(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】移動体制御装置及び移動体制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240620BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G05D1/43
G08G1/09 V
(21)【出願番号】P 2023172107
(22)【出願日】2023-10-03
【審査請求日】2023-10-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513087677
【氏名又は名称】PCIソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤戸 寛明
(72)【発明者】
【氏名】島山 求
(72)【発明者】
【氏名】古賀 淳也
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-066381(JP,A)
【文献】特許第7140933(JP,B1)
【文献】特許第7298063(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を走行可能な移動体の移動を制御する移動体制御装置であって、
現実空間を撮像する実カメラによって撮像された画像である現実画像を取得する現実画像取得部と、
前記現実画像中において前記移動体を認識し、前記移動体の前記現実画像上の位置を特定する移動体認識・画像位置特定部と、
所定の仮想平面に配された格子線を有する仮想空間モデルを生成する仮想空間モデル生成部と、
前記仮想空間モデルを仮想カメラによって透視変換して前記格子線を前記格子線の伸長方向から見た仮想画像を生成する仮想画像生成部と、
前記現実画像における前記移動体の位置座標である現実画像位置座標と同一座標の前記仮想画像内の1の点と前記格子線との相対的な位置関係に基づいて前記移動体の前記所定の仮想平面上の仮想位置を特定する現実仮想情報リンク部と、
前記仮想位置と前記所定の仮想平面
に設定された前記移動体の移動の目標地点の位置とに基づいて
、前記所定の仮想平面において前記移動体を前記目標地点まで誘導する誘導制御情報を生成する制御情報生成部と、
を有することを特徴とする移動体制御装置。
【請求項2】
前記現実仮想情報リンク部は、前記仮想画像内の前記1の点の前記仮想画像における上下方向の座標である仮想画像上下方向座標を、前記所定の仮想平面の前記格子線の伸長方向における座標である仮想奥行方向座標に変換する変換曲線を生成し、当該変換曲線及び前記仮想画像上下方向座標に基づいて前記移動体の前記所定の仮想平面における仮想奥行方向座標を算出し、前記仮想画像上下方向座標が前記1の点の座標と同一の前記格子線上の2つの点を特定し、前記1の点と前記2つの点の各々との距離に基づいて、前記移動体の前記所定の仮想平面上の前記格子線と垂直な方向における座標である仮想幅方向座標を特定することを特徴とする請求項1に記載の移動体制御装置。
【請求項3】
前記制御情報生成部は、前記所定の仮想平面において前記移動体の初期位置と現在位置とを結ぶ第1ベクトルと前記移動体の現在位置と前記目標地点とを結ぶ第2ベクトルがなす角度が所定値以下となるように前記移動体を誘導する誘導制御情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の移動体制御装置。
【請求項4】
前記現実仮想情報リンク部は、前記仮想画像において前記移動体を前記目標地点までガイドする仮想グリッドレーンを生成し、
前記制御情報生成部は、前記移動体の前記仮想画像上の位置と前記仮想グリッドレーンとに基づいて前記移動体が前記仮想グリッドレーンから逸脱したか否かを判定し、前記移動体が前記仮想グリッドレーン内を走行している場合には前記誘導制御情報を生成し、前記移動体が前記仮想グリッドレーンから逸脱した場合には前記移動体を前記仮想グリッドレーン内に復帰させる復帰制御情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の移動体制御装置。
【請求項5】
前記現実画像中において道路上を移動する移動体を認識し、前記移動体が移動した移動エリアを特定する移動体認識・移動エリア特定部を有し、
前記現実仮想情報リンク部は、前記移動エリアに基づいて前記仮想グリッドレーンを生成することを特徴とする請求項4に記載の移動体制御装置。
【請求項6】
前記現実画像取得部は、前記移動体の前記仮想奥行方向座標に基づいて前記実カメラを所定の倍率でズームさせた現実画像を取得し、
前記仮想画像生成部は、前記仮想カメラを前記実カメラのズーム倍率に合わせてズームさせることを特徴とする請求項2に記載の移動体制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の移動体制御装置と道路上を走行可能な複数の移動体とを含む移動体制御システムであって、
前記複数の移動体のうちの1の移動体は、他の移動体を撮像する撮像部を備え、前記他の移動体を含む撮像画像を前記移動体制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は、前記1の移動体から送信された前記撮像画像に基づいて前記他の移動体の前記仮想位置を特定し、前記仮想位置と前記所定の仮想平面上の前記他の移動体の移動の目標地点の位置とに基づいて前記他の移動体に対して前記目標地点への誘導制御を行うことを特徴とする移動体制御システム。
【請求項8】
前記移動体制御装置は、前記他の移動体を前記目標地点まで誘導するための誘導制御情報を生成して前記1の移動体に送信し、
前記1の移動体は、前記移動体制御装置から送信された前記誘導制御情報を前記他の移動体に転送することを特徴とする請求項7に記載の移動体制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御装置及び移動体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転制御を行う車両が知られている。例えば、特許文献1には、カメラ、レーダ装置、ライダー、物体認識装置、自動運転制御装置、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機等を備える車両からなる車両システムが開示されている。
【0003】
特許文献1の車両システムにおいては、物体認識装置がカメラ、レーダ装置及びライダーの検出結果に基づいて周囲の物体の位置を認識し、当該認識結果と自車両の現在位置と自車両が到達すべき地点を並べた目標軌道とに基づいて自動運転制御装置が自車両の駆動系の機器を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に開示されているような車両システムを、道路上を自律走行可能な自律走行型ロボットに適用しようとする場合、GNSS電波が届きにくい場所などでは自身の位置推定に誤差が生じやすくなり、目標地点まで正確に到達できなくなってしまうという問題が挙げられる。また、上記したレーダ装置やライダー、高精度なGNSS受信機などは価格が高く、自律走行型ロボットを複数配置するような場合にはコストが嵩むという問題も挙げられる。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、安価な構成で移動体を目標地点に精度よく到達させることが可能な移動体制御装置及び移動体制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による移動体制御装置は、道路上を走行可能な移動体の移動を制御する移動体制御装置であって、現実空間を撮像する実カメラによって撮像された画像である現実画像を取得する現実画像取得部と、現実画像中において移動体を認識し、移動体の現実画像上の位置を特定する移動体認識・画像位置特定部と、所定の仮想平面に配された格子線を有する仮想空間モデルを生成する仮想空間モデル生成部と、仮想空間モデルを仮想カメラによって透視変換して格子線を格子線の伸長方向から見た仮想画像を生成する仮想画像生成部と、現実画像における移動体の位置座標である現実画像位置座標と同一座標の仮想画像内の1の点と格子線との相対的な位置関係に基づいて移動体の所定の仮想平面上の仮想位置を特定する現実仮想情報リンク部と、仮想位置と所定の仮想平面上の移動体の移動の目標地点の位置とに基づいて移動体を目標地点まで誘導する誘導制御情報を生成する制御情報生成部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1に係る移動体制御システムの構成を示す図である。
