(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】柔軟な細長い医療要素を案内軌道で駆動するためのロボットモジュールのための保護包体
(51)【国際特許分類】
A61B 46/10 20160101AFI20240621BHJP
【FI】
A61B46/10
(21)【出願番号】P 2019563386
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 FR2018050790
(87)【国際公開番号】W WO2018211184
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-29
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517433614
【氏名又は名称】ロボカト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・デストレベック
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・フルニエ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ベンクトゥ
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】安井 寿儀
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0179167(US,A1)
【文献】特表2011-509763(JP,A)
【文献】国際公開第2009/092059(WO,A2)
【文献】特開2013-126704(JP,A)
【文献】特開2001-351257(JP,A)
【文献】実開平1-81873(JP,U)
【文献】国際公開第2015/189529(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
A61B 34/30
A61B 34/20
A61B 46/10
A61B 1/00
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット駆動モジュール(16)と柔軟な細長い医療要素(15)との間に障壁を形成するように意図された、前記柔軟な細長い医療要素(15)を駆動するための前記ロボットモジュール(16)のための保護包体(30)であって、
前記柔軟な細長い医療要素(15)は、ガイドワイヤ、カテーテルガイド、およびカテーテルのうち少なくとも1つを含み、
- 前記ロボットモジュールへの取り付けの手段と、
- 長手方向軸(X)、および、凹状の形の自由面を有する主部分(32A)を備える前記柔軟な細長い医療要素(15)のための案内軌道(32)であって、前記主部分(32A)は、前記柔軟な細長い医療要素(15)を受け入れるための長手方向の溝(40)を備え、前記長手方向の溝(40)は、前記長手方向軸(X)に沿って延び、前記長手方向の溝(40)は、前記案内軌道(32)の前記主部分(32A)の凹状の形を有する前記自由面において窪んで
おり、前記主部分(32A)の凹状の形を有する前記自由面がU字に形成されている、案内軌道(32)と、
を備えることを特徴とする、保護包体(30)。
【請求項2】
前記長手方向の溝(40)が、断面が「V字」、または「U字」、または「C字」、または円弧の形を有する自由面を有する、請求項1に記載の包体(30)。
【請求項3】
前記長手方向の溝(40)が、凹状の形を有する前記自由面の対称の平面(XZ)の一部である、請求項1または2に記載の包体(30)。
【請求項4】
凹状の形を有する前記自由面が0.5~2cmの曲率半径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の包体(30)。
【請求項5】
前記主部分(32A)が、前記長手方向軸(X)に対して垂直に延び、凹状の形を有する前記自由面において窪んだ少なくとも1つの横断方向の溝(42)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の包体(30)。
【請求項6】
前記案内軌道(32)が、凸状の形を各々有し、前記柔軟な細長い医療要素(15)を受け入れるように適合されたスロットを定める2つの腕部(44A、44B)を自由面が備える、前記柔軟な細長い医療要素(15)のための少なくとも1つの支持部材(44)を備える第2の部分(32B)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の包体(30)。
【請求項7】
前記柔軟な細長い医療要素(15)のための前記支持部材(44)の前記自由面が、凹状の形を有する前記自由面に対して、前記案内軌道(32)の前記長手方向軸(X)に対して垂直な方向(Z)においてオフセットされている、請求項6に記載の包体(30)。
【請求項8】
前記長手方向軸(X)に対して垂直に延びる少なくとも2つの横断方向の溝(42)を備え、前記柔軟な細長い医療要素(15)のための前記支持部材(44)は、前記2つの横断方向の溝(42)の間で、前記長手方向軸(X)に沿って配置される、
請求項5を引用する、請求項6または7に記載の包体(30)。
【請求項9】
