IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

<>
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図1A
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図1B
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図2
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図3
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図4
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図5
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図6
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図7
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図8
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図9
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図10
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図11
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図12
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図13
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図14
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図15
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022109965
(22)【出願日】2022-07-07
(62)【分割の表示】P 2018118659の分割
【原出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2022132354
(43)【公開日】2022-09-08
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】10-2017-0079117
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ガン,ゼ ウク
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イル フン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ユン モ
(72)【発明者】
【氏名】ゾ,ミ ヨン
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-003641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0165218(US,A1)
【文献】国際公開第2014/167934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用画像を表示し、第1離心率を有する左眼楕円の軌道に沿って配置された左眼表示部と、
前記左眼表示部に対向し、前記左眼用画像をユーザーの左眼の第1方向に屈折させる、第1左眼レンズ及び前記第1左眼レンズとユーザーの左眼との間に設けられた第2左眼レンズを含む左眼レンズ部と、を備え、
前記左眼楕円は、前記左眼楕円の長軸を境として前記左眼表示部に隣接する第1左眼楕円領域、及び前記左眼表示部から離隔された第2左眼楕円領域を含み、
前記第1左眼レンズは、前記左眼楕円の短軸を境として右目の近くに配置された第1サブ左眼楕円領域内に配置された図心(centroid)を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
前記左眼楕円は、右目に近い第1左眼焦点及び右目から遠い第2左眼焦点によって定義され、
前記第1左眼レンズは、前記左眼楕円が配置された平面上で前記第1左眼焦点に重畳することを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1左眼焦点は、前記第2左眼焦点に比べてユーザーの右眼の近くに配置され、
前記第1左眼レンズは、前記左眼楕円が配置された平面上で前記第1左眼焦点に重畳することを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1左眼焦点及び前記第2左眼焦点は、前記左眼楕円の長軸上にあることを特徴とする請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2左眼楕円領域は、前記左眼楕円の短軸によって区分され、前記左眼表示部の近くに配置された第1サブ左眼楕円領域、及び前記左眼表示部から遠くに配置された第2サブ左眼楕円領域を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1左眼レンズの少なくとも一部は、前記左眼楕円が配置された平面上で前記第1サブ左眼楕円領域に重畳することを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項7】
右眼用画像を表示し、第2離心率を有する右眼楕円の軌道に沿って配置された右眼表示部と、
前記右眼表示部に対向し、前記右眼用画像をユーザーの右眼の第2方向に屈折させる、第1右眼レンズ及び前記第1右眼レンズとユーザーの右眼との間に設けられた第2右眼レンズを含む右眼レンズ部と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1離心率と前記第2離心率とは、同じ値を有することを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項9】
前記左眼楕円と前記右眼楕円とは、互いに一部重畳することを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項10】
前記左眼楕円の長軸と前記右眼楕円の長軸とは、互いに交差することを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項11】
前記左眼楕円の長軸と前記右眼楕円の短軸とは、互いに平行であることを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項12】
前記左眼楕円の長軸と前記右眼楕円の長軸とは、互いに一部重畳することを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項13】
