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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】交差流を使用した平衡モータ冷却
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H02K9/19 B
H02K9/19 A
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186785
(22)【出願日】2022-11-22
(65)【公開番号】P2023138290
(43)【公開日】2023-10-02
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/698,245
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタ ハリシュ クマール クナタラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ダン ディン ダン
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/018067(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/142673(WO,A1)
【文献】特開2019-134564(JP,A)
【文献】特開2009-171785(JP,A)
【文献】特開2014-057433(JP,A)
【文献】特開2017-200333(JP,A)
【文献】特開2011-254571(JP,A)
【文献】特開2020-014355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却装置であって、
ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、第1の軸方向に冷却剤流を提供するように構成された第1のロータチャネルと、
前記ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、前記第1の軸方向とは反対の第2の軸方向に冷却剤流を提供するように構成された第2のロータチャネルと、を備え
前記第1のロータチャネルが、第1の供給穴に結合され、
前記第1のロータチャネルが、第1の側部穴へと前記第1の軸方向に軸方向に延在し、
前記第2のロータチャネルが、第2の供給穴に結合され、
前記第2のロータチャネルが、第2の側部穴へと前記第2の軸方向に軸方向に延在し、
前記冷却装置は、
中空内部領域を備えるロータシャフトと、
第1の軸方向位置に配置された第1のエンドプレートであって、前記第1の側部穴と、前記第2の供給穴を前記第2のロータチャネルに結合し、前記ロータシャフトを囲む第1の環状凹部と、を備える、第1のエンドプレートと、
第2の軸方向位置に配置された第2のエンドプレートであって、前記第2の側部穴と、前記第1の供給穴を前記第1のロータチャネルに結合し、前記ロータシャフトを囲む第2の環状凹部と、を備える、第2のエンドプレートと、を更に備える、
冷却装置。
【請求項2】
前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートが、同一である、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第1の供給穴及び前記第2の供給穴が、前記中空内部領域に開口されており、
前記中空内部領域が、前記冷却剤を受容するように構成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記第1の供給穴、前記第1のロータチャネル、及び前記第1の側部穴が、前記冷却剤のための第1の流路を形成し、
前記第2の供給穴、前記第2のロータチャネル、及び前記第2の側部穴が、前記冷却剤のための第2の流路を形成する、請求項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記第1のロータチャネル及び前記第2のロータチャネルが、前記ロータアセンブリの本体内に形成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
装置であって、
第1の軸方向位置に配置された第1の供給穴、及び前記第1の軸方向位置から軸方向に離間された第2の軸方向位置に配置された第2の供給穴、を備えるシャフトと、
1つ以上の第1のロータチャネル及び1つ以上の第2のロータチャネルを備える本体と、
第1の環状凹部及び第1の側部穴を備える第1のエンドプレートであって、前記第1の環状凹部が、前記1つ以上の第2のロータチャネルに開口しており、前記第1の側部穴が、前記1つ以上の第1のロータチャネルに開口している、第1のエンドプレートと、
第2の環状凹部及び第2の側部穴を備える第2のエンドプレートであって、前記第2の環状凹部が、前記1つ以上の第1のロータチャネルに開口しており、前記第2の側部穴が、前記1つ以上の第2のロータチャネルに開口している、第2のエンドプレートと、を備え
第1の環状凹部及び第2の環状凹部が前記シャフトを囲むように設けられる、
装置。
【請求項7】
前記1つ以上の第1のロータチャネル及び前記1つ以上の第2のロータチャネルが、前記ロータの本体内に形成されている、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のエンドプレートが、第1の軸方向位置に配置され、
前記第2のエンドプレートが、第2の軸方向位置に配置され、前記第1の軸方向位置及び前記第2の軸方向位置が、前記本体の対向する軸方向端部にある、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートが、同一である、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のエンドプレートが、前記第2のエンドプレートに対して約45度に配置される、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記シャフトが、中空内部領域を備え、
前記第1の供給穴及び前記第2の供給穴が、前記中空内部領域に開口されており、
前記中空内部領域が、流体を受容するように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の供給穴、前記1つ以上の第1のロータチャネル、及び前記第1の側部穴が、流体のための第1の流路を形成し、
前記第2の供給穴、前記1つ以上の第2のロータチャネル、及び前記第2の側部穴が、前記流体のための第2の流路を形成し、
前記第1の流路及び前記第2の流路が、交差流パターンを形成する、請求項に記載の装置。
【請求項13】
前記本体が、軸方向に積み重ねられた複数の積層体を更に備え、
各それぞれの積層体が、それぞれの複数の開口部を備え、
前記それぞれの複数の開口部が、前記1つ以上の第1のロータチャネル及び前記1つ以上の第2のロータチャネルを集合的に形成する、請求項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のエンドプレートが、前記第1の側部穴から半径方向外向きに第1の端部巻線まで流体を方向付けるように構成されており、