【
図2】実施例1に係る移動体制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施例1に係る移動体のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施例1に係る移動体制御装置における情報処理部のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施例1に係る移動体制御装置に接続されたカメラによって撮像された撮像画像及び移動体制御装置によって生成される情報重畳画像の一例を示す図である。
【
図6】実施例1に係る移動体制御装置によって生成される仮想空間モデルとそのモデルの撮影態様の一例を示す図である。
【
図7】実施例1に係る移動体制御装置によって生成される仮想画像の一例を示す図である。
【
図8】実施例1に係る移動体制御装置によって仮想平面上の移動体の仮想位置を特定する際のイメージを示す図である。
【
図9】実施例1に係る移動体制御装置によって生成される、仮想画像上のY座標を仮想平面の奥行き方向の座標に変換する変換曲線の一例を示す図である。
【
図10】実施例1に係る移動体制御装置によってなされる移動体を目標地点まで誘導する際の誘導制御の一例を示す図である。
【
図11】実施例1に係る移動体制御装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図12】実施例1に係る移動体制御装置の制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【
図13】実施例1に係る移動体制御装置の制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【
図14】実施例2に係る移動体制御システムの構成を示す図である。
【
図15】実施例2に係る移動体制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】実施例2に係る移動体制御装置によって生成される仮想グリッドレーンの一例を示す図である。
【
図17】実施例2に係る移動体制御装置によってなされる移動体を目標地点まで誘導する際の誘導制御の一例を示す図である。
【
図18】実施例2に係る移動体制御装置の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図19】実施例2に係る移動体制御装置の制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【
図20】実施例2に係る移動体制御装置の制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【
図21】実施例2に係る移動体制御装置における情報処理部のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】実施例2の変形例に係る移動体制御装置によってなされる道路形状の生成態様の一例を示す図である。
【
図23】実施例3に係る移動体制御システムの構成を示す図である。
【
図24】実施例3に係る移動体のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図25】実施例3に係る移動体における情報処理部のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照して具体的に説明する。なお、図面において同一の構成要素については同一の符号を付け、重複する構成要素の説明は省略する。
【実施例1】
【0010】
[システムの構成]
まず、
図1を用いて全体のシステム構成について説明する。
図1は、実施例1に係る移動体制御システム100の構成を示す図である。移動体制御システム100は、
図1に示すように移動体制御装置10と移動体30とを含んで構成される。
【0011】
移動体制御システム100は、例えば、片側二車線の高速道路などにおいて、当該二車線のうちの一車線の一部の区間を清掃や工事、事故後の復旧作業などで車線規制を行う場合に、当該規制区間よりも後方を走行している車両の搭乗者に車線規制が行われている旨を知らせる際に適用され得る。
【0012】
まず、移動体制御装置10について説明する。移動体制御装置10は、道路上を走行する車両V内に搭載されている。車両Vは、例えば、「この先作業中」や「衝突注意」等の文字が表示されたディスプレイを有する標識装置SDが荷台に設けられた標識車である。以下、図中左方向を車両Vの前方として説明する。また、図中上下方向を車両Vの高さ方向として説明する。
【0013】
車両Vにおいて、標識装置SDの上部には、車両Vよりも後方の道路面を含む風景を撮像する実カメラとしてのカメラ12が設けられている。カメラ12は、移動体制御装置10と有線又は無線によって接続されており、撮像した撮像画像を移動体制御装置10に送信可能に構成されている。
【0014】
カメラ12は、移動体制御装置10からの制御信号により上下左右に首振りが可能なカメラである。カメラ12は、例えば、パン(Pan)・チルト(Tilt)・ズーム(Zoom)をそれぞれ行うことが可能なPTZカメラである。
【0015】
次に、移動体30について説明する。移動体30は、道路上を走行可能な2つの車輪を含む走行装置31を備える自走式の小型ロボットである。
【0016】
移動体30の上部には、例えば、ドーム形状を有しかつ継続的又は断続的に赤色や橙色の光を発することが可能な発光体LBが設けられている。発光体LBは、例えば幅及び奥行きが共に200mm、高さが100mm程度の大きさを有する警告灯(パトランプ)である。
【0017】
移動体30は、例えば、車両Vよりも後方の道路上に一定間隔ごとに(例えば数十mごとに)複数台配され得る。道路上に配された複数の移動体30の各々は、発光体LBを発光させることにより、規制区間に向かう車両の搭乗者、例えば車両のドライバーに対してこの先車線規制が行われている旨を知らせることができる。言い換えれば、移動体30は、車線規制区間に車両が入らないよう注意喚起を行う自律走行型のロボットである。
【0018】
移動体制御システム100において、移動体制御装置10と移動体30とは、相互にデータの送受信が可能に接続されている。移動体制御装置10と移動体30との接続は、例えばWi-Fi(登録商標)やWi-SUN(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)等の無線通信によりなされ得る。
【0019】
移動体制御システム100において、移動体制御装置10は、カメラ12によって撮像された撮像画像内において移動体30を認識し、当該撮像画像上における移動体30の位置と仮想空間における仮想平面上の座標系とを用いて移動体30の仮想平面上の位置を特定する。
【0020】
また、移動体制御システム100において、移動体制御装置10は、特定した移動体30の仮想平面上の位置と移動体30の移動の目標地点の位置とに基づいて、移動体30を目標地点まで誘導する誘導制御を実行する。
【0021】
[移動体制御装置の構成]
以下に、
図2を用いて本実施例における移動体制御装置10の構成について説明する。
図2は、移動体制御装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
移動体制御装置10は、上述したカメラ12のほか、車両V内に設けられたタッチパネルディスプレイ13に接続されている。
【0023】
タッチパネルディスプレイ13は、移動体制御装置10の制御に基づいて画面表示を行うディスプレイと、移動体制御装置10の操作者、例えば車両Vの搭乗者からの入力操作を受け付けるタッチパネルとが組み合わされている表示装置である。タッチパネルディスプレイ13には、例えば移動体30との無線通信を確立するための操作や移動体30の移動の目標地点が入力され得る。
【0024】
移動体制御装置10は、システムバス16を介して、情報処理部17と通信部18と入力部19と出力部21と大容量記憶装置22とが協働する装置である。移動体制御システム100において、移動体制御装置10はコンピュータとして機能する。
【0025】
