(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】防水性時計ケース
(51)【国際特許分類】
G04B 39/02 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G04B39/02 P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187197
(22)【出願日】2022-11-24
【審査請求日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・キスリング
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・カルテンリーダー-エリス
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ラザーリ
(72)【発明者】
【氏名】ジル・デリエイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ヴィプレイ
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・ウィンクレ
(72)【発明者】
【氏名】バティスト・イノー
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-183952(JP,A)
【文献】実開昭60-061689(JP,U)
【文献】スイス国特許発明第00378792(CH,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 39/02,39/00
G04B 37/08,37/00
G01D 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜水時計のための防水性時計ケース(1)であって、前記ケース(1)は、中間部(2)の一部分上に組み付けられる少なくとも1つのガラス(3)を備え、前記ガラス(3)の締結ガスケット(5)は、前記中間部(2)の環状内壁(22)と前記ガラス(3)の環状外壁(23)との間に配設され、
-前記環状外壁(23)と前記時計ケース(1)の中心との間に、前記ガラス(3)は、環状外周面(13)を備え、前記環状外周面(13)は、前記時計ケース(1)の平面に直交する軸に対して90°未満の規定角度で傾斜し、前記中間部(2)の環状内面(12)と直接接触し、前記環状内面(12)は、前記環状外周面(13)の傾斜角度と同様の角度で傾斜し、前記中間部(2)の前記環状内壁(22)の下に配設し、
-前記環状外周面(13)は、凸面湾曲部が第1の半径(R1)を有するドーム形接触面部分を備え、前記第1の半径(R1)は、前記中間部(2)の前記環状内面(12)に対する環状接触線を規定することを特徴とする、防水性時計ケース(1)。
【請求項2】
潜水時計のための防水性時計ケース(1)であって、前記ケース(1)は、中間部(2)の一部分上に組み付けられる少なくとも1つのガラス(3)を備え、前記ガラス(3)の締結ガスケット(5)は、前記中間部(2)の環状内壁(22)と前記ガラス(3)の環状外壁との間に配設され、
-前記環状内壁(22)と前記時計ケース(1)の中心との間に、前記中間部(2)は、環状内面(12)を備え、前記環状内面(12)は、前記時計ケース(1)の平面に直交する軸に対して90°未満の規定角度で傾斜し、前記ガラス(3)の環状外周面(13)と直接接触し、前記環状外周面(13)は、前記環状内面(12)の傾斜と同様の角度で傾斜し、前記ガラス(3)の前記環状外壁(23)の下に配設し、
-前記環状内面(12)は、凸面湾曲部が第1の更なる半径(R1’)を有するドーム形接触面部分を備え、前記第1の更なる半径(R1’)は、前記ガラス(3)の前記環状外周面(13)に対する環状接触線を規定することを特徴とする、防水性時計ケース(1)。
【請求項3】
潜水時計のための防水性時計ケース(1)であって、前記ケース(1)は、中間部(2)の一部分上に組み付けられる少なくとも1つのガラス(3)を備え、前記ガラス(3)の締結ガスケット(5)は、前記中間部(2)の環状内壁(22)と前記ガラス(3)の環状外壁(23)との間に配設され、
-前記環状外壁(23)と前記時計ケース(1)の中心との間に、前記ガラス(3)は、環状外周面(13)を備え、前記環状外周面(13)は、前記時計ケース(1)の平面に直交する軸に対して90°未満の規定角度で傾斜し、前記環状内壁(22)と前記時計ケース(1)の中心との間に、前記中間部(2)は、環状内面(12)を備え、前記環状内面(12)は、前記環状外周面(13)の傾斜角度と同様の角度で傾斜し、前記ガラス(3)の前記環状外周壁(13)と直接接触し、
-前記環状外周面(13)は、凸面湾曲部が第1の半径(R1)を有するドーム形接触面部分を備える一方で、前記環状内面(12)は、第1の相補形半径(R1’)の凸面湾曲部が前記ガラス(3)の前記環状外周面(13)に対する環状接触線を規定するドーム形接触面部分を備えることを特徴とする、防水性時計ケース(1)。
