(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】吻合装置用のエンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/115 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61B17/115
(21)【出願番号】P 2023518918
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 CN2021119526
(87)【国際公開番号】W WO2022063104
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】202011004778.1
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523104845
【氏名又は名称】上海逸思医療科技股▲フン▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】517199891
【氏名又は名称】逸思(蘇州)医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】YISI(SUZHOU) MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 16,No.8 Jinfeng Rd.,Suzhou National Hi-Tech District,Suzhou City,Jiangsu 215163 China
(73)【特許権者】
【識別番号】523104856
【氏名又は名称】浙江逸鏡医療器械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】楊軍
(72)【発明者】
【氏名】唐傳剛
(72)【発明者】
【氏名】廖夢輝
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-525225(JP,A)
【文献】特開2004-344659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0000479(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111134752(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吻合装置用のエンドエフェクタであって、軸方向に沿って移動するナイフホルダと、枢動可能に接続されて相互に開閉可能なカートリッジユニット及びアンビルとを含み、前記カートリッジユニットは、カートリッジベースと、前記カートリッジベースに着脱可能に取り付けられるカートリッジアセンブリとを含み、
前記ナイフホルダは、ナイフホルダ本体と、ナイフホルダ本体の遠端
部に設けられて、前記ナイフホルダ本体から、ナイフホルダ本体から離れる方向に沿って外向き
に延在する少なくとも1つの制限突起とを含み、前記制限突起は、前記ナイフホルダ本体の前記カートリッジベースに近い少なくとも1つの縁部と前記ナイフホルダ本体の中心との間に設けられ、
前記カートリッジベースに対して前記カートリッジアセンブリを取り外し又は取り付けるときに、前記カートリッジユニットは、開位置にあり、前記ナイフホルダは、初期の後退位置にあり、前記ナイフホルダの制限突起は、前記カートリッジベースの近端部と当接して前記カートリッジベースを止め、前記ナイフホルダが初期の後退位置から離れるときに、前記ナイフホルダの制限突起は、前記カートリッジベースから離脱
し、
前記ナイフホルダは、前記カートリッジユニットを閉じさせるために、前記少なくとも1つの縁部に設けられる第1翼板と、前記制限突起と第1翼板との間にある間隔とを含み、前記カートリッジユニットが開位置と閉位置との間で前記アンビルに対して枢動するときに、前記カートリッジベースの近端部は、前記間隔内を往復移動する、吻合装置用のエンドエフェクタ。
【請求項2】
前記カートリッジベースの近端部は、前記制限突起に対応する接触部分を有し、前記制限突起は、前記接触部分に対応する当接部を有し、前記ナイフホルダの制限突起が前記カートリッジベースの接触部分と当接して前記カートリッジベースを止めるときに、前記制限突起の当接部は、前記カートリッジベースの接触部分と接触して当接する、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記当接部は、前記接触部分と面対面の接触を実現する平面、又は、前記接触部分と線対面の接触を実現する線状の側縁部である、請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記カートリッジベースの接触部分は、平坦
状である、請求項3に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記ナイフホルダの制限突起は、金属製又は鋼製である、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記制限突起と前記ナイフホルダ本体は一体成形され、又は、前記制限突起は、前記ナイフホルダ本体に固定して接続される、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記制限突起は、前記ナイフホルダ本体に溶接される、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記ナイフホルダにおいて、前記少なくとも1つの縁部と前記ナイフホルダ本体の中心との間には、前記ナイフホルダ本体を貫通する貫通孔が設けられる、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記制限突起は、締り嵌め方式によって前記ナイフホルダの貫通孔に挿着されるピンであり、前記ピンは、前記貫通孔から適切な長さだけ延在する、請求項
8に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記カートリッジアセンブリは、U字形カートリッジと、前記
U字形カートリッジ内側に設けられて前記
U字形カートリッジのU字形の円周方向に沿って延在するカバー板とを含み、
前記
U字形カートリッジと前記カバー板との間には、十字形のガイド通路が設けられ、
