(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】コアギュローゲンを含まない、清澄化リムルスアメボサイトライセート
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/37 20060101AFI20240621BHJP
G01N 33/579 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C12Q1/37
G01N33/579
(21)【出願番号】P 2019536071
(86)(22)【出願日】2018-01-11
(86)【国際出願番号】 US2018013310
(87)【国際公開番号】W WO2018132562
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512190365
【氏名又は名称】ロンザ ウォーカーズヴィル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100217157
【氏名又は名称】野村 梨沙
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】スタンバー, キャンディス
(72)【発明者】
【氏名】タデッセ, レーベン
(72)【発明者】
【氏名】リン, カレン
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】中村 浩
【審判官】高堀 栄二
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-134265(JP,A)
【文献】国際公開第2012/057609(WO,A1)
【文献】特表2019-526052(JP,A)
【文献】Clin Chim Acta.1985,vol.149,no.1,pp.55-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPLUS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リムルスアメボサイトライセート(LAL)及び(b)バッファーを含む組成物であって、
30%~60%(v/v)のLALを含み、
前記LALは、(i)コアギュローゲンの少なくとも一部が、20kDa~50kDaフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過(TFF)により除去され、次いで(ii)2~10℃において3000~7000rpmで2~10分間遠心分離されたものであ
り、
前記LALは、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する、
組成物。
【請求項2】
界面活性剤、発色基質、又はこれらの両方をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、前記方法が、
a.前記サンプルをリムルスアメボサイトライセート(LAL)及び発色基質を含む試薬と接触させるステップと、
b.前記サンプル中のエンドトキシンの存在下における前記発色基質の変化によって生じる発色効果を測定するステップとを含み、
前記LALは、(i)コアギュローゲンの少なくとも一部が、20kDa~50kDaフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過(TFF)により除去され、次いで(ii)2~10℃において3000~7000rpmで2~10分間遠心分離されたものであ
り、
前記LALは、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する、方法。
【請求項4】
前記発色基質が、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
発色効果を測定する前記ステップが、405nmにおける吸光度を測定することを含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記試薬が、水性液体である、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試薬が、凍結乾燥され、その後、前記サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルが、生物学的サンプルである、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルが、非経口剤形、ワクチン、抗生剤、治療用タンパク質、治療用核酸、治療用抗体、及び生物学的製剤からなる群から選択される、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記LALが、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して2%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記LALが、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して0.5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
発色アッセイを使用して、生物学的サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、前記方法が、
a.前記生物学的サンプルをLAL及びAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAを含む試薬と接触させるステップと、
b.前記サンプル中のエンドトキシンの存在下におけるAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAからのpNAの酵素切断によって生じる405nmにおける吸光度の変化を測定するステップとを含み、
前記LALが、(i)コアギュローゲンの少なくとも一部が、20kDa~50kDaフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過(TFF)により除去され、次いで(ii)2~10℃において3000~7000rpmで2~10分間遠心分離されたものであ
り、
前記LALは、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する、方法。
【請求項13】
(a)の前に、バッファー、界面活性剤、及び45%~55%のLALを含む溶液が、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAを含む溶液と混合される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記試薬が、15%~25%のAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAを含む、請求項
12又は
13に記載の方法。
【請求項15】
0.0001EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシンの感度を有する、請求項
12~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
a.(i)コアギュローゲンの少なくとも一部が、20kDa~50kDaフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過(TFF)により除去され、次いで(ii)2~10℃において3000~7000rpmで2~10分間遠心分離されたものであるリムルスアメボサイトライセート(LAL)と、
b.発色基質と、
c.前記LAL及び発色基質を使用してエンドトキシンを検出するための説明書と
を含む、キット
であって、
前記LALは、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する、キット。
【請求項17】
リムルスアメボサイトライセート(LAL)を生成する方法であって、
a.溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液をバッファーと合わせるステップと、
b.(a)の組み合わせを20kDa~50kDaメンブランフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過(TFF)に供し、保持液を生成するステップと、
