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特許7507495核酸、当該核酸を含む組成物及び複合体ならびに調製方法と使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】核酸、当該核酸を含む組成物及び複合体ならびに調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/54 20170101AFI20240621BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 31/713 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
A61K47/54 ZNA
A61P3/06
A61K31/713
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021537877
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2019129016
(87)【国際公開番号】W WO2020135673
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】201811622633.0
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517452453
【氏名又は名称】スーチョウ リボ ライフ サイエンス カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU RIBO LIFE SCIENCE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ホンイェン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、シャン
(72)【発明者】
【氏名】カン、タイウー
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526874(JP,A)
【文献】特表2017-522046(JP,A)
【文献】特表2014-508102(JP,A)
【文献】国際公開第2010/083615(WO,A1)
【文献】特表2017-535552(JP,A)
【文献】NATURE MATERIALS,2013年,Vol.12,pp.967-977
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 47/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(308)に示される構造を有するsiRNA複合体:
【化1】
(式中、n1は、1~から選択される整数であり、n3は、0~から選択される整数であり、n1+n3=2~3であり、m1、m2及びm3は独立して、2~10から選択される整数であり、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、H、メチル基又はエチル基であり
は式A59に示される構造の基であり、
【化2】
式中、EはOH、SH又はBHであり、
NuはsiRNAであり、前記siRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記siRNAのうちの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、i)~v)から選択される1組の配列であり、
i)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZa1に対応するヌクレオチドZa3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZa2に対応するヌクレオチドZa4が含まれ、前記Za4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZa1-3’(配列番号1)、
5’-Za2GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(配列番号2);又は、
ii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号13に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZb1に対応するヌクレオチドZb3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZb2に対応するヌクレオチドZb4が含まれ、前記Zb4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである、
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZb1-3’(配列番号13)、
5’-Zb2GAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号14);又は、
iii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号25に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZc1に対応するヌクレオチドZc3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZc2に対応するヌクレオチドZc4が含まれ、前記Zc4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである、
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZc1-3’(配列番号25)、
5’-Zc2AGGAGAGCACUGAGAAUA-3’(配列番号26);又は、
iv)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号37に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZd1に対応するヌクレオチドZd3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZd2に対応するヌクレオチドZd4が含まれ、前記Zd4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである、
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZd1-3’(配列番号37)、
5’-Zd2GAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号38);又は、
v)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号49に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZe1に対応するヌクレオチドZe3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZe2に対応するヌクレオチドZe4が含まれ、前記Ze4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZe1-3’(配列番号49)、
5’-Ze2GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号50);
は、長さ1~20の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、そのうちの1又は複数の炭素原子が、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)、C-C10アルケニレン基、C-C10アルキニレン基、C-C10アリーレン基、C-C18ヘテロシクリレン基及びC-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、Rは、C-C10アルキル基、C-C10アリール基、C-C10ヘテロアリール基、C-C10ハロゲン化アルキル基、-OC-C10アルキル基、-OC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-OH、-OC-C10ハロゲン化アルキル基、-SC-C10アルキル基、-SC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-SH、-SC-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH、-C-C10アルキル-NH、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキルフェニル基)、-NH(C-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-COH、-C(O)O(C-C10アルキル基)、-CON(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-CONH(C-C10アルキル基)、-CONH、-NHC(O)(C-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C-C10アルキル基、-C(O)C-C10アルキルフェニル基、-C(O)C-C10ハロアルキル基、-OC(O)C-C10アルキル基、-SO(C-C10アルキル基)、-SO(フェニル基)、-SO(C-C10ハロゲン化アルキル基)、-SONH、-SONH(C-C10アルキル基)、-SONH(フェニル基)、-NHSO(C-C10アルキル基)、-NHSO(フェニル基)及び-NHSO(C-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
が式(B5)、(B6)、(B5’)又は(B6’)に示される基から選択され、
【化3】
は、基が共有結合で結合されている部位を表し、q が1~10の整数であり、
各Lは、長さ1~70の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、そのうちの1又は複数の炭素原子が、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)、C-C10アルケニレン基、C-C10アルキニレン基、C-C10アリーレン基、C-C18ヘテロシクリレン基及びC-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、Lは、C-C10アルキル基、C-C10アリール基、C-C10ヘテロアリール基、C-C10ハロゲン化アルキル基、-OC-C10アルキル基、-OC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-OH、-OC-C10ハロゲン化アルキル基、-SC-C10アルキル基、-SC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-SH、-SC-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH、-C-C10アルキル-NH、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキルフェニル基)、-NH(C-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-COH、-C(O)O(C-C10アルキル基)、-CON(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-CONH(C-C10アルキル基)、-CONH、-NHC(O)(C-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C-C10アルキル基、-C(O)C-C10アルキルフェニル基、-C(O)C-C10ハロアルキル基、-OC(O)C-C10アルキル基、-SO(C-C10アルキル基)、-SO(フェニル基)、-SO(C-C10ハロゲン化アルキル基)、-SONH、-SONH(C-C10アルキル基)、-SONH(フェニル基)、-NHSO(C-C10アルキル基)、-NHSO(フェニル基)及び-NHSO(C-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
は、基が分子の残りの部分に結合される部位を表し、
は標的基を表し、
各L が、独立して、A1、A4、A8、A10及びそれらの任意の結合の組み合わせからなる群より選ばれ、
【化4】
各j1は、独立して1~20の整数であり、
は基が分子の残りの部分に結合される部位を表し、
の長さが3~25個の原子であり、
各M は、独立して、D-ガラクトース、L-ガラクトース、ガラクトサミン及びN-アセチルガラクトサミンからなる群より選ばれる)
【請求項2】
の長さが4~15個の原子である、請求項1に記載のsiRNA複合体
【請求項3】
j1は2~10の整数、又はj1は3~5の整数であ、請求項2に記載のsiRNA複合体。
【請求項4】
1、m2及びm3がそれぞれ独立して2~5の整数であり、及び/又はm1=m2=m3である、請求項1~3のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項5】
記標的基の少なくとも1つ又は各々がガラクトース又はN-アセチルガラクトサミンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のsiRNA複合体。
【請求項6】
10、R11、R12、R13、R14及びR15Hである、請求項1~5のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項7】
式(403)、(404)、(405)、(406)、(407)、(408)、(409)、(410)、(411)、(412)、(413)、(414)、(415)、(416)、(417)、(418)、(419)、(420)、(421)又は(422)
【化5】
に示される構造を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項8】
式A59におけるPが、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の端部に結合されており、前記端部とは、前記センス鎖又はアンチセンス鎖においてその一端から前の4個のヌクレオチドを指す、
或いは、式A59におけるPが前記siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の末端に結合され、或いは、式A59におけるPが前記siRNAのセンス鎖の3’末端に結合され
或いは、式A59におけるPが、リン酸ジエステル結合を形成することにより前記siRNAにおけるヌクレオチドの2’位、3’位又は5’位に結合される、請求項1~7のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項9】
i)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、或いは、
ii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号13に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、或いは、
iii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号25に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、或いは、
iv)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号37に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、或いは、
v)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号49に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下である、請求項1に記載のsiRNA複合体。
【請求項10】
I)前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異が、Za4の位置での差異を含み、Za4がA、C又はGから選択される;或いは、
II)前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異が、Zb4の位置での差異を含み、Zb4がA、C又はGから選択される;或いは、
III)前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異が、Zc4の位置での差異を含み、Zc4がA、C又はGから選択される;或いは、
IV)前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異が、Zd4の位置での差異を含み、Zd4がA、C又はGから選択される;或いは、
V)前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異が、Ze4の位置での差異を含み、Ze4がA、C又はGから選択される、請求項1又は9に記載のsiRNA複合体。
【請求項11】
a3がZa4と相補的なヌクレオチドである、或いは、
b3がZb4と相補的なヌクレオチドである、或いは、
c3がZc4と相補的なヌクレオチドである、或いは、
d3がZd4と相補的なヌクレオチドである、或いは、
e3がZe4と相補的なヌクレオチドである、請求項10に記載のsiRNA複合体。
【請求項12】
前記センス鎖がヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖がヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVの長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIがヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、ヌクレオチド配列IVがヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが等しく、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間にミスマッチがないことを指
i)前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号3に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号4に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がCであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGCであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUGCであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUGCであり、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ a3 -3’(配列番号3)、
5’-Z a4 GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(配列番号4);或いは、
ii)前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号15に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号16に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGGGであり、
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZ b3 -3’(配列番号15)、
5’-Z b4 GAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号16);或いは、
iii)前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号27に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号28に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCAGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がACAGであり;
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZ c3 -3’(配列番号27);
5’-Z c4 AGGAGAGCACUGAGAAUA-3’(配列番号28),
或いは、
iv)前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号39に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号40に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がCであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がACであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGACであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGACであり;
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZ d3 -3’(配列番号39)、
5’-Z d4 GAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号40);或いは、
v)前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号51に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号52に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基がGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAAGであり、又は、前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAAAGである;
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZ e3 -3’(配列番号51)、
5’-Z e4 GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号52);
請求項に記載のsiRNA複合体。
【請求項13】
前記ヌクレオチド配列IIIとIVは、完全に逆相補的である請求項12に記載のsiRNA複合体。
【請求項14】
前記アンチセンス鎖がヌクレオチド配列Vをさらに含み、ヌクレオチド配列Vは、長さが1~3ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の3’末端に結合され、アンチセンス鎖の3’オーバーハング末端を構成し、或いは、前記ヌクレオチド配列Vは、長さが2ヌクレオチドであり、或いは、前記ヌクレオチド配列Vは、連続した2個のチミンデオキシリボヌクレオチド又は連続した2個のウラシルリボヌクレオチドであり、或いは、前記ヌクレオチド配列Vは、標的mRNAの対応する位置のヌクレオチドと相補的である、請求項9~13のいずれか一項に記載のsiRNA複合体。
【請求項15】
前記siRNAのセンス鎖が配列番号5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が配列番号6に示されるヌクレオチド配列を含む:
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZa3-3’(配列番号5)、
5’-Za4GAAUACUGUCCCUUUUAAGC-3’(配列番号6);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が配列番号8に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCZa3-3’(配列番号7)、
5’-Za4GAAUACUGUCCCUUUUAAGCAA-3’(配列番号8);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号17に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が配列番号18に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZb3-3’(配列番号17)、
5’-Zb4GAGCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号18);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号19に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が配列番号20に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCUCZb3-3’(配列番号19)、
5’-Zb4GAGCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(配列番号20);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号29に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号30に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZc3-3’(配列番号29)、
5’-Zc4AGGAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号30);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号31に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号32に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCCUZc3-3’(配列番号31)、
5’-Zc4AGGAGAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号32);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号41に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が配列番号42に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZd3-3’(配列番号41)、
5’-Zd4GAGAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号42);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号43に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が配列番号44に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCUCZd3-3’(配列番号43)、
5’-Zd4GAGAGCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号44);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号53に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号54に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZe3-3’(配列番号53)、
5’-Ze4GCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(配列番号54);或いは、
前記siRNAのセンス鎖が配列番号55に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖が配列番号56に示されるヌクレオチド配列を含む、
5’-AGGGACAGUAUUCUCAGUGCZe3-3’(配列番号55)
5’-Ze4GCACUGAGAAUACUGUCCCUUU-3’(配列番号56)、請求項9~14のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項16】
前記siRNAが、siAPa1、siAPa2、siAPb1、siAPb2、siAPc1、siAPc2、siAPd1、siAPd2、siAPe1又はsiAPe2である、請求項9~15のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項17】
前記センス鎖又は前記アンチセンス鎖の少なくとも1つのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、及び/又は少なくとも1つのリン酸エステル基が、修飾基を有するリン酸エステル基である、請求項9~16のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項18】
前記センス鎖と前記アンチセンス鎖における各ヌクレオチドが、独立してフルオロ修飾ヌクレオチド又は非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、前記フルオロ修飾ヌクレオチドがヌクレオチド配列Iとヌクレオチド配列IIに位置し、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、5’末端から3’末端に向かって、前記センス鎖において、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位又は5、7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記センス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記アンチセンス鎖において、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位又は第2、6、8、9、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドである、請求項17に記載のsiRNA複合体
【請求項19】
各非フルオロ修飾ヌクレオチドが、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログから独立して選択される1つであり;或いは、
ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチドが、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-置換アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-置換アルキル修飾ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-置換アミノ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチドから選択される1つであり、ヌクレオチドアナログがイソヌクレオチド、LNA、ENA、cET、UNA及びGNAから選択される1つであり;或いは、
各非フルオロ修飾ヌクレオチドがいずれもメトキシ修飾ヌクレオチドであり、前記メトキシ修飾ヌクレオチドが、リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチドを指す、請求項17又は18に記載のsiRNA複合体。
【請求項20】
5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、8、9、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり;或いは、
5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり;或いは、
5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドである、請求項1719のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項21】
前記siRNAが、siAPa1-M1、siAPa2-M1、siAPa1-M2、siAPa2-M2、siAPa1-M3、siAPa2-M3、siAPb1-M1、siAPb2-M1、siAPb1-M2、siAPb2-M2、siAPb1-M3、siAPb2-M3、siAPc1-M1、siAPc2-M1、siAPc1-M2、siAPc2-M2、siAPc1-M3、siAPc2-M3、siAPd1-M1、siAPd2-M1、siAPd1-M2、siAPd2-M2、siAPd1-M3、siAPd2-M3、siAPe1-M1、siAPe2-M1、siAPe1-M2、siAPe2-M2、siAPe1-M3及びsiAPe2-M3のいずれか1つである、請求項9~20のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項22】
前記修飾基を有するリン酸エステル基が、リン酸エステル基におけるリン酸ジエステル結合の少なくとも1つの酸素原子が硫黄原子で置換されたチオリン酸エステル基であり、或いは、前記修飾基を有するリン酸エステル基が、式(1)に示される構造を有するチオリン酸エステル基である、
【化6】
請求項9~21のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項23】
前記siRNAにおいて、チオリン酸エステル基が、
前記センス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、及び
前記アンチセンス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間からなる群より選ばれる少なくとも1つに結合されて存在する、請求項22に記載のsiRNA複合体。
【請求項24】
前記siRNAが、siAPa1-M1S、siAPa2-M1S、siAPa1-M2S、siAPa2-M2S、siAPa1-M3S、siAPa2-M3S、siAPb1-M1S、siAPb2-M1S、siAPb1-M2S、siAPb2-M2S、siAPb1-M3S、siAPb2-M3S、siAPc1-M1S、siAPc2-M1S、siAPc1-M2S、siAPc2-M2S、siAPc1-M3S、siAPc2-M3S、siAPd1-M1S、siAPd2-M1S、siAPd1-M2S、siAPd2-M2S、siAPd1-M3S、siAPd2-M3S、siAPe1-M1S、siAPe2-M1S、siAPe1-M2S、siAPe2-M2S、siAPe1-M3S及びsiAPe2-M3Sのいずれか1つである、請求項9~23のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項25】
前記siRNAのアンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、前記5’-リン酸ヌクレオチドが、式(2)に示される構造を有するヌクレオチドであり、前記5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドが、式(3)~式(6)のいずれか1つに示される構造のヌクレオチドから選択され、
【化7】
ただし、RはH、OH、メトキシ基又はフッ素から選択され、Baseは塩基を表し、A、U、C、G又はTから選択される、請求項9~24のいずれか一項に記載のsiRNA複合体。
【請求項26】
前記siRNAが、siAPa1-M1P1、siAPa2-M1P1、siAPa1-M2P1、siAPa2-M2P1、siAPa1-M3P1、siAPa2-M3P1、siAPa1-M1SP1、siAPa2-M1SP1、siAPa1-M2SP1、siAPa2-M2SP1、siAPa1-M3SP1、siAPa2-M3SP1、siAPa1U-M1P1、siAPa2U-M1P1、siAPa1U-M2P1、siAPa2U-M2P1、siAPa1U-M3P1、siAPa2U-M3P1、siAPa1U-M1SP1、siAPa2U-M1SP1、siAPa1U-M2SP1、siAPa2U-M2SP1、siAPa1U-M3SP1、siAPa2U-M3SP1、siAPb1-M1P1、siAPb2-M1P1、siAPb1-M2P1、siAPb2-M2P1、siAPb1-M3P1、siAPb2-M3P1、siAPb1-M1SP1、siAPb2-M1SP1、siAPb1-M2SP1、siAPb2-M2SP1、siAPb1-M3SP1、siAPb2-M3SP1、siAPb1U-M1P1、siAPb2U-M1P1、siAPb1U-M2P1、siAPb2U-M2P1、siAPb1U-M3P1、siAPb2U-M3P1、siAPb1U-M1SP1、siAPb2U-M1SP1、siAPb1U-M2SP1、siAPb2U-M2SP1、siAPb1U-M3SP1、siAPb2U-M3SP1、siAPc1-M1P1、siAPc2-M1P1、siAPc1-M2P1、siAPc2-M2P1、siAPc1-M3P1、siAPc2-M3P1、siAPc1-M1SP1、siAPc2-M1SP1、siAPc1-M2SP1、siAPc2-M2SP1、siAPc1-M3SP1、siAPc2-M3SP1、siAPd1-M1P1、siAPd2-M1P1、siAPd1-M2P1、siAPd2-M2P1、siAPd1-M3P1、siAPd2-M3P1、siAPd1-M1SP1、siAPd2-M1SP1、siAPd1-M2SP1、siAPd2-M2SP1、siAPd1-M3SP1、siAPd2-M3SP1、siAPd1U-M1P1、siAPd2U-M1P1、siAPd1U-M2P1、siAPd2U-M2P1、siAPd1U-M3P1、siAPd2U-M3P1、siAPd1U-M1SP1、siAPd2U-M1SP1、siAPd1U-M2SP1、siAPd2U-M2SP1、siAPd1U-M3SP1、siAPd2U-M3SP1、siAPe1-M1P1、siAPe2-M1P1、siAPe1-M2P1、siAPe2-M2P1、siAPe1-M3P1、siAPe2-M3P1、siAPe1-M1SP1、siAPe2-M1SP1、siAPe1-M2SP1、siAPe2-M2SP1、siAPe1-M3SP1、siAPe2-M3SP1、siAPe1U-M1P1、siAPe2U-M1P1、siAPe1U-M2P1、siAPe2U-M2P1、siAPe1U-M3P1、siAPe2U-M3P1、siAPe1U-M1SP1、siAPe2U-M1SP1、siAPe1U-M2SP1、siAPe2U-M2SP1、siAPe1U-M3SP1及びsiAPe2U-M3SP1のいずれか1つである、請求項9~25のいずれか1項に記載のsiRNA複合体。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載のsiRNA複合体を含有する、脂質異常の治療及び/又は予防のための組成物。
【請求項28】
前記脂質異常が、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症又はアテローム性動脈硬化である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
請求項1~26のいずれか1項に記載のsiRNA複合体を含有する、肝細胞におけるAPOC3遺伝子の発現を抑制するための、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アポリポタンパク質C3(APOC3)遺伝子発現を抑制できる核酸、当該核酸を含む組成物と複合体に関する。本開示は、さらに、これらの核酸、組成物及び複合体の調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質(血中脂質)異常は、高脂血症とも呼ばれ、脂肪代謝又は作動の異常により、血漿脂質が正常値より高くなる全身性疾患であり、全世界の患者の健康に深刻な脅威を与えている。従来の脂質異常治療薬としては、主にスタチン系、コレステロール吸収阻害剤、樹脂系、プロブコール、フィブラート系及びニコチン酸並びにその誘導体がある。
【0003】
アポリポタンパク質C3は、脂質代謝に重要な役割を果たし、APOC3変異遺伝子を保有する人は、血液循環中のAPOC3の発現量が46%低下し、血漿中のトリグリセリドレベルが一般の人と比較して39%低下する。また、低い脂質レベルにより、APOC3変異遺伝子保有者の心臓病のリスクを非保有者と比較して35.1%低下させることができる。したがって、遺伝子レベルで遺伝子発現をサイレンシングさせ、APOC3の生成を遮断することができれば、疑いなく最も理想的な治療手段となるであろう。また、低分子干渉RNA(small interfering RNA、siRNA)は、RNA干渉(RNA interference、RNAi)というメカニズムに基づき、興味あるいずれかの目的とする遺伝子の発現を配列特異的に抑制又は遮断し、疾患を治療する目的を達成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低分子RNA薬物の開発において、適切なsiRNAの配列及び修飾並びにその送達系は、2つのキー技術である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、本開示は、式(308)に示される構造を有するsiRNA複合体を提供する。
【0006】
【化1】
式中、n1は、1~3から選択される整数であり、n3は、0~4から選択される整数であり、m1、m2及びm3は独立して、2~10から選択される整数であり、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、Hであり、又はC-C10アルキル基、C-C10ハロゲン化アルキル基及びC-C10アルコキシ基からなる群から選択され、
は式A59に示される構造の基である。
【0007】
【化2】
式中、EはOH、SH又はBHであり、
NuはsiRNAであり、前記siRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記siRNAのうちの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、i)~v)から選択される1組であり、
i)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZa1-3’(配列番号1)、
5’-Za2GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(配列番号2)
ただし、Za1はAであり、Za2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZa1に対応するヌクレオチドZa3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZa2に対応するヌクレオチドZa4が含まれ、前記Za4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
ii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号13に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZb1-3’(配列番号13)、
5’-Zb2GAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号14)
ただし、Zb1はAであり、Zb2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZb1に対応するヌクレオチドZb3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZb2に対応するヌクレオチドZb4が含まれ、前記Zb4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