前記ナイフホルダが、初期の後退位置から離れて軸方向に沿って遠端部へ移動して、前記カートリッジユニットが閉位置まで枢動するように駆動するときに、前記制限突起は、前記ナイフホルダが前記ガイド通路を移動して通過するように、前記カートリッジベースの近端部から離脱する、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記ガイド通路の十字形は、前記ナイフホルダ本体が移動して通過するための中間本体部と、前記中間本体部と垂直で前記中間本体部から離れる方向に沿って両側へ延在する、前記制限突起が移動して通過するための横方向の隙間とを含むように配置される、請求項
10に記載のエンドエフェクタ。
【請求項12】
前記カートリッジアセンブリは、チタンステープルを押し出すためのステープル押し出しブロックと、前記中間本体部内に設けられる移動可能なスライダとを含み、前記スライダは、最初、前記中間本体部の近端に設けられ、前記ナイフホルダが軸方向に沿って遠端へ移動するときに、前記ナイフホルダ本体は、前記中間本体部内に入り、同時に、前記制限突起は、前記横方向の隙間内に入り、前記ナイフホルダが移動するにつれて、前記ナイフホルダ本体の遠端部が、前記スライダが前記中間本体部内を移動するように押すことにより、前記スライダが、前記中間本体部内でステープル押し出しブロックを押してチタンステープルを押し出すことができる、請求項
11に記載のエンドエフェクタ。
【請求項13】
腹腔鏡切断吻合装置に適用する、請求項1~
12のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年9月22日に中国特許庁に出願された、発明の名称を「吻合装置用のエンドエフェクタ」とする中国特許出願第202011004778.1号に基づく優先権を主張し、その内容全体は、参照により本願に組み込まれる。
技術分野
【0002】
本開示は、医療機器の技術分野に関し、特に、吻合装置用のエンドエフェクタに関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般に、吻合装置は、外科手術における組織の縫合及び切断に広く使用され得る。吻合装置は、一般に、遠端に位置するエンドエフェクタ、近端に位置するハンドル部、及びエンドエフェクタとハンドル部との間に接続される接続伝動部で構成される。エンドエフェクタは、患者の組織と接触して操作する吻合装置の一部を指す。接続伝動部は、中空管を有し得、中空管内には、エンドエフェクタを作動させるように、中空管の軸方向に沿って往復摺動可能な伝動ロッドが設けられる。伝動ロッドは、通常、その近端部において吻合装置のハンドル部の作動装置に接続され得る。手術を行う場合、ハンドルにおける機構は、伝動ロッドを中空管に沿ってスライドさせ、エンドエフェクタを作動させて組織を操作する。
【0004】
吻合装置用のエンドエフェクタは、一般に、近端と遠端との間を移動可能なナイフホルダと、枢軸によって接続されて相互に開閉可能なカートリッジユニット及びアンビルとを含み、ここで、カートリッジユニットは、カートリッジベースと、カートリッジベースに取り付けられるカートリッジアセンブリとを含む。市販の再利用可能な吻合装置は、ほとんどが使い捨てのカートリッジアセンブリを備えている。
【0005】
吻合装置用のエンドエフェクタの実施例において、例えば、米国特許第5865361号明細書では、カートリッジアセンブリは、カートリッジベースに固定して取り付けられ、エフェクタは、伝動部に着脱可能に接続され、エフェクは、1回の使用後に取り外すことで接続伝動部から取り外すことができる。吻合装置用のエンドエフェクタの他の実施例では、例えば、Ethicon社の中国特許第101507644号明細書では、エフェクタは、接続伝動部に固定して接続され、カートリッジアセンブリは、カートリッジベースに着脱可能に接続され、カートリッジアセンブリは、1回の使用後にカートリッジベースから取り外すことができ、エフェクは、新しいカートリッジアセンブリが取り付けられた後に、同じ手術において再度利用可能である。
【0006】
しかし、上記の2つめの実施形態では、その欠陥は、取り付け過程において、エンドエフェクタのジョーの開口機能が弾性シートによって実現されているため、カートリッジベースを固定することができず、そのため、カートリッジアセンブリをカートリッジベースから取り外すのが非常に困難で、不便であり、また、ツールを使って補助することで初めて着脱が可能であり、その結果、カートリッジの着脱作業に大きな負担がかかり、作業効率が低下することである。
【0007】
従って、従来技術における上述の欠陥の全部又は一部を解消または少なくとも軽減することができる吻合装置用のエンドエフェクタが当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術における上記の技術的課題に対して、本開示の目的は、吻合装置用のエンドエフェクタを提供することであり、ここで、エンドエフェクタのカートリッジアセンブリを、カートリッジベースに対して容易に着脱することができるため、カートリッジユニットの着脱を簡便且つ迅速に行うことができる。本開示は、特に、腹腔鏡切断吻合装置に適用する。
【0009】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語は、この分野の様々な技術用語の通常の意味、及び様々な専門用語の辞書、教科書などで定義される専門用語の意味と一致することを強調する。
【0010】
本明細書では、方位を表す場合、一般に、装置操作者を基準とし、装置操作者に比較的近い位置を「近端」、装置操作者から比較的遠い位置を「遠端」と呼ぶ。更に、本明細書では、吻合装置の長手方向が軸方向と呼ばれる。
【0011】
そのため、本開示のいくつかの実施例では、吻合装置用のエンドエフェクタが提供され、エンドエフェクタは、軸方向に沿って(即ち、近端と遠端との間を)移動するナイフホルダと、枢動可能に接続されて相互に開閉可能なカートリッジユニット及びアンビルとを含み、上記カートリッジユニットは、カートリッジベースと、上記カートリッジベースに着脱可能に取り付けられるカートリッジアセンブリとを含む。
【0012】
上記ナイフホルダは、ナイフホルダ本体と、ナイフホルダ本体の遠端部付近に設けられて、上記ナイフホルダ本体から、ナイフホルダ本体から離れる方向に沿って外向きに垂直に延在する少なくとも1つの制限突起とを含み、上記制限突起は、上記ナイフホルダ本体の上記カートリッジベースに近い少なくとも1つの縁部と上記ナイフホルダ本体の中心との間に設けられる。
【0013】