c.(b)の保持液を2~10℃において3000~7000rpmで2~10分間遠心分離し、上澄みを生成するステップであり、前記上澄みがLALである、ステップとを含
み、
前記LALは、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する、
方法。
【請求項18】
前記LALが、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して2%(w/w)未満のコアギュローゲンを有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項19】
前記LALが、SDS-PAGE及びタンパク質染色によって測定される場合に、前記LAL中の総タンパク質に対して0.5%(w/w)未満のコアギュローゲンを有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)を含む組成物、及び組成物を生成する方法に関する。本発明はさらに、発色アッセイを使用してサンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)サンプルを清澄化LAL及び発色基質を含む試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下における発色基質の変化によって生じる発色効果を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法に関する。本発明はまた、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含むキット、及びそのようなものを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]グラム陰性菌エンドトキシンは、静脈内に導入されたときに発熱の原因となる生物学的パイロジェンである。リポ多糖(LPS)としても知られているエンドトキシンは、サルモネラ(Salmonella)、大腸菌(Escherichia coli)、シゲラ(Shigella)及びナイセイラ(Neisseira)などのグラム陰性菌の外膜に見られる。エンドトキシンが引き起こす毒性機構は、リポ多糖の脂質部分が原因となることが報告されている。例えば、生物内において細菌の溶解が起きると、血流に導入される脂質に対する応答は、補体系の活性化による可能性がある。この脂質部分がインターロイキン1及び8などのさまざまなサイトカインの放出につながる。腫瘍壊死因子の産生も活性化される場合がある。もたらされた感染症は、炎症過程と関連づけられ、感染した生物に大きな危険性を与える可能性がある。インターロイキン1は、免疫応答として、炎症に対して生物が放出するサイトカインファミリーである。この応答は、感染症が起こった場所への好中球の遊走につながり、走化性をもたらす。これは、ファゴサイトーシスが生じるのを促進するが、ある場合には、個体の免疫系の状態及び感染のレベルに応じて、エンドトキシンが敗血症によってもたらされるリスクとともに、全身敗血症に至ることもあろう。グラム陰性菌が高等な哺乳動物において全身感染症による多臓器不全及びさらには死を引き起こした多くの症例が報告されてきた。エンドトキシンと関連する有害な影響のため、医薬産業及び医療界にとってエンドトキシンの早期の高感度の検出があることが重要である。
【0003】
[0003]リムルスアメボサイトライセート(LAL)試験は、エンドトキシンを検知するために1970年代に商業的に導入された。LALは、カブトガニ、アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)の血液細胞、又はアメボサイト由来のものである。もともとのLAL試験は、セリンプロテアーゼのカスケードを構成し、このカスケードはわずかなレベルのエンドトキシンによって引き起こされ、反応の終わりにゲル凝塊となる。通常、酵素前駆体として存在するC因子は、この凝固カスケードのプライマーである。インビボにおいて、C因子は、グラム陰性感染菌の存在をカブトガニに警告する完璧なバイオセンサーである。血流停止の終点は、感染菌を捕捉し、感染菌を死滅させ、さらなる感染を制限する。
【0004】
[0004]LAL試験は、エンドトキシンに対するアメボサイトの応答を測定するためのさまざまな方法を使用するために改変することができる。こうした方法としては、いわゆるゲル化法、比濁法及び発色法が挙げられる。これらのLAL試験は、薬剤を製造するために使用される及び最終製品に対して使用される原料中の両方の細菌毒素を検出するための方法として国際的薬局方において推奨されている。こうした試験は、FDA(食品医薬品局)が推奨するパイロジェンの検出のための方法であるため、化粧品産業に対して及び食物生産においても有用である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)を含む組成物であって、本組成物は、実質的にコアギュローゲンを含まない、組成物が本明細書において提供される。実施形態において、清澄化LALを含む組成物は、バッファー及び界面活性剤をさらに含む。実施形態において、組成物は50%の清澄化LALを含む。
【0006】
[0006]実施形態において、本発明は、(a)組成物が実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALと、(b)発色基質とを含む、組成物を提供する。
【0007】
[0007]本明細書中の実施形態は、清澄化LAL、バッファー、界面活性剤、及び発色基質を含む組成物であって、本組成物は、30%~50%のLAL(v/v)及び10%~30%(v/v)の発色基質を含む、組成物をさらに対象とする。
【0008】
[0008]実施形態において、本発明は、清澄化LALを含み、実質的にコアギュローゲンを含まない組成物であって、(a)溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を4℃において2,000rpmで8分間遠心分離し、上澄みを生成するステップと、(b)(a)の上澄みをバッファーと合わせるステップと、(c)(b)の組み合わせを30kDaメンブランフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過に供し、保持液を生成するステップと、(d)(c)の保持液を4℃において5,000rpmで5分間遠心分離し、上澄みを生成するステップであり、上澄みが、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALである、ステップとを含む、方法により生成される、組成物をさらに提供する。
【0009】
[0009]実施形態において、本発明は、清澄化LALを含み、実質的にコアギュローゲンを含まない組成物であって、(a)溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を得るステップと、(a)の溶液をバッファーと合わせるステップと、(b)(a)の溶液をバッファーと合わせるステップと、(c)(b)の組み合わせを20kDa~50kDaメンブランフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過に供し、保持液を生成するステップと、(d)(c)の保持液を20,000×g超において25分を超える間遠心分離し、上澄みを生成するステップであり、上澄みが、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALである、ステップとを含む、方法により生成される、組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態において、(c)の連続的なTFFは、少なくとも4のダイアフィルトレーション容量を含む。いくつかの実施形態において、(c)の連続的なTFFは、少なくとも6のダイアフィルトレーション容量を含む。
【0010】