【請求項4】
前記中間部(2)の前記環状内面(12)は、前記時計ケースの中心方向における表面外形を変化させずに、規則的な勾配で傾斜することを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【請求項5】
前記ガラス(3)の前記環状外周面(13)は、前記時計ケースの中心方向における表面外形を変化させずに、規則的な勾配で傾斜することを特徴とする、請求項2に記載の時計ケース(1)。
【請求項6】
前記締結ガスケット(5)は、ポリウレタン又は架橋ポリウレタンから作製することを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【請求項7】
前記締結ガスケット(5)は、ポリウレタン又は架橋ポリウレタンから作製することを特徴とする、請求項2に記載の時計ケース(1)。
【請求項8】
前記締結ガスケット(5)は、ポリウレタン又は架橋ポリウレタンから作製することを特徴とする、請求項3に記載の時計ケース(1)。
【請求項9】
前記中間部(2)は、弾性限度が500MPaより高い材料から作製し、前記ガラス(3)は、サファイアから作製することを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【請求項10】
前記中間部(2)は、窒素含有量の高いステンレス鋼又はグレード5チタン(Ti6Al4V)から作製することを特徴とする、請求項9に記載の時計ケース(1)。
【請求項11】
前記第1の半径(R1)は、約10.7mm±5mmで選択することを特徴とする、請求項1または3に記載の時計ケース(1)。
【請求項12】
前記第1の相補形半径(R1’)は、約10.7mm±5mmで選択することを特徴とする、請求項3に記載の時計ケース(1)。
【請求項13】
前記第1の半径(R1)及び前記第1の相補形半径(R1’)は、約10.7mm±5mmで選択することを特徴とする、請求項3に記載の時計ケース(1)。
【請求項14】
前記ガラス(3)の前記環状外周面(13)の上部分は、前記ガラス(3)の前記
環状外壁(23)との接続において第2の半径(R2)の湾曲部を含み、前記第2の半径(R2)は、前記締結ガスケット(5)による前記中間部(2)上への前記ガラス(3)の組付けを促進するように、ドーム形部分の前記第1の半径(R1)の湾曲部より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【請求項15】
前記ガラス(3)の前記環状外周面(13)の底部分は、縁部が尖鋭になりすぎないように第3の半径(R3)の湾曲部を含み、前記第3の半径(R3)は、前記第2の半径(R2)以下であることを特徴とする、請求項14に記載の時計ケース(1)。
【請求項16】
前記第2の半径(R2)及び/又は前記第3の半径(R3)は、前記第1の半径(R1)の10分の1の大きさの値であることを特徴とする、請求項15に記載の時計ケース(1)。
【請求項17】
前記第2の半径(R2)及び/又は前記第3の半径(R3)は、約0.75mm±0.2mmで選択することを特徴とする、請求項16に記載の時計ケース(1)。
【請求項18】
前記時計ケース(1)は、概ね円筒形の形状であり、前記中間部(2)の前記環状内壁(22)及び前記ガラス(3)の前記環状外壁(23)は、円筒形状であり、前記環状外周面(13)及び前記環状内面(12)は、概ね円錐形の形状であり、前記
環状外周面(13)または前記環状内面(12)の一方の面又は
前記環状外周面(13)および前記環状内面(12)の両方の面上のドーム形接触面部分は、環状接触線上で直接接触することを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【請求項19】
前記時計ケース(1)の前記中間部(2)は、外側が概ね円筒形の形状であり、前記環状内壁(22)は、4つの垂直平坦壁(22)から構成され、前記4つの垂直平坦壁(22)は、互いにリング形状で提供、配設される一方で、前記環状内面(12)は、4つの概ね平坦な板を備え、前記4つの概ね平坦な板は、互いに接合され、前記時計ケースの中心方向で傾斜することを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【請求項20】
前記時計ケース(1)の前記中間部(2)は、外側に4つの辺を有する、概ね平行六面体の形状であり、前記環状内壁(22)は、内側が概ね円筒形の形状である一方で、前記傾斜環状内面(12)は、概ね円錐形の形状であることを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【請求項21】
