0165】
素子位置決め治具131は、位置決め治具昇降部130によって鉛直方向に昇降自在とされており、位置決め治具昇降部130は、素子位置決め治具131を鉛直方向に昇降させて、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を、中間目標位置Itpに確保する。
【0166】
例えば、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpよりも低い場合、つまり、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長が中間目標長Itlよりも短い場合、位置決め治具昇降部130は、以下の制御を実行する。すなわち、位置決め治具昇降部130は、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保されるように、素子位置決め治具131を鉛直方向に上昇させる。素子位置決め治具131が鉛直上方に移動するのに伴い、素子位置決め治具131によって下端を指示されたセンサ素子10も鉛直上方に移動し、筒状体30に対するセンサ素子10の位置は中間目標位置Itpに確保される。つまり、素子位置決め治具131を鉛直方向に上昇させることにより、センサ素子10も鉛直方向に上昇し、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長について、中間目標長Itlが確保される。
【0167】
例えば、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpよりも高い場合、つまり、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長が中間目標長Itlよりも長い場合、位置決め治具昇降部130は、以下の制御を実行する。すなわち、位置決め治具昇降部130は、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保されるように、素子位置決め治具131を鉛直方向に下降させる。素子位置決め治具131が鉛直下方に移動するのに伴い、素子位置決め治具131によって下端を指示されたセンサ素子10も鉛直下方に移動し、筒状体30に対するセンサ素子10の位置は中間目標位置Itpに確保される。つまり、素子位置決め治具131を鉛直方向に下降させることにより、センサ素子10も鉛直方向に下降し、封止補助治具132上に載置された組立体40(α)の突き出し長について、中間目標長Itlが確保される。
【0168】
位置決め治具昇降部130は、圧粉体9の圧縮前に予め、素子位置決め治具131を、「仮封止ステップの実行後における筒状体30に対するセンサ素子10の位置が、中間目標位置Itpを確保できる」位置に、配置する。
【0169】
以上のような態様にて組立体40(α)が封止補助治具132に載置され、素子位置決め治具131(位置決め治具昇降部130)によってセンサ素子10が位置決めされると、仮封止治具152を用いて圧粉体9が圧縮される。すなわち、位置決め治具昇降部130は、素子位置決め治具131の位置を調整することによって、センサ素子10の位置を、中間目標位置Itpに確保する(位置決めを実行する)。素子位置決め治具131(位置決め治具昇降部130)によって、センサ素子10の位置が、中間目標位置Itpに確保されると、仮封止部150(仮封止治具昇降部151)は、仮封止治具152を用いて圧粉体9(9a、9b)を圧縮し、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を仮決めする。
【0170】
仮封止治具152は、仮封止治具昇降部151によって鉛直方向に昇降自在とされている。そして、仮封止治具昇降部151が仮封止治具152を鉛直下方に下降することにより、図2の(A)を用いて説明したように、圧粉体9は圧縮され、センサ素子10が、素子位置決め治具131によって位置決めされつつ、圧粉体9によって固定される。
【0171】
これまでに説明してきたように、仮封止ステップにおいて筒状体30に対するセンサ素子10の位置は、センサ素子10の位置のモニタと、モニタ結果に基づくセンサ素子10の位置制御とを繰り返さずに、予め決定された中間目標位置Itpに確保された状態で、仮決めされる。そのため、組立装置100は、センサ素子10の位置のモニタ、および、モニタ結果に基づくセンサ素子10の位置制御を繰り返しながら仮封止を実施する従来の組立方法に比べて、センサ素子10の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。すなわち、仮封止ステップは、気密性確保のための本封止の前に実施する、圧粉体9を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。
【0172】
以上に説明した仮封止ステップによって、図2の(B)に例示する組立体40が得られる。すなわち、圧粉体9の圧縮によって、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が中間目標位置Itpに確保された状態の組立体40が得られる。
【0173】
<本封止ステップ(S140)>
