(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】二重摩擦機構を有する関節を含むトレイアームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 50/33 20160101AFI20240620BHJP
A61G 13/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A61B50/33
A61G13/00 Z
(21)【出願番号】P 2022507516
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 IB2020057207
(87)【国際公開番号】W WO2021028765
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-20
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー メイスン ハーン
(72)【発明者】
【氏名】マーク ネスター
(72)【発明者】
【氏名】スコット ニュートン
(72)【発明者】
【氏名】ポール サイター
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152906(JP,A)
【文献】特開2015-161820(JP,A)
【文献】特表2010-503513(JP,A)
【文献】国際公開第2012/117922(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/33
A61G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイアームアセンブリの関節であって、
関節本体と、
シャフトであって、前記シャフトの長手方向軸の周りで前記関節本体に対して回転するように構成されているシャフトと、
スリップクラッチアセンブリであって、
前記シャフトにキー結合された複数の第1クラッチプレートと、
前記関節本体にキー結合された複数の第2クラッチプレートと、
を含む、クラッチスタックと、
前記クラッチスタックに力を選択的に作用するように構成されているばねであって、
前記クラッチスタックを圧縮する前記力は、前記複数の第1クラッチプレートと前記複数の第2クラッチプレートとの間に、前記関節本体に対する前記シャフトの回転に対する摩擦を生じさせる、
ばねと、
を含む、スリップクラッチアセンブリと、
を含む、関節。
【請求項2】
前記関節はトレイアームアセンブリの一部であり、
前記シャフトは、前記トレイアームアセンブリのアームに固定的に結合されている、
請求項1に記載の関節。
【請求項3】
解除リングと、
圧力プレートと、
を更に含み、
前記ばねは、前記解除リングに前記力を選択的に作用するように構成されており、
前記解除リングは、前記圧力プレートに前記力を伝達するように構成されており、
前記圧力プレートは、前記クラッチスタックに前記力を伝達するように構成されている、
請求項1に記載の関節。
【請求項4】
解除レバーを更に含み、
前記解除レバーを作動させると、前記圧力プレートから前記解除リングを分離することにより前記スリップクラッチアセンブリが停止し、
前記圧力プレートから前記解除リングが分離すると前記クラッチスタックが圧縮解除され、
前記クラッチスタックが圧縮解除されると前記摩擦が減少する、
請求項3に記載の関節。
【請求項5】
前記シャフト内に位置するプッシュロッドを更に含み、前記解除レバーは、前記プッシュロッドにより前記解除レバーに作用された力によって作動される、請求項4に記載の関節。
【請求項6】
前記複数の第1クラッチプレートは第1キー特徴部を含み、
前記第1キー特徴部は、前記関節本体の対応する1つ以上の第1キー要素にキー結合され、前記複数の第1クラッチプレートを前記関節本体にキー結合するように構成されている、
請求項1に記載の関節。
【請求項7】
前記第1クラッチプレートのそれぞれは、1つ以上の第1キー特徴部を含む、請求項6に記載の関節。
【請求項8】
前記第1キー特徴部はタブを含み、
前記1つ以上の第1キー要素は1つ以上の開口部を含み、
対応する前記1つ以上のキー要素にキー結合されるように構成されている前記第1キー特徴部は、前記1つ以上の開口部内を摺動するように構成されている前記タブを含む、
請求項6に記載の関節。
【請求項9】
前記複数の第2クラッチプレートは第2キー特徴部を含み、
前記シャフトは第2キー要素を含み、前記第2キー要素は、前記第2キー特徴部に挿入され、前記複数の第2クラッチプレートに係合するように構成されており、
前記シャフトを回転させると、前記複数の第1クラッチプレートに対する前記複数の第2クラッチプレートの回転が生じる、
請求項6に記載の関節。
【請求項10】
前記第2キー特徴部はキー結合開口部を含み、
前記第2キー要素はスプライン形状部分を含む、
請求項9に記載の関節。
【請求項11】
前記関節本体と前記シャフトとの間に配置された軸受と、
前記シャフトの外側部分にねじ止めされたナットと、
前記ナットによりスラスト軸受に押圧された第2ばねと、
を更に含み、
前記スラスト軸受は前記第2ばねと前記軸受との間に配置されており、