前記左眼表示部は、前記左眼楕円が配置された平面に直交する方向に沿って湾曲することを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項14】
前記第1左眼レンズの図心及び前記第2左眼レンズの図心のうちの一方は、前記第1サブ左眼楕円領域に配置されることを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項15】
左眼用画像を表示し、第1離心率を有する左眼楕円の軌道に沿って配置された左眼表示部と、
前記左眼表示部に対向し、前記左眼用画像をユーザーの左眼の第1方向に屈折させる左眼レンズと、を備え、
前記左眼楕円は、前記左眼楕円の長軸を境として前記左眼表示部に隣接する第1左眼楕円領域、及び前記左眼表示部から離隔された第2左眼楕円領域を含み、
前記左眼レンズは、前記第2左眼楕円領域に配置された図心(centroid)を有し、
前記第2左眼楕円領域は、前記左眼楕円の短軸によって区分され、前記左眼表示部の近くに配置された第1サブ左眼楕円領域、及び前記左眼表示部から遠くに配置された第2サブ左眼楕円領域を含み、
前記左眼レンズの図心は、前記第1サブ左眼楕円領域に配置されることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display:HMD)装置は、頭部に装着され、ユーザーに画像を表示する装置であって、最近、仮想現実、拡張現実を提供する視覚化装置として浮上している。
【0003】
ヘッドマウントディスプレイ装置は、画像を表示するディスプレイ、及びディスプレイとユーザーの眼球との間に配置され、画像を拡大してユーザーの眼球へ屈折させるレンズを含む。
【0004】
しかし、既存の表示装置とは異なり、ディスプレイとユーザーの眼球との間に配置されるレンズによりユーザーに虚像が視認されるという問題点が生じた。このような虚像は、レンズによる反射光がユーザーの眼球に再び入射して視認されるもので、ヘッドマウントディスプレイ装置の表示品質を低下させる問題点として指摘されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2009-522619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、レンズの反射光による虚像がユーザーに視認される現象を最小限に抑えたヘッドマウントディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼用画像を表示し、少なくとも一部が第1離心率を有する左眼楕円の軌道に沿って配置された左眼表示部と、前記左眼表示部に対向し、前記左眼用画像をユーザーの左眼方向に屈折させる左眼レンズと、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼用画像を表示し、第1離心率を有する左眼楕円の軌道に沿って配置された第1部分、右眼用画像を表示し、第2離心率を有する右眼楕円の軌道に沿って配置された第2部分、及び前記第1部分と前記第2部分との間に配置された第3部分を含む表示部と、前記第1部分に対向し、前記左眼用画像をユーザーの左眼方向に屈折させる左眼レンズと、前記第2部分に対向し、前記右眼用画像をユーザーの右眼方向に屈折させる右眼レンズと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明のさらに他の態様によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼用画像を表示し、少なくとも一部が第1離心率を有する左眼楕円の軌道に沿って配置された左眼表示部と、右眼用画像を表示し、少なくとも一部が第2離心率を有する右眼楕円の軌道に沿って配置された右眼表示部と、前記左眼表示部に対向し、前記左眼用画像をユーザーの左眼方向に屈折させる左眼レンズと、前記右眼表示部に対向し、前記右眼用画像をユーザーの右眼方向に屈折させる右眼レンズと、を備え、前記左眼楕円は、第1左眼焦点、及び前記第1左眼焦点に比べて前記ユーザーの右眼から遠い側に配置された第2左眼焦点を定義し、前記右眼楕円は、第1右眼焦点、及び前記第1右眼焦点に比べて前記ユーザーの左眼から遠い側に配置された第2右眼焦点を定義し、前記左眼レンズは、前記左眼楕円が配置された平面上で前記第1左眼焦点に重畳し、前記右眼レンズは、前記右眼楕円が配置された平面上で前記第1右眼焦点に重畳していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズの反射光による虚像がユーザーに視認される現象を最小限に抑えたヘッドマウントディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置を示す斜視図である。
図1B】本発明の一実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置を示す斜視図である。
図2図1に示す実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の一部の構成を示す概略図である。
図3図2に示す実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置を、左眼楕円及び右眼楕円が配置された平面に沿って切断した断面図である。
図4図2及び図3に示した第1実施形態による左眼表示部及び左眼レンズを示す断面図である。
図5図2及び図3に示した第1実施形態による左眼表示部及び左眼レンズを示す断面図である。
図6】本発明の第2実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
図7】本発明の第3実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
図8】本発明の第4実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
図9】本発明の第5実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
図10】本発明の第6実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
図11】本発明の第7実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図4の視点に対応する視点での断面図である。
図12】本発明の第8実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
図13】本発明の第9実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
図14】本発明の第10実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図2の視点に対応する視点での断面図である。
図15】本発明の第11実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図2の視点に対応する視点での概略図である。
