(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】疑似スタティックランダムアクセスメモリ
(51)【国際特許分類】
G06F 12/00 20060101AFI20240620BHJP
G06F 12/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G06F12/00 564A
G06F12/02 590A
(21)【出願番号】P 2023102455
(22)【出願日】2023-06-22
(62)【分割の表示】P 2021181689の分割
【原出願日】2021-11-08
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】池田 仁史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴彦
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/59573(WO,A1)
【文献】特開2003-15949(JP,A)
【文献】特開2004-13618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G06F 12/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランザクションにおいて、コマンド及びロウアドレスが入力されてから初期レイテンシが経過した後に、入力されたロウアドレス及びカラムアドレスに対応するメモリセルのデータの入力又は出力を行う疑似スタティックランダムアクセスメモリであって、
所定の条件を満たす場合に、前記第1トランザクションの後の第2トランザクションにおけるレイテンシが前記初期レイテンシよりも短くなるように制御する制御部を備え、
前記所定の条件は、前記第1トランザクションにおいて入力された書き込みデータにエラーが検出されたことを含む、
疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記第1トランザクションにおいて、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするための所定のコマンドが入力されたことを含む、請求項1に記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項3】
前記所定のコマンドは、入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行わないように指示するための読み出しコマンド又は書き込みコマンドを含む、請求項2に記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項4】
前記制御部は、
入力されたコマンドに基づいて、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うか否かを示すプリチャージ可否信号を生成するプリチャージ信号生成部と、
前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行うことを示す場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うように制御するプリチャージ制御部と、
前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行わないことを示す場合に、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備え、
前記プリチャージ信号生成部は、前記プリチャージを行わないように指示するための読み出し又は書き込みコマンドが入力された場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行わないことを示すプリチャージ可否信号を前記プリチャージ制御部及び前記レイテンシ制御部に出力する、請求項3に記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項5】
前記所定のコマンドは、レジスタ書き込みコマンドを含む、請求項2~4の何れかに記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項6】
前記制御部は、
入力されたコマンドに基づいて、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うか否かを示すプリチャージ可否信号を生成するプリチャージ信号生成部と、
前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行うことを示す場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うように制御するプリチャージ制御部と、
前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行わないことを示す場合に、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備え、
前記プリチャージ信号生成部は、前記プリチャージを行わないように指示するためのレジスタ書き込みコマンドが入力された場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行わないことを示すプリチャージ可否信号を前記プリチャージ制御部及び前記レイテンシ制御部に出力する、請求項5に記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記第1トランザクションと前記第2トランザクションとにおいて同じロウアドレスが入力されたことを含む、請求項1~6の何れかに記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項8】
前記制御部は、前記所定の条件を満たす場合に、前記第2トランザクションの次の連続するトランザクションの各々において前記同じロウアドレスが入力されている間、前記連続するトランザクションの各々におけるレイテンシが前記初期レイテンシよりも短くなるように制御する、請求項7に記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項9】
前記制御部は、
n(nは、1以上の整数)番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、n-1番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、を比較して、比較結果を出力するコンパレータと、
前記比較結果が、前記n番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、前記n-1番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、が同じロウアドレスであることを示す場合に、前記n番目のトランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備える、請求項7又は8に記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1トランザクションにおいて入力された書き込みデータがエラーを含むか否かを検出するエラー検出部と、
前記エラー検出部が、前記書き込みデータがエラーを含むことを検出した場合に、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備える、請求項1に記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【請求項11】
前記疑似スタティックランダムアクセスメモリは、
(i)クロック信号に同期して信号が入力又は出力されるクロック同期型の疑似スタティックランダムアクセスメモリ、又は、
(ii)アドレスデータマルチプレックスインタフェース型の疑似スタティックランダムアクセスメモリ、
の何れかである、請求項1~10の何れかに記載の疑似スタティックランダムアクセスメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疑似スタティックランダムアクセスメモリ(pSRAM:pseudo-Static Random Access Memory)に関する。
【背景技術】
【0002】
pSRAMは、SRAM(Static Random Access Memory)と互換性を有するインタフェースを備えた半導体記憶装置である(例えば、特許文献1)。また、pSRAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)をメモリセルアレイとしてデータを記憶し、DRAMのアクセスインタフェースを再設計し、SRAMのアクセスインタフェースと互換性を持たせたものである。さらに、pSRAMは、データ転送方式としてDDR(Double Data Rate)方式を採用している。
【0003】
図1(a)は、読み出しコマンドが入力された場合の従来のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートであり、
図1(b)は、書き込みコマンドが入力された場合の従来のpSRAM内の信号の時間推移を示すタイムチャートである。なお、ここでは、pSRAMが、クロック信号に同期して信号を受信するクロック同期型のpSRAMであって、アドレスデータマルチプレックスインタフェース型のpSRAMである場合を一例として示している。アドレスデータマルチプレックスインタフェース型のpSRAMは、アドレス信号及びデータ信号の各々が入力されるように構成されたアドレスデータ端子を有している。
【0004】
このようなpSRAMは、チップセレクト信号CS#がネゲート(ハイレベル)からアサート(ローレベル)に移行すると読み出し又は書き込みトランザクションを開始し、チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)からネゲート(ハイレベル)に移行すると読み出し又は書き込みトランザクションを終了して、プリチャージを行うように構成されている。
【0005】
図1(a)及び