iii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号25に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZc1-3’(配列番号25)、
5’-Zc2AGGAGAGCACUGAGAAUA-3’(配列番号26)
ただし、Zc1はAであり、Zc2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZc1に対応するヌクレオチドZc3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZc2に対応するヌクレオチドZc4が含まれ、前記Zc4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
iv)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号37に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZd1-3’(配列番号37)、
5’-Zd2GAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号38)
ただし、Zd1はAであり、Zd2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZd1に対応するヌクレオチドZd3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZd2に対応するヌクレオチドZd4が含まれ、前記Zd4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
v)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号49に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZe1-3’(配列番号49)、
5’-Ze2GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号50)
ただし、Ze1はAであり、Ze2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZe1に対応するヌクレオチドZe3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZe2に対応するヌクレオチドZe4が含まれ、前記Ze4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0008】
は、長さ1~20の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、そのうちの1又は複数の炭素原子が、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)、C-C10アルケニレン基、C-C10アルキニレン基、C-C10アリーレン基、C-C18ヘテロシクリレン基及びC-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、Rは、C-C10アルキル基、C-C10アリール基、C-C10ヘテロアリール基、C-C10ハロゲン化アルキル基、-OC-C10アルキル基、-OC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-OH、-OC-C10ハロゲン化アルキル基、-SC-C10アルキル基、-SC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-SH、-SC-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH、-C-C10アルキル-NH、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキルフェニル基)、-NH(C-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-COH、-C(O)O(C-C10アルキル基)、-CON(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-CONH(C-C10アルキル基)、-CONH、-NHC(O)(C-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C-C10アルキル基、-C(O)C-C10アルキルフェニル基、-C(O)C-C10ハロアルキル基、-OC(O)C-C10アルキル基、-SO(C-C10アルキル基)、-SO(フェニル基)、-SO(C-C10ハロゲン化アルキル基)、-SONH、-SONH(C-C10アルキル基)、-SONH(フェニル基)、-NHSO(C-C10アルキル基)、-NHSO(フェニル基)及び-NHSO(C-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
各Lは、長さ1~70の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、そのうちの1又は複数の炭素原子が、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)、C-C10アルケニレン基、C-C10アルキニレン基、C-C10アリーレン基、C-C18ヘテロシクリレン基及びC-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、Lは、C-C10アルキル基、C-C10アリール基、C-C10ヘテロアリール基、C-C10ハロゲン化アルキル基、-OC-C10アルキル基、-OC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-OH、-OC-C10ハロゲン化アルキル基、-SC-C10アルキル基、-SC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-SH、-SC-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH、-C-C10アルキル-NH、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキルフェニル基)、-NH(C-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-COH、-C(O)O(C-C10アルキル基)、-CON(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-CONH(C-C10アルキル基)、-CONH、-NHC(O)(C-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C-C10アルキル基、-C(O)C-C10アルキルフェニル基、-C(O)C-C10ハロアルキル基、-OC(O)C-C10アルキル基、-SO(C-C10アルキル基)、-SO(フェニル基)、-SO(C-C10ハロゲン化アルキル基)、-SONH、-SONH(C-C10アルキル基)、-SONH(フェニル基)、-NHSO(C-C10アルキル基)、-NHSO(フェニル基)及び-NHSO(C-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
は、基が分子の残りの部分に結合される部位を表し、
は標的基を表す。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、アポリポタンパク質C3遺伝子発現を抑制できるsiRNAを提供する。前記siRNAは、センス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖と前記アンチセンス鎖における各ヌクレオチドは、独立してフルオロ修飾ヌクレオチド又は非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチド配列Iとヌクレオチド配列IIに位置し、5’末端から3’末端に向かって、前記センス鎖において、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記センス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記アンチセンス鎖において、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、i)~v)から選択される1組であり、
i)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZa1-3’(配列番号1)、
5’-Za2GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(配列番号2)
ただし、Za1はAであり、Za2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZa1に対応するヌクレオチドZa3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZa2に対応するヌクレオチドZa4が含まれ、前記Za4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
ii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号13に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZb1-3’(配列番号13)、
5’-Zb2GAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号14)
ただし、Zb1はAであり、Zb2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZb1に対応するヌクレオチドZb3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZb2に対応するヌクレオチドZb4が含まれ、前記Zb4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
iii)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号25に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZc1-3’(配列番号25)、
5’-Zc2AGGAGAGCACUGAGAAUA-3’(配列番号26)
ただし、Zc1はAであり、Zc2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZc1に対応するヌクレオチドZc3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZc2に対応するヌクレオチドZc4が含まれ、前記Zc4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
iv)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号37に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZd1-3’(配列番号37)、
5’-Zd2GAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号38)
ただし、Zd1はAであり、Zd2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZd1に対応するヌクレオチドZd3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZd2に対応するヌクレオチドZd4が含まれ、前記Zd4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、或いは、
v)前記ヌクレオチド配列Iと配列番号49に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZe1-3’(配列番号49)、
5’-Ze2GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号50)
ただし、Ze1はAであり、Ze2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZe1に対応するヌクレオチドZe3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZe2に対応するヌクレオチドZe4が含まれ、前記Ze4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0010】
いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログから独立して選択される1つである。
【0011】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチドは、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-置換アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-置換アルキル修飾ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-置換アミノ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチドから選択される1つであり、ヌクレオチドアナログは、イソヌクレオチド、LNA、ENA、cET、UNA及びGNAから選択される1つである。
【0012】
いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、いずれもメトキシ修飾ヌクレオチドである。
【0013】
いくつかの実施形態において、本開示は、上記本開示のsiRNA及び薬学的に許容可能な担体を含む薬物組成物を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の、前記アポリポタンパク質C3遺伝子の異常発現による脂質異常の治療及び/又は予防のための薬物の調製への使用を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量を脂質異常に罹患している被験体に投与することを含む、脂質異常の治療及び/又は予防方法を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量を肝細胞と接触させることを含む、前記肝細胞におけるアポリポタンパク質C3遺伝子の発現の抑制方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を含むキットを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本開示により提供されるsiRNA、当該siRNAを含む組成物及びsiRNA複合体は、良好な安定性、高い遺伝子抑制活性を有し、及び/又は脂質レベルを顕著に低下させることができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA複合体は、優れたAPOC3 mRNA抑制特性を示し、1mg/kgの用量で、高脂血症モデルマウスの肝臓における少なくとも82.0%のAPOC3 mRNAの発現を抑制した。
【0020】
実験において、従来技術で提供される複合分子によって形成された複合体と比較して、本開示により提供されるsiRNA複合体が優れた脂質低下能力を示し、かつ、本開示により提供されるsiRNA複合体は、低投与量、少ない投与頻度で、189日間に及ぶ実験期間中、優れた脂質抑制作用を持続的に示すことができることが明らかになった。
【0021】
例えば、複合体2、4及び5については、77日間以内、3つの複合体を3mg/kgで単回投与したところ、TGに対する抑制率は77日間と長期間にわたって70~90%に維持され、CHOに対する抑制率も、同様に77日間、常に基本的に50%に維持され、かつTGに対する抑制率が約50%以上に維持された期間は147日間に上った。投与量を1mg/kgにしたところ、単回投与後7日目に、3つの複合体によるTGに対する抑制率はいずれも約80%に達し、かつ49日間と長期間にわたって50%以上のTG含有量の低減効果が持続的に示され、また、単回投与35日後に、1mg/kg用量群の3つの複合体は、依然として少なくとも約50%のCHO含有量の低減効果を示した。複合体1については、3mg/kg用量群又は1mg/kg用量群のいずれも、112日間と長期間にわたりトランスジェニックマウスのTG及びCHOレベルを顕著に低下させることができ、かつ該低減効果は、比較複合体2より明らかに優れていた。薬剤の単回投与56日間、3mg/kg用量群又は1mg/kg用量群のいずれも、複合体1によるTG及びCHOに対する抑制率はいずれも50%以上であり、かつTGに対する抑制作用がより顕著であった。112日間と長期間にわたり、2つの用量作用でのTGレベルは常に50%程度に維持された。
【0022】
また、例えば、複合体3は、98日間と長期間にわたり、トランスジェニックマウスのTG及びCHOレベルを顕著に低下させることができる。複合体3を3mg/kgで単回投与後14日目に、TGに対する抑制率は93.6%に達し、単回投与後7日目に、CHOに対する抑制率は63.0%に達した。複合体4、6、7は、2つの用量でヒトAPOC3トランスジェニックマウスに対していずれも顕著な脂質低下作用を有し、3mg/kg用量群では、薬剤投与後84日間、TGに対する抑制率が常に50%以上に維持され、CHOに対する抑制率が30%以上に維持された。3mg/kg及び1mg/kgでは、複合体4、6及び7によるTGに対する抑制作用は常に比較複合体2より強く、CHOに対する抑制も同様の傾向があることに注意すべきである。
【0023】
複合体8及び9について、異なる時点でTG抑制のED50値をテストした。ヒトAPOC3トランスジェニックマウスに対して、複合体8を0.16mg/kg又は複合体9を0.11mg/kgで単回皮下注射するだけで、投与後半月の時点でも半分の血清TG含有量の低減が可能であるという治療効果を達成でき、本開示の複合体を1mg/kg未満で単回皮下注射するだけで、投与後1ヶ月の時点でも半分の血清TG含有量の低減が可能であるという効果を達成できることを、予期し得る。
【0024】
このように、本開示により提供されるsiRNA、薬物組成物及びsiRNA複合体は、アポリポタンパク質C3遺伝子の発現を抑制し、アポリポタンパク質C3遺伝子過剰発現による脂質異常を効果的に治療及び/又は予防することができ、応用において明るい見通しを有している。
【0025】
本開示の他の特徴と利点については、後述する発明を実施するための形態部分において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の実施例及び従来技術の技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下に、実施例と従来技術に用いられる図面を簡単に説明する。以下に説明される図面は、単に本発明のいくつかの実施例に過ぎないことが明らかである。
【0027】
図1】トランスフェクションされていないHuh7細胞と、Huh7細胞において異なる複合体を異なる最終濃度までトランスフェクションしたときのAPOC3 mRNA発現量のヒストグラムである。
図2A-7D】生理食塩水と異なる用量の各複合体を投与したヒトAPOC3トランスジェニックマウスにおける血清総コレステロール(CHO)レベル及びトリグリセリド(TG)レベルの経時的変化図である。
図8】生理食塩水および異なる用量の複合体4を投与したヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内の肝臓組織におけるAPOC3 mRNA発現量の散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本開示の発明を実施するための形態を詳しく説明する。また、ここで説明される発明を実施するための形態は、本開示を説明又は解釈するためのものに過ぎず、本開示を制限するためのものではないと理解すべきである。
【0029】
本開示において、APOC3 mRNA配列とは、Genbank登録番号NM_000040.1に示される配列を指す。さらに、特に説明がない限り、本開示において用いられる用語「標的遺伝子」とは、上記APOC3 mRNAを発現する遺伝子を指し、用語「標的mRNA」とは、上記APOC3 mRNAを指す。
【0030】
[定義]
文脈において、特に説明がない限り、大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基配列を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1つのヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1つのヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右に隣接する2つのヌクレオチド間がチオリン酸エステル基により結合されていることを表し、P1は、当該P1の右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであることを表す。いくつかの実施形態において、P1は、特定の修飾がVP、Ps又はPであることを表し、組合せ文字VPは、当該組合せ文字VPの右側に隣接する1つのヌクレオチドがビニルリン酸エステル(5’-(E)-vinylphosphonate、E-VP)修飾ヌクレオチドであることを表し、組合せ文字Psは、当該組合せ文字Psの右側に隣接する1つのヌクレオチドがチオリン酸エステル修飾ヌクレオチドであることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。
【0031】
文脈において、前記「フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基がフッ素で置換されたヌクレオチドを指し、「非フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを指す。「ヌクレオチドアナログ」とは、核酸においてヌクレオチドの代わりとなることができるが、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド又はチミンデオキシリボヌクレオチドと構造が異なる基を指し、例えば、イソヌクレオチド、架橋ヌクレオチド(bridged nucleic acid、BNAと略称される)又は非環式ヌクレオチドがある。前記「メトキシ修飾ヌクレオチド」とは、リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチドを指す。
【0032】
本明細書の文脈において、「相補」又は「逆相補」という用語は、互換的に使用されてもよく、当業者に周知の意味、即ち、二本鎖核酸分子において、一方の鎖の塩基と他方の鎖上の塩基とが相補的に対合するという意味を有する。DNAにおいて、プリン塩基であるアデニン(A)は、常にピリミジン塩基であるチミン(T)(又は、RNAにおいてウラシル(U)である)と対合し、プリン塩基であるグアニン(C)は、常にピリミジン塩基であるシトシン(G)と対合する。各塩基対は、いずれも1つのプリンと1つのピリミジンを含む。一方の鎖上のアデニンが常に他方の鎖上のチミン(又はウラシル)と対合するとともに、グアニンが常にシトシンと対合する場合、両方の鎖同士が相補的である、またその相補鎖の配列から当該鎖の配列を推定できると考えられる。これに応じて、「ミスマッチ」は、本分野では、二本鎖核酸において、対応する位置での塩基が相補的に対合して存在しないことを意味する。
【0033】
文脈において、特に説明がない限り、「基本的に逆相補的」とは、関連する2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、「実質的に逆相補的」とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、「完全に逆相補的」とは、2つのヌクレオチド配列間に塩基ミスマッチが存在しないことを指す。
【0034】
文脈において、一方のヌクレオチド配列と他方のヌクレオチド配列に「ヌクレオチド差異」が存在するとは、前者が後者に比べて、同じ位置のヌクレオチドの塩基種類が変化したことを指し、例えば、後者において1つのヌクレオチド塩基がAであるとき、前者の同じ位置での、対応するヌクレオチド塩基がU、C、G又はTである場合に、当該位置で2つのヌクレオチド配列間にヌクレオチド差異が存在すると認められている。いくつかの実施形態において、元の位置のヌクレオチドの代わりに無塩基ヌクレオチド又はその等価物を用いる場合、当該位置でヌクレオチド差異が生じたとも考えられる。
【0035】
文脈において、特に本開示のsiRNA、siRNAを含む組成物又はsiRNA複合体の調製方法を説明する際に、特に説明がない限り、前記ヌクレオシドモノマー(nucleoside monomer)とは、調製するsiRNA又はsiRNA複合体におけるヌクレオチドの種類と順序に応じてホスホルアミダイト固相合成に用いられる修飾又は未修飾のヌクレオシドホスホルアミダイトモノマー(unmodified or modified RNA phosphoramidites。RNA phosphoramiditesをNucleoside phosphoramiditesということもある)を指す。ホスホルアミダイト固相合成は、当業者に公知のRNA合成に用いられる方法である。本開示に用いられるヌクレオシドモノマーは、いずれも市販品として購入可能である。
【0036】
本開示の文脈において、特に説明がない限り、「複合」とは、それぞれ特定の機能を有する2つ以上の化学部分間が共有結合的に互いに結合することを指し、これに応じて、「複合体」とは、当該各化学部分間が共有結合的に結合することにより形成された化合物を指す。さらには、「siRNA複合体」は、特定の機能を有する1又は複数の化学部分がsiRNAに共有結合的に結合して形成された化合物を表す。以下の文章では、本開示のsiRNA複合体を単に「複合体」ともいうことがある。siRNA複合体は、文脈により、siRNA複合体の総称、複数の具体的な特定の化学分子のsiRNA複合体の総称、又は複数の具体的な特定の化学分子のsiRNA複合体のそれぞれであると理解される。本開示の文脈において、「複合分子」は、反応させることによりsiRNAに複合され、最終的に本開示のsiRNA複合体を形成することができる1群の化合物又は特定の化合物であると理解すべきである。
【0037】
本明細書で用いられる場合、2つのアルファベット文字間又は記号間のものでないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点の位置を示すために用いられている。例えば、構造式「-C-C10アルキル-NH」における最も左側のダッシュは、C-C10アルキル基により結合することを指す。
【0038】
本明細書で用いられる場合、「任意の」又は「任意に」とは、続いて記載する事象又は状況が発生してもよく、発生しなくてもよいこと、並びに前記記載が事象又は状況が発生した場合と発生しない場合を含むことを指す。例えば、「任意に置換され」た「アルキル」は、以下の文章で定義される「アルキル」及び「置換アルキル」を含む。1又は複数の置換基を含む任意の基に関して、これらの基が、立体的に非現実的な、合成上実行不可能な及び/又は本質的に不安定ないかなる置換又は置換パターンも導入することは意図されないと、当業者に理解される。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」とは、特定の数の炭素原子を有する直鎖と分岐鎖を指し、前記特定の数は、通常1~20個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、1~8個又は1~6個の炭素原子である。例えば、C-Cアルキルは、1~6個の炭素原子の直鎖と分岐鎖アルキルを含む。特定の数の炭素を有するアルキル残基を命名する場合、当該数の炭素を有する全ての分岐鎖及び直鎖形式を含むことを意図する。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルを含むことを意味し、「プロピル」は、n-プロピル及びイソプロピルを含む。アルキレンは、アルキルのサブセットであり、アルキルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0040】
本明細書で用いられる場合、「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和分岐鎖又は直鎖アルキルを指し、前記炭素-炭素二重結合は、親アルキルの隣接する炭素原子から1つの水素分子を除去することにより得られる。当該基は、二重結合のシス又はトランス配置にあってもよい。典型的なアルケニルとしては、ビニルと、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、プロパ-2-エン-2-イル等のプロペニルと、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチルプロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル等のブテニルとを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、アルケニルは、2~20個の炭素原子を有するが、他の実施形態において、2~10個、2~8個又は2~6個の炭素原子を有する。アルケニレンは、アルケニルのサブセットであり、アルケニルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0041】
本明細書で用いられる場合、「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和分岐鎖又は直鎖アルキル基を指し、前記炭素-炭素三重結合は、親アルキルの隣接する炭素原子から2つの水素分子を除去することにより得られる。典型的なアルキニルとしては、エチニルと、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イル等のプロピニルと、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イル等のブチニルとを含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、アルキニルは、2~20個の炭素原子を有するが、他の実施形態において、2~10、2~8又は2~6個の炭素原子を有する。アルキニレンは、アルキニルのサブセットであり、アルキニルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「アルコキシ」とは、酸素橋により結合した特定の数の炭素原子のアルキルを指し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、3-メチルペンチルオキシ等がある。アルコキシは、通常1~10個、1~8個、1~6個又は1~4個の、酸素橋により結合した炭素原子を有する。
【0043】
本明細書で用いられる場合、「アリール」とは、芳香族単環式又は多環式炭化水素環系から誘導される、環炭素原子から水素原子を除去して形成された基を指す。前記芳香族単環式又は多環式炭化水素環系は、水素及び6~18個の炭素原子の炭素のみを含有し、この環系中の環の少なくとも1つは完全不飽和であり、即ち、それは、ヒュッケル理論に従う環状、非局在化(4n+2)π-電子系を含む。アリールとしては、フェニル、フルオレニル及びナフチル等の基を含むが、これらに限定されない。アリーレンは、アリールのサブセットであり、アリールと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0044】
本明細書で用いられる場合、「シクロアルキル」とは、通常3~7個の環状炭素原子を有する非芳香族炭素環を指す。環は、飽和であってもよいし、1又は複数の炭素-炭素二重結合を有してもよい。シクロアルキルの実例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル及びシクロヘキセニル、並びにノルボルナン(norbornane)等の架橋及びカゴ状環状基を含む。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「ハロゲン置換基」又は「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指し、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「ハロゲン化アルキル」とは、特定の数の炭素原子が1又は複数、最大許容数までのハロゲン原子で置換された、上記のように定義されるアルキル基を指す。ハロゲン化アルキルの実例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2-フルオロエチル及びペンタフルオロエチルを含むが、これらに限定されない。
【0047】
「複素環基」とは、2~12個の炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む、安定した3~18員非芳香族環状基を指す。明細書において特に説明がない限り、複素環基は、単環、二環、三環又は四環系であり、縮合環又は架橋環系を含んでもよい。複素環基におけるヘテロ原子は、任意に酸化されてもよい。1又は複数の窒素原子(存在する場合)は、任意に4級化される。複素環基は、一部飽和又は完全飽和である。複素環基は、環の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合することができる。このような複素環基の実例としては、ジオキサニル、チオフェニル[1,3]ジスルホニル(thienyl[1,3]dithianyl)、デカヒドロイソキノリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドール、オクタヒドロイソインドール、2-オキサピペラジニル、2-オキサピペリジル、2-オキサピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリスルホニル(trithianyl)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル(thiomorpholinyl)、チアモルホリニル(thiamorpholinyl)、1-オキソチオモルホリニル(1-oxo-thiomorpholinyl)及び1,1-ジオキソチオモルホリニル(1,1-dioxo-thiomorpholinyl)を含むが、これらに限定されない。
【0048】
「ヘテロアリール」とは、2個~17個の炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む、3~18員芳香環ラジカルから誘導される基を指す。本明細書で用いられる場合、ヘテロアリールは、単環、二環、三環又は四環系であってもよく、この環系中の環の少なくとも1つは完全不飽和であり、即ち、それは、ヒュッケル理論に従う環状非局在化(4n+2)π-電子系を含む。ヘテロアリールは、縮合環又は架橋環系を含む。ヘテロアリールにおけるヘテロ原子は任意に酸化される。1又は複数の窒素原子(存在する場合)は、任意に4級化される。ヘテロアリールは、環中の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合する。ヘテロアリールの実例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾインドール、1,3-ベンゾジオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル(benzo[b][1,4]dioxepinyl)、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル(benzo[b][1,4]oxazinyl)、1,4-ベンゾジオキサン(1,4-benzodioxanyl)、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾジオキシニル(benzodioxinyl)、ベンゾピラニル、ベンゾピロニル、ベンゾフリル、ベンゾフラノニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリル(cinnolinyl)、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル(5,6-dihydrobenzo[h]quinazolinyl)、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル(5,6-dihydrobenzo[h]cinnolinyl)、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフリル、ジベンゾチオフェニル、フリル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル(indazolyl)、インドール、イソインドール、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル(indolizinyl)、イソオキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル(5,8-methano-5,6,7,8-tetrahydroquinazolinyl)、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、1,6-ナフチリジノニル(1,6-naphthyridinonyl)、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル(2-oxoazepinyl)、オキサゾリル、オキシラニル(oxiranyl)、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[H]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル(phthalazinyl)、プテリジニル(pteridinyl)、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル(quinoxalinyl)、キノリル、テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル(thieno[2,3-c]pridinyl)及びチオフェニル(thiophenyl/thienyl)を含むが、これらに限定されない。
【0049】
本開示において各種のヒドロキシ保護基を用いることができる。一般的には、保護基は、化学官能基を特定の反応条件に不敏感にすることができ、且つ分子の残りの部分を実質的に損傷することなく分子中の当該官能基に付加する、及びそれから除去することができる。代表的なヒドロキシ保護基は、Beaucageら、Tetrahedron 1992,48,2223~2311、及びGreeneand Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Chapter 2,2d ed,John Wiley & Sons,New York,1991に開示されており、引用により、上記文献は、全体として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、保護基は、塩基性条件で安定しているが、酸性条件で除去することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で使用できるヒドロキシ保護基の非排他的実例としては、ジメトキシトリチル(DMT)、モノメトキシトリチル、9-フェニルキサンテン-9-イル(Pixyl)及び9-(p-メトキシフェニル)キサンテン-9-イル(Mox)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で使用できるヒドロキシ保護基の非排他的実例としては、Tr(トリチル)、MMTr(4-メトキシトリチル)、DMTr(4,4’-ジメトキシトリチル)及びTMTr(4,4’,4’’-トリメトキシトリチル)を含む。
【0050】
「被験体」という用語は、本明細書で用いられる場合、任意の動物、例えば、哺乳動物又は有袋動物を指す。本開示の被験体としては、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、アカゲザル又は他の種類のマカク属のサル)、マウス、ブタ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ラット及び任意の種類の家禽を含むが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で用いられる場合、「治療」、「軽減」又は「改善」は、ここで互換的に使用されてもよい。これらの用語は、有益な又は所望の結果を得る方法を指し、治療効果を含むが、これに限定されない。「治療効果」は、治療される潜在的障害を根絶又は改善することを意味する。また、治療効果は、被験体が依然として潜在的障害の苦痛を受ける可能性があるにもかかわらず、潜在的障害に関連する1又は複数の生理的症状を根絶又は改善することにより、被験体に改善が観察されて得られる。
【0052】
本明細書で用いられる場合、「防止」と「予防」は互換的に使用されてもよい。これらの用語は、有益又は所望の結果を得る方法を指し、予防効果を含むが、これに限定されない。「予防効果」を得るために、当該疾患に対する診断が行われていないかもしれないが、複合体又は組成物を特定の疾患に罹患するリスクのある被験体に投与、又は疾患の1又は複数の病理学的症状が報告された被験体に投与することができる。
【0053】
本開示のsiRNAは、基本的な構造単位としてヌクレオチド基を含み、前記ヌクレオチド基がリン酸基、リボース基及び塩基を含むことは、当業者に公知であるので、ここで説明を省略する。
【0054】
<第1のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第1のsiRNAであってもよい。
【0055】
前記第1のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第1のsiRNAの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記第1のsiRNAに対して、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列と長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIは、配列番号2に示されるヌクレオチド配列と長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZa1-3’(配列番号1)、
5’-Za2GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(配列番号2)
ただし、Za1はAであり、Za2はUであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZa1に対応するヌクレオチドZa3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZa2に対応するヌクレオチドZa4が含まれ、前記Za4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0056】
文脈において、「位置が対応する」とは、ヌクレオチド配列の同一端から、ヌクレオチド配列において同じ位置にあることを指す。例えば、前記第1のsiRNAに対して、ヌクレオチド配列Iの3’端の1番目のヌクレオチドは、位置が配列番号1の3’端の1番目のヌクレオチドに対応するヌクレオチドである。
【0057】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号1に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号2に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Za4の位置での差異を含み、Za4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Za4の位置での差異であり、Za4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Za3は、Za4と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNA複合体による標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNA複合体も、本開示の保護範囲内にある。
