(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】タンパク質コロナ解析のための組成物、方法およびシステムならびにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20240620BHJP
G01N 23/2273 20180101ALI20240620BHJP
G01N 23/2251 20180101ALI20240620BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20240620BHJP
G01N 21/49 20060101ALI20240620BHJP
G01N 33/553 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N23/2273
G01N23/2251
G01N23/04 330
G01N21/49 Z
G01N33/553
(21)【出願番号】P 2023028546
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2021525016の分割
【原出願日】2019-11-07
【審査請求日】2023-02-27
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521193452
【氏名又は名称】シアー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ホンウェイ シア
(72)【発明者】
【氏名】リンダル ヘスターバーグ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル フィガ
(72)【発明者】
【氏名】シャオヤン ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー トロイアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム マニング
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ブルーム
(72)【発明者】
【氏名】オミッド ファロクザド
(72)【発明者】
【氏名】マシュー マクリーン
(72)【発明者】
【氏名】マーウィン コ
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ ストラルチク
(72)【発明者】
【氏名】セオドア プラット
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0172694(US,A1)
【文献】米国特許第06514416(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007725(US,A1)
【文献】特表平06-500358(JP,A)
【文献】特表2009-509132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のタンパク質を同定する方法であって、
粒子パネルを、前記粒子パネルの別個の粒子型に対応する複数の別個の生体分子コロナを形成するために、前記試料とともにインキュベートするステップであって、前記粒子パネルが、2~20の別個の粒子型を有し、前記別個の粒子型が、少なくとも1つの物理化学的特性で異なり、
前記粒子パネルにおける第1の別個粒子型が、負に荷電され、
シリカを含み、前記第1の別個粒子型が前記試料の非存在下で-
40mV~-20mVの第1の表面電荷を有し、
前記粒子パネルにおける第2の別個粒子型が、電荷的に中性であり、
前記試料の非存在下で-20mV~30mVの第2の表面電荷を有し、かつ
前記粒子パネルにおける第3の別個粒子型が、正に荷電され、
前記試料の非存在下で30mV~100mVの第3の表面電荷を有する、ステップ;
前記複数の別個の生体分子コロナにおけるタンパク質を濃縮するために、前記試料中の未結合タンパク質から、前記粒子パネルからの2~20の別個の粒子型を磁気的に単離するステップ;および
前記濃縮されたタンパク質を同定するために前記複数の別個の生体分子コロナをアッセイするステップであって、前記アッセイが、1000~10000タンパク質群を同定できる、ステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記アッセイするステップが、1,000~5,000のタンパク質群を同定できる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アッセイするステップが、1,200~2,200のタンパク質群を同定できる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質群が、7アミノ酸残基の最小長を有するペプチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アッセイするステップが、1,000~10,000のタンパク質を同定できる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アッセイするステップが、1,800~5,000のタンパク質を同定できる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、複数の試料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の試料が、少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記インキュベートするステップが、前記少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料を前記粒子パネルと同時に接触させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記磁気的に単離するステップが、前記複数の試料の前記少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料中の未結合タンパク質から前記粒子パネルを同時に磁気的に単離することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アッセイするステップが、前記少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料中のタンパク質を同時に同定するために前記複数の別個の生体分子コロナをアッセイすることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を繰り返すステップをさらに含み、繰り返された場合、前記インキュベートするステップ、単離するステップおよびアッセイするステップが、前記粒子パネル内の各粒子型について少なくとも3回の完全アッセイ反復からのペプチド質量分析特徴を比較することにより判定して、20%またはそれ未満の分位正規化変動係数(QNCV)パーセントを生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
繰り返された場合、前記インキュベートするステップ、単離するステップおよびアッセイするステップが、前記粒子パネル内の各粒子型について少なくとも3回の完全アッセイ反復からのペプチド質量分析特徴を比較することにより判定して、10%またはそれ未満の分位正規化変動係数(QNCV)パーセントを生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記アッセイするステップが、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のダイナミックレンジにわたってタンパク質を同定できる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記粒子パネルを前記未結合タンパク質から磁気的に単離するステップの後、前記粒子パネルを少なくとも1回または少なくとも2回洗浄するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記アッセイするステップの後に、前記複数の別個の生体分子コロナ中の前記タンパク質を溶解するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の別個の生体分子コロナ中の前記タンパク質を消化して、消化されたペプチドを生成するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記消化されたペプチドを精製するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アッセイするステップが、質量分析を使用して前記試料中のタンパク質を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記アッセイするステップが、2~4時間以内に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
1~20時間以内に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
2~10時間以内に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
4~6時間以内に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
単離するステップは、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下、または2分以下かかる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の試料が、少なくとも10の空間的に隔離されている試料、少なくとも50の空間的に隔離されている試料、少なくとも100の空間的に隔離されている試料、少なくとも150の空間的に隔離されている試料、少なくとも200の空間的に隔離されている試料、少なくとも250の空間的に隔離されている試料、または少なくとも300の空間的に隔離されている試料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の試料が、少なくとも96の試料を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記粒子パネルが、少なくとも3つの別個の粒子型、少なくとも4つの別個の粒子型、少なくとも5つの別個の粒子型、少なくとも6つの別個の粒子型、少なくとも7つの別個の粒子型、少なくとも8つの別個の粒子型、少なくとも9つの別個の粒子型、少なくとも10の別個の粒子型、少なくとも11の別個の粒子型、少なくとも12の別個の粒子型、少なくとも13の別個の粒子型、少なくとも14の別個の粒子型、
または少なくとも15の別個の粒子型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子パネルが、少なくとも10の別個の粒子型を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも2つの空間的に隔離されている試料が、少なくとも1つの物理化学的特性で異なる、請求項8に記載の方法。
【請求項30】
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも1つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性で異なることによって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性で異なることによって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも1つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性で異なることによって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性で異なることによって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記物理化学的特性が、サイズ、電荷、コア材料、シェル材料、多孔度、または表面疎水性を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記サイズが、動的光散乱、SEM、TEMまたはこれらの任意の組合せによって測定される直径または半径である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、カルボキシレート材料を含み、前記第1の別個の粒子がマイクロ粒子であり、前記第2の別個の粒子型がナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記粒子パネルが、負に荷電されているナノ粒子のサブセットを含み、前記サブセットの各粒子が、少なくとも1つの表面化学基で異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型、第2の粒子および第3の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型、前記第2の別個の粒子型および前記第3の別個の粒子型が、酸化鉄コア、ポリマーシェルを含み、直径約500nm未満であり、前記第1の別個の粒子型が負電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が正電荷を有し、前記第3の別個の粒子型が中性電荷を有し、前記直径が、動的光散乱によって測定された平均直径である、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、ナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、マイクロ粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、超常磁性酸化鉄粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記粒子パネルの各粒子が、酸化鉄材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、酸化鉄コアを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記粒子パネルの別個の粒子型各々が、超常磁性酸化鉄粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記粒子パネルの別個の粒子型各々が、酸化鉄コアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記粒子パネルの各1つの別個の粒子型が、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、カルボキシル化ポリマー、アミノ化ポリマー、双性イオン性ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記粒子パネルの少なくとも1つの粒子型が、シリカシェルコーティングを有する酸化鉄コアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記試料が生体試料であり、前記生体試料が、血漿、血清、CSF、尿、涙、細胞溶解物、組織溶解物、細胞ホモジネート、組織ホモジネート、乳頭吸引液、糞便試料、滑液および全血、または唾液を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月7日に出願した米国特許仮出願第62/756,960号、2019年3月26日に出願した米国特許仮出願第62/824,278号、および2019年7月16日に出願した米国特許仮出願第62/874,862号の優先権、ならびにこれらのからの利益を主張するものであり、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
科学および医学へのプロテオーム情報の広範なインプリメンテーションは、そのような解析のスケーラビリティを制限する複雑なワークフローを必要とする、タンパク質分子それら自体に固有の複雑さのため、大部分がゲノミクスに後れを取っている。プロテオームデータの迅速な処理および疾患に関連する肝要なバイオマーカーの同定のための組成物および方法が、本明細書で開示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、対象における広範な疾患および障害の検出ならびに病状の判定のためのナノ粒子のパネルを提供する。
【0004】
タンパク質コロナの作出および特徴付けは、当分野でも行われているが、実験の大部分は、非磁性粒子、例えば、リポソームおよび高分子ナノ粒子、または標的薬物送達に使用され得る他の粒子型を用いて行われている。
【0005】
タンパク質コロナ形成および特徴付けのための現行の(概して学究的な)アッセイに伴う問題は、アッセイに使用される粒子をコロナ回収のために単離する必要があるので、それらのアッセイがハイスループットおよび/または自動化形式に適していないことである。タンパク質コロナに使用されるSPMNPの利点は、外部から磁場を印加することにより懸濁混合物から容易に分離することができる、それらの迅速な磁気応答である。この種類の磁性粒子は、粒子と血漿タンパク質との相互作用を微調整するのに役立ち得る異なる官能基でのさらなる化学修飾のための良好なプラットフォームである。
【0006】
一部の態様では、本開示は、試料中のタンパク質を同定する方法であって、粒子パネルを、粒子パネルの別個の粒子型に対応する複数の別個の生体分子コロナを形成するために、試料とともにインキュベートするステップ;複数の別個の生体分子コロナにおけるタンパク質を濃縮するために、粒子パネルを試料中の未結合タンパク質から磁気的に単離するステップ;および濃縮されたタンパク質を同定するために複数の別個の生体分子コロナをアッセイするステップを含む方法を提供する。
【0007】
一部の態様では、アッセイするステップは、1~20,000のタンパク質群を同定できる。さらなる態様では、アッセイするステップは、1000~10,000のタンパク質群を同定できる。さらなる態様では、アッセイするステップは、1,000~5,000のタンパク質群を同定できる。なおさらなる態様では、アッセイするステップは、1,200~2,200のタンパク質群を同定できる。一部の態様では、タンパク質群は、7アミノ酸残基の最小長を有するペプチド配列を含む。一部のさらなる場合、アッセイするステップは、1,000~10,000のタンパク質を同定できる。一部のなおさらなる場合、アッセイするステップは、1,800~5,000のタンパク質を同定できる。
【0008】
一部の実施形態では、試料は、複数の試料を含む。一部の実施形態では、複数の試料は、少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料を含む。さらなる実施形態では、インキュベートするステップは、少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料を粒子パネルと同時に接触させることを含む。さらなる実施形態では、磁気的に単離するステップは、複数の試料の少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料中の未結合タンパク質から粒子パネルを同時に磁気的に単離することを含む。さらなる実施形態では、アッセイするステップは、少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料中のタンパク質を同時に同定するために複数の別個の生体分子コロナをアッセイすることを含む。
【0009】
一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載の方法を繰り返すステップであって、繰り返された場合、インキュベートするステップ、単離するステップおよびアッセイするステップが、粒子パネル内の各粒子型について少なくとも3回の完全アッセイ反復からのペプチド質量分析特徴を比較することにより判定して、20%またはそれ未満の分位正規化変動係数(QNCV)パーセントを生じさせる、ステップをさらに含む。一部の実施形態では、繰り返された場合、インキュベートするステップ、単離するステップおよびアッセイするステップは、粒子パネル内の各粒子型について少なくとも3回の完全アッセイ反復からのペプチド質量分析特徴を比較することにより判定して、10%またはそれ未満の分位正規化変動係数(QNCV)パーセントを生じさせる。一部の実施形態では、アッセイするステップは、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のダイナミックレンジにわたってタンパク質を同定できる。
【0010】
一部の実施形態では、方法は、粒子パネルを未結合タンパク質から磁気的に単離するステップの後、粒子パネルを少なくとも1回または少なくとも2回洗浄するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、アッセイするステップの後に、複数の別個の生体分子コロナ中のタンパク質を溶解するステップをさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、方法は、複数の別個の生体分子コロナ中のタンパク質を消化して、消化されたペプチドを生成するステップをさらに含む。
【0012】
一部の実施形態では、方法は消化されたペプチドを精製するステップをさらに含む。
【0013】
一部の実施形態では、アッセイするステップは、質量分析を使用して試料中のタンパク質を同定することを含む。一部の実施形態では、アッセイは、約2~約4時間以内に行われる。一部の実施形態では、方法は、約1~約20時間以内に行われる。一部の実施形態では、方法は、約2~約10時間以内に行われる。一部の実施形態では、方法は、約4~約6時間以内に行われる。一部の実施形態では、単離するステップは、約30分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、または約2分以下かかる。一部の実施形態では、複数の試料は、少なくとも10の空間的に隔離されている試料、少なくとも50の空間的に隔離されている試料、少なくとも100の空間的に隔離されている試料、少なくとも150の空間的に隔離されている試料、少なくとも200の空間的に隔離されている試料、少なくとも250の空間的に隔離されている試料、または少なくとも300の空間的に隔離されている試料を含む。さらなる実施形態では、複数の試料は、少なくとも96の試料を含む。
【0014】
一部の実施形態では、粒子パネルは、少なくとも2つの別個の粒子型、少なくとも3つの別個の粒子型、少なくとも4つの別個の粒子型、少なくとも5つの別個の粒子型、少なくとも6つの別個の粒子型、少なくとも7つの別個の粒子型、少なくとも8つの別個の粒子型、少なくとも9つの別個の粒子型、少なくとも10の別個の粒子型、少なくとも11の別個の粒子型、少なくとも12の別個の粒子型、少なくとも13の別個の粒子型、少なくとも14の別個の粒子型、少なくとも15の別個の粒子型、少なくとも20の別個の粒子型、少なくとも25の粒子型、または少なくとも30の別個の粒子型を含む。さらなる実施形態では、粒子パネルは、少なくとも10の別個の粒子型を含む。さらなる実施形態では、少なくとも2つの空間的に隔離されている試料は、少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なる。
【0015】
一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、少なくとも1つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は異なる。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は異なる。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型が、少なくとも1つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は異なる。
【0016】
一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は異なる。さらなる実施形態では、物理化学的特性は、サイズ、電荷、コア材料、シェル材料、多孔度、または表面疎水性を含む。さらなる実施形態では、サイズは、動的光散乱、SEM、TEMまたはこれらの任意の組合せによって測定される直径または半径である。
【0017】
一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、カルボキシレート材料を含み、第1の別個の粒子は、マイクロ粒子であり、第2の別個の粒子型は、ナノ粒子である。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、0mVおよび-50mVの表面電荷を有し、第1の別個の粒子型は、200nm未満の直径を有し、第2の別個の粒子型は、200nmより大きい直径を有する。
【0018】
一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、100~400nmの直径を有し、第1の別個の粒子型は、正の表面電荷を有し、第2の別個の粒子型は、中性表面電荷を有する。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、ナノ粒子であり、第1の別個の粒子型は、-20mV未満の表面電荷を有し、第2の別個の粒子型は、-20mVより大きい表面電荷を有する。
【0019】
一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、マイクロ粒子であり、第1の別個の粒子型は、負の表面電荷を有し、第2の別個の粒子型は、正の表面電荷を有する。一部の実施形態では、粒子パネルは、負に荷電されているナノ粒子のサブセットを含み、サブセットの各粒子は、少なくとも1つの表面化学基の点で異なる。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型、第2の粒子および第3の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型、第2の別個の粒子型および第3の別個の粒子型は、酸化鉄コア、ポリマーシェルを含み、直径約500nm未満であり、第1の別個の粒子型は、負電荷を有し、第2の別個の粒子型は、正電荷を有し、第3の別個の粒子型は、中性電荷を有し、直径は、動的光散乱によって測定された平均直径である。さらなる実施形態では、第1の別個の粒子型は、シリカコーティングを含み、第2の別個の粒子型は、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)を含み、第3の別個の粒子型は、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを含む。
【0020】
一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、ナノ粒子である。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、マイクロ粒子である。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、超常磁性酸化鉄粒子である。一部の実施形態では、粒子パネルの各粒子は、酸化鉄材料を含む。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、酸化鉄コアを有する。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する。一部の実施形態では、粒子パネルの別個の粒子型各々は、超常磁性酸化鉄粒子である。一部の実施形態では、粒子パネルの別個の粒子型各々は、酸化鉄コアを含む。一部の実施形態では、粒子パネルの各1つの別個の粒子型は、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、カルボキシル化ポリマー、アミノ化ポリマー、双性イオン性ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの粒子型は、シリカシェルコーティングを有する酸化鉄コアを含む。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの粒子型は、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの粒子型は、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む。
【0021】
一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、負の表面電荷を有する。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、正の表面電荷を有する。一部の実施形態では、粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型は、中性表面電荷を有する。一部の実施形態では、粒子パネルは、表10から選択される1つまたは複数の別個の粒子型を含む。一部の実施形態では、粒子パネルは、表10から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む。一部の実施形態では、粒子パネルは、表12から選択される1つまたは複数の別個の粒子型を含む。一部の実施形態では、粒子パネルは、表12から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む。
【0022】
様々な態様では、本開示は、2つまたはそれより多くの物理化学的特性の点で異なる3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型を含む組成物であって、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のサブセットが、2つまたはそれより多くの物理化学的特性のうちの物理化学的特性を共有し、サブセットのそのような粒子型が、異なるタンパク質に結合する、組成物を提供する。
【0023】
一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10のダイナミックレンジにわたって生体試料からのタンパク質を吸着する。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、生体試料からの1~20,000のタンパク質の群を吸着できる。一部の態様では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、生体試料からの1,000~10,000のタンパク質群を吸着できる。さらなる態様では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、生体試料からの1,000~5,000のタンパク質群を吸着できる。さらなる態様では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、生体試料からの1,200~2,200のタンパク質群を吸着できる。なおさらなる
態様では、タンパク質群は、7アミノ酸残基の最小長を有するペプチド配列を含む。一部の態様では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、生体試料からの1~20,000のタンパク質を吸着できる。さらなる態様では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、生体試料からの1,000~10,000のタンパク質を吸着できる。なおさらなる実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、生体試料からの1,800~5,000のタンパク質を吸着できる。
【0024】
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも4つの別個の磁性粒子型、少なくとも5つの別個の磁性粒子型、少なくとも6つの別個の磁性粒子型、少なくとも7つの別個の磁性粒子型、少なくとも8つの別個の磁性粒子型、少なくとも9つの別個の磁性粒子型、少なくとも10の別個の磁性粒子型、少なくとも11の別個の磁性粒子型、少なくとも12の別個の磁性粒子型、少なくとも13の別個の磁性粒子型、少なくとも14の別個の磁性粒子型、少なくとも15の別個の磁性粒子型、少なくとも20の別個の磁性粒子型、または少なくとも30の別個の磁性粒子型を含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも10の別個の磁性粒子型を含む。一部の実施形態では、組成物は、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は異なる。
【0025】
一部の実施形態では、組成物は、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は異なる。一部の実施形態では、物理化学的特性は、サイズ、電荷、コア材料、シェル材料、多孔度、または表面疎水性を含む。さらなる実施形態では、サイズは、動的光散乱、SEM、TEMまたはこれらの任意の組合せによって測定される直径または半径である。
【0026】
一部の実施形態では、組成物は、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、カルボキシレート材料を含み、第1の別個の粒子は、マイクロ粒子であり、第2の別個の粒子型は、ナノ粒子である。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、0mVおよび-50mVの表面電荷を有し、第1の別個の粒子型は、200nm未満の直径を有し、第2の別個の粒子型は、200nmより大きい直径を有する。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、100~400nmの直径を有し、第1の別個の粒子型は、正の表面電荷を有し、第2の別個の粒子型は、中性表面電荷を有する。
【0027】
一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、ナノ粒子であり、第1の別個の粒子型は、-20mV未満の表面電荷を有し、第2の別個の粒子型は、-20mVより大きい表面電荷を有する。一部の実施形態では、粒子パネルは、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型は、マイクロ粒子であり、第1の別個の粒子型は、負の表面電荷を有し、第2の別個の粒子型は、正の表面電荷を有する。一部の実施形態では、組成物は、負に荷電されているナノ粒子のサブセットを含み、サブセットの各粒子型は、少なくとも1つの表面化学基の点で異なる。一部の実施形態では、組成物は、第1の別個の粒子型、第2の別個の粒子および第3の別個の粒子型を含み、第1の別個の粒子型、第2の別個の粒子型および第3の別個の粒子型は、酸化鉄コア、ポリマーシェルを含み、直径約500nm未満であり、第1の別個の粒子型は、負電荷を有し、第2の別個の粒子型は、正電荷を有し、第3の別個の粒子型は、中性電荷を有し、直径は、動的光散乱によって測定された平均直径である。さらなる実施形態では、第1の別個の粒子型は、シリカコーティングを含み、第2の別個の粒子型は、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)を含み、第3の別個の粒子型は、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを含む。
【0028】
一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、ナノ粒子を含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、マイクロ粒子を含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型は、超常磁性酸化鉄粒子である。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型は、酸化鉄材料を含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型は、酸化鉄コアを有する。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型は、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する。
【0029】
一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型の別個の粒子型各々は、超常磁性酸化鉄粒子である。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型の別個の粒子型各々は、酸化鉄コアを含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの各1つの別個の粒子型は、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、ポリマーコーティングを含む。
【0030】
一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、カルボキシル化ポリマー、アミノ化ポリマー、双性イオン性ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、シリカシェルコーティングを有する酸化鉄コアを含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む。
【0031】
一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、負の表面電荷を有する。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、正の表面電荷を有する。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、中性表面電荷を有する。
【0032】
一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、表10の1つまたは複数の粒子型を含む。一部の実施形態では、粒子パネルは、表10から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む。一部の実施形態では、3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型は、表12の1つまたは複数の粒子型を含む。一部の実施形態では、粒子パネルは、表12から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む。
【0033】
