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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】金属物品の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C23G 5/028 20060101AFI20240621BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20240621BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20240621BHJP
   C11D 7/30 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C23G5/028
B08B3/08 A
C11D7/26
C11D7/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018166198
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020037726
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】515302923
【氏名又は名称】株式会社METEL
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 省慈
(72)【発明者】
【氏名】谷田部 修
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】佐藤 陽一
【審判官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104738号
【文献】特開平7-299426号公報
【文献】特開2007-47351号公報
【文献】特開平2-131179号公報
【文献】特開2018-21093号公報
【文献】特開2016-209789号公報
【文献】特開2015-187279号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23G 1/00- 5/06
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるフルオロプロペン化合物(A)を含有する洗浄剤に金属物品を浸漬する工程(i)、および
前記洗浄剤から前記金属物品を0.50m/秒以下の速度で取り出す工程(ii)
を含み、
前記金属物品が、コンビネーション版として使用されるメタルマスクである、
金属物品の洗浄方法。
(6-(a+b))Cl (1)
(式中、aは1~5の整数であり、bは1~3の整数であり、a+bは2~6の整数である。)
【請求項2】
前記化合物(A)の沸点が35℃以上60℃以下である請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄剤が、前記化合物(A)として下記一般式(2)で示されるフルオロプロペン化合物を含有する請求項1または2に記載の洗浄方法。
【化1】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ、水素、フッ素または塩素である。ただし、R、RおよびRのすべてが同時にフッ素であることはなく、R、RおよびRの少なくとも1つは塩素である。)
【請求項4】
前記洗浄剤が、前記化合物(A)としてHCFO-1233zd(Z)、HCFO-1233yd(Z)、HCFO―1223xd、HCFO-1223za及びCFO-1214yaからなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄剤が、前記化合物(A)として、HCFO-1233zd(Z)を含有する請求項4に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄剤が、アルコール類、ケトン類、エステル類、及び炭化水素類よりなる群から選ばれる一種以上であって20℃における蒸気圧が1.33×10Pa以上である化合物(B)、ならびに前記化合物(A)を含有する洗浄用組成物からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記アルコール類としてイソプロピルアルコールを含有する請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄剤の温度が10~39℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属物品(たとえば、ソルダーペースト等の印刷時に使用されるメタルマスク)の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工油等の汚れが付着した金属物品の洗浄には、一般的に溶剤が使用されている。
