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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】水溶性パウチ入り洗浄剤組成物パック
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/04 20060101AFI20240621BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20240621BHJP
   C11D 1/835 20060101ALI20240621BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D1/83
C11D1/835
B08B3/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020086030
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178940
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】319001710
【氏名又は名称】シーバイエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】上田 理恵
(72)【発明者】
【氏名】菊地原 紀裕
(72)【発明者】
【氏名】木伏 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐渡 光男
(72)【発明者】
【氏名】日野 智晴
(72)【発明者】
【氏名】渡部 経雄
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-031500(JP,A)
【文献】特開昭62-004800(JP,A)
【文献】特表2007-527947(JP,A)
【文献】特表2003-531954(JP,A)
【文献】特表2013-518010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含む液体に溶解して用いられる、水溶性パウチに粉体洗浄剤組成物がパッキングされてなる、硬表面洗浄剤組成物パックであって、前記粉体洗浄剤組成物が、
(A)25℃において固形の形状を有する界面活性剤を60質量%以上、100質量%以下、
(B)25℃において液体、及びペーストの少なくとも一つの形状を有する界面活性剤を0質量%以上、5質量%以下、ならびに、
(C)水溶性塩を0質量%以上、30質量%未満、
含有することを特徴とし、
前記(A)成分の界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、及び脂肪酸ナトリウムからなる群から選択され、
前記(B)成分の界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウムからなる群から選択され、
前記(C)成分の水溶性塩が、アルカリ剤、キレート剤、スケール防止剤、工程剤、及び抗菌剤からなる群から選択される、洗浄剤組成物パック。
【請求項2】
前記粉体洗浄剤組成物が、粉末、顆粒、ペレット、フレーク、又はビーズの形状、あるいはこれらのうち2種以上が混合したものを有する、請求項1に記載の洗浄剤組成物パック。
【請求項3】
前記(A)成分の界面活性剤の融点が40℃以上である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物パック。
【請求項4】
前記(C)成分の水溶性塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ならびにエチレンジアミン四酢酸及びその塩からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物パック。
【請求項5】
開口部を備える非水崩壊性の容器に収容されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物パック。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物パックを水を含む液体と混合し、硬表面に適用することを含む、前記硬表面の洗浄方法。
【請求項7】
水溶性パウチにパッキングされ、水を含む液体に溶解して用いられることを特徴とし、
(A)25℃において、固形の形状を有する界面活性剤を60質量%以上、100質量%以下、
(B)25℃において、液体、及びペーストの少なくとも一つの形状を有する界面活性剤を0質量%以上、5質量%以下、ならびに、
(C)水溶性塩を0質量%以上、30質量%未満、
含有し、
前記(A)成分の界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、及び脂肪酸ナトリウムからなる群から選択され、
前記(B)成分の界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウムからなる群から選択され、
前記(C)成分の水溶性塩が、アルカリ剤、キレート剤、スケール防止剤、工程剤、及び抗菌剤からなる群から選択される、粉体硬表面洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性パウチに粉体洗浄剤組成物がパッキングされてなる洗浄剤組成物パックに関する。
【背景技術】
【0002】
窓ガラス、テーブル、トイレ、浴槽、壁、床、等の硬質表面の洗浄に、多目的洗浄剤組成物が広く使用されている。これらの多目的洗浄剤組成物は液体の形態を有するものが多い(特許文献1)。
