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特許7507505電気浸透ポンプ、電極の製造方法、これを利用した流体ポンピングシステム、及び、そのシステムの動作方法{ELECTROOSMOTIC PUMP、ELECTRODE MANUFACTURING METHOD、FLUID PUMPING SYSTEM USING THE SAME、AND OPERATION METHOD THEREOF}
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】電気浸透ポンプ、電極の製造方法、これを利用した流体ポンピングシステム、及び、そのシステムの動作方法{ELECTROOSMOTIC PUMP、ELECTRODE MANUFACTURING METHOD、FLUID PUMPING SYSTEM USING THE SAME、AND OPERATION METHOD THEREOF}
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/04 20060101AFI20240621BHJP
   F04B 9/00 20060101ALI20240621BHJP
   F04B 45/047 20060101ALI20240621BHJP
   F04D 33/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F04B43/04 Z
F04B9/00 B
F04B45/047 Z
F04D33/00
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022189328
(22)【出願日】2022-11-28
(65)【公開番号】P2023079220
(43)【公開日】2023-06-07
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165573
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522464595
【氏名又は名称】ケアメディ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CAREMEDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】(Sinsu-dong,Sogang University),Teilhard Hall 415-ho,35,Baekbeom-ro,Mapo-gu Seoul 04107,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】シン,ウンソップ
(72)【発明者】
【氏名】チュ,ウンファ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジュンヨン
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-275016(JP,A)
【文献】特表2011-514794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0177931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/04
F04B 45/047
F04B 9/00
F04D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気浸透ポンプにおいて、
流体の移動を許容するメンブレン;及び、
前記メンブレンの両側にそれぞれ設けられた第1電極及び第2電極を含み、
前記第1電極及び前記第2電極は、非透過性基底物質(impermeable substrate material)と、その上にコーティングされた電極物質とからなる電極であって、少なくとも一つ以上の流体移動通路が形成されたものであり、
前記非透過性基底物質は、伝導性物質、半導体物質及び非伝導性物質のうち少なくとも一つを含む板状の基材である、電気浸透ポンプ。
【請求項2】
前記伝導性物質は、炭素、ニッケル、銅、金、銀、チタン、ルテニウム、パラジウム、亜鉛、白金、コバルト、鉛、マンガン、柱石、イリジウム、鉄、アルミニウム、金オキサイド、銀オキサイド、ルテニウムオキサイド、白金オキサイド、鉛オキサイド、イリジウムオキサイド、ポリピロール(polypyrrole)、ポリピロール(polypyrrole)の誘導体、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアニリン(polyaniline)の誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチオフェン(polythiophene)の誘導体、及び、これらの組合せから選択される一つ以上を含むものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項3】
前記半導体物質は、Sn、Si、SiC、Ge、Se、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、InP、InAs、InSb、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、SnO、SiO、CeO、TiO、WO、Fe、In、CuO、ポリピロール(polypyrrole)、ポリピロール(polypyrrole)の誘導体、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアニリン(polyaniline)の誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチオフェン(polythiophene)の誘導体、プルシアンブルー(prussian blue)、FeHCF(iron hexacyanoferrate)、CuHCF(copper hexacyanoferrate)、CoHCF(cobalt hexacyanoferrate)、NiHCF(conickel hexacyanoferrate)、及び、これらの組合せから選択される一つ以上を含むものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項4】
前記非伝導性物質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンスルホン、ポリオレフイン、ポリアミド、ポリエステル、アラミド、アクリル、ポリエチレンオキサイド、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エーテルイミド)、スチレン-ブタジエン-スチレン2ブロック共重合体、ポリ(フェロセニルジメチルシラン)、ポリイミド、及び、これらの組合せから選択される一つ以上を含むものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項5】
前記電極物質は、金属、金属酸化物(metal oxide)、伝導性高分子(conducting polymer)、金属ヘキサシアノフェレート(metal hexacyanoferrate)、炭素ナノ構造体、及び、これらの複合体(composite)から選択される一つ以上を含むものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項6】
前記金属は、銀、亜鉛、鉛、マンガン、銅、柱石、ルテニウム、ニッケル、金、チタン、パラジウム、白金、コバルト、鉄、アルミニウム、イリジウム、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含むものである、請求項5に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項7】
前記金属酸化物は、バナジウムオキサイド、モリブデンオキサイド(molybdenum oxide;MoO)、タングステンオキサイド(tungsten oxide;WO)、ルテニウムオキサイド、イリジウムオキサイド、マンガンオキサイド、セリウムオキサイド(cerium oxide;CeO)、銀オキサイド、白金オキサイド、鉛オキサイド、ポリオキソメタレート(polyoxometalate)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含むものである、請求項5に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項8】
前記伝導性高分子は、ポリアニリン、ポリアニリンの誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチオフェン(polythiophene)の誘導体、ポリピロール(polypyrrole)、ポリピロール(polypyrrole)の誘導体、キノンポリマー(quinone polymer)、キノンポリマーの誘導体、ポリチオニン(polythionine)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含むものである、請求項5に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項9】