一部の態様では、本開示は、対象からの試料の生物学的状態を判定する方法であって、複数のナノ粒子を含むパネルに生体試料を曝露することによって複数のタンパク質コロナを生成するステップ;複数のタンパク質コロナからプロテオームデータを生成するステップ;複数のタンパク質コロナのタンパク質プロファイルを判定するステップ;およびタンパク質プロファイルを生物学的状態に関連付けるステップを含み、パネルが少なくとも2つの異なるナノ粒子を含む、方法を提供する。
【0034】
一部の実施形態では、パネルは、少なくとも3つの異なるナノ粒子を含む。一部の実施形態では、方法は、タンパク質プロファイルを生物学的状態に少なくとも90%の正確度で関連付ける。一部の実施形態では、複数のナノ粒子は、少なくとも1つの酸化鉄ナノ粒子を含む。
【0035】
一部の態様では、本開示は、タンパク質コロナ解析のためのパネルを選択する方法であって、少なくとも3つの異なる物理化学的特性を有する複数のナノ粒子を選択するステップを含む方法を提供する。
【0036】
一部の実施形態では、異なる物理化学的特性は、表面電荷、表面化学構造、サイズ、および形態からなる群から選択される。一部の実施形態では、異なる物理化学的特性は、表面電荷を含む。
【0037】
様々な実施形態では、本開示は、試料中のタンパク質を同定する方法であって、複数の粒子型を含むパネルを試料とともにインキュベートして複数のタンパク質コロナを形成するステップ;複数のタンパク質コロナを消化してプロテオームデータを生成するステップ;およびプロテオームデータを定量することにより試料中のタンパク質を同定するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、試料は、対象からのものである。
【0038】
一部の実施形態では、方法は、同定するステップからの試料のタンパク質プロファイルを判定するステップおよびタンパク質プロファイルを対象の生物学的状態と関連付けるステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、複数のタンパク質コロナを消化することによりプロテオームデータを生成すること、複数のタンパク質コロナのタンパク質プロファイルを判定すること、およびタンパク質プロファイルを生物学的状態と関連付けることにより、対象からの試料の生物学的状態を判定するステップをさらに含み、パネルは、少なくとも2つの異なるナノ粒子を含む。一部の実施形態では、関連付けは、訓練された分類器により行われる。
【0039】
一部の実施形態では、パネルは、少なくとも3つの異なる粒子型、少なくとも4つの異なる粒子型、少なくとも5つの異なる粒子型、少なくとも6つの異なる粒子型、少なくとも7つの異なる粒子型、少なくとも8つの異なる粒子型、少なくとも9つの異なる粒子型、少なくとも10の異なる粒子型、少なくとも11の異なる粒子型、少なくとも12の異なる粒子型、少なくとも13の異なる粒子型、少なくとも14の異なる粒子型、少なくとも15の異なる粒子型、または少なくとも20の異なる粒子型を含む。一部の実施形態では、パネルは、少なくとも4つの異なる粒子型を含む。一部の実施形態では、パネルの少なくとも1つの粒子型は、パネルの第2の粒子型とは異なる物理的特徴を有する。一部の実施形態では、物理的特徴は、サイズ、多分散指数、表面電荷、または形態である。一部の実施形態では、パネル内の複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型のサイズは、10nm~500nmである。
【0040】
一部の実施形態では、パネル内の複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の多分散指数は、0.01~0.25である。一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の形態は、球状、コロイド状、正方形、ロッド、ワイヤ、円錐、ピラミッド形および楕円形を含む。一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の表面電荷は、正の表面電荷を含む。一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の表面電荷は、負の表面電荷を含む。
【0041】
一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の表面電荷は、中性表面電荷を含む。一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、パネルの第2の粒子型とは異なる化学的特徴を有する。一部の実施形態では、化学的特徴は、表面官能性化学基である。一部の実施形態では、官能性化学基は、アミンまたはカルボキシレートである。一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、ポリマー、脂質または金属を含む材料で作製される。
【0042】
さらなる実施形態では、ポリマーは、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、またはポリアミン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリエステル(例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ乳酸、もしくはポリカプロラクトン)、または2つもしくはそれより多くのポリマーのコポリマーを含む。
【0043】
さらなる実施形態では、脂質は、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシドおよびジアシルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-trans PE、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(1-stearoyl-2-oleoyl-phosphatidyethanolamine)(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール
、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、リン酸ジセチル、またはコレステロールを含む。
【0044】
一部の実施形態では、金属は、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニオブ、モリブデン、タングステン、タンタル、鉄またはカドミウムを含む。一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、ポリエチレングリコールで官能化された表面である。一部の実施形態では、方法は、タンパク質プロファイルを生物学的状態に、少なくとも70%の正確度、少なくとも75%の正確度、少なくとも80%の正確度、少なくとも85%の正確度、少なくとも90%の正確度、少なくとも92%の正確度、少なくとも95%の正確度、少なくとも96%の正確度、少なくとも97%の正確度、少なくとも98%の正確度、少なくとも99%の正確度、または100%の正確度で関連付ける。一部の実施形態では、方法は、タンパク質プロファイルを生物学的状態に、少なくとも70%の感度、少なくとも75%の感度、少なくとも80%の感度、少なくとも85%の感度、少なくとも90%の感度、少なくとも92%の感度、少なくとも95%の感度、少なくとも96%の感度、少なくとも97%の感度、少なくとも98%の感度、少なくとも99%の感度、または100%の感度で関連付ける。
【0045】
一部の実施形態では、方法は、タンパク質プロファイルを生物学的状態に、少なくとも70%の特異度、少なくとも75%の特異度、少なくとも80%の特異度、少なくとも85%の特異度、少なくとも90%の特異度、少なくとも92%の特異度、少なくとも95%の特異度、少なくとも96%の特異度、少なくとも97%の特異度、少なくとも98%の特異度、少なくとも99%の特異度、または100%の特異度で関連付ける。一部の実施形態では、方法は、少なくとも100のユニークタンパク質、少なくとも200のユニークタンパク質、少なくとも300のユニークタンパク質、少なくとも400のユニークタンパク質、少なくとも500のユニークタンパク質、少なくとも600のユニークタンパク質、少なくとも700のユニークタンパク質、少なくとも800のユニークタンパク質、少なくとも900のユニークタンパク質、少なくとも1000のユニークタンパク質、少なくとも1100のユニークタンパク質、少なくとも1200のユニークタンパク質、少なくとも1300のユニークタンパク質、少なくとも1400のユニークタンパク質、少なくとも1500のユニークタンパク質、少なくとも1600のユニークタンパク質、少なくとも1700のユニークタンパク質、少なくとも1800のユニークタンパク質、少なくとも1900のユニークタンパク質、または少なくとも2000のユニークタンパク質を同定する。一部の実施形態では、複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型は、酸化鉄ナノ粒子を含む。さらなる実施形態では、試料は、体液である。なおさらなる実施形態では、体液は、血漿、血清、CSF、尿、涙または唾液を含む。
【0046】
様々な実施形態では、本開示は、タンパク質コロナ解析のためのパネルを選択する方法であって、少なくとも3つの異なる物理化学的特性を有する複数の粒子型を選択するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、異なる物理化学的特性は、表面電荷、表面化学構造、サイズ、および形態からなる群から選択される。さらなる実施形態では、異なる物理化学的特性は、表面電荷を含む。
【0047】
様々な実施形態では、本開示は、粒子のパネルを含む組成物であって、パネルが、複数の粒子型を含み、複数の粒子型が、少なくとも3つの異なる物理化学的特性を有する、組成物を提供する。一部の実施形態では、異なる物理化学的特性は、表面電荷、表面化学構造、サイズ、および形態からなる群から選択される。さらなる実施形態では、異なる物理化学的特性は、表面電荷を含む。
【0048】
様々な実施形態では、本開示は、上記パネルのうちのいずれか1つを含むシステムを提供する。
【0049】
様々な実施形態では、本開示は、パネルを含むシステムであって、パネルが複数の粒子型を含む、システムを提供する。一部の実施形態では、複数の粒子型は、少なくとも3つの異なる物理化学的特性を有する。一部の実施形態では、パネルは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、または少なくとも12の異なる粒子型を含む。一部の実施形態では、複数の粒子型は、複数のタンパク質コロナを形成するために試料から複数のタンパク質を吸着できる。一部の実施形態では、複数のタンパク質コロナは、タンパク質プロファイルを判定するために消化される。一部の実施形態では、タンパク質プロファイルは、訓練された分類器を使用して生物学的状態と関連付けられる。
【0050】
一部の態様では、試料は、生体試料である。さらなる態様では、生体試料は、血漿、血清、CSF、尿、涙、細胞溶解物、組織溶解物、細胞ホモジネート、組織ホモジネート、乳頭吸引液、糞便試料、滑液および全血、または唾液である。一部の態様では、試料は、非生体試料である。さらなる態様では、非生体試料は、水、乳、溶媒またはホモジネート試料である。
参照による組み込み
【0051】
本明細書で言及される全ての公表文献、特許および特許出願は、個々の公表文献、特許または特許出願各々が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
本発明の新規特徴は、添付の特許請求の範囲において具体的に示される。本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許または特許出願文献のコピーは、請求して必要料金を支払うと、米国特許商標庁によって提供されるであろう。本発明の原理が利用される例示的実施形態を示す後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、磁性粒子(MP)の表面化学構造の例を示す。一部の場合には、磁性粒子は、磁性コアナノ粒子(MNP)であり得る。
【0054】
【
図2】
図2Aは、粒子上タンパク質コロナの形成を示す。タンパク質コロナのプロファイルは、タンパク質-粒子、タンパク質-タンパク質、およびタンパク質濃度因子に依存する。
図2Bは、3つの異なる粒子上タンパク質コロナの形成を示す。一部の場合には、粒子は、ナノ粒子であり得る。これらの粒子の特性が、異なるタンパク質コロナプロファイルを生じさせる結果となる。
【0055】
【
図3】
図3は、粒子型のいくつかの例、および粒子表面を官能化することができるいくつかの方法のいくつかの例を示す。一部の場合には、粒子は、ナノ粒子であり得る。
【0056】
【
図4】
図4は、残存溶液からの超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)の調製を示す。左側の写真に示されているように、SPIONは、バイアルの側面に磁石を当てる前または当てると同時に溶液に分散され、ガラスバイアル内の暗色の不透明溶液のように見える。バイアルの側面に磁石を当てて30秒以内に、右側の写真において磁石の隣の暗色粒子の蓄積および溶液透明性の増大により例証されるように、SPIONが溶液から分離する。右の画像に示されている分離した溶液を振盪すると、粒子は5秒以内に左側の画像に示されている分散状態に戻る。SPIONは、応答が速い。
【0057】
【
図5】
図5は、プロテオームデータを生成するプロセスについてのおよびパネル選択のためのプロセスについての例を提供する。
【0058】
【
図6】
図6は、粒子の異なる特質についてのおよび粒子を特徴付ける方法についてのいくつかの例を示す。
【0059】
【
図7】
図7は、動的光散乱により特徴付けられた、ナノ粒子のサイズ分布の例である。
図7は、2つの粒子型:両方とも酸化鉄コアを有するSP-002(フェノール-ホルムアルデヒドコーティングが施されている粒子)およびSP-010(カルボキシレート、PAAコーティングが施されている粒子)、の動的光散乱オーバーレイを示す。動的光散乱を使用して、マイクロ粒子を含む、より大きいサイズの粒子のサイズ分布も測定することができる。
【0060】
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、コロナ形成前の、異なる官能化を有するナノ粒子の特徴付けを示す。
図8Aは、SP-002(フェノール-ホルムアルデヒドコーティングが施されている粒子)の透過型電子顕微鏡観察(TEM)を示す。
図8Bは、SP-339(ポリスチレンカルボキシル粒子)のTEMを示す。TEMを使用して、マイクロ粒子を含む、より大きいサイズの粒子を特徴付けることもできる。
【0061】
【
図9】
図9は、SP-333(カルボキシレート)、SP-339(ポリスチレンカルボキシレート)、SP-356(シリカアミノ)、SP-374(シリカシラノール)、HX-20(SP-003)(シリカコーティングが施されている)、HX-42(SP-006)(シリカコーティングが施されている、アミン)、およびHX-74(SP-007)(PDMPAPMAコーティングが施されている(ジメチルアミン))を含む、様々なナノ粒子からのFe 2p/3スペクトルを示す。スペクトルは、粒子表面の化学的指紋を提供する(表面の様々な元素の%を測定する)、XPS(X線光電子分光分析)から得た。XPSを使用して、マイクロ粒子を含む、より大きいサイズの粒子のスペクトルを測定することもできる。
【0062】
【
図10】
図10は、プロテオーム解析のための本開示のプロセスの例を示す。示されているプロセスは、数時間以内に複数の試料にわたって同時に実行することができる、ハイスループットおよび自動化のために最適化されている。プロセスは、粒子-マトリックス会合、粒子洗浄(×3)、タンパク質コロナの形成、インプレートでの消化、および質量分析を含む。このプロセスを使用すると、96試料の1バッチ当たり4~6時間しかかからない可能性がある。典型的には、一度に1つの粒子型が試料とともにインキュベートされる。
【0063】
【
図11】
図11は、1粒子型~12粒子型の範囲のパネルサイズについてのタンパク質計数値(コロナ解析から同定されたタンパク質の数)を示す。パネル内の各粒子は、基礎材料、表面官能化、および/または物理的特性(例えば、サイズまたは形状)が特有であり得る。健常対象のプールを代表する単一のプール血漿を使用した。計数値は、約2時間の質量分析(MS)実行で12粒子型のパネルにわたって観察されたユニークタンパク質の数である。12粒子型のパネルサイズを用いて1318タンパク質が同定された。本明細書で使用される場合、質量分析により同定される「特徴」は、滞留時間とm/z(質量対電荷比)の特異的組合せでのシグナルを含み、各特徴は、関連付けられた強度を有する。一部の特徴は、同定のために第2の質量分析による解析(MS2)でさらに断片化される。
【0064】
【
図12】
図12は、複数日にわたっての血漿中でのインキュベーション後の複数の粒子型のゲル電気泳動分析を表す。個々のアッセイ各々は、典型的には約1時間実行したが、アッセイ精度を実証するために3つの異なる日に異なるオペレーターが三重反復測定を行った。左から右へ、ゲルは、ラダー、SP-339(ポリスチレンカルボキシル)の連続する3列、SP-374(シリカシラノール)の連続する3列、DNAラダー、およびHX56(SP-007)(シリカアミノ)の連続する3列を示す。
【0065】
【
図13】
図13は、1つの粒子型(SP-339、ポリスチレンカルボキシル)の3回の別々のアッセイにわたってのタンパク質同定についての質量分析による解析を示す。3回の別々のアッセイにわたって、180のタンパク質が一般に同定された。
【0066】
【
図14A】
図14Aおよび
図14Bは、対照と比較してスパイクタンパク質に対する濃度応答を示す。スパイクは、濃度に伴って変化する。内在性タンパク質対照は、濃度に伴って変化しなかった。
図14Aは、CRPのスパイク回収率実験からのデータを示す。タンパク質を次の4レベルでスパイクした:2倍、5倍、10倍および100倍。HX-42(SP-006)(左側)およびHX-97(右側、SP-007と同じ)を使用した。
図14Bは、スパイクおよび対照についての応答の傾きを示す。回帰モデルからの傾きは、MS~酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)データとフィットした。
【
図14B】
図14Aおよび
図14Bは、対照と比較してスパイクタンパク質に対する濃度応答を示す。スパイクは、濃度に伴って変化する。内在性タンパク質対照は、濃度に伴って変化しなかった。
図14Aは、CRPのスパイク回収率実験からのデータを示す。タンパク質を次の4レベルでスパイクした:2倍、5倍、10倍および100倍。HX-42(SP-006)(左側)およびHX-97(右側、SP-007と同じ)を使用した。
図14Bは、スパイクおよび対照についての応答の傾きを示す。回帰モデルからの傾きは、MS~酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)データとフィットした。
【0067】
【
図15】
図15は、パネル選択のために粒子型を評価するための比較研究を示す。56の血漿試料を罹患対象28名および対照対象28名から得た。罹患対象は、確定されたステージIV非小細胞肺癌(NSCLC)、併存疾患、および処置、例えば、糖尿病、心血管疾患、高血圧などを有した。対照対象は、偏りを低減させるために罹患対象と年齢および性別をマッチさせた。この研究は、大きな差がある群間の粒子型を評価するために行ったものであり、年齢および性別がマッチしていることを示す。
図16Aに示されている通りの7つの粒子をこの研究に使用した。
【0068】
【
図16A】
図16Aは、SP-339、HX74(SP-007)、SP-356、SP-333、HX20(SP-003)、SP-364およびHX42(SP-006)を含む7粒子型のパネルを使用する試料(罹患者28名対対照28名)の比較を示す。14,481のフィルター処理されたMS特徴を比較し、120(0.8%)が異なっていた。
【
図16B】
図16Bは、
図16AのSP-339からの上位のヒットを示す。検出された差は、コロナによって試料型間を鑑別することができ、最終的には疾患対健常を定義するための分類器を構築することができることを確証する。
【0069】
【
図17】
図17Aは、健常およびがん患者からの試料の採取、試料からの血漿の単離、タンパク質コロナを形成するためのコーティングが施されていないリポソームとのインキュベーション、および選択血漿タンパク質の濃縮を含む、本願のプロセスの概略図を示す。別個の粒子型を有する粒子型パネルを使用して試料中のタンパク質をアッセイして、別個の粒子型上に形成された別個の生体分子コロナにおけるタンパク質を濃縮した。タンパク質コロナ形成は、粒子の物理化学的特性に対して特異的であった。
図17Bは、3粒子型パネルについての本開示の実施形態、プロテオグラフ、でのコロナ解析を示す。血漿を対象45名(神経膠芽腫、肺がん、髄膜腫、骨髄腫および膵臓がんを含む5種のがんの各々から8名、および健常対照5名)から採取した。コロナ解析の出力、プロテオグラフを、3粒子型パネル内の各粒子について作成した。ランダムフォレストモデルを1000ラウンドの交差検証各々において構築した。これにより、ロバストなコロナ解析シグナルの強力な証拠を得た。最初の予備解析は、3粒子の組合せから検出されたタンパク質に関する主成分分析(PCA)によって行った。
【0070】
【
図18】
図18Aおよび
図18Bは、早期がんを症状発症の8年前までに分離することができることを示す。ゴレスタンコホートは、2004年~2008年の間に健常対象50,000名を登録した。
図18Aに示されているように、登録からの保存血漿を試験した。登録の8年後、患者おおよそ1000名が、がんを発症した。
図18Bは、
図18Aからの保存血漿の分類を示す。登録日からの保存血漿のコロナ解析は、検査した対象15名(3種のがん各々について患者5名)のうちの15名についてがんを正確に分類した。
【0071】
【
図19】
図19は、プロテオグラフでの3粒子コロナ解析を使用する95%の全体正確度での5種のがんのロバストな分類を示す。データは、粒子型多様性を加えることが性能を向上させることを示す。表面の負、中性および正の正味電荷(pH7.4)を有する3つの異なるリポソームを使用した。
【0072】
【
図20】
図20は、粒子バイオセンサー生産のスケーリングの例を示す。このプラットフォームを複数のアッセイおよび試料にわたって使用することができる。
【0073】
【
図21】
図21は、本開示の粒子型の例を示す。粒子型は、ナノ粒子(NP)およびマイクロ粒子を含み得る。
【0074】
【
図22A】
図22A~Bは、粒子タンパク質コロナの形成(
図22A)、および血漿プロテオーム解析のための多粒子型タンパク質コロナ手法および質量分析に基づく本開示の実施形態、プロテオグラフプラットフォームワークフロー(
図22B)の、概略図を示す。
図22Aは、粒子表面での異なるタンパク質コロナ組成物の形成につながる少なくとも1つの物理化学的特性が互いに異なる、3つの別個の粒子型(図の中央に描かれており、上、中間および下の球は、3つの別個の粒子型を表す)を示す。
図22Bは、(1)粒子-血漿インキュベーションおよびタンパク質コロナ形成、(2)磁石による粒子タンパク質コロナ精製、(3)コロナタンパク質の消化、および(4)質量分析による解析を含む、プロテオグラフを用いるコロナ解析ワークフローを示す。
【
図22B】
図22A~Bは、粒子タンパク質コロナの形成(
図22A)、および血漿プロテオーム解析のための多粒子型タンパク質コロナ手法および質量分析に基づく本開示の実施形態、プロテオグラフプラットフォームワークフロー(
図22B)の、概略図を示す。
図22Aは、粒子表面での異なるタンパク質コロナ組成物の形成につながる少なくとも1つの物理化学的特性が互いに異なる、3つの別個の粒子型(図の中央に描かれており、上、中間および下の球は、3つの別個の粒子型を表す)を示す。
図22Bは、(1)粒子-血漿インキュベーションおよびタンパク質コロナ形成、(2)磁石による粒子タンパク質コロナ精製、(3)コロナタンパク質の消化、および(4)質量分析による解析を含む、プロテオグラフを用いるコロナ解析ワークフローを示す。
【0075】
【
図23】
図23は、上から下へ、シリカコーティングが施されているSPION(SP-003)、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングが施されているSPION(SP-007)、およびポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングが施されているSPION(SP-011)である、最も左側の第1の列に示されている3つの超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)についての、以下の方法:走査型電子顕微鏡法(SEM、画像の第2の列)、動的光散乱(DLS、画像の第3の列)、透過型電子顕微鏡法(TEM、画像の第4の列)、高分解能透過型電子顕微鏡法(HRTEM、第5の列)、およびX線光電子分光分析(XPS、第6の列)による特徴付けを、それぞれ示す。DLSは、各粒子型の3回の反復実験を示す。HRTEM写真は、個々のSP-003、SP-007およびSP-011粒子型の表面でそれぞれ記録したものであり、矢印は、粒子表面の非晶質SiO
2(上のHRTEM画像)コーティングおよび非晶質SiO
2/ポリマーコーティング(中間および下のHRTEM画像)の領域を指している。
【0076】
【
図24】
図24は、Keshishian et al.(Mol Cell Proteomics. 2015 Sep;14(9):2375-93. doi: 10.1074/mcp.M114.046813. Epub 2015 Feb 27.)からのコンパイル済みデータベース(一番上のパネル)との比較により、SP-003、SP-007およびSP-011粒子に対して生血漿で観察されたタンパク質についてのダイナミックレンジを示す。
【0077】
【
図25】
図25は、血漿タンパク質に対する粒子コロナタンパク質の最大強度と同じタンパク質の既報の濃度との相関関係を示す。
【0078】
【
図26】
図26は、同じ血漿試料を使用して3回の反復実験により実証された、各粒子型(SP-003、SP-007およびSP-011)についての粒子コロナ強度の再現性を示す。
【0079】
【
図27】
図27は、SP-007粒子を使用する非小細胞肺がん(NSCLC)パイロット研究において変化した特徴を示す。7つのMS特徴は、ステージIV NSCLC(関連併存疾患および処置効果を伴う)を有する対象28名と年齢および性別をマッチさせた見かけ上健常な対象28名との間で、統計的に有意な差があると同定された。下の表は、5つの公知タンパク質および2つの未知タンパク質を含む、有意な差があった7つのタンパク質のリストである。特徴に関連するMS2データにペプチド-スペクトルがマッチした場合、そのペプチド配列(および変化)および可能性のある親タンパク質が示されており、MS2マッチが特徴に関連しなかった場合、ペプチドとタンパク質の両方は、「未知」と記されている。
【0080】
【
図28】
図28Aは、SPIONコアの合成についての概略図を示す。
図28Bは、シリカコーティングが施されているSPION(SP-003)の合成についての概略図を示す。
図28Cは、ビニル基官能化SPIONの合成についての概略図を示す。
図28Dは、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングが施されているSPION(SP-007)の合成についての概略図を示す。
図28Eは、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングが施されているSPION(SP-011)の合成についての概略図を示す。
【0081】
【
図29】
図29は、56試料NSCLC比較研究についての、存在についてフィルター処理され、クラスターの質についてフィルター処理された、中央値正規化MS特徴強度の分布を示す。各々の線は、罹患試料または対照試料のいずれかについてのlog
2特徴強度の密度を表す。0.00~0.15の密度がy軸上にプロットされ、15~35のlog
2特徴強度がx軸上にプロットされている。密度が約0.13~約0.17の範囲である約28のlog
2特徴強度の付近に位置する最高ピークにおいて、2つの最高トレースは、対照試料に対応するが、最低トレースは、罹患試料に対応する。残りの対照および罹患トレースは、最高トレースと最低トレースの間に分布している。約20のlog
2特徴強度および約23のlog
2特徴強度に存在する2つのショルダーピークにおいて、20のlog
2特徴強度では、最も高い2つのトレースが対照トレースであり、最も低い2つのトレースが対照トレースであり、23のlog
2特徴強度では、最高トレースが罹患トレースである。
【0082】
【
図30】
図30は、4つの異なるペプチドのスパイク回収率実験におけるSP-007ナノ粒子に関するC反応性タンパク質(CRP)についての測定の正確度を示す。
【0083】
【
図31】
図31は、スパイク回収率実験におけるアンジオゲニンのペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0084】
【
図32-1】
図32は、スパイク回収率実験におけるS10A8のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【
図32-2】
図32は、スパイク回収率実験におけるS10A8のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0085】
【
図33-1】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0086】
【
図33-2】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0087】
【
図33-3】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0088】
【
図33-4】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0089】
【
図33-5】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0090】
【
図33-6】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0091】
【
図33-7】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0092】
【
図33-8】
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0093】
【
図34】
図34は、スパイク回収率実験におけるC反応性タンパク質(CRP)のペプチド特徴の測定の正確度を示す。
【0094】
【
図35-1】
図35は、スパイク回収率実験におけるタンパク質特徴の測定の正確度を示す。
【
図35-2】
図35は、スパイク回収率実験におけるタンパク質特徴の測定の正確度を示す。
【0095】
【
図36】
図36は、MS強度の5,304血漿タンパク質データベースに対する10の別個の粒子型の粒子パネルのマッチングおよびカバレッジを示す。データベースタンパク質のランク付けされた強度が一番上のパネル(「データベース」)に示されており、単純血漿MS評価からのタンパク質の強度が、2番目のパネル(「血漿」)に示されており、最適な10粒子型パネルの強度が残りのパネルに示されている。血漿タンパク質強度データベースは、Keshishian et al. (2015). Multiplexed, Quantitative Workflow for Sensitive Biomarker Discovery in Plasma Yields Novel Candidates for Early Myocardial Injury. Molecular & Cellular Proteomics, 14(9), 2375-2393からのものである。
【0096】
【
図37】
図37は、本明細書で開示されるパネルに含まれ得る様々な粒子型を示す。
図37Aは、中空磁性粒子の概略図を示す。
図37Bは、疎水性ポケットを有する粒子の概略図を示す。
図37Cは、卵殻-卵黄型SPIONマイクロゲルハイブリッド粒子の概略図を示す。
【0097】
【
図38】
図38は、Mol. Cells 2019, 42(5), 386-396出典の、タンパク質および/またはペプチドを捕捉するために操作された粒子表面の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
単純かつハイスループット様式で試料中のペプチドおよびタンパク質をアッセイするための組成物およびそれらの使用方法が、本明細書で開示される。本開示は、別個の粒子型の表面に形成される別個の生体分子コロナ上に試料からのタンパク質を濃縮する、複数の別個の粒子型の粒子パネルを提供する。本明細書で開示される粒子パネルをコロナ解析の方法で使用して、数時間で広いダイナミックレンジにわたって何千ものタンパク質を検出することができる。
【0099】
現在のところ、臨床診断に現在使用されているタンパク質ベースのバイオマーカーは小数であり、マーカーの拡大のために血漿プロテオームを分析する甚大な努力にもかかわらず、比較的少数の新しい候補しか臨床的に有用な検査薬として受け入れられていない。血漿プロテオームは、>10,000のタンパク質を含有し、10桁を超える桁数(mg/mL~pg/mL)にわたる濃度範囲を有する桁違いに多いタンパク質アイソフォームを含有する可能性がある。これらの特質が、タンパク質解析作業のための従来の分子ツール(例えば、コピー機構または増幅機構)の欠如と相俟って、血漿プロテオームの包括的研究を非常に困難にしている。生体試料中のタンパク質の広いダイナミックレンジを克服するための手法は、いまだに、何千ものユニークタンパク質およびさらにいっそう多くのタンパク質バリアントのバックグラウンドに対するロバストな同定および定量のためのものである。しかし、評価および再現についての確固たる見込みのある適切なサイズの研究を可能にするために、十分なスループットを有しかつ現実的なコストプロファイルを有する形式で、全血漿濃度範囲にわたってタンパク質を同時に測定できる技術は存在しない。これらの課題は、疾患のタンパク質ベースのバイオマーカーの発見を制限するばかりでなく、ゲノムバリアントのプロテオゲノミクスおよびタンパク質アノテーションのより迅速な採用の妨げにもなっている。改善されたデータ解析の開発とともに質量分析(MS)手法の進歩は、深く広いプロテオーム解析のためのツールをもたらしている。高存在量のタンパク質の枯渇、血漿分画、ペプチド分画およびラベル化定量などの、低存在量タンパク質の検出を実質的に改善するためのいくつかの努力がなされている。しかし、現行の手法は、極めて複雑であり、時間がかかり(数日~数週間)、したがって、タンパク質カバレッジの深度と試料スループットとのトレードオフを必要とする。その結果として、プロテオームに関する利用可能な多くの情報の包括的かつ迅速な解析のための単純かつロバストな戦略は、依然として満たされていない要求である。
【0100】
加えて、疾患が診断されるのが早期であるほど、疾患を治癒してまたは疾患の管理に成功して患者のより良好な予後をもたらすことができる可能性が高い。疾患が早期に処置されると、疾患からの問題を防止するまたは遅らせることができる可能性があり、患者の寿命延長および/または生活の質を含む、患者の転帰を改善する可能性がある。多くの種類のがんをそれらの早期にはうまく処置することができるので、がんの早期診断は、極めて重要である。例えば、乳がん、卵巣がんおよび肺がんの早期診断および処置後の5年生存率は、最も進行した疾患ステージで診断された患者についての15%、5%および10%と比較して、それぞれ、90%、90%および70%である。がん細胞がそれらの原発組織を離れると、利用可能な確立された治療法を使用する処置の成功は、極めて可能性が低くなる。がんの徴候の警告を認識し、迅速な対応策を講じることは、早期診断につながり得るが、がんの大部分(例えば、肺)は、がん細胞が既に周囲組織に浸潤して体中に転移してしまった後にしか症状を示さない。例えば、乳がん、肺がん、結腸がんおよび卵巣がんを有する患者の60%より多くが、彼らのがんが検出されるときには不顕性のまたはさらには転移性のコロニーを有する。したがって、がんの早期検出のための有効な手法を至急開発する必要がある。そのような手法は、様々なステージのがんを同定するための感度、および試験を受ける人物にがんがない場合には陰性結果を与える特異度を有するべきである。がんの早期検出のための方法を開発するための甚大な努力があり、膨大な数のリスク因子およびバイオマーカーが導入されてきたが、広範ながんの早期検出のための広い関連性のあるプラットフォームは、依然として捉えどころがない。様々な種類のがんは、血漿の組成を-それらの早期であっても-変化させ得るので、早期検出のための1つの有望な手法は、バイオマーカーの分子的血液解析である。この戦略は、少数のがんについて既に研究されている(例えば、前立腺がんのためのPSA)が、大多数のがんの早期検出のための特異的バイオマーカーはまだ存在しない。そのようながん(例えば、肺)については、定義された循環バイオマーカー候補のいずれも臨床的に確証されておらず、非常に少数が後期臨床開発に達している。したがって、非常に早期にがんはもちろん他の疾患も検出する我々の能力を向上させるための新規手法が、至急必要とされている。
【0101】
特定の疾患に関連するタンパク質を非常に早期に検出するために使用することができる、試料中のタンパク質を検出するためのハイスループット、単純アッセイの必要を満たすために、本開示は、単純、迅速かつハイスループット様式で、試料(例えば、複雑な生体試料、例えば血漿)中のペプチドおよびタンパク質についてアッセイするために粒子パネルおよび前記粒子パネルを使用する方法を提供する。詳細には、本開示は、別個の粒子型の表面に形成される別個の生体分子コロナ上に試料からのタンパク質を濃縮する、複数の別個の粒子型の粒子パネルを提供する。本明細書で開示される粒子パネルに含まれる粒子型は、偏りのない方式で広いダイナミックレンジにわたっての多数のタンパク質の濃縮に特によく適している。本開示の粒子パネルへの包含に選択される粒子型の組合せは、それらの物理化学的特性(例えば、サイズ、表面電荷、コア材料、シェル材料、表面化学構造、多孔度、形態、および他の特性)が様々である。しかし、粒子型は、前記物理化学的特性のいくつかを共有することもある。例えば、本明細書で開示される粒子パネルは、第1の粒子型および第2の粒子型を含むことができ、第1の粒子型および第2の粒子型は、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の粒子型および第2の粒子型は異なる。重要なこととして、粒子パネルの第1の粒子型と第2の粒子型の間の少なくとも1つの物理化学的特性の変化は、対応する別個の粒子型上に形成する別個のコロナの形成につながり得る。したがって、本明細書で開示される方法で使用するための粒子パネルへの包含のための粒子型の選択は、試料(例えば、血漿)において広いダイナミックレンジにわたって濃縮され得る多数のタンパク質を可能にする。