金属物品の洗浄には、不燃性で毒性が低く、優れた溶解性を示す等、多くの特長を有することから、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(以下「CFC113」と記載する。)やCFC113とアルコールなどを混合した溶剤が使用されていた。しかしながら、CFC113はオゾン層破壊等の地球環境汚染問題が指摘され、その代替品が盛んに開発されている。
【0003】
たとえば、分子内に二重結合を有することで一般的に大気中のOHラジカルとの反応性が大きいため、オゾン破壊係数(ODP)や地球温暖化係数(GWP)が小さく、かつ、塩素原子含むことで洗浄性を示すフルオロプロペン類を利用した技術が開発されている。このような洗浄剤用のフルオロプロペン類としてシス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(以下「HCFO-1233zd(Z)」とも記載する。)が有用であることが知られ、たとえば特許文献1~3には、HCFO-1233zd(Z)と他の成分とからなる共沸又は共沸様組成物からなる洗浄剤が開示されている。
【0004】
洗浄対象である金属物品の一例として、メタルマスクが挙げられる。電子回路の製造において、基板に部品を接合するのに適量のはんだを供給するために、はんだペーストを、印刷すべき模様に孔の開いた金属板、すなわちメタルマスクを通して印刷することがあり、使用後に保管、再使用のため、あるいは印刷精度を確保するため、このメタルマスクを洗浄する必要がある。CFC113の代替となるメタルマスク用洗浄剤として、たとえば特許文献4には、オゾン層破壊能のないグリコールエーテル系溶剤を主体とした洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-133438号公報
【文献】特開2010-248443号公報
【文献】国際公開第2016/052562号
【文献】特開平9-59688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属物品の洗浄は、たとえば金属物品を洗浄剤に浸漬した後、洗浄剤から取り出すことにより実施される。
グリコールエーテル系溶剤を主体とした洗浄剤でメタルマスク等の金属物品を洗浄する場合、洗浄剤に含まれる溶剤の沸点が高いため、洗浄剤から金属物品を取り出しても、金属物品表面に付着した洗浄剤が乾燥せず、洗浄系外に持ち出されるため、洗浄剤が必要以上に使用され、ランニングコストが大きいという問題があった。
【0007】
さらに、メタルマスクは、通常、金属製の版枠に張力の掛けられた紗を介してメタルマスクが装着されたコンビネーション版の状態で使用され、かつ洗浄されるが、グリコールエーテル系溶剤を主体とした洗浄剤で洗浄すると、洗浄を繰り返すうちにコンビネーション版に使用されている保護テープまたは接着剤が劣化してしまい、結果としてランニングコストが大きくなるという問題があった。
【0008】
また、洗浄剤が付着したメタルマスクを乾燥させるための方法として、水リンス、熱風乾燥等の方法が考えられるが、これらの方法を使用すると、洗浄剤の持出量の削減に結び付かないばかりか、コンビネーション版がより破損し易くなってしまう。
【0009】
一方、フルオロプロペン類を主体とした洗浄剤で金属物品を洗浄する従来技術においても、洗浄剤の持出量低減という課題は認識されていない。
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、洗浄剤の持出量を抑制して金属物品を洗浄することができる洗浄方法を提供することを目的としている。さらに、金属物品がメタルマスクである場合であれば、上記の課題に加えて、洗浄を繰り返した際にコンビネーション版に使用されている接着剤または保護テープを劣化させ難い洗浄方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、フルオロプロペン化合物を含む洗浄剤に金属物品を浸漬し、洗浄剤から金属物品を取り出す際に、洗浄剤から金属物品を取り出す速度を所定の範囲内とすることにより、洗浄剤の持出量を低減し、かつ金属物品がメタルマスクの場合には、洗浄を繰り返した際にコンビネーション版に使用される接着剤または保護テープを劣化を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
下記一般式(1)で示されるフルオロプロペン化合物(A)を含有する洗浄剤に金属物品を浸漬する工程(i)、および
前記洗浄剤から前記金属物品を0.50m/秒以下の速度で取り出す工程(ii)
を含む金属物品の洗浄方法。
3(6-(a+b))aClb (1)
(式中、aは1~5の整数であり、bは1~3の整数であり、a+bは2~6の整数である。)
