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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】無線防災システムの設定装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20240620BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240620BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240620BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240620BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20240620BHJP
【FI】
H04W4/38
G08B25/10 A
G08B17/00 C
H04M11/00 302
H04W84/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023017472
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2021195931の分割
【原出願日】2014-12-08
(65)【公開番号】P2023055926
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】島 裕史
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉夫
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-234351(JP,A)
【文献】特開2012-234358(JP,A)
【文献】特開2013-009149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
23/00-31/00
H04B7/24-7/26
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機に接続された複数の感知器回線の各々に、自己に割り振られた無線式のセンサノードと、前記感知器回線を介した前記受信機との通信を中継する中継器ノードが接続された無線防災システムの設定装置であって、
係員により携帯して使用され、複数の前記中継器ノードの何れとも直接無線通信可能であり、当該直接の無線通信によって、前記中継器ノードが所定のイベントを検出したときに記憶した、前記センサノードからの電文受信及び当該電文の処理結果を含む履歴情報を無線通信により収集することを特徴とする設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設定装置であって、
前記直接の無線通信によって、前記中継器ノードと無線通信するチャンネル周波数を選択可能であることを特徴とする設定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の設定装置であって、
前記直接の無線通信によって、前記無線防災システムの運用中の、前記中継器ノードの受信状況履歴及び前記中継器ノードと前記センサノードとの無線通信の電波強度の少なくとも一方を無線通信により収集することを特徴とする設定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の設定装置であって、前記受信機とは無線通信しないことを特徴とする設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式感知器などのセンサノードから無線送信された電文を中継器ノードを経由して受信機に伝送して警報させる無線防災システムの設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災を監視する無線式の防災監視システムにあっては、ビルの各フロアや共同住宅の占有部といった警戒区域にセンサノードとして機能する複数の無線式感知器を設置し、無線式感知器で火災を検出した場合に、火災を示す電文をフロア単位に設置した中継器ノードとして機能する受信用中継器に無線送信する。また、必要に応じて電波中継器を設置し、無線式感知器からの電文を電波中継器により中継して受信用中継器に送信している。
【0003】
受信用中継器は受信機からの感知器回線に接続されており、火災を示す電文を受信すると、リレー接点やスイッチング素子のオンにより感知器回線に発報電流を流して火災発報信号を受信機に送信する。受信機は、この火災発報信号を受信すると、音響及び表示等の手段により火災警報を出す。
【0004】
このような無線防災システムによれば、一般的に天井裏等に敷設される感知器回線の一部を不要にでき、配線工事が簡単になり、感知器の設置場所も配線等の制約を受けずに決めることができる。また、感知器増設等のシステム変更にも容易に対応できる。
【0005】
ところで、従来の無線防災システムにあっては、無線式感知器及び受信用中継器には製造段階で固有のノードID(機器ID)を固定的に記憶しており、一方、同じ階等に設置した受信用中継器と複数の無線式感知器の親子関係に基づき、受信用中継器の子ノードとなる無線式感知器にシステム上で使用するアドレスを予め割り当て、システムの運用に先立ち、受信用中継器と親子関係にある複数の無線式感知器のノードIDを、ノードIDとアドレスの組合せを受信用中継器に登録するようにしている。
【0006】
この受信用中継器に対する無線式感知器のノードIDの登録は、受信用中継器及び無線式感知器の操作により登録モードを設定して行う。登録モードを設定した受信用中継器は、管理テーブル上の無線式感知器のアドレスを指定して登録待ちの状態となり、この状態で無線式感知器に登録モードを設定すると、無線式感知器はID登録用の電文を送信し、受信用中継器は無線式感知器が送信した登録用の電文を受信すると、受信した電文に含まれる送信元IDを取り出して、管理テーブルにノードIDとして登録し、これを親子関係にある全ての無線式感知器について繰り返すことで、アドレスとノードIDの対応関係を自動的に登録している。
【0007】
これにより受信用中継器は、無線式感知器から電文を受信した際に、電文に含まれる送信元IDと予め登録したノードIDとを比較し、例えば両者が一致したときに有効な電文として処理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-004033号公報
【文献】特開2010-114632号公報
【文献】特開2013-009149号公報