図1(b)に示す例では、チップセレクト信号CS#がネゲート(ハイレベル)からアサート(ローレベル)に移行した後の外部クロック信号CLKの第1クロックから第3クロックの各クロックに同期して、コマンド(CMD)、ロウアドレス(RA)及びカラムアドレス(CA)がアドレスデータ端子を介して入力される。具体的に説明すると、外部クロック信号CLKの第1クロックの立ち上がりエッジにおいてコマンド(CMD)が入力され、外部クロック信号CLKの第2クロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにおいてロウアドレス(RA)が入力され、外部クロック信号CLKの第3クロックの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにおいてカラムアドレス(CA)が入力される。なお、ここでは、クロックエッジ毎に8ビットの信号が入力される場合を一例として示している。
【0006】
図1(a)に示す例では、ワード線(WL)は、ロウアドレス(RA)が入力された後にアクティブ(ハイレベル)になり、カラム選択線(CSL)は、カラムアドレス(CA)が入力された後にトグルされる。そして、コマンド(CMD)及びロウアドレス(RA)が入力されてから初期レイテンシが経過した後に、入力されたロウアドレス(RA)及びカラムアドレス(CA)に対応するメモリセルのデータが読み出しデータとして出力される。また、ワード線(WL)は、チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)からネゲート(ハイレベル)に移行するとプリチャージされる。ここで、初期レイテンシは、tCK(tCKは、クロックサイクルを示す)×レイテンシカウントN(Nは、1以上の整数であり、レイテンシカウントを示す)で表されるものであり、
図1(a)は、レイテンシカウントが8(N=8)の場合を一例として示している。なお、レイテンシカウントは、外部クロック信号CLKの周波数に依存する。例えば、外部クロック信号CLKの周波数が高くなるほど、レイテンシカウントが大きくなる。
【0007】
また、
図1(b)に示す例では、ワード線(WL)は、ロウアドレス(RA)が入力された後にアクティブ(ハイレベル)になる。そして、コマンド(CMD)及びロウアドレス(RA)が入力されてから初期レイテンシが経過した後に書き込みデータが入力されると、カラム選択線(CSL)がトグルされる。ここで、書き込みトランザクションにおける初期レイテンシの長さは、読み出しトランザクションにおける初期レイテンシの長さと等しい。また、ワード線(WL)は、チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)からネゲート(ハイレベル)に移行するとプリチャージされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このようなpSRAMでは、各トランザクションにおいて初期レイテンシが経過するまで読み出し又は書き込みデータを入力又は出力することができないので、各トランザクションの時間を短縮することができず、結果として、データ転送速度を向上させることが困難であった。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、データ転送速度を向上させることの可能な疑似スタティックランダムアクセスメモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、第1トランザクションにおいて、コマンド及びロウアドレスが入力されてから初期レイテンシが経過した後に、入力されたロウアドレス及びカラムアドレスに対応するメモリセルのデータの入力又は出力を行う疑似スタティックランダムアクセスメモリであって、所定の条件を満たす場合に、前記第1トランザクションの後の第2トランザクションにおけるレイテンシが前記初期レイテンシよりも短くなるように制御する制御部を備える、疑似スタティックランダムアクセスメモリを提供する(発明1)。
【0012】
かかる発明(発明1)によれば、所定の条件を満たす場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシよりも短くなる。これにより、第2トランザクションの時間を短縮することが可能になるので、第2トランザクションにおけるデータ転送速度を向上させることができる。
【0013】
上記発明(発明1)においては、前記所定の条件は、前記第1トランザクションにおいて、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするための所定のコマンドが入力されたことを含んでもよい(発明2)。
【0014】
かかる発明(発明2)によれば、第1トランザクションにおいて所定のコマンドが入力された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0015】
上記発明(発明2)においては、前記所定のコマンドは、入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行わないように指示するための読み出しコマンド又は書き込みコマンドを含んでもよい(発明3)。
【0016】
かかる発明(発明3)によれば、第1トランザクションにおいてアクセスされたロウアドレスに対応するワード線を、プリチャージを行うことなくアクティブ状態に維持することが可能になるので、第1トランザクションにおいて所定のコマンドが入力された場合には、第2トランザクションにおいて、初期レイテンシよりも短いレイテンシの間に当該ロウアドレスにアクセスすることができる。
【0017】
上記発明(発明3)においては、前記制御部は、入力されたコマンドに基づいて、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うか否かを示すプリチャージ可否信号を生成するプリチャージ信号生成部と、前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行うことを示す場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うように制御するプリチャージ制御部と、前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行わないことを示す場合に、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備え、前記プリチャージ信号生成部は、前記プリチャージを行わないように指示するための読み出し又は書き込みコマンドが入力された場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行わないことを示すプリチャージ可否信号を前記プリチャージ制御部及び前記レイテンシ制御部に出力してもよい(発明4)。
【0018】
かかる発明(発明4)によれば、第1トランザクションにおいて、プリチャージを行わないように指示するための読み出し又は書き込みコマンドが入力された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くするように設定することが可能になる。
【0019】
上記発明(発明2~4)においては、前記所定のコマンドは、レジスタ書き込みコマンドを含んでもよい(発明5)。
【0020】
かかる発明(発明5)によれば、第1トランザクションのレジスタ書き込みコマンドによって、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くするように設定することが可能になる。
【0021】
上記発明(発明5)においては、前記制御部は、入力されたコマンドに基づいて、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うか否かを示すプリチャージ可否信号を生成するプリチャージ信号生成部と、前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行うことを示す場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うように制御するプリチャージ制御部と、前記プリチャージ可否信号がプリチャージを行わないことを示す場合に、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備え、前記プリチャージ信号生成部は、前記プリチャージを行わないように指示するためのレジスタ書き込みコマンドが入力された場合に、前記入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行わないことを示すプリチャージ可否信号を前記プリチャージ制御部及び前記レイテンシ制御部に出力してもよい(発明6)。
【0022】
かかる発明(発明6)によれば、第1トランザクションにおいて、プリチャージを行わないように指示するためのレジスタ書き込みコマンドが入力された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くするように設定することが可能になる。
【0023】
上記発明(発明1~6)においては、前記所定の条件は、前記第1トランザクションと前記第2トランザクションとにおいて同じロウアドレスが入力されたことを含んでもよい(発明7)。
【0024】
かかる発明(発明7)によれば、第2トランザクションにおいて第1トランザクションと同じロウアドレスにアクセスされる場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0025】
上記発明(発明7)においては、前記制御部は、前記所定の条件を満たす場合に、前記第2トランザクションの次の連続するトランザクションの各々において前記同じロウアドレスが入力されている間、前記連続するトランザクションの各々におけるレイテンシが前記初期レイテンシよりも短くなるように制御してもよい(発明8)。
【0026】
かかる発明(発明8)によれば、第2トランザクション以降の連続するトランザクションの各々において第1トランザクションと同じロウアドレスが入力されている間、第2トランザクション以降の連続するトランザクションの各々におけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0027】