情報処理部17は、CPU(Central Processing Unit)17AやROM(Read Only Memory)17B、RAM(Random Access Memory)17Cを含む処理装置である。情報処理部17においては、CPU17Aが、ROM17Bや後述する大容量記憶装置22に記憶されている各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0026】
通信部18は、情報処理部17の指示に従って外部機器とデータの送受信を行う通信装置である。通信部18は、例えば、ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)である。通信部18は、後述する移動体30の通信部と接続されることによって種々のデータを送受信する。
【0027】
入力部19は、移動体制御装置10の情報処理部17とカメラ12、タッチパネルディスプレイ13とを通信可能に接続しているインタフェース部である。情報処理部17は、例えば、入力部19を介してカメラ12が撮像した撮像画像を取得する。
【0028】
出力部21は、タッチパネルディスプレイ13と通信可能に接続されているインタフェース部である。情報処理部17は、例えば、出力部21を介してタッチパネルディスプレイ13に映像または画像信号を送信して表示する。
【0029】
大容量記憶装置22は、情報処理部17の処理に必要なデータを記憶管理する記憶デバイスである。大容量記憶装置22は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、オペレーティングシステムや、端末用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶している。
【0030】
上記各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよく、また、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、大容量記憶装置22に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であり、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することも可能である。
【0031】
大容量記憶装置22に格納されている認識用モデル22Aは、カメラ12によって撮像された撮像画像中において移動体30を認識可能とするAIモデルである。認識用モデル22Aは、例えば移動体30の形状など移動体30の特徴についての学習が予めなされたAIモデルである。
【0032】
認識用モデル22Aは、情報処理部17によって上述した撮像画像が入力されることで当該撮像画像中における移動体30を認識し、当該認識結果として、例えば撮像画像中の移動体の位置及び撮像画像上の移動体のサイズを示すバウンディングボックス情報を出力する。
【0033】
[移動体の構成]
次に、
図3を用いて本実施例における移動体30のハードウェア構成について説明する。移動体30は、システムバス33を介して、情報処理部34と通信部35と出力部37とが協働する装置である。情報処理部34は、移動体制御装置10の情報処理部17と同様に、CPU34AやROM34B、RAM34Cを含む処理装置である。情報処理部34は、走行装置31を駆動する駆動制御信号を生成可能である。
【0034】
通信部35は、情報処理部34の指示に従って外部機器とデータの送受信を行う通信装置である。通信部35は、例えば、ネットワークに接続するためのNICである。通信部35は、上述した移動体制御装置10の通信部18と接続されることによって種々のデータを送受信する。
【0035】
出力部37は、走行装置31と通信可能に接続されているインタフェース部である。出力部37は、情報処理部34において、例えば、移動体制御装置10から受信した制御信号に基づいて生成された駆動制御信号を走行装置31に出力する。この出力部37から出力された駆動制御信号に応じて、走行装置31における車輪の回転速度が制御される。
【0036】
[移動体の仮想平面上の位置の特定]
ここで、移動体制御装置10による移動体30の仮想平面上における位置の特定について説明する。なお、以下においては、移動体30が車両Vに設けられたカメラ12によって常に撮像されているものとして説明する。すなわち、移動体30が常にカメラ12の画角内に入っているものとして説明する。
【0037】
図4は、移動体制御装置10における情報処理部17のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4においては、各ブロックから他のブロックへ出力される情報の流れを実線矢印にて示している。なお、矢印の横の括弧書きの記載は、当該矢印の出元から出力される出力情報である。以下、ソフトウェア構成について、主に
図4を用いかつ
図5~
図9を適宜参照しつつ説明する。
【0038】
現実画像取得部41は、カメラ12によって撮像された車両Vの後方の撮像画像である現実画像を逐次取得してそれを出力する。上述のように、カメラ12によって撮像された現実画像には移動体30が映り込んでいる。
【0039】
移動体認識・画像位置特定部42は、現実画像取得部41が取得した現実画像を大容量記憶装置22に記憶されている認識用モデル22A(
図2参照)に入力し、移動体30の認識結果としての現実画像上の移動体30の位置及び現実画像上の移動体30のサイズを示すバウンディングボックス情報を出力として受け取る。
【0040】
移動体認識・画像位置特定部42は、認識用モデル22Aから取得したバウンディングボックス情報から移動体30の現実画像上の位置座標を特定し、バウンディングボックス情報を用いて移動体30を囲むバウンディングボックスが現実画像に重畳された情報重畳画像を生成する。
【0041】
図5は、移動体認識・画像位置特定部42が作成した情報重畳画像SIの一例を示す図である。上述したように、移動体認識・画像位置特定部42は、バウンディングボックス情報を認識用モデル22Aから取得した際に、現実画像RI中において認識した移動体30の現実画像RI上の位置座標を特定する。例えば、移動体認識・画像位置特定部42は、現実画像RIの左右方向に沿った軸をX軸、上下方向に沿った軸をY軸とし、原点(例えば現実画像RI左上端)からのX軸方向とY軸方向のピクセル数をそれぞれX座標、Y座標として特定する。
【0042】
移動体認識・画像位置特定部42は、例えば移動体30の中心点CPの座標を現実画像RI上の移動体30の位置座標として特定する。例えば、移動体認識・画像位置特定部42は、移動体30の中心点CPの座標である点PA(XA、YA)を現実画像RI上の移動体30の位置座標として特定する。
【0043】
また、移動体認識・画像位置特定部42は、上述したように、認識用モデル22Aから取得したバウンディングボックス情報を用いて、
図5に示すように移動体30を囲むバウンディングボックスBが現実画像RIに重畳された情報重畳画像SIを生成する。
【0044】
図6は、X軸、Y軸及びZ軸からなる3次元の仮想空間モデルVMとそのモデルの撮影態様の一例を示す図である。
図6において、X軸とY軸とがなす平面であるXY仮想平面には、上面形状が長方形の仮想パネルVPが複数配されている。仮想パネルVPの各々は、例えばX軸に沿った長さが1mであり、Y軸に沿った長さが5mである。なお、
図5においては、仮想パネルVPを判別しやすくするために仮想パネルVPの各々にそれぞれハッチングを施している。
【0045】
仮想空間モデル生成部43は、例えば
図6に示すように、XY仮想平面において仮想パネルVPの各々を市松状の配置パターンで配置する。仮想パネルVPがこのように配置されることにより、仮想空間モデル生成部43は、仮想パネルVPの外形線(長辺及び短辺)とその延長線(図中破線)からなる格子線がXY仮想平面に設けられた仮想空間モデルを生成することができる。
【0046】
図6に示すように、X軸とZ軸とがなす平面であるXZ仮想平面には、XY仮想平面を撮像する仮想カメラVCが配されている。仮想カメラVCは、現実空間を撮像するカメラ12と同じ設定を有している。具体的には、仮想カメラVCは、XY仮想平面からのカメラの設置高さ、画角及び注視点がカメラ12と同一となっている。
【0047】
仮想画像生成部44は、仮想カメラVCを用いて仮想空間モデルVMを撮影することにより、3次元の仮想空間モデルをある視点から見た2次元画像に変換する透視変換を実行する。具体的には、仮想画像生成部44は、カメラ12と同じ設定を有する仮想カメラVCを用いた透視変換により、XY仮想平面に設けられた格子線を当該格子線の伸長方向から見た仮想画像を生成する。
