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特許7507295ペット用浴室施設の売上分析プログラム,ペット用浴室施設の売上予測プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ペット用浴室施設の売上分析プログラム,ペット用浴室施設の売上予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240620BHJP
【FI】
G06Q10/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023144044
(22)【出願日】2023-09-05
【審査請求日】2023-10-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399059599
【氏名又は名称】近鉄不動産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100209369
【弁理士】
【氏名又は名称】山上 誠
(72)【発明者】
【氏名】中井 公一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 早彩香
【審査官】平井 嗣人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-103456(JP,A)
【文献】特開2003-141325(JP,A)
【文献】特開2002-123787(JP,A)
【文献】特開平10-240799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターに,既に運用されているペット用浴室施設における,予め定めた所定期間(「所定期間S1」とする。但しそのアルファベットを付した値である当該「S1」を単独で,計算式や前述の内容を示すものとして用いることがある。以下「」で用語を定義するときは同様。)の間の,利用件数又は利用による売上を分析する動作をさせる,ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて,
前記ペット用浴室施設を利用するにあたり,当該施設の利用者の全部又は一部について当該利用者及び当該利用者の住所地の情報が予め会員登録され,当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報(以下「当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報」を「施設・利用者間の距離情報」という)を,前記ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて利用できることを前提として,
前記ペット用浴室施設から所定距離(「所定距離L1」とする)の範囲内の世帯数(「圏内世帯数A」とする)を入力する第1のステップと(但し,以下で「入力」というときは,プログラムの実行により計算した結果を,前記ペット用浴室施設の売上分析プログラムの実行の過程において入力する場合をも含むものとする),
前記ペット用浴室施設が設置された地域における世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「ペット飼育率B」とする)を入力する第2のステップと,
前記所定期間S1の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L1の範囲内にある住所地の居住者により,前記ペット用浴室施設が利用された利用件数(「圏内利用件数C」とする)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある利用者の利用件数を集計することにより,入力する第3のステップ(但し,前記第1~第3のステップその他入力を行うステップどうしは,あるステップが他方のステップで入力された値を用いていない限り,互いに順序を問わない。以下「入力」というときは同じ)と,
前記圏内世帯数Aと前記ペット飼育率Bとを掛け算した値(「圏内想定飼育頭数D」とする,掛け算の順序は問わない)の計算をする第4のステップ(但し,当該計算をするステップは,その計算に用いる値(即ち前記A,前記B)を入力するステップ(即ち前記第1,第2のステップ)の後であれさえすればよく,当該計算に用いない値(即ち前記C)を入力するステップ(即ち前記第3のステップ)と,当該第4のステップとの順序は問わない,以下についても「計算」,「入力」というときは同様)と,
前記圏内利用件数Cを前記圏内想定飼育頭数Dで割り算した値(「圏内想定飼育頭数に対する利用率E」とする)を,計算する第5のステップと,
を実行するペット用浴室施設の売上分析プログラム
【請求項2】
前記第5のステップに代えて,又は前記第5のステップに加え,
前記所定期間S1の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L1の範囲内にある住所地の居住者のうち,前記ペット用浴室施設を1回以上利用した者の人数(「圏内アクティブ会員数F」とする)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある利用者の数を集計することにより,入力する第6のステップと,
前記圏内アクティブ会員数Fを前記圏内想定飼育頭数Dで割り算した値(「圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率G」とする)を計算する第7のステップと,
前記圏内利用件数Cを前記圏内アクティブ会員数Fで割り算した値(「圏内利用者1人当たりの利用率H」とする)を計算する第8のステップ(但し,当該ステップで用いていない値を計算する別のステップ(即ち前記第7のステップ)との間の順序は問わない。以下についても「計算」というときは同様)と,を実行する請求項1に記載のペット用浴室施設の売上分析プログラム
【請求項3】
前記第5のステップに代えて,又は前記第5のステップに加え,
記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の範囲内にある住所地が,前記利用者の住所地として前記会員登録がされている会員の数(「圏内登録会員数M」とする。但しその会員が現実に利用したかは問わない)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある,前記会員登録がされている会員の数を集計することにより入力する第9のステップと
以下の第10A,第10B,第10Cのいずれか1以上のステップ,即ち,
記圏内登録会員数Mを前記圏内想定飼育頭数Dで割り算した値(「圏内登録会員加入率J」とする)を計算する第10Aのステップ,
記圏内利用件数Cを前記圏内登録会員数Mで割り算した値(「圏内登録会員数に対する利用率K」とする)を計算する第10Bのステップ,
前記所定期間S1の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L1の範囲内にある住所地の居住者のうち,前記ペット用浴室施設を1回以上利用した者の人数(「圏内アクティブ会員数F」とする)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある利用者の数を集計することにより入力し,当該圏内アクティブ会員数Fを前記圏内登録会員数Mで割り算した値(「圏内アクティブ会員率AR」とする)を計算する第10Cのステップ,
を実行する請求項1に記載のペット用浴室施設の売上分析プログラム
【請求項4】
前記第1のステップに代えて,前記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の範囲内にある,1戸建て住宅の世帯数(「圏内戸建世帯数A’」とする)を入力する第1aのステップと,前記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の範囲内にある1戸建て住宅以外の世帯数(「圏内集合住宅世帯数A”」とする)を入力する第1bのステップと,
前記第2のステップに代えて,前記ペット用浴室施設が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「戸建ペット飼育率B’」とする)を入力する第2aのステップと,当該地域の1戸建て住宅以外の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「集合住宅ペット飼育率B”」とする)と,を入力する第2bのステップと,
前記第4のステップに代えて,前記A’×前記B’+前記A”×前記B”(但し×は掛け算,+は加算を表し,掛け算の順序,及び当該掛け算をしたものの加算の順序は問わない。以下,×,+,掛け算,又は加算というときは同じ)の計算を行(その計算結果を「圏内想定飼育頭数D’」とする),当該圏内想定飼育頭数D’を前記圏内想定飼育頭数Dとして入力する第4’のステップと,を実行する請求項1~3のいずれかに記載のペット用浴室施設の売上分析プログラム
【請求項5】
コンピューターに,既に運用されているペット用浴室施設における,予め定めた所定期間(「所定期間S2」とする)の間の,利用件数又は利用による売上を分析する動作をさせる,ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて,
前記ペット用浴室施設を利用するにあたり,当該ペット用浴室施設の売上分析プログラムが前記分析の対象とする当該施設の利用者の全部又は一部について当該利用者及び当該利用者の住所地の情報が予め会員登録され,当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報(以下「当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報」を「施設・利用者間の距離情報」という)を,前記ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて利用できることを前提として,
前記ペット用浴室施設からの所定距離を,複数個(その数を「n個」とする)入力する(入力した複数の値を「所定距離L11~L1n」とする)第11のステップと,
前記所定期間S2の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L11~L1nのうちの1つの距離の範囲内にある住所地の居住者により,前記ペット用浴室施設が利用された利用件数を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1~L1nとを比較して,前記所定距離L1~L1nの範囲内にある利用者の利用件数を集計することにより,入力するステップを,前記所定距離L11~L1nについて,繰り返し実行する(当該繰り返し実行して得られた前記利用件数を「圏内利用件数Ca1~Can」とする)第12のステップと,
前記ペット用浴室施設からの距離に関わらず,前記所定期間S2の間に前記ペット用浴室施設が利用された全件数(「期間内全利用件数U」とする)を入力する第13のステップと,
前記利用件数Ca1~Canの各々を,前記期間内全利用件数Uで割った比率(「売上構成比率Sr1~Srn」とする)を計算する第14のステップと,を実行するペット用浴室施設の売上分析プログラム
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載のペット用浴室施設の売上分析プログラムの全体(これを「売上分析プログラム全体」とする)を利用するペット用浴室施設の売上分析プログラムであって,
前記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の距離範囲を複数設定し,その距離範囲ごとに,前記売上分析プログラム全体を繰り返し実行する第15のステップを実行するペット用浴室施設の売上分析プログラム
【請求項7】
コンピューターに,ペット用浴室施設(但し,当該「ペット用浴室施設」には未だ開設していない開設予定地をも含む)における,未来の売上を予測する動作をさせる,ペット用浴室施設の売上予測プログラムにおいて,
当該売上を予測する対象とする前記ペット用浴室施設(「売上予測対象の施設」とする)とは異なる,既に運用している既存のペット用浴室施設(「参照施設」とする)が存在し,前記参照施設を利用するにあたり,その利用者の全部又は一部について当該利用者及び当該利用者の住所地の情報が予め会員登録され,当該参照施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報(以下「当該参照施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報」を「参照施設・利用者間の距離情報」という)を,前記ペット用浴室施設の売上予測プログラムにおいて利用できることを前提として,
前記売上予測対象の施設から,予め定めた所定距離(「所定距離L2」とする)の範囲内の住所地で飼われていると推定されるペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1」とする)を入力するステップaと,
前記参照施設から前記所定距離L2と同じ距離範囲内で飼われていると推定される想定飼育頭数(「参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2」とする)を入力するステップbと,
予め定めた過去の期間(「参照期間S3」とする)の間に,前記参照施設から前記所定距離L2と同じ距離範囲内の住所地の利用者によって,前記参照施設が利用された利用件数(「参照施設の圏内利用件数C2」とする)を,前記コンピューターが前記参照施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L2とを比較して,前記所定距離L2の範囲内にある利用者の利用件数を集計することにより,入力するステップcと,
前記売上予測対象の施設について想定する1回利用当たりの単価(「利用単価P」とする),当該1回利用当たりの単価を一定期間で平均した単価(「平均単価AvP」とする),又は当該平均単価に相当する単価(「相当単価AvP’」とする)のいずれかを入力するステップdと,
以上で入力した値について,前記D1×前記C2/前記D2×(前記P,前記AvP,又は前記AvP’)の計算をする(その計算式を「圏内売上予測値の計算式」,値を「圏内売上予測値Q」とする)ステップeと,
を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラム
【請求項8】
前記ステップaにおいて,
前記売上予測対象の施設から前記所定距離L2の範囲内の世帯数(「売上予測対象の施設周辺の圏内世帯数A1」とする)を,入力するステップa1と
前記売上予測対象の施設が設置される地域における世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺のペット飼育率B1」とする)を入力するステップa2と,
前記売上予測対象の施設周辺の圏内世帯数A1と,前記売上予測対象の施設周辺のペット飼育率B1と,の掛け算の計算をして(その計算結果の値を「D1’」とする),前記D1’を,前記売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1として入力するステップa3と,を実行する請求項7に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム。
【請求項9】
前記ステップbにおいて,
前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内の世帯数(「参照施設周辺の圏内世帯数A2」とする)を,入力するステップb1と
前記参照施設が設置された地域における世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「参照施設周辺のペット飼育率B2」とする)を入力するステップb2と,
前記参照施設周辺の圏内世帯数A2と前記参照施設周辺のペット飼育率B2の掛け算の計算をして(その計算結果の値を「D2’」とする),前記D2’を前記参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2として入力するステップb3と,を実行する請求項7に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム。
【請求項10】
前記ステップaにおいて,
前記売上予測対象の施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅の世帯数(「売上予測対象の施設周辺の戸建世帯数A1’」とする)を,入力するステップa1”と,
前記売上予測対象の施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅以外の世帯数(「売上予測対象の施設周辺の圏内集合住宅世帯数A1”」とする)を,入力するステップa2”と,
前記売上予測対象の施設が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺の圏内戸建ペット飼育率B1’」とする))を入力するステップa3”と,
前記売上予測対象の施設が設置された地域における1戸建て住宅以外の住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺の集合住宅ペット飼育率B1”」とする))を入力するステップa4”と,
前記A1’×前記B1’+前記A1”×前記B1”の計算結果(当該計算結果を「D1”」とする)を前記売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1として入力するステップa5”と,を実行する請求項7に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム。
【請求項11】
前記ステップbにおいて,
前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅の世帯数(「参照施設周辺の圏内戸建世帯数A2’」とする)を,入力するステップb1”と,
前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅以外の世帯数(「参照施設周辺の圏内集合住宅世帯数A2”」とする)を,入力するステップb2”と,
前記参照施設が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「参照施設周辺の戸建ペット飼育率B2’」とする)を入力するステップb3”と,
前記参照施設が設置された地域における1戸建て住宅以外の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「参照施設周辺の集合住宅ペット飼育率B2”」とする)を入力するステップb4”と,
前記A2’×前記B2’+前記A2”×前記B2”の計算結果(当該計算結果の値を「D2”」とする)を前記参照施設周辺の圏内想定飼育頭数Dとして入力するステップb5”と,を実行する請求項7に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム
【請求項12】
前記ステップcの前に,
前記予測対象の施設において,その売上の予測の対象とする期間(「予測対象期間S4」とする)を特定する情報として,前記予測対象の施設の運営開始時期からの経過期間に基づく期間(「運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5」とする)を入力するステップc0と,前記参照施設の運営開始からの,前記運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5と対応する期間(「参照期間S3’」とする)を設定するステップc1と,を実行し,
前記ステップcにおいて,前記参照期間S3として,前記参照期間S3’を設定して,前記参照施設の利用履歴のデータの集合から,当該参照期間S3’に係る利用履歴を抽出して,前記参照施設の圏内利用件数C2を入力するステップc2を実行する請求項7~11に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム
【請求項13】
請求項12に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム中の各ステップの一部を利用するプログラムであって,
複数の前記参照施設が存在することを前提として,
前記ステップa,c0及びdと,
前記参照施設各々について,前記ステップb及び前記ステップc1,c2を繰り返し実行することで,前記参照施設各々の前記C2及び前記D2を入力するステップf(但し,当該の繰り返し実行する順序は問わない)と,
前記ステップeに代えて,当該ステップeの前記圏内売上予測値の計算式のうち,「前記C2/前記D2」の部分について,以下の(あ),(い)即ち,
(あ)各々の前記参照施設について計算した値の平均値,
(い)当該ステップeの前記圏内売上予測値の計算式のうち,「前記C2/前記D2」の部分について,各々の前記参照施設について計算した前記C2の合計を,各々の前記参照施設について計算した前記D2の合計で割った値,
のいずれかを計算し,前記圏内売上予測値の計算式のうちの「前記C2/前記D2」の部分に関し前記(あ),(い)のいずれかに置き換えて計算するステップe1と,
を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラム
【請求項14】
請求項12に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム中の各ステップの一部を利用するプログラムであって,
複数の前記参照施設が存在することを前提として,
前記ステップa,c0及びdを実行し,
前記参照施設各々について,前記ステップb,c1,及びc2,並びに以下のステップh,j,及びk,即ち,
前記参照期間S3’の間に,前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内にある住所地の居住者のうち,前記参照施設を1回以上利用した利用者の数(「参照施設の圏内アクティブ会員数F2」とする)を,前記コンピューターが前記参照施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L2とを比較して,前記所定距離L2の範囲内にある利用者の数を集計することにより入力するステップh,
前記圏内アクティブ会員数F2を前記圏内想定飼育頭数D2で割り算した値(「参照施設の圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率G2」とする)を計算するステップj,
前記参照施設の圏内利用件数C2を前記圏内アクティブ会員数F2で割り算した値(「圏内利用者1人当たりの利用率H2」とする)を計算するステップk,
を繰り返し実行し,
前記ステップeに代えて,
複数の前記参照施設について計算した,前記参照施設の圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率G2を,平均した値(「平均値AvG2」とする)と,複数の前記参照施設について計算した,前記圏内利用者1人当たりの利用率H2を,平均した値(「平均値AvH2」とする)とを計算し,前記ステップeにおける前記圏内売上予測値の計算式のうちの「前記C2/前記D2」の部分に関し,平均値AvG2と平均値AvH2とを掛け算した値に置き換えて計算するステップe2を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラム
【請求項15】