【0012】
[2]
前記化合物(A)の沸点が35℃以上60℃以下である前記[1]の洗浄方法。
【0013】
[3]
前記洗浄剤が、前記化合物(A)として下記一般式(2)で示されるフルオロプロペン化合物を含有する前記[1]または[2]の洗浄方法。
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、水素、フッ素または塩素である。ただし、R1、R2およびR3のすべてが同時にフッ素であることはなく、R1、R2およびR3の少なくとも1つは塩素である。)
【0016】
[4]
前記洗浄剤が、前記化合物(A)としてHCFO-1233zd(Z)、HCFO-1233yd(Z)、HCFO―1223xd、HCFO-1223za及びCFO-1214yaからなる群から選ばれる一種以上の化合物を含有する前記[1]~[3]のいずれかの洗浄方法。
【0017】
[5]
前記洗浄剤が、前記化合物(A)として、HCFO-1233zd(Z)を含有する前記[4]の洗浄方法。
【0018】
[6]
前記洗浄剤が、アルコール類、ケトン類、エステル類、及び炭化水素類よりなる群から選ばれる一種以上であって20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上である化合物(B)、ならびに前記化合物(A)を含有する洗浄用組成物からなる、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【0019】
[7]
前記アルコール類としてイソプロピルアルコールを含有する前記[6]の洗浄方法。
[8]
前記金属物品がメタルマスクである前記[1]~[7]のいずれかの記載の洗浄方法。
【0020】
[9]
前記洗浄剤の温度が10~39℃である、前記[1]~[8]のいずれかの洗浄方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の洗浄方法によれば、洗浄剤から金属物品を取り出す際の洗浄剤の持出量を抑制しつつ、金属物品を洗浄することができる。このため、洗浄剤持ち出しによる洗浄のランニングコストの増大を抑制することができる。さらに、金属物品がメタルマスクの場合には、洗浄を繰り返した際にコンビネーション版に使用される接着剤またはテープの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は本発明の洗浄方法に使用することのできる洗浄装置の一例を示す。
図2図2は本発明の洗浄方法を実施する際のコンビネーション版の向きの一態様を示す。
図3図3は本発明の洗浄方法を実施する際のコンビネーション版の向きの一態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0024】
本発明に係る金属物品の洗浄方法は、フルオロプロペン化合物(A)を含有する洗浄剤に金属物品を浸漬する工程(i)、および前記洗浄剤から前記金属物品を取り出す工程(ii)を含むことを特徴としている。
【0025】
(工程(i))
工程(i)は、フルオロプロペン化合物(A)を含有する洗浄剤に金属物品を浸漬する工程である。
【0026】
《洗浄剤》
前記洗浄剤は、前記フルオロプロペン化合物(A)を含有する。
【0027】
[成分(A)]
前記フルオロプロペン化合物(A)(以下「成分(A)」とも記載する。)は、炭素数が3であり、分子内に2重結合を含む炭化水素類の水素原子の一部または全てがフッ素原子あるいは塩素原子に置換された化合物であり、下記一般式(1)に示される。
【0028】
3(6-(a+b))aClb (1)
(式中、aは1~5の整数であり、bは1~3の整数であり、a+bは2~6の整数である。)
優れた洗浄効果を発揮されることから、aが2~5の整数、bが1~2の整数、かつa+bが3~6の整数であることが好ましく、aが2~5の整数、bが1~2の整数、かつa+bが4~6の整数であることがさらに好ましい。
【0029】
前記フルオロプロペン化合物(A)としては、具体的には、分子内に水素を含まないクロロフルオロプロペン、および分子内に水素を含むヒドロクロロフルオロプロペンを挙げることができる。
【0030】
クロロフルオロプロペン(以下「CFO」とも記載する。)の具体例としては、
CFO-1214ya(CF3-CF=CCl2)、
CFO-1214xb(CF3-CF=CClF)のE体およびZ体、
CFO-1215yb(CF3-CCl=CClF)のE体およびZ体、
CFO-1215xc(CF3-CCl=CF2)、
等を挙げることができる。
【0031】
ヒドロクロロフルオロプロペン(以下「HCFO」とも記載する。)の具体例としては、
HCFO-1223xd(CF3-CCl=CHCl)のE体およびZ体、
HCFO-1223zb(CClF2-CH=CClF)のE体およびZ体、