前記第2ばねは前記スラスト軸受に力を作用し、
前記スラスト軸受は前記軸受に前記力を伝達し、
前記軸受に作用された前記力は、前記軸受と前記シャフトとの間に第2の摩擦を生成する、
請求項1に記載の関節。
【請求項12】
前記第2ばねは皿ばねを含み、
前記皿ばねは、その力たわみ曲線の低率部において動作するように構成されている、請求項11に記載の関節。
【請求項13】
前記スリップクラッチアセンブリが停止すると、前記シャフトの回転中に前記第2の摩擦により空転トルクが生成される、請求項11に記載の関節。
【請求項14】
前記クラッチスタックは複数の摩擦ディスクを更に含み、
前記複数の摩擦ディスクのそれぞれは、前記複数の第1クラッチプレートのうちの1つと前記複数の第2クラッチプレートのうちの1つとの間に配置されており、
前記クラッチスタックを圧縮する前記力は、前記複数の第1クラッチプレートと前記複数の摩擦ディスクと前記複数の第2クラッチプレートとの間に、前記関節本体に対する前記シャフトの前記回転に対する前記摩擦を生じさせる、
請求項1に記載の関節。
【請求項15】
前記ばねは、その力たわみ曲線の低率部において動作するように構成されている皿ばねを含む、請求項1に記載の関節。
【請求項16】
前記シャフト内の中央に位置するプッシュロッドをさらに含み、前記プッシュロッドは、前記プッシュロッドの作動に応えて前記クラッチスタックを作動させる、請求項1に記載の関節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、発明者がAndrew Mason Hahn、Marc Nestor、Scott Newton及びPaul Seiterである、2019年8月9日に出願された「TRAY ARM ASSEMBLY INCLUDING A JOINT WITH A TWO-TIER FRICTION MECHANISM」という名称の米国仮特許出願第62/884,762号明細書の優先権の利益を主張するものであり、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全般的に、二重摩擦機構を有する関節を含むトレイアームアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
多くのタイプの機器、特に医療機器においては、医療従事者が数々の器具を使用して患者に手術などの繊細な処置を実施する。これらの器具は、特定の備品及び消耗品とともに、通常、患者の近くにあり且つ医療従事者が容易に届くところにあるトレイの上に置かれる。歯医者に行ったことのある人のほとんどは、歯科衛生士又は歯科医が歯にクリーニング又はより複雑な処置のいずれかを行う時に使用するトレイにはなじみがある。トレイは、医療従事者が処置を完了するために必要な物品に容易に届くように、歯科患者の口の近くに配置される。
【0004】
例えば歯科医が使用するトレイは、例えば、患者が麻酔下にあり得る間に手術室で行われる医療処置を行うために、他のタイプの機器とも使用される。このような処置の一例は、眼科手術である。眼科手術などの医療処置では、必要な器具、備品、及び消耗品を患者の眼の近くに配置することが必要であるが、眼科外科医がこれらの器具、備品、及び消耗品に容易に届くことも必要である。
【0005】
ある種の眼科手術中、外科医は、通常、患者の頭上に位置し、患者の眼に容易にアクセスできるようにする。その後、外科医は、眼科手術処置中に様々な異なる器具、備品、及び消耗品を使用する。これらの器具、備品、及び消耗品は、トレイ上の、外科医が容易に届くところに配置され得る。トレイは、トレイアームアセンブリを介して手術用コンソールに結合され得る。
【0006】
ある既存のトレイアームアセンブリは、外科医などのユーザがコンソールに対してトレイを移動させることを可能にする1つ以上の関節を含む。例えば、トレイアームアセンブリは、肩関節を介してコンソールに結合する上腕と、肘関節を介して上腕に結合する前腕と、前腕をトレイに結合する手首関節とを含み得る。これら関節のそれぞれは、トレイが関節の周りで移動することを可能にする。これら既存のトレイアームアセンブリのいくつかは、例えばユーザとの不用意な接触に応じてトレイが移動しないようにするために、それらの各関節がロックされ得るように構成されている。しかしながら、ある場合においては、ユーザはコンソールに対してトレイを移動させたい場合があり、ユーザがトレイアームアセンブリに過剰な力をかければロックされた関節が破損する可能性がある。他の既存のトレイアームアセンブリのいくつかは、ユーザとの不用意な接触に応じてトレイが移動しないようにするために、ロック機構などの機構を提供しない。このような場合、トレイに少量の力を加えた結果、トレイは過度に移動したり回転したりする可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、全般的に、二重摩擦機構を有する関節を含むトレイアームアセンブリに関する。
【0008】