【0060】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記基本的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に塩基ミスマッチがないことを指す。
【0061】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号3に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号4に示されるヌクレオチド配列である。
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZa3-3’(配列番号3)、
5’-Za4GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(配列番号4)
ただし、前記Za4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Za3は、A、U、G又はCから選択され、Za4は、Za3と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Za3はUであり、Za4はAであり、
前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の長さが20~26ヌクレオチドである。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIは、ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが等しい。
【0063】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がCであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGCであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUGCであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGCAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がUUGCであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGCAAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGCであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0064】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0065】
<第2のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第2のsiRNAであってもよい。
【0066】
前記第2のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第2のsiRNAのうちの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号13に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZb1-3’(配列番号13)、
5’-Zb2GAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号14)
ただし、Zb1はAであり、Zb2はUであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZb1に対応するヌクレオチドZb3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZb2に対応するヌクレオチドZb4が含まれ、前記Zb4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0067】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号13に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0069】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号14に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Zb4の位置での差異を含み、Zb4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Zb4の位置での差異であり、Zb4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Zb3は、Zb4と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNA複合体による標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNA複合体も、本開示の保護範囲内にある。
【0070】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0071】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号15に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号16に示されるヌクレオチド配列である。
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZb3-3’(配列番号15)、
5’-Zb4GAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号16)
ただし、前記Zb4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Zb3は、A、U、G又はCから選択され、Zb4は、Zb3と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Zb3はUであり、Zb4はAであり、
前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の長さが20~26ヌクレオチドである。
【0072】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIは、ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが等しい。
【0073】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCCCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGGGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCCCUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0074】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0075】
<第3のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第3のsiRNAであってもよい。
【0076】
前記第3のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第3のsiRNAのうちの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号25に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZc1-3’(配列番号25)、
5’-Zc2AGGAGAGCACUGAGAAUA-3’(配列番号26)
ただし、Zc1はAであり、Zc2はUであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZc1に対応するヌクレオチドZc3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZc2に対応するヌクレオチドZc4が含まれ、前記Zc4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0077】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号25に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0079】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号26に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Zc4の位置での差異を含み、Zc4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Zc4の位置での差異であり、Zc4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Zc3は、Zc4と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNA複合体による標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNA複合体も、本開示の保護範囲内にある。
【0080】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0081】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号27に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号28に示されるヌクレオチド配列である。
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZc3-3’(配列番号27)、
5’-Zc4AGGAGAGCACUGAGAAUA-3’(配列番号28)
ただし、前記Zc4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Zc3は、A、U、G又はCから選択され、Zc4は、Zc3と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Zc3はUであり、Zc4はAであり、
前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の長さが20~26ヌクレオチドである。
【0082】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIは、ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが等しい。
【0083】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がCAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がACAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUGUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0084】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0085】
<第4のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第4のsiRNAであってもよい。
【0086】
前記第4のsiRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第4のsiRNAのうちの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号37に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZd1-3’(配列番号37)、
5’-Zd2GAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号38)
ただし、Zd1はAであり、Zd2はUであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZd1に対応するヌクレオチドZd3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZd2に対応するヌクレオチドZd4が含まれ、前記Zd4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0087】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号37に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0089】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号38に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Zd4の位置での差異を含み、Zd4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Zd4の位置での差異であり、Zd4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Zd3は、Zd4と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNA複合体による標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNA複合体も、本開示の保護範囲内にある。
【0090】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0091】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号39に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号40に示されるヌクレオチド配列である。
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZd3-3’(配列番号39)、
5’-Zd4GAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号40)
ただし、前記Zd4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Zd3は、A、U、G又はCから選択され、Zd4は、Zd3と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Zd3はUであり、Zd4はAであり、
前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の長さが20~26ヌクレオチドである。
【0092】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIは、ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが等しい。
【0093】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がCであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がACであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGACであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGUCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がGGACであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGUCCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がACであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がGUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0094】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0095】
<第5のsiRNA>
本開示によれば、前記siRNAは、第5のsiRNAであってもよい。
【0096】
前記第5siRNAはセンス鎖とアンチセンス鎖を含み、前記第5のsiRNAのうちの各ヌクレオチドはそれぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記センス鎖はヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIとは、少なくとも一部で逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列Iは、配列番号49に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下であり、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、ヌクレオチド差異が3つ以下である。
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZe1-3’(配列番号49)、
5’-Ze2GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号50)
ただし、Ze1はAであり、Ze2はUであり、
前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZe1に対応するヌクレオチドZe3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZe2に対応するヌクレオチドZe4が含まれ、前記Ze4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドである。
【0097】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと配列番号49に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列は、ヌクレオチド差異が1つ以下である。
【0099】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと配列番号50に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Ze4の位置での差異を含み、Ze4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Ze4の位置での差異であり、Ze4がA、C又はGから選択される。いくつかの実施形態において、Ze3は、Ze4と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNA複合体による標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNA複合体も、本開示の保護範囲内にある。
【0100】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的である。
【0101】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、配列番号51に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、配列番号52に示されるヌクレオチド配列である。
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZe3-3’(配列番号51)、
5’-Ze4GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号52)
ただし、前記Ze4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Ze3は、A、U、G又はCから選択され、Ze4は、Ze3と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Ze3はUであり、Ze4はAであり、
前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の長さが20~26ヌクレオチドである。
【0102】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIをさらに含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVをさらに含み、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがそれぞれ独立して1~4ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIは、ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IIIと前記ヌクレオチド配列IVは、長さが等しい。
【0103】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さがいずれも1ヌクレオチドであり、ヌクレオチド配列IIIの塩基がGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基がCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が20/20であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも3ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が22/22であり、或いは、ヌクレオチド配列IIIとIVは、長さがいずれも4ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAAAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUUUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が23/23である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが2ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、ヌクレオチド配列IIIの塩基配列がAGであり、ヌクレオチド配列IVの塩基配列がCUであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が21/21である。
【0104】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、長さが同じであり、完全に逆相補的であるので、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0105】
<siRNAのオーバーハング末端と修飾>
以下に、ヌクレオチド配列V、核酸配列、siRNAにおけるヌクレオチド修飾、及び修飾配列の説明は、上記の第1~第5のsiRNAのいずれか1つに適用可能である。即ち、特に明記されていない場合、以下のsiRNAの説明は、第1のsiRNA、第2のsiRNA、第3のsiRNA、第4のsiRNA及び第5のsiRNAを1つずつ説明したものと見なされるべきである。例えば、特定のsiRNAが指定されていない場合、「前記siRNAは、ヌクレオチド配列Vをさらに含む」とは、「第1のsiRNA、第2のsiRNA、第3のsiRNA、第4のsiRNA又は第5のsiRNAは、ヌクレオチド配列Vをさらに含む」ことを意味する。
【0106】
いくつかの実施形態において、前記siRNAは、ヌクレオチド配列Vをさらに含み、ヌクレオチド配列Vは、長さが1~3ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の3’末端に結合され(即ち、ヌクレオチド配列II又はヌクレオチド配列IVの末端に結合され)、アンチセンス鎖の3’オーバーハング末端を構成する。これにより、前記siRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が、19/20、19/21、19/22、20/21、20/22、20/23、21/22、21/23、21/24、22/23、22/24、22/25、23/24、23/25又は23/26であってもよい。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Vは、長さが2ヌクレオチドであり、これにより、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さ比が、19/21、21/23又は23/25であってもよい。
【0107】
前記ヌクレオチド配列Vにおける各ヌクレオチドは、任意のヌクレオチドであってもよく、合成しやすく合成コストを節約するために、前記ヌクレオチド配列Vは、連続した2個のチミンデオキシリボヌクレオチド(dTdT)又は連続した2個のウラシルリボヌクレオチド(UU)であり、或いは、siRNAのアンチセンス鎖と標的mRNAとの親和力を向上させるために、ヌクレオチド配列Vは、標的mRNAの対応する位置のヌクレオチドと相補的である。したがって、いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さの比は19/21又は21/23であり、このとき、本開示のsiRNAがより良好なmRNAサイレンシング活性を有する。
【0108】
標的mRNAの対応する位置のヌクレオチドとは、5’末端で標的mRNAのヌクレオチド配列に隣接するヌクレオチド又はヌクレオチド配列を指し、当該標的mRNAのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列IIと実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であるヌクレオチド配列であるか、又はヌクレオチド配列II及びヌクレオチド配列IVから構成されるヌクレオチド配列と実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であるヌクレオチド配列である。
【0109】
いくつかの実施形態において、前記第1のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZa3-3’(配列番号5)、
5’-Za4GAAUACUGUCCCUUUUAAGC-3’(配列番号6)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号8に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCZa3-3’(配列番号7)、
5’-Za4GAAUACUGUCCCUUUUAAGCAA-3’(配列番号8)
ただし、前記Za4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Za3は、A、U、G又はCから選択され、Za4は、Za3と相補的なヌクレオチドである。
【0110】
いくつかの実施形態において、前記第2のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号17に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号18に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCZb3-3’(配列番号17)、
5’-Zb4GAGCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号18)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号19に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号20に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCUCZb3-3’(配列番号19)
5’-Zb4GAGCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(配列番号20)
ただし、前記Zb4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Zb3は、A、U、G又はCから選択され、Zb4は、Zb3と相補的なヌクレオチドである。
【0111】
いくつかの実施形態において、前記第3のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号29に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号30に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUZc3-3’(配列番号29)、
5’-Zc4AGGAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号30)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号31に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号32に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCCUZc3-3’(配列番号31)、
5’-Zc4AGGAGAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号32)
ただし、前記Zc4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Zc3は、A、U、G又はCから選択され、Zc4は、Zc3と相補的なヌクレオチドである。
【0112】
いくつかの実施形態において、前記第4のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号41に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号42に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCZd3-3’(配列番号41)、
5’-Zd4GAGAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号42)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号43に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号44に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCUCZd3-3’(配列番号43)、
5’-Zd4GAGAGCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号44)
ただし、前記Zd4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Zd3は、A、U、G又はCから選択され、Zd4は、Zd3と相補的なヌクレオチドである。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記第5のsiRNAに対して、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号53に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号54に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZe3-3’(配列番号53)、
5’-Ze4GCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(配列番号54)
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、配列番号55に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、配列番号56に示されるヌクレオチド配列を含む。
5’-AGGGACAGUAUUCUCAGUGCZe3-3’(配列番号55)、
5’-Ze4GCACUGAGAAUACUGUCCCUUU-3’(配列番号56)
ただし、前記Ze4は、アンチセンス鎖の5’末端の1番目のヌクレオチドであり、Ze3は、A、U、G又はCから選択され、Ze4は、Ze3と相補的なヌクレオチドである。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示に記載されたsiRNAは、siAPa1、siAPa2、siAPb1、siAPb2、siAPc1、siAPc2、siAPd1、siAPd2、siAPe1又はsiAPe2である。
siAPa1
センス鎖:5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCU-3’(配列番号9)
アンチセンス鎖:5’-AGAAUACUGUCCCUUUUAAGC-3’(配列番号10)
siAPa2
センス鎖:5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCU-3’(配列番号11)
アンチセンス鎖:5’-AGAAUACUGUCCCUUUUAAGCAA-3’(配列番号12)
siAPb1
センス鎖:5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCU-3’(配列番号21)
アンチセンス鎖:5’-AGAGCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号22)
siAPb2
センス鎖:5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCUCU-3’(配列番号23)
アンチセンス鎖:5’-AGAGCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(配列番号24)
siAPc1
センス鎖:5’-UAUUCUCAGUGCUCUCCUA-3’(配列番号33)
アンチセンス鎖:5’-UAGGAGAGCACUGAGAAUACU-3’(配列番号34)
siAPc2
センス鎖:5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCCUA-3’(配列番号35)
アンチセンス鎖:5’-UAGGAGAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号36)
siAPd1
センス鎖:5’-AGUAUUCUCAGUGCUCUCC-3’(配列番号45)
アンチセンス鎖:5’-GGAGAGCACUGAGAAUACUGU-3’(配列番号46)
siAPd2
センス鎖:5’-ACAGUAUUCUCAGUGCUCUCC-3’(配列番号47)
アンチセンス鎖:5’-GGAGAGCACUGAGAAUACUGUCC-3’(配列番号48)
siAPe1
センス鎖:5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCU-3’(配列番号57)
アンチセンス鎖:5’-AGCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(配列番号58)
siAPe2
センス鎖:5’-AGGGACAGUAUUCUCAGUGCU-3’(配列番号59)
アンチセンス鎖:5’-AGCACUGAGAAUACUGUCCCUUU-3’(配列番号60)
【0115】
いくつかの実施形態において、前記siRNAは、siAPa1、siAPa2、siAPb1、siAPb2、siAPc1、siAPc2、siAPd1、siAPd2、siAPe1又はsiAPe2に示されるヌクレオチド配列(即ち、核酸塩基配列)を有する。
【0116】
前述したように、本開示のsiRNAにおけるヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAにおけるヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAにおけるヌクレオチドの一部又は全部は、修飾ヌクレオチドであり、ヌクレオチド基上のこれらの修飾により、本開示のsiRNA複合体がAPOC3遺伝子発現を抑制する機能を明らかに弱める又は喪失させることはない。
【0117】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。本開示の文脈において、用いられる用語「修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が他の基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ、或いは、ヌクレオチド上の塩基が修飾された塩基であるヌクレオチドを指す。前記修飾ヌクレオチドにより、siRNAが遺伝子発現を抑制する機能を明らかに弱める又は喪失させることはない。例えば、J.K. Watts,G.F. Deleavey,and M.J. Damha,Chemically modified siRNA: tools and applications. Drug Discov Today,2008,13(19-20): 842-55に開示された修飾ヌクレオチドを選択してもよい。
【0118】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖又は前記アンチセンス鎖は、少なくとも1つのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであり、及び/又は少なくとも1つのリン酸エステル基が、修飾基を有するリン酸エステル基である。言い換えれば、前記センス鎖と前記アンチセンス鎖において少なくとも1本の一本鎖のリン酸-糖骨格中のリン酸エステル基及び/又はリボース基の少なくとも一部は、修飾基を有するリン酸エステル基及び/又は修飾基を有するリボース基である。
【0119】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖及び/又は前記アンチセンス鎖におけるヌクレオチドは、全て修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖と前記アンチセンス鎖における各ヌクレオチドは、独立してフルオロ修飾ヌクレオチド又は非フルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0120】
本開示の発明者は、驚くべきことに、本開示に記載されたsiRNAにより、動物実験において血漿中安定性と遺伝子サイレンシング効率の高度なバランスが取られていることを見出した。
【0121】
いくつかの実施形態において、前記フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチド配列Iとヌクレオチド配列IIに位置し、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0122】
いくつかの実施形態において、前記フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチド配列Iとヌクレオチド配列IIに位置し、前記ヌクレオチド配列Iにおけるフルオロ修飾ヌクレオチドが5個以下であり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIにおけるフルオロ修飾ヌクレオチドが7個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0123】
いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記センス鎖において、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位又は5、7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記センス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記アンチセンス鎖において、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位又は第2、6、8、9、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において残りの位置のヌクレオチドが非フルオロ修飾ヌクレオチドである。
【0124】
本開示の文脈において、「フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基がフッ素で置換された、以下の式(7)に示される構造を有するヌクレオチドを指す。「非フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを指す。いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログから独立して選択される1つである。
【0125】
これらのリボース基の2’位のヒドロキシ基が非フッ素基で置換されたヌクレオチドは、当業者に公知であり、これらのヌクレオチドは、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-置換アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-置換アルキル修飾ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-置換アミノ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチドから選択される1つであってもよい。
【0126】
いくつかの実施形態において、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチドは、式(8)に示される2’-メトキシ(2’-OMe)修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、2’-置換アルコキシ修飾ヌクレオチドは、例えば、式(9)に示される2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)修飾ヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態において、2’-アミノ(2’-NH)修飾ヌクレオチドは式(10)に示される。いくつかの実施形態において、2’-デオキシヌクレオチド(DNA)は式(11)に示される。
【0127】
【化3】
【0128】
ヌクレオチドアナログとは、核酸においてヌクレオチドの代わりとなることができるが、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド又はチミンデオキシリボヌクレオチドと構造が異なる基を指す。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログは、イソヌクレオチド、架橋ヌクレオチド又は非環式ヌクレオチドであってもよい。
【0129】
架橋ヌクレオチド(Bridged Nucleic Acid、BNAと略称される)とは、拘束された又は近づけないヌクレオチドを指す。BNAは、五員環、六員環、又は七員環の、「固定された」C3’-エンド糖パッカリングを有する架橋構造を含んでもよい。通常当該橋を当該リボースの2’-、4’-位に導入して2’,4’-BNAヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、BNAは、式(12)に示されるLNA、式(13)に示されるENA、式(14)に示されるcET BNA等であってもよい。
【0130】
【化4】
【0131】
非環式ヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖環が開環されたヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、非環式ヌクレオチドは、式(15)に示されるアンロックド核酸(UNA)、又は式(16)に示されるグリセロール核酸(GNA)であってもよい。