HCFO-1223yd(CClF2-CF=CHCl)のE体およびZ体、
HCFO-1223zc(CCl2F-CH=CF2)、
HCFO-1223za(CF3-CH=CCl2)、
HCFO-1232xf(CClF2-CCl=CH2)、
HCFO-1232yf(CCl2F-CF=CH2)、
HCFO-1233xf(CF3-CCl=CH2)、
HCFO-1233yd(CHF2-CF=CHCl)、
HCFO-1233zd(CF3-CH=CHCl)のE体およびZ体、
HCFO-1241yd(CH3-CF=CHCl)のE体およびZ体
等を挙げることができる。
【0032】
前記洗浄剤は、成分(A)として、1種類のフルオロプロペン化合物を含んでいてもよく、2種類以上のフルオロプロペン化合物を含んでいても良い。
前記成分(A)としては、乾燥性と蒸発消耗量とのバランスを考慮すると、沸点が30℃以上70℃以下、望ましくは35℃以上60℃以下であるフルオロプロペン化合物が好ましい。
【0033】
また、金属安定性に優れ、優れる洗浄効果が発揮されるという点で、前記一般式(1)で表されるフルオロプロペン化合物(A)の中でも、下記一般式(2)で示されるフルオロプロペン化合物が好ましい。
【0034】
【化2】
【0035】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ、水素、フッ素または塩素である。ただし、R1、R2およびR3すべてが同時にフッ素であることはなく、R1、R2およびR3の少なくとも1つは塩素である。)
前記一般式(2)で特定されるCFOおよびHCFOの具体例として、HCFO-1233zd(Z)、HCFO-1233yd(Z)、HCFO―1223xd、HCFO-1223za及びCFO-1214yaを挙げることができる。その中でも、より金属安定性に優れるHCFOが好ましく、HCFO-1233zd(Z)が特に好ましい。
【0036】
洗浄剤組成物〕
前記洗浄剤は、前記成分(A)と前記成分(A)以外の成分とを含む組成物であってもよい。
【0037】
[成分(B)]
前記組成物に含まれる、前記成分(A)以外の成分としては、20℃における蒸気圧が1.33×103Pa以上のアルコール類、ケトン類、エステル類および炭化水素類からなる群から選ばれる一種以上の化合物(B)(以下「成分(B)」とも記載する。)が挙げられる。
【0038】
アルコール類としては、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンが挙げられる。
【0039】
エステル類としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。
炭化水素類としては、n-ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、2-メチルペンタン、2,3-ジメチルブタン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,4-ジメチルペンタン、イソオクタン等が挙げられる。
【0040】
本発明において、成分(B)を使用する場合、成分(B)と成分(A)との相溶性を向上させるために、成分(B)の比重は、併用する成分(A)の比重の±0.8の範囲にあることが好ましく、±0.7の範囲にあることがさらに好ましい。特に成分(A)の他成分との相溶性は、高い温度依存性を有しており、低温での相溶性を維持するためには、成分(A)の比重と併用する他成分の比重との差を小さくすることが重要である。
【0041】
成分(B)の沸点は、前記洗浄剤の使用中の組成変動を少なくするために、併用する成分(A)の沸点の±40℃の範囲にあることが好ましく、±30℃の範囲にあることがさらに好ましい。
【0042】
また、成分(A)および成分(B)を含む前記洗浄剤組成物は、共沸組成物あるいはそれに近似する組成の共沸様組成物であることが好ましい。
成分(B)の中でも、特に好ましい成分としては、アルコール類が挙げられる。本発明の洗浄方法の洗浄対象である金属物品に付着した汚れがはんだペーストである場合には、成分(B)として、アルコール類を使用することが好ましい。
【0043】
[その他配合剤]
前記組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損ねない範囲で各種助剤、例えば、安定剤、非塩素系フッ素化合物、紫外線吸収剤、界面活性剤等が添加されてもいてもよい。
【0044】
<安定剤>
前記安定剤としては、アルケン類、ニトロアルカン類、エポキシド類、アミン類、およびトリアゾール類(後述する紫外線吸収剤としてのベンゾトリアゾール類を除く。)、水等が挙げられる。また、酸化防止剤(洗浄剤の酸化を防止できる成分)を任意の安定剤として使用してもよい。
【0045】
<非塩素系フッ素化合物>