【0003】
また、単位投与量の洗浄剤組成物を水溶性フィルムでパッキングした洗浄剤組成物パックが知られている(特許文献2)。これは、洗浄剤組成物の計量が不要であること、溶解・希釈を正確に行うことができること、接触(皮膚付着、吸引)の危険性が低く、取り扱いが簡便であること等の特徴から人気を博している。
【0004】
一方で、液体の洗浄剤組成物を水溶性フィルムでパッキングしようとすると、製造工程が複雑になるといった問題があった。また、水溶性フィルムと、使用時に除去されるポリエチレンフィルムとの間にペースト状の洗浄剤組成物を含む形状のものが開発されているが(特許文献3)、担持させるペースト状洗浄剤組成物の量が限られ、より多くの洗浄剤組成物を含ませるのは困難である場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2004-503661号公報
【文献】特開2019-052252号公報
【文献】特表2012-501372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記課題は、水溶性フィルム製のパウチに、粉体の洗浄剤組成物をパッキングすることにより一応は解決することができる。しかしながら、本発明者らは、洗浄剤組成物の組成によっては、粉体の形態を保持又は維持することができず、パウチへのパッキングを効率的に行うのに十分な粉体流動性を保持又は維持することができない場合があり、また、粉体流動性を保持又は維持できるものであっても、液体に溶解して使用した場合に白残り(本明細書中、「拭きあと」とも記載する場合がある)が生じ、洗浄剤として満足のいく特性を有さない場合があることを見出した。
【0007】
本発明は、パウチへのパッキングを効率的に行うことが可能な粉体流動性を有しながらも、液体に溶解して使用した場合に白残りが生じない洗浄剤として満足のいく特性を有する、粉体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粉体洗浄剤組成物に含まれる界面活性剤について、25℃において固形の形状を有する界面活性剤を60質量%以上、100質量%以下の量、25℃において液体、及びペーストの少なくとも一つの形状を有する界面活性剤を0質量%以上、5質量%以下の量とし、さらに粉体洗浄剤組成物に含まれる水溶性塩を0質量%以上、30質量%未満の量とすることによって、十分な粉体流動性を有し、かつ液体に溶解して使用した場合に白残りがほとんど生じない粉体洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0009】
本発明はこれらの知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 水溶性パウチに粉体洗浄剤組成物がパッキングされてなる洗浄剤組成物パックであって、前記粉体洗浄剤組成物が、
(A)25℃において固形の形状を有する界面活性剤を60質量%以上、100質量%以下、
(B)25℃において液体、及びペーストの少なくとも一つの形状を有する界面活性剤を0質量%以上、5質量%以下、ならびに、
(C)水溶性塩を0質量%以上、30質量%未満、
含有することを特徴とする、洗浄剤組成物パック。
[2] 前記粉体洗浄剤組成物が、粉末、顆粒、ペレット、フレーク、又はビーズの形状、あるいは、これらのうち2種以上が混合したものを有する、[1]の洗浄剤組成物パック。
[3] 前記(A)成分の界面活性剤の融点が40℃以上である、[1]又は[2]の洗浄剤組成物パック。
[4] 前記(A)成分の界面活性剤ならびに前記(B)成分の界面活性剤(存在する場合)の組み合わせが、陰イオン性界面活性剤、及び/又は陽イオン性界面活性剤、ならびに、HLB12以上の非イオン性界面活性剤の組み合わせからなる、[1]~[3]のいずれかの洗浄剤組成物パック。
[5] 開口部を備える非水崩壊性の容器に収容されている、[1]~[4]のいずれかの洗浄剤組成物パック。
[6] [1]~[5]のいずれかの洗浄剤組成物パックを水を含む液体と混合し、対象面に適用することを含む、前記対象面の洗浄方法。
[7] 水溶性パウチにパッキングされて用いられることを特徴とし、
(A)25℃において、固形の形状を有する界面活性剤を60質量%以上、100質量%以下、
(B)25℃において、液体、及びペーストの少なくとも一つの形状を有する界面活性剤を0質量%以上、5質量%以下、ならびに、
(C)水溶性塩を0質量%以上、30質量%未満、
含有する、粉体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた粉体流動性を有し、かつ液体に溶解して使用した場合に白残りが生じない粉体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において「界面活性剤」とは、洗浄剤の有効成分として従来公知の界面活性剤を意味し、例えば洗浄剤の有効成分として利用可能な、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0012】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0013】
陰イオン性界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、石けん(ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム等)、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸エステル2塩等のカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が挙げられる。