請求項7~11のいずれかに記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム全体(以下「売上予測プログラム全体」とする)を繰り返し利用するプログラムであって,
前記売上予測対象の施設からの前記所定距離L2の値を複数(その数を「x個」とする)設定し(これらの距離を「所定距離L21~L2x」とする),前記所定距離L21~L2xについて,前記売上予測プログラム全体を繰り返し実行して,前記圏内売上予測値Qをそれぞれ計算するステップmと,
前記参照施設について,その設置場所からの距離に関わらず,前記参照期間S3の間に前記参照施設が利用された総件数(「期間内総利用件数U2」とする)を入力するステップpと,
前記所定距離L21~L2xのうちの最大のものを「所定距離L2max」として,〔前記所定距離L2maxにおける前記圏内売上予測値Q〕×前記期間内総利用件U2/〔前記所定距離L2maxにおける前記参照施設の圏内利用件数C2〕を計算する(この計算式を「期間内総利用件数の予測計算式」,値を「期間内総利用件数の予測値EU」とする)ステップqと,
前記所定距離L21~L2x(但し前記所定距離L2maxを除く)について,前記圏内売上予測値Qと,前記期間内総利用件数の予測値EUとの比率をそれぞれ計算するステップrと,
を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,有償にて時間貸しで提供される犬他のペット用浴室施設に関し,当該施設の利用件数ないし当該利用による売上の,分析又は予測に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には,小型犬シャンプー用バスタブが開示されている。
【0003】
また,非特許文献1には,無人式で,時間貸しをする犬の浴室施設に関し,予約方法などが示されており,当該施設は現実に運営されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-61633号
【非特許文献】
【0005】
【文献】「セルフドッグスパ・わんだふ」(https://wandafu.org/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,従来文献には,そもそも,犬,猫などのペットの洗浄や浴室の文献そのものが少ない。
【0007】
調査する限りでは,ペットの施設利用の予約に関する特許文献は見当たらない。また,上記の従来文献には,その時間貸しに供せられるペットの浴室施設に関し,その施設の利用件数や,その利用件数に関し利用ごとの利用料金を累積した売上(本願では「利用による売上」と称する。典型的には[利用件数×1回ごとの利用料金]になる)を分析したり,予測したりする旨の記載はない。
【0008】
そこで,本願発明は,有償にて時間貸しで提供されるペットの浴室施設に関し,当該施設の利用件数(ないし利用回数)又は利用による売上を予測する手段を提供することを目的とする。
【0009】
なお,本願では「ペット」を,「愛玩を目的として飼育される動物」(Wikipedia参照)を指すものとし,「ペット」ないし,「ペット用浴室施設」の「利用」(名詞・動詞を問わない)というときは,「ペット」ないし当該「利用」に係る「ペット」を,種々の動物を含む概念として扱う場合のみならず,犬等の特定の動物や種類に限定して用いる場合をも含む。当該施設を利用するペットとしては,典型的には犬を対象としているが,それに限らない。また,「利用件数」の「件数」は「事件や事柄の数」を指すとされるが(goo国語辞書参照),本願では「利用回数」と同じ意味で使用している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本願発明の1つは,
コンピューターに,既に運用されているペット用浴室施設における,予め定めた所定期間(「所定期間S1」とする。但しそのアルファベットを付した値である当該「S1」を単独で,計算式や前述の内容を示すものとして用いることがある。以下「」で用語を定義するときは同様。)の間の,利用件数又は利用による売上を分析する動作をさせる,ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて,
前記ペット用浴室施設を利用するにあたり,当該施設の利用者の全部又は一部について当該利用者及び当該利用者の住所地の情報が予め会員登録され,当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報(以下「当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報」を「施設・利用者間の距離情報」という)を,前記ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて利用できることを前提として,
前記ペット用浴室施設から所定距離(「所定距離L1」とする)の範囲内の世帯数(「圏内世帯数A」とする)を入力する第1のステップと(但し,以下で「入力」というときは,プログラムの実行により計算した結果を,前記ペット用浴室施設の売上分析プログラムの実行の過程において入力する場合をも含むものとする),
前記ペット用浴室施設が設置された地域における世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「ペット飼育率B」とする)を入力する第2のステップと,
前記所定期間S1の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L1の範囲内にある住所地の居住者により,前記ペット用浴室施設が利用された利用件数(「圏内利用件数C」とする)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある利用者の利用件数を集計することにより,入力する第3のステップ(但し,前記第1~第3のステップその他入力を行うステップどうしは,あるステップが他方のステップで入力された値を用いていない限り,互いに順序を問わない。以下「入力」というときは同じ)と,
前記圏内世帯数Aと前記ペット飼育率Bとを掛け算した値(「圏内想定飼育頭数D」とする,掛け算の順序は問わない)の計算をする第4のステップ(但し,当該計算をするステップは,その計算に用いる値(即ち前記A,前記B)を入力するステップ(即ち前記第1,第2のステップ)の後であれさえすればよく,当該計算に用いない値(即ち前記C)を入力するステップ(即ち前記第3のステップ)と,当該第4のステップとの順序は問わない,以下についても「計算」,「入力」というときは同様)と,
前記圏内利用件数Cを前記圏内想定飼育頭数Dで割り算した値(「圏内想定飼育頭数に対する利用率E」とする)を,計算する第5のステップと,
を実行するペット用浴室施設の売上分析プログラムである。
【0011】
ここで,本願発明において,ペット用浴室施設を利用する利用者の前記「ペット」には,上記の通り,犬などの特定の種類の動物のみを分析や売上予測の対象とする場合を含むものとする(以下の発明も同様)。
【0012】
「但しそのアルファベットを付した値である当該「S1」を単独で,計算式や前述の内容を示すものとして用いることがある。」とあるところ,本願ではアルファベットより後ろの文字は,全て代数(特定の数の代わりとして用いられる文字・記号などのこと。(Wikipedia参照))として用いており,例えば,L1,A,B,C,後述のA2,F,H,Ca1,A”,A’,AvG2,AvH2などは,入力や計算等を行った値の代数として用いている。
【0013】
また,前記「所定期間S1」は,現実的には,2024年1月1日から2024年2月1日までといった始期と終期のほか,始期と期間の長さ,終期と期間の長さ,期間の真ん中の日付と期間の長さなどの2変数によって特定されるが,これらの特定方法により特定された期間の包括概念として,所定期間S1と定義した。これらの2変数を1変数としてプログラムに実装するには,例えば構造体や配列などにまとめることもできるが,このように1変数で定義されていることまでは要しない。後述のS2,S3,S4,S5も同様である。
【0014】
また,前記「前記ペット用浴室施設を利用するにあたり,当該施設の利用者の全部又は一部について当該利用者及び当該利用者の住所地の情報が予め会員登録され,当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報を,前記ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて利用できることを前提として」につき,当該施設の利用者として会員登録されていない者を含むことを排除しないが,当該プログラムが分析(具体的には計算)の対象とする利用者は会員登録されている者を対象とする。したがって,本願発明で計算を実行することにより,売上分析を行う対象となる利用者,利用件数(ないし利用回数)は,会員登録されている者の利用に関するものとなる。また,前記「売上分析プログラムにおいて利用できる」とは,売上分析プログラムが,会員登録者を識別する情報と,その識別した会員についての前記ペット用浴室施設からの距離のデータのセットの集合やデータベースにアクセスするようにする方法が考えられるほか,会員の利用状況の蓄積したデータを,利用履歴を蓄積するサーバーからダウンロードするなどして,プログラムの実行時に,それに付随する参照ファイルとして記録して,利用できるようにしてもよい。そのデータの蓄積は,自動的に行われることが好ましいが,手作業で記録してもよく,プログラムが,その記録されたデータに,アクセスできればそれで足りる。「距離又は当該距離の概算値の情報を~利用できる」とは,必ずしも直接的に距離が記録されたデータにアクセスすることを要せず,会員登録者を識別する情報と,その識別した会員の住所地又はその緯度経度のデータにアクセスするようにして,計算により上記距離を計算により求めることで,間接的に当該「利用」ができるようにしてもよい。以上の点は,後述(5)の発明,後述(7)の発明による売上予測も同様である。
【0015】
なお,本発明では,会員登録されたデータの利用に係る情報処理を行うものであるので,係るデータが存在さえすればよく,本発明において,人体を必須の構成要素とするものではない。
【0016】
本願発明の「入力」は,具体的には,プログラム上の変数や定数に代入をすることであり,予め変数に値を入力する場合に限らず,定数を定義することを含み,当該代入はプログラムの実行によって,計算結果が入力される場合もある。したがって,コンピューターの操作者の入力を受け付ける場合に限らず,サブルーチンや,関数の実行に伴って,変数に値が入力ないし変更される場合もある。「但し,以下で「入力」というときは,…プログラムの実行の過程において入力する場合をも含む」とあるのは,このことを指している。例えば圏内世帯数Aにつき,ユーザーの操作として住所地のキーボード入力を受け付けるものである場合や,世帯数を計算するアプリケーションインターフェースやサブルーチンのプログラムの実行に伴って,圏内世帯数Aの値をプログラム本体に入力(代入)する構成もありえ,この場合でも,圏内世帯数Aの入力に該当する。圏内世帯数Aの概念に当てはまるものがプログラムに入力されているかは,プログラムの実行に伴って表示される画面表示や,受け付ける入力の内容によって,判断する(ほかの入力も同様)。ペット飼育率Bは,その地についてアンケートを実施して入力する場合や,行政機関等が発表している値やそれに基づく計算によって求める場合がある(後述第3~第6の実施形態参照)。
【0017】
前記圏内利用件数Cにつき,本願発明で分析の対象とする利用件数は,全て利用者の住所地と結び付けられ,前記ペット用浴室施設と住所地との距離を測定できる。ここでの入力は,このプログラムを実行するコンピューターが,プログラムの実行に伴って,施設・利用者間の距離情報を利用して,所定距離L1の範囲内にある利用者の利用件数を集計した結果を,後の計算ステップ等(ここでは第5のステップ)の計算式の変数に代入することによってなされる(この点は,別の発明の,利用件数を集計して入力する第12のステップ,ステップcや,利用者の数を集計して入力する第6,第10Cのステップ,ステップh等は,同様である)。また,この入力は,住所地を緯度に換算するアプリケーションインターフェースによって,この距離をプログラムの実行に伴って,所定距離L1の範囲内に該当する住所地に係る利用を抽出して,サブプログラムが,所定距離L1の範囲内であるかを判断して,当該範囲内の利用履歴を集計して,入力する方法もある。また,前記施設周囲について,予め例えば…市…町…丁目について,代表する住所地を入力しておき,住所地の文字列を識別することで,住所地を緯度に換算するなど,サブプログラムが,関数の実行に伴って,距離が上記所定距離L1の範囲内であるかを判断しようにしてもよい。
【0018】
前記「前記第1~第3のステップその他入力を行うステップどうしは,あるステップが他方のステップで入力された値を用いていない限り,互いに順序を問わない。」(以下「順序の注釈1」という)は,入力を行うステップどうしで実行順序を逆にしてもよい場合を示しており,例えば,第1~第3のステップで入力する値は,前記圏内世帯数A,前記ペット飼育率B,前記圏内利用件数Cであるところ,前記Aの入力が,前記Bの入力や,入力する値の計算の前提にもなっておらず,第2ステップが第1のステップの入力を用いておらず依存関係がないので,順序を第1,第2のステップの順番に実行する必要はなく,その順番を問わないという意味である。但し,後述する順序の注釈2以下によって,制限を受ける場合はありうる。例えば,第1~3ステップの順序につき,例えば第4のステップを,第3番目のステップにした場合には,順序の注釈2によって,前記A,前記Bを計算する前記第1,前記第2のステップは,1又は2番目に来ることになり,第3のステップは,第1,第2のステップで入力された値を用いていなくても,結果的に第1,第2のステップの後にならざるを得ないこともある(以下も同様である)。
【0019】
前記「掛け算の順序は問わない」とは,AにBを掛けることとBにAを掛ける計算結果は同じであり,その計算順序は問わない。以下の発明も同様である。
【0020】
前記「但し,当該計算をするステップは,その計算に用いる値…を入力するステップ…の後であれさえすればよく,当該計算に用いない値…を入力するステップ…と,当該第4のステップとの順序は問わない」(以下「順序の注釈2」という)は,計算を行うステップと入力を行うステップとの間で,実行順序を逆にしてもよい場合を示している。当該順序の注釈2について説明すると,前記「計算」の前提として,コンピューターに計算対象の値の前記「入力」を行う必要があるところ,前記第4のステップでは,計算に用いる値はA,Bであるから,前記第4のステップより,A,Bを入力するステップである前記第1,第2のステップを先に実行する必要がある。また,前記第5のステップではその計算対象のDがA×Bの計算で得られる値であるので,この場合にも,その計算の対象となる値A,Bは「用いる値」に該当する。この場合には,第5のステップより,第4のステップが先行し,さらに,前記第4のステップで用いるA,Bを入力する前記第1,第2のステップは,第4のステップより先に実行する必要がある。これに対し,第3のステップで入力する前記圏内利用件数Cは,AとBの掛け算をする第4ステップでは用いていないので,第3のステップと第4ステップの順序は問わない。以下の発明も同様である。例えば,本発明では,発明の構成要件のステップ番号を代表し「第zのステップ」とすると,以上の順序の説明の通り,zを(3,1,2,4,5)の順,zを(2,1,4,3,5)の順などもありうる。
【0021】
このように構成すれば,前記A×前記Bにより,所定距離L1の範囲内で,ペットを飼っている世帯数の推定値(圏内想定飼育頭数D),即ち実質的な見込み客の最大値の推定値を計算できることが期待できるので,当該範囲内で利用した利用者の圏内利用件数C,との比率を取ることで,見込み客1人当たりどれぐらいのペット用浴室施設の利用を見込めるのかを分析できる。実店舗の利用確率は,その場所からの距離に依存することが想定されるところ,仮に距離を変えて分析すれば,後述(5)のように,どの程度の広さまで商圏が広がっているのか等を分析できる。
【0022】
(2)本願発明の1つは,
前記第5のステップに代えて,又は前記第5のステップに加え,
前記所定期間S1の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L1の範囲内にある住所地の居住者のうち,前記ペット用浴室施設を1回以上利用した者の人数(「圏内アクティブ会員数F」とする)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある利用者の数を集計することにより,入力する第6のステップと,
前記圏内アクティブ会員数Fを前記圏内想定飼育頭数Dで割り算した値(「圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率G」とする)を計算する第7のステップと,
前記圏内利用件数Cを前記圏内アクティブ会員数Fで割り算した値(「圏内利用者1人当たりの利用率H」とする)を計算する第8のステップ(但し,当該ステップで用いていない値を計算する別のステップ(即ち前記第7のステップ)との間の順序は問わない。以下についても「計算」というときは同様)と,を実行する前記(1)に記載のペット用浴室施設の売上分析プログラムである。
【0023】
ここで,前記「圏内アクティブ会員数F」では,延べ人数に相当する前記圏内利用件数Cとは違って延べ人数ではなく,同一会員が2回以上利用しても1人としか数えない。前記圏内利用件数Cについて「利用件数を集計」したが,「圏内アクティブ会員数F」では,延べ人数ではない「利用者数を集計」する。この点は,(3)の発明の「圏内アクティブ会員数F」や,(14)の発明の「圏内アクティブ会員数F2」も同様である。
【0024】
前記「但し,当該ステップで用いていない値を計算する別のステップ(即ち前記第7のステップ)との間の順序は問わない。」(以下「順序の注釈3」という)は,計算を行うステップが複数ある場合に,計算を行うステップどうしの間で,実行順序を逆にしてもよい場合を示している。順序の注釈3について説明すると,第7のステップでは,G=F/Dの計算をしており,第8のステップでは,H=C/Fの計算をしているところ,Hの計算において,Gが計算の対象ではなく,Gの計算結果を用いていないので,第7,第8ステップとで実行順序を逆にしてもよい。これに対し,A×B=Dの計算を行う前記第4のステップと,C/D=Eの計算を行う前記第5のステップの順序について,前記第4のステップの計算で得られたDを,前記第5のステップで用いているので,前記第4のステップが前記第5のステップに先行する必要があり,順序を逆にすることはできない。
【0025】
なお,本発明以下で,「前記第5のステップに代えて,又は前記第5のステップに加え…」という記載があるところ,このように交換したり,さらに加えたステップとの間でも,順序の注釈1~3は有効であるものとする。例えば,前記Fを入力する第6のステップは,前記第1~第5のステップの入力を直接,間接的に用いていないので,第1~第5のステップのいずれかとは,順序が逆でもよい。また,本願において,ステップ番号第1~第15等は,区別するために番号を振っており,その番号ゆえに,必ず番号順にすべきことを要求するものではない。
【0026】
この様に構成すれば,前記圏内アクティブ会員数Fと,前記圏内想定飼育頭数D,前記圏内利用件数Cとの比率を取ることで,同じ利用者が何度も利用しているのか,多様な客が存在しているのか,などをさらに分析できる。
【0027】
(3)本願発明の1つは,
前記第5のステップに代えて,又は前記第5のステップに加え,
記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の範囲内にある住所地が,前記利用者の住所地として前記会員登録がされている会員の数(「圏内登録会員数M」とする。但しその会員が現実に利用したかは問わない)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある,前記会員登録がされている会員の数を集計することにより入力する第9のステップと
以下の第10A,第10B,第10Cのいずれか1以上のステップ,即ち,
記圏内登録会員数Mを前記圏内想定飼育頭数Dで割り算した値(「圏内登録会員加入率J」とする)を計算する第10Aのステップ,
記圏内利用件数Cを前記圏内登録会員数Mで割り算した値(「圏内登録会員数に対する利用率K」とする)を計算する第10Bのステップ,
前記所定期間S1の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L1の範囲内にある住所地の居住者のうち,前記ペット用浴室施設を1回以上利用した者の人数(「圏内アクティブ会員数F」とする)を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1とを比較して,前記所定距離L1の範囲内にある利用者の数を集計することにより入力し,当該圏内アクティブ会員数Fを前記圏内登録会員数Mで割り算した値(「圏内アクティブ会員率AR」とする)を計算する第10Cのステップ,
を実行する前記(1)に記載のペット用浴室施設の売上分析プログラムである。
【0028】
なお,前記第9のステップにおける「利用者」には,会員登録しただけで現実に利用していない者(以下この段落で「会員登録のみの会員」という)をも含めるものとする。また,当該ステップにおいては,「前記施設・利用者間の距離情報」(「当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報」)の概念には,当該ペット用浴室施設の所在地と,当該会員登録のみの会員の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報をも含めるものとする。
このように構成すれば,本発明の分析の対象としている前記ペット用浴室施設の利用者は,利用の前提として,前記会員登録がされていることが前提になっているところ,会員登録をする者は,現実に前記ペット用浴室施設を利用することを考えていることが窺われ,会員登録者数は,圏内想定飼育頭数よりも,さらに具体的に利用可能性がある客層の数であると推定でき,その数の意味を分析できる。
【0029】
(4)本願発明の1つは,
前記第1のステップに代えて,前記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の範囲内にある,1戸建て住宅の世帯数(「圏内戸建世帯数A’」とする)を入力する第1aのステップと,前記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の範囲内にある1戸建て住宅以外の世帯数(「圏内集合住宅世帯数A”」とする)を入力する第1bのステップと,
前記第2のステップに代えて,前記ペット用浴室施設が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「戸建ペット飼育率B’」とする)を入力する第2aのステップと,当該地域の1戸建て住宅以外の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「集合住宅ペット飼育率B”」とする)と,を入力する第2bのステップと,
前記第4のステップに代えて,前記A’×前記B’+前記A”×前記B”(但し×は掛け算,+は加算を表し,掛け算の順序,及び当該掛け算をしたものの加算の順序は問わない。以下,×,+,掛け算,又は加算というときは同じ)の計算を行(その計算結果を「圏内想定飼育頭数D’」とする),当該圏内想定飼育頭数D’を前記圏内想定飼育頭数Dとして入力する第4’のステップと,を実行する前記(1)~(3)のいずれかに記載のペット用浴室施設の売上分析プログラムである。