前記金属ヘキサシアノフェレートは、プロシアンブルー(prussian blue)、FeHCF(iron hexacyanoferrate)、CuHCF(copper hexacyanoferrate)、CoHCF(cobalt hexacyanoferrate)、NiHCF(conickel hexacyanoferrate)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含むものである、請求項5に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項10】
前記炭素ナノ構造体は、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、グラフェン(graphene)、炭素ナノ粒子(carbon nanoparticle)、フラーレン(fullerene)、黒鉛(graphite)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含むものである、請求項5に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項11】
前記第1電極または第2電極は、それぞれ独立して、熱圧着またはデカール転写方法によって、前記電極物質の表面が滑らかに処理されたものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項12】
前記第1電極及び/又は第2電極は、前記電極の全体面積比で前記流体移動通路の面積の割合が0%超過50%以下に形成されたものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項13】
前記第1電極及び第2電極の両側で支持し、流路が形成されたフレームをさらに含むものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項14】
前記第1電極及び第2電極に電圧を供給する電源供給部をさらに含むものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項15】
前記第1電極及び第2電極のそれぞれに電圧の極性を交番して供給することで、正方向及び逆方向の電気化学反応が繰り返して起こるようにして、前記流体の繰り返しの往復移動によってポンピング力を発生させるものである、請求項1に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項16】
繰り返しの正方向及び逆方向の前記電気化学反応によって、前記第1電極及び第2電極のそれぞれは、消耗及び再生が繰り返されるものである、請求項15に記載の電気浸透ポンプ。
【請求項17】
(a)非透過性基底物質(impermeable substrate material)からなる板状の基材に一つまたはそれ以上の流体移動通路を形成した後、前記基材に電極物質をコーティングすることで電極を取得すること;または、
(b)非透過性基底物質(impermeable substrate material)からなる板状の基材に電極物質をコーティングした後、前記基材に一つまたはそれ以上の流体移動通路を形成することで電極を取得すること
を含む、電気浸透ポンプを構成する電極の製造方法であって、
前記非透過性基底物質は、伝導性物質、半導体物質及び非伝導性物質のうち少なくとも一つを含むものである、電極の製造方法。
【請求項18】
前記電気浸透ポンプは、
流体の移動を許容するメンブレン;及び、
前記メンブレンの両側にそれぞれ設けられた第1電極及び第2電極を含み、
前記第1電極及び第2電極は、請求項17に記載の方法によって製造された電極であり、
前記第1電極及び第2電極の電気化学反応によって、前記電極の流体移動通路を介して流体が移動する、請求項17に記載の電極の製造方法。
【請求項19】
前記コーティングするステップは、
ドロップコーティング(drop-coating)、ディップコーティング(dip-coating)、スピンコーティング(spin-coating)、スプレーコーティング、プリンティング、熱分解及び電着のうち少なくとも一つの方法によって、前記電極物質をコーティングすることである、請求項17に記載の電極の製造方法。
【請求項20】
流体の移動を許容するメンブレンと、
前記メンブレンの両側にそれぞれ設けられた第1電極及び第2電極とを備え、
前記第1電極及び前記第2電極は、非透過性基底物質からなる板状の基材と、前記基材内に形成された少なくとも一つの流体移動通路とを含む電極であり、
前記非透過性基底物質は、銀、亜鉛、鉛、マンガン、銅、スズ、ルテニウム、ニッケル、金、チタン、パラジウム、プラチナ、コバルト、鉄、アルミニウム、イリジウム及びこれらの組み合わせの少なくとも一つを含む電気浸透ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気浸透ポンプ、電極の製造方法、これを利用した流体ポンピングシステム、及び、そのシステムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気浸透ポンプは、多孔性膜(多孔性メンブレン)の両端に電極を利用して電圧をかけたときに生じる電気浸透現象によって流体が移動することを利用したポンプである。
【0003】
図1Aは、本発明の一実施例による多孔性膜を介して流体が移動する電気浸透ポンプの作用を説明するための図面である。多孔性膜は、流体が流れ得る数多くの経路があるが、その一つは、図1Aの下側のように示される。
【0004】
多孔性膜の材料としては、一般に、シリカ(silica)、ガラス(glass)などが用いられるが、これらは、水溶液に盛られていると、表面が負電荷を帯びるようになる。この状態で電圧をかけると、(+)電極部から(-)電極部へ流体の移動が起こるようになる(図1Aの上側図)。多孔性膜には、数多くの流体が通り得る経路がある。その一つを拡大してみると、負電荷(bound anion)を帯びた流体通路の表面は、動くことのできる(+)電荷を有した陽イオン(mobile cation)によって電荷均衡を取っている状態となる。かかる状況において電圧をかけると、(+)電極部側から(-)電極部の方向に移動性陽イオン(mobile cation)が表面に沿って移動する。これにより、水素結合ネットワークで連結された流体の全体が滑るように流れる現象が生じるが、これを電気浸透現象といい、その原理を利用したポンプが電気浸透ポンプである。
【0005】
図1Aを参照すると、電気浸透ポンプに活用される電極は、流体の移動を円滑にするために、多孔性電極である白金網(Pt mesh)、多孔性カーボン紙或いは纎維(carbon paper or carbon cloth)、または、多孔性構造の上にコーティングされた様々な電極物質が活用されている。このような電極を用いてシリカなどで構成された多孔性膜を挟んで電圧をかけると、これによる流体の移動が生じる。
【0006】
通常、電気浸透ポンプの電極は、流体の移動を円滑にするために、主に多孔性構造を有した電極基底物質が活用されている。この場合、電極基底物質が、多孔性形状が可能な電極構造体でなるか、電極基底物質の上に電着(electroplating)などの方法でコーティング(coating)或いは改質(modification)可能な電極物質のみが制限的に活用されていた。これに対し、ドロップコーティング、スピンコーティングなどの方法によって非透過性基底物質にコーティングが可能な様々な電極物質の使用は制限されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題を解決するために、本発明の一実施例は、既存の電気浸透ポンプの多孔性電極部の構成を非透過性基底物質の上に構成された様々な電極材料に取り替えた電気浸透ポンプを提示しようとする。
【0008】
但し、本実施例が達成しようとする技術的課題は、上記のような技術的課題に限定されず、また他の技術的課題がさらに存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一実施例による電気浸透ポンプは、流体の移動を許容するメンブレン;及び、メンブレンの両側にそれぞれ設けられた第1電極及び第2電極を含み、第1電極及び第2電極は、非透過性基底物質(impermeable substrate material)と、その上にコーティングされた電極物質とからなる電極であって、少なくとも一つ以上の流体移動通路が形成されたものであり、非透過性基底物質は、伝導性物質、半導体物質及び非伝導性物質のうち少なくとも一つを含む板状の基材である。
【0010】
本発明の他の実施例による(a)非透過性基底物質(impermeable substrate material)からなる板状の基材に一つまたはそれ以上の流体移動通路を形成した後、前記基材に電極物質をコーティングすることで電極を修得すること;または、(b)非透過性基底物質(impermeable substrate material)からなる板状の基材に電極物質をコーティングした後、前記基材に一つまたはそれ以上の流体移動通路を形成することで電極を修得することを含む、電気浸透ポンプを構成する電極の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