上記発明(発明7~8)においては、前記制御部は、n(nは、1以上の整数)番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、n-1番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、を比較して、比較結果を出力するコンパレータと、前記比較結果が、前記n番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、前記n-1番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスと、が同じロウアドレスであることを示す場合に、前記n番目のトランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備えてもよい(発明9)。
【0028】
かかる発明(発明9)によれば、n番目のトランザクションにおいてn-1番目のトランザクションと同じロウアドレスにアクセスされる場合に、n番目のトランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0029】
上記発明(発明1~9)においては、前記所定の条件は、前記第1トランザクションにおいて入力された書き込みデータにエラーが検出されたことを含んでもよい(発明10)。
【0030】
かかる発明(発明10)によれば、第1トランザクションにおいて入力された書き込みデータにエラーが検出された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0031】
上記発明(発明10)においては、前記制御部は、前記第1トランザクションにおいて入力された書き込みデータがエラーを含むか否かを検出するエラー検出部と、前記エラー検出部が、前記書き込みデータがエラーを含むことを検出した場合に、前記第2トランザクションにおけるレイテンシを前記初期レイテンシよりも短くするように制御するレイテンシ制御部と、を備えてもよい(発明11)。
【0032】
かかる発明(発明11)によれば、第1トランザクションにおいて入力された書き込みデータにエラーが検出された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0033】
上記発明(発明1~11)においては、前記疑似スタティックランダムアクセスメモリは、(i)クロック信号に同期して信号が入力又は出力されるクロック同期型の疑似スタティックランダムアクセスメモリ、又は、(ii)アドレスデータマルチプレックスインタフェース型の疑似スタティックランダムアクセスメモリ、の何れかであってもよい(発明12)。
【0034】
かかる発明(発明12)によれば、疑似スタティックランダムアクセスメモリがクロック同期型の疑似スタティックランダムアクセスメモリである場合には、コマンド信号、アドレス信号及びデータ信号がクロック信号に同期して入力又は出力されるので、コマンド信号及びアドレス信号が入力されてからデータ信号が入力又は出力されるまでの間のレイテンシの長さをクロックサイクル数に基づいて設定することが可能になる。また、疑似スタティックランダムアクセスメモリがアドレスデータマルチプレックスインタフェース型の疑似スタティックランダムアクセスメモリである場合には、アドレス信号及びデータ信号の各々が、独立した端子ではなく共通の端子を介して入力されるので、トランザクション中に他のトランザクションのコマンド、アドレス及びデータが入力されないように制御することが可能になる。これにより、第1トランザクション及び/又は第2トランザクション中に入力される他のトランザクションに基づいてレイテンシの制御が行われるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の疑似スタティックランダムアクセスメモリによれば、データ転送速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】(a)は、読み出しコマンドが入力された場合の従来のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートであり、(b)は、書き込みコマンドが入力された場合の従来のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るpSRAMの構成例を示すブロック図である。
【
図3】異なるクロックサイクル毎の初期レイテンシとショートレイテンシとの関係の一例を示す図である。
【
図4】コマンドのビット割り当ての一例を示す図である。
【
図5】(a)は、プリチャージ信号生成部の構成例を示す図であり、(b)は、レイテンシ信号生成部の構成例を示す図である。
【
図6】(a)は、初期レイテンシが設定されている状態で読み出しコマンドが入力された場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートであり、(b)は、ショートレイテンシが設定されている状態で読み出しコマンドが入力された場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るpSRAMにおいてレジスタ書き込みコマンドが入力された場合の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【
図8】第2実施形態に係るpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るpSRAMの構成例を示すブロック図である。
【
図10】第3実施形態に係るpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【
図11】(a)は、コマンドのビット割り当ての一例を示す図であり、(b)は、コマンドが入力された場合の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【
図12】本発明の第4実施形態に係るpSRAMの構成例を示すブロック図である。
【
図13】(a)は、書き込みデータにエラーが検出されていない場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートであり、(b)は、書き込みデータにエラーが検出された場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態に係るpSRAMについて添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
また、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、或る構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものであって、当該構成要素の数、順序又は優先度等を限定するためのものではない。例えば、「第1要素」及び「第2要素」との記載が存在する場合、「第1要素」及び「第2要素」という2つの要素のみが採用されることを意味するものではないし、「第1要素」が「第2要素」に先行しなければならないことを意味するものでもない。
【0039】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係るpSRAMの構成例を示すブロック図である。本実施形態に係るpSRAMは、第1トランザクションにおいて、コマンド及びロウアドレスが入力されてから初期レイテンシが経過した後に、入力されたロウアドレス及びカラムアドレスに対応するメモリセルのデータの入力又は出力を行うように構成されている。また、本実施形態に係るpSRAMは、制御部10と、メモリセルアレイ20と、を備える。制御部10及びメモリセルアレイ20の各々は、専用のハードウェアデバイスや論理回路によって構成されてもよい。
【0040】
制御部10は、所定の条件を満たす場合に、第1トランザクションの後の第2トランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシよりも短くなるように制御する。なお、制御部10の詳細な構成については後述する。
【0041】
また、本実施形態において、所定の条件は、第1トランザクションにおいて、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くするための所定のコマンドが入力されたことを含む。これにより、第1トランザクションにおいて所定のコマンドが入力された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0042】
さらに、本実施形態では、所定のコマンドは、入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行わないように指示するためのコマンドを含む。これにより、第1トランザクションにおいてアクセスされたロウアドレスに対応するワード線を、プリチャージを行うことなくアクティブ状態に維持することが可能になるので、第1トランザクションにおいて所定のコマンドが入力された場合には、第2トランザクションにおいて、初期レイテンシよりも短いレイテンシの間に当該ロウアドレスにアクセスすることができる。
【0043】
さらにまた、本実施形態では、所定のコマンドは、読み出し又は書き込みコマンドを含む。この場合、第1トランザクションの読み出し又は書き込みコマンドによって、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くするように設定することが可能になる。
【0044】
メモリセルアレイ20は、行列状に配置された複数のメモリセルを備える。各メモリセルの構成は、周知の構成と同様であってもよい。
【0045】
なお、本実施形態に係るpSRAMは、クロック信号(例えば、外部クロック信号CLK)に同期して信号が入力又は出力されるクロック同期型の疑似スタティックランダムアクセスメモリであってもよい。この場合、コマンド信号、アドレス信号及びデータ信号がクロック信号(ここでは、外部クロック信号CLK)に同期して入力又は出力されるので、コマンド信号及びアドレス信号が入力されてからデータ信号が入力又は出力されるまでの間のレイテンシの長さをクロックサイクル数に基づいて設定することが可能になる。
【0046】
