(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ヒートポンプ給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/375 20220101AFI20240621BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/136 20220101ALI20240621BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20240621BHJP
【FI】
F24H15/375
F24H4/02 G
F24H15/136
F24H15/215
(21)【出願番号】P 2019214133
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】品川 和毅
(72)【発明者】
【氏名】山根 将太
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/109689(WO,A1)
【文献】特開2015-190683(JP,A)
【文献】特開2008-121923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/375
F24H 4/02
F24H 15/136
F24H 15/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
冷媒用の圧縮機、湯水加熱用の凝縮熱交換器、膨張弁、および蒸発熱交換器を有するヒートポンプと、
前記貯湯タンクを前記凝縮熱交換器に接続し、かつ前記貯湯タンクから前記凝縮熱交換器への湯水供給、および前記凝縮熱交換器によって加熱された湯水の前記貯湯タンクへの戻しを可能とする第1および第2の湯水流路と、
前記蒸発熱交換器への着霜が生じた場合に、前記ヒートポンプに除霜運転を実行させる制御を行なう制御手段と、
を備えて
おり、
前記第1および第2の湯水流路の一部は、外部接続配管により構成されている、ヒートポンプ給湯装置であって、
前記第1および第2の湯水流路どうしをバイパス接続する第3の湯水流路を備え、かつ前記凝縮熱交換器から前記第2の湯水流路に流出した湯水を前記第3の湯水流路を介して前記第1の湯水流路および前記凝縮熱交換器に戻して循環させながら前記凝縮熱交換器による湯水加熱が可能なバイパス湯水循環路を切替え設定可能とされており、
前記制御手段は、前記除霜運転を開始させる前に、前記バイパス湯水循環路を設定し、このバイパス湯水循環路の湯水加熱を実行させるように構成されているとともに、
前記バイパス湯水循環路の湯水加熱は、この湯水加熱が開始された後において、前記第1の湯水流路から前記凝縮熱交換器への入水温度が所定の第2の温度まで上昇した時点で終了し、その後に前記除霜運転が開始されるように構成され
、かつ前記第2の温度は、前記除霜運転中に前記外部接続配管に凍結を生じないと想定される温度であり、
前
記外部接続配管の長さに関するデータをスイッチ操作により入力可能とされ、かつ前記制御手段は、前記入力がなされた前記外部接続配管の長さに関するデータに応じ、前記外部接続配管の長さが長い場合には短い場合よりも前記第2の温度を高くするように構成されていることを特徴とする、ヒートポンプ給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートポンプ給湯装置であって、
前記バイパス湯水循環路の湯水加熱は、前記蒸発熱交換器への着霜が生じた時点において、前記第1の湯水流路から前記凝縮熱交換器への入水温度が所定の第1の温度よりも低い場合に行なわれ、そうでない場合には行なわれないように構成されている、ヒートポンプ給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ヒートポンプ給湯装置の一例として、特許文献1に記載のものを先に提案しており、これを
図4に示す。
