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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】着物
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20240621BHJP
   A41D 27/18 20060101ALI20240621BHJP
   A41B 9/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A41D1/00 101C
A41D27/18 Z
A41B9/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023009079
(22)【出願日】2023-01-25
(65)【公開番号】P2023109172
(43)【公開日】2023-08-07
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2022009977
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516312475
【氏名又は名称】ライナス有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】古川 眞理
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3233405(JP,U)
【文献】登録実用新案第3092521(JP,U)
【文献】特開2018-123463(JP,A)
【文献】特開平10-018101(JP,A)
【文献】特開平08-325803(JP,A)
【文献】特開2011-106048(JP,A)
【文献】特開2006-052508(JP,A)
【文献】特開2007-239123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/00
27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着物本体と襦袢とを有し、前記襦袢が前記着物本体に取り付けられた着物であって、
前記襦袢が、前身頃部と襟部とを有し、
前記襦袢の前身頃部が、右前身頃部と左前身頃部とを有し、
前記襦袢の襟部が、右前襟部と、左前襟部と、前記右前襟部および前記左前襟部間の後襟部とを一体に有し、
前記襦袢の右前襟部の縁部が、前記襦袢の右前身頃部の縁部に固着され、
前記襦袢の左前襟部の縁部が、前記襦袢の左前身頃部の縁部に固着され、
前記襦袢の後襟部の下端縁であって前記右前身頃部および左前身頃部のどちらにも固着していない下端縁が、前記着物本体の後襟部の下端縁に片持ち支持されるように取り付けられ、
前記襦袢の右前襟部および左前襟部が、前記着物本体に対しては取り付けられていないフリーな状態とし、
前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が前後方向に動作しながら前記着物本体の後襟部の上端側と前記襦袢の後襟部の上端側との相対位置が変更可能な構成とし、
前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が、前記着物本体の後襟部の下端縁および前記襦袢の後襟部の下端縁を支点として、後方に動作したときには前記襦袢の後襟部における上端側が前記着物本体の後襟部における上端側よりも下方に位置するように構成され、前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が、前記着物本体の後襟部の下端縁および前記襦袢の後襟部の下端縁を支点として、前方に動作したときには前記襦袢の後襟部における上端側が前記着物本体の後襟部における上端側から上方に突出するように位置して前記襦袢の後襟部における上端側が前記着物本体の後襟部における上端側から露出するように構成されていることを特徴とする、着物。
【請求項2】
着物本体と襦袢とを有し、前記襦袢が前記着物本体に取り付けられた着物であって、
前記襦袢が、前身頃部と襟部とを有し、
前記襦袢の前身頃部が、右前身頃部と左前身頃部とを有し、
前記襦袢の襟部が、右前襟部と、左前襟部と、前記右前襟部および前記左前襟部間の後襟部とを一体に有し、
前記襦袢の右前襟部の縁部が、前記襦袢の右前身頃部の縁部に固着され、
前記襦袢の左前襟部の縁部が、前記襦袢の左前身頃部の縁部に固着され、
前記襦袢の後襟部の下端縁であって前記右前身頃部および左前身頃部のどちらにも固着していない下端縁が、前記着物本体の後襟部の下端縁に片持ち支持されるように取り付けられ、
前記襦袢の右前襟部および左前襟部が、前記着物本体に対しては取り付けられていないフリーな状態とし、
前記襦袢の後襟部の下端縁が前記着物本体の後襟部の下端縁に片持ち支持されるように取り付けられていることにより、前記着物本体の後襟部の下端縁および前記襦袢の後襟部の下端縁を支点として前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が前後方向に動作しながら前記着物本体の後襟部の上端側と前記襦袢の後襟部の上端側との相対位置が変更可能な構成とし、
前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が、前記着物本体の後襟部の下端縁および前記襦袢の後襟部の下端縁を支点として、後方に動作したときには前記襦袢の後襟部における上端側が前記着物本体の後襟部における上端側よりも下方に位置するように構成され、前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が、前記着物本体の後襟部の下端縁および前記襦袢の後襟部の下端縁を支点として、前方に動作したときには前記襦袢の後襟部における上端側が前記着物本体の後襟部における上端側から上方に突出するように位置して前記襦袢の後襟部における上端側が前記着物本体の後襟部における上端側から露出するように構成されていることを特徴とする、着物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、着物の需要が非常に多くなっており、若者や外国人の間でもその需要が広がっている。