【0030】
ここで,上記の請求項に示した定義の通り,集合住宅ペット飼育率B”は,一戸建て以外の様式の住宅を,すべて含めることにする。
【0031】
また,「但し×は掛け算,+は加算を表し,掛け算の順序,及び当該掛け算をしたものの加算の順序は問わない。」(以下「順序の注釈4」という)について説明すると,四則演算において,演算順序を逆にしても等価な計算については,順序を問わないことを示しており,例えば掛け算については,前記B’×前記A’や,前記B”×前記A”のように逆でもよい。前記A”×前記B”+前記A’×前記B’のように,足し算の順序が逆でもよい。なお,掛け算は,足し算に優先して先に計算するので,例えば,前記B’+前記A”を先に計算することはない。
【0032】
このように構成すれば,世帯1戸当たりのペットの飼育数は,ペット飼育の規約等の制約のない一戸建て住宅では,その制約のある集合住宅等より多いことが予想され,住宅の種別ごとに,前記圏内想定飼育頭数Dを計算するので,その住宅の種別の偏在を考慮して,見込み客をより正確に把握できる。
【0033】
(5)本願発明の1つは,
コンピューターに,既に運用されているペット用浴室施設における,予め定めた所定期間(「所定期間S2」とする)の間の,利用件数又は利用による売上を分析する動作をさせる,ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて,
前記ペット用浴室施設を利用するにあたり,当該ペット用浴室施設の売上分析プログラムが前記分析の対象とする当該施設の利用者の全部又は一部について当該利用者及び当該利用者の住所地の情報が予め会員登録され,当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報(以下「当該ペット用浴室施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報」を「施設・利用者間の距離情報」という)を,前記ペット用浴室施設の売上分析プログラムにおいて利用できることを前提として,
前記ペット用浴室施設からの所定距離を,複数個(その数を「n個」とする)入力する(入力した複数の値を「所定距離L11~L1n」とする)第11のステップと,
前記所定期間S2の間に,前記ペット用浴室施設から前記所定距離L11~L1nのうちの1つの距離の範囲内にある住所地の居住者により,前記ペット用浴室施設が利用された利用件数を,前記コンピューターが前記施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L1~L1nとを比較して,前記所定距離L1~L1nの範囲内にある利用者の利用件数を集計することにより,入力するステップを,前記所定距離L11~L1nについて,繰り返し実行する(当該繰り返し実行して得られた前記利用件数を「圏内利用件数Ca1~Can」とする)第12のステップと,
前記ペット用浴室施設からの距離に関わらず,前記所定期間S2の間に前記ペット用浴室施設が利用された全件数(「期間内全利用件数U」とする)を入力する第13のステップと,
前記利用件数Ca1~Canの各々を,前記期間内全利用件数Uで割った比率(「売上構成比率Sr1~Srn」とする)を計算する第14のステップと,を実行するペット用浴室施設の売上分析プログラムである。
【0034】
ここで,「所定距離L11~L1n」とあるところ,1~nは添え字であり,L11,L12,L13,・・・L1nとも表記できるし,厳密には,L1i(i=1~n)とも表記できる(以下も同様である。)
L11~L1nとしては,例えば1km,5km,10kmなどを入力することができる。
【0035】
このように構成すれば,全売り上げに対する一定距離範囲内の売上との比率を計算でき,商圏の範囲がどの程度まで広がっているのか,複数店舗を出店する際の売上の奪い合いが生じないのかなどを分析できる。
【0036】
(6)本願発明の1つは,
前記(1)~(3)のいずれかに記載のペット用浴室施設の売上分析プログラムの全体(これを「売上分析プログラム全体」とする)を利用するペット用浴室施設の売上分析プログラムであって,
前記ペット用浴室施設からの前記所定距離L1の距離範囲を複数設定し,その距離範囲ごとに,前記売上分析プログラム全体を繰り返し実行する第15のステップを実行するペット用浴室施設の売上分析プログラムである。
【0037】
この構成によれば,複数の距離範囲の分析の比較により,商圏の広がりや,距離範囲に応じた見込み客の可能性などを分析できる。
【0038】
(7)本願発明の1つは,
コンピューターに,ペット用浴室施設(但し,当該「ペット用浴室施設」には未だ開設していない開設予定地をも含む)における,未来の売上を予測する動作をさせる,ペット用浴室施設の売上予測プログラムにおいて,
当該売上を予測する対象とする前記ペット用浴室施設(「売上予測対象の施設」とする)とは異なる,既に運用している既存のペット用浴室施設(「参照施設」とする)が存在し,前記参照施設を利用するにあたり,その利用者の全部又は一部について当該利用者及び当該利用者の住所地の情報が予め会員登録され,当該参照施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報(以下「当該参照施設の所在地とその会員登録された利用者の住所地との距離又は当該距離の概算値の情報」を「参照施設・利用者間の距離情報」という)を,前記ペット用浴室施設の売上予測プログラムにおいて利用できることを前提として,
前記売上予測対象の施設から,予め定めた所定距離(「所定距離L2」とする)の範囲内の住所地で飼われていると推定されるペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1」とする)を入力するステップaと,
前記参照施設から前記所定距離L2と同じ距離範囲内で飼われていると推定される想定飼育頭数(「参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2」とする)を入力するステップbと,
予め定めた過去の期間(「参照期間S3」とする)の間に,前記参照施設から前記所定距離L2と同じ距離範囲内の住所地の利用者によって,前記参照施設が利用された利用件数(「参照施設の圏内利用件数C2」とする)を,前記コンピューターが前記参照施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L2とを比較して,前記所定距離L2の範囲内にある利用者の利用件数を集計することにより,入力するステップcと,
前記売上予測対象の施設について想定する1回利用当たりの単価(「利用単価P」とする),当該1回利用当たりの単価を一定期間で平均した単価(「平均単価AvP」とする),又は当該平均単価に相当する単価(「相当単価AvP’」とする)のいずれかを入力するステップdと,
以上で入力した値について,前記D1×前記C2/前記D2×(前記P,前記AvP,又は前記AvP’)の計算をする(その計算式を「圏内売上予測値の計算式」,値を「圏内売上予測値Q」とする)ステップeと,
を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0039】
売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1は,売上予測対象の施設からの所定距離L2の範囲内のペットの推定飼育頭数であるのに対し,参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2は,参照施設から所定距離L2の範囲内のペットの推定飼育頭数である。圏内想定飼育頭数D1,D2の入力は,キーボードによる入力(ユーザーが計算した値のキーボード入力を含む)もありうるし,後述(8)~(11)や後述の第3実施形態のように,当該プログラムを実行するコンピューターが計算結果を変数に入力することによる場合もありうる。
【0040】
参照施設では,利用にあたり利用者の全部又は一部の情報が予め会員登録されていることを前提としているので,参照施設からどれぐらい離れた距離範囲の住所地で利用されたのかの情報を利用できる。本発明では,利用登録していない者の利用を排除するわけではないが,本発明が利用しているのは,参照施設の利用者のうち,会員登録された者の情報である。
「参照期間S3」は,当該発明の「圏内利用件数C2」の記述の通り,参照施設のデータのうち,参照施設の圏内利用件数C2を集計するに当たり,集計の対象とした期間ということになる。
【0041】
一定期間で平均した単価(平均単価AvP)は曜日ごとに日によって単価を変える場合に,例えば,1週間で平均した単価を入力するものである。前記「当該平均単価に相当する単価」(相当単価AvP’)は,例えば1週間で平均しておらず,前記参照施設の圏内利用件数C2×前記単価Pを,単価が変わる曜日や時間ごとに集計していても,結局は参照期間S3の全期間の前記平均単価AvPを掛けているとほとんど変わらないので,記載の省略のため,便宜的にそのような計算形態を代表するものとして記載した。実際の計算式は,(単価が同じ時間ないし曜日を集合した圏内利用件数C2)×(当該単価P)の計算を,異なる単価ごとに合計したものとなる。
【0042】
なお,前記「圏内売上予測値の計算式」における「/」は,割り算を表しているが,前記D2と(前記P,前記AvP,又は前記AvP’)を掛け算したものを分母にして割り算しているのではなく,割り算をしている分母は,前記D2のみである。また,前記ステップeで計算する前記「圏内売上予測値の計算式」においては,割り算,掛け算の順序は問わないものとし,例えば,計算順序を変えても同じ値になる,以下の等価な計算,即ち,
前記D1×(前記C2/前記D2)×(前記P,前記AvP,又は前記AvP’),
(前記D1/前記D2)×(前記C2)×(前記P,前記AvP,又は前記AvP’),
(前記C2)×(前記D1/前記D2)×(前記P,前記AvP,又は前記AvP’),
(1/前記D2)×前記C1×(前記C2)×(前記P,前記AvP,又は前記AvP’)などの計算を含むものとする。
【0043】
このように構成すれば,売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1,即ち,売上予測対象の施設周辺の最大見込み客数を考慮しつつ,すでに運営している参照施設のデータを参照して,その最大見込み客数のうち,施設を利用する確率の情報を類推することにより,所定距離L2圏内の売り上げを予測できる。
【0044】
(8)本願発明の1つは,
前記ステップaにおいて,
前記売上予測対象の施設から前記所定距離L2の範囲内の世帯数(「売上予測対象の施設周辺の圏内世帯数A1」とする)を,入力するステップa1と
前記売上予測対象の施設が設置される地域における世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺のペット飼育率B1」とする)を入力するステップa2と,
前記売上予測対象の施設周辺の圏内世帯数A1と,前記売上予測対象の施設周辺のペット飼育率B1と,の掛け算の計算をして(その計算結果の値を「D1’」とする),前記D1’を,前記売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1として入力するステップa3と,を実行する前記(7)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0045】
このように構成すれば,売上予測対象の施設周辺の圏内世帯数A1と売上予測対象の施設周辺のペット飼育率B1を用いることで,売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1を計算することができる。
【0046】
(9)本願発明の1つは,
前記ステップbにおいて,
前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内の世帯数(「参照施設周辺の圏内世帯数A2」とする)を,入力するステップb1と
前記参照施設が設置された地域における世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「参照施設周辺のペット飼育率B2」とする)を入力するステップb2と,
前記参照施設周辺の圏内世帯数A2と前記参照施設周辺のペット飼育率B2の掛け算の計算をして(その計算結果の値を「D2’」とする),前記D2’を前記参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2として入力するステップb3と,を実行する前記(7)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0047】
このように構成すれば,参照施設周辺の圏内世帯数A2と参照施設周辺のペット飼育率B2を用いることで,前記参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2を計算することができる。
【0048】
(10)本願発明の1つは,
前記ステップaにおいて,
前記売上予測対象の施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅の世帯数(「売上予測対象の施設周辺の戸建世帯数A1’」とする)を,入力するステップa1”と,
前記売上予測対象の施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅以外の世帯数(「売上予測対象の施設周辺の圏内集合住宅世帯数A1”」とする)を,入力するステップa2”と,
前記売上予測対象の施設が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺の圏内戸建ペット飼育率B1’」とする))を入力するステップa3”と,
前記売上予測対象の施設が設置された地域における1戸建て住宅以外の住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「売上予測対象の施設周辺の集合住宅ペット飼育率B1”」とする))を入力するステップa4”と,
前記A1’×前記B1’+前記A1”×前記B1”の計算結果(当該計算結果を「D1”」とする)を前記売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1として入力するステップa5”と,を実行する前記(7)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0049】
このように構成すれば,(4)と同様,売上予測対象の施設の周辺地域の1戸建て,集合住宅の偏在状況を考慮して,ペット飼育率に大きい相関がある1戸建て,集合住宅の別を考慮して,より正確に売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1を算定できる。
【0050】
(11)本願発明の1つは,
前記ステップbにおいて,
前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅の世帯数(「参照施設周辺の圏内戸建世帯数A2’」とする)を,入力するステップb1”と,
前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内にある1戸建て住宅以外の世帯数(「参照施設周辺の圏内集合住宅世帯数A2”」とする)を,入力するステップb2”と,
前記参照施設が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「参照施設周辺の戸建ペット飼育率B2’」とする)を入力するステップb3”と,
前記参照施設が設置された地域における1戸建て住宅以外の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(「参照施設周辺の集合住宅ペット飼育率B2”」とする)を入力するステップb4”と,
前記A2’×前記B2’+前記A2”×前記B2”の計算結果(当該計算結果の値を「D2”」とする)を前記参照施設周辺の圏内想定飼育頭数Dとして入力するステップb5”と,を実行する前記(7)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0051】
このように構成すれば,参照施設に関し,(4)や(10)と同様,売上予測対象の施設の周辺地域の地域の1戸建て,集合住宅の偏在状況を考慮して,ペット飼育率に大きい相関がある1戸建て,集合住宅の別を考慮して,より正確に,参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2を算定できる。
【0052】
(12)本願発明の1つは,
前記ステップcの前に,
前記予測対象の施設において,その売上の予測の対象とする期間(「予測対象期間S4」とする)を特定する情報として,前記予測対象の施設の運営開始時期からの経過期間に基づく期間(「運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5」とする)を入力するステップc0と,前記参照施設の運営開始からの,前記運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5と対応する期間(「参照期間S3’」とする)を設定するステップc1と,を実行し,
前記ステップcにおいて,前記参照期間S3として,前記参照期間S3’を設定して,前記参照施設の利用履歴のデータの集合から,当該参照期間S3’に係る利用履歴を抽出して,前記参照施設の圏内利用件数C2を入力するステップc2を実行する前記(7)~(11)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0053】
ここで,前記「予測対象期間S4」,前記「運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5」は,前記S1について前述したように,前記S4は,現実的には,2024年1月1日から2024年2月1日といった始期と終期のほか,始期と期間の長さ,終期と期間の長さ,期間の真ん中の日付と期間の長さなどの2変数によって特定される内容である。もっとも,後者のS5は,絶対的な日付ではなくて,前記予測対象の施設の営業開始時点を起点とする相対的な期間である。例えば,ステップc0において,S5を,前記予測対象の施設の営業が開始された後2ケ月後から3か月後までという入力をすることができる。仮に,参照施設の開業が2022年10月とすると,「前記参照施設の運営開始からの,前記運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5と対応する期間を設定」するので,前記参照施設については,参照期間S3’として,前記参照施設の営業が開始された後2ケ月後から3か月までという期間を設定し,これに対応する西暦2022年12月1日から西暦2022年12月31日までという絶対的な期間を計算し(又は利用履歴の時系列の情報を予め開業後の経過期間に直し),その期間に対応する前記参照施設の利用履歴を抽出する。または,前記参照施設の利用データ(利用日時と利用者のIDなど)のうち利用日時のデータを,前記参照施設の開業日の利用日時を0としてその時からの期間の経過を記録するなどすれば,上記絶対的な期間を計算することなく,上記2ケ月後から3か月後の期間に対応する前記参照施設の利用履歴を直接に抽出することもできる。
【0054】
ここで,ペット用浴室施設の売上は,営業開始からの認知がされて増大していくと予想され,この認知期間を代表する営業開始後の期間によるところが大きいと考えられる。そして,前記(7)の構成のうち,最大見込み客数を表す圏内想定飼育頭数に対し,参照施設に関する前記C2/前記D2は,最大見込み客数のうち,利用がされる件数の確率を表すことが期待できる。そこで,本発明では,そのC2のデータとして,参照施設の営業開始後に相当する期間S3’に係る利用履歴を抽出した。
【0055】
この発明によれば,予測対象期間時期として,運営開始時期からの経過期間を入力して,参照施設の営業開始日後の時期を起点として,前記S5と対応する期間を設定するので,より適切な予測をすることができる。
【0056】

(13)本願発明の1つは,
前記(12)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム中の各ステップの一部を利用するプログラムであって,
複数の前記参照施設が存在することを前提として,
前記ステップa,c0及びdと,
前記参照施設各々について,前記ステップb及び前記ステップc1,c2を繰り返し実行することで,前記参照施設各々の前記C2及び前記D2を入力するステップf(但し,当該の繰り返し実行する順序は問わない)と,
前記ステップeに代えて,当該ステップeの前記圏内売上予測値の計算式のうち,「前記C2/前記D2」の部分について,以下の(あ),(い)即ち,
(あ)各々の前記参照施設について計算した値の平均値,
(い)当該ステップeの前記圏内売上予測値の計算式のうち,「前記C2/前記D2」の部分について,各々の前記参照施設について計算した前記C2の合計を,各々の前記参照施設について計算した前記D2の合計で割った値,
のいずれかを計算し,前記圏内売上予測値の計算式のうちの「前記C2/前記D2」の部分に関し前記(あ),(い)のいずれかに置き換えて計算するステップe1と,
を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0057】
この発明では,複数の参照施設のデータを参照し,そのデータを平均化する。前記(あ),(い)は係る平均化をすることになるものと期待できる。
【0058】
ここで,本発明では,前記(12)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム中の各ステップの一部を利用するプログラムであり,記載の省略のため,(12)のステップ単位ごとに引用している。本発明は前記(12)を引用しているので,運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5という相対的な時期を入力し,各参照施設については,いずれもこの期間に対応する利用履歴のデータを抽出する。これによって,参照する施設のデータが豊富になる。そして,前記(12)は,(7)~(11)のいずれかを引用しており,(8)~(11)を引用する場合には,D1ないしD2を計算により求める。
【0059】
なお,この発明では,複数の参照施設のデータを全部利用することまでは要求しておらず,参照施設のデータの上下の異常値を省くために,利用しない参照施設が生じても,本願発明に含まれる。また,実施の順序としては,前記ステップc’の前に前記ステップc0を入力する必要があるほかは,a,c0,及びd,並びに,前記参照施設各々についての前記ステップb及びc’の入力は互いに順序を問わない(後述(14)も同様である。)。また,「「前記C2/前記D2」の部分について」と記載しているが,(7)記載の相当単価AvP’を引用する場合には,(1)に記載したように,実際の計算上は曜日ごと,時間ごとの単価Pごとに「前記C2/前記D2」に単価Pの掛け算を実行して,平均値を計算することになる。
また,実行順序について,c0では,参照施設のデータを参照するにあたり,C3’という期間設定をしているだけなので,前記ステップb及び前記ステップc1の順序は逆でもよいし,ステップc1,c2,ステップbの順に実行してもよい。
【0060】
この発明では,複数の参照施設のデータを参照し,しかも,運営開始日からの相対的な所定期間のデータを平均化することで,より妥当な推定をすることができる。
【0061】
(14)本願発明の1つは,
前記(12)に記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム中の各ステップの一部を利用するプログラムであって,