図4に示す従来のヒートポンプ給湯装置WHeにおいては、ヒートポンプ装置Heと、貯湯タンク2を有する貯湯タンクユニットUeとが組み合わされている。ヒートポンプ装置Heは、外気からの吸熱が可能な蒸発熱交換器10、圧縮機11、湯水加熱用の凝縮熱交換器12、および膨張弁13を有するヒートポンプ1(冷凍サイクル)を備えており、凝縮熱交換器12は、貯湯タンク2と第1および第2の湯水流路3A,3Bを介して接続されている。貯湯タンク2の湯水は、第1の湯水流路3Aを介して凝縮熱交換器12に送り込まれて加熱されてから第2の湯水流路3Bを介して貯湯タンク2に戻され、貯湯される。
【0003】
一方、冬季などにおいては、蒸発熱交換器10に着霜を生じる場合があり、この場合には、除霜運転が開始される。除霜運転は、ヒートポンプ装置Heに具備されている除霜用バイパス路18のバルブV4が開状態とされ、圧縮機11によって昇温が図られた冷媒が除霜用バイパス路18を介して蒸発熱交換器10に送り込まれることにより行なわれる。蒸発熱交換器10に着霜を生じると、ヒートポンプ1の出力や効率が低下するが、除霜運転が実行されることによってそのような不具合は解消される。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように改善すべき課題がある。
【0005】
すなわち、前記従来技術においては、ヒートポンプ装置Heに、除霜用バイパス路18が具備されているが、ヒートポンプ装置Heの構成をできる限り簡易にするなどの種々の事情により、この除霜用バイパス路18を無くしたい要望がある。
ここで、除霜用バイパス路18を無くした場合に、蒸発熱交換器10についての除霜動作を行なうには、圧縮機11において上昇した冷媒を、高温状態のまま凝縮熱交換器12および膨張弁13を通過させて蒸発熱交換器10に到達させる必要がある。その一方、除霜運転中においては、第1および第2の湯水流路3A,3Bに凍結を生じる虞がある。
このため、除霜運転中に、第1および第2の湯水流路3A,3Bの凍結防止を図るべく凝縮熱交換器12を利用した湯水加熱がなされると、蒸発熱交換器10に到達する冷媒の温度が低下することとなり、除霜を適切に行なうことができなくなる。その結果、除霜を完了する迄の所要時間が長くなる不具合を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-44446号公報
【文献】特開2019-158285号公報
【文献】特開2010-25494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、ヒートポンプの構成の簡易化を図りながらも、蒸発熱交換器への着霜が生じた際の除霜運転を適切に行なうことが可能なヒートポンプ給湯装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供されるヒートポンプ給湯装置は、貯湯タンクと、冷媒用の圧縮機、湯水加熱用の凝縮熱交換器、膨張弁、および蒸発熱交換器を有するヒートポンプと、前記貯湯タンクを前記凝縮熱交換器に接続し、かつ前記貯湯タンクから前記凝縮熱交換器への湯水供給、および前記凝縮熱交換器によって加熱された湯水の前記貯湯タンクへの戻しを可能とする第1および第2の湯水流路と、前記蒸発熱交換器への着霜が生じた場合に、前記ヒートポンプに除霜運転を実行させる制御を行なう制御手段と、を備えており、前記第1および第2の湯水流路の一部は、外部接続配管により構成されている、ヒートポンプ給湯装置であって、前記第1および第2の湯水流路どうしをバイパス接続する第3の湯水流路を備え、かつ前記凝縮熱交換器から前記第2の湯水流路に流出した湯水を前記第3の湯水流路を介して前記第1の湯水流路および前記凝縮熱交換器に戻して循環させながら前記凝縮熱交換器による湯水加熱が可能なバイパス湯水循環路を切替え設定可能とされており、前記制御手段は、前記除霜運転を開始させる前に、前記バイパス湯水循環路を設定し、このバイパス湯水循環路の湯水加熱を実行させるように構成されているとともに、前記バイパス湯水循環路の湯水加熱は、この湯水加熱が開始された後において、前記第1の湯水流路から前記凝縮熱交換器への入水温度が所定の第2の温度まで上昇した時点で終了し、その後に前記除霜運転が開始されるように構成され、かつ前記第2の温度は、前記除霜運転中に前記外部接続配管に凍結を生じないと想定される温度であり、前記外部接続配管の長さに関するデータをスイッチ操作により入力可能とされ、かつ前記制御手段は、前記入力がなされた前記外部接続配管の長さに関するデータに応じ、前記外部接続配管の長さが長い場合には短い場合よりも前記第2の温度を高くするように構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ヒートポンプの蒸発熱交換器への着霜が生じ、除霜運転が開始される前には、バイパス湯水循環路において湯水を循環させながら凝縮熱交換器によって加熱し、前記湯水の温度を上昇させておくことができる。