(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】異物デブリ(FOD)低減のためのストレートシャンク端部ねじ
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20240621BHJP
F16B 37/08 20060101ALI20240621BHJP
F16B 13/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F16B35/00 M
F16B37/08 B
F16B13/04 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019232383
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-12-23
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン, ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】シート, テレンス シー.
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/161336(WO,A1)
【文献】実開平02-024115(JP,U)
【文献】特表2005-517876(JP,A)
【文献】特表2011-511225(JP,A)
【文献】特開2004-068930(JP,A)
【文献】実開昭58-108613(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 35/00
F16B 37/08
F16B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ山(34)を画定するシャフト(32)の第1の部分(30)、及び
平坦な曲面(38)を備え、前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)から延在する、前記シャフト(32)の第2の部分(36)を備
え、
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)の直径(D)が、締結具(10)に固定されるナット(12)のねじ山(22)によって規定される直径(D’)未満の寸法を有し、
前記ナット(12)は、前記ナット(12)の前記ねじ山(22)を画定する本体(20)、及び前記ナット(12)の前記ねじ山(22)から離れるように延在し且つ曲げられた位置(23)にある少なくとも1つの歯部(24)を含む、締結具(10)。
【請求項2】
前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)が、頭部(40)に連結されている、請求項1に記載の締結具(10)。
【請求項3】
前記頭部(40)が、工具の挿入を受け入れるための開口部(42)を画定する、請求項2に記載の締結具(10)。
【請求項4】
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、テーパ付けされた形状を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の締結具(10)。
【請求項5】
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、円形断面(46)を有する、請求項
4に記載の締結具(10)。
【請求項6】
前記第2の部分(36)の前記円形断面(46)の直径(48)が、前記円形断面(46)よりも前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)から更に離れて配置された第2の円形断面(52)の直径(50)の寸法より大きい寸法を有する、請求項
5に記載の締結具(10)。
【請求項7】
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、円錐台形状を有する、請求項
4に記載の締結具(10)。
【請求項8】
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)から延在する前記シャフト(32)の第3の部分(54)を更に含む、請求項
7に記載の締結具(10)。
【請求項9】
前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の少なくとも一部分が、円筒形状を備える、請求項
8に記載の締結具(10)。
【請求項10】
前記第2の部分(36)からの前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の遠位端部分(56)が、前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の周りで延在する面取り表面(58)を画定する、請求項
9に記載の締結具(10)。
【請求項11】
前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の前記遠位端部分(56)が、前記シャフト(32)の中心軸(28)を横断して側方に延在する平坦面(60)を画定する、請求項
10に記載の締結具(10)。
【請求項12】
前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)の前記ねじ山(34)が