前記時計ケース(1)の前記中間部(2)は、外側に4つの辺を有する、概ね平行六面体の形状であり、前記環状内壁(22)は、4つの垂直平坦壁から構成され、前記4つの垂直平坦壁は、互いにリング形状で提供、配設される一方で、前記環状内面(12)は、4つの概ね平坦な板を備え、前記4つの概ね平坦な板は、互いに接合され、前記時計ケースの中心方向で傾斜することを特徴とする、請求項1に記載の時計ケース(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に潜水時計のための防水性時計ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
水中での機械式時計又は電子時計に対する使用を実現するには、測時器ムーブメント又は時間基準の測時器モジュールを備える時計ケースを封止、閉鎖しなければならない。このため、時計ケースは、中間部の第1の側に封止締結される裏蓋と、中間部の第2の反対の側に締結されるガラスとを備える。パッキンは、時計の裏蓋、中間部及びガラスの組立体にもたらされる。時計の機能を制御又は設定する機関も、ケースの中間部を通じて載置位置で封止され、組み付けられる。
【0003】
一般に、時計ケースは、時計ケース内部の圧力が大気圧に近いと仮定して、例えば、潜水中の高い水圧に耐えるように構成又は組み立てられていない。従来の時計の単純なパッキンは、大深度の水中まで潜水する間、ケースの良好な防水性を保証するには十分ではない。
【0004】
防水性時計ケースを記載する、スイス国特許発明第690870(A5)号明細書について言及し得る。時計ケースは、上側で中間部-ベゼルに締結されるガラス、及び中間部の内側雌ねじ部に螺入することによって中間部に締結される裏蓋から構成される。ガラスは、トロイド形状の環状パッキンによって中間部に締結され、中間縁上に支承される。トロイド形状のパッキンは、裏蓋の外側縁と中間部の下面との間にも設けられる。雌ねじ部は、高い水圧で損傷することがあるため、耐性のある金属から作製したドームも、裏蓋の内面及び中間部の内縁部を圧迫する状態で設けられる。しかし、そのような時計ケース構成の場合でさえ、大深度の水中、特に4000mを下回る深さ(破損区域)まで、潜水中のケースの良好な防水性を保証することは可能ではなく、欠点となる。
【0005】
スイス国特許発明第372606号明細書は、中心部分又は中間部を有する防水性時計ケースを記載しており、中心部分又は中間部は、裏蓋を囲繞し、ガラスによって閉鎖される。ねじ山の付いたリングは、裏蓋を保持するように裏蓋の傾斜外面を圧迫し、中間部に接続される締結部分に螺入される。提示されるそのような時計ケース構成の場合、大深度の水中、特に4000mを下回る深さ(破損区域)まで、潜水中のケースの良好な防水性を保証することは可能ではなく、欠点となる。
【0006】
スイス国特許発明第378792号明細書は、防水性時計ケースを記載している。ガラスは、円板の透過性無機材料(ガラス、クリスタル・ガラス)である。軟質又は展性の金属(金、白金、銀、銅、スズ)のパッキンは、上縁に対してガラスの外周部上に押し込まれる。このガラス及びパッキンの組立体は、中間部等の円筒形支持ボア内に押し込まれる。円筒形ボアの直径は、組立体を円筒形ボアに押し込む間、良好な防水性を保証するように、軟質金属パッキンの外径よりわずかに小さい。ガラスは、内側に、中間部の相補形の円錐支承面と直接接触する円錐支承面を備える。そのようなガラスと中間部との間の接触の1つの欠点は、同じ形状を有していない危険性があるため、2つの円錐面の間の良好な直接接触の保証が困難であることであり、したがって、組立体の機械的強度に影響を与えるおそれがある。更に、軟質金属パッキンが良好な防水性を保証できる場合でさえ、主な欠点は、時計ケースを開放するたびにこのパッキンを交換しなければならならず、また、原則として、外部環境に耐性のある材料を使用することが好ましいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】スイス国特許発明第690870(A5)号明細書
【文献】スイス国特許発明第372606号明細書
【文献】スイス国特許発明第378792号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の主な目的は、大深度の水中まで、潜水の高水圧に耐えるように適合させた防水性時計ケースを提案することによって、上記した従来技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的で、本発明は、独立請求項1から3の特徴を含む防水性時計ケースに関する。
【0010】
防水性時計ケースの特定の実施形態は、従属請求項4から21で規定される。
【0011】
本発明の1つの利点は、直接接触が、環状接触線上、好ましくは中間部の上部分のガラスの締結ガスケットの下の中心位置で、ガラスと中間部との間にもたらされることにある。中心位置は、ガラスの方向で時計ケースの中心から見える。締結ガスケットは、中間部の上側環状内壁とガラスの上側環状外壁との間に配設される。
【0012】