複数の前記参照施設が存在することを前提として,
前記ステップa,c0及びdを実行し,
前記参照施設各々について,前記ステップb,c1,及びc2,並びに以下のステップh,j,及びk,即ち,
前記参照期間S3’の間に,前記参照施設から前記所定距離L2の範囲内にある住所地の居住者のうち,前記参照施設を1回以上利用した利用者の数(「参照施設の圏内アクティブ会員数F2」とする)を,前記コンピューターが前記参照施設・利用者間の距離情報と前記所定距離L2とを比較して,前記所定距離L2の範囲内にある利用者の数を集計することにより入力するステップh,
前記圏内アクティブ会員数F2を前記圏内想定飼育頭数D2で割り算した値(「参照施設の圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率G2」とする)を計算するステップj,
前記参照施設の圏内利用件数C2を前記圏内アクティブ会員数F2で割り算した値(「圏内利用者1人当たりの利用率H2」とする)を計算するステップk,
を繰り返し実行し,
前記ステップeに代えて,
複数の前記参照施設について計算した,前記参照施設の圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率G2を,平均した値(「平均値AvG2」とする)と,複数の前記参照施設について計算した,前記圏内利用者1人当たりの利用率H2を,平均した値(「平均値AvH2」とする)とを計算し,前記ステップeにおける前記圏内売上予測値の計算式のうちの「前記C2/前記D2」の部分に関し,平均値AvG2と平均値AvH2とを掛け算した値に置き換えて計算するステップe2を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラムである。
【0062】
この発明は,(1)と同様に参照施設のデータの平均化を行うものであるが,(前記C2/前記D2)を細分化して平均化を行う。即ち,前記C2/前記D2=(C2/F2(=G2))/(F2/D2(=H2))=G2×H2であり,G2,H2をそれぞれ平均化したものを掛け算する。前記単価AvP’を用いる場合には,前記(13)の説明と同様である。
なお,実行順序について,c0では,参照施設のデータを参照するにあたり,C3’という期間設定をして,ステップc1及びステップhの前提となっているが,上記の順序の注釈1~3に従えば,ステップc1とステップhの順序は,相互に入力や計算の前提となる関係がないことから,逆でもよい。また,前記ステップbの入力は,ステップc0,c1,hとは,相互に入力や計算の前提となる関係がないことから,ステップb,c1,hの互いの順序は問わないし,ステップc0とステップbの順序を入れ替えてもよい。
【0063】
(15)本願発明の1つは,
前記(7)~(11)のいずれかに記載のペット用浴室施設の売上予測プログラム全体(以下「売上予測プログラム全体」とする)を繰り返し利用するプログラムであって,
前記売上予測対象の施設からの前記所定距離L2の値を複数(その数を「x個」とする)設定し(これらの距離を「所定距離L21~L2x」とする),前記所定距離L21~L2xについて,前記売上予測プログラム全体を繰り返し実行して,前記圏内売上予測値Qをそれぞれ計算するステップmと,
前記参照施設について,その設置場所からの距離に関わらず,前記参照期間S3の間に前記参照施設が利用された総件数(「期間内総利用件数U2」とする)を入力するステップpと,
前記所定距離L21~L2xのうちの最大のものを「所定距離L2max」として,〔前記所定距離L2maxにおける前記圏内売上予測値Q〕×前記期間内総利用件U2/〔前記所定距離L2maxにおける前記参照施設の圏内利用件数C2〕を計算する(この計算式を「期間内総利用件数の予測計算式」,値を「期間内総利用件数の予測値EU」とする)ステップqと,
前記所定距離L21~L2x(但し前記所定距離L2maxを除く)について,前記圏内売上予測値Qと,前記期間内総利用件数の予測値EUとの比率をそれぞれ計算するステップrと,
を実行するペット用浴室施設の売上予測プログラムである。

【0064】
この発明は,(7)~(1)の前記売上予測プログラム全体を繰り返し利用して,前記所定距離L2の大きさを複数設定して,それぞれについて,前記圏内売上予測値Q等を予測するので,商圏の範囲を複数設定して,どれぐらいの広さまで,商圏が広がっているかなどを予測,分析できる。
【発明の効果】
【0065】
この発明によれば,有償にて時間貸しで提供されるペットの浴室施設に関し,当該施設の利用件数ないし売上を分析ないし予測する手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】第1実施形態に係る浴室施設1の外形図の例を示す。
【0067】
図2】第1実施形態に係る浴室施設1の平面図の例を示す。
【0068】
図3】第1実施形態に係る電子錠111bの例を示す。
【0069】
図4】第1実施形態に係る売上分析プログラム27を中心として関連する装置を含めた全体のシステムの例を示す。
【0070】
図5】第1実施形態に係る利用予約プログラム22のフローの例を示す。
【0071】
図6】第1実施形態に係るプログラム売上分析プログラム27の全体フローの例を示す。図7と併せて1つのフローである。
【0072】
図7図6のフローの後半である。
【0073】
図8】第1実施形態の売上分析プログラム27の実施に伴って,入力フォームにより必要な情報の入力を受け付ける画面の例を示す。
【0074】
図9】第1実施形態に係る売上分析プログラム27に関し,売上分析結果を表示する画面の例を示す。
【0075】
図10】第2実施形態に係る売上分析プログラム27に関し,売上分析のために入力する項目の例を示す。
【0076】
図11】第3実施形態に係る売上分析プログラム27に関し,厚生労働省発表の「都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成26年度~令和3年度)」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/01.html)のうち,令和3年度分を一部抜粋して示す。
【0077】
図12】第3実施形態に係る売上分析プログラム27に関し,圏内想定飼育頭数を計算で求めるステップにつき,第1,第2実施形態とは別の例について示している。
【0078】
図13】第4実施形態に係る売上分析プログラム27に関し,住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査 / 調査の結果(令和5年度)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040079246)によりダウンロード可能な「2301stjin.xlsx」を抜粋して示している。
【0079】
図14】第5実施形態の売上分析プログラム27に関し,総務省統計局発表の「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 調査の結果」(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/gaisuu.html)の「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 調査の結果」の「結果の概要(PDF:1026KB)」(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf)に含まれる「付表4-2 住宅の建て方別住宅数の割合-都道府県(平成30年)」(同pdfの12頁)の内容を抜粋して示す。
【0080】
図15】第6実施形態の売上分析プログラム27に関し,図11図13図14の都道府県別データにつき,計算を用いて1つにまとめたものを示す。1つの表を図15図16の2分割にしている。
【0081】
図16図15の表の後半である。
【0082】
図17図15図16に示すデータに基づいてExcel2019(商標)により,回帰分析をした結果を示す。
【0083】
図18】第7実施形態に係る売上予測プログラム28周辺のシステム全体の構成の例を表している。
【0084】
図19】第7実施形態に係る売上予測プログラム28に関し,予測対象の施設1Bの所定距離の範囲内について,売上予測を行う売上予測プログラム28のプログラムフローの例を示す。
【0085】
図20】第7実施形態に係る売上予測プログラム28に関し,売上予測に必要な情報の入力を受け付ける入力フォームの例である。
【0086】
図21】第7実施形態に係る売上予測プログラム28に関し,売上予測に必要な情報の入力を受け付ける入力フォームの例であって,図20とは異なる例を示す。
【0087】
図22】第7実施形態に係る売上予測プログラム28に関し,売上予測の結果を表示する例を示す。
【0088】
図23】第8実施形態に係る売上予測プログラム28に関し,売上予測の結果を表示する例を示す。
【0089】
図24】第8実施形態に係る売上予測プログラム28のフローの例を示し,図25と合わせて1つのフローをなす。
【0090】
図25図24のフローの後半を示す。
【0091】
図26】第9実施形態に係る売上予測プログラム28に関し,参照施設1Cが複数ある場合に,各参照施設1Cのデータを参照して平均化するフローを示し,図26図27を併せて,1つのフローをなす。
【0092】
図27図26に続くフローを示す。
【0093】
図28】第10実施形態に係る売上予測プログラム28に関し,参照施設1Cが複数ある場合に,各参照施設1Cのデータを参照して平均化するフローを示し,図29と併せて,1つのフローをなす。
【0094】
図29図28に続くフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下,添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0096】
図1は,第1の実施形態にかかるペット用浴室施設1(以下簡単のため「浴室施設1」と称す)の例を示している。浴室施設1は,有償にて時間を区切って,その時間においてだけ,予め日にちと時間を予約した利用者に,貸し出して提供されることを目的として設置される。
【0097】
浴室施設1は,1つのプレハブ内に2つの部屋が設けられている。ここで,以下,図1から後述図3までにおいては,左側の部屋に設置される物につき,添え字a,右側の部屋左側の部屋に設置される物につき添え字bをつけて示す。
【0098】
浴室施設1の左側の部屋1aと,右側の部屋1bにはそれぞれ,利用者が出入りするための扉11a,11bと,図1には図示しない電子錠111a,111b(後述,図2図3参照)と,電子錠111a,111bに付属のドアノブ115a,115bが設けられている。マスコット12は,顧客を浴室施設1に吸引するための単なる商標的な立体物である。
【0099】
図2は,浴室施設1の平面図(即ち上方から見た図)の例を示す。図2に示すように浴室施設1は,仕切り13で区切られており,左側の部屋1aと,右側の部屋1bは,仕切り13を中心に,対称に設けられている。
【0100】
浴室施設1は,扉11a,11b,当該扉それぞれに設けられた電子錠111a,111b,浴室施設1本体に設けられた受け座(ストライク及びトロヨケ)112a,112b,バスタブ14a,14b,ドライヤー台15a,15b,空調設備16a,16b,吸気口17a,17b,換気扇18a,18b,防犯カメラ19a,19bを備える。
【0101】
電子錠111a,111bは,扉11a,11bに設けられ,凹部状に形成された受け座(ストライク及びトロヨケ)112a,112bに対し,電磁力により突起(後述図3のデッドボルト114bに相当する)が出入りすることにより鍵の開閉を行う。他方,受け座(ストライク及びトロヨケ)112a,112bは,浴室施設1の本体側に設けられた,当該突起の単なる受け皿であり,これ単体では鍵の開閉を管理する機能はない。
【0102】
バスタブ14a,14bは,お湯を張ることができるペット用のバスタブであり,図示しないシャワーヘッドや給水装置,湯沸かし器が付属している。これらにより利用者がペットにシャンプーを施したりしてペットを洗浄することができる。
【0103】
ドライヤー台15a,15bは,ペットをお湯で洗浄をしたのちその体毛を乾かすための平らな台である。ドライヤー台15a,15bには図示しないドライヤーが付属しており,利用者はドライヤーを用いて,ペットの体毛を乾かす。その後,利用者は,片付けや清掃を行い,扉11a又は11bを閉めて退出する。
【0104】
空調設備16a,16b,吸気口17a,17b,換気扇18a,18bは,室内の空気の循環や,温度調整を行う。
【0105】
防犯カメラ19a,19bは,内部を撮影し監視する。浴室施設1は,無人式を想定しており,浴室施設1内部の図示しないWi-Fi設備を通じて,室内を撮影した撮像データを,外部に送る。
【0106】
浴室施設1の例としては,例えば株式会社稲葉製作所(東京都大田区矢口2丁目5番25号所在)製のプレハブ工法(prefabrication)による市販のユニット建物(2.5m×5.0m)を中央で区画して,2連棟にしたものに,株式会社ナチュラルクリエイト(大阪市北区豊崎3-6-11エイトビル701所在)のドッグスパ機器を搬入して,構成できる。また,人用のバスタブ,シャワーヘッド,ドライヤーを流用することもできる。
【0107】
なお,以上の浴室施設1では2つの部屋1a,1bを例にとったがこれらは例にすぎない。本発明を実施するためには,浴室施設1における,客の出入りの情報を取得,記録できればそれで足り,当該出入りを自動で取得する必要もない。浴室施設1につき,2部屋を設ける必要はなく,対称である必要もない。浴室施設1内の配置は1例にすぎず,例えば,空調設備16a,16b,吸気口17a,17b,換気扇18a,18b,防犯カメラ19a,19bの設置は,本発明の実施にとって必須ではない。
【0108】
電子錠111a,111bとしては,市販のものを利用することができるが,以下の通り,念のため,想定される電子錠の構造について概略を説明する。
【0109】
図3は,電子錠111bの例を示しており,その周辺を抜粋して示している。図3に示すように,電子錠111bは,ラッチボルト113b,デッドボルト114b,軸116bの周りに回転方向117bの方向に回転するドアノブ115b,テンキー118bを備える。また,電子錠111bは,図示しない電磁装置,マイコン(即ちマイクロコンピューター),メモリー,及びWi-Fi装置を備える。ラッチボルト113bは,ドアノブ115bを回転させたとき,その回転に連動して,図3の矢印⇔の方向に前後進する。これにより,デッドボルト114bの電磁的な鍵がかかっていない場合でも,受け座(ストライク及びトロヨケ)112a,112bと噛み合う位置において,扉が風で開くことなどを防ぐ。
【0110】
デッドボルト114bは,電子錠111b内部に設けた上記電磁力装置により,電磁力を受けて,図3の矢印⇔の方向に前後進する。これにより鍵の開閉を電子的に管理する。
【0111】
上記マイコンは,電磁力装置にビット情報を出力して,鍵の開閉を指示する。また,マイコンは,鍵の開閉状況や,鍵の開閉時間をメモリーに記憶させる。上記マイコンは,外部のサーバー(図4のサーバー2に相当)とWi-Fi装置を介して通信を行い,当該サーバーから暗証番号の情報が通知されて,マイコンは,メモリーにその情報を記憶させる。
【0112】
テンキー118bは,例えば数字の9文字分のタクトスイッチを備え,浴室施設1利用者からの暗証番号の入力を受け付ける。マイコンは,その入力の列から暗証番号を数値データとしてメモリーに記録し,上記サーバーから送信された暗証番号との一致を確認する。これらが一致していることを条件として,鍵の開閉を電磁装置に指示する。また,マイコンは,その開閉を指示した時間,即ち,ドアの開閉時間をメモリーに記録し,Wi-Fi装置を介して上記サーバーにその開閉時間を伝達する。
【0113】
なお,電子錠111aも電子錠111bと同じであるので,以上の説明を流用する。
【0114】
図4は,本願発明のプログラムにかかる実施形態を中心として関連する装置を含めた全体のシステムの例を示す。このシステムでは,浴室施設1Aと,サーバー2と,スマートフォン3と,収納会社4とがインターネットの通信回線を介して,関連している。なお,サーバー2とは別に管理者のパーソナルコンピューター5(以下「管理者のパソコン5」という)を設けて,本発明の実施形態に係る売上分析プログラム27,売上予測プログラム28を置く方法も考えられ,この点については後述する。
【0115】
ここで,この実施形態では既に運用されているペット用浴室施設1A(以下「浴室施設1A」という)が1以上存在し,そこで得た予約等の情報を基に,その施設の売上を分析する。
【0116】
サーバー2は,ウェブサーバーであり,例えばクラウドサーバー,レンタルサーバー,自社サーバーを用いることができ,1ないし複数の浴室施設1を管理する管理会社がこのサーバー2を運営する。サーバー2は,当該運営を行う会社の自社サイトを表示するためのウェブアプリケーション用のプログラム,例えばphp,HTML,java,cなどの言語で作成されたプログラムを記録している。
【0117】
スマートフォン3や図示しないパソコンなど(これらをまとめて「スマートフォン3等」という)は,浴室施設1Aの利用者が利用者の情報を登録したり,利用の予約をするために,用いられることを想定している。スマートフォン3等は,インターネットに接続され,インターネット表示ソフトウェア(例えば,インターネットエクスプローラー,マイクロソフトedge,グーグルクローム(それぞれ商標))などが,一般的にインストールされている。これらのソフトウェアに,上記管理会社のサイトのURL31を入力すると,当該サイトに接続しそのサイトの情報のダウンロード要求をサーバー2に送信する。サーバー2は,当該ダウンロード要求を受けて,これらのプログラムを実行し,ウェブ表示に必要な情報を送る。
【0118】
なお,サーバー2は,必ずしも,スマートフォン3に表示される画面のビット情報をすべて作成するわけではなく,スマートフォン3が読み取れるスクリプトやHTML言語で書かれたデータを送り,表示の実行自体をスマートフォン3に委ねることもありうるし,一般的にそのように行われている。例えば,phpなどの言語により,スマートフォン3の利用者個々の状況に応じた情報(ログイン情報など)をサーバー2が作成し(いわゆるバックエンド),これらの情報を,固定のひな型に埋め込んだHTMLのデータを,スマートフォン3に送信する。
【0119】
収納会社4は,内部に,図示しない収納会社のサーバーを管理しており,支払い要求に応じて,浴室施設1の利用者の決済を行う。例えば,クレジット決済,電子マネー等による決済を行う。
【0120】
管理者のパソコン5は,必須ではないが,後述の通り,実施形態によっては,ここに売上分析プログラム27,売上予測プログラム28を置いてもよい。
【0121】
本実施形態のサーバー2は,前述した管理会社の自社サイトの一般的なウェブプログラムに加え,特に,利用者登録プログラム21,利用予約プログラム22,顧客データベース23,店舗データベース24,住宅データベース25,データ集積プログラム26,及び売上分析プログラム27,売上予測プログラム28を記憶しており,これらのプログラムの実行やデータベースの管理を行う。本願発明のプログラムにかかる実施形態のプログラムは,プログラム27,28として,サーバー2に格納されている。以下ではこれらプログラム等の好ましい動作内容を説明する。
【0122】
利用者登録プログラム21は,上記の管理者のサイトから,登録アイコン32のタッチを受け付けるHTMLのスクリプトをスマートフォン3等に送る。利用者の当該タッチを受けると,スマートフォン3等はサーバー2に画面の移動を指示するデータを送信する。より正確には,利用者登録プログラム21が,サーバー2に対する送信指示を含むウェブスクリプトを,スマートフォン3等に予め送っており,スマートフォン3上でのスクリプトの実行に伴い,画面表示の移動(ないし切り替え)を指示するデータ送信が行われる(以下,スマートフォン3がサーバー2にデータを送信するときは同様である。)。利用者登録プログラム21は,図示しない登録受付画面をスマートフォン3に送信し,スマートフォン3上で,登録アイコン32がタッチないしクリック(以下「タッチ等」という)されると,その画面に移動させ,利用者の情報の登録を受け付ける。ここでは,少なくとも,住所欄,および利用者の識別記号となるID入力用テキストボックス33,図示しない登録アイコン(上記登録アイコン32とは異なる)を設け,これらのテキストボックスの入力を受け付ける。IDの代わりに氏名の入力を受け付けてもよい。スマートフォン3上で,登録アイコンにタッチされると,上記の住所,IDの情報をサーバー2に送信する。
【0123】
利用者登録プログラム21は,スマートフォン3等から利用者の登録情報を受信すると,顧客データベース23にその登録された利用者の情報を1つの「レコード」(表計算ソフトウェアの行に相当する)として追加する。顧客データベース23の構成例としては,1つのデータベースとしなくても,データベースに含まれる単なる「テーブル」(表計算ソフトウェアのシートに相当する)として構成することもできる(後述のデータベース24,25も同様である)。その登録者の情報を特徴づける「コラム」(表計算ソフトウェアの列に相当する)としては,(a)利用者番号,(b)利用者のログインID,(c)ログインパスワードを暗号化したハッシュ,(d)利用者の住所,(e)利用者の住所に対応する緯度,(f)利用者の住所に対応する経度 の各情報を設けて,それに対応する「フィールド」(表計算ソフトウェアのセルに相当する)にデータを格納するのが好ましい。ここで,(a)利用者番号,(b)利用者のログインIDとしては,2つのコラム(a),(b)の代わりに,1つのメールアドレスとすることもできる。
【0124】
利用者登録プログラム21は,利用者の登録情報を受信すると,まずは,顧客データベース23に,(a)利用者番号,(b)利用者のログインID,(c)ログインパスワードを暗号化したハッシュ,(d)利用者の住所 それぞれに対応するフィールドを記録する。次に,住宅データベース25を検索する。ここで,住宅データベース25には,浴室施設1が設置される地域に関して,(j)住所,(k)住所に対応する緯度,(m)住所に対応する経度, を記録する。利用者の登録情報を記録すると,利用者登録プログラム21は,(j)住所を検索し,(k)住所に対応する緯度,(m)住所に対応する経度を検索し,合致するものがあれば,その利用者についての顧客データベース23のレコードのうち,(e)利用者の住所に対応する緯度,(f)利用者の住所に対応する経度 のフィールドを追記する。
【0125】
なお,所定の住所に対する緯度,経度への変換については,アプリケーションインターフェースが市場に提供されており(例えば,株式会社ゼンリンデータコム(東京都港区芝浦三丁目1番1号 田町ステーションタワーN22階所在)提供の「いつもNAVI API/SDK」など),プログラムの実行過程で,このインターフェースを呼び出すことで,緯度,経度の値を呼び出し側のプログラムに出力して,これを用いることもできる。このようなインターフェースを利用する場合には,(j)住所,(k)住所に対応する緯度,(m)住所に対応する経度の登録は必ずしも,しなくてもよい可能性がある。また,地図のサイト,例えばグーグルマップ(商標)では,住所に対応する緯度,経度が提供されており,それにより手作業で調べることもできる。また,分析対象となるペット用浴室施設1Aの近隣の予め郵便番号ないしその下の住所の丁目について,代表した緯度,経度の情報を,住宅データベース25に,上記(j)住所,(k)住所に対応する緯度,(m)住所に対応する経度の代わりに記録しておき,簡易的に利用者の住所に対応させることもできる。この場合も,グーグルマップで,住所の丁目を代表する緯度,経度を手作業で調べて,予め登録することができる。一度,住宅データベース25を検索して,利用者の住所に対応する緯度,経度を取得すれば,顧客データベース23に,(e)利用者の住所に対応する緯度,(f)利用者の住所に対応する経度 のフィールドを追記するので,2度目の検索は不要となる。