【0048】
図7は、仮想カメラVCを介して仮想空間モデルVMを透視変換して得られた仮想画像VIを示す図である。仮想画像VIにおいては、XY仮想平面に配された複数の仮想パネルVPを基に生成された格子線からなるグリッドモデルGMが表示されている。グリッドモデルGMは、上述したように複数の仮想パネルVP及び仮想パネルVPの各々の外形線の延長線によって形成され得る。
【0049】
仮想カメラVCは、上述したようにXY仮想平面からのカメラの設置高さ、画角及び注視点においてカメラ12と同一の設定がなされている。また、仮想カメラVCによって透視変換された画像である仮想画像VIは、現実画像RIと画像サイズが一致している。従って、仮想画像VIにおいては、仮想画像VI上のある一点の位置座標を現実画像RIにおけるピクセル数で表すことが可能になっている。すなわち、仮想画像VIにおいては、仮想画像VI上の位置座標を現実画像RI上の位置座標で表すことできる。
【0050】
なお、移動体制御システム100においては、現実画像取得部41が取得した現実画像RIと仮想画像生成部44が生成した仮想画像VIとを重畳させて重畳画像を生成することで、現実画像RI上の画像座標系と仮想画像VI上の座標とをリンクさせる態様としてもよい。
【0051】
図8は、移動体制御装置10によってXY仮想平面上における移動体30の仮想位置を特定する際のイメージを示す図である。
図8においては、グリッドモデルGMの下端中央を原点Oとして当該原点Oを通るX軸及びY軸を示している。
【0052】
現実仮想情報リンク部45は、現実画像RI上の移動体30の位置座標である点PA(XA、YA)とグリッドモデルGMの格子線との相対的な位置関係に基づいて移動体30のXY仮想平面上の仮想位置である点PV(XV、YV)を特定する。すなわち、現実仮想情報リンク部45は、移動体30のXY仮想平面上の仮想位置を特定する移動体位置特定機能を有する。
【0053】
まず、移動体30の仮想位置のうちの原点Oからの幅方向(X軸方向)の座標である仮想幅方向座標XVの算出方法について説明する。現実仮想情報リンク部45は、移動体30の現実画像RI上の位置座標のうちのY座標(YA)と同一の格子線上の2つの点PA1及び点PA2を特定し、点PA1と点PA2とのX軸方向のピクセル数の差に対する点PAと点PA1とのX軸方向のピクセル数の差の比に基づいて仮想幅方向座標XVを算出する。
【0054】
ここで、移動体30の現実画像RI上の位置座標のうちのY座標(YA)と同一の格子線上の2つの点PA1及び点PA2の座標をそれぞれPA1(XA1、YA)及びPA2(XA2、YA)で表すとすると、仮想幅方向座標XVは格子線の長さと併せて以下の数式1によって算出される。
【0055】
【数1】
次に、移動体30の仮想位置のうちの原点Oからの奥行き方向(Y軸方向)の座標である仮想奥行方向座標Y
Vの算出方法について説明する。現実仮想情報リンク部45は、例えば仮想画像VIを生成した後に、移動体30の現実画像RI上の上下方向座標(Y座標)を仮想位置のうちの仮想奥行方向座標Y
Vに変換する変換曲線CCを生成する。
【0056】
図9は、上記した変換曲線CCの一例を示す図である。
図9において、横軸はXY仮想平面における原点Oからの奥行き方向の距離を示しており、縦軸は現実画像RI上のY座標を示している。
【0057】
変換曲線CCは、例えばグリッドモデルGMにおける原点Oからの奥行き方向の長さごと(例えば5m、10m、15m、20m)に対応する現実画像上の位置座標のうちのY座標をプロットすることにより生成される。
【0058】
現実仮想情報リンク部45は、この変換曲線CCを用いて現実画像RI上の移動体30のY座標をXY仮想平面における原点Oからの奥行き方向の距離に変換することによって仮想奥行方向座標YVを求めることができる。
【0059】
従って、現実仮想情報リンク部45は、上述した方法によって仮想幅方向座標及び仮想奥行方向座標を求めることにより、移動体30のXY仮想平面上の仮想位置の点PV(XV、YV)を算出することができる(以下、仮想位置PVとも称する)。すなわち、現実仮想情報リンク部45は、現実画像RI中にて認識された移動体30がXY仮想平面上のどこに位置しているのかを特定することができる。
【0060】
[移動体の目標地点への誘導制御]
次に、
図4を参照しつつ、
図10を用いて移動体制御装置10による移動体30の目標地点への誘導制御について説明する。
図10は、
図6に示した仮想空間モデルにおけるXY仮想平面をZ軸方向から見た図である。
図10においては、仮想パネルVPを配した際の格子線を太線実線にて示している。
【0061】
図10において、初期位置としてのベクトル原点P
0は、XY仮想平面上における移動体30の始動位置である。以下においては、移動体30がベクトル原点P
0から仮想位置P
1(15、1)まで移動しており、移動体30の移動の目標を原点Oから奥行き方向に15m進んだ目標地点P
t(0、15)に設定している場合について説明する。
【0062】
制御情報生成部46は、現実仮想情報リンク部45が特定した移動体30の仮想位置PVとXY仮想平面上の移動体30の目標地点Ptの位置とに基づいて移動体30を目標地点Ptまで誘導するための誘導制御情報を生成し、当該誘導制御情報を移動体30に送信する。
【0063】
制御情報生成部46は、ベクトル原点P0から仮想位置P1に向かう第1ベクトルとしてのベクトルV1の大きさが所定以上(例えば2m以上)であり、かつ仮想位置P1から目標地点Ptに向かう第2ベクトルとしてのベクトルV2の大きさが所定以上(例えば1m以上)である場合に、ベクトルV1の延長線(図中一点鎖線)とベクトルV2とがなす角度θを算出する。
【0064】
制御情報生成部46は、例えば角度θが所定値を超えている場合、すなわち仮想位置P1における移動体30の進行方向と仮想位置P1から目標地点Ptを見た方向が大きく異なる場合、角度θが所定値以下になるように移動体30の旋回制御を実行する。具体的には、制御情報生成部46は、角度θが所定値以下になるまで旋回制御を行う旋回制御情報を生成して移動体30に送信する。
【0065】
また、制御情報生成部46は、例えば角度θが所定値以下である場合、すなわち仮想位置P1における移動体30の進行方向と仮想位置P1から目標地点Ptを見た方向がほぼ同じである場合、そのまま移動体30を直進させる直進制御を実行する。具体的には、制御情報生成部46は、直進制御を行う直進制御情報を生成して移動体30に送信する。
【0066】
移動体制御装置10は、移動体30が上記したように移動体制御装置10から送信された旋回制御情報及び直進制御情報に基づいて旋回及び直進を行うことにより、移動体30を目標地点Ptに到達させることができる。
【0067】
以下に、
図11~
図13を参照しつつ、
図5~
図10を用いて、本実施例における移動体制御装置10の具体的な動作について説明する。
図11は、移動体制御装置10の情報処理部17において実行される移動体30を目標地点まで誘導する誘導制御ルーチンRT1を示すフローチャートである。
【0068】
情報処理部17は、例えば、移動体制御装置10と移動体30との無線通信が確立され、移動体制御装置10ユーザからタッチパネルディスプレイ13を介して移動体30の仮想平面上の目標地点Ptが入力されたことをして誘導制御ルーチンRT1を開始する。誘導制御ルーチンRT1は、例えば目標地点Ptの更新がなされる度に繰り返し実行される。
【0069】
まず、情報処理部17の現実仮想情報リンク部45は、移動体制御装置10と移動体30との通信が確立された際に、
図8及び
図9に示すように、現実画像RI上の移動体30の位置座標である点P
AとグリッドモデルGMの格子線との相対的な位置関係に基づいてXY仮想平面上における移動体30の始動位置である仮想位置P
vを特定する(ステップS101)。
【0070】
次に、情報処理部17の制御情報生成部46は、
図10に示すように、ステップS101にて特定した仮想位置P
vをベクトル原点P
0に設定する(ステップS102)。すなわち、制御情報生成部46は、移動体30の始動位置である点P
0を移動体30の移動の基準点として設定する。
【0071】
制御情報生成部46は、ステップS102の後に、移動体30の発進制御を実行する(ステップS103)。具体的には、制御情報生成部46は、例えば直進制御を行う直進制御情報を生成して移動体30に送信する。
