(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】砂蓄熱式風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 9/37 20160101AFI20240621BHJP
【FI】
F03D9/37
(21)【出願番号】P 2023149975
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304007455
【氏名又は名称】林 精一
(72)【発明者】
【氏名】林 精一
(72)【発明者】
【氏名】林 幸子
(72)【発明者】
【氏名】林 寿一
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101877561(CN,A)
【文献】特開昭52-094536(JP,A)
【文献】中国実用新案第202258061(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107101314(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1766309(CN,A)
【文献】特開2015-004277(JP,A)
【文献】特開2007-046520(JP,A)
【文献】特開2003-286936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置であって、砂類を含む砂ベース材と、
上部開口部と下部開口部を有する風洞と、
前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、
前記砂ベース材内に配置され、前記風力発電装置の外部から前記砂ベース材を加熱するように構成された加熱手段と、
風流入口を有すると共に、前記風洞に接続された風洞前室と、
前記風洞内及び/又は前記風洞前室に設置された風車と、
前記風車
によって駆動され、前記風洞前室に設置された風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材内の前記加熱手段は、余剰電力
を含む外部
で発電された電力からの
ヒータ、熱伝導体、又は熱交換器、蒸気配管、若しくはドライスチームを含み、
前記砂ベース材
には、
前記加熱手段による加熱により得られた熱エネルギーとして蓄熱されており、
前記風洞前室に設置された前記風力発電機を設置又は保守点検が可能であり、
前記風力発電装置の外部に電力を必要とする場合に、前記砂ベース材に蓄熱された熱エネルギーによって、前記風洞内の空気の温度上昇によることにより生じる、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車が駆動され、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により、発電を行うことを特徴とする砂蓄熱式風力発電装置。
【請求項2】
前記風車は、水平軸風車、垂直軸風車であり、リミットロードファン、タービン式風車、ベルヌーイ定理式風車、プロペラ式風車、セルウイング式風車、多翼型風車、マグナス式風車、ダリウス式風車、サボニウス式風車、ジヤロミル風車、クロスフロー風車、シロッコファン、ターボファン、ラインファン、又はS型風車の少なくともいずれかを有していることを特徴とする請求項1に記載の砂蓄熱式風力発電装置。
【請求項3】
前記風洞前室の風洞前室開口部は蓋部を有し、
前記蓋部は、前記風洞前室の一部を覆い開閉可能に設けられ、
前記風洞前室開口部は、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検するとき以外は、前記蓋部により閉められた状態とすることが可能であり、
前記風洞前室は、上側面に風流入口、風流入室、風流入口蓋を有し、
前記風流入口の高さは、外部からの水、砂塵の流入を防止可能に設定されていると共に、前記風流入口の前記風流入口蓋は、風流入量の調節のための開閉を可能とし、必要に応じて外部からの空気が流入可能に設定されており、
前記風洞前室は、側面に風流入口、及び下側面に排水・除塵部を有し、
側面の前記風流入口は、必要に応じて外部から空気の流入を可能とする設定がされており、
前記排水・除塵部は、排水、除塵を可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の砂蓄熱式風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂容器に熱エネルギーを蓄熱する砂ベース材と風洞を有し、
外部より前記砂容器内の砂ベース材に蓄熱を可能とし、風洞内の空気の温上昇気流によって、風車が駆動され、前記風車に連動して駆動される風力発電機により発電するように構成されており、電力需要時に外部に電力を出力し、又は熱交換器により外部に出力可能に構成されていることを、備えることを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の記載には、延直方向に設置した風洞と、前記筒状部材の周壁に設けられて前記集風板によって集約された風を前記風洞内に導く複数の風取込口と、隣接する集風板間に設けられて集風板によって集約された風によって駆動されるタービン式により駆動される風力発電装置。と記載されている。
【0003】
特許文献2に記載には、円形平板状の車板から複数の羽根平が延出した形状をなした回転羽根であり、回転羽根の厚さは全体が均一で、各羽根平の回転方向の前縁には、風下方向が開口し、断面が弧状に形成された曲板部材が取り付けられていることを特徴とする軸流タービン風車の回転羽根。と記載されている。
【0004】