【0132】
【化5】
【0133】
上記式(15)及び式(16)において、Rは、H、OH又はアルコキシ(O-アルキル)から選択される。
【0134】
イソヌクレオチドとは、ヌクレオチドにおいて塩基のリボース環における位置が変化した化合物を指す。いくつかの実施形態において、イソヌクレオチドは、式(17)又は(18)に示される、塩基がリボース環の1’-位から2’-位又は3’-位に移行した化合物であってもよい。
【0135】
【化6】
【0136】
上記式(17)~式(18)の化合物において、Baseは、A、U、G、C又はT等の核酸塩基を表し、Rは、H、OH、F又は上述した非フッ素基から選択される。
【0137】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログは、イソヌクレオチド、LNA、ENA、cET、UNA及びGNAから選択されるいずれか1つである。いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、いずれもメトキシ修飾ヌクレオチドであり、文脈において、前記メトキシ修飾ヌクレオチドは、リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチドを指す。
【0138】
文脈において、「フルオロ修飾ヌクレオチド」、「2’-フルオロ修飾ヌクレオチド」、「リボース基の2’-ヒドロキシ基がフッ素で置換されたヌクレオチド」及び「2’-フルオロリボース基を有するヌクレオチド」は、意味が同じであり、いずれもヌクレオチドの2’-ヒドロキシ基がフッ素で置換された、式(7)に示される構造を有する化合物を指し、「メトキシ修飾ヌクレオチド」、「2’-メトキシ修飾ヌクレオチド」、「リボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換されたヌクレオチド」及び「2’-メトキシリボース基を有するヌクレオチド」は、意味が同じであり、いずれもヌクレオチドのリボース基の2’-ヒドロキシ基がメトキシで置換された、式(8)に示される構造を有する化合物を指す。
【0139】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、以下の修飾を有するsiRNAである。すなわち、5’末端から3’末端に向かって、前記センス鎖において、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位又は第5、7、8、9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記センス鎖において残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位又は第2、6、8、9、14、16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドである。
【0140】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、以下の修飾を有するsiRNAである。すなわち、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、また、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、8、9、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第5、7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、また、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、
或いは、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド配列Iの第7、8及び9位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであり、また、5’末端から3’末端に向かって、前記siRNAのアンチセンス鎖におけるヌクレオチド配列IIの第2、6、14及び16位のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであり、siRNAのアンチセンス鎖の残りの位置のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドである。
【0141】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、siAPa1-M1、siAPa2-M1、siAPa1-M2、siAPa2-M2、siAPa1-M3、siAPa2-M3、siAPb1-M1、siAPb2-M1、siAPb1-M2、siAPb2-M2、siAPb1-M3、siAPb2-M3、siAPc1-M1、siAPc2-M1、siAPc1-M2、siAPc2-M2、siAPc1-M3、siAPc2-M3、siAPd1-M1、siAPd2-M1、siAPd1-M2、siAPd2-M2、siAPd1-M3、siAPd2-M3、siAPe1-M1、siAPe2-M1、siAPe1-M2、siAPe2-M2、siAPe1-M3、siAPe2-M3のいずれか1つである。
siAPa1-M1
センス鎖:5’-UmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号61)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号62)
siAPa2-M1
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号63)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号64)
siAPa1-M2
センス鎖:5’-UmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号65)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号66)
siAPa2-M2
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号67)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号68)
siAPa1-M3
センス鎖:5’-UmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号69)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号70)
siAPa2-M3
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号71)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号72)
siAPb1-M1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号73)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号74)
siAPb2-M1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号75)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号76)
siAPb1-M2
センス鎖:5’-AmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号77)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号78)
siAPb2-M2
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号79)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号80)
siAPb1-M3
センス鎖:5’-AmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号81)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号82)
siAPb2-M3
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号83)
アンチセンス鎖:5’-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号84)
siAPc1-M1
センス鎖:5’-UmAmUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号85)
アンチセンス鎖:5’-UmAfGmGmAmGfAmGfCfAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUm-3’(配列番号86)
siAPc2-M1
センス鎖:5’-AmGmUmAmUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号87)
アンチセンス鎖:5’-UmAfGmGmAmGfAmGfCfAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUmGmUm-3’(配列番号88)
siAPc1-M2
センス鎖:5’-UmAmUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号89)
アンチセンス鎖:5’-UmAfGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUm-3’(配列番号90)
siAPc2-M2
センス鎖:5’-AmGmUmAmUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号91)
アンチセンス鎖:5’-UmAfGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUmGmUm-3’(配列番号92)
siAPc1-M3
センス鎖:5’-UmAmUmUmCmUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号93)
アンチセンス鎖:5’-UmAfGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUm-3’(配列番号94)
siAPc2-M3
センス鎖:5’-AmGmUmAmUmUmCmUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号95)
アンチセンス鎖:5’-UmAfGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUmGmUm-3’(配列番号96)
siAPd1-M1
センス鎖:5’-AmGmUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号97)
アンチセンス鎖:5’-GmGfAmGmAmGfCmAfCfUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUm-3’(配列番号98)
siAPd2-M1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号99)
アンチセンス鎖:5’-GmGfAmGmAmGfCmAfCfUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUmCmCm-3’(配列番号100)
siAPd1-M2
センス鎖:5’-AmGmUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号101)
アンチセンス鎖:5’-GmGfAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUm-3’(配列番号102)
siAPd2-M2
センス鎖:5’-AmCmAmGmUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号103)
アンチセンス鎖:5’-GmGfAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUmCmCm-3’(配列番号104)
siAPd1-M3
センス鎖:5’-AmGmUmAmUmUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号105)
アンチセンス鎖:5’-GmGfAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUm-3’(配列番号106)
siAPd2-M3
センス鎖:5’-AmCmAmGmUmAmUmUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号107)
アンチセンス鎖:5’-GmGfAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUmCmCm-3’(配列番号108)
siAPe1-M1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号109)
アンチセンス鎖:5’-AmGfCmAmCmUfGmAfGfAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUm-3’(配列番号110)
siAPe2-M1
センス鎖:5’-AmGmGmGmAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号111)
アンチセンス鎖:5’-AmGfCmAmCmUfGmAfGfAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmUmUm-3’(配列番号112)
siAPe1-M2
センス鎖:5’-GmGmAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号113)
アンチセンス鎖:5’-AmGfCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUm-3’(配列番号114)
siAPe2-M2
センス鎖:5’-AmGmGmGmAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号115)
アンチセンス鎖:5’-AmGfCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmUmUm-3’(配列番号116)
siAPe1-M3
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号117)
アンチセンス鎖:5’-AmGfCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUm-3’(配列番号118)
siAPe2-M3
センス鎖:5’-AmGmGmGmAmCmAmGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号119)
アンチセンス鎖:5’-AmGfCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmUmUm-3’(配列番号120)
【0142】
上記修飾を有するsiRNAは、コストが低いだけでなく、血中のリボヌクレアーゼで核酸を切断しにくくすることができ、これにより、核酸の安定性を向上させ、核酸がより強いヌクレアーゼ加水分解耐性という特性を有するようにする。
【0143】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖において、少なくとも1本の一本鎖のリン酸-糖骨格中のリン酸エステル基の少なくとも一部は、修飾基を有するリン酸エステル基である。いくつかの実施形態において、修飾基を有するリン酸エステル基は、リン酸エステル基におけるリン酸ジエステル結合の少なくとも1つの酸素原子が硫黄原子で置換されたチオリン酸エステル基である。いくつかの実施形態において、前記修飾基を有するリン酸エステル基は、式(1)に示される構造を有するチオリン酸エステル基である。
【0144】
【化7】
【0145】
このような修飾により、siRNAの二本鎖構造を安定化させ、塩基対合の高い特異性と高い親和力を維持することができる。
【0146】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAにおいて、チオリン酸エステル基は、センス鎖又はアンチセンス鎖の任意の一端の1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、センス鎖又はアンチセンス鎖の任意の一端の2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、又はそれらの任意の組合せからなる群より選ばれる少なくとも1つに結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステル基は、センス鎖の5’末端を除く全ての上記位置に結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステル基は、センス鎖の3’末端を除く全ての上記位置に結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステル基は、以下の位置のうち少なくとも一箇所に結合されて存在する。
前記センス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の3’末端から1番目のヌクレオチドと2番目のヌクレオチドとの間、及び
前記アンチセンス鎖の3’末端から2番目のヌクレオチドと3番目のヌクレオチドとの間。
【0147】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、siAPa1-M1S、siAPa2-M1S、siAPa1-M2S、siAPa2-M2S、siAPa1-M3S、siAPa2-M3S、siAPb1-M1S、siAPb2-M1S、siAPb1-M2S、siAPb2-M2S、siAPb1-M3S、siAPb2-M3S、siAPc1-M1S、siAPc2-M1S、siAPc1-M2S、siAPc2-M2S、siAPc1-M3S、siAPc2-M3S、siAPd1-M1S、siAPd2-M1S、siAPd1-M2S、siAPd2-M2S、siAPd1-M3S、siAPd2-M3S、siAPe1-M1S、siAPe2-M1S、siAPe1-M2S、siAPe2-M2S、siAPe1-M3S、siAPe2-M3Sのいずれか1つである。
siAPa1-M1S
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号121)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号122)
siAPa2-M1S
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号123)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号124)
siAPa1-M2S
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号125)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号126)
siAPa2-M2S
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号127)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号128)
siAPa1-M3S
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号129)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号130)
siAPa2-M3S
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号131)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号132)
siAPb1-M1S
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号133)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号134)
siAPb2-M1S
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号135)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号136)
siAPb1-M2S
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号137)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号138)
siAPb2-M2S
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号139)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号140)
siAPb1-M3S
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号141)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号142)
siAPb2-M3S
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号143)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号144)
siAPc1-M1S
センス鎖:5’-UmsAmsUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号145)
アンチセンス鎖:5’-UmsAfsGmGmAmGfAmGfCfAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmsCmsUm-3’(配列番号146)
siAPc2-M1S
センス鎖:5’-AmsGmsUmAmUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’
(配列番号147)
アンチセンス鎖:5’-UmsAfsGmGmAmGfAmGfCfAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUmsGmsUm-3’(配列番号148)
siAPc1-M2S
センス鎖:5’-UmsAmsUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号149)
アンチセンス鎖:5’-UmsAfsGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmsCmsUm-3’(配列番号150)
siAPc2-M2S
センス鎖:5’-AmsGmsUmAmUmUmCfUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’
(配列番号151)
アンチセンス鎖:5’-UmsAfsGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUmsGmsUm-3’(配列番号152)
siAPc1-M3S
センス鎖:5’-UmsAmsUmUmCmUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号153)
アンチセンス鎖:5’-UmsAfsGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmsCmsUm-3’(配列番号154)
siAPc2-M3S
センス鎖:5’-AmsGmsUmAmUmUmCmUmCfAfGfUmGmCmUmCmUmCmCmUmAm-3’(配列番号155)
アンチセンス鎖:5’-UmsAfsGmGmAmGfAmGmCmAmCmUmGmAfGmAfAmUmAmCmUmsGmsUm-3’(配列番号156)
siAPd1-M1S
センス鎖:5’-AmsGmsUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号157)
アンチセンス鎖:5’-GmsGfsAmGmAmGfCmAfCfUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmsGmsUm-3’(配列番号158)
siAPd2-M1S
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号159)
アンチセンス鎖:5’-GmsGfsAmGmAmGfCmAfCfUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号160)
siAPd1-M2S
センス鎖:5’-AmsGmsUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号161)
アンチセンス鎖:5’-GmsGfsAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmsGmsUm-3’(配列番号162)
siAPd2-M2S
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUmAmUfUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号163)
アンチセンス鎖:5’-GmsGfsAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号164)
siAPd1-M3S
センス鎖:5’-AmsGmsUmAmUmUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号165)
アンチセンス鎖:5’-GmsGfsAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmsGmsUm-3’(配列番号166)
siAPd2-M3S
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUmAmUmUmCfUfCfAmGmUmGmCmUmCmUmCmCm-3’(配列番号167)
アンチセンス鎖:5’-GmsGfsAmGmAmGfCmAmCmUmGmAmGmAfAmUfAmCmUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号168)
siAPe1-M1S
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号169)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsCmAmCmUfGmAfGfAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号170)
siAPe2-M1S
センス鎖:5’-AmsGmsGmGmAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号171)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsCmAmCmUfGmAfGfAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmsUmsUm-3’(配列番号172)
siAPe1-M2S
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号173)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号174)
siAPe2-M2S
センス鎖:5’-AmsGmsGmGmAmCmAfGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号175)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmsUmsUm-3’(配列番号176)
siAPe1-M3S
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号177)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号178)
siAPe2-M3S
センス鎖:5’-AmsGmsGmGmAmCmAmGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmUm-3’(配列番号179)
アンチセンス鎖:5’-AmsGfsCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmsUmsUm-3’(配列番号180)
【0148】
いくつかの実施形態において、前記siRNAのアンチセンス鎖の5’末端ヌクレオチドは、5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドである。
【0149】
慣用の前記5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドは、当業者に公知であり、例えば、5’-リン酸ヌクレオチドは、以下の構造を有してもよい。
【0150】
【化8】
【0151】
また、例えば、Anastasia Khvorova and Jonathan K. Watts,The chemical evolution of oligonucleotide therapies of clinical utility. Nature Biotechnology,2017,35(3): 238~48には、以下の4種類の5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドが開示されている。
【0152】
【化9】
式中、RはH、OH、メトキシ、フッ素から選択され、Baseは核酸塩基を表し、A、U、C、G又はTから選択される。
【0153】
いくつかの実施形態において、5’-リン酸ヌクレオチドは、式(2)に示される、5’-リン酸修飾を含むヌクレオチドであり、5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドは、式(3)に示される、ビニルリン酸エステル修飾を含むヌクレオチドであり、又は、式(5)に示される、チオリン酸エステル修飾ヌクレオチドである。
【0154】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、siAPa1-M1P1、siAPa2-M1P1、siAPa1-M2P1、siAPa2-M2P1、siAPa1-M3P1、siAPa2-M3P1、siAPa1-M1SP1、siAPa2-M1SP1、siAPa1-M2SP1、siAPa2-M2SP1、siAPa1-M3SP1、siAPa2-M3SP1、siAPa1U-M1P1、siAPa2U-M1P1、siAPa1U-M2P1、siAPa2U-M2P1、siAPa1U-M3P1、siAPa2U-M3P1、siAPa1U-M1SP1、siAPa2U-M1SP1、siAPa1U-M2SP1、siAPa2U-M2SP1、siAPa1U-M3SP1、siAPa2U-M3SP1、siAPb1-M1P1、siAPb2-M1P1、siAPb1-M2P1、siAPb2-M2P1、siAPb1-M3P1、siAPb2-M3P1、siAPb1-M1SP1、siAPb2-M1SP1、siAPb1-M2SP1、siAPb2-M2SP1、siAPb1-M3SP1、siAPb2-M3SP1、siAPb1U-M1P1、siAPb2U-M1P1、siAPb1U-M2P1、siAPb2U-M2P1、siAPb1U-M3P1、siAPb2U-M3P1、siAPb1U-M1SP1、siAPb2U-M1SP1、siAPb1U-M2SP1、siAPb2U-M2SP1、siAPb1U-M3SP1、siAPb2U-M3SP1、siAPc1-M1P1、siAPc2-M1P1、siAPc1-M2P1、siAPc2-M2P1、siAPc1-M3P1、siAPc2-M3P1、siAPc1-M1SP1、siAPc2-M1SP1、siAPc1-M2SP1、siAPc2-M2SP1、siAPc1-M3SP1、siAPc2-M3SP1、siAPd1-M1P1、siAPd2-M1P1、siAPd1-M2P1、siAPd2-M2P1、siAPd1-M3P1、siAPd2-M3P1、siAPd1-M1SP1、siAPd2-M1SP1、siAPd1-M2SP1、siAPd2-M2SP1、siAPd1-M3SP1、siAPd2-M3SP1、siAPd1U-M1P1、siAPd2U-M1P1、siAPd1U-M2P1、siAPd2U-M2P1、siAPd1U-M3P1、siAPd2U-M3P1、siAPd1U-M1SP1、siAPd2U-M1SP1、siAPd1U-M2SP1、siAPd2U-M2SP1、siAPd1U-M3SP1、siAPd2U-M3SP1、siAPe1-M1P1、siAPe2-M1P1、siAPe1-M2P1、siAPe2-M2P1、siAPe1-M3P1、siAPe2-M3P1、siAPe1-M1SP1、siAPe2-M1SP1、siAPe1-M2SP1、siAPe2-M2SP1、siAPe1-M3SP1、siAPe2-M3SP1、siAPe1U-M1P1、siAPe2U-M1P1、siAPe1U-M2P1、siAPe2U-M2P1、siAPe1U-M3P1、siAPe2U-M3P1、siAPe1U-M1SP1、siAPe2U-M1SP1、siAPe1U-M2SP1、siAPe2U-M2SP1、siAPe1U-M3SP1、siAPe2U-M3SP1のいずれか1つである。
siAPa1-M1P1
センス鎖:5’-UmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号181)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号182)
siAPa2-M1P1
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号183)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号184)
siAPa1-M2P1
センス鎖:5’-UmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号185)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号186)
siAPa2-M2P1
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号187)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号188)
siAPa1-M3P1
センス鎖:5’-UmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号189)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号190)
siAPa2-M3P1
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号191)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号192)
siAPa1-M1SP1
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号193)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号194)
siAPa2-M1SP1
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号195)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号196)
siAPa1-M2SP1
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号197)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号198)
siAPa2-M2SP1
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号199)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号200)
siAPa1-M3SP1
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号201)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号202)
siAPa2-M3SP1
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmUm-3’(配列番号203)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号204)
siAPa1U-M1P1
センス鎖:5’-UmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号327)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号328)
siAPa2U-M1P1
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号329)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号330)
siAPa1U-M2P1
センス鎖:5’-UmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号331)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号332)
siAPa2U-M2P1
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号333)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号334)
siAPa1U-M3P1
センス鎖:5’-UmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号335)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCm-3’(配列番号336)
siAPa2U-M3P1
センス鎖:5’-GmCmUmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号337)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmAmAm-3’(配列番号338)
siAPa1U-M1SP1
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号339)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号340)
siAPa2U-M1SP1
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号341)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsAmAmUmAfCmUfGfUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号342)
siAPa1U-M2SP1
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号343)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号344)
siAPa2U-M2SP1
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAfAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号345)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号346)
siAPa1U-M3SP1
センス鎖:5’-UmsUmsAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号347)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmsGmsCm-3’(配列番号348)
siAPa2U-M3SP1
センス鎖:5’-GmsCmsUmUmAmAmAmAmGfGfGfAmCmAmGmUmAmUmUmCmAm-3’(配列番号349)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsAmAmUmAfCmUmGmUmCmCmCmUfUmUfUmAmAmGmCmsAmsAm-3’(配列番号350)
siAPb1-M1P1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号205)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号206)
siAPb2-M1P1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号207)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号208)
siAPb1-M2P1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号209)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号210)
siAPb2-M2P1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号211)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号212)
siAPb1-M3P1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号213)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号214)
siAPb2-M3P1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号215)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号216)
siAPb1-M1SP1
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号217)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号218)
siAPb2-M1SP1
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号219)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号220)
siAPb1-M2SP1
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号221)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号222)
siAPb2-M2SP1
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号223)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号224)
siAPb1-M3SP1
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号225)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmsCmsCm-3’(配列番号226)