有利には、ガラスは、環状外周面を備え、環状外周面は、時計ケースの平面に直交する軸に対して90°よりも小さい角度で傾斜する。環状外周面は、ドーム形接触面部分を備え、凸面湾曲部は、環状外周面の傾斜に実質的に等しい傾斜の中間部の環状内面と接触する第1の半径を有する。2つの面の間の接触は、環状接触線を規定する。
【0013】
好ましくは、環状内面は、環状外周面の傾斜角度と同様の角度で傾斜する面であるが、規則的な勾配であり、時計ケースの中心方向の表面の外形は変化しない。このおかげで、2つの傾斜面の間の直接接触は、良好に中心に置かれる。
【0014】
時計に対する圧力が増大する間、ガラスは、時計の内側の方に向けられる力を受ける。中間部が圧迫されると、この結果、中心が屈曲し、ガラスの(円筒形及び円錐形の)外壁がわずかに回転する。
【0015】
上記したドーム形の形状のために、ガラス-中間部の接触領域は、圧力が増大するにつれて、ドーム形接触面部分で、概ね円錐形の面の下方に移動する。材料の弾性変形により、接触領域における応力の増大も生じさせ、これにより、ガラス-中間部の支承面を増大させ、したがって、中間部及びガラス内の局所的な応力を低減する。このことは、有利には、ガラスの圧縮による破損の危険性の低減に寄与する。
【0016】
従来技術によれば、同等形状の2つの厳密な機械加工面の間での直接接触、例えば、円錐形状の環状外周面と相補形円錐形状の環状内面との接触を実施することが提供されている。そのような円錐形状の面の場合、直接接触は、各面の底部分又は上部分に置かれることがあり、ガラス又は中間部を損傷させることがある。
【0017】
防水性の観点から、まず第一に、ガスケットによりガラスを中間部上に組み付けるシステムがあり、一方で、ガラスによってもたらされる防水性がある。ガラスによる防水性の場合、ガラスが破損すると、システムはもはや防水性ではない、又は少なくともこの時計がもはや使用できないとみなし得る。ポリマー・ガスケットによりガラスが中間部に接続されるケースでは、中間部-ガラス支持体の形状は、ガラスへの圧力下、機械的強度に関連する防水性に対し、直接的な影響を与える。
【0018】
有利には、ドーム形接触面部分は、中間部の環状内面上に置くことができる一方で、ガラスの環状外周面は、時計ケースの中心方向で規則的な勾配を有する傾斜を有する。2つの面の接触は、十分に中心に置かれる状態で生じる。更に、別の変形形態では、各面は、それ自体、ドーム形接触面部分を備え、接触線上で、同様に良好に中心に置かれる状態で、もう一方の面との直接接触を確立するようにする。
【0019】
有利には、時計ケースは、円筒形、楕円円筒形、平行六面体の形状、又は角柱の形態、又は人の手首に装着される時計に適合可能な他の形態を取り得る。
【0020】
平行六面体の場合、少なくとも4つの垂直平坦壁が設けられ、互いにリング形状で配設される。このことは、ガラスの環状外周面及び中間部の環状内面はそれぞれ、壁のセットを備え、壁のセットは、時計ケースの中心方向で傾斜し、互いに接続されてリングを形成することを意味する。更に、ドーム形部分は、一方の面の壁上に生成される一方で、もう一方の面は、時計ケースの中心方向で傾斜し、規則的な勾配を有し、したがって、傾斜面の外形が変化しない平坦板から構成される。各傾斜面の各壁接続部に丸みを設けることができる。
【0021】
更に、実質的に相補形状の2つの面の板の全ては、角度接触線に従って、面の中心位置で互いに接触するドーム形部分を備え得る。
【0022】
防水性時計ケースの目的、利点及び特徴は、図面に対する以下の非限定的な説明でより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1a】本発明による防水性時計ケースの第1の実施形態の簡略化した断面図である。
【
図1b】本発明による、中間部へのガラスの配置及び締結に関する部分詳細断面図である。
【
図1c】本発明による、ガラスを中間部に締結する前の部分詳細断面図である。
【
図2a】第1の実施形態の変形形態である、本発明による防水性時計ケースの第2の実施形態の簡略化した断面図である。
【
図2b】本発明による、ガラスを中間部に配置、締結することに関する部分詳細断面図である。
【
図2c】本発明による、ガラスを中間部に締結する前の部分詳細断面図である。
【
図3a】第1の実施形態と第2の実施形態との組合せである、本発明による防水性時計ケースの第3の実施形態の簡略化した断面図である。
【
図3b】本発明による、ガラスを中間部に配置、締結することに関する部分詳細断面図である。
【
図3c】本発明による、ガラスを中間部に締結する前の部分詳細断面図である。
【
図4a】本発明による、外周部内に円形ガラスを受け入れる時計ケースの中間部の形状の上面図である。
【
図4b】本発明による、外周部内に正方形又は長方形ガラスを受け入れる時計ケースの中間部の形状の上面図である。
【
図4c】本発明による、外周部内に円形ガラスを受け入れる時計ケースの中間部の形状の上面図である。
【
図4d】本発明による、外周部内に正方形又は長方形ガラスを受け入れる時計ケースの中間部の形状の上面図である。
【