図16図15に示す実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置を、左眼楕円及び右眼楕円が配置された平面に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の利点、特徴、およびそれを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すれば明らかになる。しかし、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、それぞれ異なる多様な形態で具現される。但し、これらの実施形態は、単に本発明の開示を完全なものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の技術範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0013】
素子(elements)または層が他の素子または層の「上(on)」にあると記載された場合、他の素子の直上に存在する場合またはそれらの間に別の層または別の素子が介在する場合を全て含む。明細書全体にわたり、同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0014】
例えば、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を記述するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。よって、以下で言及する第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1A及び図1Bは、本発明の一実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置を示す斜視図である。
【0017】
図1A及び図1Bに示すように、本発明の一実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、ユーザーの頭部に装着され、ユーザーの両眼にそれぞれ左眼用画像LIと右眼用画像RIとを表示する装置であって、ケースCS及びケースCSに連結された着用部WUを含む。
【0018】
ケースCSは、ユーザーの顔のうちの少なくとも一部(例えば、顔面(facial side))に着用され、様々な構成要素によってユーザーの顔面に支持される。ケースCSの内部には、後述する左眼表示部LD、右眼表示部RD、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSが収納及び支持される。ケースCSは、左眼表示部LD、右眼表示部RD、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを支持した状態でユーザーの頭部に装着することができれば、いずれの形でも形成される。ケースCSは、多様な形態を有し、一実施形態としてメガネ形態またはヘルメット形態などを有する。
【0019】
ハウジングHAには、それぞれ左眼用画像LI及び右眼用画像RIが表示される左眼開口LO及び右眼開口ROが配置される。左眼表示部LDに表示された画像は、左眼レンズLLSを経て左眼開口LOを介してユーザーの左眼LEによって視認され、右眼表示部RDに表示された画像は、右眼レンズRLSを経て右眼開口ROを介してユーザーの右眼REによって視認される。一方、一実施形態において、左眼レンズLLS及び右眼レンズRLSがケースCSの外部に直接晒される場合、左眼開口LO及び右眼開口ROが非常に薄い幅で形成されるか又は省略される。一方、一実施形態において、左眼開口LO及び右眼開口RO以外の別の開口(図示せず)をさらに含む。別の開口は、左眼表示部LD及び右眼表示部RDが透明ディスプレイである場合、表示される画像のみならず、肉眼によっても周囲の背景を同時に確認できるようにする。これは、拡張現実(augmented reality)または仮想現実(virtual reality)技術を使用するために活用される。
【0020】
具体的に示してはいないが、図1Bに示す左眼用画像LIは、左眼レンズLLSを通過した画像であり、図1Bに示す右眼用画像RIは、右眼レンズRLSを通過した画像である。
【0021】
着用部WUは、ケースCSをユーザーの頭部に固定する。着用部WUは、ケースCSをユーザーの頭部に固定することができれば、いずれの形態またはいずれの材質でも形成される。例えば、ヘッドマウントディスプレイ装置が眼鏡形態を有する場合、着用部WUは、図1A及び図1Bに示すように、眼鏡のテンプル形態を有する。一実施形態において、着用部WUは、ユーザーの頭部を囲むバンド形態を有する。
【0022】
図2は、図1に示す実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の一部の構成を示す概略図であり、図3は、図2に示す実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置を、左眼楕円及び右眼楕円が配置された平面に沿って切断した断面図である。
【0023】
左眼楕円EL1及び右眼楕円EL2は、同じ平面上に配置され、長軸と短軸の長さ及び離心率が互いに同じ楕円である。左眼楕円EL1及び右眼楕円EL2は、物理的に実在する構成ではなく、ハウジングHAの内部に配置された各構成の相対的な位置関係を定義する仮想の楕円である。
【0024】
左眼楕円EL1は、長軸をx軸、短軸をy軸、中心点を原点とする座標平面に対して、下記の数式(1)で定義される。
【0025】
【数1】
【0026】
ここで、aは左眼楕円EL1の長半径を意味し、bは左眼楕円EL1の短半径を意味する。長半径は楕円の長軸(すなわち、長径)の半分を意味し、短半径は楕円の短軸(すなわち、短径)の半分を意味する。
【0027】
一方、左眼楕円EL1の離心率である第1離心率e1は、下記の数式(2)で定義される。
【0028】
【数2】
【0029】
離心率は、楕円が歪んだ程度を示す値であり、離心率が0に近いほど円形に近く、1に近いほど大きく歪んだ(すなわち、短半径が短い)形状を有する。
【0030】
同様に、右眼楕円EL2は、長軸をx軸、短軸をy軸、中心点を原点とする座標平面に対して、下記の数式(3)で定義される。
【0031】
【数3】
【0032】
ここで、cは右眼楕円EL2の長半径を意味し、dは右眼楕円EL2の短半径を意味する。
【0033】
一方、右眼楕円EL2の離心率である第2離心率e2は、下記の数式(4)で定義される。
【0034】
【数4】
【0035】
ここで、左眼楕円EL1の長半径aは、右眼楕円EL2の長半径cと同じ値を有する。また、左眼楕円EL1の短半径bは、右眼楕円EL2の短半径dと同じ値を有する。この場合、左眼楕円EL1の離心率e1と右眼楕円EL2の離心率e2とは同じ値を有する。すなわち、左眼楕円EL1と右眼楕円EL2とは互いに同じ形状を有する楕円である。本実施形態では、左眼楕円EL1と右眼楕円EL2とが同じ形状を有する構成を示すが、一実施形態において、左眼楕円EL1と右眼楕円EL2とは、互いに異なるサイズを有し、互いに異なる離心率を有し得る。
【0036】