【0102】
本開示の粒子パネルは、磁気特性を有する粒子型を含むことができ、この磁気特性によって複雑な生体試料においてインキュベーション後にそれらを容易に分離することが可能になる。例えば、本開示は、ユニークな磁気特性を有し、磁気共鳴画像法(MRI)で生体分子と薬物送達剤と造影剤とを迅速に分離することができる、超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)を提供する。超常磁性粒子は、酸化鉄のみのコア(例えば、酸化鉄コア)を有することもあり、ポリスチレンコアに埋め込まれた小さい酸化鉄結晶を有することもある。
【0103】
本開示は、SPIONの合成のために開発された方法を提供する。一例では、非極性溶媒中のオレイン酸鉄の熱分解を使用して、高結晶性を有する小サイズ(通常は<30nm)の単分散磁性ナノ粒子を合成することができる。これらのナノ粒子は、疎水性であり、配位子交換または化学修飾によって水相に移す必要がある。この方法を使用して生成されたSPIONは、生物医学的使用の要件を満たすことができる。ソルボサーマル法は、エチレングリコールでの塩化鉄(III)の還元によりSPIONを合成するための別の方法である。クエン酸塩、ポリアクリル酸(PAA)およびポリビニルピロリドン(PVP)などの親水性配位子を使用する改良型ソルボサーマル法により、高水分散性SPMNPを合成することができる。粒子表面を、ストーバー法によって官能基を有する異なるシランでさらに修飾することができる。ポリマー複合粒子においてSPMNP@polymer複合粒子を形成するための、界面活性剤の非存在下でのシード乳化重合による簡便法によって、表面官能基を獲得することもできる。
【0104】
本開示は、大規模、ハイスループット、効率的かつ対費用効果の高いプロテオームプロファイリングおよび機械学習のための組成物、システム、およびそれらの使用方法を提供する。別個の粒子型を有する粒子パネルを使用して別個の粒子型上に形成される別個の生体分子コロナにおけるタンパク質を濃縮して試料中のタンパク質をアッセイするための、スケーラブルな並行タンパク質同定および定量技術が、本明細書で開示される。本明細書で使用される場合の「生体分子コロナ」は、用語「タンパク質コロナ」を同義的に使用/言及されることがあり、粒子を試料(例えば、血漿)と接触させた後の粒子の表面でのタンパク質の層の形成を指す。この方法は、同義的に、コロナ解析と、または一部の例では、多粒子型タンパク質コロナ戦略と質量分析(MS)を併用する「プロテオグラフ」解析(
図22に示されている)と、呼ばれることもある。本明細書で開示される粒子パネルに含まれる粒子型は、超常磁性であり、したがって、試料中の粒子のインキュベーション後に試料中の未結合タンパク質(コロナを形成するように粒子の表面に吸着されていないタンパク質)から迅速に分離または単離される。
【0105】
現況では、粒子は、データを交絡させ、再現性および正確度を欠く、タンパク質コロナ中のタンパク質の処理に関するステップ(例えば、コロナタンパク質を遊離血漿タンパク質から分離するための遠心分離または膜による濾過、ならびに緩く結合しているタンパク質を粒子から除去するための洗浄)に起因して、ハイスループット翻訳プロテオーム解析のための特徴付けが不十分である。本明細書で開示されるコロナ解析(例えば「プロテオグラフ」)法は、重複しているが別個の粒子型タンパク質コロナを、大規模な効率的プロテオームプロファイリングおよび機械学習における潜在的使用のために、例えば液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)と統合することができる。この粒子型プラットフォームは、不偏であり得(例えば、所定の分析物に限定されない)、MSデータ収集プラットフォームは、分析物測定の点で不偏であり得、これらの両方が、自動化に適している可能性がある。タンパク質コロナと呼ばれる、血漿との粒子の接触時の粒子の表面でのタンパク質の層の形成(
図22A)が、タンパク質を同定するための方法として本明細書で開示される。コロナタンパク質の組成および量は、粒子型の物理化学的特性に依存し得、これらの操作された特性の変化によって、コロナ中の同一性および/または量の点で異なるタンパク質を再現性よく得ることができる。
【0106】
一部の実施形態では、本明細書で開示される粒子は、超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPIONS)であり得る。SPIONは、別個の表面化学構造を有するように合成されている点で互いに明確に異なり得る。一部の実施形態では、異なる表面化学構造のSPIONを、それらのタンパク質コロナ上に形成されるタンパク質の解析において併用することができる。SPION、他の粒子型、またはこれらの組合せを併用して、試料のプロテオーム解析に使用され得る粒子型のパネルにすることができる。
【0107】
一部の実施形態では、タンパク質コロナの形成のために合成され、使用される、別個の表面化学を有する3粒子型のパネルであって、未結合タンパク質から磁石により迅速に分離することができるパネルが、本明細書で開示される。各粒子型は、高存在量タンパク質と低存在量タンパク質の両方の捕捉により、ユニークタンパク質コロナパターンを再現性よく生成することができる。例えば、少なくとも3つの粒子型から生成される別個のプロテオームプロファイルを統合することにより、単一のプール大腸がん(CRC)血漿試料の1,500より多くのタンパク質を同定することができ、これらのうちの多くが、FDAの認可/承認を受けたバイオマーカーであり得る。例えば、一部の実施形態では、3つの粒子型のスクリーニングは、1,500を超えるタンパク質を検出することができ、これらのうちの65は、FDAの認可/承認を受けたバイオマーカーである。
【0108】
一部の実施形態では、プロテオグラフを用いるコロナ解析フローワーク(
図22B)は、MSによる解析のための96コロナ試料のバッチを調製するために約4~6時間かかり得る。CRCプールにおけるタンパク質の同定は、各々約1時間の実行で、したがって、合計約3時間のMS時間で解析される、わずか3回の全MS分画を使用して行うことができる。
【0109】
一部の実施形態では、粒子型コロナ戦略を使用するための本明細書で開示される組成物、システムおよび方法を使用しない500未満のタンパク質とは対照的に、3つの別個の粒子型を使用して、試料調製およびLC-MSを含めて8時間以内に単一プール血漿から1,500より多くのタンパク質を同定することができる。
【0110】
このコロナ解析技術を使用して疾患を同定することができる。例えば、本明細書で開示される粒子およびそれらの使用方法を使用して、非小細胞肺がん(NSCLC)を有する患者ならびに年齢および性別をマッチさせた健常対象からの血清試料を分析することができる。NSCLC試料と対照試料を区別することができる公知および新規特徴を含むMS特徴を、このプラットフォームを使用して発見することができる。したがって、コロナ解析プラットフォーム技術によって、より大きい、よりロバストな検証および反復研究ができる。さらに、ハイスループットで偏りのないプロテオーム試料抽出のためのコロナ解析のユニークな特性は、ゲノムデータのアノテーションおよび機械学習分類法の応用を可能にし得る。本明細書に記載の多粒子型タンパク質コロナベースのプラットフォーム技術は、バイオマーカー発見および検証のためのより大型の研究を可能にする、効率的かつ包括的なプロテオームプロファイリングを助長することができる。
【0111】
一部の実施形態では、本明細書で開示される組成物およびそれらの使用方法は、血漿試料への漸増濃度の参照、C反応性タンパク質(CRP)の添加、およびスパイクされた血漿に対して粒子コロナ中のCRPレベルについて0.9(95%CI 0.81~0.98)の傾きを示す、タンパク質コロナ中のCRPレベルのその後の検出によって実証されるように、高いアッセイ正確度を示す。一部の実施形態では、アッセイ反復におけるプラットフォームの精度中央値は、3つの別個の粒子型タンパク質コロナから得られた8,738の実測MS特徴にわたって約24CV%であり得る。
【0112】
別個の表面化学構造を有するSPIONを、単一のプール血漿試料のタンパク質コロナ解析に応用することができる。例えば、本開示に記載の通り、結果として得られるプロテオームデータは、粒子パネル内の粒子型の数を増加させると、より多くのタンパク質(特に、低存在量タンパク質)が同定される結果となり得ることを実証する。より多くの別個の粒子型を加えることによって、よりいっそう広く深いプロテオームプロファイリングを得ることができる。本明細書で開示される粒子の組成物、および前記異なる粒子型を含む粒子型のパネルを、パネル内の粒子の数および型を変化させることによって異なるレベルの深度および幅-遺伝子シークエンシングにおける異なるレベルのカバレッジに類似している-で、プロテオームをプロファイリングするように調整することができる。
【0113】
本明細書で開示される多粒子型タンパク質コロナベースのアッセイは、血漿プロテオーム解析のためのいくつかの同等に重要な特徴を示している。時間がかかる枯渇および分画フローワークを通常は伴う従来のプロテオーム技法と比較して、本明細書で開示される組成物および使用方法は、それらの複雑なワークフローを回避することができ、はるかに高速であり得る。注目すべきことに、コロナ解析アッセイは、ロバストに自動化することができ、したがってさらに、例えば96ウェルプレート形式で、試料分析に必要とされる精度を向上させ、時間量を低減させる。コロナ解析プラットフォームは、試料間の差を高感度に測定することができ、その上、それらの比較のダイナミックレンジを低減させ、ひいてはより多くの比較を観察することを可能にする。コロナ解析技術は、タンパク質の所定のセットを標的とせずに新しいバイオマーカーを同定することができる。コロナ解析プラットフォームのスケーラビリティおよび効率を大型プロテオーム研究に使用することができ、これは、疾患および生物学的機序のより深い理解につながり得る。例えば、プロテオームデータをマルチオームデータセットに加えることおよび機械学習解析を行うことにより、新規分類を生成し、一塩基多型(SNP)バリアント、DNAメチル化パターンの変化、およびスプライスバリアントなどの、現在十分に理解されていないコンテクストゲノム疾患情報に入れることができる。加えて、この技術を、プロテオームの迅速で間違いのない正確なプロファイリングのために他の体液、例えば脳脊髄液、細胞溶解物およびさらには組織ホモジネートに拡大することができ、これは、異なる疾患のための新しいバイオマーカーの発見を助長することができる。
【0114】
超常磁性ナノ粒子(SPMNP)または超常磁性粒子酸化鉄粒子(SPION)を作製する方法が、本明細書で開示される。これらの粒子およびそれらの実施形態をタンパク質コロナアッセイにおいて使用することができる。
【0115】
本開示の方法およびシステムは、試料調製およびMSデータ収集を単純化することにより、プロテオーム解析を改善する。方法およびシステムは、約0.25日以内に約5ステップで試料調製を行い、約12画分についてのMSデータを1試料当たり約0.5日以内に収集する。
【0116】
本開示は、試料をタンパク質についてアッセイするための組成物およびそれらの使用方法を提供する。本明細書に記載の組成物は、1つまたは1つより多くの別個の粒子型を含む、粒子パネルを含む。本明細書に記載の粒子パネルは、粒子型の数、および単一パネル内の粒子型の多様性の点で異なり得る。例えば、パネル内の粒子は、サイズ、多分散性、形状および形態、表面電荷、表面化学構造および官能化、ならびに基礎材料によって異なり得る。パネルを試料とともにインキュベートして、タンパク質およびタンパク質濃度について分析することができる。試料中のタンパク質は、粒子パネル内の異なる粒子型の表面に吸着してタンパク質コロナを形成する。粒子パネル内のある特定の粒子型に吸着するまさにそのタンパク質およびタンパク質濃度は、前記粒子型の組成物、サイズおよび表面電荷に依存し得る。したがって、パネル内の各粒子型は、タンパク質の異なるセットへの吸着、特定のタンパク質の異なる濃度、またはこれらの組合せに起因して、異なるタンパク質コロナを有し得る。パネル内の各粒子型は、相互排他的なタンパク質コロナを有することもあり、重複するタンパク質コロナを有することもある。重複するタンパク質コロナは、タンパク質同定が重複していることもあり、タンパク質濃度が重複していることもあり、または両方が重複していることもある。
【0117】
本開示は、試料型に依存してパネルへの包含のための粒子型を選択するための方法も提供する。パネルに含まれる粒子型は、高存在量のタンパク質の除去のために最適化されている粒子の組合せであり得る。パネルへの包含にも整合する粒子型は、目的の特定のタンパク質を吸着するために選択されたものである。粒子は、ナノ粒子であることがある。粒子は、マイクロ粒子であることもある。粒子は、ナノ粒子とマイクロ粒子の組合せであることもある。
【0118】
本開示は、生体試料(例えば、血漿試料)におけるタンパク質の広いカバレッジを示す粒子パネルを選択するための方法を提供する。粒子は、組合せ手法を使用して粒子パネルへの包含に選択される。広範な物理化学的特性を有する粒子が選択され、例えば、粒子は、サイズ、表面電荷、コア材料、シェル材料、表面化学構造、多孔度、形態および他の特性が異なり得る。しかし、粒子はまた、前記物理化学的特性のいくつかを共有することもある。例えば、本明細書で開示される粒子パネルは、第1の粒子型および第2の粒子型を含むことができ、第1の粒子型および第2の粒子型は、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の粒子型および第2の粒子型は異なる。本明細書で開示される粒子パネルは、第1の粒子型および第2の粒子型を含むことができ、第1の粒子型および第2の粒子型は、少なくとも1つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の粒子型および第2の粒子型は異なる。本明細書で開示される粒子パネルは、第1の粒子型および第2の粒子型を含むことができ、第1の粒子型および第2の粒子型は、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、第1の粒子型および第2の粒子型は異なる。物理化学的特性の非限定的な例としては、サイズ、電荷、コア材料、シェル材料、多孔度、または表面疎水性を挙げることができる。重要なこととして、粒子パネルの第1の粒子型と第2の粒子型の間の少なくとも1つの物理化学的特性の変化は、対応する別個の粒子型上に形成する、別個のコロナの形成につながり得る。例えば、電荷が異なる第1の粒子型および第2の粒子型は、各々、異なるタンパク質を吸着することもあり、異なる濃度の同じタンパク質を吸着することもあり、または異なるタンパク質と異なる濃度の同じタンパク質の両方を吸着することもある。それ故、第1の粒子型および第2の粒子型は、別個の生体分子コロナを有することになる。サイズは、この結果をもたらすために異なり得る物理化学的特性の一例である。1つまたは1つより多くの物理化学的特性(例えば、サイズ、電荷、コア材料、シェル材料、多孔度、もしくは表面疎水性、またはこれらの任意の組合せ)が異なって、別個の生体分子コロナを生じさせることができる。パネル用の粒子型の選択のための他の最適化パラメーターは、任意の特定のアノテーションセット、例えば、インタラクトーム、セクレトーム、FDAマーカー、臨床的に意義のある遺伝子多型を有するタンパク質を含み得る。表10および表12で見られるように、これらの粒子の1つより多くはナノ粒子であるが、異なるポリマーコーティングで作製されている。別の例では、表10および表12の1つより多くの粒子は、同様の表面電荷および同様のサイズを共有するが、異なる材料で作製されている。別の例では、表10および表12の1つより多くの粒子は、多孔質表面を示す。別の例では、表10および表12の1つより多くの粒子は、無孔質表面を示す。別の例では、表10および表12の1つより多くの粒子は、カルボキシレートコーティングが施されている表面を示す。別の例では、表10および表12の1つより多くの粒子は、アミンコーティングが施されている表面を示す。粒子パネル内に存在し得る粒子および粒子型の多くの組合せの全てに関して、本明細書で開示される粒子パネルが、試料(例えば、血漿試料)中の多数のタンパク質(例えば、血漿タンパク質)を偏りのない様式で広いダイナミックレンジにわたって同定でき、高い再現性レベル(例えば、分位正規化変動係数<20%)で試料中のタンパク質をアッセイする方法において使用することができたことは、驚くべきことであり、予想外である。
【0119】
本開示は、100を超える異なる表面化学構造および50を超える多様な物理的特性を有する、200を超える別個の粒子型を提供する。詳細には、23を超える粒子型を、試料中のタンパク質をアッセイする方法における使用のために特徴付けた。これらの粒子型の各々を、目的の特定のタンパク質を最適にアッセイするようにまたは目的の疾患のためのバイオマーカーを最適に同定するように設計されるパネル内で、他の粒子型と組み合わせることができる。パネルは、これらの粒子型の任意の数、または粒子型の任意の組合せを含むことができ、本明細書で開示される様々な粒子型は、様々な物理化学的特性を有する広範なタンパク質のアッセイおよび検出を可能にし得る。
【0120】
一部の実施形態では、本開示は、試料中のタンパク質を同定する方法であって、複数の粒子型を含むパネルを試料とともにインキュベートして複数のタンパク質コロナを形成するステップ;複数のタンパク質コロナを消化してプロテオームデータを生成するステップ;およびプロテオームデータを定量することにより試料中のタンパク質を同定するステップを含む方法を提供する。
粒子材料
【0121】
本明細書で開示される粒子パネルは、様々な異なる材料で作製された粒子型を含み得る。パネルを特異的な粒子型で組み立てて、試料中の広範なタンパク質を同定することまたは目的の特定のタンパク質またはタンパク質のセットについて選択的にアッセイすることができる。粒子型は、例えば、ナノ粒子(NP)、マイクロ粒子、磁性粒子(MP)、磁性ナノ粒子(MNP)、常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)、または超常磁性ナノ粒子(SPMNP)を含み得る。本明細書に記載の粒子は、磁性粒子であり得る。本明細書における磁性粒子は、超常磁性粒子(SPMP)、超常磁性ナノ粒子(SPMNP)、超常磁性酸化鉄粒子(SPIOP)、または超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)であり得る。一部の場合には、SPMNPは、SPIONであり得る。磁力は、酸化鉄コアによって付与されることもあり、または粒子にグラフトされた酸化鉄結晶よって付与されることもある。一部の場合には、本発明者らは、本明細書において、磁性粒子であるSPMNPに言及する。SPMNPをSPMPになるように合成することもできる。
【0122】
粒子を様々な材料から作製することができる。例えば、粒子をポリマー、脂質、金属、シリカ、タンパク質、核酸、小分子または大分子で作製することができる。例えば、本開示と整合する粒子材料は、金属、金属酸化物、磁性材料、ポリマーおよび脂質を含む。金属材料の例としては、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニオブ、モリブデン、タングステン、タンタル、鉄およびカドミウム、または米国特許第7749299号に記載されている任意の他の材料の、いずれか1つまたは任意の組合せが挙げられる。金属酸化物粒子は、酸化鉄粒子または酸化チタン粒子であり得る。磁性粒子は、酸化鉄ナノ粒子であり得る。
【0123】
ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、またはポリアミン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリエステル(例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ乳酸、もしくはポリカプロラクトン)、ポリスチレン、または2つもしくはそれより多くのポリマーのコポリマー、例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、PEG)とポリエステル(例えば、PLGA)のコポリマーの、いずれか1つまたは任意の組合せが挙げられる。一部の実施形態では、ポリマーは、末端に脂質を有するポリアルキレングリコール、およびポリエステル、またはその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9549901号において開示されている任意の他の材料である。
【0124】
本開示の粒子を形成するために使用することができる脂質の例としては、カチオン性脂質、アニオン性脂質、および中性電荷を有する脂質が挙げられる。例えば、粒子は、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシドおよびジアシルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-trans PE、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、リン酸ジセチル、およびコレステロール、またはその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9445994号に収載されている任意の他の材料の、いずれか1つまたは任意の組合せで作製され得る。
【0125】
本明細書で開示される粒子パネルは、試料中に存在する特異的サイズのタンパク質の試料採取に特に適している構造を有する特異的粒子型を含み得る。例えば、粒子パネルは、
図37Aに示されているような中空磁性粒子を含み得る。中空磁性粒子は、中空コアを有するナノ粒子であって、ナノ粒子シェルが、より小さい酸化鉄一次結晶で作製される、ナノ粒子を含む。中空磁性粒子は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるCheng, Wei, et al.("One-step synthesis of superparamagnetic monodisperse porous
Fe
3O
4 hollow and core-shell spheres." Journal of Materials Chemistry 20.9 (2010): 1799-1805)に記載されているような、FeCl
3、クエン酸塩、ポリアクリルアミドまたはポリアクリル酸ナトリウム、および尿素の水熱処理に基づくオートクレーブ反応により合成され得る。より小さい酸化鉄一次結晶で作製されたナノ粒子シェルは、多孔質であり、サイズ排除効果によってナノ粒子の表面でのタンパク質コロナの生成を可能にする。結合表面は、主として細孔の内部にあり、したがって、大きいタンパク質が粒子内に拡散して結合するのを防止することができる。一部の場合には、大きいタンパク質は、それでもやはり、外部に結合し、全コロナに含まれることがあるが、これらの中空粒子は、より小さいタンパク質をより大きいものより濃縮することができる。これらの中空磁性粒子は、本明細書に記載の任意の粒子パネルに含まれることがあり、やはり、磁石を使用して未結合タンパク質から容易に分離される。
【0126】
別の例では、粒子パネルは、
図37Bに示されているような、疎水性ポケットを有するナノ粒子を含み得る。疎水性ポケットを有するナノ粒子は、試料中に存在する、特異的溶解度の分子またはタンパク質(例えば、難溶性タンパク質)の試料採取に特に適している。疎水性ポケットを有するナノ粒子は、超常磁性酸化鉄コアの構造を有し、加えてポリマーコーティングを有する。疎水性ポケットを有するナノ粒子は、本明細書の他の箇所で説明されているようなSPIONコア合成のオートクレーブ反応、続いて、ポリ(グリシジルメタクリレート)コーティングを合成するためのフリーラジカル重合を使用して、合成することができる。この後に、ベンジルアミン部分などの疎水性アミンでの表面の合成後修飾が続き得る。疎水性ポケットを有するこれらのナノ粒子は、メタボロミクスのための小分子の捕捉に特によく適している。ナノ粒子の細孔径を、タンパク質を排除するようにモジュレートして、小分子のみが疎水性ポケットと相互作用するものにすることができる。一部の実施形態では、細孔径を合成中に調整することができる。例えば、合成は、粒子を膨潤させて多孔性を生じさせることを含むことがあり、膨潤度は、細孔径に影響を与え得る。別の例として、腐食技術を使用して、より硬い表面を有する粒子型に異なる細孔を作り出すことができる。疎水性ポケットを有するナノ粒子を使用してタンパク質標的の試料採取を行うこともできる。
【0127】
別の例では、粒子パネルは、
図37Cに示されているような、卵殻-卵黄型SPIONマイクロゲルハイブリッドナノ粒子を含み得る。卵殻-卵黄型SPIONマイクロゲルハイブリッドナノ粒子は、SPION外側およびマイクロゲル内側の構造を有する。卵殻-卵黄型SPIONマイクロゲルハイブリッドナノ粒子は、Cheng et al.("One-step synthesis of superparamagnetic monodisperse porous Fe
3O
4 hollow and core-shell spheres." Journal of Materials Chemistry 20.9 (2010): 1799-1805)およびZou et al.("Facile synthesis of highly water-dispersible and monodispersed Fe 3 O 4 hollow microspheres and their application in water treatment." RSC Advances 3.45 (2013): 23327-23334)に記載されているような、FeCl
3、クエン酸塩、ポリアクリルアミドまたはポリアクリル酸ナトリウム、および尿素の水熱処理に基づくオートクレーブ反応を使用して、合成することができる。合成の第2のステップで、ヒドロゲルが中空ナノ粒子内に形成される。
【0128】
別の例では、粒子パネルは、タンパク質および/またはペプチドを捕捉するように操作されている粒子表面を含み得る。タンパク質の一次層が、粒子表面に最初のコロナを非共有結合によってまたは共有結合によって形成し得る。粒子表面との直接的な非共有結合性相互作用は、イオン結合、疎水結合および水素結合を含み得る。加えて、小さい化学物質で最初に修飾され得るこれらの粒子は、一次タンパク質コロナの形成後、血漿中の他のタンパク質に結合することができる。粒子の表面に存在する化学修飾のモジュレーションを利用して、粒子表面と試料中のペプチドおよび/またはタンパク質との非共有結合性相互作用を調整することができる。代替的にまたは加えて、溶液相組成物(例えば、pH)をモジュレートして、粒子と試料中のペプチドおよび/またはタンパク質との非共有結合性相互作用を調整することができる。粒子の表面へのタンパク質および/またはペプチドの共有結合性カップリングは、粒子の表面に反応性基(例えば、NHSエステル、マレイミド、カルボキシレートなど)を導入することにより行うことができる。それ故、NHS-エステルを有する粒子は、溶液中の1つまたは複数のタンパク質の試料採取に特に適している可能性がある。あるいは、複合混合物からタンパク質を試料採取することおよびそのタンパク質に結合することができるカップリング試薬は、所与の波長(例えば、UV)および強度の光子への曝露後にのみタンパク質と反応することができる光開始反応基であり得る。前記光開始反応性基で官能化された粒子を利用する利点としては、(1)粒子を洗浄するステップ中のタンパク質の喪失および/またはより親和性の高いタンパク質による置換に起因するタンパク質の喪失を伴わずに一次タンパク質コロナ内に固定すること、(2)共有結合性連結を結合プロセス中の任意の時点で確立することができるため中等度の結合親和性でタンパク質を捕捉すること、(3)平衡時に生じることになる表面よりも広範囲の表面を生成すること、ならびに(4)定義されたタンパク質混合物を(血漿の代わりに)結合に使用することによってある特定のタンパク質化学量論比を有する表面を生成することを、これらに限定されないが、挙げることができる。定義されたタンパク質混合物は、組換えにより得られたもしくは作製された、または単離され、次いで定義された化学量論比で混合された、タンパク質の任意の合成的に誘導されたまたは精製された混合物であり得る。例えば、タンパク質-タンパク質相互作用のための目的の特定のタンパク質(例えば、ユビキチン)については、定義されたタンパク質混合物は、そのタンパク質の単純溶液であり得る。別の例として、定義されたタンパク質混合物は、目的のある特定のクラスからのタンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質)の精製されたまたは濃縮されたセットであり得る。粒子を修飾してクリックケミストリー反応対の半分で官能化することもでき、試料中の非天然点突然変異タンパク質は、クリックケミストリー反応対の残りの半分を有するアミノ酸を含有する。試料中の粒子および他のタンパク質をクリックケミストリー反応対の半分で官能化することができ、試料中の非天然点突然変異タンパク質は、クリックケミストリー反応対の残りの半分を有するアミノ酸を含有する。化学触媒(例えば、銅)または光(例えば、光開始クリックケミストリー試薬)の存在下で反応が行われ、試料中の非天然点突然変異タンパク質への粒子の連結、および/または試料中の非天然点突然変異タンパク質と試料中の他のタンパク質との連結に至る。例えば、この方法は、試料中に濃縮されている突然変異タンパク質を含有し得るタンパク質の単純溶液で開始し得る。これらのシステムの主な利点は、粒子表面を化学量論比、タンパク質/表面配向、およびタンパク質/タンパク質配向に関して操作することができることである。これにより、本明細書の他の箇所で説明されるアッセイステップ(例えば、大規模洗浄)に耐えることができる耐久性のある表面の操作が可能になる。例えば、タンパク質配列内の目的の位置に特異的非天然アミノ酸を有するタンパク質を、Lee et al.(Mol Cells. 2019 May 31;42(5):386-396. doi: 10.14348/molcells.2019.0078.)に記載されてい
るように導入することができる。タンパク質に導入される非天然アミノ酸は、クリックケミストリー対の半分を有することができ、この半分は、粒子の表面でクリックケミストリー対の残りの半分と反応することができる。このようにして、コロナを形成するために粒子の表面へのタンパク質のランダムな吸着ではなく、これらの修飾タンパク質は、粒子の表面に特定の配向で結合することができる。この結果、粒子型の表面に形成するコロナを、操作されたタンパク質を用いて、制御されている特異的3D配向で調整することができることになる。この同じ一般方法論を使用して、タンパク質複合体を粒子型の表面に連結させることができる。ここで、複合体の1つまたは複数のサブユニットを修飾して共有結合によって互いに連結させ、次いで、粒子型の表面に、第2の合成ステップで連結させることができ、または後の粒子表面修飾プロセスで果たされ得る異なる化学作用を使用して連結させることができる。概略図が
図38に示されている。タンパク質および/またはペプチドを非共有結合によってまたは共有結合によって捕捉するように操作された表面を有する粒子は、それでもやはりSPIONまたはポリマー修飾SPION粒子であり得、これらは、ソルボサーマル法、配位子交換プロセス、シリカコーティングプロセス、および/または特異的試薬カップリング戦略の起動もしくはインストールによる標準的なSPION合成を含む、様々な方法で合成することができる。これらのシステムの利点は、生体表面生成、インタラクトームの利用、および方向付けられたコロナの組立てを含む。
【0129】
別の例では、粒子パネルは、ヒストン捕捉のための官能化粒子を含み得る。例えば、これらの粒子は、アニオン性であり得る。加えてまたは代替的に、試料におけるヒストンを濃縮するためにアッセイ条件を最適化することができ、ヒストンおよび翻訳後修飾の質量分析による検出を改善するために標識法を最適化することができる。ヒストン捕捉のためのこれらの官能化粒子は、ポリマー、シリカ、標的配位子、およびまたはこれらの任意の組合せで作製され得る。官能化粒子は、ソルボサーマル法による標準的なSPION合成、配位子交換プロセス、表面開始重合を含む、様々な手法を使用して合成することができる。アニオン性粒子表面は、ポリマー、例えばポリカルボキシレート、様々な配位子、例えば、デンドリマー、分岐型配位子、またはカルボキシレート誘導体、および/またはスルファニルアミド酸で表面を官能化することにより、合成することができる。アッセイ条件の最適化は、結合溶液を緩衝して約9のpHにすることを含み得る。多くのタンパク質は、このpHでアニオン性表面への結合の減少を示すことになるが、ヒストンは、pI約11(例えば、H4_ヒトpI約11.3、H3_ヒトpI約11)を有する一次配列を有する塩基性タンパク質であり、これは、ほぼ完全に正に荷電されている状態を維持することになる。結果として、塩基性pH条件下で、ヒストンは、イオン結合によって粒子表面と強力に相互作用することができ、しがたって、ヒストンを粒子表面に選択的に濃縮することができる。加えて、ヒストン結合タンパク質で粒子表面を修飾することにより、ヒストンを粒子表面に選択的に濃縮することができる。したがって、本明細書で開示される粒子を使用してヒストンタンパク質コロナを得ることができる。標識最適化方法論は、質量分析データの解釈を単純化するのに役立つことができ、翻訳後修飾(PTM)の同定および指定の改善を可能にし得る。ヒストンに対する翻訳後修飾の種類、位置および占有率は、様々であり得、遺伝子発現の調節に役立ち得るので、これらの粒子は、試料中のヒストンの選択的濃縮およびPTMの照合に有用であり得、ひいては試料中の遺伝子がどのように調節されることになるのかについての情報を提供することができる。その結果として、これは、遺伝子発現の調節が異常である様々な病状の情報を提供するのに役立ち得る。
【0130】
本開示と整合する粒子型の例は、
図21におよび下記表1に示されている。
【表1】
粒子の特性
【0131】
本開示と整合する粒子は、体液中でのインキュベーション後に広範なサイズでタンパク質コロナを形成する方法において作成および使用することができる。例えば、本明細書で開示される粒子は、少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、少なくとも800nm、少なくとも900nm、少なくとも1000nm、少なくとも1100nm、少なくとも1200nm、少なくとも1300nm、少なくとも1400nm、少なくとも1500nm、少なくとも1600nm、少なくとも1700nm、少なくとも1800nm、少なくとも1900nm、少なくとも2000nm、少なくとも2100nm、少なくとも2200nm、少なくとも2300nm、少なくとも2400nm、少なくとも2500nm、少なくとも2600nm、少なくとも2700nm、少なくとも2800nm、少なくとも2900nm、少なくとも3000nm、少なくとも3100nm、少なくとも3200nm、少なくとも3300nm、少なくとも3400nm、少なくとも3500nm、少なくとも3600nm、少なくとも3700nm、少なくとも3800nm、少なくとも3900nm、少なくとも4000nm、少なくとも4100nm、少なくとも4200nm、少なくとも4300nm、少なくとも4400nm、少なくとも4500nm、少なくとも4600nm、少なくとも4700nm、少なくとも4800nm、少なくとも4900nm、少なくとも5000nm、少なくとも5100nm、少なくとも5200nm、少なくとも5300nm、少なくとも5400nm、少なくとも5500nm、少なくとも5600nm、少なくとも5700nm、少なくとも5800nm、少なくとも5900nm、少なくとも6000nm、少なくとも6100nm、少なくとも6200nm、少なくとも6300nm、少なくとも6400nm、少なくとも6500nm、少なくとも6600nm、少なくとも6700nm、少なくとも6800nm、少なくとも6900nm、少なくとも7000nm、少なくとも7100nm、少なくとも7200nm、少なくとも7300nm、少なくとも7400nm、少なくとも7500nm、少なくとも7600nm、少なくとも7700nm、少なくとも7800nm、少なくとも7900nm、少なくとも8000nm、少なくとも8100nm、少なくとも8200nm、少なくとも8300nm、少なくとも8400nm、少なくとも8500nm、少なくとも8600nm、少なくとも8700nm、少なくとも8800nm、少なくとも8900nm、少なくとも9000nm、少なくとも9100nm、少なくとも9200nm、少なくとも9300nm、少なくとも9400nm、少なくとも9500nm、少なくとも9600nm、少なくとも9700nm、少なくとも9800nm、少なくとも9900nm、少なくとも10000nm、または10nm~50nm、50nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nm、250nm~300nm、300nm~350nm、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、100nm~300nm、150nm~350nm、200nm~400nm、250nm~450nm、300nm~500nm、350nm~550nm、400nm~600nm、450nm~650nm、500nm~700nm、550nm~750nm、600nm~800nm、650nm~850nm、700nm~900nm、もしくは10nm~900nm、10~100nm、100~200nm、200~300nm、300~400nm、400~500nm、500~600nm、600~700nm、700~800nm、800~900nm、900~1000nm、1000~1100nm、1100~1200nm、1200~1300nm、1300~1400nm、1400~1500nm、1500~1600nm、1600~1700nm、1700~1800nm、1800~1900nm、1900~2000nm、2000~2100nm、2100~2200nm、2200~2300nm、2300~2400nm、2400~2500nm、2500~2600nm、2600~2700nm、2700~2800nm、2800~2900nm、2900~3000nm、3000~3100nm、3100~3200nm、3200~3300nm、3300~3400nm、3400~3500nm、3500~3600nm、3600~3700nm、3700~3800nm、3800~3900nm、3900~4000nm、4000~4100nm、4100~4200nm、4200~4300nm、4300~4400nm、4400~4500nm、4500~4600nm、4600~4700nm、4700~4800nm、4800~4900nm、4900~5000nm、5000~5100nm、5100~5200nm、5200~5300nm、5300~5400nm、5400~5500nm、5500~5600nm、5600~5700nm、5700~5800nm、5800~5900nm、5900~6000nm、6000~6100nm、6100~6200nm、6200~6300nm、6300~6400nm、6400~6500nm、6500~6600nm、6600~6700nm、6700~6800nm、6800~6900nm、6900~7000nm、7000~7100nm、7100~7200nm、7200~7300nm、7300~7400nm、7400~7500nm、7500~7600nm、7600~7700nm、7700~7800nm、7800~7900nm、7900~8000nm、8000~8100nm、8100~8200nm、8200~8300nm、8300~8400nm、8400~8500nm、8500~8600nm、8600~8700nm、8700~8800nm、8800~8900nm、8900~9000nm、9000~9100nm、9100~9200nm、9200~9300nm、9300~9400nm、9400~9500nm、9500~9600nm、9600~9700nm、9700~9800nm、9800~9900nm、9900~10000nmの直径を有することができる。直径は、動的光散乱(DLS)によってサイズの間接的尺度として測定され得る。DLS測定値は、「強度加重」平均であり得、「強度加重」は、この平均値が算出されるサイズ分布に半径の6乗の重みを加えられ得ることを意味する。これは、本明細書では「z平均」または「強度平均値」と呼ばれることもある。