【0014】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0015】
両性界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸メチル等のアミノ酸型が挙げられる。
【0016】
本発明においては、上記より選択される一つの界面活性剤を単独で、あるいは2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いることができる。例えば、洗浄性の優れた粉体洗浄剤組成物を得るために、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤(特に、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が12以上の非イオン性界面活性剤)の組み合わせを用いることが好ましい。また、洗浄性と除菌性に優れた粉体洗浄剤組成物を得るために、陽イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤(特に、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤)の組み合わせを用いることが好ましい。
【0017】
本発明における粉体洗浄剤組成物に含まれる界面活性剤の量は、25℃において固形の形状を有する界面活性剤(成分(A))であれば、60質量%以上、例えば、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上、かつ100質量%以下の量で含めることができる。ここで「固形」とは、25℃において液体又はペーストの形状を有さないことを意味する。すなわち、界面活性剤(成分(A))は、融点が25℃を超える界面活性剤を意味する。界面活性剤(成分(A))は前記固形である限り、任意の形状をとることが可能であり例えば、粉末、顆粒、ペレット、フレーク、ビーズ、ニードル等の形態を有していてもよい。このような界面活性剤(成分(A))を利用することによって、粉体流動性や高温安定性に優れた粉体洗浄剤組成物を調製することができる。好ましくは、界面活性剤(成分(A))は融点が40℃以上、より好ましくは融点が50℃以上、さらにこのましくは融点が55℃以上である界面活性剤である。このような界面活性剤(成分(A))を利用することによって、本発明における粉体洗浄剤組成物を水溶性パウチにパッキングする製造工程において、界面活性剤(成分(A))が設備の温度上昇等により融解せず、粉体流動性や高温安定性を保持し得、水溶性パウチへのパッキングを効率的に行うことができる。
【0018】
本発明において利用可能な界面活性剤(成分(A))は既知又は市販の界面活性剤であってもよくより具体的な例としては、非イオン性界面活性剤として例えば、ポリオキシエチレン(50)アルキル(C16-18)エーテル(商品名:ゲナポールT500P(クラリアント製)、融点:56℃、形状:粉末、HLB:18)、ポリオキシエチレン(25)アルキル(C16-18)エーテル(商品名:ゲナポールT250P(クラリアント製)、融点:50℃、形状:粉末、HLB:16)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:サンソフトQ-18B(太陽化学製)、融点:56℃、形状:フレーク、HLB:6.5;商品名:サンソフトA-181E(太陽化学製)、融点:45.5℃、形状:ペレット、HLB:12.9;商品名:サンソフトA-183E(太陽化学製)、融点:50.5℃、形状:フレーク、HLB:7;商品名:リケマールS-71-D(理研ビタミン製)、融点:61℃、形状:粉末、HLB:5.7)、ポリグリセリンジ脂肪酸エステル(商品名:サンソフトQ-18D(太陽化学製)、融点:54℃、形状:ペレット、HLB:7)、ショ糖脂肪酸エステル(商品名:サンソフトSE-16(太陽化学製)、融点:52.5℃、形状:粉末、HLB:16)、グリセリン脂肪酸エステル(商品名:サンソフトNo.750(太陽化学製)、融点:57.5℃、形状:粉末、HLB:5.3;商品名:ポエムV-100(理研ビタミン製)、融点:66.5℃、形状:粉末、HLB:4.3)、ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムS-60V(理研ビタミン製)、融点:53℃、形状:粉末、HLB:5.1)等(これらに限定されない)が挙げられ、陰イオン性界面活性剤として例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(商品名:エマール10N HD(花王製)、融点:206℃、形状:ニードル;商品名:エマール10P HD-J(花王製)、融点:206℃、形状:粉末)、アルカンスルホン酸ナトリウム(商品名:エマルゲータ E30(テイカ製)、融点:45℃、形状:フレーク)、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム(商品名:リポランPB-800CJ(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、形状:粉末(25℃にて))、脂肪酸ナトリウム(商品名:タンカルCO-50(ミヨシ油脂製)、融点:250℃、形状:粉末)、アルキルスルホネートのナトリウム塩(商品名:メルソラート H95(ランクセス製)、融点:135℃、形状:フレーク)等(これらに限定されない)が挙げられ、陽イオン性界面活性剤として例えば、塩化ベンゼトニウム(商品名:ハイアミン1622-I(LONZA製)、融点:165℃、形状:粉末)、塩化ベンザルコニウム(商品名:BARQUAT MS-100(LONZA製)、融点:48℃、形状:粉末)等(これらに限定されない)が挙げられ、これらより選択される一つの界面活性剤を単独で、あるいは2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いることができる。