[0010]本明細書中の実施形態は、発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)サンプルを清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)及び発色基質を含む試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下における発色基質の変化によって生じる発色効果を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法を対象とする。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態において、発色基質は、3個を超えるアミノ酸と共有結合したp-ニトロアニリンである。いくつかの実施形態において、発色基質は、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAである。いくつかの実施形態において、発色基質の変化は、酵素反応により起こる。いくつかの実施形態において、酵素反応は、ポリペプチドからの発色団の切断である。いくつかの実施形態において、発色効果は、380nm~420nmにおける吸光度を検出することによって測定される。いくつかの実施形態において、発色効果は、405nmにおける吸光度を検出することによって測定される。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態において、試薬は、液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、水性液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態において、LALは、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って再構成される。いくつかの実施形態において、LALは、凍結され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って解凍される。いくつかの実施形態において、発色基質は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って再構成される。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態において、サンプルは、生物学的サンプルである。いくつかの実施形態において、サンプルは、非経口剤形、ワクチン、抗生剤、治療用タンパク質、治療用核酸、治療用抗体、及び生物学的製剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、SDS-PAGEによって測定され、ウエスタンブロットによって確認される場合に、LAL中の総タンパク質に対して5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、LAL中の総タンパク質に対して2%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、LAL中の総タンパク質に対して0.5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有する。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、5μg/μL未満のコアギュローゲン濃度を有する。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、3μg/μL未満のコアギュローゲン濃度を有する。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、2μg/μL未満のコアギュローゲン濃度を有する。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、シングルキュベット分光測定、マルチキュベット分光測定、又はマイクロプレートリーダーを使用して行われる。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態において、本方法は、発色効果を標準と比較して、サンプル中のエンドトキシンの量を求めるステップをさらに含む。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態において、本開示は、発色アッセイを使用して、生物学的サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)生物学的サンプルを清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)及びAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAを含む水性試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下におけるAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAからのpNAの酵素切断によって生じる405nmにおける吸光度の変化を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法を対象とする。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態において、本開示の方法は、高い感度を有する。いくつかの実施形態において、本方法は、<0.001EU/mLエンドトキシンの感度を有する。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態において、本開示の方法は、キットであって、(a)実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)と、(b)発色基質と、(c)LAL及び発色基質を使用してエンドトキシンを検出するための説明書とを含む、キットを対象とする。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態において、清澄化LALは、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態において、清澄化LALは、水溶液中にある。いくつかの実施形態において、LAL及び発色基質は、単一の容器に入れてある。いくつかの実施形態において、キットは、清澄化LALを含む滅菌容器をさらに含む。いくつかの実施形態において、滅菌容器は、滅菌バイアルである。いくつかの実施形態において、キットは、対照標準エンドトキシンをさらに含む。
【0021】
[0021]いくつかの実施形態において、本開示は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)を生成する方法であって、本方法は、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を2~10℃において1000~3000rpmで2~15分間遠心分離し、上澄みを生成するステップと、(a)の上澄みをバッファーと合わせるステップと、(b)の組み合わせを20kDa~50kDaフィルターを使用してろ過し、保持液を生成するステップと、(c)の保持液を2~10℃において3000~7000rpmで2~10分間遠心分離し、上澄みを生成するステップとを含み、上澄みが、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む、方法を対象とする。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態において、フィルターは、タンジェンシャルフローろ過(TFF)である。いくつかの実施形態において、TFFフィルターは、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)メンブランフィルターである。いくつかの実施形態において、TFFは、350mL/分~500mL/分の流量で実施される。いくつかの実施形態において、バッファーは、トリスバッファー又はMESバッファーである。いくつかの実施形態において、バッファーは、約7.0~8.0のpHを有する。
【0023】