組立処理における本封止ステップは、図3を用いて説明した「組立方法Mの本封止工程MSP」に対応する。本封止ステップにおいて、本封止部160は、本封止を実施し、具体的には、仮封止部150によって筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされた後に、圧粉体9をさらに圧縮して、筒状体30の貫通孔内を気密封止する。
【0174】
例えば、仮封止ステップの実行後、仮封止治具152は退避させられ、組立体40は、搬送部105によってその姿勢を保ったまま、不図示の反転機構が備える第1反転治具および第2反転治具に受け渡される。そして、反転機構によって、組立体40の姿勢は反転される。すなわち、反転機構によって、組立体40は、保護膜Pが備わるセンサ素子10の第1先端部10a側が最下端部となる姿勢とされる。
【0175】
姿勢反転がなされた組立体40は、図3の(A)に示すように、搬送部105に備わる搬送パレット106に載置される。搬送部105において、搬送パレット106は鉛直方向に昇降自在とされてなる。なお、搬送パレット106は、全ての組立工程(組立処理)が完了することで得られる組立体40を待機部107に搬送する際にも用いられる。
【0176】
搬送パレット106に組立体40(α)が載置固定されると、続いて、本封止ステップ(二次圧縮)が実行される。本封止ステップは、被測定ガス空間と基準ガス空間との間の気密の確保を主たる目的として行われる。
【0177】
本封止ステップに際してはまず、本封止治具昇降部161が、本封止治具162を組立体40の上方から鉛直下方に向けて下降させ、本封止治具162の下端部をワッシャー7に当接させる(図3の(A))。本封止治具162がワッシャー7に当接された後、搬送部105は、搬送パレット106を鉛直上方に上昇させる。すると、係る上昇に伴い、図3の(B)を用いて説明したように、圧粉体9が圧縮され、筒状体30の貫通孔内が気密封止される。これが、本実施の形態において行う本封止ステップである。
【0178】
本封止工程MSPと同様に、本封止ステップにおいては、仮封止ステップの実行後の筒状体30の位置を制限しつつ、センサ素子10の第1先端部10aを他の部材に当接させずに、仮封止ステップにおいて圧粉体9に対して加えた圧縮力(力F1)よりも大きな圧縮力(力F2)を圧粉体9に対して加えることによって、圧粉体9がさらに圧縮されて筒状体30の貫通孔内が封止される。当該構成では、筒状体30の貫通孔内を気密封止する本封止ステップを実行する際に、センサ素子10の第1先端部10aは他の部材に接触することがない。そのため、本封止ステップを実施する際にセンサ素子10の第1先端部10aが他の部材に接触して前記第1先端部10aに傷が付いたりするなどの不具合が発生することを防ぐことができる。
【0179】
(組立装置の特徴)
以上に説明したように、組立装置100は、センサ素子と、このセンサ素子が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体30と、筒状体30の貫通孔内に配置され、係る貫通孔の内周面とセンサ素子との間に充填された圧粉体9と、を備えるガスセンサを組み立てる装置である。
【0180】
組立装置100は、素子長取得部110と、位置決定部120と、素子位置決め治具131(位置決め治具昇降部130)と、圧縮部140と、を備え、圧縮部140は、仮封止部150と、本封止部160と、を含む。素子長取得部110は、組み立ての対象とするセンサ素子である対象素子(センサ素子10)の長さを示す素子長データを取得する。位置決定部120は、素子長データにより示されるセンサ素子10の長さと、組み立て途中の突き出し長の目標値である中間目標長Itlとから、センサ素子10について、中間目標位置Itpを決定する。言い換えると、位置決定部120は、センサ素子10の長さと、「仮封止ステップの実行後であって、本封止ステップの実行前の突き出し長の目標値」である中間目標長Itlとから、センサ素子10について、中間目標位置Itpを決定する。素子位置決め治具131(位置決め治具昇降部130)は、筒状体30に対して軸方向に移動可能なセンサ素子10の、筒状体30に対する位置を、中間目標位置Itpに確保する。圧縮部140は、圧粉体9を圧縮する。仮封止部150は、素子位置決め治具131により、筒状体30に対するセンサ素子10の位置が、中間目標位置Itpに確保された状態で、圧粉体9を圧縮して、筒状体30に対するセンサ素子10の位置を仮決めする。本封止部160は、仮封止部150によって筒状体30に対するセンサ素子10の位置が仮決めされた後に、圧粉体9をさらに圧縮して、筒状体30の貫通孔内を気密封止する。
【0181】
当該構成では、組立装置100は、組立方法Mと同様に、圧粉体9を圧縮してセンサ素子の位置を仮決めする仮封止に要する時間を短縮することができる。また、組立装置100は、組立方法Mと同様に、仮封止ステップの実行後であって、本封止ステップの実行前のセンサ素子10が適切な突き出し長を有するよう、センサ素子10の位置を、センサ素子10の長さに応じた適切な位置に仮決めできる。
【0182】
(組立装置の動作例2-更新処理)
図6は、組立装置100が実行する更新処理の一例を示すフローチャートである。組立装置100が実行する更新処理は、第二計測ステップ(S210)と、中間目標長更新ステップ(S220)と、を含む。
【0183】
<第二計測ステップ(S210)>