【文献】特開2012-234351号公報
【文献】特開平7-272171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の受信用中継器にあっては、設置現場に合せて使用する受信用アンテナを交換可能とするためにアンテナ端子を設け、アンテナ端子に同軸ケーブルを介して受信用アンテナを接続しており、電波法により受信用アンテナを利用して送信を行うことができず、受信専用となっている。しかしながら、近年における電波法の改正により、アンテナ端子に着脱自在なアンテナについても送信を行うことが可能となり、そのため受信用中継器に送受信機能を設けることが可能となっている。
【0010】
このように受信用中継器に送受信機能を設けることができた場合には、防災監視システムの運用開始時またはシステム運用中に、IDが分かっていない複数の受信用中継器を対象に、設定装置を使用して無線により、受信用中継器に登録している例えばセンサノードとアドレスとの対応関係を読み出して確認し、必要に応じて追加、変更、削除を含む編集操作を行うことが望まれる。
【0011】
しかしながら、設定装置から受信用中継器のIDの指定なしで読出し命令等の電文を送信した場合、送信電波を有効受信する範囲にある全ての受信用中継器が応答し、応答のための通信タイミングが重なると、通信が成立しない場合がある。例えば、全ての電波が衝突により受信不可となるか、或いは、電波の最も強い電波の受信用中継器からの電文のみを有効に受信し、それより弱い電波の受信用中継器からの電文は受信できないといった状況に陥る。
【0012】
また、このようにIDの指定なしで受信用中継器に書込み命令の電文を送信してデータ書込みを行うことは、複数の受信用中継器での電文の受信が想定される場合には、書込み先が特定できないため、データ書込みを行うことは危険である。
【0013】
本発明は、電波が届く範囲にある中継器ノードのIDを、設定装置を使用して無線により取得し、IDを指定したデータの読出しと書込みを行うことを可能にする無線防災システムの設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(設定装置
本発明は、受信機に接続された複数の感知器回線の各々に、自己に割り振られた無線式のセンサノードと、感知器回線を介した受信機との通信を中継する中継器ノードが接続された無線防災システムの設定装置であって、
係員により携帯して使用され、複数の中継器ノードの何れとも直接無線通信可能であり、当該直接の無線通信によって、中継器ノードが所定のイベントを検出したときに記憶した、センサノードからの電文受信及び当該電文の処理結果を含む履歴情報を無線通信により収集することを特徴とする。
【0015】
本発明による設定装置は、中継器ノードとの直接の無線通信によって、中継器ノードと無線通信するチャンネル周波数を選択可能であり、無線防災システムの運用中の、中継器ノードの受信状況履歴及び中継器ノードとセンサノードとの無線通信の電波強度の少なくとも一方を無線通信により収集する

【0016】
本発明による設定装置は、受信機とは無線通信しない。
【発明の効果】
【0017】
(無線防災システム1の効果)
本発明は、1又は複数のセンサノード、中継器ノード及び受信機で構成され、センサノードから無線送信された電文を中継器ノードで受信して処理し、処理結果を信号線により接続された受信機に送信し、更に中継器ノードのIDを指定して情報の読出しと書込みを行う設定装置を設けた無線防災システムに於いて、設定装置は、所定の初期値から段階的に減少する所定の応答受信強度を設定したID指定なしの呼出電文を中継器ノードに順次送信し、呼出電文に対する中継器ノードから応答電文を受信した場合に、当該応答電文に含まれる中継器ノードのIDを取得して登録すると共に、登録したIDを指定したスリープ要求電文を中継器ノードに送信し、中継器ノードのID登録を終了した場合に復旧電文を中継器ノードに送信する設定制御部を備え、中継器ノードは、設定装置から呼出電文を受信した場合の受信強度が呼出電文で指定した応答受信強度以上の場合に自己のIDを含む応答電文を設定装置に送信し、応答電文の送信後に設定装置からスリープ要求電文を受信した場合に電文送信動作を休止し、電文送信動作の休止中に設定装置から復旧電文を受信した場合に休止を解除する中継制御部を備えるようにしたため、設定装置からの電波が届く範囲にある中継器ノードは、ID指定のない呼出電文を受信した場合、呼出電文で指定した受信強度以上の場合にのみ応答電文を送信し、設定装置から中継器ノードの設置場所までの距離は各々異なることから、呼出電文で指定する応答受信強度を段階的に減少させることで、距離の近い中継器ノードから順番に応答電文を送信することとなり、複数の中継器ノードの送信タイミングが重ならず、中継器ノード単位に受信した応答電文からIDを取得して登録することができる。
【0018】
また、応答電文を送信した中継器ノードに対しては設定装置からIDを指定したスリープ要求電文を送信してその後の呼出電文に対する送信動作を休止させることで、応答受信高度を段階的に減少させても、複数の中継器ノードから応答電文が送信されることを回避し、距離の近い中継器ノードから順番に応答電文を送信することを可能とする。
【0019】
更に、設定装置からの電波の届く範囲ある全ての中継器ノードのID登録が終了した場合に復旧電文を送信することで、スリープ要求電文の受信による送信動作の休止を解除して通常の運用状態に戻すことを可能とする。
【0020】
(無線防災システム2の効果)
本発明は、1又は複数のセンサノード、中継器ノード及び受信機で構成され、センサノードから無線送信された電文を中継器ノードで受信して処理し、処理結果を信号線により接続された受信機に送信し、更に中継器ノードのIDを指定して情報の読出しと書込みを行う設定装置を設けた無線防災システムに於いて、設定装置は、初期設定したチャンネル周波数によりID指定なしの呼出電文を中継器ノードに送信し、チャンネル周波数を所定の周波数範囲で変化させる周波数スイープにより呼出電文に対する中継器ノードからの応答電文を受信した場合に、当該応答電文に含まれる中継器ノードのIDを取得して登録し、中継器ノードのID登録を終了した場合にチャンネル周波数の周波数スイープにより復旧電文を送信する設定制御部を備え、中継器ノードは、初期設定したチャンネル周波数により設定装置からの呼出電文を受信した場合に、自己のIDに対応する所定の応答チャンネル周波数により自己のIDを含む応答電文を設定装置に送信し、応答チャンネル周波数による復旧電文を受信した場合にチャンネル周波数を初期設定に戻す中継制御部を備えるようにしたため、設定装置からの電波が届く範囲にある中継器ノードは、ID指定のない呼出電文を受信した場合、自己のIDに対応した相互に異なるチャンネル周波数を使用して応答電文を送信し、設定装置はチャンネル周波数を順次切り替える周波数スイープにより異なる中継器ノードからの応答電文を個別に受信し、複数の中継器ノードの送信タイミングが重なってもチャンネル周波数が異なることで、中継器ノード単位に受信した応答電文からIDを取得して登録することができる。