[0023]いくつかの実施形態において、本開示は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)を生成する方法であって、(a)溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を得るステップと、(b)(a)の溶液をバッファーと合わせるステップと、(c)(b)の組み合わせを20kDa~50kDaメンブランフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過(TFF)に供し、保持液を生成するステップと、(d)(c)の保持液を20,000×g超において25分を超える間遠心分離し、上澄みを生成するステップであり、上澄みが、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALである、ステップとを含む、方法を対象とする。いくつかの実施形態において、(a)の溶液は、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイトを2~10℃において1000~3000rpmで2~15分間遠心分離するステップから得られた、上澄みを含む。いくつかの実施形態において、(a)の遠心分離するステップは、2000rpmにおいて遠心分離するステップを含む。いくつかの実施形態において、(a)の遠心分離するステップは、8分間遠心分離するステップを含む。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態において、遠心分離するステップは、2~10℃、例えば、4℃において遠心分離するステップを含む。いくつかの実施形態において、(c)の連続的なTFFは、少なくとも4のダイアフィルトレーション容量を含む。いくつかの実施形態において、(c)の連続的なTFFは、少なくとも6のダイアフィルトレーション容量を含む。いくつかの実施形態において、(d)の遠心分離するステップは、40,000×gにおいて遠心分離するステップを含む。いくつかの実施形態において、(d)の遠心分離するステップは、30分間遠心分離するステップを含む。いくつかの実施形態において、バッファーは、トリスバッファー又はMESバッファーである。いくつかの実施形態において、バッファーは、約7.0~8.0のpHを有する。
【0025】
[0025]本技術の前述及び他の特徴及び態様は、実施形態の以下の説明から、さらに添付の図面に示されているとおり、さらに良好に理解可能である。本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本技術の原理を説明するためにさらに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL(「LAL-co」)(サンプル1~6)及び未清澄化LAL-co(サンプル7~12)を、50/50/50配合又は50/80/20配合のいずれかにおいて含む、配合物の反応特性を示す図である。実施例1参照。
【
図2】実質的にコアギュローゲンを含まないLAL(「LAL-co」)対LAL-coを4℃において5000rpmで5分間遠心分離するステップにより調製した清澄化LAL-coの実施形態の視覚的比較を示す図である。
【
図3】実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを調製する方法の実施形態の概略図である。溶解されたアメリカカブトガニのアメボサイトの複数バッチをともにプールし(「LALデイプール(Daypool)」)且つ遠心分離し、得られた上澄みをタンジェンシャルフローろ過を使用してろ過して実質的にコアギュローゲンを含まないLALを含有する保持液を生成し、続いて保持液を遠心分離して実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALである上澄みを生成する。
【
図4】発色アッセイを使用してエンドトキシンを検出する方法の実施形態を示すグラフであり、アッセイ性能の向上、例えば0EU/mL対照からの滑らかな反応特性及び大きな分離を示している。
【
図5】40%(v/v)のコアギュローゲンを含有しない清澄化LAL及び20%の発色基質を含む配合物(50/80/20配合)中の、1年経過、2年経過及び3年経過したLAL源の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALに関する、時間関数としての光学密度の変化を示すグラフである。
【
図6】40%(v/v)のコアギュローゲンを含有しない清澄化LAL及び20%の発色基質を含む配合物(50/80/20配合)中の、1年経過、2年経過、及び3年経過したLAL源の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALに関する、反応パラメーターを示す表である。
【
図7】本発明の発色アッセイにおける、0.005EU/mL標準(右列)又はブランク標準(左列)のいずれかを用いた50/80/20配合物が50mOD、30mOD、及び20mODに達するまでの時間(秒)を、清澄化LAL-co源の年数(1年、2年又は3年)の関数として示す棒グラフである。
【
図8】40%(v/v)のコアギュローゲンを含有しない清澄化LAL及び20%の発色基質を含む配合物(50/80/20配合)中の、1年経過、2年経過、及び3年経過したLAL源の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALに関する、0.005EU/mL標準の反応時間の箱ひげ図である。40%(v/v)のLAL及び20%の発色基質を含有する配合物(50/80/20配合)中の、1年経過、2年経過、及び3年経過したLAL源のLALに関する、0.005EU/mL標準の反応時間の箱ひげ図である。
【
図9】40%(v/v)のコアギュローゲンを含有しない清澄化LAL及び20%の発色基質を含む配合物(50/80/20配合)中の、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALに関する、時間関数としての光学密度の変化を示すグラフである。40%(v/v)のLAL及び20%の発色基質を含有する配合物(50/80/20配合)中の、LALに関する、時間関数としての光学密度の変化を示すグラフである。表は、0.005EU/mL標準に関する反応時間、並びに0.005EU/mL及び0EU/mLブランクの反応時間間の分離を比較する。
【
図10】30kDaフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過のそれぞれのダイアフィルトレーション容量(DV)後の、0EU/mLブランク又は0.005EU/mL保持液の反応時間を比較した棒グラフである。0.0005EU/mL保持液の目標の反応時間は、点線で示されている1200秒である。それぞれの組の棒下部の数字は、ブランクの反応時間と0.005EU/mLの反応時間との間の絶対差(「分離(秒)」)及び百分率差(「%分離」)を表す。正の差異は、ブランクが0.005EU/mLよりも遅く反応したことを示す。負の差異は、ブランクが0.005EU/mLよりも速く反応したことを示す。
【
図11】それぞれのダイアフィルトレーション容量後の、連続的なタンジェンシャルフローろ過からの保持液のSDS-PAGEゲルを示す図である。およそ20kDaのバンドは、コアギュローゲンを示す。
【
図12】
図11に示したSDS-PAGEゲルの、20kDaのタンパク質バンドの定量を示す表及び棒グラフである。表(左)は、示された数のダイアフィルトレーション容量後に得られたそれぞれの保持液のμg/μLでの総タンパク質濃度、及びそれぞれの保持液に関して計算されたゲルの全レーンにおける20kDaのバンドの百分率を示す。
【
図13】連続的なタンジェンシャルフローろ過のそれぞれのダイアフィルトレーション容量後の、μg/μLでのコアギュローゲンの推定濃度を示す棒グラフである。
【
図14】LAL中に存在する既知のタンパク質及びペプチドを示す表である。強調されたタンパク質及びペプチドは30kDa未満の分子量を有し、30kDaの分子量カットオフフィルターを用いて除去することができる。Iwanaga及びKawabata、Frontiers in Bioscience 3:d973~984(1998)より引用。
【
図15】SDS-PAGEゲルにより示された、30kDaフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過からの保持液(左)対10kDaフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過からの保持液(右)の比較を示す図及び表である。それぞれのゲル画像の下の表は、ゲル中のバンド強度により推定されるような、コアギュローゲン除去の百分率を示す。
【
図16】元の配合及びアッセイ方式(左)、並びに変更した配合及びアッセイ方式(右)を使用して調製した、未ろ過LAL、30kDaの保持液、及び10kDaの保持液を使用したアッセイ反応時間の比較を示すグラフである。線は、0.005EU/mL(固体)と比較した、ブランク(非固体)の反応時間差を示す。
【
図17】遠心分離速度の、ブランクと0.005EU/mLとの間の反応時間差に対する影響を比較した棒グラフである。それぞれの棒上部の数字は、反応時間を示す。
【
図18A】300~500nmにおける吸光度により決定された未清澄化清澄化の30kDaの保持液と、40,000×g、30,000×g、及び20,000×gにおける遠心分離により清澄化された30kDaの保持液との光学密度の比較を示すグラフである。
【
図18B】
図17に示すような、ブランクと0.005EU/mLとの間の反応時間差(「%分離」)と遠心分離速度との相関を示すグラフである。
【