前記案内軌道(32)へのアクセスを許容する開位置と、前記案内軌道(32)を少なくとも部分的に閉止する閉位置とを占めることができる取り外し可能なカバー(50)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の包体(30)。
【請求項10】
前記カバー(50)と前記案内軌道(32)とが、前記柔軟な細長い医療要素(15)のための相補的な案内部材(42、52)を備え、前記カバー(50)が閉位置にあるとき、前記柔軟な細長い医療要素のための前記相補的な案内部材(42、52)は、前記柔軟な細長い医療要素をすべての側において把持するように協働する、請求項9に記載の包体(30)。
【請求項11】
前記案内部材(52)のうちの少なくとも1つが、前記カバー(50)が閉位置にあるとき、前記横断方向の溝(42)において位置決めされるように構成される、
請求項5を引用する請求項10に記載の包体(30)。
【請求項12】
相補的な前記案内部材(52)のうちの少なくとも1つが、前記柔軟な細長い医療要素(15)を挟むように前記支持部材(44)と協働する、
請求項6を引用する、請求項8から11のいずれか一項に記載の包体(30)。
【請求項13】
前記カバー(50)を閉位置で係止するための電気的に制御される手段を備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の包体(30)。
【請求項14】
前記カバー(50)を前記閉位置で係止するための前記手段が、保護包体(30)の近くでの存在を検出するときに前記カバー(50)を前記閉位置で係止することができる存在センサに接続される、請求項13に記載の包体(30)。
【請求項15】
前記柔軟な細長い医療要素(15)のための駆動部材(36)の対を備え、前記駆動部材(36)の対の前記駆動部材(36)は、一方が前記案内軌道(32)の前記長手方向軸(X)のいずれかの側にあって、互いに対向する、請求項1から14のいずれか一項に記載の包体(30)。
【請求項16】
柔軟な細長い医療要素(15)を駆動するためのロボットモジュール(16)と、請求項1から15のいずれか一項に記載の保護包体(30)とを備え、前記包体(30)は、前記包体(30)が前記ロボットモジュール(16)を前記柔軟な細長い医療要素(15)から分離する障壁を形成するように、前記ロボット駆動モジュール(16)に固定される、組立体。
【請求項17】
前記保護包体(30)が前記ロボットモジュール(16)に取り外し可能に取り付けられる、請求項16に記載の組立体。
【請求項18】
前記保護包体(30)が無菌である、請求項16または17に記載の組立体。
【請求項19】
前記ロボット駆動モジュール(16)が、前記包体(30)を通じてカテーテルガイドおよび/またはカテーテルを駆動するように構成される、請求項16から18のいずれか一項に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟な細長い医療要素を駆動するためのロボットモジュールに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、特には循環器疾患の治療のために、患者の動脈へのガイドワイヤ、カテーテルガイド、およびカテーテル自体の挿入に関する。カテーテルガイドは、カテーテルに通される小さい直径で概して中空でない柔軟な細長い医療要素である。カテーテルは、ガイドを通すことができるより大きな直径で概して中空の柔軟な細長い医療要素である。カテーテルは、概して患者へと挿入されるその端において、工具または特定の形など、医療機能を提供できる。
【0003】
実際には、本発明は、ヒト患者の生理的経路内で移動可能であるために十分に柔軟であり、その端が患者の外部から動き回ることができるように十分に細長い医療部材に適用する。
【背景技術】
【0004】
患者へのカテーテルの手作業の挿入は、比較的従来の外科的な処置である。しかしながら、この処置はX線を用いて実施されるため、処置の担当の外科医は、このような手術を多数の患者に実施する場合、相当の放射線に暴露される。
【0005】
外科医の危険性を低減するために、カテーテルを駆動するためにロボットモジュールを使用することで、このような挿入をロボット化することが試みられている。しかしながら、カテーテルを把持することが難しく、カテーテルは保存液体に入れられ、無菌のままでなければならないため、このようなロボット化は複雑である。さらに、並進および回転におけるカテーテルの交互の移動および/または同時の移動を制御する能力が望まれる。また、より細いカテーテルは0.25mm未満の直径を有することがある。そのため、駆動モジュールの信頼性は決定的な要因である。
【0006】
駆動モジュールの信頼性は、いくつかの要因の中でも、患者へと挿入されるときにカテーテルが無菌状態にあるという事実に基づかれる。しかしながら、高価であるロボット駆動モジュールは、多数の患者において動作するために使用され、使用の合間に保管されるように意図されている。そのため、ロボット駆動モジュールは微生物または埃と接触する可能性がある。
【0007】
これが、カテーテルおよび/またはロボットモジュールを汚すことを回避するために、各々の処置の前に無菌で使い捨ての保護包体がロボット駆動モジュールに配置される理由である。特許文献1はこのような保護包体を記載している。包体は、ロボット駆動モジュールを少なくとも部分的に覆い、駆動モジュールとカテーテルとの間に無菌の障壁を形成することに寄与する。移動は、ロボットモジュールから包体を通じて、カテーテルへと、または、カテーテルガイドへと伝達される。