【0072】
制御情報生成部46は、ステップS103の後に、
図10に示すように、ステップS101と同様にベクトル原点P
0から移動した後の移動体30の現在の仮想位置である仮想位置P
1を特定する(ステップS104)。
【0073】
制御情報生成部46は、ステップS104の後に、
図10に示すように、ベクトル原点P
0と現在の仮想位置である仮想位置P
1とを結ぶベクトルであるベクトルV1を取得し、ベクトルV1の大きさが所定以上であるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御情報生成部46は、ベクトル原点P
0から現在の仮想位置P
1までの距離が所定以上であるか否かを判定する。
【0074】
制御情報生成部46は、ベクトルV1の大きさが所定以上でない場合(ステップS105:NO)、ステップS104を再び実行する。すなわち、制御情報生成部46は、ベクトル原点P0から現在の仮想位置P1までの距離が所定以上となるまでステップS104を繰り返し実行する。
【0075】
制御情報生成部46は、ベクトルV1の大きさが所定以上である場合(ステップS105:YES)、現在の仮想位置である仮想位置P1と目標地点Ptとを結ぶベクトルであるベクトルV2を取得し、ベクトルV2の大きさが所定未満であるか否かを判定する(ステップS106)。すなわち、制御情報生成部46は、現在の仮想位置P1から目標地点Ptまでの距離が所定未満であるか否かを判定する。
【0076】
制御情報生成部46は、ベクトルV2の大きさが所定未満でない場合(ステップS106:NO)、移動体30を直進又は旋回制御させる直進・旋回制御を実行する(ステップS107)。制御情報生成部46は、ステップ107の後にステップS104を繰り返す。
【0077】
制御情報生成部46は、ベクトルV2の大きさが所定未満である場合(ステップS106:YES)、移動体30にその場で停止させる停止信号を送信する停止制御を実行する(ステップS108)。すなわち、制御情報生成部46は、移動体30が目標地点Pt又は目標地点Ptの近くに到達したと判定した場合に、移動体30の停止制御を実行する。制御情報生成部46は、ステップS108の後に誘導制御ルーチンRT1を終了する。
【0078】
次に、ステップS101及びステップS104にて実行される移動体30の仮想位置特定サブルーチンについて説明する。
図12は、移動体制御装置10の情報処理部17において実行される移動体30の仮想位置特定サブルーチンRT2を示すフローチャートである。
【0079】
まず、情報処理部17の現実画像取得部41は、実カメラであるカメラ12によって撮像された車両Vの後方の画像である現実画像RIを逐次取得してそれを出力する(ステップS201)。なお、以下においては、上記説明と同様に移動体30がカメラ12によって常に撮像されているものとして説明する。
【0080】
情報処理部17の移動体位置・画像位置特定部42は、ステップS201の後に、大容量記憶装置22に格納されている認識用モデル22Aに現実画像取得部41が取得した現実画像RIを入力し、現実画像RI上の移動体の位置及び現実画像RI上の移動体のサイズを示すバウンディングボックス情報を出力として認識用モデル22Aから取得する(ステップS202)。
【0081】
移動体位置・画像位置特定部42は、ステップS202の後に、バウンディングボックス情報から移動体30の現実画像RI上の位置座標を特定し、
図5に示したように、バウンディングボックスが現実画像RIに重畳された情報重畳画像SIを生成する(ステップS203)。
【0082】
ステップS203において、移動体位置・画像位置特定部42は、例えば、上述したように現実画像RI中の原点からのX軸方向とY軸方向のピクセル数をそれぞれX座標、Y座標としたときの、移動体30の中心座標を現実画像RI上の位置座標として特定する。
【0083】
次に、情報処理部17の仮想空間モデル生成部43は、3次元仮想空間中の仮想平面に格子線が配された仮想空間モデルVMを生成する(ステップS204)。具体的には、仮想空間モデル生成部43は、
図6に示したように、XY仮想平面に複数の仮想パネルVPを市松状に配し、当該配された仮想パネルVPの各々の外形線を基に仮想空間モデルVMを生成する。
【0084】
次に、情報処理部17の仮想画像生成部44は、仮想空間モデル生成部43が生成した仮想空間モデルVMをカメラ12と同様の設定を有する仮想カメラVC(
図6参照)を用いて透視変換することにより、XY仮想平面を格子線の伸長方向から見た仮想画像VIを生成する(ステップS205)。
【0085】
具体的には、仮想画像生成部44は、
図7に示したように、所定の長さを有する格子線からなるグリッドモデルGMが配され、かつ現実画像RI上の画像座標系がリンクされた仮想画像VIを生成する。
【0086】
最後に、情報処理部17の現実仮想情報リンク部45は、仮想画像生成部44が生成した仮想画像VIと移動体30の現実画像RI上の位置座標とに基づいて移動体30の仮想平面上の仮想位置を特定する(ステップS206)。
【0087】
具体的には、現実仮想情報リンク部45は、
図8に示したように、現実画像RI上の位置座標である点P
AのX方向の座標(X
A)とグリッドモデルGMの格子線との相対的な位置関係に基づいて移動体30の仮想位置のうちの仮想幅方向座標(X
V)を算出する。
【0088】
また、現実仮想情報リンク部45は、
図9に示したように、現実画像RI上の位置座標である点P
AのY方向の座標(Y
A)と変換曲線CCとに基づいて移動体30の仮想位置のうちの仮想奥行方向座標(Y
V)を算出する。これにより、現実仮想情報リンク部45は、移動体30の仮想位置である点P
V(X
V、Y
V)を特定する。
【0089】
情報処理部17は、ステップS206の後に仮想位置特定サブルーチンRT2を終了する。なお、上記した仮想位置特定サブルーチンRT2のうち、ステップS204(仮想空間モデルの生成)についてはステップS201よりも前に行うとしてもよい。すなわち、仮想空間モデル生成部43が、格子線が配されたXY仮想平面を有する仮想空間モデルVMを予め生成しておくとしてもよい。
【0090】
次に、ステップS107にて実行される直進・旋回制御サブルーチンについて説明する。
図13は、移動体制御装置10の情報処理部17において実行される移動体30の直進・旋回制御サブルーチンRT3を示すフローチャートである。
【0091】
まず、情報処理部17の制御情報生成部46は、ベクトル原点P0と現在の仮想位置P1とを結ぶベクトルV1と現在の仮想位置P1と目標地点Ptとを結ぶベクトルV2とがなす角度θを算出する(ステップS301)。
【0092】
制御情報生成部46は、ステップS301の後に、角度θが所定値以下であるか否かを判定する(ステップS302)。制御情報生成部46は、角度θが所定値以下でないと判定した場合に(ステップS302:NO)、移動体30の旋回制御を実行する(ステップS303)。
【0093】
ステップS303において、制御情報生成部46は、例えば移動体30を所定の角度だけ旋回させる旋回制御情報を生成して移動体30に送信する。制御情報生成部46は、ステップS303の後に直進・旋回制御サブルーチンRT3を終了する。
【0094】
制御情報生成部46は、角度θが所定値以下であると判定した場合に(ステップS302:YES)、移動体30の現在の仮想位置P1をベクトル原点P0として設定する(ステップS304)。すなわち、制御情報生成部46は、次に仮想位置を取得した際には、仮想位置P1をベクトル原点P0としてベクトルV1及びベクトルV2を求める。
【0095】
制御情報生成部46は、ステップS304の後に、移動体30の直進制御を実行する(ステップS305)。例えば、制御情報生成部46は、移動体30をそのまま直進制御させる直進制御情報を生成して移動体30に送信する。制御情報生成部46は、ステップS305の後に直進・旋回制御サブルーチンRT3を終了する。
【0096】
本実施例の移動体制御システム100によれば、上述した誘導制御ルーチンRT1によって移動体30の仮想平面上の仮想位置を特定し、移動体30を目標地点Ptまで誘導することにより、移動体30を精度よく目標地点Ptに到達させることができる。
【0097】
従って、本実施例の移動体制御システム100によれば、例えばGPS電波が到達しにくい環境などにおいて移動体30を走行させる場合においても、移動体30を所望の位置に高精度で配置することができる。
