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特許7507314材料特徴付のための光源構成の選択のための技法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】材料特徴付のための光源構成の選択のための技法
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/126 20230101AFI20240620BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20240620BHJP
   G01N 21/35 20140101ALI20240620BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20240620BHJP
   G01J 3/10 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G06N3/126
G01N21/01 D
G01N21/35
G06N3/02
G01J3/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023526491
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 US2021057896
(87)【国際公開番号】W WO2022098758
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】16/949,601
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ガロイド
(72)【発明者】
【氏名】バナタオ,ディオスダド レイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンチャルク,アルテム
(72)【発明者】
【氏名】トリート,ニール
【審査官】宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-196669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0355459(US,A1)
【文献】特表2014-525587(JP,A)
【文献】米国特許第05952660(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/126
G01N 21/01
G01N 21/35
G06N 3/02
G01J 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光センサ光源構成を選択するための方法であって、前記方法が、
コンピュータシステムによって、複数の光源を記述する光源データセット、及び複数の材料を記述する分光データセットを取得することと、
前記コンピュータシステムによって、初期世代の解であって、前記初期世代の解のうちの個別解が、前記複数の光源のうちの光源のサブセットを含む、初期世代の解を用いて遺伝的アルゴリズムを初期化することと、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記初期世代の解から第1の個別解及び第2の個別解であって、前記第1及び第2の個別解が、第1の染色体符号化及び第2の染色体符号化によってそれぞれ記述される、第1の個別解及び第2の個別解を選択することと、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記第1の染色体符号化と前記第2の染色体符号化とを組み合わせることによって前記第1及び第2の個別解から新しい個別解を生成することと、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記複数の材料のうちのターゲット材料に対する前記新しい個別解の特異性を評価することと、
前記ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性が、前記ターゲット材料に対する前記第1の個別解の特異性又は前記ターゲット材料に対する前記第2の個別解の特異性を上回ったことに従って、前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記新しい個別解を新世代の解に追加することと、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記新世代の解に複数の新しい個別解を集合することと、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記遺伝的アルゴリズムを反復することによって1つ以上の後続世代の解を生成することと、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記1つ以上の後続世代のうちの最終世代から1つ以上の実現個別解であって、前記1つ以上の実現個別解が、前記ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する、1つ以上の実現個別解を選択することと、
前記コンピュータシステムによって、前記1つ以上の実現個別解であって、前記1つ以上の実現個別解のうちの実現個別解が、前記分光センサ光源構成を含む、前記1つ以上の実現個別解を出力させることと、を含む方法。
【請求項2】
前記新しい個別解を評価することが、
前記新しい個別解を、人工ニューラルネットワーク内で実現される分類器モデルに入力することと、
複数の材料分類からの複数のスペクトルを含む前記分光データセットを前記分類器モデルに入力することと、
前記新しい個別解について、前記分類器モデルを使用して、前記ターゲット材料を含む第1の材料分類と前記ターゲット材料を除外する第2の材料分類との間の最低群間距離を評価することと、を含み、
前記最低群間距離が、1つ以上の他の材料に対する前記ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性を記述する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性を評価することが、
前記新しい個別解を作る前記光源のサブセット上に前記複数のスペクトルを投影することによって、複数の投影像を生成することと、
前記複数の投影像を使用して、複数の精度値を生成することと、
前記複数の精度値を特徴空間にマッピングすることと、
前記特徴空間内の精度値の1つ以上のクラスタを識別することと、
前記精度値の1つ以上のクラスタ間の複数の群間距離を評価することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分光データセットが、前記複数の材料分類に類別された前記複数の材料についての複数のFTIR吸収スペクトルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光源のサブセットが、中心波長及び波長範囲によってそれぞれ記述される10個の光源を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータシステムによって、前記第1及び第2の個別解を評価することが、フィットネス関数の出力に部分的に基づき、前記フィットネス関数が、前記ターゲット材料に対する前記第1及び第2の個別解の前記特異性を示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記新しい個別解を生成することが、前記第1の個別解及び前記第2の個別解の両方から、前記新しい個別解に寄与した重複光源を除去することによって、前記光源のサブセットを重複排除することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ターゲット材料に対する個別解の特異性が閾値を超えるとき、前記1つ以上の後続世代にわたって前記個別解を保持することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ターゲット材料が、材料のクラスのタイプ標準、前記材料のクラス内の特異的な材料、添加物、汚染物質、組成材料、又は複合材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の実現個別解を出力することが、
前記分光センサ光源構成から分光センサ光源を構築するように構成された組み立てシステムに、前記1つ以上の実現個別解のうちの実現個別解を提供することと、
前記1つ以上の実現個別解のうちの前記実現個別解に従って、前記分光センサ光源を構築することと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の実現個別解を出力することが、
前記1つ以上の実現個別解のうちの実現個別解に従って、材料スクリーニングシステムの分光センサ光源を構成することと、
前記分光センサ光源を使用して、前記ターゲット材料について、廃棄材料流をスクリーニングすることと、
前記廃棄材料流から前記ターゲット材料を選択することと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
分光センサ光源カスケードを構成するための方法であって、前記方法が、
コンピュータシステムによって、複数の光源を記述する光源データセット、及び複数の材料を記述する分光データセットを取得することと、
前記複数の材料の一次ターゲット材料及び二次ターゲット材料を識別することと、
前記コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記一次ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する一次実現個別解を生成することと、
前記コンピュータシステムによって、第2の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記二次ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する二次実現個別解を生成することと、
前記コンピュータシステムによって、前記一次実現個別解及び前記二次実現個別解を出力することと、を含み、
前記一次ターゲット材料が、第1の材料クラスを含み、前記二次ターゲット材料が、前記第1の材料クラスのうちの第1のメンバを含み、
前記一次実現個別解が、前記第1の材料クラスを第2の材料クラスから区別するように生成され、
前記二次実現個別解が、前記第1の材料クラスのうちの前記第1のメンバを前記第1の材料クラスのうちの第2のメンバから区別するように生成される、方法。
【請求項13】
前記一次実現個別解を生成することが、
前記一次ターゲット材料に関連付けられた前記分光データセットから、1つ以上の関心帯域を識別することと、
前記コンピュータシステムによって、初期世代の解であって、前記初期世代の解のうちの個別解が、前記複数の光源のうちの光源のサブセットを含む、初期世代の解を用いて前記第1の遺伝的アルゴリズムを初期化することと、
前記コンピュータシステムによって、前記第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記初期世代の解から第1の個別解及び第2の個別解であって、前記第1及び第2の個別解が、第1の染色体符号化及び第2の染色体符号化によってそれぞれ記述される、第1の個別解及び第2の個別解を選択することと、
前記コンピュータシステムによって、前記第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記第1の染色体符号化と前記第2の染色体符号化とを組み合わせることによって前記第1及び第2の個別解から新しい個別解を生成することと、
前記コンピュータシステムによって、前記第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記1つ以上の関心帯域に部分的に基づいて、前記一次ターゲット材料に対する前記新しい個別解の特異性を評価することと、
前記一次ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性が、前記一次ターゲット材料に対する前記第1の個別解の特異性、又は前記一次ターゲット材料に対する前記第2の個別解の特異性を上回ったことに従って、
前記コンピュータシステムによって、前記第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記新しい個別解を新世代の解に追加することと、
前記コンピュータシステムによって、前記第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記新世代の解に複数の新しい個別解を集合することと、
前記コンピュータシステムによって、前記第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記第1の遺伝的アルゴリズムを反復することによって1つ以上の後続世代の解を生成することと、
前記コンピュータシステムによって、前記第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、前記1つ以上の後続世代のうちの最終世代から前記一次実現個別解であって、前記一次実現個別解が、前記一次ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する、前記一次実現個別解を選択することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記一次ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性を評価することが、
前記新しい個別解を作る複数の光源のうちの光源のサブセット上に、前記分光データセットの複数のスペクトルを投影することによって、複数の投影像を生成することと、
前記複数の投影像を使用して、複数の精度値を生成することと、
前記複数の精度値を特徴空間にマッピングすることと、
前記特徴空間内の精度値の1つ以上のクラスタを識別することと、
前記精度値の1つ以上のクラスタ間の複数の群間距離を評価することと、
前記複数の群間距離から最低群間距離を評価することと、を含み、
前記最低群間距離が、1つ以上の他の材料に対する前記一次ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性を記述する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分光データセットが、複数の材料分類に類別された前記複数の材料についての複数のFTIR吸収スペクトルを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の遺伝的アルゴリズムが、前記第1の遺伝的アルゴリズムである、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
