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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】自転車用錠装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/16 20060101AFI20240621BHJP
   E05B 71/00 20060101ALI20240621BHJP
   B62H 1/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B62H5/16
E05B71/00 K
B62H1/02 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020207304
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094431
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000111029
【氏名又は名称】株式会社ニッコー
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】久保 一広
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/145332(WO,A1)
【文献】特開2009-298167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/00 - 5/20
E05B 1/00 - 85/28
B62H 1/02 - 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のスポークに当接可能であるカンヌキ(1)と、
前記カンヌキ(1)を収納し前記カンヌキ(1)が出退する開口部(21)を有する第 一筐体(2)と、
前記カンヌキ(1)の基端部に設けられ前記カンヌキ(1)の動きを規制する第一付勢 部材(3)と、
前記カンヌキ(1)が前記開口部(21)から突出した状態を維持可能である係止片( 41)を有し鍵(K)と連動する錠(4)と、
前記第一筐体(2)に併設され、内部に空間(S)を有する第二筐体(5)と、
一端部に自転車操作部(T)と連動する操作ワイヤー(W)が設けられ前記空間(S) で直線状又は曲線状に可動なスライダー(6)と、
前記スライダー(6)に枢支され前記スライダー(6)に対して一端部(61a)及び 他端部(61b)が出退可能に枢動可能である枢動部(61)と、
前記スライダー(6)及び前記枢動部(61)に当接して設けられ前記枢動部(61) の一端部(61a)及び他端部(61b)が前記スライダー(6)から突出可能に付勢 する弾性部材(62)と、
前記スライダー(6)の他端部に設けられ前記スライダー(6)の動きを規制する第二 付勢部材(7)と、
前記枢動部(61)の一端部(61a)と係合可能である突起部(11a)を有し前記 カンヌキ(1)と連動して前記空間(S)で可動な係合部(11)と、
前記枢動部(61)の他端部(61b)と当接可能であり前記第二筐体(5)の前記空 間(S)側に設けられた段差部(51)を備え
前記枢動部(61)の他端部(61b)が前記段差部(51)に当接したときに、前記 枢動部(61)の他端部(61b)が前記弾性部材(62)の付勢力に抗って移動し、 前記枢動部(61)の一端部(61a)が前記係合部(11)の前記突起部(11a) との係合が解除されることを特徴とする自転車用錠装置。
【請求項2】
前記スライダー(6)が前記操作ワイヤー(W)によって前記第二付勢部材(7)の付 勢力に抗って移動するときに、前記枢動部(61)の一端部(61a)が前記係合部( 11)の前記突起部(11a)と係合することで、前記カンヌキ(1)が前記開口部( 21)から突出することを特徴とする請求項1に記載の自転車用錠装置。
【請求項3】
前記係止片(41)が、前記カンヌキ(1)の切欠部(13)又は前記係合部(11) のいずれか一方と係止可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自転 車用錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンドなどの自転車操作部と連動して施錠操作を行うことができる自転車に装着される錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車を立てた状態で静置しておくためのスタンドを横倒しにしたり起立したりすることで、解錠や施錠を行うことができ、自転車のフレームに装着される錠装置は広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、自転車の車体に一体的に取り付けられた錠前に一端を連結し、他端を車体に揺動可能に取り付けられたスタンドの脚部に接続したワイヤーを車体に沿って掛け渡して、スタンドの起立に伴うワイヤーの牽引動作によって、錠前に備えた錠杆を施錠位置に変位させて施錠する自転車用錠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-178970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の自転車用錠は、スタンドが横倒しの状態から回動して起立した状態にあるときはワイヤーの牽引により錠は施錠された状態で保持されるところ、そのようなスタンドが起立した状態では、錠を解錠することができず、スタンドが横倒しの状態へ跳ね上げられたときに錠が施錠された状態であればスタンドが跳ね上げられた勢いで自転車が前進することで車輪のスポークが錠杆と接触し破損するおそれがあるという課題があった。
