(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】視覚的フィードバック手段を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20240620BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240620BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240620BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240620BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2022578620
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2021067035
(87)【国際公開番号】W WO2021259948
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-12-19
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-505073(JP,A)
【文献】特開2019-193609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207499(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0130914(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端および近位端を有し、エアロゾル発生物品を受容するように構成されている細長いハウジングを含むエアロゾル発生装置であって、
前記エアロゾル発生装置の前記ハウジングが、前記エアロゾル発生装置の前記近位端に開放端を有する加熱チャンバーを画定し、前記加熱チャンバーが、エアロゾル発生物品の挿入のために構成されており、
消費中、前記エアロゾル発生装置の前記近位端が消費者に向けられ、
前記エアロゾル発生装置の前記近位端が、
前記エアロゾル発生装置の動作状態に関連する情報を与える視覚的フィードバック手段を備え、
前記エアロゾル発生装置に受容されたとき、使用中、前記視覚的フィードバック手段が、前記エアロゾル発生物品を囲む、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記視覚的フィードバック手段が、LED、マイクロLED、OLEDまたはLCD技術に基づく表示装置を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記視覚的フィードバック手段の
表示装置が、単色光
及び着色光
の少なくとも一方を表示することができる、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記視覚的フィードバック手段の
表示装置が、マルチピクセル表示装置である、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記視覚的フィードバック手段が、複数の表示装置を含む、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記エアロゾル発生装置が、電源および制御ユニットを備え、前記視覚的フィードバック手段が、前記エアロゾル発生装置の前記電源および前記制御ユニットに電気的に接続される、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記エアロゾル発生装置の前記近位端が、前記消費者の口への近接を検出するための近接センサーを備え、前記近接センサーが、前記エアロゾル発生装置の
制御ユニットと電気的に接続されている、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記エアロゾル発生装置が光センサーを備え、前記光センサーが前記エアロゾル発生装置の
制御ユニットと電気的に接続されている、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記制御ユニットが、
近接センサーまたは光センサーから受信した信号に基づいて、前記視覚的フィードバック手段を制御するように構成される、請求項7または8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記ハウジングが、取り外し可能な上部カバーを前記エアロゾル発生装置の前記ハウジングに接続すると、前記視覚的フィードバック手段と前記エアロゾル発生装置の