コンピュータシステムによって、複数の光源を記述する光源データセット、及び複数の材料を記述する分光データセットを取得させ、
前記コンピュータシステムによって、初期世代の解であって、前記初期世代の解の個別解が、前記複数の光源のうちの光源のサブセットを含む、初期世代の解を用いて遺伝的アルゴリズムを初期化させ、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記初期世代の解から第1の個別解及び第2の個別解であって、前記第1及び第2の個別解が、第1の染色体符号化及び第2の染色体符号化によってそれぞれ記述される、第1の個別解及び第2の個別解を選択させ、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記第1の染色体符号化と前記第2の染色体符号化とを組み合わせることによって前記第1及び第2の個別解から新しい個別解を生成させ、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記複数の材料のうちのターゲット材料に対する前記新しい個別解の特異性を評価させ、
前記ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性が、前記ターゲット材料に対する前記第1の個別解の特異性又は前記ターゲット材料に対する前記第2の個別解の特異性を上回ったことに従って、前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記新しい個別解を新世代の解に追加させ、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記新世代の解に複数の新しい個別解を集合させ、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記遺伝的アルゴリズムを反復することによって1つ以上の後続世代の解を生成させ、
前記コンピュータシステムによって、前記遺伝的アルゴリズムを使用して、前記1つ以上の後続世代のうちの最終世代から1つ以上の実現個別解であって、前記1つ以上の実現個別解が、前記ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する、最終世代から1つ以上の実現個別解を選択させ、
前記コンピュータシステムによって、前記1つ以上の実現個別解であって、前記1つ以上の実現個別解のうちの実現個別解が、分光センサ光源構成を含む、前記1つ以上の実現個別解を出力させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記ターゲット材料が、一次ターゲット材料であり、前記遺伝的アルゴリズムが、第1の遺伝的アルゴリズムであり、前記1つ以上の実現個別解が、一次実現個別解を含み、前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、更に、
前記コンピュータシステムによって、第2の遺伝的アルゴリズムを使用して、二次ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する二次実現個別解を生成させ、
前記コンピュータシステムによって、前記二次実現個別解を出力させ、
前記一次ターゲット材料が、第1の材料クラスを含み、前記二次ターゲット材料が、前記第1の材料クラスのうちの第1のメンバを含み、
前記一次実現個別解が、前記第1の材料クラスを第2の材料クラスから区別するように生成され、
前記二次実現個別解が、前記第1の材料クラスのうちの前記第1のメンバを前記第1の材料クラスのうちの第2のメンバから区別するように生成される、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性を評価することが、
前記新しい個別解を作る複数の光源のうちの光源のサブセット上に、前記分光データセットの複数のスペクトルを投影することによって、複数の投影像を生成することと、
前記複数の投影像を使用して、複数の精度値を生成することと、
前記複数の精度値を特徴空間にマッピングすることと、
前記特徴空間内の精度値の1つ以上のクラスタを識別することと、
前記精度値の1つ以上のクラスタ間の複数の群間距離を評価することと、
前記複数の群間距離から最低群間距離を評価することと、を含み、
前記最低群間距離が、1つ以上の他の材料に対する前記ターゲット材料に対する前記新しい個別解の前記特異性を記述する、請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記光源のサブセットが、中心波長及び波長範囲によってそれぞれ記述される10個の光源を含む、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月5日出願の米国特許出願第16/949,601号の利益及び優先権を主張し、これは、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、分光法に関し、具体的には、材料の特性スペクトルを使用して光源及び光源のアレイを構成するための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチック製品は、主に使い捨てであり、リサイクルされないことが多い。世界的なプラスチックの年間生産量は約3億5000万トンであり、そのうち約10%はリサイクルされ、12%は焼却され、残り(78%)は埋立て地又は自然環境に蓄積され、分解するのに約500~1,000年かかる。プラスチック生産は、2030年までに2倍、2050年までに3倍になると予想される。リサイクルプロセスは、正確な材料の特徴付及び選別に依存する。
【0004】
振動分光法は、材料と光との相互作用を特徴付するための1つの手法であり、スペクトル特徴の固有パターンによって材料を識別するための技法を提供する。分子中の構成原子間の共有結合は、特性周波数で赤外線(infrared、IR)放射を吸収する。分子中の異なる官能基の異なる振動は、異なる強度のスペクトル特徴、例えば、ピーク及び帯域を生じる。赤外スペクトルにおける特徴強度を決定する別の因子は、サンプル中の分子の濃度である。結果として、多くの材料は、赤外スペクトルにおいて特性吸収パターンを呈し、これは分光法によって測定することができ、材料を識別するために使用することができる。IR分光法による材料の識別は、材料選別などの材料処理における多くの分析技法の基礎を形成する。例えば、識別されていない材料は、特性吸収スペクトルを生成するためにIR放射によって特徴付され、次いで、一致を見出すために既知の材料に対する特性吸収スペクトルのライブラリと比較される。比較は、エネルギー及び強度の両方に関して複数の特徴にわたる適合度を評価することを伴う。いくつかの場合において、強度較正された機器が使用される場合のように、識別されていない材料の組成もまた、IR分光法から決定され得る。
【0005】
典型的な分光機器は、広いスペクトルの分析的特徴付を提供するように設計されており、大規模な実装には法外に高価である。高コストは、様々な工業プロセスにおける供給原料及び材料流の分子組成をスクリーニングするために使用することができるセンサの配備に対する主要な障壁である。効果的なセンサは、材料識別、選別、及び処理の一部として、特異性を有するターゲット材料の化学成分を調べるために必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm、GA)を使用して、廃棄材料に組み込まれた分子成分の振動スペクトルを特徴付するためのセンサ-検出器システムを構成するための(例えば、方法、システム、1つ以上のプロセッサによって実行可能なコード又は命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体)技法が提供される。
【0007】
具体的に、技法は、材料特徴付システムの一部として実装される光源アレイの実装構成を生成することを対象とする。技法は、GAを含むが、これに限定されない、1つ以上のAI実装形態を含む。本明細書で説明される手法は、ターゲット材料又はターゲット材料分類に対する高い分光特異性を有する光源構成を識別することを可能にする。GAは、分類器などの機械学習モデルを含む。分類器は、材料特異性について候補光源構成を評価するようにトレーニングされ得る。例えば、分類器は、ターゲット材料の分光データに含まれる1つ以上のスペクトル特徴を調べるために、候補光源構成の適合性を決定し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、分光センサ光源構成を選択するための方法が提供される。方法は、コンピュータシステムによって、複数の光源を記述する光源データセット、及び複数の材料を記述する分光データセットを取得することを含む。方法は、コンピュータシステムによって、初期世代の解を用いて遺伝的アルゴリズムを初期化することを含み、初期世代の解のうちの個別解が、複数の光源のうちの光源のサブセットを含む。方法は、コンピュータシステムによって、遺伝的アルゴリズムを使用して、初期世代の解から第1の個別解及び第2の個別解を選択することを含み、第1及び第2の個別解は、第1の染色体符号化及び第2の染色体符号化によってそれぞれ記述される。方法は、コンピュータシステムによって、遺伝的アルゴリズムを使用して、第1の染色体符号化と第2の染色体符号化とを組み合わせることによって第1及び第2の個別解から新しい個別解を生成することを含む。方法は、コンピュータシステムによって、遺伝的アルゴリズムを使用して、複数の材料のうちのターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することを含む。方法は、ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性が、ターゲット材料に対する第1の個別解の特異性又はターゲット材料に対する第2の個別解の特異性を上回ったことに従って、コンピュータシステムによって、遺伝的アルゴリズムを使用して、新しい個別解を新世代の解に追加することを含む。方法は、コンピュータシステムによって、遺伝的アルゴリズムを使用して、新世代の解に複数の新しい個別解を集合することを含む。方法は、コンピュータシステムによって、遺伝的アルゴリズムを使用して、遺伝的アルゴリズムを反復することによって1つ以上の後続世代の解を生成することを含む。方法は、コンピュータシステムによって、遺伝的アルゴリズムを使用して、1つ以上の後続世代のうちの最終世代から1つ以上の実現個別解を選択することを含み、1つ以上の実現個別解が、ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する。方法はまた、コンピュータシステムによって、1つ以上の実現個別解を出力することを含み、1つ以上の実現個別解のうちの実現個別解は、分光センサ光源構成を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、新しい個別解を評価することは、新しい個別解を、人工ニューラルネットワーク内で実現される分類器モデルに入力することを含む。新しい個別解を評価することは、分光データセットを分類器モデルに入力することを含み、分光データセットは、複数の材料分類からの複数のスペクトルを含む。新しい個別解を評価することはまた、新しい個別解について、分類器モデルを使用して、ターゲット材料を含む第1の材料分類とターゲット材料を除外する第2の材料分類との間の最低群間距離を評価することを含む。最低群間距離は、1つ以上の他の材料に対するターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を記述する。
【0010】
いくつかの実施形態では、ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、新しい個別解を作る光源のサブセット上に複数のスペクトルを投影することによって、複数の投影像を生成することを含む。ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、複数の投影像を使用して、複数の精度値を生成することを含む。ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、複数の精度値を特徴空間上にマッピングすることを含む。ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、特徴空間内の精度値の1つ以上のクラスタを識別することを含む。ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することはまた、精度値の1つ以上のクラスタ間の複数の群間距離を評価することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、分光データセットは、複数の材料分類に類別された複数の材料についての複数のFTIR吸収スペクトルを含む。光源のサブセットは、中心波長及び波長範囲によってそれぞれ記述される10個の光源を含み得る。コンピュータシステムによって、第1及び第2の個別解を評価することは、フィットネス関数の出力に部分的に基づき、フィットネス関数が、ターゲット材料に対する第1及び第2の個別解の特異性を示す。新しい個別解を生成することは、第1の個別解と第2の個別解との両方から、新しい個別解に寄与した重複光源を除去することによって、光源のサブセットを重複排除することを含み得る。方法はまた、ターゲット材料に対する個別解の特異性が閾値を超えるとき、1つ以上の後続世代にわたって個別解を保持することを含み得る。ターゲット材料は、材料のクラスのタイプ標準、材料のクラス内の特異的な材料、添加物、汚染物質、組成材料、又は複合材料であり得、又はそれらを含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上の実現個別解を出力することは、分光センサ光源構成から分光センサ光源を構築するように構成された組み立てシステムに実現個別解を提供することを含む。1つ以上の実現個別解を出力することはまた、実現個別解に従って、分光センサ光源を構築することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つ以上の実現個別解を出力することは、1つ以上の実現個別解の実現個別解に従って、材料スクリーニングシステムの分光センサ光源を構成することを含む。1つ以上の実現個別解を出力することは、分光センサ光源を使用して、ターゲット材料について廃棄材料流をスクリーニングすることを含む。1つ以上の実現個別解を出力することはまた、廃棄材料流からターゲット材料を選択することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、分光センサ光源カスケードを構成するための方法が提供される。