前記非塩素系フッ素化合物は、炭化水素類またはエーテル類の水素原子の一部がフッ素原子のみで置換され、塩素原子を含まないフッ素化合物であり、その例としては、環状HFC、鎖状HFCまたはHFEの、塩素原子を含まない、炭素原子、水素原子、酸素原子、フッ素原子からなる化合物、及びこれらの中から選ばれる2種以上の化合物の組み合わせ等を挙げることができる。具体的には環状HFCである4H,5H,5H-パーフルオロシクロペンタン、鎖状HFCである2H,2H,4H,4H,4H-パーフルオロブタン、2H,3H-パーフルオロペンタン、HFEであるメチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル等を挙げることができる。
【0046】
<紫外線吸収剤>
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、フェニルサリシレート類およびベンゾトリアゾール類が挙げられる。
【0047】
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、炭素数が6~20の脂肪酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルカリ金属、アルカノールアミンおよびアミン塩等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、アルキルフェノール、炭素数が8~18の直鎖または分岐の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイドのブロックポリマー等が挙げられる。両性界面活性剤としては,ベタイン型、アミノ酸型等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0048】
[各成分の好適な配合割合]
各成分の配合割合については、前記洗浄剤の高洗浄性、低金属腐食性、低毒性または低引火性が損なわれない範囲であれば特に制限はない。前記成分(B)を配合する場合、その割合(複数種類の成分(B)を使用する場合であれば、複数種類の成分(B)の合計の割合)は、前記成分(A)および前記成分(B)との合計を100質量%とすると、好ましくは1~50質量%であり、さらに好ましくは1~30質量%である。
【0049】
《金属物品》
前記金属物品の材質としては、たとえばステンレス鋼、鉄、アルミ、銅、真鍮および亜鉛が挙げられる。
【0050】
前記金属物品には、その用途に依存するが、たとえば切削油、プレス油、引抜き油、熱処理油、防錆油、潤滑油、グリース類、ワックス類などの汚れが付着していることがある。
【0051】
前記金属物品としては、メタルマスク、ベアリング、自動車部品、時計またはカメラなどの精密機械部品、リードフレームなどの電気機器部品、超鋼工具などの熱処理部品などが挙げられる。
【0052】
[メタルマスク]
はんだペースト(はんだ粉とフラックスとを混合しペースト状にしたもの)等の印刷物の印刷精度の維持、向上のために、さらにはスクリーン印刷機への印刷版の供給や設置の都合上、印刷パターンが形成されたメタルマスクには所望の張力を付加する必要がある。このためメタルマスクは、金属製の版枠に張力の掛けられた紗を介してメタルマスクが装着された、コンビネーション版として使用されることが多い。版と紗との固定、メタルマスクと紗との固定には、通常、接着剤が使用される。このコンビネーション版は、前記版枠に紗を所望の張力下で接着固定し、ついでその紗の中央部に、メタルマスクをその周縁部で接着剤により接着固定した後、前記周縁部の内側の紗を切断除去することにより製造される。接着部は、洗浄剤との接触を避けるために、保護テープで覆われることがある。
【0053】
前記版枠は、通常、アルミニウム製である。
前記紗の材質としては、ポリエステル、ナイロン、ステンレス鋼などが挙げられる。
前記接着剤としては、ゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤およびUV硬化型接着剤などが挙げられる。
【0054】
前記保護テープとしては、ベースとなるポリエステルフィルムの表面にアルミニウムを蒸着し、接着面にゴム系接着剤またはアクリル系接着剤を塗布したアルミ蒸着テープなどが挙げられる。
【0055】
前記金属物品がメタルマスクである場合には、メタルマスクは、前記コンビネーション版の状態で本発明の洗浄方法に供してもよい。
使用後のメタルマスクには、はんだペースト(すなわち、はんだ粉およびフラックスを含むペースト)などの汚れが付着している。使用後のメタルマスクを保管または再使用するため、あるいはメタルマスクの印刷精度を確保するため、使用後のメタルマスクを洗浄する必要がある。
【0056】
メタルマスクは、表面平滑性が高いことからも、工程(ii)で引き上げた際に表面に洗浄剤が残存し難いため、本発明の洗浄方法による洗浄対象として特に適している。