【0006】
また、スタンドが起立した状態から横倒しの状態へ跳ね上げられてから錠を解錠する動作は、自転車のバランスを保ちながら行う必要があり不安定であるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、スタンドなどの自転車操作部の操作に伴うワイヤーの牽引動作によって施錠するという簡便な施錠操作を有しながらも、スタンドが起立した状態から横倒しの状態へ跳ね上げられたときにスタンドが跳ね上げられた勢いで自転車が前進することで車輪のスポークが錠杆と接触し破損するおそれがないような、ワイヤーが牽引されている状態であっても錠を解錠することができるという自転車用錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕すなわち、本発明は、自転車のスポークに当接可能であるカンヌキ(1)と、 前記カンヌキ(1)を収納し前記カンヌキ(1)が出退する開口部(21)を有する第 一筐体(2)と、前記カンヌキ(1)の基端部(1a)に設けられ前記カンヌキ(1) の動きを規制する第一付勢部材(3)と、前記カンヌキ(1)が前記開口部(21)か ら突出した状態を維持可能である係止片(41)を有し鍵(K)と連動する錠(4)と 、前記第一筐体(2)に併設され、内部に空間(S)を有する第二筐体(5)と、一端 部に自転車操作部(T)と連動する操作ワイヤー(W)が設けられ前記空間(S)で直 線状又は曲線状に可動なスライダー(6)と、前記スライダー(6)に枢支され前記ス ライダー(6)に対して一端部(61a)及び他端部(61b)が出退可能に枢動可能 である枢動部(61)と、前記スライダー(6)及び前記枢動部(61)に当接して設 けられ前記枢動部(61)の一端部(61a)及び他端部(61b)が前記スライダー (6)から突出可能に付勢する弾性部材(62)と、前記スライダー(6)の他端部に 設けられ前記スライダー(6)の動きを規制する第二付勢部材(7)と、前記枢動部( 61)の一端部(61a)と係合可能である突起部(11a)を有し前記カンヌキ(1 )と連動して前記空間(S)で可動な係合部(11)と、前記枢動部(61)の他端部 (61b)と当接可能であり前記第二筐体(5)の前記空間(S)側に設けられた段差 部(51)を備え、前記枢動部(61)の他端部(61b)が前記段差部(51)に当 接したときに、前記枢動部(61)の他端部(61b)が前記弾性部材(62)の付勢 力に抗って移動し、前記枢動部(61)の一端部(61a)が前記係合部(11)の前 記突起部(11a)との係合が解除されることを特徴とする自転車用錠装置である。
【0009】
〔2〕そして、前記スライダー(6)が前記操作ワイヤー(W)によって前記第二付勢部材(7)の付勢力に抗って移動するときに、前記枢動部(61)の一端部(61a)が前記係合部(11)の前記突起部(11a)と係合することで、前記カンヌキ(1)が前記開口部(21)から突出することを特徴とする前記〔1〕に記載の自転車用錠装置である。
【0011】
〕そして、前記係止片(41)が、前記カンヌキ(1)の切欠部(13)又は前 記係合部(11)のいずれか一方と係止可能であることを特徴とする前記〔1〕又は前 記〔2〕に記載の自転車用錠装置である。


【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、スタンドなどの自転車操作部の操作に伴うワイヤーの牽引動作によって施錠するという簡便な施錠操作を有しながらも、スタンドが起立した状態から横倒しの状態へ跳ね上げられたときにスタンドが跳ね上げられた勢いで自転車が前進することで車輪のスポークが錠杆と接触し破損するおそれがないような、ワイヤーが牽引されている状態であっても錠を解錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置を自転車に取り付けた使用状態の概略図である。
図2】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置における第一筐体に組み込まれた部材の分解斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置における一部構造の解錠状態の背面図である。
図4】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置における一部構造の施錠状態の背面図である。
図5】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置において走行時の解錠状態での内部機構を一部透視した背面図である。
図6】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の一の操作開始時における内部機構を一部透視した解錠状態での背面図である。
図7】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置におけるA-A線断面図である。