、ナット(12)によって画定される
前記ねじ山(22)と適合する形状を有する、請求項1から
11のいずれか一項に記載の締結具(10)。
【請求項13】
前記締結具(10)を回転させ、前
記ナット(12)の前記ねじ山(22)に沿って、前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)の前記ねじ山(34)を前進させると、前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、前
記ナット(12)の
前記少なくとも1つの歯部(24)と接触する、請求項
12に記載の締結具(10)。
【請求項14】
前記締結具(10)を更に回転させると、前記平坦な曲面(38)が
、前記少なくとも1つの歯部(24)に沿って移動し、前記少なくとも1つの歯部(24)を、前記締結具(10)の中心軸(28)から離れる方向に押す、請求項
13に記載の締結具(10)。
【請求項15】
ねじ山(34)を画定するシャフト(32)の第1の部分(30)、及び
平坦な曲面(38)を備え、前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)から延在する、前記シャフト(32)の第2の部分(36)を備え、
前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)の前記ねじ山(34)が、ナット(12)によって画定されるねじ山(22)と適合する形状を有し、
前記ナット(12)は、前記ナット(12)の前記ねじ山(22)を画定する本体(20)、及び前記ねじ山(22)から離れるように延在し且つ曲げられた位置(23)にある少なくとも1つの歯部(24)を含む、締結具(10)であって、
前記締結具(10)を回転させ、前記ナット(12)の前記ねじ山(22)に沿って、前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)の前記ねじ山(34)を前進させると、前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、前記ナット(12)の前記少なくとも1つの歯部(24)と接触する、締結具(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つ以上の部品を共に連結するための締結具に関し、特に、Eナットに固定される締結用ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機などの構造物を製作することにおいて、2つ以上の部品を共に締結することは、通常、締結アセンブリを用いて成し遂げられる。シートトラックへの床板、シートトラックへの床板肋間部(intercostal)、及び床板へのシート家具用金具などの締結部品には、例えば、Eナットと締結用ねじを含む、締結アセンブリの使用が含まれる。締結用ねじは、Eナットの中に挿入され、Eナットの適合するねじ山と締結用ねじが、互いに噛み合う。締結用ねじとEナットは、固定フランジを運ぶEナットの一部分が、共に締結される2つ以上の構成要素を貫通して延在する開口部を超えて延在し、締結用ネジの中心軸から離れる方向に延在するまで、開口部の中に押し込まれる。締結用ねじの回転により、締結用ネジは、Eナットの曲げられた脚部又は歯部(collapsed legs or tines)と噛み合い且つ当接した状態で、Eナットのねじ部を通って移動することが可能になる。
【0003】
締結用ねじが回転し続けると、締結用ねじは、締結用ねじのねじ山がEナットの曲げられた脚部又は歯部を押しながら、Eナットに沿って且つEナットを通って進む。それによって、曲げられた歯部は、締結用ねじの中心軸から離れるように移動する。しかし、このプロセスでは、締結用ねじのねじ部が、移動される歯部の鋭利なエッジと噛み合う。締結用ねじの頭部を着座させる位置へ締結用ねじを更に回転させ、鋭利なエッジの所定のトルクにアクセスすることは、締結用ねじが回転され、歯部が締結用ネジの中心軸から離れるように移動するときに、Eナットの歯部の鋭利なエッジが、締結用ねじのねじ山の中に切り込むことを含む。締結用ねじが所定のトルクで締結位置に到達した状態で、歯部の固定フランジは、共に締結されている少なくとも2つの構成要素のうちの1つの表面に当接し、締結用ねじの頭部と、共に固定されている少なくとも2つの構成要素内の開口部を越えて配置された歯部の固定フランジとの間で、2つ以上の構成要素に圧縮力を加える。締結プロセスでは、締結プロセス中に、Eナットの歯部の鋭利なエッジが、締結用ねじのねじに山に切り込むことによって、締結用ねじのねじ山から金属の削りくずが生成される。これらの削りくずは、締結用ねじとEナットのロケール(locale)内に分布し、異物デブリ(「FOD」)と称される。
【0004】
大量の削りくず又はFODの生成により、米国連邦航空局の規則に基づいて、航空機に関する耐空性検査(air worthiness inspection)を行う必要が生じる。耐空性検査は、航空機の製作中に時間をとり、更なる費用をもたらす。更に、FODが、航空機から除去され、これもまた、製作プロセスにおける更なる時間と費用をもたらす。更に、締結プロセスにおいてFODが分配され得るので、削りくずが、締結具のねじ山の表面とEナットのねじ山の表面の間に配置され、テスト時に、締結用ねじのEナットとの実際のトルク固定よりも、高いトルクの読み取り値を提供し得る。