【0126】
また,売上分析プログラム27ないし後述実施形態の売上予測プログラム28を,管理者のパソコン5に置く場合には,サーバー2内のデータベース23~25内の情報を利用する必要があるが,その方法としては,パソコン5が直接にサーバー内のデータベース23~25にアクセスする方法がある。また,サーバー2の管理画面で,データベース23~25の内の所定のデータをテキストやcsvデータに出力して,管理者がこれをダウンロードし,そのデータをパソコンにコピーして,管理者のパソコン5内に必要なデータを保存し,これを基に,新たな部分的なデータベースを構築することもできるし,当該部分的データベースを構築しなくても,ただ単に,そのデータ列のテキストファイルにアクセスして処理することも可能である。上記データベース23~25の情報のうち,特に(a)利用者番号又は(b)利用者のログインIDと,(d)利用者の住所又は(e)利用者の住所に対応する緯度,(f)利用者の住所に対応する経度 の情報の利用が,本実施形態において重要である。なお,これらの利用形態は,(1)の発明の「当該ペット用浴室施設の所在地とその利用者の住所地との距離ないし当該距離の概算値の情報を,・・・利用できる」に相当する。
【0127】
図5を用いて,サーバー2が実行する利用予約プログラム22のフローを説明する。図5は,利用予約プログラム22のフローを示す。
【0128】
ステップ221では,図4に示すスマートフォン3のように,公知の認証画面を表示するためのHTMLスクリプトなどをスマートフォン3に送信する。ユーザーがURL用テキストボックス31に,浴室施設1の管理会社のサイトのアドレスを記載したり,当該サイトを検索したりすると,そのサイトに接続される。サーバー2は,登録アイコン32,ID入力用テキストボックス33,パスワード入力用テキストボックス34,ログインアイコン35からなる画面の情報を作成し,スマートフォン3に送る。スマートフォン3は送られてきたHTMLコードを解読して,画面の情報を作成し,スマートフォン3に表示する。
【0129】
ステップ222では,登録アイコン32がタッチされたか判断する。具体的には,スマートフォン3にそのアイコンがタッチされ,スマートフォン3から,利用者登録を指示する情報を受けると,ステップ212において,サーバー2は,前述の利用者登録プログラム21を実行する。登録アイコン32がタッチされていなければ,ステップ223に移動する。
【0130】
ステップ223では,ログインアイコン35がタッチされたかの判断及び認証判断を行う。ID入力用テキストボックス33,パスワード入力用テキストボックス34に,値が入力された場合に,ログインアイコン35がタッチされると,スマートフォン3からサーバー2にIDとパスワードが送信され,サーバー2は,顧客データベース23内の(a)利用者番号又は(b)利用者のログインIDと,(c)ログインパスワードを暗号化したハッシュを確認して,登録されている利用者であるかの認証を行う。認証が不成立の場合には,ステップ221に戻る。認証が成立した場合には,ステップ224に移動する。
【0131】
ステップ224では,浴室施設1の予約画面のHTMLスクリプトをスマートフォン3に送信する。ここでは,例えばカレンダー及び予約受付のアイコンを表示して,空いている時間枠を選択できるようにする。時間枠の選択のタッチがされた状態で,さらに予約受付のアイコンがタッチされると,スマートフォン3は,予約があった旨の情報をサーバー2に送信する。
【0132】
ステップ225では,サーバー2は,その予約があった旨の情報を受けて,収納会社4のサーバーと通信を行い,決済を収納会社4に依頼し,支払処理が終わると,サーバー2は,その旨をスマートフォン3に通知する。
【0133】
ステップ226では,スマートフォン3は,利用者固有の番号ないし利用者ID,予約の時間,予約された店舗固有の番号をサーバー2に送信する。
【0134】
ステップ227では,利用予約プログラム22は,予約をした利用者のスマートフォン3に,浴室施設1を利用するためのパスワードを送信し,利用者がログインして閲覧している管理者のサイトに表示する。これにより,利用者に浴室施設1を利用するためのパスワードを通知する。また,利用予約プログラム22は,当該予約に係る時刻になると,その利用者に対応する電子錠111a,111bのパスワードないしその暗号化したハッシュを,浴室施設1の電子錠111a,111bに送信する。電子錠111a,111bは,新たなパスワードの情報をサーバー2から受けて,パスワードを切り替える。利用者が浴室施設1Aにおいてその通知されたパスワードを入力し,利用時刻と合致していれば,電子錠111a,111bは開錠する。
【0135】
また,電子錠111a,111bにつき,別のパスワード認証方法としては,随時,サーバー2がパスワードの情報及び設定時間を電子錠111a,111bに送信して,その設定時間が来ると電子錠111a,111bがパスワードを切り替えるようにしてもよい。
【0136】
さらに別のパスワード認証方法としては,電子錠111a,bがテンキー118a,bの入力を受け付けた時に,電子錠111a,bが,サーバー2と通信して,サーバー2は,入力されたパスワードが,サーバー2が保有するパスワードのハッシュ(後述のデータ集積プログラム26内の(u)電子錠111に入れる予約パスワードないしこれを暗号化したハッシュに相当)と合致しているか確認し,合致している場合には,サーバー2が開錠許可の信号を電子錠111a,111bに送ってもよい。
【0137】
ステップ227の後,スマートフォン3に表示する認証画面(ステップ221)に戻る。
【0138】
データ集積プログラム26は,上記ステップ226で,サーバー2が予約の時間,予約された店舗を受信すると,店舗データベース24にこれらの予約情報を格納する。店舗データベース24のテーブルのコラムとしては,(p)店舗固有の番号(ないし店舗コード),(q)店舗名称,(r)店舗の緯度,(s)店舗の経度,(t)予約時間,(u)電子錠111に入れる予約パスワードないしこれを暗号化したハッシュ,(v)予約者固有の番号(ないし利用者コード),(w)利用を予約した店舗と利用者の住所との距離,(x)開業日,(y)予約時刻にキャンセルされず利用されたかのフラグ,(z)利用キャンセルのフラグ などを登録するのが好ましい。浴室施設1の店舗を開設したときに,上記(p)~(s)の情報を1つのレコードに記録し,ほかのコラムについてはNULLデータを記録する。利用予約プログラム22の実行により予約情報を受信すると,データ集積プログラム26は,店舗データベース24に,レコードを追加し,店舗を開設したときに設定した上記(p)~(s)の情報をコピーするとともに,当該レコードの(t)~(z)に関するフィールドに,該当する予約情報を記録する。
【0139】
ここで,この予約情報と,現実の利用がされた結果である売上とを結びつける方法としては,例えば以下の3つの方法がある。
【0140】
第1の方法としては,予約のレコードを記録する前提として,収納会社4との間で会計処理が済んでいるようにすることもできる。これにより,「(t)予約時間」がNULLではないレコードが存在すれば,現実に入金され利用された旨の記録が存在することになる。この場合「(y)キャンセルされず利用されたかのフラグ」のコラムは不要になる。
【0141】
また,第2の方法としては,実利用に関わらず,その予約に係る時刻まで,予約が残っていれば,キャンセルされなかった予約とみなして,利用者に請求できるようにしておく方法がある。この場合,データ集積プログラム26は,上記「(t)予約時間」に到達すると,上記「(z)利用キャンセルのフラグ」を確認して,キャンセルの送信がされていないかどうかを判断し,キャンセルされていなければ,上記「(y)予約時刻にキャンセルされず利用されたかのフラグ」のフィールドにつき,利用した旨のビットを記録する。これにより,予約に係る時刻にキャンセルされず残っているレコードについて,利用売上に関係する予約情報として記録することができる。また,「(z)利用キャンセルのフラグ」を利用する場合,「(y)キャンセルされず利用されたかのフラグ」を用いなくても,利用予約プログラム22上で,浴室施設1Aのキャンセルをすることができる時期を限定しておき,「(z)利用キャンセルのフラグ」のみによって,利用されたかを判断してもよい。
【0142】
また,第3の方法としては,現実に利用されたことの記録をもって売上とする方法がある。この場合,予約時間におけるパスワード受信と,浴室施設1の開閉状況のデータがあったことを,浴室施設1の図示しないwifi装置がサーバー2に送信して,この場合「(y)キャンセルされず利用されたかのフラグ」のフィールドにつき利用した旨のビットを記録する。利用売上に関係する予約情報として記録する。
【0143】
ここで,本実施形態では,予約をするに際し,上記第2の方法を採用するので,「(y)キャンセルされず利用されたかのフラグ」のフィールドにつき,利用した旨のビットがあるレコードを集積すれば,利用件数,即ち売上に関する情報を集積できる。
【0144】
また,データ集積プログラム26は,サーバー2に集積される予約情報,予約者の住所等の情報を用いて,後述する売上分析プログラム27,後述する第7~第10の実施形態の売上予測プログラム28を計算するための各要素及びその計算に必要なデータを随時計算し,集積する。これらの情報を集積することにより,より一層,当該各要素の値が正確な値になることが期待できる。
【0145】
なお,以上において,スマートフォン3がサーバー2にデータを送受信する処理は,直接的には,確かにスマートフォン3がスクリプトを実行して動作させている。しかしながら,利用予約プログラム22の実行に伴い,サーバー2が用意した,スクリプトをスマートフォン3に送信して供給することで,これらの送受信の動作が可能となっている。これにより,どの利用者のスマートフォン3でも,浴室施設1の予約登録が可能となるのであり,スマートフォン3としては特殊な機器が必要になるのではない。したがって,このようなスマートフォン3(ないしこれに代替するパーソナルコンピューター)の汎用性を理由に,自社サイトの表示や,利用者の予約の履歴の情報(上記(p)~(u))の収集は,サーバー2で完結している。
【0146】
図6及び図7を用いて,売上分析プログラム27の全体の概略について説明する。図6及び図7は,売上分析プログラム27の全体フローを示し,図6図7で1つのフローである。
【0147】
ここで,売上分析プログラム27及び後述の売上予測プログラム28は,典型的には,浴室施設1の管理者が実行するものであり,例えば,土地を所有するなど土地を有効活用したいと望む地主などに対し,管理者が浴室施設1の建設を勧めるうえで,浴室施設1の経営が成り立つのかを,分析したり予測したりするために用いることもできる。
【0148】
売上分析プログラム27,売上予測プログラム28の実施形態としては,図4に示すようにサーバー2が売上分析プログラム27,売上予測プログラム28を実行して,その管理画面でその売上分析や予測の結果を表示してもよい。また,管理者のパソコン5に売上分析プログラム27,売上予測プログラム28を置き,サーバー2と通信しながら,データベース23~25にアクセスして実行したり,ユーザーが予め店舗データベース24のうち必要データを管理者のパソコン5にダウンロードしたりして,管理者のパソコン5が,そのデータにアクセスして実行することが想定される。以上のいずれの方法にせよ,売上分析ないし予測を行うためのデータを予め用意できれば,本願発明の実施に係る売上分析プログラム27,売上予測プログラム28は,1つのコンピューター内のプログラムとして完結して実行でき,他の装置を要しない。また,発明の実施形態に係るプログラム27,28は,収集した予約情報,及び,利用者の住所ないし施設との距離の情報を利用出来れば実行できるので,サーバー2のように自動でなくても,手作業で収集したこれらのデータを利用出来れば足りる。
【0149】
ステップ2711では,特定の浴室施設1が設置された場所から一定距離範囲の円内の世帯数(「圏内世帯数」とする。値をHsInRg(Houses In the Region)とする。本願発明の「圏内世帯数A」に相当する)を入力する。例えば,1km圏内,5km圏内,10km圏内に区分けして複数の距離を入力することができるようにするのが好ましい。この「入力」は本願実施形態では,プログラム上の「代入」の意味であり,必ずしも,入力フォームを設けて管理者が入力する場合に限らず,プログラムの中で変数,定数を定義して入力する場合や,後述の通り,プログラムの実行の過程で計算した値を,入力(ないし代入)する場合をも含む(以下「入力」というときは同じ。)。
【0150】
ここで,既存の浴室施設1Aとしては,実店舗の設置を想定するので,その利用者は,住所地から近い方が利用しやすいことから,その設置場所からの距離範囲,即ち商圏の範囲との相関があることが想定される。そして,「商圏(しょうけん)とは,ある商業施設や小売店,商店街などを日常的に利用する消費者が生活している地理的な範囲を指す。」(Wikipedia参照)とされ,商圏の設定方法としては,その浴室施設1Aからの距離により設定する方法や,利用者の例えば60%が含まれる範囲を商圏として設定する方法などがある。本実施形態では,浴室施設1Aからの一定距離範囲内を商圏とみるので,例えば浴室施設1Aから5km圏内の圏内世帯数HsInRgを商圏の範囲の世帯数とみる。圏内世帯数HsInRgは,浴室施設1の近所ないし商圏の見込客を最大限見積もった数となる。
【0151】
一定距離範囲内の世帯数の入力手段については,ソフトウェアが市場に提供されており(例えばサービス名「MakePla(マケプラ)」(商標),株式会社ゼンリンマーケティング(〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2-105ワテラスアネックス9階所在)),中心点となる場所を地図上で選択すれば,一定距離範囲内の世帯数や,戸建,集合住宅の割合をテキストデータとして得ることができる。これを,入力フォームから入力したり,プログラムの定義ファイルに記録して,利用することもできる。
【0152】
また,上記世帯数の入力手段として,アプリケーションインターフェースとして構成されるソフトウェアがあれば,中心点となる緯度・経度を入力すれば,浴室施設1の緯度・経度を入力し,売上分析プログラム27が,その実行過程でサブプログラムとしてプログラムインターフェースを呼び出し,プログラムインターフェースが呼び出し側のソフトウェアに,圏内世帯数HsInRgを出力し,その結果,売上分析プログラム27に上記世帯数が入力される。この場合,浴室施設1Aの緯度・経度の入力方法としては,その例えばグーグルマップ(商標)で,その住所を調べて入力することができる。
また,行政庁発表の市町村ごとの世帯数を各市町村の面積で割ると,面積当たりの世帯数を計算できるので,上記半径に含まれる各市町村の面積に対応する世帯数をすべて合計する方法により推定した値を用いることもできる。また,住宅データベース25に詳細地図から得た世帯の情報を記録しておき,これに基づいて商圏の円内の世帯数を合計する方法もありうる。以下,世帯数の入力手段につき,同様である。
【0153】
ステップ2712では,特定の浴室施設1Aが設置された地域における世帯1戸当たりのペット飼育頭数(「ペット飼育率」とする。値をBrNmPerHs(Breeding Number Per one House)とする。前記(1)の発明の「ペット飼育率B」に相当する)を入力する。ここでは,浴室施設1のうち既存の浴室施設1Aについて入力する。このBrNmPerHsの値については,各地域において,アンケートを行って,その結果に基づいて,値を定める。
【0154】
ステップ2713では,HsInRg×BrNmPerHsを計算し,この計算結果を「圏内想定飼育頭数」,値をBrNmInRg(Breedig Number In the Region)とする。上記(1)の発明の「圏内想定飼育頭数D」に相当する)とする。この計算結果を,プログラムの実行に伴って,売上分析プログラム27に入力する。この入力では,操作者が計算したものの入力を受け付けてもよい。
【0155】
ここで,ステップ2711~2713の意義について説明する。ステップ2711では,浴室施設1Aの近所の見込客を最大限見積もった数である商圏内の圏内世帯数HsInRgを入力したが,浴室施設1Aがペット用の施設であることを踏まえると,利用者は実質的にペット所有者に限られるので,その地域の世帯1戸当たりの飼育頭数ないし,BrNmPerHs=(その地域の飼育頭数/その地域の世帯数)を考慮し,ペットを有する世帯数を見積もる方が,浴室施設1の近所に居る見込客の数を,より的確に見積もることができる。そこで,HsInRgにこのBrNmPerHsを掛け算して浴室施設1が設置される地域のうち,施設から一定圏内で想定される飼育頭数,言い換えれば,ペットを持っている見込み客の最大数を計算できる。
【0156】
ステップ272では,1回あたりの利用単価(UnPr(Unit Price)とする)を入力する。この入力では,典型的にはフォームを設けて手動で入力するようにしてもよいし,プログラム内に変数を定義して,プログラムに入力してもよい。フォームを設けて手動で入力する場合には,規定値を表示し必要に応じて,訂正できるようにしてもよい。
【0157】
ステップ273では,分析対象の所定期間(以下「対象期間S1’」という。上記(1)の発明の「所定期間S1」に相当する)の終期までに,上記距離範囲内で,登録された会員(利用していない者も含む)の数(「圏内登録会員数」とする。その値をRegMbInRg(the Number of Registered Members In the Region)とする。上記(3)の発明の「圏内登録会員数M」に相当する)を,集計する。
【0158】
ここで,所定期間は,長さと期間の初め,期間のはじめと終わりなど2つの定数で設定されるが,これらをまとめて便宜上,上記S1’とする。ただし,上記所定期間の実装上,必ずしも構造体や配列にまとめる必要はない。以下,「所定期間」,「予測対象期間」,「対象期間」,「参照期間」というときは,同様である。
【0159】
また,利用者や登録者が特定の浴室施設1Aから一定範囲内であるか,また,距離の判定や集計の方法としては,以下の方法がある。即ち,利用予約プログラム22により顧客データベース23に登録された会員の緯度,経度の情報と,店舗データベース24に登録された店舗の緯度,経度の情報から,距離を計算し,所定の距離範囲であるか判定することを,登録会員数に対し繰り返し行うことで,圏内登録会員数を集計する。また,上記の通り,データ集積プログラム26は,店舗データベース24に,予約情報を記録しており,予約情報の1つのレコード(表計算の行のデータに相当する)の記録の際に,店舗の情報として,緯度,経度の情報をコピーし,かつ顧客データベース23にある会員の住所地の緯度,経度の情報をコピーしているので,その予約情報の1つのレコード内の店舗と,会員の住所地の緯度,経度の情報から,利用者の住所地までの距離を計算し,「(w)利用を予約した店舗と利用者の住所との距離」に記録して,この距離で判定してもよい。また,予約ごとに店舗データベース24内の「(w)利用を予約した店舗と利用者の住所との距離」のフィールドに,計算結果を記録しておき,一度,その距離を計算した場合には,分析時にはこの距離を用いることで,距離の計算を省略することもできる。また,オンラインで接続された店舗データベース24を用いなくても,ネットワークに接続されていない管理者のパソコン5において,売上予測プログラム28が,店舗の利用履歴と,利用者の住所の入った情報が記載されたローカルファイルにアクセスして,距離の判定を行うことも可能である。
【0160】
また,上記の通り,浴室施設1A周辺の町名及び丁目の緯度・経度を登録しておき,その緯度・経度で代表して,緯度経度の情報を記録して,簡易に利用者の住所地の緯度,経度を設定して,浴室施設1Aからの距離を計算する場合には,想定する距離範囲内(例えば10km)の町名及び丁目及びその代表する緯度経度を,登録すれば足りる。この場合,登録していない町名の住所地の利用者は,所定距離範囲外の利用者と判定することになる(以上につき,後述のステップ2742,ステップ2842も同様である)。
【0161】
さらに,後述図8図10(第2実施形態),図20図21の入力フォームの通り,店舗が設置される場所の緯度,経度については,売上分析プログラム27,売上予測プログラム28の実行に伴って,入力を受け付けてもよい。この場合には,必ずしも,店舗データベース24に店舗の緯度,経度を記録しなくてもよい。
【0162】
以上で示した浴室施設と,利用者ないし利用登録者の住所地と,の距離を判定する方法は,以下の実施形態でも,同様に代替して適用できる。
【0163】
ステップ2740では,店舗データベース24にアクセスして(又は利用履歴ないし予約情報を記録したcsvファイルにアクセスするなどして),その中から,予約情報の中から,対象期間内かつ対象店舗に該当するレコードの集合を,サブテーブルとして抽出する。具体的には,「(t)予約時間」がNULLではなく,「(y)キャンセルされず利用されたかのフラグ」のフィールドにつき,利用した旨のビットがあるレコードの集合の中から,その予約時間が対象期間内,かつ対象店舗の「(p)店舗固有の番号,ないし店舗コード」に合致するレコードの集合を,サブテーブルとして抽出する。これにより,対象店舗につき,その対象期間内に利用する旨の予約がされた記録の集合を抽出できる。この1つのレコードが,対象店舗での対象期間内の1回の利用を意味する。この集合については,浴室施設1と,利用した会員との距離に関わらず,集計する。
【0164】
ステップ2741では,所定距離範囲内かつ上記対象期間の内に,その浴室施設1Aを1度以上利用した会員の数(「圏内アクティブ会員数」とする。その値をActMbInRg(the Number of Active Members In the Region)とする。上記(2)の発明の「圏内アクティブ会員数F」に相当する)を集計する。集計の仕方としては,上記ステップ2740で現実に浴室施設1Aを利用した会員の部分集合を抽出しており,その抽出したレコードのうち,上記の方法で,その会員の緯度,経度の情報と,上記店舗の緯度,経度の情報から,距離を計算して,所定の距離範囲であるか判定することを,上記現実に利用した会員の部分集合に対し繰り返し行うことで,アクティブ会員数を集計する。ここでの会員数は1人の会員が複数回利用したとしても,1回以上加算することはしない。
【0165】
ステップ2742では,所定距離範囲内かつ上記対象期間内に現実に浴室施設1Aを利用した件数(「圏内利用件数」とする。その値をNumTmsUseInRg(the Number of Times of Use in the Region)とする。上記(1)の発明の「圏内利用件数C」に相当する)を計算する。ステップ2740で集計した利用履歴の部分集合の中から,利用した会員の緯度,経度の情報と,店舗データベース24に登録された店舗の緯度,経度の情報から,距離を計算して,所定の距離範囲であるか判定することを,上記部分集合に対し繰り返し行うことで,圏内利用件数NumTmsUseInRgを計算する。ここでの利用件数は,ステップ273,ステップ2741と違い,1人の会員が複数回利用した場合,その回数をすべて当該利用件数に加算する。
【0166】
ステップ275では,ステップ2742で集計した圏内利用件数NumTmsUseInRgに,単価UnitPriceを掛け算して,圏内総売上(TotSls(Total Sales)とする)を計算する。