したがって、その後にヒートポンプにおいて、除霜運転が行なわれる際に、第1および第2の湯水流路の湯水が凍結する虞をなくし、または少なくすることが可能となる。その結果、除霜運転中に、凍結防止を目的として、凝縮熱交換器を利用した湯水加熱を行なう必要がなくなる。除霜運転中に、凝縮熱交換器を利用した湯水加熱が行なわれると、凝縮熱交換器において冷媒の温度が低下し、蒸発熱交換器の除霜が困難化するが、本発明によれば、そのようなことを適切に回避し、蒸発熱交換器の除霜を効率よく、かつ迅速に完了させることが可能となる。
本発明によれば、前記従来技術とは異なり、ヒートポンプに除霜用バイパス路を設ける必要はなく、ヒートポンプの簡素化を図ることが可能である。
さらに、バイパス湯水循環路の湯水加熱の終了時期を、凝縮熱交換器の入水温度に基づいて適正に制御し、バイパス湯水循環路の湯水を過剰に加熱したり、あるいは加熱が不足するなどの事態が発生することを適切に防止することが可能となる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記バイパス湯水循環路の湯水加熱は、前記蒸発熱交換器への着霜が生じた時点において、前記第1の湯水流路から前記凝縮熱交換器への入水温度が所定の第1の温度よりも低い場合に行なわれ、そうでない場合には行なわれないように構成されている。
【0012】
このような構成によれば、凝縮熱交換器への入水温度が所定の第1の温度よりも低く、第1の湯水流路や第2の湯水流路に凍結を生じる虞がある場合には、バイパス湯水循環路の湯水加熱が行なわれて前記凍結の予防措置が的確に図られる一方、そうでない場合には、バイパス湯水循環路の湯水加熱が無駄に行なわれないようにして省エネを図り、また除霜運転を早期に開始することもできる。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るヒートポンプ給湯装置の一例を示す説明図である。
【
図2】
図1のヒートポンプ給湯装置において実行される動作制御の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図1のヒートポンプ給湯装置において実行される動作制御の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
理解の容易のため、
図4に示した従来技術と同一部位については、従来技術と同一の符号を適宜付すこととする。
【0018】
図1に示すヒートポンプ給湯装置WHは、ヒートポンプ装置Hと、貯湯タンクユニットUとを備えている。
このヒートポンプ給湯装置WHは、
図4に示した従来のものと比較すると、ヒートポンプ装置Hに除霜用バイパス路18が設けられておらず、その代わりに、貯湯タンクユニットUには、後述する第3の湯水流路3Cが設けられている点において、そのハード構成に相違がある。また、動作制御においても相違がある。
【0019】
貯湯タンクユニットUは、貯湯タンク2、およびリモコン40が接続された主制御部4を備えている。貯湯タンク2は、ヒートポンプ装置Hによって加熱された湯水を貯留させておくためのものである。貯湯タンク2の下部には、水道管などの給水管31が接続される下部配管32が接続されており、給水管31から供給される水が貯湯タンク2内にその下部から入水可能である。貯湯タンク2の上部には、三方弁V1を有する上部配管33が接続され、かつこの上部配管33には、給湯栓9に配管接続される出湯管35、および下部配管32からの分岐配管36が混合弁V2を介して接続されている。このことにより、給湯栓9を開いた際には、貯湯タンク2への給水圧によって出湯が行なわれ、貯湯タンク2から出湯した湯水と分岐配管36からの水とが混合して温度調整された湯水が、給湯栓9に供給される。
【0020】
