(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/08 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
E21D11/08
(21)【出願番号】P 2023073373
(22)【出願日】2023-04-27
【審査請求日】2024-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593132814
【氏名又は名称】キザイテクト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511272990
【氏名又は名称】株式会社光計画設計事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】322000410
【氏名又は名称】合同会社アシストワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉村 敏子
(72)【発明者】
【氏名】天井 真未
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-249936(JP,A)
【文献】特開2013-104164(JP,A)
【文献】特開2016-094747(JP,A)
【文献】特開平05-231095(JP,A)
【文献】特開2005-240400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0279076(US,A1)
【文献】登録実用新案第3173190(JP,U)
【文献】登録実用新案第3183372(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路トンネルを補強・補修する際に形成される複数の曲面樹脂コンクリートパネルを円筒状に連結させた
リング状に一体化されている薄肉円筒構造体であって、
補強・補修する水路トンネルの内壁径に合わせた所定の曲率半径を有する複数の曲面樹脂コンクリートパネルと、
前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記曲面樹脂コンクリートパネルとの目地間隙を埋めるように充填接着する目地材を
備えており、
前記目地材は、湿潤面施工用エポキシ樹脂系のシール材であり、エポキシ樹脂を硬化させるために必要なハードナーとして、アミン系ハードナー、無水物系ハードナー、フェノール系ハードナー、多価アルコール系ハードナーの中から選択された少なくとも1つ以上のハードナーを採用しており、
曲率樹脂コンクリートパネルと目地材との接着強度が、曲面樹脂コンクリートパネル自体の引張強度よりも大きい16.8N/mm
2
以上であることを特徴とする曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体。
【請求項2】
任意の曲率を有する曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法であって、
既設履工コンクリート側に、プラスチックスペーサーと前記プラスチックスペーサーに載せるように高さ調整部材を仮設置した後、曲面樹脂コンクリートパネルを仮設置する工程と、
前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記プラスチックスペーサーと前記高さ調整部材を既設履工コンクリート側に埋設されたアンカーに皿ボルト締めにより設置する工程と、
前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記曲面樹脂コンクリートパネルとの目地間隙に目地材を充填接着する工程を備えることを特徴とする
請求項1に記載された曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路トンネルの曲率径に合わせた曲面を有する曲面樹脂コンクリートパネルを高強度接着剤にて連結させた曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
水路トンネルの覆工を形成する材料は、一般的に無筋コンクリートや鉄筋コンクリート、及び鋼製材料等が使用されてきた。水路トンネル覆工を形成する材料強度は、材料試験等によって求められ、求められた材料強度を基に、トンネルの覆工壁厚や地盤支持構造の設計が行われる。さらに、応力解析により、トンネル覆工構造物に掛かる応力を計算し、その応力が材料の耐久力を超えないように設計される。水路トンネルが受ける地盤等外部からの土圧や外水圧のみならず、水路トンネルの内部を流れる水の取水側~吐出側間の水頭差や流水量に起因する内水圧も水路トンネル覆工の強度設計に影響を与えることになる。
【0003】
一方、水路トンネルを補強・補修工事する際に考慮することとして、水路トンネルに掛かる内水圧、及び外圧に対して安全で、かつ、水密性、及び耐久性に優れた構造であることが挙げられる。具体的には、断面が円形状となる水路トンネルを想定すると、水路トンネルに掛かる内水圧、及び外圧に対して安全で、かつ、水密性、及び耐久性に優れた構造にするために水路トンネル内壁に施工される「トンネル内面壁360°に亘って補強補修のための1つの円筒構造体」が形成されている必要がある。出願人らは上記発想に基づき鋭意研究を進め、薄肉鋼管と同程度の強度を確保することができる任意曲率樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体の開発に至ったのである。
【0004】