方法は、コンピュータシステムによって、複数の光源を記述する光源データセット、及び複数の材料を記述する分光データセットを取得することを含む。方法は、複数の材料のうちの一次ターゲット材料及び二次ターゲット材料を識別することを含む。方法は、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、一次ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する一次実現個別解を生成することと、コンピュータシステムによって、第2の遺伝的アルゴリズムを使用して、二次ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する二次実現個別解を生成することと、を含む。方法はまた、コンピュータシステムによって、一次実現個別解及び二次実現個別解を出力することを含む。一次ターゲット材料は、第1の材料クラスを含み、二次ターゲット材料は、第1の材料クラスのうちの第1のメンバを含む。一次実現個別解は、第1の材料クラスを第2の材料クラスから区別するように生成される。二次実現個別解は、第1の材料クラスのうちの第1のメンバを第1の材料クラスの第2のメンバから区別するように生成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、一次実現個別解を生成することは、一次ターゲット材料に関連付けられた分光データセットから、1つ以上の関心帯域を識別することを含む。一次実現個別解を生成することは、コンピュータシステムによって、初期世代の解を用いて第1の遺伝的アルゴリズムを初期化することを含み、初期世代の解のうちの個別解は、複数の光源のうちの光源のサブセットを含む。一次実現個別解を生成することは、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、初期世代の解から第1の個別解及び第2の個別解を選択することを含み、第1及び第2の個別解は、第1の染色体符号化及び第2の染色体符号化によってそれぞれ記述される。一次実現個別解を生成することは、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、第1の染色体符号化と第2の染色体符号化とを組み合わせることによって、第1及び第2の個別解から新しい個別解を生成することを含む。一次実現個別解を生成することは、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、1つ以上の関心帯域に部分的に基づいて、一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することを含み、一次実現個別解を生成することは、ターゲット材料に対する第1の個別解の特異性又は一次ターゲット材料に対する第2の個別解の特異性を上回る一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性に従って、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、新しい個別解を新世代の解に追加することを含む。一次実現個別解を生成することは、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、新世代の解に複数の新しい個別解を集合することを含む。一次実現個別解を生成することは、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、第1の遺伝的アルゴリズムを反復することによって、1つ以上の後続世代の解を生成することを含む。一次実現個別解を生成することはまた、コンピュータシステムによって、第1の遺伝的アルゴリズムを使用して、1つ以上の後続世代のうちの最終世代から一次実現個別解を選択することを含み、一次実現個別解は、一次ターゲット材料に対する閾値特異性を呈する。
【0016】
いくつかの実施形態では、一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、新しい個別解を作る複数の光源のうちの光源のサブセット上に分光データセットの複数のスペクトルを投影することによって、複数の投影像を生成することを含む。一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、複数の投影像を使用して、複数の精度値を生成することを含む。一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、複数の精度値を特徴空間上にマッピングすることを含む。一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、特徴空間内の精度値の1つ以上のクラスタを識別することを含む。一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することは、精度値の1つ以上のクラスタ間の複数の群間距離を評価することを含む。一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を評価することはまた、複数の群間距離から最低群間距離を評価することを含み、最低群間距離は、1つ以上の他の材料に対する一次ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性を記述する。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムであって、1つ以上のデータプロセッサと、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されたときに、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部又は全部を実施させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含む、システムが提供される。いくつかの実施形態では、第2の遺伝的アルゴリズムは、第1の遺伝的アルゴリズムである。
【0018】
いくつかの実施形態では、非一時的機械可読記憶媒体で明確に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部又は全部を遂行させるように構成された命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムが、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されたときに、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部若しくは全部及び/又は1つ以上のプロセスの一部又は全部を実施させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、非一時的機械可読記憶媒体で明確に具現化されたコンピュータプログラム製品を含み、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部若しくは全部及び/又は1つ以上のプロセスの一部若しくは全部を実施させるように構成された命令を含む。
【0020】
用いられている用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定するものではなく、示され、説明された特徴の任意の等価物、又はその一部分を除外するそのような用語及び表現の使用における意図は存在しないが、特許請求の範囲内で様々な修正が可能であることが認識されている。したがって、本開示は、実施形態及び任意選択的な特徴を含むが、本明細書に開示される概念の修正及び変形が、当業者によって行われ得、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内にあるとみなされることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】様々な実施形態による、ターゲット材料を識別するように光源アレイを構成するための例示的ワークフローを示す。
図2】様々な実施形態による、ターゲット材料に特異的な光源アレイを生成するように構成される遺伝的アルゴリズムのための例示的ワークフローを示す。
図3A】様々な実施形態による、光源の構成のための化学物質の特性吸収スペクトル及び放出スペクトルを示す。
図3B】様々な実施形態による、光源の構成のための化学物質の特性吸収スペクトル及び放出スペクトルを示す。
図4A】様々な実施形態による、個別解に対する放出スペクトル上への特性スペクトルの投影像、及び個別解を評価するための例示的なワークフローを示す。
図4B】様々な実施形態による、個別解に対する放出スペクトル上への特性スペクトルの投影像、及び個別解を評価するための例示的なワークフローを示す。
図5】様々な実施形態による、ターゲット材料を識別するための光源アレイを生成するための方法を説明する例示的フローを示す。
図6】本開示のいくつかの実施形態として実装されるコンピューティングシステムの例示的なアーキテクチャである。
【0022】
添付図では、同様の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有し得る。更に、同じタイプの様々な構成要素は、同様の構成要素間を区別するダッシュ及び第2の符号による参照符号に従って区別され得る。本明細書において第1の参照符号のみが使用される場合、説明は、第2の参照符号にかかわらず、同じ第1の参照番号を有する同様の構成要素のうちのいずれか1つに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図しない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の説明は、様々な実施形態を実装するための有効な説明を当業者に提供することになる。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置において様々な変更がなされ得ることが理解される。
【0024】
具体的な詳細は、実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明に与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態が実施され得ることが理解されるであろう。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、及び他の構成要素は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭化しないために、ブロック図の形態で構成要素として示され得る。他の事例では、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技術は、実施形態を不明瞭化することを回避するために、不必要な詳細なしで示され得る。
【0025】
また、個別解の実施形態は、フロー図、フロー図、データフロー図、構造図、又はブロック図として図示されるプロセスとして説明され得ることに留意されたい。フローチャート又は図は、順次プロセスとして動作を説明し得るが、動作の多くは、並列又は同時に実施されてもよい。加えて、動作の順番は、再配置されてもよい。プロセスは、その動作が完了したときに終了するが、図に含まれていない追加のステップを有してもよい。プロセスは、方法、機能、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応するとき、その終了は、呼び出し関数又はメイン関数への関数のリターンに対応し得る。
【0026】
I.序論
廃棄材料を再利用又は改質するための物理的処理を記述する機械的リサイクルは、混合、複合、及び汚染された廃棄物流に対するその適用可能性において制限される。例えば、機械的リサイクルは、典型的には、化学的汚染物質に対して非感受性であり、廃棄材料の化学構造を改変することができない場合がある機械的分離及び再形成プロセスを用い、これは、いくつかの化学構造又は不純材料をリサイクルプロセスから除外する場合がある。化学的リサイクルは、廃棄物材料の化学結合をより小さな分子に破壊することによって、機械的リサイクルの制限を解決し得る。例えば、ポリマー材料の場合、化学的リサイクルは、プラスチック廃棄物原料からオリゴマー、モノマー、又は更に塩基性分子を回収する手段を提供し得る。ポリマーの場合、化学的リサイクルプロセスは、副生成物が新しい材料のための原料にアップサイクルされ得るように、複雑なプラスチック生成物の化学組成を解重合及び解離するための操作を含み得る。
【0027】
本明細書で説明される例示的な実施形態は、ポリマー材料又は有機化学材料を中心とするが、これらは、非限定的な例示的な実施形態を意味する。本開示の実施形態は、そのような材料に限定されず、むしろ、幅広い材料が材料リサイクル及び/又はアップサイクルプロセスのための潜在的な原料として役立つ材料処理動作に対処することが意図される。そのような材料には、金属、ガラス、リグノセルロース系材料などのバイオポリマー、粘弾性材料、希土類含有材料などの鉱物、並びに複雑な複合材料又はデバイスが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0028】
化学的リサイクルの要素は、材料が一次原材料に繰り返し解離されることを可能にし得る。このようにして、化学的リサイクル生成物は、機械的リサイクルの場合のように化学構造及び材料保全性によって限られた数の物理的プロセスに限定されるのではなく、塩基性モノマー(エチレン、アクリル酸、酪酸など)、原料ガス(一酸化炭素、メタン、エタンなど)、又は元素材料(硫黄、カーボンなど)を含み得る。したがって、化学的リサイクルは、廃棄材料の化学変換に基づく再利用及びリサイクル戦略の改善された実装形態を可能にし得る。
【0029】
化学的リサイクルの実現の成功は、分光特徴付による廃棄物原料の正確な識別に少なくとも部分的に依拠し得る。振動分光法は、物質と光との相互作用を特徴付するための1つの手法であり、赤外スペクトルにおける吸収ピークなどのスペクトル特徴の特性パターンによって材料を識別するための技法(例えば、FTIR ATR)を提供する。
【0030】