制御ユニットとの間の電気的接続を容易にする電気接続手段を含む、前記取り外し可能な上部カバーを有する、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置の前記加熱チャンバーの中に挿入されるように構成されたエアロゾル形成物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記エアロゾル発生装置の
制御ユニットが、
近接センサーから受信した
信号に依存して、前記視覚的フィードバック手段を制御する、請求項11に記載のエアロゾル発生システムを操作する方法。
【請求項13】
前記エアロゾル発生装置の前記制御ユニットが、前記近接センサーが前記消費者の口への近接を検出すると、前記視覚的フィードバック手段の光強度を減少させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エアロゾル発生装置が光センサーを備え、前記光センサーが前記エアロゾル発生装置の前記制御ユニットと電気的に接続されており、前記エアロゾル発生装置の前記制御ユニットが、前記光センサーから受信した信号に基づいて、前記視覚的フィードバック手段の光強度を調整する、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中に消費者に向けられる、エアロゾル発生装置の端面に提供される視覚的フィードバック手段を含む、エアロゾル発生装置に関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置および取り外し可能なエアロゾル形成物品を備えたエアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生装置を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚的フィードバック手段は、電子エアロゾル発生装置において頻繁に使用され、ユーザーに情報を視覚的に提供する。それらの外側表面内に異なるタイプの表示部を含む既存のエアロゾル発生装置が、当技術分野で公知である。
【0003】
また、使用時に消費者の反対側を向く端面に、視覚的フィードバック手段を提供することも公知である。典型的には、こうした視覚的フィードバック手段は、従来のタバコの光りを模倣するために使用される。
【0004】
現在使用されている視覚的フィードバック手段は、ユーザー体験中に容易には観察できないエアロゾル発生装置の位置に提供される。こうした視覚的フィードバック手段は、通常、エアロゾル発生装置のハウジングの側面に提供されるため、エアロゾル発生装置は、点検のために向きを変える必要があり得る。こうした取り扱いは、消費者によって面倒であると認識され得る。
【0005】
ユーザー体験中に便利にチェックできる視覚的フィードバック手段を有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。
【0006】
視覚的フィードバック手段を有するエアロゾル発生装置を提供するのがさらに望ましいのは、ユーザー体験の前、最中、および後に便利にチェックすることができ、異なるタイプの情報を伝達できる手段である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態によれば、遠位端および近位端を有する細長いハウジングを含むエアロゾル発生装置が提供される。消費中、エアロゾル発生装置の近位端は、消費者に向けられる。エアロゾル発生装置の近位端は、視覚的フィードバック手段を含む。
【0008】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受容するように構成されてもよい。視覚的フィードバック手段は、使用中のエアロゾル発生物品を囲んでもよい。
【0009】
エアロゾル発生装置の近位端に提供される視覚的フィードバック手段は、ユーザー体験中にユーザーに容易に見える。特に、吸煙と吸煙の間に、ユーザーは、エアロゾル発生装置を回すことなく、表示手段を視覚的にチェックしてもよい。このようにして、エアロゾル発生装置の取り扱いがより便利になる。
【0010】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用する装置であってもよい。エアロゾル発生装置はホルダーであってもよい。エアロゾル発生装置は、電気加熱式のエアロゾル発生装置であってもよい。エアロゾル発生装置は、ハウジングと、電気回路と、電源と、加熱チャンバーと、発熱体と、を備えてもよい。ハウジングは、エアロゾル発生装置の近位端に開放端を有する加熱チャンバー、および発熱体を備える空洞を画定し得る。加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品を挿入するように構成されてもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品の一部であり得る。