しかしながら、着物の着付け(装着)は一般に難しく、例えば特許文献1に開示されるように、簡単に着付け(装着)をすることができる着物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-16372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、着物の着付けは襟部を見栄え良く行うことが求められ、簡単に着付け(装着)をすることができることは勿論のこと、着物本体と襦袢を一体として装着することができるとともに、着物本体の襟部と襦袢の襟部を別体の如く重ね合わせることができる着物を提供することが求められていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、着物本体と襦袢を一体として装着することができるとともに、着物本体の襟部と襦袢の襟部を別体の如く重ね合わせることができる着物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る着物は、襦袢が着物本体に取り付けられた着物であって、前記襦袢は、前記襦袢の後襟部が前記着物本体の後襟部に取り付けられ、前記襦袢の右前襟部および左前襟部が、前記着物本体に対しては取り付けられていないフリーな状態とすることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、前記襦袢は、前記襦袢の後襟部が前記着物本体の後襟部に取り付けられ、前記襦袢の右前襟部および左前襟部が、前記着物本体に対しては取り付けられていないフリーな状態とすることにより、着物本体と襦袢を一体として装着することができるとともに、装着時に着物本体の右襟部および左襟部を重ね合わせたときに、着物本体とは別に襦袢の右襟部および左襟部を重ね合わせることができる等、着物本体と襦袢を一体として装着しつつも着物本体の襟部と襦袢の襟部を別体の如く重ね合わせることができる。
【0008】
前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が前後方向に動作しながら前記着物本体の後襟部の上端側と前記襦袢の後襟部の上端側との相対位置が変更可能な構成とすることにより、前記着物本体の後襟部の上端側と前記襦袢の後襟部の上端側との相対位置を変更することができる。
【0009】
より詳しくは、前記襦袢は、前記襦袢の後襟部の下端縁が前記着物本体の後襟部の下端縁に片持ち支持されるように取り付けられていることにより、前記着物本体の後襟部の下端縁および前記襦袢の後襟部の下端縁を支点として前記着物本体の後襟部および前記襦袢の後襟部が前後方向に動作しながら前記着物本体の後襟部の上端側と前記襦袢の後襟部の上端側との相対位置が変更可能な構成とすることができる。
【0010】
前記着物本体は、右前身頃部、左前身頃部、袖部、後身頃部、および前記襟部を有するとともに、前記襟部は、右前襟部、左前襟部、および後襟部を有し、前記襦袢は、右前身頃部、左前身頃部、および前記襟部を有するとともに、後身頃部および袖部のうち少なくともいずれか一方を有さず、前記襟部は、右前襟部、左前襟部、および後襟部を有し、前記襦袢の右前身頃部は、前記襦袢の右前襟部の下端縁に取り付けられ、前記襦袢の左前身頃部は、前記襦袢の左前襟部の下端縁に取り付けられていることにより、装着時に襦袢が着物本体の後身頃部および袖部と接触することがなく、襦袢の襟部の装着位置が着物本体の襟部の装着位置に対しずれることを抑制することができる。また、装着時に襦袢の襟部に右前身頃部および左前身頃部の重量が程よくかかることにより襦袢の襟部の装着位置が着物本体の襟部の装着位置に対しずれることを更に抑制することができる。
【0011】
前記襦袢の右前身頃部は、三角形状をなして第1の辺部、第2の辺部、および第3の辺部を含み、前記第1の辺部は、前記襦袢の右前襟部の下端縁に固着された辺部とし、前記第2の辺部は、前記第1の辺部と対向しつつ前記襦袢の右前襟部の下端縁の上端側から下方に降りる辺部とし、前記第3の辺部は、前記第1の辺部の下端側と前記第2の辺部の下端側を結ぶ辺部とし、前記襦袢の左前身頃部は、三角形状をなして第1の辺部、第2の辺部、および第3の辺部を含み、前記第1の辺部は、前記襦袢の左前襟部の下端縁に固着された辺部とし、前記第2の辺部は、前記第1の辺部と対向しつつ前記襦袢の左前襟部の下端縁の上端側から下方に降りる辺部とし、前記第3の辺部は、前記第1の辺部の下端側と前記第2の辺部の下端側を結ぶ辺部とすることにより、三角形状が作用して装着時における襦袢の襟部の装着位置が着物本体の襟部の装着位置に対しずれることを更に一層抑制することができる。
【0012】
前記襦袢は、ポケット部を有することにより、各種物品を挿入することができる。
【0013】
より詳しくは、前記襦袢の右前身頃部は、右ポケット部を有し、前記右ポケット部は、前記襦袢の右前襟部に向く側を開放可能な挿入口とし、前記襦袢の左前身頃部は、左ポケット部を有し、前記左ポケット部は、前記襦袢の左前襟部に向く側を開放可能な挿入口とすることにより、挿入口を介して襟部から各種物品を右ポケット部および左ポケット部に挿入することができる。また、右ポケット部および左ポケット部に例えばタオル等を挿入することにより胸部の上部側に膨らみを持たせる等装着時における胸部の見栄えも良くすることができる。
【0014】
更に詳しくは、前記襦袢の右前身頃部は、右ポケット部を有し、前記右ポケット部は、前記右前身頃部の上端側から中間部に達するように形成され、前記襦袢の左前身頃部は、左ポケット部を有し、前記左ポケット部は、前記左前身頃部の上端側から中間部に達するように形成されることにより、右ポケット部および左ポケット部にタオル等を挿入したときに胸部の上部側に膨らみを持たせ易くすることができる。
【0015】
前記襦袢の右前身頃部および左前身頃部は、それぞれ下部側に係合部材を有し、前記係合部材を介して相互に係合することにより、係合時に襦袢の右前身頃部および左前身頃部の位置を固定することができる。
【0016】
前記襦袢の右身頃部は、前記襦袢の右前襟部の下端側から下方に張り出す右張り出し部を有するとともに、前記襦袢の左身頃部は、前記襦袢の左前襟部の下端側から下方に張り出す左張り出し部を有することができる。
【0017】
すなわち、前記右張り出し部および左張り出し部は、それぞれ係合部材を有し、前記係合部材を介して相互に係合することにより、右張り出し部および左張り出し部を介して襦袢の右襟部および左襟部の下端側よりも下方で襦袢の右前身頃部および左前身頃部を係合することができ、係合時に襦袢の右前身頃部および左前身頃部の位置を確実に固定することができる。
【0018】
前記襦袢に指を挿入または引っ掛け可能な指掛け部を設けることにより、指を挿入または引っ掛けながら前記襦袢を側方に引っ張り装着することができる。
【0019】
前記指掛け部は、前記襦袢の裏面側に設けられ、前記襦袢の表面側から見て露出しないことにより、見栄えを損なうことを防止することができる。
【0020】