siAPb2-M3SP1
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmUm-3’(配列番号227)
アンチセンス鎖:5’-P1-AmsGfsAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号228)
siAPb1U-M1P1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmAm-3’(配列番号351)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号352)
siAPb2U-M1P1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmAm-3’(配列番号353)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmGmCmAfCmUfGfAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号354)
siAPb1U-M2P1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmAm-3’(配列番号355)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号356)
siAPb2U-M2P1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmAm-3’(配列番号357)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号358)
siAPb1U-M3P1
センス鎖:5’-AmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmAm-3’(配列番号359)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCm-3’(配列番号360)
siAPb2U-M3P1
センス鎖:5’-GmGmAmCmAmGmUmAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmAm-3’(配列番号361)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmGfAmGmCmAfCmUmGmAmGmAmAmUfAmCfUmGmUmCmCmCmUm-3’(配列番号362)
siAPb1U-M1SP1
センス鎖:5’-AmsCmsAmGmUfAmUfUfCfUmCmAmGmUmGmCmUmCmAm-3’(配列番号363)
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siAPe2U-M2SP1
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アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmsUmsUm-3’(配列番号418)
siAPe1U-M3SP1
センス鎖:5’-GmsGmsAmCmAmGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmAm-3’(配列番号419)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmsCmsUm-3’(配列番号420)
siAPe2U-M3SP1
センス鎖:5’-AmsGmsGmGmAmCmAmGmUfAfUfUmCmUmCmAmGmUmGmCmAm-3’(配列番号421)
アンチセンス鎖:5’-P1-UmsGfsCmAmCmUfGmAmGmAmAmUmAmCfUmGfUmCmCmCmUmsUmsUm-3’(配列番号422)
【0155】
いくつかの実施形態において、前記siRNAは、siAPa1UM3SVP、siAPe1UM3SVP、siAPb1UM3SVP、siAPd1UM3SVP、siAPc1M3SVP、siAPd1UM3SP、siAPd1UM3SPs、siAPa1M3SP、siAPe1M3SP、siAPb1M3SP及びsiAPc1M3SPから選択される1つである。上記siRNAは、表7に示される。
【0156】
上記本開示のsiRNAにおいて、大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基配列を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1つのヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1つのヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字の左右2つのヌクレオチド間がチオリン酸エステル基により結合されていることを表し、文字と数字の組み合わせP1は、当該文字の右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであることを表す。いくつかの実施形態において、P1は、特定の修飾がVP、Ps又はPであることを表し、組合せ文字VPは、当該組合せ文字VPの右側に隣接する1つのヌクレオチドがビニルリン酸エステル(5’-(E)-vinylphosphonate、E-VP)修飾ヌクレオチドであることを表し、組合せ文字Psは、当該組合せ文字Psの右側に隣接する1つのヌクレオチドがチオリン酸エステル修飾ヌクレオチドであることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1つのヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。
【0157】
本開示の発明者は、本開示により提供されるsiRNAが顕著に向上した血漿とリソソーム安定性を有するだけでなく、非常に高い遺伝子抑制活性を維持することを意外にも見出した。
【0158】
本開示により提供されるsiRNAは、本分野における通常のsiRNA調製方法(例えば、固相合成方法及び液相合成方法)により得ることができる。ここで、固相合成は、既に商用カスタマイズサービスが行われている。対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを用いることにより修飾ヌクレオチド基を本開示に記載されたsiRNAに導入することができ、対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを調製する方法、及び修飾ヌクレオチド基をsiRNAに導入する方法も、当業者によく知られている。
【0159】
<薬物組成物>
本開示は、活性成分として上述したsiRNAと、薬学的に許容可能な担体を含む薬物組成物を提供する。
【0160】
前記薬学的に許容可能な担体は、siRNA投与分野で通常用いられる担体であってもよく、例えば、磁性ナノ粒子(magnetic nanoparticles、例えば、Fe又はFeに基づくナノ粒子)、カーボンナノチューブ(carbon nanotubes)、メソポーラスシリコン(mesoporous silicon)、リン酸カルシウムナノ粒子(calcium phosphate nanoparticles)、ポリエチレンイミン(polyethylenimine、PEI)、ポリアミドアミンデンドリマー(polyamidoamine (PAMAM) dendrimer)、ポリリジン(poly(L-lysine)、PLL)、キトサン(chitosan)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(1,2-dioleoyl-3-trimethylammonium-propane、DOTAP)、ポリD-又はL-乳酸/グリコール酸共重合体(poly(D&L-lactic/glycolic acid)copolymer、PLGA)、ポリ(アミノエチルエチレンリン酸エステル)(poly(2-aminoethyl ethylene phosphate)、PPEEA)及びポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)(poly(2-dimethylaminoethyl methacrylate)、PDMAEMA)並びにこれらの誘導体の1又は複数があるが、これらに限定されない。
【0161】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物におけるsiRNA及び薬学的に許容可能な担体の含有量に対して特段の要件はないが、いくつかの実施形態においては、siRNAと薬学的に許容可能な担体との重量比が、1:(1~500)であってもよい。いくつかの実施形態においては、上記重量比が1:(1~50)である。
【0162】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物には、薬学的に許容できる他の添加剤が含まれてもよく、当該添加剤は、本分野で通常採用される各種の製剤又は化合物の1種又は複数種であってもよい。例えば、前記薬学的に許容できる他の添加剤は、pH緩衝液、保護剤及び浸透圧調節剤の少なくとも1種を含んでもよい。
【0163】
前記pH緩衝液は、pH7.5~8.5のトリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩緩衝液(tris(hydroxymethyl) aminomethane hydrochloride buffer)及び/又はpH5.5~8.5のリン酸塩緩衝液であってもよく、例えば、pH5.5~8.5のリン酸塩緩衝液であってもよい。
【0164】
前記保護剤は、イノシトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、マンノース、マルトース、ラクトース及びグルコースの少なくとも1種であってもよい。前記薬物組成物の全重量を基準とし、前記保護剤の含有量は0.01~30重量%であってもよい。
【0165】
前記浸透圧調節剤は、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムであってもよい。前記浸透圧調節剤の含有量は、前記薬物組成物の浸透圧が200~700ミリオスモル/キログラム(mOsm/kg)となるように決定される。所望の浸透圧により、当業者は、前記浸透圧調節剤の含有量を容易に決定することができる。
【0166】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、注射液等の液体製剤であってもよく、凍結乾燥粉末注射剤として、投与時に液体添加剤と混合し、液体製剤としてもよい。前記液体製剤は、皮下、筋肉又は静脈注射投与に用いることができるが、これらに限定されず、噴霧により肺に投与、或いは、噴霧により肺を通して他の臓器組織(例えば、肝臓)に投与することもできるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、静脈注射投与に用いられる。
【0167】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、リポソーム製剤の形式であってもよい。いくつかの実施形態において、前記リポソーム製剤に用いられる薬学的に許容可能な担体は、アミン含有トランスフェクション化合物(以下、有機アミンともいう)、補助脂質及び/又はPEG化(ポリエチレングリコール化)脂質を含む。ここで、前記有機アミン、補助脂質及びPEG化脂質は、CN103380113A(引用によりその全体を本明細書に組み込む)に記載されたアミン含有トランスフェクション化合物又はその薬学的に許容できる塩又は誘導体、補助脂質及びPEG化脂質からそれぞれ選択される1種又は複数種であってもよい。
【0168】
いくつかの実施形態において、前記有機アミンは、CN103380113Aに記載された式(201)に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩であってもよい。
【0169】
【化10】
式中、
101及びX102はそれぞれ独立してO、S、N-A又はC-Aであり、Aは水素又はC-C20炭化水素鎖であり、
101及びZ101はそれぞれ独立してC=O、C=S、S=O、CH-OH又はSOであり、
101、R102、R103、R104、R105、R106及びR107はそれぞれ独立して水素、環式又は非環式の、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖脂肪族基、環式又は非環式の、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖ヘテロ脂肪族基、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アシル基、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アリール基、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖ヘテロアリール基であり、
xが1~10の整数であり、
nが1~3の整数であり、mが0~20の整数であり、pが0又は1であり、ここで、m=p=0である場合、R102は水素であり、
n又はmの少なくとも1つが2である場合、R103と式(201)における窒素とが、式(202)又は式(203)に示される構造を形成する。
【0170】
【化11】
式中、g、e及びfはそれぞれ独立して1~6の整数であり、「HCC」は炭化水素鎖を表し、各*Nは式(201)における窒素原子を表す。
【0171】
いくつかの実施形態において、R103はポリアミンである。他の実施形態において、R103はケタールである。いくつかの実施形態において、式(201)におけるR101及びR102のそれぞれは、独立して、任意に置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アルキル又はアルケニルであり、前記アルキル又はアルケニルは、3~約20個の炭素原子、例えば、8~約18個の炭素原子、及び0~4個の二重結合、例えば、0~2個の二重結合を有する。
【0172】
いくつかの実施形態において、nとmのそれぞれが独立して1又は3の値である場合、R103は、下記式(204)~式(213)のいずれか1つであってもよい。
【0173】
【化12】
式(204)~式(213)において、g、e及びfはそれぞれ独立して1~6の整数であり、各「HCC」は炭化水素鎖を表し、各*はR103と式(201)における窒素原子との結合可能点を示し、任意の*位置上の各Hは、式(201)における窒素原子と結合するために置換されてもよい。
【0174】
式(201)に示される化合物は、CN103380113Aの記載により調製されてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態において、前記有機アミンは、式(214)に示される有機アミン及び/又は式(215)に示される有機アミンである。
【0176】
【化13】
【0177】
前記補助脂質は、コレステロール、コレステロールのアナログ及び/又はコレステロールの誘導体であり、
前記PEG化脂質は、1,2-ジパルミトアミド-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)]-2000(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphatidylethanolamine-N-[methoxy(polyethylene glycol)]-2000)である。
【0178】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物において、前記有機アミン、前記補助脂質及び前記PEG化脂質のモル比は(19.7~80):(19.7~80):(0.3~50)であり、例えば、(50~70):(20~40):(3~20)であってもよい。
【0179】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAと上記アミン含有トランスフェクション試薬により形成された薬物組成物粒子は、約30nm~約200nmの平均径を有し、一般に約40nm~約135nmであり、より一般的には、当該リポソーム粒子の平均径は約50nm~約120nm、約50nm~約100nm、約60nm~約90nm又は約70nm~約90nmであり、例えば、当該リポソーム粒子の平均径は、約30、40、50、60、70、75、80、85、90、100、110、120、130、140、150又は160nmである。
【0180】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAと上記アミン含有トランスフェクション試薬により形成された薬物組成物において、siRNAと全脂質(例えば有機アミン、補助脂質及び/又はPEG化脂質)の重量比(重量/重量比)は、約1:1~約1:50、約1:1~約1:30、約1:3~約1:20、約1:4~約1:18、約1:5~約1:17、約1:5~約1:15、約1:5~約1:12、約1:6~約1:12又は約1:6~約1:10の範囲内にあり、例えば、本開示のsiRNAと全脂質の重量比は約1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17又は1:18である。
【0181】
いくつかの実施形態において、前記薬物組成物は、市販時に各成分が独立して存在してもよく、使用時に液体製剤として存在してもよい。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAと上記薬学的に許容可能な担体により形成された薬物組成物は、既知の各種の方法に従い調製されてもよく、従来のsiRNAの代わりに本開示により提供されるsiRNAを用いればよい。いくつかの実施形態において、以下の方法に従い調製されてもよい。
【0182】
有機アミン、補助脂質及びPEG化脂質を上記モル比でアルコールに懸濁させ均一に混合して脂質溶液を得る。アルコールの用量は、得られた脂質溶液の総質量濃度が2~25mg/mL、例えば、8~18mg/mLとなるように決定される。前記アルコールは、薬学的に許容できるアルコール、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400など、室温付近で液体であるアルコールから選択される1種又は複数種であり、例えばエタノールであってもよい。
【0183】
本開示により提供されるsiRNAを緩衝塩溶液に溶解し、siRNA水溶液を得る。緩衝塩溶液の濃度が0.05~0.5Mであり、例えば、0.1~0.2Mであってもよく、緩衝塩溶液のpHを4.0~5.5に調節し、例えば、5.0~5.2であってもよく、緩衝塩溶液の用量は、siRNAの濃度が0.6mg/mL以下、例えば、0.2~0.4mg/mLとなるように決定される。前記緩衝塩は、可溶性酢酸塩、可溶性クエン酸塩から選択される1種又は複数種であり、例えば、酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムであってよい。
【0184】
脂質溶液とsiRNA水溶液を混合した後、得られた生成物を40~60℃で少なくとも2分間、例えば、5~30分間培養し、培養したリポソーム製剤を得る。脂質溶液とsiRNA水溶液の体積比は1:(2~5)である。
【0185】
培養したリポソーム製剤を濃縮又は希釈し、不純物を除去し、除菌し、本開示により提供される薬物組成物を得る。その物理化学的パラメーターとしては、pHが6.5~8であり、封入効率が80%以上であり、粒子径が40~200nmであり、多分散指数が0.30以下であり、浸透圧が250~400mOsm/kgであり、例えば、物理化学的パラメーターとしては、pHが7.2~7.6、封入効率が90%以上、粒子径が60~100nm、多分散指数が0.20以下、浸透圧が300~400mOsm/kgであってもよい。
【0186】
ここで、濃縮又は希釈は、不純物を除去する前、不純物を除去した後又は同時に行われてもよい。不純物を除去する方法としては、従来の各種の方法を採用してもよく、例えば、タンジェンシャルフロー系、中空糸カラムを用い、100KDaの条件で限外濾過し、限外濾過交換溶液をpH7.4のリン酸塩緩衝液(PBS)としてもよい。除菌方法としては、従来の各種の方法を採用してもよく、例えば、0.22μmのフィルターで濾過して除菌してもよい。
【0187】
<siRNA複合体>
本開示は、上記siRNA及び当該siRNAに複合して結合される複合基を含むsiRNA複合体を提供する。
【0188】
一般的には、前記複合基は、薬学的に許容できる少なくとも1つの標的基及び任意のリンカー(linker)を含み、前記siRNA、前記リンカー及び前記標的基は順に結合されている。いくつかの実施形態において、前記標的基は1~6個である。いくつかの実施形態において、前記標的基は2~4個である。前記siRNA分子は、前記複合基に非共有結合的又は共有結合的に複合されてもよく、例えば、前記複合基に共有結合的に複合されてもよい。siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’端又は5’端にあってもよく、アンチセンス鎖の5’端にあってもよく、siRNAの内部配列にあってもよい。いくつかの実施形態において、前記siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’末端にある。
【0189】
いくつかの実施形態において、前記複合基は、ヌクレオチドのリン酸基、2’-位のヒドロキシ基又は塩基に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、前記複合基は、3’-位のヒドロキシ基に結合されてもよく、この場合、ヌクレオチド間が2’-5’リン酸ジエステル結合により結合されている。複合基は、siRNA鎖の末端に結合される場合、通常ヌクレオチドのリン酸基に結合され、siRNAの内部配列に結合される場合、通常リボース糖環或いは塩基に結合される。各種の結合方法については、Muthiah Manoharan et.al. siRNA conjugates carrying sequentially assembled trivalent N-acetylgalactosamine linked through nucleosides elicit robust gene silencing in vivo in hepatocytes. ACS Chemical biology,2015,10 (5):1181~7.を参照することができる。
【0190】
いくつかの実施形態において、前記siRNAと複合基との間が酸不安定又は還元可能な化学結合により結合されてもよく、細胞エンドソームの酸性環境で、これらの化学結合が分解され、siRNAが遊離状態になることができる。分解できない複合方法については、複合基は、siRNAのセンス鎖に結合され、複合によるsiRNA活性への影響をできるだけ低下させることができる。
【0191】
いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基は、siRNA投与分野で通常用いられるリガンド、例えば、WO2009082607A2に記載された各種のリガンドであってもよく、引用によりその開示内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0192】
いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基は、コレステロール、胆汁酸、ビタミン(例えば、トコフェロール)、鎖長が異なる脂質分子等の親油性分子と、ポリエチレングリコール等のポリマーと、膜透過性ペプチド等のポリペプチドと、アプタマーと、抗体と、量子ドットと、ラクトース、ポリラクトース、マンノース、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)等の糖類と、葉酸(folate)と、アシアロ糖タンパク質、アシアロ糖残基、リポタンパク(例えば、高密度リポタンパク、低密度リポタンパク等)、グルカゴン、神経伝達物質(例えば、アドレナリン)、成長因子、トランスフェリン等の肝実質細胞に発現する受容体リガンド等の標的分子又はその誘導体により形成されたリガンドから選択される1種又は複数種であってもよい。
【0193】
いくつかの実施形態において、前記各リガンドは、細胞表面の受容体と結合できるリガンドから独立して選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、肝細胞表面の受容体と結合できるリガンドである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、哺乳動物の肝細胞表面の受容体と結合できるリガンドである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、ヒト肝細胞表面の受容体と結合できるリガンドである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)と結合できるリガンドである。これらのリガンドの種類は、当業者に公知であり、その作用として、一般的に標的細胞表面の特異的受容体と結合し、リガンドに結合されるsiRNAの標的細胞への送達を媒介する。
【0194】
いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基は、哺乳動物の肝細胞表面におけるアシアロ糖タンパク質受容体と結合するいずれか1種のリガンドであってもよい。いくつかの実施形態において、各リガンドは、独立してアシアロ糖タンパク質、例えば、アシアロオロソムコイド(asialoorosomucoid、ASOR)又はアシアロフェチュイン(asialofetuin、ASF)である。いくつかの実施形態において、前記リガンドは、糖又は糖の誘導体である。
【0195】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは糖である。いくつかの実施形態において、各リガンドはいずれも糖である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは、単糖、多糖、修飾単糖、修飾多糖又は糖誘導体である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの前記リガンドは、単糖、二糖又は三糖であってもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのリガンドは修飾糖である。いくつかの実施形態において、各リガンドは、いずれも修飾糖である。いくつかの実施形態において、各リガンドは、いずれも独立して多糖、修飾多糖、単糖、修飾単糖、多糖誘導体又は単糖誘導体から選択される。いくつかの実施形態において、リガンドのそれぞれ又は少なくとも1つは、グルコース及びその誘導体、マンナン及びその誘導体、ガラクトース及びその誘導体、キシロース及びその誘導体、リボース及びその誘導体、フコース及びその誘導体、ラクトース及びその誘導体、マルトース及びその誘導体、アラビノース及びその誘導体、フルクトース及びその誘導体並びにシアル酸からなる群から選択される。
【0196】
いくつかの実施形態において、各前記リガンドは、D-マンノピラノース、L-マンノピラノース、D-アラビノース、D-キシロフラノース、L-キシロフラノース、D-グルコース、L-グルコース、D-ガラクトース、L-ガラクトース、α-D-マンノフラノース、β-D-マンノフラノース、α-D-マンノピラノース、β-D-マンノピラノース、α-D-グルコピラノース、β-D-グルコピラノース、α-D-グルコフラノース、β-D-グルコフラノース、α-D-フルクトフラノース、α-D-フルクトピラノース、α-D-ガラクトピラノース、β-D-ガラクトピラノース、α-D-ガラクトフラノース、β-D-ガラクトフラノース、グルコサミン、シアル酸、ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-トリフルオロアセチルガラクトサミン、N-プロピオニルガラクトサミン、N-n-ブチリルガラクトサミン、N-イソブチリルガラクトサミン、2-アミノ-3-O-[(R)-1-カルボキシエチル]-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース、2-デオキシ-2-メチルアミノ-L-グルコピラノース、4,6-ジデオキシ-4-ホルムアミド-2,3-ジ-O-メチル-D-マンノピラノース、2-デオキシ-2-スルホアミノ-D-グルコピラノース、N-グリコリル-α-ノイラミン酸、5-チオ-β-D-グルコピラノース、メチル2,3,4-トリス-O-アセチル-1-チオ-6-O-トリチル-α-D-グルコピラノシド(methyl 2,3,4-tris-O-acetyl-1-thio-6-O-trityl-α-D-glucopyranoside)、4-チオ-β-D-ガラクトピラノース、エチル3,4,6,7-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-1,5-ジチオ-α-D-グルコヘプトピラノシド、2,5-アンヒドロ-D-アロニトリル、リボース、D-リボース、D-4-チオリボース、L-リボース又はL-4-チオリボースから独立して選択されてもよい。前記リガンドの他の選択肢は、例えば、CN105378082Aの記載を参照してもよく、引用によりその開示内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0197】
いくつかの実施形態において、前記siRNA複合体における、薬学的に許容できる標的基は、ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミンであってもよく、ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン分子は、1価、2価、3価、4価であってもよい。ここでいう1価、2価、3価、4価は、それぞれsiRNA分子と、標的基としてのガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン分子を含む複合基から形成されたsiRNA複合体におけるsiRNA分子とガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン分子とのモル比が1:1、1:2、1:3又は1:4であることを指すと理解すべきである。いくつかの実施形態において、前記薬学的に許容できる標的基はN-アセチルガラクトサミンである。いくつかの実施形態において、本開示に記載されたsiRNAがN-アセチルガラクトサミンを含む複合基と複合する場合、N-アセチルガラクトサミン分子は3価又は4価である。いくつかの実施形態において、本開示に記載されたsiRNAがN-アセチルガラクトサミンを含む複合基と複合する場合、N-アセチルガラクトサミン分子は3価である。
【0198】
標的基は、適切なリンカーを介してsiRNA分子に結合されてもよく、当業者は、標的基の具体的な種類により適切なリンカーを選択することができる。これらのリンカー、標的基の種類及びsiRNAへの結合方法については、WO2015006740A2の開示内容を参照してもよく、引用によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0199】
いくつかの実施形態において、前記標的基がN-アセチルガラクトサミンである場合、適切なリンカーは、式(301)に示される構造であってもよい。
【0200】
【化14】
式中、
kは1~3の整数であり、
は、式(302)に示される構造を有するアミド結合を含む鎖状部であり、各前記Lは、その両端でそれぞれ1つの前記標的基及び前記L部にエーテル結合により結合される。
【0201】
【化15】
は、式(303)に示される構造を有するN-アシルピロリジンを含む鎖状部であり、前記鎖状部は、その一端にカルボニル基を有し、前記L部にアミド結合により結合され、他端に酸素基を有し、前記siRNAにリン酸エステル結合により結合される。
【0202】
【化16】
は、ヒドロキシメチルアミノメタン、ジヒドロキシメチルアミノメタン又はトリヒドロキシメチルアミノメタンに基づく2~4価のリンカー基であり、前記Lは、酸素原子を介してエーテル結合により各前記L部に結合されるとともに、窒素原子を介してアミド結合により前記L部に結合される。
【0203】
いくつかの実施形態において、n=3であり、Lがトリヒドロキシメチルアミノメタンに基づく4価のリンカー基である場合、リンカーとしての-(Lトリヒドロキシメチルアミノメタン-L-によりN-アセチルガラクトサミン分子とsiRNA分子を結合して形成されたsiRNA複合体は、その構造が以下の式(304)に示される。
【0204】
【化17】
式中、二重螺旋構造はsiRNAを表す。
【0205】
同様に、siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’端又は5’端にあってもよく、アンチセンス鎖の5’端にあってもよく、siRNAの内部配列にあってもよい。
【0206】
いくつかの実施形態において、本開示に記載されたsiRNAのセンス鎖の3’末端は、リンカー-(Lトリヒドロキシメチルアミノメタン-L-により3個のN-アセチルガラクトサミン分子に共有結合的に複合され、siRNA分子とGalNAc分子とのモル比が1:3である、構造が以下の式(305)に示されるsiRNA複合体(以下、(GalNAc)-siRNAともいう)を得る。
【0207】
【化18】
式中、二重螺旋構造は前記siRNAを表し、前記リンカーは前記siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される。
【0208】
いくつかの実施形態において、前記標的基がN-アセチルガラクトサミンである場合、適切なリンカーは、式(306)に示される構造であってもよい。
【0209】
【化19】
式中、
lは0~3の整数であり、
*は、リンカーにおいてエーテル結合により標的基に結合される部位を表し、
#は、リンカーにおいてリン酸エステル結合によりsiRNAに結合される部位を表す。
【0210】
いくつかの実施形態において、l=2である場合、前記siRNA複合体は、式(307)に示される構造を有する。
【0211】
【化20】
式中、二重螺旋構造は前記siRNAを表し、前記リンカーは前記siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される。
【0212】
上記複合体は、従来技術において既に詳しく記載された方法により合成されてもよい。例えば、WO2015006740A2には、複数種の複合体の調製方法が詳しく記載されている。当業者によく知られている方法により、本開示のsiRNA複合体を得る。例えば、WO2014025805A1には、式(305)に示される構造の調製方法が記載されており、Rajeevらは、ChemBioChem 2015,16,903-908に式(307)に示される構造の調製方法を記載した。
【0213】
いくつかの実施形態において、前記siRNA複合体は、式(308)に示される構造を有する。
【0214】
【化21】
式中、
n1は、1~3から選択される整数であり、n3は、0~4から選択される整数であり、
m1、m2及びm3は独立して、2~10から選択される整数であり、
10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、Hであり、又はC-C10アルキル基、C-C10ハロゲン化アルキル基及びC-C10アルコキシ基からなる群から選択され、
は式A59に示される構造の基である。
【0215】
【化22】
式中、E1はOH、SH又はBHであり、Nuは本開示のsiRNAである。
【0216】
は、長さ1~20の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)、C-C10アルケニレン基、C-C10アルキニレン基、C-C10アリーレン基、C-C18ヘテロシクリレン基及びC-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、Rは、C-C10アルキル基、C-C10アリール基、C-C10ヘテロアリール基、C-C10ハロゲン化アルキル基、-OC-C10アルキル基、-OC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-OH、-OC-C10ハロゲン化アルキル基、-SC-C10アルキル基、-SC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-SH、-SC-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH、-C-C10アルキル-NH、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキルフェニル基)、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-COH、-C(O)O(C-C10アルキル基)、-CON(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-CONH(C-C10アルキル基)、-CONH、-NHC(O)(C-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C-C10アルキル基、-C(O)C-C10アルキルフェニル基、-C(O)C-C10ハロアルキル基、-OC(O)C-C10アルキル基、-SO(C-C10アルキル基)、-SO(フェニル基)、-SO(C-C10ハロゲン化アルキル基)、-SONH、-SONH(C-C10アルキル基)、-SONH(フェニル基)、-NHSO(C-C10アルキル基)、-NHSO(フェニル基)及び-NHSO(C-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
各Lは、長さ1~70の炭素原子の直鎖アルキレン基であり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)、C-C10アルケニレン基、C-C10アルキニレン基、C-C10アリーレン基、C-C18ヘテロシクリレン基及びC-C10ヘテロアリーレン基からなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、Lは、C-C10アルキル基、C-C10アリール基、C-C10ヘテロアリール基、C-C10ハロゲン化アルキル基、-OC-C10アルキル基、-OC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-OH、-OC-C10ハロゲン化アルキル基、-SC-C10アルキル基、-SC-C10アルキルフェニル基、-C-C10アルキル-SH、-SC-C10ハロゲン化アルキル基、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH、-C-C10アルキル-NH、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキル基)、-NH(C-C10アルキルフェニル基)、-N(C-C10アルキル基)(C-C10アルキルフェニル基)、シアノ基、ニトロ基、-COH、-C(O)O(C-C10アルキル基)、-CON(C-C10アルキル基)(C-C10アルキル基)、-CONH(C-C10アルキル基)、-CONH、-NHC(O)(C-C10アルキル基)、-NHC(O)(フェニル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(C-C10アルキル基)、-N(C-C10アルキル基)C(O)(フェニル基)、-C(O)C-C10アルキル基、-C(O)C-C10アルキルフェニル基、-C(O)C-C10ハロアルキル基、-OC(O)C-C10アルキル基、-SO(C-C10アルキル基)、-SO(フェニル基)、-SO(C-C10ハロゲン化アルキル基)、-SONH、-SONH(C-C10アルキル基)、-SONH(フェニル基)、-NHSO(C-C10アルキル基)、-NHSO(フェニル基)及び-NHSO(C-C10ハロゲン化アルキル基)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよい。
【0217】
いくつかの実施形態において、Lは、A1~A26の基又はその任意の組合せからなる群から選択されてもよく、A1~A26の構造と定義は以下のとおりである。
【0218】
【化23】
式中、j1は1~20の整数であり、j2は1~20の整数であり、
R’はC-C10のアルキル基であり、
Raは、式A27~A45の基又はその任意の組合せからなる群から選択される。
【0219】
【化24】
RbはC-C10のアルキル基であり、
は、基が分子の残りの部分に結合される部位を表す。
【0220】
便宜上、Lは、線形アルキレン基として定義されるが、例えば上述の取替及び/又は置換によって生じるアミンやアルケニル基で、線形基ではない、又は名称が異なる可能性があることは、当業者に理解される。本開示内容の目的のために、Lの長さは、2つの結合点を結合する鎖における原子数である。この目的のために、前記直鎖アルキレンの炭素原子を置換して得られた環(例えば、ヘテロシクリレン又はヘテロアリーレン)を、1個の原子とする。
【0221】
は、標的基を表し、その定義と選択可能な範囲は上記標的基と同じである。いくつかの実施形態において、各Mは、哺乳動物の肝臓細胞表面におけるアシアロ糖タンパク質受容体に対して親和力を有するリガンドから独立して選択される1つである。
【0222】
が哺乳動物の肝臓細胞表面におけるアシアロ糖タンパク質受容体に対して親和力を有するリガンドである場合、いくつかの実施形態において、n1は、1~3の整数であってもよく、n3は、0~4の整数であってもよく、前記複合体におけるM標的基の個数が少なくとも2であることを確保する。いくつかの実施形態において、n1+n3≧2であり、これにより、M標的基の個数が少なくとも3であり、M標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体をより容易に結合させ、さらに前記複合体がエンドサイトーシス(細胞内取込み)作用により細胞に取り込まれることを促進することができる。実験から分かるように、M標的基の個数が3個以上である場合、M標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合の容易さの向上が明らかではないので、合成の容易さ、構造/プロセスコスト及び送達効率等の多方面を総合的に考慮すると、いくつかの実施形態において、n1は1~2の整数であり、n3は0~1の整数であり、かつ、n1+n3=2~3である。
【0223】
いくつかの実施形態において、m1、m2及びm3は、独立して2~10の整数から選択される場合、複数のM標的基間の空間位置をM標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合に適合させることができる。本開示により提供される複合体をより簡略化し、より合成しやすく、及び/又はコストを低下させるために、いくつかの実施形態において、m1、m2及びm3は、それぞれ独立して2~5の整数であり、いくつかの実施形態において、m1=m2=m3である。
【0224】
10、R11、R12、R13、R14及びR15が、H、C-C10アルキル基、C-C10ハロゲン化アルキル基及びC-C10アルコキシからそれぞれ独立して選択される1つである場合、いずれも本開示の複合体の性質を変化させることなく、本開示の目的を実現することができることは、当業者に理解され得る。いくつかの実施形態において、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立してH、メチル基及びエチル基から選択される。いくつかの実施形態において、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、いずれもHである。
【0225】
は、式A59に示される構造の基であり、そのうち、EはOH、SH又はBHであり、調製原料の入手しやすさを考慮し、いくつかの実施形態において、EはOH又はSHである。
【0226】
は、窒素含有骨格上のNとA59との結合を実現するために選択される。本開示の文脈において、「窒素含有骨格」とは、R10、R11、R12、R13、R14及びR15が結合された炭素原子とNが互いに結合している鎖状構造を指す。したがって、Rは、適当な方法でA59基を窒素含有骨格上のNに結合することができる任意のリンカー基であってもよい。いくつかの実施形態において、固相合成プロセスにより式(308)に示されるsiRNA複合体を調製する場合に、R基には、窒素含有骨格上のNに結合される結合部位及びRにおけるPに結合される結合部位がともに含まれる必要がある。いくつかの実施形態において、Rにおける前記窒素含有骨格中のNに結合される部位は、Nとアミド結合を形成し、前記R上のPに結合される部位は、Pとリン酸エステル結合を形成し、いくつかの実施形態において、Rは、B5、B6、B5’又はB6’であってもよい。
【0227】
【化25】
式中、
は、基が共有結合的に結合する部位を表す。
【0228】
の値の範囲は、1~10の整数であってもよく、いくつかの実施形態において、qは1~5の整数である。