図8】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の一の操作終盤時における内部機構を一部透視した施錠状態での背面図である。
図9】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の一の操作終了時における内部機構を一部透視した施錠状態での背面図である。
図10】本発明の第一実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の他の操作終了時における内部機構を一部透視した施錠状態での背面図である。
図11】(a)本発明の第一実施形態の自転車用錠装置におけるスライダーの分解斜視図、(b)同スライダーの断面図である。
図12】本発明の第二実施形態の自転車用錠装置における全体斜視図である。
図13】本発明の第二実施形態の自転車用錠装置において走行時の解錠状態での内部機構を一部破断した背面図である。
図14】本発明の第二実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の一の操作開始時における内部機構を一部破断した解錠状態での背面図である。
図15】本発明の第二実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の一の操作終盤時における内部機構を一部破断した施錠状態での背面図である。
図16】本発明の第二実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の一の操作終了時における内部機構を一部破断した解錠状態での背面図である。
図17】本発明の第二実施形態の自転車用錠装置において停車中に自転車操作部の他の操作終了時における内部機構を一部破断した施錠状態での背面図である。
図18】本発明の第二実施形態の自転車用錠装置におけるB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る自転車用錠装置に関する実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0015】
〔第一実施形態〕
図1図11において、本発明に係る自転車用錠装置の第一実施形態について示している。本実施形態では、図1に示すように、自転車のスタンドである自転車操作部Tに連動するように操作ワイヤーWが取り付けられ、第一筐体2及び第二筐体5が自転車の後輪側のフレームに取り付けられている。また、第一筐体2及び第二筐体5の内部には、カンヌキ1、第一付勢部材3、錠4、スライダー6、第二付勢部材7、係合部11などが組み込まれている。
【0016】
カンヌキ1は、自転車の車輪のスポークに当接可能である部材であり、スポークに当接して車輪の回転を阻止する。具体的に本実施形態では、図2などに示すように、カンヌキ1は、第一筐体2に内設されており、根元側の一端である基端部1aに取り付けられた第一付勢部材3を介して第一筐体2の溝に配設され、解錠位置から把持部12を第一付勢部材3の付勢力に抗って操作することで、第一筐体2の一方の開口部21から突出し、又は、第一付勢部材3の付勢力に従ってその開口部21に退入する円弧状の部材である。カンヌキ1の曲率は、第一筐体2の形状の曲率と略同一であるため、カンヌキ1が第一筐体2の溝を円滑に移動することができる。
【0017】
係合部11は、第一筐体2の背面側に、後述する枢動部61の一端部61aと係合可能である突起部11aを有し、カンヌキ1と連動して第二筐体5の内部に存在する空間Sで可動な部材である。本実施形態において、図2などに示すように、係合部11は、断面が略L字状の細長く長手方向に対して少々湾曲した形状を有しており、一端側に略鈎状に突起した突起部11aを有し、カンヌキ1に固設され、カンヌキ1と連動する。係合部11の突起部11aは、スライダー6が操作ワイヤーWによって第二付勢部材7の付勢力に抗って移動するときに、枢動部61の一端部61aと係合することで、係合部11とともにカンヌキ1が第一付勢部材3の付勢力に抗って第一付勢部材3から遠ざかるように引っ張られ、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転してもスポークと当接することができるようになる。このため、車輪が回転できなくなり、自転車の盗難を防止することができる。また、カンヌキ1の先端部1bが第一筐体2の開口部21から突出している施錠時など、突起部11aが枢動部61の一端部61aと係合していないとき、突起部11aを介して係合部11と連動するカンヌキ1は、スライダー6の移動とは独立している。このため、スタンドなどの自転車操作部Tの操作に伴う操作ワイヤーWの牽引動作によって簡便に施錠可能ながらも、施錠時に操作ワイヤーWが万が一第三者によって切断されても解錠されることはない。
【0018】
そして、把持部12は、第一筐体2の正面側に取り付けられ、カンヌキ1と連動する部材である。本実施形態において、把持部12は、使用者がカンヌキ1を動かすために摘む略三角形状の部材である。図2に示すように、把持部12は、カンヌキ1の基端部1aと切欠部13との間であって切欠部13の近傍で留め具部材を介して固定されて、第一筐体2における蓋部22側とは反対の側面から筐体孔2aを通じて突出するように設けられている。使用者は、解錠状態から把持部12を摘み、施錠状態となる位置まで移動させることができる。なお、本実施形態において、把持部12の形状は略三角形状であるが、特にこの形状に限定されるわけでなく、他の実施形態において、略矩形状、略円形状、略楕円形状など使用者が摘みやすい形状とすることができる。