図5a】本発明による、特に、ガラスの環状外周面と中間部の環状内面との接触に対する、ドーム形接触面部分の機械的接触に関する応力状態のグラフであり、ガラス対中間部の圧力は、1バールである。
【
図5b】本発明による、特に、ガラスの環状外周面と中間部の環状内面との接触に対する、ドーム形接触面部分の機械的接触に関する応力状態のグラフであり、ガラス対中間部の圧力は、750バールである。
【
図6a】従来技術による、ガラスの円錐形環状外周面と中間部の相補形円錐形状の環状内面との接触に対する、機械的接触に関する応力状態のグラフであり、ガラス対中間部の圧力は、1バールである。
【
図6b】従来技術による、ガラスの円錐形環状外周面と中間部の相補形円錐形状の環状内面との接触に対する、機械的接触に関する応力状態のグラフであり、ガラス対中間部の圧力は、750バールである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、特に潜水時計に関する、当業者に周知である防水性時計ケースの構成要素の全ては、簡略的にしか述べない。時計ケースの要素の場所は、時計ケースの中心からガラスまでの方向で示す。
【0025】
図1aから
図1cは、潜水時計のために使用し得る時計ケース1の第1の実施形態を示す。時計ケース1は、本質的に、サファイア又は無機ガラスから作製され、締結ガスケット5により中間部2の上側に締結されるガラス3と、任意で、中間部2の下側に組み付けられる裏蓋4とを備える。測時器ムーブメント又はモジュール10は、参照番号10によって示される位置で時計ケース1内に配設し得る。潜水時計の時間、日付又は他の機能を設定する心軸-りゅうず等の少なくとも1つの制御機関9は、載置位置内、又は中間部2を通じて封止し、組み付けることができる。
【0026】
ガラス3を中間部2の上側に締結する場合、環状締結ガスケット5は、中間部2の環状内壁22とガラス3の環状外壁23との間に配設される。裏蓋4は、中間部2の底部分に設けられ、トロイド形状の環状パッキン6により封止して締結することができ、環状パッキン6は、好ましくは、裏蓋を所定の位置で保持するように中間部2の底部分の溝16内に置かれる。裏蓋4の環状支承面24は、中間部2上に裏蓋4を組み付けてある間、支承面24と相補形状の中間部2の環状内面32と接触している。支承面24及び内面32は、時計ケース1の平面に直交する軸に対して決定された角度で傾斜する。
【0027】
中間部2が概ね円筒形の形状である場合、支承面24及び内面32は、円錐形状であり、時計ケース1の中心軸に対して決定された角度で時計ケース1の外側から内側に向かって傾斜し得る。このことは、各円錐形状の先端が時計ケース1の内側方向にあることを意味する。中間部2及び裏蓋4が、チタン又は決定された種類の鉄鋼等の材料から作製される場合、角度は、中心軸に対して約43°±5°とし得る。
【0028】
概して、中間部2のために好ましく使用される材料は、高機械強度又は高弾性限度を有する材料、即ち、500MPaより高い材料でなければならない。更に、ガラス3と直接接触するため、2つの面の間の摩擦は、可能な場合、著しく低減しなければならない。中間部2は、例えば、窒素含有量の高いステンレス鋼又はグレード5チタン(Ti6Al4V)から作製し得る。比較として、標準的なステンレス鋼は、200から250MPaの間の弾性限度、及び180から210GPaの間のヤング率を有する一方で、窒素含有量の高いステンレス鋼は、500から700MPaの間の弾性限度及び180から210GPaの間のヤング率を有する。グレード5チタンは、800から900MPaの間の弾性限度、及び105から115GPaの間のヤング率を有する。
【0029】
任意の形状の時計ケースに関し、ガラス3は、環状外周面13を上側環状外壁23の下に備え、中間部2の上側環状内壁22の下で環状内面12と直接接触するように構成される。ガラス3の環状外周面13は、時計ケース1の平面に直交する軸に対して90°より小さい規定角度で傾斜する。好ましくは、環状内面12は、概ね、環状外周面13と同じ角度で、中心軸に対して時計ケース1の外側から内側に向かって傾斜する。しかし、中間部2の環状内面12は、時計ケースの中心の方向で規則的な勾配で傾斜する。
【0030】
中間部2が概ね円筒形の形状である場合、環状内面12は、円錐形状であり、時計ケース1の外側から内側に向かって規定角度で、表面の外形が変化しない規則的な勾配で傾斜し得る。このことは、円錐形状の先端が時計ケース1の内側方向にあることを意味する。環状内面12の規定傾斜角度は、中心軸に対して約43°±5°とし得る。環状内面12に実質的に相補形の形状とし得る環状外周面13は、第1の半径R1の凸面湾曲部を有するドーム形接触部分を備えることができ、第1の半径R1は、時計ケースの中心方向で傾斜する実質的に円錐形の形状の中間部2の環状内面12に対する、円形環状接触線上の接触のために規定される。この円形環状接触線は、好ましくは、環状外周面13の中間の高さにある、即ち、中心位置にある。第1の半径R1は、約10.7mm±5mmにおいて選択し得る。このことにより、約0.03mmの厚さのドーム形部分を環状外周面13上にもたらし、この厚さは、十分に中心の位置で環状内面12との接触を確立するのに十分である。