上記カートリッジベースに対して上記カートリッジアセンブリを取り外し又は取り付ける際に、上記カートリッジユニットは、開位置にあり、上記ナイフホルダは、初期の後退位置にあり、上記ナイフホルダの制限突起は、上記カートリッジベースの近端部と当接して上記カートリッジベースの移動を止め、上記ナイフホルダが初期の後退位置から離れる際に、上記ナイフホルダの制限突起は、上記カートリッジベースから離脱する。
【0014】
更に、いくつかの実施例では、上記カートリッジベースの近端部は、上記制限突起に対応する接触部分を有してもよく、上記制限突起は、上記接触部分に対応する当接部を有してもよく、上記ナイフホルダの制限突起が上記カートリッジベースの接触部分と当接して上記カートリッジベースを止める場合、上記制限バンプの当接部は、上記カートリッジシートの接触部分と接触して当接する。
【0015】
好ましくは、上記当接部は、上記接触部分と面対面の接触を実現する平面、又は、上記接触部分と線対面の接触を実現する線状の側縁部であり得る。
【0016】
更に、いくつかの実施例では、上記カートリッジベースの接触面は、平坦状、又は略平坦状であり得る。なお、本明細書では、「略平坦状」とは、多少の凹凸はあるが平面に近い平坦状を意味する。
【0017】
更に、いくつかの実施例では、上記ナイフホルダの制限突起は、金属製であり得る。好ましくは、上記ナイフホルダの制限突起とナイフホルダ本体は、鋼などの同じ金属材料で製造される。
【0018】
典型的には、上記ナイフホルダの制限突起がカートリッジベースの接触部分と当接してカートリッジベースを止める場合、機械的取り外し又は機械的取り付けの方式により、カートリッジベースに対してカートリッジアセンブリを取り外し又は取り付けることができる。
【0019】
更に、いくつかの実施例では、上記ナイフホルダは、上記カートリッジユニットを閉鎖させるために上記少なくとも1つの縁部に設けられる第1翼板と、上記制限突起と第1翼板との間にある間隔とを含み、上記カートリッジユニットが開位置と閉位置との間で上記アンビルに対して枢動する際に、上記カートリッジベースの近端部は、上記間隔内を往復移動する。
【0020】
更に、いくつかの実施例では、上記制限突起とナイフホルダは一体成形され得る。
【0021】
他の選択可能な実施例では、上記制限突起がナイフホルダ本体に対して独立して形成される場合、上記制限突起は、上記ナイフホルダ本体に固定して接続され得る。
【0022】
更に、いくつかの実施例では、上記制限突起の軸方向に平行な縦断面は、多角形又は円形であり得る。
【0023】
好ましくは、いくつかの実施例では、上記制限突起は、凸六角形の縦断面を有する柱体であり得る。
【0024】
好ましくは、いくつかの実施例では、上記制限突起は、四角柱であり得る。
【0025】
好ましくは、いくつかの実施例では、上記制限突起は、円柱であり得る。
【0026】
更に、いくつかの実施例では、上記制限突起は、ナイフホルダ本体に溶接され得る。
【0027】
他のいくつかの選択可能な実施例では、上記ナイフホルダにおいて、上記少なくとも1つの縁部とナイフホルダ本体の中心との間には、ナイフホルダ本体を貫通する貫通孔が設けられ得る。好ましくは、上記制限突起は、締り嵌め方式によって上記ナイフホルダの貫通孔に挿着されるピンであり、上記ピンは、上記貫通孔から適切な長さだけ延在することができる。
【0028】
更に、いくつかの実施例では、上記カートリッジアセンブリは、U字形カートリッジと、上記カートリッジ内側に設けられて上記記カートリッジのU字形の円周方向に沿って延在するカバー板とを含み、それにより、上記カートリッジと上記カバー板との間には、十字形のガイド通路が設けられる。上記ナイフホルダが、初期の後退位置から離れて軸方向に沿って遠端部へ移動して、上記カートリッジユニットが閉位置まで枢動するように駆動する場合、上記制限突起は、上記カートリッジベースの近端部から離脱して、上記ナイフホルダが上記ガイド通路を移動して通過できるようにする。好ましくは、上記ガイド通路の十字形構造は、上記ナイフホルダ本体が移動して通過するための中間本体部と、上記中間本体部と垂直で上記中間本体部から離れる方向に沿って両側へ延在する、制限突起が移動して通過するための横方向の隙間とを含む。
【0029】
更に、いくつかの実施例では、上記カートリッジアセンブリは、チタンステープルを押し出すためのステープル押し出しブロックと、上記中間本体部内に設けられる移動可能なスライダとを含み、上記スライダは、最初、上記中間本体部の近端に設けられ、上記ナイフホルダが軸方向に沿って遠端へ移動する際に、上記ナイフホルダ本体は、上記中間本体部内に入り、同時に、上記制限突起は、上記横方向の隙間内に入り、上記ナイフホルダが移動するにつれて、上記ナイフホルダ本体の遠端部が、上記スライダが上記中間本体部内を移動するように押し、その結果、上記スライダは、上記中間本体部内でステープル押し出しブロックを押してチタンステープルを押し出すことができる。
【0030】
更に、前述の実施例のいずれか一項に記載の吻合装置用のエンドエフェクタはいずれも腹腔鏡切断吻合装置に適用することができる。
【0031】
本開示の実施例によって提供される吻合装置用のエンドエフェクタは、以下の有益な効果を有する。
【0032】
本開示では、ナイフホルダに設けられてカートリッジベースを固定するための制限突起を提供することにより、ナイフホルダが初期の後退位置にあり、カートリッジベースに対してカートリッジアセンブリを取り外し又は取り付ける際に、外力の作用下で、制限突起がカートリッジベースと当接し、カートリッジベースを止め、カートリッジベースに対して吻合装置用のエンドエフェクタのカートリッジアセンブリを容易に取り外し又は取り付けることができ、その結果、カートリッジユニットの着脱及び交換がより簡便且つ迅速になる。
【0033】
更に、本開示は、カートリッジベースの接触部分、及び上記接触部分と嵌合する制限突起の当接部を提供し、それらの嵌合により、制限突起とカートリッジベースとの間の摩擦力が増加し、その結果、カートリッジベースは、制限突起により堅牢に押し付けられる。
【0034】
更に、本開示では、カートリッジアセンブリに、ナイフホルダが移動して通過するためのガイド通路が提供されるので、制限突起を含むナイフホルダが、カートリッジアセンブリ内を移動する際に、安定して移動することができ、また、カートリッジアセンブリの他の部分の動作を干渉せず、更に、カートリッジアセンブリは、ガイド通路に設けられる上記中間本体部内の移動可動なスライダを更に含み得るので、ナイフホルダがカートリッジアセンブリ内に移動するにつれて、ナイフホルダ本体の遠端部が、スライダが上記中間本体部内をスライドするように押し、その結果、スライダは、カートリッジアセンブリ内でステープル押し出しブロックを容易に押してチタンステープルを押し出すことができる。