前記着物本体に指を挿入または引っ掛け可能な指掛け部を設けることにより、指を挿入または引っ掛けながら前記着物本体を側方に引っ張り装着することができる。
【0021】
前記指掛け部は、前記着物本体の裏面側に設けられ、前記着物本体の表面側から見て露出しないことにより、見栄えを損なうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、着物本体と襦袢を一体として装着することができるとともに、着物本体の襟部と襦袢の襟部を別体の如く重ね合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の着物の全体構成を示す正面図である。
図2】着物の着物本体の上衣(襦袢を装着した状態)の構成を示す正面図である。
図3】着物の着物本体の上衣(襦袢を装着した状態)の構成を示す背面図である。
図4】着物の着物本体の上衣の右前襟部および左前襟部を開放し襦袢を視認可能とした状態を示す正面図である。
図5】着物の着物本体の上衣と襦袢の右前襟部および左前襟部をともに開放した状態を示す正面図である。
図6】襦袢の構成を拡大して示す正面図である。
図7図6の襦袢の右前襟部および左前襟部を開放した状態を示す正面図である。
図8図6の襦袢のAA側面断面図である。
図9】襦袢の後襟部の構成を示す図で、(a)は襦袢の後襟部を後方に動作させた状態を示す側面断面図、(b)は襦袢の後襟部を前方に動作させた状態を示す側面断面図である。
図10】襦袢のポケットの構成を示す図で、(a)は右ポケット部の構成を示す側面断面図、(b)は左ポケット部の構成を示す側面断面図である。
図11】着物の装着方法を示す図である。
図12】着物の装着方法を示す図11に続く図である。
図13】着物の装着方法を示す図12に続く図である。
図14】着物の装着方法を示す図12に続く図である。
図15】本発明の変形例に係る着物の構成を示す第1の正面図である。
図16】本発明の変形例に係る着物の構成を示す第2の正面図である。
図17】本発明の変形例に係る着物の構成を示す第3の正面図である。
図18】同着物の指掛け部に指を引っ掛けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の着物の全体構成を示す正面図、図2は、着物の着物本体の上衣(襦袢を装着した状態)の構成を示す正面図、図3は、着物の着物本体の上衣(襦袢を装着した状態)の構成を示す背面図、図4は、着物の着物本体の上衣の右前襟部および左前襟部を開放し襦袢を視認可能とした状態を示す正面図、図5は、着物の着物本体の上衣と襦袢の右前襟部および左前襟部をともに開放した状態を示す正面図、図6は、襦袢の構成を拡大して示す正面図、図7は、図6の襦袢の右前襟部および左前襟部を開放した状態を示す正面図、図8は、図6の襦袢のAA側面断面図、図9は、襦袢の後襟部の構成を示す図、図10は、襦袢のポケットの構成を示す図である。なお、以下の説明においては、着用者400を基準に各方向を定義するものとし、着用者400の頭部側を上方、脚部側を下方、右手側を右方(側方)、左手側を左方(側方)、前部側を前方(正面側)、後部側を後方(背面側)とし、各方向を図において明示するものとする。
【0025】
図1を参照して本発明の着物1の概要を説明すると、着物1は、襦袢200が着物本体100に予め取り付けられた着物1であり、帯300を着用者400の胴に巻付けつつ着物本体100と襦袢200を一体として装着することができる。
【0026】
着物1は、二部式の着物であり、着物本体100は、上衣100aおよび下衣100bを有している。上衣100aは、着用者400の上半身に装着され、下衣100bは、着用者400の下半身に装着される。
【0027】
着物本体100の上衣100aは、図2および図3に示すように、前身頃部110、後身頃部120、袖部130、および襟部150を有している(以下、着物本体100の上衣100aは、単に着物本体100とするものとする)。
【0028】
前身頃部110は、着用者400の上半身の前部側に装着される部位であり、前身頃部110は、右前身頃部111および左前身頃部112を有している。右前身頃部111は、着用者400の上半身の右前部側に装着される部位であり、左前身頃部112は、着用者400の上半身の左前部側に装着される部位である。
【0029】
後身頃部120は、着用者400の上半身の後部側に装着される部位である。
【0030】
袖部130は、着用者400の腕が挿通される部位であり、右袖部131および左袖部132を有している。右袖部131は、着用者400の右腕が挿通される部位であり、左袖部132は、着用者400の左腕部が挿通される部位である。
【0031】
襟部150は、右前身頃部111の縁部111a、左前身頃部112の縁部112a、および後身頃部120の縁部120aに設けられており、右前部側の右前襟部151、左前部側の左前襟部152、および後部側の後襟部153を有している。
【0032】
右前襟部151は、その縁部側を、右前身頃部111の縁部111aより詳しくは右前身頃部111の内側(着用者400の前部の中央側)の縁部111aに縫合により固着されて設けられている。左前襟部152は、その縁部側を、左前身頃部112の縁部112aより詳しくは左前身頃部112の内側(着用者400の前部の中央側)の縁部112aに縫合により固着されて設けられている。後襟部153は、その縁部側を、後身頃部120の縁部120aより詳しくは後身頃部120の上端側における中央の縁部120aに縫合により固着されて設けられている。襟部150は、右前襟部151および左前襟部152が着用者400の前部側で交差し、左前襟部152が前位置、右前襟部151が後位置となるように装着される。その装着時には、右前襟部151の下端151a側および左前襟部152の下端152a側が、着用者400の腹部に相当する位置まで達する。また、着物本体100は、後襟部153が着用者400の首の後部側を覆うように装着される。
【0033】
襦袢200は、図4乃至図10に示すように、着物本体100の裏側に装着される。襦袢200は、半襦袢であり、着用者400の上半身と着物本体100との間に介在している。襦袢200は、前身頃部210および襟部250を有するとともに、着物本体100の後身頃部120に対応する後身頃部および着物本体100の袖部130に対応する袖部をそれぞれ有さない構成となっている。
【0034】
前身頃部210は、着用者400の上半身の前部側に装着される部位であり、右前身頃部211および左前身頃部212を有している。右前身頃部211は、着用者400の上半身の右前部側に装着される部位であり、左身頃部212は、着用者400の上半身の左前部側に装着される部位である。