【0098】
また、本実施例の移動体制御システム100においては、移動体制御装置10が移動体30の仮想位置を特定し目標地点Ptまで誘導するために、移動体30自体は簡易な構成で済ませることができる。
【0099】
従って、本実施例の移動体制御システム100によれば、例えば移動体30に高価なGPS受信機等を設ける必要がなくなり、システム全体のコスト削減を図ることができる。よって、本実施例の移動体制御システム100によれば、安価な構成で移動体30を目標地点Ptまで精度よく到達させることができる。
【0100】
なお、本実施例の移動体制御システム100において、現実画像取得部41は、移動体30の仮想奥行方向座標YVに基づいてカメラ12を所定の倍率でズームさせ、当該所定の倍率でズームした現実画像RIを取得する。例えば、現実画像取得部41は、移動体30が出発地点から所定距離以上離れた際にカメラ12のズームを行う。これにより、現実画像RI内において移動体30が不鮮明に映ってしまうことを防ぐことができる。
【0101】
また、本実施例において、仮想画像生成部44は、上記のように現実画像取得部41によってカメラ12の光学ズームがなされた際に、仮想カメラVCをカメラ12のズーム倍率に合わせてズームさせる。これにより、それぞれ所定のズーム倍率でズームされた現実画像RI及び仮想画像VIを得ることができる。
【0102】
なお、本実施例において、移動体30には発光体LBが設けられており、当該発光体LBを発光させることで車線規制区間に向かう車両に注意喚起を行うとしたが、発光体LBの発光に加えて他の方法で注意喚起を行ってもよい。
【0103】
例えば、移動体30に情報処理部17の制御により音を出力するスピーカを設ける態様としてもよい。情報処理部17は、例えばスピーカを介して、発光体LBの発光と共に車線規制区間に向かう車両に対してこの先の道路で車線規制が行われている旨を示す音声などを出力してもよい。
【実施例2】
【0104】
次に、
図14を用いて実施例2に係る移動体制御システム200について説明する。
図14は、移動体制御システム200の構成を示す図であり、道路上に位置する車両V及び移動体30を上から見た図である。
図14においては、車両Vがカーブ路CRを通った後に図中下方にて停車している様子を示している。以下、図中下方向を車両Vの前方として説明する。
【0105】
[移動体制御装置の構成]
まず、
図15を用いて本実施例における移動体制御装置10の構成について説明する。
図15は、移動体制御装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。以下、実施例1と異なる点について主に説明する。
【0106】
GPS受信機14は、入力部19を介して移動体制御装置10に接続されており、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(GPS信号)を受信する受信機である。GPS受信機14は、例えば車両V内部のダッシュボード上に配されている。
【0107】
大容量記憶装置22に格納されている地図情報データベース(以下、地図情報DBと称する)22Bは、地図情報が格納されているデータベースである。情報処理部17の現実仮想情報リンク部45は、GPS受信機14が受信したGPS信号及び地図情報DB22Bに基づいて車両Vの現在位置を特定する。
【0108】
[仮想グリッドレーンを用いた移動体の誘導制御]
ここで、
図16及び
図17を用いて、本実施例における情報処理部17によってなされる仮想グリッドレーンを用いた移動体30の目標地点への誘導制御について説明する。なお、情報処理部17のソフトウェア構成については実施例1と同様である。
【0109】
本実施例において、現実仮想情報リンク部45は、GPS受信機14が受信したGPS信号及び地図情報DB22Bに基づいて車両Vの現在位置を特定し、車両Vの現在位置から所定の距離だけ後方に離れた地点までの道路の形状を示す道路形状情報を地図情報DB22Bから取得する。例えば、現実仮想情報リンク部45は、
図14に示すように車両Vが走行してきたカーブ路CRを含む道路形状情報を取得する。
【0110】
仮想空間モデル生成部43は、XY仮想平面において、現実仮想情報リンク部45が取得した道路形状情報に含まれるカーブ路CRの形状に沿った3次元の仮想ガイドレーンモデル(図示せず)を生成する。
【0111】
仮想画像生成部44は、カメラ12と同じ設定を有する仮想カメラVCを用いて、XY仮想平面に設けられた仮想ガイドレーンモデルを透視変換することにより、仮想ガイドレーンモデルを伸長方向から見た仮想ガイドレーンVLを生成する。
【0112】
図16は、仮想グリッドレーンの一例を示す図である。現実仮想情報リンク部45は、
図16に示すように、仮想ガイドレーンVLを仮想画像VIのグリッドモデルGMに重畳することにより、グリッドモデルGMの情報を持った仮想ガイドレーンVLである仮想グリッドレーンVGLを生成する。すなわち、現実仮想情報リンク部45は、道路形状情報に示される道路形状に基づいて仮想グリッドレーンVGLを生成する仮想グリッドレーン生成機能を有する。
【0113】
図17は、仮想グリッドレーンVGLを用いて移動体30の目標地点P
tへの誘導制御を行う際の一例を示す図である。
図17においては、移動体30が現在の仮想位置である点P
1´において仮想ガイドレーンVLから逸脱している様子を示している。また、
図17においては、移動体30の移動目標の地点である目標地点P
tを仮想グリッドレーンVGL上に設定している。
【0114】
制御情報生成部46は、上述したように、現実仮想情報リンク部45によって特定された移動体30の仮想位置に基づいて移動体30を目標地点Ptまで誘導する誘導制御情報を生成する。本実施例において、制御情報生成部46は、移動体30を目標地点Ptまで誘導する際に移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱したか否かに基づいて移動体30に対する移動の制御態様を変化させる。
【0115】
具体的には、制御情報生成部46は、移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱していない場合には、実施例1にて示した誘導制御情報を生成し移動体30に送信する。すなわち、制御情報生成部46は、移動体30を目標地点Ptまで誘導するための旋回制御情報や直進制御情報などを移動体30に送信する。
【0116】
一方で、移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱している場合には、制御情報生成部46は、移動体30を仮想グリッドレーンVGL内に復帰させる復帰制御を移動体30に行わせるための復帰制御情報を生成し移動体30に送信する。
【0117】
具体的には、制御情報生成部46は、例えば
図17に示すように、移動体30の現在の進行方向である方向D
iから仮想グリッドレーンVGLの幅方向の中心を通る中心線CLに向かう方向である方向D
cを向くように旋回させる旋回制御情報及び当該旋回後に方向D
cに沿って直進することを示す直進制御情報を含む復帰制御情報を生成し移動体30に送信する。
【0118】
制御情報生成部46は、移動体30が復帰制御情報を受信して仮想グリッドレーンVGLに戻った場合、すなわち移動体30が仮想グリッドレーンVGL内に復帰したことをして、再び移動体30を目標地点Ptまで誘導する誘導制御情報を生成して移動体30に送信する。
【0119】
以下に、
図18~
図20を参照しつつ、
図16及び
図17を用いて、本実施例における移動体制御装置10の具体的な動作について説明する。以下、実施例1と異なる点について主に説明する。
【0120】
図18は、移動体制御装置10の情報処理部17において実行される移動体30の誘導制御ルーチンRT4を示すフローチャートである。誘導制御ルーチンRT4においては、
図11におけるステップS101のステップS401への変更及びステップS402を追加した点において
図11と異なっている。
【0121】
ステップS401において、情報処理部17の現実仮想情報リンク部45は、実施例1にて説明した仮想位置P
vの特定に加えて、
図16に示したように仮想グリッドレーンVGLの生成を実行する。
【0122】
制御情報生成部46は、ステップS106において仮想位置P1と目標地点Ptとを結ぶベクトルV2の大きさが所定未満ではない場合に(ステップS106:NO)、移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱したか否かに基づくレーン復帰制御を実行する(ステップS402)。