前記第2のエンドプレートが、前記第2の側部穴から半径方向外向きに第2の端部巻線まで前記流体を方向付けるように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項15】
方法であって、
複数のロータチャネルに冷却剤を提供することであって、前記複数のロータチャネルが、ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、前記冷却剤の交差流を提供するように構成されている、提供することと、
前記ロータアセンブリ内で熱を発生させることと、
前記複数のロータチャネルから前記冷却剤に前記熱を伝達することと、を含み、
前記複数のロータチャネルが、第1のロータチャネル及び第2のロータチャネルを含み、
前記複数のロータチャネルに前記冷却剤を提供することが、
第1の供給穴に結合された第1のロータチャネルに前記冷却剤を提供することであって、前記第1のロータチャネルが、第1の側部穴へと第1の方向に軸方向に延在する、提供することと、
第2の供給穴に結合された第2のロータチャネルに前記冷却剤を提供することであって、前記第2のロータチャネルが、第2の側部穴へと、前記第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に延在する、提供することと、を含み、
前記ロータアセンブリが、
中空内部領域を備えるロータシャフトと、
第1の軸方向位置に配置された第1のエンドプレートであって、前記第1の側部穴と、前記第2の供給穴を前記第2のロータチャネルに結合し、前記ロータシャフトを囲む第1の環状凹部と、を備える、第1のエンドプレートと、
第2の軸方向位置に配置された第2のエンドプレートであって、前記第2の側部穴と、前記第1の供給穴を前記第1のロータチャネルに結合し、前記ロータシャフトを囲む第2の環状凹部と、を備える、第2のエンドプレートと、を備える、
方法。
【請求項16】
前記冷却剤を、前記第1のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第1の端部巻線まで流すことと、
前記冷却剤を、前記第2のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第2の端部巻線まで流すことと、
前記第1の端部巻線から及び前記第2の端部巻線から前記冷却剤に熱を伝達することと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対向する方向の交差流を使用して平衡モータ冷却を達成するための方法及びシステムに関する。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施形態では、本開示は、冷却装置に関する。冷却装置は、ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、軸方向に対向する方向において冷却剤の交差流を提供するように構成された複数のロータチャネルを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、第1のロータチャネル及び第2のロータチャネルを有する冷却装置に関する。第1のロータチャネルは、ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、第1の軸方向に冷却剤流を提供するように構成されている。第2のロータチャネルは、ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、第1の軸方向とは反対の第2の軸方向に冷却剤流を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、ロータアセンブリは、電気モータの一部であり、電気モータが動作するときに、ステータのロータ及び端部巻線に熱が発生する。例えば、冷却剤は、ロータアセンブリ内の交差流パターンを流れてロータを冷却し、次いで、ステータの端部巻線を通過して流れ、端部巻線から熱を除去する。
【0003】
いくつかの実施形態では、複数のロータチャネルは、第1の供給穴に結合された第1のロータチャネルと、第2の供給穴に結合された第2のロータチャネルと、を含む。第1のロータチャネルは、第1の側部穴へと軸方向に第1の方向に延在し、第2のロータチャネルは、第2の側部穴へと第1の方向とは反対側の第2の方向に軸方向に延在する。いくつかの実施形態では、第1のロータチャネル及び第2のロータチャネルは、ロータアセンブリの本体内に形成される。例えば、本体は、各々がロータチャネルを集合的に形成するための穴のパターンを有する、鋼積層体の軸方向スタックを含み得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、冷却装置は、第1の軸方向位置に配置された第1のエンドプレートと、第2の軸方向位置に配置された第2のエンドプレートと、を含む。第1のエンドプレートは、第1の側部穴を含み、第2のエンドプレートは、第2の側部穴を含む。いくつかの実施形態では、第1のエンドプレートは、第2の供給穴を第2のロータチャネルに結合する第1の環状凹部を含み、第2のエンドプレートは、第1の供給穴を第1のロータチャネルに結合する第2の環状凹部を含む。いくつかの実施形態では、第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートは同一であり、第1のエンドプレートは、第2のプレートに対してある角度で方位角的に配置される。例えば、第1及び第2のエンドプレートは、互いに、45度、又は他の任意の好適な角度でクロック固定(clocked)され得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、冷却装置は、中空内部領域を有するロータシャフトを含む。例えば、第1の供給穴及び第2の供給穴は、中空内部領域に開口されており、中空内部領域は、冷却剤を受容するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の供給穴、第1のロータチャネル、及び第1の側部穴は、冷却剤のための第1の流路を形成する。いくつかのそのような実施形態では、第2の供給穴、第2のロータチャネル、及び第2の側部穴は、冷却剤のための第2の流路を形成する。例えば、第1の流路及び第2の流路は、交差流パターンを形成し、冷却剤の第1の流れは、1つの軸方向に流れ、冷却剤の第2の流れは、反対の軸方向に流れる。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、シャフト、本体、第1のエンドプレート、及び第2のエンドプレートを有する装置に関する。シャフトは、第1の軸方向位置に配置された第1の供給穴と、第1の軸方向位置から軸方向に離間された第2の軸方向位置に配置された第2の供給穴と、を含む。本体は、1つ以上の第1のロータチャネル及び1つ以上の第2のロータチャネルを含む。第1のエンドプレートは、第1の環状凹部及び第1の側部穴を含む。第1の環状凹部(すなわち、環)は、1つ以上の第2のロータチャネルに開口しており、第1の側部穴は、1つ以上の第1のロータチャネルに開口している。第2のエンドプレートは、第2の環状凹部及び第2の側部穴を含む。第2の環状凹部(すなわち、環)は、1つ以上の第1のロータチャネルに開口しており、第2の側部穴は、1つ以上の第2のロータチャネルに開口している。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のロータチャネル及び1つ以上の第2のロータチャネルは、ロータの本体内に形成される。いくつかの実施形態では、第1のエンドプレートは、第1の軸方向位置に配置され、第2のエンドプレートは、第2の軸方向位置に配置され、第1の軸方向位置及び第2の軸方向位置は、本体の対向する軸方向端部にある。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートは同一であり、第1のエンドプレートは、第2のプレートに対してある角度で方位角的に配置される。いくつかの実施形態では、角度は、側部穴の数、ロータチャネルの数、又はその両方に依存する。例えば、各エンドプレートに4つの側部穴を有するいくつかの実施形態では、角度は約45度である。