さらに、本発明の洗浄方法によれば、洗浄を繰り返した際の、コンビネーション版に使用される接着剤またはテープの劣化を抑制することができる。
【0057】
《浸漬》
工程(i)では、前記金属物品、より正確には汚れが付着した金属物品を前記洗浄剤に浸漬する。こうすることにより、前記金属物品が洗浄される(すなわち、汚れが除去される。)。
【0058】
前記洗浄剤は液体の状態で使用される。
前記洗浄剤に浸漬された前記金属物品に対して、超音波の照射、洗浄剤の揺動、洗浄剤の液中噴流等、従来公知の方法で物理的を加えてもよい。
【0059】
前記洗浄剤を収容する洗浄槽としては、従来公知の洗浄槽の他、後述する洗浄装置が備える洗浄槽を使用することができる。
さらに本実施形態の洗浄方法には気相部への冷却管の設置やガス回収による洗浄用組成物の蒸発消耗量を抑制する方法や蒸留やフィルタリングによるリサイクル方法との併用も可能である。
【0060】
(工程(ii))
工程(ii)は、前記洗浄剤から前記金属物品を0.50m/秒以下の速度で取り出す工程である。
【0061】
前記洗浄剤から前記金属物品を取り出す方法は、特に制限されるものではなく、たとえば、以下の方法を採用できる。
まず、前記洗浄剤が収容されている洗浄槽内に設置された金属物品搬送機の上に前記金属物品を載せ、前記金属物品搬送機を移動させることにより、前記洗浄剤から前記金属物品を取り出すことができる。この金属物品搬送機を使用する場合、通常であれば、前記金属物品搬送機を上下に移動させることにより、前記洗浄剤から前記金属物品を取り出すことに加え、前記工程(i)において前記洗浄剤に前記金属物品を浸漬することができる。
【0062】
また、別の方法として、前記金属物品を、その上端部を保持して引き上げる機能(以下「引き上げ機能」と記載する。)を有する搬送機を前記洗浄槽外に設け、この搬送機を使用して前記洗浄剤から前記金属物品を取り出す(すなわち、引き上げる)こともできる。この搬送機も、引き上げ機能の逆の機能、具体的には、前記金属物品を降下させる機能を有しており、この降下させる機能を利用することにより、前記工程(i)において前記洗浄剤中に前記金属物品を浸漬することができる。
【0063】
なお、これら金属物品搬送機、および引き上げ機能を有する搬送機は、下記に説明する<洗浄装置>における搬送機構(b)に該当する。
さらに、当然のことではあるが、前記洗浄剤が収容される洗浄槽が上下に移動させることにより、前記金属物品の浸漬および取り出しを行ってもよい。
【0064】
前記速度(以下「取り出し速度」とも記載する。)は、0.50m/秒以下、好ましくは0.001~0.50m/秒、より好ましくは0.005~0.25m/秒、さらに好ましくは0.010~0.10m/秒である。取り出し速度が前記下限値以上であると、実用的な作業効率が得られ、取り出し速度が前記上限値以下であると、洗浄剤の持出量の低減することができる。
【0065】
前記金属物品がメタルマスクの場合には、メタルマスクを前記洗浄剤から取り出す際に、その厚さ方向を略水平方向に向けることが好ましい。このようにすると、洗浄剤の持出量をより一層低減することができる。この場合、コンビネーション版の取り出しの際には、図2に示すように、コンビネーション版11を、スキージ面12側が水平方向aよりも若干下方に向くように傾けることがさらに好ましい。このようにすると、取り出された版枠13上に洗浄液が溜まることを抑制できる。
【0066】
また、前記金属物品がメタルマスクの場合には、その取り出しの際に、図3に示すように、メタルマスク(コンビネーション版)11を、メタルマスク(コンビネーション版)11を水平方向から見た際にその底辺14が水平面15に対して傾くように(この傾きを、以下「液切り角度16」とも記載する。)維持することが好ましい。メタルマスク(コンビネーション版)11をこのように傾けながら前記洗浄剤から取り出すと、傾けない場合と比べて洗浄剤の持出量をより一層低減することができる。洗浄槽を過度に大きくしなくて済むという観点からは、この傾きは過度に大きくない方がよい。
【0067】
(洗浄方法)
本発明の洗浄方法は、上述した工程(i)(浸漬工程)および工程(ii)(取り出し工程)を含む。
【0068】
本発明の洗浄方法を実施する際の前記洗浄剤の温度は、好ましくは10~39℃、より好ましくは20~39℃、さらに好ましくは25~35℃である。温度が前記下限値以上であると、工程(ii)で前記金属物品を取り出す際に洗浄剤持出量を低減することができる。また、前記温度が前記上限値以下であると、金属物品がメタルマスクである場合に、洗浄を繰り返した際の、コンビネーション版に使用される接着剤および保護テープの劣化を抑制することができる。
【0069】
本発明の洗浄方法では、工程(ii)において、取り出し速度を小さくし、かつ洗浄剤の温度を高くすることで、洗浄剤の持出量をより一層低減することができ、さらに、引き上げられて洗浄剤から露出したメタルマスク等の金属物品の表面での大気中の水分の凝集を防ぐことができるため、金属物品表面の腐食を抑制することができる。