【0035】
本開示は、特に、腹腔鏡切断吻合装置に適用する。
【0036】
本開示は、構造がシンプルで、操作しやすい。
【0037】
明細書に記載の図面は、本開示の実施例の更なる理解を提供し、本開示の一部を構成するために使用され、本開示の例的な実施例及びそれらの説明は、本開示を解釈するために使用されるが、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本開示のいくつかの実施例による吻合装置用のエンドエフェクタの分解図を例示的に示す。
【
図2】
図1における吻合装置用のエンドエフェクタの開状態下の全体図を例示的に示す。
【
図3】
図2における吻合装置用のエンドエフェクタの局所的斜視図を例示的に示す。
【
図4】
図2における吻合装置用のエンドエフェクタの局所的断面図を例示的に示す。
【
図5】
図2における吻合装置用のエンドエフェクタのナイフホルダの構造概略図を例示的に示す。
【
図6】
図2における吻合装置用のエンドエフェクタのカートリッジベースの構造図を例示的に示す。
【
図7】
図2における吻合装置用のエンドエフェクタのカートリッジベースの構造図を例示的に示す。
【
図8】
図2における吻合装置用のエンドエフェクタのカートリッジベースとカートリッジアセンブリとの組み合わせ状態を例示的に示す。
【
図9】
図8におけるA-A断面に沿って観察される断面図を例示的に示す。
【
図10】
図9におけるカートリッジアセンブリ内のガイド通路の構造概略図を例示的に示す。
【
図11】
図2における吻合装置用のエンドエフェクタの閉鎖状態下の構造概略図を例示的に示す。
【
図12】本開示の更なるいくつかの実施例による吻合装置用のエンドエフェクタのナイフホルダの構造概略図を例示的に示す。
【
図13】本開示の他のいくつかの実施例による吻合装置用のエンドエフェクタのナイフホルダの構造概略図を例示的に示す。
【
図14】本開示の別のいくつかの実施例による吻合装置用のエンドエフェクタのナイフホルダの構造概略図を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下では、本開示の特定の実施例及び対応する図面を参照しながら、本開示の技術的解決手段を明確、完全に説明している。明らかに、説明した実施例は、本開示の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本開示における実施例に基づき、創造的な作業なしに当業者によって得られる他の全ての実施例は、本開示の保護範囲に属すべきである。
【0040】
まず、前述のように、吻合装置は、一般に、遠端に位置するエンドエフェクタ、近端に位置するハンドル部、及びエンドエフェクタとハンドル部との間に接続される接続伝動部で構成される。接続伝動部は、中空管を有し得、中空管内には、中空管の軸方向に沿って往復摺動可能な伝動ロッドが設けられ、伝動ロッドは、通常、近端部において吻合装置のハンドル部の作動装置に接続され、遠端部においてエンドエフェクタに接続される。手術を行う場合、作動装置は、伝動ロッドを軸方向に沿って移動するように作動させ、エンドエフェクタ作動させて組織をクランプする。
【0041】
以下では、図面を参照しながら、本開示の実施例によって提供される技術的解決手段を詳細に説明する。
【0042】
図1~11は、本開示のいくつかの実施例による吻合装置10用のエンドエフェクタ100を示し、ここで、エンドエフェクタ100は、近端と遠端との間を移動可能なナイフホルダ200と、枢動可能に接続されて相互に開閉可能なカートリッジユニット101及びアンビル102とを含み、カートリッジユニット101は、カートリッジベース103と、カートリッジベース103に着脱可能に取り付けられるカートリッジアセンブリ104とを含む。
【0043】
ナイフホルダ200は、ナイフホルダ本体210と、ナイフホルダ本体210の遠端部付近に設けられて、ナイフホルダ本体210から、ナイフホルダ本体210から離れる方向に沿って外向きに垂直に延在する少なくとも1つの制限突起220とを含み、制限突起220は、ナイフホルダ本体210のカートリッジベース103に近い少なくとも1つの縁部214と、ナイフホルダ本体210の中心との間に設けられる。
【0044】
カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り外し又は取り付ける際に、カートリッジユニット101は、開位置にあり、ナイフホルダ200は、初期の後退位置にあり、ナイフホルダ200の制限突起220は、カートリッジベース103の近端部と当接してカートリッジベース103を止め、ナイフホルダ200が初期の後退位置から離れる際に、ナイフホルダ200の制限突起220は、カートリッジベース103から離脱する。
【0045】
図1及び
図2に示すように、典型的には、カートリッジアセンブリ104は、カートリッジベース103に着脱可能に取り付けられ、カートリッジベース103は、
図1に示される回転可能な枢軸108によってアンビル102に取り付けられ、その結果、カートリッジユニット101は、開位置及び閉位置においてアンビル102に対して枢動することができる。中空管300内の伝動ロッドの伝動作用下で、ナイフホルダ200は、軸方向に沿って往復移動することができる。典型的には、
図5に示すように、ナイフホルダ200は、Iビームの形状である。
【0046】
カートリッジベース103の近端部には、制限突起220に対応する接触部分105が設けられ、制限突起220は、接触部分105に対応する当接部を有することができる。カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り外し又は取り付ける際、カートリッジユニット101は、アンビル102に対して開位置にあり、カートリッジアセンブリ104は、カートリッジベース103に対して開位置にあり、ナイフホルダ200は、初期の後退位置にあり、ナイフホルダ200の制限突起220の当接部は、カートリッジベース103の接触部分105と当接してカートリッジベース
103を止め、この際に、
図2に示すように、カートリッジアセンブリ104に外力Fを加えることにより、カートリッジアセンブリ104とカートリッジベース103との取り外し/分離を実現することができる。更に、ナイフホルダ200が初期の後退位置から離れて軸方向に沿って遠端へ移動する場合、ナイフホルダ200の制限突起220の当接部は、カートリッジベース103の接触部分105から離脱することができる。
【0047】
好ましくは、上記当接部は、
図1及び