【0229】
は、M標的基と窒素含有骨格上のNを結合し、式(308)に示されるsiRNA複合体に肝標的機能を提供するという役割を果たす。いくつかの実施形態において、Lは、式A1~A26の基から選択される1又は複数の結合の組合せである。いくつかの実施形態において、Lは、A1、A4、A5、A6、A8、A10、A11及びA13から選択される1又は複数の結合の組合せである。いくつかの実施形態において、Lは、A1、A4、A8、A10及びA11から選択される少なくとも2つの結合の組合せである。いくつかの実施形態において、Lは、A1、A8、A10から選択される少なくとも2つの結合の組合せである。
【0230】
いくつかの実施形態において、Lの長さは、3~25個の原子、3~20個の原子、4~15個の原子又は5~12個の原子であってもよい。いくつかの実施形態において、Lの長さは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個の原子である。
【0231】
いくつかの実施形態において、j1は2~10の整数であり、いくつかの実施形態において、j1は3~5の整数である。いくつかの実施形態において、j2は2~10の整数であり、いくつかの実施形態において、j2は3~5の整数である。R’はC-Cのアルキル基であり、いくつかの実施形態において、R’は、メチル基、エチル基及びイソプロピル基の1つである。Raは、A27、A28、A29、A30及びA31の1つであり、いくつかの実施形態において、Raは、A27又はA28である。Rbは、C-Cのアルキル基であり、いくつかの実施形態において、Rbは、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びブチル基の1つである。いくつかの実施形態において、式A1~A26においてそれぞれj1、j2、R’、Ra、Rbを選択することにより、M標的基と窒素含有骨格上のNとの結合を実現し、M標的基間の空間位置をM標的基と肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合にさらに適合させる。
【0232】
いくつかの実施形態において、該複合体は、式(403)、(404)、(405)、(406)、(407)、(408)、(409)、(410)、(411)、(412)、(413)、(414)、(415)、(416)、(417)、(418)、(419)、(420)、(421)又は(422)に示される構造を有する。
【0233】
【化26】
【0234】
いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNA配列における任意の可能な位置に結合されてもよく、例えば、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれか1つのヌクレオチドに結合されてもよく、いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖のいずれか1つのヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の端部に結合され、いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の端部に結合される。前記端部とは、前記センス鎖又は前記アンチセンス鎖においてその一端から前の4個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の末端に結合され、いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される。siRNAのセンス鎖の上記位置に結合される場合に、式(308)に示されるsiRNA複合体は、細胞に入り込んだ後、巻き戻されるときに、単独のsiRNAのアンチセンス鎖を放出し、APOC3 mRNAがタンパク質を翻訳する過程を遮断し、アンジオポエチン様タンパク質3の遺伝子発現を抑制することができる。
【0235】
いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAにおけるヌクレオチド上の任意の可能な位置、例えば、ヌクレオチドの5’位、ヌクレオチドの2’位、ヌクレオチドの3’位又はヌクレオチドの塩基に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、リン酸ジエステル結合を形成することにより前記siRNAにおけるヌクレオチドの2’位、3’位又は5’位に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の3’末端ヌクレオチドの3’ヒドロキシ基を脱水素した酸素原子に結合され(このとき、A59におけるPは、siRNAに含まれるリン酸基のPと見なすこともできる)、或いは、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖における1つのヌクレオチドの2’-ヒドロキシ基中の水素を置換することによりヌクレオチドに結合され、或いは、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の5’末端ヌクレオチドの5’ヒドロキシ基中の水素を置換することによりヌクレオチドに結合される。
【0236】
本開示の発明者は、本開示のsiRNA複合体が、顕著に向上した血漿中安定性、低いオフターゲット効果を有するとともに、明らかに低下していないAPOC3 mRNAサイレンシング活性をさらに示し、さらに高い脂質抑制作用を有することを意外にも見出した。したがって、いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA複合体におけるsiRNAは、表1、表2、表3、表4、表5に示される。
【0237】
【表1】
【0238】
【表2】
【0239】
【表3】
【0240】
【表4】
【0241】
【表5】
【0242】
本開示に記載されたsiRNA又はsiRNA複合体において、各隣接するヌクレオチド間がリン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合により結合され、リン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合における非架橋酸素原子又は硫黄原子は、負電荷を帯び、ヒドロキシ基又はスルフヒドリル基(Sulfhydryl group)として存在してもよく、ヒドロキシ基又はスルフヒドリル基における水素イオンは、一部又は全部がカチオンで置換されてもよい。前記カチオンは、任意のカチオン、例えば、金属カチオン、アンモニウムイオンNH 、有機アンモニウムカチオンの1つであってもよい。溶解性の向上を考慮し、1つの実施形態において、前記カチオンは、アルカリ金属イオン、第3級アミンにより形成されたアンモニウムカチオン及び4級アンモニウムカチオンから選択される1種又は複数種である。アルカリ金属イオンは、K及び/又はNaであってもよく、第3級アミンにより形成されたカチオンは、トリエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオン、及び/又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオンであってもよい。したがって、本開示に記載されたsiRNA又はsiRNA複合体は、少なくとも一部が塩として存在してもよい。1つの態様において、リン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合における非架橋酸素原子又は硫黄原子は、少なくとも一部がナトリウムイオンに結合され、本開示に記載されたsiRNA又はsiRNA複合体は、ナトリウム塩又は部分ナトリウム塩として存在する。
【0243】
当業者であれば明らかに知っているように、対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを用いることにより修飾ヌクレオチド基を本開示に記載されたsiRNAに導入することができる。対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを調製する方法、及び修飾ヌクレオチド基をsiRNAに導入する方法も、当業者によく知られている。全ての修飾ヌクレオシドモノマーは、市販品として購入されてもよく、既知の方法により調製されてもよい。
【0244】
<式(308)に示されるsiRNA複合体の調製>
任意の合理的な合成経路により式(308)に示されるsiRNA複合体を調製してもよい。
【0245】
いくつかの実施形態において、式(308)に示されるsiRNA複合体は、以下の方法により調製することができる。当該方法は、ホスホルアミダイト固相合成の条件で、それぞれsiRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖のヌクレオチド種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖を単離し、アニールを行うことを含み、前記siRNAは、上記本開示のsiRNAである。
【0246】
また、当該方法は、カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、式(321)に示される化合物を、ヌクレオシドモノマー又は固相担体に結合されたヌクレオチド配列と接触させ、式(321)に示される化合物をカップリング反応させてヌクレオチド配列に結合することをさらに含む。以下に、式(321)に示される化合物は、複合分子とも呼ばれる。
【0247】
【化27】
式中、
は、式(308)に示される化合物におけるNuに示されるsiRNAに結合可能な基である。いくつかの実施形態において、Rは、共有結合によりNuに示されるsiRNAに結合可能な基である。いくつかの実施形態において、Rは、反応を経てリン酸ジエステル結合によりNuに示されるsiRNAの任意の官能基に複合可能な基であり、
各Sは、独立してMにおいて全ての活性ヒドロキシ基がYCOO-基で置換された基であり、各Yは、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ハロフェニル基及びアルキルフェニル基から独立して選択される1つであり、いくつかの実施形態において、Yはメチル基である。
【0248】
n1、n3、m1、m2、m3、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L、Mそれぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりである。
【0249】
は、窒素含有骨格上のNとの結合を実現し、式(308)に示されるsiRNA複合体の合成に適切な反応部位を提供するために選択される。いくつかの実施形態において、Rには、Rリンカー基又は保護されたRリンカー基、及び反応させることによりsiRNAとA59に示される構造を形成することができる官能基が含まれる。
【0250】
いくつかの実施形態において、Rは、Nuに示されるsiRNA又はヌクレオシドモノマー上の基と亜リン酸エステルを形成することができる第1の官能基と、ヒドロキシ基又はアミノ基と反応させて共有結合を形成することができる第2の官能基または前記共有結合により結合された固相担体とを含む。いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、ホスホルアミダイト、ヒドロキシ基又は保護されたヒドロキシ基である。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、ホスホルアミダイト、カルボキシ基又はカルボン酸塩である。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、共有結合を介して分子の他の部分に結合される固相担体であり、前記共有結合は、ヒドロキシ基又はアミノ基により形成されている。いくつかの実施形態において、前記固相担体は、リン酸エステル結合、カルボン酸エステル結合又はアミド結合を介して結合されている。いくつかの実施形態において、前記固相担体は樹脂である。
【0251】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、ヒドロキシ基、-OR又は式(C3)に示される基を含み、前記第2の官能基は、式(C1)、(C2)、(C3)、(C1’)又は(C3’)に示される構造を含む。
【0252】
【化28】
式中、qは1~4の整数であり、XはO又はNHであり、M+はカチオンであり、Rはヒドロキシ保護基であり、SPSは固相担体を表し、
は、基が分子の残りの部分に結合される部位を表す。
【0253】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、式(C3)に示されるように、ホスホルアミダイト基を含み、当該ホスホルアミダイト基は、ヌクレオチド上の任意位置のヒドロキシ基、例えば、2’位のヒドロキシ基又は3’位のヒドロキシ基とカップリング反応させて亜リン酸エステルを形成し、酸化又は硫化されて式A59に示されるリン酸ジエステル結合又はチオリン酸エステル結合を形成し、複合分子をsiRNAに複合することができる。この場合、前記第2の官能基が存在しなくても、式(321)の化合物は、ヌクレオチドに複合することができ、式(308)に示されるsiRNA複合体の取得に影響することはない。この場合に、ホスホルアミダイト固相合成等の方法によりsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得た後、式(321)の化合物と、ヌクレオチド配列において末端ヌクレオチド上のヒドロキシ基を反応させ、後の酸化又は硫化過程においてリン酸ジエステル結合結合又はチオリン酸エステル結合を形成し、式(321)の化合物をsiRNAに複合させる。
【0254】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、保護されたヒドロキシ基を含む。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、固相担体と反応できる基を含み、前記反応により固相担体を含む複合分子を提供する。いくつかの実施形態において、前記第2の官能基は、式(C1)、(C2)又は(C3)に示されるように、カルボキシ基、カルボン酸塩又はホスホルアミダイトを含む。前記第2の官能基がカルボキシ基又はカルボン酸塩を含む場合、式(321)の化合物と固相担体、例えば、樹脂におけるヒドロキシ基又はアミノ基をエステル化反応又はアミド化反応させ、カルボン酸エステル結合により結合された、固相担体を含む複合分子を形成する。前記第2の官能基がホスホルアミダイト官能基を含む場合、式(321)の化合物と汎用の固相担体、例えば、樹脂におけるヒドロキシ基をカップリング反応させ、酸化されてリン酸ジエステル結合により結合された、固相担体を含む複合分子を形成する。その後、上記固相担体が結合された生成物を出発とし、ホスホルアミダイト固相合成方法に従いヌクレオシドモノマーを順に結合し、複合基が結合されたsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得る。ホスホルアミダイト固相合成過程において、前記第1の官能基は、脱保護され、その後、カップリング反応条件下でヌクレオシドモノマーにおけるホスホルアミダイト基とカップリングさせる。
【0255】
いくつかの実施形態において、前記第1の官能基は、ヒドロキシ基又は保護されたヒドロキシ基を含み、前記第2の官能基は、式(C1’)又は(C3’)に示されるように、カルボン酸エステル結合により結合された固相担体又はアミド結合により結合された固相担体、又はリン酸エステル結合により結合された固相担体を含む。この場合、出発として固相担体の代わりに式(321)の化合物を用い、ホスホルアミダイト固相合成方法に従いヌクレオシドモノマーを順に結合し、複合基が結合されたsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得る。
【0256】
いくつかの実施形態において、カルボン酸塩は、-COOで表されてもよく、ここで、Mはカチオンであり、例えば、金属カチオン、アンモニウムカチオンNH 、有機アンモニウムカチオンから選択される1つである。1つの実施形態において、前記金属イオンは、アルカリ金属イオンから選択される1つであり、例えば、K又はNaである。溶解性を向上させ、反応をスムーズに行うことを考慮して、いくつかの実施形態において、有機アンモニウムイオンは、第3級アミンにより形成されたアンモニウムカチオン又は4級アンモニウムカチオン、例えば、トリエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンにより形成されたアンモニウムイオンである。いくつかの実施形態において、カルボン酸塩は、トリエチルアミンカルボン酸塩又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンカルボン酸塩である。
【0257】
いくつかの実施形態において、Rは、式(B9)、(B10)、(B9’)、(B10’)、(B11)、(B12)、(B11’)又は(B12’)に示される構造を含む。
【0258】
【化29】
式中、qは1~4の整数であり、qは1~10の整数であり、XはO又はNHであり、Mはカチオンであり、Rはヒドロキシ保護基であり、SPSは固相担体を表し、
は、基が分子の残りの部分に結合される部位を表す。いくつかの実施形態において、qは1又は2である。いくつかの実施形態において、qは1~5の整数である。いくつかの実施形態において、Rは、式(B9)又は(B10)に示される構造を含む。いくつかの実施形態において、Rは、式(B11)又は(B12)に示される構造を含む。
【0259】
いくつかの実施形態において、Rは、Tr(トリチル基)、MMTr(4-メトキシトリチル基)、DMTr(4,4’-ビスメトキシトリチル基)、TMTr(4,4’,4’-トリメトキシトリチル基)の1又は複数である。いくつかの実施形態において、Rは、DMTr、即ち、4,4’-ビスメトキシトリチル(4,4’-dimethoxytrityl)であってもよい。
【0260】
の定義は、前述したとおりである。
【0261】
いくつかの実施形態において、Lは、M標的基を窒素含有骨格上のN原子に結合し、式(308)に示されるsiRNA複合体に肝標的機能を提供するために用いられる。いくつかの実施形態において、Lは、A1~A26のいずれか1つ又はその組合せを含む。
【0262】
上記記載により、当業者であれば容易に理解できるように、本分野で公知のホスホルアミダイト固相合成方法と比較して、上記第1の官能基及び任意の第2の官能基により、複合分子がヌクレオチド配列の任意の可能な位置、例えば、ヌクレオチド配列の端部、ヌクレオチド配列の末端に結合された、式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。これに応じて、特に説明がない限り、以下に複合体及び/又は複合分子の調製に関する記載において、「脱保護」、「カップリング」、「キャッピング」、「酸化」、「硫化」等の反応に言及する場合、本分野で公知のホスホルアミダイト核酸の固相合成方法に係る反応条件と試薬もまた同様にこれらの反応に適用されると理解すべきである。例示的な反応条件と試薬は、以下に詳細に説明する。
【0263】
いくつかの実施形態において、各Sは、独立してMである。いくつかの実施形態において、各Sは、独立してMにおいて少なくとも1つの活性ヒドロキシ基がヒドロキシ保護基で保護された基である。いくつかの実施形態において、各Sは、独立してMに存在する活性ヒドロキシ基が全てヒドロキシ保護基で保護された基である。いくつかの実施形態において、当業者に既知のあらゆるヒドロキシ保護基を、Mにおける活性ヒドロキシ基を保護するために用いることができる。いくつかの実施形態において、保護されたヒドロキシ基は、式YCOO-で表されてもよく、各Yは、独立してC-C10アルキル基及びC-C10アリール基からなる群から選択され、前記C-C10アルキル基及びC-C10アリール基は、1又は複数の置換基で任意に置換され、前記置換基は、ハロゲン及びC-Cアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、各Yは、独立して、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ハロフェニル基及びC-Cアルキルフェニル基からなる群から選択される。
【0264】
いくつかの実施形態において、各Sは、それぞれ独立して式A46~A54からなる群から選択される。
【0265】
【化30】
【0266】
いくつかの実施形態において、Sは式A49又はA50である。
【0267】
いくつかの実施形態において、各Yは、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ハロフェニル基及びアルキルフェニル基から独立して選択される1つであり、いくつかの実施形態において、Yはメチル基である。
【0268】
前述したように、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、siRNAの他方の鎖を合成し(例えば、上記工程で、複合分子が結合されたsiRNAのセンス鎖を合成した場合、固相合成方法に従いsiRNAのアンチセンス鎖を合成することをさらに含み、その逆も同様である)、センス鎖及びアンチセンス鎖を単離し、かつ、アニールを行う工程をさらに含む。具体的には、単離工程において、ヌクレオチド配列及び/又は複合分子に結合される固相担体が切断されるとともに、必要な保護基が除去され(この場合、式(321)の化合物における各S基が、対応するM標的基に変換される)、複合分子が結合されたsiRNAのセンス鎖(又はアンチセンス鎖)及び対応するアンチセンス鎖(又はセンス鎖)が得られ、センス鎖とアンチセンス鎖をアニールして二本鎖RNA構造を形成し、式(308)に示されるsiRNA複合体を得る。
【0269】
いくつかの実施形態において、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、式(321)に示される化合物をセンス鎖又はアンチセンス鎖の3’端の1番目のヌクレオシドモノマーと接触させ、式(321)に示される化合物を配列における1番目のヌクレオチドに結合させ、ホスホルアミダイト固相合成の条件で、所望のセンス鎖又はアンチセンス鎖のヌクレオチドの種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を合成する工程であって、(321)の化合物は、Rに、保護されたヒドロキシ基を含む第1の官能基、及び式(C1’)又は(C3’)に示される構造を有する第2の官能基が含まれる、式(321)に示される化合物であり、1番目のヌクレオシドモノマーと結合する前に、式(321)の化合物を脱保護し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、複合基が結合された核酸のセンス鎖又はアンチセンス鎖を得る工程;ホスホルアミダイト固相合成の条件で、アンチセンス鎖又はセンス鎖のヌクレオチドの種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、核酸のアンチセンス鎖又はセンス鎖を合成し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、保護基を除去して固相担体から切断し、単離精製して核酸のセンス鎖及びアンチセンス鎖を得、アニールを行う工程を含む。
【0270】
いくつかの実施形態において、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、当該二本鎖siRNAにおけるセンス鎖又はアンチセンス鎖のヌクレオチドの種類と順序により、3’から5’に向かってヌクレオシドモノマーを順に結合し、センス鎖及びアンチセンス鎖を合成し、各ヌクレオシドモノマーの結合が脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を含み、固相担体に結合されたセンス鎖、及び固相担体に結合されたアンチセンス鎖を得る工程;カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、式(321)に示される化合物を、固相担体に結合されたセンス鎖又は固相担体に結合されたアンチセンス鎖と接触させ、Rにホスホルアミダイト基である第1の官能基が含まれる式(321)の化合物をセンス鎖又はアンチセンス鎖に結合させる工程;保護基を除去して固相担体から切断し、それぞれ単離精製し、複合基が結合されたsiRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖を得、アニールを行う工程を含む。
【0271】
いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAにおけるセンス鎖の3’末端に結合され、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法は、
(1)式(321)の化合物(式(321)の化合物は、Rに、保護されたヒドロキシ基ORを含む第1の官能基、及び式(C1’)又は(C3’)に示される構造を有する第2の官能基が含まれる化合物である)におけるヒドロキシ保護基Rを除去し、カップリング反応条件及びカップリング試薬の存在下で、脱保護された生成物をヌクレオシドモノマーと接触させ、複合分子により固相担体に結合されるヌクレオシドモノマーを得ること、
(2)当該複合分子により固相担体に結合されるヌクレオシドモノマーを出発とし、3’-5’の方向に、ホスホルアミダイト固相合成方法によりsiRNAのセンス鎖を合成すること、
(3)ホスホルアミダイト固相合成方法により、siRNAのアンチセンス鎖を合成すること、
(4)siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖を単離してアニールし、式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることを含む。
【0272】
工程(1)において、式(321)の化合物における保護基Rを除去する方法は、脱保護条件で、式(321)の化合物を脱保護試薬と接触させることを含む。脱保護条件としては、温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間は30~300秒、いくつかの実施形態では50~150秒であり、脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸から選択される1種又は複数種であってもよく、いくつかの実施形態ではジクロロ酢酸である。脱保護試薬と式(321)の化合物とのモル比は10:1~1000:1であり、いくつかの実施形態では50:1~500:1である。
【0273】
前記カップリング反応条件とカップリング試薬としては、上記カップリング反応に適した任意の条件と試薬を用いてもよい。いくつかの実施形態において、採用される固相合成方法におけるカップリング反応と同じ条件と試薬を用いてもよい。
【0274】
いくつかの実施形態において、前記カップリング反応の条件として、反応温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃である。式(321)の化合物とヌクレオシドモノマーとのモル比は1:1~1:50であり、いくつかの実施形態では1:2~1:5である。式(321)の化合物とカップリング試薬とのモル比は1:1~1:50であってもよく、いくつかの実施形態では1:3~1:10であり、反応時間は200~3000秒、いくつかの実施形態では500~1500秒である。カップリング試薬は、1H-テトラゾール、5-エチルチオ1H-テトラゾール、5-ベンジルチオ1H-テトラゾールから選択される1種又は複数種であり、いくつかの実施形態では5-エチルチオ1H-テトラゾールである。前記カップリング反応は、有機溶剤で行われてもよく、前記有機溶剤は、無水アセトニトリル、無水DMF、無水ジクロロメタンから選択される1種又は複数種であり、いくつかの実施形態では無水アセトニトリルである。式(321)の化合物に対して、前記有機溶剤の用量は3~50L/mol、いくつかの実施形態では5~20L/molである。
【0275】
工程(2)において、ホスホルアミダイト核酸固相合成方法により、上記工程で調製された複合分子により固相担体に結合されるヌクレオシドモノマーを出発とし、3’-5’の方向に、第2のsiRNA複合体のセンス鎖Sを合成する。この場合、複合基は、得られたセンス鎖の3’末端に結合される。
【0276】
工程(2)及び(3)における前記固相合成の他の条件としては、ヌクレオシドモノマーの脱保護条件、脱保護試薬の種類と用量、カップリング反応条件、カップリング試薬の種類と用量、キャッピング反応の条件、キャッピング試薬の種類と用量、酸化反応条件、酸化試薬の種類と用量、硫化反応条件、硫化試薬の種類と用量を含み、本分野で通常用いられる各種の試薬、用量及び条件を採用する。
【0277】
例えば、いくつかの実施形態において、工程(2)及び(3)において、前記固相合成では、以下の条件を用いてもよい。
【0278】
ヌクレオシドモノマーの脱保護条件としては、温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間は30~300秒、いくつかの実施形態では50~150秒であり、脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸から選択される1種又は複数種であってもよく、いくつかの実施形態ではジクロロ酢酸である。脱保護試薬と固相担体における4,4’-ジメトキシトリチル保護基とのモル比は2:1~100:1であってもよく、いくつかの実施形態では3:1~50:1である。
【0279】
カップリング反応条件としては、温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、固相担体に結合される核酸配列とヌクレオシドモノマーとのモル比は1:1~1:50であってもよく、いくつかの実施形態では1:5~1:15であり、固相担体に結合される核酸配列とカップリング試薬とのモル比は1:1~1:100、いくつかの実施形態では1:50~1:80であり、反応時間とカップリング試薬の選択は、前記と同じである。
【0280】
キャッピング反応条件としては、温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間は5~500秒、いくつかの実施形態では10~100秒であり、キャッピング試薬の選択は、前記と同じである。キャッピング試薬の総量と固相担体に結合される核酸配列とのモル比は1:100~100:1、いくつかの実施形態では1:10~10:1である。キャッピング試薬として等モル量の酢酸無水物とN-メチルイミダゾールを用いる場合、酢酸無水物、N-メチルイミダゾール及び固相担体に結合される核酸配列のモル比は1:1:10~10:10:1であり、いくつかの実施形態では1:1:2~2:2:1である。
【0281】
酸化反応条件としては、温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間は1~100秒、いくつかの実施形態では5~50秒であり、酸化試薬は、いくつかの実施形態ではヨウ素である(いくつかの実施形態ではヨウ素水として提供する)。酸化試薬と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比は、1:1~100:1であってもよく、いくつかの実施形態では5:1~50:1である。いくつかの実施形態では、前記酸化反応は、テトラヒドロフラン:水:ピリジン=3:1:1~1:1:3の混合溶剤で行われる。硫化反応条件としては、温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間は50~2000秒、いくつかの実施形態では100~1000秒であり、硫化試薬は、いくつかの実施形態ではキサンタンヒドリドである。硫化試薬と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比は10:1~1000:1であり、いくつかの実施形態では10:1~500:1である。いくつかの実施形態では、前記硫化反応は、アセトニトリル:ピリジン=1:3~3:1の混合溶剤で行われる。
【0282】
全てのヌクレオシドモノマーを結合した後、アニールする前に、当該方法は、siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖を単離することをさらに含む。単離方法は、当業者に公知であり、一般的に、合成されたヌクレオチド配列を固相担体から切断し、塩基上、リン酸基上及びリガンド上の保護基を除去し、精製し脱塩することを含む。
【0283】
合成されたヌクレオチド配列を固相担体から切断し、塩基上、リン酸基上及びリガンド上の保護基を除去するには、siRNA合成において通常の切断と脱保護方法により行われてもよい。例えば、得られた固相担体が結合されたヌクレオチド配列を濃アンモニア水と接触させ、脱保護過程において、A46~A54基の保護基YCOO-をヒドロキシ基に変換させ、S基を対応するM基に変換させ、式(308)に示される複合体を生成する。ここで、前記濃アンモニア水は、25~30重量%のアンモニア水であってもよく、濃アンモニア水の用量は、目的とするsiRNA配列に対して0.2ml/μmol~0.8ml/μmolであってもよい。
【0284】
合成されたヌクレオチド配列に少なくとも1つの2’-TBDMS保護がある場合、前記方法は、固相担体が除去されたヌクレオチド配列をトリエチルアミン三フッ化水素酸塩と接触させることにより、当該2’-TBDMS保護を除去することをさらに含む。この場合、得られた目的とするsiRNA配列には、遊離の2’-ヒドロキシ基の対応するヌクレオシドを有する。純粋なトリエチルアミン三フッ化水素酸塩の用量は、目的とするsiRNA配列に対して0.4ml/μmol~1.0ml/μmolであってもよい。このように式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。
【0285】
精製及び脱塩する方法は、当業者によく知られている。例えば、分取用イオンクロマトグラフィー精製カラムを用いて、NaBr又はNaClの勾配溶出によって、核酸の精製を完成し、生成物を回収して合わせた後、逆相クロマトグラフィー精製カラムにより脱塩することができる。
【0286】
このように得られた式(308)に示されるsiRNA複合体において、ヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合又はチオリン酸ジエステル結合における非架橋酸素原子又は硫黄原子は、基本的にナトリウムイオンに結合されており、式(308)に示されるsiRNA複合体は、基本的にナトリウム塩として存在する。よく知られたイオン交換方法により、水素イオン及び/又は他のカチオンで前記ナトリウムイオンを置換し、他の形式の式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。前記カチオンは、前述したとおりである。
【0287】
合成過程において、常に核酸配列の純度と分子量を検出し、合成品質をよりよく制御することができる。このような検出方法は、当業者に公知である。例えば、イオン交換クロマトグラフィーにより核酸純度を検出し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析により分子量を測定することができる。
【0288】
アニール方法も、当業者によく知られているものである。例えば、簡単に合成されたセンス鎖(S鎖)とアンチセンス鎖(AS鎖)を等モル比で注射用水に混合して70~95℃に加熱し、その後、室温で冷却し、水素結合により二本鎖構造を形成させることができる。このように式(308)に示されるsiRNA複合体を得ることができる。
【0289】
前記複合体を得た後、いくつかの実施形態において、例えば、液体クロマトグラフィータンデム質量分析等の方法を用いて、分子量検出等により合成された式(308)に示されるsiRNA複合体の特徴を明らかにし、合成されたsiRNA複合体が、目的設計の式(308)に示されるsiRNA複合体であるとともに、合成されたsiRNAの配列が、所望のsiRNAの配列、例えば表1~表5に示される配列の1つであると確認することもできる。
【0290】
式(321)に示される化合物は、有機溶剤において、エステル化反応条件下及び塩基とエステル化触媒の存在下で、式(313)に示される化合物を環状酸無水物と接触させ、イオン交換を行い、単離して式(321)に示される化合物を得ることを含む調製方法により得ることができる。
【0291】
【化31】
式中、n1、n3、m1、m2、m3、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L1、それぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりであり、
は、式(321)におけるRを提供する基である。いくつかの実施形態において、Rは、式(A61)に示される構造を有する。
【0292】
【化32】
式中、Rは、窒素含有骨格上のNとの結合を実現できる、ROと結合して1つの遊離ヒドロキシ基が結合されている任意の基であり、Rはヒドロキシ保護基である。この場合、Rにヒドロキシ保護基としての第1の官能基と第2の官能基が含まれ、前記第2の官能基が式(C1)又は(C2)に示される構造を含む式(321)の化合物が得られる。
【0293】
前記エステル化反応条件としては、反応温度は0~100℃であり、反応時間は8~48時間であり、いくつかの実施形態において、前記エステル化反応条件としては、反応温度は10~40℃であり、反応時間は20~30時間である。
【0294】
いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種を含む。いくつかの実施形態において、前記エポキシ類溶剤は、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランであり、前記エーテル類溶剤は、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルであり、前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、ジクロロメタンである。前記式(313)に示される化合物に対して、前記有機溶剤の用量が3~50L/molであり、いくつかの実施形態において、5~20L/molである。
【0295】
いくつかの実施形態において、前記環状酸無水物は、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物又はピメリン酸無水物の1つであり、いくつかの実施形態において、コハク酸無水物である。前記環状酸無水物と前記式(313)に示される化合物とのモル比が1:1~10:1であり、いくつかの実施形態において、2:1~5:1である。
【0296】
前記エステル化触媒は、当該エステル化反応を触媒する任意の触媒であってもよく、例えば、当該触媒は、4-ジメチルアミノピリジンであってもよい。前記触媒と式(313)に示される化合物とのモル比が1:1~10:1であり、いくつかの実施形態において、2:1~5:1である。
【0297】
いくつかの実施形態において、前記塩基は、任意の無機塩基、有機塩基又はこれらの組合せであってもよい。溶解性及び生成物の安定性を考慮すると、前記塩基は、例えば、第3級アミン類有機塩基であってもよい。いくつかの実施形態において、前記第3級アミン類有機塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。前記第3級アミン類有機塩基と式(313)に示される化合物とのモル比は1:1~20:1であり、いくつかの実施形態において、3:1~10:1である。
【0298】
前記イオン交換作用は、式(321)の化合物を所望のカルボン酸又はカルボン酸塩の形式に変換することであり、イオン交換方法は、当業者に公知であり、適切なイオン交換溶液と交換条件を用い、前述したカチオンがMである複合分子を得ることができ、ここでは詳しい説明を省略する。いくつかの実施形態において、前記イオン交換反応は、トリエチルアミンリン酸塩溶液を用いて行われ、前記トリエチルアミンリン酸塩溶液の濃度は0.2~0.8Mであり、いくつかの実施形態においては、前記トリエチルアミンリン酸塩溶液の濃度は0.4~0.6Mであり、式(313)の化合物に対して、前記トリエチルアミンリン酸塩溶液の用量は3~6L/molであり、更なる実施形態においては4~5L/molである。
【0299】
任意の適切な単離方法によって、反応混合物から式(321)の化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を蒸発除去した後、クロマトグラフィー方法により式(321)の化合物を単離することができ、例えば、(1)順相精製シリカゲル:200~300メッシュのシリカゲル充填剤を、1wt‰トリエチルアミンを含むジクロロメタン:メタノール=100:18~100:20で勾配溶出すること、又は、(2)逆相精製:C18、C8逆相充填剤を、メタノール:アセトニトリル=0.1:1~1:0.1で勾配溶出することという2つのクロマトグラフィー条件で単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(321)の化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0300】
いくつかの実施形態において、式(321)の化合物の調製方法は、縮合反応条件下で、有機溶剤において、縮合剤と第3級アミン類有機塩基の存在下で、上記イオン交換反応により得られた生成物を、さらにアミノ基又はヒドロキシ基を含む固相担体と接触させることをさらに含む。この場合、Rに第1の官能基及び第2の官能基が含まれ、第1の官能基がヒドロキシ保護基を含み、第2の官能基が式(C1’)に示される構造を含む式(321)の化合物が得られる。
【0301】
前記固相担体は、siRNAの固相合成に用いられる担体の1つであり、そのうちのいくつかは、当業者に公知である。例えば、前記固相担体は、活性ヒドロキシ基又はアミノ官能基を含む固相担体から選択されてもよく、いくつかの実施形態において、前記固相担体は、アミノ樹脂又はヒドロキシ樹脂である。いくつかの実施形態において、前記アミノ樹脂又はヒドロキシ樹脂は、粒子径100~400メッシュ(mesh)、表面におけるアミノ基又はヒドロキシ基の担持量0.2~0.5mmol/gというパラメーターを有する。前記式(321)に示される化合物と固相担体との用量比は10~400μmol化合物/グラムの固相担体(μmol/g)である。いくつかの実施形態において、前記式(321)に示される化合物と固相担体との用量比は50~200μmol/gである。
【0302】
前記有機溶剤は、当業者に既知の任意の適切な溶剤又は混合溶剤であってもよい。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリル、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記エポキシ類溶剤は、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランであり、前記エーテル類溶剤は、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルであり、前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリルである。式(321)の化合物に対して、前記有機溶剤の用量は20~200L/molであり、いくつかの実施形態において、50~100L/molである。
【0303】
いくつかの実施形態において、前記縮合剤は、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/エステル(benzotriazol-1-yl-oxytripyrrolidino phosphonium hexafluorophosphate、PyBop)、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン及び/又はO-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート/エステルであってもよく、いくつかの実施形態において、前記縮合剤は、O-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート/エステルである。前記縮合剤と式(321)に示される化合物とのモル比は1:1~20:1であり、更なる実施形態において1:1~5:1である。
【0304】
いくつかの実施形態において、前記第3級アミン類有機塩基は、トリエチルアミン及び/又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、いくつかの実施形態において、N,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、前記第3級アミン類有機塩基と式(321)に示される化合物とのモル比は1:1~20:1であり、いくつかの実施形態において、1:1~5:1である。
【0305】