また、本実施形態に係るpSRAMは、アドレス信号及びデータ信号の各々が入力されるように構成されたアドレスデータ端子を有するアドレスデータマルチプレックスインタフェース型の疑似スタティックランダムアクセスメモリであってもよい。この場合、アドレス信号及びデータ信号の各々が、独立した端子ではなく共通の端子(アドレスデータ端子)を介して入力されるので、トランザクション中に他のトランザクションのコマンド、アドレス及びデータが入力されないように制御することが可能になる。これにより、第1トランザクション及び/又は第2トランザクション中に入力される他のトランザクションに基づいてレイテンシの制御が行われるのを抑制することができる。
【0047】
次に、本実施形態における制御部10の詳細な構成について説明する。制御部10は、コマンドデコーダ101と、ロウ制御部102と、レイテンシカウンタ103と、カラム制御部104と、プリチャージ信号生成部105と、プリチャージ制御部106と、レイテンシ信号生成部107と、を備える。なお、本実施形態では、説明を簡略化するために、例えば、電源回路、コマンドデコーダ、ロウデコーダ、カラムデコーダ、クロックジェネレータ等の他の周知の構成が示されていない。
【0048】
また、ここでは、各トランザクションにおいて同じロウアドレスにアクセスされる場合を想定した制御部10の構成を一例として説明する。
【0049】
コマンドデコーダ101は、外部から入力されたチップセレクト信号CS#がネゲート(ハイレベル)からアサート(ローレベル)に変化した場合に、外部クロック信号CLKに同期して、アドレスデータ端子を介して入力されたコマンドCMD(
図6(a)に示す)をデコードして、内部コマンドを生成する。ここで、生成される内部コマンドには、例えば、アクティブ信号ACT、リード信号RD、ライト信号WR等が含まれる。なお、図には示されていないが、コマンドデコーダ101は、リフレッシュ信号等を内部コマンドとして生成してもよい。コマンドデコーダ101は、アクティブ信号ACTを生成した場合に、生成したアクティブ信号ACTをロウ制御部102に出力する。また、コマンドデコーダ101は、リード信号RD又はライト信号WRを生成した場合に、生成したリード信号RD又はライト信号WRをレイテンシカウンタ103に出力する。
【0050】
ロウ制御部102は、コマンドデコーダ101から入力されたアクティブ信号ACTに基づいて、メモリセルアレイ20内の対応するメモリアレイの活性化/非活性化を制御する。例えば、ロウ制御部102は、アサート(ハイレベル)されたアクティブ信号ACTがコマンドデコーダ101から入力されると、アドレスデータ端子を介して入力されたロウアドレスRA(
図6(a)に示す)に対応するワード線を活性化する(アクティブにする)ための信号WLをアサート(ハイレベル)して、メモリセルアレイ20に出力する。また、ロウ制御部102は、例えば、アサート(ハイレベル)されたアクティブ信号ACTがコマンドデコーダ101から入力されると、センスアンプを活性化する(アクティブにする)ための信号SAをアサート(ハイレベル)して、メモリセルアレイ20に出力する。
【0051】
また、ロウ制御部102は、アサート(ハイレベル)されたプリチャージ信号PREがプリチャージ制御部106から入力されている場合に、トランザクションの終了後(チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)からネゲート(ハイレベル)に変化した後)に信号WLをネゲート(ローレベル)して、メモリセルアレイ20に出力する。これにより、活性化されたワード線がトランザクションの終了後に非活性化され、当該ワード線のプリチャージ動作が行われる。一方、ロウ制御部102は、ネゲート(ローレベル)されたプリチャージ信号PREがプリチャージ制御部106から入力されている場合に、トランザクションの終了後においても信号WLをアサート(ハイレベル)した状態でメモリセルアレイ20に出力する。この場合、トランザクションの終了後においてもワード線の活性化状態が維持され、当該ワード線のプリチャージが行われない。
【0052】
レイテンシカウンタ103は、リード信号RD又はライト信号WRがコマンドデコーダ101から入力されると、外部から入力された外部クロック信号CLKのパルス数(トグル数)をカウントする。そして、レイテンシカウンタ103は、カウントしたパルス数が所定のレイテンシの値に達した場合に、アドレスデータ端子を介して入力されたカラムアドレスCA(
図6(a)に示す)を指定するための信号CASをカラム制御部104に出力する。
【0053】
ここで、レイテンシカウンタ103は、レイテンシ信号生成部107から入力された信号NLTNCYに応じて、カウントするレイテンシの値を設定するように構成されている。例えば、信号NLTNCYがアサート(ハイレベル)されている場合には、レイテンシカウンタ103は、レイテンシが初期レイテンシであると判別して、カウントするレイテンシの値を、初期レイテンシに対応する値に設定する。また、信号NLTNCYがネゲート(ローレベル)されている場合には、レイテンシカウンタ103は、レイテンシが初期レイテンシよりも短いショートレイテンシであると判別して、カウントするレイテンシの値を、ショートレイテンシに対応する値(初期レイテンシに対応する値よりも小さい値)に設定する。
【0054】
初期レイテンシに対応する値と、ショートレイテンシに対応する値との関係の一例を
図3に示す。
図3に示す例では、初期レイテンシに対応する値及びショートレイテンシに対応する値がクロックサイクル(tCK)毎に設定されている。また、各クロックサイクルにおいて、初期レイテンシの値(外部クロック信号CLKのクロック数)は、ショートレイテンシの値(外部クロック信号CLKのクロック数)よりも大きい値に設定されている。さらに、初期レイテンシに対応する値及びショートレイテンシに対応する値は、クロックサイクルが短くなるほど(外部クロック信号CLKの周波数が高くなるほど)、大きくなるように設定されている。なお、このような関係を示す情報は、例えば、pSRAMの動作モードの情報(例えば、バースト長等)を記憶するモードレジスタ等に記憶され、レイテンシカウンタ103によって参照されてもよい。
【0055】
また、レイテンシカウンタ103は、レイテンシが初期レイテンシの場合(信号NLTNCYがアサート(ハイレベル)されている場合)に、コマンドCMD及びロウアドレスRAが入力された後の外部クロック(
図6(a)に示す例では、第3クロック)からクロックのパルス数のカウントを開始してもよい。さらに、レイテンシカウンタ103は、レイテンシがショートレイテンシの場合(信号NLTNCYがネゲート(ローレベル)されている場合)に、コマンドCMD及びカラムアドレスCAが入力された後の外部クロック(
図6(b)に示す例では、第4クロック)からクロックのパルス数のカウントを開始してもよい。
【0056】
カラム制御部104は、信号CASがレイテンシカウンタ103から入力されると、信号CASによって指定されたカラムアドレスCAに対応するカラム選択線を活性化する(アクティブにする)ための信号CSLをアサート(ハイレベル)して、メモリセルアレイ20に出力する。
【0057】
なお、メモリセルアレイ20内の複数のメモリセルに対するデータ制御の詳細については周知の技術と同様であるため、本実施形態では説明を省略する。
【0058】
プリチャージ信号生成部105は、アドレスデータ端子を介して入力されたコマンドCMDに基づいて、アドレスデータ端子を介して入力されたロウアドレスRAに対応するワード線のプリチャージを行うか否かを示すプリチャージ可否信号PREENを生成して、プリチャージ制御部106に出力する。具体的に説明すると、プリチャージ信号生成部105は、トランザクションにおける1番目の外部クロック信号CLK(
図5(a)において、1stCLKとして示す)と、1番目の外部クロック信号CLKの立ち上がりエッジにおいて入力される8ビットの信号ADQ[7:0]のうちADQ5ビットの値と、が入力されると、プリチャージ可否信号PREENを生成して、プリチャージ制御部106に出力する。
【0059】
ここで、
図4を参照して、コマンドCMDのデータ構成例について説明する。
図4は、コマンドCMDのビット割り当ての一例を示す図である。本実施形態において、コマンドCMDは、トランザクションにおける1番目の外部クロック信号CLKの立ち上がりエッジにおいて入力される8ビットの信号ADQ[7:0]のうちADQ7ビット、ADQ6ビット及びADQ5ビットの3つのビットで構成されている。
【0060】
ADQ7ビットは、コマンド種別(読み出しコマンド又は書き込みコマンド)を指定するためのビットである。ADQ7ビットの値が1の場合、コマンドCMDは読み出しコマンドであり、ADQ7ビットの値が0の場合、コマンドCMDは書き込みコマンドである。
【0061】
ADQ6ビットは、コマンドの処理対象(メモリセル又はレジスタ)を指定するためのビットである。ADQ6ビットの値が1の場合、レジスタに対してコマンド処理が行われ、ADQ6ビットの値が0の場合、メモリセルに対してコマンド処理が行われる。
【0062】
ADQ5ビットは、アドレスデータ端子を介して入力されたロウアドレスRAに対応するワード線のプリチャージを行うか否かを指示するためのビットである。ADQ5ビットの値が1の場合、コマンドCMDによってワード線のプリチャージを行わないように指示し、ADQ5ビットの値が0の場合、コマンドCMDによってワード線のプリチャージを行うように指示する。
【0063】
本実施形態では、第1トランザクションにおいてプリチャージ無し(ADQ5ビットの値が1)の読み出しコマンド又は書き込みコマンド(所定のコマンド)が入力された場合、後述するように、第2トランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシよりも短いショートレイテンシになるように制御される。
【0064】
次に、
図5(a)を参照して、プリチャージ信号生成部105の構成について説明する。プリチャージ信号生成部105は、シフトレジスタ105aと、インバータ105bと、を備える。
【0065】