【0005】
削りくずの生成に抵抗する硬質材料を使用することを目的として、締結用ねじの構築にチタニウムを使用することなどの、FODの生成を低減させる試みが行われてきた。しかし、チタニウムから構築された締結用ねじは、未だ、締結用ねじのEナットへの固定プロセスにおいてねじ山に切り込みをもたらし、FODを生成する。結果として、締結用ねじをEナットに固定してもFODを生成しない、締結用ねじを有することが有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
一実施例は、ねじ山を画定するシャフトの第1の部分、及び、平坦な曲面を含み、シャフトの第1の部分から延在する、シャフトの第2の部分を含む、締結具を含む。
【0007】
一実施例は、締結具をEナットに固定するための方法を含み、該方法は、Eナットの範囲内に配置された締結具を、共に固定される少なくとも2つの構成要素によって画定され、それらの少なくとも2つの構成要素を貫通して延在する、開口部の中に挿入するステップを含む。その場合、締結具のシャフトの第1の部分が、ねじ山を画定し、シャフトの第1の部分から延在する締結具のシャフトの第2の部分が、湾曲した平坦面を画定する。
【0008】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施例において個別に実現可能であるか、又は、更に別の実施例に組み込まれてよく、かかる更に別の例の更なる詳細事項は、以下の説明及び図面を参照することで理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】断面で示されている2つの構成要素のアセンブリを共に固定するための締結具とEナットの分解斜視図である。
【
図3A】3A‐3A線に沿って切り取られた
図1の締結具の断面図である。
【
図3B】3B‐3B線に沿って切り取られた
図1の締結具の断面図である。
【
図4】
図1の締結具とEナットの部分断面側面図であり、締結具は、Eナットの範囲内に配置され、共に固定される2つの構成要素のアセンブリを貫通して延在する孔の外側に配置され、Eナットと2つの構成要素のアセンブリとは、断面で示されている。
【
図5】孔の範囲内に挿入された
図4の締結具とEナットの側面図であり、Eナットの少なくとも一部分とEナットの歯部の固定フランジとは、共に固定される2つの構成要素を越えて配置されている。
【
図6】Eナットを通して回転され且つ進められた締結具の
図5の側面図であり、Eナットの固定フランジを有する少なくとも1つの歯部は、締結具の中心軸から離れる方向に移動され、2つの構成要素を共に固定している。
【
図7】締結具をEナットに固定するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、Eナット12に固定される締結具10が示され、航空機の製作において、この実施例では床板16とシートトラック18などの、2つ以上の構成要素を共に固定するための、締結アセンブリ14が提供されている。
図1、
図4、及び
図5で見られるように、Eナット12は、ねじ山22を画定する本体20、及び、ねじ山22から離れるように延在し且つ曲げられた位置23にある少なくとも1つの歯部24を含む。この実施例では、6つの歯部24が、Eナット12によって画定され、各歯部24は、締結具10の中心軸28に対して、その中心軸28に向かって角度方向26に延在する。締結具10がEナット12の範囲内に配置された状態の、少なくとも1つの歯部24及びこの実施例では歯部24の全ての曲げられた位置23が、
図4及び
図5で見られる。
図6で見られるような最終的な固定位置29に移動されるまで、歯部24は、曲げられた位置23を維持する。その最終的な位置では、歯部24と歯部24の固定フランジ33が、締結具10の中心軸28から離れるように移動している。締結具10は、締結具10が締め付けられた状態で、Eナット12を通って移動する。締結具10が締め付けられた状態では、固定フランジ33が、シートトラック18と当接する関係で配置され、締結具10の頭部40と固定フランジ33との間で床板16及びシートトラック18上に圧縮力がかけられ、床板16やシートトラック18などの少なくとも2つの構成要素の固定が提供される。
【0011】
歯部24の曲げられた位置23は、Eナット12が、床板16を貫通して穿たれ又は広げられた開口部25を通って移動し、同様にシートトラック18を貫通して穿たれ又は広げられた開口部27を通って移動することを容易にする。開口部25と開口部27は、互いに整列するように配置されている。この実施例では、曲げられた位置23にある歯部24が、
図5で見られるように、最初に、少なくとも2つの構成要素、すなわち床板16とシートトラック18の開口部25と27を通って移動し、歯部24の固定フランジ33を、シートトラック18の開口部27の外側に配置する。
【0012】
図6では、歯部24が、締結具10によって、締結具10の中心軸28から離れる方向に移動している。その場合、この実施例では、歯部24が、今やEナット12の本体20と整列した方向31にある。歯部24が、方向31に整列した状態で、固定フランジ33が、開口部27の周りで開口部27に隣接して配置されたシートトラック18と位置合わせされて配置されている。最終的な固定位置29は、締結具10を締め付けることによって実現される。それによって、
図6で見られるように、締結具10の頭部40とEナット12の歯部24の固定フランジ33との間で、床板16及びシートトラック18に圧縮力が加えられる。