【0167】
図7のステップ2761では,ステップ273で入力した圏内登録会員数RegMbInRgの値を,圏内想定飼育頭数BrNmInRgで割った値(「圏内想定飼育頭数に対する圏内登録会員加入率」とする。値をRegMbPerBrNmInRg(the Number of Registered Members Per Breedig Number In the Region)とする。上記(3)の発明の「圏内想定飼育頭数に対する圏内登録会員加入率J」に相当する)を計算する。
【0168】
ステップ2762では,圏内アクティブ会員数ActMbInRgの値を,圏内想定飼育頭数BrNmInRgで割った値(「圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率」とする。値をActMbPerBrNmInRg(the Number of Active Members Per Breedig Number In the Region)とする。上記(2)の発明の「圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率G」に相当する)を計算する。
【0169】
ステップ2763では,圏内アクティブ会員数ActMbInRgを,圏内登録会員数RegMbInRgで割り算した値(「圏内アクティブ会員率」とする。値をActMbPerRegMbInRg(the Number of Active Members Per Number of Registered Members In the Region)とする。上記(3)の発明の「圏内アクティブ会員率AR」に相当する。)を計算する。この値の意義を説明すると,会員登録の際に実際には利用していない会員もいるところ,現実に利用する会員数から逆算して,どれぐらいの圏内登録会員数RegMInRgが必要かを,ActMbPerRegMbInRgにより,示すことができる。
【0170】
ステップ2771では,図6ステップ2742で集計した圏内利用件数NumTmsUseInRgの値を,ステップ273で集計した圏内登録会員数RegMbInRgで割った値(以下「圏内登録会員数に対する利用率」という。値を「NumTmsUsePerRegMbInRg」(the Number of Times of Use Per the Number of Registered Members in the Region)とする。)を計算する。
【0171】
ステップ2772では,ステップ2742で集計した圏内利用件数NumTmsUseInRgの値を,ステップ2741で集計した圏内アクティブ会員数ActMbInRgで割った値(以下「圏内利用者1人当たりの利用率」という。その値をNumTmsUsePerActMbInRg(the Number of Times of Use Per Active Members in the Region)とする。上記(2)の発明の「圏内利用者1人当たりの利用率H」に相当する。)を計算する。
【0172】
ステップ2773では,ステップ2742で集計した圏内利用件数NumTmsUseInRgを,ステップ2713で計算した圏内想定飼育頭数BrNmInRgで割り算する計算を行う(この計算結果を「圏内想定飼育頭数に対する利用率」とする。値を,NumTmsUsePerBrNmInRg(the Number of Times of Use Per Breeding Number In Region)とする。上記(1)の発明の「圏内想定飼育頭数に対する利用率E」に相当する)。
【0173】
図8を用いて,売上分析プログラム27の入力フォームの実施例について説明する。図8は,本実施形態の売上分析プログラム27の実施に伴って,入力フォームにより必要な情報の入力を受け付ける画面の例である。この画面では,売上分析プログラム27が実行可能にインストールされた,サーバー2や管理者のパソコン5のキーボード,マウスなどから,既存の施設1Aの管理者の手により入力を受け付ける。
【0174】
図8の「対象店舗」の右欄には,複数の既存の施設1Aのうち,1つの施設を選択するように画面表示を行う。例えば,三角の上下逆の矢印をクリックすると,店舗名称の一覧が表示され,トグルにより店舗名称を選択できるようにする。なお,「対象店舗」の欄については,トグルによる店舗選択だけではなく,同じ欄に,直接に,「・・・店」などの新規店舗の名称を入力するようにしたり,別のフォームで,店舗名称を入力したりするようにして,施設数の拡張に対応するようにするのが好ましい。
【0175】
「店舗設置場所の緯度」における「店舗」は,一般に本実施形態の浴室施設1,1A,後述実施形態の浴室施設1B,1C,及び本願発明の「ペット用浴室施設」に相当する(「店舗」というときは以下同じ。)。「店舗設置場所の緯度」,「店舗設置場所の緯度」の右欄には,既運用の浴室施設1Aの緯度,経度それぞれの入力を受け付ける。この入力については,浴室施設の管理者が,例えばグーグルマップ等を調べることにより,キーボードから入力することができる。この情報をもとに,浴室施設1Aの利用者の住所地との距離を計算し,その圏内登録会員数,圏内アクティブ会員数,圏内利用件数を集計することができる(上記ステップ273,2741,2742)。また,売上分析プログラム27は,この情報を基に,対象店舗周囲の1km,5km,10km圏内の住居数を,アプリケーションインターフェースを使って計算し,自身のプログラムに自動入力するようにしてもよい。
【0176】
「上記店舗から所定距離範囲内の住宅世帯数」の右欄には,各距離圏内(1km,5km,10km圏内)の住居数の入力を受け付ける(上記ステップ2711)。この住居数の入力方法としては,上記の通り住居数を調べるアプリケーションを起動して表示された結果を,上記管理者が図8のようなフォームに手動で入力することなどが想定される。
【0177】
「上記店舗が設置された地域における世帯1戸当たりの飼育頭数(ペット飼育率)」の右欄には,例えば,アンケート調査により得られた世帯1戸当たりの飼育頭数(ここでは例えば0.04)を入力する(上記ステップ2712)。なお,ここでは,ペット飼育率上記店舗が設置された地域について実施したアンケート結果がある場合には,「出店候補地」の地域を選択することで,予め設定したその地域のアンケート結果が予め反映して表示し,修正を受け付けるようにするのが好ましい。この例に従うと,図6のステップ2713によれば,県内想定飼育頭数は,例えば1km圏内で,住宅世帯数10万戸×ペット飼育率0.04=4000頭という計算になる。
また,「1回利用当たりの単価(円)」の右欄に,その店舗を1回利用するのに支払うべき金銭の額(「利用単価」とする)(例えば3000円)を入力する(上記ステップ272)。
【0178】
「期間選択」の右欄では,始期,終期とも,右側のトグルをクリックすると,例えばカレンダーが現れるようにして,期間を選択できるようにするのが好ましい。この期間選択は,上記ステップ2740の「対象期間」の設定に相当し,上記(1)の発明の「所定期間S1」を設定することに相当する。
【0179】
分析実行のボタンをクリックすると,上記で入力された内容が保存され,分析を行う。一度以上の内容が保存された場合には,再び同じ店舗を選択するときは,以上で保存された情報を,規定値として表示し,修正を受け付けるようにするのが好ましい。
【0180】
図9を用いて,売上分析プログラム27が,売上分析結果を表示する画面について説明する。図9は,その画面の一例を表している。
【0181】
図9の「店舗からの距離範囲」の右欄には,分析対象として設定した「対象店舗」(即ち浴室施設1A)の所在地からの距離の範囲を,例えば,1km圏内,5km圏内,10km圏内に分類して,以下の分析結果を表示する。「圏内想定飼育頭数」の右欄には,上記図8の通り入力した各圏内の住居数HsInRgとペット飼育率その距離圏内それぞれについて計算し,図8の通り入力した浴室施設1Aが設置された地域におけるペット飼育率BrNmPerHsを掛け算して(上記ステップ2713参照),各圏内それぞれについて,圏内想定飼育頭数BrNmInRgを計算し表示する。
【0182】
「圏内登録会員数」の右欄には,各圏内ごとに,図8の画面で入力した対象店舗の緯度,経度と,登録された会員の住所地の緯度,経度との距離を測定し,各距離圏内に入っているか計算し,その各圏内に含まれる登録会員の数を集計し,表示する(図6ステップ273参照)。ここで集計する会員には,現実に利用していない会員も含める。
【0183】
「圏内アクティブ会員数」の右欄には,各圏内ごとに,所定期間内に,現実に対象店舗を1度以上利用した利用者の数のみを集計した,圏内アクティブ会員数ActMbInRgを表示する(図6ステップ2741参照)。ここでは,1km圏内,5km圏内,10km圏内の距離ごとにこの集計を行い,表示する。ここで,この実施形態では,上記会員登録がされている会員のみを分析の対象とするので,当該圏内アクティブ会員数は,上記の圏内登録会員数RegMbInRgの部分集合になる。
【0184】
「圏内想定飼育頭数に対する圏内登録会員加入率」の右欄には,各圏内ごとに,「圏内登録会員数」を「圏内想定飼育頭数」で割った,圏内想定飼育頭数に対する圏内会員加入率RegMbPerBrNmInRgを計算し表示する(図7ステップ2761参照)。例えば,1km圏内では,「圏内登録会員数」40人を「圏内想定飼育頭数」395頭で割る計算をし,その計算結果である10.1%を表示する。
【0185】
「圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員加入率」の右欄には,各圏内ごとに,「圏内アクティブ会員数」を「圏内想定飼育頭数」で割った,圏内想定飼育頭数に対する圏内アクティブ会員率ActMbPerBrNmInRgを,計算し表示する(図7ステップ2762参照)。例えば,1km圏内では,「圏内アクティブ会員数」12人を,「圏内想定飼育頭数」395頭で割る計算をし,その計算結果である3.03%を表示する。
【0186】
「圏内アクティブ会員率(圏内登録会員数に対する)」の右欄には,各圏内ごとに,上記距離圏内それぞれについて,「圏内アクティブ会員数」ActMbInRgを「圏内登録会員数」RegMbInRgで割った,圏内アクティブ会員率ActMbPerRegMbInRgを計算し表示する(図7ステップ2763参照)。例えば,1km圏内では,「圏内アクティブ会員数」12人を「圏内総会員数」40人で割る計算をし,その計算結果である30%を表示する。
【0187】
「圏内利用件数」の右欄には,各圏内ごとに,対象期間内にその圏内で利用された件数である圏内利用件数NumTmsUseを集計して表示する(図6ステップ2742参照)。例えばこの例では,1kmの圏内で対象期間内に12回の利用を集計して表示する。その方法としては,図6ステップ2740で,店舗データベース24から収集した,浴室施設1Aを所定期間内に利用したレコード集合のサブテーブルの中から,1kmの圏内に該当する会員の利用件数を集計する。同様に,5km,10kmの圏内に該当する会員の利用件数を集計する。
【0188】
「圏内利用売上」の右欄には,図8で入力した利用単価に上記利用件数NumTmsUseを掛け算することで得られた値を表示する(図6ステップ275)。この例の1km圏内では,圏内利用件数12回に単価3000円を掛け算して,36,000円となる。
【0189】
「圏内登録会員数に対する利用率」の右欄には,各圏内ごとに,圏内利用件数NumTmsUseを圏内登録会員数RegMbInRgで割った値である,圏内登録会員数に対する利用率NumTmsUsePerRegMbInRgを計算する(図7ステップ2771参照)。例えば,5km圏内では,圏内利用件数53件を,圏内登録会員数180人で割る計算をして,0.29件/人を表示する。
【0190】
「圏内利用者1人当たりの利用率」の右欄には,各圏内ごとに,圏内利用件数NumTmsUseを圏内アクティブ会員数ActMbInRgで割った値である,圏内利用者1人当たりの利用率NumTmsUsePerActMbInRgを計算する(図7ステップ2772参照)。例えばこの例では,5km圏内では,圏内利用件数53件を圏内アクティブ会員数50人で割る計算をして,その値1.06回/人を表示する。
【0191】
「圏内想定飼育頭数に対する利用率」の右欄には,各圏内ごとに,圏内利用件数NumTmsUseを圏内想定飼育頭数BrNmInRgで割った値である,圏内想定飼育頭数に対する利用率NumTmsUsePerBrNmInRgを計算する(図7ステップ2773参照)。例えば,この例では,5km圏内では,圏内利用件数53件を圏内想定飼育頭数8893頭で割る計算をして,その値0.00596件/頭数を表示する。
【0192】
以上の通り値の集計や計算を,各距離の圏内ごとに,繰り返し行うことは,上記(6)の発明に相当する。
【0193】
さらに,10kmの欄の例えば右には,浴室施設1Aからの距離にかかわらず,「期間中総売上」,「期間中総件数」(即ち期間中総利用件数),「期間中アクティブ会員数」,利用頻度(対アクティブ会員),売上構成,及びアクティブ会員分布を表示するのが好ましい。
【0194】
「期間中総件数」の右欄には,ステップ2740で抽出したレコードの総数をこの値とし,「期間中総売上」は,「期間中総件数」の値と,入力された単価(図8参照)とを掛けて,「総売上」を計算する。この例では,90件の利用があり,単価が3000円であるとして,総売上270,000円を計算し,表示している。
【0195】
「期間中総アクティブ会員数」の右欄には,上記ステップ2740で抽出したレコードを,(v)予約者固有の番号(ないし利用者コード)毎に並べ替えて,利用者の総数を計算し表示する。ここでは利用者が複数回利用したとしても1人と数えるものとし,この例では,80人の利用があったものとして表示している。
【0196】
「利用率(対期間中総アクティブ会員)」の欄には,距離圏内に関わらず利用された件数(上記期間中総件数,この例では90件)を,距離圏内に関わらず1回以上利用したアクティブ会員(この例では80人)を割り算した値を表示する。この例では,90/80=1.125回/人を表示する。この値は,距離圏内にかかわらず,利用者1人当たりの利用件数やリピート率を表す指標となる。
【0197】
「売上構成」の下欄には,左側に表示している距離圏内毎の「圏内利用件数」(この例では1km圏内で12件,5km圏内で53件,10km圏内で76件あったものとしている)を,上記「期間中総件数」(90件)で割り,「期間中総件数」に占める「圏内利用件数」(当該各距離圏内の利用件数)の割合を表示する。例えば,1km圏内では12件/90件=13%,5km圏内では53件/90件=59%,10km圏内で76件/90件=84%を表示する。ここで,利用単価を一定とすれば,これらの割合は,各圏内に占める売上構成を表している。この売上構成の計算例は,上記発明(5)に相当する。
【0198】
「アクティブ会員分布」の下欄には,左側に表示している距離圏内毎の「圏内アクティブ会員数」(この例では1km圏内で12人,5km圏内で50人,10km圏内で68人の利用があったものとしている)を,上記「アクティブ会員数」(この例では80人)で割り,「アクティブ会員数」に占める距離圏内毎の会員が占める割合を表示する。例えば,1km圏内では12人/80人=14%,5km圏内では50人/80人=59%,10km圏内で68人/80人=80%を表示する。
【0199】
このように,「売上構成」,「アクティブ会員分布」を表示することのメリットとしては,本件のような現実に所定の土地に設けられた実店舗での利用を考える場合,これらの値は利用者の住所地との距離との間で,大きな相関があると予想されるところ,その距離圏内毎の利用者の構成を分析できる。これにより,どれぐらいの近い距離間で浴室施設1を設置すると,競合が予想されるか,複数の浴室施設1をどれぐらいの距離ごとに設置すれば効率的であるかなどを分析できる。
【0200】
その他,図9の下欄に示すように,以上で示した売上分析の結果を,配布したり印刷したりするため,分析履歴をpdfデータに保存してもよい。
【0201】
次に,図10を用いて,第2実施形態に係る売上分析プログラムについて説明する。図10は,第2実施形態に係る売上分析プログラムにおいて売上分析のために入力する項目の例を表示している。この実施形態では第1実施形態に係る圏内想定飼育頭数BrNmInRgの計算方法をより精密に計算する方法を示しており,当該頭数の計算方法のみが異なる以外は,以上の説明をすべて流用する。
【0202】
図10に示すように,上記店舗が設置された地域における世帯1戸当たりの飼育頭数(ペット飼育率,図8参照)を,「上記店舗が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数」(「戸建ペット飼育率」という。上記(4)の発明の「戸建ペット飼育率B’」に相当する。)と「上記店舗が設置された地域における集合住宅の世帯1戸当たりのペット飼育頭数」(「集合住宅ペット飼育率」という。上記(4)の発明の「集合住宅ペット飼育率B”」に相当する。)に分けて,入力するフォームを設ける。ここでは,例えば,前者につき,0.1,後者につき0.01を入力する。また,浴室施設1Aから一定距離範囲内の世帯数である上記圏内世帯数を,1戸建て住宅であるか集合住宅であるかに振り分けて,「上記店舗から所定距離範囲内にある1戸建て住宅の世帯数」(上記(4)の発明の「圏内戸建世帯数A’」に相当する),「上記店舗から所定距離範囲内にある集合住宅の世帯数」(上記(4)の発明の「圏内集合住宅世帯数A”」に相当する)の入力を受け付ける。例えば1km圏内については,前者につき,1万戸,後者につき10万戸などと入力する。この入力については,上記の通り,上記「マケプラ」(商標)を利用した結果を,上記管理者が入力することなどにより可能となる。
【0203】
ここで,「上記店舗が設置された地域における1戸建て住宅の世帯1戸当たりの飼育頭数」,及び「上記店舗が設置された地域における集合住宅の世帯1戸当たりの飼育頭数」については,例えば現地を対象としたアンケートを実施し,その値を入力するようにする。
【0204】
このように入力をした場合,圏内想定飼育頭数の計算方法は,
「上記店舗から所定距離範囲内にある1戸建て住宅の世帯数」×「戸建ペット飼育率」
+「上記店舗から所定距離範囲内にある集合住宅の世帯数」×「集合住宅ペット飼育率」で計算する。
【0205】
ここで,「上記店舗から所定距離範囲内にある1戸建て住宅の世帯数」及び「上記店舗から所定距離範囲内にある集合住宅の世帯数」の右欄には,例えば,1km圏内,5km圏内,10km圏内それぞれの値を入力し,距離圏内毎に圏内想定飼育頭数を計算する。1km圏内について,上記の入力に基づいて計算すると,圏内想定飼育頭数は,1万戸×0.1+10万戸×0.01=2000頭となる。
【0206】
このように,1戸建て住宅であるかどうかによって分類するのは,集合住宅の場合,騒音等の原因でペットの飼育が規約等により制限されていることが多く,ペットの飼育率がかなり違うことに着目したものである。浴室施設1Aの商圏内に戸建が多い郊外の場合には, ペットの飼育率が高く,それゆえ,圏内想定飼育頭数が多くなり,想定売上も増える要因となる(もっとも郊外ではそもそも,人口密度,ひいては世帯数が少ない可能性はありうる)。このようにすれば,集合住宅や1戸建て住宅の偏在状況や,人口密度を考慮し,より正確に圏内想定飼育頭数を計算できる。
【0207】
なお,本実施形態では,便宜上,「集合住宅」と記載しているが,上記の通り,ペットの飼育頭数が規約等により制限されるか否かが問題になるところ,「1戸建て住宅」以外はすべて飼育の制約を受ける可能性があるゆえ,長屋住宅,テラスハウス等も「集合住宅」に含めるのが好ましい。後述の第5実施形態も同様である。この実施形態による圏内想定飼育頭数の計算は,上記(4)の発明に相当する。
【0208】
次に,図11図12を用いて,第3実施形態に係る売上分析プログラムについて説明する。図11は,令和3年度末の各都道府県の犬の登録件数等の一覧を表している。図12は,第3実施形態に係る売上分析プログラムのうち,圏内想定飼育頭数を計算で求めるステップにつき,第1,第2実施形態とは別の例について示している。この実施形態では,ペットを犬に限定した場合に,都道府県ごとの犬の登録件数を基に,圏内想定飼育頭数の簡易に計算して入力する。圏内想定飼育頭数の入力以外は,前述の第1の実施形態と同じであり,以上の説明を流用する。
【0209】
図12のステップ2731では,浴室施設1Aが設置された地域の都道府県における犬の登録件数を入力する。ここでは,例えば,大阪府の38万5791頭を入力する。
【0210】
ステップ2732では,所定圏内の距離を設定するため,所定の距離範囲の大きさを入力する。例えば,1kmを入力する。
【0211】
ステップ2733では,上記所定の距離範囲内の円内の大きさを計算する。π×半径の2乗=3.14平方kmを計算する。
【0212】
ステップ2734では,都道府県の面積を入力する。ここでは,例えば,大阪府の面積1905.14平方kmを入力する。
【0213】
ステップ2735では,所定距離範囲内の面積/都道府県の面積×都道府県の犬の登録件数を,計算し,圏内想定飼育頭数として入力する。ここでは,例えば,3.14平方km/1905.14×38万5791頭=636頭となる。
【0214】
なお,以上では圏内想定飼育頭数を売上分析プログラム27が計算して入力したが,売上予測プログラム28の使用者が計算した結果などにつき,キーボードによる手入力を受け付けて,入力してもよい。また,複数の都道府県にまたがる場合には,各都道府県の面積に基づいて,以上のステップを行い,合算してもよい。
【0215】
前述の図11,及び新たに図13を用いて,第4実施形態に係る売上分析プログラムについて説明する。図13は,令和5年度の行政公表の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査 / 調査の結果(令和5年度)を抜粋して示しており,本実施形態に関係するところでは,令和5年1月1日現在の都道府県別の世帯数を示している。ここで,この実施形態では,ペットを犬に限定した場合に,第1実施形態に係る売上分析プログラムのうち,ペット飼育率の入力(ステップ271)について,アンケートではなく,統計による計算による方法の例を示す。この実施形態では,圏内想定飼育頭数の入力以外は,前述の第1の実施形態と同じであり,以上の説明を流用する。
図11の通り,都道府県ごとの犬の登録数の統計があり,これを,図12の都道府県別世帯数で割ることにより,ペット飼育率を求める。例えば大阪の場合には,図11記載の38万5791頭を,図13記載の大阪の世帯446万2498世帯で割り,ペット飼育率を0.0865と求めることもでき,これを図8に示すようなフォームに入力することができる。
【0216】
次に,前述の図11図13,及び新たに図14を用いて,第5実施形態に係る売上分析プログラムについて説明する。図14は,「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 調査の結果」の「結果の概要(PDF:1026KB)」(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf)に含まれる「付表4-2 住宅の建て方別住宅数の割合-都道府県(平成30年)」(同pdfの12頁)の内容を抜粋して示すものである。この実施形態では,第2実施形態で入力した戸建ペット飼育率,集合住宅ペット飼育率の,1都道府県全体の平均的な値(X1,X2とする)につき,アンケート及び計算で求める方法を示す。
【0217】
大阪府の例を示すと,図14記載の大阪府における住居のうち「1戸建」(1戸建て)の比率は,40.7%,その他の集合住宅の比率は,59.3%となる。図10より,犬の登録数が38万5791頭であり,図12より大阪の世帯数は446万2498世帯である。この結果が現在でも変わらないものとし,戸建ペット飼育率をX1,集合住宅ペット飼育率をX2とすれば,大阪府全域に関して,