【0031】
この提示されるケースでは、凸面湾曲部とは、環状内面12と直接接触しなければならない環状外周面13上のドーム形部分を意味する。ドーム形部分は、環形状である。凹面湾曲部の場合、このことは、環状外周面13上の中空部分を意味し、円形環状接触線上で環状内面12に接触することができない。したがって、凸面湾曲部が環状外周面13上で選択され、望ましい。
【0032】
単に説明の目的で、文字板側の上から見える中間部2の様々な簡略化した形状を
図4aから
図4dに提示する。中間部2の外側形状は、中間部2の内側形状とは異なってよい。
【0033】
図4aでは、中間部2は、外側及び内側が概ね円筒形の形状であり、環状内壁22は、円筒形状である一方で、傾斜した環状内面12は、概ね円錐形の形状である。
【0034】
図4bでは、中間部2は、外側が概ね円筒形の形状であり、内側には、少なくとも4つの垂直平坦壁22が、互いにリング形状で設けられ、配設される一方で、環状内面12は、4つの概ね平坦な板を備え、4つの概ね平坦な板は、互いに接合され、時計ケースの中心方向で傾斜する。
【0035】
図4cでは、中間部2は、外側及び外側に4つの辺を有する、概ね平行六面体の形状であり、環状内壁22は、円筒形状である一方で、傾斜した環状内面12は、概ね円錐形の形状である。
【0036】
図4dでは、中間部2は、外側及び内側に4つの辺を有する、概ね平行六面体の形状であり、少なくとも4つの垂直平坦壁22は、互いにリング形状で設けられ、配設される一方で、環状内面12は、4つの概ね平坦な板を備え、4つの概ね平坦な板は、互いに接合され、時計ケースの中心方向で傾斜する。
【0037】
時計ケース1の円筒形状とは異なる形状、例えば、概ね楕円の円筒形又は平行六面体の形状又は5つ以上の垂直壁を有する角柱の形態も想定し得ることを留意されたい。中間部2は、中間部2が時計ケース1の大部分を形成するため、時計ケース1のために上記で特定したものとは別の形状も有し得る。このシナリオにおいて、環状内面12は、互いに環形状で接続される、少なくとも3つ又は4つの概ね平坦な壁から構成し得る。各平坦壁は、時計ケース1の中心方向で、90°より小さい規定角度で時計ケースの外側から内側に向かって勾配を伴って傾斜し、勾配は、規則的であり、表面外形が変化しない。環状外周面13に関し、複数のドーム形接触部分は、少なくとも3つ又は4つの壁の全てに対して生成され、少なくとも3つ又は4つの壁は、環状内面12に対する環状接触線上での接触のために互いに接続される。それぞれの傾斜面の各壁接続部において、図示しない丸みの中でもドーム形部分を保持することによって、丸みを付けることができる。
【0038】
図1aから1c、
図2aから
図2c及び
図3aから
図3cに示すような円筒形である時計ケースと比較すると、及び製作公差のために、円錐対円錐の支承は、全く完全ではない。したがって、2つの円錐面の間の接触点は、かなり、各面の底部分又は上部分に向かって位置する傾向を有する。実行されたFEMシミュレーションは、ガラス3の環状外周面13の半径R1の湾曲部、又は中間部2の環状内面12のR1’の湾曲部を有するドーム形接触面部分が、全てのケースで、特に、添付の表に示す完全な円錐対円錐の支承と比較して、有益であることを示す。
【0039】
ドーム形接触面部分は、ガラス3の環状外周面13の上部分が、ガラス3の上側環状外壁23との接続において、好ましくは第1の半径R1の凸面湾曲部の後、第2の半径R2の凸面湾曲部を備えるためにも提供される。第2の半径R2は、環状内面12及び環状外周面13の接触のためのドーム形部分の凸面湾曲部の第1の半径R1よりも小さい。好ましくは、第2の半径R2は、第1の半径R1の10分の1という大きさの値、例えば、0.75mm±0.2mmである。ガラス3の環状外周面13の上部分の半径R2の湾曲部は、締結ガスケット5による中間部2上へのガラス3の組付けを促進可能にする。この締結ガスケット5は、ポリウレタン又は更には架橋ポリウレタンから作製し、例えば、約0.65mm±0.2mmの厚さ及び約2.5mm±0.5mmの高さの環形状とし得る。
【0040】
ガラス3の環状外周面13は、縁部が尖鋭になりすぎるのを回避し、中間部2の環状内面12の底部分の平坦部と接触するのを回避するため、底部分の側に第3の半径R3の凸面湾曲部を備え得ることにも留意されたい。この平坦部は、ガラス3から約3mmの距離とし得る。第3の半径R3は、第2の半径R2よりも小さいか、又は好ましくは、第2の半径R2に等しい。好ましくは第1の半径R1の凸面湾曲部の後の、第3の半径R3の湾曲部も、ガラス3が欠ける危険性を回避可能にする。
【0041】