【0132】
あるいは、本明細書で開示される粒子は、少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、少なくとも800nm、少なくとも900nm、少なくとも1000nm、少なくとも1100nm、少なくとも1200nm、少なくとも1300nm、少なくとも1400nm、少なくとも1500nm、少なくとも1600nm、少なくとも1700nm、少なくとも1800nm、少なくとも1900nm、少なくとも2000nm、少なくとも2100nm、少なくとも2200nm、少なくとも2300nm、少なくとも2400nm、少なくとも2500nm、少なくとも2600nm、少なくとも2700nm、少なくとも2800nm、少なくとも2900nm、少なくとも3000nm、少なくとも3100nm、少なくとも3200nm、少なくとも3300nm、少なくとも3400nm、少なくとも3500nm、少なくとも3600nm、少なくとも3700nm、少なくとも3800nm、少なくとも3900nm、少なくとも4000nm、少なくとも4100nm、少なくとも4200nm、少なくとも4300nm、少なくとも4400nm、少なくとも4500nm、少なくとも4600nm、少なくとも4700nm、少なくとも4800nm、少なくとも4900nm、少なくとも5000nm、少なくとも5100nm、少なくとも5200nm、少なくとも5300nm、少なくとも5400nm、少なくとも5500nm、少なくとも5600nm、少なくとも5700nm、少なくとも5800nm、少なくとも5900nm、少なくとも6000nm、少なくとも6100nm、少なくとも6200nm、少なくとも6300nm、少なくとも6400nm、少なくとも6500nm、少なくとも6600nm、少なくとも6700nm、少なくとも6800nm、少なくとも6900nm、少なくとも7000nm、少なくとも7100nm、少なくとも7200nm、少なくとも7300nm、少なくとも7400nm、少なくとも7500nm、少なくとも7600nm、少なくとも7700nm、少なくとも7800nm、少なくとも7900nm、少なくとも8000nm、少なくとも8100nm、少なくとも8200nm、少なくとも8300nm、少なくとも8400nm、少なくとも8500nm、少なくとも8600nm、少なくとも8700nm、少なくとも8800nm、少なくとも8900nm、少なくとも9000nm、少なくとも9100nm、少なくとも9200nm、少なくとも9300nm、少なくとも9400nm、少なくとも9500nm、少なくとも9600nm、少なくとも9700nm、少なくとも9800nm、少なくとも9900nm、少なくとも10000nm、または10nm~50nm、50nm~100nm、100nm~150nm、150nm~200nm、200nm~250nm、250nm~300nm、300nm~350nm、350nm~400nm、400nm~450nm、450nm~500nm、500nm~550nm、550nm~600nm、600nm~650nm、650nm~700nm、700nm~750nm、750nm~800nm、800nm~850nm、850nm~900nm、100nm~300nm、150nm~350nm、200nm~400nm、250nm~450nm、300nm~500nm、350nm~550nm、400nm~600nm、450nm~650nm、500nm~700nm、550nm~750nm、600nm~800nm、650nm~850nm、700nm~900nm、もしくは10nm~900nm、10~100nm、100~200nm、200~300nm、300~400nm、400~500nm、500~600nm、600~700nm、700~800nm、800~900nm、900~1000nm、1000~1100nm、1100~1200nm、1200~1300nm、1300~1400nm、1400~1500nm、1500~1600nm、1600~1700nm、1700~1800nm、1800~1900nm、1900~2000nm、2000~2100nm、2100~2200nm、2200~2300nm、2300~2400nm、2400~2500nm、2500~2600nm、2600~2700nm、2700~2800nm、2800~2900nm、2900~3000nm、3000~3100nm、3100~3200nm、3200~3300nm、3300~3400nm、3400~3500nm、3500~3600nm、3600~3700nm、3700~3800nm、3800~3900nm、3900~4000nm、4000~4100nm、4100~4200nm、4200~4300nm、4300~4400nm、4400~4500nm、4500~4600nm、4600~4700nm、4700~4800nm、4800~4900nm、4900~5000nm、5000~5100nm、5100~5200nm、5200~5300nm、5300~5400nm、5400~5500nm、5500~5600nm、5600~5700nm、5700~5800nm、5800~5900nm、5900~6000nm、6000~6100nm、6100~6200nm、6200~6300nm、6300~6400nm、6400~6500nm、6500~6600nm、6600~6700nm、6700~6800nm、6800~6900nm、6900~7000nm、7000~7100nm、7100~7200nm、7200~7300nm、7300~7400nm、7400~7500nm、7500~7600nm、7600~7700nm、7700~7800nm、7800~7900nm、7900~8000nm、8000~8100nm、8100~8200nm、8200~8300nm、8300~8400nm、8400~8500nm、8500~8600nm、8600~8700nm、8700~8800nm、8800~8900nm、8900~9000nm、9000~9100nm、9100~9200nm、9200~9300nm、9300~9400nm、9400~9500nm、9500~9600nm、9600~9700nm、9700~9800nm、9800~9900nm、9900~10000nmの半径を有することができる。
【0133】
ある特定の例では、本明細書で開示される粒子は、100nm~400nmの直径を有する。他の例では、本明細書で開示される粒子は、100nm~400nmの半径を有する。粒子サイズは、動的光散乱または電子顕微鏡法(例えば、SEM、TEM)などのいくつかの技法によって判定され得る。本明細書で開示される粒子は、ナノ粒子またはマイクロ粒子であり得る。
【0134】
加えて、粒子は、均一なサイズ分布を有することもあり、または不均一なサイズ分布を有することもある。動的光散乱などの技法によって測定され得る多分散指数(PDI)は、サイズ分布の尺度である。低いPDIは、より均一なサイズ分布を示し、より高いPDIは、より不均一なサイズ分布を示す。例えば、本明細書で開示される粒子は、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、0.15未満、または0.1未満のPDIを有することができる。特定の実施形態では、本明細書で開示される粒子は、0.1未満のPDIを有する。
【0135】
本明細書で開示される粒子は、ある範囲の異なる表面電荷を有することができる。粒子は、負に荷電されていることもあり、正に荷電されていることもあり、または電荷的に中性であることもある。一部の実施形態では、粒子は、-500mV~-450mV、-450mV~-400mV、-400mV~-350mV、-350mV~-300mV、-300mV~-250mV、-250mV~-200mV、-200mV~-150mV、-150mV~-100mV、-100mV~-90mV、-90mV~-80mV、-80mV~-70mV、-70mV~-60mV、-60mV~-50mV、-50mV~-40mV、-40mV~-30mV、-30mV~-20mV、-20mV~-10mV、-10mV~0mV、0mV~10mV、10mV~20mV、20mV~30mV、30mV~40mV、40mV~50mV、50mV~60mV、60mV~70mV、70mV~80mV、80mV~90mV、90mV~100mV、100mV~110mV、110mV~120mV、120mV~130mV、130mV~140mV、140mV~150mV、150mV~200mV、200mV~250mV、250mV~300mV、300mV~350mV、350mV~400mV、400mV~450mV、450mV~500mV、-500mV~-400mV、-400mV~-300mV、-300mV~-200mV、-200mV~-100mV、-100mV~0mV、0mV~100mV、100mV~200mV、200mV~300mV、300mV~400mV、または400mV~500mVの表面電荷を有する。特定の例では、本明細書で開示される粒子は、-60mV~60mVの表面電荷を有する。
【0136】
様々な粒子形態が、本開示のパネル内の粒子型と整合する。例えば、粒子は、球状、コロイド状、立方体形、正方形、ロッド、ワイヤ、円錐、ピラミッド形および楕円形であり得る。本開示の粒子は、固体粒子、多孔質粒子、またはメソ多孔質粒子であり得る。粒子は、小さい表面積を有することもあり、または大きい表面積を有することもある。粒子は、様々な磁気特性を有することがあり、これは、外部場に応じて磁力を決定するSQUIDによって測定することができる。一部の場合には、粒子は、コア-シェル構造または卵黄-卵殻構造を有する。
粒子パネル
【0137】
本明細書で開示される粒子パネルを使用して、本明細書に記載のプロテオグラフワークフロー(粒子パネル内の別個の粒子型に対応する別個の生体分子コロナのMS分析)を使用していくつかのタンパク質、ペプチド、またはタンパク質群を同定することができる。特徴強度は、本明細書で開示される場合、試料の質量分析実行からの質量対電荷比の強度に対するプロットに見られる明確に異なるスパイクの強度(「特徴」)を指す。これらの特徴は、ペプチドおよび/またはタンパク質の可変的にイオン化される断片に相当することもある。本明細書に記載のデータ解析方法を使用して、特徴強度をタンパク質群に選別することができる。タンパク質群は、共有ペプチド配列により同定される2つまたはそれより多くのタンパク質を指す。あるいは、タンパク質群は、一意の識別配列を使用して同定される1つのタンパク質を指すこともある。例えば、試料中の、2つのタンパク質(プロテイン1:XYZZX、およびプロテイン2:XYZYZ)間で共有されるペプチド配列がアッセイされる場合、タンパク質群は、2つのメンバー(タンパク質1およびタンパク質2)を有する「XYZタンパク質群」であり得る。あるいは、ペプチド配列が、単一のタンパク質(プロテイン1)に特有である場合、タンパク質群は、1つのメンバー(プロテイン1)を有する「ZZX」タンパク質群であり得るだろう。各タンパク質群は、1つより多くのペプチド配列によって支持され得る。本開示に従って検出または同定されるタンパク質は、試料中の検出される別個のタンパク質(例えば、質量分析を使用して検出される他のタンパク質に対して明確に異なる)を指すことがある。したがって、粒子パネル内の別個の粒子型に対応する別個のコロナ中に存在するタンパク質の分析は、多数の特徴強度をもたらす。この数は、特徴強度が別個のペプチドへと処理されると減少し、さらに、別個のペプチドが別個のタンパク質へと処理されると減少し、さらに、ペプチドがタンパク質群(別個のペプチド配列を共有する2つまたはそれより多くのタンパク質)に群化されると減少する。
【0138】
本明細書で開示される粒子パネルを使用して、少なくとも、少なくとも100のタンパク質、少なくとも200のタンパク質、少なくとも300のタンパク質、少なくとも400のタンパク質、少なくとも500のタンパク質、少なくとも600のタンパク質、少なくとも700のタンパク質、少なくとも800のタンパク質、少なくとも900のタンパク質、少なくとも1000のタンパク質、少なくとも1100のタンパク質、少なくとも1200のタンパク質、少なくとも1300のタンパク質、少なくとも1400のタンパク質、少なくとも1500のタンパク質、少なくとも1600のタンパク質、少なくとも1700のタンパク質、少なくとも1800のタンパク質、少なくとも1900のタンパク質、少なくとも2000のタンパク質、少なくとも2100のタンパク質、少なくとも2200のタンパク質、少なくとも2300のタンパク質、少なくとも2400のタンパク質、少なくとも2500のタンパク質、少なくとも2600のタンパク質、少なくとも2700のタンパク質、少なくとも2800のタンパク質、少なくとも2900のタンパク質、少なくとも3000のタンパク質、少なくとも3100のタンパク質、少なくとも3200のタンパク質、少なくとも3300のタンパク質、少なくとも3400のタンパク質、少なくとも3500のタンパク質、少なくとも3600のタンパク質、少なくとも3700のタンパク質、少なくとも3800のタンパク質、少なくとも3900のタンパク質、少なくとも4000のタンパク質、少なくとも4100のタンパク質、少なくとも4200のタンパク質、少なくとも4300のタンパク質、少なくとも4400のタンパク質、少なくとも4500のタンパク質、少なくとも4600のタンパク質、少なくとも4700のタンパク質、少なくとも4800のタンパク質、少なくとも4900のタンパク質、少なくとも5000のタンパク質、少なくとも10000のタンパク質、少なくとも20000のタンパク質、少なくとも50000のタンパク質、少なくとも100000のタンパク質、100~5000のタンパク質、200~4700のタンパク質、300~4400のタンパク質、400~4100のタンパク質、500~3800のタンパク質、600~3500のタンパク質、700~3200のタンパク質、800~2900のタンパク質、900~2600のタンパク質、1000~2300のタンパク質、1000~3000のタンパク質、3000~4000のタンパク質、4000~5000のタンパク質、5000~6000のタンパク質、6000~7000のタンパク質、7000~8000のタンパク質、8000~9000のタンパク質、9000~10000のタンパク質、10000~11000のタンパク質、11000~12000のタンパク質、12000~13000のタンパク質、13000~14000のタンパク質、14000~15000のタンパク質、15000~16000のタンパク質、16000~17000のタンパク質、17000~18000のタンパク質、18000~19000のタンパク質、19000~20000のタンパク質、20000~25000のタンパク質、25000~30000のタンパク質、10000~20000のタンパク質、10000~50000のタンパク質、20000~100000のタンパク質、2000~20000のタンパク質、1800~20000のタンパク質、または10000~100000のタンパク質を同定することができる。
【0139】
本明細書で開示される粒子パネルを使用して、少なくとも、少なくとも100のタンパク質群、少なくとも200のタンパク質群、少なくとも300のタンパク質群、少なくとも400のタンパク質群、少なくとも500のタンパク質群、少なくとも600のタンパク質群、少なくとも700のタンパク質群、少なくとも800のタンパク質群、少なくとも900のタンパク質群、少なくとも1000のタンパク質群、少なくとも1100のタンパク質群、少なくとも1200のタンパク質群、少なくとも1300のタンパク質群、少なくとも1400のタンパク質群、少なくとも1500のタンパク質群、少なくとも1600のタンパク質群、少なくとも1700のタンパク質群、少なくとも1800のタンパク質群、少なくとも1900のタンパク質群、少なくとも2000のタンパク質群、少なくとも2100のタンパク質群、少なくとも2200のタンパク質群、少なくとも2300のタンパク質群、少なくとも2400のタンパク質群、少なくとも2500のタンパク質群、少なくとも2600のタンパク質群、少なくとも2700のタンパク質群、少なくとも2800のタンパク質群、少なくとも2900のタンパク質群、少なくとも3000のタンパク質群、少なくとも3100のタンパク質群、少なくとも3200のタンパク質群、少なくとも3300のタンパク質群、少なくとも3400のタンパク質群、少なくとも3500のタンパク質群、少なくとも3600のタンパク質群、少なくとも3700のタンパク質群、少なくとも3800のタンパク質群、少なくとも3900のタンパク質群、少なくとも4000のタンパク質群、少なくとも4100のタンパク質群、少なくとも4200のタンパク質群、少なくとも4300のタンパク質群、少なくとも4400のタンパク質群、少なくとも4500のタンパク質群、少なくとも4600のタンパク質群、少なくとも4700のタンパク質群、少なくとも4800のタンパク質群、少なくとも4900のタンパク質群、少なくとも5000のタンパク質群、少なくとも10000のタンパク質群、少なくとも20000のタンパク質群、少なくとも100000のタンパク質群、100~5000のタンパク質群、200~4700のタンパク質群、300~4400のタンパク質群、400~4100のタンパク質群、500~3800のタンパク質群、600~3500のタンパク質群、700~3200のタンパク質群、800~2900のタンパク質群、900~2600のタンパク質群、1000~2300のタンパク質群、1000~3000のタンパク質群、3000~4000のタンパク質群、4000~5000のタンパク質群、5000~6000のタンパク質群、6000~7000のタンパク質群、7000~8000のタンパク質群、8000~9000のタンパク質群、9000~10000のタンパク質群、10000~11000のタンパク質群、11000~12000のタンパク質群、12000~13000のタンパク質群、13000~14000のタンパク質群、14000~15000のタンパク質群、15000~16000のタンパク質群、16000~17000のタンパク質群、17000~18000のタンパク質群、18000~19000のタンパク質群、19000~20000のタンパク質群、20000~25000のタンパク質群、25000~30000のタンパク質群、10000~20000のタンパク質群、10000~50000のタンパク質群、20000~100000のタンパク質群、2000~20000のタンパク質群、1800~20000のタンパク質群、または10000~100000のタンパク質群を同定することができる。
【0140】
本明細書で開示される粒子パネルを使用して、本明細書で開示される別個のタンパク質の数および/または本明細書で開示される特異的タンパク質のいずれかの数を広いダイナミックレンジにわたって同定することができる。例えば、別個の粒子型を含む本明細書で開示される粒子パネルは、試料中のタンパク質を濃縮することができ、これらのタンパク質を、プロテオグラフワークフローを使用して、タンパク質が試料(例えば、血漿試料)中に存在するダイナミックレンジ全体にわたって、同定することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも2のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも3のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも4のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも5のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも6のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも7のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも8のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも9のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも10のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも11のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも12のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも13のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも14のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも15のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、少なくとも20のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、2~100のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、2~20のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、2~10のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、2~5のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、5~10のダイナミックレンジにわたってタンパク質を濃縮し、同定する。
【0141】
本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、単一のタンパク質またはタンパク質群を濃縮し、同定する。一部の実施形態では、単一のタンパク質またはタンパク質群は、異なる翻訳後修飾を有するタンパク質を含み得る。例えば、粒子パネル内の第1の粒子型は、第1の翻訳後修飾を有するタンパク質またはタンパク質群を濃縮することができ、粒子パネル内の第2の粒子型は、第2の翻訳後修飾を有する同じタンパク質または同じタンパク質群を濃縮することができ、粒子パネル内の第3の粒子型は、翻訳後修飾を欠いている同じタンパク質または同じタンパク質群を濃縮することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示される任意の数の別個の粒子型を含む粒子パネルは、単一のタンパク質またはタンパク質群の異なるドメイン、配列またはエピトープに結合することにより、単一のタンパク質またはタンパク質群を濃縮し、同定する。例えば、粒子パネル内の第1の粒子型は、タンパク質またはタンパク質群の第1のドメインに結合することによりタンパク質またはタンパク質を濃縮することができ、粒子パネル内の第2の粒子型は、タンパク質またはタンパク質群の第2のドメインに結合することにより同じタンパク質または同じタンパク質群を濃縮することができる。
【0142】
一部の実施形態では、粒子パネルは、1つより多くの粒子型を有することができる。パネル内の粒子型の数を増加させることは、所与の試料中で同定され得るタンパク質の数を増加させる方法であり得る。パネルサイズを増加させることが、同定されるタンパク質の数をどの程度増加させ得るのかについての例は、
図11に示されている。例えば、
図11に示されているように、1粒子型のパネルサイズは、419のユニークタンパク質を同定し、2粒子型のパネルサイズは、588タンパク質を同定し、3粒子型のパネルサイズは、727タンパク質を同定し、4粒子型のパネルサイズは、844タンパク質を同定し、5粒子型のパネルサイズは、934タンパク質を同定し、6粒子型のパネルサイズは、1008タンパク質を同定し、7粒子型のパネルサイズは、1075タンパク質を同定し、8粒子型のパネルサイズは、1133タンパク質を同定し、9粒子型のパネルサイズは、1184タンパク質を同定し、10粒子型のパネルサイズは、1230タンパク質を同定し、11粒子型のパネルサイズは、1275タンパク質を同定し、12粒子型のパネルサイズは、1318タンパク質を同定した。粒子型は、ナノ粒子型を含み得る。
【0143】
一部の実施形態では、1粒子型のパネルサイズは、200~600のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、2粒子型のパネルサイズは、300~700のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、3粒子型のパネルサイズは、500~900のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、4粒子型のパネルサイズは、600~1000のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、5粒子型のパネルサイズは、700~1100のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、6粒子型のパネルサイズは、800~1200のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、7粒子型のパネルサイズは、850~1250のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、8粒子型のパネルサイズは、900~1300のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、9粒子型のパネルサイズは、950~1350のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、10粒子型のパネルサイズは、1000~1400のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、11粒子型のパネルサイズは、1050~1450のユニークタンパク質を同定できる。一部の実施形態では、12粒子型のパネルサイズは、1100~1500のユニークタンパク質を同定できる。粒子型は、ナノ粒子型を含み得る。
【0144】
本開示は、100を超える異なる表面化学構造および50を超える多様な物理的特性を有する、200を超える別個の粒子型を提供する。別個の粒子型は、第1の粒子型と第2の粒子型とで異なる少なくとも1つの物理化学的特性を有する。例えば、本開示は、少なくとも2つの別個の粒子型、少なくとも3つの別個の粒子型、少なくとも4つの別個の粒子型、少なくとも5つの別個の粒子型、少なくとも6つの別個の粒子型、少なくとも7つの別個の粒子型、少なくとも8つの別個の粒子型、少なくとも9つの別個の粒子型、少なくとも10の別個の粒子型、少なくとも11の別個の粒子型、少なくとも12の別個の粒子型、少なくとも13の別個の粒子型、少なくとも14の別個の粒子型、少なくとも15の別個の粒子型、少なくとも20の別個の粒子型、少なくとも25の別個の粒子型、少なくとも30の別個の粒子型、少なくとも35の別個の粒子型、少なくとも40の別個の粒子型、少なくとも45の別個の粒子型、少なくとも50の別個の粒子型、少なくとも100の別個の粒子型、少なくとも150の別個の粒子型、少なくとも200の別個の粒子型、少なくとも250の別個の粒子型、少なくとも300の別個の粒子型、少なくとも350の別個の粒子型、少なくとも400の別個の粒子型、少なくとも450の別個の粒子型、少なくとも500の別個の粒子型、2~500の別個の粒子型、2~5の別個の粒子型、5~10の別個の粒子型、10~15の別個の粒子型、15~20の別個の粒子型、20~40の別個の粒子型、40~60の別個の粒子型、60~80の別個の粒子型、80~100の別個の粒子型、100~500の別個の粒子型、4~15の別個の粒子型、または2~20の別個の粒子型を有する、粒子パネルを提供する。粒子型は、ナノ粒子型を含み得る。
【0145】
一部の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの粒子の別個の型、少なくとも2つの別個の粒子型、少なくとも3つの別個の粒子型、少なくとも4つの別個の粒子型、少なくとも5つの別個の粒子型、少なくとも6つの別個の粒子型、少なくとも7つの別個の粒子型、少なくとも8つの別個の粒子型、少なくとも9つの別個の粒子型、少なくとも10の別個の粒子型、少なくとも11の別個の粒子型、少なくとも12の別個の粒子型、少なくとも13の別個の粒子型、少なくとも14の別個の粒子型、少なくとも15の別個の粒子型、少なくとも16の別個の粒子型、少なくとも17の別個の粒子型、少なくとも18の別個の粒子型、少なくとも19の別個の粒子型、少なくとも20の別個の粒子型、少なくとも25の別個の粒子型、少なくとも30の別個の粒子型、少なくとも35の別個の粒子型、少なくとも40の別個の粒子型、少なくとも45の別個の粒子型、少なくとも50の別個の粒子型、少なくとも55の別個の粒子型、少なくとも60の別個の粒子型、少なくとも65の別個の粒子型、少なくとも70の別個の粒子型、少なくとも75の別個の粒子型、少なくとも80の別個の粒子型、少なくとも85の別個の粒子型、少なくとも90の別個の粒子型、少なくとも95の別個の粒子型、少なくとも100の別個の粒子型、1~5の別個の粒子型、5~10の別個の粒子型、10~15の別個の粒子型、15~20の別個の粒子型、20~25の別個の粒子型、25~30の別個の粒子型、30~35の別個の粒子型、35~40の別個の粒子型、40~45の別個の粒子型、45~50の別個の粒子型、50~55の別個の粒子型、55~60の別個の粒子型、60~65の別個の粒子型、65~70の別個の粒子型、70~75の別個の粒子型、75~80の別個の粒子型、80~85の別個の粒子型、85~90の別個の粒子型、90~95の別個の粒子型、95~100の別個の粒子型、1~100の別個の粒子型、20~40の別個の粒子型、5~10の別個の粒子型、3~7の別個の粒子型、2~10の別個の粒子型、6~15の別個の粒子型、または10~20の別個の粒子型のパネルサイズを提供する。特定の実施形態では、本開示は、3~10の粒子型のパネルサイズを提供する。特定の実施形態では、本開示は、4~11の別個の粒子型のパネルサイズを提供する。特定の実施形態では、本開示は、5~15の別個の粒子型のパネルサイズを提供する。特定の実施形態では、本開示は、5~15の別個の粒子型のパネルサイズを提供する。特定の実施形態では、本開示は、8~12の別個の粒子型のパネルサイズを提供する。特定の実施形態では、本開示は、9~13の別個の粒子型のパネルサイズを提供する。特定の実施形態では、本開示は10の別個の粒子型のパネルサイズを提供する。粒子型は、ナノ粒子型を含み得る。
【0146】
例えば、本開示は、少なくとも2つの別個の粒子型、少なくとも3つの異なる表面化学構造、少なくとも4つの異なる表面化学構造、少なくとも5つの異なる表面化学構造、少なくとも6つの異なる表面化学構造、少なくとも7つの異なる表面化学構造、少なくとも8つの異なる表面化学構造、少なくとも9つの異なる表面化学構造、少なくとも10の異なる表面化学構造、少なくとも11の異なる表面化学構造、少なくとも12の異なる表面化学構造、少なくとも13の異なる表面化学構造、少なくとも14の異なる表面化学構造、少なくとも15の異なる表面化学構造、少なくとも20の異なる表面化学構造、少なくとも25の異なる表面化学構造、少なくとも30の異なる表面化学構造、少なくとも35の異なる表面化学構造、少なくとも40の異なる表面化学構造、少なくとも45の異なる表面化学構造、少なくとも50の異なる表面化学構造、少なくとも100の異なる表面化学構造、少なくとも150の異なる表面化学構造、少なくとも200の異なる表面化学構造、少なくとも250の異なる表面化学構造、少なくとも300の異なる表面化学構造、少なくとも350の異なる表面化学構造、少なくとも400の異なる表面化学構造、少なくとも450の異なる表面化学構造、少なくとも500の異なる表面化学構造、2~500の異なる表面化学構造、2~5の異なる表面化学構造、5~10の異なる表面化学構造、10~15の異なる表面化学構造、15~20の異なる表面化学構造、20~40の異なる表面化学構造、40~60の異なる表面化学構造、60~80の異なる表面化学構造、80~100の異なる表面化学構造、100~500の異なる表面化学構造、4~15の異なる表面化学構造、または2~20の異なる表面化学構造を有する、粒子パネルを提供する。
【0147】
本開示は、少なくとも2つの異なる表面化学構造、少なくとも3つの異なる表面化学構造、少なくとも4つの異なる表面化学構造、少なくとも5つの異なる表面化学構造、少なくとも6つの異なる表面化学構造、少なくとも7つの異なる表面化学構造、少なくとも8つの異なる表面化学構造、少なくとも9つの異なる表面化学構造、少なくとも10の異なる表面化学構造、少なくとも11の異なる表面化学構造、少なくとも12の異なる表面化学構造、少なくとも13の異なる表面化学構造、少なくとも14の異なる表面化学構造、少なくとも15の異なる表面化学構造、少なくとも20の異なる表面化学構造、少なくとも25の異なる表面化学構造、少なくとも30の異なる表面化学構造、少なくとも35の異なる表面化学構造、少なくとも40の異なる表面化学構造、少なくとも45の異なる表面化学構造、少なくとも50の異なる表面化学構造、少なくとも100の異なる表面化学構造、少なくとも150の異なる表面化学構造、少なくとも200の異なる表面化学構造、少なくとも250の異なる表面化学構造、少なくとも300の異なる表面化学構造、少なくとも350の異なる表面化学構造、少なくとも400の異なる表面化学構造、少なくとも450の異なる表面化学構造、少なくとも500の異なる表面化学構造、2~500の異なる表面化学構造、2~5の異なる表面化学構造、5~10の異なる表面化学構造、10~15の異なる表面化学構造、15~20の異なる表面化学構造、20~40の異なる表面化学構造、40~60の異なる表面化学構造、60~80の異なる表面化学構造、80~100の異なる表面化学構造、100~500の異なる表面化学構造、4~15の異なる表面化学構造、または2~20の異なる表面化学構造を有する、粒子パネルを提供する。
【0148】
本開示は、少なくとも2つの異なる物理的特性、少なくとも3つの異なる物理的特性、少なくとも4つの異なる物理的特性、少なくとも5つの異なる物理的特性、少なくとも6つの異なる物理的特性、少なくとも7つの異なる物理的特性、少なくとも8つの異なる物理的特性、少なくとも9つの異なる物理的特性、少なくとも10の異なる物理的特性、少なくとも11の異なる物理的特性、少なくとも12の異なる物理的特性、少なくとも13の異なる物理的特性、少なくとも14の異なる物理的特性、少なくとも15の異なる物理的特性、少なくとも20の異なる物理的特性、少なくとも25の異なる物理的特性、少なくとも30の異なる物理的特性、少なくとも35の異なる物理的特性、少なくとも40の異なる物理的特性、少なくとも45の異なる物理的特性、少なくとも50の異なる物理的特性、少なくとも100の異なる物理的特性、少なくとも150の異なる物理的特性、少なくとも200の異なる物理的特性、少なくとも250の異なる物理的特性、少なくとも300の異なる物理的特性、少なくとも350の異なる物理的特性、少なくとも400の異なる物理的特性、少なくとも450の異なる物理的特性、少なくとも500の異なる物理的特性、2~500の異なる物理的特性、2~5の異なる物理的特性、5~10の異なる物理的特性、10~15の異なる物理的特性、15~20の異なる物理的特性、20~40の異なる物理的特性、40~60の異なる物理的特性、60~80の異なる物理的特性、80~100の異なる物理的特性、100~500の異なる物理的特性、4~15の異なる物理的特性、または2~20の異なる物理的特性を有する、粒子パネルを提供する。
【0149】
一部の実施形態では、タンパク質を最適に同定するおよびバイオマーカーを疾患と最適に関連付けるパネルは、表1に記載の粒子型から選択されるパネルを含む。例えば、タンパク質を最適に同定するおよびバイオマーカーを疾患と最適に関連付けるパネルは、SP-339、HX74、SP-356、SP-333、HX20、SP-374、HX42、SP-003、SP-007、およびSP-011を含むパネルを含む。試料中の多数のタンパク質(例えば、1500より多くのタンパク質)を同定するのに特に好適な粒子パネルは、アッセイにおける5~10の別個の粒子型を含む。粒子パネルに含まれる別個の粒子型の数を特異的応用(例えば、タンパク質の特定のサブセットの検出、または特定の疾患に関連するマーカーの群の検出)向けに調整することができる。一部の実施形態では、タンパク質を最適に同定するおよびバイオマーカーを疾患と最適に関連付ける物理化学的に別個の粒子型を有するパネルは、シリカコーティングが施されているSPION、アクリルアミドに基づくSPION、およびアクリレートに基づくSPIONSを含む。例えば、本明細書で開示される粒子のパネルであって、高い感度および特異度でバイオマーカーおよび疾患と関連付けることができる情報が豊富なプロテオームデータを、それらのタンパク質コロナによって生成するパネルは、シリカコーティングが施されているSPION(SP-003)、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングが施されているSPION(SP-007)、およびポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングが施されているSPION(SP-011)を含む。
【0150】
一部の実施形態では、試料調製およびLC-MSを含む、単一のプール血漿からの全アッセイ時間は、約8時間であり得る。一部の実施形態では、試料調製およびLC-MSを含む、単一のプール血漿からの全アッセイ時間は、約少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、20時間未満、19時間未満、18時間未満、17時未満、16時間未満、15時間未満、14時間未満、13時間未満、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、少なくとも5分~10分、少なくとも10分~20分、少なくとも20分~30分、少なくとも30分~40分、少なくとも40分~50分、少なくとも50分~60分、少なくとも1時間~1.5時間、少なくとも1.5時間~2時間、少なくとも2時間~2.5時間、少なくとも2.5時間~3時間、少なくとも3時間~3.5時間、少なくとも3.5時間~4時間、少なくとも4時間~4.5時間、少なくとも4.5時間~5時間、少なくとも5時間~5.5時間、少なくとも5.5時間~6時間、少なくとも6時間~6.5時間、少なくとも6.5時間~7時間、少なくとも7時間~7.5時間、少なくとも7.5時間~8時間、少なくとも8時間~8.5時間、少なくとも8.5時間~9時間、少なくとも9時間~9.5時間、または少なくとも9.5時間~10時間であり得る。