また、特許文献3に記載には、翼への気流W2と翼の第9線分に対応する面との間に負角βをもたせるように翼を取付けることにより、ベルヌーイの定理により説明される揚力に、さらに負角βによる負の圧力を加えることができる。従って、大きなトルクを得ることができ、風車効率を増大できる。と記載されている。
【0005】
また、特許文献4に記載には、同心円軸上に回転軸を有する揚力型風車と抗力型風車を備えた垂直軸型風車に関する。さらに言えば、揚力型風車と抗力型風車を備えており、マグナス効果に加え、表面効果も利用することで高トルクを生み出すことができるため、小型であるにも拘わらず高い回転効率を実現することができる垂直軸型風車に関する。と記載されている。
【0006】
また、特許文献5に記載には、回転始動時又は微風時にはサボニウス翼の特性を利用し、且つ、風速の大小に拘わらずダリウス翼及びサボニウス翼の回転エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換させ得る風力発電装置。と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】再表2008/0756766公報
【文献】特開2012-241705号公報
【文献】特開平06-159222号公報
【文献】特許第6165303号公報
【文献】特開2007-107496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、延直方向に設置した風洞と、前記筒状部材の周壁に設けられて前記集風板によって集約された風を前記風洞内に導く複数の風取込口と、隣接する集風板間に設けられて集風板によって集約された風によって駆動されるタービン式により駆動される風力発電装置であって、複数の風取込口をもつ風洞の構成は複雑であり、外部の風の影響(風塵等)を直接受け、建設費・維持費は高く、メンテナンス作業も困難と想定される。
【0009】
特許文献2、特許文献3、特許文献4は風力発電方法の記述はありません。
特許文献5は、回転するローター軸にサボニウス翼を取付けたサボニウス式風力発電装置において、上記ローター軸には中心軸に沿って軸穴を下端から所定の長さ設けると共に、該ローター軸の下端には中空軸アウターローター形発電機を取付け、垂直に起立する電柱又は支柱を上記中空軸アウターローター形発電機の固定フレームの電柱穴から軸穴に嵌めて上端を軸受けにて支持した風力発電装置であり、発電機の取り付けに関する記述である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材と、風洞と、前記砂ベース材を収納した砂容器と、前記風洞に接続された風洞前室と、前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と、前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、前記砂ベース材は、熱エネルギーとして蓄熱されていて、外部に電力を必要とする場合に、前記熱エネルギーによって、前記風洞内の空気の温度上昇によることにより生じる上昇気流によって、前記風車を駆動し、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により、発電するように構成されていることを特徴とする本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置とし、前記風車は前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と前記風車に接続されて駆動される風力発電機にあるため、前記風洞内の流速は弱風から発電が可能であり損傷が少なく、交換頻度が少なく、落雷等の被害に遭いにくく、蓄熱材料費は安価であり、建設費・維持費が安く、設置場所は需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つことが可能である。発電量に対して投資金額が少ない。これらを効果的に提供することを目的としている。
【0011】
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置は、
珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材と、
上部開口部と下部開口部を有する風洞と、
前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、
風流入口を有すると共に、前記風洞に接続された風洞前室と、
前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材は、余剰電力など外部電力からのヒータによる加熱、熱伝導体による加熱、熱交換器による加熱、蒸気配管による温熱加熱、ドライスチーム加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかの加熱により得られた熱エネルギーとして蓄熱されており、
外部に電力を必要とする場合に、前記砂ベース材に蓄熱された熱エネルギーによって、前記風洞内の空気の温度上昇によることにより生じる、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車が駆動され、
前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により、発電を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記砂ベース材は、前記風力発電機により発生する電力のヒータによる加熱、