特許文献1には、「H型鋼製支保工等の構造材料を用いることなく、改良された樹脂コンクリートパネル材料を用いて、構造計算をクリアーできる耐震補強構造が得られる既設コンクリート構造物の耐震補強工法の提供。」を課題として、「既設コンクリート構造物内面に樹脂コンクリートパネルの背面を貼り合せて、樹脂コンクリートパネルを設置する内面補強工法において、樹脂コンクリートパネルは、2方向炭素繊維シートを背面に配置して一体化し、曲面状または平面状に成型した複合樹脂コンクリートパネルであることを特徴とし、さらに該パネルの設置に際して、前記構造物内面の軸方向と平行のパネル接続部において、所定のラップ長さを確保して該接続部の領域全体をラップできる面積を有する接続用2方向炭素繊維シートを、前記構造物内面のパネル接続部が配置される場所に予め貼り合せておくことも特徴とする既設コンクリート構造物の耐震補強工法。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る複合樹脂コンクリートパネル材料を用いた耐震補強工法は、この複合樹脂コンクリートパネルにより内面を補強された既存コンクリート構造物は、鉄筋やH型鋼製支保工等の構造材料を用いることなく、構造計算をクリアーできる耐震補強構造が得られるものである。しかしながら、特許文献1の
図1を見るに、既設コンクリート構造物であるトンネルの背面地山部分が補強・補修されていない形状である。
【0007】
本発明の目的は、円形水路トンネルに掛かる内水圧、及び外圧に対して安全で、かつ、水密性、及び耐久性に優れた構造を得るための、円形水路トンネルの径に合わせた曲面を有する曲面樹脂コンクリートパネルを高強度接着剤にて連結させた薄肉円筒構造体を使用した補強・補修工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、水路トンネルを補強・補修する際に形成される複数の曲面樹脂コンクリートパネルを円筒状に連結させたリング状に一体化されている薄肉円筒構造体であって、補強・補修する水路トンネルの内壁径に合わせた所定の曲率半径を有する複数の曲面樹脂コンクリートパネルと、前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記曲面樹脂コンクリートパネルとの目地間隙を埋めるように充填接着する目地材を備えており、前記目地材は、湿潤面施工用エポキシ樹脂系のシール材であり、エポキシ樹脂を硬化させるために必要なハードナーとして、アミン系ハードナー、無水物系ハードナー、フェノール系ハードナー、多価アルコール系ハードナーの中から選択された少なくとも1つ以上のハードナーを採用しており、曲率樹脂コンクリートパネルと目地材との接着強度が、曲面樹脂コンクリートパネル自体の引張強度よりも大きい16.8N/mm
2
以上であることを特徴とする曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載された発明は、任意の曲率を有する曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法であって、既設履工コンクリート側に、プラスチックスペーサーと前記プラスチックスペーサーに載せるように高さ調整部材を仮設置した後、曲面樹脂コンクリートパネルを仮設置する工程と、前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記プラスチックスペーサーと前記高さ調整部材を既設履工コンクリート側に埋設されたアンカーに皿ボルト締めにより設置する工程と、前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記曲面樹脂コンクリートパネルとの目地間隙に目地材を充填接着する工程を備える請求項1に記載された曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法であることを特徴とするものである。尚、本発明においては、複数の曲面樹脂コンクリートパネルの所定の曲率半径は全て同じであるとは限らない。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法にて形成された薄肉円筒構造体は、水路トンネルを補強補修する際に形成される複数の曲面樹脂コンクリートパネルを高強度接着剤にて円筒状に連結させた薄肉円筒構造体である。補強・補修する(断面形状が円形状である)水路トンネルの径に合わせた任意の曲率半径(曲率半径は水路トンネルの内面壁径により定まる。複数の曲面樹脂コンクリートパネルと、曲面樹脂コンクリートパネルと曲面樹脂コンクリートパネルの目地間隙を埋めるように充填接着する目地材を備えている。
【0011】
目地材の主成分は、曲面樹脂コンクリートパネルと目地材との接着面における引張強度が、曲面樹脂コンクリートパネル自体の引張強度よりも大きくなるような接着強度を備えた高強度接着剤であるので、複数の曲面樹脂コンクリートパネルと(それらを繋ぎ合わせる)目地材が(水路トンネルの内面壁に設置された)一体化された大きな円筒体(断面はリング体)のような形状になる。従って、(断面形状がリング状の)水路トンネルに掛かる内水圧、及び外圧に対して安全で、かつ、水密性、及び耐久性に優れた構造を得るための、水路トンネルの径に合わせた曲面を有する曲面樹脂コンクリートパネルを高強度接着剤にて連結させた薄肉円筒構造体を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法により形成された曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体の断面図である。
【
図3】薄肉円筒構造体の接合状態を説明するための展開図である。
