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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】湯沸器
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/395 20220101AFI20240621BHJP
   F23N 5/26 20060101ALI20240621BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240621BHJP
【FI】
F24H15/395
F23N5/26 101H
F23N5/26 101Z
F23N5/26 101E
F24H1/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020185092
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074761
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 訓昌
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-150707(JP,A)
【文献】特開2019-103053(JP,A)
【文献】特開2001-012736(JP,A)
【文献】特開2000-161661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/395
F23N 5/26
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池駆動式の湯沸器であって、
表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能な電子ペーパーで構成され、各種情報を表示可能な表示部と
記表示部における前記各種情報の表示と更新を行う表示制御部と、
前記電池の出力電圧を測定する電圧測定部と、
異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部が検出する前記異常の内容に応じて前記表示部に表示する警告情報を記憶する警告情報テーブルと
を備え、
前記警告情報は、
前記異常の内容を示す異常内容情報を報知する第1パターンと、
前記異常内容情報に加えて、前記異常発生時にユーザが連絡する連絡先の情報である連絡先情報を報知する第2パターンと
を備え、
前記警告情報テーブルは、前記異常の内容に応じて前記第1パターン及び前記第2パターンの何れかを対応付けて記憶し、
前記表示制御部は、前記異常検出部が前記異常を検出しない場合、前記電圧測定部が測定した前記出力電圧に基づき、電池残量を前記表示部に表示し、前記異常検出部が前記異常を検出した場合、前記警告情報テーブルを参照し、前記異常検出部が検出した前記異常の内容に応じて前記第1パターン又は前記第2パターンを前記表示部に表示すること
を特徴とする湯沸器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯沸器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異常を検出した場合にLEDを点滅させ、その異常を使用者に報知できる電池駆動式の湯沸器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-103428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の湯沸器において、LED点滅による報知をし続けると、電池を必要以上に消費してしまうという問題点があった。電池の消費により、電池電圧が低下すると、LED点滅による報知が停止してしまい、異常が分からなくなるという問題点もあった。
【0005】