【0019】
また、本発明における粉体洗浄剤組成物には、25℃において液体、又はペーストの形状を有する界面活性剤(成分(B))を含めてもよく、これは10質量%未満、例えば、8質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、かつ0質量%以上の量で含めることができ、あるいは、界面活性剤(成分(B))は含めない。ここで「液体、又はペースト」とは、25℃において液体又は固体の一部融解が生じていることを意味する。すなわち、界面活性剤(成分(B))は、融点が25℃以下である界面活性剤を意味する。本発明における粉体洗浄剤組成物に、このような界面活性剤(成分(B))を上述の範囲よりも多く含めた場合には、粉体流動性や高温安定性の低下を生じ、所望の物性を有する粉体洗浄剤組成物を調製することができない場合がある。
【0020】
本発明において利用可能な界面活性剤(成分(B))のより具体的な例としては、非イオン性界面活性剤として例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、トリデセス-8、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、アルキルアミンエチレンオキサイド付加物プロピレンオキサイド付加物等のアルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテル類、脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド類、アルキルグリコシド、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる(これらに限定されない)。陰イオン性界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸アンモニウム等の硫酸エステル塩、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸エステル2塩等のカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる(これらに限定されない)。陽イオン性界面活性剤としては、例えばモノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等のアルキルアミン塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、臭化ベンザルコニウム、臭化セトリモニウム、臭化ドミフェン、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる(これらに限定されない)。両性界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸メチル等のアミノ酸型、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のカルボキシベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキリエチルイミダゾリニウムベタイン等の2-アルキルイミダゾリン誘導体、アルキルジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキルジエチレントリアミノ酢酸等のグリシン型界面活性剤、アルキルアミンオキシド等が挙げられる(これらに限定されない)。界面活性剤(成分(B))はこれらより選択される一つの界面活性剤を単独で、あるいは2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いることができる。
【0021】
本発明における粉体洗浄剤組成物にはさらに、アルカリ剤、キレート剤、スケール防止剤、工程剤、抗菌剤等に利用される水溶性塩(成分(C))を含めてもよい。本発明において利用可能な水溶性塩(成分(C))としては以下のアルカリ剤、キレート剤、スケール防止剤、工程剤、抗菌剤が挙げられるが(これらに限定はされない)、これらより選択される一つの水溶性塩を単独で、あるいは2種以上の水溶性塩を組み合わせて用いることができる。
【0022】
アルカリ剤としては、洗浄剤組成物に用いることのできるものであればどのようなものでもよく、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、ケイ酸塩、水酸化金属塩等が挙げられる。
【0023】
キレート剤としては、洗浄剤組成物に用いることのできるものであればどのようなものでもよく、リン系および無リン系のキレート剤等が挙げられる。リン系のキレート剤としては、リン酸アルカリ金属塩が挙げられこれは、オルソリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等のリン酸と、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属とが結合してなる化合物を意味する。無リン系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酢酸、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、シクロヘキサン-1,2-ジアミン四酢酸、ジエンコル酸、ジカルボキシメチルグルタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、L-グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、L-アスパラギン酸-N,N-ジ酢酸(ASDA)、ヘプトグルコン酸(GH-NA)、タウリン-N,N-ジ酢酸、グルコン酸、クエン酸及びこれらのナトリウム塩,カリウム塩等の水溶性アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0024】
