(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】テープ引出機
(51)【国際特許分類】
B65H 81/06 20060101AFI20240621BHJP
B65H 35/07 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B65H81/06 B
B65H35/07 K
B65H35/07 R
(21)【出願番号】P 2024073292
(22)【出願日】2024-04-29
【審査請求日】2024-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】719002344
【氏名又は名称】萩原 康史
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康史
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-040267(JP,A)
【文献】特開2016-074538(JP,A)
【文献】特開2021-062948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H81/06
B65H35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールテープから延びるテープ端を保持するテープ保持部を備え、ロールテープとテープ保持部との間隔を広げることによってロールテープからテープを引き出すテープ引出機で、
前記テープ保持部に、
テープ端の粘着面が貼り付く被粘着部と、
前記被粘着部よりも
下方のテープ先端側の位置でテープ端の粘着面が貼り付きつつ回転する保持ローラと、
を備えるテープ引出機。
【請求項2】
前記テープ保持部で保持されたテープ端を対象物の位置まで移動させるスライドプレートと、
前記スライドプレートと繰り出されたテープとの間隔を広げる方向にスライドプレートを移動する移動プレートと、
を備える請求項1に記載のテープ引出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールテープを引き出すテープ引出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のワイヤーハーネスの製造の一部として、電線束やそれを覆う外装部材にテープを巻き付けるテープ巻付機のテープ引出機が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ロールテープから延びるテープ端を保持するホルダ部と、前記ホルダ部によって保持されたテープ端を把持するチャック部と、を備えると共に、テープ端を把持したチャック部とホルダ部との間隔を広げることによってロールテープを引き出すテープ引出機が記載されている。
【0004】
テープ引出機は、ロールテープから延びるテープ端を保持し、テープを引き出すものである。なお、「テープを引き出す」とは、ロールテープに巻回された粘着テープを、先に繰り出されたテープを保持して引張り、繰り出すことをいう。
【0005】
一般的にこの種の用途に用いられるテープは、片面に粘着剤を有する片面粘着テープであって、片面粘着テープの粘着面と反対側の面は非粘着面とされており、下層のテープの非粘着面にその上層の粘着面が当接しており、先に繰り出された部分から粘着テープを容易に繰り出すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-26439号公報
【文献】特開2021-62948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のテープ巻付機が備えるテープ引出機は、切断されたテープの先端をチャック部が把持して引き出すものであるため、テープ切断後にチャックが正確な位置でテープ先端を把持できるように、ロールテープから僅かに引き出したテープ端を起立するようにロールテープの外周面と近接してホルダ部を備える必要があった。しかし、テープが使用されてロールテープの外径が小さくなるとロールテープと前記ホルダ部との隙間が大きくなり、テープの自重によってテープが折れ曲がり、テープ端が正確な位置に保持されない可能性があった。
【0008】