シフトレジスタ105aは、トランザクションにおける1番目の外部クロック信号CLK(1stCLK)がクロック信号として入力されると、1番目の外部クロック信号CLKの立ち上がりエッジにおいて入力される8ビットの信号ADQ[7:0]のうちADQ5ビットをラッチして出力する。インバータ105bは、シフトレジスタ105aから出力された信号を論理反転し、論理反転した信号をプリチャージ可否信号PREENとしてプリチャージ制御部106及びレイテンシ信号生成部107に出力する。なお、シフトレジスタ105aの/CLR端子には、例えば制御部10内の他の回路によって生成されたリセット信号enableが印加されてもよい。
【0066】
プリチャージ制御部106は、プリチャージ可否信号PREENがプリチャージを行うことを示す場合(プリチャージ可否信号PREENがアサート(ハイレベル)されている場合)に、入力されたロウアドレスに対応するワード線のプリチャージを行うように制御する。本実施形態において、プリチャージ制御部106は、チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)されている場合に、プリチャージ信号生成部105から入力されたプリチャージ可否信号PREENに基づいてプリチャージ信号PREを生成し、生成したプリチャージ信号PREをロウ制御部102に出力する。例えば、プリチャージ可否信号PREENがアサート(ハイレベル)されている場合(プリチャージが行われる場合)、プリチャージ制御部106は、プリチャージ信号PREをアサート(ハイレベル)して、ロウ制御部102に出力する。また、プリチャージ可否信号PREENがネゲート(ローレベル)されている場合(プリチャージが行われない場合)、プリチャージ制御部106は、プリチャージ信号PREをネゲート(ローレベル)して、ロウ制御部102に出力する。
【0067】
レイテンシ信号生成部107は、プリチャージ可否信号PREENがプリチャージを行わないことを示す場合(プリチャージ可否信号PREENがネゲート(ローレベル)されている場合)に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くする(ショートレイテンシにする)ように制御する。本実施形態において、レイテンシ信号生成部107は、プリチャージ信号生成部105から入力されたプリチャージ可否信号PREENに基づいて信号NLTNCYを生成し、生成した信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力する。なお、本実施形態において、レイテンシ信号生成部107は、本発明の「レイテンシ制御部」の一例である。
【0068】
図5(b)を参照して、レイテンシ信号生成部107の構成について説明する。レイテンシ信号生成部107は、シフトレジスタ107aと、インバータ107b,107c,107dと、を備える。
【0069】
シフトレジスタ107aは、インバータ107cによって論理反転されたチップセレクト信号CS#がクロック信号として入力されると、インバータ107bによって論理反転されたプリチャージ可否信号PREENをラッチして出力する。インバータ107dは、シフトレジスタ107aから出力された信号を論理反転し、論理反転した信号を信号NLTNCYとしてレイテンシカウンタ103に出力する。なお、シフトレジスタ107aの/CLR端子には、例えば制御部10内の他の回路によって生成されたリセット信号enableが印加されてもよい。
【0070】
以上のように構成された制御部10は、前のトランザクション(第1トランザクション)においてアクセスされたワード線が活性化されている状態(プリチャージ可否信号PREENがネゲート(ローレベル)されている状態)で後のトランザクション(第2トランザクション)において当該ワード線がアクセスされる場合に、後のトランザクションにおいて入力されるアドレスのうちロウアドレスRAを無効にし、カラムアドレスCAのみを有効にすることによって、後のトランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くするように構成されている。
【0071】
次に、本実施形態に係るpSRAMの動作について
図6を参照して説明する。
図6(a)は、初期レイテンシが設定されている状態で読み出しコマンドが入力された場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートであり、
図6(b)は、ショートレイテンシが設定されている状態で読み出しコマンドが入力された場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。
【0072】
先ず、
図6(a)に示す動作について説明する。なお、ここでは、
図6(a)に示す読み出しトランザクション(第1トランザクション)の開始前では、プリチャージ可否信号PREENがアサート(ハイレベル)されており(つまり、プリチャージが行われる)、信号NLTNCYがアサート(ハイレベル)されている(つまり、読み出しトランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシである)場合を想定する。
【0073】
チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)されることによって読み出しトランザクションが開始された後に、外部クロック信号CLKに同期してコマンドCMDが入力されると、プリチャージ信号生成部105は、コマンドCMDに基づいてプリチャージ可否信号PREENを生成する。なお、ここでは、コマンドCMDが、プリチャージ無し(ADQ5ビットの値が1)の読み出しコマンドである場合を想定する。この場合、プリチャージ信号生成部105は、プリチャージ可否信号PREENをネゲート(ローレベル)して、プリチャージ制御部106及びレイテンシ信号生成部107に出力する。
【0074】
一方、レイテンシ信号生成部107のシフトレジスタ107aは、クロック端子に入力される信号(チップセレクト信号CS#の論理反転信号)が既にアサート(ハイレベル)されている状態であるため、プリチャージ信号生成部105から出力されたプリチャージ可否信号PREENの論理反転信号をラッチしない。これにより、レイテンシ信号生成部107は、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力する。
【0075】
レイテンシカウンタ103は、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYが入力されると、この読み出しトランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシであると判別して、外部クロック信号CLKのパルス数を、初期レイテンシに対応する値に達するまでカウントする。なお、ロウ制御部102は、初期レイテンシの間に、入力されたロウアドレスRAに対応するワード線を活性化する。
【0076】
そして、外部クロック信号CLKのパルス数が、初期レイテンシに対応する値に達した場合に、レイテンシカウンタ103は、信号CASをカラム制御部104に出力する。このようにして、入力されたロウアドレスRA及びカラムアドレスCAに対応するメモリセルのデータが読み出される。また、チップセレクト信号CS#がネゲート(ハイレベル)されることによって読み出しトランザクションが終了する。なお、この読み出しトランザクションにおいてプリチャージ無し(ADQ5ビットの値が1)の読み出しコマンドが入力されたので、入力されたロウアドレスRAに対応するワード線のプリチャージが行われず、ワード線の活性化状態が維持される。
【0077】
次に、
図6(b)に示す動作について説明する。なお、ここでは、
図6(a)に示す読み出しトランザクションの後に、
図6(b)に示す読み出しトランザクション(第2トランザクション)が行われる場合を想定する。この場合、
図6(b)に示す読み出しトランザクションの開始前では、プリチャージ可否信号PREENがネゲート(ローレベル)されており、信号NLTNCYがアサート(ハイレベル)されている。なお、この場合には、後の読み出しトランザクションにおけるロウアドレスRAの入力が無効になるので、
図6(b)に示すように、入力されるアドレスのうちロウアドレスRAが省略されている。
【0078】
チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)されることによって読み出しトランザクションが開始された後に、外部クロック信号CLKに同期してコマンドCMDが入力されると、プリチャージ信号生成部105は、コマンドCMDに基づいてプリチャージ可否信号PREENを生成する。なお、ここでは、コマンドCMDが、プリチャージ有り(ADQ5ビットの値が0)の読み出しコマンドである場合を想定する。この場合、プリチャージ信号生成部105は、プリチャージ可否信号PREENをアサート(ハイレベル)して、プリチャージ制御部106及びレイテンシ信号生成部107に出力する。
【0079】
一方、レイテンシ信号生成部107のシフトレジスタ107aは、チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)されたタイミングでプリチャージ可否信号PREENの論理反転信号をラッチする。なお、チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)されたタイミングでは、プリチャージ可否信号PREENはローレベルである。このため、プリチャージ可否信号PREENの論理反転信号はハイレベルとなる。よって、レイテンシ信号生成部107は、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力する。
【0080】
レイテンシカウンタ103は、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYが入力されると、この読み出しトランザクションにおけるレイテンシがショートレイテンシであると判別して、外部クロック信号CLKのパルス数を、ショートレイテンシに対応する値に達するまでカウントする。
【0081】
そして、外部クロック信号CLKのパルス数が、ショートレイテンシに対応する値に達すると、レイテンシカウンタ103は、信号CASをカラム制御部104に出力する。このようにして、この読み出しトランザクション(第2トランザクション)において入力されたカラムアドレスCAに対応するメモリセルのデータが読み出される。また、チップセレクト信号CS#がネゲート(ハイレベル)されることによって読み出しトランザクションが終了する。なお、後の読み出しトランザクション(第2トランザクション)においてプリチャージ有り(ADQ5ビットの値が0)の読み出しコマンドが入力されたので、第1トランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAに対応するワード線のプリチャージが行われる。