いくつかの実施形態において、式(321)の化合物の調製方法は、キャッピング反応条件下で、有機溶剤において、得られた縮合生成物をキャッピング試薬及びアシル化触媒と接触させ、単離して式(321)に示される化合物を得ることをさらに含んでもよい。前記キャッピング反応の作用は、後の反応において不必要な副生成物が生じることを避けるために、まだ完全に反応していないあらゆる活性反応官能基を除去することである。前記キャッピング反応の条件としては、反応温度は0~50℃、いくつかの実施形態では15~35℃であり、反応時間は1~10h、いくつかの実施形態では3~6hである。キャッピング試薬としては、当業者に公知の、siRNA固相合成に用いられるキャッピング試薬を用いてもよい。
【0306】
いくつかの実施形態において、前記キャッピング試薬は、キャッピング試薬1(cap1)及びキャッピング試薬2(cap2)からなり、キャッピング試薬1は、N-メチルイミダゾールであり、いくつかの実施形態において、N-メチルイミダゾールのピリジン/アセトニトリル混合溶液として提供され、ピリジンとアセトニトリルとの体積比は1:10~1:1であり、いくつかの実施形態において、1:3~1:1であり、ピリジンとアセトニトリルの総体積とN-メチルイミダゾールとの体積は1:1~10:1であり、いくつかの実施形態において、3:1~7:1である。前記キャッピング試薬2は、酢酸無水物である。いくつかの実施形態において、前記キャッピング試薬2は、酢酸無水物のアセトニトリル溶液として提供され、酢酸無水物とアセトニトリルとの体積が1:1~1:10であり、更なる実施形態において1:2~1:6である。
【0307】
いくつかの実施形態において、前記N-メチルイミダゾールのピリジン/アセトニトリル混合溶液の体積と式(321)の化合物の質量との比は5ml/g~50ml/gであり、いくつかの実施形態では15ml/g~30ml/gである。前記酢酸無水物のアセトニトリル溶液の体積と式(321)の化合物の質量との比は0.5ml/g~10ml/gであり、いくつかの実施形態では1ml/g~5ml/gである。
【0308】
いくつかの実施形態において、キャッピング試薬としては、等モル量の酢酸無水物とN-メチルイミダゾールを用いる。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリル、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤はアセトニトリルである。式(321)の化合物に対して、前記有機溶剤の用量は10~50L/mol、いくつかの実施形態では5~30L/molである。
【0309】
いくつかの実施形態において、前記アシル化触媒は、エステル化縮合又はアミド化縮合に使用できる任意の触媒、例えばアルカリ複素環化合物から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、前記アシル化触媒は、4-ジメチルアミノピリジンである。前記触媒と式(321)に示される化合物との質量比は0.001:1~1:1であり、いくつかの実施形態では0.01:1~0.1:1である。
【0310】
いくつかの実施形態において、任意の適切な単離方法により反応混合物から式(321)の化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、有機溶剤で十分に洗浄し、濾過し、未反応の反応物、過剰なキャッピング試薬及び他の不純物を除去することにより、式(321)の化合物を得ることができる。前記有機溶剤は、アセトニトリル、ジクロロメタン、メタノールから選択され、いくつかの実施形態において、アセトニトリルである。
【0311】
いくつかの実施形態において、式(321)に示される複合分子の調製方法は、有機溶剤において、カップリング反応条件下及びカップリング試薬の存在下で、式(313)に示される化合物をホスホルジアミダイトと接触させ、単離して式(321)に示される化合物を得ることを含む。この場合、Rに第1の官能基及び第2の官能基が含まれ、第1の官能基がヒドロキシ保護基を含み、第2の官能が式(C3)に示される構造を含む式(321)の化合物が得られる。
【0312】
いくつかの実施形態において、カップリング反応条件としては、温度は0~50℃であってもよく、例えば15~35℃である。式(313)の化合物とホスホルジアミダイトとのモル比は1:1~1:50であってもよく、例えば1:5~1:15であり、式(313)の化合物とカップリング試薬とのモル比は1:1~1:100であってもよく、例えば1:50~1:80である。反応時間は200~3000秒であってもよく、例えば500~1500秒である。前記ホスホルジアミダイトは、例えばビス(ジイソプロピルアミノ)(2-シアノエトキシ)ホスフィンを用いてもよく、市販品を購入してもよく、又は本分野で公知の方法により合成されてもよい。カップリング試薬は、1H-テトラゾール、5-エチルチオ1H-テトラゾール、5-ベンジルチオ1H-テトラゾールから選択される1種又は複数種であり、例えば、5-エチルチオ1H-テトラゾールである。前記カップリング反応は、有機溶剤で行われてもよく、前記有機溶剤は、無水アセトニトリル、無水DMF、無水ジクロロメタンから選択される1種又は複数種であり、例えば無水アセトニトリルである。いくつかの実施形態において、式(313)の化合物に対して、前記有機溶剤の用量が3~50L/molであり、例えば、5~20L/molであってもよい。当該カップリング反応を行うことにより、式(313)の化合物におけるヒドロキシ基とホスホルジアミダイトを反応させてホスホルアミダイト基を形成する。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(321)の化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0313】
いくつかの実施形態において、式(321)の化合物の調製方法は、カップリング反応条件下で、有機溶剤において、カップリング試薬の存在下で、単離して得られた生成物を、さらにヒドロキシ基含有固相担体と接触させる工程をさらに含む。その後、キャッピング反応、酸化反応を行い、単離して式(321)の化合物を得る。この場合、Rに第1の官能基及び第2の官能基が含まれ、第1の官能基がヒドロキシ保護基を含み、第2の官能基が式(C3’)に示される構造を有する式(321)の化合物が得られる。
【0314】
いくつかの実施形態において、前記固相担体は、本分野で公知の核酸固相合成に使用できる固相担体であり、例えば、脱保護反応された市販の汎用の固相担体(NittoPhase(登録商標)HL UnyLinkerTM 300 Oligonucleotide Synthesis Support、Kinovate Life Sciences社、構造が式B80に示される)であってもよい。
【0315】
【化33】
【0316】
脱保護反応は、当業者に公知である。いくつかの実施形態において、脱保護条件としては、温度は0~50℃、例えば15~35℃であり、反応時間は30~300秒、例えば50~150秒である。脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸から選択される1種又は複数種であってもよく、いくつかの実施形態において、脱保護試薬は、ジクロロ酢酸である。脱保護試薬と固定相における-DMTr(4,4’-ジメトキシトリチル)保護基とのモル比が2:1~100:1であり、例えば3:1~50:1である。前記脱保護を行うことにより、前記固相担体の表面に反応活性を有する遊離ヒドロキシ基が得られ、次のカップリング反応を行いやすくする。
【0317】
カップリング反応条件及びカップリング試薬の選択は、以上のとおりである。当該カップリング反応を行うことにより、脱保護反応で形成された遊離ヒドロキシ基とホスホルアミダイト基を反応させて亜リン酸エステル結合を形成する。
【0318】
いくつかの実施形態において、キャッピング反応条件としては、温度は0~50℃、例えば15~35℃であり、反応時間は5~500秒、例えば10~100秒であり、前記キャッピング反応をキャッピング試薬の存在下で行う。キャッピング試薬の選択と用量は、以上のとおりである。
【0319】
酸化反応条件としては、温度は0~50℃、例えば15~35℃であってもよく、反応時間は1~100秒、例えば5~50秒であってもよく、酸化試薬は、例えばヨウ素であってもよい(いくつかの実施形態ではヨウ素水として提供する)。いくつかの実施形態では、酸化試薬と固相担体に結合される核酸配列とのモル比は1:1~100:1であり、例えば、5:1~50:1であってもよい。いくつかの実施形態では、前記酸化反応は、テトラヒドロフラン:水:ピリジン=3:1:1~1:1:3の混合溶剤で行われる。
【0320】
いくつかの実施形態において、Rは、式B7又はB8の基の1つである。
【0321】
【化34】
式中、qの定義は、前述したとおりである。
【0322】
この場合、式(313)に示される化合物は、有機溶剤において、アミド化反応条件下及びアミド化反応縮合剤と第3級アミン類有機塩基の存在下で、式(314)に示される化合物を式(A-1)に示される化合物又は式(A-2)の化合物と接触させ、その後、単離する、という調製方法により得ることができる。
【0323】
【化35】
式中、n1、n3、m1、m2、m3、R10、R11、R12、R13、R14、R15、L、S、q及びRそれぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりである。
【0324】
前記アミド化反応条件としては、反応温度は0~100℃であり、反応時間は1~48時間であってもよく、いくつかの実施形態では、前記アミド化反応条件としては、反応温度が10~40℃であり、反応時間が2~16時間である。
【0325】
いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アルコール類溶剤、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種である。前記アルコール類溶剤は、いくつかの実施形態において、メタノール、エタノール、プロパノールの1種又は複数種であり、いくつかの実施形態において、エタノールである。前記エポキシ類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランである。前記エーテル類溶剤は、いくつかの実施形態において、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルである。前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種である。いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、ジクロロメタンである。式(314)の化合物に対して、有機溶剤の用量が3~50L/molであり、更なる実施形態において3~20L/molである。
【0326】
いくつかの実施形態において、前記アミド化反応縮合剤は、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/エステル、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン、4-(4,6-ジメトキシトリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリン塩酸塩(4-(4,6-dimethoxytriazin-2-yl)-4-methylmorpholine hydrochloride)、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)又はO-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート/エステルであり、更なる実施形態において、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オンである。前記アミド化反応縮合剤と式(314)に示される化合物とのモル比が1:1~10:1であってもよく、いくつかの実施形態において、2.5:1~5:1である。
【0327】
いくつかの実施形態において、前記第3級アミン類有機塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、更なる実施形態において、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。前記第3級アミン類有機塩基と式(314)に示される化合物とのモル比が3:1~20:1であり、いくつかの実施形態において、5:1~10:1である。
【0328】
いくつかの実施形態において、式(A-1)及び式(A-2)の化合物は、任意の適当な方法により調製されてもよい。例えば、RがDMTr基である場合、グリセリン酸カルシウムとDMTrClを反応させて式(A-1)の化合物を調製することができる。同様に、3-アミノ-1,2-プロパンジオールと環状酸無水物を接触させた後、DMTrClと反応させて式(A-2)の化合物を調製することができ、前記環状酸無水物は、炭素原子数4~13、いくつかの実施形態において4~8の環状酸無水物であってもよい。当業者であれば容易に理解できるように、前記環状酸無水物の選択は、(A-2)の化合物におけるqの異なる値に対応しており、例えば、前記環状酸無水物がコハク酸無水物である場合、q=1であり、前記環状酸無水物がグルタル酸無水物である場合、q=2であり、類推してもよい。
【0329】
いくつかの変形において、式(314)に示される化合物を、前記環状酸無水物、3-アミノ-1,2-プロパンジオール及びDMTrClと順に反応させることにより、式(313)の化合物を調製することもできる。当業者であれば容易に理解できるように、これらの変形は、式(313)の化合物の構造と機能に影響を与えることがなく、かつ、当業者が上記方法により容易に実現するものである。
【0330】
上記と同様に、任意の適切な単離方法により反応混合物から式(313)の化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を蒸発除去した後、クロマトグラフィー方法により式(313)の化合物を単離することができ、例えば、(1)順相精製シリカゲル:200~300メッシュのシリカゲル充填剤を、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:N,N-ジメチルホルムアミド=1:1:1:0.5~1:1:1:0.6で勾配溶出すること、及び、(2)逆相精製:C18、C8逆相充填剤を、メタノール:アセトニトリル=0.1:1~1:0.1で勾配溶出することという2つのクロマトグラフィー条件で単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(313)の化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0331】
いくつかの実施形態において、式(314)に示される化合物は、有機溶剤において、アミド化反応縮合剤と第3級アミン類有機塩基の存在下で、縮合反応条件下で、式(320)に示される化合物を式(316)に示される化合物と接触させた後、単離することを含む調製方法により得ることができる。
【0332】
【化36】
式中、n1、n3、m1、m2、m3、R10、R11、R12、R13、R14、R15それぞれの定義と選択可能な範囲は、前述したとおりである。
【0333】
式(316)の化合物としては、例えば、J. Am. Chem. Soc. 2014,136,16958-16961に開示された化合物を用いてもよく、或いは、式(316)の化合物は、当業者が各種の方法により調製することができ、例えば、米国特許US 8,106,022 B2の実施例1に開示された方法を参照していくつかの式(316)の化合物を調製することができ、引用により上記文献の全ての内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0334】
いくつかの実施形態において、前記縮合反応条件としては、反応温度は0~100℃であり、反応時間は0.1~24時間であり、いくつかの実施形態では、反応温度が10~40℃であり、反応時間が0.5~16時間である。
【0335】
所望の生成物である式(314)の化合物の構造を考慮すると、前記式(316)に示される化合物と前記式(320)に示される化合物とのモル比は、式(320)におけるn1とn3の和に基づいて決定されるべきである。いくつかの実施形態において、例えば、n1+n3=3の場合、反応が完全であり、過剰ではないことを確保するために、式(316)に示される化合物と式(320)に示される化合物とのモル比が3:1~3.5:1であってもよく、いくつかの実施形態において、3.01:1~3.15:1である。
【0336】
いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、アセトニトリル、エポキシ類溶剤、エーテル類溶剤、ハロゲン化アルキル類溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンの1種又は複数種であり、前記エポキシ類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジオキサン及び/又はテトラヒドロフランであり、前記エーテル類溶剤は、いくつかの実施形態において、エチルエーテル及び/又はメチルtert-ブチルエーテルであり、前記ハロゲン化アルキル類溶剤は、いくつかの実施形態において、ジクロロメタン、トリクロロメタン及び1,2-ジクロロエタンの1種又は複数種であり、いくつかの実施形態において、前記有機溶剤は、ジクロロメタンである。式(320)の化合物に対して、前記有機溶剤の用量は3~50L/molであり、いくつかの実施形態において、5~20L/molである。
【0337】
いくつかの実施形態において、前記アミド化反応縮合剤は、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/エステル、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン(DEPBT)、O-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート/エステル、4-(4,6-ジメトキシトリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリン塩酸塩又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの1種又は複数種であり、更なる実施形態において、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/エステルと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの混合物であり、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/エステルと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールが等モル量で使用される。前記全アミド化反応縮合剤と式(316)に示される化合物とのモル比は1:1~3:1であってもよく、いくつかの実施形態において、1.05:1~1.5:1である。
【0338】
前記第3級アミン類有機塩基は、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであってもよく、いくつかの実施形態において、N-メチルモルホリンであり、前記第3級アミン類有機塩基と式(316)に示される化合物とのモル比は2:1~10:1であってもよく、いくつかの実施形態において、2:1~5:1である。
【0339】
上記と同様に、任意の適切な単離方法により反応混合物から式(314)の化合物を単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を蒸発除去した後、クロマトグラフィー方法により式(314)の化合物を単離することができ、例えば、(1)順相精製シリカゲル:200~300メッシュのシリカゲル充填剤を、ジクロロメタン:メタノール=100:5~100:7で勾配溶出すること、及び、(2)逆相精製:C18、C8逆相充填剤を、メタノール:アセトニトリル=0.1:1~1:0.1で勾配溶出することという2つのクロマトグラフィー条件で単離することができる。いくつかの実施形態において、溶剤を直接除去して式(314)の化合物の粗製品を得ることができ、当該粗製品は、そのまま後の反応に用いることができる。
【0340】
式(320)の化合物は、市販品として購入し、又は、当業者により既知の方法を用いて得ることができる。例えば、m1=m2=m3=3、n1=1、n3=2であり、R10、R11、R12、R13、R14、R15がいずれもHである場合、式(320)の化合物は、アルファ・エイサー社から市販品として購入することができる。
【0341】
本開示のsiRNA複合体は、薬学的に許容できる他の添加剤と併用してもよく、当該添加剤は、本分野で通常採用される各種の製剤又は化合物の1種又は複数種であってもよく、詳細は、上述した本開示の薬物組成物に関する記載を参照のこと。
【0342】
<本開示のsiRNA、当該siRNAを含む薬物組成物及び複合体の使用>
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の、脂質異常の治療及び/又は予防のための薬物の調製における使用を提供する。
【0343】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む脂質異常の予防及び/又は治療方法を提供する。
【0344】
本開示のsiRNA活性成分を、それを必要とする被験体に投与することにより、RNA干渉機構により脂質異常を予防及び/又は治療する目的を達成することができる。したがって、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体は、脂質異常の予防及び/又は治療に用いられ、又は脂質異常の予防及び/又は治療のための薬物の調製に用いることができる。
【0345】
前記脂質異常とは、肝細胞においてAPOC3遺伝子の過剰発現による脂質異常を指し、通常、血中トリグリセリド、コレステロール等の脂質及び/又はリポタンパクのいずれか1つ又は全てのレベルの向上として表され、レベルの高い脂質は、高血圧、心血管疾患、糖尿病及び他の病理学的疾患に高度に関連する。高トリグリセリド血症は、アテローム性動脈硬化に関連し、膵炎にもつながる。本開示に記載された脂質異常は、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症又はアテローム性動脈硬化を含むが、これらに限定されない。
【0346】
本明細書で用いられる用語「薬剤投与/投与」とは、本開示のsiRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を少なくとも一部、所望の部位に局在化して所望の効果を生じさせる方法又は経路により、本開示のsiRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を被験体の体内に入れることを指す。本開示の方法に適した投与経路は、局所投与と全身投与を含む。一般的には、局所投与により、被験体全身よりも多くのsiRNA複合体が特定の部位に送達されるが、全身投与により、本開示のsiRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体が被験体のほぼ全身に送達される。本開示が脂質異常の予防及び/又は治療手段を提供することを意図することを考慮すると、いくつかの実施形態において、薬物を肝臓に送達することができる投与方法である。
【0347】
本分野で既知の任意の適切な経路で被験体に投与することができ、前記経路としては、経口投与又は胃腸外経路、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、気管内投与(エアロゾル)、肺部投与、鼻部投与、直腸投与及び局所投与(口腔内投与と舌下投与を含む)を含むが、これらのみに限定されない。投与頻度は、1日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、四半期、半年又は1年に1回又は複数回であってもよい。
【0348】
本開示に記載されたsiRNA、薬物組成物又はsiRNA複合体の用量は、本分野における通常の用量であってもよく、前記用量は、各種のパラメーター、特に被験体の年齢、体重及び性別により決定してもよい。細胞培養又は実験動物で標準薬学的手順により毒性と治療効果を測定し、例えば、LD50(50%の群体を死亡させる用量)及びED50(定量的反応において、50%の最大反応強度を引き起こすことができる用量を指し、定性的反応において、50%の実験対象に陽性反応が発生する場合の用量を指す)を測定してもよい。細胞培養分析及び動物研究により得られたデータに基づいて、ヒト用量の範囲を得ることができる。
【0349】
本開示に記載されたsiRNA、薬物組成物、及び/又はsiRNA複合体を投与する場合、例えば、雄性又は雌性、6~12週齢、体重18~25gのC57BL/6J又は30~45gのob/obマウスに対して、siRNAの量として、(i)siRNA複合体について、そのsiRNA用量は0.001~100mg/kg体重であってもよく、更なる実施形態では0.01~50mg/kg体重であり、より更なる実施形態では0.05~20mg/kg体重であり、いくつかの実施形態においては0.1~15mg/kg体重であり、さらにいくつかの実施形態においては0.1~10mg/kg体重であり、(ii)siRNA及び薬学的に許容可能な担体により形成された薬物組成物について、そのsiRNA用量は0.001~50mg/kg体重であってもよく、更なる実施形態では0.01~10mg/kg体重であり、より更なる実施形態では0.05~5mg/kg体重であり、また更なる実施形態では0.1~3mg/kg体重である。
【0350】
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体の有効量を肝細胞と接触させ、本開示のsiRNA、及び/又は薬物組成物及び/又はsiRNA複合体を前記肝細胞に導入し、RNA干渉機構により肝細胞におけるAPOC3遺伝子の発現を抑制する目的を達成することを含む、前記肝細胞におけるAPOC3遺伝子の発現の抑制方法を提供する。前記肝細胞は、Hep3B、HepG2、Huh7等の肝がん細胞系又は単離した初代肝細胞から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、前記細胞は、Huh7肝がん細胞である。
【0351】
本開示により提供される方法により細胞におけるAPOC3遺伝子の発現を抑制する。提供される修飾siRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体におけるsiRNA用量は、一般的に、標的遺伝子の発現を低減でき、標的細胞表面では1pM~1μM、0.01nM~100nM、0.05nM~50nM、又は0.05nM~約5nMの細胞外濃度となる量である。当該局所濃度を達成するのに必要な量は、送達方法、送達部位、送達部位と標的細胞又は組織との間の細胞層の数、送達するのが局所か全身か等を含む、各種の因子により変化する。送達部位における濃度は、標的細胞又は組織の表面における濃度よりも顕著に高くてもよい。
【0352】
<キット>
本開示は、本開示の修飾siRNA、薬物組成物及びsiRNA複合体の少なくとも1種の有効量を含むキットを提供する。
【0353】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、容器で修飾siRNAを提供することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、薬学的に許容できる賦形剤を提供する容器を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記キットには、他の成分、例えば、安定化剤又は防腐剤等が含まれてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、本明細書に記載された修飾siRNAを提供する容器とは別の容器で少なくとも1種の他の治療剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記キットは、修飾siRNAと薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤又は他の成分(存在する場合)を混合するための説明書を含んでもよい。
【0354】
本開示のキットにおいて、前記修飾siRNA及び薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤、並びに、前記修飾siRNA、薬物組成物及び/又はsiRNA複合体及び/又は複合体、及び/又は薬学的に許容できる添加剤は、任意の形式、例えば、液体形式、乾燥形式又は凍結乾燥形式として提供されてもよい。いくつかの実施形態において、前記修飾siRNA及び薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤、並びに、前記薬物組成物、及び/又は複合体及び薬学的に許容できる任意の添加剤は、基本的にクリーン及び/又は無菌である。いくつかの実施形態において、本開示のキットで無菌水を提供することができる。
【0355】
以下に実施例により本開示をさらに説明するが、本開示は、これによって何ら制限されない。
【実施例
【0356】
特に説明がない限り、以下の実施例で用いられる試薬、培地は、いずれも市販品であり、用いられる核酸電気泳動、real-time PCR等の操作は、いずれもMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))に記載された方法を参照して行われる。
【0357】
Huh7細胞は、中国科学院幹細胞バンクから購入され、10%のウシ胎児血清(FBS、Hyclone社)、1%非必須アミノ酸(NEAA、Corning社)を含むDMEM完全培地(Hyclone社)で細胞を37℃で5%CO/95%空気含有インキュベーターにおいて培養した。
【0358】
本開示により合成されたAPOC3遺伝子に対するsiRNA、siRNA複合体又は陰性対照であるsiRNA、siRNA複合体で細胞をトランスフェクションした場合、トランスフェクション試薬としてLipofectamineTM2000(Invitrogen)を用い、具体的な操作については、メーカーにより提供される説明書を参照のこと。
【0359】
別に説明がない限り、以下で提供される試薬割合は、いずれも体積比(v/v)として計算される。
【0360】
用いられる動物モデルは以下のとおりである。
ヒトAPOC3トランスジェニックマウス:B6、CBA-Tg(APOC3)3707Bres/J、米国Jackson Laboratoryから購入される。
【0361】
実験データは、いずれも
で表され、データ分析では、Graphpad prism5.0統計分析ソフトウェアを採用した。
【0362】
調製例1:複合体1~11の調製
本調製例で、複合体1~11を合成し、これらの複合体は、L-9複合分子がそれぞれ表7に示されるsiRNAと複合した後に形成された複合体であった。
【0363】
(1-1)L-10化合物の合成
以下の方法に従い、L-10化合物を合成した。
【0364】
【化37】
【0365】
(1-1-1)複合末端セグメントGAL-5の合成
【0366】
【化38】
【0367】
(1-1-1a)GAL-2の合成
100.0gのGAL-1(N-アセチル-D-ガラクトサミン塩酸塩、CAS番号:1772-03-8、寧波弘翔生化公司から購入、463.8mmol)を1000mlの無水ピリジンに溶解させ、氷水浴下で540mlの酢酸無水物(Enox社から購入、5565.6mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌反応した。反応液を10Lの氷水に注入し、減圧吸引濾過し、ケーキを2Lの氷水で洗浄した後、完全に溶解するまでアセトニトリル/トルエン混合溶剤(アセトニトリル:トルエンの体積比=1:1)を加え、溶剤を蒸発乾固し、130.0gの白色固形製品GAL-2を得た。
【0368】
(1-1-1b)GAL-3の合成
工程(1-1-1a)で得られたGAL-2(35.1g、90.0mmol)を213mlの無水1,2-ジクロロエタンに溶解させ、氷水浴下で、窒素保護条件で、24.0gのTMSOTf(CAS番号:27607-77-8、マックリン社から購入、108.0mmol)を加え、室温で一晩反応させた。
【0369】
反応液に400mlのジクロロメタンを加えて希釈し、珪藻土で濾過し、1Lの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、均一に攪拌し、有機相を分離し、水相をジクロロエタンにより1回あたり300mlで2回抽出し、有機相をあわせ、それぞれ300mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び300mlの飽和食塩水で洗浄し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧蒸発乾固し、26.9gの淡黄色の粘稠な水飴状製品GAL-3を得た。
【0370】
(1-1-1c)GAL-4の合成
工程(1-1-1b)で得られたGAL-3(26.9g、81.7mmol)を136mlの無水1,2-ジクロロエタンに溶解させ、乾燥した4Å分子篩粉30gを加え、9.0gの5-ヘキセン-1-オール(CAS番号:821-41-0、Adamas-beta社から購入、89.9mmol)を加え、室温で30分間攪拌し、氷浴下で窒素保護下で9.08gのTMSOTf(40.9mmol)を加え、室温で一晩攪拌反応させた。4Å分子篩粉を濾過除去し、濾液に300mlのジクロロメタンを加えて希釈し、珪藻土で濾過し、500mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて10分間攪拌し洗浄し、有機相を分離し、水相を300mlのジクロロエタンで1回抽出し、有機相をあわせ、それぞれ300mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び300mlの飽和食塩水で洗浄し、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧蒸発乾固し、41.3gの黄色水飴状製品GAL-4を得、精製することなく、そのまま次の酸化反応を行った。
【0371】
(1-1-1d)GAL-5の合成
工程(1-1-1c)に記載された方法により得られたGAL-4(14.9g、34.7mmol)を77mlのジクロロメタンと77mlのアセトニトリルの混合溶剤に溶解させ、それぞれ103mlの脱イオン水及び29.7gの過ヨウ素酸ナトリウム(CAS番号:7790-28-5、Aladdin社から購入、138.8mmol)を加え、氷水浴下で10分間攪拌し、塩化ルテニウム(III)(CAS番号:14898-67-0、Energy社から購入、238mg、1.145mmol)を加え、室温で一晩反応させた。反応液に300mlの水を加えて希釈攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウムを加えてpHを約7.5に調整し、有機相を分離して捨て、水相をジクロロメタンで1回あたり200mlで3回抽出し、有機相を捨てた。水相を固形クエン酸でpHを約3に調節し、ジクロロメタンで1回あたり200mlで3回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶剤を減圧蒸発乾固し、6.85gの白色泡状固形製品GAL-5を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.01 (br, 1H), 7.83 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 4.96 (dd, J = 11.2, 3.2 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.07-3.95 (m, 3H), 3.92-3.85 (m, 1H), 3.74-3.67 (m, 1H), 3.48-3.39 (m, 1H), 2.20 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.90 (s, 3H), 1.77 (s, 3H), 1.55-1.45 (m, 4H).
【0372】
(1-1-2)L-8の合成
【0373】
【化39】
J-0(9.886g、52.5mmol、アルファ・エイサー社から購入)と工程(1-1-1)で得られたGAL-5(72.819g、162.75mmol、複数のロットの製品を組み合わせた)を525mlのジクロロメタンに溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、44.782g、346.50mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/エステル(PyBOP、90.158g、173.25mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、23.410g、173.25mmol)を加え、室温で4h反応させ、20mlの飽和炭酸水素ナトリウム及び200mlの飽和食塩水を加えて洗浄し、水相をジクロロメタンで1回あたり100mlで2回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後に溶剤を減圧蒸発乾固して粗製品を得た。精製には、200~300メッシュの順相シリカゲルを用い、10wt%トリエチルアミンでシリカゲルの酸性を中和し、1wt‰トリエチルアミンでカラムを平衡化し、ジクロロメタン:メタノール=100:25~100:40で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固して38.8gの純粋なL-8を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.84 (d, J = 9.0 Hz, 3H), 7.27-7.23 (m, 1H), 7.13-7.18 (m, 1H), 5.22 (d, J = 3.1 Hz, 3H), 4.97 (dd, J = 11.3, 3.1 Hz, 3H), 4.48 (d, J = 8.4 Hz, 3H), 4.09-3.98 (m, 9H), 3.88 (dd, J = 19.3, 9.3 Hz, 3H), 3.75-3.66 (m, 3H), 3.44-3.38 (m, 3H), 3.17-3.30 (m, 4H), 3.10-2.97 (m, 4H), 2.35-2.20 (m, 6H), 2.15-2.08 (m, 9H), 2.07-1.98 (m, 13H), 1.94-1.87 (m, 9H), 1.81-1.74 (m, 9H), 1.65-1.42 (m, 18H). MS m/z:C8511930,[M+H]、理論値:1477.59、実測値:1477.23。
【0374】
(1-1-3)
(1-1-3a)A-1の合成
【0375】
【化40】
DMTrCl(4,4’-ビスメトキシトリチルクロリド、101.65g、300mmol)を1000mlの無水ピリジンに溶解させ、DL-グリセリン酸カルシウム水和物(28.63g、100mmol)を加え、45℃で20h反応させ、反応液を濾過し、ケーキを200mlのDCMでリンスし、濾液を乾燥まで減圧濃縮し、残りを500mlのジクロロメタンに改めて溶解させ、0.5Mトリエチルアミンリン酸塩(pH=7~8)で1回あたり200mlで2回洗浄し、水相をジクロロメタンで1回あたり200mlで2回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶剤を減圧蒸発乾固し、200~300メッシュの順相シリカゲルカラムで精製し、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:メタノール=1:1:1:0.35~1:1:1:0.55で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固し、600mlのジクロロメタンに改めて溶解させ、200mlの0.5Mトリエチルアミンリン酸塩で1回洗浄し、水相を200mlのジクロロメタンで1回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶剤を減圧蒸発乾固し、真空油ポンプで一晩減圧し、50.7gの白色固形製品A-1を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.46 (ddd, J = 6.5, 2.3, 1.1 Hz, 1H), 7.40-7.28 (m, 7H), 6.89-6.81 (m, 4H), 4.84 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.36-4.24 (m, 1H), 4.29 (s, 6H), 3.92 (dd, J = 12.4, 7.0 Hz, 1H), 3.67 (dd, J = 12.3, 7.0 Hz, 1H), 2.52 (q, J = 6.3 Hz, 6H), 1.03 (t, J = 6.3 Hz, 9H). MS m/z:C2423,[M-H]、理論値:407.15、実測値:406.92。
【0376】
(1-1-3b)L-7の合成
【0377】
【化41】
工程(1-1-2)で得られたL-8(40g、27.09mmol、複数のロットの製品を組み合わせた)と工程(1-1-3a)で得られたA-1(41.418g、81.27mmol)とを混合し、271mlのジクロロメタンに溶解させ、3-ジエトキシホスホリル-1,2,3-ベンゾオキサゾール4(3H)-オン(DEPBT)(24.318g、81.37mmol)を加え、さらにジイソプロピルエチルアミン(21.007g、162.54mmol)を加え、25℃で1.5h攪拌反応させ、800mlの飽和炭酸水素ナトリウムで有機相を洗浄し、水相をジクロロメタンで1回あたり50mlで3回抽出し、150mlの飽和食塩水で有機相を洗浄し、水相を50mlのジクロロメタンで1回抽出し、有機相をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後に溶剤を減圧蒸発乾固し、真空油ポンプで一晩発泡乾燥させ、粗製品を得た。カラム精製には、2kgの200~300メッシュの順相シリカゲルを用い、200mlのトリエチルアミンでシリカゲルの酸性を中和し、1wt%トリエチルアミンを含む石油エーテルでカラムを平衡化し、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:N,N-ジメチルホルムアミド=1:1:1:0.5~1:1:1:0.6で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固して40.4gの純粋なL-7を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ7.90-7.78 (m, 4H), 7.75-7.64 (m, 1H), 7.38-7.18 (m, 9H), 6.91-6.83 (m, 4H), 5.25-5.10 (m, 4H), 4.97 (dd, J = 11.2, 3.2 Hz, 3H), 4.48-4.30 (m, 4H), 4.02 (s, 9H), 3.93-3.84 (m, 3H), 3.76-3.66 (m, 9H), 3.45-3.35 (m, 3H), 3.24-2.98 (m, 10H), 2.30-2.20 (m, 2H), 2.11-1.88 (m, 31H), 1.80-1.40 (m, 28H). MS m/z:C9012835,[M-DMTr]、理論値:1564.65、実測値:1564.88。
【0378】
(1-1-4)L-9の合成
【0379】
【化42】
工程(1-1-3b)で得られたL-7(40g、21.4247mmol)、コハク酸無水物(4.288g、42.8494mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、5.235g、42.8494mmol)を混合して215mlのジクロロメタンに溶解させ、さらにジイソプロピルエチルアミン(DIEA、13.845g、107.1235mmol)を加え、25℃で24h攪拌し、800mlの0.5Mトリエチルアミンリン酸塩で反応液を洗浄し、水相をジクロロメタンで1回あたり5mlで3回抽出し、有機相をあわせ、減圧蒸発乾固して粗製品を得た。カラム精製には、1kgの200~300メッシュの順相シリカゲルを用い、1wt%トリエチルアミンでシリカゲルの酸性を中和し、ジクロロメタンでカラムを平衡化し、1wt‰トリエチルアミンを含むジクロロメタン:メタノール=100:18~100:20で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固して31.0gの純粋なL-9複合分子を得た。H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.58 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 7.94-7.82 (m, 3H), 7.41-7.29 (m, 5H), 7.22 (d, J = 8.1 Hz, 5H), 6.89 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 5.49-5.37 (m, 1H), 5.21 (d, J = 3.0 Hz, 3H), 4.97 (d, J = 11.1 Hz, 3H), 4.49 (d, J = 8.2 Hz, 3H), 4.02 (s, 9H), 3.88 (dd, J = 19.4, 9.4 Hz, 3H), 3.77-3.65 (m, 9H), 3.50-3.39 (m, 6H), 3.11-2.90 (m, 5H), 2.61-2.54 (m, 4H), 2.47-2.41 (m, 2H), 2.26-2.17 (m, 2H), 2.15-1.95 (m, 22H), 1.92-1.84 (m, 9H), 1.80-1.70 (m, 10H), 1.65-1.35 (m, 17H), 1.31-1.19 (m, 4H), 0.96 (t, J = 7.1 Hz, 9H). MS m/z:C9413238,[M-DMTr]、理論値:1664.72、実測値:1665.03。