【0035】
襟部250は、右前身頃部211の縁部211aおよび左前身頃部212の縁部212aに設けられており、右前部側の右前襟部251、左前部側の左前襟部252、および後部側の後襟部253を有している。右前襟部251は、その縁部側を、右前身頃部211の縁部211aより詳しくは右前身頃部211の内側(着用者400の前部の中央側)の縁部211aに縫合により固着されて設けられている。左前襟部252は、その縁部側を、左前身頃部212の縁部212aより詳しくは左前身頃部212の内側(着用者400の前部の中央側)の縁部212aに縫合により固着されて設けられている。一方、後襟部253は、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252以外の他の構成部に対しては固着されていない構成となっている(襦袢200は、本来後襟部253が固着される後身頃部を有さない構成となっているため、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252以外の他の構成部に対しては固着されていない構成となっている)。
【0036】
襦袢200は、右前襟部251および左前襟部252が着用者400の前部側で交差し、左前襟部252が前位置、右前襟部251が後位置となるように装着される。その装着時には、右前襟部251の下端251a2側および左前襟部252の下端252a2側が、着用者400の腹部に相当する位置まで達する(襦袢200の右前襟部251および左前襟部252の丈は、着物本体100の右前襟部251および左前襟部252の丈よりも短く、装着時における右前襟部251の下端251a2側の位置および左前襟部252の下端252a2側の位置は、着物本体100の右前襟部151の下端151a側の位置および左前襟部152の下端152a側の位置よりも高い位置となり、着物本体100の下端から襦袢200の下端がはみ出ることがない)。また、襦袢200は、後襟部253が着物本体100の後襟部153とともに着用者400の首の後部側を覆うように装着される。
【0037】
ここで、襦袢200の後襟部253は、着物本体100の後襟部153に対しては縫合により固着されて取り付けられた状態となっている。一方、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252は、全体が着物本体100に対しては取り付けられていないフリーな状態となっている。そして、着物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253は、図9に示すように、前後方向に動作したときに着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置が変更可能な構成となっている。
【0038】
より詳しくは、襦袢200は、襦袢200の後襟部253の下端縁253aが着物本体100の後襟部153の下端縁153aに片持ち支持されるように取り付けられ、襦袢200の後襟部253の上端253b側は、自由端となっている。これにより、物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253は、着物本体100の後襟部153の下端縁153aおよび襦袢200の後襟部253の下端縁253aを支点として、着前後方向に動作したときに着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置が変更可能な構成となっている。つまり、着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置を変更することができる。
【0039】
更に詳しくは、襦袢200は、襦袢200の後襟部253の下端縁253aが着物本体100の後襟部153の下端縁153aの裏側に縫合により固着されて片持ち支持されるように取り付けられ、襦袢200の後襟部253の上端253a側は、自由端となっている。そして、着物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253が、着物本体100の後襟部153の下端縁153aおよび襦袢200の後襟部253の下端縁253aを支点として、後方に動作したときには襦袢200の後襟部253における上端253b側が着物本体100の後襟部153における上端153b側よりも僅かに下方に位置するように構成されている。そして更に、着物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253が、着物本体100の後襟部153の下端縁153aおよび襦袢200の後襟部253の下端縁253aを支点として、前方に動作したときには襦袢200の後襟部253における上端253b側が着物本体100の後襟部153における上端153b側から僅かに上方に突出するように位置して襦袢200の後襟部253における上端253b側が着物本体100の後襟部153における上端153b側から僅かに露出するように構成されている。これにより、装着時における後襟部153,253の位置が適切となり見栄えを良くすることができる。
【0040】
また、襦袢200の右前身頃部211は、着物本体100に対して固着されていないフリーな状態となっている。右前身頃部211は、三角形状部211´より詳しくは直角三角形状部211´をなしており、第1の辺部211A、第2の辺部211B、および第3の辺部211Cを含んでいる。第1の辺部211Aは、右前襟部251の下端縁251aに縫合により固着されて取り付けられた辺部となっている。第2の辺部211Bは、第1の辺部211Aと対向しつつ右前襟部251の下端縁251aの上端251a1側から下方に降りる辺部となっている。第2の辺部211Bは、襦袢200の他の構成部に対して固着されていないフリーな状態となっている。
【0041】
第3の辺部211Cは、第1の辺部211Aの下端211A1側と第2の辺部211Bの下端211B1側を結ぶ辺部となっている。第3の辺部211Cは、襦袢200の他の構成部に対しては固着されていないフリーな状態となっている。第2の辺部211Bと第3の辺部211Cは、直交している。
【0042】
襦袢200の左前身頃部212も、着物本体100に対して固着されていないフリーな状態となっている。左前身頃部212は、三角形状部212´より詳しくは直角三角形状部212´をなしており、第1の辺部212A、第2の辺部212B、および第3の辺部212Cを含んでいる。
【0043】