【0082】
このようにして、前の読み出しトランザクション(第1トランザクション)において所定のコマンド(プリチャージ無しの読み出しコマンド)が入力された場合に、後の読み出しトランザクション(第2トランザクション)におけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることができる。
【0083】
上述したように、本実施形態のpSRAMによれば、所定の条件を満たす場合に、後の読み出しトランザクション(第2トランザクション)におけるレイテンシが初期レイテンシよりも短くなる。これにより、後の読み出しトランザクションの時間を短縮することが可能になるので、後の読み出しトランザクションにおけるデータ転送速度を向上させることができる。
【0084】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のpSRAMは、第1トランザクションにおいて所定のコマンドが入力された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くする点において第1実施形態と同様であるが、所定のコマンドがレジスタ書き込みコマンドを含む点において第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0085】
本実施形態において、レジスタ書き込みコマンドは、
図7に示すように、コマンド及びアドレスと、モードレジスタに書き込まれるモードレジスタ(MR)データと、によって構成されている。ここで、MRデータには、プリチャージを行うか否かを示す1つ以上のビット数の情報が含まれてもよい。なお、レジスタ書き込みコマンドは、第1実施形態において説明したように、トランザクションにおける1番目の外部クロック信号CLKの立ち上がりエッジにおいて入力される8ビットの信号ADQ[7:0]のうちADQ6ビットの値が1に設定されたコマンドであってもよい。
【0086】
本実施形態において、制御部10のプリチャージ信号生成部105は、モードレジスタ書き込みコマンドが入力された場合に、モードレジスタに書き込まれたプリチャージに関する情報を取得してもよい。そして、プリチャージ信号生成部105は、プリチャージを行うことを示す情報がモードレジスタに書き込まれている場合に、プリチャージ可否信号PREENをアサート(ハイレベル)して、プリチャージ制御部106及びレイテンシ信号生成部107に出力する。また、プリチャージ信号生成部105は、プリチャージを行わないことを示す情報がモードレジスタに書き込まれている場合に、プリチャージ可否信号PREENをネゲート(ローレベル)して、プリチャージ制御部106及びレイテンシ信号生成部107に出力する。
【0087】
本実施形態において、制御部10のレイテンシ信号生成部107は、第1トランザクションにおいてモードレジスタ書き込みコマンドが入力された場合に、第1トランザクションの後の第2トランザクション(読み出し又は書き込みトランザクション)の終了時(チップセレクト信号CS#の立ち上がりエッジ)にプリチャージ可否信号PREENをラッチし、ラッチした信号を信号NLTNCYとしてレイテンシカウンタ103に出力する。
【0088】
本実施形態に係るpSRAMの動作について
図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係るpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。なお、ここでは、第1実施形態と同様に、各トランザクションにおいて同じロウアドレスにアクセスされる場合を想定して説明する。
【0089】
また、ここでは、時刻t1の前のタイミングにおいて、プリチャージ可否信号PREENがアサート(ハイレベル)されており(つまり、プリチャージが行われる)、信号NLTNCYがアサート(ハイレベル)されている(つまり、読み出しトランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシである)場合を一例として説明する。
【0090】
時刻t1においてプリチャージ無しのレジスタ書き込みコマンドが入力されると、プリチャージ信号生成部105は、モードレジスタに書き込まれたプリチャージに関する情報を参照した後に、プリチャージ可否信号PREENをネゲート(ローレベル)して、プリチャージ制御部106及びレイテンシ信号生成部107に出力する。なお、レイテンシ信号生成部107は、プリチャージ可否信号PREENをラッチするタイミングではないので、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力する。
【0091】
次に、時刻t2において読み出し又は書き込みトランザクションが開始されると、レイテンシカウンタ103は、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYに基づいて、トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシに設定する。そして、チップセレクト信号CS#がネゲート(ハイレベル)されることによって読み出し又は書き込みトランザクションが終了すると、レイテンシ信号生成部107は、ネゲート(ローレベル)されたプリチャージ可否信号PREENをラッチして、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力する。
【0092】
時刻t3において読み出し又は書き込みトランザクションが開始されると、レイテンシカウンタ103は、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYに基づいて、トランザクションにおけるレイテンシをショートレイテンシに設定する。これにより、この読み出し又は書き込みトランザクションの時間が、前の読み出し又は書き込みトランザクションよりも短くなる。
【0093】
次に、時刻t4においてプリチャージ有りのレジスタ書き込みコマンドが入力されると、プリチャージ信号生成部105は、モードレジスタに書き込まれたプリチャージに関する情報を参照した後に、プリチャージ可否信号PREENをアサート(ハイレベル)して、プリチャージ制御部106及びレイテンシ信号生成部107に出力する。なお、レイテンシ信号生成部107は、プリチャージ可否信号PREENをラッチするタイミングではないので、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力する。
【0094】
時刻t5において読み出し又は書き込みトランザクションが開始されると、レイテンシカウンタ103は、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYに基づいて、トランザクションにおけるレイテンシをショートレイテンシに設定する。そして、チップセレクト信号CS#がネゲート(ハイレベル)されることによって読み出し又は書き込みトランザクションが終了すると、レイテンシ信号生成部107は、アサート(ハイレベル)されたプリチャージ可否信号PREENをラッチして、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力する。
【0095】
次に、時刻t6において読み出し又は書き込みトランザクションが開始されると、レイテンシカウンタ103は、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYに基づいて、トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシに設定する。
【0096】
このようにして、所定のトランザクション(第1トランザクション)において入力されたレジスタ書き込みコマンドによって、後のトランザクション(第2トランザクション)におけるレイテンシを初期レイテンシ又はショートレイテンシに設定することができる。
【0097】
上述したように、本実施形態のpSRAMによれば、第1トランザクションのレジスタ書き込みコマンドによって、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くするように設定することが可能になる。
【0098】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、制御部10が、所定の条件を満たす場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くする点において上記各実施形態と同様であるが、所定の条件が、第1トランザクションと第2トランザクションとにおいて同じロウアドレスRAが入力されたことを含む点において、上記各実施形態と異なっている。以下、上記各実施形態と異なる構成について説明する。
【0099】
本実施形態において、制御部10は、所定の条件を満たす場合に、第2トランザクションの次の連続するトランザクションの各々において同じロウアドレスRAが入力されている間、連続するトランザクションの各々におけるレイテンシが初期レイテンシよりも短くなるように制御するように構成されている。これにより、第2トランザクション以降の連続するトランザクションの各々において第1トランザクションと同じロウアドレスRAが入力されている間、第2トランザクション以降の連続するトランザクションの各々におけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0100】
図9は、本実施形態に係るpSRAMの構成例を示す図である。本実施形態において、制御部10は、コマンドデコーダ101と、ロウ制御部102と、レイテンシカウンタ103と、カラム制御部104と、n(nは、1以上の整数)番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAをラッチするロウアドレス[n]ラッチ部108と、n-1番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAをラッチするロウアドレス[n-1]ラッチ部109と、コンパレータ110と、インバータ111と、を備える。コマンドデコーダ101、ロウ制御部102、レイテンシカウンタ103及びカラム制御部104の構成は、第1実施形態と同様であってもよい。