左眼楕円EL1は2つの焦点を有する。ここで、ユーザーの右眼REに近い側に配置された焦点を第1左眼焦点LF1と称し、もう一つの焦点を第2左眼焦点LF2と称する。すなわち、ユーザーの右眼REから遠い側に配置された焦点を第2左眼焦点LF2と称し、もう一つの焦点を第1左眼焦点LF1と称する。同様に、右眼楕円EL2は、2つの焦点を有し、ユーザーの左眼LEに近い側に配置された焦点を第1右眼焦点RF1と称し、もう一つの焦点を第2右眼焦点RF2と称する。すなわち、ユーザーの左眼LEから遠い側に配置された焦点を第2右眼焦点RF2と称し、もう一つの焦点を第1右眼焦点RF1と称する。この場合、左眼楕円の長軸Lax1は、第1左眼焦点LF1及び第2左眼焦点LF2を通過し、右眼楕円の長軸Rax1は、第1右眼焦点RF1及び第2右眼焦点RF2を通過する。また、左眼楕円の短軸Lax2は、左眼楕円EL1の中心点を通過し、左眼楕円の長軸Lax1と直交する。同様に、右眼楕円の短軸Rax2は、右眼楕円EL2の中心点を通過し、右眼楕円の長軸Rax1と直交する。
【0037】
左眼楕円EL1は2つの領域に区分される。具体的に、左眼楕円EL1は、左眼楕円の長軸Lax1によって2つの領域に区分され、左眼表示部LDが配置された方向に位置する領域を第1左眼楕円領域LR1と定義し、それ以外の領域を第2左眼楕円領域LR2と定義する。同様に、右眼楕円EL2は2つの領域に区分される。具体的に、右眼楕円EL2は右眼楕円の長軸Rax1によって2つの領域に区分され、右眼表示部RDが配置された方向に位置する領域を第1右眼楕円領域RR1と定義し、それ以外の領域を第2右眼楕円領域RR2と定義する。
【0038】
さらに、第2左眼楕円領域LR2は2つの領域に区分される。具体的に、第2左眼楕円領域LR2は、左眼楕円の短軸Lax2によって2つの領域に区分され、左眼表示部LDに近い側に配置された領域を第1サブ左眼楕円領域LSR1と定義し、それ以外の領域を第2サブ左眼楕円領域LSR2と定義する。
【0039】
同様に、第2右眼楕円領域RR2は2つの領域に区分される。具体的に、第2右眼楕円領域RR2は、右眼楕円の短軸Rax2によって2つの領域に区分され、右眼表示部RDに近い側に配置された領域を第1サブ右眼楕円領域RSR1と定義し、それ以外の領域を第2サブ右眼楕円領域RSR2と定義する。
【0040】
ここで、第1サブ左眼楕円領域LSR1と第1サブ右眼楕円領域RSR1とは、互いに隣接するように配置される。すなわち、第1サブ左眼楕円領域LSR1に対しては、第2サブ右眼楕円領域RSR2よりも第1サブ右眼楕円領域RSR1がより近くに配置され、第1サブ右眼楕円領域RSR1に対しては、第2サブ左眼楕円領域LSR2よりも第1サブ左眼楕円領域LSR1がより近くに配置される。
【0041】
左眼楕円EL1と右眼楕円EL2とは、互いに一部重畳するように配置される。ただし、これに限定されず、一実施形態において、左眼楕円EL1と右眼楕円EL2とは互いに離隔して配置されてもよい。
【0042】
左眼楕円EL1と右眼楕円EL2とは、互いに斜めに交わるように配置される。すなわち、左眼楕円の長軸Lax1と右眼楕円の長軸Rax1とは、互いに交差して所定の夾角を形成するように配置される。
【0043】
以下、本発明の一実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置について説明する。
【0044】
図2及び図3を参照すると、本発明の第1実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD、右眼表示部RD、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを含む。
【0045】
左眼表示部LD及び右眼表示部RDは、画像を表示するための複数の画素(図示せず)を含む。ここで、画素は、色を表示する最小単位を意味する。左眼表示部LD及び右眼表示部RDは、有機発光素子(organic light emitting diode:OLED)(図示せず)を含み、また、有機発光素子を発光させるための一つ以上のスキャン配線(図示せず)、1つ以上のデータ配線(図示せず)、複数の薄膜トランジスタ(図示せず)、及び1つ以上のキャパシタ(図示せず)をさらに含む。ただし、左眼表示部LD及び右眼表示部RDは、有機発光素子で構成されることに限定されない。例えば、幾つかの実施形態において、左眼表示部LD及び右眼表示部RDは、液晶表示装置(liquid crystal display device:LCD)、プラズマディスプレイ(plasma display:PD)、フィールドエミッションディスプレイ(field emission display:FED)、電気泳動ディスプレイ(electrophoretic display:EPD)、電気ウェッティングディスプレイ(electrowetting display:EWD)などの様々な表示装置である。
【0046】
左眼表示部LDと右眼表示部RDとは、それぞれ互いに異なるパネルから構成される。ただし、これに限定されず、幾つかの実施形態において、左眼表示部LDと右眼表示部RDとは同じパネルから構成されてもよい。
【0047】
左眼表示部LDは左眼楕円EL1の軌道に沿って配置され、右眼表示部RDは右眼楕円EL2の軌道に沿って配置される。ここで、左眼楕円EL1の軌道に沿って配置されるという意味は、左眼表示部LDへ提供される光を反射することが可能な反射面を、左眼楕円EL1が配置された平面に沿って切断した場合、反射面が左眼楕円EL1に接するように配置され、第1離心率e1と同じ離心率を有するように曲がった形状を有するものと定義する。これは右眼表示部RDに対しても同様に適用され、右眼表示部RDは第2離心率e2を有するように曲がった形状を有する。
【0048】
さらに、左眼表示部LDは、左眼楕円EL1が配置された平面に垂直な方向に延長された形状を有する。すなわち、左眼表示部LDは、左眼楕円EL1によって定義される楕円柱の一部分を切り取った形状を有する。同様に、右眼表示部RDは、右眼楕円EL2が配置された平面に垂直な方向に延長された形状を有する。すなわち、右眼表示部RDは、右眼楕円EL2によって定義される楕円柱の一部分を切り取った形状を有する。左眼表示部LD及び右眼表示部RDはhの高さを有する。ここで、左眼表示部LD及び右眼表示部RDの高さは、それぞれ左眼楕円EL1及び右眼楕円EL2が配置された平面に垂直な方向に延長された長さを意味する。左眼表示部LDは左眼楕円EL1によって二等分される。すなわち、左眼表示部LDは、左眼楕円EL1が配置された平面を基準に、左眼楕円EL1が配置された平面に垂直な方向及びその反対方向に沿ってそれぞれh/2だけ延長される。同様に、右眼表示部RDは右眼楕円EL2によって二等分される。すなわち、右眼表示部RDは、右眼楕円EL2の配置された平面を基準に、右眼楕円EL2が配置された平面に垂直な方向及びその反対方向に沿ってそれぞれh/2だけ延長される。ただし、これに限定されず、左眼表示部LDは、左眼楕円EL1によって二等分されないこともあり、右眼表示部RDは、右眼楕円EL2によって二等分されないこともある。
【0049】