【0013】
締結具10は、ねじ山34を画定するシャフト32の第1の部分30、及びシャフト32の第1の部分30から延在するシャフト32の第2の部分36を含む。シャフト32の第2の部分36は、平坦な曲面38を含む。シャフト32の第1の部分30は、頭部40に連結されている。頭部40は、締結具10をEナット12に固定するための、ドライバや電動ドライバなどの工具の挿入を受け入れるための開口部42を画定する。締結具10は、例えば、チタニウムやスチールなどの硬質材料から構築される。例えば、シャフト32の第1の部分30のねじ山34は、Eナット12によって画定されるねじ山22と形状が適合する。
【0014】
図2のシャフト32の第2の部分36の直径Dは、
図1で見られるように、締結具10のシャフト32に固定されるEナット12によって画定されるねじ山22によって規定される直径D’未満の寸法を有する。直径Dは、締結具10をEナット12の中に挿入した状態で、第2の部分36が、Eナット12内のねじ山22を通過し、越えるための隙間(clearance)を許容する。第2の部分36が、Eナット12のねじ山22を通過することができた状態で、
図2で見られるように直径D”を規定し且つEナット12のねじ山22と適合する締結具10のシャフト32の第1の部分30のねじ山34は、
図4及び
図5で見られるように、Eナット12のねじ山22と噛み合うことができる。
【0015】
図4で見られるように、締結具10をEナット12の中に挿入した状態で、この実施例で見られるように、ねじ山34のうちの幾つかは、Eナット12のねじ山22のうちの幾つかと噛み合い、締結アセンブリ14は、それぞれ、床板16とシートトラック18の開口部25と27の中に挿入され、この実施例では、開口部25内に配置されたインサート35の中に挿入され、次いで、シートトラック18の開口部27を通る。この実施例では、インサート35が、床板16の開口部25内に配置され、その場合、インサート35は、フランジ37を含む。フランジ37は、インサート35の周りで延在し、
図1で見られるように床板16に接合され、インサート35を床板16に固定する。次いで、この実施例では、シートトラック18が、締結アセンブリ14との固定の前に、開口部27が開口部25内に配置されたインサート35によって画定される開口部51と整列した状態で、床板16と接触するように配置される。
【0016】
インサート35は、
図1及び
図4で見られるように、開口部51向けの六角形状を形成する内壁面39を含む。インサート35の内壁面39は、
図1で見られるように、壁面41を有するEナット12の本体20の六角形状を受け入れるように構成され、寸法決定されている。壁面41が、インサート35の内壁面39と当接する関係で、インサート35の開口部51内に配置されたときに、Eナット12は、インサート35の開口部51内に配置された状態で、回転に抵抗する。更に、インサート35は、インサート35の内壁面39の内装49の下側部分53から、下側部分53の周りで延在するように配置されたレッジ45を含む。締結アセンブリ14が、インサート35の中に最初に挿入されたときに、レッジ45は、Eナットの本体20に係合することとなる。それによって、レッジ45は、Eナット12が、シートトラック18の開口部27を通って遠くに押されることをブロックする。締結アセンブリ14の使用の他の実施例ではまた、インサート35を採用することなしに、少なくとも2つの構成要素を共に固定することが実現される。
【0017】
シャフト32の第2の部分36は、
図2で見られるように、テーパ付けされた(先細りする)形状を有する。第2の部分36は、第1の部分30から離れて延在するに従って細くなる。シャフト32の第2の部分36は、
図2及び
図3Aで見られるように、円形断面46を有する。円形断面46は、第2の部分36の
図2及び
図3Bで見られるような第2の円形断面52の直径50より大きい直径48を有する。
図2で見られるように、第2の円形断面52の直径50は、円形断面46の直径48よりシャフト32の第1の部分30から更に離れて配置されている。この実施例では、シャフト32の第2の部分36が、円錐台形状を有する。この実施例では、第2の部分36のテーパ付けされた形状は、Eナット12の歯部24を、締結具10の中心軸28から離れる方向に押すことにおいて採用されることとなる。それによって、本明細書で説明されることとなるように、締結アセンブリ14を固定することにおいて、ねじ山34が歯部24と遭遇するときに、第1の部分30のねじ山34に対して歯部24によって加えられる力が低減されることとなる。
【0018】
この実施例では、締結具10の第2の部分36が、
図2で見られるように、シャフト32の第2の部分36から延在するシャフト32の第3の部分54を含む。シャフト32の第3の部分54の少なくとも一部分は、円筒形状を含む。第2の部分36からの第3の部分54の遠位端部分56は、第3の部分54の周りで延在する面取り表面58を画定し、シャフト32の中心軸28を横断して側方に延在する平坦面60を画定する。第3の部分54の形状及び寸法は、締結具10が、
図4及び
図5で示された位置を越えて、Eナット12の曲げられた歯部24の端部分61内に最初に配置されることをもたらす。それによって、第3の部分54は、時期尚早に歯部24に対して押し付けられず、この実施例では、インサート35の中に締結アセンブリ14を最初に挿入する間に、歯部24を中心軸28から離れるように移動させることがない。