【0011】
エアロゾル発生装置は、片手の指の間に保持するのが快適な携帯型または手持ち式の装置であることが好ましい。装置は実質的に円筒状の形状であってもよく、また30~150ミリメートルの長さを有し得る。装置の最大直径は5~30mmであることが好ましい。
【0012】
エアロゾル発生装置のハウジングは細長くてもよい。ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0013】
ハウジングはマウスピースを備えてもよい。ハウジングは、少なくとも一つの空気吸込み口を含み得る。ハウジングは、二つ以上の空気吸込み口を含み得る。マウスピースは、少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口と、を備えてもよい。マウスピースは、二つ以上の空気吸込み口を備えてもよい。空気吸込み口のうちの一つ以上は、エアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの温度を低減してもよく、またエアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの濃度を低減してもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「マウスピース」は、吸煙中にユーザーの口に最も近いエアロゾル発生装置の一部分を指す。
【0015】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を起動するためのセンサーを含んでもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えばエアロゾル発生装置の加熱を開始するボタン、またはエアロゾル発生装置またはエアロゾル形成基体の状態を表示するディスプレイを含んでもよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「ユーザー体験」は、エアロゾル発生物品を消費する行為を指す。ユーザー体験は、一つ以上の連続的な吸煙を含み得る。ユーザー体験には、吸煙と吸煙の間の時間も含まれる。
【0017】
エアロゾル発生装置の視覚的フィードバック手段は、発光ダイオード(LED)、マイクロLED、有機LED(OLED)デバイス、またはLCD技術に基づく表示装置を含み得る。視覚的フィードバック手段の表示装置は、単色光または着色光を表示することができる。視覚的フィードバック手段の表示装置は、記号、符号、文字または数字を表示することができる。エアロゾル発生装置の光源として、低消費電力の任意の公知の光源を使用してもよい。適切な光源は、発光ダイオード(LED)、マイクロLEDまたは有機LED(OLED)デバイスを含む。
【0018】
視覚的フィードバック手段は、任意の適切な形状を有してもよい。視覚的フィードバック手段は、本質的に、エアロゾル発生装置の近位端面全体にわたって延在し得る。視覚的フィードバック手段は、リング形状であってもよく、エアロゾル発生装置の近位端面に提供されてもよい。
【0019】
視覚的フィードバック手段は、セグメント化された表示装置を含み得る。視覚的フィードバック手段は、複数の表示装置を備えてもよい。
【0020】
視覚的フィードバック手段は、エアロゾル発生装置の近位端に、有用な情報をユーザーに示し得るように配置されてもよい。視覚的フィードバック手段によって伝達される情報は、エアロゾル発生装置の様々な動作状態に関連し得る。視覚的フィードバック手段はまた、特定の動作の進捗またはユーザー体験に関する情報を示すために使用され得る。
【0021】
視覚的フィードバック手段は、多色光を表示することができる表示装置を含み得る。この表示装置の様々な色を使用して、エアロゾル発生装置の動作状態を示すことができる。第一の色は、使用されるエアロゾル発生装置の準備度を示すために使用され得る。第二の色を使用して、エアロゾル発生装置が加熱段階にあることを示すことができる。第三の色を使用して、エアロゾル発生装置が完全に加熱され、消費の準備ができていることを示すことができる。第四の色を使用して、エアロゾル発生物品が完全に消費されたことを示すことができる。
【0022】
多色光を生成できる表示装置は、低消費電力であり得る。これらの表示装置は、低消費電力を有し得る。低消費電力の表示装置の追加は、有利には、既存のエアロゾル発生装置の電源に非常に小さな負荷のみを置き、好ましくは、既存の電源の設計に非常に限定的な影響のみを有する。これは、電源の容量が制限され、過剰な電力消費が回避されるポータブル装置に特に有利である。
【0023】