【0021】
また、設定装置からの電波の届く範囲ある全ての中継器ノードのID登録が終了した場合に復旧電文を送信することで、チャンネル周波数を初期設定に戻して通常の運用状態に戻すことを可能とする。
【0022】
(登録IDの終了操作による復旧電文送信の効果)
設定装置の設定制御部は、中継器ノードのIDを取得して登録する毎に表示部に登録IDを表示して登録終了を確認可能とし、操作部によるID登録終了操作の受付けを検出した場合に復旧電文を送信するようにしたため、設定装置から電波の届く範囲にある中継器ノードの数は不明であるが、表示部に対する登録IDの表示が停止することで、電波の届く範囲にある中継器ノードのID登録の終了を認識でき、これにより復旧操作を行うことで、復旧電文を中継器ノードに送信して通常の運用状態に戻すことを可能とする。
【0023】
(アドレスとノードIDの対応関係の確認による効果)
また、中継器ノードの中継制御部は、予め割り当てられたセンサノードのノードIDとアドレスとの対応関係を登録しており、設定装置の設定制御部は、登録したIDにより指定した中継器ノードのセンサノードIDとアドレスの対応関係を読み出して表示するようにしたため、中継器ノードとセンサノードを操作したセンサノードIDとアドレスの対応関係を中継器ノードに自動登録した場合、正しく登録されているかどうかの確認を設定装置に読出し表示して簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0024】
(アドレスとノードIDの対応関係の編集による効果)
また、中継器ノードの中継制御部は、予め割り当てられたセンサノードのノードIDとアドレスとの対応関係を登録しており、設定装置の設定制御部は、登録したIDにより指定した中継器ノードのセンサノードIDとアドレスの対応関係の追加、変更、又は削除を含む編集操作を受け付けて処理し、編集結果を中継器ノードに送信して登録させるようにしたため、設定装置からの電波の届く範囲にある中継器ノードのIDを登録した後に、例えばシステム運用中に中継器ノードが故障して交換した場合、システムの運用開始時に設定装置で故障前の中継器ノードから読み出したセンサノードのノードIDとアドレスの対応関係をサーバ等に保存しておき、これを設定装置に読み込んだ後に、交換した中継器ノードの設定装置を近づけて書込んで登録することで、センサノードを設置している共同住宅の占有部に入ることなく、簡単且つ容易に交換した中継器ノードに対するセンサノードIDとアドレスの対応関係を登録して動作可能とする。
【0025】
また、複数の中継器ノードにおいて、センサノードの割当てを必要に応じて変更するような場合、中継器ノードからセンサノードのノードIDとアドレスの対応関係を読み出して、割当て変更に基づきノードIDを書き換える編集操作を行って編集結果を中継器ノードに書込んで再登録することで、同様に、センサノードを設置している共同住宅の占有部に入ることなく、中継器ノードに対するセンサノードの割当変更に対処可能とする。
【0026】
(履歴ログ)
また、中継器ノードの中継制御部は、センサノードからの電文受信と電波強度、電文の処理結果の受信機への送信を含む履歴情報を記憶し、設定装置の設定制御部は、登録したIDにより指定した中継器ノードの履歴情報を読み出して処理するようにしたため、システム運用中における中継器ノードの受信状況等の履歴情報や電波強度等を簡単に収集して通信環境の解析等に活用可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による無線防災システムの概要を示した説明図
図2】無線式感知器の機能構成を示したブロック図
図3】受信用中継器の機能構成を示したブロック図
図4】設定装置の機能構成を示したブロック図
図5】設定装置から応答受信強度を設定したID指定なし呼出電文により受信用中継器のIDを取得して登録する動作を示したタイムチャート
図6】受信用中継器のIDとチャンネル周波数の対応関係を一覧で示した説明図
図7】設定装置からID指定なし呼出電文により受信用中継器のIDに対応したチャンネル周波数による応答電文からIDを取得して登録する動作を示したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0028】
[無線防災システム]
(システムの概要)
図1は本発明による無線防災システムの概要を示した説明図である。図1において、監視対象となる建物11の1F~3Fの各階には中継器ノードとして機能する受信用中継器12-1~12-3を設置し、火災受信機であるP型受信機10から階別に引き出した感知器回線16及び共通の電源線18に接続している。
【0029】
1F~3Fの各階には、センサノードとして機能する無線式感知器14-11.14-12、14-21,14-22、及び14-31,14-32を設置している。
【0030】
以下の説明で受信用中継器12-1~12-3及び無線式感知器14-11~14-32を区別する必要がない場合は、受信用中継器12及び無線式感知器14とする。なお、受信用中継器12に対し、距離が離れている無線式感知器14からの電波の減衰による信号の不到達を防ぐために電波中継器を設置する場合がある。
【0031】
受信用中継器12-1~12-3及び無線式感知器14-11~14-32のそれぞれには、機器IDを使用した固有のノードIDを予め登録(記憶)している。
【0032】
無線式感知器14は火災による煙濃度または温度が所定の閾値を超えた場合に火災イベントの発生と判断し、火災を示す電文信号(以下、単に「電文」という)を間欠的に無線送信する。
【0033】
1Fの受信用中継器12-1には、親子関係に基づいて電文を受信する子ノードとしての送信元である無線式感知器14-11,14-12を特定するノードIDとシステム上で予め割り当てたアドレスとの対応関係を例えばメモリにテーブル情報として予め登録している。
【0034】
この点は2F及び3Fの受信用中継器12-2,12-3も同様であり、受信用中継器12-2には無線式感知器14-21,14-22のノードIDとアドレスとの対応関係をテーブル情報として予め登録し、受信用中継器12-3には無線式感知器14-31,14-32のノードIDとアドレスとの対応関係をテーブル情報として予め登録している。なお、電波中継器を設けた場合には、電波中継器のノードIDとアドレスの対応関係を管理テーブルに登録している。