左眼表示部LDは、過度に曲がった構造を有することを防止するために、左眼楕円の長軸Lax1に重畳しないように配置される。すなわち、左眼表示部LDは、左眼楕円の長軸Lax1から離隔して配置される。右眼表示部RDは、過度に曲がった構造を有することを防止するために、右眼楕円の長軸Rax1に重畳しないように配置される。すなわち、右眼表示部RDは右眼楕円の長軸Rax1から離隔して配置される。
【0050】
左眼レンズLLSは、左眼表示部LDに対向し、左眼表示部LDが表示する左眼用画像LIを拡大してユーザーの左眼LEの方向に屈折させる。左眼レンズLLSの前面は、左眼表示部LDに向かって膨らんだ形状である。ただし、これに限定されず、左眼レンズLLSの前面は、凹んだ形状または平面形状を有してもよい。ここで、左眼レンズLLSの前面は、左眼レンズLLSの両面のうちの左眼表示部LDを向く方向に配置された一面であり、左眼レンズLLSの後面は、ユーザーの左眼LEを向く方向に配置された一面である。左眼レンズLLSの後面は、膨らんだ形状であるが、これに限定されない。例えば、左眼レンズLLSの後面は、凹んだ形状または平面形状を有してもよい。図3に示すように、左眼表示部LDが位置別に放出する光である第1~第3左眼光(LDL1~LDL3)は、左眼レンズLLSを通過し、屈折してユーザーの左眼LEに提供される。
【0051】
同様に、右眼レンズRLSは、右眼表示部RDに対向し、右眼表示部RDが表示する右眼用画像RIを拡大してユーザーの右眼REの方向に屈折させる。右眼レンズRLSの前面は、右眼表示部RDに向かって膨らんだ凸状である。ただし、これに限定されず、右眼レンズRLSの前面は凹んだ形状または平面形状を有してもよい。ここで、右眼レンズRLSの前面は、右眼レンズRLSの両面のうちの右眼表示部RDを向く方向に配置された一面であり、右眼レンズRLSの後面は、ユーザーの右眼REを向く方向に配置された一面である。右眼レンズRLSの後面は、膨らんだ形状であるが、これに限定されない。例えば、右眼レンズRLSの後面は、凹んだ形状または平面形状を有してもよい。図3に示すように、右眼表示部RDが位置別に放出する光である第1~第3右眼光(RDL1~RDL3)は、右眼レンズRLSを通過し、屈折してユーザーの右眼REに提供される。
【0052】
左眼レンズLLSと右眼レンズRLSとの間には遮断部(図示せず)が配置される。遮断部は、ハウジングHAの一部であり、左眼表示部LDに表示された画像がユーザーの右眼REによって視認されないように、さらに右眼表示部RDに表示された画像がユーザーの左眼LEによって視認されないように遮断する役割を行う。
【0053】
左眼レンズLLSは、左眼楕円EL1が配置された平面上で第1左眼焦点LF1に重畳するように配置される。すなわち、左眼レンズLLSは、左眼楕円EL1によって切断された左眼レンズLLSの断面の少なくとも一部が第1左眼焦点LF1をオーバーラップするように配置される。この場合、左眼レンズLLSの反射光による虚像がユーザーの左眼LEによって視認される現象を最小限に抑えることができる。同様に、右眼レンズRLSは、右眼楕円EL2が配置された平面上で第1右眼焦点RF1に重畳するように配置される。すなわち、右眼レンズRLSは、右眼楕円EL2によって切断された右眼レンズRLSの断面の少なくとも一部が第1右眼焦点RF1をオーバーラップするように配置される。この場合、右眼レンズRLSの反射光による虚像がユーザーの右眼REによって視認される現象を最小限に抑えることができる。
【0054】
一方、左眼レンズLLSの図心(centroid)LCは、第1サブ左眼楕円領域LSR1に配置される。ここで、左眼レンズLLSの図心LCとは、左眼楕円EL1が配置された平面によって切断された左眼レンズLLSの断面の幾何学的中心に該当する。左眼レンズLLSの図心LCは、左眼楕円EL1の中心点を原点、左眼楕円の長軸Lax1をx軸、左眼楕円の短軸Lax2をy軸に仮定した座標平面上で(Xlc、Ylc)の座標を有する。左眼レンズLLSの図心LCの座標は下記の数式(5)及び数式(6)によって計算される。
【0055】
【数5】
【0056】
【数6】
【0057】
ここで、Aは左眼レンズLLSの断面の面積に該当する。
【0058】
左眼レンズLLSの図心LCが第1サブ左眼楕円領域LSR1に配置される場合、左眼レンズLLSの反射光による虚像がユーザーの左眼LEによって視認される現象を最小限に抑えることができる。
【0059】
同様に、右眼レンズRLSの図心RCは第1サブ右眼楕円領域RSR1に配置される。ここで、右眼レンズRLSの図心RCとは、右眼楕円EL2が配置された平面によって切断された右眼レンズRLSの断面の幾何学的中心に該当する。右眼レンズRLSの図心RCは、右眼楕円EL2の中心点を原点、右眼楕円の長軸Rax1をx軸、右眼楕円の短軸Rax2をy軸に仮定した座標平面上で(Xrc、Yrc)の座標を有する。右眼レンズRLSの図心RCの座標は、下記の数式(7)及び数式(8)によって計算される。
【0060】
【数7】
【0061】
【数8】
【0062】
ここで、Bは右眼レンズRLSの断面の面積に該当する。
【0063】
右眼レンズRLSの図心RCが第1サブ右眼楕円領域RSR1に配置される場合、右眼レンズRLSの反射光による虚像がユーザーの右眼REによって視認される現象を最小限に抑えることができる。
【0064】
一方、左眼楕円EL1によって切断された左眼レンズLLSの断面は、第1サブ左眼楕円領域LSR1に少なくとも一部が重畳するように配置される。この場合、左眼レンズLLSの反射光による虚像がユーザーの左眼LEによって視認される現象を最小限に抑えることができる。同様に、右眼楕円EL2によって切断された右眼レンズRLSの断面は、第1サブ右眼楕円領域RSR1に少なくとも一部が重畳するように配置される。この場合、右眼レンズRLSの反射光による虚像がユーザーの右眼REによって視認される現象を最小限に抑えることができる。
【0065】
これらについてのより具体的な説明のために、図4及び図5をさらに参照する。
【0066】
図4及び図5は、図2及び図3に示した第1実施形態による左眼表示部及び左眼レンズを示す断面図である。
【0067】
図4は、左眼表示部LDから放出された光が左眼レンズLLSの前面または後面で反射される経路を示し、図5は、左眼レンズLLSの前面または後面で反射された光が左眼表示部LDによって反射されて進む経路を示す。
【0068】
図4を参照すると、左眼表示部LDから放出された光の一部である第1左眼反射光LRF1は、左眼レンズLLSの前面で反射され、さらに左眼表示部LDに向かって進行する。図4では、左眼レンズLLSの前面で反射される光経路のうちのいずれかを第1左眼反射光LRF1の光経路として示したが、実際には、左眼レンズLLSの前面上のすべての点にわたって様々な角度で光の反射が発生する。
【0069】
また、左眼表示部LDから放出された光の別の一部である第2左眼反射光LRF2は、左眼レンズLLSの前面で屈折されて正常に進行するが、左眼レンズLLSの後面で反射されてさらに左眼表示部LDに向かって進行する。図4では、左眼レンズLLSの後面で反射される光経路のうちのいずれかを第2左眼反射光LRF2の光経路として示したが、実際には、左眼レンズLLSの後面上のすべての点にわたって様々な角度で光の反射が発生される。
【0070】