スケール防止剤としては、洗浄剤組成物に用いることのできるものであればどのようなものでもよく、有機リン系スケール防止剤、高分子電解質及びグリシン系スケール防止剤等が挙げられる。有機リン系スケール防止剤としては例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1-ジホスホン酸塩、エタン-1,1,2-トリホスホン酸塩、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸塩及びその誘導体、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸化合物、又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、もしくはエタノールアミン塩、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸化合物、アミノトリメチルホスホン酸、又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、もしくはエタノールアミン塩が挙げられる。高分子電解質はとしては例えば、アクリル酸重合体及びその塩、マレイン酸重合体及びその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩、ポリ-α-ヒドロキシアクリル酸及びその塩、アクリル酸-マレイン酸系-ポリエチレングリコール共重合体及びその塩、オレフィン-マレイン酸共重合体及びその塩、アクリル酸-スルホン酸系共重合体及びその塩が挙げられ、これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩が挙げられる。グリシン系スケール防止剤として例えば、イミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン及びその塩が挙げられ、これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩が挙げられる。
【0025】
工程剤としては、洗浄剤組成物に用いることのできるものであればどのようなものでもよく、中性の無機塩等が挙げられ、例えば硫酸塩等を好適に用いることができる。
【0026】
抗菌剤としては、洗浄剤組成物に用いることのできるものであればどのようなものでもよく、銅、銀、亜鉛の水溶性塩が挙げられ、例えば硫酸亜鉛やグルコン酸銅等を好適に用いることができる。
【0027】
本発明における粉体洗浄剤組成物には、水溶性塩(成分(C))を30質量%未満、例えば、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、かつ0質量%以上の量で含めることができ、あるいは、水溶性塩(成分(C))は含めない。本発明における粉体洗浄剤組成物に、水溶性塩(成分(C))を上述の範囲よりも多く含めた場合には、本粉体洗浄剤組成物を水に溶解し対象面に適用後、乾燥した際に、適用面に対象面に白残りが生じる(拭きあとが残る)場合がある。
【0028】
本発明における粉体洗浄剤組成物には、成分(A)、成分(B)(存在する場合)、及び成分(C)(存在する場合)に加えて、必要に応じて、pH調整剤、着色剤、防腐剤、殺菌剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、着香剤、研磨剤、忌避剤等のその他成分を加えてもよい。
【0029】
pH調整剤としては、例えばクエン酸又はその塩、グルコン酸又はその塩等の有機塩あるいは有機酸が挙げられる。また、pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸又はその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩あるいは無機酸も挙げられる。
【0030】
着色剤としては、例えば赤色102号や青色1号等の水溶性染料、赤色225号や青色403号等の油溶性染料が挙げられる。
【0031】
防腐剤あるいは殺菌剤としては、例えばジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系のもの、メチルパラベン、エチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム等の安息香酸が挙げられる。
【0032】
賦形剤としては、食塩、芒硝等の無機塩、増粘性ポリマー(メチルセルロース等)等の高分子材、グリセリン、ポリエチレングリコール、エタノール等の湿潤剤あるいは溶剤が挙げられる。
【0033】
可溶化剤としては、例えばクメンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩が挙げられる。
【0034】