従来のテープ巻付機が備えるテープ引出機は、前記ホルダ部に加えてテープを適正に把持して引き出すために、テープ端を挟んで把持して移動する動作と、把持を解除してテープ端を放す動作とを行うチャック部が必要であり、機構と制御が複雑であった。そのため、従来のテープ引出機は、大型で高価なテープ巻付装置にしか採用されておらず、未だにテープ巻付機を用いたテープ巻き付け作業のテープ引き出し作業は、手作業で行われていることが多い。例えば、特許文献2に記載されているような簡易で安価なテープ巻付機を使用するテープ巻付作業では、ロールテープからのテープの引き出しは作業者による手作業であり、作業者の疲労や、作業者の不足などの問題があった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は簡易な機構でロールテープからのテープ引き出し性能に優れたテープ引出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るテープ引出機は、ロールテープから延びるテープ端を保持するテープ保持部を備え、ロールテープとテープ保持部との間隔を広げることによってロールテープからテープを引き出すテープ引出機で、前記テープ保持部に、テープ端の粘着面が貼り付く被粘着部と、前記被粘着部よりもテープ先端側の位置でテープ端の粘着面が貼り付きつつ回転する保持ローラと、を備える。
【0011】
上記のテープ引出機で、前記テープ保持部で保持されたテープ端を対象物の位置まで移動させるスライドプレートと、前記スライドプレートと繰り出されたテープとの間隔を広げる方向にスライドプレートを移動する移動プレートと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、簡易な機構でロールテープから繰り出されたテープ端を保持し、引き出すことが出来る、テープ引き出し性能に優れたテープ引出機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に係るテープ引出機を備えたテープ巻付機の斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、テープを引き出す前の状態を示す概略図である。
図2(b)は、テープを引き出す動作を示す概略図である。
図2(c)は、テープ端を対象物に貼り付けつつ退避する動作を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は、テープを切断する前の動作を示す概略図である。
図3(b)は、テープを切断する前の状態を示す概略図である。
図3(c)は、テープを切断する動作を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るテープ引出機を示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、テープを引き出す前のテープ保持部をロールテープ中心軸方向から見た概略図である。
図5(b)は、テープを引き出す動作時のテープ保持部をロールテープ中心軸方向から見た概略図である。
【
図6】
図6は、本発明に係るテープ引出機を、繰り出されたテープの厚さ方向に非接着面側から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るテープ引出機、及びテープ巻付機について説明する。説明の便宜上、
図1、
図4に示すように「前」「後」「左」「右」「上」「下」を定義する。前後方向、左右方向、上下方向は互いに直交している。
【0015】
図1に示すように、テープ巻付機は、ロールテープ2を対象物1と直交する面内で回転させて移動するための旋回手段として、対象物1と直交する面内に配置された回転中央領域が中空となっている回転プレート5と、回転プレート5と隣接配置された回転中央領域が中空となっている固定プレート6と、を備え、回転プレート5はモーターを用いて回転駆動される。回転プレート5と固定プレート6には、外周縁から回転中央領域の中空部に対象物1を挿抜するための切欠が設けられている。回転プレート5の切欠と、固定プレート6の切欠とが揃った位置にある時、切欠を通して対象物1を容易に挿抜可能である。回転プレート5に固定されたロールテープ支持部4の先端部にホルダ部3が設けられ、ロールテープ2を保持している。
【0016】
図4に示すように、テープ引出機は、テープ保持部7を前後方向(スライドプレート移動方向16)に移動するスライドプレート13を備え、スライドプレート13は前方の動作位置(対象物1にテープを貼り付ける位置)、又は後方の動作位置(テープを切断しテープ端を保持する位置)に選択的に制御可能となっている。また、テープ引出機は、上下方向(移動プレート移動方向18)に移動する移動プレート14を備え、移動プレート14は、上方の動作位置(テープを引き出す動作をする位置)、又は下方の動作位置(退避位置)に選択的に制御可能となっている。
【0017】
テープ保持部7は、スライドプレート13に連結して設けられており、その上部先端に被粘着部8と、保持ローラ9と、を備えている。被粘着部8と保持ローラ9は、ロールテープ2から引き出されたテープの粘着面が貼り付くように備えられており、保持ローラ9は被粘着部8のテープ端側に被粘着部8と近接して備えられている。