本明細書に開示される特定の実施形態は、トレイアームアセンブリの関節であって、関節本体と、シャフトの長手方向軸の周りで関節本体に対して回転するように構成されているシャフトと、スリップクラッチアセンブリであって、シャフトにキー結合された複数の第1クラッチプレートと、関節本体にキー結合された複数の第2クラッチプレートと、を含む、クラッチスタックを含む、スリップクラッチアセンブリと、を含む、関節を提供する。クラッチスタックは、クラッチスタックに力を選択的に作用するように構成されているばねであって、クラッチスタックを圧縮する力は、複数の第1クラッチプレートと複数の第2クラッチプレートとの間に、関節本体に対するシャフトの回転に対する摩擦を生じさせる、ばねを更に含む。
【0009】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の例示的な特徴を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の態様を示しており、それゆえ、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の特定の実施形態によるトレイアームアセンブリを示す。
【
図2】
図2は、本開示の特定の実施形態による、非上昇状態にある
図1のトレイアームアセンブリの側面図を示す。
【
図3】
図3は、本開示の特定の実施形態による、上昇状態にある
図1のトレイアームアセンブリの側面図を示す。
【
図4】
図4は、本開示の特定の実施形態による、
図1のトレイアームアセンブリの手首回転機構を示す。
【
図5】
図5は、本開示の特定の実施形態による、
図1のトレイアームアセンブリの手首回転機構を示す。
【
図6A】
図6Aは、本開示の特定の実施形態による、肘関節及びその対応する構成要素の例示的な二重摩擦機構を示す。
【
図6B】
図6Bは、本開示の特定の実施形態による、肘関節及びその対応する構成要素の例示的な二重摩擦機構を示す。
【
図6C】
図6Cは、本開示の特定の実施形態による、
図6A~
図6Bの肘関節のクラッチスタックの例示的な摩擦インターフェイスをより詳細に示す。
【
図7】
図7は、本開示の特定の実施形態による、例示的なクラッチプレート、摩擦ディスク、及び
図6Cのクラッチスタックのクラッチプレートを示す。
【
図8】
図8は、本開示の特定の実施形態による、
図6A~
図6Bの肘関節及びその構成要素のいくつかの分解図を示す。
【
図9】
図9は、本開示の特定の実施形態による、
図1のトレイアームアセンブリの一部分を示す。
【
図10】
図10は、本開示の特定の実施形態による、
図1のトレイアームアセンブリの別の部分を示す。
【
図11】
図11は、本開示の特定の実施形態による、平らな状態で動作するように設計された皿ばねの力たわみ特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を促進するために、各図面に共通する同一の要素は、可能な限り同一の参照符号を使用して示している。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができるように企図されている。
【0013】
本開示の特定の実施形態は、二重摩擦機構を有する関節を含むトレイアームアセンブリを提供する。以下の実施形態は、眼科手術用コンソールなどの手術用コンソールとともに使用されるトレイアームアセンブリについて説明するが、当業者であれば、開示されるトレイアームアセンブリが他の様々なコンソール又は機器とともに使用され得ることは理解する。例えば、本明細書に記載されるトレイアームアセンブリは、非医療機器とともに使用されてもよい。
【0014】
図1は、手術用コンソールの一体部分であるように構築されたトレイアームアセンブリ100を示す。トレイアームアセンブリ100は、マウント102を使用してコンソールに取り付けられてもよい。図示されるように、トレイアームアセンブリ100は、肩関節104と、上腕アセンブリ106と、肘関節108と、前腕アセンブリ110と、トレイ関節と、トレイ112と、トレイ位置決めハンドル114と、解除ハンドル115とを含む。肩関節104、肘関節108、及びトレイ関節は、以後、「関節」と呼ばれる場合がある。トレイ112は、外科的処置中に器具、機器、及び消耗品を保持する性能並びにケーブル及びチューブを保持する能力を備えた有用な表面を提供する。トレイアームアセンブリ100が結合され得る手術用コンソールの例は、2008年12月9日に出願された米国特許第7,461,825号明細書に示され、記載されていることに留意されたい。前述の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
肩関節104、肘関節108、及びトレイ関節は、以下に更に詳細に記載するように、コンソールに対してトレイ112を位置決めする(例えば、移動する又は回転させる)ことを可能にするように構成されている。また、肩関節104、肘関節108、及びトレイ関節の1つ以上(例えば、それぞれ)は、二重摩擦機構を含む。
図6A/6Bに関連して更に詳細に説明するように、各関節内の二重摩擦機構は、第1の摩擦機構及び第2の摩擦機構を含む。第1の摩擦機構は、作動した場合、第1の摩擦機構と関連する摩擦に打ち勝つほどの十分なトルクが関節に印加されない限り、関節のあらゆる運動を阻止する。換言すると、全ての関節の第1の摩擦機構が作動した場合、関節のうちの1つ以上の第1の摩擦機構に打ち勝つほどの十分なトルクをユーザが印加しない限り、ユーザはトレイアームアセンブリ100をコンソールに対して移動させる又は回転させることができない。十分なトルクが関節に印加され、第1の摩擦機構に打ち勝つと、関節に結合された対応する構成要素をコンソールに対して移動させる又は回転させることができる。