【0008】
保護包体だけが、患者への挿入の処置の間、カテーテルおよびガイドと直接接触している。そのため、保護包体は、ガイドまたはカテーテルのための案内軌道を通常は担持する。
【0009】
カテーテルのための案内軌道は、例えば、カテーテルまたはカテーテルガイドを担持するための表面を提供し、カテーテルまたはカテーテルガイドを直線的な軌道に沿って移動させることができ、したがって、直線的な軌道は長手方向軸を定める。この軌道は、柔軟な細長い医療要素の直径より大きい直径を有する管を形成する。管は、互いから引き離すことが可能な2つの半体の管によって形成され、管の軸を通過する実質的に水平な平面に位置付けられるそれら半体の分離面は、カテーテルまたはガイドの案内軌道への配置または案内軌道からの取り外しを可能にする。
【0010】
管が開かれているとき、管の直径が外科医の指より小さい場合でも、外科医はカテーテルまたはガイドを正確に内部に配置することができなければならない。管が閉じられているとき、カテーテルまたはガイドは管において適切に保持されなければならない。実際、管の直径が大きすぎる場合、カテーテルまたはガイドは、移動している間に真っ直ぐなままにならない可能性がある。管の直径が小さすぎる場合、カテーテルまたはガイドは、管の壁に過度に擦れることになり、これは損傷をもたらす可能性がある。
【0011】
したがって、相反する制約が、案内軌道を形成する管に課せられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2015/189529号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、本発明の目的は、具体的にはカテーテルまたはガイドであり得る柔軟な細長い医療要素の正確な位置決めを可能にするより信頼できる保護包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これを達成するために、本発明は、ロボット駆動モジュールと柔軟な細長い医療要素との間に障壁を形成するように意図された、柔軟な細長い医療要素を駆動するためのロボットモジュールのための保護包体であって、
- ロボットモジュールへの取り付けの手段と、
- 長手方向軸、および、凹状の形の自由面を有する主部分を備える柔軟な細長い医療要素のための案内軌道であり、主部分は、長手方向軸に沿って延び、凹状の形を有する自由面において窪んだ、柔軟な細長い医療要素を受け入れるための長手方向の溝を備える、案内軌道と
を備えることを特徴とする、保護包体を提供する。
【0015】
したがって、主部分の自由面の凹状の形は、特には外科医である使用者に、患者の体への挿入の作業を始める前に、柔軟な細長い医療要素を長手方向の溝に手作業で位置決めさせることができる。溝は柔軟な細長い医療要素を受け入れ、凹状の形によって、使用者は、指の圧力だけで柔軟な細長い医療要素を溝において係止することができる。そのため、包体における柔軟な細長い医療要素の配置はより簡単でより信頼できる。
【0016】
好ましくは、長手方向の溝は、断面が「V字」または「U字」の形を有する自由面を有する。
【0017】
このような形は、柔軟な細長い医療要素を受け入れるように適合される。ここで、柔軟な細長い医療要素を位置決めするのに適した寸法を有し、断面が、案内軌道の自由面の全体にではないが、「V字」または「U字」の形を有する溝であることは、明確にしておく。
【0018】
有利には、長手方向の溝は、凹状の形を有する自由面の対称の平面の一部である。
【0019】
そのため、包体は、具体的には射出成形によって、製造するのが簡単である。
【0020】
一実施形態によれば、凹状の形を有する自由面は、0.5~3cmからなる曲率半径、または、1~2cmからなる曲率半径を有する。
【0021】
曲率半径についてのこのような範囲は、人差し指の先端の下面の形に概して従う。そのため、長手方向の溝におけるカテーテルの手作業の配置がよりいっそう簡単となる。
【0022】
好ましくは、主部分は、長手方向軸に対して垂直に延び、凹状の形を有する自由面において窪んだ少なくとも1つの横断方向の溝を備える。
【0023】
横断方向の溝は、柔軟な細長い医療要素の相補的な位置決め手段を受け入れることができ、これにより、柔軟な細長い医療要素の位置決めの信頼性を向上させる。
【0024】
有利には、案内軌道は、凸状の形を各々有し、柔軟な細長い医療要素を受け入れるように適合されたスロットを定める2つの腕部を自由面が備える、柔軟な細長い医療要素のための少なくとも1つの支持部材を備える第2の部分を備える。
【0025】
したがって、凹状および凸状の形の自由面に柔軟な細長い医療要素を設置することで、部材はさらにより信頼性高く位置決めされる。
【0026】
好ましくは、柔軟な細長い医療要素のための支持部材の自由面は、凹状の形を有する自由面に対して、案内軌道の長手方向軸に対して垂直な方向においてずれている。
【0027】
一実施形態によれば、包体は少なくとも2つの横断方向の溝を備え、柔軟な細長い医療要素のための支持部材は、2つの横断方向の溝の間で、長手方向軸に沿って配置される。
【0028】