【0018】
被粘着部8は、スライドプレート13に備えられたテープ保持部7の上部先端に配置される。被粘着部8は、移動プレート14が上方に移動した際に、ロールテープ2から引き出されたテープの粘着面に接する位置に備えられている。テープ粘着面が皺無く適正に被粘着部8に貼り付くように、被粘着部8の被粘着面は滑らかに形成されている。
【0019】
保持ローラ9は、スライドプレート13に備えられたテープ保持部7に被粘着部8と近接して、被粘着部8よりもテープ端側に配置される。保持ローラ9は、ロールテープ2の中心軸と並行した中心軸で容易に回転するように備えらえており、ローラにテープが貼り付くために、その周面は滑らかに形成されている。保持ローラ9の幅はテープ幅より大きく、テープ粘着面が皺無く貼り付くようになっている。また、保持ローラ9は、テープ保持部7の被粘着部8と保持ローラ9にテープ粘着面が貼り付いた状態でテープを引き出すとき、
図5(b)に示すように、被粘着部8がロールテープ2から保持ローラ9へ張り渡されたテープの粘着面を押圧するように、被粘着部8より僅かに下方に設けられている。
【0020】
スライドプレート13は、図示略のエアシリンダ等の駆動力によって、前後方向(テープを引き出す方向)に移動可能に設けられている。スライドプレート13は、ロールテープ2から繰り出されたテープの下方(粘着面側)に設けられている。テープを引き出す際には、スライドプレート13に固定されたテープ保持部7に保持されたテープ端が対象物に貼り付け可能となる所定の位置までスライドプレート13が前方に移動する。また、テープ端を対象物1に貼り付けた後には、移動プレート14によって下方に移動した後、駆動力によって後方(ロールテープ2の方向)のテープ引き出し動作前の位置まで移動する。スライドプレート13は、移動プレート14と連結して設けられており、上下移動する移動プレート14上で前後移動する。
【0021】
移動プレート14は、図示略のエアシリンダ等の駆動力によって、上下方向に移動可能に設けられている。テープ端を引き出す際には上方(テープ保持部7の被粘着部8がテープ粘着面に接する位置)に移動し、テープ巻き付け動作時にはテープ引出機がテープ巻付機によって回転するロールテープ2に当たらない位置まで下方(テープ巻付機の動作に邪魔にならない位置)に移動する。
【0022】
押さえ部10は、移動プレート14の前方向(対象物1側)の先端に回動可能に設けられており、その先端には樹脂シート片12が備えられている。スライドプレート13が移動し、対象物1にテープ端を貼付け可能な対象物1上方の位置までテープを引き出したときに、スライドプレート13に押圧されて押さえ部10が回動し、押さえ部10に備えられた樹脂シート片12と、対象物1との間に、テープ端が介在する状態が得られるように設けられている。押さえ部10がスライドプレート13に押圧されていない時には、移動プレート14に固定された弾性体11によって付勢され、移動プレート14が上下する際に押さえ部10と樹脂シート片12とが対象物1と当たらない位置まで押さえ部10が回動し退避する。
【0023】
図5(a)、
図5(b)を示し、テープ保持部7がテープを保持する方法を説明する。テープを引き出す前(テープを切断した後)の状態では、
図5(a)に示すように、テープ粘着面が被粘着部8と保持ローラ9とに貼り付いているが、テープに張力は加わっておらず保持ローラ9より前方のテープ先端部分は下方に垂れ下がった状態になっている。スライドプレート13が移動しテープに張力が加わると、
図5(b)に示すように、ローラ接着部21がロールテープ2側に引っ張られて保持ローラ回転方向19の方向に回転する。この時、テープ保持部7の前方で垂れ下がっていたテープ端が上方に移動する。この段階ではテープ保持部7にテープを保持する力は無く、ロールテープ2からテープが引き出されることはない。
【0024】
その後さらにロールテープ2とテープ保持部7との間隔が広がりテープに張力が加わると、テープがロールテープ2側に引っ張られて、保持ローラ回転方向19の方向にさらに回転しつつ、保持ローラ9に貼り付いたテープのロールテープ2側が保持ローラ9から剥離する。しかし、この時同時に、保持ローラ9に貼り付いたテープのテープ先端側では、保持ローラ9の回転によりテープ先端側から引き寄せられたテープが保持ローラ9に貼り付く。その結果、テープは保持ローラ9から完全に剥離せず、テープが移動しながらもテープ粘着面は保持ローラ9に貼り付いているという状態になる。この時、テープ粘着面の保持ローラ9への粘着力に抗してテープが剥離するという状態になり、被粘着部8と保持ローラ9の間のテープに張力が生じる。このテープに張力が生じた状態で、被粘着部8をテープ粘着面に押し付けて、保持ローラ9と共にテープを引き出す方向に移動すると、被粘着部8にテープ粘着面が押圧されつつ、テープは保持ローラ9で剥がれることなく保持され角度(粘着面角度20)を保つため、被粘着部8へのテープの粘着力が大きくなり、ロールテープのテープ粘着面の自背面の非粘着面への粘着力に抗してロールテープ2からテープを引き出すことが出来る。