第1の辺部211Aは、左前襟部252の下端縁252aに縫合により固着されて取り付けられた辺部となっている。第2の辺部212Bは、第1の辺部212Aと対向しつつ左前襟部252の下端縁252aの上端252a1側から下方に降りる辺部となっている。第2の辺部212Bは、襦袢200の他の構成部に対しては固着されていないフリーな状態となっている。第3の辺部212Cは、第1の辺部212Aの下端212A1側と第2の辺部212Bの下端212B1側を結ぶ辺部となっている。第3の辺部212Cは、襦袢200の他の構成部に対して固着されていないフリーな状態となっている。第2の辺部212Bと第3の辺部212Cは、直交している。
【0044】
更に、襦袢200の右前身頃部211は、右ポケット部260を有している。右ポケット部260は、襦袢200の右前襟部251に向く側を開放可能な挿入口261としている。
【0045】
襦袢200の左前身頃部212は、左ポケット部270を有している。左ポケット部270は、襦袢200の右前襟部251に向く側を開放可能な挿入口271としている。
【0046】
より詳しくは、右ポケット部260は、右前身頃部211の上端211a1側から中間部211a2に達するように右前身頃部211に対し生地260aを重ねて形成されて襦袢200の右前身頃部211の三角形状部211´と相似な袋状の三角形をなしている。襦袢200の右身頃部211の第2の辺部211Bと第3の辺部211Cと相似する右ポケット部260の辺部260B,260Cは右身頃部211に縫合により固着されて閉塞されるとともに、襦袢200の右身頃部211の第1の辺部211Aと相似な右ポケット部260の三角形の斜辺側の辺部260Aである襦袢200の右前襟部251に向く側は、右前身頃部211に固着されておらず右ポケット部260の開放可能な挿入口261となっている。
【0047】
左ポケット部270は、左前身頃部212の上端212a1側から中間部212a2に達するように左前身頃部212に対し生地270aを重ねて形成されて襦袢200の左前身頃部212の三角形状部212´と相似な袋状の三角形をなしている。襦袢200の左身頃部212の第2の辺部212Bと第3の辺部212Cと相似する左ポケット部270の辺部270B,270Cは左身頃部212に固着されて閉塞されるとともに、襦袢200の左身頃部212の第1の辺部212Aと相似な左ポケット270の三角形の斜辺側の辺部270Aである襦袢200の左前襟部252に向く側は、左身頃部212に固着されておらず左ポケット部270の開放可能な挿入口271としている。
【0048】
更にまた、襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部212は、それぞれ下部側に係合部材280,290を有し、係合部材280,290を介して相互に係合する構成となっている。
【0049】
また更に、襦袢200の右身頃部211は、右張り出し部214を有している。右張り出し部214は、襦袢200の右前襟部251の下端縁251aの下端251a2側つまり三角形状部211´の第3の辺部211Cから下方に張り出している。襦袢200の左身頃部212は、左張り出し部215を有している。左張り出し部215は、襦袢200の左前襟部252の下端縁252aの下端252a2側つまり三角形状部212´の第3の辺部212Cから下方に張り出している。すなわち、襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部212は、それぞれ下部側に右張り出し部214および左張り出し部215を有している。
【0050】
そして、襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部212は、右張り出し部214および左張り出し部215にも、それぞれ係合部材280´,290´を有し、右張り出し部214および左張り出し部215は、係合部材280´,290´を介して相互に係合する構成となっている。本実施形態にあっては、係合部材280,280´,290,290´は、面ファスナー280,280´,290,290´とすることとしている。
【0051】
なお、襦袢200の右前身頃部211の面ファスナー280,280´と襦袢200の左前身頃部212の面ファスナー290,290´は、相互に交差する方向に延在するように設けられており、交差する方向は直交する方向となっている。また、襦袢200の右前身頃部211の面ファスナー280,280´と襦袢200の左前身頃部212の面ファスナー290,290´は、それぞれにおいて並行するように複数設けられている。右前身頃部211の面ファスナー280,280´は、上下方向に延在するように設けられており、右張り出し部214の面ファスナー280´は、右前身頃部211の面ファスナー280から連続している。左前身頃部212の面ファスナー290,290´は、左右方向に延在するように設けられており、左張り出し部215の面ファスナー290´は、左前身頃部211の面ファスナー290と並行するように延びている。
【0052】
以上のように構成された着物1は以下のように装着することができる。
まず、図11に示すように、着物本体100の下衣100bを着用者400の下半身に装着するとともに、図12に示すように、着物本体100の上衣100aを襦袢200とともに着用者400の上半身に装着する。
【0053】
この装着は、図13に示すように、着用者400の腕を着物本体100の袖部130に挿通しつつ、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252を着用者400の前部側で重ね合わせ、左前襟部252が前位置、右前襟部251が後位置となるように行う。
【0054】
また、張り出し部214,215を含む襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部212を面ファスナー280,280´,290,290´を介して係合する。
【0055】
続いて、図14に示すように、着物本体100の右前襟部151および左前襟部152を着用者400の前部側で重ね合わせ、左前襟部152が前位置、右前襟部151が後位置となるように装着する。
【0056】
次に、図1に示すように、帯300を着用者400の胴の相当位置に巻き付ける。
次いで、図9に示すように、襦袢200の後襟部523を着物本体100の後襟部153とともに上端153b,253b側を後方(図9(a))から前方(図9(b))に動作させる。これにより、襦袢200の後襟部253における上端253bの位置が着物本体100の後襟部153における上端153bの位置から僅かに上方に突出するように位置して襦袢200の後襟部253における上端253bが着物本体100の後襟部153における上端153bから僅かに露出することとなる。