【0010】
いくつかの実施形態では、シャフトは、中空内部領域を含み、第1の供給穴及び第2の供給穴は、中空内部領域に開口されており、中空内部領域は、流体を受容するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の供給穴、1つ以上の第1のロータチャネル、及び第1の側部穴は、流体のための第1の流路を形成する。いくつかのそのような実施形態では、第2の供給穴、1つ以上の第2のロータチャネル、及び第2の側部穴は、流体のための第2の流路を形成する。第1の流路及び第2の流路は、交差流パターンを形成し、冷却剤の第1の流れは、第1の経路内で1つの軸方向に流れ、冷却剤の第2の流れは、第2の経路内で反対の軸方向に流れる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本体は、軸方向に積み重ねられた複数の積層体を含み、各それぞれの積層体は、それぞれの複数の開口部を有する。それぞれの複数の開口部は、1つ以上の第1のロータチャネル及び1つ以上の第2のロータチャネルを集合的に形成する。例えば、各々が厚さtを有するN個の積層体を積み重ねることによって、Ntのチャネル長が軸方向に形成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のエンドプレートは、第1の側部穴から半径方向外向きに第1の端部巻線まで流体を方向付けるように構成され、第2のエンドプレートは、第2の側部穴から半径方向外向きに第2の端部巻線まで流体を方向付けるように構成されている。例えば、流体は、半径方向外向きに流れ(例えば、噴霧、流れ、又は他の好適な形態として)、はねる、衝突するか、又はさもなければ端部巻線の上方及び周りに流れ、したがって、端部巻線を対流的に冷却する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、モータを冷却するための方法に関する。本方法は、複数のロータチャネルに冷却剤を提供することを含み、複数のロータチャネルは、ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、冷却剤の交差流を提供するように構成されている。本方法はまた、ロータアセンブリ内で熱を発生させることと、複数のロータチャネルから冷却剤に熱を伝達することとを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数のロータチャネルは、第1のロータチャネル及び第2のロータチャネルを含む。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、第1の供給穴に結合された第1のロータチャネルに冷却剤を提供することを含み、第1のロータチャネルは、第1の側部穴へと軸方向に第1の方向に延在する。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、第2の供給穴に結合された第2のロータチャネルに冷却剤を提供することを含み、第2のロータチャネルは、第2の側部穴へと第1の方向とは反対側の第2の方向に軸方向に延在する。例えば、本方法は、第1及び第2の供給穴に開口しているロータシャフトの中空領域に冷却剤を提供することを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、ロータアセンブリは、第1の軸方向位置に配置された第1のエンドプレートと、第2の軸方向位置に配置された第2のエンドプレートと、を含む。第1のエンドプレートは、第1の側部穴を含み、第2のエンドプレートは、第2の側部穴を含む。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、冷却剤を、第1のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第1の端部巻線まで流すことと、冷却剤を、第2のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第2の端部巻線まで流すことと、第1の端部巻線から及び第2の端部巻線から冷却剤に熱を伝達させることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示を、1つ以上の様々な実施形態に従って、以下の図を参照して詳細に説明する。図面は、例示のみを目的として提供され、単に典型的又は例示的な実施形態を示す。これらの図面は、本明細書に開示される概念の理解を容易にするために提供され、これらの概念の広さ、範囲、又は適用性を限定するものとみなされるべきではない。明確にするために、また、説明を容易にするために、これらの図面は必ずしも縮尺どおりに作製されていないことに留意されたい。
図1】本開示のいくつかの実施形態による、交差流用に構成されたロータを有する例示的な電気モータのブロック図を示す。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、交差流用に構成された例示的なロータ及びその構成要素のいくつかの図を示す。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、2セットのチャネルを有する例示的なロータの側部断面図を示す。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、チャネルを有する例示的なロータの端部断面図を示す。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、開口及び凹部を有する例示的なエンドプレートの斜視図を示す。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、交差流用に構成された例示的なロータの斜視外軸断面図を示す。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、モータ内の交差流の流れを方向付けるための例示的なプロセスのブロック図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態による、交差流を使用してモータの構成要素から熱を除去するための例示的なプロセスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