【0025】
ロールテープ2から被粘着部8まで張り渡されたテープと、被粘着部8から保持ローラ9まで張り渡されたテープとの間の角度(粘着面角度20)を小さくするとテープを保持する力は強くなる。これは被粘着部8がテープの粘着面をより強く押し付けるためである。この機構ではテープを引き出す際に、テープに張力が生じてテープが被粘着部8に保持されるまでに、テープ保持部7上のテープは僅かにロールテープ2側に移動するため、テープ保持部7から出ているテープ先端までのテープ長は短くなるが、その後は固定的に保持される。もし、テープ保持部7より前方にあるテープ先端が、テープ保持部7側に移動を続ける場合は、テープ保持部7がテープ端を保持する力が不足している。その場合は、前記のように粘着面角度20をより小さくするか、被粘着部8を大きくして粘着する面積を増やし、保持力を強くする必要がある。
【0026】
上述したテープ保持機構は、繰り出されたテープが被粘着部8と保持ローラ9の両方に粘着面が貼り付いている場合に、ロールテープ2からテープを引き出すことが出来るだけの保持力を得る。もし、ロールテープ2から繰り出されたテープが被粘着部8のみにテープ粘着面が貼り付いている状態でテープを引き出そうとした場合には、テープの張力でテープが被粘着部8から容易に剥離し保持されない。また、もし、ロールテープ2から繰り出されたテープが保持ローラ9のみにテープが貼り付いている状態でテープを引き出そうとした場合には、保持ローラ9が保持ローラ回転方向19の方向に回転を続けて、保持ローラ9に粘着面が貼り付いた状態でテープが移動し保持されない。被粘着部8と保持ローラ9との両方にテープが貼り付き、且つ、テープに張力が加わることで被粘着部8からテープ粘着面が剥離しないように押圧する力が生じ、テープ保持部7はロールテープ2からテープを引き出すことが出来るだけの保持力を得ることが出来る。テープを引き出す動作が停止し、テープに張力が加わっていない状態では、被粘着部8及び保持ローラ9から容易にテープを剥離する事が出来る。テープ引出機が対象物1にテープ端を貼り付けつつ退避する動作では、テープ端は粘着面が対象物1に押し付けられて強く貼り付き、被粘着部8と保持ローラ9では引き剥がされる状態になり、被粘着部8と保持ローラ9からテープ粘着面が容易に剥離し、ロールテープ2から対象物1にテープが張り渡された状態になる。
【実施例】
【0027】
まず、
図1、
図2(a)に示すように、作業者の手又は装置に保持され、回転プレート5の中心軸上に対象物1(電線束等)を架け渡す。この時、回転プレート5は
図1に示すように、回転プレート5の切欠と固定プレート6の切欠が揃った位置で停止している。回転プレート5の切欠と固定プレート6の切欠が揃った状態の時、固定プレート6の外周縁から回転プレート5の回転中心軸上に対象物1が挿抜される。この時、移動プレート14に固定された弾性体11によって付勢された押さえ部10に備えられた樹脂シート片12は、対象物の挿抜の邪魔にならない位置まで退避している。
【0028】
対象物1が回転プレートの回転中心軸上に挿抜されるとき、ロールテープ2から引き出されたテープ端は、テープ保持部の保持ローラ9と被粘着部8の両方に粘着面が貼り付いた状態で保持されている。切断されたテープ先端はテープ保持部7より前方(対象物1の方向)にあるが、テープ先端が対象物の挿抜の邪魔にならない位置となっている。
【0029】
次に、
図2(b)に示すように、テープ保持部7の先端に備えられた保持ローラ9と被粘着部8にロールテープ2から繰り出されたテープの粘着面が貼り付くことによってテープが保持され、スライドプレート13がテープを対象物1に向けて引き出す方向に移動することで、テープがロールテープ2から引き出される。テープ先端は、テープ先端の粘着面を対象物1に貼り付けるために必要な寸法だけテープ保持部7から対象物1側に出した状態で保持されており、スライドプレート13が移動したとき、テープ先端は対象物1の上方で粘着面を対象物1に向けて保持される。このときスライドプレート13の先端に押圧され押さえ部10が回動し、押さえ部10の先端に備えられた樹脂シート片12と対象物1との間にテープ先端が介在する状態となる。
【0030】
ロールテープ2からテープを引き出すときにテープ端を保持するテープ保持部7について説明する。