前述した本発明の課題解決手段によれば、既存の電気浸透ポンプにおける電極としては、流体の円滑な移動のために、白金網(Pt mesh)、多孔性カーボン紙或いは纎維(carbon paper or carbon cloth)などを基盤にする多孔性電極にみが活用されるという問題があった。しかしながら、本発明の電気浸透ポンプは、少なくとも一つ以上の流体移動通路が形成された非透過性電極基底物質を活用するようになり、ドロップコーティングやスピンコーティングが可能な様々な電極物質を活用した電気浸透ポンプの構成が可能である。
【0012】
これに加えて、より一層様々な電極物質を多様に電極表面にコーティングできる拡張性を見せるだけでなく、基板(susbstrate)を集電体そのものに使用することができ、電気浸透ポンプの構成の単純性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の一実施例による多孔性膜を介して流体が移動する電気浸透ポンプの作用を説明するための図面である。
図1B】多孔性電極を使用した既存の電気浸透ポンプの構成を示した図面である。
図2A】本発明の一実施例による非透過性電極を使用した電気浸透ポンプの構成を示した図面である。
図2B】本発明の一実施例による非透過性電極を使用した電気浸透ポンプの構成を示した図面である。
図2C】本発明の一実施例によって図2Aの電気浸透ポンプを利用する流体ポンピングシステムの構成を示す図面である。
図2D】本発明の一実施例によって図2Aの電気浸透ポンプを利用する流体ポンピングシステムの構成を示す図面である。
図3A】本発明の一実施例によるTiプレートを電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5VをTi電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図3B】本発明の一実施例によるTiプレートを電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5VをTi電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図4A】本発明の一実施例による流体移動通路の数を1個、2個、5個に異ならせたTiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図4B】本発明の一実施例による流体移動通路の数を1個、2個、5個に異ならせたTiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図5A】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングする量を1.05mg、2.10mg、3.15mgに調節して作った電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図5B】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングする量を1.05mg、2.10mg、3.15mgに調節して作った電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図6A】本発明の一実施例によるTiプレートにMnOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図6B】本発明の一実施例によるTiプレートにMnOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図7A】本発明の一実施例によるTiプレートに鉄(III)ヘキサシアノフェレートをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流と圧力回答グラフである。
図7B】本発明の一実施例によるTiプレートにNiHCFをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流と圧力回答グラフである。
図8A】本発明の一実施例によるTiプレートに噴射法によってIrOxをコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図8B】本発明の一実施例によるTiプレートに噴射法によってIrOxをコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図9A】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、
図9B】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図10】本発明の一実施例による横4mm、縦8mmの流体移動通路を開けたTiプレート電極基板を示した図面である。
図11A】本発明の一実施例によるTiプレートに大きい流体移動通路を開けて、RuOxを電着した電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図11B】本発明の一実施例によるTiプレートに大きい流体移動通路を開けて、RuOxを電着した電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図12A】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図12B】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図13A】本発明の一実施例によるNiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図13B】本発明の一実施例によるNiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図14A】本発明の一実施例によるTiプレート上にRuOxをドロップコーティングした熱圧着していない電極を示したものである。
図14B】本発明の一実施例によるTiプレート上にRuOxをドロップコーティングした後、熱圧着機を利用して熱圧着した電極を示したものである。
図15A】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした後、熱圧着した電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフである。
図15B】本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした後、熱圧着した電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの圧力回答グラフである。
図16A】本発明の他の実施例による電気浸透ポンプを構成する電極の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図16B】本発明の他の実施例による電気浸透ポンプを構成する電極の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。ところが、本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0015】
本発明の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0016】
本発明の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本発明の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。本発明の明細書全体において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、またはその数値に近接した意味として使用され、本発明の理解を助けるために、適確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。本発明の明細書全体において使用される程度の用語「~(する)ステップ」または「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0018】
先ず、本発明における非透過性(impermeability)の定義は、液体やガスが通過できる隙間や孔がないものであって、メッシュ構造の物質、フォームタイブの物質、カーボンペーパー、多くの粒子を集合させた構造体などの多孔性物質とは異なる性格を有する。本発明においては、板状に形成された非透過性基底物質に電極物質をコーティングして形成した電極に流体移動通路を形成し、流体が電極とメンブレンとを通過できるように構成する。従来は、多孔性基底物質に電極物質をコーティングする形で電極を製造していたため、多様ではない多孔性基底物質を基盤に工程を処理しなければならないという不都合があったが、本発明によれば、様々な種類の非透過性基底物質を利用して電極を形成するので、工程の自由度が高くなり、また、電極の製造コストも節減することができる。