【0035】
このような受信用中継器12に対するアドレスとノードIDの登録により、電文を受信した際には、電文に含まれる送信元IDと予め登録したノードIDとを比較し、例えば両者が一致したときに有効な電文として処理することになる。
【0036】
また、無線式感知器14と受信用中継器12との間の無線通信は、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を行っており、426.2500MHz~426.8375MHzの12.5KHzの帯域を持つ48チャンネルの何れかの使用を可能とする。
【0037】
そこで、受信用中継器12と無線式感知器14には、400MHz帯の特定小電力無線局標準規格で使用可能な48チャンネルの何れか1つを選択して使用するチャンネル周波数を設定する。この場合、チャンネル周波数は各階で同じにしても良いし、混信を避けるために例えば隣接する階では異なるチャンネル周波数を使用しても良い。
【0038】
(受信用中継器の送信機能と設定装置の概要)
受信用中継器12はアンテナ端子42を持ち、アンテナ端子42に同軸ケーブルを介して送受信用のアンテナ40を接続しており、設置場所に合せて使用するアンテナ40を交換可能としている。
【0039】
設定装置20は、液晶ディスプレイ等の表示部と、操作キー等を備えた操作部を設けており、受信用中継器12と設定装置20との間に無線回線による通信接続を確立し、設定装置20は受信用中継器12に対し情報を読み書きするリーダ/ライタとして機能し、設定装置20からの電波の届く範囲ある受信用中継装置との間で、IDの取得による登録、各種の情報の読出しや書込みを可能とする。
【0040】
[無線式感知器]
(無線式感知器の機能構成)
図2は無線式感知器の機能構成を示したブロック図である。図2に示すように、センサノードとして機能する無線式感知器14は、感知器制御部22、アンテナ26を接続した無線通信部24、センサ部28、表示部30、操作部32及び電池電源34を備える。
【0041】
感知器制御部22はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等とする。無線通信部24は、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠して電文を間欠的に送信する。
【0042】
無線通信部24で送信する電文の形式は、プリアンブル(位相修正データ)、送信元ID、電文種別、煙濃度や温度などのデータ及びエラーチェックコードで構成する。この内、電文種別は、例えばセンサ状態を示す電文、定期通報を示す電文などを表す。送信元IDは電文送信元となる無線式感知器のIDであり、例えば100万台規模の無線式感知器の識別を想定した場合、50~60ビット長のデータとなる。
【0043】
センサ部28は、例えば散乱光式の煙検出機構によって煙を検出して煙濃度に応じた煙検出信号を出力する。感知器制御部22はこれに基づき火災を検出する。なお、センサ部28にサーミスタ等の温度検出素子を設け、温度検出信号を感知器制御部22へ出力して、これに基づき火災を検出するようにしても良い。表示部30は火災を検出した場合に点灯する発報表示灯等を備える。操作部32は登録スイッチや試験スイッチ等を備える。
【0044】
感知器制御部22は、コンピュータ回路によりプログラムの実行により実現される機能であり、次の制御を行う。
【0045】
感知器制御部22は、操作部32に設けた登録スイッチの操作を検出した場合、ID登録用の起動電文を生成し、無線通信部24に指示して受信用中継器12に送信させる制御を行い、この起動電文を受信した受信用中継器12にアドレスとノードIDの対応関係を登録させる。
【0046】
また、感知器制御部22は、センサ部28から出力される例えば煙濃度検出信号が所定の火災閾値を超えた場合に火災を示す電文を生成し、無線通信部24に指示して受信用中継器12に送信させる制御を行う。この場合の電文送信は、所定の電文送信時間に亘り同一の電文信号を連続送信する電文送信と、所定時間に亘り電文送信を休止する電文休止とを複数回繰り返す。
【0047】
また、感知器制御部22は、火災復旧、障害、試験といったイベントを検出した場合にも、検出したイベント内容を示す電文を生成し、無線通信部24に指示して受信用中継器12に送信させる制御を行う。
【0048】
[受信用中継器]
(受信用中継器の機能構成)
図3は受信用中継器の機能構成を示したブロック図である。図3に示すように、中継器ノードとして機能する受信用中継器12は、中継制御部36、アンテナ端子42に同軸ケーブルを介して着脱自在に接続した送受信用のアンテナ40を使用する無線通信部38、受信強度検出部45、操作部44、表示部46、回線通信部48及び電源部50を備える。
【0049】
中継制御部36はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等とする。無線通信部38は、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠して無線式感知器14からの電文を受信すると共に設定装置20との間で電文を送受信する。また、無線通信部38はアンテナ端子42を持ち、設置場所に応じてアンテナ40を交換可能としている。
【0050】
無線通信部38で無線式感知器14から受信する電文の形式は、前述したようにプリアンブル、送信元ID、通信種別、データ及びエラーチェックコードで構成する。
【0051】
また、無線通信部38で設定装置20との間で送受信する電文の形式は、プリアンブル、送信元ID、送信先ID、コマンド、データ及びエラーチェックコードで構成する。
【0052】
受信強度検出部45は無線通信部38で受信した電波の受信強度を検出して受信強度検出信号を中継制御部36に出力する。
【0053】
操作部44は、登録スイッチやアドレス設定用のディップスイッチ等を備え、中継制御を必要な各種の設定を行う。表示部46には、設定したチャンネル周波数を示す表示器、電源灯、発報表示灯、障害灯等の各種の表示灯を設けている。
【0054】
回線通信部48は、中継制御部36の指示に基づき、火災発報を示す電文を受信した場合は、P型受信機10からの感知回線16に発報電流を流して火災発報信号を送信して火災警報を出力させ、また、障害を検出した場合は、感知回線16を切離して疑似的な断線状態を作り出すことで、P型受信機10側で障害警報を出力させる。
【0055】
中継制御部36は、コンピュータ回路によりプログラムの実行により実現される機能であり、次の制御を行う。
【0056】