早期検出
【0151】
本明細書に記載のパネルおよびそれらの使用方法は、対象からの試料中の、特定の病状と一致する、マーカーの検出に使用することができる。
図18Aおよび
図18Bに示されているように、早期がんを症状発症の8年前までに分離することができる。ゴレスタンコホートは、2004年~2008年の間に健常対象50,000名を登録した。
図18Aに示されているように、登録からの保存血漿を試験した。登録の8年後、患者おおよそ1000名は、がんを発症した。
図18Bは、保存血漿からの3種のがん(脳、肺および膵臓がん)の分類が主成分分析により分類されることを示す。ここでは、コロナ結果は、3つの別個の統計母集団を示す3つの主成分軸に対してプロットされている。登録日からの保存血漿のコロナ解析(複数のタンパク質をプロファイルするために複数の特性の測定を含む)は、検査した対象15名(3種のがん各々について患者5名)のうちの15名についてがんを正確に分類した。一部の実施形態では、本開示のパネルを使用して、病状を、その病状の症状の発症の1年前までに、2年前までに、3年前までに、4年前までに、5年前までに、6年前までに、7年前までに、8年前までに、9年前までに、10年前までに、15年前までに、20年前までに、または25年前までに診断することができる。
【0152】
本開示のパネルを使用して、所与の試料において広範な病状を検出することができる。例えば、本開示のパネルを使用してがんを検出することができる。がんは、脳がん、肺がん、膵臓がん、神経膠芽腫、髄膜腫、骨髄腫、または膵臓がんであり得る。これらのがんのコロナ解析シグナルは、
図17Bおよび
図18に示されている。
【0153】
加えて、本開示のパネルを使用して、以下のものを含む他のがん、例えば、https://www.cancer.gov/typesに列挙されているがんのいずれか1つを、検出することができる:急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄系白血病(AML)、青年のがん;副腎皮質癌;小児副腎皮質癌;珍しい小児がん;AIDS関連がん;カポジ肉腫(軟部組織肉腫);AIDS関連リンパ腫(リンパ腫);原発性CNSリンパ腫(リンパ腫);肛門がん;虫垂がん-消化管カルチノイド腫瘍を参照されたい;星細胞腫、小児期(脳がん);非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児期、中枢神経系(脳がん);皮膚基底細胞癌-皮膚がんを参照されたい;胆管がん;膀胱がん;小児膀胱がん;骨がん(ユーイング肉腫および骨肉腫および悪性線維性組織球腫を含む);脳腫瘍;乳がん;小児乳がん;気管支腫瘍、小児期;バーキットリンパ腫-非ホジキンリンパ腫を参照されたい;カルチノイド腫瘍(消化管);小児カルチノイド腫瘍;原因不明の癌;原因不明の小児癌;心臓(cardiac)(心臓(heart))腫瘍、小児期;中枢神経系;非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児期(脳がん);胚芽腫、小児期(脳がん);胚細胞腫瘍、小児期(脳がん);原発性CNSリンパ腫;子宮頸がん;小児子宮頸がん;小児がん;小児期の珍しいがん;胆管癌-胆管がんを参照されたい;脊索腫、小児期;慢性リンパ球性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);骨髄増殖性新生物;結腸直腸がん;小児結腸直腸がん;頭蓋咽頭腫、小児期(脳がん);皮膚T細胞リンパ腫-リンパ腫(菌状息肉症およびセザリー症候群)を参照されたい;非浸潤性乳管癌(DCIS)-乳がんを参照されたい;胚芽腫、中枢神経系、小児期(脳がん);子宮内膜がん(子宮がん);上衣腫、小児期(脳がん);食道がん;小児食道がん;鼻腔神経芽細胞腫(頭頸部がん);ユーイング肉腫(骨がん);頭蓋外胚細胞腫瘍、小児期;性腺外胚細胞腫瘍;眼がん;小児眼球内黒色腫;眼球内黒色腫;網膜芽細胞腫;卵管がん;骨線維性組織球腫、悪性、および骨肉腫;胆嚢がん;胃(gastric)(胃(stomach))がん;小児胃(gastric)(胃(stomach))がん;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍(GIST)(軟部組織肉腫);小児消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍;小児中枢神経系胚細胞腫瘍(脳がん);小児頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;卵巣胚細胞腫瘍;精巣がん;妊娠性絨毛性疾患;ヘアリー細胞白血病;頭頸部がん;心臓腫瘍、小児期;肝細胞(肝臓)がん;組織球増殖症、ランゲルハンス細胞;ホジキンリンパ腫;下咽頭がん(頭頸部がん);眼球内黒色腫;小児眼球内黒色腫;膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍;カポジ肉腫(軟部組織肉腫);腎臓(腎細胞)がん;ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭がん(頭頸部がん);白血病;口唇および口腔がん(頭頸部がん);肝臓がん;肺がん(非小細胞および小細胞);小児肺がん;リンパ腫;男性乳がん;骨悪性線維性組織球腫および骨肉腫;黒色腫;小児黒色腫;黒色腫、眼内(眼);小児眼球内黒色腫;メルケル細胞癌(皮膚がん);中皮腫、悪性;小児中皮腫;転移がん;原発不明転移性頸部扁平上皮性がん(頭頸部がん);nut遺伝子変化を伴う正中線管癌;口のがん(頭頸部がん);多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症(リンパ腫);骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍;骨髄性白血病、慢性(cml);骨髄系白血病、急性(AML);骨髄増殖性新生物、慢性;鼻腔および副鼻腔がん(頭頸部がん);上咽頭がん(頭頸部がん);神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺がん;口腔がん(oral cancer)、口唇および口腔がん(lip and oral cavity cancer)および中咽頭がん(頭頸部がん);骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫;卵巣がん;小児卵巣がん;膵臓がん;小児膵臓がん;膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍);乳頭腫症(小児咽頭);傍神経節腫;小児傍神経節腫;副鼻腔および鼻腔がん(頭頸部がん);副甲状腺がん;陰茎がん;咽頭がん(頭頸部がん);褐色細胞腫;小児褐色細胞腫;下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠期乳がん;原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;原発性腹膜がん;前立腺がん;直腸がん;再発がん;腎細胞(腎臓)がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児期(軟部組織肉腫);唾液腺がん(頭頸部がん);肉腫;小児横紋筋肉腫(軟部組織肉腫);小児血管腫瘍(軟部組織肉腫);ユーイング肉腫(骨がん);カポジ肉腫(軟部組織肉腫);骨肉腫(骨がん);軟部組織肉腫;子宮肉腫;セザリー症候群(リンパ腫);皮膚がん;小児皮膚がん;小細胞肺がん;小腸がん;軟部組織肉腫;皮膚扁平上皮癌-皮膚がんを参照されたい;原発不明の扁平上皮性頸部がん、転移性(頭頸部がん);胃(stomach)(胃(gastric))がん;小児胃(stomach)(胃(gastric))がん;T細胞リンパ腫、皮膚-リンパ腫(菌状息肉症およびセザリー症候群)を参照されたい;精巣がん;小児精巣がん;のどのがん(頭頸部がん);上咽頭がん;中咽頭がん;下咽頭がん;胸腺腫および胸腺癌;甲状腺がん;腎盂および尿管の移行上皮がん(腎臓(腎細胞)がん);原因不明の癌;原因不明の小児がん;珍しい小児がん;尿管および腎盂、移行上皮がん(腎臓(腎細胞)がん;尿道がん;子宮がん、子宮内膜;子宮肉腫;膣がん;小児膣がん;血管腫瘍(軟部組織肉腫);外陰がん;ウィルムス腫瘍および他の小児腎臓腫瘍;または若年成人のがん。さらに、本開示の粒子パネルを使用して他の疾患、例えば、アルツハイマー病および多発性硬化症を検出することができる。
試料
【0154】
本開示のパネルを使用して、タンパク質コロナからプロテオームデータを生成することができ、その後、本明細書に記載の生物学的状態のいずれかと関連付けることができる。本開示と整合する試料は、対象からの生体試料を含む。対象は、ヒトであることもあり、または非ヒト動物であることもある。生体試料は、体液であり得る。例えば、体液は、血漿、血清、CSF、尿、涙、細胞溶解物、組織溶解物、細胞ホモジネート、組織ホモジネート、乳頭吸引液、糞便試料、滑液および全血、または唾液であり得る。試料はまた、非生体試料、例えば、水、乳、溶媒、または均質化されて流体の状態になる任意のものであり得る。前記生体試料は、複数のタンパク質またはプロテオームデータを含有することができ、これらのデータを、パネル内の様々な粒子型の表面へのタンパク質の吸着およびその後のタンパク質コロナの消化の後に解析することができる。プロテオームデータは、核酸、ペプチドまたはタンパク質を含み得る。本明細書における試料のいずれも、いくつかの異なる分析物を含有することができ、本明細書で開示される組成物および方法を使用してそれらの分析物を分析することができる。分析物は、タンパク質、ペプチド、小分子、核酸、代謝物、脂質、または粒子型の表面と結合もしくは相互作用し得る可能性がある任意の分子であり得る。
【0155】
マルチ-オミクス解析のための組成物および方法が、本明細書で開示される。「マルチ-オミクス」または「マルチオミクス」は、データセットが複数のオーム、例えば、プロテオーム、ゲノム、トランスクリプトーム、リピドームおよびメタボロームである、大規模な生体分子解析の分析手法を指すことができる。マルチ-オミクスデータの非限定的な例としては、プロテオームデータ、ゲノミクスデータ、リピドミクスデータ、グリコミクスデータ、トランスクリプトミクスデータ、またはメタボロミクスデータが挙げられる。「生体分子コロナ」における「生体分子」は、生物有機体により産生され得る、または生物有機体内に存在する、任意の分子または生体成分を指すことができる。生体分子の非限定的な例としては、タンパク質(タンパク質コロナ)、ポリペプチド、多糖類、糖、脂質、リポタンパク質、代謝物、オリゴヌクレオチド、核酸(DNA、RNA、マイクロRNA、プラスミド、一本鎖核酸、二本鎖核酸)、メタボローム、ならびに小分子、例えば、一次代謝物、二次代謝物、および他の天然産物、またはこれらの任意の組合せが、挙げられる。一部の実施形態では、生体分子は、タンパク質、核酸、脂質およびメタボロームの群から選択される。
【0156】
一部の実施形態では、本開示の試料は、複数の試料であり得る。複数の試料のうちの少なくとも2つの試料は、空間的に隔離されていることがある。空間的に隔離されているとは、別々の体積に含有される試料を指す。例えば、空間的に隔離されている試料は、プレート内の別々のウェルの中にあるまたは別々の管の中にある試料を指すことがある。空間的に隔離されている試料は、プレート内の別々のウェルの中にあるまたは別々の管の中にある試料であって、同じ計器で一緒にアッセイされる試料を指すこともある。一部の実施形態では、本開示は、複数の試料の解析、例えば、少なくとも2つの空間的に隔離されている試料、少なくとも5つの空間的に隔離されている試料、少なくとも10の空間的に隔離されている試料、少なくとも15の空間的に隔離されている試料、少なくとも20の空間的に隔離されている試料、少なくとも25の空間的に隔離されている試料、少なくとも30の空間的に隔離されている試料、少なくとも35の空間的に隔離されている試料、少なくとも40の空間的に隔離されている試料、少なくとも45の空間的に隔離されている試料、少なくとも50の空間的に隔離されている試料、少なくとも55の空間的に隔離されている試料、少なくとも60の空間的に隔離されている試料、少なくとも65の空間的に隔離されている試料、少なくとも70の空間的に隔離されている試料、少なくとも75の空間的に隔離されている試料、少なくとも80の空間的に隔離されている試料、少なくとも85の空間的に隔離されている試料、少なくとも90の空間的に隔離されている試料、少なくとも95の空間的に隔離されている試料、少なくとも96の空間的に隔離されている試料、少なくとも100の空間的に隔離されている試料、少なくとも120の空間的に隔離されている試料、少なくとも140の空間的に隔離されている試料、少なくとも160の空間的に隔離されている試料、少なくとも180の空間的に隔離されている試料、少なくとも200の空間的に隔離されている試料、少なくとも220の空間的に隔離されている試料、少なくとも240の空間的に隔離されている試料、少なくとも260の空間的に隔離されている試料、少なくとも280の空間的に隔離されている試料、少なくとも300の空間的に隔離されている試料、少なくとも320の空間的に隔離されている試料、少なくとも340の空間的に隔離されている試料、少なくとも360の空間的に隔離されている試料、少なくとも380の空間的に隔離されている試料、少なくとも400の空間的に隔離されている試料、少なくとも420の空間的に隔離されている試料、少なくとも440の空間的に隔離されている試料、少なくとも460の空間的に隔離されている試料、少なくとも480の空間的に隔離されている試料、少なくとも500の空間的に隔離されている試料、少なくとも600の空間的に隔離されている試料、少なくとも700の空間的に隔離されている試料、少なくとも800の空間的に隔離されている試料、少なくとも900の空間的に隔離されている試料、少なくとも1000の空間的に隔離されている試料、少なくとも1100の空間的に隔離されている試料、少なくとも1200の空間的に隔離されている試料、少なくとも1300の空間的に隔離されている試料、少なくとも1400の空間的に隔離されている試料、少なくとも1500の空間的に隔離されている試料、少なくとも1600の空間的に隔離されている試料、少なくとも1700の空間的に隔離されている試料、少なくとも1800の空間的に隔離されている試料、少なくとも1900の空間的に隔離されている試料、少なくとも2000の空間的に隔離されている試料、少なくとも5000の空間的に隔離されている試料、少なくとも10000の空間的に隔離されている試料、2~10の空間的に隔離されている試料、2~100の空間的に隔離されている試料、2~200の空間的に隔離されている試料、2~300の空間的に隔離されている試料、50~150の空間的に隔離されている試料、10~20の空間的に隔離されている試料、20~30の空間的に隔離されている試料、30~40の空間的に隔離されている試料、40~50の空間的に隔離されている試料、50~60の空間的に隔離されている試料、60~70の空間的に隔離されている試料、70~80の空間的に隔離されている試料、80~90の空間的に隔離されている試料、90~100の空間的に隔離されている試料、100~150の空間的に隔離されている試料、150~200の空間的に隔離されている試料、200~250の空間的に隔離されている試料、250~300の空間的に隔離されている試料、300~350の空間的に隔離されている試料、350~400の空間的に隔離されている試料、400~450の空間的に隔離されている試料、450~500の空間的に隔離されている試料、500~600の空間的に隔離されている試料、600~700の空間的に隔離されている試料、700~800の空間的に隔離されている試料、800~900の空間的に隔離されている試料、900~1000の空間的に隔離されている試料、1000~2000の空間的に隔離されている試料、2000~3000の空間的に隔離されている試料、3000~4000の空間的に隔離されている試料、4000~5000の空間的に隔離されている試料、5000~6000の空間的に隔離されている試料、6000~7000の空間的に隔離されている試料、7000~8000の空間的に隔離されている試料、8000~9000の空間的に隔離されている試料、または9000~10000の空間的に隔離されている試料の解析に適合する、粒子パネルおよびそれらの使用方法を提供する。
【0157】
本明細書で開示される方法は、1つのまたは1つより多くの試料から粒子パネル(複数の粒子型を有する)を単離するステップを含む。超常磁性である粒子型を有する粒子パネルは、磁石を使用して試料から迅速に単離または分離することができる。さらに、空間的に隔離されている複数の試料を並行して処理することができる。したがって、本明細書で開示される方法は、磁石を使用することによる、複数の空間的に隔離されているパネル内の未結合タンパク質からの粒子パネルの同時的単離または分離を提供する。例えば、空間的に隔離されている試料各々がウェルプレート(例えば、96ウェルプレート)のウェル内にある複数の空間的に隔離されている試料とともに粒子パネルをインキュベートすることができる。インキュベーション後、ウェルプレートの各々のウェル内の粒子パネルを、空間的に隔離されている試料中に存在する未結合タンパク質から、プレート全体を磁石上に置くことによって分離することができる。これにより、粒子パネル内の超常磁性粒子が同時に引き落とされる。各ウェル内の上清を除去して、未結合タンパク質を除去することができる。これらのステップ(インキュベートする、磁石を使用して引き落とす)を繰り返して粒子を有効に洗浄し、ひいては、試料中に存在し得る残留バックグラウンド未結合タンパク質を除去することができる。これは一例であるが、当業者は、超常磁性粒子が1つのまたは1つより多くの空間的に隔離されている試料から同時に迅速に単離される、非常に多くの他のシナリオを思い描くことができよう。
【0158】
一部の実施形態では、本開示のパネルは、粒子の表面に形成されるコロナの消化によるプロテオームデータの処理による、生体試料中の特定のタンパク質の同定および測定を提供する。同定および測定され得るタンパク質の例は、高存在量のタンパク質、中等度の存在量のタンパク質、および低存在量のタンパク質を含む。低存在量タンパク質は、約10ng/mLまたはそれ未満の濃度で試料中に存在し得る。高存在量タンパク質は、約10μg/mLまたはそれより高い濃度で試料中に存在し得る。中等度の存在量のタンパク質は、約10ng/mL~約10μg/mLの間の濃度で試料中に存在し得る。高存在量のタンパク質であるタンパク質の例としては、アルブミン、IgG、および存在量の点で上位14のタンパク質であって、血漿における質量の95%に寄与するタンパク質が挙げられる。加えて、従来の除去カラムを使用して精製され得る任意のタンパク質を、試料において本明細書で開示される粒子パネルを使用して直接検出することができる。タンパク質の例は、Keshishian et al.(Mol Cell Proteomics. 2015 Sep;14(9):2375-93. doi: 10.1074/mcp.M114.046813.Epub 2015 Feb 27.)、Farr et al.(J Proteome
Res. 2014 Jan 3;13(1):60-75. doi: 10.1021/pr4010037.Epub 2013 Dec 6.)、またはPernemalm et al.(Expert Rev Proteomics. 2014 Aug;11(4):431-48. doi: 10.1586/14789450.2014.901157. Epub 2014 Mar 24.)などの、公開データベースに収載されている任意のタンパク質であり得る。
【0159】
一部の実施形態では、本明細書で開示される粒子パネルを使用して測定および同定することができるタンパク質の例としては、アルブミン、IgG、リゾチーム、CEA、HER-2/neu、膀胱腫瘍抗原、サイログロブリン、アルファ-フェトプロテイン、PSA、CA125、CA19.9、CA 15.3、レプチン、プロラクチン、オステオポンチン、IGF-II、CD98、ファスシン、sPigR、14-3-3エータ、トロポニンI、B型ナトリウム利尿ペプチド、BRCA1、c-Myc、IL-6、フィブリノゲン、EGFR、ガストリン、PH、G-CSF、デスミン、NSE、FSH、VEGF、P21、PCNA、カルシトニン、PR、CA125、LH、ソマトスタチン、S100、インスリン、アルファ-プロラクチン、ACTH、Bcl-2、ERアルファ、Ki-67、p53、カテプシンD、ベータカテニン、VWF、CD15、k-ras、カスパーゼ3、EPN、CD10、FAS、BRCA2、CD30L、CD30、CGA、CRP、プロトロンビン、CD44、APEX、トランスフェリン、GM-CSF、E-カドヘリン、IL-2、Bax、IFN-ガンマ、ベータ-2-MG、TNFアルファ、c-erbB-2、トリプシン、サイクリンD1、MG B、XBP-1、HG-1、YKL-40、S-ガンマ、NESP-55、ネトリン-1、ジェミニン、GADD45A、CDK-6、CCL21、BrMS1、17ベータHDI、PDGFRA、Pcaf、CCL5、MMP3、クローディン-4、およびクローディン-3が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書で開示される粒子パネルを使用して測定および同定することができるタンパク質の他の例は、目的の特定の疾患適応症(例えば、前立腺がん、肺がん、またはアルツハイマー病)についてopen targetsデータベースに収載されている任意のタンパク質またはタンパク質群である。
分析方法
【0160】
いくつかの異なる分析技術を使用して、試料のプロテオームデータを同定、測定および定量することができる。例えば、SDS-PAGEまたは任意のゲルベースの分離技術を使用してプロテオームデータを解析することができる。ELISAなどのイムノアッセイを使用して、ペプチドおよびタンパク質を同定、測定および定量することもできる。あるいは、質量分析、高速液体クロマトグラフィー、LC-MS/MS、エドマン分解、免疫親和性技術、EP3548652、WO2019083856、WO2019133892(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において開示されている方法、および他のタンパク質分離技術を使用して、プロテオームデータを同定、測定および定量することができる。
コンピュータ制御システム
【0161】
本開示は、本開示の方法を実行するためにプログラムされるコンピュータ制御システムを提供する。この判定、解析および統計的分類は、例えば、広範な教師ありおよび教師なしデータ解析ならびにクラスタリング手法、例えば、数ある中でも特に、階層的クラスター解析(HCA)、主成分分析(PCA)、部分的最小二乗判別分析(PLSDA)、機械学習(ランダムフォレストとしても公知)、ロジスティック回帰、決定木、サポートベクターマシン(SVM)、k近傍法、単純ベイズ、線形回帰、多項式回帰、回帰のためのSVM、K平均法クラスタリング、および隠れマルコフモデルを含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の方法により行われる。コンピュータシステムは、本開示のタンパク質セットまたはタンパク質コロナを分析する様々な態様、例えば、いくつかの試料の生体分子コロナを比較/分析して、統計的有意性を用いてどのようなパターンが個々の生体分子コロナ間に共通するのかを判定して、生物学的状態に関連するタンパク質セットを決定することなどを、行うことができる。コンピュータシステムを使用して、異なるタンパク質またはタンパク質コロナ(例えば、タンパク質コロナの組成に特有のもの)を検出および判別するための分類器を開発することができる。本明細書で開示されるセンサーアレイから収集したデータを使用して、機械学習アルゴリズム、特に、患者からのアレイ測定値を受信して各患者からの特異的生体分子コロナ組成を出力するアルゴリズムを訓練することができる。アルゴリズムを訓練する前に、アレイからの生データのノイズを先ず除去して、個々の変数のばらつきを低減させることができる。
【0162】
機械学習を、学習データセットを経験した後に新しい、まだ見たことがない例/タスクを正確に実行する学習機械の能力として汎化することができる。機械学習は、以下の概念および方法を含み得る。教師あり学習概念は、AODE;人工ニューラルネットワーク、例えば、誤差逆伝播法、オートエンコーダー、ボルツマンマシン、制限ボルツマンマシン、およびスパイキングニューラルネットワーク;ベイズ統計学、例えば、ベイジアンネットワークおよびベイジアン知識ベース;事例ベース推論;ガウス過程回帰;遺伝子発現プログラミング;グループデータ処理法(GMDH);帰納論理プログラミング;事例ベース学習;怠惰学習;学習オートマトン;学習ベクトル量子化;ロジスティックモデルツリー;最小メッセージ長(決定木、決定グラフなど)、例えば、最近傍アルゴリズムおよび類推モデリング;確率的で近似的に正しい学習(PAC)学習;リップルダウンルール、知識獲得方法論;シンボリック機械学習アルゴリズム;サポートベクターマシン;ランダムフォレスト;分類器のアンサンブル、例えば、ブートストラップ・アグリゲーティング(バギング)およびブースティング(メタアルゴリズム);順序分類;情報ファジーネットワーク(IFN);条件付き確率場;ANOVA;線形分類器、例えば、フィッシャー線形判別、線形回帰、ロジスティック回帰、多項ロジスティック回帰、単純ベイズ分類器、パーセプトロン、サポートベクターマシン;二次分類器;k近傍法;ブースティング;決定木、例えば、C4.5、ランダムフォレスト、ID3、CART、SLIQ、SPRINT;ベイジアンネットワーク、例えば単純ベイズ;ならびに隠れマルコフモデルを含み得る。教師なし学習概念は、期待値最大化アルゴリズム;ベクトル量子化;生成位相マップ;情報ボトルネック法;人工ニューラルネットワーク、例えば、自己組織化マップ;相関ルール学習、例えば、アプリオリアルゴリズム、EclatアルゴリズムおよびFPgrowthアルゴリズム;階層的クラスタリング、例えば、最短距離クラスタリングおよび概念クラスタリング;クラスター解析、例えば、K平均アルゴリズム、ファジークラスタリング、DBSCAN、およびOPTICSアルゴリズム;ならびに外れ値検出、例えば局所外れ値因子法を含み得る。半教師あり学習概念は、生成モデル;低密度分離;グラフベース法;および共訓練を含み得る。強化学習概念は、時間的差分学習;Q学習;学習オートマトン;およびSARSAを含み得る。深層学習概念は、深層信念ネットワーク;深層ボルツマンマシン;深層畳み込みニューラルネットワーク;深層再帰型ニューラルネットワーク;および階層的時間的記憶を含み得る。本明細書に記載の方法を実行するようにコンピュータシステムを構成することができる。システムは、本明細書に記載の方法を実行するようにプログラムされている中央コンピュータサーバーを含む。サーバーは、単一コアプロセッサー、マルチコアプロセッサー、または並列処理用の複数のプロセッサーであり得る、中央処理装置(CPU、または「プロセッサー」)を含む。サーバーは、メモリー(例えば、ランダムアクセスメモリー、リードオンリーメモリー、フラッシュメモリー);電子記憶装置(例えば、ハードディスク);1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信用インターフェース(例えば、ネットワークアダプター);ならびにキャッシュ、他のメモリー、データ記憶および/または電子ディスプレイアダプターを含み得る周辺デバイスも含む。メモリー、記憶装置、インターフェースおよび周辺機器は、マザーボードなどのコミュニケーションバス(実線)を介してプロセッサーとつながっている。記憶装置は、データを格納するためのデータ記憶装置であり得る。サーバーは、通信用インターフェースを活用してコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)に動作可能に結合されている。ネットワークは、インターネット、イントラネットおよび/またはエクストラネット、インターネットとつながっているイントラネットおよび/またはエクストラネット、電気通信ネットワークまたはデータネットワークであり得る。一部の場合のネットワークは、サーバーを活用してピアツーピア・ネットワークを実装することができ、これにより、サーバーに結合されているデバイスは、クライアントまたはサーバーとして動作できるようになり得る。
【0163】
記憶装置は、ファイル、例えば対象レポート、および/または個体についてのデータに関する通信、または本開示に関連するデータの任意の態様を格納することができる。
【0164】
コンピュータサーバーは、1つまたは複数のリモートコンピュータシステムとネットワーク経由で通信することができる。1つまたは複数のリモートコンピュータシステムは、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、電話、スマートフォン、または携帯情報端末であり得る。
【0165】
一部の応用では、コンピュータシステムは、単一のサーバーを含む。他の状況では、システムは、イントラネット、エクストラネットおよび/またはインターネット経由で互いにつながっている複数のサーバーを含む。
【0166】
サーバーを、本明細書で提供されるような測定データもしくはデータベース、対象からの患者情報、例えば病歴、家族歴、人口統計データなど、および/または特定の応用との潜在的関連性についての他の臨床もしくは個人情報を格納するように構成することができる。そのような情報を記憶装置またはサーバーに格納することができ、そのようなデータをネットワーク経由で伝送することができる。
【0167】
本明細書に記載の方法を、例えばメモリーまたは電子記憶装置上などの、サーバーの電子記憶場所に格納された、機械(またはコンピュータプロセッサー)実行可能コード(またはソフトウェア)によって実行することができる。使用中、コードは、プロセッサーにより実行され得る。一部の場合には、プロセッサーによるアクセスを容易にするために、コードを記憶装置から読み出してメモリーに格納することができる。一部の状況では、電子記憶装置を除外することができ、機械実行可能命令はメモリーに格納される。あるいは、コードを第2のコンピュータシステムで実行することができる。
【0168】
サーバーなどの本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングで実施することができる。技術の様々な態様は、概して、ある種の機械可読媒体に搭載されているまたはある種の機械可読媒体で実施される機械(またはプロセッサー)実行可能コードおよび/または関連データの形の、「製品」または「製造物品」と考えることができる。機械実行可能コードを、電子記憶装置、そのようなメモリー(例えば、リードオンリーメモリー、ランダムアクセスメモリー、フラッシュメモリー)またはハードディスクに格納することができる。「記憶」型媒体は、ソフトウェアプログラミングのために任意の時点で非一過性記憶を提供することができる、コンピュータ、プロセッサーもしくは同様のものの有形メモリー、またはその関連モジュール、例えば、様々な半導体メモリー、テープドライブ、ディスクドライブおよび同様のものの、いずれかまたは全てを含み得る。ソフトウェアの全てまたは部分を、ときには、インターネットまたは様々な他の電気通信ネットワーク経由でつなげることができる。このような通信は、例えば、あるコンピュータまたはプロセッサーから別のコンピュータまたはプロセッサーへの、例えば、管理サーバーまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバーのコンピュータプラットフォームへの、ソフトウェアのローディングを可能にし得る。したがって、ソフトウェアエレメントを運ぶことができる別の種類の媒体は、ローカルデバイス間の物理的インターフェースを横断して、有線および光電話回線ネットワーク経由で、および様々なエアリンクを介して使用されるものなどの、光波、電波および電磁波を含む。有線もしくは無線リンク、光リンクまたは同様のものなどの、そのような波を搬送する物理的素子も、ソフトウェアを運ぶ媒体と見なすことができる。本明細書で使用される場合、非一過性、有形「記憶」媒体に限定されていない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のために命令をプロセッサーに与えることに関与する任意の媒体を指すことができる。
【0169】
本明細書に記載のコンピュータシステムは、本明細書に記載のアルゴリズムまたはアルゴリズムに基づく方法のいずれかを遂行するためのコンピュータ実行可能コードを含み得る。一部の応用では、本明細書に記載のアルゴリズムは、少なくとも1つのデータベースから構成されている記憶装置を使用することになる。
【0170】
本開示に関連するデータを受信者による受信および/または再調査のためにネットワークまたは接続を介して伝送することができる。受信者は、これらに限定されないが、レポートが関係する対象;またはその介護者、例えば、医療提供者、管理者、他の医療専門家、もしくは他の世話係り;分析を行うおよび/または注文する人物または企業であり得る。受信者は、そのようなレポートを選別するためのローカルまたはリモートシステム(例えば、「クラウドコンピューティング」アーキテクチャのサーバーまたは他のシステム)であることもある。一実施形態では、コンピュータ可読媒体は、本明細書に記載の方法を使用する生体試料の分析の結果の伝送に好適な媒体を含む。
【0171】
本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングで実施することができる。この技術の様々な態様は、概して、ある種の機械可読媒体に搭載されているまたはある種の機械可読媒体で実施される機械(またはプロセッサー)実行可能コードおよび/または関連データの形の、「製品」または「製造物品」と考えることができる。機械実行可能コードを、電子記憶装置、例えば、メモリー(例えば、リードオンリーメモリー、ランダムアクセスメモリー、フラッシュメモリー)またはハードディスクに格納することができる。「記憶」型媒体は、ソフトウェアプログラミングのために任意の時点で非一過性記憶を提供することができる、コンピュータ、プロセッサーもしくは同様のものの有形メモリー、またはその関連モジュール、例えば、様々な半導体メモリー、テープドライブ、ディスクドライブおよび同様のものの、いずれかまたは全てを含み得る。ソフトウェアの全てまたは部分を、ときには、インターネットまたは様々な他の電気通信ネットワーク経由でつなげることができる。このような通信は、例えば、あるコンピュータまたはプロセッサーから別のコンピュータまたはプロセッサーへの、例えば、管理サーバーまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバーのコンピュータプラットフォームへの、ソフトウェアのローディングを可能にし得る。したがって、ソフトウェアエレメントを運ぶことができる別の種類の媒体は、ローカルデバイス間の物理的インターフェースを横断して、有線および光電話回線ネットワーク経由で、および様々なエアリンクを介して使用されるものなどの、光波、電波および電磁波を含む。有線もしくは無線リンク、光リンクまたは同様のものなどの、そのような波を搬送する物理的素子も、ソフトウェアを運ぶ媒体と見なすことができる。本明細書で使用される場合、非一過性、有形「記憶」媒体に限定されていない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のために命令をプロセッサーに与えることに関与する任意の媒体を指す。
【0172】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理的伝送媒体を含むがこれらに限定されない、多くの形を取り得る。不揮発性記憶媒体は、例えば、光または磁気ディスク、例えば、図面に示されている、データベース等を実装するために使用され得るものなどのような、任意のコンピュータ内の記憶デバイスのいずれかまたは同様のものを含む。揮発記憶媒体は、ダイナミックメモリー、例えば、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリーを含む。有形伝送媒体は、同軸ケーブル;銅線および光ファイバー、例えば、コンピュータシステム内のバスを含むワイヤなどを含む。搬送波伝送媒体は、電気もしくは電磁シグナルの形、またはラジオ周波数(RF)および赤外(IR)データ通信中に発生するものなどの音波もしくは光波の形を取り得る。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、任意の他のメモリーチップもしくはカートリッジ、搬送波伝送データもしくは命令、そのような搬送波を輸送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができる任意の他の媒体が挙げられる。コンピュータ可読媒体のこれらの形の多くは、実行のためのプロセッサーへの1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスの搬送に関与し得る。
機械学習を使用するタンパク質コロナの分類
【0173】
疾患または障害および/または病状に関連するタンパク質のセットを決定する方法は、少なくとも2つの試料のコロナの解析を含む。この判定、解析または統計的分類は、例えば、広範な教師ありおよび教師なしデータ解析、機械学習、深層学習、およびクラスタリング手法、例えば、数ある中でも特に、階層的クラスター解析(HCA)、主成分分析(PCA)、部分的最小二乗判別分析(PLS-DA)、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、決定木、サポートベクターマシン(SVM)、k近傍法、単純ベイズ、線形回帰、多項式回帰、回帰のためのSVM、K平均法クラスタリング、および隠れマルコフモデルなどを含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知の方法により行われる。言い換えると、各試料のコロナ中のタンパク質は、統計的有意性を用いて、どのようなパターンが個々のコロナ間で共通しているのかを判定して、疾患または障害または病状に関連するタンパク質のセットを決定するために、互いに比較/解析される。
【0174】
一般に、機械学習アルゴリズムは、例を説明する入力特徴に基づいて例にクラス標識を正確に指定するモデルを構築するために使用される。一部の場合には、本明細書に記載の方法に機械学習および/または深層学習手法を利用することは有利であり得る。例えば、機械学習を使用して、タンパク質コロナを様々な病状(例えば、無病、疾患の前兆、疾患の早期または後期にあることなど)と関連付けることができる。例えば、一部の場合には、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムは、タンパク質コロナおよびそれに由来するタンパク質のセットごとに検出されたおよび得られたデータを解析するために、本発明の方法に関連して利用される。例えば、一実施形態では、機械学習を本明細書に記載のセンサーアレイと連結させて、対象が、がんの前段階にあるのか、がんを有するのか、またはがんを有しても発症してもいないのかを判定することのみならず、がんの種類を区別することもできる。