【0016】
トレイ112をコンソールに対して位置決めするために、ユーザは、解除ハンドル115を掴んで引くことにより、第1の摩擦機構を有する全ての関節の第1の摩擦機構を停止させることができる。しかしながら、第1の摩擦機構が停止されても、各関節は依然として、関節において常時作動している第2の摩擦機構の影響を受ける。第2の摩擦機構は、各関節に空転トルクを及ぼし、これにより、コンソールに対してトレイアームアセンブリ100が急に動くことを阻止する。各関節における空転トルクは、第2の摩擦機構によって、関節に印加されるトルクと反対方向に作用される。本明細書における関節へのトルクの印加は、関節に結合された構成要素のうちの1つ以上へのトルクの印加を含み得ることに留意されたい。例えば、肘関節108へのトルクの印加は、前腕アセンブリ110及び上腕106へのトルクの印加を含む又は前腕アセンブリ110及び上腕106へのトルクの印加によって引き起こされ得る。別の例では、肩関節104へのトルクの印加は、前腕アセンブリ110及びコンソールへのトルクの印加を含む。
【0017】
解除ハンドル115を解放することにより、ユーザは、関節の第1の摩擦機構を再作動させることができる。第1の摩擦機構が作動されると、トレイアームアセンブリ100の1つ以上の構成要素に力を印加しても、そうした力によって、関節のうちの1つ以上の第1の摩擦機構に打ち勝つために必要なトルクの閾値量を超えるトルクが生じない限り、コンソールに対するトレイアームアセンブリ100のいかなる運動又は回転も引き起こされない。したがって、関節の第1の摩擦機構が作動されているとき、ユーザは、トレイ位置決めハンドル114を掴んで、ハンドル114又はトレイ112の任意の他の部分、上腕アセンブリ106、前腕アセンブリ110などを押すこと及び引くことによって、コンソールを移動させることができる。
【0018】
第1の摩擦機構により、トレイアームアセンブリ100の関節に過大なトルクが印加されることで、トレイアームアセンブリ100の関節が破損しないことも確実になる。これは、過大なトルクに応じて、関節の第1の摩擦機構に打ち勝ち、運動又は回転が可能になるからである。これは、その構成要素が、それにどれほどの力が印加されたかを問わず、移動するように構成されていない特定の従来技術のトレイアームアセンブリとは異なる。このような従来技術のトレイアームアセンブリにおいては、ユーザは、例えば、トレイをコンソールに対して回転させるという意思を持って関節のうちの1つ以上に過大なトルクを印加する場合があり、このことがそのような関節を破損する原因となり得る。
【0019】
二重摩擦機構は、
図6A~
図11に関連してより詳細に記載されている。本明細書に記載されるトレイアームアセンブリ100は完全に機械的であるが、当業者であれば、別の実施形態では、トレイアームアセンブリ100のアームアセンブリ及び関節を含む構成要素を移動させるために、動力を備えた1つ以上のアクチュエータを使用できることは理解するであろうことに留意されたい。
【0020】
図2は、非上昇状態にあるトレイアームアセンブリ100の側面図を示す。図示されるように、トレイアームアセンブリ100は、トレイ112が前腕アセンブリ110に対して回転することを可能にするトレイ関節218を更に含む。より具体的には、トレイ関節218は、トレイ112がトレイ関節218のY
1軸の周りで回転することを可能にする。Y
1軸は、前腕アセンブリ110の長手方向軸(即ち、X
1軸)に垂直である。同様に、肘関節108は、前腕アセンブリ110が肘関節108のY
2軸の周りで回転することを可能にする。また、肩関節104は、上腕106が肩関節104のY
3軸の周りで回転することを可能にする。トレイアームアセンブリ100はまた、手首回転機構を駆動する収納制御ハンドル220を含む。ユーザは、収納制御ハンドル220を引くことにより、
図5に更に示されるように、前腕アセンブリ110の一部分である手首216を前腕アセンブリ110の長手方向軸(即ち、X1軸)の周りで回転させることができる。
【0021】
図3は、上昇状態にあるトレイアームアセンブリ100を示す。図示されるように、肩関節104、肘関節108、及び上腕106は、リンクとして4バー機構で構成されている。ユーザは、解除ハンドル115を引くことによってトレイアームアセンブリ100を上昇させることができる。解除ハンドル115は、各関節の第1の摩擦機構を停止させるだけでなく、上腕106の上昇調整機構も係止解除する。4バー機構は、前腕及びトレイが、トレイの高さに関わらず、地面に対して水平姿勢を維持することを可能にする。
【0022】
図4及び
図5は、トレイアームアセンブリ100の手首回転機構を示す。より具体的には、
図4は、トレイ112が動作状態にあるトレイアームアセンブリ100の底面図を示す。動作状態において、消耗品及びその他の物品が置かれ得るトレイ表面は、地面に対して水平である。
図5は、その一方で、トレイ112が収納状態にあるトレイアームアセンブリ100の頂面図を示す。図示されるように、