【0019】
(例1)既存の多孔性電極を利用した電気浸透ポンプの構成と、本発明の非透過性電極を利用した電気浸透ポンプの構成との比較
【0020】
図1Bは、多孔性電極を使用した既存の電気浸透ポンプの構成を示した図面である。
【0021】
一例として、図示のように、既存の電気浸透ポンプ(Electroosmotic Pump、EOP)は、多孔性シリカメンブレン(porous silica membrane)11を中心に両側にそれぞれ1個ずつの多孔性電極13、15、銀コンタクトストリップ(Ag contact strip)20、支持用フレーム(frame)30を順に連結した後、エポキシ(epoxy)を利用して固定することで製作される。
【0022】
図1A及び図1Bを参照すると、既存の電気浸透ポンプは、流体が移動する流体経路部19に設けられる多孔性シリカメンブレン11、メンブレン11の両側にそれぞれ設けられた多孔性電極13、15、各電極を連結して電源を伝達するコンタクトストリップ20及び支持用フレーム30を含む。コンタクトストリップ20は、電源供給部17との連結部材を備えて、ポンプの外部に備えられた電源供給部17から供給された電源を多孔性電極13、15に伝達する。
【0023】
図2A及び図2Bは、本発明の一実施例による非透過性電極を使用した電気浸透ポンプの構成を示した図面である。
【0024】
図2Aを参照すると、本発明の電気浸透ポンプは、メンブレン11、第1電極130、第2電極150及び一対のフレーム30を含む。
【0025】
例示として、図2Aに示されたように、電気浸透ポンプは、流体の移動を許容するメンブレン11、及び、メンブレン11の両側にそれぞれ設けられた第1電極130及び第2電極150を含む。ここで、第1電極130及び第2電極150は、非透過性基底物質(impermeable substrate material)と、その上にコーティングされた電極物質とからなる電極であって、少なくとも一つ以上の流体移動通路が形成されたものである。すなわち、電気浸透ポンプは、第1電極130及び第2電極150の電気化学反応によって、流体移動通路を介して流体が移動することができる。
【0026】
また、図2Bを参照すると、電気浸透ポンプ230は、第1電極130及び第2電極150の両側で支持し、流路が形成されたフレーム30、第1電極130及び第2電極150に電圧を供給する電源供給部46をさらに含んでいても良い。
【0027】
このような電気浸透ポンプ230は、第1電極130及び第2電極150のそれぞれに電圧の極性を交番して供給することで、正方向及び逆方向の電気化学反応が繰り返して起こるようにして、流体の繰り返しの往復移動によってポンピング力を発生させることができる。また、繰り返しの正方向及び逆方向の電気化学反応によって、第1電極130及び第2電極150のそれぞれは、消耗及び再生が繰り返されることができる。
【0028】
一例として、図示のように、第1及び第2電極130、150は、非透過性基底物質と電極物質とからなる板状の電極であって、多孔性電極ではない非透過性であり、真ん中に1mmの直径を有する一つの流体移動通路を含む。
【0029】
すなわち、本発明は、電極物質をドロップコーティング(drop-coating)などの様々な方法によって非透過性基底物質の表面に付着させることで、電気浸透ポンプ電極の性能を向上させることができる。また、本発明は、既存の電気浸透ポンプから各電極に電源を伝達する別途のコンタクトストリップ(contact wire)が必要でなく、板状の電極自体を電気接点(electrical contact)として活用することができるため、単純な形態の電気浸透ポンプの構成が可能である。
【0030】
例示として、電気浸透ポンプ230は、メンブレン11と、第1及び第2電極130、150の間の流体の流れによって陽圧と陰圧とを発生させる。また、メンブレン11は、流体の移動を許容できるように、多孔性材質または構造で形成される。
【0031】
一例として、各電極130、150に電圧が供給されると、第1電極130及び第2電極150の電圧差によって、第1電極130及び第2電極150に酸化還元反応が起こり、電荷均衡が割れるようになる。このとき、電極130、150内で陽イオンが流体移動通路を介して移動することによって、電荷均衡が取れるようになる。このとき、第1電極130及び第2電極150のいずれか一つは、電気化学反応によって陽イオンを発生させ、他の一つは、陽イオンを消耗しても良い。ここで、電気化学反応の際に発生してまた消耗される陽イオンは、1価の陽イオンであってもよいが、これに限定されるものではなく、水素イオン(H)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)などのように、様々なイオンを含んでいても良い。
【0032】
このような酸化還元反応によるイオンの移動がメンブレン11を介して行われれば、流体が電極の流体移動通路を介して移動することができる。このとき、メンブレン11は、流体だけでなく、イオンの移動も許容することができる。よって、流体とイオンとは、電極130、150に電源が供給されれば、メンブレン11の一側から他側に、または他側から一側に移動することができる。
【0033】
また、第1電極130及び第2電極150には、伝導性高分子の電極物質がコーティングされても良い。その場合、電極物質に巨大陰イオン性高分子(すなわち、陰イオン性高分子)を含めると、電極130、150の酸化還元の反応時に、陰イオン性高分子は固定して移動されることができないため、陽イオンが移動しながら電荷均衡を取るようになる。すなわち、還元反応の際に固定された陰イオン性高分子の電荷均衡を取るために、流体の中に存在する陽イオンが混入して入り込み、酸化反応の際には、陽イオンの放出がある。かかる陽イオンは、負電荷に帯電されたメンブレン11の表面を両端にかかっている電圧によって滑るように移動し、水和された水分子と、これと水素結合によって連結された水分子らが連結されて、電気浸透ポンプ230が速い速度で流体を移動させることができるようになる。
【0034】
具体的に、非透過性基底物質は、伝導性物質、半導体物質及び非伝導性物質のうち少なくとも一つを含む板状の基材であって、プレート、ホイルまたはフィルムであっても良い。このとき、伝導性物質は、炭素、ニッケル、銅、金、銀、チタン、ルテニウム、パラジウム、亜鉛、白金、コバルト、鉛、マンガン、柱石、イリジウム、鉄、アルミニウム、金オキサイド、銀オキサイド、ルテニウムオキサイド、白金オキサイド、鉛オキサイド、イリジウムオキサイド、ポリピロール(polypyrrole)、ポリピロール(polypyrrole)の誘導体、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアニリン(polyaniline)の誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチオフェン(polythiophene)の誘導体、及び、これらの組合せから選択される一つ以上を含む。半導体物質は、Sn、Si、SiC、Ge、Se、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、InP、InAs、InSb、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、SnO、SiO、CeO、TiO、WO、Fe、In、CuO、ポリピロール(polypyrrole)、ポリピロール(polypyrrole)の誘導体、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアニリン(polyaniline)の誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチオフェン(polythiophene)の誘導体、プルシアンブルー(prussian blue)、FeHCF(iron hexacyanoferrate)、CuHCF(copper hexacyanoferrate)、CoHCF(cobalt hexacyanoferrate)、及び、NiHCF(nickel hexacyanoferrate)、及び、これらの組合せから選択される一つ以上を含む。非伝導性物質は、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(polyvinylidene chloride;PVDC)、エチレンビニルアルコール(ethylenevinylalcohol;EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリメチルメタクリレート(poly(methyl methacrylate);PMMA)ポリオレフイン(polyolefine)、ポリアミド(polyamide)、ポリエステル(polyester)、アラミド(aramide)、アクリル(acrylic)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリウレタン(polyurethane;PU)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリベンゾイミダゾール(PBI;polybezimidazole)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(poly(2-hydroxyethyl methacrylate))、ポリ(エーテルイミド)(poly(ether imide))、スチレン-ブタジエン-スチレン3ブロック共重合体(styrene-butadiene-styrene triblock copolymer;SBS)、ポリ(フェロセニルジメチルシラン)(poly(ferrocenyldimethylsilane))、ポリイミド(polyimide;PI)、及び、これらの組合せから選択される一つ以上を含む。