番号付き実施形態
【0175】
以下の実施形態は、本明細書で開示される特徴の組合せの非限定的順列を記載するものである。特徴の組合せの他の順列も考えられる。特に、これらの番号付き実施形態の各々は、列挙されているそれらの順序とは無関係の、あらゆる前または後の番号が付いている実施形態に従属または関連すると考えられる。1.試料中のタンパク質を同定する方法であって、複数の粒子型を含むパネルを試料とともにインキュベートして複数のタンパク質コロナを形成するステップ、複数のタンパク質コロナを消化してプロテオームデータを生成するステップ、およびプロテオームデータを定量することにより試料中のタンパク質を同定するステップを含む方法。2.試料が、対象からのものである、実施形態1の方法。3.同定するステップからの試料のタンパク質プロファイルを判定するステップおよびタンパク質プロファイルを対象の生物学的状態と関連付けるステップをさらに含む、実施形態2の方法。4.複数のタンパク質コロナを消化することによりプロテオームデータを生成すること、複数のタンパク質コロナのタンパク質プロファイルを判定すること、およびタンパク質プロファイルを生物学的状態と関連付けることにより、対象からの試料の生物学的状態を判定するステップをさらに含み、パネルが少なくとも2つの異なる粒子型を含む、実施形態1の方法。5.関連付けることが、訓練された分類器により行われる、実施形態4の方法。6.パネルが、少なくとも3つの異なる粒子型、少なくとも4つの異なる粒子型、少なくとも5つの異なる粒子型、少なくとも6つの異なる粒子型、少なくとも7つの異なる粒子型、少なくとも8つの異なる粒子型、少なくとも9つの異なる粒子型、少なくとも10の異なる粒子型、少なくとも11の異なる粒子型、少なくとも12の異なる粒子型、少なくとも13の異なる粒子型、少なくとも14の異なる粒子型、少なくとも15の異なる粒子、または少なくとも20の異なる粒子型を含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。7.パネルが、少なくとも4つの異なる粒子型を含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。8.パネルの少なくとも1つの粒子型が、パネルの第2の粒子型とは異なる物理的特徴を有する、実施形態1~7のいずれか1つの方法。9.物理的特徴が、サイズ、多分散指数、表面電荷、または形態である、実施形態8の方法。10.パネル内の複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型のサイズが、10nm~500nmである、実施形態1~9のいずれか1つの方法。11.パネル内の複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の多分散指数が、0.01~0.25である、実施形態1~10のいずれか1つの方法。12.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の形態が、球状、コロイド状、正方形、ロッド、ワイヤ、円錐、ピラミッド形または楕円形を含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法。13.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の表面電荷が、正の表面電荷を含む、実施形態1~12の方法。14.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の表面電荷が、負の表面電荷を含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。15.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型の表面電荷が、中性表面電荷を含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。16.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、パネルの第2の粒子型とは異なる化学的特徴を有する、実施形態1~15のいずれか1つの方法。17.化学的特徴が、表面官能性化学基である、実施形態16の方法。18.官能性化学基が、アミンまたはカルボキシレートである、実施形態17の方法。19.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、ポリマー、脂質、または金属、シリカ、タンパク質、核酸、小分子または大分子を含む材料で作製される、実施形態1~18のいずれか1つの方法。20.ポリマーが、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、またはポリアミン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリエステル(例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ乳酸、もしくはポリカプロラクトン)、ポリスチレン、または2つもしくはそれより多くのポリマーのコポリマーを含む、実施形態19の方法。21.脂質が、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシドおよびジアシルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-trans PE、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、リン酸ジセチル、またはコレステロールを含む、実施形態19の方法。22.金属が、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、イリジウム、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニオブ、モリブデン、タングステン、タンタル、鉄、またはカドミウム、チタン、または金を含む、実施形態19の方法。23.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフマレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、またはポリアミン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、ポリエステル(例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリ乳酸、もしくはポリカプロラクトン)、ポリスチレン、または2つもしくはそれより多くのポリマーのコポリマー、ポリエチレングリコールを含むポリマーで、表面官能化されている、実施形態1~22のいずれか1つの方法。24.タンパク質プロファイルを生物学的状態に、少なくとも70%の正確度、少なくとも75%の正確度、少なくとも80%の正確度、少なくとも85%の正確度、少なくとも90%の正確度、少なくとも92%の正確度、少なくとも95%の正確度、少なくとも96%の正確度、少なくとも97%の正確度、少なくとも98%の正確度、少なくとも99%の正確度、または100%の正確度で関連付ける、実施形態3~23のいずれか1つの方法。25.タンパク質プロファイルを生物学的状態に、少なくとも70%の感度、少なくとも75%の感度、少なくとも80%の感度、少なくとも85%の感度、少なくとも90%の感度、少なくとも92%の感度、少なくとも95%の感度、少なくとも96%の感度、少なくとも97%の感度、少なくとも98%の感度、少なくとも99%の感度、または100%の感度で関連付ける、実施形態3~24のいずれか1つの方法。26.タンパク質プロファイルを生物学的状態に、少なくとも70%の特異度、少なくとも75%の特異度、少なくとも80%の特異度、少なくとも85%の特異度、少なくとも90%の特異度、少なくとも92%の特異度、少なくとも95%の特異度、少なくとも96%の特異度、少なくとも97%の特異度、少なくとも98%の特異度、少なくとも99%の特異度、または100%の特異度で関連付ける、実施形態3~25のいずれか1つの方法。27.少なくとも100のユニークタンパク質、少なくとも200のユニークタンパク質、少なくとも300のユニークタンパク質、少なくとも400のユニークタンパク質、少なくとも500のユニークタンパク質、少なくとも600のユニークタンパク質、少なくとも700のユニークタンパク質、少なくとも800のユニークタンパク質、少なくとも900のユニークタンパク質、少なくとも1000のユニークタンパク質、少なくとも1100のユニークタンパク質、少なくとも1200のユニークタンパク質、少なくとも1300のユニークタンパク質、少なくとも1400のユニークタンパク質、少なくとも1500のユニークタンパク質、少なくとも1600のユニークタンパク質、少なくとも1700のユニークタンパク質、少なくとも1800のユニークタンパク質、少なくとも1900のユニークタンパク質、または少なくとも2000のユニークタンパク質を同定する、実施形態1~26のいずれか1つの方法。28.複数の粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、超常磁性酸化鉄ナノ粒子を含む、実施形態1~27のいずれか1つの方法。29.試料が、体液である、実施形態1~28のいずれか1つの方法。30.体液が、血漿、血清、CSF、尿、涙または唾液を含む、実施形態29の方法。31.タンパク質コロナ解析のためのパネルを選択する方法であって、少なくとも3つの異なる物理化学的特性を有する複数の粒子型を選択するステップを含む方法。32.異なる物理化学的特性が、表面電荷、表面化学構造、サイズ、および形態からなる群から選択される、実施形態31の方法。33.異なる物理化学的特性が、表面電荷を含む、実施形態32の方法。34.粒子のパネルを含む組成物であって、パネルが、複数の粒子型を含み、複数の粒子型が、少なくとも3つの異なる物理化学的特性を有する、組成物。35.異なる物理化学的特性が、表面電荷、表面化学構造、サイズ、および形態からなる群から選択される、実施形態35の組成物。36.異なる物理化学的特性が、表面電荷を含む、実施形態36の組成物。37.実施形態1~34のいずれか1つのパネルを含むシステム。38.パネルを含むシステムであって、パネルが複数の粒子型を含む、システム。39.複数の粒子型が、少なくとも3つの異なる物理化学的特性を有する、実施形態38のシステム。40.パネルが、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、または少なくとも12の異なる粒子型を含む、実施形態3
8のシステム。41.複数の粒子型が、複数のタンパク質コロナを形成するために試料から複数のタンパク質を吸着できる、実施形態38のシステム。42.複数のタンパク質コロナが、タンパク質プロファイルを判定するために消化される、実施形態41のシステム。43.タンパク質プロファイルが、訓練された分類器を使用して生物学的状態と関連付けられる、実施形態42のシステム。
【実施例】
【0176】
以下の実施例を、本開示の一部の態様をさらに説明するために含めるが、本発明の範囲を制限するために使用するべきではない。
(実施例1)
SPNMPまたは超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)の合成
【0177】
SPMNPまたはSPIONは、文献(Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 5875
- 5879 & Langmuir 2012, 28, 3271 - 3278)における方法に従うことにより
、アルカリ源としての酢酸ナトリウム(NaOAc)および静電安定剤としてのクエン酸三ナトリウム(Na3Cit)の存在下、エチレングリコール(EG)でのFeCl3の還元による200℃でのソルボサーマル反応によって合成した。過剰なEGが溶媒および還元剤の両方として作用した。
【0178】
出発材料:塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H2O)、MW270.30、CAS番号10025-77-1;酢酸ナトリウム(NaOAc)、MW82.03、CAS番号127-09-3;クエン酸三ナトリウム二水和物(Na3Cit・2H2O)、MW294.10、CA#6132-04-3;エチレングリコール(EG)、MW62.07、CAS番号107-21-1。
【0179】
ソルボサーマル反応によるFe3O4ナノ粒子のための手順:
【0180】
(1)典型的には、FeCl3(0.65g、4.0mmol)およびクエン酸ナトリウム(0.20g、0.68mmol)を先ずEG(20mL)に溶解し、その後、酢酸ナトリウム(1.20g、14.6mmol)を攪拌しながら添加した。混合物をテフロン(登録商標)裏打ちステンレス鋼オートクレーブ(容量50mL)内で30分間、160℃で激しく攪拌し、次いで密封した。(2)オートクレーブを200℃で加熱し、12時間維持し、次いで放置して室温に冷却した。(3)黒色生成物を磁石により単離し、DI水で>5回洗浄した。(4)最終Fe3O4ナノ粒子生成物を60℃で12時間、真空で乾燥させてまたは凍結乾燥させて黒色粉末にした。Fe3O4@SiO2コア/シェルを文献(J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 28 - 29 & J. Mater. Chem. B, 2013, 1, 4684 - 4691)における方法に従うことにより改良型ストーバー法によって調製した。
【0181】
出発材料:ソルボサーマル反応によって合成したFe3O4ナノ粒子;オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、MW208.33、CAS番号78-10-4;アンモニア溶液25%;臭化セトリモニウム(CTAB)、MW364.45、CAS番号57-09-0;(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)、MW221.37、CAS番号919-30-2。
【0182】
Fe3O4@SiO2コア/シェルナノ粒子のための手順:
【0183】
(1)超常磁性Fe3O4 NPを、以前に報告されたソルボサーマル反応(Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 5875 - 5879 & Langmuir 2012, 28, 3271 - 3278))に従って合成した。次いで、得られたFe3O4ナノ粒子を使用して、2ステップコーティング手順によって高アミノ化超常磁性メソ多孔質複合ナノ粒子を調製した。(2)手短に述べると、0.08gのFe3O4ナノ粒子をエタノール(50mL)とDI水(1mL)と濃厚アンモニア水溶液(1.7mL、25重量%)との混合物に均一に分散させ、その後、TEOS(140μL)を添加した。40℃で6時間攪拌した後、非晶質のシリカコーティングが施されている超常磁性ナノ粒子(Fe3O4@SiO2と表示する)を得、水で5回洗浄した。(3)次いで、テンプレートとしてCTABを使用することにより、塩基で触媒されるゾル-ゲルシリカ反応によって高アミノ化メソ多孔質シリカシェルでFe3O4@SiO2ナノ粒子をコーティングした。典型的には、上記調製Fe3O4@SiO2ナノ粒子(5mg)を、CTAB(0.08g)と、酢酸エチル(0.7mL)と、DI水(113mL)と、濃アンモニア(2.42mL、25重量%)とを含有する混合溶液に分散させた。TEOS(0.18mL)およびAPTES(0.22mL)を分散液に、300rpmの攪拌速度を用いて添加した。室温での3時間の反応の後、生成物を磁石で回収し、水およびエタノールそれぞれで繰り返し洗浄した。
【0184】
(4)細孔生成用テンプレート(CTAB)を除去するために、合成したそのままの材料を60℃で3時間、継続的に攪拌しながらエタノール(60mL)に移入した。界面活性剤抽出ステップを2回繰り返して、CTABを確実に除去した。テンプレート除去生成物をエタノールで2回洗浄し、サンドイッチ構造の高アミノ化超常磁性メソ多孔質複合ナノ粒子(Fe3O4@SiO2@mSiO2-NH2)を得た。
【0185】
Fe3O4@polymer複合ナノ粒子を界面活性剤の非存在下でのシード乳化重合(Langmuir 2012, 28, 3271 - 3278)によって合成した。
【0186】
ソルボサーマル反応によって合成したFe3O4ナノ粒子。
【0187】
出発材料:ソルボサーマル反応によって合成したFe3O4ナノ粒子;オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、MW208.33、CAS番号78-10-4;3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MPS)、MW248.35、CAS番号2530-85-0;アンモニア溶液25%;ジビニルベンゼン(DVB)、MW130.19、CAS番号1321-74-0;スチレン(St)、MW104.15、CAS番号100-42-5;メタクリル酸(MAA)、MW86.09、CAS番号79-41-4;過硫酸アンモニウム(APS)、MW228.20、CAS番号7727-54-0。
【0188】
Fe3O4@polymerコア/シェル型ナノ粒子のための手順:
【0189】
(1)SPIONを、以前に報告されたソルボサーマル反応(Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 5875 - 5879 & Langmuir 2012, 28, 3271 - 3278))に従って合成した。(2)Fe3O4@MPSを改良型ストーバー法によって調製した。典型的には、1gのFe3O4ナノ粒子をエタノール(50mL)とDI水(2mL)と濃厚アンモニア水溶液(2mL、25重量%)との混合物に均一に分散させ、その後、TEOS(200μL)およびMPS(2mL)を添加した。70℃で24時間攪拌した後、MPSコーティングが施されている超常磁性NPを得、水で5回洗浄し、凍結乾燥させて暗褐色粉末にし、-20℃で保管した。(3)Fe3O4@Polymerナノ粒子を界面活性剤の非存在下でのシード乳化重合によって合成した。典型的には、100mgのFe3O4@MPSを125mLのDI水に均一に分散させた。30分間、N2でバブリングした後、2mLのSt、0.2mLのDVBおよび0.4mLのMAAをFe3O4@MPS懸濁液に添加した。0.2gのNaOHおよび40mgのAPS水溶液5mLの添加後、得られた混合物を一晩、75℃に加熱した。(4)冷却した後、Fe3O4@P(St-co-MAA)を得、水で5回洗浄し、凍結乾燥させて暗褐色粉末にした。
(実施例2)
粒子型のパネルの構築
【0190】
この実施例は、粒子型のパネルの構築を説明する。約170の全粒子型を含む粒子ライブラリーを構築した。各粒子を生体試料とともにインキュベートすることにより、各粒子型についての生体分子コロナを生成した。タンパク質コロナからのプロテオームデータを各粒子型について解析し、これは、電気泳動に基づく定性的解析、ならびに質量分析データおよびヒートマップに基づく定量的解析を含んだ。粒子およびコロナ特性に基づいてある特定の粒子型を選択することによりパネルを構築した。粒子型が血漿試料中のタンパク質について有したカバレッジの広さに基づいて、粒子パネルのための粒子型を選択した。
図5は、プロテオームデータを生成するためのプロセス、およびパネル選択のためのプロセスを示す。
図6に示されているように、粒子特性は、サイズ/幾何形状、電荷、表面官能基、磁力を他の特性に加えて含む。これらの特性の各々を、粒子型をパネルに加える前のその粒子型の完全な特徴付けの際に様々な試験によりアッセイすることができる。
図7に示されているように、動的光散乱を使用して、2つの粒子型:SP-002(フェノール-ホルムアルデヒドコーティングが施されている粒子)およびSP-010(カルボキシレート、PAAコーティングが施されている粒子)のサイズ分布を特徴付けた。
図8に示されているように、TEMを使用して、SP-002(フェノール-ホルムアルデヒドコーティングが施されている粒子)(
図8A)およびSP-339(ポリスチレンカルボキシル粒子)(
図8B)を含む2つの粒子型のサイズおよび形態を特徴付けた。
図9に示されているように、XPSを使用してSP-333(カルボキシレート)、SP-339(ポリスチレンカルボキシレート)、SP-356(シリカアミノ)、SP-374(シリカシラノール)、HX-20(シリカコーティングが施されている)、HX-42(シリカコーティングが施されている、アミン)、およびHX-74(PDMPAPMAコーティングが施されている(ジメチルアミン))を含む様々な粒子型の表面に存在する化学基を分析した。
(実施例3)
別個の表面化学構造を有する酸化鉄NPの合成および特徴付け
【0191】
この実施例は、別個の表面化学構造を有する酸化鉄NPの合成および特徴付けを説明する。粒子タンパク質コロナを遊離血漿タンパク質から分離するためにおよび緩く結合しているタンパク質を粒子から洗浄除去するために繰り返される遠心分離または膜濾過にも耐えることができるが、それを必要とせずに容易に調製することができる、頑強な粒子の必要性に対処するために、超常磁性酸化鉄NP(SPION)をタンパク質コロナ形成のために開発した(
図23、最上部)。酸化鉄粒子コアは、磁石を使用する<30秒での血漿溶液からの粒子の迅速な分離を助長した(
図4)。これは、LC-MS/MSによる解析のための粒子タンパク質コロナの抽出に必要な時間を大幅に短縮させた。さらに、プロテオームのより幅広い照合のためのタンパク質コロナの明確に異なるパターンの生成を助長する様々な表面化学を用いて、SPIONを頑強に修飾した。
【0192】
別様に表面官能化されている3つのSPION(SP-003、SP-007およびSP-011)を合成した(
図28)。オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を使用して改良型ストーバー法によりSP-003にシリカの薄層のコーティングを施した。ポリ(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングが施されているSPION(SP-007)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)コーティングが施されているSPION(SP-011)の合成のために、先ず、TEOSおよび3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートを使用して改良型ストーバー法により酸化鉄粒子コアをビニル基で修飾した。次に、ビニル基官能化SPIONをN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドおよびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートとのフリーラジカル重合によりそれぞれ表面修飾して、SP-007およびSP-011を調製した。
【0193】
走査型電子顕微鏡法(SEM)、動的光散乱(DLS)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、高分解能TEM(HRTEM)、およびX線光電子分光分析(XPS)を含む様々な技法を使用して3つのSPIONを特徴付けして、SPIONのサイズ、形態および表面特性を評価した(
図23)。DLS測定の結果は、SP-003、SP-007およびSP-011が、それぞれ、約233nm、約283nmおよび約238nmの平均サイズを有することを示した。これは、3つ全てのSPIONが200nm~300nmの範囲のサイズを有する球および半球形態を有することを示したSEM測定と一致した。SPIONの表面電荷をゼータ電位(ζ)分析により評価し、この分析は、pH7.4でSP-003、SP-007およびSP-011についてそれぞれ-36.9mV、+25.8mVおよび-0.4mVのζ電位値を示した(表2~4)。
【表2】
【表3】
【表4】
【0194】
これは、SP-003、SP-007およびSP-011が、
図23の概略図に示されているように各粒子の表面を修飾するために使用したコーティング官能基の電荷と一致する、負、正および中性の表面を有することを示した。HRTEMを使用してコーティングの厚みを評価した。SP-003については、完全な非晶質シェルが酸化鉄コアの周囲に10nmを超える厚みで観察された(
図23、上の第5の列)。SP-007およびSP-011については、比較的薄い(<10nm)非晶質特徴が粒子の表面で観察された(
図23中の矢印、中間および下の第5の列)。加えて、表面分析のためにXPSを行い、XPSは、HRTEM画像とともに、それぞれの官能基で粒子のコーティング成功を確証した。
(実施例4)
パネルでのタンパク質の検出およびタンパク質プロファイルとがんの関連付け
【0195】
この実施例は、パネルでのタンパク質の検出およびタンパク質プロファイルとがんの関連付けを説明する。粒子のパネルは、様々な表面電荷を有する3つの異なる交差反応性リポソーム(アニオン性(DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)))、カチオン性(DOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)-DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン))、および中性(コレステロールを伴うジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)))を含む。
【0196】
図17Aは、健常およびがん患者からの試料の採取、試料からの血漿の単離、タンパク質コロナを形成するためのコーティングが施されていないリポソームとのインキュベーション、および選択血漿タンパク質の濃縮を含む、本出願のプロセスの概略図を示す。タンパク質コロナ形成は、粒子の物理化学的特性に基づいて異なり得る。
図17Bは、3粒子型パネルについてのコロナ解析シグナルを示す。血漿を対象45名(神経膠芽腫、肺がん、髄膜腫、骨髄腫および膵臓がんを含む5種のがんの各々から8名、および健常対照5名)から採取した。コロナ解析を3粒子型パネル内の各粒子について作成した。ランダムフォレストモデルを1000ラウンドの交差検証各々において構築した。ロバストなコロナ解析シグナルの強力な証拠がある。最初の予備解析は、PCAによって行った。
図18Aおよび
図18Bは、早期がんを症状発症の8年前までに分離することができることを示す。ゴレスタンコホートは、2004年~2008年の間に健常対象50,000名を登録した。
図18Aに示されているように、登録からの保存血漿を試験した。登録の8年後、患者おおよそ1000名ががんを発症した。
図18Bは、保存血漿の分類を示す。登録日からの保存血漿のコロナ解析は、検査した対象15名(3種のがん各々について患者5名)のうちの15名についてがんを正確に分類した。
図19は、3粒子型コロナ解析を使用する95%の全体正確度での5種のがんのロバストナ分類を示す。データは、粒子型の多様性の付加が性能を向上させることを示す。表面に負、中性および正の正味電荷(pH7.4)を有する3つの異なるリポソームを使用した。
(実施例5)
コロナ解析ワークフローによる迅速かつ深いプロテオーム解析
【0197】
この実施例は、コロナ解析ワークフローによる迅速かつ深いプロテオーム解析を説明する。血漿プロテオームの解析のための多粒子型タンパク質コロナ解析プラットフォーム(
図22B)を評価するために、大腸がん(CRC)がん対象8名からの組み合わせたプール血漿試料を用いてSPIONを試験した。これらの3つの粒子型の各々をタンパク質コロナ形成のために、先ず、血漿試料とともに約1時間、約37℃でインキュベートし、その後、未結合タンパク質からの粒子の磁石に基づく精製を行った(1サイクル当たり6分で3回)。次いで、粒子に結合したタンパク質を溶解し、消化し、精製し、溶出し、これらのステップに併せて約2~4時間かかり、その後、MSにより解析した。注目すべきことに、この調製ワークフローは、96のコロナ試料の1バッチに合計約4~6時間しか必要としなかった。
【0198】
MSによる解析およびデータ処理後、得られたMS2ペプチド-スペクトルマッチ(PSM)を使用して、各粒子型コロナに存在するタンパク質を同定した。並行して、生血漿試料からのタンパク質の、粒子コロナ形成なしの、直接検出も行った。試料からの同定タンパク質をMS測定または推測血漿タンパク質濃度のコンパイル済みデータベースと比較して、粒子コロナまたは血漿によるカバレッジの深度および程度を、既報のタンパク質濃度のデータベース値に対して実測タンパク質をプロットすることにより、調査した(
図24)。先ず、ほぼ11桁をカバーするデータベースからの1,255のタンパク質を最大存在量のタンパク質から最小存在量のタンパク質へ順にプロットした。実験に基づいて評価した試料の各々(生血漿対SP-003/SP-007/SP-011粒子コロナ)について、データベースとマッチするタンパク質を同様にプロットした。
図24から分かるように、データベースマッチタンパク質についての濃度の範囲により定義した場合、測定血漿プロテオームのダイナミックレンジは、粒子コロナについてのほうが(例えば、SP-007について40mg/mL~0.54ng/mL)、生血漿のダイナミックレンジについて(40mg/mL~1.2ng/mL)よりも2倍大きく、100ng/mL未満で存在する低存在量のタンパク質の数が10倍増加した(粒子について842および生血漿について84)。粒子上で検出された最も少ないタンパク質よりも低い濃度に関してアノテーションされているタンパク質は、データベース内に12しか存在しなかった。加えて、粒子型コロナの各々についてのユニークタンパク質の総数(約1,000)は、表5で明らかに実証されるように、生血漿について観察されたもの(<500)より多かった(>2倍)。
【表5】
【0199】
加えて、文献MSコンピレーションとの比較により以前には観察されなかったタンパク質の割合は、生血漿(45%)と比較して粒子についてのほうが大きかった(61~64%)。言い換えると、公開データベースにおいて以前のMS濃度に関してアノテーションされていないタンパク質が、生血漿で観察されたものより多く粒子コロナで同定された。データベースと重複する粒子タンパク質同定のプロットは、異なる粒子型が血漿タンパク質の異なるサブセットを選択することを確証する。これは、コロナのタンパク質組成物を主として決定する、3つのSPION粒子型の異なる表面特性に起因し得る。
【0200】
測定されるダイナミックレンジを圧縮する粒子の能力を評価するために、測定および同定されたタンパク質特徴強度を同じタンパク質の濃度について既報の値と比較した。先ず、各タンパク質について得られたペプチド特徴(
図24に提示されている通り)を、タンパク質の全ての可能性のある特徴の最大MS判定強度を用いて(OpenMS MSデータ処理ツールを使用してモノアイソトピックピーク値を抽出して)選択し、次いで、それらの強度をこれらの同じタンパク質についての既報の存在量レベルに対してモデル化した(
図25)。回帰モデルの傾きと測定データの強度スパンを比較すると、粒子コロナは、
図24と同様に、低い存在量(測定量または報告量)のタンパク質を、血漿が含有するよりも多く含有する。血漿測定と比較して粒子測定についてこれらの測定値のダイナミックレンジが圧縮された(回帰モデルの傾きが低減される)。これは、粒子が、得られるコロナの存在量についての測定ダイナミックレンジを血漿における元のダイナミックレンジと比較して有効に圧縮することができるという以前の観察と一致し、タンパク質の絶対濃度と、粒子に対するその結合親和性と、隣接タンパク質とのその相互作用との組合せに起因する可能性があった。上記の結果の全ては、多粒子型タンパク質コロナ戦略が、広範囲の血漿タンパク質、特に、従来のプロテオーム技術では迅速な検出が困難である低存在量のものについての同定を助長したことを示す。
【0201】
粒子コロナMSアッセイを使用するタンパク質同定のロバスト性を評価するために、3粒子型パネルを使用して完全アッセイ三重反復を行って、同じプールCRC血漿試料から個々のタンパク質コロナ試料を作出した。いずれか1つから、2つの全群に、3つの単一群に及ぶ粒子型の各組合せについて、組合せごとに列挙したユニークタンパク質の数を表6に示す。
【表6】
【0202】
「1つのみ」の列におけるタンパク質計数値は、3回の反復の各々を独立して使用すること、次いで組合せ計数値の全てについて平均値および標準偏差を得ることによって得た。表から分かるように、粒子パネル内の粒子型の数が増加すると、より多くのタンパク質が見出され、3粒子型の群では>1,500のユニークタンパク質(下記の表7に収載する通り、これらのうちの65がFDAの認可/承認を受けたバイオマーカーである)が見出された。「いずれか1つ」の反復の列におけるタンパク質計数値は、粒子型反復タンパク質リストの和集合を使用して得た。「3つ全て」の反復の列におけるタンパク質計数値は、粒子型反復タンパク質リストの共通集合を使用して得た。同定タンパク質の粒子反復の重複についてのさらなる尺度として、集合間類似度のメトリックであるジャッカード係数を一対比較各々について算出した。SP-003、SP-007およびSP-011についての値は、それぞれ、0.74±0.018、0.65±0.078、および0.76±0.019(平均±sd)であった。所与のMS試料中のタンパク質含有量の列挙は、MS2データ収集の確率的性質に依存し、試料内で示されるまたは試料間で一般に共有されるタンパク質についての過少計上を示すことがある。共有MS1特徴へのPSMマッピングは、この問題を軽減することができ、将来の解析のために開発されることになる、1つの手法の代表である。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0203】
ダイナミックレンジ。3粒子型パネルを、タンパク質濃度の広いダイナミックレンジにわたって試料中のタンパク質をアッセイするその能力について評定した。質量分析により同定したタンパク質に対応する特徴強度を、同じ濃度の同じタンパク質について他のアッセイにより判定した値と比較した。質量分析による解析およびデータ処理の後、MS2ペプチドスペクトルマッチ(PSM)を使用して、粒子パネル内の別個の粒子型のコロナに存在するペプチドおよび関連タンパク質を同定した。並行して、プロテオグラフワークフローによるコロナ解析のための3粒子型パネルを使用しない、血漿試料中のペプチドの直接検出も行った。OpenMS MSデータ処理ツールを使用してモノアイソトピックピーク値を抽出して判定して、全ての実測特徴の最大MS判定強度を有する得られたペプチド特徴を、各タンパク質について選択した。次いで、MS判定強度を、同じタンパク質についての匹敵する既報の存在量レベルに対してモデル化した。
図25は、血漿タンパク質に対する3粒子型パネル内の各粒子型についての別個のナノ粒子型からの別個のコロナにおけるタンパク質の最大強度と、他のモデルを使用した判定した同じタンパク質の濃度との相関関係を示す。回帰モデルの傾きと測定データの強度スパンによって示されるように、粒子コロナは、より低い存在量のタンパク質ヒットを、血漿が有するよりも多く有した。加えて、それらの測定値のダイナミックレンジは、回帰モデルの傾きの低減により示される通り、血漿測定と比較して粒子測定について圧縮され、したがって、粒子が、血漿中と比較してコロナ中のタンパク質存在量の測定ダイナミックレンジを有効に圧縮したことを示した。これは、絶対タンパク質濃度と、粒子に対するタンパク質結合親和性と、隣接タンパク質とのタンパク質相互作用との組合せに起因し得る。これらの結果は、別個の粒子型に対応する別個のコロナにおけるタンパク質の濃縮のために多粒子型パネルを使用する本明細書で開示する方法が、広範囲の血漿タンパク質、特に、従来のプロテオーム技術では迅速な検出が困難である低存在量のものについての同定を助長したことを示す。
(実施例6)
コロナ解析アッセイの精度
【0204】
この実施例は、コロナ解析アッセイの精度を説明する。アッセイの反復性および再現性の尺度である精度を、同じ条件下での複数の測定値の比較および個々の測定値間のばらつきの判定により評定した。粒子タンパク質コロナ解析プロテオグラフワークフローの再現性を調査するために、3つの粒子型の各々について3回の完全アッセイ反復からペプチドMS特徴強度を抽出し、比較した。openMSの一連のプログラムからのmsconvert.exeユーティリティを使用して、各反復の生MSファイルを、標準的な互換性MSファイル形式であるmzML形式に変換した。また、openMS処理パイプラインを使用して、滞留時間とmz値を重ね合わせることによりMS1特徴を生データから抽出し、アライメントを行って群にした。3回の反復の各々からの特徴を有する群を選択し、クラスタリングアルゴリズムの品質スコアに基づいてフィルター処理を行って下位10分の1を除去した(特徴群の90%をその後の精度解析のために保持した)。SP-003、SP-007およびSP-011ナノ粒子について、それぞれ合計2,744、2,785および3,209のクラスター化された特徴群を精度解析に使用した。これらの特徴群についての反復の各々についてのlog変換した生強度の分布を
図26にプロットし、各粒子型の値を、表示を付けたパネルに提示した。
図26に示されているように、各粒子型の特徴データには非常に再現性があり、この再現性は、高強度特徴と低強度特徴の両方にわたって一貫していた。
【0205】
生データの目視検査よりも定量的に性能を評定するために、群の特徴強度を分位正規化した後に粒子コロナの全体精度を推定した。この正規化法は、比較する全ての分布が同一であるはずであるという仮定に基づくものであったので、比較する分布ごとに強度を調整する。この前提は、粒子型自体の物理的特徴およびこれらの粒子の別の分析(例えば、X線光電子分光分析、透過型電子顕微鏡法および他の分析法での)からの物理的特徴の再現性を考えると、妥当である。正規化値を用いて、標準偏差を評価し、対数処理データの適切な変換を使用して変動係数(CV)を決定した。各粒子について、CV(分位正規化CVのパーセント、すなわちQNCV%)中央値を表8に示す。この結果は、粒子により測定されるタンパク質MS特徴強度が、合理的な小規模研究において比較的小さい差を検出するために観察される何千ものMS特徴強度にわたって十分な精度を有することを実証する。例えば、25%CVを仮定すると、ボンフェローニ補正有意性を用いて2倍の変化を検出するための検出力はおおよそ100%であった。
【0206】
比較する全ての分布が同一であるはずであることを事前に仮定し、比較する分布各々についての強度を適切に調整する、分位正規化を使用して、群特徴強度を正規化することによって粒子コロナの全体精度を推定した。正規化値を用いて、標準偏差を評価し、対数処理データの適切な変換を使用して変動係数(CV)を決定した。各粒子型について、CV(分位正規化CVのパーセント、すなわちQNCV%)中央値を表8に示す。低い変動係数(CV)は、高度のアッセイ精度を示す。
【表8】
【0207】
この結果は、粒子により測定されるタンパク質MS特徴強度が、合理的な小規模研究において比較的小さい差を検出するために観察される何千ものMS特徴強度にわたって十分な精度を有することを実証した。
(実施例7)
コロナ解析アッセイの正確度
【0208】