本発明の目的は、異常を検出した場合に、電力消費無しで異常を報知し続けることができる湯沸器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の湯沸器は、電池駆動式の湯沸器であって、表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能な電子ペーパーで構成され、各種情報を表示可能な表示部と、前記表示部における前記各種情報の表示と更新を行う表示制御部と、前記電池の出力電圧を測定する電圧測定部と、異常を検出する異常検出部と、前記異常検出部が検出する前記異常の内容に応じて前記表示部に表示する警告情報を記憶する警告情報テーブルとを備え、前記警告情報は、前記異常の内容を示す異常内容情報を報知する第1パターンと、前記異常内容情報に加えて、前記異常発生時にユーザが連絡する連絡先の情報である連絡先情報を報知する第2パターンとを備え、前記警告情報テーブルは、前記異常の内容に応じて前記第1パターン及び前記第2パターンの何れかを対応付けて記憶し、前記表示制御部は、前記異常検出部が前記異常を検出しない場合、前記電圧測定部が測定した前記出力電圧に基づき、電池残量を前記表示部に表示し、前記異常検出部が前記異常を検出した場合、前記警告情報テーブルを参照し、前記異常検出部が検出した前記異常の内容に応じて前記第1パターン又は前記第2パターンを前記表示部に表示することを特徴とする。
【0007】
【0008】
【発明の効果】
【0009】
請求項1の湯沸器によれば、表示部は電子ペーパーで構成されるので、表示部に警告情報を表示後、電力消費無しで表示し続けることができる。これにより、湯沸器は電池電圧の低下や、電源がオフしたことにより、表示部に表示されていた警告情報が消失してしまうのを防止できる。よって、湯沸器は、ユーザに対し、警告情報を確実に報知できるので、ユーザは湯沸器の異常に対して適切に対処できる。なお、「異常」とは、通常の状態とは異なる状態を意味し、湯沸器で検出可能な異常(例えば、不完全燃焼防止装置が作動した状態、再点火防止装置等の各種安全装置が作動した状態)の他、例えば使用回数の増加に伴って点検が必要な状態も含む。
【0010】
また、異常を検出した場合、連絡先情報も電力消費無しで、表示部に表示し続けることができる。なお、連絡先情報とは、例えば、湯沸器の修理業者又は製造元等の連絡先であって、電話番号、FAX、メールアドレス等の情報であるのがよい。ユーザは表示された連絡先に速やかに連絡することで、異常を生じた湯沸器の対処について、修理業者から適切にアドバイスを受けることができる。よって、ユーザは、湯沸器において検出された異常に適切に対処できる。
【0011】
また、ユーザは、表示部に表示された異常内容情報を確認することで、その異常の内容を把握できるので、検出された異常に適切に対処できる。
【0012】
なお、本発明は、電池駆動式の湯沸器であって、表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能な電子ペーパーで構成され、各種情報を表示可能な表示部と、前記表示部における前記各種情報の表示と更新を行う表示制御部と、電池の電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部が測定した前記電圧に基づき電池残量を算出する残量算出部とを備え、前記表示制御部は、前記残量算出部が算出した前記電池残量を前記表示部に表示する残量表示部を備えてもよい。この場合、電池の電池残量を省電力で表示部に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】湯沸器1の斜視図である。
図2】湯沸器1の概略展開構成図である。
図3】湯沸器1の電気的構成を示すブロック図である。
図4】警告情報テーブル741の概念図である。
図5】表示部91に電池アイコン95が表示された2つの態様(1)、(2)を示す図である。
図6】5段階の電池残量に応じた電池アイコン95の表示態様(1)~(5)を示す図である。
図7】表示部92に警告情報が表示された4つの態様(1)~(4)を示す図である。
図8】第1表示制御処理のフローチャートである。
図9】第2表示制御処理のフローチャートである。
図10】リセット制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の外部構成、電気的構成、及び制御上の処理などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。なお、図2は湯沸器1の概略展開構成図であって、各部品の位置及び向きは、実際の位置及び向きと異なる部分がある。
【0015】
図1図2を参照し、湯沸器1の構造を説明する。図1に示す湯沸器1は例えばキッチンの流し台等に取り付けられる。湯沸器1は金属製の本体2を備える。本体2の底部には、ビニールホース3を介してシャワー4が接続される。本体2の正面下部の中央には、操作ボタン5が設けられる。操作ボタン5を押すとシャワー4から出湯、及び後述のメインバーナ14(図2参照)が点火され、再度押すとシャワー4からの出湯が停止、及びメインバーナ14が消火される。操作ボタン5は回動操作で出湯温度を調節できる。操作ボタン5の上方には、メインバーナ14の点火確認窓6が設けられる。