本発明における粉体洗浄剤組成物は、所謂「粉末洗剤」や「粉末洗浄剤」と称される洗浄剤組成物が一般的に取り得る形状を有し、すなわち、粉末、顆粒、ペレット、フレーク、ビーズ等の固形の形状又はこれら形状の2種以上の組み合わせとすることができる。これら形状の大きさは特に限定されないが、好ましくは平均粒径が0.01~5mm程度とすることができる。これら形状を有する粉体洗浄剤組成物は、所謂「粉末洗剤」や「粉末洗浄剤」と称される洗浄剤組成物の製造において一般的な方法により製造することができ、特に限られるものではないが、例えば、押し出し造粒法、圧縮造粒法、溶融造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法、撹拌造粒法、液晶造粒法、真空凍結乾燥造粒法、ドライ中和造粒法等の方法を単独でもしくは2種以上組み合わせて用いて製造することができる。製造に際しては、成分(A)、成分(B)(存在する場合)、成分(C)(存在する場合)、及びその他成分(存在する場合)をそれぞれ別々に、又は特定の組み合わせで粉末等の形状に成形した後、混合してもよいし、あるいは、成分(A)、成分(B)(存在する場合)、成分(C)(存在する場合)、及びその他成分(存在する場合)を混合した後に、粉末等の形状に成形してもよい。粉末等の形状への成形に際しては必要に応じて、上記成分に加え賦形剤、可溶化剤、分散剤、滑沢剤、結合剤等の粉体洗浄剤組成物の製造・成形において一般的に利用される添加剤を用いてもよい。
【0035】
本発明における粉体洗浄剤組成物が粉末等の形状を有することにより、粉体流動性に優れ、定量的に小分けして、水溶性パウチへのパッキングを容易にすることができ、かつ、水を含む液体と混合した際に優れた溶解性を示すことができる。
【0036】
本発明における粉体洗浄剤組成物は、水溶性パウチに所定量(特に限定されないが、例えば、500mg~500g、10g~100g、又は20g~50g)がパッキングされてなる洗浄剤組成物パックの形態で提供することができる。
【0037】
水溶性パウチは水崩壊性フィルム製であり、水を含む液体が触れると少なくとも一部が溶けて、収容する粉体洗浄剤組成物を当該液体に混合、溶解させることができる。
【0038】
水崩壊性フィルムは、水に溶けるフィルムであればよく、このようなフィルムの材料としては、例えば、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系、メチルセルロース系、ポリエチレンオキサイド系、ゼラチン系、エチルセルロース系、ヒドロキシプロピルセルロース系、澱粉系、糖系、あるいは水溶性エステル化合物等が挙げられる。水崩壊性フィルムには、必要に応じてグリセリン等の可塑剤、界面活性剤等の剥離剤、無機粉末等を加えてもよい。また、水崩壊性フィルムには、水溶紙を水溶性プラスチック樹脂でコーティングしたものが含まれ、例えば、水溶紙をポリビニルアルコール系樹脂でコーティングしたヒートシールタイプのものが挙げられる。
【0039】
なかでも、経済的に優れ、加工が容易である点から、ポリビニルアルコール系樹脂からなる水崩壊性フィルムが、好ましく用いられ、とりわけポリビニルアルコール系樹脂が、平均ケン化度60モル%以上であり、より好ましくは85モル%以上であるものがさらに好ましく用いられる。平均ケン化度が小さすぎると、水崩壊性フィルムの水への溶解性が低下する場合がある。上記平均ケン化度は、JIS K 6726 3.5に準拠して測定することができる。
【0040】
また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は一般的に水溶性粘度で示すことができるが、20℃における4質量%水溶液粘度は、5~50mPa・sであることが好ましく、さらには13~45mPa・s、特には17~40mPa・sであることが好ましい。水溶液粘度が小さすぎると、包装材料としての水崩壊性フィルムの機械的強度が低下する場合があり、一方、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する場合がある。
【0041】
水崩壊性フィルムの厚みは、10~200μmであることが好ましく、より好ましくは10~150μmであり、さらに好ましくは20~100μmである。また、水崩壊性フィルムのなかでも、ポリビニルアルコール系樹脂からなるものの厚みは、10~200μmであることが好ましく、より好ましくは10~100μmである。また、水溶紙を水溶性プラスチック樹脂でコーティングしたものの厚みは、65~150μmであることが好ましく、より好ましくは80~125μmである。水崩壊性フィルムが薄すぎると、粉体洗浄剤組成物を長期収容・保存した際に変色や破れ等が生じる場合があり、一方、厚すぎると、水崩壊性フィルムが水を含む液体に溶けにくくなり、収容する粉体洗浄剤組成物の放出に不必要に長時間を要し、あるいは十分な量が放出されない場合がある。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物パックは、上記粉体洗浄剤組成物を任意の手段により水崩壊性フィルムで包装又はパッキングすることにより製造することができる。例えば、水崩壊性フィルムを製袋加工し、できあがった袋体に上記粉体洗浄剤組成物の所定量を充填した後、袋体の開口部をヒートシール等して閉口することにより行うことができる。
【0043】
このようにして得られる洗浄剤組成物パックは、粉体洗浄剤組成物が定量的に小分けに包装されているため、簡単かつ安全に取り扱うことができる。また、液体を入れる前は粉体洗浄剤組成物が水溶性パウチに収容されていることにより、水を含む液体を入れた際の水流で粉体洗浄剤組成物が泡立ち、収容していた容器から溢れるのを抑制することができる。
【0044】
本発明における洗浄剤組成物パックは、開口部を備える非水崩壊性の容器に収容された形態で提供することができる。
【0045】