この実施例は、コロナ解析アッセイの正確度を説明する。方法の正確度は、バイオマーカー発見および検証研究において試料の真の群間差を検出するために十分ロバストであるべきである。コロナ解析アッセイの正確度は、コロナ解析アッセイ結果を他の方法によって得た結果と比較することにより判定した。コロナ解析アッセイの正確度を評価するために、SP-007ナノ粒子を使用してスパイク回収率研究を行った。C反応性タンパク質(CRP)を、その内在性レベルの測定値に基づいて解析に選択した。CRPについて酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により判定した内在性血漿レベルを使用して、既知量の精製タンパク質(「方法」を参照されたい)を、その内在性レベルの試験可能な倍数になるようにスパイクした。スパイクした後のCRPレベルをELISAによる実験によって判定して、1倍(未スパイク)、2倍、5倍、10倍および100倍の試料について、それぞれ、4.11、7.10、11.5、22.0および215.0μg/mLであった。SP-007粒子を用いてMSにより検出した4つの示されているCRPトリプシンペプチドについて、抽出MS1特徴強度をCRP濃度に対してプロットした(
図14A)。
図30もまた、4つの異なるペプチドのスパイク回収率実験におけるSP-007粒子でのCRPタンパク質の測定の正確度を示す。CRPの未スパイク1倍濃度のペプチドのうちの2つについて、MS1特徴強度を検出することができなかった。所与の特徴のスパイク強度を使用してフィットした線は線形モデルであった。
【0209】
CRPトリプシンペプチドの4つ全てに対する回帰モデルのフィッティングにより、ELISA血漿レベルに対するコロナMSシグナル強度の応答について、完璧な分析性能であると見なされる1の傾きに近い0.9の傾き(95%CI 0.81~0.98)を得た。対照的に、関連MS特徴からのシグナルに試料による差が見られないはずである5つの血漿試料のうちの少なくとも4つにおいて同定された1,308の他の(非スパイク)MS特徴にフィットした類似の回帰モデルは、-0.086(95%CI -0.1~-0.068)の傾きを有した。これらの結果は、試料間の差を正確に表すその粒子型の能力が、可能性のあるマーカーを比較研究において定量するのに有用なツールとなることを示した。何らかの因子に起因して試料中のタンパク質レベルが変化した場合、本明細書で開示する方法は、粒子パネルの粒子型に結合しているタンパク質の同様のレベル変化を検出することになり、これは、任意の所与のアッセイにおいて有効であるための本粒子型の非常に重要特性である。さらに、スパイクしたタンパク質のペプチド特徴の応答は、適切な較正により、粒子タンパク質コロナ法を使用して相対定量のみではなく絶対分析物レベルを判定することができたことも示唆する。
(実施例8)
NSCLC試料および健常対照のプロテオーム解析
【0210】
この実施例は、NSCLC試料および健常対照のプロテオーム解析を説明する。コロナ解析プラットフォームの潜在的有用性を実証するために、単一の粒子型、SP-007と、対象56名(ステージIV NSCLCを有する28名ならびに年齢および性別をマッチさせた対照28名)からの血清試料とを使用して群間の差を観察して、プラットフォームの能力を評価した。選択した対象試料は、群間に差がある可能性のあるMS特徴を同定するためのかなりバランスのよい研究を意味した。対象の年齢および性別特徴を表6に要約し、疾患状態および併存疾患を含む対象アノテーションに関する全データを表9にまとめる。
【表9】
【0211】
MS1特徴の収集およびフィルター処理、続いてそれらの強度のlog2変換の後、データセットは、クラスを考慮せずにスケーリングした中央値であった。
【0212】
図29は、56の対象データセット全てについての正規化強度分布を示す。このNSCLC対対照研究からの56の試料MS生データファイル全てをOpenMSパイプラインスクリプトにより処理して、MS1特徴およびそれらの強度を抽出し、mzと指定許容範囲内のRT値の重複に基づいてそれらを特徴群にクラスター化した。1)比較のアームの少なくとも1つからの群における特徴の少なくとも50%存在を有し、かつ2)第1四分位数より上の特徴群クラスター品質を有した特徴群のみを、保持した。保持した特徴は、クラスを考慮せずに正規化した中央値であり、これらの特徴をその後の単変量分析比較に使用した。分布の検査により外れ値はなく、全てのデータセットを単変量解析のために保持した。
【0213】
検査により外れ値データセットに見えるものは一切なかった。クラス間の特徴群強度の単変量比較を、ノンパラメトリックウィルコクソン検定(両側)で行った。比較について得られたp値を、ベンジャミニ・ホッホベルクの方法を使用して多重検定用に補正した。
図27に要約されているように、0.05の調整p値カットオフを使用して、合計7つの特徴群が統計的有意性を実証した。
【0214】
NSCLC罹患群と対照群の間で存在度が異なると同定されたタンパク質の5つ全てが、実際にNSCLC自体でないにしても、がんに以前に関係付けられていた。PON1、すなわちパラオキソナーゼ(paraoxanase)-1は、肺がんの際に、リスク因子としての
比較的よく見られる小さい対立遺伝子バリアント(Q192R)の関与を含む複雑なパターンを有する。タンパク質レベルでは、PON1は、肺腺癌の際にやや減少される。SAA1は、MS関連研究においてNSCLCの際に過剰発現されることが示されている急性期タンパク質であり、同定されたペプチドは、罹患対象では5.4倍増加されることが判明した。マトリソーム因子テネイシンC(TENA)は、原発性肺腫瘍および関連リンパ節転移の際に正常組織と比較して増加されることが示されており、関連MS特徴は、2倍増加されることがこの研究で判明した。神経細胞接着分子1(NCAM1)は、肺神経内分泌腫瘍を診断するためのマーカーとして役立つ。FIBAペプチドは、MSによる解析によって肺がんの悪化の進行と相関するレベル増加で同定された。特に注目すべきは、対照対象と罹患対象間で差を示す2つの未知の特徴、群2および群7である。群2は、対照56名のうちの54名に認められ、罹患対象では小規模な33%減少を有した。対照的に、群7は、罹患対象(このクラスのメンバー28名のうちの14名)にのみ認められた。これらの結果は、異なる病状のための既知および未知のマーカーを同定するのに役立つ粒子コロナの潜在的有用性を実証した。
(実施例9)
試料中のタンパク質をアッセイするための粒子パネル
【0215】
この実施例は、試料中のタンパク質をアッセイするための10粒子型粒子パネルを例証する。表10に示すこの粒子パネルは、サイズ、電荷およびポリマーコーティングが異なる10の別個の粒子型を含む。この粒子パネルの全ての粒子型は、超常磁性である。下記に示すパネルを使用して試料中のタンパク質をアッセイした。
【表10】
【0216】
V1パネルのタンパク質カバレッジ。臨床試料セットにおける複数の試料にわたって見られる全タンパク質群カバレッジを評価するために、個体16名からの血漿試料を、10の別個の粒子型のパネルであって、表10に示あれており、V1パネルと呼ばれるパネルについて、本明細書に記載する試料調製、MSデータ収集およびMSデータ解析法を使用して評価した。小細胞肺癌(NSCLC)患者と健常個体(各々についてn=8)の組合せを使用して、本明細書に記載の方法を使用する解析および同定のための、健常細胞とがん細胞の両方に存在するタンパク質およびタンパク質群の多様なセットを得た。1%FDR(タンパク質およびペプチド)率で、合計2,009のタンパク質群を効率的に同定した。比較のために、前に言及した公開研究では、70を超えるステップおよび1試料当たり30を超えるMS画分を含み、完了するまで数週間かかる可能性が高い複雑なワークフローで、16の個々の血漿試料にわたって4,500のタンパク質群が検出された。
(実施例10)
タンパク質アッセイのための10粒子型粒子パネル
【0217】
この実施例は、本明細書に記載の、生体分子コロナ解析を使用してタンパク質をアッセイする方法のための10粒子型粒子パネルの開発を例証する。
【0218】
粒子スクリーン。ガイド粒子を加えることによりコロナ解析プラットフォームがそのカバレッジを拡大することができることを実証するための、別個の物理化学的性質を有する43の粒子型であって、本明細書で開示する3粒子型粒子パネルと同様の方法でスクリーニングした43の粒子型からの生体分子コロナ。
【表11-1】
【表11-2】
【0219】
43の粒子型を、方法セクションで説明した通りの6つの条件を使用して評価し、最適な条件を二次解析で使用して、同定されたタンパク質の総数に基づいて最高の組合せを選択した。生体試料にわたってのプラットフォーム検証を実証するために、3粒子型粒子パネルに使用したCRCプールとは異なる、健常および肺がん患者の血漿プールを使用して、43粒子型スクリーニングを行った。プール試料を使用してタンパク質の多様性を増大させた。厳しい条件を使用して、パネル選択および最適化のための可能性のあるタンパク質を同定した。最大可能性評価のために、タンパク質は、3回の完全アッセイ反復の各々において少なくとも1つのペプチド-スペクトルマッチ(PSM;1%偽陽性率(FDR))により、「同定されたもの」として計数されることを示されなければならなかった。個々の一意のUniprot識別子の最大数を有するパネルを10粒子型粒子パネルに選択した。
【0220】
10粒子型粒子パネルのタンパク質カバレッジ。本明細書で開示するデータは、提供する粒子パネルを使用して、多くの生体試料にわたってプロテオーム含有率の変化を判定することができることを確証する。本明細書で開示される粒子パネルは、高い精度および正確度を有し、既知タンパク質に対する特異的配位子を必要としない偏りのない手法をとる方法を提供する。したがって、これらのパネルは、バイオマーカー発見に特によく適している。10粒子型パネルを使用する血漿タンパク質カバレッジの幅および深度を調査した。MS導出血漿タンパク質強度(濃度と密接な相関関係があるものの1つ)のデータベース(n=5,304)を使用して、10粒子型パネルのカバレッジをデータベースの全範囲と比較し、単純血漿のMS評価(粒子に基づく試料抽出を伴わない同じ血漿のMSによる直接解析)により得られたカバレッジとも比較した。
図36は、MS強度の5,304血漿タンパク質データベースに対する10の別個の粒子型の粒子パネルのマッチングおよびカバレッジを示す。データベースタンパク質についてのランク付けされた強度が一番上のパネル(「データベース」)に示されており、単純血漿MS評価からのタンパク質の強度が、2番目のパネル(「血漿」)に示されており、最適な10粒子パネルの強度が残りのパネルに示されている。血漿タンパク質強度データベースは、Keshishian et al. (2015). Multiplexed, Quantitative Workflow for Sensitive Biomarker Discovery in Plasma Yields Novel Candidates for Early Myocardial Injury. Molecular & Cellular Proteomics, 14(9), 2375-2393からのものである。
図36に示されている結果は、
図26に示されている精度実験で使用した上記の3つの別個の粒子型の粒子パネルについて示した結果を確証し、拡大した。10の別個の粒子型の粒子パネルは、単純血漿についての268のタンパク質に対して、1,598のタンパク質を同定した。さらに、個々の粒子型各々は、単純血漿のMSによる直接解析より実質的に多くのタンパク質を検出した。単純血漿に関するMSによる解析とは異なり、10の別個の粒子型の粒子パネルは、血漿タンパク質の濃度の全ての範囲を照合した。別の言い方をすれば、単純血漿試料から同定されたタンパク質は、より強度の大きいタンパク質(すなわち、より存在量の多いタンパク質)に偏っていたが、10の別個の粒子型の粒子パネルから同定されたタンパク質は、データベースにおける濃度のダイナミックレンジが8桁を超えて拡大した。データベース内の21のタンパク質しか、10の別個の粒子型の粒子パネルからのマッチした最低タンパク質より低い強度を有さなかった。
図36で実証されるように、10の別個の粒子型の粒子パネルは、高い精度、正確度、および血漿中の広範なタンパク質濃度にわたる広いカバレッジを実証しており、多数の生体分子にわたっての並行した大規模な、偏りのないプロテオーム解析を可能にし、ゲノムデータ収集で現在可能であることのコストおよび速度とマッチし得る。
【0221】
10の別個の粒子型を含む粒子パネルの精度。この実施例は、10の別個のナノ粒子型を含む粒子パネルについての粒子コロナの再現性を説明する。粒子を解析して、10の別個のナノ粒子型を含む粒子パネルの各粒子型についての反復実行間の各特徴群の変動係数(CV)を決定した。低いCVは、反復実行間の高い精度および再現性を示した。データは、ソフトウェアプログラムOpenMSを使用して処理したものであり、3回の反復の各々からの実測前駆体特徴を有する特徴群を保持した。クラスタリングアルゴリズムの品質スコアに基づいてデータの下位5%を除去して統計的外れ値を消去した。群特徴強度を中央値正規化し、各粒子型のコロナの全体精度を推定した。各注入の全体的な中央値強度が同じままであるように正規化を行い、比較する分布の各々について強度シフト、例えば、機械応答の全体的な差に起因する強度シフトを構成するように、強度を調整した。X線光電子分光分析、高分解能透過型電子顕微鏡法および他の分析法を含む、様々な分析法において、機械応答に差が生じ得る。次いで、各特徴の変動係数(CV)の正規化値を、10の別個のナノ粒子型を含む粒子パネルの各粒子型について評価した。表12は、10の別個の粒子型の最適化パネルを示す。
【表12】
【0222】
表13は、血漿、および10の別個の粒子型を含む粒子パネルの、特徴、ペプチドおよびタンパク質についての、タンパク質コロナベースのプロテオグラフワークフローの精度評価の分位正規化CVのパーセント(QNCV%)中央値を示す。1%ペプチドおよび1%タンパク質偽陽性率(FDR)を適用した。MaxLFQ解析ソフトウェアを使用し、各タンパク質群が少なくとも1のペプチド比の計数値および全ての反復における検出を有するという、精度解析に使用した群の数を低減させる条件を適用して、データを処理した。10の別個のナノ粒子型を含む粒子パネルの各粒子型についての、分位正規化CVのパーセントすなわちQNCV%を含む、CV中央値を表13に示す。MaxQuantを使用してペプチドおよびタンパク質レベルで同様の解析を行って、識別可能な特徴群と特徴、ペプチドおよびタンパク質のアライメントを行った(表13)。ペプチドは、複数の特徴を含むことができ、タンパク質は、複数のペプチドを含むことができるので、識別可能な特徴群の数は、特徴からペプチドへ、そしてタンパク質へと減少する。このナノ粒子パネルは、1%偽陽性率(FDR)で1,184のタンパク質群を検出した。
【表13】
【0223】
変動係数(CV)を特徴、ペプチドおよびタンパク質のレベルで独立して調査した。特徴、ペプチドおよびタンパク質CVの解析は、アッセイ精度の包括的な見解をもたらす。OpenMSおよびMaxQuantソフトウェアエンジンを特徴、ペプチドおよびタンパク質マッチングに使用した。MaxQuantは、FDRでのタンパク質群化に使用した。OpenMSは、X!Tandemマッチングツールを使用してペプチド-スペクトルマッチング(PSM)を行うために使用した。Andromedaアルゴリズムを使用するためにMaxQuantを構成した。ペプチドCVおよびタンパク質CVを使用して、生物学的変数とともに使用するためのプラットフォームの精度を評定した。平均CVはペプチドサイズの増加とともに減少し、したがって、平均CVは、タンパク質についてよりペプチドについてのほうが低かった。ペプチドは、血漿と同様のCVを維持するが、粒子は、血漿よりも高い特徴、ペプチドおよびタンパク質の出現率を有した。詳細には、いずれの所与の粒子型の粒子上のタンパク質の数も血漿より多い(平均:218%多い、範囲:133%~296%多い)が、同等のCV(粒子および血漿についてそれぞれ21.1%対17.1%)を維持する。さらに、粒子型のパネルは、1,184のタンパク質を同定したが、単独での血漿の場合は162のタンパク質しか同定しなかった。
【0224】
10の別個の粒子型を含む粒子パネルの正確度。10の別個の粒子型を含む粒子パネルがバイオマーカー発見および検証研究における試料の現実の群間差を検出する正確度を評定した。正確度は、ナノ粒子型SP-007およびC反応性タンパク質(CRP)の存在下でスパイク回収率を測定することにより判定した。スパイク回収率データを、3つの粒子型(SP-006、SP-339、SP-374)の各々と組み合わせて、one threeの追加のポリペプチド(S100A8/9、およびアンジオゲニン)の存在下でさらに測定した。既知量の各ポリペプチドを、10の倍数(例えば、1倍、2倍、5倍、10倍および100倍)ずつ増加する異なる濃度でスパイクインした。各ポリペプチドのレベルをELISAにより測定した。導出ペプチドおよびタンパク質強度をELISAタンパク質濃度に対してプロットした。ペプチド強度をOpenMS MS1/MS2パイプラインを使用して導出して、クラスター内の少なくとも1つの特徴に指定される標的タンパク質MS2 IDを有するクラスター化特徴群を見出した。少なくとも1回の反復で上位スパイクレベルについての表示があったクラスターのみを解析に使用した。MaxQuantソフトウェアを使用してタンパク質強度を導出した。各タンパク質についての強度値を要約し、最大濃度が2になるようにデータをスケーリングした。MSデータセットをスパイク濃度(例えば、1倍、2倍、5倍、10倍および100倍)ごとに3回ずつ実行して、15の個々のタンパク質またはペプチド測定値を得た。全てのペプチドが全ての粒子型または粒子型反復において検出されるとは限らなかった。MSデータセットの結果を
図31~34に示す。
図31は、スパイク回収率実験におけるアンジオゲニンのペプチド特徴測定の正確度を示す。
図32は、スパイク回収率実験におけるS10A8のペプチド特徴測定の正確度を示す。
図33は、スパイク回収率実験におけるS10A9のペプチド特徴測定の正確度を示す。
図34は、スパイク回収率実験におけるCRPのペプチド特徴測定の正確度を示す。フィットした線は、各特徴のスパイク強度への線形フィットである。
【0225】
図31~34は、アンジオゲニン、S10A8、S10A9およびCRPペプチド特徴測定の正確度をそれぞれ判定するための3回のスパイク回収率実験の結果を示す。データは、ペプチド(平均r
2が0.81である)およびタンパク質(平均r
2が0.97である)についての個々の測定間の高い相関度を実証した。全てのタンパク質にわたっての傾きの平均値は1.06である。表14は、比較ごとのr
2相関を示し、タンパク質ごとの平均r
2相関も示す。20のペプチドのうち2つだけは、2つの異なる粒子型に関するELISAアッセイ間で相関を示さず、この場合、1つのペプチドが2つの電荷状態で存在した。これらの異常は、ペプチドサイズの増加とともに減少し、したがって、異常の頻度は、タンパク質についてよりペプチドについてのほうが低かった。ここで2つの異なる粒子に関してELISAで相関を示した2つのペプチドは、他の粒子型でのELISAと高い相関度を示した。問題を起こすペプチドは、そのシグナルを、例えば電荷を奪うことによって、隠蔽する別のペプチドと、共溶出されることがある。
【0226】
表14は、コロナ解析またはELISAにより測定したときのタンパク質強度に対する回帰フィットの要約を提供する。個々の粒子型についての、粒子型ごとに4回の反復間で平均した値を示す。タンパク質濃度は、コロナ解析で測定すると、様々な条件および様々な粒子型にわたって一致した。表14に示されているように、タンパク質測定値は、高いr
2値(平均値0.97、個々の粒子間の範囲0.92~1.0;粒子間で平均した範囲0.94~0.99)により示されるように、よく相関した。ELISAにより測定したときの4タンパク質間のこの一貫した挙動は、コロナ解析アッセイの正確度を例証する。
【表14】
【0227】
他のプラットフォームとの比較。パネル内の各タンパク質型に対応する別個のコロナにおけるタンパク質を濃縮するために多粒子型パネルを使用する本明細書で開示する方法(例えば、プロテオグラフワークフローを使用するコロナ解析)は、プロテオームにおけるタンパク質同定の広い、偏りのないカバレッジを提供する。プロテオームの広いカバレッジを達成しようとする他の方法は、複数の分画ステップ、複雑なワークフローを必要とし、本明細書で提示する方法と比較して遅い。他の方法は、本明細書で開示する方法の幅および不偏性を欠いており、他の方法を、タンパク質をアッセイする本明細書で開示する方法とここで比較する。
【0228】
Geyerら(Cell Systems 2016)は、高速ショットガンプロテオーム手法を利用
し、1アッセイ当たり平均284のタンパク質群、および全ての反復にわたって321のタンパク質群を得た。評定は、おおよそ1,000のタンパク質群を生じさせる分画を伴う、より緩徐な複数日プロトコールを利用した。反復実験は、恐らく法外なコストおよび時間要件のため行われず、そのため分散が判定され得なかった。
【0229】
Geyerは、短時間の実行を使用して321のタンパク質群を生成し、各タンパク質のCVを決定した。Geyerらにより評定された321の群、および10粒子型パネルにより同定した1,184のタンパク質群は、これら2つのモデル間に共通する88のタンパク質群を含んだ。タンパク質群は、検出されたペプチドに基づいて別様に組み合わせることができる複数の関連タンパク質を含み得るので、88の共通タンパク質群の同定は、予想外に高度である。
【0230】
88の共通タンパク質群について、Geyerらからのデータを解析し、12.1%のCV中央値を決定した。対照的に、同じ88の共通タンパク質群は、プロテオグラフにより解析した場合、わずか7.2%というより低いCVを有した。したがって、多粒子型パネルおよびプロテオグラフワークフローを使用するコロナ解析の本方法は、Geyerらの方法よりも向上した精度を提供する。加えて、Geyerらの評定は、4つのタンパク質について0.99の、アッセイ正確度を示す、r2を示した。同様に、プロテオグラフアッセイは、0.97のr2を示した。
【0231】
Geyerらは、in vitro診断アッセイに一般に使用されるカットオフであるCV<20%を有するタンパク質群の数をさらに評定した。本粒子パネル法は、CV<20%を有する761のタンパク質群を検出し、これは、Geyerらにより同定された数より3.7倍多かった。Dr.Mann(Niu et al, 2019)によるさらなる評定は、CV<20%を有する272のタンパク質群を同定し、この数は、本明細書で開示される多粒子型パネルおよびそれらの使用方法により同定された数の2.8分の1であった。
【0232】
Brudererらは、Biognosysプラットフォームにより生成されたデータを使用してタンパク質群CVを評定した(Bruderer et al, 2019)。この評定は、4
65のタンパク質を同定し、これらの465のタンパク質は、5.2%のCV中央値を有し、これらのタンパク質のうちの404は、CV<20%を有した。対照的に、本明細書で開示する方法を使用して同定した1,184のタンパク質からの最良の465のタンパク質は、4.7%のCV中央値を有し、プロテオグラフにより同定した1,184のタンパク質のうちの761は、CV<20%を有した。
【0233】
Geyerら、Niuら、およびBrudererらの評定と比較すると、本粒子パネルは、他の同定方法と比較して、CV閾値を満たすタンパク質の数ばかりでなくタンパク質の同等の数についてのCVの改善をもたらした。本明細書で開示される方法は、他の方法、例えば、標的質量分析および他の分析物特異的試薬(例えば、Olink)と比べて、偏りの低減をさらに有する。そのような手法は、小数のあらかじめ選択されたタンパク質を測定することによって、タンパク質パネル選択プロセス中に偏りを導入する。結果として、これらの手法は、プロテオグラフにより同定されたタンパク質と比較して彼らのパネルでのタンパク質について低いCVおよび高いr2を有し、パネルでのタンパク質の検出に限定される。
(実施例11)
粒子合成のための材料および方法
【0234】
この実施例は、粒子合成のための材料および方法を説明する。
【0235】
材料。塩化鉄(III)六水和物ACS、酢酸ナトリウム(無水ACS)、エチレングリコール、水酸化アンモニウム28~30%、過硫酸アンモニウム(APS)(≧98%、Pro-Pure、プロテオームグレード)、エタノール(試薬アルコールACS)およびメタノール(≧99.8%ACS)は、VWRから購入した。N,N’-メチレンビスアクリルアミド(99%)は、EMD Milliporeから購入した。クエン酸三ナトリウム二水和物(ACS試薬、≧99.0%)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)(試薬グレード、98%)、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MPS)(98%)およびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(OEGMA、平均Mn500、阻害剤として100ppmのMEHQ、阻害剤として200ppmのBHTを含有する)は、Sigma-Aldrichから購入した。4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(ACVA、98%、約18%水含有)およびジビニルベンゼン(DVB、80%、異性体の混合物)は、Alfa Aesarから購入し、短いシリカカラムに通すことにより精製して阻害剤を除去した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド(DMAPMA)は、TCIから購入し、短いシリカカラムに通すことにより精製して阻害剤を除去した。ヒトC反応性タンパク質(CRP)を測定するためのELISAキットは、R&D Systems(Minneapolis、MN)から購入した。ヒト血清から精製されたヒトCRPタンパク質は、Sigma Aldrichからのものであった。
【0236】
超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPION)に基づくSP-003、SP-007およびSP-011の合成。酸化鉄コアをソルボサーマル反応により合成した(
図28A~E、最上部(
図28A))(Liu, J., et al. Highly water-dispersible biocompatible
magnetite particles with low cytotoxicity stabilized by citrate groups. Angew Chem Int Ed Engl 48, 5875-5879 (2009);Xu, S., et al. Toward
designer magnetite/polystyrene colloidal composite microspheres with controllable nanostructures and desirable surface functionalities. Langmuir
28, 3271-3278 (2012))。典型的には、約26.4gの塩化鉄(III)六水和物を約220mLのエチレングリコールに約160℃で約10分間、攪拌しながら溶解した。次いで、約8.5gのクエン酸三ナトリウム二水和物および約29.6gの無水酢酸ナトリウムを添加し、さらに約15分間160℃で混合することにより完全に溶解した。次いで、その溶液をテフロン(登録商標)裏打ちステンレス鋼オートクレーブ(容量300mL)内に密封し、約12時間、約200℃に加熱した。室温に冷却した後、黒色常磁性生成物を磁石により単離し、DI水で3~5回洗浄した。最終生成物をさらなる使用のために凍結乾燥させて黒色粉末にした。
【0237】
シリカコーティングが施されている酸化鉄ナノ粒子(SP-003)は、以前に報告された改良型ストーバー法によって調製した(
図28B)(Deng, Y., Qi, D., Deng,
C., Zhang, X. & Zhao, D. Superparamagnetic high-magnetization microspheres with an Fe3O4@SiO2 core and perpendicularly aligned mesoporous SiO2 shell for removal of microcystins. J Am Chem Soc 130, 28-29 (2008);Teng, Z.G., et al. Superparamagnetic high-magnetization composite spheres with highly aminated ordered mesoporous silica shell for biomedical
applications. J Mater Chem B 1, 4684-4691 (2013))。典型的には、約1g
のSPIONをエタノール(約400mL)とDI水(約10mL)と濃厚アンモニア水溶液(約10mL、28~30重量%)との混合物に均一に分散させ、その後、TEOS(約2mL)を添加した。約70℃で約6時間攪拌した後、非晶質のシリカコーティングが施されているSPION(Fe
3O
4@SiO
2と表示する)を得、メタノールで3回、水でさらに3回洗浄し、最終生成物を凍結乾燥させて粉末にした。
【0238】
SP-007(PDMAPMA修飾SPION)およびSP-011(PEG修飾SPION)を調製するために、ビニル基官能化SPION(Fe
3O
4@MPSと表示する)を、以前に報告された改良型ストーバー法によって、先ず調製した(
図28C)(Crutchfield, C.A., Thomas, S.N., Sokoll, L.J. & Chan, D.W. Advances in mass spectrometry-based clinical biomarker discovery. Clin Proteomics 13, 1 (2016))。手短に述べると、ボルテックス処理(または超音波処理)の助けをかりつ
つ、約1gのSPIONをエタノール(約400mL)とDI水(約10mL)と濃厚アンモニア水溶液(約10mL、28~30重量%)との混合物に均一に分散させ、その後、TEOS(約2mL)を添加した。70℃で約6時間攪拌した後、約2mLの3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートを反応混合物に添加し、約70℃で一晩攪拌した。ビニル官能化SPIONを得、メタノールで3回、水でさらに3回洗浄し、最終生成物を凍結乾燥させて粉末にした。次に、ポリ(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングが施されているSPION(Fe
3O
4@PDMAPMAと表示する;
図28DのSP-007)の合成のために、約100mgのFe
3O
4@MPSを約125mLのDI水に均一に分散させた。約30分間、N
2でバブリングした後、約2gのN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド(DMAPMA)および約0.2gのジビニルベンゼン(DVB)をN
2保護下でFe
3O
4@MPS懸濁液に添加した。得られた混合物を約75℃に加熱した後、約5mLのDI水中の約40mgの過硫酸アンモニウム(APS)を添加し、約75℃で一晩攪拌した。冷却した後、Fe
3O
4@PDMAPMAを磁石で単離し、水で3~5回洗浄した。最終生成物を凍結乾燥させて暗褐色粉末にした。ポリ(エチレングリコール)(PEG)コーティングが施されているSPION(Fe
3O
4@PEGOMAと表示する;
図28EのSP-011)の合成のために、約100mgのFe
3O
4@MPSを約125mLのDI水に均一に分散させた。約30分間、N
2でバブリングした後、約2gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(OEGMA、平均Mn 500)および約50mgのN,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBA)をN
2保護下でFe
3O
4@MPS懸濁液に添加した。得られた混合物を約75℃に加熱した後、約5mLのエタノール中の約50mgの4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(ACVA)を添加し、約75℃で一晩攪拌した。冷却した後、Fe
3O
4@POEGMAを磁石で単離し、水で3~5回洗浄した。最終生成物を凍結乾燥させて暗褐色粉末にした。
(実施例12)
患者試料
【0239】
この実施例は、本開示で使用した患者試料を説明する。8つ大腸がん(CRC)血漿試料と8つの年齢および性別をマッチさせた対照のセットをBioIVT(Westbury、NY)から購入した。28の非小細胞肺がん(NSCLC)血清試料と年齢および性別をマッチさせた28の対照のセットも、BioIVTから購入した。CRC/NSCLC患者試料および対照に関する詳細な情報を表15および表16に示す。
【表15-1】
【表15-2】
【表15-3】
【表15-4】
【表15-5】
【表15-6】
【表16】
(実施例13)
粒子型の物理化学的特性の特徴付け。
【0240】
この実施例は、様々な技法による粒子物理化学的特性の特徴付けを説明する。動的光散乱(DLS)およびゼータ電位は、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments、Worcestershire、UK)で行った。試験前に約10分の浴超音波処理を用いて粒子を水に10mg/mLで懸濁させた。次いで、試料を、DLS測定とゼータ電位測定の両方のために、それぞれの緩衝剤中おおよそ0.02重量%に希釈した。DLSは、約1分の温度平衡時間で使い捨てポリスチレンセミマイクロキュベット(VWR、Randor、PA、USA)において水中、約25℃で行い、173°後方散乱モードで633nmのレーザーを用いる、約1分の3回の実行からの平均からなった。キュムラント法を使用して、DLS結果を解析した。ゼータ電位は、約1分の平衡時間で、使い捨て折りたたみキャピラリーセル(Malvern Instruments、PN DTS1070)において約25℃で、5% pH7.4 PBS(Gibco、PN 10010-023、USA)中で測定した。最低10回実行および最大100回実行し、測定と測定の間に1分保持して、自動測定時間で3回の測定を行った。Smoluchowskiモデルを使用して、電気泳動移動度からゼータ電位を決定した。
【0241】
走査型電子顕微鏡法(SEM)は、FEI Helios 600 Dual-Beam FIB-SEMを使用することにより行った。粒子の水性分散液を、計量済み粒子粉末から約10分の超音波処理によりDI水に再分散させて約10mg/mLの濃度に調製した。次いで、試料をメタノール(Fisherからのもの)によって4倍希釈して水/メタノール中の分散液にし、これを電子顕微鏡法に直接使用した。Ted PellaからのSiウェーハ上に約6μLの粒子試料をドロップキャストすることによりSEM基板を調製し、次いで、液滴を測定前に約24時間、真空デシケーターの中で完全に乾燥させた。
【0242】
300kVの加速電圧でTitan 80-300透過型電子顕微鏡(TEM)を低分解能TEM測定と高分解能TEM測定の両方に使用した。水-エタノール混合物(25-75v/v%)中の粒子分散液約2μLを約0.25mg/mLの最終濃度でドロップキャストすることによりTEMグリッドを調製し、TEM分析前に約24時間、真空デシケーターの中で乾燥させた。全ての測定は、Ted Pellaからのレース状穴あきTEMグリッドで行った。
【0243】
X線光電子分光分析(XPS)は、PHI VersaProbeおよびThermoScientific ESCALAB 250e IIIを使用することにより行った。XPSによる分析は、粒子微粉末を用いて行い、これらの粉末は、測定前には乾燥下で密封および保管状態に保った。材料を分析のために均一な表面にするようにカーボンテープに載置した。淡色Al K-アルファX線源(50Wおよび15kV)は、200μm2走査領域に対して140eVの通過エネルギーで使用し、全ての結合エネルギーは、284.8eVのC-Cピークを基準にした。サーベイスキャンと高分解能スキャンの両方を行って、目的の元素を詳細に評定した。各元素の原子濃度は、試料の2カ所の異なる位置からの結果を平均することによって相対原子感度係数により補正した、元素の光電子放出特徴の積分強度から決定した。一部の場合には、4カ所またはそれより多くの位置を平均して均一性を評定した。
(実施例14)
タンパク質コロナ調製およびプロテオーム解析
【0244】
この実施例は、タンパク質コロナ調製およびプロテオーム解析を説明する。血漿および血清試料を、0.05%CHAPSを含有するTE緩衝剤(10mM Tris、1mM
EDTA二ナトリウム、150mM KCl)で構成されている希釈用緩衝剤で1:5希釈した。粒子粉末を、DI水中での約10分間の超音波処理、続いての約2~3秒のボルテックス処理により、再構成した。タンパク質コロナを作製するために、マイクロタイタープレートにおいて約100μLの粒子懸濁液(SP-003、5mg/ml;SP-007、2.5mg/ml;SP-011、10mg/ml)を約100μLの希釈された生体試料と混合した。プレートを密封し、37℃で約1時間、300rpmで振盪しながらインキュベートした。インキュベーション後、プレートを約5分間、磁石の集合体の上に置いて、ナノ粒子をペレット化して沈降させた。上清中の未結合タンパク質をピペットで除去した。タンパク質コロナを磁気分離しながら約200μLの希釈用緩衝剤で3回、さらに洗浄した。10粒子型粒子パネルスクリーンのために評価した5つの追加のアッセイ条件は、以下のうちの1つを例外として、上記説明と同一であった。第1に、元の粒子濃度の50%の濃度(予想ペプチド収量に依存して、各粒子について2.5~15mg/ml)であった低濃度の粒子を評価した。第2および第3のアッセイ変形形態については、低い粒子濃度と高い粒子濃度の両方を、緩衝剤で粒子を希釈するのではなく未希釈の生血漿を使用して実行した。第4および第5のアッセイ変形形態については、低い粒子濃度と高い粒子濃度の両方を、pH5クエン酸緩衝剤を希釈とすすぎの両方に使用して実行した。
【0245】
ナノ粒子上に結合したタンパク質を消化するために、トリプシン消化キット(iST 96X、PreOmics、Germany)を、提供されたプロトコールに従って使用した。手短に述べると、約50μLの溶解用緩衝剤を各ウェルに添加し、約95℃で約10分間、攪拌しながら加熱した。プレートを室温に冷却した後、トリプシン消化用緩衝剤を添加し、プレートを約37℃で約3時間、振盪しながらインキュベートした。消化プロセスを停止用緩衝剤で停止させた。上清をナノ粒子からマグネティックコレクターにより分離し、キットに含まれていたペプチドクリーンアップカートリッジによりさらに清浄化した。ペプチドを約75μLの溶出用緩衝剤で2回溶出し、併せた。ペプチド濃度をThermo Fisher Scientific(Waltham、MA)からの定量的比色分析ペプチドアッセイキットにより測定した。
【0246】