【0057】
続いて、ポケット260,270にタオル等を挿入することにより着用者400の胸部の上部側に膨らみを持たせる。これにより、装着時における胸部の見栄えを良くすることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態にあっては、襦袢200は、襦袢200の後襟部253が着物本体100の後襟部153に取り付けられ、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252の全体が、着物本体100に対し取り付けられていないフリーな状態とすることにより、着物本体100と襦袢200を一体として装着することができるとともに、装着時に着物本体100の右前襟部151および左前襟部152を重ね合わせたときに、着物本体100とは別に襦袢200の右前襟部251および左前襟部252を重ね合わせることができる等、着物本体100と襦袢200を一体として装着しつつも着物本体100の襟部150と襦袢200の襟部250を別体の如く重ね合わせることができる。
【0059】
また、着物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253が前後方向に動作しながら着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置が変更可能な構成とすることにより、着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置を変更することができる。
【0060】
より詳しくは、襦袢200は、襦袢200の後襟部253の下端縁253aが着物本体100の後襟部153の下端縁153aに片持ち支持されるように取り付けられていることにより、着物本体100の後襟部153の下端縁153aおよび襦袢200の後襟部253の下端縁253aを支点として着物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253が前後方向に動作しながら着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置が変更可能な構成とすることができる。
【0061】
更にまた、着物本体100は、右前身頃部111、左前身頃部112、袖部130、後身頃部120、および襟部150を有するとともに、襟部150は、右前襟部151、左前襟部152、および後襟部153を有し、襦袢200は、右前身頃部211、左前身頃部212、および襟部250を有するとともに、後身頃部および袖部を有さず、襟部250は、右前襟部251、左前襟部252、および後襟部253を有し、襦袢200の右前身頃部211は、襦袢200の右前襟部251の下端縁251aに取り付けられ、襦袢200の左前身頃部212は、襦袢200の左前襟部252の下端縁252aに取り付けられていることにより、装着時に襦袢200が着物本体200の後身頃部120および袖部130と接触することがなく、襦袢200の襟部250の装着位置が着物本体100の襟部150の装着位置に対しずれることを抑制することができる。また、装着時に襦袢200の襟部250に右前身頃部211および左前身頃部212の重量が程よくかかることにより襦袢200の襟部250の装着位置が着物本体100の襟部150の装着位置に対しずれることを更に抑制することができる。
【0062】
また更に、襦袢200の右前身頃部211は、三角形状をなして第1の辺部211A、第2の辺部211B、および第3の辺部211Cを含み、第1の辺部211Aは、襦袢200の右前襟部251の下端縁251aに固着された辺部とし、第2の辺部211Bは、第1の辺部211Aと対向しつつ襦袢200の右前襟部251の下端縁251aの上端251a1側から下方に降りる辺部とし、第3の辺部211Cは、第1の辺部211Aの下端211A1側と第2の辺部211Bの下端211B1側を結ぶ辺部とし、襦袢200の左前身頃部212は、三角形状をなして第1の辺部212A、第2の辺部212B、および第3の辺部212Cを含み、第1の辺部212Aは、襦袢200の左前襟部252の下端縁252aに固着された辺部とし、第2の辺部212Bは、第1の辺部212Aと対向しつつ襦袢200の左前襟部252の下端縁252aの上端252a1側から下方に降りる辺部とし、第3の辺部212Cは、第1の辺部212Aの下端212A1側と第2の辺部212Bの下端212B1側を結ぶ辺部とすることにより、三角形状が作用して装着時における襦袢200の襟部250の装着位置が着物本体100の襟部150の装着位置に対しずれることを更に一層抑制することができる。
【0063】
また、襦袢200は、ポケット部260,270を有することにより、各種物品を挿入することができる。
更に、襦袢200の右前身頃部211は、右ポケット部を260有し、右ポケット部260は、襦袢200の右前襟部251に向く側を開放可能な挿入口261とし、襦袢200の左前身頃部212は、左ポケット部270を有し、左ポケット部270は、襦袢200の左前襟部252に向く側を開放可能な挿入口271とすることにより、挿入口261,271を介して襟部150,250から各種物品を右ポケット部260および左ポケット部270に挿入することができる。また、右ポケット部260および左ポケット部270に例えばタオル等を挿入することにより胸部の上部側に膨らみを持たせる等装着時における胸部の見栄えも良くすることができる。
【0064】
更にまた、襦袢200の右前身頃部211は、右ポケット部260を有し、右ポケット部260は、右前身頃部211の上端211a1側から中間部211a2に達するように形成され、襦袢200の左前身頃部212は、左ポケット部270を有し、左ポケット部270は、左前身頃部212の上端212a1側から中間部212a2に達するように形成されることにより、右ポケット部260および左ポケット部270にタオル等を挿入したときに胸部の上部側に膨らみを持たせ易くすることができる。
【0065】
また更に、襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部212は、それぞれ下部側に係合部材280,280´,290,290´を有し、係合部材280,280´,290,290´を介して相互に係合することにより、係合時に襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部211の位置を固定することができる。
【0066】