余剰電力など外部電力からのヒータによる加熱、熱伝導体による加熱、熱交換器による加熱、蒸気配管による温熱加熱、ドライスチーム加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかの加熱により得られた熱エネルギーとして蓄熱されており、
外部に電力を必要とする場合に、前記砂ベース材に蓄熱された熱エネルギーを、前記熱交換器、又は熱伝導体により外部に出力可能に構成されていることを、備えることを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記風車は、水平軸風車、垂直軸風車であり、リミットロードファン、タービン式風車、ベルヌーイ定理式風車、プロペラ式風車、セルウイング式風車、多翼型風車、マグナス式風車、ダリウス式風車、サボニウス式風車、ジヤロミル風車、クロスフロー風車、シロッコファン、ターボファン、ラインファン、又はS型風車の少なくともいずれかを有していることを特徴としてもよい。
【0014】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記風洞前室の風洞前室開口部は蓋部を有し、
前記蓋部は、前記風洞前室の一部を覆い開閉可能に設けられ、
前記風洞前室開口部は、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検するとき以外は、前記蓋部により閉められた状態とすることが可能であり、
前記風洞前室は、上側面に風流入口、風流入室、風流入口蓋を有し、
前記風流入口の高さは、外部からの水、砂塵の流入を防止可能に設定されていると共に、前記風流入口の前記風流入口蓋は、風流入量の調節のための開閉を可能とし、必要に応じて外部からの空気が流入可能に設定されており、
前記風洞前室は、側面に風流入口、及び下側面に排水・除塵部を有し、
側面の前記風流入口は、必要に応じて外部から空気の流入を可能とする設定がされており、前記排水・除塵部は、排水、除塵を可能に構成されていることを特徴としてもよい。
【0015】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記砂ベース材である前記珪砂、珪砂類を1000°C以上に加熱し、高温度に蓄熱を可能とすることを特徴としてもよい。
【0016】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
外部より前記砂容器内の前記砂ベース材としての珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材に蓄熱を可能とする手段として、ヒータによる加熱、
熱交換器としての熱エネルギーを交換する機器による加熱、
熱伝導体としてのアルミニュウム材、アルミニウム合金材、炭化ケイ素材、窒化ガリュウム材、又は銅材等による熱の伝道、
蒸気加熱としての加熱用蒸気パイプによる加熱、
又はドライスチーム加熱する、ことを特徴としてもよい。
【0017】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
外部に電力の出力を必要としない場合には、
前記風流入口の前記風流入口蓋を閉じることにより、前記砂ベース材は熱エネルギーの蓄熱がより多く増加されて、前記風洞内の空気の温度はより高温に上昇されていることを特徴としてもよい。
【0018】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記熱エネルギーを蓄熱する前記砂容器の外面は、断熱スチール、断熱コンクリート、断熱セメント等による、断熱の良い材料を用い、
前記熱エネルギーを蓄熱する前記砂容器の内面は、熱伝導体としてのアルミニュウム材、アルミニウム合金材、炭化ケイ素材、窒化ガリュウム材、又は銅材等による、熱熱伝道の良い材料を用いることを特徴としてもよい。
【0019】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記砂ベース材は、
風力発電、太陽光発電、地熱発電、火力発電、水力発電、原子力発電などによる電力を、ヒータによる加熱、熱伝導体による加熱、熱交換器による加熱、蒸気配管による温熱加熱、又はドライスチーム加熱にて行い、
熱エネルギーを持った前記砂ベース材を断熱コンクリート製の前記砂容器に貯蔵され、
電力需要が高い時に、前記熱エネルギーを、前記風力発電機、前記熱交換器、又は前記熱伝導体により外部に電力を出力可能とすることを、特徴としてもよい。
【0020】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
上昇気流による風量Qは、前記風洞の高さHと・前記風洞内の空気の内外温度差Tとの積の平方根値と、前記風洞の開口部の実行面積A、との積に関連して扱われることと、前記風洞内の空気の内外温度差があると、前記風洞内の空気の密度差が生じ、これによって、内外圧力差が生ずることによって、上昇気流が生ずることにあることを特徴としてもよい。
【0021】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記リミットロードファンの方式として、リミットロードファンは、遠心式の送風機の一種で、シロッコファンとターボファンの中間的な特性をもち、
リミットロードファンは、羽根車のブレード形状により2タイプがあり、
LLA型:ブレード形状が翼型を採用しているので、低騒音で高効率であり、
LLB型:ブレード形状が平板を採用しているので、高温や湿気に強く、耐食性があり、
リミットロードファンは軸動力が一定の値を超えないことを特徴とし、
過負荷が起きないとともに、高い静圧効率が得られ、