【0016】
操作ボタン5の上側には、電子ペーパーで構成された正面視横長矩形状の表示部91が設けられる。表示部91には、後述の電池残量が表示される。操作ボタン5の右隣には、電子ペーパーで構成され、表示部91よりも大きい正面視矩形状の表示部92が設けられる。表示部92には、湯沸器1の異常検出時に後述の警告情報が表示される。本体2の左右の両側面には、給気口7が設けられる。給気口7は、本体2内に燃焼用空気を取り入れる。
【0017】
図2に示すように、本体2内の中段よりやや上側には、ガスを燃焼させるメインバーナ14が設けられる。メインバーナ14には、点火電極44が設けられる。点火電極44は、連続スパークによりメインバーナ14に点火する。点火電極44には、イグナイタ43(図3参照)が接続される。点火電極44の隣には、フレームロッド45が設けられる。フレームロッド45は、メインバーナ14の炎を検出する。メインバーナ14の上方には、熱交換器12が設けられる。熱交換器12は、伝熱管12Aとフィン12Bを備える。メインバーナ14の燃焼排気はフィン12Bに沿って流れ、燃焼排気熱によって伝熱管12Aの通水を加熱する。
【0018】
本体2には、ガスが流入するガス口21、水が流入する水入口25、湯が流出する出湯口28が各々設けられる。ガス口21とメインバーナ14の間には、ガス管22が接続される。水入口25と熱交換器12の入口の間には、給水管16が接続される。出湯口と熱交換器12の出口の間には、出湯管18が接続される。給水管16の元には、給止水栓20が設けられる。給止水栓20には、水栓パイロットバルブ26が設けられる。水栓パイロットバルブ26と操作ボタン5の間には、操作ボタン5の操作によって動く連動レバー30,32が介設される。操作ボタン5が押下されると、連動レバー30,32は水栓パイロットバルブ26を開くように作用する。これにより給水管16に水が流れる。
【0019】
ガス管22の元には給ガス栓24が設けられる。給ガス栓24には、水圧応動弁34、ガス電磁弁36、マグネット開弁機構37、器具栓38が設けられる。水圧応動弁34は、給水管16に水が流れると連動して開く。ガス電磁弁36はマグネット式であり、点火トラブル等を未然に防止する。マグネット開弁機構37は、ガス電磁弁36を開閉する。器具栓38は、給ガス栓24内の給ガス流路を操作ボタン5の操作によって開閉する。水栓パイロットバルブ26と水圧応動弁34は突棒40を介して互いに連結する。突棒40には、水圧スイッチ50,51が各々設けられる。水圧スイッチ50,51は、突棒40の移動に伴ってオン/オフ信号を出力する。給ガス栓24の下流側には、ガスガバナ29が設けられる。ガスガバナ29は、供給ガス圧の変動を調整する。
【0020】
メインバーナ14には、一次熱電対58が設けられている。一次熱電対58は、メインバーナ14の立ち消え又は酸欠を検出する。一次熱電対58には、センシングバーナ53が併設される。センシングバーナ53の炎は、一次熱電対58を直接加熱する。熱交換器12には、二次熱電対60が設けられる。二次熱電対60は、熱交換器12の側壁に設けられた開口12Cに臨む位置に配置され、フィン12Bの目詰まりを検出する。
【0021】
図2を参照し、湯沸器1の動作を簡単に説明する。ユーザによって操作ボタン5が押されると、連動レバー30、32を介して水栓パイロットバルブ26が開かれる。すると、給水管16に水が流れ、その水圧によって突棒40が押されて、水圧応動弁34が開かれる。さらに突棒40に係止されたマグネット開弁機構37によって、ガス電磁弁36が開かれる。これと同時に水圧スイッチ50がONされ、マグネット保持電流が流れて励磁されることによってガス電磁弁36が開放状態に保持される。他方、器具栓38は操作ボタン5が押されることによって開かれる。これにより給ガス栓24内の給ガス流路が完全に開かれ、メインバーナ14にガスが供給される。突棒40が押されると同時に水圧スイッチ51がオンされる。そこでイグナイタ43を駆動させ、点火電極44をスパークさせることによってメインバーナ14及びセンシングバーナ53に点火される。これにより、シャワー4から出湯が開始される。
【0022】
図3を参照し、湯沸器1の電気的構成を説明する。湯沸器1は、制御基板70を備える。制御基板70は、CPU71、ROM72、RAM73、EEPROM74、発信子75、熱電対回路78、イグナイタ回路79、マグネット駆動回路80、安全回路81、フレームロッド回路82、表示用制御回路83,84等を備える。CPU71は、湯沸器1の動作を統括制御する。ROM72は、各種制御プログラム、各種データの初期値等を記憶する。RAM73は、CPU71の演算処理中に発生するデータ等を一時的に記憶する。EEPROM74は、カウンタやパラメータ等を記憶する不揮発性記憶素子である。発信子75は、CPU71を駆動する為のクロックを供給する。