図3に示すように、接触部分105と面対面の接触を実現する平面221であってよく、又は、上記当接部は、
図13及び
図14に示すように、接触部分105と線対面の接触を実現する線状の側縁部であってもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、ナイフホルダ200の制限突起220は、一定の剛性を有する剛性構成材で形成され得、例えば、鋼などの金属で製造され得るので、カートリッジベース103を効果的に止めることが実現できる。好ましくは、制限突起220の材料は、ナイフホルダ本体210の材料と同じであり得る。他の実施例では、制限突起220の材料は、ナイフホルダ本体210の材料と異なってもよい。
【0049】
更に、
図1、3及び4に示すように、いくつかの実施例では、制限突起220は、カートリッジベース103の上記の少なくとも1つの縁部214に面する平面221を有し得るので、面対面の接触によりカートリッジベース103を止めることを実現する。具体的には、ナイフホルダ200の制限突起220がカートリッジベース103の接触部分105と当接してカートリッジベース103を止める場合、制限突起220の平面221は、カートリッジベース103の接触部分(接触面)105と接触して当接することができる。
図3は、制限突起220の平面221とカートリッジベース103の接触部分(接触面)105が接触していない状態を例示的に示しており、
図4は、制限突起220の平面221とカートリッジベース103の接触部分(接触面)105が緊密に当接している状態を模式的に示す。この際、カートリッジユニット101は、開位置にあり、ナイフホルダ200は、初期の後退位置にあり、また、カートリッジアセンブリ104は、カートリッジベース103に取り付けられて、開位置にある。
【0050】
更に、
図4における状態下で、接触部分(接触面)105は、吻合装置10の軸方向に平行であり得る。
【0051】
更に、平面221と接触部分(接触面)105との間の摩擦力を増加させるために、平面221は、一定の粗さを有し得、例えば、平面221に凹凸が設けられてもよい。
【0052】
同様に、カートリッジベース103の接触部分(接触面)105は、一定の粗さを有してもよく、例えば、凹凸が設けられてもよい。更に、いくつかの実施例では、カートリッジベース103の接触部分(接触面)105は、平坦状、又は略平坦状であり得る。典型的には、いくつかの実施例では、
図4及び5に示すように、カートリッジベース103の接触部分(接触面)105は、平坦状であり得るので、制限突起220の平面221との接触面積が増加し、更に、接触部分(接触面)105と平面221との間の摩擦力も増加し、その結果、制限突起220は、カートリッジベース103を効果的に当接して止めることができる。他のいくつかの選択可能な実施例では、カートリッジベース103の接触部分(接触面)105は、略平坦状であり、例えば、
図3、6及び7に示すように、接触部分105は、凹部を有しても、又は、平面221に対して少し傾斜してもよく、その結果、平面221と接触部分(接触面)105は、容易に接触又は離脱することができる。接触部分105の形状が対応する制限突起220の形状と一致してさえいれば、接触部分(接触面)105の形状は、凹部に限定されないことが理解できる。
【0053】
図6及び7はそれぞれ2つの視点から
図1における吻合装置用のエンドエフェクタ100のカートリッジベース103の構造図を例示的に示したものである。ここで、
図6(a)は、カートリッジベース103の外側斜視図を例示的に示し、
図6(b)は、
図6(a)のカートリッジベース103の近端部の円I部分の局所拡大図を例示的に示し、
図7(a)は、カートリッジベース103の内側斜視図を例示的に示し、
図7(b)は、
図7(a)のカートリッジベース103の近端部の円II部分の局所拡大図を例示的に示す。
【0054】
図8は、
図2における吻合装置用のエンドエフェクタのカートリッジベース103とカートリッジアセンブリ104との組み合わされた状態を例示的に示し、
図9は、
図8のA-A断面に沿って観察されるカートリッジユニット101の断面図を例示的に示す。
図8及び9に示すように、符号107は、カートリッジアセンブリ104を接続するためのカートリッジベース103の接続構造を表し、それは、例えば、接続孔107であり、符号108は、カートリッジベース103をアンビル102に取り付けるための回転可能な枢軸を表し、符号109は、カートリッジベース103と嵌合するためのカートリッジアセンブリ104の弾性突出部を表す。
【0055】
いくつかの実施例では、ナイフホルダ200の制限突起220がカートリッジベース103の接触部分105と当接してカートリッジベース103を止める際、機械的取り外し又は機械的取り付けの方式により、カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り外し又は取り付けることができる。例えば、カートリッジアセンブリ
104がカートリッジベース103に取り付けられる際、
図2に示すように、外力Fを加えることにより、制限突起220の当接部をカートリッジベース103の接触部分105に当接させ、その後、締り嵌めによって弾性突出部109を接続孔107に挿入し、カートリッジアセンブリ104とカートリッジベース103とを接続/組み立てることができる。カートリッジベース103からカートリッジアセンブリ104を取り外す際は、カートリッジアセンブリ104に外力を加えることにより、弾性突出部109に弾性変形を発生させて接続孔107から離脱させ、それにより、カートリッジアセンブリ104とカートリッジベース103を相互に離脱させることができる。
【0056】
更に、いくつかの実施例では、
図1及び3に示すように、ナイフホルダ200は、カートリッジユニット101を閉じるために、上記の縁部214に設けられる第1翼板211と、制限突起220と第1翼板211との間に位置する間隔215とを含み、
図3及び4に示すように、カートリッジユニット101が開位置と閉位置との間でアンビル102に対して枢動する場合、カートリッジベース103の近端部は、間隔215内を往復摺動可能である。
【0057】
更に、
図9~11に示すように、カートリッジアセンブリ104は、U字形カートリッジ1041と、カートリッジ1041内に設けられてカートリッジ1041のU字形の円周方向に沿って延在するカバー板1042とを含むので、カートリッジ1041とカバー板1042との間には、十字形のガイド通路1043が設けられ得る。ナイフホルダ200が初期の後退位置から離れて軸方向に沿って遠端へ移動し、カートリッジユニット101を閉位置まで枢動するように駆動させる際、制限突起220は、ナイフホルダ200がガイド通路1043を移動通過できるように、カートリッジベース103の近端部から離脱する。好ましい実施例では、