【0019】
図5を参照すると、締結アセンブリ14は、この実施例では、Eナット12の本体20がレッジ45に当接するように、インサート35の中に挿入されている。締結具10を回転させると、シャフト32の第1の部分30のねじ山34が、Eナット12のねじ山22に沿って進み、シャフト32の第2の部分36が、Eナット12の少なくとも1つの歯部24と接触することをもたらす。この実施例では、平坦な曲面38が、歯部24の端部分61において、Eナット12の全ての歯部24と接触する。締結具10を更に回転させると、平坦な曲面38が、少なくとも1つの歯部24、この実施例では歯部24の全てを、締結具10の中心軸28から離れる方向に押すことをもたらす。歯部24の固定フランジ33は、固定フランジ33が、シートトラック18の開口部27を越えて延在するように移動される。頭部40がインサート35と接触するに至ると、締結具10の継続的な回転は、
図6で見られるように、固定フランジ33がシートトラック18と当接し、締め付けトルクが実現されるまで、締結具10の頭部40に向けてEナット12を引っ張り、頭部40と固定フランジ33の間で、床板16とシートトラック18上に固定のための圧縮力が提供される。平坦な曲面38が、歯部24と最初に接触した状態で、歯部24を中心軸28から離れるように押し始め、締結具10の第1の部分30のねじ山34が、Eナット12のねじ山22から前進すると、ねじ山34は、平坦な曲面38によって既に締結具10の中心軸28から離れる方向に移動している歯部24と遭遇する。これにより、曲げられた位置から歯部24を押すために、締結具として採用されているねじが切られた円筒形状のボルトのねじ山が遭遇する力とは対照的に、締結具アセンブリ14が固定されるときに、より少ない力がねじ山34上に加えられる。平坦な曲面38が、歯部24を押すことにおいて採用されると、歯部24によってねじ山34にかけられる力がより少ないので、歯部24の鋭利なエッジ44によるFODの生成が、低減され又は全くなくなる。
【0020】
図7を参照すると、締結具10をEナット12に固定するための方法62は、Eナット12の範囲内に配置された締結具10を、共に固定されるこの実施例では床板16とシートトラック18などの少なくとも2つの構成要素によって画定され、それらの少なくとも2つの構成要素を貫通して延在する、この実施例では開口部25と27を含む開口部の中に挿入するステップ64を含む。締結具10のシャフト32の第1の部分30が、ねじ山34を画定し、シャフト10の第1の部分30から延在する締結具10のシャフト32の第2の部分36が、平坦な曲面38を画定する。挿入するステップ64は、シャフト32の第1の部分30のねじ山34の少なくとも一部分が、Eナット12によって画定されるねじ山22の少なくとも一部分と噛み合うことを含む。本実施例で説明されたように、ねじ山34のうちの幾つかは、ねじ山22のうちの幾つかと最初に噛み合う。Eナット12の範囲内に配置された締結具10を挿入するステップ64は、Eナット12の歯部24の固定フランジ33を開口部を越えて押すことを更に含む。開口部は、この実施例では、
図5で見られるように、開口部25と27を含む。
【0021】
更に、本開示は以下の条項による実施例を含む。
条項1.
ねじ山(34)を画定するシャフト(32)の第1の部分(30)、及び
平坦な曲面(38)を備え、前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)から延在する、前記シャフト(32)の第2の部分(36)を備える、締結具(10)。
条項2.
前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)が、頭部(40)に連結されている、条項1に記載の締結具(10)。
条項3.
前記頭部(40)が、工具の挿入を受け入れるための開口部(42)を画定する、条項2に記載の締結具(10)。
条項4.
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)の直径(D)が、前記締結具(10)に固定されるEナット(12)のねじ山(22)によって規定される直径(D’)未満の寸法を有する、条項1に記載の締結具(10)。
条項5.
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、テーパ付けされた形状を有する、条項1に記載の締結具(10)。
条項6.
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、円形断面(46)を有する、条項5に記載の締結具(10)。
条項7.
前記第2の部分(36)の前記円形断面(46)の直径(48)が、前記円形断面(46)よりも前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)から更に離れて配置された第2の円形断面(52)の直径(50)の寸法より大きい寸法を有する、条項6に記載の締結具(10)。
条項8.
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、円錐台形状を有する、条項5に記載の締結具(10)。
条項9.
前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)から延在する前記シャフト(32)の第3の部分(54)を更に含む、条項8に記載の締結具(10)。
条項10.