中継制御部36は、操作部44のディップスイッチの操作によりノードID未登録の登録アドレスを表示部46に表示した状態で、登録スイッチによる登録操作の受付けを検出すると登録待ち状態を設定し、この状態で無線通信部38を介して無線式感知器14から送信されたID登録用の起動電文を受信すると、起動電文に含まれている送信元IDを取出し、未登録アドレスに対応した無線式感知器14のノードIDとして登録したテーブル情報を生成する制御を行う。
【0057】
また、中継制御部36は、無線通信部38を介して割当先の無線式感知器14から火災電文を受信した場合、回線通信部48に指示して感知器回線16に発報電流を流して火災発報信号をP型受信機10に送信して火災警報を出力させる制御を行う。
【0058】
また、中継制御部36は、火災電文を受信した後に火災復旧電文を受信した場合、回線通信部48に指示して感知器回線16に流している発報電流を止めて火災発報信号の送信を停止する制御を行う。
【0059】
また、中継制御部36は、無線通信部38を介して割当先の無線式感知器14から障害電文を受信した場合、回線通信部48に指示して感知器回線16を切離して疑似的な断線状態を作り出すことで、P型受信機10側で障害警報を出力させる制御を行う。
【0060】
また、中継制御部36は、無線通信部38を介して設定装置20からID指定無しの呼出電文を受信した場合、所定の応答制御条件により自己のIDを含む応答電文を送信して設定装置20に受信用中継器12のIDを登録する制御を行うが、このID登録制御の詳細は後の説明で明らかにする。
【0061】
また、中継制御部36は、無線通信部38を介して設定装置20からID指定による設定情報の読出し要求を含む電文を受信した場合、例えば割当先となる無線式感知器14のアドレスとノードIDの対応関係を示すテーブル情報を読出して電文を生成し、無線通信部38に指示して電文を設定装置20に送信させる制御を行い、この電文を受信した設定装置20に割当先となる無線式感知器14のアドレスとノードIDの対応関係を示すテーブル情報を表示し、確認や変更、追加、削除といった編集作業を行わせる。また、受信用中継器12の設定情報には、無線式感知器14のアドレスとノードIDの対応関係を示すテーブル情報以外に、チャンネル周波数や無線式感知器14の感度等の設定情報が含まれる。
【0062】
また、中継制御部36は、無線通信部38を介して設定装置20からID指定による設定情報の書込み要求を含む電文を受信した場合、この電文に含まれている編集済みの例えばアドレスとノードIDの対応関係を示すテーブル情報を取出して登録する制御を行う。
【0063】
また、中継制御部36は、所定のイベントを検出した場合、検出したイベントを履歴情報として登録する制御を行う。中継制御部36で登録する履歴情報は、割当先の無線式感知器14からの電文受信、電文受信時の電波強度、電文の処理結果のP型受信機10への送信等が含まれる。
【0064】
また、中継制御部36は、無線通信部38を介して設定装置20からID指定による履歴情報の読出要求を含む電文を受信した場合、履歴情報を読み出してこれを含む電文を生成し、無線通信部38に指示して設定装置20に送信させる制御を行い、この電文を受信した設定装置20に履歴情報を保存して利用可能とする。
【0065】
[設定装置]
(設定装置の機能構成)
図4は設定装置の機能構成を示したブロック図である。図4に示すように、受信用中継器のリーダ/ライタとして機能する設定装置20は、設定制御部60、アンテナ64を接続した無線通信部62、液晶ディスプレイ66、タッチパネル68、表示部70、操作部72、サーバ等の外部装置と通信接続するI/F回路部74、電源部76、コネクタ部78及び電源コネクタ部80を備える。
【0066】
設定制御部60はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等とする。
【0067】
無線通信部62は、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠し、受信用中継器12の無線通信部38との間に通信接続を確立して所定の情報を含む電文を送受信する。無線通信部62で設定装置20との間で送受信する電文の形式は、プリアンブル、送信元ID、送信先ID、コマンド、データ及びエラーチェックコードで構成する。
【0068】
液晶ディスプレイ66は、受信用中継器12のID登録の確認、設定情報の確認、設定情報の編集と書換え、履歴ログの読出し等に十分な文字や画像を含む表示を可能とする。また、タッチパネル68付きの液晶ディスプレイ66を使用することで、表示画面を利用した操作を可能とする。表示部70には電源灯を含む各種の表示灯を設けている。
【0069】
操作部72は、操作キーを配置しており、受信用中継器12と通信するためのチャンネル周波数の選択、受信用中継器12のID登録、設定情報の確認、設定情報の編集による再登録、履歴ログの読出し等に必要な操作を可能とする。
【0070】
I/F回路部74は、コネクタ部78を介して製造元の管理サーバ等に接続し、設定装置20で読み出した受信用中継器12の設定情報を管理サーバに保存してバックアップしたり、履歴ログを保存したりするためのデータ伝送を例えばイーサネット(登録商標)に従って行う。
【0071】
電源部76は電池電源を備えており、携帯して使用する場合は電池電源により動作し、管理サーバ等に通信接続してデータ伝送する場合は、電源コネクタ部80にACアダプタを接続して使用する。
【0072】
設定制御部60は、コンピュータ回路によりプログラムの実行により実現される機能であり、例えば次の制御を行う。
【0073】
設定制御部60は、タッチパネル68又は操作部48による受信用中継器12のID登録操作の受付けを検出した場合、電波の届く範囲にある受信用中継器12との間の無線通信による所定の制御により、分かっていない受信用中継器12のIDを取得して登録する制御を行う。このID登録制御の詳細は、後の説明で明らかにする。
【0074】
また、設定制御部60は、タッチパネル68又は操作部72による設定情報の読出し操作の受付けを検出した場合、設定情報の読出要求を含む受信用中継器12のIDを指定した電文を生成し、無線通信部62に指示して受信用中継器12に送信させ、受信用中継器12から無線通信部62を介して設定情報を含む電文を受信した場合、受信電文から設定情報を取り出して液晶ディスプレイ66に表示させる制御を行う。
【0075】
また、設定制御部60は、受信用中継器12から読出して液晶ディスプレイ66に表示した設定情報の変更、追加、削除を含む編集を行った後の登録要求操作の受付けを検出した場合、登録要求と編集済みの設定情報を含む受信用中継器12のIDを指定した電文を生成し、無線通信部62に指示して受信用中継器12に送信させる制御を行い、これを受信した受信用中継器12に設定情報を登録させる。
【0076】