【0101】
ロウアドレス[n]ラッチ部108は、トランザクション毎に、各トランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAをラッチする。そして、ロウアドレス[n]ラッチ部108は、ラッチしたロウアドレスRAの値を示す信号RA[n]を、ロウアドレス[n-1]ラッチ部109、コンパレータ110及びメモリセルアレイ20に出力する。
【0102】
ロウアドレス[n-1]ラッチ部109は、ロウアドレス[n]ラッチ部108から信号RA[n]が入力される毎に、入力された信号RA[n]と、当該信号RA[n]の1つ前のトランザクションにおいて入力された信号RA[n]である信号RA[n-1]と、をラッチする。そして、ロウアドレス[n-1]ラッチ部109は、信号RA[n-1]をコンパレータ110に出力する。
【0103】
コンパレータ110は、ロウアドレス[n]ラッチ部108から入力された信号RA[n]の値と、ロウアドレス[n-1]ラッチ部109から入力された信号RA[n-1]の値とを比較する。そして、コンパレータ110は、両者の値が等しい場合に、比較結果を示す信号RACMPをアサート(ハイレベル)してインバータ111に出力し、プリチャージ信号PREをネゲート(ローレベル)してロウ制御部102に出力する。一方、コンパレータ110は、両者の値が異なる場合に、信号RACMPをネゲート(ローレベル)してインバータ111に出力し、プリチャージ信号PREをアサート(ハイレベル)してロウ制御部102に出力する。
【0104】
インバータ111は、コンパレータ110から出力された信号RACMPを論理反転し、論理反転した信号を信号NLTNCYとしてレイテンシカウンタ103に出力する。すなわち、インバータ111は、比較結果を示す信号RACMPが、n番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレス(信号RA[n]の値)と、n-1番目のトランザクションにおいて入力されたロウアドレス(信号RA[n-1]の値)と、が同じロウアドレスであることを示す場合(信号RACMPがアサート(ハイレベル)されている場合)に、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力することによって、n番目のトランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くする(ショートレイテンシにする)ように制御する。なお、本実施形態において、インバータ111は、本発明の「レイテンシ制御部」の一例である。
【0105】
本実施形態に係るpSRAMの動作について
図10を参照して説明する。
図10は、本実施形態に係るpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。なお、ここでは、時刻t11の前のトランザクションにおいて、0の値を有するロウアドレスRAに対してアクセスが行われており、当該ロウアドレスRAに対応するワード線が活性化されたままの状態であり、プリチャージ信号PREがネゲート(ローレベル)されており、信号NLTNCYがアサート(ハイレベル)されている場合を想定する。
【0106】
時刻t11において次のトランザクションが開始され、1の値を有するロウアドレスRAが入力されると、ロウアドレス[n]ラッチ部108は、1の値を有する信号RA[n]をロウアドレス[n-1]ラッチ部109、コンパレータ110及びメモリセルアレイ20に出力する。一方、ロウアドレス[n-1]ラッチ部109は、1の値を有する信号RA[n]が入力されると、0の値を有する信号[n-1]をコンパレータ110に出力する。
【0107】
コンパレータ110は、信号RA[n]の値と信号RA[n-1]の値とを比較する。そして、コンパレータ110は、両者の値が異なっていることから、信号RACMPをネゲート(ローレベル)してインバータ111に出力し、プリチャージ信号PREをアサート(ハイレベル)してロウ制御部102に出力する。なお、この場合、ロウ制御部102は、前のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAに対応するワード線(ここでは、0の値を有するロウアドレスRAに対応するワード線)をプリチャージし、1の値を有するロウアドレスRAに対応するワード線を活性化してもよい。
【0108】
また、レイテンシカウンタ103は、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYに基づいて、トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシに設定する。なお、トランザクションが終了した後、1の値を有するロウアドレスRAに対応するワード線の活性化状態が維持されてもよい。
【0109】
次に、時刻t12において次のトランザクションが開始され、1の値を有するロウアドレスRAが入力されると、ロウアドレス[n]ラッチ部108は、1の値を有する信号RA[n]をロウアドレス[n-1]ラッチ部109、コンパレータ110及びメモリセルアレイ20に出力する。一方、ロウアドレス[n-1]ラッチ部109は、1の値を有する信号RA[n]が入力されると、1の値を有する信号[n-1]をコンパレータ110に出力する。
【0110】
コンパレータ110は、信号RA[n]の値と信号RA[n-1]の値とを比較する。そして、コンパレータ110は、両者の値が等しいことから、信号RACMPをアサート(ハイレベル)してインバータ111に出力し、プリチャージ信号PREをネゲート(ローレベル)してロウ制御部102に出力する。
【0111】
また、レイテンシカウンタ103は、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYに基づいて、トランザクションにおけるレイテンシをショートレイテンシに設定する。これにより、トランザクションの時間が前のトランザクションよりも短くなる。
【0112】
時刻t13において次のトランザクションが開始され、1の値を有するロウアドレスRAが入力された場合には、入力されたロウアドレスRAの値が、1つ前のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAの値と等しいことから、1つ前のトランザクションと同様の動作が行われる。この場合においても、トランザクションにおけるレイテンシがショートレイテンシに設定される。
【0113】
次に、時刻t14において次のトランザクションが開始され、2の値を有するロウアドレスRAが入力されると、ロウアドレス[n]ラッチ部108は、2の値を有する信号RA[n]をロウアドレス[n-1]ラッチ部109、コンパレータ110及びメモリセルアレイ20に出力する。一方、ロウアドレス[n-1]ラッチ部109は、2の値を有する信号RA[n]が入力されると、1の値を有する信号[n-1]をコンパレータ110に出力する。
【0114】
コンパレータ110は、信号RA[n]の値と信号RA[n-1]の値とを比較する。そして、コンパレータ110は、両者の値が異なっていることから、信号RACMPをネゲート(ローレベル)してインバータ111に出力し、プリチャージ信号PREをアサート(ハイレベル)してロウ制御部102に出力する。なお、この場合、ロウ制御部102は、前のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAに対応するワード線(ここでは、1の値を有するロウアドレスRAに対応するワード線)をプリチャージし、2の値を有するロウアドレスRAに対応するワード線を活性化してもよい。
【0115】
また、レイテンシカウンタ103は、アサート(ハイレベル)された信号NLTNCYに基づいて、トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシに設定する。なお、トランザクションが終了した後、2の値を有するロウアドレスRAに対応するワード線の活性化状態が維持されてもよい。
【0116】
このようにして、連続するトランザクションの各々において前のトランザクションと同じロウアドレスRAが入力されている間、連続するトランザクションの各々におけるレイテンシをショートレイテンシに設定することができる。
【0117】
上述したように、本実施形態のpSRAMによれば、後のトランザクション(第2トランザクション)において前のトランザクション(第1トランザクション)と同じロウアドレスRAにアクセスされる場合に、後のトランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0118】
また、本実施形態のpSRAMによれば、後のトランザクション(第2トランザクション)以降の連続するトランザクションの各々において前のトランザクション(第1トランザクション)と同じロウアドレスRAが入力されている間、後のトランザクション以降の連続するトランザクションの各々におけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0119】
なお、本実施形態では、トランザクションの終了後にワード線の活性化状態が維持されるように構成されているので、このワード線をプリチャージするためのコマンドCMDが設けられてもよい。
図11(a)に、コマンドのデータ構成例を示す。
図11(a)に示す例では、コマンドCMDは、トランザクションにおける1番目の外部クロック信号CLKの立ち上がりエッジにおいて入力される8ビットの信号ADQ[7:0]のうちADQ7ビット、ADQ6ビット及びADQ4ビットの3つのビットで構成されている。なお、ADQ7ビット及びADQ6ビットの内容は、第1実施形態と同様であってもよい。
【0120】
ADQ4ビットは、1つ前のトランザクションにおいて入力されたロウアドレスRAに対応するワード線のプリチャージを行うか否かを指示するためのビットである。例えば、ADQ4ビットの値が1の場合、プリチャージが行われてもよい。
【0121】
なお、ワード線をプリチャージするためのコマンドCMDが入力される場合には、