【0070】
(洗浄装置)
本発明の洗浄方法は、洗浄装置を使用して実施してもよい。
前記洗浄装置としては、主な構造として、洗浄剤が充填され金属物品の洗浄が行われる洗浄部(a)、金属物品を洗浄剤に浸漬し、洗浄剤から取り出す(引き上げる)搬送機構(b)、気化した洗浄剤を凝縮し、かつ洗浄剤の揮発を抑制する冷却機構(c)、凝縮した洗浄剤と冷却管に付着した水とを静置分離する水分離機構(d)、洗浄剤中に持込まれた汚れ成分を分離する汚れ分離機構(e)とを備える洗浄装置が挙げられる。前記洗浄装置の一例を図1に示す。
【0071】
図1に示す前記洗浄装置において、洗浄部(a)は、洗浄槽1、ならびにヒーター2等の洗浄剤を加熱する機構および超音波振動子5を備えている。
搬送機構(b)としては、メタルマスク搬送機などの金属物品搬送機、または引き上げ機能を有する搬送機等(図示せず)が挙げられる。
【0072】
冷却機構(c)は、気化した洗浄剤を冷却し凝縮するための冷却管6を備えている。
水分離機構(d)は、たとえば水分離槽7、水分離前の凝縮液用の配管8および水分離後の凝縮液用の配管9を備えている。
【0073】
汚れ分離機構(e)は、洗浄剤用循環ポンプ3、汚れ分離フィルター4および洗浄剤用配管10を備えている。
この洗浄装置を使用して金属物品を洗浄する場合には、金属物品を、金属物品搬送機を使用して、洗浄槽1に入れられた洗浄剤に浸漬して洗浄し、洗浄後、搬送機構(b)を使用して一定の速度で取り出す(引き上げる)。
【0074】
洗浄部(a)では、洗浄槽1に充填された洗浄剤をヒーター2で加熱し、洗浄剤温度を一定温度にコントロールしながら超音波振動子5により金属物品に超音波照射することにより、洗浄効果をより一層高めることができる。
【0075】
浸漬後の金属物品を、搬送機構(b)により、所定の速度で取り出す(引き上げる)ことにより、金属物品表面に付着して洗浄装置外に持ち出される洗浄剤をほぼゼロにすることが可能となり、洗浄剤持ち出しによるランニングコストの低減が可能となる。金属物品搬送機の代わりに、引き上げ機能を有する搬送機を洗浄剤と接触しない場所に設置すると、洗浄剤の持出量をより一層低減させることができる。
【0076】
また、上下に移動可能な洗浄槽1を、前記金属物品を前記洗浄剤から取り出す機構を備える装置として使用してもよい。
搬送機構(b)には、エアーや油を利用したアクチュエーター、インバーター制御等を使用してもよい。
【0077】
水分離槽7では、冷却管6で集められた凝縮液と冷却管に付着した水とを静置分離することで、洗浄槽1に洗浄不良の原因となる水の混入を防止すると共に、洗浄剤の揮発による蒸発ロスを抑制することができる。
【0078】
汚れ分離機構(e)では、洗浄槽1内の洗浄剤に含まれる、金属物品から除去された汚れ等を、洗浄剤用循環ポンプ3および汚れ分離フィルター4により連続的に除去することで、金属物品が再汚染されることを防止し、優れた洗浄性を維持すると共に高い乾燥性を得ることができる。
【0079】
この洗浄装置を使用して洗浄剤から金属物品を引き上げる際の引き上げ速度を所定の範囲に制御することにより、洗浄後に、引き上げられた金属物品表面に付着して系外に持ち出される揮発性の高い洗浄剤の量(洗浄剤持出量)を、低減することができる。
【0080】
前記分離フィルターには、補強等の目的で金網、プラスチック、繊維構造体等の補強材が取り付けられてもよい。また、前記分離フィルターに戻り液を通す前にゴミ等の捕集するためのプレフィルター、例えば膜状、わた状のゴミ捕集材を置くことも可能である。
【実施例
【0081】
以下、実施例により本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0082】
(メタルマスク(コンビネーション版))
実施例等で使用したメタルマスク(コンビネーション版、(株)ソノコム製)の詳細は以下のとおりである。
【0083】
版枠:アルミニウム製 450mm×450mm×25mm
メタルマスク:SUS製 300mm×300mm×0.12mm
紗:ポリエスエルメッシュ(#225)
メタルマスクと紗とを接着する接着剤:ウレタン系接着剤
保護テープ:アルミニウムが蒸着されたポリエステルフィルムおよびアクリル系接着剤からなる保護テープ
【0084】
[実施例1~15、比較例1~13]
(洗浄剤)
各実施例において、表1に記載の配合割合で各成分を混合することにより、あるいは成分(A)をそのまま使用することにより、洗浄剤1~5を準備した。表1における各略号の意味は以下の通りである。
【0085】
成分(A)
1233zd;シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン
1223xd;1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン
1233yd;シス-1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン
成分(B)
IPA;イソプロピルアルコール
その他配合剤(安定剤)
MB;2-メチル-2-ブテン
PO;プロピレンオキサイド
また、比較例1では、洗浄剤C1として、グルコールエーテル系洗浄剤(商品名:エバクリーンEE3700/ラサ晃栄(株)製)を使用した。比較例2では、洗浄剤C2として、市販されているハイドロフルオロカーボン(HFC-365mfc)である日本ソルベイ(株)製SOLKANE(登録商標)365を使用した。
【0086】
洗浄剤1~5、C1、C2の組成を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
(金属物品)
洗浄対象である金属物品としては、上述したコンビネーション版のメタルマスクに5gのはんだペースト(商品名:SJM-10W GT、日本アルミット(株)製)を均一に塗布したものを使用した。
【0089】
(洗浄工程)
21~25℃、湿度66~82%に調節した室内で、メタルマスク用洗浄機UC400(シャープマニファクチャリングシステム(株)製)に、表2に記載の各洗浄剤を入れ、コンビネーション版を洗浄剤に浸漬し、これらに超音波(35kHz、600w)を1分間照射した。浸漬の間、洗浄剤の温度を30~35℃に保持した。その後、コンビネーション版を0.015m/秒の速度で取り出した(引き上げた。)。取り出し(引き上げ)の際には、図2、3に示すように、メタルマスクのスキージ面が水平方向よりも若干下方に向き、コンビネーション版をメタルマスクの厚さ方向から見た際にその底辺が水平面に対して上方に10°程度傾くように、コンビネーション版の向きを維持した。
【0090】
《洗浄性》
引き上げられたメタルマスクを目視で観察し、洗浄性を評価した。評価結果を表2に示す。表中の記号の意味は以下のとおりである。
【0091】
○:はんだペースト残りなし
×:はんだペースト残りあり
なお、はんだペースト残りがあった場合には、以下の液持出量および表面温度の評価は行わなかった。
【0092】
《液持出量》
はんだペーストを塗布する前、かつ洗浄剤に浸漬する前のコンビネーション版の重量W0(g)、および引き上げられて洗浄剤から完全に露出した直後のコンビネーション版の重量W1(g)(洗浄剤が付着している場合、その重量も含む。)を、電子天秤洗浄(電子天秤(EB4000H、(株)島津製作所製、読取限度:10mg))で測定し、下式により液持出量を算出した。
【0093】
液持出量(g)=W1-W0
評価結果を表2に示す。表中の記号の意味は以下のとおりである。
A:液持出量1g未満
B:液持出量1g以上、5g未満
C:液持出量5g以上、10g未満
D:液持出量10g以上
【0094】
《メタルマスクの表面温度》
引き上げられて洗浄剤から完全に露出した直後のコンビネーション版のメタルマスク中央部の表面温度を、表面温度計(TX1001、横河計測(株)製)で測定した。測定結果を表2に示す。表中の記号の意味は以下のとおりである。
【0095】
a:表面温度が25℃以上
b:表面温度が20℃以上25℃未満
c:表面温度が15℃以上20℃未満
d:表面温度が15℃未満
【0096】
【表2】
【0097】
[実施例16~20、比較例14、15]
実施例16では、実施例1の洗浄工程を20回繰り返した。具体的には、実施例1の洗浄工程を行った後、引き上げられたコンビネーション版のメタルマスクに再び5gのはんだペーストを均一に塗布し、コンビネーション版を洗浄剤に浸漬し、超音波を1分間照射した後、コンビネーション版を0.015m/秒の速度で取り出す(引き上げる)という操作を、19回繰り返した。
【0098】
その後、コンビネーション版に使用された接着剤および保護テープの状態を評価した。
実施例17~20、比較例14、15では、洗浄剤を表3に記載のものに変更したこと以外は実施例16と同様の操作を行い、同様の評価を行った。なお、比較例15では、洗浄剤から引き上げたメタルマスクにはんだペーストが残存するため、はんだペーストの塗布を繰り返さなかった。
【0099】
評価結果を表3に示す。表3中の記号の意味は以下のとおりである。
<接着剤>
○:変化なし
×:紗の剥離、または紗の緩みが発生
<保護テープ>
○:変化なし
×:剥離、または接着面に細かい気泡が発生
【0100】
【表3】
【符号の説明】
【0101】
1 洗浄槽
2 ヒーター
3 洗浄剤用循環ポンプ
4 汚れ分離フィルター
5 超音波振動子
6 冷却管
7 水分離槽
8 水分離前の凝縮液用の配管
9 水分離後の凝縮液用の配管
10 洗浄剤用配管
11 コンビネーション版(メタルマスク)
12 スキージ面
13 版枠
a 水平方向
14 底辺
15 水平面
16 液切り角度
図1
図2
図3