また、設定制御部60は、無線式感知器14の登録スイッチの操作に伴う登録モードの設定により送信された起動電文を受信した場合、起動電文から送信元IDを取り出してノードIDとして液晶ディスプレイ66に表示する制御を行う。これにより設定装置20は無線式感知器14のノードIDを自動的に取得可能とする。
【0077】
また、設定制御部60は、タッチパネル68又は操作部72による履歴情報の読出し操作の受付けを検出した場合、履歴情報の読出要求を含む受信用中継器12のIDを指定した電文を生成し、無線通信部62に指示して受信用中継器12に送信させ、受信用中継器12から無線通信部62を介して履歴情報を含む電文を受信した場合、受信電文から履歴情報を取り出して液晶ディスプレイ66に表示させると共に保存する制御を行う。
【0078】
また、設定制御部60は、受信用中継器12から履歴情報を読み出して保存した状態で、コネクタ部78を介してサーバに接続可能とした状態で、タッチパネル68又は操作部72による履歴情報の転送操作の受付けを検出した場合、現在、保存している履歴情報を読出し、履歴情報を含む電文を生成し、I/F回路部74に指示してサーバに送信させる制御を行い、履歴情報の転送を受けたサーバに保存して管理し、また、サーバで非火災報の原因解析等に利用可能とする。
【0079】
[呼出電文の受信強度に対応した中継器ノードからの応答電文によるID登録]
図1に示すように、例えば1Fの受信用中継器14-1の近くに設定装置20を携帯した係員が出向き、受信用中継器12-1~12-3のIDが分かっていない状態で、設定装置20により受信用中継器12-1~12-3に登録している例えば無線式感知器14のアドレスとノードIDの対応関係を示すテーブル情報を読出表示して確認するため、まず分かっていない受信用中継器12-1~12-3のIDを取得して登録する処理を行う。
【0080】
この設定装置20による受信用中継器12のID登録処理として、本実施形態にあっては、設定装置20から呼出電文の受信強度に対応した受信用中継器12からの応答電文によるID登録を行う。
【0081】
(設定装置と受信用中継器の制御機能)
図3に示した設定装置20の設定制御部60は、タッチパネル68又は操作部72による受信用中継器20のID登録操作の受付けを検出した場合、所定の初期値から段階的に減少する所定の応答受信強度Ethを設定したID指定なしの呼出電文を受信用中継器12へ順次送信し、この呼出電文に対する受信用中継器12から応答電文を受信した場合に、この応答電文に含まれる送信元IDを受信用中継器12のIDとして取得してメモリに登録すると共に、登録したIDを指定したスリープ要求電文を受信用中継器12に送信し、電波の届く範囲にある受信用中継器12のID登録を終了した場合に復旧電文を中継器ノードに送信する制御を行う。
【0082】
また、図2に示した受信用中継器12の中継制御部36は、設定装置20からID指定なしの呼出電文を受信した場合の受信強度検出部45で検出した受信強度Eが呼出電文で指定した応答受信強度Eth以上の場合に自己のIDを含む応答電文を設定装置20に送信し、応答電文の送信後に設定装置20からスリープ要求電文を受信した場合に電文送信動作を休止し、電文送信動作の休止中に設定装置20から復旧電文を受信した場合に休止を解除する制御を行う。
【0083】
(設定装置による受信用中継器のID登録動作)
図5は設定装置から応答受信強度を設定したID指定なし呼出電文により受信用中継器のIDを取得して登録する動作を示したタイムチャートであり、図1図3及び図4と共に説明すると次のようになる。
【0084】
図1に示したように、例えば、1Fの受信用中継器12-1の近くに設定装置20を携帯した係員が出向き、設定装置20のタッチパネル68又は操作部72により受信用中継器12のID登録操作を行うと、図5のステップS1(以下「ステップ」は省略)に示すように、設定装置20の設定制御部60は、所定の応答受信強度Ethを設定したID指定なし(送信先IDを空きとする)の呼出電文を生成し、無線通信部62に指示して送信する。
【0085】
設定装置20が送信した呼出電文は、その電波が届く例えば1Fの受信用中継器12-1及び2Fの受信用中継器12-2でS2,S5のように受信され、受信強度検出部45によりそれぞれの無線通信部38での受信強度E1,E2を検出する。この場合、設定装置20からの距離は受信用中継器12-1が近く、受信用中継器12-2が遠いことから、受信強度はE1>E2の関係にある。
【0086】
受信用中継器12-1の中継制御部36は、S3において、受信した呼出電文に含まれている応答受信強度Ethと受信強度検出部45で検出した受信強度E1と比較し、受信強度E1が応答受信強度Eth以上であることからS4に進み、自己のIDを送信元IDに設定した応答電文を設定装置20に送信する。
【0087】
一方、受信用中継器12-2の中継制御部36は、S6で受信した呼出電文に含まれている応答受信強度Ethと受信強度検出部45で検出した受信強度E1と比較し、受信強度E1が応答受信強度Eth未満であることから、自己のIDを送信元IDに設定した応答電文の送信は行わない。
【0088】
設定装置20の設定制御部60は、S7で受信用中継器12-1からの応答電文を受信し、その送信元IDを受信用中継器12-1のIDとして取り出してメモリに登録すると共に、液晶ディスプレイ66に登録IDを表示する。
【0089】
続いて設定装置20の設定制御部60は、S8において、メモリに登録したIDを送信先IDに設定したスリープ要求電文を生成し、無線通信部62に指示して送信する。設定装置20からのスリープ要求電文は、S9で受信用中継器12-1による送信先IDと自己IDとの一致により有効に受信され、中継制御部36はスリープ要求電文に基づき、無線通信部38による電文送信動作を休止する。
【0090】
続いて、設定装置20の設定制御部60はS10で応答受信強度Ethを所定値ΔEだけ少ないEth=Eth-ΔEに変更し、S11で変更(減少)した応答受信強度Ethを設定したID指定なしの呼出電文を送信する。
【0091】
設定装置20が2回目に送信した呼出電文は、その電波が届く例えば1Fの受信用中継器12-1及び2Fの受信用中継器12-2でS12,S14のように受信されるが、受信用中継器12-1はS13のようにスリープ動作により電文送信機能を停止しているため、応答電文の送信は行わない。
【0092】
これに対し受信用中継器12-2は、S15で受信強度検出部45で検出した受信強度E2が設定装置20からの呼出電文に含まれる減少した応答受信強度Eth以上となることを判別し、S16に進んで自己のIDを送信元IDに設定した応答電文を設定装置20に送信する。
【0093】