モータ冷却アーキテクチャで生じ得る1つの問題は、特に内径及びロータコアにおける、端部巻線での電気モータの不均衡な冷却である。いくつかの実施形態では、本開示は、ロータを通る流れを使用してステータ端部巻線の平衡冷却を達成することを対象とし、交差流は、ロータ共通のエンドプレートによって方向付けられる。例えば、モータ損失は発熱を生じ、これはステータ及びロータ冷却を通して抽出され得る。本明細書で使用される場合、「交差流」は、反対方向(例えば、冷却剤の軸方向に向流する流れを指す)に流れることを指す。
【0018】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、交差流用に構成されたロータ110を有する例示的な電気モータ100のブロック図を示す。例示されるように、電気モータ100は、端部巻線121及び122を含むステータ120と、凹部198を有するシャフト111を含むロータ110と、チャネル113及び114を有する本体112(例えば、ロータチャネル)と、を含む。例示されるように、電気モータ100はまた、軸199を中心として回転するようにロータ110を制約するためのベアリング115及び116を含み、これは、軸方向に対応する。いくつかの実施形態では、図1には例示されていないが、ロータ110は、本体112の各軸方向端部に共通のエンドプレートを含む(例えば、図2を参照)。いくつかの実施形態では、ロータ110は、内部永久磁石(interior permanent magnet、IPM)ロータであり、これは、磁石トルク及び扱いにくいトルクを組み合わせたため、本質的に比較的高いトルク密度及び電力密度を生成し得る。いくつかの実施形態では、IPMロータ損失、コア損失、及び磁石損失は、従来の誘導モータよりも比較的低い場合があるが、ロータ損失は、永久磁石モータで依然として発生する。例えば、ロータ損失は、永久磁石の残留磁気(Br)及び保磁力(Hcj)の両方に影響を及ぼし得る熱に変わる可能性があり、これにより、トルクの低減及びより低い除磁能力がもたらされ得る。したがって、端部巻線及びロータ冷却のステータ平衡冷却は、モータ(例えば、IPMモータ)の動作にとって重要であり、性能最適化及びモータ内のより一定の熱勾配を達成することが重要である。
【0019】
ステータ端部巻線の平衡冷却及びロータ110におけるより均一な熱勾配を達成するために、流体(例えば、油などの液体潤滑剤)が、チャネル113及びチャネル114を介してロータ110を通って軸方向に向流で提供される。流体は、熱交換器、放射器、又はシャフト111の凹部198に他の冷却剤調節システムから提供される(例えば、凹部198は、止まり穴であり得、シャフト111は、中空であり得る)。比較的冷却された油が(例えば、例示されるように中空ロータシャフトの)凹部198に入ると、次いで、流体は、本体112のそれぞれの対向する軸方向端部の近位にある凹部198に開口している、チャネル113及び114に流れる。チャネル113及び114の各々は、軸199を中心に(例えば、等間隔のパターン又は他の好適な配置で)方位角的に配置されたそれぞれのチャネルのセットを含み得る。流体は、チャネル113内で第1の方向に軸方向に流れ、チャネル114内で第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に流れ、したがって、軸方向の交差流配置を形成する。流体がチャネル113及び114を通って流れるとき、流体は、流体と(例えば、電気鋼を含み得る)本体112のチャネル113及び114の壁との間の接触を介してロータ110の損失から発生した熱を吸収する。チャネル113及び1114は、交差流配置を形成するため、ロータ110は、比較的より均一な温度勾配(例えば、軸方向温度勾配が減少する)を示し得る。熱流体は、ロータ110の損失から熱を吸収した後、チャネル113及び114から、本体112の端面130及び131に沿って流れる。流体は、端面130及び131に沿って半径方向外向きに(例えば、遠心力に起因して)移動し、次いで、端部巻線121及び122(例えば、リード側及びヘアピン型ステータの溶接側に対応する)を冷却する。端部巻線121及び122からの流体の熱はほぼ対称的であり、したがって、ステータ120のいずれかの軸方向端部上の端部巻線121及び122の平衡冷却をもたらす。例示するために、流体は、端面130及び131から端部巻線121及び122まで半径方向外向きに噴霧され、次いで、流体システム内での再循環のために(例えば、凹部198に再び入り、連続流で熱伝達を繰り返すために)くぼ地に流れる、滴下するか、又はさもなければ戻ることができる。
【0020】
例示的な例では、電気モータ100は、少なくとも部分的により少ない部品を使用する効果的な熱抽出に起因して、改善された性能を有する電気モータに対応し得る。例示するために、ロータ110などのロータは、流体がロータ110のコアから熱を抽出する間、均一な熱勾配を示し得る。いくつかの実施形態では、本体112は、共通の設計を有する、複数の積層体及び2つのエンドプレートを含み、したがって、比較的低いコスト部品及びより少ない部品又は部品型をもたらす。更に例示するために、ステータ120の溶接及びリード側(例えば、端部巻線121及び122)への流体(例えば、油)の対称的な流れは、ステータ120の平衡冷却をもたらし得る。
【0021】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、交差流用に構成された、例示的なロータ200及びその構成要素の正面図及び背面斜視図を含む、いくつかの図を示す。例示されるように、ロータ200は、ロータシャフト210、エンドプレート220及び230、並びに本体212を含む。ロータシャフト210は、供給穴201及び202に開口している中空内部領域298を含む(例えば、供給穴201及び202の各々は、例示されるように180度離れた2つの供給穴を含むが、1つ、2つ、又は3つ以上などの任意の好適な数の供給穴を含むことができる)。エンドプレート220及び230は互いに同一であるが、凹部221が側部穴232と方位角各的に整列するように、互いに対して方位角的に45度にクロック固定され、凹部231は側部穴222と方位角的に整列する。パネル299に例示されるように、エンドプレート220及び230が分解された分離で示されており、流路260及び261は、交差流路である。
【0022】
油などの流体は、供給穴201の2つの穴(例えば、180°間隔)に入り、エンドプレートの環(例えば、エンドプレート220の凹部221によって示される空洞)を満たす。同様に、並列に、流体は、供給穴202の2つの穴(例えば、180°間隔)に入り、他方のエンドプレートの環(例えば、エンドプレート230の凹部231によって示される空洞)を満たす。例示するために、流体は、2つの流れ(例えば、主に並列)を含み得、1つは供給穴201に方向付けられ、他方は供給穴202に方向付けられる。供給穴201及び202に入った後、流体は、ロータ200を通って軸方向に移動する(例えば、本体212は、電気鋼によって形成され得る)。例えば、ロータ200は、側部穴222及び232に対応するチャネルを含み、これは、パネル299に示されるような交差流パターンを形成する。流体がチャネルを通って流れるとき、熱(例えば、ロータ損失によって引き起こされる)は、流体と本体212との間の接触(例えば、その電気鋼)によって流体に吸収される。
【0023】