【0035】
例示として、電極物質は、金属、金属酸化物(metal oxide)、伝導性高分子(conducting polymer)、金属ヘキサシアノフェレート(metal hexacyanoferrate)、炭素ナノ構造体、及び、これらの複合体(composite)から選択される一つ以上を含む。例示として、電極物質は、金属、金属酸化物(metal oxide)、伝導性高分子(conducting polymer)、金属ヘキサシアノフェレート(metal hexacyanoferrate)、炭素ナノ構造体、または、これらの複合体(composite)で構成される。
【0036】
以下、各電極物質の例を説明すると、金属は、銀、亜鉛、鉛、マンガン、銅、柱石、ルテニウム、ニッケル、金、チタン、パラジウム、白金、コバルト、鉄、アルミニウム、イリジウム、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含む。また、金属酸化物は、バナジウムオキサイド、モリブデンオキサイド(molybdenum oxide; MoO)、タングステンオキサイド(tungsten oxide;WO)、ルテニウムオキサイド、イリジウムオキサイド、マンガンオキサイド、セリウムオキサイド(cerium oxide;CeO)、銀オキサイド、白金オキサイド、鉛オキサイド、ポリオキソメタレート(polyoxometalate)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含む。
【0037】
伝導性高分子は、ポリアニリン、ポリアニリンの誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリチオフェン(polythiophene)の誘導体、ポリピロール(polypyrrole)、ポリピロール(polypyrrole)の誘導体、キノンポリマー(quinone polymer)、キノンポリマーの誘導体、ポリチオニン(polythionine)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含む。
【0038】
金属ヘキサシアノフェレートは、プロシアンブルー(prussian blue)、FeHCF(iron hexacyanoferrate)、CuHCF(copper hexacyanoferrate)、CoHCF(cobalt hexacyanoferrate)、NiHCF(conickel hexacyanoferrate)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含む。
【0039】
炭素ナノ構造体は、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、グラフェン(graphene)、炭素ナノ粒子(carbon nanoparticle)、フラーレン(fullerene)、黒煙(graphite)、及び、これらの組合せのうち少なくとも一つを含む。炭素ナノ構造体の中で炭素ナノチューブが含まれた電極物質の複合体を電着させた電極では、より安定して且つ速い速度で酸化還元反応が起こり得る。
【0040】
その他にも、電極物質は、電気伝導性を有するか、負電荷を帯びる様々な高分子であっても良い。
【0041】
一例として、前述した電極物質は、多数の層に積層された構造で形成されても良い。また、電極物質は、ドロップコーティング(drop-coating)、ディップコーティング(dip-coating)、スピンコーティング(spin-coating)、スプレーコーティング、プリンティング、熱分解及び電着のうち少なくとも一つの方法によって、非透過性基底物質の上にコーティングされたものであっても良い。以後、第1電極130及び第2電極150は、それぞれ独立して、熱圧着またはデカール転写方法によって、コーティングされた電極物質の表面が滑らかに処理されることができる。
【0042】
第1電極130及び/又は第2電極150は、電極130、150の全体面積比で流体移動通路の面積の割合が0%超過50%以下に形成されても良い(図10を参照)。例えば、流体移動通路の形状は、円形、四角形、または、それ以外の様々な形状に形成されても良く、個数は、少なくとも一つまたは複数個に形成され、電極比で流体移動通路の面積割合が50%以下に形成されても良い。
【0043】
図2C及び図2Dは、本発明の一実施例によって図2Aの電気浸透ポンプを利用する流体ポンピングシステムの構成を示す図面である。
【0044】
本発明の流体ポンピングシステム40は、電気浸透ポンプ230、第1隔離材210、第2隔離材220、移送チャンバ240、吸入口240a、吐出口240b、モニタリングチャンバ250、圧力測定部260、吸入バルブ270、吐出バルブ280、リザーバー41、吸入路42、吐出路45、電源供給部46、及び、制御回路47を含む。
【0045】
具体的に、流体ポンピングシステム40は、電気浸透ポンプ230、電気浸透ポンプ230の一側に備えられて、陽圧と陰圧とが交番して発生することによって形状が変形する第1隔離材210、第1隔離材210の一側に備えられて、第1隔離材210の変形に対応して移送対象流体を吸入及び吐出する移送チャンバ240、及び、電気浸透ポンプ230の他側に備えられて、陽圧と陰圧とが交番して発生することによって形状が変形する第2隔離材220を含む。
【0046】
また、移送チャンバ240の一面には、移送対象流体の吸入及び吐出が行われる吸入口240a及び吐出口240bが形成され、吸入口240a及び吐出口240bのそれぞれには、移送対象流体の流れを許容するか遮断する吸入バルブ270及び吐出バルブ280が締結される。このとき、吸入バルブ270は、陽圧の発生時に閉鎖されて、陰圧の発生時に開放され、吐出バルブ280は、陽圧の発生時に開放されて、陰圧の発生時に閉鎖される。
【0047】
例示として、図2Cに示されたように、電気浸透ポンプ230は、電気化学反応によって流体及び/又は気体を往復運動させる少なくとも一つの構成要素を含んでいても良いが、これに制限されるものではない。電気浸透ポンプ230は、電気浸透原理を用いて具現されても良い。これは、毛細管または多孔性膜の両端に電極を用いて電圧をかけたときに生じる電気浸透現象によって流体の移動することを利用するものであって、機械式ポンプとは異なり、機械的に動く部分がなく、無騒音であり、かけた電圧に比例して効果良く流速を調節することができるという長所がある。
【0048】
例示として、隔離材210、220は、電気浸透ポンプ230の少なくとも一端に設けられ、流体と移送対象流体とを分離する。隔離材210、220は、流体と移送対象流体とが混じることが防止するように、流体が入っている空間と移送対象流体が入っている空間とを区切りながら、流体の移動によって発生するポンピング力を移送対象流体に伝達する役割をする。
【0049】
すなわち、電気浸透ポンプ230の両側に構成された第1及び第2隔離材210、220は、非制限的な例示として、スライダー、オイルギャップ(oil gap)を形成するオイル、弾性を有した薄い膜でなる天然ゴム、合成ゴム、高分子物質、金属板などで製作されても良い。また、第1及び第2隔離材210、220は、電気浸透ポンプ230の駆動によって陰圧と陽圧とが交番して発生することによって、少なくとも一部が前進及び後進移動して、移送チャンバ240及びモニタリングチャンバ250に陰圧と陽圧とを伝達する。
【0050】
例示として、第1隔離材210は、電気浸透ポンプ230の駆動によって発生した陰圧と陽圧とを移送対象流体に伝達する。より具体的に、陰圧が発生すれば、第1隔離材210の少なくとも一部が後進して(すなわち、図2Cを基準に第1隔離材210の一部がモニタリングチャンバ250の方向に移動する場合(長い点線で示される))、移送対象流体が移送チャンバ240に吸入される。その反対に陽圧が発生すると、第1隔離材210の少なくとも一部が前進して(すなわち、図2Cを基準に第1隔離材210の一部が移送チャンバ240の方向に移動する場合(短い点線で示される))、移送対象流体が移送チャンバ240から吐出される。
【0051】
その際、移送対象流体の吸入及び吐出は、移送チャンバ240の一面に形成された吸入口240aと吐出口240bとを介して行われる。吸入口240aと吐出口240bのそれぞれには、移送対象流体の流れを許容するか遮断する吸入バルブ270と吐出バルブ280とが締結されて、移送対象流体が吸入口240aを介して吸入され、吐出口240bを介して吐出されるようにすることができる。言い換えれば、吸入バルブ270は、第1隔離材210の前進時に閉鎖されて、後進時に開放され、吐出バルブ280は、第1隔離材210の前進時に開放されて、後進時に閉鎖される。このような吸入バルブ270と吐出バルブ280とは、例示的としてチェックバルブ(check valve)であっても良いが、これに限定されるものではなく、互いに反対に作動する開閉装置であっても良い。