【0019】
そして、図2に示すように、切欠部13は、カンヌキ1の基端部1aと先端部1bの中間近傍の外周側面に設けられ、後述する係止片41と係合する窪みである。解錠時には、図3に示すように、カンヌキ1は、第一付勢部材3の付勢力に従って第一付勢部材3側に引っ張られることで、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出せず、車輪のスポークと当接することができない。このため、車輪が回転でき、自転車を走行させることができる。そして、施錠時には、図4に示すように、カンヌキ1は、第一付勢部材3の付勢力に抗って第一付勢部材3から遠ざかるように引っ張られることで、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出し、その状態で凹状の切欠部13が係止片41と係合することにより、カンヌキ1は第一付勢部材3である弾性バネの付勢力によって解錠状態に戻ることができず、車輪のスポークと当接するようになる。このため、車輪が回転できなくなり、自転車の盗難を防止することができる。
【0020】
また、施錠状態から、錠4の鍵穴に挿入している鍵Kを回転させることにより連動する係止片41が、切欠部13との係合が解除されることで、第一付勢部材3である弾性バネの付勢力によってカンヌキ1が第一付勢部材側に引き寄せられ、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21に退入され解錠状態とされる。
【0021】
第一筐体2は、自転車のフレームや荷台などに固設され、開口部21が対向して位置し、その内側にカンヌキ1と付勢部材3を保持しうる溝を有している筐体であり、本実施形態において、図2などに示すように、円弧状に湾曲した形状を有している。そして、開口部21の一方側には、鍵Kを差し込む鍵穴を有する錠4が第一筐体2に収納されている。さらに、第一筐体2の左右の内側が自転車のフレームや荷台等に固設するために張り出しており、それぞれの張り出した部材に固設部材を挿通するための孔が穿設されている。また、第一筐体2には、カンヌキ1の把持部12が回動することができるために、図示しない円弧状の孔が穿設されている。
【0022】
蓋体22は、カンヌキ1、付勢部材3、シンリダー錠4などを第一筐体2に保持するために、第一筐体2に固定される馬蹄状の部材である。蓋体22には、第一筐体2の背面側に留め具部材を介して固定された係合部11が移動可能のように、蓋体22の形状に沿って、蓋孔22aが穿設されている。また、第一筐体2の内部に設けられ蓋体22側に突設された略円柱状のボス部を蓋体22に穿孔されたボス部取付孔に貫通させ、ボス部取付孔より貫通したボス部を、金属工具などを用いてかしめることにより、蓋体22と第一筐体2とを固定することができ容易に取り外すことができなくなる。本実施形態において、蓋体22は、平板状であるが、第一筐体2とは反対側である外側又は内側に膨らんだ凹凸などを有する形状とすることもできる。
【0023】
第一付勢部材3は、一端を第一筐体2の内部に固定され、他端をカンヌキ1の基端部1aと固定されている弾性力を有する部材である。本実施形態において、第一付勢部材3は、螺旋状に巻かれた金属製の弾性バネであり、カンヌキ1が解錠状態から施錠状態に移動するに従ってその移動する方向とは反対向きに付勢力が働く。このため、施錠状態において、錠4と連動する係止片41が切欠部13との係合が解除されると、伸長されている第一付勢部材3の付勢力により、カンヌキ1が施錠状態から解錠状態になるように移動する。なお、第一付勢部材3は弾性バネに限定されるものではなく、弾性ゴムを使用することもできる。
【0024】
錠4は、カンヌキ1が開口部21から突出した状態を維持可能とする係止片41を有し、鍵Kと連動する錠である。本実施形態において、錠4は、第一筐体2の一方の開口部21側に収納されている内筒と外筒を備えた円柱状のシリンダー錠であり、鍵Kの枢動によりカンヌキ1の施錠状態及び解錠状態を制御する。図2に示すように、錠4の一端側、そして、第一筐体2の開口部21側であって、カンヌキ1が移動する経路を含む面である移動面上に位置し、カンヌキ1に対して斜設された鍵穴を有している。具体的には、図2に示すように、錠4の鍵穴は、カンヌキ1の移動面上に位置している。そして、錠4に対して適切な鍵Kを差し込むことにより、図示しない内部の内筒が回転させることができ、錠4と連動する回転片42が回動し、回転片42から突設されている図示しない突起が係止片41の突起嵌合穴411と係合することができる。これにより、第一筐体2の内部に係止片41をカンヌキ1側に付勢するバネ43の付勢力もあり、錠4の回転運動が係止片41の直線運動へと変換されて、係止片41の先端がカンヌキ1側に突出することとなる。錠4は、本実施形態において、シリンダー錠であるが、他の実施形態において、無線通信により係止片41の出退を制御することができる電子錠とすることができ、そのとき鍵Kは解錠又は施錠の制御信号を発する実体のあるものやその制御信号そのものとなる。
【0025】