本発明において風力発電は、風洞の風速が変動すると、発電量も変動し、過負荷に耐えるためには、リミットロードファンのような軸動力が一定の送風機が適していて、リミットロードファンは、風量や風圧が変化しても、軸動力は一定の値を超えない、これにより、風車、及び風力発電機に過負荷がかからず、安定した発電が可能であり、また、リミットロードファンは、高い静圧効率を持っていて、静圧効率とは、送風機の入力エネルギーと、出力エネルギーの比率であり、静圧効率が高いほど、送風機の性能が良いと言えることを特徴としてもよい。
なお、シロッコファンとは多翼送風機とも呼ばれる。回転方向に対して多数の羽根が取り付けられている送風機のことです。縦長の細長い板状の羽根が筒状に取り付けられており、この羽根を回転させることで空気を吸い込んで排気します。
【0022】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
水平軸風車は、変化する風向きに対し平行であり続けなければならない、
揚力型として、プロペラ風車、リボン型風車があり、抗力型として、多翼型風車、セルウイング風車、かぜくるま型風車、オランダ型風車があり、
垂直軸風車は、揚力型としてダリウス風車、ジャイロミル風車があり、抗力型として、サボニウス風車、クロスフロー風車、S型風車、パトル型風車があり、垂直軸風車は、風向きに対し、回転軸が垂直な風車があり、通常、回転軸が地面に対し垂直になるよう設置し、そうすれば常に回転軸に対し直角に風が吹くため、方向制御が必要なく、なお、ダリウス風車は、翼に働く遠心力が引っ張り応力として働く形状としたものであり、また、翼のピッチは固定されていて、また、ジャイロミル風車(Hダリウス風車、直線ダリウス風車)は、直線翼とすることにより可変ピッチを可能とし、微風でも起動しやすくしたものであることを特徴としてもよい。
【0023】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記風車の前記垂直軸型風車の例として、
同心円軸上に回転軸を有する揚力型風車と抗力型風車を備えた垂直軸型風車に関して、揚力型風車と抗力型風車を備えており、マグナス効果に加え、表面効果も利用することで高トルクを生み出すことができるため、小型であるにも拘わらず高い回転効率を実現することができる垂直軸型風車であることを特徴としてもよい。
【0024】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記風洞の前記風洞前室に前記風車と、風車に接続されて駆動される前記風力発電機を複数台設置可能とすることが出来る。また、前記風洞の周辺に複数の前記風洞前室を設け、前記風車に接続されて駆動される前記風力発電機を複数台設置可能とすることが出来ることを特徴としてもよい。
【0025】
なお、前記軸流風車、前記軸流タービン型風車が設置される場合は、前記風洞の側壁の形状は略円筒形状とする。
【0026】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記砂容器の外壁は、放熱面当たりの重量と保熱のために断熱材をどのように入れるかなどで変わってくる。石を蓄熱、放熱させる場合、蓄熱をした熱エネルギーは、かなりのピーク時タイムラグとピークエネルギー減衰を伴って放熱される。
【0027】
また、珪砂、砂類として乾燥した前記砂ベース材を構成することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明は砂蓄熱式風力発電装置として、珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材は、
余剰電力など外部電力からのヒータによる加熱、熱交換器による加熱、熱伝導体による加熱、温熱加熱、ドライスチーム加熱、太陽光加熱等により熱エネルギーとして蓄熱されていて、
外部に電力を必要とする場合の電力需要時に、前記砂ベース材に蓄熱された熱エネルギーによって、前記風洞内の空気の温度が上昇することにより生じる前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積とに関係する空気量の上昇気流が流れ、風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される前記風力発電機により発電するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかる砂蓄熱式風力発電装置Wの例である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態にかる砂蓄熱式風力発電装置Wの例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の各実施するための形態を説明する。
【0031】
文献によれば、太陽光や風力といった断続的な再生可能エネルギーを有効活用するには、優れたエネルギー貯蔵技術が重要となる。太陽光や風力による余剰電力でヒータを動かして、蓄熱材料の珪砂を1200℃まで加熱し、熱エネルギーを持った砂を断熱コンクリート製の前記砂容器に貯蔵する。電力需要が高い時は、砂を熱交換器からの出力し、電力を生成し、電気料金が安い時に再び前記砂ベース材加熱してエネルギーを蓄える。
システムのベースラインは、最大2万6000MWhの熱エネルギーを貯蔵するとしている。このシステムには、低コスト、高効率、安全性という強みがある。
また、珪砂は不活性材料のため、大規模エネルギーの長期保存に適している。設置場所にも特別な制約がなく、至る所の空き地、高地、寒冷地など設置可能であり、貯蔵容量の変更も比較的容易である。再生可能電力を熱に変換することで、脱炭素化も可能になるとしている。
【0032】