ヒートポンプ装置Hは、ヒートポンプ1(冷凍サイクル)、補助制御部4Aを備えている。ヒートポンプ1は、たとえばCO2 などの冷媒の循環流通経路上に、外気(大気)から熱を吸収するための蒸発熱交換器10、圧縮機11、湯水加熱が可能な凝縮熱交換器12、および膨張弁13が設けられた構成である。蒸発熱交換器10には、ファン10aが付属して設けられているが、このファン10aは、ヒートポンプ装置Hの筐体19内に流入した外気を蒸発熱交換器10に作用させるものである。
【0021】
凝縮熱交換器12は、ポンプPの駆動により貯湯タンク2の下部から第1の湯水流路3Aを介して供給されてくる湯水を加熱可能である。また、給水管31から第1の湯水流路3Aを介して供給されてくる水も加熱可能である。加熱された湯水については、第2の湯水流路3Bを介して貯湯タンク2内に送り込み、貯留させることが可能である。
【0022】
貯湯タンクユニットUに設けられた第3の湯水流路3Cは、第1および第2の湯水流路3A,3Bの途中箇所どうしをバイパス接続するバイパス路としての湯水流路であり、第2の湯水流路3B(または第1の湯水流路3A)に対して、バルブV3(三方弁)を介し
て接続されている。バルブV3の切替えにより、バイパス湯水循環路Bを設定可能である。このバイパス湯水循環路Bは、
図1の矢印N1~N4で示す経路で湯水を循環可能とする湯水流路であって、凝縮熱交換器12から第2の湯水流路3Bに流れた湯水が、貯湯タンク2に供給されることなく、第3の湯水流路3Cに流れ込んで第1の湯水流路3Aおよび凝縮熱交換器12に戻される湯水循環路である。このバイパス湯水循環路Bの設定時においては、湯水を前記した一定の経路で循環させながら凝縮熱交換器12を利用して加熱することが可能である。
勿論、前記したバイパス湯水循環路Bが解除された通常状態においては、凝縮熱交換器12から第2の湯水流路3Bに流れた湯水は、第3の湯水流路3Cに流れ込むことなく、貯湯タンク2に向けて流れる。
【0023】
主制御部4および補助制御部4Aは、本発明でいう制御手段の一例に相当し、マイクロコンピュータなどを用いて構成されている。主制御部4は、貯湯タンクユニットUの各部の動作制御を行なう。補助制御部4Aは、主制御部4との間でデータ通信を実行し、かつ主制御部4からの指示などにしたがってヒートポンプ装置Hの各部の動作制御を実行する。ヒートポンプ装置Hにおいて実行される動作制御としては、蒸発熱交換器10への着霜の有無の判断処理、および除霜運転の動作制御などがあり、これらの点については後述する。
ヒートポンプ装置Hには、外気温度を検出するための外気温度センサSa、蒸発熱交換器10の冷媒出口側温度を検出するための冷媒出口側温度センサSb、および凝縮熱交換器12への入水温度を検出するための入水温度センサScも設けられている。
【0024】
次に、前記したヒートポンプ給湯装置WHにおいて実行される動作処理手順の例について、
図2に示すフローチャートを参照しつつ説明し、合わせてその作用も説明する。
【0025】
まず、ヒートポンプ装置Hの運転時においては、主制御部4および補助制御部4Aの少なくとも一方において、蒸発熱交換器10に着霜が発生しているか否が常時または周期的に判断されている(S1)。この判断手法としては、たとえば外気温度センサSaで検出される外気温度と、冷媒出口側温度センサSbで検出される蒸発熱交換器10の冷媒出口側温度との温度差を検出し、かつこの温度差が所定の閾値以上になった場合に、着霜が生じていると判断する手法が用いられる。この手法は、蒸発熱交換器10に着霜がなく、熱交換効率が高い場合には、外気温度と冷媒出口側温度との温度差は小さいのに対し、着霜が生じて蒸発熱交換器10の効率が低下すると、前記温度差は大きくなる原理に基づく。勿論、前記以外の手法により着霜の有無を判断してもかまわない。
【0026】
前記した判断において、蒸発熱交換器10に着霜が生じたと判断された場合、入水温度センサScで検出される凝縮熱交換器12への入水温度T1が、所定の第1の温度Th1未満であるか否が判断される(S1:YES,S2)。この判断は、後で実行される除霜運転時に、第1および第2の湯水流路3A,3Bにおいて凍結の虞があるか否かの判断に相当する。入水温度T1が第1の温度Th1以上であって、凍結の虞がない場合には、その後除霜運転が直ちに開始される(S3:NO,S7)。