【0023】
熱電対回路78は、一次熱電対58及び二次熱電対60の夫々の起電力を検出する。イグナイタ回路79は、CPU71からの制御信号に基づき、イグナイタ43を制御する。マグネット駆動回路80は、CPU71からの制御信号に基づき、マグネット開弁機構37を駆動し、ガス電磁弁36を制御する。フレームロッド回路82は、CPU71からの制御信号に基づき、フレームロッド45からの出力信号を検出する。安全回路81は、熱電対回路78とフレームロッド回路82から出力される検出信号により駆動する。表示用制御回路83は、CPU71からの制御信号に基づき、表示部91の駆動を制御する。表示用制御回路84は、CPU71からの制御信号に基づき、表示部92の駆動を制御する。
【0024】
リセットボタン93は本体2内に設けられ、例えば修理業者によって押下される。リセットボタン93は、CPU71に接続される。リセットボタン93が押下されると、CPU71は表示部92に表示された警告情報を消去する。水圧スイッチ50,51は、CPU71に接続される。制御基板70には、電池76から電力が供給される。電池76は、制御基板70の上記各回路に加え、湯沸器1の各電子部品等に電力を供給する。制御基板70のCPU71には、電圧測定部77が接続される。電圧測定部77は電池76の電圧を測定し、CPU71に出力する。
【0025】
図4を参照し、警告情報テーブル741を説明する。警告情報テーブル741は、湯沸器1の各種安全装置によって検出される各種異常の内容に応じて、表示部92に表示する警告情報を記憶する。各種安全装置とは、例えば、不完全燃焼防止装置、再点火防止装置(インターロック)、消し忘れ防止装置、点検時期監視装置等である。不完全燃焼防止装置は、メインバーナ14の不完全燃焼を検出した場合に、メインバーナ14を途中で消火するCPU71に相当する。再点火防止装置は、不完全燃焼防止装置が繰り返し作動した場合に、湯沸器1の使用を制限するCPU71に相当する。消し忘れ防止装置は、所定時間(例えば10分)連続で湯沸器1を使用した場合に、湯沸器1の運転を停止するCPU71に相当する。点検時期監視装置は、湯沸器1の使用回数が規定回数以上(例えば10万回以上)となった場合に点検時期と判定するCPU71に相当する。
【0026】
不完全防止装置が作動したときに表示する警告情報は、パターン1である。再点火防止装置が作動したときの警告情報は、パターン2である。消し忘れ防止装置が作動したときの警告情報はパターン3である。点検時期監視装置が作動したときの警告情報はパターン4である。パターン1~4の具体的な内容については後述する。
【0027】
図5図6を参照し、表示部91における電池残量の表示態様を説明する。図5(1)に示すように、表示部91には、電池アイコン95が表示される。電池アイコン95はデータバー96を備え、データバー96の長さで、電池76の電池残量を5段階で表示する(図6(1)~(5)参照)。データバー96は左右方向に延び、4つのブロックに分断されて構成される。データバー96を構成する4つのブロックにおいて、電池残量に応じて中身を黒で表示することで、電池残量をデータバー96の長さで表示できる。
【0028】
図6(1)に示す電池アイコン95は、電池残量が80%以上であることを示し、右側に「FULL」と表示される。図6(2)に示す電池アイコン95は、電池残量が75%以上80%未満であることを示し、右側に「75%」と数値で表示される。図6(3)に示す電池アイコン95は、電池残量が50%以上75%未満であることを示し、右側に「50%」と数値で表示される。図6(4)に示す電池アイコン95は、電池残量が25%以上50%未満であることを示し、右側に「25%」と数値で表示される。図6(5)に示す電池アイコン95は、電池残量が25%未満であることを示し、右側に「LOW」と表示される。
【0029】
図5(2)に示すように、電池残量が25%未満で「LOW」の場合、電池76を新品と交換する必要がある。湯沸器1は、ユーザに電池交換を促す為、表示部91において、電池アイコン95の右側に、電池注意マーク97を表示する。これにより、湯沸器1は電池交換をユーザに促す。
【0030】