係止片41は、一端が第一筐体2の内部でバネ43と当接し、錠4に挿した鍵Kの枢動と連動する略平板状の部材である。バネ43と当接している一端とは反対側の係止片41の先端が、カンヌキ1側に突出する又は突出しないように動きが規制されている。すわなち、当該係止片41にバネ43以外による力が加わらなければ、バネ43の付勢力により、係止片41の先端がカンヌキ1側に突出するよう押されている。そして、図2に示すように、係止片41の中央部近傍に設けられた突起嵌合穴411に、錠4と連動し回転片42の図示しない突起と係合することにより、バネ43の付勢力に抗って係止片41の先端をカンヌキ1側から退避させることもできるようになる。これらの係止片41の動作によりカンヌキ1の施錠と解錠を制御することができる。
【0026】
第二筐体5は、第一筐体2に併設され、内部に空間Sを有する筐体であり、本実施形態において、円弧状に湾曲した形状を有している。本実施形態において、第二筐体5は、第一筐体2に沿った円弧状の形状を有しており、その内部の細長い円弧状の空間Sに係合部11、スライダー6、第二付勢部材7などを収納している。なお、第一筐体2と第二筐体5は、本実施形態において、取り外し可能な独立した筐体として形成されているが、他の実施形態において、それらが一体となっている一つの筐体として形成されていてもよく、その場合その一体型の筐体の区分けされた部分である。
【0027】
段差部51が、第二筐体5の空間S側に設けられており、枢動部61の他端部61bと当接することができる。段差部51は、操作ワイヤーWが牽引されたときに、スライダー6から突出している枢動部61の他端部61bが当接すると、枢動部61をスライダー6の内部に収納させることで、枢動部61の一端部61aと係合部11の突起部11aとの係合が解除され、操作ワイヤーWとカンヌキ1が連動しなくなるようにする。段差部51は、本実施形態において、枢動部61を徐々にスライダー6の内部へ収納するように、第二筐体5の内壁が緩やかに傾斜して隆起して設けられているが、他の実施形態において、第二筐体5の内壁と高低差を有し枢動部61をスライダー6の内部へ収納することができる限りにおいて種々の形状とすることができる。
【0028】
スライダー6は、一端にスタンドなどの自転車操作部Tと連動する操作ワイヤーWが設けられ、第二筐体5の空間Sで直線状又は曲線状に可動な部材である。スライダー6は、他端に第二付勢部材7が設けられており、操作ワイヤーWによる牽引又は第二付勢部材7の付勢力に従って、移動することができる。本実施形態において、スライダー6は、図3図6図8図10に示すように、第二筐体5の空間Sで曲線状に移動することができ、長手方向に少し湾曲した略直方体状に形成され、その内部に固定された固定軸63と、固定軸63を中心に枢動可能である枢動部61と、枢動部61の一端部61a及び他端部61bがスライダー6から突出するように付勢する弾性部材62を有している。
【0029】
そして、枢動部61は、図11に示すように、固定軸63によりスライダー6に枢支され、スライダー6に対して一端部61a及び他端部61bが出退可能に枢動することができる部材である。枢動部61の一端部61a及び他端部61bは、弾性部材62によって、スライダー6の側面から突出するように付勢されている。枢動部61の一端部61aが、スライダー6から突出していると、操作ワイヤーWが牽引されたときに、係合部11の突起部11aと係合することができ、上述のように、係合部11とともにカンヌキ1が第一付勢部材3の付勢力に抗って第一付勢部材3から遠ざかるように引っ張られることで、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転してもスポークと当接するようになる。また、枢動部61の他端部61bが、スライダー6から突出している状態で、操作ワイヤーWが牽引されたときに、第二筐体5の段差部51に当接すると、枢動部61がスライダー6の内部に収納され、枢動部61の一端部61aと係合部11の突起部11aとの係合が解除され、操作ワイヤーWとカンヌキ1が連動しなくなる。
【0030】
第二付勢部材7は、スライダー6の他端部61bに設けられ、スライダー6の動きを規制する部材である。本実施形態において、第二付勢部材7は、螺旋状に巻かれた金属製の弾性バネであり、スライダー6が第二付勢部材7から離れるように移動するとその移動する方向とは反対向きに付勢力が働く。なお、第二付勢部材7は弾性バネに限定されるものではなく、弾性ゴムを使用することもできる。
【0031】
操作ワイヤーWは、一端がスタンドなどの自転車操作部Tに取り付けられ、他端がスライダー6に取付けられている線状の部材である。操作ワイヤーWは、本実施形態において、スタンドに一端が取り付けられているが、他の実施形態において、自転車ハンドル近傍に取付けられた回動等の操作により牽引することができるレバーなどに一端を取り付けることができる。
【0032】
次に、本発明の自転車用錠装置に関する第一実施形態において、具体的な操作を説明する。
【0033】
まず、図1において、スタンドである自転車操作部Tが、自転車を走行させられる状態である仮想線で描かれている横倒しになっている状態から、駐輪させられる状態である実線で描かれている起立している状態へとするときの操作について説明する。当初、図5に示すように、走行時の解錠状態であり、カンヌキ1と連動する係合部11は、カンヌキ1が第一付勢部材3に付勢されて解錠位置にあり、操作ワイヤーWにはスタンドによる張力が働いていないためにスライダー6は第二付勢部材7に付勢されて解錠位置にある。この状態からスタンドを少し起立し始めると、操作ワイヤーWに働く張力によりスライダー6は第二付勢部材7に付勢力に抗って移動し始め、図6図7に示すように、スライダー6の枢動部61の一端部61aが係合物11の突起部11aと当接する。