例示的な例では、エンドプレート220の凹部221のポケット(例えば、凹部221のローブ)は、本体212(例えば、ロータ積層スタック)の4つの穴と列に並び、同様に、エンドプレート230の凹部231のポケット(例えば、凹部231のローブ)は、本体212(例えば、ロータ積層スタック)の他の4つの穴と列に並ぶ。この配置により、ロータ200における均一な温度勾配で、ロータの熱放散のための流体交差流が可能になる。ロータ損失から熱を吸収した後、流体は、側部穴222及び232を介してエンドプレート220及び230から出て、次いで、半径方向外向きに移動し、各軸方向端部(例えば、ヘアピン型モータの場合のリード側及び溶接側)のステータ端部巻線を冷却する。例示するために、端部巻線121及び122は図1に例示されており、ロータ200は、端部巻線121及び122などの端部巻線を有する例示的なモータの一部である。流体は、端部巻線から対称的に熱を抽出し、ステータの両方の軸方向端部上の端部巻線の平衡をもたらす。更なる例示的な例では、共通のエンドプレート220及び230の使用により、低コスト部品及びより少ない部品が可能になる。更に、両方の端部巻線に対して油が対称的に流れると、ステータの端部での平衡冷却がもたらされる。
【0024】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、2セットのチャネルを有する例示的なロータ300の側部断面図を示す。ロータ300は、ベアリング及びステータとともに組み立てられて、電気モータを形成し得る。例示されるように、ロータ300(例えば、ロータアセンブリとも呼ばれる)は、シャフト310(例えば、ロータシャフトとも呼ばれる)、本体312、並びにエンドプレート320及び330を含む。シャフト310は、供給穴301及び302(例えば、任意の好適な断面形状の開口部)を含み、これは両方ともシャフト310の内部(すなわち、シャフト310の凹部398)に開口されている。チャネル313及び314は、(例えば、油などの流体の流れを介して)ロータ300を冷却するための交差流配置を形成し、流体が軸方向又は主に軸方向に移動する。いくつかの実施形態では、複数のロータチャネル(例えば、チャネル313及び314)は、ロータアセンブリ(例えば、ロータ300)を通って軸方向に延在し、油などの流体であり得る冷却剤の交差流を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、ロータ300は、例えば、図2のロータ200と同じか、又はさもなければ同様である。
【0025】
開口部301は、エンドプレート330の凹部303と整合し、流体が凹部398から供給穴301へと、次いで凹部303からチャネル314へと流れることを可能にする。次いで、流体は、チャネル314からエンドプレート320の側部穴324(例えば、1つ以上の開口部)に流れ、半径方向外向きに流れて、ステータの端部巻線を冷却する。
【0026】
開口部302は、エンドプレート320の凹部304と整合し、流体が凹部398から供給穴302へと、次いで凹部304からチャネル313へと流れることを可能にする。次いで、流体は、チャネル313からエンドプレート330の側部穴323(例えば、1つ以上の開口部)に流れ、半径方向外向きに流れて、ステータの端部巻線を冷却する。
【0027】
本体312は、チャネル313及び314を形成し、したがって、流体を凹部398からロータ300を通ってステータの端部巻線に出るよう方向付ける。いくつかの実施形態では、本体312は、軸399に沿って軸方向に配置された複数の積層体(例えば、渦電流低減用の積み重ねられた鋼プレート)を含む。いくつかの実施形態では、エンドプレート320及び330は同一であり、軸399を中心として所定の量だけ互いに回転して、ロータ300内に配置される。例えば、いくつかの実施形態では、エンドプレート320及び330の各々は、4つの開口部(例えば、それぞれ、側部穴324及び323を含む)を含み得、(例えば、図2に例示されるように)互いに対して45°回転される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ロータ(例えば、ロータ300)は、第1の供給穴(例えば、供給穴301)に結合された第1のロータチャネル(例えば、チャネル314の)を含む複数のロータチャネルを含み、第1のロータチャネルは、第1の側部穴(例えば、側部穴324)へと第1の方向に軸方向に(例えば、軸399に沿って)延在する。複数のロータチャネルはまた、第2の供給穴(例えば、供給穴302)に結合された第2のロータチャネル(例えば、チャネル313の)を含み、第2のロータチャネルは、第2の側部穴(例えば、側部穴323)へと、第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に延在する。いくつかの実施形態では、ロータは、第1の軸方向位置に配置され、第1の側部穴(例えば、側部穴324)を含む第1のエンドプレート(例えば、エンドプレート320)を含む。いくつかのそのような実施形態では、ロータは、第2の軸方向位置(例えば、第1の軸方向位置から距離「L」に離間された)に配置され、第2の側部穴(例えば、側部穴323)を含む第2のエンドプレート(例えば、エンドプレート330)を含む。図3に例示されるように、第1のエンドプレート(例えば、エンドプレート320)は、第2の供給穴(例えば、供給穴302)を第2のロータチャネル(例えば、チャネル313の)に結合する第1の環状凹部(例えば、凹部304)を含む。更に、図3に例示されるように、第2のエンドプレート(例えば、エンドプレート330)は、第1の供給穴(例えば、供給穴301)を第1のロータチャネル(例えば、チャネル314の)に結合する第2の環状凹部(例えば、凹部303)を含む。いくつかの実施形態では、エンドプレート320及びエンドプレート330は同一であり、互いにある角度で方位角的に配置される(例えば、第1のエンドプレートは第2のエンドプレートに対してクロック固定される)。
【0029】
いくつかの実施形態では、ロータ(例えば、ロータ300)は、中空内部領域(例えば、凹部398によって例示される)を含むロータシャフト(例えば、シャフト310)を含む。いくつかのそのような実施形態では、第1の供給穴(例えば、供給穴301)及び第2の供給穴(例えば、供給穴302)は、中空内部領域(例えば、凹部398)に開口しており、中空内部領域は、(例えば、油調節システムから)冷却剤を受容するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の供給穴(例えば、供給穴301)、第1のロータチャネル(例えば、チャネル314の)、及び第1の側部穴(例えば、側部穴324)は、冷却剤のための第1の流路を形成する。いくつかのそのような実施形態では、第2の供給穴(例えば、供給穴302)、第2のロータチャネル(例えば、チャネル313の)、及び第2の側部穴(例えば、側部穴323)は、冷却剤のための第2の流路を形成し、第1の流路及び第2の流路は、交差流パターンを形成する。例示されるように、第1のロータチャネル(例えば、チャネル314の)及び第2のロータチャネル(例えば、チャネル313の)は、ロータアセンブリ(例えば、ロータ300)の本体(例えば、本体312)内に形成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、熱(例えば、油吸収ロータ損失)は、側部穴(例えば、側部穴323及び324)から端部巻線の内面(例えば、端部巻線の内径(inner diameter、ID))に向かって輸送される。いくつかの実施形態では、流体(例えば、中空シャフトに提供される冷却油)は、それが供給穴(例えば、供給穴301及び302)から複数のチャネル(例えば、チャネル313及び314の)に流れるときに、環状凹部(例えば、凹部303及び304)を充填する。