【0052】
第2隔離材220は、第1隔離材210と同様に、電気浸透ポンプ230の駆動によって後進と前進とを繰り返す。これにより、第2隔離材220の運動によって、モニタリングチャンバ250内の空気圧力は変化する。すなわち、陰圧が発生すると、第2隔離材220の少なくとも一部が後進して(すなわち、図2Cを基準に第2隔離材220の一部がモニタリングチャンバ250の方向に移動する場合(長い点線で示される))、モニタリングチャンバ250の圧力が高くなる。その反対に、陽圧が発生すると、第2隔離材220の少なくとも一部が前進して(すなわち、図2Cを基準に第2隔離材220の一部が移送チャンバ240の方向に移動する場合(短い点線で示される))、モニタリングチャンバ250の空気圧力は低くなる。
【0053】
圧力測定部260は、モニタリングチャンバ250の内部に備えられ、モニタリングチャンバ250内の圧力を感知して電気信号に変換する。例示として、圧力測定部260は、第2隔離材220が変形することによるモニタリングチャンバ250の容量の変化、磁力強さの変化、抵抗変位または電圧変位などを基に圧力値を検出する圧力センサであっても良い。または、圧力測定部260は、第2隔離材220に締結されるか、第2隔離材220と一体型に形成されて、第2隔離材220の変形度を基に圧力値を検出する圧力センサであっても良い。しかしながら、これに限定されるものではなく、圧力測定部260は、様々な方式でモニタリングチャンバ250の内部の圧力を測定することができる。
【0054】
また、図2Dを参照すると、流体ポンピングシステム40は、図2Cに示された電気浸透ポンプの構成、移送対象流体が貯蔵されたリザーバー41から吐出された移送対象流体が移送チャンバ240に吸入される流体移送路である吸入路42、移送チャンバ240から吐出された移送対象流体の流体移送路である吐出路45、第2隔離材220の一側に備えられて、第2隔離材220の変形に対応して圧力が変化するモニタリングチャンバ250、モニタリングチャンバ250の圧力変化を測定する圧力測定部260、及び、圧力測定部260で測定された圧力値をモニタリングして、電気浸透ポンプ230の異常を検出する制御回路47を含む。また、流体ポンピングシステム40は、電気浸透ポンプ230と制御回路47に電源を供給する電源供給部46をさらに含む。
【0055】
吸入路42は、リザーバー41の吐出口及び吸入バルブ270(または、移送チャンバ240の吸入口240a)のそれぞれに両末端が締結されて、リザーバー41に貯蔵されていた移送対象流体を移送チャンバ240に移動させる。吐出路45は、吐出バルブ280(または、移送チャンバ240の吐出口240b)に一端が締結され、他端は、対象体に挿入されて移送対象流体を対象体に運送(すなわち、注入)するように形成される。例示として、吐出路45は、他端にニードル(needle)、カニューレ(cannula)及び/又はカテーテル(catheter)であっても良い。
【0056】
リザーバー41は、外部の気体及びイオンに対して遮断可能な素材で形成される移送対象流体を貯蔵する貯蔵容器であり、一側に吸入路42が締結され、電気浸透ポンプ230の駆動に同期化して移送対象流体を吐出する。すなわち、電気浸透ポンプ230の駆動によって陰圧が発生すると、吸入バルブ270が開放されて、リザーバー41に貯蔵されていた移送対象流体が吸入路42を介して吸入バルブ270に移動する。その反対に、陽圧が発生すると、吸入バルブ270は閉鎖されて、移送対象流体の移動が停止する。この場合、吐出バルブ280が開放されるので、吐出バルブ280に締結された吐出路45を介して移送対象流体が対象体に注入されることができる。
【0057】
(例2)非透過性板状の基底物質を使用した電極の電気浸透ポンプへの使用可能性の確認
【0058】
図3Aは、本発明の一実施例によるTiプレート(Ti plate)を電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5VをTi電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図3Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0059】
図3A及び3Bを参照すると、最初は、他の電極物質のコーティングなしに非透過性基底物質(substrate material)であるTiプレート(titanium plate)を利用した。これに1mmの小さい流体移動通路を介して流体が流れながら圧力を示すことができるかを確認するために、Tiプレートを利用した電気浸透ポンプの性能を確認してみた(図3A図3B、表1)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各30秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプの構成は、図2A図2Dの通りであり、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1を参照すると、すなわち、Tiプレートからなる非透過性電極を利用した場合、流体が流れることはできるものの、流量や圧力が極めて微々たるものであることが分かる。
【0062】
(例3)電極物質を活用した非透過性電極の性能向上及び多孔性電極との比較
【0063】
(例2)において、Tiプレートからなる非透過性基底物質に小さい流体移動通路が一つだけあっても、流体が流れて圧力が示される。しかしながら、電極の性能が良くなく、ポンプとして低い性能を見せた。そこで、電極物質を追加的にコーティングして電極の性能を向上させた。ピペットで一定量の電極物質スラリー(slurry)を落すことでコーティングするドロップコーティング方式を使用した。90℃のホット(hot)プレートの上で電極物質をコーティングする作業を通じて20分内で乾燥した。一例として、電極物質であるRuOxを1mmの流体移動通路が真ん中に一つあるTiプレートにドロップコーティングした。また、多孔性カーボン紙(porous carbon paper)に構成される多孔性電極は、炭素電極の上にRuOxスラリーを筆を利用して塗った後、110℃のオーブンで乾燥した。この場合は、電極物質の損失も多く、炭素電極の上にコーティングされたRuOxの実際の量は把握することが困難であった。これらの電極性能を比較、確認するために、電気浸透ポンプに適用して、+2.5V、-2.5V、各30秒のパルス時間(pulse time)、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動性能を比較した(表2)。実験のための電気浸透ポンプを構成するときにTiプレートを使用した電気浸透ポンプは、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用した。非透過性の場合、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。多孔性カーボン紙の電極に具現されたRuOx電極は、横6mm、縦10mmを使用し、コンタクトワイヤ(contact wire)としては、銀ワイヤ(silver wire)を使用した。
【0064】
【表2】
【0065】
表1及び表2を参照すると、Tiプレートに効率的な電極物質をコーティングしたもの(表2の上段部)は、Tiプレートのみを使用した場合(表1)と比較して、電気浸透ポンプの性能である流量/電力(Flow/power)と、圧力(Pressure)とがかなり向上されていることが分かる。
【0066】
また、多孔性カーボン紙の電極に具現されたものと比較したとき(表2の下段部)、Tiプレートを利用した電極がより高い圧力と流量/電力を見せることが分かる。すなわち、効率的な電極のコーティングによって、ポンプの性能が向上されていることが分かる。
【0067】
多孔性カーボン紙の電極に電極物質を筆でコーティングする方式は、電極物質をコーティングする過程で、基底物質の多孔性流路を介して電極物質が通過するようになり、コーティングされる電極物質の量を一定にすることはできなかった。これに対し、ピペットを利用してTiプレートにドロップコーティングする方式は、一定量の電極物質を使用して効率の良いかつ再現性のある電極を製作することができた。また、壊れやすいカーボン紙の電極と比較し、Tiプレートを使用することによって、高い強度の電極を具現することができた。さらに、電気的なコンタクト(contact)を別途に構成する必要なく、基底物質であるTiプレートが電気的導体であって、それ自体を電気的コンタクトとして活用し、構成を単純化することができた。
【0068】
(例4)非透過性電極の流体移動通路の数による電気浸透ポンプの性能比較
【0069】
図4Aは、本発明の一実施例による流体移動通路の数を1個、2個及び5個にそれぞれ異ならせたTiプレートに、RuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図4Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0070】