設定装置20の設定制御部60は、S17で受信用中継器12-2からの応答電文を受信し、その送信元IDを受信用中継器12-2のIDとして取り出してメモリに登録すると共に、液晶ディスプレイ66に登録IDを表示する。
【0094】
続いて設定装置20の設定制御部60は、S18でメモリに今回登録したIDを送信先IDに設定したスリープ要求電文を生成し、無線通信部62に指示して送信する。設定装置20からのスリープ要求電文は、S19で受信用中継器12-2により送信先IDと自己ID2との一致により有効に受信され、中継制御部36はスリープ要求電文に基づき、無線通信部38による電文送信動作を休止する。
【0095】
続いて、設定装置20の設定制御部60はS20で現在の応答受信強度Ethを所定値ΔEだけ少ないEth=Eth-ΔEに変更し、S21で変更(減少)した応答受信強度Ethを設定したID指定なしの呼出電文を送信する。
【0096】
設定装置20が3回目に送信した呼出電文が届く受信用中継器が存在しなかった場合、設定装置20の液晶ディスプレイ66に対するそれ以上の登録IDの表示が停止し、これにより係員は、設定装置20からの電波の届く位置にある受信用中継器12の全のID登録が終了したと判断し、タッチパネル68又は操作部72により登録終了操作を行う。
【0097】
設定装置20の設定制御部60は、S22で登録終了操作を判別するとS23で受信用中継器12-1,12-2の登録済IDを送信元ID1に設定した復旧電文を順次送信する。設定装置20からの復旧電文はS24,S25のように受信用中継器12-1,12-2で有効に受信され、それぞれの中継制御部36はスリープ動作を解除して休止している電文送信動作を可能とし、ID登録を行う前の通常状態に戻す。
【0098】
このようにして設定装置20により受信用中継器12-1,12-2のIDを取得して登録したならば、受信用中継器12-1,12-2のIDを指定した読出し命令や書込み命令を含む電文の送信により、受信用中継器12-1,12-2からの必要なデータの読出しや書込みを行うことが可能となる。
【0099】
なお、応答受信強度Ethを所定値ΔEずつ減少させながら呼出電文を送信した場合、複数の受信用中継器12で受信強度Eが応答受信強度Eth以上になると、応答電文の送信タイミングが重なって設定装置20で受信不能となる衝突(コリジョン)を起こすが、図1に示したように、受信用中継器12-1~12-3は例えば階別のように、それぞれの通信距離が相違しており、応答受信強度Ethを段階的に減少されるΔEの値を適切に設定することで、例えばΔEの値を小さい値に設定することで、複数の受信用中継器12で受信強度Eが応答受信強度Eth以上になって起きる応答電文の衝突を確実に回避することができる。
【0100】
また、複数の受信用中継器12で受信強度Eが応答受信強度Eth以上になって応答電文の衝突が発生した場合には、係員は場所を変えて設定装置20から呼出電文を送信することで、応答電文の衝突を回避することも可能である。
【0101】
(設定装置による受信用中継器のID登録動作のメリット)
このような図5に示した設定装置20による受信用中継器12のID登録動作によれば、設定装置20からの電波が届く範囲にある受信用中継器12は、ID指定のない呼出電文を受信した場合、その受信強度Eが呼出電文で指定した応答受信強度Eth以上の場合にのみ応答電文を送信し、設定装置20からの複数の受信用中継器12の設置場所までの距離は各々異なることから、呼出電文で指定する応答受信強度Ethを段階的に減少させることで、距離の近い受信用中継器12から順番に応答電文を送信することとなり、複数の受信用中継器12の送信タイミングが重ならず、受信用中継器単位に受信した応答電文からIDを取得して登録することができる。
【0102】
また、設定装置20は応答電文を送信した受信用中継器12に対してはIDを指定したスリープ要求電文を送信してその後の呼出電文に対する送信動作を休止させることで、応答受信高度を段階的に減少させても、複数の受信用中継器12から不必要に応答電文が送信されることを回避し、距離の近い受信用中継器12から順番に応答電文を送信することを可能とする。
【0103】
更に、設定装置20からの電波の届く範囲ある全ての受信用中継器12のID登録が終了した場合に復旧電文を送信することで、スリープ要求電文の受信による送信動作の休止を解除して通常の運用状態に戻すことを可能とする。
【0104】
[受信用中継器のIDに応じたチャンネル周波数による電文応答によるID登録]
設定装置20による受信用中継器12のID登録処理の他の実施形態として、設定装置20からの呼出電文に対し、受信用中継器12のIDに応じたチャンネル周波数による応答電文の送信により設定装置20でID登録を行う。
【0105】
本実施形態における受信用中継器12の構成は、図3の受信強度検出部45を除いたと同じ構成であり、また、設定装置20は図4と同じ構成であり、それぞれの無線通信部38,36として所定周波数範囲でチャンネル周波数を切り替え可能とする機能を追加している。
【0106】
(設定装置と受信用中継器の制御機能)
図4に示した設定装置20の設定制御部60は、タッチパネル68又は操作部72による受信用中継器20のID登録操作の受付けを検出した場合、初期設定したチャンネル周波数によりID指定なしの呼出電文を受信用中継器12に送信し、チャンネル周波数を所定の周波数範囲で変化させる周波数スイープにより呼出電文に対する受信用中継器12からの応答電文を受信した場合に、当該応答電文に含まれる受信用中継器12の送信元IDを受信用中継器12のIDとして取得して登録し、電波の届く範囲にある全ての受信用中継器12のID登録を終了した場合にチャンネル周波数の周波数スイープにより復旧電文を送信する制御を行う。
【0107】
また、図2に示した受信用中継器12の中継制御部36は、初期設定したチャンネル周波数により設定装置20からの呼出電文を受信した場合に、自己のIDに対応する所定の応答チャンネル周波数により自己のIDを含む応答電文を設定装置20に送信し、応答チャンネル周波数による復旧電文を受信した場合にチャンネル周波数を初期設定に戻す制御を行う。
【0108】
図6は受信用中継器のIDとチャンネル周波数の対応関係を一覧で示した説明図である。図6に示すように、この例では、受信用中継器12のIDにおける下位3ビットのb3b2b1による2進値000~111に対応してチャンネル周波数A~Hを設定しており、その中から自己のIDに対応したチャンネル周波数に切り替えて応答電文を設定装置20に送信する。
【0109】
なお、チャンネル周波数の選択に使用するIDのビット数は、選択可能なチャンネル数48以内となるように必要に応じて適宜に定めることができ、応答電文の衝突を回避する確率を高めるためには、最大で下位5ビットを使用して32チャンネルの選択を可能とすれば良い。