したがって、カテーテルは案内軌道の同じ全長に対してよりピンと張られる。そのため、カテーテル位置決めの信頼性が向上される。
【0029】
有利には、包体は、案内軌道へのアクセスを許容する開位置と、案内軌道を少なくとも部分的に閉止する閉位置とを占めることができる取り外し可能なカバーを備える。
【0030】
したがって、カバーは、存在するとき、案内軌道とカテーテルとを保護する。
【0031】
好ましくは、カバーと案内軌道とは、柔軟な細長い医療要素のための相補的な案内部材を備える。
【0032】
したがって、カバーが閉位置にあるとき、柔軟な細長い医療要素のための相補的な案内部材は、カテーテルをすべての側において把持するように協働し、カテーテルをより正確に位置決めする。
【0033】
有利には、カバーによって担持された案内部材は、「W字」の形の断面を有する自由面を有する。
【0034】
この自由面は、柔軟な細長い医療要素をさらにより正確に位置決めするために、柔軟な細長い医療要素を包囲することになる。
【0035】
好ましくは、案内部材は、カバーが閉位置にあるとき、横断方向の溝において位置決めされるように構成される。
【0036】
一実施形態によれば、包体は、カバーを閉位置で係止するための電気的に制御される手段を備える。
【0037】
好ましくは、カバーを閉位置で係止するための手段は、保護包体の近くでの存在を検出するときにカバーを閉位置で係止することができる存在センサに接続される。
【0038】
これは、柔軟な細長い医療要素の位置決めの信頼性を向上させる。
【0039】
有利には、包体は、柔軟な細長い医療要素のための駆動部材の対を備え、駆動部材同士は、一方が案内軌道の長手方向軸のいずれかの側にあって、互いに対向して対をなす。
【0040】
柔軟な細長い医療要素を駆動するためのロボットモジュールと、前述したような保護包体とを備え、包体は、ロボットモジュールを備える空間を、柔軟な細長い医療要素を備える空間から分離する障壁を形成するように、ロボット駆動モジュールに固定される、組立体も本発明により提供される。
【0041】
有利には、保護包体はロボットモジュールに取り外し可能に取り付けられる。
【0042】
好ましくは、ロボット駆動モジュールは、包体を通じてカテーテルガイドおよび/またはカテーテルを駆動するように構成される。
【0043】
ここで、以下の図の助けを借りて、本発明の一実施形態を非限定的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1A】ロボット動脈造影システムの概略的な側面図である。
【
図2A】柔軟な細長い医療要素の移動の様態を示す図である。
【
図2B】柔軟な細長い医療要素の移動の様態を示す図である。
【
図2C】柔軟な細長い医療要素の移動の様態を示す図である。
【
図3】動脈造影システムのロボットモジュールのための保護包体の上面図である。
【
図8】カバーを備える保護包体の上面斜視図である。
【
図9A】保護包体およびカバーの一部分の断面図である。
【
図9B】保護包体およびカバーの一部分の断面図である。
【
図9C】保護包体およびカバーの一部分の断面図である。
【
図10A】保護包体のカバーの閉止の間の支持部材および相補的な案内部材を示す図である。
【
図10B】保護包体のカバーの閉止の間の支持部材および相補的な案内部材を示す図である。
【
図10C】保護包体のカバーの閉止の間の支持部材および相補的な案内部材を示す図である。
【
図11A】カバーの閉止進行中の、記載されている実施形態の変形形態による保護包体のカバーの相補的な案内部材の断面図である。
【
図11B】カバーの閉止進行中の、記載されている実施形態の変形形態による保護包体のカバーの相補的な案内部材の断面図である。
【
図11C】カバーの閉止進行中の、記載されている実施形態の変形形態による保護包体のカバーの相補的な案内部材の断面図である。
【
図11D】カバーの閉止進行中の、記載されている実施形態の変形形態による保護包体のカバーの相補的な案内部材の断面図である。
【
図11E】カバーの閉止進行中の、記載されている実施形態の変形形態による保護包体のカバーの相補的な案内部材の断面図である。
【
図11F】カバーの閉止進行中の、記載されている実施形態の変形形態による保護包体のカバーの相補的な案内部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1aは動脈造影システム1を概略的に描写している。動脈造影システム1は、手術室2および制御室3の2つの別々の場所に分割されている。制御室3は、手術室2の近くにあって、X線に対して不透過である簡単な壁4によって手術室2から分けられていてもよく、遠隔にあってもよい。手術室2および制御室3の機器は、有線、無線、および/またはネットワークによって機能的に相互接続されている。したがって、制御室は、好ましくは、医師にX線から保護される領域を提供する放射線遮蔽スクリーンによって定められた手術室の内部の簡単な領域であり得る。
【0046】
手術室2は、患者6を受け入れる手術台5を備える。手術室2は、患者6の各々の側に1つが配置され、患者6に対して可及的に移動可能である発生源8および検出装置9を備える、具体的にはX線撮像装置である医療用撮像装置7も備え得る。
【0047】
動脈造影設備1は、手術室2に配置されたロボット10を備える。
【0048】