【0034】
そして、さらにスタンドを起立させると、図8に示すように、操作ワイヤーWに働く張力によりスライダー6は付勢力に抗ってさらに移動する。このとき、スライダー6は、枢動部61の一端部61aと突起部11aが係合しながら移動するため、突起部11aを介して係合部11と連動するカンヌキ1も同様に移動し、カンヌキ1の先端部1bが第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転したときにスポークと当接することができるようになる。そして、このとき、錠4の係止片41がバネ43に付勢されているため切欠部13に係合し、カンヌキ1は第一付勢部材3の付勢力によっても移動しなくなって施錠状態が維持され、錠4から鍵Kを取り外することができるようになる。さらに、スタンドを完全に起立させるときに、カンヌキ1はそれ以上移動しないが、スライダー6は、図8から図9の状態へとさらに操作ワイヤーWにより少々移動させられる。このとき、スライダー6の枢動部61は、他端部61bが段差部51と当接してスライダー6の内部に収納されることで、一端部61aと突起部11aとの係合が解除される。そうすると、操作ワイヤーWとカンヌキ1が連動しなくなるので、図10に示すように、自転車を走行させられるようにスタンドを横倒しにしてスライダー6が第二付勢部材7に引っ張られて、或いは操作ワイヤーWが切断されてスライダー6が第二付勢部材7に引っ張られたとしても、施錠状態は維持されたままであり、鍵Kによる解錠操作を行わなければカンヌキ1が開口部21に退入せず解錠することができない。なお、施錠するときには、スタンドを起立させるだけでなく、カンヌキ1と連動する把持部12を、解錠位置から第一付勢部材3の付勢力に抗って操作することで、カンヌキ1と連動する係合部11がスライダー6と係合しスライダー6を移動させながら、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転してもスポークと当接することができるようになる。このように、本件の自転車用錠装置に関する第一実施形態によれば、スタンドなどの自転車操作部Tの操作に伴う操作ワイヤーWの牽引動作によって施錠するという簡便な施錠操作を有しながらも、スタンドが起立するなどして操作ワイヤーWが牽引されている状態であっても錠を解錠することができる。したがって、スタンドを起立状態から回動して横倒しの状態にする前に、解錠することができるので、スタンドを跳ね上げた勢いで自転車が前進して車輪のスポークがカンヌキ1と接触し破損するおそれもないし、スタンドが起立した状態で安定して錠の解錠操作を行うこともできる。
【0035】
〔第二実施形態〕
図12図18において、本発明に係る自転車用錠装置の第二実施形態について示している。本実施形態では、図1と同様に、自転車のスタンドに連動して操作ワイヤーWを取り付けることができ、第一筐体2及び第二筐体5が自転車の前輪側又は後輪側のフレームに取り付けることができる。第一筐体2及び第二筐体5の内部には、第一実施形態と同様に、カンヌキ1、第一付勢部材3、錠4、スライダー6、第二付勢部材7、係合部11などが組み込まれている。
【0036】
カンヌキ1は、根元側の一端である基端部1aに取り付けられた第一付勢部材3を介して第一筐体2の内部に配設され、解錠位置から把持部12を第一付勢部材3の付勢力に抗って操作することで、第一筐体2の一方の開口部21から突出し、又は、第一付勢部材3の付勢力に従ってその開口部21に退入する直線状の部材である。なお、カンヌキ1は、作用効果については第一実施形態と同様である。
【0037】
そして、係合部11は、第一実施形態と同様に、枢動部61の一端部61aと係合可能である突起部11aを有し、カンヌキ1と連動して第二筐体5の内部に存在する空間Sで可動な部材である。本実施形態において、係合部11は、略直方体形状を有しており、一端側に略鈎状に突起した突起部11aを有し、カンヌキ1と連動ワイヤーW'を介して接続され、カンヌキ1と連動する。係合部11の突起部11aは、スライダー6が操作ワイヤーWによって第二付勢部材7の付勢力に抗って移動するときに、枢動部61の一端部61aと係合することで、係合部11とともにカンヌキ1が第一付勢部材3の付勢力に抗って第一付勢部材3を圧縮するように引っ張られ、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転してもスポークと当接することができるようになる。また、カンヌキ1の先端部1bが第一筐体2の開口部21から突出している施錠時など、突起部11aが枢動部61の一端部61aと係合していないとき、突起部11aを介して係合部11と連動するカンヌキ1は、スライダー6の移動とは独立している。
【0038】
そして、把持部12は、第二筐体5から突出するように係合部11に取り付けられ、係合部11及び連動ワイヤーW'を介してカンヌキ1と連動する部材である。本実施形態において、把持部12は、使用者がカンヌキ1を動かすために摘む略三角形状の部材である。図13に示すように、使用者は、解錠状態から把持部12を摘み、上方である施錠状態となる位置まで移動させることができる。なお、把持部12の形状は第一実施形態と同様に、略矩形状、略円形状、略楕円形状など使用者が摘みやすい形状とすることができる。
【0039】