サファイアでガラス3を生成するには、チョクラルスキー又はEFG(Edge Defined Film Fed Growth)という名称の方法を使用し得る。ドーム形部分(複数可)は、機械加工又は成端方法によって得ることができる。中間部2を機械加工する方法は、打抜き加工であり、内部及びドーム形部分の外形を曲げる。摩擦係数は、主に、中間部2及びガラス3の表面粗さと組み合わせて生成されるドーム形部分(複数可)に従って決定される。摩擦係数は、表面条件、即ち、接触する2つの部分の粗さに従って低減し得る。
【0042】
以下の第1の3つの表は、一方の、中心における引張応力、並びにもう一方の、ガラス側の応力及び中間部側における応力に関し、傾斜は、ガラスと中間部との間の摩擦係数に応じて+0.5°及び-0.5°で変化する。
【0043】
【0044】
上記では、表により、ガラス3が、同様に円錐支承を有する中間部2に対して円錐支承を有するかどうか、又はガラス3側上の第1の半径R1の湾曲部、若しくは中間部2側上の相補形の第1の半径R1’の湾曲部に応じて、応力計算が決定される。この応力計算は、上記のように摩擦係数に依存する。各場合において、理想的には、ガラス3の引張りに対して、380MPaを依然として下回らなければならない応力、及び高い弾性限度を有する鉄鋼型の中間部2の場合、560MPaを下回らなければならない応力を最小化することが試みられる。
【0045】
上記表において、ガラス3と中間部2との間の側の差が-0.5°(円錐の外側に対する支承が上部分にある)又は+0.5°(円錐の内側に対する支承が底部分にある)であることも考慮される。この場合、ガラスの引張応力に関し、理想的な場合では円錐支承が良好であるが、外側に支承のずれがある場合に問題を生じさせる一方で、中間部の応力に関し、全ての場合で問題を生じさせることがわかる。
【0046】
中間部2側の放射状の配置は、最良に機能させるものであるが、ガラス3上の放射状の配置はより単純であり、公差の影響を吸収することも可能にする。
【0047】
以下に示す3つの表では、遅れ誤差が増大している。したがって、ガラス3の角度上の誤差は-3°に上昇し、全ての場合において、最も状態を悪化させるのが円錐支承であると示すことが可能である。
【0048】
【0049】
更に、環状内面12と環状外周面13との間にBMGと呼ばれる非晶質金属から作製したガスケット又はリングも使用する場合、又は非晶質金属から作製したガスケット又はリングを伴わない本発明の場合について、比較を以下に示す。中間部2の材料の種類も特定される一方で、ガラス3に関してはサファイア又は無機ガラスに関する。まず、以下に提示される6つの表は、以下で示される使用材料、及び中間ガスケットの有り又は無しに依存する、中間部上へのガラスの組付け試験に関する。この最初の試験では、最初の3つの表は、円錐支承に対するBMGリング有り又は無しを比較し、又は第2の3つの表は、わずかに放射状に広がるガラスを比較する。
【0050】
【0051】
ガラス3の中心における引張応力に関し、考慮されるのは、ガラス3が保持されている点にあることを観察し得る。低摩擦係数において、直接支承は、ガラス3と中間部2との間で摺動し得る界面がより少ないため、より良好である。高摩擦係数において、考慮されるのは、ガラス3が高弾性係数(金又はBMGではなく、鉄鋼又はセラミック)を有する材料上に載置されることである。放射状に広がるガラス3の場合でさえ、摩擦係数は、この観点からより良好である直接支承バージョンでは十分に低いことがほぼ確実である。中間部2に関し、一方で、BMGガスケットは、円錐対円錐の支承では高摩擦係数の応力を制限することが可能であるが、原則的に、ガラス上の半径が、中間部の環状内面12との直接接触によるこの結果を有するようにすることも、より有利であり、本発明が得ようとするものである。
【0052】
上記の表では、特に許容可能で達成可能な最大圧力を示すように圧力限度を追加することが可能であることに留意されたい。3つの限度(ガラスの引張応力、最大380Mpa、ガラスの圧縮、最大2000Mpa、又は中間部の圧縮、最大500Mpaから1200Mpa)の1つに達した際、停止しなければならない。しかし、最も望ましくないケースは、円錐対円錐の直接接触のケースであることが依然として観察される。更に、ガスケット又はBMGリングを伴わないバージョンでは常に利点がある。
【0053】
図2aから
図2cは、防水性時計ケース1の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態は第1の実施形態に多く似ているので、第1の実施形態に関して観察される差のみを説明する。
【0054】
第2の実施形態の主な差は、ドーム形接触面部分がもはやガラス3の環状外周面13上になく、中間部2の環状内面12上にあることである。しかし、ガラスの環状外周面13は、今回、時計ケース1の外側から内側に向かって表面外形が変化せずに規則的な勾配で傾斜している。相補形第1の半径R1’の湾曲部は、第1の半径R1の湾曲部と同じ値とし得るが、反対の構成にある。
【0055】
第2の半径R2及び第3の半径R3の湾曲部は、依然として、第1の実施形態の場合と同じ場所でガラス3の環状外周面13上に生成される。