【0031】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、チャネル413及び414を有する例示的なロータ400の端部断面図を示す。ロータ400は、シャフト410及び複数のロータチャネルを含み、これは、チャネル413(例えば、「+」記号で示される)及びチャネル414(例えば、「o」記号で示される)を含む。チャネル413及び414は、ロータ400の周りで方位角的に配置される。例えば、図4に例示されるように、ロータ400は、45度の方位角的に離間した8つのチャネル(例えば、4つのチャネル413及び4つのチャネル414)を含む。図4に例示されるように、例示的な例では、ロータ400の本体は、レリーフを通して含まれるチャネル413及び414を有する複数の鋼積層体を含み得る。例示するために、ロータ400は、図3のロータ300又は図1のロータ110と同じか、又は同様であり得るが、そうである必要はない。更に例示するために、他の好適な油流体は、チャネル413内の1つの軸方向(例えば、図4に例示するようにページ内)、及びチャネル414内の他の軸方向(例えば、図4に例示示されるように、ページの外)に流れるように方向付けられ得る。ゾーン401によって示される円のセットは、交差流パターンを使用することによって達成される均一な熱勾配ゾーンにほぼ対応する。例えば、ゾーン401の各々は、ロータ本体(例えば、積層体の積み上げを通って軸方向に延在する)の比較的均一な熱的(熱)勾配、したがって、より均一な軸方向温度分布を示し得る。
【0032】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、開口510及び凹部520を有する例示的なエンドプレート500の斜視図を示す。例示するために、エンドプレート500は、図2のエンドプレート220及び230、又は図3のエンドプレート320及び330と同じか、又は同様であり得るが、そうである必要はない。例示されるように、エンドプレート500は、開口部510として示される4つの側部穴と、凹部520として示される環状凹部とを含む。例えば、油などの流体は、1つ以上の供給穴から凹部520に方向付けられ、次いで、凹部520から軸方向に方向付けられたロータチャネルに流れ、別のエンドプレート(例えば、エンドプレート500と同一であるが、方位角的に45度にクロック固定されている)の側部穴から出る。エンドプレート500は、側部穴510を含むが、それを通って流体は、他のエンドプレートの凹部からロータのチャネルを通って(例えば、図3及び図6に例示されるように)流れた後に出る。例示的な例では、ロータは、2つのエンドプレート(例えば、前方プレート及び後方プレート)を含み得、それぞれがエンドプレート500と同一であり、互いに対してクロック固定されて、交差流パターンを形成する。
【0033】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、交差流用に構成された例示的なロータ600の斜視外軸断面図を示す。ロータ600は、図3のロータ300と同じであり得るが、そうである必要はない。ロータ600は、本体612、エンドプレート620及び630、並びにシャフト610を含む。流路680及び681は、本体612、エンドプレート620及び630、並びにシャフト610によって形成される。図6に例示されるように、ロータ600の供給穴は、見えないが、流路680及び681を中空内部凹部698に接続する。いくつかの実施形態では、本体612は、エンドプレート620及び630を含み得る(例えば、任意の好適なグループ化が、ロータ600の部品を指すために使用され得る)。いくつかの実施形態では、本体612は、永久磁石、鋼積層体、タイロッド、任意の他の好適な構成要素、又はそれらの任意の組み合わせを含む。流路680及び681は、流体が軸方向交差流内に流れる軸方向部分を含み、ロータ600内の空間温度場の均一性を改善する(例えば、軸方向温度勾配をより均一にさせる)。流体は、流路680及び681に沿って流れ、次いで、半径方向外向きにステータ端部巻線に流れ得る。
【0034】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、モータ内の交差流において流体を方向付けるための例示的なプロセス700のブロック図である。
【0035】
ステップ702は、ロータシャフトの内部に流体を提供することを含む。ステップ702は、流体を増加した圧力に加圧して、流体をロータシャフトの内部(例えば、図3の凹部398などの中空内部領域)に流すことを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ702は、流体を濾過することと、流体の圧力を調整することと、流体の1つ以上の流路を制御することと、流体の流量を制御することと、流体の温度を制御する(例えば、放射器又は他の熱交換器を使用する)ことと、又はそれらの組み合わせを含み得る。例示的な例では、ステップ702は、油の流れに基づいて、ロータシャフトの内部に加圧された油を提供することを含み得る。
【0036】
ステップ704は、第1の方向に第1の供給開口部から第1のチャネルまで第1の経路に流体を方向付けることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ702で提供されたロータシャフトの内部の流体は、第1の経路内の圧力場に基づいて第1の経路に流される(例えば、流体は圧力が減少する経路を流れる)。例えば、第1の経路は、流体がロータシャフトの内部から第1の経路を通って流れることができるように、ロータシャフトの内部に開口され得る。第1の経路は、例えば、ロータシャフト、1つ以上の第1のチャネル、及び流体が出る第1の開口部と整合された(例えば、それと流体連通しているか、又はさもなければ開口している)第1の供給開口部を含み得る。
【0037】
ステップ705は、流体を第1のチャネルから第1の端部巻線に方向付けることを含む。いくつかの実施形態では、流体が第1のチャネルを通って流れた後、流体は半径方向外向きに流れて、第1の端部巻線(例えば、ロータに対応するステータの)に噴霧するか、又はさもなければ衝突する。流体は、遠心加速度、圧力、重力、又はそれらの組み合わせの影響下で、第1の端部巻線に流れることができる。
【0038】
ステップ706は、第2の方向に第2の供給開口部から第2のチャネルまで第2の経路に流体を方向付けることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ702で提供されたロータシャフトの内部の流体は、第2の経路内の圧力場に基づいて第2の経路内に流される(例えば、流体は圧力が減少する経路を流れる)。例えば、第2の経路は、流体がロータシャフトの内部から第2の経路を通って流れることができるように、ロータシャフトの内部に開口され得る。第2の経路は、例えば、ロータシャフト、1つ以上の第2のチャネル、及び流体が出る第2の開口部と整合された(例えば、それと流体連通しているか、又はさもなければ開口している)第2の供給開口部を含み得る。