このような第1左眼反射光LRF1と第2左眼反射光LRF2とが左眼表示部LDによって再び反射されて左眼レンズLLSへさらに進行してユーザーの左眼LEに到達する場合、ユーザーに、上下及び/または左右が反転された、ぼやけた虚像が視認される。このような虚像は表示品質を低下させるおそれがある。しかし、楕円の一つの焦点から発散した光は、楕円によって反射された後に楕円の他の焦点へ進行する性質を有するため、本発明の構造が適用された場合、虚像による表示品質の低下を最小限に抑えることができる。
【0071】
具体的に、図5に示すように、左眼レンズLLSが第1左眼焦点LF1の近くに配置されるとともに左眼表示部LDが左眼楕円EL1に沿って配置された場合、左眼レンズLLSの前面または後面から反射された第1左眼反射光LRF1及び第2左眼反射光LRF2は、左眼表示部LDによってさらに反射された後、第2左眼焦点LF2に向かって進行する。すなわち、左眼レンズLLSによって反射された第1左眼反射光LRF1及び第2左眼反射光LRF2は、ユーザーの左眼LEに提供されない。このため、ユーザーには虚像が視認されない。
【0072】
ここで、左眼レンズLLSが第1左眼焦点LF1の近くに配置されるという意味は、左眼楕円EL1が配置された平面上で左眼レンズLLSが第1左眼焦点LF1に重畳するように配置されるか、左眼レンズLLSの図心LCが第1サブ左眼楕円領域LSR1に配置されるか、又は左眼楕円EL1によって切断された左眼レンズLLSの断面が第1サブ左眼楕円領域LSR1に少なくとも一部重畳するように配置されるという意味である。
【0073】
図4及び図5についての説明は、右眼表示部RD及び右眼レンズRLSに対しても同様に適用できるので、これについては説明を省略する。
【0074】
図6は、本発明の第2実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
【0075】
図6では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0076】
図6を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD、右眼表示部RD、左眼レンズLLS_a、及び右眼レンズRLS_aを含む。
【0077】
左眼レンズLLS_aは、第1左眼焦点LF1に重畳しないように配置され、右眼レンズRLS_aは、第1右眼焦点RF1に重畳しないように配置される。ただし、左眼レンズLLS_aの図心LC_aは第1サブ左眼楕円領域LSR1に配置され、右眼レンズRLS_aの図心RC_aは第1サブ右眼楕円領域RSR1に配置される。図3に示す実施形態の場合、左眼レンズLLSが第1左眼焦点LF1に重畳するとともに左眼レンズLLSの図心LC_aが第1サブ左眼楕円領域LSR1に配置され、右眼レンズRLSが第1右眼焦点RF1に重畳するとともに右眼レンズRLSの図心RC_aが第1サブ右眼楕円領域RSR1に配置された。しかし、図3に示す実施形態とは異なり、本実施形態の場合のように、左眼レンズLLS_a及び右眼レンズRLS_aが必ずしも第1左眼焦点LF1及び第1右眼焦点RF1に重畳しなくても、左眼レンズLLS_aの図心LC_a及び右眼レンズRLS_aの図心RC_aがそれぞれ第1サブ左眼楕円領域LSR1及び第1サブ右眼楕円領域RSR1に配置される場合、本発明の効果を得ることができる。
【0078】
図7は、本発明の第3実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
【0079】
図7では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0080】
図7を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD、右眼表示部RD、左眼レンズLLS_b、及び右眼レンズRLS_bを含む。
【0081】
左眼レンズLLS_bの図心LC_bは第1左眼楕円領域LR1に配置され、右眼レンズRLS_bの図心RC_bは第1右眼楕円領域RR1に配置される。ただし、左眼レンズLLS_bは第1左眼焦点LF1に重畳するように配置され、右眼レンズRLS_bは第1右眼焦点RF1に重畳するように配置される。
【0082】
図3に示す実施形態の場合、左眼レンズLLSが第1左眼焦点LF1に重畳するとともに左眼レンズLLSの図心LCが第1サブ左眼楕円領域LSR1に配置され、右眼レンズRLSが第1右眼焦点RF1に重畳するとともに右眼レンズRLSの図心RCが第1サブ右眼楕円領域RSR1に配置された。しかし、図3に示す実施形態とは異なり、本実施形態の場合のように、左眼レンズLLS_bの図心LC_b及び右眼レンズRLS_bの図心RC_bが必ずしも第1サブ左眼楕円領域LSR1及び第1サブ右眼楕円領域RSR1に配置されなくても、左眼レンズLLS_b及び右眼レンズRLS_bが第1左眼焦点LF1及び第1右眼焦点RF1に重畳して配置される場合、本発明の効果を得ることができる。
【0083】
図8は、本発明の第4実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
【0084】
図8では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する
【0085】
図8を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD、右眼表示部RD、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを含む。
【0086】
左眼表示部LDは左眼楕円EL1_cに沿って配置され、右眼表示部RDは右眼楕円EL2_cに沿って配置される。ここで、左眼楕円の長軸Lax1_cと右眼楕円の長軸Rax1_cとは互いに重畳する。すなわち、左眼楕円の長軸Lax1_c及び右眼楕円の長軸Rax1_cは同一線上に配置される。このため、左眼楕円の短軸Lax2_c及び右眼楕円の短軸Rax2_cは互いに平行に配置される。
【0087】
図9は、本発明の第5実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
【0088】
図9では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0089】
図9を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD_d、右眼表示部RD_d、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを含む。
【0090】
左眼表示部LD_dは、aの長半径及びbの短半径を有する左眼楕円EL1の軌道に沿って配置された第1部分P1_dと、直線状に延長された第2部分P2_dとを含む。
【0091】
第2部分P2_dは、第1部分P1_dに繋がるように配置され、第1部分P1_dと第2部分P2_dとの境界上に配置された左眼楕円EL1の接点に接する直線に沿って延長される。
【0092】
右眼表示部RD_dは、cの長半径及びdの短半径を有する右眼楕円EL2の軌道に沿って配置された第3部分P3_d、及び直線状に延長された第4部分P4_dを含む。
【0093】