また、前記砂ベース材を蓄熱、放熱させる場合、蓄熱をした熱エネルギーは、かなりのピーク時タイムラグとピークエネルギー減衰を伴って放熱されている。放熱面当たりの重量と保熱のために断熱材をどのように入れるかなどで変わる。例えば、無垢の大理石の例として、厚さ10cmに積んだものの片面を暖めると、大雑把に言って反対面から放熱のピークは凡そ7時間ぐらいのタイムラグを伴って表れる。この場合の減衰率は、断熱材なしの場合、ピーク入力熱エネルギーの50%弱程度になるとされている。
【0033】
以下に、本発明は、砂ベース材の大容量の熱エネルギーを貯蔵することが可能であることを利用した風力発電装置について詳しく説明する。
【0034】
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
上昇気流による風量Qは、前記風洞の高さHと・前記風洞内の空気の内外温度差Tとの積の平方根値と、前記風洞の開口部の実行面積A、との積に関連して扱われることと、前記風洞内の空気の内外温度差があると、前記風洞内の空気の密度差が生じ、これによって、内外圧力差が生ずることによって、上昇気流が生ずることにあることを特徴としてもよい。また、本発明に係る熱エネルギーを蓄熱する珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材は、乾燥した前記砂ベース材を構成する。
【0035】
本発明の一実施例として、前記砂蓄熱式風力発電装置Wは製品構成としての概念
図1と、概念
図2を示す。
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、
珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材3と、
上部開口部4と下部開口部5を有する風洞6と、
前記風洞6の側壁の周囲に配置され、
前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、砂容器設置部2と、
風流入口71を有すると共に、前記風洞6に接続された風洞前室9と、
前記風洞6内及び/又は前記風洞前室9内に設置された風車8、81、85、又は86と、前記風車に接続されて駆動される風力発電機10、11、15、又は16と、を備え、
前記砂ベース材3は、余剰電力など外部電力からのヒータ18による加熱、熱伝導体による加熱、熱交換器17による加熱、蒸気配管による温熱加熱、ドライスチーム加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかの加熱により得られた熱エネルギーとして蓄熱されており、
外部に電力を必要とする場合に、前記砂ベース材3に蓄熱された熱エネルギーによって、前記風洞6内の空気の温度上昇によることにより生じる、前記風洞6内の空気の内外温度差と、前記風洞6の開口部4、5の位置の高低差と、前記風洞6の開口部4、5の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車が駆動され、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により、発電を行うことを特徴とする砂蓄熱式風力発電装置Wである。
なお、外部に電力の出力を必要としない場合には、前記風流入口71の前記風流入口蓋73を閉じることにより、前記砂ベース材3は熱エネルギーの蓄熱がより多く増加されて、前記風洞6内の空気の温度はより高温に上昇されていることを特徴とする。
【0036】
また、本発明の一実施例として、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、
前記砂ベース材3は、前記風力発電機10、11、15、又は16により発生する電力のヒータ18による加熱、余剰電力など外部電力からのヒータ18による加熱、熱伝導体による加熱、熱交換器17による加熱、蒸気配管による温熱加熱、ドライスチーム加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかの加熱により得られた熱エネルギーとして蓄熱されており、
外部に電力を必要とする場合に、前記砂ベース材3に蓄熱された熱エネルギーを、前記熱交換器17、又は熱伝導体により外部に出力可能に構成されていることを、備えることを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置Wである。
【0037】
また、本発明の一実施例として、記風車8、81は水平軸風車であり、
又前記風車85、86は垂直軸風車であり、リミットロードファン、タービン式風車、ベルヌーイ定理式風車、プロペラ式風車、セルウイング式風車、多翼型風車、マグナス式風車、ダリウス式風車、サボニウス式風車、ジヤロミル風車、クロスフロー風車、シロッコファン、ターボファン、ラインファン、又はS型風車の少なくともいずれかを有していることを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置Wである。
尚又、風の流入方向により、風車86と風力発電機16の回転軸から前記リミットロードファン等に適している。
【0038】
また、本発明の一実施例として、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、
砂容器1と、砂容器設置部2があって、珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材3と、前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、風流入口71を有すると共に、前記風洞6に接続され、前記風洞6が延伸する上部方向と、交差する方向に延伸する風洞前室9と、
又は、基礎面から垂直方向に設置した上部開口部4と下部開口部5を有する風洞6と、