材料の厳密な分光学的特徴付のための機器は、典型的には、広いスペクトル範囲を有し、優れた感度を有するが、法外な費用がかかり、操作が複雑であり、かなりのデータ分析専門知識を必要とする。しかしながら、特異的なターゲット材料に合わせて適合された事前構成された光源アレイを開発することにより、汎用分光機器と同等の精度レベルでターゲット材料のアルゴリズム分類を可能にすることができる。このようなアレイは、ターゲット材料内の特異的な分光帯域を調べるために選択された、比較的限定されたスペクトル範囲を有する複数の単色光源を含むように構築され得る。例えば、IRスペクトル発光ダイオード(light emitting diode、LED)又はレーザダイオードのアレイは、材料特徴付の複雑さ及び材料リサイクル施設における識別プロセスを実現する費用を低減し得るように組み合わせられ得る。更に、カスケード接続されたセンサは、連続的な材料選別動作の一部として、デコンボリューション分析を伴わずに廃棄材料中の特異的な添加物又は汚染物質を正確に識別するために、粗いものから細かいものへの識別システムを実現し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、スペクトルは、放出スペクトル又は吸収スペクトルを記述することができる。放出スペクトルは、放射源によって出力される放射を測定することによって生成されるような、波長の関数としての放射強度を示すことができる。対照的に、吸収スペクトルは、周波数、波長、波数、又はエネルギーとして表すことができ、材料によって選択的に反射又は選択的に透過される放射に対応することができる、エネルギーの関数としての材料による放射の吸収の強度を記述する。化学スペクトルライブラリ又はデータベースに関連して、吸収スペクトルは、非放出材料のスペクトル特徴の特性パターンを記述することができる。
【0032】
少なくともいくつかの添加物又は汚染物質の存在が廃棄材料を化学的リサイクルに適さないものにする場合があるため、廃棄材料構成要素の正確な識別は極めて重要である。例えば、塩素化又はフッ素化ポリマーなどのハロゲン含有材料は、いくつかの化学的リサイクルプロセス中に腐食性副生成物を生成する場合があり、これは化学的リサイクルユニットを損傷又は破壊する場合がある。更に、異なるクラスの材料、例えば、異なるクラスのポリマー及びプラスチックは、異なる相互に互換性のないリサイクルプロセスに送られ得る。このようにして、正確で、高速で、低価格のセンサを構成することは、廃棄材料の改善された識別を可能にし、したがって、化学的リサイクルの改善された実現を可能にし得る。
【0033】
本明細書で説明される遺伝的アルゴリズム(GA)手法は、廃棄材料、添加物、不純物、及び汚染物質の分類及び識別のために、正確で、特異的で、スケーラブルな材料特徴付センサアレイ光源を提供することによって、リサイクルプロセスを改善する。広域スペクトル機器は、材料についての詳細な吸収情報を提供するが、このような機器を用いた材料の分析は、典型的には、サンプル準備手順、分析方法、及びスペクトル分析(例えば、ベースライン化、デコンボリューション、ラベル付けなど)を含む。このように、実験室機器を使用する一般的な特徴付は、時間がかかり、材料選別又はスクリーニングに必要とされるものよりも高い精度で測定を提供する高価な機械を使用する。対照的に、本明細書で説明されるGA手法は、特性スペクトルデータベース及び光源放出プロファイルデータを入力として使用して、ターゲット材料クラス(例えば、材料クラスのタイプ標準)、ターゲット材料、添加材料、汚染物質、複合材料、又はターゲット材料内の構成材料に固有の最適化された光源アレイ構成を生成及び選択する。本明細書で説明される光源アレイ及びカスケード光源アレイは、材料処理施設で受け取られた現実世界の廃棄材料を正確に識別するために、廃棄材料の取り込み及び選別中にセンサシステムで使用される。
【0034】
本明細書に開示されるように、GAを実現するシステムは、染色体符号化とも称される、候補構成の特異性を評価するための手法として、機械学習(machine learning、ML)モデルを組み込み得る。例えば、クラスタリング技法は、群間距離の推定を可能にすることができ、そこから、材料分類、材料、又は構成化合物に対する特異性が確認され得る。場合によっては、MLモデルは、候補がターゲット材料を区別するのに正確であるかどうかを返すようにトレーニングされた分類器モデルを含み得る。
【0035】
本開示の1つの例示的な実施形態は、1つ以上のデータプロセッサと、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、材料の光源データ及び分光データを取得することを含む動作を遂行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含むシステムを対象とする。任意の廃棄材料に対するFTIR吸収スペクトルのような特性スペクトルは、化学データのデータベースから取得され得る。特性スペクトルは、例えば、メタデータを含めることによって、いくつかの材料分類に類別され得る。同様に、中心放出波長及び放出範囲情報などの光源情報は、利用可能な光源のインベントリから取得され得る。
【0036】
アクションは、個別解が、光源データに含まれる複数の光源を含む染色体符号化として記述される、初期世代の解を用いて遺伝的アルゴリズムを初期化することと、初期世代から第1の個別解及び第2の個別解であって、第1及び第2の個別解は親として働く、第1の個別解及び第2の個別解を選択することと、2つの親の染色体符号化を組み合わせることによって、第1及び第2の個別解から、子とも称される新しい個別解を生成することと、子の特異性を決定するために、分光データセットを使用して子を評価することと、ターゲット材料に対する新しい個別解の特異性が両親のそれを上回ったことに従って、コンピュータシステムによって、新しい個別解を新世代の解に追加することと、初期世代における個別解の数に等しくなるように、新世代の解に複数の追加の子を集合することと、改善された世代を生成するために、遺伝的アルゴリズムを反復することと、1つ以上の実現個別解を識別することと、化学的リサイクルプロセスにおいて使用するために、1つ以上の実現個別解を出力することと、を更に含む。
【0037】
本開示の別の例示的な実施形態は、1つ以上のデータプロセッサと、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを含むシステムを対象とし、命令は、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、カスケード光源構成を開発することを含むアクションを遂行させ、それにより、一次光源は、クラスごとに一次ターゲット材料を他の材料から区別するように最適化され、二次光源は、クラス内の二次ターゲット材料を他の材料から区別するように最適化され、三次光源は、三次ターゲット材料を、更なる処理から除外される汚染物質又は他の不純物を含む他の材料から区別するように最適化される。
【0038】
有利なことに、これらの技法は、典型的には、最小限の汚染物質を含む相対的に純粋な廃棄物流を処理するように考案された従来のリサイクル方法の限界を克服することができる。本明細書で説明される技法は、分析機器と比較して、短時間かつ大幅に低減されたコストで展開可能である拡張可能なセンサシステムを開発することによって、リサイクルプロセスを更に改善する。したがって、GAベースの構成及び選択手法は、化学的リサイクルネットワークにおける改善された選別、プロセス設計、及びプロセス最適化技法のために廃棄材料をスクリーニングするための特徴付システムの開発を可能にする。
【0039】
本明細書で使用される場合、「実質的に」、「およそ」、及び「約」という用語は、当業者によって理解されるように、必ずしも完全に指定されたものである必要はないが、大部分であるとして定義される(完全に指定されたものを含む)。任意の開示された実施形態では、「実質的に」、「およそ」、又は「約」という用語は、指定されたものの「[パーセンテージ]内」で置換され得、パーセンテージは、0.1、1、5、及び10パーセントを含む。本明細書で使用される場合、アクションが何かに「基づいている」とき、これは、アクションが何かの少なくとも一部に少なくとも部分的に基づくことを意味する。
【0040】
II.光源アレイを構成するための技法
図1図2、及び図5は、様々な実施形態による、ターゲット材料を識別するように光源アレイを構成するために遂行される処理を示す簡略化されたフロー図を示す。図1図2、及び図5のステップは、例えば、図6のシステム環境において実行され得る。本明細書で説明するように、図1図2、及び図5のフロー図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。この点に関して、フロー図又はブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能を実行するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの部分を表し得る。いくつかの代替実装形態では、ブロック内に記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、含まれる機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/又はフロー図説明の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図説明のブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは動作を遂行する専用ハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装され得ることにも留意されたい。
【0041】
図1は、様々な実施形態による、ターゲット材料を識別するように光源アレイを構成するための例示的ワークフロー100を示す。図1に示すように、ワークフロー100は、データ入力及び前処理102、遺伝的アルゴリズム104、並びに分光センサ光源構成の反復及び選択106のためのサブプロセスに細分される。データ入力及び前処理102は、光源及び分光データセットを取得し、ある世代の個別解構成を集合するために使用されるターゲット材料の特性スペクトルを識別するための様々なステップを含む。データ入力及び前処理102の一部として、ステップ105において、複数の材料分類のための光源データ及び分光データが、コンピューティングデバイスによって取得される。光源データは、単色光放出ダイオード(LED)、波長可変レーザ、グロー放電ランプ、広域スペクトルエミッタ、又は振動分光法に適用可能な波長の放射を生成する他の光源を含むがこれらに限定されない、いくつかの異なる光源の発光性質を記述することができる。ワークフロー100の文脈では、発光性質は、光源の中心波長、光源が放射を放出する波長範囲、並びに、調整可能性、偏光、フルエンス、又は強度を含むがこれらに限定されない他の物理的性質を指す。光源データは、製造業者較正データ又はNISTによって準備されるものなどのパブリック政府データなどのプライベート又はパブリックデータベース源から、コンピューティングデバイスによって取得され得る。あるいは、光源データは、科学文献に公開されたデータを集約することによって、又は光源のライブラリについて生成された特性放出スペクトルに対して強度較正分光測定を遂行することによって生成され得る。そのような場合、光源データを取得することは、光源のライブラリに関する特性放出スペクトルのデータベースにアクセスすることを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、分光データは、PubChem、ChemSpider、Reaxys、又はNISTなどの1つ以上のプライベート又はパブリックデータベース源からコンピューティングデバイスによって取得される。プライベート又はパブリックデータベース源は、CAS番号などの化学識別子又は識別番号、様々な構造表現形式による化学構造、及びサポートするスペクトル証拠を含む、分光法データのための集中化された規格準拠のデータリポジトリを含み得る。スペクトル証拠は、純粋な対照サンプル又は標準複合体から収集されたFTIR-ATRスペクトルなどの、標準、未較正、又は強度較正振動スペクトルを含み得る。分光データ及び光源データの両方の詳細な説明は、図3A及び図3Bをそれぞれ参照して提供される。分光データは、例えば、モノマー単位構造、側鎖化学、又は化学的リサイクルプロセスに関連する他の特性化学特徴に基づいて、材料分類内に類別された複数の材料を含み得る。
【0043】
例えば、ポリマー廃棄材料中のハロゲン側鎖の存在は、化学的リサイクル中に腐食性副生成物を形成し得る。このようにして、ポリビニルポリマーなどのポリマークラスは、モノマー構造によってではなく、側鎖化学によってスクリーニングされ得る。一例として、何らかの化学的リサイクルプロセスにおいて塩化ポリビニルが塩素ガス及び他の腐食性化学物質を生成する場合、ハロゲン原子を含まないポリ酢酸ビニルは腐食性副生成物を生成しない。
【0044】
ステップ110において、ターゲット材料が選択される。ターゲット材料は、例えば、コンピュータシステムが材料識別子の入力を受け取ることによって、外部から指定され得る。あるいは、ターゲット材料は、光源のアレイを構成するための機械プロセスの一部として、自律的に(例えば、人間の相互作用を伴わずに)選択され得る。前述したように、分光データのデータベースは、CAS番号などの化学識別子又は識別番号を使用して材料を識別することが多い。このようにして、化学識別子を使用して分光データセットからターゲット材料の分光データにアクセスすることができる。用例として、使い捨てボトル、ポリエステル織物、マイラー、及び他の製品に使用される一般的なプラスチックであるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)は、CAS番号25038-59-9によって識別される。CAS番号はまた、PubChem及び他の源によって維持されるスペクトルデータベース内のメタデータとして含まれる。このように、CAS番号は、ターゲット材料のスペクトルを識別するための検索キーとして働くことができる。別の例では、分光データのライブラリがコンピュータシステムによって収集され、ローカルに記憶され、それにより、ターゲット材料のスペクトルが、CAS番号などのターゲット材料を識別するメタデータの受け取り時に取り出される。
【0045】
ステップ110での動作は、ターゲット材料を区別するターゲット材料クラスを選択することを含む。例えば、ターゲット材料がPETなどのポリマーである場合、材料のクラスは、特性分光データによって記述されるように、全てのポリマータイプを含む。したがって、ガラス、金属、バイオポリマーなどの他の材料クラスについての分光データは除外される。ポリマー材料はいくつかの方法で分類されるが、材料リサイクルの文脈では、樹脂識別符号(resin identification code、RIC)が一般的な分類手法である。このようにして、ステップ125及びステップ140並びに図2を参照してより詳細に説明される評価動作において使用される複数のRICクラスに対して分光データセットが選択される。
【0046】