図4と比較すると、トレイ表面が地面に対して垂直であるように、トレイ112はX
1軸の周りで回転している。当業者であれば理解することができるように、トレイ112を収納状態にすると、トレイアームアセンブリ100及びコンソールをより便利に収納することが可能になる。
【0023】
図6A~
図6Bは、肘関節108及びその対応する構成要素の二重摩擦機構を示す。ある実施形態において、肩関節104及び/又はトレイ関節218は、同様に類似の構成要素及び機能を含む。したがって、そのような肩関節104及び/又はトレイ関節218の構成要素及び機能は図示も詳述もしない。しかしながら、当業者であれば、本明細書に記載される肘関節108の機能及び構成要素の説明に基づいて、そのような肩関節104及び/又はトレイ関節218がどのように動作するように構成されているかを理解することができる。
【0024】
図6Aは、肘関節108の構成要素のうちのいくつかの断面図を示す。図示されるように、肘関節108は、肘関節108の内部構成要素を覆うカバー652を含む。肘関節108はまた、関節本体626及びシャフト622を含む。シャフト622は、関節本体626内で且つ関節本体626に対して回転するように構成されている。シャフト622は、前腕アセンブリ110に固定的に結合されている。したがって、前腕アセンブリ110を回転させるとシャフト622が関節本体626に対して回転する。シャフト622はまた、シャフト肩部623を含む。シャフト肩部623とは、シャフト622の残りの部分よりも大きな外径を有するシャフト622の部分を指す。シャフト622と関節本体626との間に軸受624が配置されている。図示されるように、軸受624は、シャフト肩部623に接して配置されたフランジ625を含む。シャフト622とマウントアセンブリ650との間に別の軸受638も配置されている。マウントアセンブリ650は、関節本体626に結合されている。シャフト622は、軸受624及び軸受638内で回転するように構成されている。
【0025】
図6Aはまた、シャフト622内で摺動するように構成されているプッシュロッド628の側面図を示す。
図6Bに関連してより詳細に記載されるように、解除ハンドル115を引くと、プッシュロッド628が肘レバー646を押す又は駆動する。図示されるように、プッシュロッド628は、肘レバー646に軽く触れるように配置された尾部629を含む。
【0026】
記載したように、肘関節108は、第1の摩擦機構と第2の摩擦機構とを含む二重摩擦機構を備えて構成されている。第1の摩擦機構と第2の摩擦機構は、集合的に働いて、シャフト622と肘関節108のいくつかの構成要素との間に静摩擦を生成する。しかしながら、第1の摩擦機構は、第2の摩擦機構よりも大幅に強い静摩擦を生成する。第1の摩擦機構が作動されているとき、回転シャフト622は、第1の摩擦機構と関連する静摩擦に打ち勝つことが必要である。ユーザが第1の摩擦機構と関連する静摩擦に打ち勝つほどの十分なトルクをシャフト622に印加した場合、第2の摩擦機構と関連する静摩擦にも打ち勝つ。このような場合、ユーザは、シャフト622を関節本体626に対して回転させることができる。
【0027】
肘関節108の第1の摩擦機構が停止されると、肘関節108の第2の摩擦機構は、トレイアームアセンブリ100が急に動かないように空転トルクを生成し続ける。第2の摩擦機構とは、軸受624のフランジ625をシャフト622に押し付けるように動作し、2つの構成要素の間に静摩擦を生じさせる機構又は一連の構成要素を指す。第1の摩擦機構が停止されているとき、シャフト622を回転させるために、軸受624とシャフト622との間の静摩擦に打ち勝つ必要がある。例えば、ユーザは、(例えば、前腕アセンブリ110を回転させようとすることにより)シャフト622に十分なトルクを印加し、軸受624とシャフト622との間の静摩擦に打ち勝つことによって、シャフト622を回転させることができる。シャフト622を回転させるのに十分なトルクが印加されると、静摩擦は、トレイアームアセンブリ100の急な動きを阻止する軽い空転トルクを生成する。
【0028】
第2の摩擦機構を有効にする一連の構成要素には、ナット630、皿ばね632、スラスト軸受636、軸受624、及び関節本体626が含まれる。ナット630は、ねじ切りされた穴を有する締結具であり、同様にねじ切りされたシャフト622の一部分の外側にねじ止めされるように構成されている。皿ばね632は、ナット630の上に配置され、スラスト軸受636に圧力を作用するように構成されている。皿ばね632は、一例では、外周部が1つの力によって支持され、皿の中央に反対の力がかかる凸状の皿を主として含み得る。
図6Aの例では、皿ばね632の内周部がナット630によって支持され、スラスト軸受636によって反対の力が皿ばね632に作用される。ナット630の位置をシャフト622に沿って調整することにより、皿ばね632がスラスト軸受636に作用する力の量を調整することができる。例えば、ナット630を皿ばね632に対してねじ止めすると、皿ばね632がスラスト軸受636により大きな力を作用する。
【0029】