前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の少なくとも一部分が、円筒形状を備える、条項9に記載の締結具(10)。
条項11.
前記第2の部分(36)からの前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の遠位端部分(56)が、前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の周りで延在する面取り表面(58)を画定する、条項10に記載の締結具(10)。
条項12.
前記シャフト(32)の前記第3の部分(54)の前記遠位端部分(56)が、前記シャフト(32)の中心軸(28)を横断して側方に延在する平坦面(60)を画定する、条項11に記載の締結具(10)。
条項13.
前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)の前記ねじ山(34)が、Eナット(12)によって画定されるねじ山(22)と適合する形状を有する、条項1に記載の締結具(10)。
条項14.
前記締結具(10)を回転させ、前記Eナット(12)の前記ねじ山(22)に沿って、前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)の前記ねじ山(34)を前進させると、前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)が、前記Eナット(12)の少なくとも1つの歯部(24)と接触する、条項13に記載の締結具(10)。
条項15.
前記締結具(10)を更に回転させると、前記平坦な曲面(38)が、前記Eナット(12)の前記少なくとも1つの歯部(24)に沿って移動し、前記少なくとも1つの歯部(24)を、前記締結具(10)の中心軸(28)から離れる方向に押す、条項14に記載の締結具(10)。
条項16.
締結具(10)をEナット(12)に固定するための方法(62)であって、
前記Eナット(12)の範囲内に配置された前記締結具(10)を、共に固定される少なくとも2つの構成要素(16、18)によって画定され、前記少なくとも2つの構成要素(16、18)を貫通して延在する、開口部(25、27)の中に挿入することを含み
前記締結具(10)のシャフト(32)の第1の部分(30)が、ねじ山(34)を画定し、
前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)から延在する前記締結具(10)の前記シャフト(32)の第2の部分(36)が、平坦な曲面(38)を画定する、方法(62)。
条項17.
前記挿入するステップ(64)が、前記シャフト(32)の前記第1の部分(30)の前記ねじ山(34)の少なくとも一部分が、前記Eナット(12)によって画定されるねじ山(22)の少なくとも一部分と噛み合うことを含む、条項16に記載の方法(62)。
条項18.
前記挿入するステップ(64)が、前記Eナット(12)の歯部(24)の固定フランジ(33)を、前記開口部(25、27)を越えるように押すことを更に含む、条項16に記載の方法(62)。
条項19.
前記締結具(10)の前記シャフト(32)の前記第2の部分(36)の前記平坦な曲面(38)が、前記歯部(24)と接触し、前記歯部(24)を押し、前記歯部(24)を越えて移動し、固定フランジ(33)を有する前記歯部(24)を、前記締結具(10)の中心軸(28)から離れる方向に移動させるように、前記締結具(10)を回転させることを更に含む、条項18に記載の方法(62)。
条項20.
前記締結具(10)を更に回転させて、前記締結具(10)の前記第1の部分(30)に連結された頭部(40)と、少なくとも2つの構成要素(16、18)のうちの1つに当接する前記歯部(24)の前記固定フランジ(33)と、の間で共に固定される、前記少なくとも2つの構成要素(16、18)上に圧縮力を加える、条項19に記載の方法(62)。
【0022】
方法62は、締結具10のシャフト32の第2の部分36の平坦な曲面38が、少なくとも1つの歯部24と接触し、少なくとも1つの歯部24を押し、少なくとも1つの歯部24を越えて移動し、固定フランジ33を有する少なくとも1つの歯部24を、締結具10の中心軸28から離れる方向に移動させるように、締結具10を回転させることを更に含む。締結具10を更に回転させることは、締結具10の第1の部分30に連結された頭部40と、少なくとも2つの構成要素のうちの1つ(この実施例では、シートトラック18)に当接する少なくとも1つの歯部24の固定フランジ33と、の間で共に固定される、この実施例では床板16とシートトラック18である少なくとも2つの構成要素上に圧縮力を加える。締結具10に十分なトルクが加えられると、少なくとも2つの構成要素が共に固定され、締結具10のシャフト32の第2の部分36の平坦な曲面38が、歯部24を中心軸28から離れる方向に押すと、締結具10の第1の部分30のねじ山34が、歯部24を通過するときに、ねじ山34上にかけられる力が少なくなり、歯部24の鋭利なエッジ44によって生成されるFODの低減又は消去をもたらす。