非透過性電極の流体移動通路の数によって流体が流れる程度を確認するために、Tiプレートに流体移動通路の数を異ならせて比較した。具体的に、それぞれのTiプレートに流体が移動できる1mm孔の個数を1個、2個及び5個にそれぞれ開けた後、RuOxスラリーをドロップコーティングした電極の性能を電気浸透ポンプに適用して確認した(図4A図4B、表3)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各30秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0071】
【表3】
【0072】
表3を参照すると、Tiプレートに開けられた流体移動通路の数を異ならせて性能を比較したとき、流体移動通路を5個を開けた方が若干より高い効率を見せるが、流体移動通路1個と大きな違いはなく、既存のポンプに似たような性能を見せることを確認した。これにより、多い数の流路を使用することなく、流体が移動できる小さい通路が一つだけあっても、電気浸透ポンプの性能に大きな違いなく駆動されることを確認した。
【0073】
(例5)RuOx基盤の非透過性電極のコーティング量による性能
【0074】
図5Aは、本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングする量を1.05mg、2.10mg、3.15mgに調節して作った電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図5Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0075】
図5A及び図5Bを参照すると、(例4)において、非透過性板状の基底物質にドロップコーティングによって定量コーティングが可能であることを確認し、これにより、電極上で電極物質の量を調節することができるようになった。電極物質の量を異ならせて調節することで、電極の性能を調節することができるか確認するために、非透過性基底物質上に電極物質のコーティング量を異ならせて電極の性能差を確認した。一例として、Tiプレート上にRuOxのコーティング量を異ならせて、横6mm、縦15mmの電極上にRuOxがそれぞれ1.05mg、2.10mg、3.15mgがコーティングされるように電極を製作した。電極の性能を確認するために、電気浸透ポンプに適用して確認した(図5A図5B、表4)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各10秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用した。
【0076】
【表4】
【0077】
表4を参照すると、Tiプレート上にRuOxのコーティング量を異ならせたとき、電極物質の量が増加するほど電流及び流量が増加した。これにより、非透過性基底物質の上に電極物質を定量的に量を異ならせてコーティングすることで、電極の性能を調節できることを確認した。
【0078】
(例6)MnOx基盤の非透過性電極
【0079】
図6Aは、本発明の一実施例によるTiプレートにMnOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図6Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0080】
図6A及び6Bを参照すると、上記で言及したように、小さい流体移動通路が開けられた非透過性板状の基底物質は、様々な電極物質を載せて電気浸透ポンプに適用することができる。上記(例4)において、RuOxをコーティングして適用できることを確認しており、また他の一例として、非透過性Tiプレートの上にMnOxをドロップコーティングし、電気浸透ポンプに適用して性能を確認した(図6A図6B、表5)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各30秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0081】
【表5】
【0082】
表5を参照すると、非透過性金属基底物質にMnOxをコーティングして電極を製作し、電気浸透ポンプに適用して性能を確認したとき、MnOxを基盤にする電気浸透ポンプの性能が具現されることを確認した。すなわち、様々な電極物質を非透過性基底物質に導入可能であることを確認した。
【0083】
(例7)金属ヘキサシアノフェレート(Metal hexacyanoferrate)基盤の非透過性電極
【0084】
図7Aは、本発明の一実施例によるTiプレートに、鉄(III)ヘキサシアノフェレート(PB、Prussian blue)をドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流と圧力回答グラフであり、図7Bは、TiプレートにNiHCF(NickelHexacycnoferrate)をドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流と圧力回答グラフである。
【0085】
図7A及び7Bを参照すると、様々な電極物質を非透過性基底物質にコーティングして性能を確認するために、金属ヘキサシアノフェレートの一系列である鉄(III)ヘキサシアノフェレート(PB)と、NiHCFとをTiプレートにドロップコーティングして電極を製作した。電極の性能を確認するために、電気浸透ポンプに適用して性能を確認した(図7A図7B、表6)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各10秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM CH COOKポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0086】
【表6】
【0087】
表6を参照すると、Tiプレート上にコーティングされた鉄(III)ヘキサシアノフェレートと、NiHCFとが電極物質として可能であることを確認した。すなわち、コーティング可能な電極物質が制限的である多孔性基底物質(ex.カーボン紙電極)と比較して、非透過性板状の金属基底物質に様々な電極物質をコーティングすることで、基底物質の上で電極物質の種類による機能が具現されるということを再度確認した。
【0088】
(例8)IrOx基盤の非透過性電極
【0089】
図8Aは、本発明の一実施例によるTiプレートに噴射法によってIrOxをコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図8Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0090】
図8A及び8Bを参照すると、様々なコーティング方法を利用して、非透過性板状の金属基底物質に電極物質をコーティングすることができる。噴射法を利用して電極物質をコーティングした非透過性電極の一例として、IrOx基盤の非透過性電極を活用した。Ti基板上にIrClと微量のTaClとを噴射した後、熱分解法を利用してIrOxを生成し、基板の真ん中に小さい流体移動通路を開けた。電極の性能を確認するために、電気浸透ポンプに適用して性能を確認した(図8A図8B、表7)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各10秒のパルス時間、連続駆動で0.1mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0091】
【表7】
【0092】
表7を参照すると、噴射法を利用したコーティング方法によって製作された電極も、電気浸透ポンプにおいて良い性能を見せることを確認した。すなわち、様々な方法のコーティングによって作られた電極が電気浸透ポンプに適用可能であることを確認した。また、Tiプレート上にコーティングされたIrOxが電極物質として可能であることを確認した。
【0093】
(例9)電着方法を利用したRuOx基盤の非透過性電極の活用
【0094】
図9Aは、本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxを電着した電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図9Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0095】
図9A及び9Bを参照すると、非透過性電極の上にも電着して電極を製作し、これを電気浸透ポンプに適用可能である。一例として、RuOxをTiプレートに電着して電極を製作し、電気浸透ポンプの性能を確認した(図9A図9B、表8)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各10秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0096】
【表8】
【0097】
表8を参照すると、電着を利用して製作された非透過性電極が電気浸透ポンプに適用できることを確認した。すなわち、様々なコーティング方法を電気浸透ポンプの電極製作に活用することができることを確認した。