スラスト軸受636に印加される力は、軸受624及び関節本体626に伝達される。次いで、この力は、軸受624及び関節本体626によってシャフト肩部623に伝達され、軸受624のフランジ625とシャフト肩部623との間に静摩擦が生成される。第1の摩擦機構が停止されると、この静摩擦は、シャフト622の回転中における優勢な空転トルクにつながる。
【0030】
ここで第1の摩擦機構に移ると、第1の摩擦機構とは、シャフト622と関節本体626との間に静摩擦を生成するように動作するスリップクラッチアセンブリの機構又は一連の構成要素を指す。第1の摩擦機構を有効にする一連の構成要素には、クラッチスタック640、皿ばね648、解除リング642、圧力プレート644、及びマウントアセンブリ650が含まれる。クラッチスタック640は、関節本体626にキー結合された又は結合された複数の第1クラッチプレートと、シャフト622にキー結合された又は結合された複数の第2クラッチプレートと、複数の摩擦ディスクとを含み、複数の摩擦ディスクのそれぞれは、複数の第1クラッチプレートのうちの1つと複数の第2クラッチプレートのうちの1つとの間に配置されている、いくつかの摩擦インターフェイスを含む。ある態様において、第1の複数のクラッチプレート及び第2の複数のクラッチプレートは、ステンレス鋼、鋳鉄、普通鋼などのうちの1つ以上を含んでもよい。ある態様において、摩擦ディスクは、Kevlar紙などの材料を含んでもよい。第1の摩擦機構については、
図6Bを参照してより詳細に説明する。第1の摩擦機構の作動及び停止は、スリップクラッチアセンブリの作動及び停止と互換的に呼ばれる場合があることに留意されたい。
【0031】
図6Bは、肘関節108の構成要素のうちのいくつかの側面図を示す。より具体的には、シャフト622、皿ばね648、解除リング642、圧力プレート644、クラッチスタック640の側面図が示される。
図6Bはまた、関節本体626及びマウントアセンブリ650の断面図を示す。解除リング642及び圧力プレート644を介して皿ばね648によりクラッチスタック640に力が作用された結果、クラッチスタック640の摩擦インターフェイス間に静摩擦が生成される。皿ばね648は、皿ばね632と同様に機能する。しかしながら、皿ばね648は、圧力プレート644に接触している解除リング642に略一定力を作用するように構成されている。したがって、解除リング642は、皿ばね648によって作用された力を圧力プレート644に伝達し、圧力プレート644は、更に、クラッチスタック640に力を伝達する。クラッチスタック640に印加された力は、クラッチスタック640の摩擦インターフェイスを互いに圧縮する。このような圧縮により、摩擦インターフェイス間に静摩擦が生じる。第1の摩擦機構が作動されているときには、シャフト622を回転させるために、シャフト622に十分なトルクを印加して、クラッチスタック640の静摩擦に打ち勝つ必要がある。
【0032】
ユーザがトレイアームアセンブリ100の解除ハンドル115を引き、肘関節108の第1の摩擦機構を停止させない限り、肘関節108の第1の摩擦機構は作動される。ユーザは、解除ハンドル115を解放することにより肘関節108の第1の摩擦機構を再作動させることができる。
図6Bは、第1の摩擦機構を停止させるように且つ再作動させるように動作する肘関節108内のいくつかの構成要素を示す。このような構成要素には、肘レバー646、解除リンク647、解除レバー653、及び解除リング642のピン643が含まれる。解除リング642は、その周囲に2つのピンが配置された中空円筒状の構成要素である。
図6Bは解除リング642の側面図を示すため、ピン643は1つだけ見える。ピン643は、解除レバー653のU字形部分内に配置されている。解除レバー653は、2つのフランジ657及び655を含む。図示されるように、解除リンク647の一端は、フランジ655内に配置されている。また、フランジ655の開口部及び解除リンク647の端部の開口部を通してピンが挿入されている。解除リンク647の他端は、肘レバー646に(例えば間接的に)結合されている。また、フランジ657の開口部及び関節本体626の2つの穴を通してピンが挿入されている。
【0033】
ユーザが解除ハンドル115を引くと、プッシュロッド628が肘レバー646をクラッチスタック640から離れる方に押し、肘レバー646を回転させ、これにより解除リンク647及びフランジ655が押され、解除レバー653を回転させ、解除リング642を持ち上げ、圧力プレート644から解除リング642を分離する。より具体的には、解除レバー653を圧力プレート644から離れる方に押すと、解除レバー653がピン643に力を作用し、ピン643が圧力プレート644から離れる方に押される。解除リング642が圧力プレート644から離れる方に押されると、解除リング642と圧力プレート644とがもはや接触しないように、解除リング642と圧力プレート644は分離される。このような状態において、皿ばね648によって解除リング642に作用される力又は圧縮荷重は、圧力プレート644に伝達されない。これは、クラッチスタック640がもはや圧縮されないことを意味する。クラッチスタック640が圧縮されていないとき、クラッチスタック640の摩擦インターフェイス間の静摩擦は除去されているか、排除されているか、又は少なくとも大幅に軽減されているかであり、それにより、第1の摩擦機構は停止されている。ある態様において、シャフト622内のプッシュロッド628の長さは、解除ハンドル115と解除リング642との間のリンクのゆるみを除去できるようにするために、調節可能であることに留意されたい。また、本明細書に記載される実施形態では皿ばね648及び皿ばね632が使用されているが、他のいくつかの実施形態では、他の種類のばねが使用されてもよいことに留意されたい。