【0110】
このため図3に示した受信用中継器12の無線通信部38は、中継制御部36の指示に基づき送受信に使用するチャンネル周波数を切り替える機能を備える。また、図4に示した設定装置20の無線通信部62も設定制御部60の指示により送受信に使用するチャンネル周波数を受信用中継器12のチャンネル周波数A~Hの範囲で連続的に切替える周波数スイープの動作機能を備える。
【0111】
(設定装置による受信用中継器のID登録動作)
図7は設定装置からID指定なし呼出電文により受信用中継器のIDに対応したチャンネル周波数による応答電文からIDを取得して登録する動作を示したタイムチャートであり、図1図3及び図4と共に説明すると次のようになる。
【0112】
図1に示したように、例えば、1Fの受信用中継器14-1の近くに設定装置20を携帯した係員が出向き、設定装置20のタッチパネル68又は操作部72により受信用中継器12のID登録操作を行うと、図7のS101に示すように、設定装置20の設定制御部60は、初期設定しているチャンネル周波数によりID指定なし(送信先IDを空き)の呼出電文を生成し、無線通信部62に指示して送信する。
【0113】
設定装置20が送信した呼出電文は、その電波が届く例えば1Fの受信用中継器12-1及び2Fの受信用中継器12-2でS102,S104のように受信される。呼出電文を受信した受信用中継器12-1の中継制御部36は、S103において、図6に示した対応関係から自己のIDの下位3ビットとなる例えば「001」に対応したチャンネル周波数Bを選択して無線通信部38に設定し、自己のIDを送信元IDに設定した応答電文をチャンネル周波数Bを使用して設定装置20に送信する。
【0114】
一方、呼出電文を受信した受信用中継器12-2の中継制御部36は、S105において、図6に示した対応関係から自己のID1の下位3ビットとなる例えば「101」に対応したチャンネル周波数Fを選択して無線通信部38に設定し、自己のIDを送信元IDに設定した応答電文をチャンネル周波数Fを使用して設定装置20に送信する。
【0115】
設定装置20の設定制御部60は、S106で受信用中継器12から応答電文を送信してくるチャンネル周波数A~Hの周波数範囲で周波数チャンネルを順番に切り替えて受信するチャンネル周波数のスイープ動作を繰り返しており、S107で切り替えたチャンネル周波数B又はFでの応答電文の受信を判別するとS108に進み、受信した応答電文の送信元IDを受信用中継器12-1,12-2のIDとして取り出してメモリに登録すると共に、液晶ディスプレイ66に受信用中継器12-1,12-2の登録IDを表示する。
【0116】
設定装置20からの呼出電文が届く全ての受信用中継器12-1,12-2のID登録が終了すると、設定装置20の液晶ディスプレイ66に対するそれ以上の登録IDの表示が停止し、これにより係員は、設定装置20からの電波の届く位置にある受信用中継器12の全てのID登録が終了したと判断し、タッチパネル68又は操作部72により登録終了操作を行う。
【0117】
設定装置20の設定制御部60は、S109で登録終了操作を判別するとS110で応答電文の通信に使用したチャンネル周波数B,Fを順次使用して復旧電文を送信する。設定装置20からの復旧電文はS111,S112のように受信用中継器12-1,12-2で有効に受信され、それぞれの中継制御部36はチャンネル周波数B,Fを初期設定に戻す。
【0118】
このようにして設定装置20により受信用中継器12-1,12-2のIDを取得して登録したならば、受信用中継器12-1,12-2のIDを指定した読出し命令や書込み命令を含む電文の送信により、受信用中継器12-1,12-2から必要なデータの読出しや書込みを行うことが可能となる。
【0119】
なお、設定装置20からの電波の届く範囲にある複数の受信用中継器12に設定しているIDの下位3ビットが一致した場合、同じチャンネル周波数の選択により応答電文の通信衝突を起こすことになるが、応答電文の通信衝突を設定装置20で検出した場合、例えば受信用中継器12のチャンネル周波数を選択するための3ビットを、更に上位の3ビットにシフトする命令を含む呼出電文を送信することで、応答電文の送信に使用するチャンネル周波数が異なるように制御でき、応答電文の衝突を確実に回避可能とする。
【0120】
(設定装置による受信用中継器のID登録動作のメリット)
このような図7に示した設定装置20による受信用中継器12のID登録動作によれば、設定装置20からの電波が届く範囲にある受信用中継器12は、ID指定のない呼出電文を受信した場合、自己のIDに対応した相互に異なるチャンネル周波数を使用して応答電文を送信し、設定装置20はチャンネル周波数を順次切り替える周波数スイープにより異なる受信用中継器12からの応答電文を個別に受信し、複数の受信用中継器12の送信タイミングが重なってもチャンネル周波数が異なることで、受信用中継器単位に受信した応答電文からIDを取得して登録することができる。
【0121】
また、設定装置20からの電波の届く範囲ある全ての受信用中継器12のID登録が終了した場合に復旧電文を送信することで、チャンネル周波数を初期設定に戻して通常の運用状態に戻すことを可能とする。
【0122】
[本発明の変形例]
(中継器ノード)
上記の実施形態は、設定装置により中継器ノードとして機能する受信用中継器のIDを取得して登録する場合を例にとっているが、本発明はこれに限定されず、無線通信機能備えた適宜の機器のIDを設定装置により取得して登録する場合を含む。
【0123】
(R型受信機)
上記の実施形態は、火災受信機としてP型受信機からの感知器回線に受信用中継器を接続しているが、データ伝送機能を持つR型受信機に受信用中継器を接続するようにしてもよい。
【0124】
(設定装置)
上記の実施形態は、専用の設定装置を使用して受信用中継器にアクセスして読み書きする場合を例にとっているが、受信用中継器との通信機能を備えたタブレット端末等の適宜の携帯端末機器を利用するようにしても良い。
【0125】
(その他)
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0126】
10:P型受信機
12-1~12-3:受信用中継器
14-1~14-3:無線式感知器
16:感知器回線
20:設定装置
22:感知器制御部
24,38,62:無線通信部
28:センサ部
30,46,70:表示部
32,44,72:操作部
36:中継制御部
40:アンテナ
42:アンテナ端子
45:受信強度検出部
48:回線通信部
60:設定制御部
66:液晶ディスプレイ
68:タッチパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7