視覚的フィードバック手段はまた、エアロゾル発生装置の動作の進行を示すような方法で動作してもよい。こうした進行は、エアロゾル発生装置の加熱相の進行に関連し得る。視覚的フィードバック手段は、最後の吸煙からの経過時間を示すために使用され得る。視覚的フィードバック手段はまた、最後のユーザー体験以降の経過時間を示すために使用され得る。
【0024】
エアロゾル発生装置の動作の進行を示すために、視覚的フィードバック手段の表示装置は、パルスモードで動作してもよく、色調を変えるように動作してもよく、または光強度を変えるように動作してもよい。視覚的フィードバック手段が、セグメント化された表示装置または複数の個々の表示装置を含む場合、個々のセクションまたは表示装置のセグメント化された照明を使用して、動作の進行を示してもよい。
【0025】
動作の進行をユーザーに表示することは、エアロゾル発生装置とユーザーとの間の通信をさらに強化し得る。ユーザーは、ユーザー体験の経過に関する追加情報を取得し、エアロゾル発生装置の全体的な取り扱いを改善し得る。
【0026】
視覚的フィードバック手段はまた、点滅モードで使用されてもよい。点滅モードでは、視覚的フィードバック手段は、短い光のバーストを繰り返し放射するように制御される。放射光の強度は、パルスモードよりも高くてもよい。点滅モードは、ユーザーに警告を示すのに好適であり得る。警告信号は、例えば、エアロゾル発生装置の過熱を示すために使用され得る。視覚的フィードバック手段の一つまたは複数の表示装置は、点滅モードで使用され得る。
【0027】
視覚的フィードバック手段はまた、形状または記号のアニメーション化されたフェードインおよびフェードアウトを表示するように制御されてもよい。
【0028】
視覚的フィードバック手段の表示装置はまた、マルチピクセル表示装置を含んでもよい。こうした表示装置は、フォトリアリスティックディスプレイであってもよい。こうした表示装置は、マイクロLED技術に基づいてもよい。こうした表示のサイズは限定されているため、表示されたコンテンツは、好ましくは、複雑さが低減されている。例えば、こうしたマルチピクセル表示は、最後の吸煙の強度を示すために使用され得るパルスラインを示し得る。
【0029】
こうしたマルチピクセル表示の表示サイズは、エアロゾル発生装置の近位端における利用可能な表面のサイズに依存する。マルチピクセル表示装置は、最大1平方センチメートルのサイズを有してもよい。マルチピクセル表示装置は、0.1~0.2平方センチメートルのサイズを有してもよい。マルチピクセル表示装置は、約8.8ミリメートル×1.5ミリメートルのサイズを有してもよい。こうしたマルチピクセル表示装置は、約0.13平方センチメートルのサイズを有するであろう。こうしたマルチピクセル表示装置は、約0.0146ミリメートルのピクセルピッチを有する600×200ピクセルを備えてもよい。
【0030】
様々な表示モードは、互いに組み合わされてもよい。ユーザーはまた、表示モードをカスタマイズすることができる。カスタマイズは、エアロゾル発生装置をパーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはその他の任意の適切な入力装置に接続することによって行われてもよい。表示手段をカスタマイズすることによって、ユーザーは、視覚的フィードバック手段の表示モードを選択し得る。例えば、ユーザーは、表示装置の色、パルスまたは点滅周波数、色遷移を選択し得る。視覚的フィードバック手段によって表示される任意の形状または記号の位置、サイズ、色および輝度は、カスタマイズされ得る。マルチピクセル表示を使用する場合、ユーザーは、入力装置を使用することによって、表示されたコンテンツをセットアップし得る。
【0031】
エアロゾル発生装置は、電源および制御ユニットを備えてもよい。視覚的フィードバック手段は、エアロゾル発生装置の電源および制御ユニットに電気的に接続されてもよい。制御ユニットは、エアロゾル発生装置の全体的な動作を制御するように使用されてもよい。制御ユニットは、特に、視覚的フィードバック手段を制御するために使用され得る。制御ユニットは、エアロゾル発生装置の動作の状態または進行に基づいて、視覚的フィードバック手段を制御してもよい。制御ユニットは、表示装置の脈動周波数、点滅周波数、色調、光強度を調整してもよい。
【0032】
制御ユニットは、エアロゾル発生装置の発熱体に接続されてもよい。制御ユニットは、エアロゾル発生装置の発熱体の状態に基づいて、視覚的フィードバック手段を制御してもよい。
【0033】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を起動するためのセンサーを含んでもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えばエアロゾル発生装置の加熱を開始するボタン、またはエアロゾル発生装置またはエアロゾル形成基体の状態を表示するディスプレイを含んでもよい。制御ユニットは、こうしたボタンまたは対応する起動センサーに接続されてもよい。制御ユニットは、エアロゾル発生装置の起動状態に基づいて、視覚的フィードバック手段を制御してもよい。