一例として、非水崩壊性の容器は非水崩壊性フィルム製である。非水崩壊性フィルムは、水を含む液体に触れても溶けないフィルムであればよく、このようなフィルムの材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の単層プラスチックフィルム、及び、これらの積層プラスチックフィルムが挙げられる。また別の例として、非水崩壊性フィルムは、上記フィルムのいずれかを内層及び外層とし、中間層にアルミニウム、二酸化チタン、紙等を使用した積層プラスチックフィルムが挙げられる。
【0046】
非水崩壊性の容器は、輸送や保管の効率を考慮すると、可撓性を有し、折り畳んでも強度が低下しないことが望ましい。具体的には、プラスチックフィルム製であることが好適である。プラスチックフィルム製であれば、廃棄も容易である。
【0047】
また別の例として、非水崩壊性の容器はクラッシャブルボトルでもよいし、ハードボトルでもよい。非水崩壊性の容器の使用時の強度を重視するのであれば、非水崩壊性の容器は、プラスチックフィルムの他、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を用いた肉厚0.1~2mmのボトルでもよい。この場合のボトルは、廃棄が容易になるようボトルの側面に折り目が付いたクラッシャブルボトルでもよいし、折り目のないボトルでもよい。
【0048】
さらに別の例として、非水崩壊性の容器はガラスや金属で構成されていてもよい。
【0049】
非水崩壊性の容器は特願2019-074773に例示される構造を有することができる。すなわち、非水崩壊性の容器は開口部を備え、開口部以外は閉じた構造を有する。開口部はキャップを備えていてもよい。したがって、開口部より容器に入れた水を含む液体を保持することが可能であり、開口部にキャップを備える場合、キャップを嵌めれば、容器に入れた液体が外部に漏れることはない。
【0050】
また、非水崩壊性の容器には、定量的な溶解・希釈作業を補助すべく、入れるべき液体の量の目安(例えば、流量目安線や色分け)を印刷等によって付すことができる。このような目安を付すことで入れられる液体の量が一定となり、一定の倍率で洗浄剤組成物を溶解・希釈することを可能とする。さらに、非水崩壊性の容器は大きな表面積を有するので、取扱方法等を印刷することができる。
【0051】
さらに、非水崩壊性の容器には、指を通すことが可能な開口によって持ち手部を形成することができる。非水崩壊性の容器に持ち手部を設けることによって、液体の撹拌や持ち運びを容易にすることができる。
【0052】
非水崩壊性の容器への本発明の洗浄剤組成物パックの収容は、洗浄剤組成物パックを、非水崩壊性の容器の開口部から容器内に入れる(次いで、キャップ(存在する場合)を嵌める)ことによって行うことができる。この収容方法の場合、洗浄剤組成物パックは非水崩壊性の容器の開口部より小さい必要がある。
【0053】
別の収容方法として、まず、少なくとも一部が閉じられていない状態の非水崩壊性の容器に、当該閉じられていない部分から、予め洗浄剤組成物パックを容器内に配置する。そして、容器における閉じられていない部分を閉じることによって行うことができる。この収容方法によれば、非水崩壊性の容器の開口部より大きな、洗浄剤組成物パックを容器に収容することができる。
【0054】
非水崩壊性の容器には、一つの洗浄剤組成物パックを収容してもよいし、あるいは、同一の洗浄剤組成物パックを複数個、又は異なる成分組成からなる粉体洗浄剤組成物をパッキングした洗浄剤組成物パックを2種以上組み合わせて収容してもよい。さらに、洗浄剤組成物パックとは別に、必要に応じて、上述のpH調整剤、着色剤、防腐剤、殺菌剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、着香剤、研磨剤、忌避剤等のその他成分をパッキングする水溶性パウチをさらに収容してもよい。
【0055】
洗浄剤組成物パックを収容した非水崩壊性の容器は、洗浄剤組成物の劣化を抑えるべく、密封され窒素等の不活性ガスが充填されているか、真空状態になっているのが望ましい。
【0056】
この洗浄剤組成物パックを収容した非水崩壊性の容器の使用法は次のとおりである。まず、非水崩壊性の容器の開口部を通して所定量の水を含む液体を当該容器に入れる。このとき、液体が水崩壊性の水溶性パウチに触れることによって水溶性パウチが溶け、パッキングされていた粉体洗浄剤組成物と液体とが混ざる。必要に応じて、さらに攪拌し、粉体洗浄剤組成物と液体とを十分に混合する。これにより、粉体洗浄剤組成物が液体中に溶解されて使用可能な状態となる。
【0057】
「水を含む液体」としては、水又は湯そのものでもよいし、水とアルコールなどの混合物であってもよく、溶解する粉体洗浄剤組成物に応じて適宜選択することができる。
【0058】
非水崩壊性の容器を備えることによって、溶解のための別の容器を用意する必要はなく、粉体洗浄剤組成物を簡便に溶解することができる。
【0059】
本発明の洗浄剤組成物パックを用いた被洗浄物の洗浄は、以下の方法により行うことができる。
【0060】
本発明の洗浄剤組成物パックを所定量の水を含む液体中に溶解して得られた洗浄液を、ワイプ、不織布、スポンジ、モップ、ブラシ等に含浸させてこれらを用いて、あるいは、スプレー等により被洗浄物の表面に噴霧した後、被洗浄物に対してふき取り作業、もしくは擦り取り作業を行うことにより、洗浄を行うことができる。被洗浄物としては、汚れが付着する硬表面が挙げられ、例えば、ビニル系、プラスチック系、石系、セメント系、木材系、金属系、セラミック、ガラス等(これらに限定はされない)、各種の材質の床、壁、タイル、窓ガラス、テーブル、トイレ、浴槽、調理台、換気扇、調理加工器具、食器等(これらに限定はされない)の硬表面が挙げられる。
【0061】