第4部分P4_dは、第3部分P3_dに繋がるように配置され、第3部分P3_dと第4部分P4_dとの境界上に配置された右眼楕円EL2の接点に接する直線に沿って延長される。
【0094】
また、左眼表示部LD_dの第2部分P2_dは、左眼表示部LD_dの第1部分P1_dよりも右眼表示部RD_dに近く配置され、右眼表示部RD_dの第4部分P4_dは、右眼表示部RD_dの第3部分P3_dよりも左眼表示部LD_dに近く配置される。すなわち、ユーザーの左眼LEと右眼REとの間では左眼表示部LD_d及び右眼表示部RD_dが直線状に延長される。これにより、ユーザーの左眼LEと右眼REとの間の領域で画像の歪みを最小限に抑えることができる。
【0095】
図10は、本発明の第6実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
【0096】
図10では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0097】
図10を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD_e、右眼表示部RD_e、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを含む。
【0098】
左眼表示部LD_eは、aの長半径及びbの短半径を有する左眼楕円EL1の軌道に沿って配置された第1部分P1_e、及び直線状に延長された第2部分P2_eを含む。第2部分P2_eは、第1部分P1_eに繋がるように配置されるとともに、左眼楕円EL1の内部領域に重畳するように配置される。
【0099】
右眼表示部RD_eは、cの長半径及びdの短半径を有する右眼楕円EL2の軌道に沿って配置された第3部分P3_e、及び直線状に延長された第4部分P4_eを含む。第4部分P4_eは、第3部分P3_eに繋がるように配置されるとともに、右眼楕円EL2の内部領域に重畳するように配置される。
【0100】
また、左眼表示部LD_eの第1部分P1_eは、左眼表示部LD_eの第2部分P2_eよりも右眼表示部RD_eに近く配置され、右眼表示部RD_eの第3部分P3_eは、右眼表示部RD_eの第4部分P4_eよりも左眼表示部LD_eに近く配置される。すなわち、ユーザーの左眼LEの左縁部領域とユーザーの右眼REの右縁部領域とでは、左眼表示部LD_e及び右眼表示部RD_eがそれぞれ左眼楕円EL1及び右眼楕円EL2の内部に曲がった形状に形成される。これにより、ヘッドマウントディスプレイ装置の大きさを最小化することができる。
【0101】
図11は、本発明の第7実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図4の視点に対応する視点での断面図である。
【0102】
図11では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0103】
図11を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD_f及び左眼レンズLLSを含む。便宜上、右眼表示部及び右眼レンズについての説明は省略するが、左眼表示部LD_f及び左眼レンズLLSについての説明は、右眼表示部及び右眼レンズに対しても同様に適用される。
【0104】
左眼表示部LD_fは、第1左眼楕円EL11_fの軌道に沿って配置された第1部分P1_f、第2左眼楕円EL12_fの軌道に沿って配置された第2部分P2_f、及び第3左眼楕円EL13_fの軌道に沿って配置された第3部分P3_fを含む。
【0105】
第1~第3部分(P1_f~P3_f)は、互いに隣接して連結されるように配置される。第1~第3左眼楕円(EL11_f~EL13_f)は、いずれも異なる値の長半径及び短半径を有する。例えば、第1左眼楕円El11_fはaの長半径及びbの短半径を有し、第2左眼楕円EL12_f及び第3左眼楕円EL13_fはそれぞれaではない値の長半径、及びbではない値の短半径を有する。さらに、第1左眼楕円の長軸Lax11_f、第2左眼楕円の長軸Lax12_f、及び第3左眼楕円の長軸Lax13_fは互いに交差する。すなわち、本実施形態のように、左眼表示部LD_fは、互いに異なる複数の楕円軌道に沿って配置される。
【0106】
図12は、本発明の第8実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
【0107】
図12では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0108】
図12を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、表示部DD_g、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを含む。
【0109】
表示部DD_gは、第1~第3部分(P1_g~P3_g)を含む。表示部DD_gは、左眼楕円EL1に接する部分と右眼楕円EL2に接する部分とが一体化された1つのパネルから構成される。
【0110】
具体的に、第1部分P1_gは、左眼楕円EL1の軌道に沿って延長され、画像を表示する。第2部分P2_gは、右眼楕円EL2の軌道に沿って延長され、画像を表示する。第3部分P3_gは、ユーザーの左眼LEと右眼REとの間で画像を表示しない部分である。すなわち、第3部分P3_gには画素が配置されない。このように、1つのパネルを介してユーザーの左眼LE及び右眼REの両方ともに画像を提供する。
【0111】
図13は、本発明の第9実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図3の視点に対応する視点での断面図である。
【0112】
図13では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0113】
図13を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、表示部DD_h、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを含む。
【0114】
表示部DD_hは第1~第5部分(P1_h~P5_h)を含む。表示部DD_hは、左眼楕円EL1に接する部分と右眼楕円EL2に接する部分とが一体化された1つのパネルから構成される。
【0115】
具体的に、第1部分P1_hは、左眼楕円EL1の軌道に沿って延長され、画像を表示する。第3部分P3_hは、右眼楕円EL2の軌道に沿って延長され、画像を表示する。第5部分P5_hは、ユーザーの左眼LEと右眼REとの間で画像を表示しない部分である。すなわち、第5部分P5_hには画素が配置されない。第2部分P2_hは、第1部分P1_hと第5部分P5_hとの間に配置されて直線状に延長され、画像を表示する。第4部分P4_hは、第3部分P3_hと第5部分P5_hとの間に配置されて直線状に延長され、画像を表示する。
【0116】
このように、1つのパネルを介してユーザーの左眼LE及び右眼REの両方ともに画像を提供しながら、表示部DD_hの一部は直線状に延長されて画像の歪みを最小限に抑えることができる。
【0117】