また、右張り出し部214および左張り出し部215は、それぞれ係合部材280´,290´を有し、係合部材280´,290´を介して相互に係合することにより、右張り出し部214および左張り出し部215を介して襦袢200の右前襟部251および左前襟部252の下端251a2,252a2側よりも下方で襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部212を係合することができ、係合時に襦袢200の右前身頃部211および左前身頃部212の位置を確実に固定することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0068】
すなわち、上述した実施形態においては、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252の全体が、着物本体200に対しては取り付けられていないフリーな状態とすることとしているが、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252のうち着用者400の前部側において重ね合わせられる部分の上方側が着物本体200に取り付けられ、襦袢200の右前襟部211および左前襟部212のうち着用者400の前部側において重ね合わせられる部分およびその下方側が、着物本体100に対しては取り付けられていないフリーな状態とすることとしても所要の効果を奏する。ただし、上記の如く、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252の全体が、着物本体100に対しては取り付けられていないフリーな状態とすることとした方が、着物本体100の襟部150と襦袢200の襟部250を別体の如く重ね合わせ易くすることができ、着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置を変更もし易く、更に、ポケット260,270にも物品を挿入し易くすることができより好ましい実施形態となる。
【0069】
なお、「襦袢200の右前襟部251および左前襟部252が、着物本体100に対しては取り付けられていないフリーな状態とする」とは、「襦袢200の右前襟部251および左前襟部252の全体が、着物本体100に対しては取り付けられていないフリーな状態とする」場合および「襦袢200の右前襟部251および左前襟部252のうち着用者400の前部側において重ね合わせられる部分の上方側が着物本体200に取り付けられ、襦袢200の右前襟部211および左前襟部212のうち着用者400の前部側において重ね合わせられる部分およびその下方側が、着物本体100に対しては取り付けられていないフリーな状態とする」場合のいずれも含むものとする。
【0070】
また、襦袢200は、襦袢200の後襟部253の下端縁253aが着物本体100の後襟部153の下端縁153aに片持ち支持されるように取り付けられていることにより、着物本体100の後襟部153の下端縁153aおよび襦袢200の後襟部253の下端縁253aを支点として着物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253が前後方向に動作しながら着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置が変更可能な構成とすることしているが他の構成により着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置が変更可能な構成とすることとしても所要の効果を奏する。
【0071】
ただし、襦袢200は、襦袢200の後襟部253の下端縁253aが着物本体100の後襟部153の下端縁153aに片持ち支持されるように取り付けられていることにより、着物本体100の後襟部153の下端縁153aおよび襦袢200の後襟部253の下端縁253aを支点として着物本体100の後襟部153および襦袢200の後襟部253が前後方向に動作しながら着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置が変更可能な構成とすることした方が、確実に着物本体100の後襟部153の上端153b側と襦袢200の後襟部253の上端253b側との相対位置の変更が可能となりより好ましい実施形態となる。
【0072】
更に、襦袢200は、後身頃部および袖部のいずれもを有さないこととしているが、後身頃部および袖部のうち少なくともいずれか一方を有さないこととしても所要の効果を奏する。
【0073】
ただし、襦袢200は、後身頃部および袖部のいずれもを有さないこととした方が、装着時に襦袢200が着物本体100の後身頃部120および袖部130のいずれとも接触することがなくより好ましい実施形態となる。
【0074】
更にまた、襦袢の右前身頃部211および左前身頃部212は、三角形状より詳しくは直角三角形状することとしているが他の形状とすることとしても所要の効果を奏する。
【0075】
ただし、襦袢の右前身頃部211および左前身頃部212は、三角形状より詳しくは直角三角形状とした方が、該三角形状より詳しくは直角三角形状が作用して装着時における襦袢200の襟部250の装着位置が着物本体100の襟部150の装着位置に対しずれることを更に一層抑制することができる。
【0076】
また、襦袢200は、右ポケット部260および左ポケット部270のいずれも有することとしているが、いずれか一方のみとしても所要の効果を奏する。
【0077】
ただし、襦袢200は、右ポケット部260および左ポケット部270のいずれも有することとした方が、左右いずれからも物品を挿入することができより好ましい実施形態となる。
【0078】
また更に、襦袢200の右前身頃部211は、右ポケット部260を有し、右ポケット部260は、襦袢200の右前襟部251に向く側を開放可能な挿入口261とし、襦袢200の左前身頃部252は、左ポケット部270を有し、左ポケット部270は、襦袢200の左前襟部252に向く側を開放可能な挿入口271とすることとしているが右前襟部251および左前襟部252に向く側以外の部分を挿入口261,271とすることとしても所要の効果を奏する。
【0079】
ただし、右前襟部251および左前襟部252に向く側を挿入口261,271とすることとした方が、挿入口261,271を介して襟部150,250から各種物品を右ポケット部260および左ポケット部270に挿入することができより好ましい実施形態となる。
【0080】