ステップ115において、ワークフロー100は、任意選択的に、関心帯域を分離するように分光データセットを処理することを含み得る。関心帯域は、材料の特性スペクトル特徴を含む分光データにおける波長帯域を記述する。振動スペクトルに関して、特性スペクトル特徴は、材料中の共有結合した原子とIR範囲の放射線との相互作用から生じるピーク又は帯域を含むが、これらに限定されない。ポリマー又は他の有機化学物質などのほとんどの材料は、多くの特性スペクトル特徴を含む振動スペクトルを生成するが、いくつかの特徴又は特徴群は、あるクラスの材料に起因し、他のものは、そのクラスに属する特異的な材料に起因する。場合によっては、特性スペクトル特徴はまた、材料の構造に起因し得る。例えば、ポリマー材料の場合、モノマー化学構造は、材料全体の特性スペクトルに強く影響する。したがって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリビニルなどの基本的なポリマー骨格上の変異体を含むポリマーのクラスは、モノマーの特性スペクトル特徴によって識別され得る。側鎖、官能基、又はコポリマーなどの構造は、特徴を付加し得るか、又はポリマー骨格によって生成される特徴を改変し得る。このようにして、特異的なスペクトル特徴は、材料の一般的なクラス、又はそのクラスからの特異的材料を区別し得、材料をスクリーニングするために使用され得る。更に、特性スペクトル特徴の変動は、特異的な材料内、並びに材料のクラス内の構造的特徴に基づく材料のスクリーニングを可能にし得る。
【0047】
用例として、架橋ポリエチレン(cross-linked polyethylene、XLPE)は、3つのタイプの架橋:過酸化物架橋、放射線架橋、及びシラン架橋を有する熱硬化性樹脂である。ポリマーは、架橋点が化学的に分解される場合に効果的にリサイクルされ得るが、その相転移性質に部分的に起因して、直接機械的にリサイクルされない。対照的に、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)は、化学的分解を伴わずに溶融及び再形成されることを可能にする異なる熱性質を示すので、機械的にリサイクルされ得る。この例において、XLPEについての分光データに含まれるスペクトル特徴は、モノマー化学並びに構造を識別する特徴を含む。特に、少なくともLDPE及びXLPEのスペクトルは炭素-水素共有結合に起因する特徴が異なるため、架橋の程度は振動スペクトルにおいて検出可能である。更に、いくつかの特徴がLDPEスペクトルとXLPEスペクトルとの間で共有される場合、共有される特徴の相対強度は、2つの材料間で異なり得る。LDPE及びXLPEの例は、類似のモノマー化学の2つのポリマーが、化学的リサイクルプロセッサによって異なって処理され得、それらの特性スペクトルによって検出及びスクリーニングされ得ることを実証する。
【0048】
遺伝的アルゴリズム(GA)104の一部として示されているように、GA手法は、2つの親から新しい個別解を生成するために使用される。個別解は、アレイに組み合わされた光源の構成であり、光源の構成は、ステップ105の光源データベースに記述された光源のサブセットを含む。したがって、GA104は、ターゲット材料に対して最適化された特性放射パターンを有する光源のアレイを生成する。サブセットは、分光センサ光源アレイが化学的リサイクルプロセスの一部としてターゲット材料を他の材料から区別することができるように、いくつかの光源を含む。この文脈では、最適化とは、図4A図4Bを参照してより詳細に説明するように、ターゲット材料の分光学的特徴及び特性を個別解の特性放出パターン上に投影することを部分的に指す。
【0049】
GAは、最適化問題に対する候補解を生成するために進化機構を実現する計算モデルのクラスである。GAは、フィットネス関数に関して漸進的に改善された候補解の連続した世代を生成することによって、最適化された個別解を開発する。各連続した世代の改善は、各世代から個別解を反復的に生成して選択して、次の世代を集合することによって行われる。したがって、GA104は、染色体符号化、新しい解を生成する機能、適合度評価し、選択機構、遺伝的演算子、及び収束/終了基準を含むがこれらに限定されないいくつかのプロセスを組み込む。
【0050】
本開示の文脈において、染色体符号化は、光源アレイをベクトル形式で符号化するためのバイナリ及び非バイナリ手法を記述し得る。例えば、染色体符号化は、バイナリ値のベクトルであり得、ベクトル内の値は、対応する光源が個別解に含まれる場合に真であり、光源が個別解から除外される場合に偽であり、それによって光源のサブセットを定義する。このように、各染色体符号化は、ステップ105において取得された光源データセットに含まれる光源の数に等しい所定のサイズを有する固定長バイナリベクトルであり得る。あるいは、染色体符号化は、整数値、浮動小数点値、又はグラフィカルデータのベクトルであり得る。例えば、染色体符号化は、サブセットに含まれる光源の数に対応する所定のサイズの固定長整数ベクトルであり得、特定の光源は、光源のアイデンティティを符号化する整数値によって識別される。同様に、染色体符号化は、光源が有理数によって識別される浮動小数点ベクトルであり得る。バイナリ符号化の例では、所定の数の光源を含む構成に対応するために、新しい解を生成する関数は、各候補解が同じ数の光源を含み、その組成が所与の世代の候補間で異なるように、候補解に規則を課し得る。
【0051】
ステップ120において、遺伝的アルゴリズムが初期化される。初期世代は、ランダム化された母集団によって生成され得る。いくつかの実施形態では、初期候補解を生成することは、光源データベースから所定数の光源をランダムに選択することを含む。したがって、初期世代は、各々が合計で所定の数の光源のランダムな組み合わせを有する候補解の母集団を含む。所定の数は、以下で図3A図4Bを参照してより詳細に説明するように、ターゲット材料との一致を提供するいくつかの特性スペクトル特徴に対応する5個の光源、6個の光源、7個の光源、8個の光源、9個の光源、10個の光源、又はそれ以上の光源を含み得るが、これらに限定されない。このように初期世代をランダムに集合することは、GA104がより多数の可能な組み合わせから候補解を進化させることを可能にし、したがって、GA104が最適な構成を進化させる能力を改善する。しかしながら、最適な構成が、いくつかの特性スペクトル特徴において材料を調べる場合、光源データベースは、特性スペクトル特徴上に投影する比較的少ない光源を含み得る。したがって、完全にランダム化された初期世代は、比較的多数の世代にわたって最適化された世代に収束し得る。
【0052】
場合によっては、初期世代を集合することは、擬似ランダム化された母集団を生成することを含み得る。例えば、ステップ115を参照して説明した関心帯域は、材料クラス、所与のクラスのメンバ、特異的な結合、又は材料内の結合タイプ(例えば、芳香族性)に起因する特性スペクトル特徴を含む赤外スペクトルの波長領域を識別する。GA104は、擬似ランダム化された光源構成を生成して、特異的な材料について1つ以上の関心帯域内の光を放出する所定の数の光源をランダムに選択することによって、特異的な材料を識別することができる。擬似ランダム手法は、例えば、材料の特性特徴を含む波長領域外の光を放出する光源を含まない初期世代を提供することによって、GA104のパフォーマンスを改善することができる。これは、以下で図2を参照してより詳細に説明するように、フィルタリング技法によって実現され得る。更なる利点として、擬似ランダム手法は、識別された関心帯域の外側に放出する光源を除外することによって、光源データベースの有効サイズを低減する。光源データベースの有効サイズを低減させることは、候補解の可能な組み合わせの数を制限し、最適化された個別解への収束のための世代の数を低減させる。
【0053】
初期世代のサイズは、連続した世代にわたって、約数十個の個別解、約数百個の個別解、約数千個の個別解、又はそれ以上に維持され得る。ステップ125において、各々の初期世代の個別解について、ターゲット材料に対する特異性が評価される。GA104のフィットネス関数は、候補解がターゲット材料を他の材料からどれだけよく区別するかを記述するために使用される性能指数の一例として特異性を評価する。フィットネス関数は、限定はしないが、プロシージャルールベースプロシージャ、オブジェクトモデル、又は機械学習モデルを使用して実現されるスカラー値関数を含み得、機械学習モデルは、人工ニューラルネットワークにおいて実現され、精度について個別解を評価するようにトレーニングされた分類器モデルなどである。
【0054】
いくつかの実施形態では、特異性の評価は、各個別解を構成する光源上へのターゲット材料の特性スペクトル特徴の投影によって決定される。図4を参照してより詳細に説明するように、ターゲット材料の特性特徴と重複する波長で赤外線放射を放出する候補解の能力を推定するために、主放出波長の近接度及び半値全幅などの広がりパラメータの両方を含めることができる。分類器モデルは、候補解を入力し、その精度を評価するようにトレーニングされ得る。トレーニングは、教師あり、教師なし、又は敵対的トレーニング手法を含み得る。例えば、分類器は、敵対的ネットワークによって候補解の特異性を評価するようにトレーニングされ得、分類器は、候補解が、異なる材料、材料クラス、又は材料の他の特性側面に対する特異性を伴うターゲット材料を識別するであろうかどうかを予測するようにトレーニングされる。
【0055】
用例では、以下で図2に関連してより詳細に説明する。分類器は、ターゲット材料を他の材料のクラスから区別するために適用されるロジスティック回帰のF1スコアを評価することによってトレーニングされる。この例では、トレーニングは、個別解の染色体符号化において記述されるような個別解の構成光源を使用して、ポリマーなどの材料のクラスについての分光データのセットを変換することを含む。変換された分光学的データセットは、トレーニングサブセット及び評価サブセットに分割され、各々が、樹脂識別コードによって記述される複数の材料サブクラスからのデータを含む。次いで、トレーニングデータは、分類器をトレーニングするために使用される。F1スコアは、評価データを使用して導出され、次いで、F1スコアは、ターゲット材料に対する個別解の特異性として分類器によって出力される。
【0056】
いくつかの実施形態では、フィットネス関数は、最低群間距離に関して特異性を記述し得る。ワークフロー100の文脈では、最低群間距離は、類似の材料クラス、類似の材料、又は類似の添加物/汚染物質と比較した、ターゲット材料に対する個別解の特異性を指す。材料クラススクリーニングの一例として、GA104は、ポリエチレンポリマー、ポリビニルポリマー、ポリスチレンポリマー、及びポリ乳酸ポリマーを含有する廃棄物からポリエチレンポリマーをスクリーニングするための光源構成のための候補解を生成し得る。したがって、フィットネス関数は、各グループからの材料についてのいくつかの特性吸収スペクトルに対する各個別解についての特異性を評価得、そこから、特異性データが特徴空間にマッピングされ、スペクトルのメタデータ識別子に従ってその空間内でクラスタ化され、クラスタ間の距離が算出される。特徴空間は、クラスタが最良に分離され、それによって群間距離の推定を容易にするように定義され得る。最低群間距離は、ポリエチレンのクラスタ化されたデータ点と他の材料クラスのクラスタ化されたデータ点との間の距離を記述する。したがって、各個別解についての最低群間距離は、最も近い他の材料クラスに対するポリエチレンに対する個別解の特異性を記述する。このようにして、最高群間距離を有する個別解は、ターゲット材料に最も特異的である。
【0057】
材料クラス選別は、世代内の個別解を評価する1つの可能な手法であるが、他の手法も可能である。例えば、図4A図4Bを参照して説明したように、個別解は、材料クラスではなく特異的なターゲット材料の精度パラメータを推定することによって評価され得る。最低群間距離は、材料クラス内のグループの十分に正確な定義に依存するが、ターゲット材料が特異的な材料、例えば、塩素化ポリマーである場合、特異性は、塩素化されていないポリマー、例えば、ポリエチレン対ポリビニルクロリドに対して定義され得、これらは、単一の水原子が塩素原子に置換されていることを除いて同一のモノマー化学を有する。したがって、群間距離は、ターゲット材料に対する個別解の特異性、又は一方を他方から選別する場合のように、2つのターゲット材料を互いに区別する個別解の性能を評価するための1つの可能な手法にすぎない。
【0058】
ステップ130において、親とも称される2つの個別解が、ステップ120において集合された初期世代から選択される。選択はランダムであり得るが、ターゲット材料に対する初期世代の特異性を参照して行われ得る。例えば、初期母集団は、パーセンタイル又は他の基準によるなど、特異性に従ってビニングされ得、2つの個別解は、異なるビンから選択され得る。有利なことに、ランダム選択は、後続の組み合わせ及び突然変異ステップにおける変動性の増加を提供し得、これは、最適化された個別解を生成及び選択するためのGA104の全体的なパフォーマンスに利益をもたらし得る。
【0059】
ステップ135において、GA104の制約を条件として、2つの個別解の染色体符号化が組み合わされて、子とも称される新しい個別解が生成される。GA104は、染色体符号化を組み合わせるために様々な手法を適用し得る。確率論的方法は、交差などの遺伝的演算子を含み得るが、これに限定されない。対照的に、クローニング(これによって、新しい個別解は、一方の親の正確なコピーを含むが、両方の親のコピーを含まない)は、母集団が、新世代において高度に特異的な個別解を保持することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、交差への手法は、単一点交差、2点若しくはk点交差、均一交差、又は順序付けられた交差を含み得るが、これらに限定されない。
【0060】
順序付けされた交差は、ステップ135において実行される交差の部分又はタイプに対する制約を含む。例えば、候補解が光源を表す整数のベクトルである場合、2つの個別解は、各個別解からエントリの約半分をランダムに選択し、任意の重複エントリを除去する(例えば、新しい個別解の光源を重複排除する)ことによって組み合わせられてもよい。結果として得られるベクトルは、完全な数よりも少ない光源を含む場合、データベースから、又は親の個別解から光源をランダムに選択することによって完成され得る。別の例では、順序付けられた交差は、1つの親からより長い波長の光源を選択し、第2の親からより短い波長の光源を選択することを含み得る。別の例では、子が重複する光源だけでなく、十分な程度だけ重複する光源も除外するように、最小波長間隔が制約として課され得る。そのような場合は、光源データベースが、例えば、特異的な光源の利用可能性などの市場又は他のロジスティック条件に対応するために、同様の波長範囲の代替カバレッジを提供する複数の光源を含むときに発生し得る。
【0061】