図9及び10に示すように、ガイド通路1043の十字形は、上記ナイフホルダ本体210が移動して通過するための中間本体部と、上記中間本体部と垂直で上記中間本体部から離れる方向に沿って両側へ延在する、制限突起220が移動して通過するための横方向の隙間1044とを含むように配置され得る。上記中間本体部は、ナイフホルダ本体210の形状とフィットするので、ナイフホルダ本体210は、上記中間本体部内を自由にスライドすることができ、横方向の隙間1044は、制限突起220の形状とフィットするので、制限突起220は、横方向の隙間1044内を自由にスライドすることができる。
【0058】
更に、
図5に示すように、ナイフホルダ本体210は、遠端部230を有し得、カートリッジアセンブリ104は、チタンステープルを押し出すためのチタンステープル押し出しブロックと、上記中間本体部内に設けられる移動可能なスライダとを含み、上記スライダは、最初、上記中間本体部の近端に設けられ、ナイフホルダ200が軸方向に沿って遠端へ移動する際に、ナイフホルダ本体210は上記中間本体部内に入り、同時に、制限突起220は横方向の隙間1044内に入り、ナイフホルダ200が移動するにつれて、ナイフホルダ本体210の遠端部230が、上記スライダを押して上記中間本体部内にスライドさせ、その結果、上記スライダは、上記中間本体部内でステープル押し出しブロックを押してチタンステープルを押し出すことができる。
【0059】
具体的には、カートリッジアセンブリ104がカートリッジベース103に取り付けられている状態で、ナイフホルダ200が初期の後退位置から離れて軸方向に沿って遠端に移動する際に、ナイフホルダ200における第1翼板211は、カートリッジベース103の近端の側面と当接してカートリッジベース103に圧力を加え、カートリッジベース103の接触部分105を移動させて制限突起220の当接部から離脱させる。続いて、カートリッジベース103は、第1翼板211によって加えられる圧力を受け続けるため、カートリッジユニット101は、アンビル102に対して回転して閉じることができる。同時に、カートリッジユニット101がアンビル102に対して閉じる過程において、ナイフホルダ200は、カートリッジアセンブリ104内のU字形カートリッジ1041へ継続的に移動し、カートリッジ1041とカバー板1042との間のガイド通路1043内に入り、ここで、ナイフホルダ本体210は、上記中間本体部内をスライドすることができ、同時に、制限突起220は、横方向の隙間1044内をスライドすることができる。
【0060】
更に、上記の閉じる過程の初期に、上記スライダは、ガイド通路1043の近端に設けられてもよく、より具体的には、上記中間本体部内の近端に設けられる。ナイフホルダ200が初期の後退位置から離れて軸方向に沿って遠端に向かってガイド通路1043の近端まで移動する際に、ナイフホルダ本体210の遠端部230は、ガイド通路1043の上記中間本体部内に入り、初期位置のスライダと接触し、ナイフホルダ200が遠端へ継続的に移動するにつれて、ナイフホルダ本体210の遠端部230が、スライダを押してガイド通路1043の上記中間本体部内にスライドさせることができるので、スライダによりステープル押し出しブロックを押してチタンステープル押し出させ、吻合操作を行うことができる。同時に、制限突起220は、横方向の隙間1044内をスライドすることができ、吻合/発射が完了した後、スライダは、ガイド通路1043内の遠端まで押され、遠端に留まることができ、この際、ナイフホルダ200を初期の後退位置に後退させ、新しいカートリッジアセンブリ104を交換することができる。ナイフホルダ200がステープル押し出しブロックを押してチタンステープルを押し出すことの詳細は、従来技術を参照することができる。
【0061】
以下において、
図1~11は、カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り外し又は取り付ける過程を示す。
【0062】
まず、カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り外す過程を説明する。
【0063】
カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り外す場合、まず、
図2に示すように、ナイフホルダ200を初期の後退位置に移し、カートリッジユニット101を開位置まで開ける。次に、
図2及び3に示すように、
図2における矢印のとおりにカートリッジベース103に外力Fを加えると、カートリッジベース103は、ナイフホルダ200に向かって回転することができるので、ナイフホルダ200の制限突起220の当接部が、カートリッジベース103の接触部分105と接触し当接して、カートリッジベース103を止めることができ、例えば、
図4に示すように、制限突起220の平面221が、カートリッジベース103の接触部分105と接触して当接することができる。次に、カートリッジベース103が動かない状態下で、外力を継続的に加え、機械的手段により、カートリッジベース103からカートリッジアセンブリ104を取り外すことができ、例えば、
図8及び9に示すように、外力を加えることで、カートリッジアセンブリ104の弾性突出部109に、弾性変形を発生させてカートリッジベース103の接続孔107から離脱させ、その結果、カートリッジアセンブリ104とカートリッジベース103を相互に離脱させることができる。
【0064】
次に、カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り付ける過程を説明する。
【0065】
まず、ナイフホルダ200を初期の後退位置に移し、カートリッジユニット101を開位置まで開ける。次に、カートリッジベース103に外力Fを加え(
図3を参照)、カートリッジベース103は、ナイフホルダ200に向かって回転することができるので、ナイフホルダ200の制限突起220の当接部は、カートリッジベース103の接触部分105と接触し当接してカートリッジベース103を止めることができ、例えば、制限突起220の平面221は、カートリッジベース103の接触部分105と接触して当接することができる。次に、カートリッジベース103が動かない状態下で、外力を継続的に加えることにより、機械的手段により、カートリッジアセンブリ104をカートリッジベース103に取り付けることができ、例えば、外力を加えることで、カートリッジアセンブリ104の弾性突出部109に、弾性変形を発生させてカートリッジベース103の接続孔107に挿入し、その結果、カートリッジアセンブリ104とカートリッジベース103とを相互に接続して組み立てることができる。