図7を参照し、表示部92における警告情報の表示態様を説明する。図7(1)は、不完全燃焼防止装置が作動したときの表示部92を示す。表示部92には、パターン1の警告情報が表示される。パターン1では、不完全燃焼防止装置が作動したこと、使用を中止してメーカ指定の連絡先に連絡すること、等をメッセージとして表示し、さらに下方に連絡先を表示する。図7(2)は、再点火防止装置が作動したときの表示部92を示す。表示部92には、パターン2の警告情報が表示される。パターン2では、不完全燃焼防止装置が繰り返し作動したこと、使用を中止してメーカ指定の連絡先に連絡すること、等をメッセージとして表示し、さらに下方に連絡先を表示する。
【0031】
図7(3)は、点検時期監視装置が作動したときの表示部92を示す。表示部92には、パターン3の警告情報が表示される。パターン3では、10分連続で使用したことによって運転を中止したことをメッセージとして表示する。図7(4)は、消し忘れ防止装置が作動したときの表示部92を示す。表示部92には、パターン4の警告情報が表示される。パターン4では、使用回数が規定回数(例えば10万回)を超えて点検時期となったこと、メーカ指定の連絡先に連絡すること、等をメッセージとして表示し、さらに下方に連絡先を表示する。
【0032】
図8を参照し、第1表示制御処理を説明する。本処理は、表示部91の制御である。湯沸器1を使用する為、ユーザにより操作ボタン5が押されると、湯沸器1の電源がオンになる。これをトリガーとして、CPU71は、ROM72から第1表示制御プログラムを読み出し、本処理を実行する。なお、湯沸器1では、上記のようにメインバーナ14に点火され、シャワー4から出湯が開始される。
【0033】
CPU71は電圧測定部77により、電池76の電圧を測定する(S11)。CPU71は測定した電圧に基づき、電池76の電池残量を計算し(S12)、計算した電池残量に基づき、電池アイコン95を表示、又は更新する(S13)。例えば、電池76の電池残量が52%であった場合、CPU71は、図6(3)に示す電池アイコン95を表示する。これにより、湯沸器1は、電池残量が少なくとも50%であることを、ユーザに報知できる。電池アイコン95はデータバー96の長さで電池残量を表示するので、ユーザは電池残量を直感的に認識できる。さらにデータバー96の右隣には「50%」と数値で表示されるので、電池残量を容易に認識できる。また、表示部91は電子ペーパーなので、電力を消費することなく、電池アイコン95の表示を保持できる。
【0034】
CPU71は、操作ボタン5が再度押され、メインバーナ14が消火されたか判断する(S14)。消火されていない場合(S14:NO)、CPU71はS11で電池の電圧測定時から所定時間(例えば3分)経過したか判断する(S15)。所定時間経過していない場合(S15:NO)、CPU71はS14に戻ってメインバーナ14の消火を監視する。電圧測定時から所定時間経過した場合(S15:YES)、CPU71はS11に戻り、電池76の電圧を再度測定し、上記処理を繰り返すことにより、電池残量の変化に応じて、電池アイコン95の表示を定期的に更新する。そして、メインバーナ14が消火された場合(S14:YES)、CPU71は本処理を終了する。
【0035】
湯沸器1において、メインバーナ14が消火し、出湯が停止した後、湯沸器1の電源はオフするが、表示部91は電子ペーパーであることから、最後に更新した電池アイコン95の表示内容を保持できるので、湯沸器1の電源が切れても、ユーザに対して電池残量を報知し続けることができる。
【0036】
図9を参照し、第2表示制御処理を説明する。本処理は、表示部92の制御である。湯沸器1の電源がオンしたのをトリガーとし、CPU71は定期的に割り込んでROM72から第2表示制御プログラムを読み出し、本処理を実行する。
【0037】
CPU71は、湯沸器1において、不完全燃焼防止装置が作動したか(S21)、再点火防止装置が作動したか(S22)、点検時期監視装置が作動したか(S23)、消し忘れ防止装置が作動したか(S24)判断する。何れの装置も作動していない場合(S21:NO、S22:NO、S23:NO、S24:NO)、湯沸器1は正常に動作しており、点検時期でもないので、CPU71は本処理を終了する。
【0038】
不完全燃焼防止装置が作動した場合(S21:YES)、CPU71は表示部92に、上記のパターン1の警告情報(図7(1)参照)を表示する(S25)。
再点火防止装置が作動した場合(S21:NO、S22:YES)、CPU71は表示部92に、上記のパターン2の警告情報(図7(2)参照)を表示する(S26)。消し忘れ防止装置が作動した場合(S21:NO、S22:NO、S23:YES)、CPU71は表示部92に、上記のパターン3の警告情報(図7(3)参照)を表示する(S27)。点検時期監視装置が作動した場合(S21:NO、S22:NO、S23:NO、S24:YES)、CPU71は表示部92に、上記のパターン4の警告情報(図7(4)参照)を表示する(S28)。このように、ユーザは表示部92に表示された警告情報を確認することで、湯沸器1に生じた異常に迅速且つ適切に対応できる。表示部92に警告情報を表示した後、CPU71は本処理を終了する。