【0098】
(例10)非透過性電極に開けられた空間の模様、大きさによる電気浸透ポンプの性能
【0099】
図10は、本発明の一実施例による横4mm、縦8mmの流体移動通路を開けたTiプレート電極基板を示した図面である。
【0100】
図11Aは、本発明の一実施例によるTiプレートに大きい流体移動通路を開けて、RuOxを電着した電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図11Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0101】
図10を参照すると、上記の(例4)非透過性電極の流体移動通路の数による電気浸透ポンプの性能を比較してみた。1mmの小さい流体移動通路の数を増やして流路を確保する方法だけでなく、大きい流体移動通路を一つのみ有する電極を製作してみた。一例として、電極の性能確認のために、横6mm、縦15mmの大きさのTiプレートに、横4mm、縦8mmの流体移動通路を開けた後、RuOxを電着した(図10)。
【0102】
図11A及び11Bを参照すると、先に作った電極を電気浸透ポンプに適用して性能を確認した(図11A図11B、表9)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各10秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用した。
【0103】
【表9】
【0104】
表9を参照すると、横4mm、縦8mmの大きい流体移動通路を開けた電極は、既存の1mm流体移動通路のある電極が有する性能の半分程度の小さい流速と圧力を有するものの、電気浸透ポンプとして機能が具現されることを確認した。非透過性基底物質に流体移動通路を開けて電極として使用するとき、大きいかまたは小さいかによって性能の差異はあるものの(実際は、使用される電極面積によるものである)、その大きさとは関係なく、電極として機能しながら流路確保が可能であることを確認した。
【0105】
(例11)様々な板状の基底物質を利用した電極の性能
【0106】
図12Aは、本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図12Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0107】
図13Aは、本発明の一実施例によるNiプレートにRuOxをドロップコーティングした電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に30秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図13Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0108】
図12A図13Bを参照すると、様々な種類の金属板状の基底物質を利用して電極を作り、電気浸透ポンプに適用した。一例として、Tiは、優れた耐食性で非常に安定した物質である。よって、所望の反応のみを観察し易いため、電気浸透ポンプの基底物質として使用し、また他の金属基底物質であるnickelプレートを利用して電極を作った。様々な金属基底物質で製作した電極を電気浸透ポンプに適用して性能を確認した(図11A図12B、表9)。駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各30秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2A図2Dのように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0109】
【表10】
【0110】
表10を参照すると、TiプレートとNiプレートのいずれも、電気浸透ポンプにおいて流体が流れることができる電極の形態であることを確認した。様々な非透過性板状の金属基底物質を活用して電極を製作し、電気浸透ポンプに適用可能であることを確認した。すなわち、導体を基底物質として使用して電極物質をコーティングすると、同様に電気浸透ポンプの構成が可能であることが確認できた。
【0111】
(例12)熱圧着法を利用した電極
【0112】
図14Aは、本発明の一実施例によるTiプレート上にRuOxをドロップコーティングした熱圧着していない電極であり、図14Bは、Tiプレート上にRuOxをドロップコーティングした後、熱圧着機を利用して熱圧着した電極を示したものである。
【0113】
図14A及び14Bを参照すると、既存に使用した多孔性電極と比較して、プレート形態の電極は堅い形であるため、外部刺激によって簡単に変形しない。よって、高温、高圧で電極の表面を滑らかにすることができる熱圧着法を電極製作方式に導入した。一例として、Tiプレート上にRuOxをドロップコーティングして電極を製作した後、圧力20MPa、温図100℃、10分間に熱圧着をして、電極の変形程度を確認した。
【0114】
高温、高圧の外部刺激にも、既存の電極基板形態を維持しながら電極物質の表面を滑らかにすることができることを確認した。熱圧着機を利用して製作した電極の性能を確認するために、電気浸透ポンプに適用した(図14A図14B、表10)。
【0115】
図15Aは、本発明の一実施例によるTiプレートにRuOxをドロップコーティングした後、熱圧着した電極で具現した電気浸透ポンプにおいて、2.5Vを電極の両端に10秒ずつ変えながらかけたときの電流回答グラフであり、図15Bは、同一の条件における圧力回答グラフである。
【0116】
図15A及び15Bを参照すると駆動条件は、+2.5V、-2.5V、各10秒のパルス時間、連続駆動で0.5mM Li SOポンピング溶液で駆動した。実験のための電気浸透ポンプを構成するとき、図2のように、多孔性シリカメンブレンは、厚さ2mm、横6mm、縦10mmの大きさを使用し、電極兼基板は、横6mm、縦15mmのTiプレートを使用した。
【0117】
【表11】
【0118】
表11を参照すると、非透過性基底物質電極に強い外部刺激を与えても、既存の性能を示すことを確認した。また、電極の表面処理方法の一つである熱圧着法を電極製作方法に導入できることを確認した。よって、非透過性板状の基底物質を使用した電極に様々な方法の外部処理を施した後、電気浸透ポンプに適用可能であることを確認した。
【0119】
以下、上述した図2A図15Bに示された構成のうち、同一機能を行う構成の場合は、説明を省略する。
【0120】
図16A及び図16Bは、本発明の他の実施例による電気浸透ポンプを構成する電極の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0121】
本発明の一実施例による電気浸透ポンプを構成する電極の製造方法は、非透過性基底物質(impermeable substrate material)からなる板状の基材に一つまたはそれ以上の流体移動通路を形成するステップS110、及び、基材に電極物質をコーティングすることで電極を修得するステップS120を含む。
【0122】
本発明の他の実施例による電気浸透ポンプを構成する電極の製造方法は、非透過性基底物質(impermeable substrate material)からなる板状の基材に電極物質をコーティングするステップS210、及び、基材に一つまたはそれ以上の流体移動通路を形成して電極を修得するステップS220を含む。
【0123】
電気浸透ポンプは、流体の移動を許容するメンブレン11、及び、メンブレン11の両側にそれぞれ設けられた第1電極130及び第2電極150を含み、第1電極130及び第2電極150は、S110ステップとS120ステップまたはS210ステップとS220ステップを含んだ方法によって製造された電極であり、第1電極130及び第2電極150の電気化学反応によって、電極130、150の流体移動通路を介して流体が移動することができる。
【0124】
コーティングするステップS110、S210は、ドロップコーティング(drop-coating)、ディップコーティング(dip-coating)、スピンコーティング(spin-coating)、スプレーコーティング、プリンティング、熱分解及び電着のうち少なくとも一つの方法によって、電極物質をコーティングすることができる。
【0125】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0126】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0127】
11:メンブレン
13、15:多孔性電極
17、46:電源供給部
19:流体経路部
20:ストリップ
30:フレーム
130:第1電極
150:第2電極
210:第1隔離材
220:第2隔離材
230:電気浸透ポンプ
240:移送チャンバ
240a:吸入口
240b:吐出口
250:モニタリングチャンバ
260:圧力測定部
270:吸入バルブ
280:吐出バルブ
40:流体ポンピングシステム
41:リザーバー
42:吸入路
45:吐出口
47:制御回路
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B