図19】凍結していない保持液(左)、又は凍結してその後、アッセイに先立って解凍した保持液を使用した、ブランク又は0.005EU/mLの反応時間の比較を示す棒グラフである。0.005EU/mL保持液の目標の反応時間は、点線で示されている1200秒である。それぞれの組の棒下部の数字は、保持液における、ブランクの反応時間と0.005EU/mLの反応時間との間の絶対差(「分離(秒)」)及び百分率差(「%分離」)を表す。正の差異は、ブランクが0.005EU/mLよりも遅く反応したことを示す。負の差異は、ブランクが0.005EU/mLよりも速く反応したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0045]本明細書において示され、記載されている実装は例であり、別の方法で本出願の範囲を限定することは全く意図されないことが理解されるべきである。
【0028】
[0046]本明細書において言及される公開特許、特許出願、ウェブサイト、企業名、及び科学文献は、それぞれが参照により組み込まれることを具体的に個別に示したのと同じ程度までその全体を参照により本明細書に組み込んだものとする。本明細書中で引用される任意の文献と本明細書の特定の教示の間のいかなる矛盾も後者を優先して決定されるものとする。同様に、語又は語句の本分野において理解されている定義と本明細書において具体的に教示されている語又は語句の定義の間のいかなる矛盾も後者を優先して決定されるものとする。
【0029】
[0047]本明細書において使用される場合、内容が明らかに別のことを指示しない限り、単数形の「1つ(a、an)」及び「前記(the)」は、具体的にそれらが言及する用語の複数形も包含する。「約」という用語は、ほぼ、~の辺り、だいたい、又はおよそを意味するよう本明細書中で使用される。「約」という用語が数値的な範囲と共に使用される場合、その用語は、記載した数値を超える及び下回る境界に拡大することによってその範囲を変更する。一般に、「約」という用語は、20%の変動だけ明記された値を上回る及び下回る数値に変更するよう本明細書中で使用される。
【0030】
[0048]本明細書中で使用される技術及び科学用語は、別に定義されない限り、本出願が属する分野の当業者が一般的に理解する意味を有する。本明細書では、当業者に知られているさまざまな技法及び材料に対する参照を行う。本明細書中で引用されるいかなる文献の開示も、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
[0049]いくつかの実施形態において、本発明は、エンドトキシンを検出する方法を対象とする。「エンドトキシン」という用語は、一般にグラム陰性菌の外膜と関連づけられるリポ多糖複合体を指す。「エンドトキシン」という用語は、ときとして、任意の細胞関連細菌毒素を指すために使用される。エンドトキシンは細胞関連リポ多糖を指すが、エクソトキシンは細菌が分泌する毒素を指し、本質的に主としてポリペプチドである。
【0032】
[0050]エンドトキシンの生物学的活性は、リポ多糖(LPS)と関連づけられる。リポ多糖は、グラム陰性菌の細胞壁の外膜の部分である。リポ多糖は、微生物が病原性であろうとなかろうと常にグラム陰性菌と関連づけられる。毒性は、脂質成分(リピドA)と関連づけられ、免疫原性は、多糖成分と関連づけられる。グラム陰性菌の細胞壁抗原(O抗原)は、LPSの多糖成分である。さらに、LPSは、動物においてさまざまな炎症反応を誘発する可能性がある。
【0033】
[0051]動物内のグラム陰性菌は、増殖している間に微量のエンドトキシンを放出することがある。エンドトキシンが、自然免疫の刺激をもたらすこともある。実験室で増殖された幼若培養菌によって少量のエンドトキシンが可溶型で放出されることもあることが知られている。しかしながら、大部分に関して、エンドトキシンは微生物の崩壊まで細胞壁と関連づけられたままである。細菌性生物の崩壊は、細菌細胞の自己溶解、補体及びリゾチームが関係する外因的溶解、並びに食細胞消化によって生じる場合がある。細菌性エンドトキシンは、ヒト腸内に豊富にある。高濃度のエンドトキシンは、いくつかのメタボリックシンドローム疾患を含む多くの状態と関連づけられる。メタボリックシンドローム疾患としては、例えば、アテローム動脈硬化症、インスリン耐性、真性糖尿病、及び肥満が挙げられる。エンドトキシンレベルの増加は、脂肪肝疾患及びクローン病とも関連づけられている。高いレベルで存在する場合、胃腸管からエンドトキシンが漏れ出す可能性もある。エンドトキシンは強力な炎症性抗原であり、エンドトキシンの漏出は、全身性炎症反応をもたらす可能性がある。
【0034】
[0052]細菌の典型的なエクソトキシンと比較して、エンドトキシンは、酵素的に作用しないため、作用があまり強力でなく、あまり特異的でない。エンドトキシンは熱安定性である(30分間の煮沸はエンドトキシンを不安定にしない)が、スーパーオキシド、ペルオキシド及び次亜塩素酸塩などの特定の強力な酸化剤がエンドトキシンを中和することが報告されている。これらの酸化剤は、強力な酸化剤であるため、エンドトキシンを中和するための治療用組成物にはあまり適用できない。
【0035】
[0053]本発明のエンドトキシンは、グラム陰性菌から作り出すことができる。例となるグラム陰性菌としては、エシェリキア(Escherichia)菌種、シゲラ菌種、サルモネラ菌種、カンピロバクター(Campylobacter)菌種、ナイセリア(Neisseria)菌種、ヘモフィルス(Haemophilus)菌種、アエロモナス(Aeromonas)菌種、フランシセラ(Francisella)菌種、エルシニア(Yersinia)菌種、クレブシエラ(Klebsiella)菌種、ボルデテラ(Bordetella)菌種、レジオネラ(Legionella)菌種、コリネバクテリア(Corynebacteria)菌種、シトロバクター(Citrobacter)菌種、クラミジア(Chlamydia)菌種、ブルセラ(Brucella)菌種、シュードモナス(Pseudomonas)菌種、ヘリコバクター(Helicobacter)菌種及びビブリオ(Vibrio)菌種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。グラム陰性細菌はまた、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、ナイセリア科(Neisseriaceae)、ベイヨネラ科(Veillonellaceae)、バクテロイデス科(Bacteroidaceae)、ビブリオ科(Vibrionaceae)、パスツレラ科(Pasteurellaceae)、及びフソバクテリア科(Fusobacteriaceae)に入るものでもよい。いくつかの実施形態において、エンドトキシンは、サルモネラ又はエシェリキア菌種由来である。
【0036】
[0054]本明細書中で使用される場合、「エンドトキシン活性」という用語は、発熱性及び敗血症性ショックを含む毒性の原因となり得るグラム陰性菌の部分を指す。エンドトキシンによる毒の影響は、グラム陰性菌の外膜に存在するか、又はそれに由来するリポ多糖分子のグリコシル化リピドA部分と関連づけられることがわかっている。
【0037】
[0055]「リポ多糖」(LPS)という用語は、共有結合によって結合した脂質及び多糖からなる大きな分子(糖リン脂質)を指す。LPSは、3つの部分:1)O抗原、2)コアオリゴ糖、及び3)リピドAを含む。O抗原は、コアオリゴ糖と結合した反復グリカンポリマーであり、LPS分子の最も外側の領域を含む。コアオリゴ糖は、リピドAと直接結合しており、一般的にヘプトース及び3-デオキシ-D-マンノオクツロソン酸(KDO、ケトデオキシオクツロソナートとしても知られている)などの糖を含有する。リピドAは、複数の脂肪酸と結合したリン酸化グルコサミン二糖である。脂肪酸は、LPSを細菌膜に固定し、LPSの残りの部分は、細胞表面から突き出ている。LPSが変化したか、又は除去された場合、細菌死が起こることもある。
【0038】
[0056]エンドトキシン活性は、LPSのリピドA領域部分に存在する。細菌細胞が免疫系によって溶解されると、リピドAを含有する膜の断片が血液循環に放出され、発熱(発熱性)、下痢、及び場合によっては、命にかかわるショック(エンドトキシン又は敗血症性ショックと呼ばれる)を引き起こす。LPSの毒性は、宿主に対して命にかかわる結果がある場合もある、炎症性サイトカイン、主に腫瘍壊死因子(TNF)の分泌に至るプロセスである哺乳動物の免疫系のB細胞及びマクロファージとの相互作用によりリピドAによって示される。リピドAはまた、「インビトロにおいて」ヒトTリンパ球(Th-1)並びに「インビボにおいて」マウスのCD4+及びCD8+T細胞を活性化し、その特性が、宿主の免疫系がLPSの可変サイズの炭水化物鎖に対して特異的な既往IgG抗体応答を開始するのを可能にする。これらに基づいて、LPSは、「インビボにおける」T細胞依存性抗原として最近、認識されている。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法は、リピドAを検出することを対象とする。