組立処理における第二計測ステップは、組立方法Mの第二計測工程SMPに対応する。第二計測ステップにおいて、突き出し長計測部171は、本封止ステップ実行後のガスセンサについて、その突き出し長を計測する。突き出し長取得部170は、突き出し長計測部171によって計測された「本封止ステップ実行後のガスセンサの突き出し長」を示す突き出し長データを、突き出し長計測部171から取得する。
【0184】
<中間目標長更新ステップ(S220)>
組立処理における中間目標長更新ステップは、組立方法Mの更新工程に対応する。中間目標長更新ステップにおいて、更新部180は、第二計測ステップにて計測された「本封止ステップ実行後のガスセンサの突き出し長」に基づいて、中間目標長Itlを更新する。すなわち、更新部180は、本封止ステップ実行後のガスセンサにおける突き出し長に基づいて、つまり、完成品における突き出し長に基づいて、中間目標長Itlを、より正確には、中間目標長Itlを示す中間目標長データ104tを更新する。例えば、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長が、最終目標長Ftlよりも長ければ、更新部180は、中間目標長データ104tの値を、小さな値に更新し、つまり、中間目標長Itlを短くする。また、組立方法Mにより組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長が、最終目標長Ftlよりも短ければ、更新部180は、中間目標長データ104tの値を、大きな値に更新し、つまり、中間目標長Itlを長くする。それゆえ、組立装置100は、組立装置100の組み立てたガスセンサの突き出し長を用いて中間目標長Itlを更新して、組立装置100の組み立てるガスセンサの突き出し長を、最終目標長Ftlに近付けることができる。
【0185】
これまでに説明してきたように、組立装置100は、組立方法Mにおける更新工程に対応する更新処理を行なってもよい。つまり、組立装置100は、第二計測ステップにて計測された突き出し長と、最終目標長Ftlとの比較結果を用いて、中間目標長Itlの値を更新する更新処理を行なってもよい。
【0186】
すなわち、組立装置100は、中間目標長Itl(を示す中間目標長データ104t)を格納した記憶部104と、突き出し長取得部170と、更新部180と、をさらに備えてもよい。突き出し長取得部170は、組立装置100により組み立てられたガスセンサにおける突き出し長(つまり、センサ素子の第1先端部10aから筒状体30の所定部分までの長さ)を示す突き出し長データを取得する。更新部180は、突き出し長取得部170により取得された突き出し長データを用いて、記憶部104に格納されている中間目標長Itlを更新する。
【0187】
当該構成では、組立装置100は、組立装置100により組み立てられたガスセンサの突き出し長を用いて中間目標長Itlを更新して、組立方法Mにより組み立てられるガスセンサの突き出し長を、最終目標長Ftlに近付けることができる。
【0188】
なお、組立装置100は、図5を用いて概要を説明した組立処理の実行後に、図6に例示する更新処理を実行してもよい。すなわち、図5に例示する組立処理により組み立てられたガスセンサ(中間体)について、その突き出し長を計測し、計測した突き出し長に基づき、中間目標長Itlを更新し、更新した中間目標長Itlを、次に組み立てるガスセンサの組み立てに用いてもよい。
【0189】
更新部180は、組立装置100によって組立処理が実行される組立ラインごとに、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられたガスセンサにおける突き出し長に基づいて、中間目標長Itlを更新してもよい。ここで、組立装置100の特性等に応じて、組立装置100によって組立処理が実行される組立ラインごとに、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長は、最終目標長Ftlよりも長くなりやすかったり、短くなりやすかったりすることが想定される。つまり、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられたガスセンサにおける実際の突き出し長は、どの組立ラインで組み立てられたかによって、異なる傾向を示すことが考えられる。組立装置100(特に、更新部180)は、組立装置100によって組立処理が実行される組立ラインごとの傾向、特性等を考慮することによって、組立ラインごとの適切な中間目標長Itlを設定することができる。
【0190】