前記風洞6の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、
前記風洞6に接続され基礎面から水平方向に延伸し設置した風洞前室9と、
及び、風流入口71と、風流入室72とを有する。
【0039】
また、本発明の一実施例として、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、
前記風洞前室9の風洞前室開口部13、14は蓋部を有し、
前記蓋部は、前記風洞前室9の一部を覆い開閉可能に設けられ、
前記風洞前室開口部13、14は、前記風車81、85、又は86、及び又は前記風力発電機11、15、又は16を設置又は保守点検するとき以外は、前記蓋部により閉められた状態とすることが可能であり、
前記風洞前室9は、上側面に風流入口71、風流入室72、風流入口蓋73を有し、
前記風流入口71の高さは、外部からの水、砂塵の流入を防止可能に設定されていると共に、前記風流入口71の前記風流入口蓋73は、風流入量の調節のための開閉を可能とし、必要に応じて外部からの空気が流入可能に設定されており、
前記風洞前室9は、前記風洞前室開口部14側面に風流入口、及び下側面に排水・除塵部12を有し、前記側面の前記風流入口は、必要に応じて外部から空気の流入を可能とする設定がされており、
前記排水・除塵部12は、排水、除塵を可能に構成されていることを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置Wである。
なお、前記風車81、85、又は86、及び前記風力発電機11、15、又は16を設置又は保守点検するときは、風洞前室9の上側面全体を取り外し可能に構成することもできる。
【0040】
また、本発明の一実施例として、前記風洞6の前記風洞前室9に、前記風車81、85、又は86に接続されて駆動される前記風力発電機11、15、又は16を複数台設置可能とすることが出来る。また、前記風洞6の周辺に前記風洞前室9を複数設けることが出来る(図示省略)。
【0041】
また、本発明の一実施例として、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、前記砂容器1は、横断面外形形状が略円形、略楕円形、略半円形、略三日月形半円形、略三角形、略四角形、又は多角形の形状を有することを特徴することができる。
【0042】
また、本発明の一実施例として、前記風車8、又は81は、水平軸型風車の例として、プロペラ式風車、タービン式風車、ベルヌーイ定理式風車、リボン型風車。抗力型として、セルウイング風車、多翼型風車等、オランダ型風車、風車型風車等を有して、前記風車を駆動し、前記風車により駆動される前記風力発電機10、又は11にて、発電を行うことを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置Wである。
【0043】
また、本発明の一実施例として、前記風車85、又は86は垂直軸型風車の例として、揚力型として、ダリウス式風車、ジヤロミル風車。抗力型として、クロスフロー風車、サボニウス式風車、マグナス式風車、バトル風車、S型風車等を有して、前記風車を駆動し、前記風力発電機15、又は16にて発電を行うことを特徴とする、前記砂蓄熱式風力発電装置Wである。
【0044】
なお、前記風車85、又は86の前記垂直軸型風車の例として、同心円軸上に回転軸を有する揚力型風車と抗力型風車を備えた垂直軸型風車に関する。揚力型風車と抗力型風車を備えており、マグナス効果に加え、表面効果も利用することで高トルクを生み出すことができるため、小型であるにも拘わらず高い回転効率を実現することができる垂直軸型風車に関する。
【0045】
本発明は、熱エネルギーとして砂ベース材3の蓄熱であり、風車8、81、85、又は86、及び風力発電機10、11、又は16は、前記風洞6、及び風洞前室9内にあるため損傷が少なく、落雷等の被害に遭いにくく、交換頻度が少なく、また蓄熱する材料費は安価であり、建設費・維持費が安い。
また、前記風洞6内の風速は弱風から発電が可能であり、設置場所は需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つことが可能である。
発電量に対して投資金額が少ない等の特徴を有し、効果的に実施し得ることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 砂容器
2 砂容器設置部
3 砂ベース材
4 上部開口部
5 下部開口部
6 風洞
71 風流入口
72 風流入室
73 風流入口蓋
8、81、85、86 風車
9 風洞前室
10、11、15、16 風力発電機
12 排水・除塵部
13、14 風洞前室開口部
17 熱交換器
18 ヒータ
【要約】
【課題】砂容器内に珪砂、珪砂類、又は砂類を含む砂ベース材と風洞を有し、風車と、風力発電機とを、備え、前記風洞内の上昇気流によって風力発電を行う砂蓄熱式風力発電装置を提供することにある。
【解決手段】砂蓄熱式風力発電装置は、前記砂ベース材において、余剰電力など外部電力からのヒータによる加熱、熱交換器による加熱、熱伝導体による加熱、温熱加熱、ドライスチーム加熱、太陽光加熱等により熱エネルギーとして蓄熱されていて、外部に電力を必要とする場合の電力需要時に、前記熱エネルギーによって、前記風洞内の空気の温度が上昇することにより生じる前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積とに関係する空気量の上昇気流が流れ、風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される前記風力発電機により発電を行うことにある。
【選択図】
図1