第一筐体2は、自転車のフレームや荷台などに固設され、開口部21が設けられ、その内側にカンヌキ2と付勢部材3などを有している筐体であり、図12図17に示すように、本実施形態において、緩やかな傾斜有して張り出した略直方体の形状を有している。
【0040】
第一付勢部材3は、一端を第一筐体2の内部と当接可能に設けられ、他端をカンヌキ1の基端部1aと当接可能に設けられている弾性力を有する部材である。本実施形態において、第一付勢部材3は、カンヌキ1を挿通する螺旋状に巻かれた金属製の弾性バネであり、カンヌキ1が解錠状態から施錠状態に移動するに従ってその移動する方向とは反対向きに付勢力が働く。このため、施錠状態において、錠4と連動する係止片41が係合部11との係合が解除されると、圧縮されている第一付勢部材3の付勢力により、カンヌキ1が施錠状態から解錠状態になるように移動する。なお、第一付勢部材3は弾性バネに限定されるものではなく、弾性ゴムを使用することもできる。
【0041】
錠4は、第一実施形態と同様に、カンヌキ1が開口部21から突出した状態を維持可能とする係止片41を有し、鍵Kと連動する錠である。本実施形態において、錠4は、第二筐体5に収納されている内筒と外筒を備えた円柱状のシリンダー錠であり、鍵Kの枢動によりカンヌキ1の施錠状態及び解錠状態を制御する。錠4に対して適切な鍵Kを差し込むことにより、図示しない内部の内筒が回転させることができ、図18に示すように、錠4と連動する回転片42が回動し、回転片42から突設されている突起が係止片41の突起嵌合穴411と係合することができる。これにより、錠4の回転運動が係止片41の直線運動へと変換されて、係止片41の先端が第二筐体5の空間S側に突出することとなる。錠4は、第一実施形態と同様に、無線通信により係止片41の出退を制御することができる電子錠とすることができ、そのとき鍵Kは解錠又は施錠の制御信号を発する実体のあるものやその制御信号そのものとなる。
【0042】
係止片41は、一端が第二筐体5の内部でバネ43と当接し、錠4に挿した鍵Kの枢動と連動する略平板状の部材である。バネ43と当接している一端とは反対側の係止片41の先端が、第二筐体5の空間S側に突出する又は突出しないように動きが規制されている。すわなち、図18に示すように、この係止片41にバネ43以外による力が加わらなければ、バネ43の付勢力により、係止片41の先端が第二筐体5の空間S側に突出するよう押されている。そして、係止片41の突起嵌合穴411に、錠4と連動し回転片42の突起と係合することにより、バネ43の付勢力に抗って係止片41の先端を第二筐体5の空間S側から退避させることもできるようになる。これらの係止片41の動作により係合部11及び連動ワイヤーW'を介してカンヌキ1の施錠と解錠を制御することができる。
【0043】
第二筐体5は、第一筐体2に併設され、内部に空間Sを有する筐体であり、本実施形態において、錠4を収納するために張り出した略直方体形状を有している。本実施形態において、第二筐体5は、第一筐体2に一端側に立設しており、その内部の空間Sに係合部11、スライダー6、第二付勢部材7などを収納している。
【0044】
段差部51が、第一実施形態と同様に、第二筐体5の空間S側に設けられており、枢動部61の他端部61bと当接することができる。段差部51は、操作ワイヤーWが牽引されたときに、スライダー6から突出している枢動部61の他端部61bが当接すると、枢動部61をスライダー6の内部に収納させることで、枢動部61の一端部61aと係合部11の突起部11aとの係合が解除され、操作ワイヤーWとカンヌキ1が連動しなくなるようにする。段差部51は、本実施形態において、第一実施形態と同様に、枢動部61を徐々にスライダー6の内部へ収納するように、第二筐体5の内壁が緩やかに傾斜して隆起して設けられているが、第二筐体5の内壁と高低差を有し枢動部61を徐々にスライダー6の内部へ収納することができる限りにおいて種々の形状とすることができる。
【0045】
スライダー6は、本実施形態において、一端部61aにスタンドなどの自転車操作部Tと連動する操作ワイヤーWが設けられ、第二筐体5の空間Sで直線状に可動な部材である。スライダー6は、他端部61bに第二付勢部材7が設けられており、操作ワイヤーWによる牽引又は第二付勢部材7の付勢力に従って、移動することができる。スライダー6は、図12図17に示すように、略直方体状に形成され、第一実施形態と同様に、その内部に固定された固定軸63と、固定軸63を中心に枢動可能である枢動可能な枢動部61と、枢動部61の一端部61a及び他端部61bがスライダー6から突出するように付勢する弾性部材62を有している。
【0046】
そして、枢動部61は、第一実施形態と同様に、固定軸63によりスライダー6に枢支され、スライダー6に対して一端部61a及び他端部61bが出退可能に枢動することができる部材である。枢動部61の一端部61a及び他端部61bは、弾性部材62によって、スライダー6の側面から突出するように付勢されている。枢動部61の一端部61aが、スライダー6から突出していると、操作ワイヤーWが牽引されたときに、係合部11の突起部11aと係合することができ、上述のように、係合部11とともにカンヌキ1が第一付勢部材3の付勢力に抗って第一付勢部材3を圧縮するように引っ張られることで、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転してもスポークと当接することができるようになる。また、枢動部61の他端部61bが、スライダー6から突出している状態で、操作ワイヤーWが牽引されたときに、第二筐体5の段差部51に当接すると、枢動部61がスライダー6の内部に収納され、枢動部61の一端部61aと係合部11の突起部11aとの係合が解除され、操作ワイヤーWとカンヌキ1が連動しなくなる。