【0013】
以下、本発明に係る薄肉円筒構造体10の一実施形態について、
図1~
図3に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法により形成された曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体10の断面図である。
図2は、薄肉円筒構造体10の側面図である。
【0014】
本発明に係る曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法により形成された曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体10は、水路トンネルを補強・補修する際に形成される。即ち、老朽化した水路トンネルの内面壁に対する補強・補修を目的とした施工により形成される。具体的な工程として、皿ボルトを捻じ込む際に必要な穴を備えた曲面樹脂コンクリートパネル20を既設トンネル内面壁に埋設されている金属拡張アンカーに皿ボルトを捻じ込むことで(既設トンネルとの間に空間ができるように)曲面樹脂コンクリートパネル20を仮設置し、その後、既設トンネルと曲面樹脂コンクリートパネル20との間の空間に高流動グラウト材を注入充填する。更に、水路トンネルの内面壁曲率に合わせた曲率面を有する複数の曲面樹脂コンクリートパネル20と曲面樹脂コンクリートパネル20との目地間隙を充填する高強度接着剤により(水路トンネルの進行方向に向かって円筒状に敷き詰め連続形成された)円筒状に連結させる。尚、高流動グラウト材を注入充填する工程前に、高強度接着剤を目地充填する工程を注入するスパン単位にて区間終了させる。
【0015】
曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法により形成された曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体10は、上記工程にて形成されるのであるが、
図1、及び
図2に記載したように、補強・補修する水路トンネルの径に合わせた所定の曲率半径を有する複数の曲面樹脂コンクリートパネル20と、曲面樹脂コンクリートパネル20と曲面樹脂コンクリートパネル20の目地間隙を埋める目地材30を備えている。(既設トンネル覆工面と曲面樹脂コンクリートパネル20とのパネル背面間隙の空間に充填した高流動グラウト材は含まれない。)薄肉円筒構造体10は、断面形状が円形状である水路トンネルの内面壁側の360°に亘って、曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30が(断面を取り出して見ると)リング状に一体化されている薄肉円筒形構造体10であることが大きな特徴である(
図1参照)。全体の形状として、薄肉円筒構造体10は、水路トンネル内壁面に沿って形成された曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30が一体化した大きいリング体を水路トンネル進行方向に連続延長した円筒(チューブ状)構造体のようなイメージになる(
図2参照)。
【0016】
薄肉円筒構造体10は、断面形状が円形である水路トンネルの内面壁側の360°に亘って、曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30が(断面を取り出して見ると)大きなリング状に一体化させるためには、(曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30との)十分な接着強度を備える必要がある。(補強・補修する水路トンネルの径に合わせた所定の曲率半径を有する複数の曲面樹脂コンクリートパネル20と、曲面樹脂コンクリートパネル20と曲面樹脂コンクリートパネル20の目地間隙を埋める)目地材30の主成分は、曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30との接着面における引張強度が、曲面樹脂コンクリートパネル20自体の引張強度以上になるような接着強度(引張強度で評価する)を備えた高強度接着剤である。
【0017】
目地材30について詳述すれば、湿潤面施工用エポキシ樹脂系のシール材である。エポキシ樹脂系のシール材は、いわゆるハードナー(エポキシ樹脂を硬化させるために必要な成分)を調整することで、接着剤の硬化度が高まり、接着強度が向上する。曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30との接着面における引張強度が、曲面樹脂コンクリートパネル20自体の引張強度よりも大きくなるような接着強度を備えた高強度接着剤を得るために、エポキシ樹脂系のシール材を硬化させるために必要な成分であるハードナーとして、アミン基を含む有機化合物であるアミン系ハードナー(アルキルアミン、アリルアミン、アミドアミン、キシリデンアミン等)、酸無水物とエポキシ樹脂を混合することで硬化するタイプのハードナーである酸無水物系ハードナー、フェノール樹脂をハードナーとして使用するタイプの接着剤であるフェノール系ハードナー、多価アルコールとエポキシ樹脂を混合することで硬化するタイプのハードナーである多価アルコール系ハードナー等を採用することができる。これらは1種類のみの採用でも良いし、1種類以上のハードナーを組み合わせた形で採用しても良い。
【0018】