【0039】
[0057]いくつかの実施形態において、エンドトキシンは、発色アッセイを使用して検出される。本明細書中で使用される場合、発色アッセイは、エンドトキシンの存在下における発色基質(すなわち、色原体)の吸光度の変化を測定又は検出する。いくつかの実施形態において、発色基質の吸光度の変化は、酵素活性によるものである。いくつかの実施形態において、「発色基質」という用語は、酵素活性の前及び後の基質を指す。例えば、発色基質が、酵素によって切断されて、ペプチドと発色団を生じるペプチド発色団である場合、「発色基質」という用語は、ペプチド発色団、切断されたペプチド、及び放出発色団を指すであろう。いくつかの実施形態において、合成色原体が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、天然に産生される色原体が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、発色基質は、合成ペプチドである。いくつかの実施形態において、基質は、極めて高感度であり、すなわち、非常に低い酵素活性を検出することができる。
【0040】
[0058]低い酵素濃度を検出するための発色基質を含む試薬の能力は、発色基質を、例えば、研究又は品質管理手順のいずれかにおけるエンドトキシンと関連づけられる特定の酵素活性の存在に関する調査に対して有用にする。場合によっては、特定の酵素調製物に対する基質の応答が天然発色基質(すなわち、酵素に対する天然基質)と合成発色基質との間で一致しないこともある。いくつかの実施形態において、発色基質は、天然基質と比較して選択性が低く、すなわち、関連酵素に対する反応性において低い識別力を有する。
【0041】
[0059]「発色基質」という用語は、エンドトキシンの存在下において基質の吸光度スペクトルを変化させる、例えば、色を変化させる、アッセイにおける基質、例えば、化合物又はポリペプチドを指す。発色基質は、特定の波長において(i)吸収する、及び/又は(ii)吸収しない、の両方の基質を指す。したがって、例えば、本開示によると、発色基質は、特定の波長をもともと吸収しない場合もあり(例えば、可視波長において非吸収)、その後、エンドトキシンの存在下において、特定の波長で(例えば、可視波長において)吸収し始める場合もある。或いは、例えば、発色基質は、特定の波長においてもともと吸収する場合もあり(例えば、可視波長において吸収する)、その後、エンドトキシンの存在下において、特定の波長において吸収しない場合もある(例えば、可視波長において吸収しない)。いくつかの実施形態において、発色基質は、エンドトキシンの非存在下で所与の波長において吸収し、その後、エンドトキシンの存在下で異なる波長において吸収する場合もある。1つ以上の特定の波長における吸光度特性すなわち、発色効果の変化は、エンドトキシンの存在と相互に関連する場合がある。
【0042】
[0060]いくつかの実施形態において、発色基質は、発色ペプチド基質である。いくつかの実施形態において、発色ペプチド基質は、初めは無色である。いくつかの実施形態において、発色ペプチド基質は、初めに色、例えば、可視スペクトル(およそ390~700nm)の色を有する。いくつかの実施形態において、発色ペプチド基質が、酵素によって切断されると、色の変化が生じる場合があり、例えば、発色団が放出されて、得られた生成物の色の変化を引き起こす。いくつかの実施形態において、切断が生成物の光学的性質を変化させ、この性質は切断されていない基質の性質とは異なり、分光光度測定によって測定することができる。ペプチド基質と結合できる発色基の非限定例は、パラ-ニトロアニリン(pNA)、5-アミノ-2-ニトロ安息香酸(ANBA)、7-アミノ-4-メトキシクマリン(ANC)、キノニルアミド(QUA)、ジメチル5-アミノイソフタレート(DPA)及びそれらの誘導体である。蛍光基質としては、Z-Gly-Pro-Arg-AMC[Z=ベンジルオキシカルボニル;AMC=7-アミノ-4-メチルクマリン]、ホモバニリン酸、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル酢酸、還元型フェノキサジン、還元型ベンゾチアジン、アンプレックス(Amplex)(登録商標)、レゾルフィンβ-D-ガラクトピラノシド、フルオレセインジガラクトシド(FDG)、フルオレセインジグルクロニド及びそれらの構造的変形(参照により組み込まれる、米国特許第5,208,148号、同第5,242,805号、同第5,362,628号、同第5,576,424号、及び同第5,773,236号)、4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラクトピラノシド、カルボキシウンベリフェリルβ-D-ガラクトピラノシド及びフッ素化クマリンβ-D-ガラクトピラノシド(参照により組み込まれる、米国特許第5,830,912号)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0043】
[0061]非限定発色アッセイは、C因子/B因子カスケードに基づく酵素活性アッセイである。そのカスケードにおける第1の成分であるC因子は、エンドトキシン結合によって活性化されるプロテアーゼ前駆体である。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、組換え型のC因子(rFC)を使用する。この経路において、B因子は、C因子によって活性化される。B因子は、凝固酵素前駆体を凝固酵素に活性化する。いくつかの実施形態において、凝固酵素前駆体は、発色基質の発色変化を引き起こす。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、LALアッセイ、例えば、ロンザのエンドポイント発色LALアッセイ(Endpoint Chromogenic LAL Assay)である。
【0044】
[0062]いくつかの実施形態において、発色アッセイは、LALアッセイであり、この場合、LALエンドトキシン反応の最初の部分が、凝固酵素前駆体を活性化し、酵素が、次に合成基質からp-ニトロアニリン(pNA)を酵素的に切断して、黄色の色を生じさせる。
【0045】
酵素前駆体+エンドトキシン→酵素
基質+H2O+酵素→ペプチド+pNA(黄色)
[0063]いくつかの実施形態において、グラム陰性菌エンドトキシンは、LAL中の酵素前駆体の活性化を間接的に触媒することが可能である。活性化の最初の速度は、存在するエンドトキシンの濃度によって決まる可能性がある。
【0046】
[0064]いくつかの実施形態において、発色基質の変化は、酵素反応により生じる。いくつかの実施形態において、酵素反応は、ペプチド結合の切断をもたらし、それによって、ポリペプチドから発色団置換基(例えば、p-NA)を切断する。例えば、活性化酵素は、無色のペプチド基質、例えば、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAからのpNAの放出を触媒することができる。いくつかの実施形態において、ペプチド基質は、3個を超えるアミノ酸と共有結合したp-ニトロアニリンである。いくつかの実施形態、実施形態において、発色基質は、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAである。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、遊離pNAを測定する。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、380nm~410nm、例えば、400nm~410nm、又は405nmの吸光度において遊離pNAを測光法で測定する。吸光度を測定する方法は、当業者に周知である。いくつかの実施形態において、発色アッセイは、吸光度を測定するために、シングルキュベット分光測定、マルチキュベット分光測定、又はマイクロプレートリーダーを使用して行われる。
【0047】
[0065]遊離pNAは、反応が停止試薬により停止された後、380nm~410nm、例えば、405nmにおいて測光法で測定することができる。サンプル中のエンドトキシンの濃度は、既知の量のエンドトキシン標準を含有する溶液の吸光度値の標準曲線から算出される。
【0048】