除霜運転は、ヒートポンプ1の圧縮機11を動作させて冷媒を循環させるが、膨張弁13の開度を通常時よりも大きくし、蒸発熱交換器10に送り込まれる冷媒の温度を高くする運転である。
【0027】
これに対し、前記とは異なり、凝縮熱交換器12への入水温度T1が第1の温度Th1未満である場合には、除霜運転は直ちには開始されず、バルブV3の切替えにより、前記したバイパス湯水循環路Bが設定される(S3:YES,S4)。この場合、ポンプPは運転オン状態であり、このことによりバイパス湯水循環路Bの湯水は、このバイパス湯水循環路Bを循環しながら凝縮熱交換器12によって加熱され、昇温していく。その後、入水
温度T1が、所定の第2の温度Th2まで上昇すると、その時点でポンプPの運転は停止されるとともに、バルブV3の切り替えにより、前記したバイパス湯水循環路Bの設定状態が解除される(S5:YES,S6)。その後、ヒートポンプ装置Hにおいては、蒸発熱交換器10の除霜運転が行なわれる(S7)。ステップS6におけるポンプPの運転オフは、ステップS7における除霜運転の開始時以降になされてもよい。
【0028】
前記した一連の動作処理によれば、入水温度T1が低く、除霜運転中に第1および第2の湯水流路3A,3Bの湯水が凍結する虞がある場合には、除霜運転が開始される前に、凍結を生じない第2の温度Th2まで加熱されるため、除霜運転中に、湯水の凍結を防止すべく凝縮熱交換器12を利用して第1および第2の湯水流路3A,3Bの湯水を加熱する必要はない。凝縮熱交換器12を利用して前記湯水を加熱したのでは、凝縮熱交換器12において冷媒の温度が不当に低下し、除霜が困難化するが、本実施形態によれば、そのような不具合を回避することが可能である。したがって、除霜運転を効率よく、かつ迅速に終了させることができる。
【0029】
一方、蒸発熱交換器10への着霜が生じた場合において、入水温度T1が高く、凍結を生じる虞がない場合には、除霜運転が直ちに開始されており、除霜運転前に第1および第2の湯水流路3A,3Bの湯水が加熱されることは回避されているため、エネルギ消費の無駄をなくすこともできる。
本実施形態のヒートポンプ給湯装置WHにおいては、ヒートポンプ装置Hに、
図4の従来技術における除霜用バイパス路18が設けられていないため、ヒートポンプ装置Hの簡素化を図ることができる。
【0030】
ヒートポンプ給湯装置WHにおいては、
図3に示すような動作制御が可能な構成とすることもできる。
【0031】
すなわち、リモコン40、主制御部4、または補助制御部4Aの少なくとも1つにおいては、第1および第2の湯水流路3A,3Bの一部を構成する外部接続配管39(
図1を参照)の長さをスイッチ操作により入力可能とされている。この入力の仕方は、たとえば、「短」「中」「長」でもよいし、実際の長さの数値を入力してもよい。このような入力がなされると、主制御部4および/または補助制御部4Aにおいては、前記入力がなされた外部接続配管39の長さLに応じて、第2の温度Th2を設定する(S21:YES,S22)。外部接続配管39の長さLが長いほど、第1および第2の湯水流路3A,3Bの湯水は凍結し易くなるため、外部接続配管39の長さLが長い場合には、長さLが短い場合よりも第2の温度Th2は高くされる。
【0032】
また、フローチャートは省略するが、第1および第2の湯水流路3A,3Bは、外気温が低いほど凍結し易くなる。したがって、外気温が低いほど、第2の温度Th2を高くする制御を、主制御部4および/または補助制御部4Aに実行させるように構成することもできる。
第2の温度Th2と同様に、第1の温度Th1についても、種々の条件に応じて、スイッチ操作や、主制御部4および/または補助制御部4Aの制御により、適宜変更できるように構成することもできる。
【0033】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るヒートポンプ給湯装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0034】
WH 給湯装置
B バイパス湯水循環路
1 ヒートポンプ
10 蒸発熱交換器
11 圧縮機
12 凝縮熱交換器
13 膨張弁
2 貯湯タンク
3A~3C 第1ないし第3の湯水流路
4 主制御部(制御手段)
4A 補助制御部(制御手段)