ステップ135の一部として、新しい個別解を生成することは、新しい個別解染色体符号化を変異させることを含み得る。突然変異は、染色体符号化における1つ以上の遺伝子値をその初期状態から変更する。突然変異は、遺伝子値がGA104によって変更されるかどうかを決定する所定の突然変異確率を含み得る。突然変異は、GA104によってシミュレートされる進化プロセスに更なる変動性を加え、集団に多様性を導入することができる。突然変異演算子は、GA104が、染色体符号化の母集団が互いに過度に類似することを防止することによって、適合度ランドスケープにおける極小値を回避することを可能にする。集団内の染色体類似性を超えることは、全体的な最適な個別解に収束する代わりに、誤った最適な個別解に早まって収束する危険がある。高度に特異的な個別解の保持と組み合わせて、GA104は、収束を過度に強調することなく、最も高い適合度に向けて集団を重み付けするために突然変異を実現し得る。いくつかの実施形態では、突然変異演算子は、遺伝子値が突然変異するかどうかを決定する、染色体符号化における各遺伝子値についてランダム変数を生成し、これは単一点突然変異とも称される。あるいは、突然変異演算子は、反転及び浮動小数点突然変異を含むがこれらに限定されない手法を実行してもよい。突然変異演算子は、ビットストリング突然変異、境界、フリップビット、ガウス、均一、不均一、又は縮小演算子を含み得るが、これらに限定されない。
【0062】
生成されると、新しい個別解は、ステップ140において、ターゲット材料に対する特異性について評価される。ステップ125におけるように、評価は、ターゲット材料の特性スペクトルを新しい個別解に投影するなど、フィットネス関数を適用して、精度パーセンテージ又は他の特異性基準であり得る特異性を記述する性能指数を生成する。ステップ145において、次に、特異性が2つの親の個別解の対応する値と比較され、その結果、新しい個別解である子が保持され、その特異性が親の特異性を超える場合、新しい世代の個別解に含められる。いくつかの実施形態では、子は、特異性が両親を超える場合にのみ保持される。代替的に、子は、特異性が親のうちの少なくとも1つを超える場合に保持され得る。
【0063】
ワークフロー100は、反復及び選択106プロセスの一部として、GA104を繰り返して、より適切な個別解に向けて重み付けされた個別解の新しい世代を生成することと、GA104が大域的最適値に近づく個別解を含む世代を出力するまで、新しい世代を集合するプロセスを反復することとを含む。ステップ150において、GA104は、初期世代から2つの親個別解を選択し、親から新しい子個別解を生成し、ターゲット材料に対する特異性について子を評価し、子を親と比較し、その特異性が親の特異性を超える場合に子を新しい世代に含めるステップ130~145を繰り返す。ステップ150の一部として、GAは、初期母集団のサイズに等しい数の個別解に新しい世代を集合することができる。反復及び選択106プロセスの後続のステップにおいて、GA104は、本来なら排除されるであろうエリート個別解を保持することができる。この文脈において、エリートは、ターゲット材料に対する比較的高い特異性によって特徴付される個別解を記載する。例えば、特異性閾値は、それを超えると個別解が「エリート」として分類されるように定義され得る。2つの高度に特異的な親は、2つの非特異的な親よりも高度に特異的な子を生成する可能性が高いので、特に交差が単一点交差を実行し、突然変異が起こりそうにない場合、GA104によって適用される保持基準は、高度に特異的な親をわずかにより特異的な子で置き換える傾向があり得る。
【0064】
したがって、ステップ155において、GA104は、後続世代の個別解を集合するステップ130~150のプロセスを反復し、エリート個別解を保持して、より高速な収束を促進し、各後続世代の計算リソース需要を低減する。そのために、GA104の文脈において、ワークフロー100は、各後続世代を集合することの一部として決定されたフィットネス関数値を追跡することによって、保持された個別解のリストを生成することを含み得る。例えば、GA104は、特異性がリストによって既にカバーされている範囲内に入る群間が生成されるたびに更新される、ターゲット材料の精度パーセンテージ又は最小群間距離などの特異性によってランク付けされた保持された個別解のアレイを生成し得る。アレイは、アレイが各保持された個別解の特異性に従って選別されるように、個別解の識別子又は個別解の符号化全体及び特異性を含み得る。例えば、256個の個別解を含む世代では、閾値を超えるターゲット材料に対する特異性を有する64個の個別解が世代ごとに保持され得る。同様に、1024個の個別解を含む世代の場合、256個もの個別解が保持され得る。
【0065】
後続世代ごとに、GA104の繰り返される反復の数が増加するが、これは少なくとも部分的には、母集団の精度及び特異性が最大に近づく傾向があるためである。親の個別解に関して改善された特異性に基づく保持基準を考慮すると、完全な母集団を保持するために生成される候補解の数は、子の個別解がその親の特異性を超える確率が減少するにつれて増加する。そのために、ワークフロー100のステップ155における反復回数は、GA104が終了される前の最大反復回数に制限され得る。反復回数に制限を課すことは、GA104がハングすることを防止し、また、化学的リサイクルプロセスに組み込まれた選別システムのパフォーマンスを改善しない特異性に対する限界的な改善のために、不必要なコンピュータリソースの使用を制限することができる。制限は、事前定義されてもよく、又はGA104が適用されるタスクに関して最適化される適応パラメータでもあり得る。例えば、ある材料クラスを別の材料クラスから選別するためには、最適解に収束するのに比較的少ない反復で十分であり得る。対照的に、化学的に類似する2つのターゲット材料を区別することは、より多くの反復を伴い得る。
【0066】
GA104の複数GAの複数の反復から保持された個別解の母集団を含む最終世代から、ステップ165において、1つ以上の実現の個別解が選択される。例えば、個別解の特異性が、2つ以上のターゲット材料を区別する際に使用するための最低群間距離パラメータを使用して評価される場合、実現の個別解(単数又は複数)は、世代において最高群間距離を有するように選択される。反復及び選択106プロセスの文脈では、連続した世代を集合し、世代にわたってエリートの個別解を保持するためのステップ150~155の一部として実行される保持基準は、最高の特異性を有する個別解、したがって大域的最適値に最も近い個別解を提供する。
【0067】
選択されると、ステップ170において、実現個別解は、材料スクリーニングシステムなどの化学的リサイクルプロセスの選別システムにおいて光源を構成する際に更に使用するために、システムに出力される。例えば、実現個別解は、ベクトル符号化ではなく光源のリストとして構成形式にマッピングされ得る。構成は、データストアに記憶され得、外部システム、組み立てシステムに出力され得、又は化学的リサイクルで使用するための光源を構築するための製造プロセスの一部として高速製作システムに送られ得る。例えば、ステップ175において、実現個別解は、材料リサイクル施設における再構成可能LEDアレイに出力され、光源設備は、実現個別解に含まれる対応する光源を作動させる。その構成にある間、LEDアレイは、ターゲット材料を他の材料から区別するために、例えば、廃棄材料流を選別するために、最適化された赤外線放射源を提供する。別の例として、実現個別解は、赤外線範囲内の波長可変レーザを組み込む動的光源に出力される。別の例として、実現個別解は、実現個別解の構成に従って光源を組み立てるように構成されたラピッドプロトタイピング機械に出力される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ワークフロー100は、カスケード光源構成を開発するために適用される。カスケード光源構成は、一次光源が分類によって材料を区別するように最適化され、二次光源が分類内の材料を区別するように最適化され、第3の光源が入力流から汚染物質を除外するように最適化されるように、複数のレベルで材料を区別するように最適化される一連の光源アレイを記述する。カスケード光源システムは、特異性の評価のために使用されるスペクトルデータの選択によって開発され得、場合によっては、ターゲット材料のための関心帯域を再定義することによって開発され得る。異なるスペクトルデータを使用して、GAは、異なる材料クラス、クラス内の材料、又は不純物若しくは他の選別優先度の特異的な化学的シグネチャをターゲットとするように再適用され得る。
【0069】
図2は、様々な実施形態による、ターゲット材料に特異的な光源アレイを生成するように構成された遺伝的アルゴリズムのための例示的ワークフロー200を示す。いくつかの実施形態では、ワークフロー200は、ワークフロー100のGA(例えば、図1のGA104)を使用してコンピュータシステムにおいて実行され、例えば、1つのターゲット材料を他のクラスの材料又は同じクラスの他の材料から区別するように最適化された実現個別解を生成、選択、及び出力し得る。ワークフロー200の個別解要素は、様々な段階で含まれ、GAを使用して実現の個別解を生成、選択、及び出力することを完了するステップの一部として適用されるシステム、動作、又はデータセットを記述する。
【0070】
ワークフロー200の第1のステップとして、スペクトル及び光源データが、化学スペクトルデータベース205及び光源データベース210からそれぞれ取得される。スペクトルデータは、スペクトル前処理/ラベル付け215動作によって、GAによる使用のために準備される。スペクトル前処理/ラベル付け215動作は、図1を参照してより詳細に説明するように、関心帯域及びターゲット材料(単数又は複数)を識別することを含み得る。更に、スペクトル前処理/ラベル付け215動作は、将来の動作において特異性を評価するためのグループ化に従ってスペクトルを分類することを含み得る。そのような場合、ポリマーなどの1つの材料クラスのスペクトルはメタデータラベルによって識別され、異なるポリマー、バイオポリマー、ガラス、又は特性吸収スペクトルを生成する他の材料などの別の材料クラスからのスペクトルは、異なるメタデータラベルによってグループ化及び識別される。
【0071】
スペクトルデータ及び光源データは、ブロック220において、初期世代の個別解を集合するためのGAへの入力として働く。個別解は、ターゲット材料(単数又は複数)に対する特異性について評価され、GAは、ブロック225において新しい個別解を生成する。新しい個別解である子は、交差関数及び突然変異関数に従って2つの親から生成され、ブロック230において、ターゲット材料(単数又は複数)に対する特異性について評価される。子の特異性が親の特異性を超える場合、子は、次の世代のために保持される。ブロック230において子を評価することは、子を分類器に入力することを含み得、分類器は、特異性を評価するように、又はターゲット材料(単数又は複数)に対する特異的な個別解と非特異的な個別解とを区別するようにトレーニングされた人工ニューラルネットワークにおいて機械学習モデルを実行する。一例では、ターゲット材料(単数又は複数)を含む様々な材料に特異的であるように構成された複数の光源アレイを含むトレーニングデータセット235が準備される。ブロック240において、分類器モデルは、機械学習実装として、他の材料に対するターゲット材料の個別解の精度間の群間距離を決定するようにトレーニングされる。したがって、ブロック230における特異性評価は、特異性がより高い最小群間距離で改善されるように、特異性を最小群間距離として記述することができる。
【0072】
用例として、トレーニングデータセット235は、ポリマーなどの材料のターゲットセットに対する特性スペクトルのセットから準備される。トレーニングデータセット235を作成するために、特性スペクトルのセットは、ブロック225において生成された新しい個別解の染色体符号化において符号化された構成を使用して変換され、そこからトレーニングデータセット235及び評価データセット237が選択される。この例ではロジスティック回帰分類器として実装される分類器は、樹脂識別子コード(RIC)によってポリマーを区別するようにブロック240でトレーニングされる。RICコードは、材料リサイクル施設のための一般的な選別分類であり、それによって廃棄材料がリサイクルプロセスに入力される前に類別される。このようにして、ブロック240において分類器をトレーニングすることは、評価セット237から分類器の統計的F1スコアを導出することを含み得る。次に、F1スコアは、新しい個別解の特異性基準として働く。ワークフロー200の分類器の文脈では、F1スコアは、バイナリ分類の精度及び再現率の調和平均を記述し、精度は、偽陽性結果を含む全ての陽性結果に対する正しく識別された陽性結果の比であり、再現率は、偽陰性に対する正しく識別された陽性結果の比である。
【0073】
ブロック245において新しい個別解を評価した後、GAは、世代が完了するまでプロセスを繰り返す。上記の図1を参照してより詳細に説明するように、完全な世代は、ターゲット材料(単数又は複数)に対する高い特異性を有するために保持されるエリート個別解を含み得る。世代が完了すると、GAは、ブロック250において、親を組み合わせて子の個別解を生成し、子を評価し、エリートを保持するステップを反復する。GAは、反復回数の最大制限値に達するまで、ブロック255を通るループによって示される多数の反復を遂行する。あるいは、GAは、収束基準を適用してもよく、例えば、世代にわたる集約特異性値の限界変化を追跡することによって、母集団が適合度ランドスケープの大域的最適値に近づくまで反復が継続するようにしてもよい。
【0074】
最終世代から、ブロック255の後、ブロック260において、1つ以上の実現個別解が選択される。実現個別解のゲノムが光源構成を記述し、特異的な光源が構成時に利用不可能であり得るので、複数の実現個別解を選択することは、供給制限を潜在的に回避することによってシステムにロバスト性を提供する。したがって、光源データベースによって記述される光源インベントリの異なるサブセットを含む複数の実現個別解は、好適な代替案が指定されることを可能にする。ブロック260における選択に続いて、ブロック265において、実現の個別解が外部システムに出力され、それにより、個別解のうちの1つ以上が、材料リサイクルプロセスにおけるように、化学的リサイクル施設において材料を選別するために適用され得る。
【0075】