【0034】
図6Cは、クラッチスタック640の摩擦インターフェイスをより詳細に示す。図示されるように、クラッチスタック640は、圧力プレート644とマウントアセンブリ650との間で圧縮されている。クラッチスタック640の摩擦インターフェイスは、関節本体626にキー結合された又は結合された複数の第1クラッチプレート660と、シャフト622にキー結合された又は結合された複数の第2クラッチプレート664(
図6Cには示さず)と、複数の摩擦ディスク662とを含み、複数の摩擦ディスク662のそれぞれは、複数の第1クラッチプレート660のうちの1つと複数の第2クラッチプレート664のうちの1つとの間に配置されている。例えば、摩擦ディスク662a1は、クラッチプレート660aとクラッチプレート664aとの間に配置されており、摩擦ディスク662a2は、クラッチプレート660bとクラッチプレート664aとの間に配置されている。同様に、摩擦ディスク662f2は、クラッチプレート664fとクラッチプレート660gとの間に配置されている、などである。
図6Cの例においては、クラッチプレート660がクラッチスタック640の2つの端部に配置されているが、他のいくつかの例では、その代わりとしてクラッチプレート664がクラッチスタック640の2つの端部に配置される。また、異なる実施形態においては、クラッチスタック640内により多数又は少数の摩擦インターフェイスが存在してもよい。
【0035】
図7は、クラッチプレート660a、摩擦ディスク662、及びクラッチプレート664を示す。図示されるように、クラッチプレート660は、
図8に示されるように、関節本体の側面上のキー結合要素(例えば、開口部)に滑り込むように構成されたキー特徴部(例えば、タブ)761a及び761bを含む。
図7の例では、クラッチプレート660は2つのキー特徴部を有するが、ある実施形態においては、クラッチプレート660は任意の数の(例えば、2つを超える)キー特徴部を含んでもよいことに留意されたい。また、関節本体は、1つ以上の開口部など、1つ以上のキー結合要素を含んでもよい。クラッチプレート664もまた、キー特徴部765を含む。キー特徴部765は、
図7の例では、クラッチプレート664がシャフト622のキー要素(例えば、
図8に示されるようなシャフト622のスプライン形状部分)に結合する又は係合することを可能にするキー結合開口部である。
図7はまた、複数のクラッチプレート660と複数のクラッチプレート664と複数の摩擦ディスク662とを含む組み立て済みのクラッチスタック640の頂面図を提供する。記載したように、シャフト622のキー要素は、クラッチスタック640を通過し、クラッチプレート664のキー特徴部765に係合するように構成されている。キー特徴部761a~bの目的は、クラッチプレート660を関節本体(例えば関節本体626)にキー結合することであり、キー特徴部756の目的は、クラッチプレート664をシャフト(例えばシャフト622)にキー結合することであることに留意されたい。しかしながら、他のいくつかの実施形態においては、これらの目的を達成するために、他の手法又はキー特徴部及び/又は要素が使用されてもよい。例えば、スプライン形状部分(
図8に示される)にキー結合されるように構成されたキー結合開口部756の代わりに、いくつかの態様においては、キー結合開口部756は、その代わりとして、異なる形状を有する、シャフト622のキー結合要素にキー結合されるように構成されてもよい。
【0036】
図8は、肘関節108及びその構成要素のうちのいくつかの分解図を示す。例えば、
図8は、ねじ870a~870dを使用して関節本体626に取り付けられたマウントアセンブリ650を示す。図示されるように、ねじ870a~870dは、ねじ穴871a~871dにねじ止めされるように構成されている。
図8はまた、複数の摩擦インターフェイスを含むクラッチスタック640を示す。複数の摩擦インターフェイスは、それぞれキー特徴部761a及びキー特徴部761bを有する複数のクラッチプレート660を含む。記載したように、シャフト622を回転させることによってキー要素872がクラッチプレート664に係合し、クラッチスタック640が回転するように、シャフト622のキー要素872は、クラッチプレート664のキー特徴部765を通して挿入される。
図8の例において、キー要素872とは、シャフト622のスプライン形状部分を指す。肘関節108を組み立てると、クラッチスタック640はキー要素872を通過し、キー特徴部761a及びキー特徴部761bは関節本体626のそれぞれキー要素874a及びキー要素874bに滑り込む。