また、襦袢200の右前身頃部211は、右ポケット部260を有し、右ポケット部260は、右前身頃部211の上端211a1側から中間部211a2に達するように形成され、襦袢200の左前身頃部212は、左ポケット部270を有し、左ポケット部270は、左前身頃部212の上端212a1側から中間部212a2に達するように形成されることとしているが、右前身頃部211および左前身頃部212の全体や中間部211a1,212a2から下端に達するように形成することとしても所要の効果を奏する。
【0081】
ただし、襦袢200の右前身頃部211は、右ポケット部260を有し、右ポケット部260は、右前身頃部211の上端211a1側から中間部211a2に達するように形成され、襦袢200の左前身頃部212は、左ポケット部270を有し、左ポケット部270は、左前身頃部212の上端212a1側から中間部212a2に達するように形成されることとした方が、右ポケット部260および左ポケット部270にタオル等を挿入したときに胸部の上部側に膨らみを持たせ易くすることができより好ましい実施形態となる。
【0082】
更に、襦袢200は、襦袢200の後襟部253が着物本体100の後襟部153に固着されて取り付けられているが、襦袢200の後襟部253が着物本体100の後襟部153に着脱自在に設けられることとしてもよい。
この場合にあっては、襦袢200は、襦袢200の後襟部253が着物本体100の後襟部153に係合部材を介して着脱自在に設けられることとしてよく、係合部材は、例えばファスナーとすることができる。
【0083】
更にまた、着物1は上衣100aおよび下衣100bを有する二部式の着物1とすることとしているが上衣100aおよび下衣100bが一体となった一部式の着物とすることとしてもよい。
【0084】
また、図15乃至図18に示すように、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252、着物本体100の右前襟部151および左前襟部152に指を挿入または引っ掛け可能な指掛け部500を設けてもよい。
【0085】
すなわち、指掛け部500は、襦袢200の右前襟部251および左前襟部252の裏面251´´,252´´側、着物本体100の右前襟部151および左前襟部152の裏面151´´,152´´側にそれぞれ設けられ、右前襟部151,251および左前襟部152,252に隠れて右前襟部151,251および左前襟部152,252の表面151´,152´,251´,252´側から見て露出しない構成となっている。
【0086】
つまり、指掛け部500は、所定の布片501の一端501aと他端501bを右前襟部151,251および左前襟部152,252の裏面151´´,152´´,251´´,252´´側に縫合等により固定しつつ中間部501cは固定せずに右前襟部151,251および左前襟部152,252の裏面151´´,152´´,251´´,252´´側から離間可能とし、指を挿入または引っ掛け可能な構成とする。右前襟部151,251の裏面151´´,251´´側に設けられた指掛け部500に左手の指を挿入または引っ掛けて左側方に引っ張り、左前襟部152,252の裏面152´´,252´´側に設けられた指掛け部500に右手の指を挿入または引っ掛けて右側方に引っ張り、襦袢200または着物本体100を装着することができる。特に着用者400が四肢の不自由な障害者、目の不自由な障害者、指で挟んで引っ張る力のない高齢者、女性、子供等の場合には利便性の高い構成となる。
【0087】
指掛け部500は、右前襟部151,251および左前襟部152,252の裏面151´´,152´´,251´´,252´´側に設けられ、右前襟部151,251および左前襟部152,252の表面151´,251´側から見て露出しないことにより、見栄えを損なうことを防止することができる。
【0088】
なお、指掛け部500は、右前襟部151,252および左前襟部152,252のいずれにも設けているが、右前襟部151,251または左前襟部152,252に設ける等、右前襟部151,251および左前襟部152,252の少なくともいずれか一方に設けることとすれば所要の効果を奏することができる。また、指掛け部500は、右前襟部151,251および左前襟部152,252の裏面151´´,152´´,251´´,252´´側に設けているが表面151´,152´,251´,252´側に設けても所要の効果を奏する。更に、指掛け部500は、右前襟部151,251および左前襟部152,252の表面151´,152´,251´,252´側から見て露出しない構成としているが、露出することとしても所要の効果を奏する。
【0089】
更にまた、指掛け部500は、着物本体100の右前襟部151および左前襟部152以外の表面側や裏面側に設けることとし、または襦袢200の右前襟部251および左前襟部252以外の表面側や裏面側に設けることとしても所要の効果を奏する。
【符号の説明】
【0090】
1:着物
100:着物本体
100a:上衣
100b:下衣
110:前身頃部
111:右前身頃部
111a:縁部
112:左前身頃部
112a:縁部
120:後身頃部
120a:縁部
130:袖部
131:右袖部
132:左袖部
150:襟部
151:右襟部
151a:下端
151´:表面
151´´:裏面
152:左襟部
152a:下端
152´:表面
152´´:裏面
153:後襟部
153a:下端縁
153b:上端
200:襦袢
210:前身頃部
211:右前身頃部
211´:三角形状部
211a:縁部
211a1:上端
211a2:中間部
211A:第1の辺部
211A1:下端
211B:第2の辺部
211B1:下端
211C:第3の辺部
212:左前身頃部
212´:三角形状部
212a:縁部
212a1:上端
212a2:中間部
212A:第1の辺部
212A1:下端
212B:第2の辺部
212B1:下端
212C:第3の辺部
214:右張り出し部
215:左張り出し部
250:襟部
251:右襟部
251a:下端縁
251a1:上端
251a2:下端
251´:表面
251´´:裏面
252:左襟部
252a:下端縁
252a1:上端
252a2:下端
252´:表面
252´´:裏面
253:後襟部
253a:下端縁
253b:上端
260:右ポケット部
260a:生地
260A:辺部
260B:辺部
260C:辺部
261:挿入口
270:左ポケット部
270a:生地
270A:辺部
270B:辺部
270C:辺部
271:挿入口
280:係合部材
280´:係合部材
290:係合部材
290´:係合部材
300:帯
400:着用者
500:指掛け部
501:布片
501a:一端
501b:他端
501c:中間部
図1
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