【0039】
ステップ707は、流体を第2のチャネルから第2の端部巻線に方向付けることを含む。いくつかの実施形態では、流体が第2のチャネルを通って流れた後、流体は半径方向外向きに流れて、第2の端部巻線(例えば、ロータに対応するステータの)に噴霧するか、又はさもなければ衝突する。流体は、遠心加速度、圧力、重力、又はそれらの組み合わせの影響下で第2の端部巻線に流れることができる。
【0040】
ステップ708は、流体を収集して再循環させることを含む。例えば、流体が第1及び第2の端部巻線を通って流れるか、又はさもなければ通過した後、流体は収集され、再循環される。ステップ708は、くぼ地又は油受け若しくは油だめの領域内で流体を収集すること、(例えば、流体圧力を介して)吸引すること、又は流体をフィルタ、ポンプ、放射器、プレナム、任意の他の好適な構成要素、又はそれらの任意の組み合わせに重力排出することを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、油は、第1及び第2の端部巻線を通過し、次いで、ロータシャフトの内部への再循環のために(例えば、放射器又は熱交換器を介して熱を除去した後)くぼ地内に収集される。
【0041】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、交差流を使用してモータの構成要素から熱を除去するための例示的なプロセス800のブロック図である。例示するために、プロセス800は、図1図6のモータ、ロータ、又はアセンブリに適用されて、流体を使用して、モータ又はその構成要素から熱を除去することができる。更なる例では、プロセス800、又はその任意のステップは、図7のプロセス700のステップのうちのいずれか又は全てと組み合わせることができる。
【0042】
ステップ802は、電気モータの巻線に電流を提供して、ステータに対してロータシャフト上にトルクを与えることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ802は、電力電子機器のための制御信号を生成することを含み、電気モータの位相に電流を印加して、ロータ上にトルクを生成し、ステータに対するロータの回転運動を引き起こす。例えば、いくつかの実施形態では、ロータは、永久磁石を含み得、ステータは、端部巻線を含む位相巻線、及びステータ歯を含み得る。
【0043】
ステップ804は、ベアリング、巻線、及びロータ構成要素において熱を発生させることを含む。例えば、ロータが軸を中心に回転すると、熱がロータ内(例えば、損失に起因)、ベアリング内(例えば、摩擦に起因)、及び端部巻線内(例えば、抵抗損失などの損失に起因)で発生し得る。いくつかの実施形態では、電気モータで発生する熱の量は、ステップ802で適用される電流プロファイルに依存する。例えば、電流がより大きいほど、電流の持続時間が大きくなるか、又はその両方が印加され、電気モータ及びその構成要素においてより多くの熱が発生し得る。
【0044】
ステップ806は、熱を受容するために、ロータ内の2つの軸方向の交差流路内の流体を方向付けることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ806は、第1の流路及び第2の流路内で流体を方向付けることを含み、これにより、ロータ内で、対向する方向に軸方向に流れを方向付ける。いくつかの実施形態では、ステップ806は、加圧流体をロータの供給穴に提供することを含み、したがって、流体を、交差流経路を通ってそれぞれの側部穴へと圧力下で流す。
【0045】
ステップ808は、流体を半径方向外向きに端部巻線に方向付けることを含む。いくつかの実施形態では、流体は、ステップ806の交差流路を通って流れ、次いで、ロータの各軸方向端部でそれぞれの側部穴から流れ出る。次いで、流体は、ステップ808で、ロータのエンドプレートに沿って半径方向外向きに流れ、ロータの半径方向外向きに配置された端部巻線に衝突するか、又はさもなければその上方を流れる。ステップ808で、流体は、遠心力、重力、圧力、又はそれらの組み合わせ下で流れ得る。例えば、いくつかの実施形態では、流体は、ロータが回転し、端部巻線上に噴霧されるときに半径方向外向きに流れ、したがって、境界層を通る対流熱伝達を介して巻線を冷却する。
【0046】
ステップ810は、熱を循環流体に伝達することを含む。流体は、ロータ及び端部巻線からの対流を介して熱を受け取り、熱(例えば、流体に貯蔵された熱エネルギー)をロータから離れるように輸送する。例えば、流体は、ステップ810で伝達される熱を除去するために放射器又は他の熱交換器に方向付けられ得、次いで、連続冷却のためにロータに再循環され得る。
【0047】
例示的な実施例では、例示的なプロセス(例えば、プロセス700、プロセス800、又はそれらの組み合わせ)は、(例えば、ステップ702及び/又はステップ806で)複数のロータチャネルに冷却剤を提供することを含み得、複数のロータチャネルは、ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、冷却剤の交差流を提供するように構成されている。プロセスはまた、(例えば、ステップ804で)ロータアセンブリ内で熱を発生させ、(例えば、ステップ806及び810、若しくはステップ704及び706の間、又はそれらの組み合わせで)熱を複数のロータチャネルから冷却剤に伝達することを含み得る。
【0048】
更なる例示的な例では、複数のロータチャネルは、第1のロータチャネル及び第2のロータチャネルを含み得る。第1のロータチャネルは、第1の側部穴へと第1の方向に軸方向に延在し得、第2のロータチャネルは、第2の側部穴へと、第1の方向とは反対側の第2の方向に軸方向に延在し得る。冷却剤を複数のロータチャネルに提供することは、例えば、冷却剤を第1の供給穴に結合された第1のロータチャネルに提供することと、冷却剤を第2の供給穴に結合された第2のロータチャネルに提供することと(例えば、ステップ704及び706、ステップ806、又はそれらの組み合わせで)を含み得る。
【0049】
更なる例示的な例では、ロータアセンブリは、第1の側部穴を含む第1の軸方向位置に配置された第1のエンドプレートと、第2の側部穴を含む第2の軸方向位置に配置された第2のエンドプレートと、を含み得る。例示的なプロセス(例えば、プロセス700、プロセス800、又はそれらの組み合わせ)は、冷却剤を、第1のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第1の端部巻線まで(例えば、ステップ705又はステップ808で)流すことと、冷却剤を、第2のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第2の端部巻線まで(例えば、ステップ707又はステップ808で)流すことと、第1の端部巻線から及び第2の端部巻線から冷却剤に熱を伝達することとを含み得る。
【0050】
上記は、本開示の原理の単なる例示に過ぎず、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な修正を行うことができる。上述の実施形態は、例示の目的で提示され、限定するものではない。本開示はまた、本明細書に明示的に記載されるもの以外の多くの形態をとることもできる。したがって、本開示は、明示的に開示される方法、システム、及び装置に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の趣旨内である、その変形及び修正を含むことが意図されることが強調される。