動脈造影設備1は、制御室3に配置された制御ステーション11を備える。制御ステーション11はロボット10を遠隔で制御するのに適している。
【0049】
動脈造影設備1は、制御室3に配置された、撮像装置7を遠隔で制御するために撮像装置7と通信している撮像装置7用の1つまたは複数の遠隔制御装置12も備え得る。動脈造影設備1は、撮像装置7によって取得された画像の制御室3でのリアルタイムの視認のために、制御室3に配置されて撮像装置7と通信する画面13も備え得る。
【0050】
ロボット10は、患者の体へと挿入される柔軟な細長い医療要素15を収容するように適合された容器14も備え得る。容器14は、具体的には、ロボットの内部に配置され得る。柔軟な細長い医療要素15については、これは、例えば、患者においてアクセス開口を提供する導入装置を通じて、具体的には患者の動脈または静脈である患者経路へと挿入され、この経路内で移動される部材であり得る。柔軟な細長い医療要素15は、具体的にはカテーテルまたはガイドであり得る。ガイドは、概してカテーテルの横断方向の直径より小さい横断方向の直径を有し、患者に近い部分において、または、その長さ全体について、概して中空であり、そのため、ガイドは、その内部で、具体的には、患者の体の内部で移動できる。
【0051】
ロボット10は、柔軟な細長い医療要素15のためのロボット駆動モジュール16を備える。ロボット駆動モジュール16は、後で詳細に記載されているように2つの自由度に従って柔軟な細長い医療要素15を患者6に対して駆動するために制御ステーション11から制御され得る。ロボット駆動モジュール16は、制御ステーション11と相互作用するための通信ユニット17を備える。必要であれば、ロボット10は、必要な場合に手術室2からロボットを制御するための現場制御ユニット18を備え得る。
【0052】
制御室3において利用可能な命令およびフィードバックのすべてが、例えば、撮像装置のための制御装置19、および、撮像装置7によって取得される画像を表示するための画面20など、現場での作業のために手術室2において利用可能であってもよいことに、留意されたい。
【0053】
以下において、符号15は、介入性のカテーテルまたはガイドワイヤであり得る柔軟な細長い医療要素を指定するために使用されることになる。このような介入性カテーテルはガイドカテーテルより小さい直径を有することができ、そのため、患者の内部においてガイドカテーテル内で同軸に案内させることができ、患者の内部においてガイドで案内され得るように中空であり得る。
【0054】
任意選択で、中空の柔軟な細長い医療要素は、柔軟な細長い医療要素の内部の撮像を容易にする造影剤を注入できるようにコネクタ21に連結されてもよい。動脈造影設備は、コネクタ21に連結され、制御室3に設けられた制御装置23によって制御可能である造影剤注入装置22を備え得る。
【0055】
図2Aは、本システムで可能な様々な自由度を示している。ガイド15"が、その前端がガイドの主長手方向軸に対して若干湾曲され、カテーテル15'の前端において出ている状態で見られる。カテーテル15'は、2つの個別の移動、すなわち、その長手方向軸に沿っての並進と、その長手方向軸の周りでの回転とを受けることができる。これらの移動は、一方の方向または他方の方向において生成され得る。適切な場合、カテーテル15'は、上記の2つの単純な移動の組み合わされた移動を受けることができる。
【0056】
適切な場合、カテーテル15'は、上記の2つの単純な移動の組み合わされた移動を、異なる組み合わせで受けることができる。
【0057】
カテーテルについて先に記載したことはガイドにも当てはまる。
【0058】
図2Bでは、本幹26と、本幹の先の2つの分枝26A、26Bとを備える患者の動脈25が描写されている。
図2Bは、破線で示された後退位置と、実線で示された前進位置との間での柔軟な細長い医療要素15(ここでは、ガイド15")の並進での移動を示している。
図2Cでは、同じ動脈において、柔軟な細長い医療要素が分枝26Aの方向において並進で移動される準備ができている、点線で示された第1の位置と、柔軟な細長い医療要素が分枝26Bの方向において並進で移動される準備ができている、実線で示された第2の位置との間での、柔軟な細長い医療要素15の回転が描写されている。カテーテル15'およびカテーテルガイド15"は、後で記載されている手段によって動きが定められる。
【0059】
図3~
図5および
図8は、本発明による保護包体30を示している。保護包体30は、ロボット駆動モジュール16と柔軟な細長い医療要素15との間に障壁を形成するように意図されている。この目的のために、ロボット駆動モジュール16は、保護包体30によって覆われている図示されていない多関節アームを備える。別の部材が保護包体30と多関節アームとの間に介在されることは可能である。
【0060】
ロボット駆動モジュール16は、保護包体30を通じて、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、またはカテーテルを駆動するように特に構成されている。これを行うために、保護包体30はロボット駆動モジュール16に取り外し可能に取り付けられ得る。より一般的には、保護包体は、任意の種類のものであり得るロボット駆動モジュール16への取り付けの手段を備える。これらの手段としては、例えばクリップ、ホゾ、キャッチピンがあり得る。したがって、保護包体30は、ロボット駆動モジュール16を備える空間を、柔軟な細長い医療要素15を備え、そのため柔軟な細長い医療要素15のためのマニピュレート空間である空間から分離する無菌障壁を形成する。