更新部180は、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられた複数のガスセンサの各々における突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、中間目標長Itlを更新してもよい。例えば、更新部180は、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられた複数のガスセンサの突き出し長の平均値を用いて、中間目標長Itlを更新する。ここで、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられた1本のガスセンサの突き出し長に基づいて中間目標長Itlを更新する場合、その1本のガスセンサの突き出し長は、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられるガスセンサの突き出し長の一般的な傾向とは一致しない可能性がある。例えば、その1本のガスセンサの突き出し長は、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられるガスセンサの突き出し長の平均値に比べて、長かったり、短かったりする可能性がある。そこで、組立装置100(特に、更新部180)は、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられた複数のガスセンサの各々の突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、中間目標長Itlを更新する。それゆえ、組立装置100(特に、更新部180)は、組立装置100の実行する組立処理により組み立てられた複数のガスセンサが示す傾向を適切に反映した値で、中間目標長Itlを更新することができる。
【0191】
中間目標長Itlを更新する際に用いられる「組立装置100の実行する組立処理により組み立てられた複数のガスセンサ」は、センサ素子10(すなわち、組み立ての対象とするセンサ素子)を対象とする組立の直前に組立装置100の実行する組立処理により組み立てられたガスセンサを含んでいてもよい。センサ素子10を対象とする組立の前に組立装置100の実行する組立処理により組み立てられたガスセンサのうち、センサ素子10の突き出し長に影響を及ぼし得る要因からの影響を受けていた可能性が最も高いガスセンサは、センサ素子10を対象とする組立の直前に組み立てられたガスセンサであると考えられる。そこで、組立装置100(特に、更新部180)は、直前に組み立てられたガスセンサを含む、複数のガスセンサの各々の突き出し長を統計的に処理して算出した値に基づいて、中間目標長Itlを更新する。それゆえ、組立装置100(特に、更新部180)は、センサ素子10の突き出し長に影響を及ぼし得る要因を適切に反映して、中間目標長Itlを更新することができる。
【0192】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述までの実施形態の説明は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。上記実施形態には、種々の改良及び変形が行われてよい。上記実施形態の各構成要素に関して、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が行われてもよい。また、上記実施形態の各構成要素の形状及び寸法は、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0193】
(仮封止工程の実施前の組立体に係る変形例)
これまで、仮封止工程TSPの実施前の組立体40(α)を得る方法として、素子ダミーを用いて組立体40(α)を準備する方法を説明した。しかしながら、組立体40(α)を得る方法は、素子ダミーを用いる方法に限られるものではない。組立方法Mおよび組立装置100にとって、素子ダミーを用いて組立体40(α)を準備することは必須ではない。組立方法Mおよび組立装置100にとっては、仮封止工程TSPの実施前(仮封止ステップの実行前)に、組立体40(α)が準備されていればよい。すなわち、センサ素子10と、センサ素子10が内部を軸方向に貫通する貫通孔を有する筒状体30と、この貫通孔内に配置され、貫通孔の内周面とセンサ素子10との間に充填された圧粉体9と、を備え、未だ圧粉体9が圧縮されていない組立体40(α)を得ることができればよい。
【0194】
(更新工程に係る変形例1)
これまで、組立ラインごとに、組み立てられたガスセンサにおける突き出し長が計測され、計測された突き出し長に基づいて、組立ラインごとに、中間目標長Itlが更新される例を説明してきた。しかしながら、組立ラインごとに突き出し長が計測され、計測された突き出し長に基づいて、組立ラインごとに、中間目標長Itlが更新されることは必須ではない。
【0195】
中間目標長Itlは、仮封止工程TSPおよび本封止工程MSPの少なくとも一方を実施する装置ごとに、本封止工程MSPの実施後のガスセンサ(組立体40)の突き出し長(「センサ素子の第1先端部10aから筒状体30の所定部分までの長さ」)に基づいて、更新されてもよい。
【0196】
例えば、組立方法Mにおいて、仮封止工程TSPを実施する装置と、本封止工程MSPを実施する装置とを分けてもよい。言い換えれば、組立処理における仮封止ステップを実行する装置と、本封止ステップを実行する装置とを分けてもよい。1台の組立装置100が仮封止部150と本封止部160とを備えることは必須ではなく、複数の装置によって、組立装置100を構成してもよい。例えば、組立装置100は、仮封止部150を備える装置と、本封止部160を備える装置とを含んでいてもよい。つまり、組立処理における仮封止ステップと本封止ステップとを、各々、別々の装置に実行させてもよい。
【0197】
仮封止ステップと本封止ステップとが、各々、別々の装置によって実行される場合、中間目標長Itlは、仮封止ステップおよび本封止ステップの少なくとも一方を実行する装置ごとに、本封止ステップの実行後のガスセンサ(組立体40)の突き出し長に基づいて、更新されてもよい。