なお、本発明には以下の態様が含まれ得ることを付記する。
[態様1]
冷却装置であって、
ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、第1の軸方向に冷却剤流を提供するように構成された第1のロータチャネルと、
前記ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、前記第1の軸方向とは反対の第2の軸方向に冷却剤流を提供するように構成された第2のロータチャネルと、を備える、冷却装置。
[態様2]
前記第1のロータチャネルが、第1の供給穴に結合され、
前記第1のロータチャネルが、第1の側部穴へと前記第1の軸方向に軸方向に延在し、
前記第2のロータチャネルが、第2の供給穴に結合され、
前記第2のロータチャネルが、第2の側部穴へと前記第2の方向に軸方向に延在する、態様1に記載の冷却装置。
[態様3]
第1の軸方向位置に配置された第1のエンドプレートであって、前記第1の側部穴を備える、第1のエンドプレートと、
第2の軸方向位置に配置された第2のエンドプレートであって、前記第2の側部穴を備える、第2のエンドプレートと、を更に備える、態様2に記載の冷却装置。
[態様4]
前記第1のエンドプレートが、前記第2の供給穴を前記第2のロータチャネルに結合する第1の環状凹部を備え、
前記第2のエンドプレートが、前記第1の供給穴を前記第1のロータチャネルに結合する第2の環状凹部を備える、態様3に記載の冷却装置。
[態様5]
前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートが、同一である、態様3に記載の冷却装置。
[態様6]
中空内部領域を備えるロータシャフトを更に備え、
前記第1の供給穴及び前記第2の供給穴が、前記中空内部領域に開口されており、
前記中空内部領域が、前記冷却剤を受容するように構成されている、態様2に記載の冷却装置。
[態様7]
前記第1の供給穴、前記第1のロータチャネル、及び前記第1の側部穴が、前記冷却剤のための第1の流路を形成し、
前記第2の供給穴、前記第2のロータチャネル、及び前記第2の側部穴が、前記冷却剤のための第2の流路を形成する、態様2に記載の冷却装置。
[態様8]
前記第1のロータチャネル及び前記第2のロータチャネルが、前記ロータアセンブリの本体内に形成されている、態様1に記載の冷却装置。
[態様9]
装置であって、
第1の軸方向位置に配置された第1の供給穴、及び前記第1の軸方向位置から軸方向に離間された第2の軸方向位置に配置された第2の供給穴、を備えるシャフトと、
1つ以上の第1のロータチャネル及び1つ以上の第2のロータチャネルを備える本体と、
第1の環状凹部及び第1の側部穴を備える第1のエンドプレートであって、前記第1の環状凹部が、前記1つ以上の第2のロータチャネルに開口しており、前記第1の側部穴が、前記1つ以上の第1のロータチャネルに開口している、第1のエンドプレートと、
第2の環状凹部及び第2の側部穴を備える第2のエンドプレートであって、前記第2の環状凹部が、前記1つ以上の第1のロータチャネルに開口しており、前記第2の側部穴が、前記1つ以上の第2のロータチャネルに開口している、第2のエンドプレートと、を備える、装置。
[態様10]
前記1つ以上の第1のロータチャネル及び前記1つ以上の第2のロータチャネルが、前記ロータの本体内に形成されている、態様9に記載の装置。
[態様11]
前記第1のエンドプレートが、第1の軸方向位置に配置され、
前記第2のエンドプレートが、第2の軸方向位置に配置され、前記第1の軸方向位置及び前記第2の軸方向位置が、前記本体の対向する軸方向端部にある、態様9に記載の装置。
[態様12]
前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートが、同一である、態様9に記載の装置。
[態様13]
前記第1のエンドプレートが、前記第2のエンドプレートに対して約45度に配置される、態様12に記載の装置。
[態様14]
前記シャフトが、中空内部領域を備え、
前記第1の供給穴及び前記第2の供給穴が、前記中空内部領域に開口されており、
前記中空内部領域が、流体を受容するように構成されている、態様9に記載の装置。
[態様15]
前記第1の供給穴、前記1つ以上の第1のロータチャネル、及び前記第1の側部穴が、流体のための第1の流路を形成し、
前記第2の供給穴、前記1つ以上の第2のロータチャネル、及び前記第2の側部穴が、前記流体のための第2の流路を形成し、
前記第1の流路及び前記第2の流路が、交差流パターンを形成する、態様9に記載の装置。
[態様16]
前記本体が、軸方向に積み重ねられた複数の積層体を更に備え、
各それぞれの積層体が、それぞれの複数の開口部を備え、
前記それぞれの複数の開口部が、前記1つ以上の第1のロータチャネル及び前記1つ以上の第2のロータチャネルを集合的に形成する、態様9に記載の装置。
[態様17]
前記第1のエンドプレートが、前記第1の側部穴から半径方向外向きに第1の端部巻線まで流体を方向付けるように構成されており、
前記第2のエンドプレートが、前記第2の側部穴から半径方向外向きに第2の端部巻線まで前記流体を方向付けるように構成されている、態様9に記載の装置。
[態様18]
方法であって、
複数のロータチャネルに冷却剤を提供することであって、前記複数のロータチャネルが、ロータアセンブリを通って軸方向に延在し、前記冷却剤の交差流を提供するように構成されている、提供することと、
前記ロータアセンブリ内で熱を発生させることと、
前記複数のロータチャネルから前記冷却剤に前記熱を伝達することと、を含む、方法。
[態様19]
前記複数のロータチャネルが、第1のロータチャネル及び第2のロータチャネルを含み、前記複数のロータチャネルに前記冷却剤を提供することが、
第1の供給穴に結合された第1のロータチャネルに前記冷却剤を提供することであって、前記第1のロータチャネルが、第1の側部穴へと第1の方向に軸方向に延在する、提供することと、
第2の供給穴に結合された第2のロータチャネルに前記冷却剤を提供することであって、前記第2のロータチャネルが、第2の側部穴へと、前記第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に延在する、提供することと、を含む、態様18に記載の方法。
[態様20]
前記ロータアセンブリが、
第1の軸方向位置に配置され、前記第1の側部穴を備える第1のエンドプレートと、
第2の軸方向位置に配置され、前記第2の側部穴を備える第2のエンドプレートと、を備え、前記方法が、
前記冷却剤を、前記第1のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第1の端部巻線まで流すことと、
前記冷却剤を、前記第2のエンドプレートに沿って半径方向外向きに第2の端部巻線まで流すことと、
前記第1の端部巻線から及び前記第2の端部巻線から前記冷却剤に熱を伝達することと、を更に含む、態様18に記載の方法。
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