【0061】
保護包体30は、具体的には
図3において見られる保護包体30がロボット駆動モジュール16に位置決めされているとき、鉛直方向(Z)に沿って上面を有する。後で記載されているように、柔軟な細長い医療要素15を担持するのはこの上面である。反対の鉛直方向(Z)における下面はロボット駆動モジュール16と接触している。
【0062】
保護包体30は、空間の3つの同一平面でない次元において延び、柔軟な細長い医療要素15のための案内軌道32の各々の側に1つ配置された2つの部品30Aおよび30Bを有する。保護包体30の部分30Aおよび30Bは、保護包体30が保護シェルを形成するように実質的に「準平行六面体」を形成する薄い水平の壁および鉛直の壁を備える。
【0063】
各々の部分30A、30Bは、鉛直方向に延びる壁によって担持された2つの窓34によってアクセス可能である主空洞を備える。一方の空洞によって担持された各々の窓34は、他方の空洞によって担持された窓と対向している。また、2つの部分30Aおよび30Bは4つの窓34の間に桶状の部分を形成し、前記桶状の部分は案内軌道32の一部分を形成する。
【0064】
主本体32の第1の4つの窓34は、
図6および
図7において見られ、後でより詳細に記載されている駆動部材36を受け入れるように適合された寸法を有する。それらの窓34は、案内軌道32の各々の側に1つがあって、互いに対向して対をなすように配置されている。
【0065】
また、保護包体30は、部分30Aと、空間の3つの同一平面でない次元において同じく延びる保護包体30の第3の部分30Cとの間に形成された第2の案内軌道38を備える。案内軌道38は、例えばカテーテルといった第2の柔軟な細長い医療要素を案内するために設けられている。したがって、保護包体30は、例えばカテーテルおよびガイドといった2つの柔軟な細長い医療要素15を同時に導入することを可能にする。第3の部分30Cは、第2の案内軌道38に位置決めされた柔軟な細長い医療要素15のための、ここでは図示されていない駆動部材を受け入れるために、第5の窓34Aをさらに備える。駆動部材は、具体的にはローラであり得る。この場合、反対のローラを受け入れるように意図された部分30Aにおける第6の窓34Bが、第5の窓34Aを向いて配置されている。
【0066】
案内軌道32は、直線的であり、柔軟な細長い医療要素15が長手方向(X)に沿ってのその移動の間に直線的なままであることを確保する機能を有している。実際、この案内軌道32がない場合、柔軟な細長い医療要素15は、押込み領域と患者入口位置との間に輪を形成し得る。柔軟な細長い医療要素15の移動の長手方向(X)は案内軌道32の長手方向であるが、必ずしも保護包体30の長手方向ではないことにも留意されたい。
図3~
図5および
図8では、長手方向(X)は、柔軟な細長い医療要素15の移動の「前方」の方向に向けて配向されており、別の言い方をすれば、患者の体への柔軟な細長い医療要素15の挿入を許容する方向に向けて配向されている。
【0067】
案内軌道32は、長手方向における上端部分である主部分32Aと、第2の部分32Bとを備える。主部分32Aおよび第2の部分32Bは、長手方向(X)に沿って一方が他方の後に配置されている。第2の部分32Bから主部分32Aへと延びる方向は長手方向(X)と平行である。第2の部分32Bは、2つの部分30Aと30Bとの間、より明確には、4つの窓34の間に配置されている。主部分32Aは、2つの部分30Aと30Bとの間に部分的に配置され、それらを越えて延びている。
【0068】
主部分32Aは、凹状または「U字」の形を有する自由面を有する。
図9Aは、主部分32Aのこの自由面を示している。また、主部分32Aは、この主部分32Aの自由面において窪んだ長手方向の溝40を備える。長手方向の溝40は長手方向軸(X)に沿って延びている。この長手方向の溝40は、「V字」形の断面を有する自由面を有し、凹状の形を有する自由面の、長手方向と鉛直方向とを含む対称の平面(XZ)の一部である。
【0069】
この実施形態の好ましい変形形態によれば、長手方向の溝40は「U字」、「C字」、または円弧の形を有することに留意されたい。
【0070】
長手方向の溝40は、柔軟な細長い医療要素15を受け入れるように意図されている。したがって、その自由面の「V字」形は、柔軟な細長い医療要素15を受け入れるのに特に適する筐体を形成する。また、案内軌道32の主部分32Aの自由面の「U字」または凹状の形は、柔軟な細長い医療要素15を「V字」の形の溝へ容易に押し込むことができる使用者の人差し指または中指のための支持体を形成する。この目的のために、凹状の形の自由面の曲率半径は0.5~1.5cmからなる。
【0071】
また、案内軌道32のこの主部分32Aは、長手方向(X)および鉛直方向(Z)に対して垂直な横断方向(Y)において延びる複数の横断方向の溝42を備える。これらの横断方向の溝42は、凹状または「U字」の形としての自由面において形成されており、後で記載されているように、カバーによって担持される柔軟な細長い医療要素15の他の位置決め手段を受け入れるためのスロットを形成する。
【0072】