【0034】
エアロゾル発生装置の近位端は、近接センサーを含んでもよい。近接センサーは、エアロゾル発生装置の近位端が、例えば、消費者の口へのエアロゾル発生装置の近位端の近接など、消費者に近接していることを検出するために使用され得る。近接センサーは、エアロゾル発生装置の制御ユニットと電気的に接続してもよい。近接センサーはフォトセルであってもよい。制御ユニットは、近接センサーから受信した信号に基づいて、視覚的フィードバック手段を制御するように構成され得る。
【0035】
吸煙中、エアロゾル発生装置の近位端は、ユーザーの口に非常に近く、ユーザーが視覚的フィードバック手段を目で観察することができない。こうした状況では、視覚的フィードバック手段の可視性はもはや重要ではなく、制御ユニットを使用して、視覚的フィードバック手段の表示装置を暗くするか、またはさらには消すことができる。このようにして、視覚的フィードバック手段の全体的なエネルギー消費量が低減され得る。
【0036】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の制御ユニットと電気的に接続された光センサーを備えてもよい。
【0037】
光センサーは、周囲環境の照明条件を検出するために使用され得る。光センサーは、エアロゾル発生装置のハウジングの外側のどこにでも提供され得る。光センサーは、有利には、エアロゾル発生装置の通常の取り扱い中にユーザーの手によって遮られていない、エアロゾル発生装置の位置に提供されてもよい。光センサーは、エアロゾル発生装置の制御ユニットと電気的に接続してもよい。制御ユニットは、光センサーから受信した信号に基づいて、視覚的フィードバック手段を制御するように構成され得る。
【0038】
夜間または照明条件が低い環境において、視覚的フィードバック手段の表示装置の照明強度が低減され得る。視覚的フィードバック手段の表示装置の照明強度の低減は、エアロゾル発生装置の全体的な電力消費を低減し得る。
【0039】
エアロゾル発生装置のハウジングは、エアロゾル発生装置のハウジングの近位端に取り付けられ得る上部カバーを備えてもよい。上部カバーは、消費中にユーザーに面する近位端面を有し得る。上部カバーの近位端面は、上述の視覚的フィードバック手段を含む。
【0040】
上部カバーは、エアロゾル発生装置のハウジングから取り外し可能であってもよい。取り外し可能な上部カバーは、本質的にリング形状であってもよく、中央開口部を画定してもよい。上部カバーの中央開口部は、加熱チャンバーの開口部を画定し得る。取り外し可能な上部カバーは、一般にエアロゾル発生装置のハウジングの外側断面に対応する外側断面を有してもよい。上部カバーの開口部は、円形の輪郭を有してもよい。上部カバーの開口部はまた、装飾的な非円形の輪郭を有してもよい。好ましくは、上部カバーの開口部は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーへのエアロゾル発生物品の挿入を可能にするのに十分な大きさである。
【0041】
取り外し可能な上部カバー上に視覚的フィードバック手段を提供することによって、ユーザーは、エアロゾル発生装置をカスタマイズすることができる場合がある。ユーザーは、異なる視覚的フィードバック手段を有する上部カバーを購入してもよく、個人的な好みに基づいて上部カバーを交換してもよい。
【0042】
取り外し可能な上部カバーは、エアロゾル発生装置のハウジングと同じ材料から作製されてもよい。取り外し可能な上部カバーは、金属またはポリマー化合物から作製されてもよい。取り外し可能な上部カバーは、ポリウレタン系化合物から作製されてもよい。
【0043】
取り外し可能な上部カバーは、上部カバーをエアロゾル発生装置のハウジングに可逆的に接続するための接続手段を含み得る。接続手段は、ねじ接続、形状嵌合接続、またはバヨネットタイプの接続であってもよい。これらの種類の接続手段は、大きな力を加えることを必要とせず、ユーザーによって容易に利用され得る。
【0044】
取り外し可能な上部カバーは、視覚的フィードバック手段とエアロゾル発生装置の制御ユニットとの間の電気的接続を容易にする電気接続手段を含み得る。取り外し可能な上部カバーは、取り外し可能な上部カバーがエアロゾル発生装置のハウジングに正しく取り付けられた時に、電気接続手段が自動的に接続されるように構成されていることが好ましい。この目的のために、取り外し可能な上部カバーは、ハウジングに対する上部カバーの回転を制限する一つ以上のストッパーを備えてもよい。
【0045】