図11(b)に示すように、コマンド及びアドレスのみが入力され、データが入力されなくてもよい。
【0122】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態のpSRAMは、制御部10が、所定の条件を満たす場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くする点において上記各実施形態と同様であるが、所定の条件が、第1トランザクションにおいて入力された書き込みデータにエラーが検出されたことを含む点において、上記各実施形態と異なっている。以下、上記各実施形態と異なる構成について説明する。
【0123】
図12は、本実施形態に係るpSRAMの構成例を示す図である。本実施形態において、制御部10は、コマンドデコーダ101と、ロウ制御部102と、レイテンシカウンタ103と、カラム制御部104と、プリチャージ制御部106と、書き込みデータラッチ部112と、エラー検出部113と、インバータ114と、を備える。コマンドデコーダ101、ロウ制御部102、レイテンシカウンタ103及びカラム制御部104の構成は、第1実施形態と同様であってもよい。
【0124】
本実施形態において、プリチャージ制御部106は、チップセレクト信号CS#がアサート(ローレベル)されている場合に、書き込みデータWRDATAにエラーが検出されたことを示す信号ERRがアサート(ハイレベル)された状態でエラー検出部113から入力されると、プリチャージ信号PREをネゲート(ローレベル)して、ロウ制御部102に出力する。一方、プリチャージ制御部106は、信号ERRがネゲート(ローレベル)された状態(書き込みデータWRDATAにエラーが検出されなかった場合)でエラー検出部113から入力されると、プリチャージ信号PREをアサート(ハイレベル)して、ロウ制御部102に出力する。
【0125】
書き込みデータラッチ部112は、書き込みトランザクション毎に、アドレスデータ端子を介して入力された書き込みデータをラッチし、ラッチした書き込みデータWRDATAをエラー検出部113及びメモリセルアレイ20に出力する。なお、本実施形態において、外部から入力される書き込みデータは、誤り検出用のチェックデータ(例えば、パリティ符号やCRC(Cyclic Redundancy Checking)符号等)が付された状態で入力される。
【0126】
エラー検出部113は、書き込みデータラッチ部112から書き込みデータWRDATA及びチェックデータが入力されると、書き込みデータWRDATAに対して、チェックデータを用いた周知の誤り検出処理を行う。また、エラー検出部113は、書き込みデータWRDATAがエラーを含むことを検出した場合に、信号ERRをアサート(ハイレベル)して、インバータ114及びプリチャージ制御部106に出力するとともに、エラー端子を介して外部に出力する。一方、エラー検出部113は、書き込みデータWRDATAがエラーを含まないことを検出した場合に、信号ERRをネゲート(ローレベル)して、インバータ114及びプリチャージ制御部106に出力するとともに、エラー端子を介して外部に出力する。
【0127】
インバータ114は、エラー検出部113から出力された信号ERRを論理反転し、論理反転した信号を信号NLTNCYとしてレイテンシカウンタ103に出力する。すなわち、インバータ114は、エラー検出部113が、書き込みデータがエラーを含むことを検出した場合(信号ERRがアサート(ハイレベル)されている場合)に、ネゲート(ローレベル)された信号NLTNCYをレイテンシカウンタ103に出力することによって、第2トランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くする(ショートレイテンシにする)ように制御する。なお、本実施形態において、インバータ114は、本発明の「レイテンシ制御部」の一例である。
【0128】
本実施形態に係るpSRAMの動作について
図13を参照して説明する。
図13(a)は、書き込みデータWRDATAにエラーが検出されていない場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートであり、
図13(b)は、書き込みデータWRDATAにエラーが検出された場合のpSRAM内の信号の時間推移の一例を示すタイムチャートである。なお、ここでは、各トランザクションにおいて同じロウアドレスにアクセスされる場合を想定して説明する。
【0129】
図13(a)を参照して、書き込みデータWRDATAにエラーが検出されていない場合について説明する。なお、書き込みデータ及びチェックデータが入力されるまでのpSRAMの動作は、第1実施形態と同様である。書き込みデータ及びチェックデータが入力されると、書き込みデータラッチ部112は、入力された書き込みデータ及びチェックデータをラッチし、ラッチした書き込みデータを書き込みデータWRDATAとしてエラー検出部113及びメモリセルアレイ20に出力する。また、書き込みデータラッチ部112は、ラッチしたチェックデータをエラー検出部113に出力する。
【0130】
エラー検出部113は、書き込みデータWRDATA及びチェックデータが入力されると、チェックデータを用いて、書き込みデータWRDATAにエラーが含まれてるか否かを検出する。そして、エラー検出部113は、書き込みデータWRDATAにエラーが含まれていないことを検出すると、信号ERRをネゲート(ローレベル)して、インバータ114及びプリチャージ制御部106に出力するとともに、エラー端子を介して外部に出力する。この場合、インバータ114は、信号NLTNCYをアサート(ハイレベル)してレイテンシカウンタ103に出力する。これにより、次のトランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシに設定される。また、プリチャージ制御部106は、プリチャージ信号PREをアサート(ハイレベル)して、ロウ制御部102に出力する。さらに、ロウ制御部102は、アサート(ハイレベル)されたプリチャージ信号PREが入力されると、書き込みトランザクションの終了後にワード線をプリチャージする。
【0131】
次に、
図13(b)を参照して、書き込みデータWRDATAにエラーが検出された場合について説明する。エラー検出部113は、書き込みデータWRDATA及びチェックデータが入力されると、チェックデータを用いて、書き込みデータWRDATAにエラーが含まれてるか否かを検出する。そして、エラー検出部113は、書き込みデータWRDATAにエラーが含まれていることを検出すると、信号ERRをアサート(ハイレベル)して、インバータ114及びプリチャージ制御部106に出力するとともに、エラー端子を介して外部に出力する。この場合、インバータ114は、信号NLTNCYをネゲート(ローレベル)してレイテンシカウンタ103に出力する。これにより、次のトランザクションにおけるレイテンシがショートレイテンシに設定される。また、プリチャージ制御部106は、プリチャージ信号PREをネゲート(ローレベル)して、ロウ制御部102に出力する。さらに、ロウ制御部102は、ネゲート(ローレベル)されたプリチャージ信号PREが入力されると、書き込みトランザクションの終了後においてもワード線の活性化状態を維持する。
【0132】
このようにして、書き込みトランザクション(第1トランザクション)において入力された書き込みデータWRDATAにエラーが検出された場合に、後のトランザクション(第2トランザクション)におけるレイテンシをショートレイテンシに設定することができる。
【0133】
上述したように、本実施形態のpSRAMによれば、書き込みトランザクションにおいて入力された書き込みデータWRDATAにエラーが検出された場合に、後のトランザクションにおけるレイテンシを初期レイテンシよりも短くすることが可能になる。
【0134】
なお、本実施形態では、第3実施形態と同様に、書き込みデータWRDATAにエラーが検出されたトランザクションの終了後にワード線の活性化状態が維持されるように構成されているので、このワード線をプリチャージするためのコマンドCMDが設けられてもよい。このコマンドCMDは、
図11に示す構成と同様に構成されてもよい。
【0135】
以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記各実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0136】
例えば、上述した第1実施形態では、所定のコマンドが、読み出し又は書き込みコマンドと、ワード線のプリチャージを行うか否かを指示するためのコマンドとを含む場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、所定のコマンドは、読み出しコマンド及び書き込みコマンドのうち何れか一方のみであってもよい。この場合、第1トランザクション及び第2トランザクションにおいて同じロウアドレスRAが入力された場合であって、第1トランザクションにおいて読み出しコマンド又は書き込みコマンドが入力された場合に、第2トランザクションにおけるレイテンシが初期レイテンシよりも短くなるように制御されてもよい。また、所定のコマンドは、ワード線のプリチャージを行うか否かを指示するためのコマンドのみであってもよい。さらに、所定のコマンドは、後のトランザクション(第2トランザクション)におけるレイテンシをショートレイテンシに設定するように構成された任意のコマンドであってもよい。
【0137】
また、
図2、
図9及び
図12に示す制御部10の構成は一例であり、適宜変更されてもよいし、他の様々な構成が採用されてもよい。
【0138】
さらに、
図5(a)に示すプリチャージ信号生成部105及び
図5(b)に示すレイテンシ信号生成部107の構成は一例であり、適宜変更されてもよいし、他の様々な構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0139】
10…制御部
101…コマンドデコーダ
102…ロウ制御部
103…レイテンシカウンタ
104…カラム制御部
105…プリチャージ信号生成部
106…プリチャージ制御部
107…レイテンシ信号生成部
108…ロウアドレス[n]ラッチ部
109…ロウアドレス[n-1]ラッチ部
110…コンパレータ
111…インバータ
112…書き込みデータラッチ部
113…エラー検出部
114…インバータ
20…メモリセルアレイ