【0056】
半径R1又はR1’のドーム形部分の湾曲部は、底から上に、即ち、円弧を底から上に配置する軸方向断面で向けることによって、環状内面12及び環状外周面13の一方又はもう一方に配設される。半径R2及びR3の湾曲部も底から上に向けられる。
【0057】
図3aから
図3cは、防水性時計ケース1の第3の実施形態を示す。この第3の実施形態は第1の実施形態及び第2の実施形態に多く似ているので、第1の実施形態及び第2の実施形態に関して観察される差のみを説明する。主に、第3の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態で上記したドーム形部分を繰り返し述べる。
【0058】
ガラス3の環状外周面13は、第1の半径R1の凸面湾曲部を有するドーム形接触面部分を備え、環状内面12も、相補形第1の半径R1’の凸面湾曲部を有するドーム形接触面部分を備える。2つの湾曲部はそれぞれ、実際に、環形状のドーム形部分を形成する環状内面12及び環状外周面13であり、環状接触線に従って、各環状内面12及び環状外周面13の中心位置で互いに接触する。2つの半径R1及びR1’は、好ましくは、同様であるが、互いにわずかに異なってもよい。
【0059】
ガラス3の環状外周面13は、半径R2及びR3の湾曲部も備える。上述のように、第2の半径R2及び第3の半径R3の湾曲部は、依然として、第1の実施形態及び第2の実施形態の場合と同じ場所でガラス3の環状外周面13上に生成される。半径R2及びR3に対する同じ値も繰り返される。
【0060】
本実施形態では、環形状の締結ガスケット5は、ポリウレタン又は更には架橋結合ポリウレタンから作製し得る。中間部2が概ね円筒形の形状である場合、締結ガスケット5は、円筒形である。ガラス3を中間部2上に組み付けた後、締結ガスケット5は、環状外周面13上で中間部2の環状内壁22及びガラス3の環状外壁23に締結される。
【0061】
非限定的な例として、締結ガスケット5の高さは、約2.5mmとし得る。ガスケットの厚さは、約0.65mmとし得る。
【0062】
上記した代替実施形態の中間部2上へのガラス3の締結に関し、ガラス3と中間部2との間で、凸面半径の湾曲部を有する表面と円錐面との間で接触させる場合、ガラス3と中間部2との間の良好な防水性及び良好な応力分配が保証されることにも留意されたい。このことは、時計が、時計の内側と大深度の水中での水圧との間の圧力差による高応力に耐えなければならない潜水時計であることを考慮に入れると、必要である。中間部2とガラス3との間の接触面がこの円錐形状のためにかなり大きいので、より大きな面にわたりより良好な応力の伝達があり、このことは、ガラス内における応力の集中を低減する、したがって、深海潜水中にガラスが破損しないようにするのに重要である。このことにより、時計ケースの防水性も保証可能にする。この構成により、時計ケースに対する水圧が、接触面の間の隙間を閉鎖する性質がある。更に、このことにより、ガラスと中間部の内側との間の押し出しが防止される。
【0063】
図5A及び
図5Bは、この実施形態では、最初に、1バールの圧力にあり(
図5A)、次に、750バールの圧力にある(
図5B)、ガラス上に生成されたドーム形接触面部分によるガラスと中間部との間の機械的接触を示す。ドーム形接触面部分は、中間部の環状内面に接触するようにガラスの環状外周面上にある。
【0064】
これらの
図5A及び
図5Bは、灰色部分上に、ガラスと中間部との間の界面に沿った接触圧力も示す。灰色部分の厚さは、位置に応じた接触圧力の強度に対応する。ガラスの環状外周面のドーム形部分が中間部の円錐面に接触するこの構成では、圧力が接触領域上で良好に中心にあることに留意されたい。更に、高圧においてガラスと中間部との間により大きな接触面があるほど、接触力はより良好に分配され、ガラス又は中間部が破損する危険性がより少なくなり、有利である。
【0065】
図6A及び
図6Bは、従来技術による、最初に、1バールの圧力にあり(
図6A)、次に、750バールの圧力にある(
図6B)、ガラス及び中間部の2つの円錐面の間の機械的接触を示す。
【0066】
これらの
図6A及び
図6Bも、灰色部分上に、ガラスと中間部との間の界面に沿った接触圧力を示す。この灰色部分の厚さは、位置に応じた接触圧力の強度に対応する。この実施形態では、円錐支承の場合、外側で接触するだけでなく、更に、最大圧力が、初期の接触領域の外側に向かって完全に中心からずれており、欠点となる。
【0067】
たった今示してきた説明から、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者が時計ケースの複数の代替実施形態を設計し得る。時計ケースは、時計ケースの中間部によって、円筒体とは異なる全体形状を有し得る。
【符号の説明】
【0068】
1 防水性時計ケース
2 中間部
3 ガラス
5 締結ガスケット
12 環状内面
13 環状外周面
22 環状内壁
23 環状外壁