図14は、本発明の第10実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図2の視点に対応する視点での断面図である。
【0118】
図14では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0119】
図14を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD_i、右眼表示部RD_i、左眼レンズLLS、及び右眼レンズRLSを含む。
【0120】
左眼表示部LD_iは、左眼楕円EL1の軌道に沿って曲がるとともに、左眼楕円EL1が配置された平面に垂直な方向に沿っても曲線的に曲がる形状を有する。より具体的には、左眼楕円EL1を含む楕円体の表面に沿って曲がった形状を有する。
【0121】
同様に、右眼表示部RD_iは、右眼楕円EL2の軌道に沿って曲がるとともに、右眼楕円EL2が配置された平面に垂直な方向に沿っても曲線的に曲がる形状を有する。より具体的には、右眼楕円EL2を含む楕円体の表面に沿って曲がった形状を有する。
【0122】
図15は、本発明の第11実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置の図2の視点に対応する視点での概略図であり、図16は、図15に示す実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置を、左眼楕円及び右眼楕円が配置された平面に沿って切断した断面図である。
【0123】
図15及び図16では、図1図5で説明した内容と重複する構成及び図面符号についての説明は省略する。
【0124】
図15及び図16を参照すると、本実施形態によるヘッドマウントディスプレイ装置は、左眼表示部LD、右眼表示部RD、左眼レンズ部LLS_j、及び右眼レンズ部RLS_jを含む。
【0125】
左眼レンズ部LLS_jは、第1左眼レンズLLS1_j及び第2左眼レンズLLS2_jを含む。第1左眼レンズLLS1_j及び第2左眼レンズLLS2_jは、左眼表示部LDから提供された画像を屈折させてユーザーの左眼LEに提供する役割を担う。すなわち、左眼レンズ部LLS_jは、左眼表示部LDから提供された画像が第1~第3左眼光経路(LDL1_j~LDL3_j)などに沿ってユーザーの左眼LEに提供されるようにする。
【0126】
一方、第1左眼レンズLLS1_j及び第2左眼レンズLLS2_jのうちの少なくとも一つが第1左眼焦点LF1の近くに配置されるとともに、左眼表示部LDが左眼楕円EL1に沿って配置される場合には、ユーザーに視認される虚像を最小限に抑えることができる。
【0127】
ここで、第1左眼レンズLLS1_j及び第2左眼レンズLLS2_jのうちの少なくとも一つが第1左眼焦点LF1の近くに配置されるという意味は、第1左眼レンズLLS1_j及び第2左眼レンズLLS2_jのうちの少なくとも一つが、左眼楕円EL1が配置された平面上で第1左眼焦点LF1に重畳するように配置されるか、第1左眼レンズLLS1_jの図心LC1_j及び第2左眼レンズLLS2_jの図心LC2_jのうちの少なくとも一つが第1サブ左眼楕円領域LSR1に配置されるか、又は左眼楕円EL1によって切断された第1左眼レンズLLS1_j及び第2左眼レンズLLS2_jの2つの断面のうちの少なくとも一つが第1サブ左眼楕円領域LSR1と少なくとも一部重畳するように配置されるという意味である。
【0128】
本実施形態による左眼レンズ部LLS_jについての説明は、右眼レンズ部RLS_jに対しても同様に適用される。すなわち、右眼レンズ部RLS_jは、第1右眼レンズRLS1_j及び第2右眼レンズRLS2_jを含み、第1右眼レンズRLS1_j及び第2右眼レンズRLS2_jは、右眼表示部RDから提供された画像を屈折させてユーザーの右眼REに提供する役割を担う。すなわち、右眼レンズ部RLS_jは、右眼表示部RDから提供された画像が第1~第3右眼光経路(RDL1_j~RDL3_j)などに沿ってユーザーの右眼REに提供されるようにする。さらに、右眼レンズ部RLS_jの配置に応じて、ユーザーに視認される虚像を最小限に抑えることができる。
【0129】
一方、本実施形態では、左眼レンズ部LLS_j及び右眼レンズ部RLS_jがそれぞれ2つのレンズを含む構造について説明したが、これに限定されない。すなわち、幾つかの実施形態において、左眼レンズ部または右眼レンズ部は、それぞれ3つ以上のレンズを含む構造を有する。
【0130】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明に属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想または必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で本発明を実施できる。よって、上述した実施形態は、あらゆる面で例示的なものであって、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0131】
CS ケース
DD_g、DD_h 表示部
EL1、EL1_c 左眼楕円
EL11_f 第1左眼楕円
EL12_f 第2左眼楕円
EL13_f 第3左眼楕円
EL2、EL2_c 右眼楕円
HA ハウジング
Lax1、Lax1_c 左眼楕円の長軸
Lax11_f 第1左眼楕円の長軸
Lax12_f 第2左眼楕円の長軸
Lax13_f 第3左眼楕円の長軸
Lax2、Lax2_c 左眼楕円の短軸
LC、LC_a、LC_b、LC1_j、LC2_j、RC、RC_a、RC_b 図心
LD、LD_d、LD_e、LD_f、LD_i 左眼表示部
LDL1 第1左眼光
LDL2 第2左眼光
LDL3 第3左眼光
LE 左眼
LF1 第1左眼焦点
LF2 第2左眼焦点
LI 左眼用画像
LLS、LLS_a、LLS_b 左眼レンズ
LLS_j 左眼レンズ部
LLS1_j 第1左眼レンズ
LLS2_j 第2左眼レンズ
LO 左眼開口
LR1 第1左眼楕円領域
LR2 第2左眼楕円領域
LRF1 第1左眼反射光
LRF2 第2左眼反射光
LSR1 第1サブ左眼楕円領域
LSR2 第2サブ左眼楕円領域
P1_d、P1_e、P1_f、P1_g、P1_h 第1部分
P2_d、P2_e、P2_f、P2_g、P2_h 第2部分
P3_d、P3_e、P3_f、P3_g、P3_h 第3部分
P4_d、P4_e、P4_h 第4部分
P5_h 第5部分
Rax1、Rax1_c 右眼楕円の長軸
Rax2、Rax2_c 右眼楕円の短軸
RD、RD_d、RD_e、RD_i 右眼表示部
RDL1 第1右眼光
RDL2 第2右眼光
RDL3 第3右眼光
RE 右眼
RF1 第1右眼焦点
RF2 第2右眼焦点
RI 右眼用画像
RLS、RLS_a、RLS_b 右眼レンズ
RLS_j 右眼レンズ部
RLS1_j 第1右眼レンズ
RLS2_j 第2右眼レンズ
RO 右眼開口
RR1 第1右眼楕円領域
RR2 第2右眼楕円領域
RSR1 第1サブ右眼楕円領域
RSR2 第2サブ右眼楕円領域
WU 着用部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16