案内軌道32の第2の部分32Bは、ここでは数が4つである複数の支持部材44を備える。これらの4つの支持部材44は、長手方向(X)に沿って一方が他方の後で離間されて配置されている。また、この長手方向(X)に沿って、2つのそれぞれの支持部材44は、互いを向く2つの窓34の側面に位置する。これらの支持部材44は、横断方向(Y)において延び、案内軌道32の長手方向(X)に対して対称に配置された2つの腕部44Aおよび44Bを有する、具体的に
図9Bにおいて視認可能である自由面を有する。各々の腕部44A、44Bは凸状の形を有する。したがって、2つの腕部44A、44Bの交わる位置は、柔軟な細長い医療要素15を受け入れるように供するスロットを形成する。
【0073】
また、具体的に
図5において見られるように、鉛直方向(Z)において、支持部材44の自由面は互いに対してずれている。案内軌道32の主部分32Aに最も近い支持部材44は、この主部分32Aの自由面と同じ高さにスロットがある自由面を有し、「U字」または凹状の形を有する。反対に、主部分32Aから最も遠い支持部材44は、この主部分32Aの自由面に対してスロットが持ち上げられている自由面を有する。また、長手方向(X)におけるその下端において、第2の部分32Bは横断方向の溝42を備える。したがって、長手方向(X)に沿って、支持部材44は2つの横断方向の溝42の間に配置される。
【0074】
したがって、「V字」の形の長手方向の溝40と支持部材44とは、柔軟な細長い医療要素15のための位置決め手段を形成するが、なおも前記部材を並進および回転において移動可能とすることができる。実際、柔軟な細長い医療要素15は、
図7Aおよび
図7Bに示された駆動部材36を用いて、長手方向(X)に沿った前から後および後から前への並進において、または、長手方向(X)の周りでの一方の方向もしくは他方の方向への回転において、移動可能である。
【0075】
各々の駆動部材36は、概して平行六面体の形を有し、駆動パッド46を備える。したがって、駆動部材36の各々の対は、柔軟な細長い医療要素15を動かすように設定するために、柔軟な細長い医療要素15を2つの駆動パッド46の間で締め付けることができる。駆動パッド46を担持する表面と対向する表面において、この表面の周囲の外周に位置付けられた接着剤のビード47が設けられている。したがって、接着剤のビード47は、窓34のそれぞれの外周への駆動部材36の液密な取り付けを提供する。一変形形態によれば、接着剤のビードは、両面接着テープと関連付けられる、または、両面接着テープによって置き換えられる。したがって、駆動部材36は、部分32Aおよび32Bの窓34を通過し、案内軌道32に対して封止して位置決めされる。また、各々の駆動部材36は、2つの係留タブ48を用いて、空間内で素早く周期的および局所的に移動するためにアクチュエータによって制御され得るロボット駆動モジュール16の出口端に連結される。ロボット駆動モジュール16の出口と、ロボット駆動モジュール16の出口を制御するアクチュエータとは、多関節アームによって担持され、多関節アームは、ロボット駆動モジュール16の多関節アームの大まかな寸法に対して、より大きな度合いの移動を許容する。
【0076】
また、任意選択でかつ好ましくは、保護包体30は、案内軌道32および38へのアクセスを許容する開位置と、案内軌道32および38を閉止する
図8に示された閉位置とを占めるように適合された取り外し可能なカバー50を備える。このカバー50は、電気的に制御され得る閉位置において係止するための手段を備える。さらに、これらの係止手段は、例えば、保護包体30の近くでの存在が検出されるときにカバー50を閉位置で係止することができる存在センサに接続され得る。
【0077】
閉位置にあるとき、カバー50は、
図8で見られる上面を備える。カバー50は、案内軌道32および38を向く反対の表面も備える。この反対の表面は、柔軟な細長い医療要素15のための相補的な案内部材を備える。例えば、
図9Cにおいて見られる相補的な案内部材52の1つは、鉛直方向(Z)に対して下向きで、「W字」形または「二枚舌」の断面を有する自由面54を備える。したがって、この相補的な案内部材52は、長手方向(X)に対して対称的に配置され、また、横断方向の溝42のうちの1つにおいて配置されるように、および、具体的には
図10A~
図10Cにおいて示されているようにカバー50が閉位置にあるときに支持部材44と協働するように構成された2つの歯52Aおよび52Bを備える。実際、これらの図において示されているように、相補的な案内部材52が横断方向の溝42および支持部材44と協働するとき、それらは柔軟な細長い医療要素15を位置決めするために柔軟な細長い医療要素15を挟む。
【0078】
より一般的には、カバー50は、「V字」の形の長手方向の溝40、横断方向の溝42、または支持部材44に対して相補的な形を有する他の相補的な案内部材を備え得る。
【0079】
例えば、相補的な案内部材52と支持部材44とは、カバー50が閉じられたときに干渉が残らないように、および、柔軟な細長い医療要素15が、カバー50の閉止の間の柔軟な細長い医療要素15の位置と包体30の角度位置とに拘わらず、長手方向の溝40において常に正確に位置決めされるように、特異的に構成された形を有してもよい。
【0080】
この手法では、柔軟な細長い医療要素15は、案内軌道32の位置決め手段と、カバー50によって担持される位置決め手段との両方によって、並進および回転において移動可能となるように位置決めされる。