[0066]エンドトキシンを検出するための標準的な発色アッセイの1つは、サンプルを試薬と接触させるステップを含み、試薬は、リムルスアメボサイトライセート(LAL)を含む。いくつかの実施形態において、試薬は、液体、例えば、水性液体である。或いは、試薬は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させられる前に水性液体、例えば、滅菌水又はバッファー溶液中で再構成されてもよい。いくつかの実施形態において、試薬は、液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、水性液体である。いくつかの実施形態において、試薬は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。いくつかの実施形態において、LALは、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。いくつかの実施形態において、発色基質は、凍結乾燥され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って水性液体中で再構成される。いくつかの実施形態において、凍結乾燥は、発色アッセイにおける試薬、LAL、及び/又は発色基質のより長い及び/又はより確固とした保管を可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、凍結乾燥試薬、LAL及び/又は発色基質は、発色アッセイにおける非凍結乾燥試薬、LAL、及び又は発色基質と比較して、20%を超える、30%を超える、40%を超える、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える、90%を超える又は100%を超える安定性の時間の増加を可能にする。この文脈において使用される場合の「安定性」は、意図した目的のため、すなわち、同じ速度及び感度でエンドトキシンを検出するために働くアッセイを指す。例えば、非凍結乾燥試薬が3週間安定であった場合、6週間安定の凍結乾燥試薬が、安定性の時間の「100%の増加」を有することになろう。
【0049】
[0067]いくつかの実施形態において、LALは、凍結され、その後、サンプルと接触させるステップに先立って解凍される。いくつかの実施形態において、LALの凍結は、LALのより長い及び/又はより確固とした保管を可能にする。いくつかの実施形態において、凍結されてその後解凍されたLALは、凍結されなかったLALと同じ又は実質的に同じアッセイ性能を有する。この文脈において、「同じ又は実質的に同じ」アッセイ性能は、ブランク反応とLALを使用する反応とを比較する場合、反応時間が同様に減少することを指す。いくつかの実施形態において、凍結されなかったLALと凍結されてその後解凍されたLALとの間の反応時間減少量の違いは、20%未満である。いくつかの実施形態において、反応時間の減少量の違いは、10%未満である。いくつかの実施形態において、反応時間の減少量の違いは、5%未満である。いくつかの実施形態において、反応時間の減少量の違いは、1%未満である。いくつかの実施形態において、LALは凍結され、約-20℃で保管される。いくつかの実施形態において、LALは凍結され、約-30、約-40、約-50、約-60、約-70、又は約-80℃において保管される。いくつかの実施形態において、LALは、急速冷凍される。いくつかの実施形態において、LALは、ドライアイス又は液体窒素を使用して急速冷凍される。
【0050】
[0068]いくつかの実施形態において、LALは1週間を超える、1ヵ月を超える、3ヵ月を超える、6ヵ月を超える、9ヵ月を超える、12ヵ月を超える、15ヵ月を超える、18ヵ月を超える、又は24ヵ月を超える間凍結され、その後、凍結されたLALは解凍され、凍結されなかったLALと同じ又は実質的に同じアッセイ性能を有する。いくつかの実施形態において、LALは1週間~5年、1ヵ月~4年、3ヵ月~3年、又は6ヵ月~2年の間凍結され、その後、凍結されたLALは解凍され、凍結されなかったLALと同じ又は実質的に同じアッセイ性能を有する。
【0051】
[0069]本開示は、サンプル中のエンドトキシンを検出するための改善された方法を提供する。「サンプル」という用語は、任意の物質、化合物、ツール又は機器を含んでもよい。但し、実際的な目的に対して、サンプルとしては、生物学的な生物、例えば、哺乳動物、ヒト、飼育動物、又は動物園の動物と接触した物質、化合物、ツール又は機器を挙げることができる。「サンプル」という用語は、(製造プロセスの終わりまでに受け取る原料からの)エンドトキシンの発生源が、サンプルを脳脊髄液又は心血管系と接触させるのには適していないものにする可能性のあるあらゆる医療機器、医薬品及びバイオテクノロジー製品を指す場合がある。いくつかの実施形態において、サンプルという用語は、インビボで脳脊髄液又は心血管系、例えば、ヒトと接触させることになる医療機器を指す。いくつかの実施形態において、サンプルという用語は、生物学的サンプルを指す。いくつかの実施形態において、サンプルは、非経口剤形、ワクチン、抗生剤、治療用タンパク質、治療用核酸、治療用抗体、及び生物学的製剤からなる群から選択される。
【0052】
[0070]「リムルスアメボサイトライセート」(LAL)という用語は、カブトガニ、アメリカカブトガニ由来の血液細胞の水性抽出物(アメボサイト)を指す。カブトガニ由来の血液細胞の水性抽出物は、感染菌を動けなくすることによって感染菌の広がりを妨げる血リンパのゲル形成タンパク質であるコアギュローゲンを含む。例えば、Iwanaga Sら、J.Biochem.98:305~318ページ(1985年)及びIwanaga Sら、J.Biochem.95(6):1793~1801ページ(1984年)参照。
【0053】
[0071]カブトガニ(リムルス)の凝固カスケード系は、血流停止及び宿主防御の両方に関与する。このカスケードは、可溶性タンパク質であるコアギュローゲンの不溶性コアギュリンゲルへの変換をもたらす。凝固酵素は、コアギュローゲンから断片ペプチドCを削り取り、モノマーの凝集を引き起こす。
【0054】
[0072]「コアギュローゲン」という用語は、Iwanaga(1984年)及びIwanaga(1985年)において見られるとおりのポリペプチド鎖を指し、このポリペプチド鎖は、単一の175残基のポリペプチド鎖であり、血球に含有される凝固酵素によってArg-18及びArg-46の後で切断され、細菌性エンドトキシン(リポ多糖)によって活性化される。切断は、ペプチドCとともに、2つのジスルフィド結合によって連結されコアギュリンの2つの鎖、A及びBを放出する。ゲル形成は、コアギュリン分子の連結の結果生じる。二次構造予測は、コアギュローゲンからコアギュリンゲルへのタンパク質分解性変換中に放出されるCペプチドがアルファ-ヘリックスを形成することを示唆する。分子中に見られるベータ-シート構造及び16ハーフシスチンが、酸及び熱に対して安定な小型のタンパク質をもたらすようである。
【0055】
[0073]コアギュローゲンは、ゲル形成(例えば、凝固アッセイ)に重要であるが、本開示は、発色アッセイには必須ではないことを発見している。本開示は、天然に生じる量のコアギュローゲンを伴う、清澄化されていないLALを含む発色アッセイと比較して、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む発色アッセイが高いレベルの速度、感度、及び分離を達成したことを発見している。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む発色アッセイを対象とする。
【0056】