【0380】
(1-1-5)L-10化合物の合成
【0381】
【化43】
この工程において、L-9複合分子を固相担体に結合することにより、L-10化合物を調製した。
【0382】
工程(1-1-4)で得られたL-9複合分子(22.751g、11mmol)、O-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート/エステル(HBTU、6.257g、16.5mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA、2.843g、22mmol)を混合し、900mlのアセトニトリルに溶解させ、室温で5分間攪拌し、反応液にアミノメチル樹脂(88g、100~200メッシュ、アミノ基担持量400μmol/g、南開和成社から購入)を加え、25℃でシェーカーで反応を行い、回転数150回転/分間、18h反応させた後で濾過し、ケーキをDCMで1回あたり300mlで2回リンスし、アセトニトリルで1回あたり300mlで3回リンスし、真空油ポンプで18h乾燥させ、その後、表6に示す配合割合に従い原料(CapA、CapB、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)及びアセトニトリル)を加えてキャッピング反応を行った。25℃でシェーカーに放置し、回転数150回転/分間で5h反応させ、反応液を濾過し、ケーキをアセトニトリルで1回あたり300mlで3回リンスし、乾燥まで溶剤を減圧蒸発させ、真空油ポンプで一晩減圧乾燥させ、102g、担持量90.8μmol/gのL-10化合物(即ち、固相担体に結合されたL-9複合分子)を得た。
【0383】
【表6】
ここで、CapAとCapBは、キャッピング試薬溶液であり、CapAは、20体積%のN-メチルイミダゾールのピリジン/アセトニトリル混合溶液であり、ピリジンとアセトニトリルとの体積比が3:5であり、CapBは、20体積%酢酸無水物のアセトニトリル溶液であった。
【0384】
(1-2)複合体1~11のセンス鎖の合成
固相ホスホルアミダイト法により、上記工程で調製されたL-10化合物を出発として循環させ、複合体1~11のセンス鎖のヌクレオチドの並び順に従い3’-5’方向に一つずつヌクレオシドモノマーを結合した。ヌクレオシドモノマーを結合するごとに、脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化の4つの反応を行った。2個のヌクレオチド間がリン酸エステルにより結合される場合、次のヌクレオシドモノマーを結合するとき、脱保護、カップリング、キャッピング、酸化の4つの反応を行った。2個のヌクレオチド間がチオリン酸エステルにより結合される場合、次のヌクレオシドモノマーを結合するとき、保護、カップリング、キャッピング、硫化の4つの反応を行った。合成条件は、以下のように規定された。
【0385】
ヌクレオシドモノマーを0.1M濃度のアセトニトリル溶液で提供し、各脱保護反応の条件が同じであり、即ち、温度が25℃であり、反応時間が70秒であり、脱保護試薬は、ジクロロ酢酸のジクロロメタン溶液(3%v/v)であり、ジクロロ酢酸と固相担体における4,4’-ジメトキシトリチル保護基とのモル比が5:1であった。
【0386】
各カップリング反応条件は、いずれも同じであり、温度が25℃であり、固相担体に結合される核酸配列とヌクレオシドモノマーとのモル比が1:10であり、固相担体に結合される核酸配列とカップリング試薬とのモル比が1:65であり、反応時間が600秒であり、カップリング試薬は、5-エチルチオ-1H-テトラゾール(5-(Ethylthio)-1H-tetrazole、ETT)の0.5Mアセトニトリル溶液であった。
【0387】
各キャッピング条件は、いずれも同じであり、温度が25℃であり、反応時間が15秒であった。キャッピング試薬溶液は、モル比が1:1であるCapAとCapBの混合溶液であり、キャッピング試薬と固相担体に結合される核酸配列とのモル比が、酢酸無水物:N-メチルイミダゾール:固相担体に結合される核酸配列=1:1:1であった。
【0388】
各酸化反応条件は同じであり、温度が25℃であり、反応時間が15秒であり、酸化試薬が濃度0.05Mのヨウ素水であった。ヨウ素と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比が30:1であった。反応をテトラヒドロフラン:水:ピリジン=3:1:1の混合溶剤で行った。
【0389】
各硫化反応の条件は同じであり、温度が25℃であり、反応時間が300秒であり、硫化試薬がキサンタンヒドリドであった。硫化試薬と、カップリング工程において固相担体に結合される核酸配列とのモル比が120:1であった。反応をアセトニトリル:ピリジン=1:1の混合溶剤で行った。
【0390】
切断と脱保護条件は以下のとおりである。合成された担体が結合されたヌクレオチド配列を、濃度25wt%のアンモニア水に加え、アンモニア水の用量が0.5ml/μmolであり、55℃で16h反応させ、液体を除去し、残りを乾燥まで真空濃縮した。
【0391】
精製と脱塩:分取用イオンクロマトグラフィー精製カラム(Source 15Q)により、NaClによる勾配溶出で、核酸の精製を完成した。具体的には、溶出剤A:20mMリン酸ナトリウム(pH 8.1)、溶剤が水/アセトニトリル=9:1(体積比)であり、溶出剤B:1.5M塩化ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム(pH 8.1)、溶剤が水/アセトニトリル=9:1(体積比)であり、溶出勾配:溶出剤A:溶出剤B=100:0~50:50で勾配溶出した。製品溶出液を回収してからあわせ、逆相クロマトグラフィー精製カラムにより脱塩し、具体的な条件としては、デキストランゲルカラムにより脱塩し、充填剤がデキストランゲルG25(Sephadex G25)であり、脱イオン水で溶出した。
【0392】
検出:イオン交換クロマトグラフィー(IEX-HPLC)を用いて純度を検出し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により得られた生成物の分子量をそれぞれ分析した。実測値が理論値に一致しており、3’末端にL-9複合分子が複合された複合体1~11のセンス鎖Sが合成されたことを示した。
【0393】
(1-3)アンチセンス鎖の合成
(1-3A)複合体1~5のアンチセンス鎖の調製
固相ホスホルアミダイト法により、汎用の固相担体(UnyLinkerTM loaded NittoPhase(登録商標)HL Solid Supports、Kinovate Life Sciences社)を出発として循環させ、複合体1~5のアンチセンス鎖のヌクレオチドの並び順に従い3’-5’方向に一つずつヌクレオシドモノマーを結合し、それぞれ複合体1~5のアンチセンス鎖ASを合成した。固相合成方法における脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化反応条件、切断と脱保護、精製と脱塩条件は、センス鎖の合成と同じであった。
【0394】
検出:純度をイオン交換クロマトグラフィー(IEX-HPLC)により検出し、分子量を液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により分析した。実測値が理論値に一致しており、目的配列を有するアンチセンス鎖ASが合成されたことを示した。
【0395】
ここで、ビニルリン酸エステルで修飾された2’-メトキシ修飾ウラシルヌクレオシドモノマー(VP-Um)は、以下の方法に従い合成された。
【0396】
【化44】
【0397】
(1-3-1)VP-U-2の合成
以下の方法に従い、VP-U-2分子を合成した。
【0398】
【化45】
2’-メトキシ修飾ウラシルヌクレオシド(2’-OMe-U、51.30g、91.6mmol)、tert-ブチルジフェニルクロロシラン(TBDPSCl、50.35g、183.2mmol)、イミダゾール(12.47g、183.2mmol)を混合して450mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、室温で20h攪拌反応させた。DMFを留去し、600mlのジクロロメタンで溶解した後300mlの飽和炭酸水素ナトリウムを加えて洗浄し、水相をジクロロメタン(DCM)で1回あたり300mlで3回抽出し、有機相をあわせ、5%シュウ酸で水相をpH<5になるまで洗浄し、乾燥まで溶剤を蒸発させた後VP-U-1粗製品を得、そのまま後のVP-U-2の合成に用いた。
【0399】
VP-U-1粗製品を100mlのジクロロメタンで溶解した後、氷浴を施して10分間攪拌し、さらに、予め4℃の冷蔵庫で冷蔵された450mlの2%p-トルエンスルホン酸溶液(溶剤が、体積比3:7のメタノール-ジクロロメタン混合溶剤である)を加え、10分間反応させた。さらに200mlの飽和炭酸水素ナトリウムを加えて反応をクエンチングし、有機相に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてpH=8になるまで洗浄した。水相をあわせ、ジクロロメタンで1回あたり200mlで2回抽出し、有機相をあわせ、さらに200mlの飽和食塩水で1回洗浄し、乾燥まで溶剤を蒸発させた。200~300メッシュの順相シリカゲルカラムで精製し、石油エーテルをカラムに入れ、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:メタノール=1:1:1:0.05~1:1:1:0.25で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固し、真空油ポンプで発泡乾燥させて計40.00gの純粋なVP-U-2を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.96 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.64 (dtd, J = 5.1, 4.0, 2.2 Hz, 4H), 7.41-7.30 (m, 6H), 6.79 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.94 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 4.12 (td, J = 4.6, 3.9 Hz, 1H), 4.05 (dd, J = 4.8, 4.0 Hz, 1H), 3.96 (t, J = 4.7 Hz, 1H), 3.68 (ddd, J = 11.8, 7.0, 4.6 Hz, 1H), 3.57-3.46 (m, 1H), 3.39 (s, 3H), 1.05 (s, 8H). MS m/z:C2633Si,[M+H]、理論値:497.21、実測値:497.45。
【0400】
(1-3-2)VP-U-4の合成
【0401】
【化46】
VP-U-2(19.84g、40.0mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、16.48g、80.0mmol)、ピリジン(4.20g、53.2mmol)、トリフルオロ酢酸(6.61g、53.2mmol)を混合して200mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、室温で20h攪拌反応させた。別に、メチレンジホスホン酸テトラエチル(21.44g、74.4mmol)を120mlのTHFに溶解させ、氷浴で降温させ、氷浴温度でt-BuOK(11.36g、101.2mmol)を加え、氷浴温度で10min反応させた後、室温まで昇温して0.5h反応させ、その後、約1hかけて前述した反応液に加え、氷浴温度で1h反応させた後、室温まで昇温して18h反応させた。水を加えて反応をクエンチングし、水相をジクロロメタンで1回あたり200mlで3回抽出した。有機相をあわせ、200mlの飽和食塩水で1回洗浄した後、乾燥まで溶剤を蒸発させた。200~300メッシュの順相シリカゲルカラムで精製し、石油エーテルをカラムに入れ、石油エーテル:酢酸エチル=1:1~1:4で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固し、真空油ポンプで発泡乾燥させて計14.00gの純粋なVP-U-4を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.96 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.64 (dtd, J = 5.1, 4.0, 2.2 Hz, 4H), 7.41-7.30 (m, 6H), 6.82-6.71 (m, 2H), 5.90 (ddd, J = 25.9, 15.0, 1.0 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.36-4.21 (m, 3H), 4.18 (t, J = 4.9 Hz, 1H), 4.05 (ddq, J = 9.7, 8.5, 6.9 Hz, 2H), 3.87 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 3.39 (s, 3H), 1.32 (td, J = 6.9, 0.7 Hz, 6H), 1.05 (s, 8H). MS m/z:C3142PSi,[M+H]、理論値:629.24、実測値:629.51。
【0402】
(1-3-3)VP-U-5の合成
【0403】
【化47】
VP-U-4(14.00g、22.29mmol)を100mlのテトラヒドロフランに溶解させ、トリエチルアミン三フッ化水素酸(17.96g、111.45mmol)を加え、室温で20h攪拌して完全に反応させた。そのまま乾燥まで溶剤を蒸発させ、50mlのジクロロメタンで溶解した後で蒸発乾固する操作を2回繰り返し、粗製品を得た。200~300メッシュの順相シリカゲルカラムで精製し、石油エーテルをカラムに入れ、石油エーテル:酢酸エチル:ジクロロメタン:メタノール=1:1:1:0.05~1:1:1:0.25で勾配溶出し、生成物溶出液を回収し、溶剤を減圧蒸発乾固し、真空油ポンプで発泡乾燥させて計6.70gの純粋なVP-U-5を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.96 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.77 (dd, J = 15.0, 6.2 Hz, 1H), 5.99-5.82 (m, 2H), 5.73 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.27 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 5.10 (dd, J = 5.3, 4.7 Hz, 1H), 4.29 (ddq, J = 9.8, 8.6, 7.0 Hz, 2H), 4.17 (ddd, J = 6.2, 5.2, 1.0 Hz, 1H), 4.12-3.98 (m, 3H), 3.39 (s, 2H), 1.32 (td, J = 6.9, 0.6 Hz, 6H). MS m/z:C1524P,[M+H]、理論値:391.13、実測値:391.38。
【0404】
(1-3-4)VP-U-6の合成
【0405】
【化48】
アルゴン保護条件で10mlの無水ジクロロメタンにVP-U-5(391mg、1.0mmol)、ピリジントリフルオロアセテート(0.232g、1.2mmol)、N-メチルイミダゾール(0.099g、1.2mmol)、ビス(ジイソプロピルアミノ)(2-シアノエトキシ)ホスフィン(0.452g、1.5mmol)を加え、室温で5時間攪拌反応させた。乾燥まで溶剤を留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製し(200~300メッシュの順相シリカゲルを、ジクロロメタン:アセトニトリル(0.5wt%トリエチルアミンを含む)=3:1~1:3で勾配溶出した)、生成物溶出液を回収し、溶剤を濃縮除去し、計508mgの目的生成物VP-U-6を得た。31P NMR (161 MHz, DMSO-d6) δ 150.34, 150.29, 17.07, 15.50. MS m/z:C2441,[M+H]、理論値:591.23、実測値:591.55。VP-U-6が目的生成物VP-Umであり、ヌクレオシドモノマーとしてRNA鎖の合成に関与することを示した。
【0406】
(1-3B)複合体6、8~11のアンチセンス鎖の調製
表7に示される核酸配列に従って対応するヌクレオシドモノマーを一つずつ結合することを除いて、複合体6及び8~11のアンチセンス鎖と複合体4のアンチセンス鎖の合成方法の区別は、5’-末端の1番目のヌクレオチド修飾が異なることのみにあった。固相ホスホルアミダイト法によりアンチセンス鎖を調製する場合、最後に結合されたヌクレオシドモノマーが2’-メトキシ修飾グアニンヌクレオシドモノマー(Gm)であり、脱保護、カップリング、キャッピング、酸化の4つの反応を行ってCPR-Iモノマー(蘇州吉瑪、番号Cat#13-2601-XX)をアンチセンス鎖の5’末端に結合し、5’-リン酸エステル修飾を形成した。
【0407】
【化49】
合成において用いられた汎用の固相担体、脱保護、カップリング、キャッピング、酸化又は硫化反応条件、切断と脱保護、精製と脱塩条件は、センス鎖の合成と同じであった。
【0408】
イオン交換クロマトグラフィー(IEX-HPLC)により純度を検出し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により分子量を分析した。実測値が理論値に一致しており、目的配列を有するアンチセンス鎖ASが合成されたことを示した。
【0409】
(1-3C)複合体7のアンチセンス鎖の調製
CPR-Iモノマーを結合する場合、上記酸化反応条件の代わりに硫化反応条件を用いたこと以外、(1-3B)と同じ合成プロセスを採用した。5’-チオリン酸エステル修飾を有する複合体7のアンチセンス鎖を調製した。
【0410】
イオン交換クロマトグラフィー(IEX-HPLC)により純度を検出し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により分子量を分析した。実測値が理論値に一致しており、目的配列を有するアンチセンス鎖ASが合成されたことを示した。
【0411】
(1-4)複合体1~11の合成
複合体1に対して、S鎖とAS鎖をそれぞれ注射用水に溶解させ、40mg/mLの溶液を得、等モル比で混合し、50℃で15min加熱し、室温で冷却した後、アニールを行った生成物を得、凍結乾燥させて、凍結乾燥粉末を得た。超純水(Milli-Q超純水装置で自作、抵抗率18.2MΩ*cm(25℃))を用いて複合体を濃度が0.2mg/mLになるまで希釈した後、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS、Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、Waters社から購入、型番:LCT Premier)により分子量を検出した。実測値が理論値と一致しており、合成された複合体1が、L-9複合分子を含む目的設計の二本鎖核酸配列であることが示された。
【0412】
複合体1のセンス鎖の代わりにそれぞれ上記調製された複合体2~11のセンス鎖を用い、複合体1のアンチセンス鎖の代わりにそれぞれ上記調製された複合体2~11のアンチセンス鎖を用いたこと以外、同じ方法で複合体2~11を調製した。得られた複合体2~11の分子量をそれぞれ検出し、実測値が理論値に一致しており、合成された複合体が、L-9複合分子を含む目的設計の二本鎖核酸配列であることが示された。複合体1~11の構造は、式(403)に示される。
【0413】
【表7】
【0414】
調製例2:比較複合体1及び比較複合体2の調製
本調製例で、比較複合体1及び比較複合体2を合成し、当該複合体に複合されたsiRNAの配列が表7に示され、複合された複合分子が以下の(2-1)に合成された(GalNAc)複合分子であった。前記複合体は、それぞれWO2016081444A1における化合物AD-65704及びAD-69535とは構造が同じである。
【0415】
(2-1)(GalNAc)複合分子の合成
WO2014025805A1の実施例17に記載された方法により化合物30、即ち、以上のようなリンカー-(Lトリヒドロキシメチルアミノメタン-L-及び標的基であるN-アセチルガラクトサミン分子(ここで、各Lに1つのN-アセチルガラクトサミン分子が結合できるので、1つのリンカーに3個のN-アセチルガラクトサミン分子が結合できる)を含む複合分子((GalNAc)複合分子とも呼ばれる)を合成し、合成の化学反応式と(GalNAc)複合分子の構造は、下式に示される。
【0416】
【化50】
【0417】
(2-2)固相担体に結合された(GalNAc)複合分子の調製
L-9複合分子の代わりに(GalNAc)複合分子を用い、固相担体に結合された(GalNAc)複合分子を得たこと以外、調製例1における工程(1-1-5)と同じ方法により、固相担体に結合された複合分子を調製した。
【0418】
(2-3)比較複合体1及び比較複合体2の合成
1)工程(2-2)で得られた化合物を出発としてセンス鎖を合成し、2)固相ホスホルアミダイト法によりアンチセンス鎖を調製する場合、最後に結合されるヌクレオシドモノマーが2’-メトキシ修飾ウラシルヌクレオシドモノマー(Um)であり、3)複合siRNAがそれぞれ表7において番号(GalNAc)-65704及び(GalNAc)-69535に示される配列を有すること以外、調製例1における工程(1-2)、(1-3A)、(1-4)と同じ方法により、比較複合体1及び比較複合体2を調製した。
【0419】
液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS、Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、Waters社から購入、型番:LCT Premier)により分子量を検出した。実測値が理論値に一致しており、合成された複合体は、構造が式(305)に示される目的設計の化合物であることが確認された。
【0420】
実験例1:siRNA複合体の体外細胞系における活性抑制の検出
実験例1-1:siRNA複合体によるHuh7細胞系におけるAPOC3 mRNA発現量に対する抑制効率
本実験例では、複合体1~5の体外Huh7細胞でのAPOC3 mRNA発現量に対する抑制効率を考察した。
【0421】
LipofectamineTM 2000を用いて複合体1~5をヒト肝がん細胞株Huh7にトランスフェクションし、siRNA複合体の最終濃度(siRNAの量として)がそれぞれ0.5nM、0.125nM及び0.03125nMであった。前記siRNA複合体が溶液として提供され、具体的には、実験を行う前に、DEPC化水を用いて、siRNA複合体を所望の濃度の溶液に溶解させた。siRNA複合体がトランスフェクションされていない細胞をブランク対照とした。各濃度につき2つの複製ウェルがあった。
蛍光定量的リアルタイムPCR(Quantitative Real-Time PCR)によりそれぞれ各濃度の複合体1~5がトランスフェクションされたHuh7細胞におけるAPOC3 mRNAの発現量を検出した。具体的な工程としては、トランスフェクションした細胞を24時間培養した後、Trizol(Thermo Fisher社)を用いて全RNA抽出の標準操作手順により細胞における全RNAを抽出し、それぞれ1μgの全RNAをとり、逆転写キット(Promega社、番号A3500)を用いてその説明書の操作方法により逆転写してcDNAを得た。2×Ultra SYBR Mixture(with ROX)(北京康為世紀生物科技有限公司、番号CW0956)キットを用い、cDNAをテンプレートとして説明書の手順によりAPOC3 mRNA発現量を検出した。APOC3及び内因性参照遺伝子であるGAPDHの増幅のためのPCRプライマーは、表8に示される。
【0422】
【表8】
【0423】
APOC3 mRNA発現量は、APOC3 mRNA発現量=[(試験群APOC3 mRNAの発現量/試験群GAPDH mRNAの発現量)/(対照群APOC3 mRNAの発現量/対照群GAPDH mRNAの発現量)]×100%という等式により算出された。
【0424】
複合体によるAPOC3 mRNA発現量に対する抑制率は、抑制率=(1-APOC3 mRNA発現量)×100%という等式により算出された。各試験群は、それぞれ各濃度の複合体1~5で処理されたHuh7細胞であり、対照群は、複合体で処理されていないHuh7細胞であった。
【0425】
図1は、トランスフェクションされていないHuh7と、Huh7細胞において異なる複合体を異なる最終濃度までトランスフェクションしたときのAPOC3 mRNA発現量(発現量については、ヒトGAPDHを参照とし、ブランク対照を標準化する)のヒストグラムを示している。
【0426】
図1から分かるように、本開示により提供されるsiRNA複合体は、Huh7細胞系において高い抑制活性を有し、0.5nMの複合体によるAPOC3 mRNA発現量に対する抑制率は、いずれも60%以上であった。本開示により提供される各siRNA複合体の各濃度での抑制活性は、いずれも比較複合体1よりも高かった。
【0427】
実験例1-2:Huh7細胞系におけるsiRNA複合体のAPOC3 mRNAに対するIC50の測定
本実験例では、Huh7細胞系における複合体6、8~11のAPOC3 mRNAに対するIC50値を測定した。
【0428】
実験例1-1と同じ方法を用いて複合体6及び8~11をトランスフェクションし、各群のAPOC3 mRNA発現量を検出した。異なる点は、複合体の最終濃度(siRNAの濃度として計算された)を3nMから0.004nMまで3倍ごとに希釈し、計7種の濃度としたことである。異なる濃度の複合体を用いて測定したAPOC3 mRNA発現量から、Graphpad 5.0ソフトウェアlog(inhibitor) vs. response-Variable slope機能により用量-効果曲線をフィッティングし、用量-効果曲線から各複合体のIC50値を算出した。
【0429】
【数1】
式中:
Yは、残存mRNAの発現レベルであり、
Xは、トランスフェクション複合体の濃度の対数値であり、
Botは、定常期の最低のY値であり、
Topは、定常期の最高のY値であり、
LogIC50は、Yが最低と最高との間の半分にある場合のX値であり、HillSlopeは、曲線の傾きである。
【0430】
複合体6及び8~11の体外Huh7細胞におけるIC50がそれぞれ0.01002nM、0.008159nM、0.05375nM、0.01933nM及び0.01949nMであったことを検出し、本開示のsiRNA複合体が体外において高い標的mRNA発現量抑制活性を有することを示した。
【0431】
実験例2:本実験は、体内(in vivo)における本開示のsiRNA複合体による血中脂質含有量の低下作用について考察した。
【0432】
実験例2-1:本実験例では、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内において、複合体2、4及び5が血清総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を低下させる作用について考察した。
【0433】
血清TGの含有量>2mmol/LのヒトAPOC3トランスジェニックマウス(B6、CBA-Tg(APOC3)3707Bres/J)を7匹/群で次のようにランダムに分けた。(1)生理食塩水対照群、(2)複合体2 3mg/kg用量群、(3)複合体2 1mg/kg用量群、(4)複合体4 3mg/kg用量群、(5)複合体4 1mg/kg用量群、(6)複合体5 3mg/kg用量群、(7)複合体5 1mg/kg用量群。全ての動物について、体重に応じて投与量を算出し、皮下注射により単回投与し、siRNA複合体はそれぞれ0.6mg/ml及び0.2mg/ml濃度の0.9%塩化ナトリウム水溶液として提供され、具体的には、実験を行う前に、0.9%塩化ナトリウム水溶液を用いてsiRNA複合体を所望の濃度の溶液に溶解させ、生理食塩水及びsiRNA複合体の投与体積はいずれも5mL/kgであった。
【0434】
それぞれ薬剤投与前(0日目と記す)、及び薬剤投与後7、14、21、28、35、42、49、63、77、91、112、133、147、161、175、189日目にマウスに対して眼窩静脈叢採血を行い、各時点で血清CHO及びTGの含有量を検出した。
【0435】
1回あたり約100μLで眼窩採血を行い、遠心して20μL以上の血清を得、さらにPM1P000/3全自動血清生化学分析装置(SABA)を用いて血清における総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を検出した。
標準化された脂質レベル=(薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。
脂質レベルの抑制率=(1-薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。脂質は、総コレステロール又はトリグリセリドを指す。
【0436】
図2A~2Dは、生理食塩水および異なる用量の複合体2、4及び5を投与したヒトAPOC3トランスジェニックマウスにおける血清総コレステロール(CHO)レベル及びトリグリセリド(TG)レベルの経時的変化図を示す。試験群に対して、薬剤投与前を0日目(D0)と記し、各血清におけるCHOレベル及びTGレベルをD0日の数値に対して標準化した。
【0437】
図2Aから分かるように、単回投与3mg/kg用量群の3つの複合体によるTGに対する抑制率は、77日間と長期間にわたって70~90%に維持され、かつTGに対する抑制率が約50%以下に維持された期間は147日間に達した。
【0438】
図2Bから分かるように、単回投与後7日目に、1mg/kg用量群の3つの複合体によるTGに対する抑制率はいずれも約80%に達し、かつ49日間と長期間にわたって、50%を上回るTG含有量の低減効果が持続的に示された。
【0439】
図2Cから分かるように、単回投与3mg/kg用量群の3つの複合体によるCHOに対する抑制率は、77日間と長期間にわたってほぼ常に50%程度に維持された。
【0440】
図2Dから分かるように、単回投与35日後に、1mg/kg用量群の3つの複合体は、依然として少なくとも約50%のCHO含有量の低減効果を示した。
【0441】
図2A~2Dの結果から明らかなように、薬剤投与後の異なる時点で、複合体2、4及び5は、マウス血清におけるTG及びCHOを明らかに低下させる効果を示した。本開示のsiRNA複合体が長期間にわたって、脂質レベルを安定的且つ効率よく低下させることができることを示した。
【0442】
実験例2-2:本実験例では、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内において、複合体1が血清総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を低下させる作用について考察した。
【0443】
各試験群が6匹のマウスを含み、投与された複合体が複合体1及び比較複合体2であり、薬剤投与後112日目まで試験を行ったこと以外、実験例2-1と同じ方法で検出した。
【0444】
図3A~3Bは、生理食塩水および異なる用量の複合体1及び比較複合体2をヒトAPOC3トランスジェニックマウスに投与した後、マウスの血清における総コレステロール(CHO)レベル及びトリグリセリド(TG)レベルの経時的変化図を示す。試験群に対して、薬剤投与前を0日目(D0)と記し、各血清におけるCHOレベル及びTGレベルをD0日の数値に対して標準化した。
【0445】
図3A及び3Bの結果から明らかなように、複合体1は、3mg/kg用量群か1mg/kg用量群かにかかわらず、いずれも112日間と長期間にわたってトランスジェニックマウスのTG及びCHOレベルを顕著に低下させることができ、かつその低下効果は比較複合体2より明らかに優れていた。単回薬剤投与して56日間は、3mg/kg用量群か1mg/kg用量群かにかかわらず、複合体1によるTG及びCHOに対する抑制率がいずれも50%以上であり、かつTGに対する抑制作用がより顕著であって、112日間と長期間にわたり、2つの用量作用でのTGレベルは常に50%程度に維持された。
【0446】
実験例2-3:本実験例は、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内において、複合体3が血清総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を低下させる作用について考察した。
【0447】
各試験群が6匹のマウスを含み、投与された複合体が複合体3であり、生理食塩水(NS)の代わりに1×PBS緩衝液を用いて複合体3を所望の濃度の溶液に溶解させ、かつブランク対照試験で1×PBS緩衝液が用いられ、薬剤投与後112日目まで試験を行ったこと以外、実験例2-1と同じ方法で検出した。
【0448】
図4A及び4Bは、PBSおよび異なる用量の複合体3をヒトAPOC3トランスジェニックマウスに投与した後、マウスの血清おける総コレステロール(CHO)レベル及びトリグリセリド(TG)レベルの経時的変化図を示す。試験群に対して、薬剤投与前を0日目(D0)と記し、各血清におけるCHOレベル及びTGレベルをD0日の数値に対して標準化した。
【0449】
図4Aから分かるように、3mg/kg用量群については、単回薬剤投与後14日目に、TGに対する抑制率が93.6%に達し、薬剤投与後98日目でも、TGに対する抑制率は66.4%であった。1mg/kg用量群については、単回薬剤投与後14日目に、TGに対する抑制率が93.3%に達し、薬剤投与後98日目でも、TGに対する抑制率は37.7%であった。
【0450】
図4Bから分かるように、3mg/kg用量群については、単回薬剤投与後7日目に、CHOに対する抑制率が63.0%に達し、薬剤投与後98日目でも、CHOに対する抑制率は49.2%であった。1mg/kg用量群については、単回薬剤投与後7日目に、CHOに対する抑制率が52.2%に達した。
【0451】
図4A及び4Bの結果から明らかなように、複合体3は、98日間と長期間にわたり、トランスジェニックマウスにおけるTG及びCHOレベルを顕著に低下させることができ、かつその低下効果は明らかな用量依存効果を示した。
【0452】
実験例2-4:本実験例では、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内において、異なる用量の複合体4が血清総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を低下させる作用について考察した。
【0453】
各試験群が8匹のマウスを含み、投与された複合体が複合体4であり、0.3、1、3mg/kgの3つの用量群でそれぞれ投与され、投与体積を変化させず、薬剤投与後133日目まで試験を行ったこと以外、実験例2-1と同じ方法で検出した。
【0454】
図5A及び5Bは、生理食塩水および異なる用量の複合体4をヒトAPOC3トランスジェニックマウスに投与した後、マウスの血清における総コレステロール(CHO)レベル及びトリグリセリド(TG)レベルの経時的変化図を示す。試験群に対して、薬剤投与前を0日目(D0)と記し、各血清におけるCHOレベル及びTGレベルをD0日の数値に対して標準化した。図5A及び5Bの結果から分かるように、複合体4は、ヒトAPOC3トランスジェニックマウスに対して3つの用量のいずれも顕著な脂質低下作用を有し、かつ用量依存性があり、3mg/kg用量群では、133日目でもTGに対する抑制率が50%に達していた。
【0455】
実験例2-5:本実験例では、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内において、複合体4、6、7が血清総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を低下させる作用について考察した。
【0456】
各試験群が6匹のマウスを含み、投与された複合体が複合体4、6、7及び比較複合体2であり、薬剤投与後112日目まで試験を行ったこと以外、実験例2-1と同じ方法で検出した。
【0457】
図6A~6Dは、生理食塩水および異なる用量の複合体4、6、7及び比較複合体2をヒトAPOC3トランスジェニックマウスに投与した後、マウスの血清における総コレステロール(CHO)レベル及びトリグリセリド(TG)レベルの経時的変化図を示す。試験群に対して、薬剤投与前を0日目(D0)と記し、各血清におけるCHOレベル及びTGレベルをD0日の数値に対して標準化した。
【0458】
図6A~6Dの結果から分かるように、複合体4、6、7は、ヒトAPOC3トランスジェニックマウスに対して2つの用量のいずれも顕著な脂質低下作用を有し、3mg/kg用量群では、薬剤投与後84日間は、TGに対する抑制率が常に50%以上に維持され、CHOに対する抑制率が30%以上に維持された。3mg/kg及び1mg/kgでは、複合体4、6及び7によるTGに対する抑制作用は常に比較複合体2より強く、CHOに対する抑制も同様の傾向があることに注意すべきである。
【0459】
実験例2-6:本実験例では、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内において、異なる用量の複合体8及び9が血清総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を低下させる作用について考察した。
【0460】
各群が8匹のマウスを含み、投与された複合体が複合体8及び9であり、0.1、0.3、1、3、9mg/kgの5つの用量群でそれぞれ投与され、投与体積を変化させず、複合体溶液の濃度を相応に調整し、薬剤投与後147日目まで試験を行ったこと以外、実験例2-1と同じ方法で検出した。
【0461】
図7A~7Dは、生理食塩水および異なる用量の複合体8及び9をヒトAPOC3トランスジェニックマウスに投与した後、マウスの血清における総コレステロール(CHO)レベル及びトリグリセリド(TG)レベルの経時的変化図を示す。試験群に対して、薬剤投与前を0日目(D0)と記し、各血清におけるCHOレベル及びTGレベルをD0日の数値に対して標準化した。
【0462】
図7A~7Dの結果から分かるように、複合体8及び9は、ヒトAPOC3トランスジェニックマウスに対して5つの用量のいずれも顕著な脂質低下作用を有し、かつ用量依存性があった。
【0463】
さらに、異なる用量で、異なる時点での上記複合体8及び9によるTGに対する抑制率に基づいて、異なる時点での複合体8及び9によるヒトAPOC3トランスジェニックマウスにおけるTGレベル抑制のED50値を測定した。
【0464】
異なる用量の複合体8及び9を用いて異なる時点で測定された血清TGレベルから、Graphpad 5.0ソフトウェアlog(inhibitor) vs. response-Variable slope機能により用量-効果曲線をフィッティングし、用量-効果曲線から各複合体のED50値を算出した。
【0465】
【数2】
式中:
Yは、測定された血清TGレベル(D0日のTGレベルに対して標準化した)であり、
Xは、同じ時点でのトランスフェクション複合体の用量の対数値であり、
Botは、定常期の最低のY値であり、
Topは、定常期の最高のY値であり、
LogED50は、Yが最低と最高との間の半分にある場合のX値であり、HillSlopeは、曲線の傾きである。
【0466】
計算により、複合体8及び9を単回投与した後、異なる時点でのTG抑制のED50値は、表9に示される。
【0467】
【表9】
【0468】
表9の結果から、ヒトAPOC3トランスジェニックマウスに対して、複合体8を0.16mg/kg又は複合体9を0.11mg/kgで単回皮下注射するだけで、投与後半月の時点でも半分のTG含有量の低減が可能であるという治療効果を達成できること、本開示の複合体を1mg/kg未満で単回皮下注射するだけで、投与後1ヶ月の時点でも半分のTG含有量の低減が可能であるという効果を達成できることを、予期し得る。
【0469】
実験例3:本実験例では、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス体内における複合体4による肝臓組織中のAPOC3 mRNA発現量に対する抑制率について考察した。
【0470】
実験前に、ヒトAPOC3トランスジェニックマウス(B6、CBA-Tg(APOC3)3707Bres/J)の血清におけるトリグリセリド含有量を検出し、血清におけるトリグリセリド含有量が2mmol/Lより大きいトランスジェニックマウスを選択してランダムに分け、試験群ごとに5匹のマウスを含み、ブランク群(NSを投与する)に4匹のマウスを含み、それぞれ各群のマウスに複合体4及び生理食塩水NSを投与した。全ての動物について、体重に応じて投与量を算出し、皮下注射により単回投与し、siRNA複合体の投与量(siRNAの量として)は1mg/kg及び0.1mg/kgの2つの用量群であり、複合体はそれぞれ0.2mg/ml及び0.02mg/ml濃度の0.9%塩化ナトリウム水溶液として提供され、投与体積は5mL/kgであった。薬剤投与14日後にマウスを死亡させ、肝臓を回収し、RNA later(Sigma Aldrich社)で保存し、その後、組織ホモジナイザーで肝組織をホモジナイズし、さらにTrizol(Thermo Fisher社)で全RNA抽出の標準操作手順により抽出して肝組織の全RNAを得た。
【0471】
実験例1-1と同じ蛍光定量的リアルタイムPCR法により肝組織におけるAPOC3 mRNAの発現量を検出した。当該蛍光定量的リアルタイムPCR法では、β-actin遺伝子を内因性参照遺伝子とし、APOC3に対するプライマー及びβ-アクチンに対するプライマーを用いてそれぞれAPOC3及びβ-アクチンの発現量を検出したことが異なる。
【0472】
検出プライマーの配列は、表10に示される。
【0473】
【表10】
【0474】
肝組織におけるAPOC3 mRNAの発現量と複合体によるAPOC3 mRNAに対する抑制率の計算は実験例1-1と同じである。対照群は、本実験において生理食塩水(normal saline、NS)が投与された対照群マウスであり、各試験群は、それぞれ異なる濃度のsiRNA複合体が投与された投与群マウスであった。
【0475】
図8は、生理食塩水および異なる用量の複合体4をヒトAPOC3トランスジェニックマウスに投与した後、マウス体内の肝臓組織におけるAPOC3 mRNA発現量の散布図を示す。(発現量について、マウスのβ-actinを参照とし、ブランク対照NSを標準化とする)
【0476】
その結果、複合体4を0.1mg/kg及び1mg/kgで単回投与すると、トランスジェニックマウスにおけるヒトAPOC3遺伝子に対して顕著な抑制作用を有することが示された。なお、1mg/kgの複合体4によるAPOC3 mRNAに対する抑制率は82.0%に達し、0.1mg/kgの複合体4によるAPOC3 mRNAに対する抑制率は40.4%であった。
【0477】
以上、本開示のいくつかの実施形態を詳しく記載したが、本開示は、上記実施形態の具体的な細部に限定されず、本開示の技術的思想の範囲で、本開示の技術的解決手段に対して複数種の簡単な変形をすることができ、これらの簡単な変形は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0478】
このほかに説明すべきこととして、上記いくつかの実施形態に記載された各具体的な技術的特徴は、矛盾がない場合、任意の適切な方法により組み合わせることができ、不必要な重複を避けるために、本開示では各種の可能な組合せ方法を別途説明しない。
【0479】
また、本開示の各種の異なる実施形態は任意に組み合わせることもでき、本開示の精神から逸脱しない限り、その組み合わせも同様に、本開示に開示された内容とみなすべきである。
【0480】
<引用による本明細書への組み込み>
本明細書で言及される全ての出版物、特許及び特許出願は、各々の出版物、特許及び特許出願が特別にかつ個別に引用により本明細書に組み込まれるのと同じ程度に、引用により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
【配列表】
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