【0081】
当然ながら、多くの修正が、本発明の範囲から逸脱することなく本発明に対して行うことができる。
【0082】
柔軟な細長い医療要素15のための任意の種類の位置決め部材が使用できる。
【0083】
具体的には、相補的な案内部材52は、カバー50を貫いて通る軌道によって連結されてもよい。軌道は、長手方向の溝40と相補的な形を有するように、「U字」、「C字」、または円弧の形を有する断面を備える。したがって、包体30は実質的に円筒形の案内通路を備える。
【0084】
案内軌道32の主部分32Aおよび第2の部分32Bが横断方向の溝42または支持部材44のいずれかを備えることが可能である。
【0085】
必要に応じて多くの案内軌道32が保護包体30に設けられてもよい。
【0086】
また、
図11A~
図11Cに描写されているのは、本実施形態の有利な変形形態による相補的な案内部材52である。同様の要素に対する数字参照符号は変えられていない。
【0087】
相補的な案内部材52は、柔軟な細長い医療要素15を長手方向の溝40において位置決めするために、横断方向の溝42のうちの1つと協働するように意図されている。
【0088】
これを行うために、相補的な案内部材52は、カバー50が閉位置にあるとき鉛直方向Zにおける下方端において、横断方向(Y)において一方が他方の傍に配置される2つの歯52Aおよび52Bを担持する主本体52Cを備える。しかしながら、前述の相補的な案内部材52と異なり、2つの歯52Aおよび52Bは長手方向(X)に対して対称的に配置されていない。実際、
図11A~
図11Cにおいて右側に配置され、ユニット30を患者の頭部6から見るときに右の歯である歯52Aは、左の歯である歯52Bより小さい寸法を有する。
【0089】
したがって、2つの歯52Aおよび52Bは、平面(ZY)において概して非対称な「W字」形を相補的な案内部材52に与える。
【0090】
明確には、平面(ZY)における歯52Aおよび52Bの断面は実質的に三角の形を有する。したがって、歯52Aは、歯52Bの三角形を定める3つの辺より小さい長さを有する三角形を定める3つの辺を伴う実質的に三角の形を有する。別の言い方をすれば、平面ZYにおいて、歯52Aの三角形は、歯52Bの三角形の面積より小さい面積を有する。
【0091】
さらに、平面(ZY)において、歯52Aと歯52Bとの間の交わる位置は、具体的には
図11Fにおいて示されているように、カバー50が閉位置にあるときに横断方向(Y)において長手方向の溝40に対して対称的に配置されるような形を有する凹部52Dを備える。
【0092】
ここで、カバー50を閉じるときの動力学を記載しておく。
【0093】
図11Aに示されているように、カバー50は、患者の頭部6からユニット30を見るときに長手方向(X)と平行な方向の周りで時計回りにカバー50を旋回させることで閉じられる。
【0094】
したがって、
図11Bおよび
図11Cに示されているように、歯52Aが歯52Bの寸法より小さい寸法を有するため、歯52Aは、長手方向の溝40を包囲するユニット30の壁に当接しない。したがって、相補的な案内部材52は、ユニット30のカバー50を閉じるとき、その移動において邪魔されない。
【0095】
これが、
図11A~
図11Fにおいて示されている動力学に従って相補的な案内部材52が横断方向の溝42に対して移動できる理由である。カバー50が閉じられるため、相補的な案内部材52は柔軟な細長い医療要素15を長手方向の溝40に向けて案内する。実際、
図11Fに示されているように、長手方向の溝40と凹部52Dとは一緒になって柔軟な細長い医療要素15を受け入れるための空間を定めている。
【0096】
また、
図11D~
図11Fに示された構成では、歯52Bは、歯52Aを向いて配置された直線的な部分52Eが横断方向(Y)と実質的に35°~40°の角度を形成する自由面を有する。同様に、歯52Aは、歯52Bを向いて配置された直線的な部分52Fが横断方向(Y)と実質的に50°から~55°の角度を形成する自由面を有する。これらの角度は、カバー50が閉じられるときに柔軟な細長い医療要素15を長手方向の溝40と凹部52Dとによって定められる空間に向けて効率的に案内するように選択されている。
【符号の説明】
【0097】
1 動脈造影システム、動脈造影設備
2 手術室
3 制御室
4 壁
5 手術台
6 患者、患者の頭部
7 医療用撮像装置
8 発生源
9 検出装置
10 ロボット
11 制御ステーション
12 遠隔制御装置
13 画面
14 容器
15 柔軟な細長い医療要素
15' カテーテル
15" カテーテルガイド
16 ロボット駆動モジュール
17 通信ユニット
18 現場制御ユニット
19 制御装置
20 画面
21 コネクタ
22 造影剤注入装置
23 制御装置
25 動脈
26 本幹
26A、26B 分枝
30 保護包体、ユニット
30A、30B 部品、部分
30C 第3の部分
32 案内軌道、主本体
32A 主部分
32B 第2の部分
34 窓
34A 第5の窓
34B 第6の窓
36 駆動部材
38 第2の案内軌道
40 長手方向の溝
42 横断方向の溝
44 支持部材
44A、44B 腕部
46 駆動パッド
47 接着剤のビード
48 係留タブ
50 カバー
52 相補的な案内部材
52A、52B 歯
52C 主本体
52D 凹部
52E、52F 部分
54 自由面