図3A図3Bは、様々な実施形態による、光源の構成のための化学物質の特性吸収スペクトル310及び放出スペクトル330を示す。図3Aにおいて、特性吸収スペクトル310は、直鎖不飽和炭化水素である1-ヘキシンの単純化されたスペクトルを記述する。1-ヘキシンの特性スペクトル310は、簡略化のために提供されるが、特性スペクトル310に関連して説明される動作は、高度に置換されたポリマー、コポリマー、バイオポリマー、又は化学的リサイクルプロセスの一部として受け取られ、選別され得る他の材料によって生成されるものなどのより複雑なスペクトルに適用され得ることが理解されるであろう。特性スペクトル310は、ラベル付けされ、かつ1-ヘキシンの様々な共有結合に起因する、いくつかの特性スペクトル特徴320を含む。図示するように、スペクトル特徴320は、1-ヘキシンの分子構造における炭素-炭素結合及び炭素-水素結合の特性振動に起因する。このようにして、図1図2を参照して上述したターゲット材料(単数又は複数)の振動スペクトルは、ターゲット材料(単数又は複数)の分子構造(単数又は複数)に組み込まれた共有結合に起因する複数のスペクトル特徴を含み得る。ポリマーの場合、異なるポリマータイプは、特定のスペクトル特徴の比較によって区別可能である。例えば、ポリスチレンポリマーは、モノマー構造に含まれるベンゼン部分における芳香族結合によって生成される特性特徴を含む。同様に、ポリアミドは、そのクラスの材料のスペクトルにおける特性位置での炭素-窒素結合の吸収によって生成される特徴を含むであろう。更に、側鎖振動は、モノマー骨格の拘束された運動に起因して、骨格組成とは異なるエネルギー特性を有する可能性が高い。このようにして、ターゲット材料(単数又は複数)は、スペクトル特徴のサブセットによって材料のクラス内で区別され得る。用例として、特性スペクトル310は、飽和炭化水素結合及び不飽和結合の両方によって生成されるスペクトル特徴320を含む。C≡C伸縮又はH-C≡C屈曲などの不飽和結合に起因する特徴は、特性スペクトル310を、n-ヘキサン(C6H12)などの完全不飽和化学物質の特性スペクトルから区別する。このようにして、スペクトル特徴320は、2つの非常に類似した材料を区別するために使用され得る。
【0076】
対照的に、放出スペクトル330は、波長に対してプロットされた強度の関数として、光源の選択の特性放出プロファイル340を示す。各光源は、LED、ダイオードレーザ、又は振動分光法に好適な波長で放出する他の狭帯域若しくは単色光源であってもよく、放出プロファイルが中心にあるか又はその最高値にあるピーク波長350によって特徴付される。放出プロファイル340は、半値全幅(full width at the half maximum、FWHM)強度などの幅パラメータによって記述することができる分布355によっても特徴付される。各放出プロファイル340の分布は、少なくとも複数のスペクトル特徴320が単一光源の放出プロファイル340内に含まれ得るため、最適化された構成を生成する文脈において、図4Aを参照して以下でより詳細に説明するように重要である。強度較正された光源が生成されないように、光源が組成分析のために意図されていない場合、放出プロファイル340は、光源のサブセットの最小放出強度365に対して、光源のサブセットの最大ピーク強度360に正規化され得る。このようにして、以下で図4Aを参照して説明する投影関数は、各放出プロファイル340を、強度の無次元単位を有する、0の最小強度と1の最大強度との間の波長の連続関数として扱う。図示するように、各個別解のための各放出スペクトル330は、ラベル又はIDなどのメタデータによって識別され、個別解を追跡し、化学的リサイクルにおける使用のために検索可能データベースに出力することを可能にし得る。
【0077】
図4A図4Bは、様々な実施形態による、個別解400についての放出スペクトル上への特性スペクトルの投影像410、及び個別解を評価するための例示的なワークフロー450を示す。GAのプロセスの一部として、図1図2を参照してより詳細に説明するように、GAは、フィットネス関数を使用して個別解を評価する。フィットネス関数は、個別解400の精度及び特異性を推定して、ターゲット材料(単数又は複数)を識別し、区別し、又は他の形で特徴付する手法を含み得る。フィットネス関数は、個別解400を評価するための手続き型手法、ターゲット材料に適合するように調整又は適合され得るパラメータを有するオブジェクトモデルベースの手法を含み得、又はGAは、評価の一部として機械学習モデルを含み得、モデルは、個別解400の特異性を推定し、保持比較において使用するためのスカラー値を出力するようにトレーニングされた分類器を含み得る。個別解400は、図4Aに示すように、個別解400の特性吸収スペクトル425によって記述されるように、ターゲット材料が振動分光法で使用される放射を吸収する波長範囲内の組み合わされた放出スペクトル420によって個別解400を記述することができるように、各々が特性放出スペクトルを有するいくつかの光源を記述し得る。
【0078】
個別解400の精度を評価するための例示的な技法は、特性吸収スペクトル425に含まれるスペクトル特徴の少なくともサブセットを個別解400の放出スペクトル420上に投影することによるものである。投影像410は、ピーク位置又はピーク幅などの特性吸収スペクトル425の特徴が、個別解400の放出スペクトル420上に投影され(破線によって示される)、そこから個別解400の精度が評価される動作を指す。投影像410に基づいて評価することは、(i)放出スペクトル420と特性吸収スペクトル425との間のピーク位置における集約誤差を確認すること、(ii)特性吸収スペクトル425における関心帯域が個別解400からの放出によって十分にカバーされるように、カバーの程度を確認すること、又は(iii)GAが、特性吸収スペクトル425によって表されるターゲット材料に対する個別解400の特異性を記述するスカラー値関数を評価することを可能にする他の技法を含み得るが、これらに限定されない。
【0079】
放出スペクトル420は、複数の方法で特性吸収スペクトル425のスペクトル特徴をアドレス指定する光源を含む。光源の放出パターンの形状及び特性吸収スペクトル425における特徴の密度に応じて、光源は、単一の特徴又は複数の特徴をアドレス指定し得る。投影像410はまた、複数の光源が単一の特徴をアドレス指定する光源を含む。例えば、いくつかの特徴430は、別個の光源によって個々にアドレス指定され、他の特徴440は、単一の光源によって共通にアドレス指定される。特性吸収スペクトル425が、他の特徴から比較的分離されているが、関心帯域内にあると識別される特徴435を含む場合、個別解光源は、その特徴にアドレス指定される。場合によっては、物理的現象、設計制約、光源の利用可能性、又は他の要因が光源の放出特性に影響を及ぼし、その結果、特徴445又は特徴のグループが、放出スペクトル420において組み合わさる複数の光源によってアドレス指定される。単一の光源を用いて複数の特徴をアドレス指定することにより、特性吸収スペクトルにおいて識別される任意の特徴を無視することなく、共有光源上に投影されるこれらの特徴を区別することができないという潜在的な犠牲を払って、より多数の特徴又は更に他の関心帯域が個別解400によってアドレス指定されることが可能になる。特徴440が、同じ共有結合の異なる運動など、同じ化学構造によって生成される場合、特徴440を区別することは、個別解全体に対して比較的小さい特異性を提供し得る。
【0080】
ワークフロー450は、個別解400の放出スペクトル420上へのターゲット材料の特性吸収スペクトル425の投影像410を含む、個別解400の特異性を評価するための例示的な手法に含まれる動作を説明する。ワークフロー450は、任意選択的に、動作460において、特性吸収スペクトル425における重要な特徴又は関心帯域をラベル付けすることを含み得る。図1を参照してより詳細に説明するように、関心帯域は、ターゲット材料を同じ材料クラスの他の材料から区別する、他の材料クラスから区別する、ターゲット材料を汚染物質として識別する、又は材料を化学的リサイクルから不適格とみなす、特性吸収スペクトル425の特徴を識別する。一例として、対象の帯域は、ポリマー材料の架橋から生じる特性吸収スペクトル425の特徴を含み得る。高度に架橋されたポリマーの化学的リサイクルは、解重合又は分解などの追加の処理ステップを含み得、したがって、架橋を示すスペクトル特徴を識別することにより、廃棄材料を適切に選別して、架橋されたポリマー材料を、それらが適していないプロセスに送ることを回避することができる。
【0081】
動作465において、特性吸収スペクトル425は、個別解400の放出スペクトル420上に投影される。図4Aに示される投影像410は、放出スペクトル420が特性吸収スペクトル425の特徴をアドレス指定する程度の定量的評価を可能にする。いくつかの特徴430~435は単一の光源によってアドレス指定され、他の特徴440~445は光源を共有するか、又は複数の光源によってアドレス指定されるので、個別解400の精度は、動作470において全体論的に評価される。投影像は、(i)放出スペクトル420によってアドレス指定されない特徴の範囲を表す差分スペクトルを見つけること、又は(ii)ターゲット材料又はターゲット材料を含む材料のクラスをアドレス指定するための個別解400の精度を記述する誤差値を決定することを含み得るが、これらに限定されない。例えば、ターゲット材料がベースポリマークラスのメンバである場合、個別解400の精度は、それが、必ずしも置換された側鎖のものではないが、ポリマー主鎖などのポリマークラスに存在する原子に起因するスペクトル特徴をアドレス指定するかどうかに対応する。
【0082】
動作475における特異性の評価は、個別解がターゲット材料を分離、識別、又は区別するために使用され得るかどうかを解明するために、異なる材料のグループ化されたスペクトルについて精度評価を繰り返すことを記述する。例えば、ターゲット材料が、芳香族性が比較的まれにしか観察されない材料クラスに芳香族性を含めることによって区別可能である場合、個別解400は、放出スペクトル420が芳香族結合に起因する特徴にアドレス指定される光源を含む場合、より特異的になる。用例として、そのような手法は、化学的リサイクルプロセスにおいてポリスチレンをポリエチレン廃棄物から区別することを可能にし得る。したがって、特異性を評価することは、個別解400の精度を評価することと、個別解が前の世代のその親の個別解に対して分類され得る性能指数を推定することと、を含む。性能指数は、個別解400についての精度値をクラスタリングすることによって決定される最小群間間隔であり得るが、また個別解400がターゲット材料を区別する能力を記述する他の手法によって推定され得る。このようにして、動作480において個別解400を分類することにより、ワークフロー450を実行するGAは、ある世代の個別解を集合し、化学的リサイクルプロセスにおける実行のための最適な個別解を開発することができる。
【0083】
図5は、様々な実施形態による、ターゲット材料を識別するための光源アレイを生成する方法500を説明する例示的なフローを示す。図1図4を参照して説明したように、方法500を構成する1つ以上の動作は、特徴付システム、ネットワークインフラストラクチャ、データベース、及びユーザインターフェースデバイスを含むがこれらに限定されない追加のシステムと通信するコンピュータシステムによって実行され得る。いくつかの実施形態では、方法500は、コンピュータシステムが光源データセット及び分光データセットを取得する動作505を含む。図1を参照してより詳細に説明するように、光源データセットを取得することは、複合光源又は光源アレイへの組み込みのために利用可能であるいくつかの光源についてのデータにアクセスすること、データを受け取ること、又は別様にデータを提供されることを含む。光源データセットは、放出特性、電力パラメータ、デバイスサイズ、又はロジスティック可用性などの個別解光源を記述するデータを含み得、それらの全て又はいずれかは、個別解候補解の生成に対する制約を決定する際に含まれ得る。
【0084】
方法500は、コンピュータシステムが遺伝的アルゴリズム(GA)を初期化する動作510を含む。GAは、図1図2を参照してより詳細に説明するように、初期世代に複数の個別解を集合することを含む初期化サイクルを含む。個別解は、光源のランダム又は擬似ランダムな組み合わせによって生成され得、それにより初期世代は多様な母集団を含み、これは初期母集団における多様性が、適合度ランドスケープにおける極大値への収束の可能性を低減するためである。データセット内の光源は、整数値によって識別され得、それにより個別解の染色体符号化は、ベクトル内の各エントリが光源を表す固定長の整数値ベクトルなど、光源の組み合わせを符号化するベクトルによって表される。新世代を初期化することはまた、ターゲット材料に対する特異性について個別解を評価することを含む。特異性評価は、連続した世代の集合における親、子の保持の基礎を形成する。
【0085】
方法500は、コンピュータシステムが第1の個別解及び第2の個別解を選択する動作515を含む。第1及び第2の個別解の選択はランダムに行われる。これら2つの個別解は、また選択されると、方法500は、動作520に進み、コンピュータシステムは、第1及び第2の個別解から新しい個別解を生成する。子とも称される新しい個別解を生成することは、交差演算を含み、突然変異演算を含み得る。交差は、子の染色体符号化を組み立てるために親の個別解の染色体符号化を組み合わせる多数の可能な手法のいずれかを記述する。例えば、交差手法は、各親の染色体符号化の領域が交換される単一点交差であり得る。他の手法は、図1を参照してより詳細に説明するように、子が親とは異なる個別解を表すように、順序付けられた交差又はマルチポイント交差を含み得る。交差は、例えば、重複光源を排除するか、又は光源放出パターンの重複を制限することの制約を受ける。
【0086】
あるいは、子は、2つの親の染色体符号化を交雑するのではなく、親のうちの1つをクローニングすることによって生成され得る。クローニングは、例えば、エリート個別解のリストを通じて、親が世代を超えて保持されるような場合に、利点を提供する。更に、子を更に多様化させ、大域的最適値ではなく局所的最適値に収束する可能性を低減するランダム性を導入するために、突然変異が適用され得る。
【0087】
方法500は、コンピュータシステムが分光データセットを使用して新しい個別解を評価する動作525を含む。新しい個別解の評価は、新しい個別解と親個別解との間の比較を容易にするスカラー値である特異性値を提供する。図4A図4Bを参照してより詳細に説明するように、分光データセットを使用して新しい個別解を評価することは、ターゲット材料の吸収スペクトルを新しい個別解の放出スペクトル上に投影することと、投影の誤差値を推定することとを含む。新しい個別解の放出スペクトル上への複数の吸収スペクトルの投影を繰り返すことによって、誤差値データは、吸収スペクトルに関連付けられたメタデータによってラベル付けされ得るグループにクラスタ化される。特異性の尺度の一例である群間距離は、グループ間で測定され、最小距離は、新しい個別解、子が親と比較されるスカラー値として使用される。この場合、同じグループ化された吸収スペクトルが、動作510及び動作525の両方で使用され得、その結果、特異性値は直接比較可能である。
【0088】
方法500は動作530を含み、コンピュータシステムは、新しい個別解を新世代の解に追加する。ターゲット材料(単数又は複数)に対する新しい個別解の特異性を親の特異性と比較することにより、GAの大域最適解への収束が容易になる。次の世代については、動作525において評価された特異性が動作510において評価された親の特異性を超える場合、新しい個別解が保持される。高度に特異的な子の保持は、新世代を適合度ランドスケープにおける最適に向けてシフトさせる。子が一方又は両方の親よりも特異性が低い場合、子は破棄され、GAは、新しい個別解を生成及び評価する動作を繰り返す。