【0066】
吻合装置10を操作する時、伝動ロッドを通して、ナイフホルダ200を伸ばすように作動させて、初期の後退位置から離れるように移動させ、その結果、制限突起220をカートリッジベース103の接触部分(接触面)105から離脱させることができる。ナイフホルダ200が伸び出すと同時に、ナイフホルダ200の第1翼板
211は、カートリッジベース103に対して閉じる力を加え、カートリッジベース103は、
図6に示されるガイドレール面106に沿って回転し、その結果、カートリッジユニット101をアンビル102に対して閉じさせることで、カートリッジユニット101とアンビル102がヒトの組織をクランプして手術操作をすることができる。上記の閉じる過程において、ナイフホルダ200は、カートリッジ1041とカバー板1042との間のガイド通路1043内をスライドすることができ、ナイフホルダ本体210は、上記中間本体部内をスライドすることができ、制限突起220は、横方向の隙間1044をスライドすることができる。その結果、ナイフホルダ210の遠端部230は、上記スライダがステープル押し出しブロックを押してチタンステープルを押し出すように、上記スライダが上記中間本体部内にスライドするように押すことができる。
【0067】
上記内容から分かるように、カートリッジベース103への制限突起220の固定作用により、カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を容易に取り外し又は取り付けることができ、その結果、カートリッジユニット101を簡便且つ迅速に取り外し、取り付け及び交換することができる。
【0068】
更に、カートリッジベース103の接触部分105、及び接触部分105と嵌合する制限突起220の当接部を提供することにより、制限突起220とカートリッジベース103との間の摩擦力を増加させ、カートリッジベース103を制限突起220と、より堅牢に当接させることができる。
【0069】
更に、カートリッジアセンブリ104には、ナイフホルダ200が移動して通過するためのガイド通路1043が提供されるので、ナイフホルダ200は、カートリッジアセンブリ104内を移動する際に安定して移動することができ、カートリッジアセンブリ104の他の部分の動作に干渉せず、更に、カートリッジアセンブリ104のガイド通路1043の上記中間本体部内に移動可動なスライダを提供できるので、ナイフホルダ200がカートリッジアセンブリ104内に移動するにつれて、ナイフホルダ本体210の遠端部230が、スライダが上記中間本体部内をスライドするように押し、その結果、スライダが、カートリッジアセンブリ104内において、ステープル押し出しブロックを容易に押してチタンステープルを押し出すことが可能になる。
【0070】
更に、ナイフホルダ本体210の両側には、少なくとも1つの制限突起220がそれぞれ設けられる。
【0071】
更に、制限突起220とナイフホルダ本体210は一体成形されても、制限突起220は、ナイフホルダ本体210に対して独立して形成されてもよく、この場合、制限突起220は、ナイフホルダ本体210に固定して接続することができる。
【0072】
図5、
図12~14に示すように、いくつかの実施例では、制限突起220の縦断面は、多角形又は円形であり得る。
【0073】
更に、
図7に示すように、いくつかの実施例では、制限突起220は、凸六角形の縦断面を有する柱体であり得る。従って、この例では、制限突起220とカートリッジベース103、又は接触部分105とは、面対面の接触となる。
【0074】
更に、
図12に示すように、他のいくつかの実施例では、制限突起220は、四角柱であり得る。従って、この例では、制限突起220とカートリッジベース103、又は接触部分105とは、面対面の接触である。符号212は、制限突起220の第1翼板211に対向する第2翼板212を表すことができる。
【0075】
上記実施例では、規則的な形状を有する凸六角形の柱体、及び四角柱は、その軸方向の平面221が平坦状であるので、制限突起220とカートリッジベース103、又は接触部分105とを面対面で接触させる際に、接触部分の面積が大きくなり、摩擦力がより大きくなり、応力がより均一になる。
【0076】
更に、
図13に示すように、更なるいくつかの実施例では、制限突起220は、円柱であり得る。この例では、制限突起220とカートリッジベース103、又は接触部分105とは、線対面の接触であるが、その形状が円柱状であるので、制限突起220を容易に加工して取り付けることができる。符号212は、制限突起220の第1翼板211に対向する第2翼板212を表すことができる。
【0077】
更に、別のいくつかの実施例では、制限突起220は、ナイフホルダ200に固定され得る。好ましくは、
図7に示すように、制限突起220は、ナイフホルダ200の表面に溶接され得る。
【0078】
更に、他の実施例では、制限突起220は、挿着などの着脱可能な方式によってナイフホルダ200の表面に取り付けることができる。この例では、制限突起220は交換可能であるので、ナイフホルダ200の耐用年数が延びる。
【0079】
更に、
図14に示すように、いくつかの実施例では、ナイフホルダ200の縁214とナイフホルダ本体210の中心との間には、ナイフホルダ本体210を貫通する貫通孔213が設けられ、制限突起220は、締り嵌め方式によってナイフホルダ本体210の貫通孔
213に挿着されるピンであり得、ピンは貫通孔
213から適切な長さだけ延在する。ピンは貫通孔
213から適切な長さだけ延在するので、カートリッジベース103が制限突起220に向かって回転する際に、ピンは、カートリッジベース103の近端部の接触部分105と効果的に当接してカートリッジベース103を止めることができ、また、エンドエフェクタ100の他の部分が正常に動作することを干渉しない。
【0080】
更に、前述の実施例のいずれか一項に記載の吻合装置用のエンドエフェクタ100は腹腔鏡切断吻合装置に適用することができる。
【0081】
本開示は、特に、腹腔鏡切断吻合装置に適用するが、それに限定されず、場合によっては、他の適切な吻合装置に適用することができる。
【0082】
腹腔鏡切断吻合装置を一例として、本開示のいくつかの実施例による吻合装置用のエンドエフェクタ100の操作方法を例示的に説明する。該例では、カートリッジアセンブリ104はいずれも使い捨てであり、制限突起220は、六角形のボス構造であり得る。