本発明はまた、上述のエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置の加熱チャンバー内に挿入されるように構成されたエアロゾル形成物品とを備えるエアロゾル発生システムにも関する。
【0046】
本発明はまた、その近位端に位置する近接センサーを有するエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムを操作する方法を対象とする。方法は、エアロゾル発生装置の制御ユニットが、近接センサーから受信した信号に依存して、視覚的フィードバック手段を制御することを含む。
【0047】
上述したように、エアロゾル発生装置の電力管理は、最適かつ信頼性の高い性能のために重要である。これは、電力容量が制限されている再充電可能電源を使用するエアロゾル発生装置に特に当てはまる。
【0048】
視覚的フィードバック手段は、ユーザー体験を向上させることができるが、同時に電力を消費し得る。したがって、視覚的フィードバック手段によって消費されるエネルギーの量は、可能な限り低いことが望ましい。この目的のために、制御ユニットは、エアロゾル発生装置の特定の特徴を、これらの特徴がユーザー体験の向上に寄与する場合にのみ活性化するように構成され得る。
【0049】
吸煙中、視覚的フィードバック手段は、ユーザーの視野外である。したがって、この時点では、視覚的フィードバック手段は、点灯される必要はなく、または少なくともより低いレベルでのみ点灯されてもよい。
【0050】
したがって、エアロゾル発生装置の制御ユニットは、近接センサーが消費者の口への近接を検出する時、視覚的フィードバック手段の光強度を減少させるように構成され得る。
【0051】
エアロゾル発生装置が光センサーを備える実施形態では、エアロゾル発生装置の制御ユニットは、光センサーから受信した信号に基づいて、視覚的フィードバック手段の光強度を調整するように構成され得る。このようにして、制御ユニットは、光センサーが、エアロゾル発生装置が暗所または低照明条件で動作していることを検出した時に、視覚的フィードバック手段の光強度を、低減されたレベルに調整し得る。
【実施例】
【0052】
以下に、非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の任意の一つ以上の特徴は、本明細書に記載される別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。
実施例1:
遠位端および近位端を有する細長いハウジングを含むエアロゾル発生装置であって、消費中に、エアロゾル発生装置の近位端が消費者の方を向き、エアロゾル発生装置の近位端が視覚的フィードバック手段を含む、エアロゾル発生装置。
実施例2:
視覚的フィードバック手段が、LED、マイクロLED、OLEDまたはLCD技術に基づく表示装置を含む、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例3:
視覚的フィードバック手段の表示装置が、単色光または着色光を表示することができる、実施例1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:
視覚的フィードバック手段の表示装置が、マルチピクセル表示装置である、実施例1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:
視覚的フィードバック手段が、複数の表示装置を含む、実施例1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:
視覚的フィードバック手段が、複数のセグメントを有する表示装置を含む、実施例1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:
表示装置のセグメントが、セグメント化されたホイールを形成するように構成される、実施例6に記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:
視覚的な表示装置が、文字、数字または形状を表示するように構成され得る、実施例1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:
エアロゾル発生装置が、電源および制御ユニットを備え、視覚的フィードバック手段が、エアロゾル発生装置の電源および制御ユニットに電気的に接続される、実施例1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:
エアロゾル発生装置の近位端が、消費者の口への近接を検出するための近接センサーを備え、近接センサーが、エアロゾル発生装置の制御ユニットと電気的に接続されている、実施例1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例11:
エアロゾル発生装置が光センサーを備え、光センサーがエアロゾル発生装置の制御ユニットと電気的に接続されている、実施例1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:
制御ユニットが、近接センサーまたは光センサーから受信した信号に基づいて、視覚的フィードバック手段を制御するように構成される、実施例10または11に記載のエアロゾル発生装置。
実施例13:
エアロゾル発生装置のハウジングが、エアロゾル発生装置の近位端に開放端を有する加熱チャンバーを画定し、加熱チャンバーが、エアロゾル発生物品の挿入のために構成されている、実施例1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例14:
取り外し可能な上部カバーをエアロゾル発生装置のハウジングへ接続すると、ハウジングが視覚的フィードバック手段とエアロゾル発生装置の制御ユニットとの間の電気的接続を容易にする電気接続手段を含む取り外し可能な上部カバーを有する、実施例1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例15:
実施例1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入されるように構成されたエアロゾル形成物品とを備える、エアロゾル発生システム。
実施例16:
エアロゾル発生装置の制御ユニットが、近接センサーから受信した信号に依存する視覚的フィードバック手段を制御する、実施例Oに記載のエアロゾル発生システムを操作する方法。
実施例17:
エアロゾル発生装置の制御ユニットが、近接センサーが消費者の口への近接を検出すると、視覚的フィードバック手段の光強度を減少させる。実施例16に記載の方法。
実施例18:
エアロゾル発生装置が光センサーを備え、光センサーは、エアロゾル発生装置の制御ユニットと電気的に接続されおり、エアロゾル発生装置の制御ユニットは、光センサーから受信した信号に基づいて、視覚的フィードバック手段の光強度を調整する、実施例16または17に記載の方法。
【0053】
一実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0054】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図2】
図2は、エアロゾル発生装置の近位端の断面を示す。
【
図3】
図3は、視覚的フィードバック手段の様々な表示モードを示す。
【
図4】
図4は、視覚的フィードバック手段のさらなる表示モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、エアロゾルを発生するために、エアロゾル発生物品と協働するように構成される、エアロゾル発生装置10を示す。エアロゾル発生装置10は、電源スイッチ14、制御ユニット(図示せず)、電源(図示せず)、および加熱チャンバー16を有する細長いハウジング12を含む、電気的に加熱されたエアロゾル発生装置である。細長いハウジング12は、近位端18および遠位端19を有する。細長いハウジング12は、エアロゾル発生装置10の近位端18に開放端22を有する加熱チャンバー16を備える空洞20を画定する。加熱チャンバー16は、エアロゾル発生物品(図示せず)の挿入のために構成される。
【0057】
エアロゾル発生装置10の近位端18には、取り外し可能な上部カバー24が提供される。
図1Aおよび
図1Bは、取り外し可能な上部カバー24の拡大平面図および斜視図を示す。取り外し可能な上部カバーは、概してリング形状の本体26を備える。本体26はポリウレタンから作製される。本体26は、エアロゾル発生装置10のハウジング12の外側断面に対応する円形の外側断面を有する。
【0058】
取り外し可能な上部カバー24の底部には、ねじ接続28が提供され、それを介して上部カバー24がエアロゾル発生装置10のハウジング12に可逆的に接続され得る。
【0059】
上部カバー24は、視覚的フィードバック手段30をさらに含む。
図1の実施形態では、視覚的フィードバック手段は、上部カバー24の近位端面の上に延在する、単一のリング形状の表示装置32である。リング形状の表示装置32は、可変色で可視光を放射するように構成される。
【0060】
制御ユニットは、エアロゾル発生装置10の状態および特定の動作の進捗に応じて、表示装置32を制御するように構成される。ユーザーが電源スイッチ14を介してエアロゾル発生装置10の電源を入れる時、表示装置32は、エアロゾル発生装置10の起動を示す白色光を放射するように制御される。加熱段階の間、表示装置32は赤色光を放射する。エアロゾル発生装置10が加熱され、エアロゾルを発生する準備ができた時、表示装置32は緑色光を放射するように制御される。消費終了のインジケータとして、表示装置32は青色光を放射するように制御される。使用中、エアロゾル発生装置10の近位端18はユーザーに向けられるため、ユーザーは、表示装置32の色の変化を容易に観察し、エアロゾル発生装置10の状態に関する情報を得ることができる。