【0039】
そして、表示部92も電子ペーパーなので、表示部92に警告情報を表示した後に、湯沸器1の電源がオフしても、表示部92は表示部91と同様に、最後に表示した警告情報の表示内容を保持できる。よって、湯沸器1の電源がオフした後も、ユーザに対して警告情報を報知し続けることができる。警告情報は、検出された異常の内容を含むので、ユーザは検出された異常の内容を把握でき、その検出された異常に速やかに対処できる。また、パターン1~3の警告情報は、連絡先の情報も含むので、ユーザは湯沸器1に異常が生じたときに指定の連絡先に連絡することで検出された異常に適切に対処できる。
【0040】
図10を参照し、リセット制御処理を説明する。例えば、不完全燃焼防止装置が作動したことにより、表示部92にパターン1の警告情報が表示された場合、ユーザは警告情報に従い、湯沸器1の使用を中止すると共に、指定の修理業者等の連絡先に電話し、表示部92に表示された警告情報の内容を伝える。修理業者はユーザの連絡を受け、湯沸器1の修理を行う。修理後、修理業者は表示部92に表示された警告情報を消去する為、本体2内に設けられたリセットボタン93を押下する。すると、CPU71はROM72からリセット制御プログラムを読み出し、本処理を実行する。CPU71は作動した安全装置の状態をリセットする(S31)。CPU71は表示部92に表示された状態の警告情報を消去し(S32)、本処理を終了する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の湯沸器1は、電池駆動式である。湯沸器1は、本体2の正面下部に表示部92を備える。表示部92は、電子ペーパーで構成され、表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能である。湯沸器1のCPU71は、表示部92における各種情報の表示と更新を行う。湯沸器1には、不完全燃焼防止装置、再点火防止装置、消し忘れ防止装置、点火時期防止装置等の各種安全装置が搭載される。CPU71は何れかの安全装置が作動した場合に異常と判断し、ユーザにその内容を警告する為、表示部92に警告情報を表示する。表示部92は電子ペーパーで構成されるので、CPU71は表示部92に警告情報を表示後、電力消費無しで表示し続けることができる。これにより、湯沸器1は電池電圧の低下により、表示されていた警告情報が消失してしまうのを防止できる。よって、湯沸器1は、ユーザに対し警告情報を確実に報知できる。
【0042】
上記説明において、湯沸器1に搭載される不完全燃焼防止装置、再点火防止装置、消し忘れ防止装置、点火時期防止装置として機能するCPU71は、本発明の「異常検出部」の一例である。図9のS25~S28の処理を実行するCPU71は本発明の「表示制御部」の一例である。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態は、本体2の正面に二つの表示部91,92を設け、表示部91に電池残量を表示し、表示部92に警告情報を表示するが、例えば一つの表示部に電池残量と警告情報を表示するようにしてもよい。表示部91に警告情報を表示し、表示部92に電池残量を表示してもよい。上記実施形態は、二つの表示部91,92を備えるが、表示部の数は一つでもよく、二つ以上であってもよい。表示部91,92の夫々の形状、場所についても自由に変更可能である。
【0044】
上記実施形態は、湯沸器1に異常が発生した場合に、表示部92に警告情報を表示してユーザに報知するが、例えば警告情報を表示部92に表示する際に、スピーカからブザー音を出力するようにしてもよい。
【0045】
上記実施形態において、表示部92に警告情報を表示した後、リセットボタン93を押すことで、CPU71は安全装置をリセットし、表示部92に表示された警告情報を消去するが、リセットの操作方法はこれ以外であってもよい。例えば、電池76を抜き差しすることトリガーとしてリセットするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 湯沸器
71 CPU
91,92 表示部
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
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図10