【0123】
次に、ステップS401にて実行される移動体30の仮想位置特定サブルーチンについて説明する。
図19は、移動体制御装置10の情報処理部17において実行される移動体30の仮想位置特定サブルーチンRT5を示すフローチャートである。
【0124】
情報処理部17の現実仮想情報リンク部45は、ステップS205の後に、車両Vの現在位置及び地図情報DB22Bに基づいて車両Vの現在位置から所定の距離だけ後方に離れた地点までの道路の形状を示す道路形状情報を取得する(ステップS501)。具体的には、現実仮想情報リンク部45は、
図14に示したように車両Vの後方のカーブ路CRを含む道路の形状を示す道路形状情報を取得する。
【0125】
仮想空間モデル生成部43は、ステップS501の後に、XY仮想平面において、現実仮想情報リンク部45が取得した道路形状情報に含まれるカーブ路CRの形状に沿った3次元の仮想ガイドレーンモデルを生成する(ステップS502)。
【0126】
現実仮想情報リンク部45は、ステップS502の後に、仮想空間モデル生成部43が生成した仮想ガイドレーンモデルを透視変換することにより、仮想ガイドレーンモデルを伸長方向から見た仮想ガイドレーンVLを生成する(ステップS503)。
【0127】
現実仮想情報リンク部45は、ステップS503の後に、
図16に示したように、仮想ガイドレーンVLを仮想画像VIのグリッドモデルGMに重畳することにより、グリッドモデルGMの情報を持った仮想ガイドレーンVLである仮想グリッドレーンVGLを生成する(ステップS504)。
【0128】
現実仮想情報リンク部45は、ステップS504の後に、現実仮想情報リンク部45が生成した仮想グリッドレーンVGLを用いて、実施例1にて説明したように移動体30の仮想位置を特定する(ステップS206)。
【0129】
なお、上記した仮想位置特定サブルーチンRT5のうち、ステップS501~503(仮想ガイドレーンの生成)についてはステップS201よりも前に行うとしてもよい。すなわち、現実仮想情報リンク部45が、仮想ガイドレーンモデルの透視変換により仮想ガイドレーンVLを予め生成しておくとしてもよい。
【0130】
次に、ステップS402にて実行されるレーン復帰制御サブルーチンについて説明する。
図20は、移動体制御装置10の情報処理部17において実行される移動体30のレーン復帰制御サブルーチンRT6を示すフローチャートである。
【0131】
まず、制御情報生成部46は、
図17に示すように、移動体30の現在の仮想位置であるP
1´に基づいて移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱したか否かを判定する(ステップS601)。
【0132】
制御情報生成部46は、移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱していないと判定すると(ステップS601:NO)、レーン復帰制御サブルーチンRT6を終了する。
【0133】
制御情報生成部46は、移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱していると判定すると(ステップS601:YES)、移動体30に対し仮想グリッドレーンVGLへの復帰制御を実行する(ステップS602)。
【0134】
具体的には、制御情報生成部46は、
図17に示すように、移動体30の現在の進行方向である方向D
iから仮想グリッドレーンVGLの幅方向の中心を通る中心線CLに向かう方向である方向D
cを向くように旋回させる旋回制御情報及び当該旋回後に方向D
cに沿って直進することを示す直進制御情報を含む復帰制御情報を生成し移動体30に送信する。制御情報生成部46は、ステップ602の後にレーン復帰制御サブルーチンRT6を終了する。
【0135】
本実施例の移動体制御装置10によれば、制御情報生成部46が上記のように移動体30が仮想グリッドレーンVGLから逸脱したか否かに基づいて移動体30に対する制御態様を変化させることにより、例えば
図14に示すようなカーブ路CRのように曲りくねった道を移動体30が走行する場合においても、移動体30がカーブ路CRから逸脱することを防ぎつつ移動体30を目標地点P
tまで誘導することができる。
【0136】
従って、本実施例の移動体制御システム200によれば、実施例1にて示した移動体制御システム100と同様に、安価な構成で移動体30を目標地点Ptまで精度よく到達させることができる。
【0137】
[実施例2の変形例]
次に、
図21及び
図22を用いて、実施例2に係る移動体制御システム200の変形例について説明する。本変形例においては、仮想ガイドレーンVLの生成方法が実施例2と異なっており、それ以外の点、例えば移動体30の仮想位置特定方法及び目標地点P
tへの誘導制御方法などは実施例2と同様である。
【0138】
本変形例において、大容量記憶装置22に格納されている認識用モデル22Aは、移動体30の特徴に加えて、自動四輪車や自動二輪車などの車両の特徴についての学習がなされており、カメラ12によって撮像された撮像画像中において車両を認識する。認識用モデル22Aは、当該認識結果として、例えば現実画像上の車両の位置及び現実画像上の車両のサイズを示すバウンディングボックス情報を出力として受け取る。
【0139】
図21は、本変形例における情報処理部17のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図21において、情報処理部17は、新たに移動体認識・移動エリア特定部47を有している。
【0140】
移動体認識・移動エリア特定部47は、認識用モデル22Aから取得したバウンディングボックス情報から車両の現実画像上の位置座標を特定し、バウンディングボックス情報を用いて車両を囲むバウンディングボックスが現実画像RIに重畳された情報重畳画像SIを生成する。
【0141】
図22は、情報重畳画像SIの一例を示す図である。
図22においては、車線規制がなされているレーンの隣のレーンを他車両としての車両C1及び車両C2が走行している。以下、車両C1及び車両C2がカメラ12によって常に撮像されておりかつ図中奥から手前に向かって走行しているものとして説明する。
【0142】
本変形例において、移動体認識・移動エリア特定部47は、情報重畳画像SI中の車両が所定時間に亘って道路上を移動した際の移動エリアを特定する。具体的には、移動体認識・移動エリア特定部47は、例えば道路上を走行する車両C1を認識した際のバウンディングボックスB1の底辺BL1を車両C1の移動に伴ってトレースすることにより、すなわち図中奥から手前に向かってトレースすることにより、車両C1の移動エリアMA1を特定する。
【0143】
また、移動体認識・移動エリア特定部47は、車両C1と同様に、車両C2を認識した際のバウンディングボックスB2の底辺BL2を車両C2の移動に伴ってトレースすることにより、車両C2の移動エリアMA2を特定する。
【0144】
移動体認識・移動エリア特定部47は、特定した車両C1の移動エリアMA1及び車両C2の移動エリアMA2を重畳させて1つの重畳移動エリアSMAを生成し、重畳移動エリアSMAの前端のラインをガイドラインGL1、中央のラインをガイドラインGL2、後端のラインをガイドラインGL3として特定する。
【0145】
移動体認識・移動エリア特定部47は、重畳移動エリアSMAにおける3つのガイドラインGL1~GL3の各々を基に仮想ガイドレーンVLを生成する。具体的には、移動体認識・移動エリア特定部47は、例えば現実画像RI中におけるガイドラインGL1~GL3の各々を図中矢印方向にそれぞれ所定距離だけオフセットし、当該オフセットしたガイドラインGL1~GL3の端点をそれぞれ曲線で繋ぐことにより、仮想ガイドレーンVLを生成する。
【0146】
また、移動体認識・移動エリア特定部47は、実施例2と同様に仮想ガイドレーンVLを仮想画像VIのグリッドモデルGMに重畳することにより、グリッドモデルGMの情報を持った仮想ガイドレーンVLである仮想グリッドレーンVGLを生成する。
【0147】
制御情報生成部46は、移動体認識・移動エリア特定部47によって生成された仮想グリッドレーンVGLを用いて、実施例2と同様に移動体30の仮想グリッドレーンVGLからの逸脱の有無を判定しつつ目標地点Ptまで移動体30を誘導することができる。