【0047】
第二付勢部材7は、スライダー6の他端部61bに設けられ、スライダー6の動きを規制する部材である。本実施形態において、第二付勢部材7は、第一実施形態と同様に、螺旋状に巻かれた金属製の弾性バネであり、スライダー6が第二付勢部材7から離れるように移動するとその移動する方向とは反対向きに付勢力が働く。なお、第二付勢部材7は弾性バネに限定されるものではなく、弾性ゴムを使用することもできる。
【0048】
操作ワイヤーWは、一端がスタンドなどの自転車操作部Tに取り付けられ、他端がスライダー6に取付けられている線状の部材である。操作ワイヤーWは、第一実施形態と同様に、スタンドだけではなく、自転車ハンドル近傍に取付けられた回動等の操作により牽引することができるレバーなどに一端を取り付けることができる。
【0049】
次に、本発明の自転車用錠装置に関する第二実施形態において、具体的な操作を説明する。
【0050】
まず、自転車を走行させられる状態から、駐輪させられる状態へとするときの操作について説明する。当初、図13に示すように、走行時の解錠状態であり、カンヌキ1と連動する係合部11は、カンヌキ1が第一付勢部材3に付勢されて第二筐体5内の下部である解錠位置にあり、操作ワイヤーWにはスタンドによる張力が働いていないためにスライダー6は第二付勢部材7に付勢されて第二筐体5内の下部である解錠位置にある。この状態からスタンドなどの自転車操作部Tを少し操作し始めると、操作ワイヤーWに働く張力によりスライダー6は第二付勢部材7に付勢力に抗って第二筐体5内の上部へ移動し始め、図14に示すように、スライダー6の枢動部61の一端が係合物11の突起部11aと当接する。
【0051】
そして、さらに自転車操作部Tを操作させると、図15に示すように、操作ワイヤーWに働く張力によりスライダー6は付勢力に抗ってさらに第二筐体5内の上部へ移動する。このとき、スライダー6は、枢動部61の一端と突起部11aが係合しながら移動するため、突起部11aを介して係合部11と連動するカンヌキ1も同様に移動し、カンヌキ1の先端部1bが第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転したときにスポークと当接することができるようになる。そして、このとき、錠4の係止片41がバネ43に付勢されているため空間S側へ突出して係合部11の下端に係合し、カンヌキ1は第一付勢部材3の付勢力によっても移動しなくなって施錠状態が維持され、錠4から鍵Kを取り外することができるようになる。さらに、自転車操作部Tの操作を終了するときに、カンヌキ1はそれ以上移動しないが、スライダー6は、図15から図16の状態へとさらに操作ワイヤーWにより移動させられる。このとき、スライダー6の枢動部61は、他端部61bが段差部51と当接してスライダー6の内部に収納されることで、一端部61aと突起部11aとの係合が解除される。そうすると、操作ワイヤーWとカンヌキ1が連動しなくなるので、図17図18に示すように、自転車を走行させられるように自転車操作部Tを操作してスライダー6が第二付勢部材7に引っ張られて、或いは操作ワイヤーWが切断されてスライダー6が第二付勢部材7に引っ張られたとしても、施錠状態は維持されたままであり、鍵Kによる解錠操作を行わなければカンヌキ1が開口部21に退入せず解錠することができない。なお、施錠するときには、自転車操作部Tを操作させるだけでなく、係合部11及び連動ワイヤーW'を介してカンヌキ1と連動する把持部12を、解錠位置から第一付勢部材3の付勢力に抗って第二筐体5の上部へ操作することで、係合部11がスライダー6と係合しスライダー6を移動させながら、カンヌキ1の先端部1bは第一筐体2の開口部21から突出し、車輪が回転してもスポークと当接することができるようになる。このように、本件の自転車用錠装置に関する第二実施形態によっても、スタンドなどの自転車操作部Tの操作に伴う操作ワイヤーWの牽引動作によって施錠するという簡便な施錠操作を有しながらも、スタンドが起立するなどして操作ワイヤーWが牽引されている状態であっても錠を解錠することができる。したがって、スタンドを起立状態から回動して横倒しの状態にする前に、解錠することができるので、スタンドを跳ね上げた勢いで自転車が前進して車輪のスポークがカンヌキ1と接触し破損するおそれもないし、スタンドが起立した状態で安定して錠の解錠操作を行うこともできる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・カンヌキ
11・・・係合部
11a・・・突起部
12・・・把持部
13・・・切欠部
1a・・・基端部
1b・・・先端部
2・・・第一筐体
2a・・・筐体孔
21・・・開口部
22・・・蓋体
22a・・・蓋孔
3・・・第一付勢部材
4・・・錠
41・・・係止片
411・・・突起嵌合穴
42・・・回転片
43・・・バネ
5・・・第二筐体
51・・・段差部
6・・・スライダー
61・・・枢動部
61a・・・一端部
61b・・・他端部
62・・・弾性部材
63・・・固定軸
7・・・第二付勢部材
S・・・空間
T・・・自転車操作部
K・・・鍵
W・・・操作ワイヤー
W'・・・連動ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18