さらに、曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30との接着面における引張強度が、曲面樹脂コンクリートパネル20自体の引張強度よりも大きくなるような接着強度を備えた高強度接着剤を得るためには、ハードナーの選択・調整以外にも、エポキシ樹脂に繊維を加えることで、接着剤の強度を向上させることができる繊維強化材料、及び接着剤が接着する表面の凹凸を埋め、接着剤の接着面積を増やすことができる充填材を添加することもできる。
【0019】
<薄肉円筒構造体の接合状態>
図3は、曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法により形成された曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体10の接合状態を説明するための展開図である。
図3は(トンネルの内側からの視点で捉えた場合における)水路トンネルの内壁面に沿って360°展開された図であり、曲面樹脂コントロールパネル20と曲面樹脂コントロールパネル20の目地間隙を目地材30が充填するような状態になっていることを示している。
【0020】
薄肉円筒構造体10の接合状態は、
図3の展開図に記載したように、大きさ1000mm×1000mm程度の曲面樹脂コンクリートパネル20と曲面樹脂コンクリートパネル20の目地間隙(10mm~20mm)を目地材30が埋めるように充填接着されている。この構造が水路トンネルの改修始点から水路トンネルの改修終点に向かって連続形成されている。即ち、曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30とによる薄肉円筒構造体10が連続形成されている。
【0021】
<薄肉円筒構造体の効果>
本発明に係る曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法により形成された曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体10は、水路トンネルにおける円形断面の構造設計計算において、鉄筋を薄肉円筒として換算した単位トンネル軸当たりの鉄筋断面積(鉄筋を薄肉円筒に換算することができること)から着想を得ている。出願人らが検討した結果、曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30との接着面における引張強度を目安として、曲面樹脂コンクリートパネル20自体の引張強度よりも大きくなるような接着強度(一例として引張強度:16.8N/mm2)を備えた高強度接着剤により連結させた薄肉円筒構造体10である。薄肉円筒構造体10は、水路トンネル内壁面に沿って形成された曲面樹脂コンクリートパネル20と目地材30が一体化した大きいリング体を水路トンネル進行方向に延長した円筒(チューブ状)構造体のようなイメージになる。
【0022】
水路トンネルの内壁側に(曲面樹脂コンクリートパネル20と同等の引張強度、或いは、それ以上の引張強度を備えた)薄肉円筒構造体10を形成することで、円形水路トンネルに掛かる内水圧、及び外圧に対して安全で、かつ、水密性、及び耐久性に優れた構造を得るための、円形水路トンネルの径に合わせた曲率面を有する曲面樹脂コンクリートパネルを高強度接着剤にて連結させた薄肉円筒構造体を提供することができるようになった。さらに、薄肉円筒構造類似工法との比較において工期を1/2以下に短縮することができるようになった。
【0023】
<薄肉円筒構造体の変更例>
本発明に係る曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法により形成された曲面樹脂コンクリートパネル連結薄肉円筒構造体は、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、樹脂コンクリートパネル、目地材等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。曲面樹脂コンクリートパネルの母材内部に超微細気泡を含まないようにする工夫(高温高圧でのプレス)することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る薄肉円筒構造体は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので円形水路トンネルに掛かる内水圧、及び外圧に対して安全で、かつ、水密性、及び耐久性に優れた構造を得るための、円形水路トンネルの径に合わせた曲率面を有する曲面樹脂コンクリートパネルを高強度接着剤にて連結させた薄肉円筒構造体として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
10・・薄肉円筒構造体
20・・曲面樹脂コンクリートパネル
30・・目地材
【要約】 (修正有)
【課題】円形水路トンネルに掛かる内水圧、及び外圧に対して安全で、かつ、水密性、及び耐久性に優れた構造を得るための、円形水路トンネルの径に合わせた曲面を有する曲面樹脂コンクリートパネルを高強度接着剤にて連結させた薄肉円筒構造体によるトンネル補強・補修工法を提供すること。
【解決手段】既設覆工コンクリート側に、プラスチックスペーサーと前記プラスチックスペーサーに載せるように高さ調整部材を仮設置した後、曲面樹脂コンクリートパネルを仮設置する工程と、前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記プラスチックスペーサーと前記高さ調整部材を既設覆工コンクリート側に埋設されたアンカーに皿ボルト締めにより設置する工程と、前記曲面樹脂コンクリートパネルと前記曲面樹脂コンクリートパネルとの目地間隙に目地材を充填接着する工程を備えることを特徴とする曲面樹脂コンクリートパネルによるトンネル補強・補修工法とした。
【選択図】
図1