(446万2498世帯×40.7%(大阪府内の1戸建の世帯数))×X1
+(446万2498×59.3%(大阪府内の集合住宅の世帯数))×X2
=38万5791頭(以下「式1」という)が成り立つ。
【0218】
ここで,戸建ペット飼育率X1と集合住宅ペット飼育率X2を,地域のアンケートで取得した場合に,その集計母数が十分でないとしても,X1とX2の割合がほかの地域から見て,不当ではない場合には,ペット飼育率の比をαとして,X1=α×X2とすれば,X1,X2を求めることができる。例えばαを5とすれば,
181万6237×5×X2+264万6261×X2=38万5791頭
(908万1185+264万6261)×X2=38万5791頭
X1≒0.1645,X2≒0.0329となる。この値を,図10に示すようなフォームに入力することができる。なお,181万6237,264万6261の数値は,後述図16の大阪府における(#4),(#5)の列の値と同じである。
【0219】
次に,図15図17を用いて,第6実施形態に係る売上分析プログラムについて説明する。この例は,上記の第2の実施形態に対し,全国平均的な戸建ペット飼育率X1,集合住宅ペット飼育率X2を入力する方法に関するもので,それ以外は,第2実施形態と同じであるので,説明を流用する。
【0220】
図15図16は,図11図13図14の都道府県別データにつき,計算を用いて1つにまとめたものであり,1つの表を図15図16の2分割にしたものである。図17は,図15図16に示すデータに基づいてExcel2019(商標)により,回帰分析をした結果である。この実施形態では,都道府県のデータを基に回帰分析をして,全都道府県の平均的な第5実施形態の戸建ペット飼育率X1,集合住宅ペット飼育率X2の値を求める。図15図16の「世帯数(R5年統計)(#1)」の列は,図13の元文献と同じ値を入力している。「戸建率%(H30年統計)(#2)」は,図14の「一戸建」の列の建て方割合(%)を入力している。「その他の建物割合%(#3)=(100-#2)」の列は,戸建て以外の建物割合を示し,100-上記(#2)の列を計算したもの,「戸建世帯数(#4)=(#1)×(#2)/100」の列は,上記(#1)に戸建率(#2)を掛け算して100で除算したもので,1戸建ての世帯数の推定値であり,「その他の世帯数(#5)=(#1)×(#3)/100」(以下(#4)という)の列は,(#1)と(#3)を掛け算して100で除算する計算したものであり,1戸建て以外の世帯数の推定値(以下(#5)という)である。「犬の登録頭数(R3年)(#6)」の列は,図10の元文献の内容を転記したものである。これらの列を都道府県別に記載している。
【0221】
ここで,年度の誤差を無視し,現在でも同じ値であると仮定すれば,上記式1と同様に,各47都道府県について,戸建ペット飼育率X1,集合住宅ペット飼育率X2に関し,(#4)の値×X1+(#5)の値×X2=(#6)の式が成り立つ。各47都道府県についてその左辺と右辺の2乗誤差の合計が最も小さなX1,X2を計算して,全国平均的なX1,X2を計算するため,回帰分析を行う。例えば,Excel2019において,「回帰分析ツール」を(ファイル)→(オプション)→(ソルバーアドイン)で有効にしたうえで,(データタブ)→(データ分析)→(回帰分析)を選択し,「入力X範囲(X)」を上記(#4),(#5)の2列,「入力Y範囲(Y)」を上記(#6)の一列にして,分析を実行する。
【0222】
以上の解析により,図17のような分析が得られ,戸建ペット飼育率(上記X1)の全国平均は,「X値1」にあるように0.1785289,集合住宅ペット飼育率のそれ(上記X2)は「X値2」にあるように0.035531となり,上記α=X1/X2=5.0246となる。ここで図17に示す「有意F」は「回帰分析に使用した説明変数の組み合わせに意味はない」という確率を表すものとされているところ(「回帰分析とは?目的やExcelでのやり方までわかりやすく解説!」データビズラボ株式会社(https://data-viz-lab.com/regression-analysis)参照),F=1.87E-36とかなり小さく,以上の分析は的を得ていることが分かる。
【0223】
大阪府を例にとると,このX1=α×X2の値を上記「式1」に代入すれば,大阪府内の平均的な戸建ペット飼育率X1,集合住宅ペット飼育率X2の推定値を得ることができ,X1=0.1646,X2=0.0328となる。この値を,図10に示すような入力フォームに入力することができる。
【0224】
なお,上記図10図12図15で利用した統計は一例であり,最新の統計データないし,分析対象の期間に最も近い時期のデータを適用するのが好ましい。また,これらのデータを定義ファイルとして用意し,売上分析プログラム27に読み込ませたり,ウェブスクレイビングにより,最新のデータを取得したりすれば,ユーザーによる入力がなくても,プログラムの実行により入力することが可能になる場合もある。
【0225】
次に,図18図22を用いて,第7実施形態に係る売上予測プログラムについて説明する。図18は,当該プログラム周辺のシステム全体の構成の例を表している。この実施形態では,浴室施設1C(既に運用されている別のペット用浴室施設,以下「参照施設1C」という)が存在し,これから建設予定ないし営業予定の浴室施設1Bを想定し,売上予測プログラム28が浴室施設1Bを対象にして,売上予測を行う。ここで,当該浴室施設1Bには,未だ建物もない建設予定地をも含むものとし,以下この施設を適宜「予測対象の施設1B」という)。
【0226】
図18のうち,予測対象の施設1B以外については,第1実施形態とほぼ同じ役割であり,第1実施形態の説明を流用する。また,この実施形態では,参照施設1Cの分析結果を,予測対象の施設1Bに類推して利用するので,第1~第6実施形態で示した分析方法,プログラムを参照施設1Cについて適用し,その分析結果の一部を利用する。さらに,予測対象の施設1Bについても,圏内想定飼育頭数を入力するが,その際にも以上の実施形態の手法やプログラムを流用できる。
【0227】
図19は,第7実施形態に係る売上予測プログラム28のフローを示す。
【0228】
ステップ280では,参照施設1Cのデータのうち,どの期間のデータを参照するかについて,その期間を入力する(この期間を「参照期間S6」とする。上記(7)の発明の「参照期間S3」に相当する。)。ここで入力する時期は,長さと期間の初め,期間のはじめと終わりなど2つの定数で設定されるが,参照施設の営業開始後の相対的な時期を入力するようにしてもよい(後述の図20図21,並びに後述実施形態の図26又は図28のステップ280’及びステップ28400参照。)。
【0229】
ステップ281では,予測対象の施設1Bから所定範囲内で飼育されていると推定される頭数である,予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数(BrNmInRg1とする)を入力する。この値は,上記(7)の発明の「売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数D1」に相当する)。
【0230】
ステップ282では,参照施設から所定範囲内で飼育されていると推定される頭数である,参照施設周辺の圏内想定飼育頭数(値を「BrNmInRg2」とする)を入力する(参照施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg2は,上記(7)の発明の「参照施設周辺の圏内想定飼育頭数D2」に相当する)。
【0231】
ここで,ステップ281,ステップ282において圏内想定飼育頭数BrNmInRg1,BrNmInRg2で設定する各々の圏内(所定範囲)は,これらの施設から互いに同じ距離範囲とする必要があり予め定めておく。例えば,予測対象の施設1Bから5kmの圏内の売上予測をする場合には,いずれも,BrNmInRg1,BrNmInRg2とも5kmの圏内の圏内想定飼育頭数を入力する。この範囲の半径は,それぞれ(7)の発明の「所定距離L2」に相当する。
【0232】
また,参照施設1Cの圏内想定飼育頭数の計算方法としては,いずれも,第1~第6実施形態で示した分析方法を利用できる。また,予測対象の施設1Bについても,圏内想定飼育頭数について,以上で説明した「浴室施設1A」の設置場所を「予測対象の施設1B」の設置場所に置き換えて,第1~第6実施形態で示した方法を用いて推定することができる。圏内想定飼育頭数は,どれぐらいのペット数がその圏内に居ると想定できるかという指標になるので,その場所で運営を開始していなくても,推定することができるからである。
【0233】
例えば,圏内想定飼育頭数の計算方法として,第1実施形態のように,世帯数×ペット飼育率という計算方法を取る場合にはペット飼育率として,第1実施形態のようにアンケートを得る方法のほか,犬に関し,第4実施形態の方法を利用できる。第4実施形態を利用する場合,奈良登美ヶ丘の参照施設を例にとると,図16の奈良県のデータを参照し,5万6400頭を60万7397世帯で割って,参照施設周辺のペット飼育率を0.0929とすることもできる。また,愛知県岡崎市の予測対象の施設を例にとると,図15を参照し,43万1908頭を,342万1030世帯で割って,予測対象の施設周辺のペット飼育率を0.1263とすることもできる。
【0234】
ステップ283では,1回あたりの利用単価(値を「UNPR2」とする)を入力する(この値は,上記(7)の発明の「利用単価P」に相当する)。ここでは,曜日や時間によって利用単価を異ならせる場合,日,週又は月で平均した,平均単価を入力してもよい。この平均単価は上記(7)の平均単価AvPに相当する。
【0235】
ステップ2840では,店舗データベース24の中から上記参照施設の予約情報かつ対象期間内に該当するデータを抽出する。
ステップ2842では,参照施設から所定距離範囲内,所定期間内についての圏内利用件数(値を「NumTmsUseInRg2」とする)を集計する(この値は,上記(7)の発明の「参照施設の圏内利用件数C2」に相当する)。
【0236】
これらのステップ2840,ステップ2842は,既存の施設1Aに関する売上分析プログラム27の図6のフローのステップ2740,ステップ2742とほぼ同じ処理であるので,既存の施設1Aを参照施設1Cに置き換えて,その説明を流用する。
【0237】
ここで,参照施設1Cのデータから抽出する上記参照期間S6(ステップ280)について言及すると,売上の推移は,浴室施設1Cの周辺住民への認知度の浸透や開業からの時間経過と相関があると考えられるから,売上予測においては,開業からの経過時期における売上予測が重要である。そこで,他の店舗を参照する場合,その既存店舗における,開業からの同じ経過時期を参照するのが好ましい。例えば参照施設の開業日が2022年10月始めとし,開業から1ヶ月~2か月目の売上を予測する場合,参照施設1Cの店舗データベース24に記録された「(x)開業日」のフィールドを基に,2022年11始め~11月終わりといった絶対的な期間を割り出し,その対象期間について,図6ステップ2740と同様の抽出を行う。なお,上記ステップ2840で設定する対象期間は,上記(7)の発明の「参照期間S3」に相当する。予測対象の施設1Bにおいて予測対象とする期間を設定し,参照施設1Cにおいて設定する上記対象期間として,開業からの同じ経過時期を参照する構成は,上記(12)の発明の「運営開始後の経過期間に基づく予測対象期間S5と対応する期間」を設定することに相当する。
【0238】
ステップ285では,(予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg1×参照施設の圏内利用件数NumTmsUseInRg2×利用単価UnPr2/参照施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg2)を計算する。この計算値が,予測対象の施設1Bから所定範囲内での売上予測値となり,この計算式は,(7)の発明の「圏内売上予測値の計算式」に相当する。
【0239】
この圏内売上予測値の計算式の意義について説明すると,予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg1は,その施設利用者の見込客がペットを飼っている者ということを考慮したうえで,その施設周辺の見込客を最大限見積もったものとなっている。また,参照施設の圏内利用件数NumTmsUseInRg2/参照施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg2は,参照施設における圏内想定飼育頭数に対する利用率(値を「NumTmsUsePerBrNmInRg2」とする。図7のステップ2773の説明参照)となっている。ここで,参照施設における圏内想定飼育頭数に対する利用率NumTmsUsePerBrNmInRg2は,所定期間内に,参照施設周囲の圏内想定飼育頭数に対して,どの程度の割合で利用件数が見込めるかを示す指標である。それゆえ,設置予定地の最大限の見込客に対し,本件と同様の施設でしかも実績のある施設について,当該利用率を予測対象の施設に類推し,これを掛け算することで,現実にどの程度の利用件数が見込めるかを,推定するものとなっている。売上予測プログラム28は,これに利用単価を掛け算することで,売上を推定する。
【0240】
なお,利用単価を時間や曜日によって異ならせる場合には,利用件数と積の部分(参照施設の圏内利用件数NumTmsUseInRg2×利用単価UnPr2)について,異なる単価の時間ごとに,利用件数を集積して,加算してもよい。この計算の方法は,上記(7)の発明の「相当単価AvP’」による計算に相当する。
【0241】
図20図21を用いて,売上予測プログラム28の売上予測に係る入力フォームの例を示す。図20図21は,いずれも,売上予測に必要な情報の入力を受け付ける入力フォームの例である。この売上予測においては,参照施設1Cのみならず,予測対象の施設1Bについても,圏内想定飼育頭数を推定するので,図8ないし図10と同様の入力フォームを2種類表示して,各情報の入力を受け付けるようにするのが好ましい。
【0242】
図20の例は,第1,第3,第4実施形態のように,施設周辺の圏内世帯数と施設周辺のペット飼育率の掛け算の計算で,予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数,参照施設周辺の圏内想定飼育頭数を求めるのに都合がよい入力フォームとなっている。
【0243】
図20に関し,売上予測対象の店舗については,「出店候補地」の地域を選択できるように,例えば逆三角形のトグルで示すのが好ましい。これにより,その出店候補地に対して,「店舗が設置される地域における世帯1戸当たりの飼育頭数」(即ちペット飼育率)の調査を実施したアンケート結果や第2~第5実施形態で示した計算の結果がある場合には,次回以降は「出店候補地」の地域を選択することで,予め設定したその地域のアンケート結果や,計算結果が反映されるようにするのが好ましい。
【0244】
また,「対象店舗」の欄については,トグルによる店舗選択だけではなく,同じ欄に,直接に,「・・・店(仮)」などの店舗名称を入力するようにしたり,別のフォームで,店舗名称を入力するようにしたりしてもよい。また,参照店舗1Cについては,「参照店舗,時期の指定」の入力フォームを追加するのが好ましい。これにより,売上予測において,ほかの店舗の実績を反映,類推させるにあたり,どの店舗を選択するかの入力を受け付ける。また,「時期」の指定を,例えば,逆三角形のトグルにより,受け付けてもよい。
【0245】
「店舗設置場所の緯度」,「店舗設置場所の経度」の欄には,売上予測プログラム28の使用者が,売上予測対象の店舗の緯度,経度を,グーグルマップ等で調べて入力する。アプリケーションにより,後述の「上記店舗周辺の圏内世帯数」を自動入力したり,その店舗の開設後に圏内利用件数(図6ステップ2742参照)を分析したりするのに資する。
【0246】
「上記店舗から一定距離範囲内の住宅の世帯数(上記店舗周辺の圏内世帯数)」には,上記マケプラなどのソフトウェアを用いたり,含まれる各市町村の面積から行政庁発表の世帯数を比例計算して概算したりして,入力する。例えば,距離範囲を,5km,10kmなどに設定して入力する。
【0247】
「上記店舗が設置される地域の世帯1戸当たりのペットの飼育頭数(上記店舗周辺のペット飼育率)」の欄には,アンケートや第3,第4実施形態の手法により得られたペット飼育率を入力する。例えば,第4実施形態により,愛知県の犬の登録件数43万1908/世帯数342万1034=0.126を入力できる。
【0248】
この様に入力した場合,5km圏内では,売上予測対象の店舗周辺の圏内想定飼育頭数は,5km圏内の例の場合,50万×0.126=6.3万頭となる。
【0249】
「1回利用当たりの単価(円)」の欄では,上記利用単価の入力を受け付ける。金額が時間,曜日等により異なる場合には,平均的な単価を入力したり,単価と曜日,時間のセットを受け付けて合計できるようにしてもよい。かかる合計をするためには,その時間の条件ごとに,参照施設のデータを収集して参照するようにする。これらの入力手段は,上記(7)の発明のステップdに相当する。
【0250】
「参照店舗・・・の指定」については,売上実績のデータを参照する店舗(参照施設1C)を指定する。ここでは,参照店舗である「河内花園店」に関し,営業開始後から1か月後までの期間を指定する例を示す。このように指定して,「参照店舗」の売上実績を参照した場合,「売上予測対象の店舗」の営業開始後から1か月後までの期間の売上を反映して推定することが期待できる。その他,参照施設に関する他の項目は,以上の説明と同様であり,同様に入力する。図20の例による圏内想定飼育頭数の算出例は,上記(8)又は(9)の発明に相当する。
【0251】
なお,この実施形態では,図8と異なり,予測対象の施設1Bに関し期間指定の項目を設けていないが,未だ未来のデータがないこともあり,必ずしも,指定を要しない。もっとも,上記の通り,例えば,参照店舗の営業開始後1ヶ月~2か月の時期のデータを選択した場合,予測対象の施設の営業開始後1ヶ月~2か月の時期の売上状況を,より適切に類推することが期待できる。
【0252】
図21の例は,第2,第5,第6実施形態のように,圏内戸建世帯数×戸建飼育率+圏内集合住宅世帯数×集合住宅飼育率の計算によって,予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数,参照施設周辺の圏内想定飼育頭数を求めるのに都合がよい入力フォームとなっている。その入力方法,計算方法については,それぞれの施設に関し,いずれもこれらの実施形態と同様であり,それ以外の点は,図20と同様であり,その説明を流用する。図21の例による圏内想定飼育頭数の算出例は,上記(10)又は(11)の発明に相当する。
【0253】
図22を用いて,売上予測の結果を表示する例について説明する。図22はかかる例を示したものである。この例では,「参照店舗」即ち参照施設として,図9に示す学研奈良登美ヶ丘店のデータを参照し,「対象店舗」の売上予測を行う。図20で示したフローチャートに示した売上予測及びその過程で計算する値について,「売上予測対象の店舗からの距離範囲」(即ち予測対象の施設1Bからの距離)を,複数に設定して,予測結果を表示する。この例では5km,10kmを設定している。
【0254】
図22の「売上予測対象の店舗周辺の圏内想定飼育頭数」の欄については,図20又は図21などのフォームにより,予測対象の施設1Bの圏内世帯数を入力したり,緯度,経度の入力に基づいてアプリケーションインターフェースを実行したりして,圏内世帯数を計算し,第1~第6実施形態の方法で圏内想定飼育頭数を求める。これを売上予測対象の施設(店舗)からの距離範囲(ここで,浴室施設からの距離範囲を「距離圏内」という)につき,計算し,表示する。この時売上予測プログラム28にその値を入力している(図19のステップ281)。以下の表示項目の値も同様に入力を行う。
【0255】
「参照店舗周辺の圏内想定飼育頭数」の欄についても,図20又は図21などのフォームにより,参照店舗(参照施設)の圏内世帯数をキーボードや計算により入力し,第1~第6実施形態の方法で圏内想定飼育頭数を求める。この時,例えば,5kmの売り上げを予測する場合には,同じく5kmの圏内について,参照店舗周辺の圏内想定飼育頭数を入力ないし計算して,表示する。上記各距離圏内(5km圏内,10km圏内)につき,参照店舗周辺の圏内想定飼育頭数を,入力ないし計算して,表示する。この時,売上予測プログラム28にその値を入力している(図19のステップ282)。
【0256】
「参照店舗の所定期間内の圏内利用件数」の欄には,この例では,開業1か月目即ち,開業日から1ヶ月経過までの売上を予測するので,参照施設1Cの,同じく開業日から1ヶ月経過までの利用件数のデータを抽出するのが好ましい(図19のステップ2840)。この例では,各距離圏内(5km,10kmの範囲内)の住所地の利用者に合致する利用件数を集計する(図19のステップ2842)。5km圏内の利用者による利用の売上予測をするのであれば,参照店舗の同じく5km圏内の圏内利用件数を参照し,10km圏内の利用者による利用の予測をするのであれば,参照施設の同じく10km圏内の圏内利用件数を参照する。
【0257】
「参照店舗の圏内想定飼育頭数に対する利用率」の欄には,各距離圏内につき,「参照店舗の所定期間内の圏内利用件数」の値/「参照店舗周辺の圏内想定飼育頭数」の値のデータを参照し,計算して表示する(図19のステップ285の圏内売上予測値の計算式の一部分)。例えば5km圏内では,53件を12,000頭で割って,0.596%を表示する。なお,この例では,既存の学研奈良登美ヶ丘店のデータ(図9)を参照するので,その解析結果が既にあれば,そのデータ「0.0596件/頭数」を転記してもよい。
【0258】
「利用回数の予測」の欄には,「売上予測対象の店舗周辺の圏内想定飼育頭数」に上記「参照店舗における圏内想定飼育頭数に対する利用率」を掛けた値を表示する(図19のステップ285の圏内売上予測値の計算式の一部分)。
【0259】
「予測売上」の欄には,「利用回数の予測」の値に図20図21で入力した利用単価(もしくは上記平均単価,相当単価)を掛け算した値を表示する(図19のステップ286)。5km圏内では,71回に利用単価3000円をかけて,213,000円となる。
【0260】
図22の右欄には,商圏の距離に関わらず,売上予測の対象となる対象店舗(浴室施設1B)の,対象期間(この例では「開業1か月目」)における全売上の予測値を記載する。その計算方法としては,例えば,参照する参照店舗の所定期間中の10km圏内での売上実績値と,同店舗の所定期間中の全売上との比例計算により行う。10kmとの比例計算を採用したのは,設定した距離圏内(5km,10km)のうち最大の値であって,浴室施設の大半の利用者が含まれると予想され,それゆえ,それを超える距離範囲については,その最大圏内の値を基に,推定すれば誤差が少なく,好ましいからである。例えば図9の学研奈良登美ヶ丘店のデータを参照すると,その10km圏内の売上が228,000円であるに対し,期間中総売上が270,000円であるので,図22に示す10km圏内での予測値225,000円×270,000円/228,000円=266,447円とする。
【0261】
また,売上の代わりに,最大距離圏内の10kmについての圏内利用件数の比率をかけて計算しても同額になる。即ち,図9の例を参照すれば,
図22に示す10km圏内での予測値225,000円)
×(図9の期間内総件数90件)/(図9の10kmの圏内利用件数76件)=266,447円となり,同額となる。
【0262】