【0089】
方法500は、コンピュータシステムが新しい世代の解を集合する動作535を含む。動作515~530を繰り返すことにより、GAは、新しい世代を集合することができ、これは解の新しい集合と称される。新世代はまた、高い特異性によって特徴付され、より高度に特異的な子によって置き換えられ得る、いくつかのエリート個別解を含む。エリート個別解の保持は、少なくとも部分的に、エリートの親がエリートの子を生成する可能性がより高く、保持基準が親を子で置き換えることを伴うので、より少ない世代におけるGAの収束を促進する。エリート個別解の保持を容易にするために、GAは、各個別解の特異性を追跡し、ターゲット材料(単数又は複数)に対して最高の特異性を有する個別解のリストを維持する。例えば、GAは、前の世代からのエリート個別解を有する各世代の4分の1以上を保持し得る。
【0090】
方法500は、コンピュータシステムが遺伝的アルゴリズムを反復する動作540を含む。図1図2を参照してより詳細に説明するように、GAは、反復の最大数に達するまで、又は個別解の特異性が適合度ランドスケープの大域的最適値に収束するまで、追加世代の母集団を反復する。収束は、最大値に近づく世代の集約特異性の限界的な変化によって推定され得る。例えば、世代の特異性は漸近的に最適値に近づき得る。そうは言うものの、個別解の特異性が後続世代ごとに改善するにつれて、子がその親よりも性能が優れている可能性が低くなるので、動作535の繰り返されるプロセスの数が増加する。少なくともこの理由のために、540における反復の数は、閾値又は所定のサイクル数を超える特異性などの他の要因に基づいて制限され得る。
【0091】
方法500は、コンピュータシステムが1つ以上の実現個別解を識別する動作545を含む。GAの終了基準を満たす最終世代では、1つ以上の個別解が光源アレイとしての実現のために選択される。例えば、特異性が同等である場合、又は個別解が異なる光源を組み込む場合、複数の個別解が選択され得る。したがって、複数の実現の個別解を識別することは、構成光源の利用不可能性などのロジスティック要因を予想し、潜在的に克服することによって、GA手法のロバスト性を改善する。
【0092】
方法500は、コンピュータシステムが1つ以上の実現個別解を出力する動作550を含む。実現個別解(単数又は複数)を出力することの一部として、コンピュータシステムは、例えば、複数のアドレス指定可能な光源を含む適応光源アレイを再構成するための光源構成命令を生成し得る。あるいは、コンピュータシステムは、ラピッドプロトタイピングプロセス又は組み立てシステムのための光源構成を生成して、実現の個別解(単数又は複数)の染色体符号化に従って光源を製作又は構築し得る。このようにして、光源は、LEDなどの複数の光源を含み得、その結果、ターゲット材料(単数又は複数)は、広域スペクトル干渉技法に依存することなく、振動分光法によって区別することができる。
【0093】
III.システム環境
図6は、本開示のいくつかの実施形態として実装されるコンピューティングシステム600の例示的なアーキテクチャである。コンピューティングシステム600は、好適なコンピューティングシステムの一例にすぎず、本開示の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。また、コンピューティングシステム600は、コンピューティングシステム600に示される構成要素のいずれか1つ又は組み合わせに関連する何らかの依存関係又は要件を有するものとして解釈されるべきではない。
【0094】
図6に示すように、コンピューティングシステム600は、コンピューティングデバイス605を含む。コンピューティングデバイス605は、クラウド環境内などのネットワークインフラストラクチャ上に常駐することができ、又は別個の独立したコンピューティングデバイス(例えば、サービスプロバイダのコンピューティングデバイス)であり得る。コンピューティングデバイス605は、バス610と、プロセッサ615と、記憶デバイス620と、システムメモリ(ハードウェアデバイス)625と、1つ以上の入力デバイス630と、1つ以上の出力デバイス635と、通信インターフェース640と、を含み得る。
【0095】
バス610は、コンピューティングデバイス605の構成要素間の通信を可能にする。例えば、バス610は、コンピューティングデバイス605の様々な他の構成要素へ、そこから、又はそれらの間でデータ及び/又は電力を転送するための1つ以上の有線若しくは無線通信リンク又は経路を提供するために様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用する、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、及びローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造のいずれかであり得る。
【0096】
プロセッサ615は、本開示の機能、ステップ、及び/又はパフォーマンスを実行するためのコンピューティングデバイス605の様々な他の構成要素のうちの1つ以上の動作及び遂行を制御するためのプログラム命令などのコンピュータ可読プログラム命令を解釈及び実行するように動作可能な処理回路を含む、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、又は特殊化された専用プロセッサであり得る。特定の実施形態では、プロセッサ615は、コンピュータ可読プログラム命令によって動作可能に実行され得る本開示のプロセス、ステップ、機能、及び/又は動作を解釈及び実行する。例えば、プロセッサ615は、吸収スペクトル及び光源データを取り出し(例えば、インポート及び/又は他の方法で取得又はアクセスし)、吸収スペクトル及び光源データを符号化し、説明したようにGA動作を実行し、化学的リサイクルの一部として分類プロセスのためにターゲット材料を他の材料から区別するために最適化された光源構成を生成することができる。実施形態では、プロセッサ615によって取得又は生成された情報、例えば、光源を記述する個別解の染色体符号化は、記憶デバイス620に記憶することができる。
【0097】
記憶デバイス620は、磁気及び/又は光記録媒体並びにそれらの対応するドライブなどの非一時的機械可読記憶媒体などの、リムーバブル/非リムーバブル、揮発性/不揮発性コンピュータ可読媒体を含むことができるが、これらに限定されない。ドライブ及びそれらの関連するコンピュータ可読媒体は、本開示の異なる態様によるコンピューティングデバイス605の動作のためのコンピュータ可読プログラム命令、データ構造、プログラムモジュール、及び他のデータの記憶を提供する。実施形態において、記憶デバイス620は、本開示の態様に従って、オペレーティングシステム645、アプリケーションプログラム650、及びプログラムデータ655を記憶し得る。
【0098】
システムメモリ625は、例えば、フラッシュメモリなどの非一時的機械可読記憶媒体、読み取り専用メモリ(「ROM」)などの永久メモリ、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)などの半永久メモリ、任意の他の好適なタイプの非一時的記憶構成要素、又はそれらの任意の組み合わせを含む、1つ以上の記憶媒体を含み得る。いくつかの実施形態では、起動中などにコンピューティングデバイス605の様々な他の構成要素間で情報を転送するのを助ける基本ルーチンを含む入力/出力システム660(BIOS)が、ROMに記憶され得る。加えて、オペレーティングシステム645、プログラムモジュール、アプリケーションプログラム650、及び/又はプログラムデータ655の少なくとも一部分などのデータ及び/又はプログラムモジュール665は、プロセッサ615によってアクセス可能であり、及び/又は現在操作されており、RAM内に含まれ得る。実施形態では、プログラムモジュール665及び/又はアプリケーションプログラム650は、例えば、スペクトル及び光源データを識別及び注釈付けするための処理ツールと、データ構造にメタデータを付加するためのメタデータツールと、プロセッサ615の実行のための命令を提供する、最適化された光源構成を生成するための遺伝的アルゴリズムツールとを備えることができる。
【0099】
1つ以上の入力デバイス630は、オペレータがコンピューティングデバイス605に情報を入力することを可能にする1つ以上の機構を含み得、タッチパッド、ダイヤル、クリックホイール、スクロールホイール、タッチスクリーン、1つ以上のボタン(例えば、キーボード)、マウス、ゲームコントローラ、トラックボール、マイクロフォン、カメラ、近接センサ、光検出器、モーションセンサ、バイオメトリックセンサ、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。1つ以上の出力デバイス635は、オーディオスピーカ、ヘッドフォン、オーディオラインアウト、ビジュアルディスプレイ、アンテナ、赤外線ポート、触覚フィードバック、プリンタ、又はそれらの組み合わせなど、情報をオペレータに出力する1つ以上の機構を含み得るが、これらに限定されない。
【0100】
通信インターフェース640は、コンピューティングデバイス605が、モバイルデバイスなどのリモートデバイス又はシステム、あるいは例えばクラウド環境などのネットワーク化された環境内のサーバなどの他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする、任意の送受信機のような機構(例えば、ネットワークインターフェース、ネットワークアダプタ、モデム、又はそれらの組み合わせ)を含み得る。例えば、コンピューティングデバイス605は、通信インターフェース640を使用して、1つ以上のローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)及び/又は1つ以上のワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)を介してリモートデバイス又はシステムに接続され得る。
【0101】
本明細書で説明するように、コンピューティングシステム600は、遺伝的アルゴリズムを実行して、最適化された光源構成を生成し、ターゲット材料を他の非ターゲット材料から具体的に区別するように構成され得る。特に、コンピューティングデバイス605は、システムメモリ625などの非一時的機械可読記憶媒体に含まれるプログラム命令をプロセッサ615が実行することに応答して、タスク(例えば、プロセス、ステップ、方法及び/又は機能)を遂行し得る。プログラム命令は、データ記憶デバイス620などの別のコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的機械可読記憶媒体)から、又は通信インターフェース640若しくはクラウド環境内若しくは外のサーバを介して別のデバイスから、システムメモリ625に読み込まれ得る。実施形態では、オペレータは、1つ以上の入力デバイス630及び/又は1つ以上の出力デバイス635を介してコンピューティングデバイス605と対話して、本開示の態様によるタスクの遂行を容易にし、かつ/又はそのようなタスクの最終結果を実現し得る。追加又は代替実施形態では、本開示の異なる態様と一致するタスク、例えば、ステップ、方法、及び/又は機能を実行するために、プログラム命令の代わりに、又はプログラム命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路が使用され得る。したがって、本明細書で開示されるステップ、方法、及び/又は機能は、ハードウェア回路及びソフトウェアの任意の組み合わせで実行され得る。
【0102】
IV.追加の考慮事項
以上の説明では、様々な実施形態について説明した。説明の目的で、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成及び詳細が記載されている。しかしながら、実施形態が特定の詳細なしに実施され得ることも当業者には明らかであろう。更に、周知の特徴は、説明されている実施形態を不明瞭にしないために省略又は簡略化されている場合がある。本明細書に説明される例示的な実施形態は、ポリマー材料を中心とするが、これらは、非限定的な例示的な実施形態を意味する。本開示の実施形態は、そのような材料に限定されず、むしろ、幅広い材料が材料リサイクル及び/又はアップサイクルプロセスのための潜在的な原料として役立つ材料処理動作に対処することが意図される。そのような材料には、金属、リグノセルロース系材料などのバイオポリマー、粘弾性材料、希土類含有材料などの鉱物、並びに複雑な複合材料又はデバイスが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムが、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されたときに、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部若しくは全部及び/又は1つ以上のプロセス及びワークフローの一部又は全部を実施させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、非一時的機械可読記憶媒体で明確に具現化されたコンピュータプログラム製品を含み、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部若しくは全部及び/又は1つ以上のプロセスの一部若しくは全部を実施させるように構成された命令を含む。
【0104】
説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図されない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の説明は、様々な実施形態を実装するための有効な説明を当業者に提供することになる。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置において様々な変更がなされ得ることが理解される。
【0105】
具体的な詳細は、実施形態の完全な理解を提供するために、説明において与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態が実施され得ることが理解されるであろう。例えば、特定の計算モデル、システム、ネットワーク、プロセス、及び他の構成要素は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭化しないために、ブロック図の形態で構成要素として示され得る。他の事例では、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技術は、実施形態を不明瞭化することを回避するために、不必要な詳細なしで示され得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6