次に、ペプチド溶出物を凍結乾燥させ、0.1%TFAで再構成した。各試料からの2μgの分割量を、Thermo Fisher ScientificからのOrbitrap Fusion Lumos Tribrid Mass Spectrometerにインターフェースで接続したWaters NanoAcquity HPLCシステムを用いてnano LC-MS/MSにより分析した。ペプチドを捕捉カラムに負荷し、75μm分析用カラムを用いて350nL/分で溶出させた。両方のカラムにPhenomenex(Torrance、CA)からのLuna C18樹脂が充填されていた。質量分析計をデータ依存モードで操作し、MSおよびMS/MSをOrbitrapにおいて60,000のFWHM分解能および15,000のFWHM分解能でそれぞれ行った。MSおよびMS/MSのために計器を3秒サイクルで実行した。
(実施例15)
質量分析データ解析
【0247】
この実施例は、質量分析データ解析法を説明する。取得したMSデータファイルを、OpenMSの一連のツールを使用して処理した。これらのツールは、ベンダー提供の計器付属生ファイルのmzMLファイルへの変換のための、MS1特徴同定および強度抽出のための、MSデータセット実行時間アライメントおよび特徴群クラスタリングのための、およびX!Tandem検索エンジンでのMS2スペクトルデータベースマッチングのための、モジュールおよびパイプラインスクリプトを含む。スペクトル-データベース検索中の前駆体イオンおよび断片イオンマッチングの許容範囲をそれぞれ10および30ppmに設定した。固定されたカルバミドメチル(C)修飾ならびに可変的アセチル(N末端)および酸化(M)修飾のためのデフォルト設定を可能にした。UniProtKB/Swiss-Protタンパク質配列データベース(受諾日2019年1月27日)を検索に使用し、ペプチドスペクトルマッチ(PSM)を、1%FDRでの標準的な逆配列デコイデータベース戦略を使用してスコア化した。PSMを使用して、各粒子型反復についてのタンパク質リストを、所与の粒子型反復の列挙されたタンパク質リストにタンパク質を加えるために十分な証拠として単一のPSMを使用して、コンパイルした。加えて、1つより多くのタンパク質にマッチしたPSMは、可能性のあるタンパク質の全てを、所与の粒子型反復の列挙されたタンパク質リストに加える。タンパク質列挙のこの閾値は、寛容であり、偽陽性(より高い感度、より低い特異度)を含む可能性があるが、2つまたはそれより多くのペプチド(少なくとも1つのユニークペプチドを含む)を必要とする、よりストリンジェントな試験は、偽陰性(より低い感度、より高い特異度)を有する逆の問題に悩まされる。既知ペプチドの定量分析のために、カスタムRスクリプトを使用して、mzおよび滞留時間についてそれぞれ1daおよび30秒の許容範囲で位置的重複に基づいてMS2 PSMをMS1特徴群に指定した。万が一、1つより多くのPSMが、事前に指定した許容範囲内のMS1特徴に最初に位置した場合には、MS1特徴の最も近く(MSデータセット内)にあるPSM、またはMS1特徴クラスターの中心の最も近く(MSデータセット間)にあるPSMを使用した。全てのMS2が、MS1特徴群に指定されているとは限らないこと、および全てのMS1特徴群クラスターが、指定されたMS2を有するとは限らないことに留意すべきであり、マッピングおよびその後のペプチド特徴同定を向上させるためにこの分野での研究は継続する。
(実施例16)
タンパク質群の同定
【0248】
この実施例は、質量分析によるタンパク質群の同定のための方法を説明する。タンパク質群レベル解析のために、タンパク質群レベルでのMSデータを次のようにした。MS生ファイルをMaxQuant(v.1.6.7(49)およびAndromeda(50))で処理し、標準設定を利用してMS/MSスペクトルをUniProtKBヒトFASTAデータベース(UP000005640、74,349フォワードエントリー;2019年8月からのバージョン)に対して検索した。酵素消化特異度をトリプシンに設定し、プロリンのN末端側での切断および最大2つの誤切断を許容した。最小ペプチド長を7アミノ酸に設定し、最大ペプチド質量を4,600Daに設定した。メチオニン酸化およびタンパク質N末端アセチル化を可変修飾として設定し、システインのカルバミドメチル化を固定修飾として設定した。MaxQuantは、時間依存性再較正アルゴリズムにより前駆体イオン質量正確度を向上させ、各ペプチドに対する個々の質量の許容範囲を定義する。許される初期最大前駆体質量許容範囲は、最初の検索中は20ppmであり、主検索では4.5ppmであった。MS/MS質量許容範囲を20ppmに設定した。解析のために、1%の偽陽性率(FDR)カットオフをペプチドおよびタンパク質レベルで適用した(proteinGroups.txt表で、全てのタンパク質群がそれらの対応するq値で報告される)。「実行間のマッチ」を無効にした。同定の数は、少なくとも1つのrazorペプチドを必要とするタンパク質強度(1%より低いq値を有するタンパク質のみを計数する)に基づいて計数した。MaxLFQ正規化タンパク質強度(少なくとも1のペプチド比計数値を必要とする)が生出力で報告され、これらの強度をCV精度解析にのみ使用した。区別することができたペプチドをそれらの独自のタンパク質群に選別し、ユニークペプチドに基づいて判別することができなかったタンパク質をタンパク質群に集めた。さらに、MaxQuantに含まれている共通夾雑物のリストについてのフィルター処理をタンパク質に対して行った。部位修飾によってのみ同定されたタンパク質を解析から厳格に除外した。
(実施例17)
スパイク回収率
【0249】
この実施例は、C反応性タンパク質(CRP)のスパイク回収率実験のための方法を説明する。プール健常血漿試料中のCRPのベースライン濃度を、上記(「材料」)で説明した通りのELISAキットを製造業者提案プロトコールに従って用いて測定した。CRPの原液および適切な希釈物を調製し、同一のプール血漿試料にスパイクして、CRPのベースライン内在性濃度の2倍、5倍、10倍および100倍である最終濃度にした。プール血漿への添加の体積は、総試料体積の10%であった。スパイク対照は、同体積の緩衝剤をプール血漿試料に添加することにより作製した。スパイクされた試料の濃度をELISAにより再度測定して各スパイクレベル中のCRPレベルを確認した。これらの試料を使用して、上記「結果」で説明した通りの粒子コロナ測定正確度を評価した。
(実施例18)
NSCLC試料および健常対照のプロテオーム解析
【0250】
この実施例は、NSCLC試料および健康対照のプロテオーム解析を説明する。ステージIV NSCLCを有する28名ならびに年齢および性別をマッチさせた対照28名である、対象56名からの血清試料を商業的に購入し、SP-007ナノ粒子形成に関して評価した(試料収集ならびにコロナ形成および処理については上記を参照されたい)。各コロナのMSスペクトルデータを記載の通り収集し、生データを上記(MSデータ解析)で説明した通り処理した。19,214の特徴群を同定し、1(1つだけの試料におけるシングルトン特徴、n=6,249、すなわちデータの0.29%)~56(全試料に存在する特徴、n=450、すなわちデータの12%)の範囲の群サイズで56の対象試料にわたって抽出した。クラスタリングアルゴリズムは、データセット間の群に伴う特徴の群化の空間的均一性に関する「群_品質」メトリックを計算する。次いで、群サイズにより分割して群の下位4分の1を、低品質スコアの分布の傾斜特性のため考慮から外し、その結果、15,967群が残った。解析の前の追加のフィルターとして、クラス、罹患または対照、の少なくとも一方の少なくとも50%に存在する特徴を有する群のみを前に進め、その結果、解析のために2,507特徴群のセットが残った。
【0251】
ペプチドおよびタンパク質同一性を以下のように特徴群に指定した。MS2 PSMおよびMS1特徴群を一緒に上記(MSデータ解析)で説明した通り指定した。この手法を使用して、19,249の元の特徴群の25%をペプチド配列と関連付けた。指定されたペプチド配列を有するまたは有さない全ての特徴群に対して群間の単変量統計比較を遂行した。
(実施例19)
統計解析
【0252】
この実施例は、本明細書で開示するデータの統計解析を説明する。統計解析および視覚化は、適切なパッケージを用いてR(v3.5.2)を使用して行った(R:統計的計算のための言語および環境。R Foundation for Statistical
Computing、Vienna、Austria.URL https://www.R-project.org/)。
【0253】
本発明の好ましい実施形態を本明細書で示し、説明したが、このような実施形態を単なる例として提供することは、当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、非常に多くの変形、変更および置換が今や当業者の心に浮かぶことであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態の代替形態を、本発明を実施する際に使用することができることは、理解されるはずである。下記の請求項が本発明の範囲を定義すること、およびこれらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物が、これらの請求項に包含されることを意図している。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
試料中のタンパク質を同定する方法であって、
粒子パネルを、前記粒子パネルの別個の粒子型に対応する複数の別個の生体分子コロナを形成するために、前記試料とともにインキュベートするステップ;
前記複数の別個の生体分子コロナにおけるタンパク質を濃縮するために、前記粒子パネルを前記試料中の未結合タンパク質から磁気的に単離するステップ;および
濃縮されたタンパク質を同定するために前記複数の別個の生体分子コロナをアッセイするステップ
を含む方法。
(項目2)
前記アッセイするステップが、1~20,000のタンパク質群を同定できる、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記アッセイするステップが、1000~10,000のタンパク質群を同定できる、項目1~2のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
前記アッセイするステップが、1,000~5,000のタンパク質群を同定できる、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記アッセイするステップが、1,200~2,200のタンパク質群を同定できる、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記タンパク質群が、7アミノ酸残基の最小長を有するペプチド配列を含む、項目2~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記アッセイするステップが、1,000~10,000のタンパク質を同定できる、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記アッセイするステップが、1,800~5,000のタンパク質を同定できる、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記試料が、複数の試料を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記複数の試料が、少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記インキュベートするステップが、前記少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料を前記粒子パネルと同時に接触させることを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記磁気的に単離するステップが、前記複数の試料の前記少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料中の未結合タンパク質から前記粒子パネルを同時に磁気的に単離することを含む、項目10~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記アッセイするステップが、前記少なくとも2つまたはそれより多くの空間的に隔離されている試料中のタンパク質を同時に同定するために前記複数の別個の生体分子コロナをアッセイすることを含む、項目10~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
項目1~7のいずれか一項に記載の方法を繰り返すステップをさらに含み、繰り返された場合、前記インキュベートするステップ、単離するステップおよびアッセイするステップが、前記粒子パネル内の各粒子型について少なくとも3回の完全アッセイ反復からのペプチド質量分析特徴を比較することにより判定して、20%またはそれ未満の分位正規化変動係数(QNCV)パーセントを生じさせる、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
繰り返された場合、前記インキュベートするステップ、単離するステップおよびアッセイするステップが、前記粒子パネル内の各粒子型について少なくとも3回の完全アッセイ反復からのペプチド質量分析特徴を比較することにより判定して、10%またはそれ未満の分位正規化変動係数(QNCV)パーセントを生じさせる、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記アッセイするステップが、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のダイナミックレンジにわたってタンパク質を同定できる、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記粒子パネルを前記未結合タンパク質から磁気的に単離するステップの後、前記粒子パネルを少なくとも1回または少なくとも2回洗浄するステップをさらに含む、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記アッセイするステップの後に、前記複数の別個の生体分子コロナ中の前記タンパク質を溶解するステップをさらに含む、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記複数の別個の生体分子コロナ中の前記タンパク質を消化して、消化されたペプチドを生成するステップをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記消化されたペプチドを精製するステップをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記アッセイするステップが、質量分析を使用して前記試料中のタンパク質を同定することを含む、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記アッセイするステップが、約2~約4時間以内に行われる、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
約1~約20時間以内に行われる、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
約2~約10時間以内に行われる、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
約4~約6時間以内に行われる、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
単離するステップは、約30分以下、約15分以下、約10分以下、約5分以下、または約2分以下かかる、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記複数の試料が、少なくとも10の空間的に隔離されている試料、少なくとも50の空間的に隔離されている試料、少なくとも100の空間的に隔離されている試料、少なくとも150の空間的に隔離されている試料、少なくとも200の空間的に隔離されている試料、少なくとも250の空間的に隔離されている試料、または少なくとも300の空間的に隔離されている試料を含む、項目3~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記複数の試料が、少なくとも96の試料を含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記粒子パネルが、少なくとも2つの別個の粒子型、少なくとも3つの別個の粒子型、少なくとも4つの別個の粒子型、少なくとも5つの別個の粒子型、少なくとも6つの別個の粒子型、少なくとも7つの別個の粒子型、少なくとも8つの別個の粒子型、少なくとも9つの別個の粒子型、少なくとも10の別個の粒子型、少なくとも11の別個の粒子型、少なくとも12の別個の粒子型、少なくとも13の別個の粒子型、少なくとも14の別個の粒子型、少なくとも15の別個の粒子型、少なくとも20の別個の粒子型、少なくとも25の粒子型、または少なくとも30の別個の粒子型を含む、項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記粒子パネルが、少なくとも10の別個の粒子型を含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記少なくとも2つの空間的に隔離されている試料が、少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なる、項目10~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも1つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、項目1~32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも1つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、項目1~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記物理化学的特性が、サイズ、電荷、コア材料、シェル材料、多孔度、または表面疎水性を含む、項目31~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記サイズが、動的光散乱、SEM、TEMまたはこれらの任意の組合せによって測定される直径または半径である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、カルボキシレート材料を含み、前記第1の別個の粒子がマイクロ粒子であり、前記第2の別個の粒子型がナノ粒子である、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、0mVおよび-50mVの表面電荷を有し、前記第1の別個の粒子型が、200nm未満の直径を有し、前記第2の別個の粒子型が、200nmより大きい直径を有する、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、100~400nmの直径を有し、前記第1の別個の粒子型が、正の表面電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が、中性表面電荷を有する、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、ナノ粒子であり、前記第1の別個の粒子型が、-20mV未満の表面電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が、-20mVより大きい表面電荷を有する、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、マイクロ粒子であり、前記第1の別個の粒子型が、負の表面電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が、正の表面電荷を有する、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記粒子パネルが、負に荷電されているナノ粒子のサブセットを含み、前記サブセットの各粒子が、少なくとも1つの表面化学基の点で異なる、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型、第2の粒子および第3の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型、第2の別個の粒子型および前記第3の別個の粒子型が、酸化鉄コア、ポリマーシェルを含み、直径約500nm未満であり、前記第1の別個の粒子型が負電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が正電荷を有し、前記第3の別個の粒子型が中性電荷を有し、前記直径が、動的光散乱によって測定された平均直径である、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記第1の別個の粒子型が、シリカコーティングを含み、前記第2の別個の粒子型が、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)を含み、前記第3の別個の粒子型が、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、ナノ粒子である、項目1~45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、マイクロ粒子である、項目1~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、超常磁性酸化鉄粒子である、項目1~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記粒子パネルの各粒子が、酸化鉄材料を含む、項目1~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、酸化鉄コアを有する、項目1~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する、項目1~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記粒子パネルの別個の粒子型各々が、超常磁性酸化鉄粒子である、項目1~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記粒子パネルの別個の粒子型各々が、酸化鉄コアを含む、項目1~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記粒子パネルの各1つの別個の粒子型が、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する、項目1~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、カルボキシル化ポリマー、アミノ化ポリマー、双性イオン性ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む、項目1~55のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記粒子パネルの少なくとも1つの粒子型が、シリカシェルコーティングを有する酸化鉄コアを含む、項目1~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記粒子パネルの少なくとも1つの粒子型が、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む、項目1~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記粒子パネルの少なくとも1つの粒子型が、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む、項目1~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、負の表面電荷を有する、項目1~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、正の表面電荷を有する、項目1~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記粒子パネルの少なくとも1つの別個の粒子型が、中性表面電荷を有する、項目1~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記粒子パネルが、表10から選択される1つまたは複数の別個の粒子型を含む、項目1~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記粒子パネルが、表10から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む、項目1~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記粒子パネルが、表12から選択される1つまたは複数の別個の粒子型を含む、項目1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
前記粒子パネルが、表12から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む、項目1~64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
2つまたはそれより多くの物理化学的特性の点で異なる3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型を含む組成物であって、前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のサブセットが、前記2つまたはそれより多くの物理化学的特性のうちの物理化学的特性を共有し、前記サブセットのそのような粒子型が、異なるタンパク質に結合する、組成物。
(項目67)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10のダイナミックレンジにわたって試料からのタンパク質を吸着する、項目66に記載の組成物。
(項目68)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、試料からの1~20,000のタンパク質の群を吸着できる、項目66~67のいずれか一項に記載の組成物。
(項目69)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、試料からの1,000~10,000のタンパク質群を吸着できる、項目66~68のいずれか一項に記載の組成物。
(項目70)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、試料からの1,000~5,000のタンパク質群を吸着できる、項目66~69のいずれか一項に記載の組成物。
(項目71)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、試料からの1,200~2,200のタンパク質群を吸着できる、項目66~70のいずれか一項に記載の組成物。
(項目72)
前記タンパク質群が、7アミノ酸残基の最小長を有するペプチド配列を含む、項目69~71のいずれか一項に記載の組成物。
(項目73)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、試料からの1~20,000のタンパク質を吸着できる、項目66~72のいずれか一項に記載の組成物。
(項目74)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、試料からの1,000~10,000のタンパク質を吸着できる、項目66~73のいずれか一項に記載の組成物。
(項目75)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、試料からの1,800~5,000のタンパク質を吸着できる、項目66~74のいずれか一項に記載の組成物。
(項目76)
少なくとも4つの別個の磁性粒子型、少なくとも5つの別個の磁性粒子型、少なくとも6つの別個の磁性粒子型、少なくとも7つの別個の磁性粒子型、少なくとも8つの別個の磁性粒子型、少なくとも9つの別個の磁性粒子型、少なくとも10の別個の磁性粒子型、少なくとも11の別個の磁性粒子型、少なくとも12の別個の磁性粒子型、少なくとも13の別個の磁性粒子型、少なくとも14の別個の磁性粒子型、少なくとも15の別個の磁性粒子型、少なくとも20の別個の磁性粒子型、または少なくとも30の別個の磁性粒子型を含む、項目66~75のいずれか一項に記載の組成物。
(項目77)
少なくとも10の別個の磁性粒子型を含む、項目76に記載の組成物。
(項目78)
第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも2つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、項目66~77のいずれか一項に記載の組成物。
(項目79)
第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、少なくとも2つの物理化学的特性を共有するが少なくとも1つの物理化学的特性の点で異なり、したがって、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が異なる、項目66~78のいずれか一項に記載の組成物。
(項目80)
前記物理化学的特性が、サイズ、電荷、コア材料、シェル材料、多孔度、または表面疎水性を含む、項目66~79のいずれか一項に記載の組成物。
(項目81)
前記サイズが、動的光散乱、SEM、TEMまたはこれらの任意の組合せによって測定される直径または半径である、項目80に記載の組成物。
(項目82)
第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、カルボキシレート材料を含み、前記第1の別個の粒子がマイクロ粒子であり、前記第2の別個の粒子型がナノ粒子である、項目66~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目83)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、0mVおよび-50mVの表面電荷を有し、前記第1の別個の粒子型が、200nm未満の直径を有し、前記第2の別個の粒子型が、200nmより大きい直径を有する、項目66~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目84)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、100~400nmの直径を有し、前記第1の別個の粒子型が、正の表面電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が、中性表面電荷を有する、項目66~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目85)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、ナノ粒子であり、前記第1の別個の粒子型が、-20mV未満の表面電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が、-20mVより大きい表面電荷を有する、項目66~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目86)
前記粒子パネルが、第1の別個の粒子型および第2の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型および前記第2の別個の粒子型が、マイクロ粒子であり、前記第1の別個の粒子型が、負の表面電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が、正の表面電荷を有する、項目66~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目87)
負に荷電されているナノ粒子のサブセットを含み、前記サブセットの各粒子型が、少なくとも1つの表面化学基の点で異なる、項目66~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目88)
第1の別個の粒子型、第2の別個の粒子型および第3の別個の粒子型を含み、前記第1の別個の粒子型、前記第2の別個の粒子型および前記第3の別個の粒子型が、酸化鉄コア、ポリマーシェルを含み、直径約500nm未満であり、前記第1の別個の粒子型が負電荷を有し、前記第2の別個の粒子型が正電荷を有し、前記第3の別個の粒子型が中性電荷を有し、前記直径が、動的光散乱によって測定された平均直径である、項目66~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目89)
前記第1の別個の粒子型が、シリカコーティングを含み、前記第2の別個の粒子型が、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)を含み、前記第3の別個の粒子型が、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを含む、項目88に記載の組成物。
(項目90)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、ナノ粒子を含む、項目66~89のいずれか一項に記載の組成物。
(項目91)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、マイクロ粒子を含む、項目66~90のいずれか一項に記載の組成物。
(項目92)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型が、超常磁性酸化鉄粒子である、項目66~91のいずれか一項に記載の組成物。
(項目93)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型が、酸化鉄材料を含む、項目66~92のいずれか一項に記載の組成物。
(項目94)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型が、酸化鉄コアを有する、項目66~93のいずれか一項に記載の組成物。
(項目95)
前記3つまたはそれより多くの別個磁性粒子型のうちの少なくとも1つの別個の粒子型が、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する、項目66~94のいずれか一項に記載の組成物。
(項目96)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型の別個の粒子型各々が、超常磁性酸化鉄粒子である、項目66~95のいずれか一項に記載の組成物。
(項目97)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型の別個の粒子型各々が、酸化鉄コアを含む、項目66~96のいずれか一項に記載の組成物。
(項目98)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型の各1つの別個の粒子型が、ポリスチレンコアに埋め込まれた酸化鉄結晶を有する、項目66~97のいずれか一項に記載の組成物。
(項目99)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、ポリマーコーティングを含む、項目66~98のいずれか一項に記載の組成物。
(項目100)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、カルボキシル化ポリマー、アミノ化ポリマー、双性イオン性ポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む、項目66~99のいずれか一項に記載の組成物。
(項目101)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、シリカシェルコーティングを有する酸化鉄コアを含む、項目66~100のいずれか一項に記載の組成物。
(項目102)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、ポリ(N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド)(PDMAPMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む、項目66~100のいずれか一項に記載の組成物。
(項目103)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)コーティングを有する酸化鉄コアを含む、項目66~100のいずれか一項に記載の組成物。
(項目104)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、負の表面電荷を有する、項目66~103のいずれか一項に記載の組成物。
(項目105)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、正の表面電荷を有する、項目66~103のいずれか一項に記載の組成物。
(項目106)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型のうちの少なくとも1つの粒子型が、中性表面電荷を有する、項目66~103のいずれか一項に記載の組成物。
(項目107)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、表10の1つまたは複数の粒子型を含む、項目66~106のいずれか一項に記載の組成物。
(項目108)
前記粒子パネルが、表10から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む、項目66~107のいずれか一項に記載の組成物。
(項目109)
前記3つまたはそれより多くの別個の磁性粒子型が、表12の1つまたは複数の粒子型を含む、項目66~108のいずれか一項に記載の組成物。
(項目110)
前記粒子パネルが、表12から選択される2つもしくはそれより多くの別個の粒子型、3つもしくはそれより多くの別個の粒子型、4つもしくはそれより多くの別個の粒子型、5つもしくはそれより多くの別個の粒子型、6つもしくはそれより多くの別個の粒子型、7つもしくはそれより多くの別個の粒子型、8つもしくはそれより多くの別個の粒子型、9つもしくはそれより多くの別個の粒子型、または10全ての別個の粒子型を含む、項目66~109のいずれか一項に記載の組成物。
(項目111)
前記試料が生体試料である、項目1~64のいずれか一項に記載の方法または項目67~110のいずれか一項に記載の組成物。
(項目112)
前記生体試料が、血漿、血清、CSF、尿、涙、細胞溶解物、組織溶解物、細胞ホモジネート、組織ホモジネート、乳頭吸引液、糞便試料、滑液および全血、または唾液である、項目111に記載の方法。
(項目113)
前記試料が、非生体試料である、項目1~64のいずれか一項に記載の方法または項目67~110のいずれか一項に記載の組成物。
(項目114)
前記非生体試料が、水、乳、溶媒またはホモジネート試料である、項目113に記載の方法。