【0148】
なお、本変形例においては、移動体認識・移動エリア特定部47が道路上を走行する車両(自動車)を認識して移動エリアを特定するとしたが、移動体認識・移動エリア特定部47によって仮想グリッドレーンVGLを生成可能であれば認識対象は自動車以外の移動体であってもよい。
【0149】
例えば、移動体認識・移動エリア特定部47は、車線規制が行われている道路上を路上作業員が
図22中手前から奥に向かって歩いていく際の動きをトレースすることによって当該路上作業員の移動エリアを特定してもよい。
【実施例3】
【0150】
次に、
図23を用いて実施例3に係る移動体制御システム300について説明する。
図23は、移動体制御システム300の構成を示す図であり、道路上に位置する車両V、第1の移動体としての移動体50及び第2の移動体としての移動体60を上から見た図である。
図23においては、車両Vがカーブ路CRを通った後に図中下方にて停車している様子を示している。以下、図中下方向を車両Vの前方として説明する。
【0151】
図23においては、移動体50が実施例1にて説明した方法によって車両Vの後方にある目標地点P
t1まで誘導され、移動体60が目標地点P
t1よりもさらに後方にある目標地点P
t2に向かって走行しているときの様子を示している。
【0152】
また、
図23において、移動体60は、車両Vから見て、車線規制を行っているレーンの隣のレーンを走行する複数の車両Cによって姿が隠れるために、カメラ12による撮像が不可能となっている。言い換えれば、
図23においては、移動体50のみがカメラ12によって撮像可能となっている。
【0153】
また、
図23においては、移動体制御装置10と移動体50、及び移動体50と移動体60が互いに通信可能な距離に位置している一方で、移動体制御装置10と移動体60とは互いに通信不可能な距離を有している。言い換えれば、移動体制御装置10は、移動体60を直接目標地点P
t2へ誘導制御することが不可能となっている。
【0154】
[移動体の構成]
ここで、
図24及び
図25を用いて移動体50の構成について説明する。
図24は、移動体50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0155】
まず、移動体50のハードウェア構成について、実施例1の移動体30と異なる点について説明する。本実施例において、移動体50は、
図24に示すようにシステムバス33を介して情報処理部34に接続された入力部51と入力部51に接続された撮像部としてのカメラ52と大容量記憶装置53とを有している。
【0156】
カメラ52は、移動体50からの制御信号により上下左右に首振りが可能なカメラである。カメラ52は、例えば、カメラ12と同様にPan・Tilt・Zoomをそれぞれ行うことが可能なPTZカメラである。カメラ52は、例えば移動体50の上部に設けられている。
【0157】
大容量記憶装置53は、認識用モデル53Aが格納されている記憶デバイスである。認識用モデル53Aは、道路の特徴についての学習がなされており、カメラ52によって撮像された撮像画像中において道路部分を認識する。認識用モデル53Aは、当該認識結果として、撮像画像中の道路部分の位置及び撮像画像上の道路部分のサイズを示すバウンディングボックス情報を出力する。
【0158】
情報処理部17の移動体認識・画像位置特定部42は、認識用モデル53Aから取得したバウンディングボックス情報から道路部分の現実画像上の位置座標を特定し、バウンディングボックス情報を用いて、例えば道路部分を示す領域を撮像画像に重畳した情報重畳画像を生成する。
【0159】
次に、
図25を用いて移動体50の情報処理部34のソフトウェア構成について説明する。
図25は、移動体50における情報処理部34のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0160】
現実画像取得部55は、実施例1と同様に、カメラ52によって撮像された移動体50の後方の画像である現実画像を逐次取得してそれを出力する。本実施例において、現実画像取得部55は、現実画像を逐次又は定期的に移動体制御装置10に送信する。
【0161】
道路認識・カメラ方向制御部56は、現実画像取得部55が取得した撮像画像を認識用モデル53Aに入力し、移動体認識・画像位置特定部42によって生成された情報重畳画像中の道路に基づいてカメラ52の向く方向を制御する。例えば、道路認識・カメラ方向制御部56は、情報重畳画像中の道路の縁端を認識し、カメラ52の注視点が道路の中央に向くようにカメラ52を制御する。
【0162】
従って、移動体50は、道路認識・カメラ方向制御部56によってカメラ52を常に道路の中央を向くように制御できるために、目標地点Pt1よりも後方を走行する移動体60をカメラ52の画角内に入れることができる。
【0163】
本実施例において、移動体制御装置10は、移動体50から送信された移動体60が映っている現実画像を取得し、実施例1と同様の方法によって移動体60の仮想位置を特定する。また、移動体制御装置10は、特定した仮想位置及び移動体60の目標地点Pt2に基づいて移動体60を目標地点Pt2まで誘導させるための誘導制御情報を生成し、当該誘導制御情報を移動体50に送信する。
【0164】
移動体50は、移動体制御装置10から送信された誘導制御情報を受信すると移動体60に転送する。移動体50から転送された誘導制御情報を受信した移動体60は、誘導制御情報に基づいて目標地点Pt2に向かう。これにより、移動体制御装置10は、カメラ12によって移動体60の撮像ができない場合においても移動体60を目標地点Pt2まで誘導することができる。
【0165】
従って、本実施例においては、移動体制御装置10が移動体50及び移動体60をそれぞれ目標地点まで誘導させる基地局として機能し、移動体50が移動体60を含む撮像画像を移動体制御装置10に送信しかつ移動体制御装置10から送信された移動体60の誘導制御情報を移動体60に転送する中継局として機能する。
【0166】
本実施例の移動体制御システム300によれば、例えば車両Vに搭載されたカメラ12で移動体を直接撮像できないような場合においても、当該移動体を上述した中継局としての機能により目標地点まで誘導することができる。
【0167】
また、本実施例の移動体制御システム300によれば、例えば複数の移動体を所定間隔で一体ずつ配置するような場合に、移動体制御装置10が移動体と直接通信ができないほど離れた際においても移動体を目標地点まで誘導することができる。従って、本実施例の移動体制御システム300においても、安価な構成で移動体を目標地点まで精度よく到達させることができる。
【0168】
なお、本実施例においては、移動体制御装置10が移動体60を制御するとしたが、移動体50に移動体制御装置10が有する移動体認識モデル及び移動体制御機能を持たせるとしてもよい。すなわち、移動体50が移動体60を直接目標地点まで誘導制御してもよい。
【符号の説明】
【0169】
100、200、300 移動体制御システム
10 移動体制御装置
12、52 カメラ
13 タッチパネルディスプレイ
16、33 システムバス
17、34 制御部
18、35 通信部
19、51 入力部
21、37 出力部
22、53 大容量記憶装置
30、50、60 移動体
31 走行装置
41、55 現実画像取得部
42 移動体認識・画像位置特定部
43 仮想空間モデル生成部
44 仮想画像生成部
45 現実仮想情報リンク部
46 制御情報生成部
56 道路認識・カメラ方向制御部
【要約】 (修正有)
【課題】安価な構成で移動体を目標地点に精度よく到達可能な移動体制御装置及びシステムを提供する。
【解決手段】道路上を走行可能な移動体の移動を制御する移動体制御装置であって、現実画像を取得する現実画像取得部と、現実画像中の移動体を認識し、移動体の現実画像上の位置を特定する位置特定部と、仮想平面に配された格子線を有する仮想空間モデルを生成する仮想空間モデル生成部と、該モデルを仮想カメラによって透視変換して格子線を格子線の伸長方向から見た仮想画像を生成する仮想画像生成部と、現実画像での移動体の位置座標である現実画像位置座標と同一座標の仮想画像内の1の点と格子線との相対的な位置関係に基づき移動体の所定の仮想平面上の仮想位置を特定する現実仮想情報リンク部と、仮想位置と所定の仮想平面上の移動体の移動の目標地点の位置とに基づいて移動体を目標地点まで誘導する誘導制御情報を生成する制御情報生成部と、を有する。
【選択図】
図8