【0061】
ユーザー体験の間、ユーザーは、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置10の加熱チャンバー16に挿入する。エアロゾル発生物品は、加熱チャンバー16から突出するマウスピース部分を有する。
【0062】
吸煙中、エアロゾル発生装置10の近位端18は、ユーザーの視野外である。したがって、この状況では、視覚的フィードバック手段30は観察できないため、オフにしてもよい。
【0063】
この目的のために、上部カバー24は、近接センサー34をさらに含む。近接センサー34は、ユーザーの口への近接を検出するように構成される。制御ユニットは、ディスプレイの良好な可読性を確保するために、表示装置32の輝度を調整する。吸煙中、近接センサー34がユーザーの顔への近接を検出すると、制御ユニットは近接センサー34からの対応する信号を受信し、表示装置32の輝度を暗くして電力消費を低減する。
【0064】
図2では、エアロゾル発生装置10のハウジング12の近位端18で加熱チャンバー16の開放端22から取り除かれた上部カバー24の断面図を示す。上部カバー24の本体26は、表示ハウジング36が位置する空洞27を備える。また、近接センサー34は、空洞27内に提供されている。表示装置32および近接センサー34は、取り外し可能な上部カバー24の電気端末36に配線される。
【0065】
取り外し可能なカバー24の本体26の下側の横方向側面に、再び、エアロゾル発生装置10のハウジング12の開放端22に上部カバー24を接続するためのねじ山28が提供される。
【0066】
ハウジングの近位端18にも、さらなる電気端末38が提供される。上部カバー24がハウジング12に完全に取り付けられた時、上部カバー24の電気端子36とハウジング12の電気端子38との間に電気接続が確立される。配線40上で、制御ユニットと表示装置32との間の電気的接続が有効化される。
【0067】
図3では、視覚的フィードバック手段30によって情報を表示する方法の様々な可能性が示されている。
図3Aでは、視覚的フィードバック手段30は、六つのセグメントを有する表示装置32を備える。セグメントは、セグメント化されたホイールを組み合わせて形成される円形セグメントとして構成される。エアロゾル発生装置10が無効化されると、
図3Aの左図に示すように、表示装置32はオフになる。エアロゾル発生装置10が起動されると、表示装置32がオンになり、セグメント化されたホイールのすべてのセグメントが、
図3Aの中央図に示すように照射される。エアロゾル発生装置10が加熱などの動作を行う時、これは、六つのセグメントを連続的に照射し、回転するセグメント化されたホイールをアニメーション化することによって示される。
【0068】
視覚的フィードバック手段30はまた、表示装置32上に形状または文字を表示するように構成されてもよい。
図3Bの左図では、ディスプレイは、1回の吸煙がユーザー体験中に完了したことを示す“I”を示す。
図3Bの右図では、二つの吸煙がユーザー体験中に完了したことを示すために、ディスプレイは“I”および“II”を示す。したがって、文字、数字、または他の形状は、吸煙カウントとして使用され得る。
【0069】
図4では、視覚的フィードバック手段30によって情報を表示する方法のさらなる可能性が示されている。
図4Aでは、視覚的フィードバック手段30は、四つのセグメントを有する表示装置32を備える。再び、動作の進行を示すために、セグメントの一部のみが点灯してもよい。
図4Aの二つの図では、ディスプレイの1/4と2/4がそれぞれ点灯している。これにより視覚的フィードバック手段30が、エアロゾル発生装置10の加熱などの動作の25パーセントおよび50パーセントが完了したことを示す。
【0070】
図4Bにおいて、本発明のさらなる一実施形態が図示される。視覚的フィードバック手段30は、それぞれマイクロLED技術に基づく、五つのフォトリアリスティック表示装置32を含む。表示装置32は、エアロゾル発生装置10のリング形状の端面の外周上に分布する表示セクションを有する。表示装置32は、より複雑なパターンを表示することができる。図示した実施形態では、表示装置32は、前の吸煙の強度を示すために、それぞれパルスラインを示す。
【0071】
ユーザーは、表示する情報および第二のデバイス、例えばスマートフォンによって表示される情報の外観をカスタマイズすることができる。この目的のために、スマートフォンは、エアロゾル発生装置10に接続されることになる。こうした接続は、インターフェースケーブルを介して、または無線接続を介して確立され得る。