本発明の洗浄剤組成物パックの水を含む液体中への溶解は、任意の容器中にて行うことができるが、本発明の洗浄剤組成物パックが上記非水崩壊性の容器に収容されている場合には、別の容器を用意する必要はない。
【実施例
【0062】
以下、実施例と比較例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
I.材料
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の各原料は以下のものを使用した。
1.成分(A)
(1)ポリオキシエチレン(50)アルキル(C16-18)エーテル(商品名:ゲナポールT500P、クラリアント製)
(2)ポリオキシエチレン(25)アルキル(C16-18)エーテル(商品名:ゲナポールT250P、クラリアント製)
(3)*ラウリル硫酸ナトリウム(商品名:エマール10N HD、花王製)
(4)**ラウリル硫酸ナトリウム(商品名:エマール10P HD-J、花王製)
(5)塩化ベンザルコニウム(商品名:BARQUAT MS-100、LONZA製)
(6)塩化ベンゼトニウム(商品名:ハイアミン1622-I、LONZA製)
(7)アルキルスルホネートのナトリウム塩(商品名:メルソラート H95、ランクセス製)
(8)脂肪酸ナトリウム(商品名:混合粉末石鹸、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ製)
【0064】
2.成分(B)
(1)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名:エマルミンNL-90、三洋化成工業製)
(2)トリデセス-8(商品名:ノイゲンTDS-80、第一工業製薬製)
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(有効成分70%、残部:水)(商品名:ミコリンEA370(S)、Miwon Commercial製)
【0065】
3.成分(C)
(1)炭酸ナトリウム(商品名:ソーダ灰デンス、トクヤマ製)
(2)炭酸水素ナトリウム(商品名:重炭酸ナトリウム、トクヤマ製)
(3)エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム・四水和物(EDTA-4NA)
【0066】
II.粉体洗浄剤組成物
下記表1-1、表1-2、及び表1-3に示す組成に従って、実施例1~19、及び比較例1~4の粉体洗浄剤組成物を調製し、その粉体流動性、高温安定性、及び白残りについて評価した。その結果を表1-1、表1-2、及び表1-3に併記する。表中の各成分の量は質量%にて示す。また、表中の「形状」とは、25℃における各原料の形状を示す。
【0067】
III.試験方法
粉体洗浄剤組成物についての粉体流動性、高温安定性、及び白残りの各項目の試験方法および評価基準は以下に示すとおりである。
【0068】
(1)粉体流動性
70mL容量のガラス瓶に粉体洗浄剤組成物を約10g程度入れ、瓶を45度以上傾けた際の当該粉体洗浄剤組成物の移動の様子を目視で観察し、評価した。
<評価基準>
◎:引っ掛かりなく、スムーズに流れる
〇:わずかに引っかかるが、スムーズに流れる
△:引っ掛かるが、絶え間なく流れる
×:不規則に流れる
××:流れず、塊になって動く
【0069】
(2)高温安定性
70mL容量のガラス瓶に粉体洗浄剤組成物を約10g程度入れ、38℃で一晩保管した後、瓶を45度以上傾けた際の当該粉体洗浄剤組成物の移動の様子を目視で観察し、評価した。
<評価基準>
◎:引っ掛かりなく、スムーズに流れる
〇:わずかに引っかかるが、スムーズに流れる
△:引っ掛かるが、絶え間なく流れる
×:不規則に流れる
××:流れず、塊になって動く
【0070】
(3)白残り
粉体洗浄剤組成物を水に溶解して2%溶液を調製し、これをディスポピペットを用いて黒ホモジニアスタイルに一滴(およそ0.03g)滴下して乾燥させた後、残存する輪染みの程度を目視で観察し、評価した。
<評価基準>
◎:輪染み全体が透明~半透明である
〇:輪染み全体が半透明である
△:輪染みの内部が半透明であり、辺縁の半分が白化している
×:輪染みの内部が半透明であり、辺縁が白化している
××:輪染み全体が白化している
【0071】
【表1-1】
【0072】
【表1-2】
【0073】
【表1-3】
【0074】
IV.結果
実施例1-19の粉体洗浄剤組成物は粉末状の形状を有し、十分な粉体流動性が確認された。また、高温で保存された後であっても、十分な粉体流動性を保持することが確認された。
【0075】
一方、25℃において液体又はペーストの形状を有する成分(B)を10質量%、及び20質量%と多く含む比較例1、及び比較例2においては、組成物中に塊を生じ、粉末状の組成物の移動において確認されるような、引っ掛かりのない、スムーズな移動は認められなかった。また、高温で保存された後においても同様の結果が確認された。
【0076】
また、実施例1-19の粉体洗浄剤組成物は水に溶解し対象面に適用後、乾燥しても白残りが無いか、ほとんど無くことが確認された。一方、成分(C)を30質量%、及び40質量%と多く含む比較例3、及び比較例4においては、対象面に適用し乾燥した後、白残りが目立つことが確認された。
【0077】
以上の結果より、実施例1-19の粉体洗浄剤組成物は、水溶性パウチにパッキングして洗浄剤組成物パックとする製造工程において、好ましい粉体流動性と高温安定性を有するものであると判断された。また、実施例1-19の粉体洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物パックとした後においても好ましい保存安定性を有し、水を含む液体に溶解して、対象面に拭きあとをほとんど残さない、良好な洗浄剤(洗浄液)として利用できるものであると判断された。