図8の例において、キー要素874a~bは、関節本体626の開口部である。関節本体626の開口部874a及び開口部874b内にキー特徴部761a及びキー特徴部761bを配置すると、クラッチプレート660が関節本体626にキー結合されることが確実になる。他のいくつかの実施形態では、クラッチプレート660が関節本体626にキー結合されることを確実にするために、関節本体626において他の種類のキー要素が使用されてもよい。
【0037】
クラッチスタック640がシャフト622のキー要素872を通して挿入されると、クラッチスタック640は圧力プレート644と接触し、圧力プレート644自体はピン643を有する解除リング642と接触する。フランジ657及びフランジ655を有する解除レバー653もまた、例えば、プッシュロッドが肘レバーを押した結果、肘レバー(例えば肘レバー646)が作動されると、クラッチスタック640から離れる方にピン643を押すように配置されている。
【0038】
図6A~
図8は、説明したような肘関節108及びその構成要素を示すが、肩関節104及び/又はトレイ関節218は、同一の二重摩擦機構を含んでもよい。しかし、これらの関節それぞれの第1の摩擦機構が停止される手法に関連する特定の要素及び構成要素は、関節ごとに異なってもよい。
図9及び
図10は、一実施形態において、トレイアームアセンブリ100の解除ハンドル115を引くと、各関節の第1の摩擦機構がどのように停止するかを示し、この場合、各関節の第2の摩擦機構は空転トルクを生成するようになお動作し、トレイアームアセンブリ100が急に動くことを阻止する。
【0039】
図9は、前腕アセンブリ110の一端に配置されているトレイ関節218に結合されたトレイ112を含むトレイアームアセンブリ100の一部分を示す。図示されるように、前腕アセンブリ110の他端は肘関節108に結合されている。解除ハンドル115を引くことにより、ユーザは、ギヤ要素970及びギヤ要素972を駆動することができる。ギヤ要素970及びギヤ要素972は、プッシュロッド928(例えば、プッシュロッド628に類似する)を手首レバー946に押し付けるように構成されている。手首レバー946をトレイ112から離れる方に押すと、トレイ関節218の第1の摩擦機構が停止すると同時に、前腕リンク974を引く。前腕リンク974を引くとレバー976が駆動し、レバー976がプッシュロッド628を肘レバー646に向かって押し、したがって、肘レバー646を駆動する。作動されると、肘レバー646は、肘関節108の第1の摩擦機構を停止し、ガススプリング978の解除ピンを駆動し、また、上腕リンク(
図10に示される)を肘関節108に向かって引く。
【0040】
図10は、上腕アセンブリ106の一端にある肘関節108と他端にある肩関節104とを含むトレイアームアセンブリ100の別の部分を示す。記載したように、作動されると、肘レバー(
図10には示さず)は、肘関節108の第1の摩擦機構を停止し、ガススプリング978の解除ピンを駆動し、また、上腕リンク1082を肘関節108に向かって引く。ガススプリング978がどのように機能し得るかの例は、ある態様において、米国特許第7,461,825号明細書に記載されている。ガススプリング978のピンが解放されると、ユーザは、
図2~
図3に示されるように、トレイアームアセンブリ100を上昇又は下降させることができる。上腕リンク1082を肘関節108に向かって引くと、一連のギヤ1084が駆動し、次いで、肩関節104の解除リング1042と圧力プレート1044との分離を生じさせ、それにより、肩関節104の第1の摩擦機構の停止を生じさせる。したがって、解除ハンドル115を引くと、各関節の第1の摩擦機構が停止する。このような状態において、ユーザは、トレイの位置をコンソールに対して容易に移動させることができる。しかしながら、上述のように、各関節は、なお第2の摩擦機構の影響を受け、これにより、トレイアームアセンブリ100がコンソールに対して急に動くことを阻止する。
【0041】
図11は、平らな状態で動作するように設計された皿ばね(例えば、皿ばね648、皿ばね632など)の力たわみ特性に相当する曲線を示す。皿ばねの平らな状態とは、通常は円錘状の皿ばねが、圧縮によって、平らであるか平らに近い状態を指す。皿ばねが平らな状態で動作する場合、たわみの比較的大きな変化から比較的小さな力の変化がもたらされる。換言すると、平らな状態において、皿ばねは、その力たわみ曲線の低率部において動作する。力たわみ曲線の低率部とは、平均的に、力の変化率がたわみの変化率に比べて(例えば、曲線の勾配)が小さい曲線の部分を指す。この低率部の例は、
図11に示される。
【0042】
このような状態において、皿ばねによって発生した略一定力は、ユーザが解除ハンドル115を作動させるときに必要な略一定力に変換される。追加的に、皿ばねが平らな状態で動作するように設定すると、クラッチスタック640の構成要素又は互いに接合するように構成された任意の2つの関節構成要素の両方における摩耗補償を可能にする。ある実施形態において、皿ばね648及び皿ばね632の両方は、それらの力たわみ曲線の低率部において動作するように構成されている。
【0043】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な実施形態を実践できるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。