【0083】
まず、カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り外す過程を説明する。
【0084】
図1~4に示すように、腹腔鏡切断吻合装置を操作する時、アンビル102は固定されて動かず、使い捨てのカートリッジアセンブリ104が、中空管300を中心として回転し、エンドエフェクタ100のジョーの開閉を駆動し、組織をクランプ又は解放することを実現する。ジョーが閉じる場合、吻合装置10の伝動ロッドは、Iビーム状ナイフホルダ200が前進するように動かしてジョーを閉じ、ジョーが開く場合、吻合装置10の伝動ロッドは、Iビーム状ナイフホルダ200が後退するように動かし、次に、アンビル102におけるバネの弾性シートがカートリッジアセンブリ104を突き出し、ジョーを開かせる。
【0085】
図4に示すように、制限突起220は、第1翼板211の左下に設けられ得る。カートリッジベース103の近端部は、制限突起220と第1翼板
211との間の間隔215を通過することができる。
図3及び
図4に示すように、カートリッジベース103の近端部は、制限突起220に面する凹部を有する接触部分105と、第1翼板211に面するガイドレール面106とを有し得る。
【0086】
手術が完了した後、使い捨てのカートリッジアセンブリ104を取り外して交換する際に、ナイフホルダ200が初期の後退位置に後退させられ、このとき、カートリッジユニット101は開位置にある。次に、
図2における矢印のとおりに取り外し用の外力Fを加えると、カートリッジベース103は、制限突起220に向かって回転するので、カートリッジベース103の接触部分105が制限突起220と接触して当接し、そのため、カートリッジベース103が止めて固定され、カートリッジベース103に取り付けられるカートリッジアセンブリ
104が、中空管300を中心として回転することはない。機械的外力を更に加えると、弾性突出部109の構造に弾性変形が生じるので、カートリッジアセンブリ104とカートリッジベース103は相互に離脱し、カートリッジアセンブリ104を簡便且つ迅速に取り外すことができる。
【0087】
次に、カートリッジベース103に対してカートリッジアセンブリ104を取り付ける過程を説明する。
【0088】
ナイフホルダ200を初期の後退位置に移し、また、カートリッジユニット101を開位置まで開ける。次に、カートリッジベース103に外力を加えると、カートリッジベース103は、ナイフホルダ200に向かって回転することができるので、制限突起220の軸方向の平面221は、カートリッジベース103の接触部分105と接触して当接する。次に、カートリッジベース103が動かない状態下で、外力を継続的に加えることで、カートリッジアセンブリ104の弾性突出部109に弾性変形を発生させてカートリッジベース103の接続孔107に挿入し、その結果、カートリッジアセンブリ104とカートリッジベース103を相互に接続して組み立てることができる。
【0089】
吻合装置10を操作する時、伝動ロッドを通して、ナイフホルダ200を伸び出して初期の後退位置から離れるように駆動させ、その結果、制限突起220がカートリッジベース103の接触部分105から離脱するようにすることができる。ナイフホルダ200が伸び出すと同時に、ナイフホルダ200の第1翼板
211は、カートリッジベース103に閉じる力を加え、カートリッジベース103は、
図6に示されるガイドレール面106に沿って回転することができ、その結果、カートリッジユニット101がアンビル102に対して閉じられ、カートリッジユニット101とアンビル102がヒトの組織を容易にクランプして手術操作をする。上記の閉じる過程において、ナイフホルダ200は、カートリッジ1041とカバー板1042との間のガイド通路1043内をスライドすることができ、ここで、ナイフホルダ本体210は、上記中間本体部内をスライドすることができ、また、制限突起220は、横方向の隙間1044をスライドすることができ、その結果、ナイフホルダ210の遠端部230が、上記スライダがステープル押し出しブロックを押してチタンステープルを押し出すように、上記スライダが上記中間本体部内をスライドするように押すことができる。
【0090】
以上をまとめると、本開示では、カートリッジベースからエンドエフェクタのカートリッジアセンブリを容易に取り外し又は取り付けることができ、その結果、カートリッジユニットの取り付け、取り外し及び交換が、簡便且つ迅速になる。
【0091】
なお、本明細書では、「含む」、「備える」という用語又はそれらの任意の他の変形は非排他的な包含を意味しており、一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器は、必ずしもそれら元素のみに限定されず、明確には列挙されない他の要素、又はそのような過程、方法、物品又は機器に固有の要素を包含することができる。特に限定されない場合、「・・・を含む」という言葉によって限定された要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品又は機器における、更なる同一要素の存在を排除しない。
【0092】
最後、説明すべきこととして、上記の実施例は、本開示の技術的解決手段を説明するために使用されるに過ぎず、それらを限定することを意図するものではない。前述の実施例を参照しながら本開示をより詳細に説明したが、当業者は、前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうち一部の技術的特徴に対して同等の置換を行うことができることを理解すべきであり、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を、本開示の実施例の技術的解決手段の精神及び範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0093】
10 吻合装置
100 エンドエフェクタ
101 カートリッジユニット
102 アンビル
103 カートリッジベース
104 カートリッジアセンブリ
1041 カートリッジ
1042 カバー板
1043 ガイド通路
1044 横方向の隙間
105 接触部分
106 ガイドレール面
107 接続構造
108 回転可能な枢軸
109 弾性突出部
200 ナイフホルダ
210 ナイフホルダ本体
211 第1翼板
212 第2翼板
213 貫通孔
214 縁
215 間隔
220 制限突起
221 軸方向平面
230 遠端部
300 中空管
F 外力