【0198】
ここで、「センサ素子の第1先端部10aから筒状体30の所定部分までの長さ」(つまり、突き出し長)は、仮封止工程TSP(仮封止ステップ)および本封止工程MSP(本封止ステップ)の少なくとも一方において変化する。そして、仮封止工程TSP(仮封止ステップ)および本封止工程MSP(本封止ステップ)の少なくとも一方を実施する(実行する)装置の特性等に応じて、突き出し長の変化は、一定ではない可能性がある。つまり、仮封止工程TSP(仮封止ステップ)および本封止工程MSP(本封止ステップ)の少なくとも一方を実施する(実行する)装置の特性等によって、本封止工程MSPの実施後(本封止ステップの実行後)のガスセンサ(組立体40)における実際の突き出し長は、最終目標長Ftlよりも長くなりやすかったり、短くなりやすかったりすることが想定される。言い換えれば、本封止工程MSPの実施後(本封止ステップの実行後)のガスセンサ(組立体40)における実際の突き出し長は、どの装置で、仮封止工程TSP(仮封止ステップ)および本封止工程MSP(本封止ステップ)の少なくとも一方が実施されたか(実行されたか)によって、異なる傾向を示すことが考えられる。
【0199】
そこで、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法Mは、本封止工程MSPの実施後のガスセンサにおける実際の突き出し長を、仮封止工程TSPおよび本封止工程MSPの少なくとも一方を実施する装置ごとに、計測する。つまり、仮封止工程TSPおよび本封止工程MSPの少なくとも一方を実施する装置ごとの特性を反映した突き出し長を計測する。そして、計測した突き出し長に基づいて、仮封止工程TSPおよび本封止工程MSPの少なくとも一方を実施する装置ごとに、中間目標長Itlを更新する。そのため、本発明の一側面に係るガスセンサの組立方法は、仮封止工程TSPおよび本封止工程MSPの少なくとも一方を実施する装置の傾向、特性等を考慮することによって、装置ごとの適切な中間目標長Itlを設定することができる。
【0200】
また、本発明の一側面に係る組立装置は、本封止ステップの実行後のガスセンサにおける実際の突き出し長を、仮封止ステップおよび本封止ステップの少なくとも一方を実行する装置ごとに、計測する。つまり、本発明の一側面に係る組立装置は、仮封止ステップおよび本封止ステップの少なくとも一方を実施する装置ごとの特性を反映した突き出し長を計測する。例えば、突き出し長計測部171は、仮封止ステップおよび本封止ステップの少なくとも一方を実施する装置ごとの特性を反映した突き出し長を計測する。そして、本発明の一側面に係る組立装置は、計測した突き出し長に基づいて、仮封止ステップおよび本封止ステップの少なくとも一方を実行する装置ごとに、中間目標長Itlを更新する。例えば、更新部180は、突き出し長計測部171によって計測された装置ごとの特性を反映した突き出し長に基づいて、仮封止ステップおよび本封止ステップの少なくとも一方を実行する装置ごとに、中間目標長Itlを更新する。そのため、本発明の一側面に係る組立装置は、仮封止ステップおよび本封止ステップの少なくとも一方を実行する装置の傾向、特性等を考慮することによって、装置ごとの適切な中間目標長Itlを設定することができる。
【0201】
(更新工程に係る変形例2)
中間目標長Itlは、組立方法Mにより所定の本数のガスセンサを組み立てるごとに、見直されてもよく、つまり、更新されてもよい。また、更新部180は、組立装置100によって所定の本数のガスセンサが組み立てられるごとに、中間目標長Itlを見直してもよく、つまり、中間目標長Itlを更新してもよい。例えば、X本のガスセンサが組み立てられるごとに、次のX本のガスセンサを組み立てるために、中間目標長Itlが見直されてもよい。
【0202】
当該構成では、当該構成では、中間目標長Itlは、所定の本数のガスセンサが組み立てられるごとに、見直される。つまり、これら所定の本数のガスセンサの組み立てに際しては、共通の中間目標長Itlが利用される。例えば、1本目からX本目までのガスセンサを組み立てるために用いられる中間目標長Itlは、共通である。また、「X+1」本目から「2X」本目までのガスセンサを組み立てるために用いられる中間目標長Itlは、共通である。このように、所定の本数のガスセンサが組み立てられるごとに、中間目標長Itlを見直すことにより、これら所定の本数のガスセンサについて、突き出し長を安定させることができる。
【符号の説明】
【0203】
1…ガスセンサ、2…第1カバー、3…固定ボルト、4…第2カバー、
9(9a、9b)…圧粉体、10…センサ素子、10a…先端部(先端)、
30…筒状体、100…組立装置、104 記憶部、104t 中間目標長データ、
110…素子長取得部、120…位置決定部、
131…素子位置決め治具(位置決め治具)、140…圧縮部、150…仮封止部、
160…本封止部、170…突き出し長取得部、180…更新部、
M…組立方法、FMP…第一計測工程(計測工程)、PDP…位置決定工程、
TSP…仮封止工程、MSP…本封止工程、Itl…中間目標長、Itp…中間目標位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6