図5(b)は、ロールテープ2からテープを引き出す際のテープ保持部7を示している。ロールテープ2から繰り出されたテープ端は、テープ保持部7の上部先端に備えられた被粘着部8と保持ローラ9に粘着面が貼り付いている。スライドプレート13が移動し、テープに張力が加わった時、保持ローラ9が保持ローラ回転方向19の方向に回転し、テープを張りつつテープの粘着面が被粘着部8に押し付けられる。換言すると、ロールテープ2と保持ローラ8との間に張り渡されたテープの粘着面を、被粘着部8が押圧する状態になる。また、この時、保持ローラ9が保持ローラ回転方向19の方向に回転することで、テープ先端は僅かにロールテープ2側に移動しつつ、保持ローラ9の回転によりテープ端部は上方に移動する。テープ端部が垂れ下がった状態では、テープ端部を対象物1に貼り付けるのが難しいが、保持ローラ9の回転によりテープ端部が上方に移動することでテープ端部の粘着面を対象物1に貼り付けるのが容易になる。
【0031】
次に、
図2(c)に示すように、移動プレート14が下方(テープ保持部7がテープ粘着面から離れる方向)に移動し、テープ端を対象物1に貼り付ける。この時、押さえ部10の先端に備えられた樹脂シート片12がテープ先端を対象物1に押し当てることで、テープ端の粘着面が対象物1の周面に粘着し、下方に退避する被粘着部8と保持ローラ9からテープが剥離する。その後、テープ巻付機が回転させるロールテープ2とテープ引出機が当たらない位置まで、移動プレート14が下方に移動しテープ引出機を退避させる。下方への退避動作完了後、テープ巻付け機が動作し対象物1にテープを巻き付ける。
【0032】
テープ巻付機によるテープ巻き付けが行われた後、
図3(a)に示すように、下方(テープ保持部7の被粘着面8にテープ粘着面が接していない位置)でスライドプレート13が後方の既定位置まで移動する。この時、スライドプレート13による押さえ部10への押圧が解除され、押さえ部10は弾性体11によってテープ保持部7から離れる方向に回動し、移動プレート14が上方に移動したときに樹脂シート片12が対象物1の挿抜の邪魔にならない位置まで退避した状態で、移動プレート14が上方に移動する。
図3(b)は移動部プレート14がテープ保持部7の被粘着部8が張り渡されたテープの粘着面に接する既定の位置まで上方に移動した状態を示している。
【0033】
図3(c)に示すように、ロールテープ2から対象物1に張り渡されたテープを、切断刃15がテープ背面の非粘着面を上から下に押さえるように切断する。この時、切断されたロールテープ2側のテープ端は、テープ保持部7の被粘着部8と保持ローラ9とに貼り付く。この状態で、テープ巻き付けされた対象物1を取り出す。
【0034】
上述のように、テープ保持部7に備えられた被粘着部8と保持ローラ9とにロールテープ2から繰り出されたテープの粘着面が貼り付くことによってテープが保持され、テープ保持部7と連結したスライドプレート13が対象物1に向けてテープを引き出す方向に移動することで、ロールテープ2からテープを引き出すという簡易な機構で、好適なテープ引き出しをすることが出来る。
【0035】
なお本発明は、上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、配置箇所などは本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、被粘着部8の大きさや形状である。
【0036】
また、テープ巻付機はロールテープが回転体によって回転する機構に限らず、対象物が回転し、対象物の周面にテープを巻き取るタイプであっても良い。その場合には移動プレート14の下方への移動は、ロールテープ2から対象物1に張り渡されたテープの粘着面がテープ保持部7から剥離する位置までで良い。
【符号の説明】
【0037】
1 対象物
2 ロールテープ
3 ホルダー部
4 ロールテープ支持部
5 回転プレート
6 固定プレート
7 テープ保持部
8 被粘着部
9 保持ローラ
10 押さえ部
11 弾性体
12 樹脂シート片
13 スライドプレート
14 移動プレート
15 切断刃
16 スライドプレート移動方向
17 押さえ部回動方向
18 移動プレート移動方向
19 保持ローラ回転方向
20 粘着面角度
21 ローラ接着部
【要約】
【課題】テープ引き出し性能に優れた簡易な機構のテープ引出機を提供すること。
【解決手段】ロールテープから延びるテープ端を保持するテープ保持部を備え、ロールテープとテープ保持部との間隔を広げることによってロールテープからテープを引き出すテープ引出機で、前記テープ保持部に、テープ端の粘着面が貼り付く被粘着部と、前記被粘着部よりもテープ先端側の位置でテープ端の粘着面が貼り付きつつ回転する保持ローラと、を備える。
【選択図】
図1