「売上構成予想」の欄には,左の欄の5km圏内,10km圏内に関し,売上構成予想を表示する。例えば,5km圏内では,5km圏内の売上の予測値213,000円を総売上の予測値266,447円で割って,80%を計算で得て,これを表示する。10km圏内については,上記の通り,全売上の予測値を(予測対象の施設1Bからの距離とした10km圏内について,参照する参照施設1Aの実績値)と,同店舗の所定期間中の全売上との比例計算により行う関係で,売上構成予想の10kmの部分は,参照施設1Cの割合を流用する。この例では,図9に示す10kmの売上構成の84%を表示する。
【0263】
図22下の「予測結果を保存する」の欄の下には,売上予測の結果のファイルを複数表示し,このファイルを呼び出して表示するようにしてもよい。
【0264】
次に,図23図25を用いて,第8実施形態に係る売上予測プログラムについて説明する。図23は,図22とは異なる売上予測結果の表示の例である。本実施形態は,予測の計算方法と,表示方法が異なる以外は,第7実施形態に係る売上予測と同じであるので,以上の説明を流用する。
【0265】
図23に示すように,本実施形態では,図22の例とは異なり,「参照店舗における圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率」,「アクティブ会員数の予測(参照店舗のデータに基づく)」,「参照店舗における圏内利用者1人当たりの利用率」を用いる点が異なる。
【0266】
「参照店舗における圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率」は,参照店舗における圏内アクティブ会員数(図6ステップ2741,図9の説明参照)を,参照店舗周辺の圏内想定飼育頭数で割った値である(図7のステップ2762参照)。この例では図9に示す店舗を参照店舗とするので,5km圏内の例では,圏内アクティブ会員数50人を圏内想定飼育頭数8893頭で割り,0.56%となる。この値は,ペットを所持する客層の特性を踏まえた最大見込み客数である圏内想定飼育頭数に対し,どの程度,現実に利用する客層が現れるかを示す。
【0267】
「アクティブ会員数の予測」の欄は,予測対象の施設1B周辺の圏内想定飼育頭数(5km圏内では12,000頭)に参照施設の「圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率」(5km圏内では上記0.56%)を掛けた値(67人)となる。
【0268】
「参照店舗における圏内利用者1人当たりの利用率」は,参照店舗(施設)の圏内利用件数(図9の説明参照)を,圏内アクティブ会員数で割った値であり,参照施設1Cを,所定期間内に所定圏内で1回以上利用したアクティブ会員が,平均何回利用したのかを表すものである。この例では図9記載の施設を参照施設とするので,図9の説明の通り,5km圏内の例では,53件/50人=1.06回となる。
【0269】
「利用件数の予測」欄には,「アクティブ会員数の予測」欄の値×「参照店舗における圏内利用者1人当たりの利用率」の値を表示する。5km圏内の例では,67人×1.06=71件(71回)になる。この推定値は,第7実施形態の値と同じである。予想利用件数71件×単価3000円(図23の入力フォーム参照)=213,000円が,売上高の予想になり,この値を表示している。「予測売上」の欄には,「利用件数の予測」の値に図20図21で入力した利用単価(もしくは上記平均単価,相当単価)を掛け算した値を表示する(図19のステップ286)。
【0270】
「圏内アクティブ会員率(圏内登録会員数に対する)」の欄には,参照施設のデータを参照し,圏内アクティブ会員数ActMbInRgを圏内登録会員数で割った値を掲載する。この例では,参照店舗を「学研奈良登美ヶ丘店」とし,参照施設1Cのデータ(図9)を流用し,5km圏内につき,28%,10km圏内につき27%を表示する。
【0271】
「上記予測売上を達成するのに,圏内で必要な登録会員数の予測」の欄には,アクティブ会員数の予測欄の値を,上記「圏内アクティブ会員率(圏内登録会員数に対する)」で割って,上記予測売上を達成するのに,圏内で必要と想定される登録会員数を計算する。例えば,10km圏内では,「アクティブ会員数の予測」欄の68人を,27%「圏内アクティブ会員率(圏内登録会員数に対する)」欄の28%(=0.28)で割って,251人必要であると想定される。
【0272】
なお,上記で参照する参照施設の圏内登録会員数については,上記参照期間S6の終期までに会員登録された,参照施設から所定距離範囲内の住所地の会員の数を,図6ステップ273で説明した方法で,集計することにより得る。
【0273】
右欄の「参考:会員数目標」の欄には,「総売上予想」に記載の額を達成するには,どれぐらいの登録会員数が,売上予測対象の施設の周辺に必要かを示す。計算方法としては,まず,参照施設1Cのデータの内から,最大の距離範囲として設定した10kmのデータを参照する。この例では,「上記予測売上を達成するのに,圏内で必要な登録会員数の予測」欄の値は,上記251人となる。そして,この251人を,その10kmの売上構成予想の84%(=0.84)で逆算し,10km圏外周辺に必要な,登録会員数を推定する。この例では,251人/0.84=300人となる。この例の「84%」は,図9で示した参照施設1Cの最大距離10kmに関する売上構成比率であり,これを流用する。ここで,本実施形態では,浴室施設の会員登録時に特定の利用店舗を紐づけるものではなく,登録されたからといって必ずその特定店舗を利用する見込みがあるではないが,上記最大距離10km圏の周辺に,およそどの程度の会員の登録が必要かの見通しや目標を示すことができる。
【0274】
なお,図2図2の総売上予想は,上記(15)の発明の「期間内総利用件数の予測値EU」に相当し,これらの図の「売上構成予想」は,当該(15)の発明の「前記期間内総利用件数の予測値EUとの比率」に相当する。
【0275】
図24図25は,第8実施形態に係る売上予測プログラム28のフローの例を示す。図24,25は一連のフローを分割したものである。
ステップ280からステップ283まで,及びステップ2840,ステップ2842は,第7実施形態の図19と同じであるので,以上の説明を流用する。また,ステップ2840~ステップ2842の計算方法は,既存の施設に関する分析である図6のステップ2740~ステップ2742と同じであるのでその説明を流用する。
【0276】
ステップ2841では,ステップ2840で抽出したデータのうち,参照施設について,所定距離範囲内かつ対象期間内に,1回以上参照施設1Cを利用した会員数(値を「ActMbInRg2」とする)を集計する。この会員数は,上記「参照施設の圏内アクティブ会員数」に該当する。
【0277】
ステップ2843では,参照施設の圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員平均加入率(値を「ActMbPerBrNmInRg2」とする)を計算する。この計算は,参照施設のアクティブ会員数を圏内想定飼育頭数で割り算して求める。既存の浴室施設の売上分析に係る図7のステップ2762と同様である。
【0278】
ステップ2844では,参照施設における圏内利用者1人当たりの利用率,即ち,圏内アクティブ会員1人当たりの平均利用件数を計算する(値をNumTmsUsePerActMbInRg2とする)。圏内利用件数NumTmsUseInRg2を,圏内アクティブ会員数ActMbInRg2で割り算して求める。既存の浴室施設の売上分析に係る図7のステップ2772と同様である。
【0279】
図25では,ステップ2851と,ステップ2852~2854を2つに分岐して書いているところ,これら2つの分岐は,1回で計算するか,順繰り掛け算を計算するかの違いであって,同じ売上予測値を計算することになる。
ステップ2851では,以上のステップで計算した値に基づいて,
売上予測値
=(売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg1(図24ステップ281参照))
×(参照施設の圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率ActMbPerBrNmInRg2(図24ステップ2843参照))
×(参照施設の利用者1人当たりの利用率NumTmsUsePerActMbInRg2(図24ステップ2844参照))
×(利用単価UnPr2(図20図21参照))
の計算式により,売上予測値を計算する。
【0280】
ステップ2852では,
アクティブ会員数の予測値=
(売上予測対象の施設1Bの圏内想定飼育頭数BrNmInRg1)×
(参照施設の圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率ActMbPerBrNmInRg2)
の計算により,当該予測値を計算する。
【0281】
ステップ2853では,
圏内利用件数の予測値(EtNumUsInRgとする(Estimated Number of Times of Use in the Region))
=(アクティブ会員数の予測値)×(参照施設の圏内利用者1人当たりの利用率)
の計算により,売上予測対象の施設において,所定の距離圏内で,どれだけの利用件数が見込めるかを計算する。
【0282】
ステップ2854では,
売上予測値=
(予想利用件数EtNumUsInRg(ステップ2853))
×(利用単価UnPr2)
の計算により,所定距離商圏内かつ営業開始から所定期間経過後の予想売上値を計算する。
【0283】
ここで,本実施形態の売上予測プログラムの意義について説明すると,図23による計算方法は,ステップ2852~ステップ2854をたどる計算となるが,それは,上記の通り,図25のステップ2851の計算と等価になり,しかも,以下の通り,第7実施形態の売上予測値と等価になる。
即ち,本実施形態では,売上予測値
=「売上予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数」(BrNmInRg1)
×「参照施設における圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率」(ActMbPerBrNmInRg2とする)
×「参照施設におけるの圏内利用者1人当たりの利用率」(NumTmsUsePerActMbInRg2とする)
となるところ,その計算のうち,
「参照施設における圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率」(ActMbPerBrNmInRg2)
×「参照施設におけるの圏内利用者1人当たりの利用率」(NumTmsUsePerActMbInRg2)の部分は,
(「参照施設の圏内アクティブ会員数」/「参照施設の圏内想定飼育頭数」)
×(「参照施設の圏内利用件数」/「参照施設の圏内アクティブ会員数」)
=「参照施設の圏内利用件数」/「参照施設の圏内想定飼育頭数」=「参照施設の圏内想定飼育頭数に対する利用率」となり,結果的に図22(ないし図19のフロー)と同じ計算により,利用件数や利用売上を計算していることになる。もっとも,この第8実施形態の構成は,後述の複数の参照施設を利用して,データを豊富にし,平均化する,後述の第10実施形態の構成の土台となるので,ここで説明している。
【0284】
ここで,以上の通り第7,第8実施形態により売上予測をすることのメリットについて説明する。設置予定地の圏内想定飼育頭BrNmInRg1は,現実的な顧客を最大限見積もった値であるところ,設置予定地の圏内想定飼育頭数BrNmInRg1を掛け算することで,設置予定地の宅地の人口密度を反映できる。未だ営業を開始していない地域では,どれぐらいの頻度で浴室施設1Cの利用があるかは全く不明であるが,飼育頭数1頭当たり,どれぐらいの利用頻度があるのかを示す,上記参照施設における圏内想定飼育頭数に対する利用率NumTmsUsePerBrNmInRg2を,他の既存の参照施設の実績値を用いて類推することで,当該利用頻度の推定をすることが可能になる。
【0285】
次に図26,27を用いて,第9実施形態に係る売上予測プログラム28について説明する。この実施形態では,既存の参照施設1Cが複数ある場合に,参照施設1Cのデータを平均化して,参照する。図26は,本実施形態の売上予測プログラム28のフローを表している。売上予測プログラム28を動かす環境については,第7実施形態と同じであり,ステップ281,ステップ283,ステップ282,ステップ2840,ステップ2842は,1つの参照施設に関して,図19のフローと動作内容が同じであるので,以上の説明を流用し,第7実施形態に係る図19との違いを中心に説明する。
【0286】
ステップ280’では,ステップ280に代えて,売上予測対象の施設において,売上の予測の対象とする所定期間(「予測対象期間S7」とする)を入力する。この入力では,営業開始日を基準とした相対的な値を入力するものとし,例えば,営業開始後,1か月後から2か月後までの時期を入力する。なお,予測対象期間S7は,上記(13)で引用する上記(12)の発明のステップc0の予測対象期間S5に相当する。
【0287】
ステップ281では,予測対象の施設から所定の距離範囲(L3とする)を設定したうえで,その範囲に存在すると想定される圏内想定飼育頭数を,入力する。この入力方法としては,第1~第6実施形態で説明した手法を利用できる。
【0288】
参照施設が複数存在する場合,ステップ282,ステップ28400,ステップ2840,ステップ2842,ステップ2845を,各参照施設について繰り返す。
【0289】
ステップ282では,参照施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg2を入力する。この入力方法としては,第1~第6実施形態で説明した手法を利用できる。当該圏内想定飼育頭数で設定する所定距離範囲としては,いずれの参照施設とも,上記ステップ281で売上予測対象の施設1Bに関し設定した距離範囲L3と同じ距離範囲に設定する。
【0290】
ステップ28400では,第7実施形態の図19と異なり,各参照施設において参照するデータの参照期間(この期間を「参照期間S6’」とする)を,予測対象期間S7に基づいて設定する。即ち,参照施設の予約情報のデータのうち,後述のステップ2840で参照施設に関し予約情報のデータを抽出するのに設定する所定期間について,ステップ280’で設定した売上予測対象の施設において設定した期間S7に対応する参照期間S6’を設定する。例えば,ステップ280で営業開始日を基準として,1か月~2か月後などとする相対的な予測対象期間S7を設定した場合,各参照施設で参照するデータも,同じく,各参照施設のそれぞれの過去の営業開始日を基準として,1か月~2か月後の期間を設定する。この参照期間S6’を設定するステップ28400は,上記(13)の発明の「ステップc1」に相当する。参照期間S6’は,上記(13)の発明の「参照期間S3’」に相当する。
【0291】
ステップ2840,ステップ2842では,各参照施設について,所定距離範囲内かつ対象期間内に参照施設1Cを利用した件数である,圏内利用件数NumTmsUseInRg2を集計することを繰り返す。ここで設定する距離範囲も上記ステップ281で設定した距離範囲L3とし,参照施設の利用者の住所地がこの範囲内にあるものを集計する。参照施設に関し予約情報のデータを抽出するのに設定する参照期間S6については,上記ステップ28400で設定した上記参照期間S6’とし,これに対応する圏内利用件数を集計する。これにより,営業開始日以後の施設の認知の推移の実績を,正確に参照でき,複数施設のデータを参照することで,より推定の精度が高まると期待できる。
【0292】
ステップ2845では,参照施設1Cの圏内想定飼育頭数に対する利用率NumTmsUsePerBrNmInRg2=参照施設の圏内利用件数NumTmsUseInRg2/参照施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg2を各参照施設について計算する。
【0293】
図27のステップ2855では,ステップ2851で各参照施設について計算した圏内想定飼育頭数に対する利用率を合計し,その参照施設の数で割って,その平均値である圏内想定飼育頭数に対する利用率の平均値(AvgNumTmsUsePerBrNmInRg(Average of NumTmsUsePerBrNmInRg)とする)を計算する。
【0294】
ステップ2856では,図19のステップ285の計算式のうち,(参照施設の圏内利用件数NumTmsUseInRg2/参照施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg2)の部分,即ち,参照施設の圏内想定飼育頭数に対する利用率NumTmsUsePerBrNmInRg2の代わりに,参照施設の圏内想定飼育頭数に対する利用率の平均値AvgNumTmsUsePerBrNmInRgを掛け算して,売上予測値を計算する。
【0295】
このようにすると,各店舗で参照した絶対的な年月日は異なるものの,売上が開業からの日数ひいては認知度に依存すると考えられるところ,より豊富なデータを得ることができる。第9実施形態の構成は,上記(13)の発明に相当する。
【0296】
なお,以上では,参照施設の圏内想定飼育頭数に対する利用率を単純平均して,平均値AvgNumTmsUsePerBrNmInRgを用いたが,各参照施設の上記「参照施設周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg2」の合計を,各参照施設の上記「参照施設の圏内利用件数NumTmsUseInRg2」の合計で割った値によって,平均化する手法も考えられる。この構成は,上記(13)の発明の(い)の計算に相当する。
【0297】
次に図28図29を用いて,第10実施形態に係る売上予測プログラム28について説明する。本実施形態では,第9実施形態と同様,参照施設1Cが複数ある場合に,参照施設1Cのデータを平均化して,参照する。図28図29は,本実施形態の売上予測プログラム28のフローを表している。売上予測プログラム28を動かす環境については,第7,第8実施形態と同じであり,ステップ280’,ステップ281,ステップ283,及びステップ282,ステップ28400,ステップ2840,及びステップ2842は,第9実施形態と同じであり,ステップ2841,ステップ2843,ステップ2844は,1つの参照施設に関して,第8実施形態に係る図24図25のフローと動作内容が同じであるので,以上の説明を流用し,第8実施形態との違いを中心に説明する。
【0298】
この実施形態についても,第9実施形態と同様,ステップ280’で予約対象期間を設定し,ステップ2840で予約対象期間S7に対する各参照施設の参照期間S6’を設定し,その期間について,予約情報の抽出を行う。これにより,開業からの日数,認知度の推移に基づいた,適切でより豊富なデータを得ることができる。
【0299】
ステップ2840~ステップ2844は,第8実施形態の図24と同じであるが,複数の参照施設について,ステップ2840で設定した各参照施設の参照期間を設定し,参照施設すべてについて繰り返す。
【0300】
ステップ28513では,第8実施形態のステップ2851と異なり,各参照施設の平均値を用いる点が異なる。そこで,まず,ステップ28511で,各参照施設についての,圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率についての平均値AvgActMbPerBrNmInRgを計算する。具体的には,各参照施設について計算した圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率ActMbPerBrNmInRg2(図24ステップ2843参照)を合計し,それを参照施設の数で割る計算をする。
【0301】
ステップ28512で,各参照施設における圏内利用者1人当たりの利用率についての平均値AvgNumTmsUsePerActMbInRgを計算する。具体的には,各参照施設について計算したNumTmsUsePerActMbInRg2(図24ステップ2844参照)を合計し,それを参照施設の数で割る計算をする。
【0302】
ステップ28513では,
(設置予定地周辺の圏内想定飼育頭数BrNmInRg1)×
(参照施設の圏内想定飼育頭数に対するアクティブ会員加入率の,
各参照施設の平均値AvgActMbPerBrNmInRg)×
(参照施設における圏内利用者1人当たりの利用率の,各参照施設の平均値AvgNumTmsUsePerActMbInRg)×
×(利用単価UnPr2)
の計算式により,予測売上を計算する。
【0303】
ここで,各参照施設の平均値AvgActMbPerBrNmInRgは,上記(14)の発明の「平均値AvG2」に該当する。参照施設における圏内利用者1人当たりの利用率の,各参照施設の平均値AvgNumTmsUsePerActMbInRgは,上記(14)の発明の「平均値AvH2」に該当する。
【0304】
このようにUsePerBrの掛け算要素を構成する中間的な比率について平均化することで,より的確な平均化を行うことができ,より豊富なデータを用いることで,より正確な推定が期待できる。
【0305】
なお,以上の実施形態において,フローの順序につき,必ずしも同じ順序で実施する必要はなく,順序を異ならせてもよい場合がある。例えば,計算の前提として入力が必要になるが,ある処理が別の処理の前提とするような処理の必要とならない場合には,順序を逆にしてもよい。具体的には,上記課題を解決するための手段で示した,順序の注釈1~4に従って,フローの順序を変えてもよい。四則演算の順序も,順序を交換しても同じ値になる場合には,その演算の順序を交換してもよい。
【符号の説明】
【0306】
1 ペット用浴室施設, 1A 既に運用されているペット用浴室施設,
1B 予測対象の施設, 1C 参照施設,
11a,11b 扉, 111a,111c 電子錠,
112a,112b 受け座(ストライク及びトロヨケ),
113b ラッチボルト, 114b デッドボルト,
115a,115b ドアノブ, 116b 軸,117b 回転方向,
118b テンキー,
12 マスコット, 13 仕切り, 14a,14b バスタブ,
15a,15b ドライヤー台, 16a,16b 空調設備,
17a,17b 吸気口, 18a,18b 換気扇,
19a,19b 防犯カメラ,
2 サーバー,21 利用者登録プログラム, 22 利用予約プログラム,
23 顧客データベース, 24 店舗データベース,
25 住宅データベース, 26 データ集積プログラム,
27 売上分析プログラム, 28 売上予測プログラム
3 スマートフォン, 31 URL用テキストボックス,
32 登録アイコン, 33 ID入力用テキストボックス,
34 パスワード入力用テキストボックス, 35 ログインアイコン,
4 収納会社,5 管理者のパーソナルコンピューター
【要約】
【課題】有償にて時間貸しで提供されるペットの浴室施設に関し,当該施設の利用件数ないし当該施設の利用件数又は利用による売上を分析,予測する手段を提供する
【解決手段】
ペット浴室施設から所定距離範囲内の想定ペット飼育頭数(圏内想定飼育頭数)を,行政公表のペットの登録件数や,当該範囲内の世帯数と世帯1戸当たりのペット飼育率から推定する。ペット浴室施設と,利用者との距離を,予め会員登録された会員の住所地との距離により測定し,既存の施設のその距離圏内の利用頻度(圏内利用件数)を抽出し,圏内想定飼育頭数に対する利用頻度の比率(圏内想定飼育頭数に対する利用率)を求めることにより分析する。予測対象の施設周辺の圏内想定飼育頭数に,既存の施設の当該利用率を掛け算して,予測対象の施設周辺の売上を予測する。
【選択図】図19
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