[0074]いくつかの実施形態において、清澄化LALは、実質的にコアギュローゲンを含まない。便宜上、本明細書のいくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、「LAL-co」とも称される。当業者は、本開示を読むと、さまざまな量のコアギュローゲンの減少が発色アッセイ、例えば、LALアッセイにおける速度、感度及び/又は分離のレベルを高めることになることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」という用語は、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEによって測定され、ウエスタンブロットによって確認された場合に、LAL中の総タンパク質に対して50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満又は0.5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有するLALを指す。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」という用語は、タンパク質染色を伴うSDS-PAGEによって測定され、ウエスタンブロットによって確認された場合に、LAL中の総タンパク質に対して10%未満又は5%(wt/wt)未満のコアギュローゲンを有するLALを指す。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」という用語は、約20μg/μL未満、約15μg/μL未満、約10μg/μL未満、約5μg/μL未満、約4μg/μL未満、約3μg/μL未満、約2μg/μL未満、又は約1μg/μL未満のコアギュローゲン濃度を有するLALを指す。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」という用語は、20μg/μL~0.001μg/μL、15μg/μL~0.01μg/μL、10μg/μL~0.1μg/μL、5μg/μL~0.5μg/μL、4μg/μL~0.5μg/μL、3μg/μL~0.5μg/μL、2μg/μL~0.5μg/μL、又は1μg/μL未満のコアギュローゲン濃度を有するLALを指す。いくつかの実施形態において、「実質的に含まない」という用語は、10μg/μL~1μg/μL、5μg/μL~1μg/μL、4μg/μL~1μg/μL、3μg/μL~1μg/μL、2μg/μL~1μg/μL、又は1μg/μL未満のコアギュローゲン濃度を有するLALを指す。コアギュローゲン濃度は、例えば、吸光分光測定(absorbance spectroscopy)、SDS-PAGEゲルバンド若しくはウエスタンブロットバンドの定量、又はコアギュローゲン濃度を測定するものとして知られるその他任意の方法を使用して決定することができる。いくつかの実施形態において、「実質的にコアギュローゲンを含まないLAL」中のコアギュローゲンの測定濃度は、従来の検出方法を使用した最小検出量の誤差範囲内であるため、正確に決定することができない。
【0057】
[0075]いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALという用語は、コアギュローゲンが除去されていないLAL中のコアギュローゲンの量と比較して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%(wt/wt)のコアギュローゲンが除去されたLALを指す。
【0058】
[0076]当業者は、LALからコアギュローゲンを除去するためにさまざまな方法を使用することが可能であることを理解することができる。これらのそれぞれの方法は、効率、精製率、費用、及び労力が異なる場合もあるが、当業者の知識の範囲内である。本開示は、タンジェンシャルフローろ過を使用して、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを生成する方法を含む。タンジェンシャルフローろ過(TFF)は、供給流の大部分がフィルターの中へではなく、フィルターの面を横切って接線方向に移動するクロスフローろ過を指す。TFFを使用することによって、(フィルターを詰まらせる可能性がある)大半のLALタンパク質を含む保持液が、ろ過プロセスの間に実質的に洗い流され、コアギュローゲンが透過液にろ過される。いくつかの実施形態において、TFFは、バッチ式デッドエンドろ過とは異なる連続的なプロセス、すなわち、連続的なタンジェンシャルフローろ過又は連続的なTFFである。いくつかの実施形態において、連続的なTFFは、ダイアフィルトレーション溶液、すなわち水又はバッファーを透過液の生成と同じ速度でサンプルに加えるステップを含み、したがって、フィルターを自由に透過できる成分が洗い流される間、サンプル体積は一定のままである。いくつかの実施形態において、ダイアフィルトレーションは、タンジェンシャルフローろ過の一種である。ダイアフィルトレーションは、最終的に体積を変化させることなく、膜又はフィルターを通してより小さな分子を洗い、より大きな分子を保持液に残す分画プロセスを指す。ダイアフィルトレーション容量、すなわちDVは、ダイアフィルトレーション溶液が加えられる前のサンプル体積である。実施形態において、タンジェンシャルフローろ過においてより多くのダイアフィルトレーション容量を使用することは、透過液のより多くの除去をもたらす。
【0059】
[0077]実質的にコアギュローゲンを含まない「清澄化リムルスアメボサイトライセート」(又は「清澄化LAL」)という用語は、LALの濁った外観を作り出す成分を除去するためにさらに処理した、上述の、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを指す。実施形態において、清澄化LALは、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを遠心分離するプロセスにより生成される。いくつかの実施形態において、「清澄化LAL」という用語は、LALが視覚的に十分に澄むまでの期間、酵素を破壊することなく、1800g(すなわち、1800×重力加速度)超、2200g超、2600g超、3000g超、3400g超、3800g超、4200g超、4600g超、5000g超、5400g超、5800g超、6000g超、6100g超、又は6200g超において、遠心分離されたLALを指す。いくつかの実施形態において、「清澄化LAL」という用語は、LALが視覚的に十分に澄むまでの期間、酵素を破壊することなく、1800~8000g、2200g~7600g、2600g~7200g、3000g~7200g、3400g~7200g、3800g~7200g、4200g~7200g、4600g~7200g、5000g~7200g、5400g~7200g、5800g~7200g、又は6100g~7200gにおいて、遠心分離されたLALを指す。
【0060】
[0078]いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない「清澄化リムルスアメボサイトライセート」(又は「清澄化LAL」)という用語は、LALの濁った外観を作り出す成分を除去するために、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを、20,000×g超、22,000×g超、24,000×g超、25,000×g超、26,000×g超、28,000×g超、30,000×g超、35,000×g超、40,000×g超、45,000×g超、又は50,000×g超において遠心分離するプロセスによりさらに処理した、上述の、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを指す。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、20,000~50,000×g超、20,000~40,000×g、25,000~50,000×g、25,000~40,000×g、又は30,000~40,000×gにおいて遠心分離される。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、20分を超える、30分を超える、40分を超える、又は60分を超える間、遠心分離される。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALは、20~120分間、20~90分間、20~60分間、20~40分間、又は約30分間、遠心分離される。
【0061】
[0079]いくつかの実施形態において、「清澄化LAL」という用語は、3分を超える、4分を超える、5分を超える、6分を超える、7分を超える、8分を超える、9分を超える、又は10分を超える間、遠心分離されたLALを指す。いくつかの実施形態において、「清澄化LAL」という用語は、3分間~30分間、4分間~25分間、4分間~20分間、5分間~15分間、又は5分間~10分間、遠心分離されたLALを指す。当業者は、遠心分離速度がより遅いと、より長い遠心分離時間が必要となる場合があり、時間及び/又は速度をしかるべく調節してLALの視覚的な濁りを減少させることになるということを理解することができる。いくつかの実施形態において、「清澄化LAL」という用語は、約5000g~約7000gで約3分間~約10分間、又は約6120gで5分間遠心分離した、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを指す。実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を、4℃において2000rpm(980g)で8分間遠心分離するステップにより生成される。清澄化LALは、遠心分離後の上澄みに見られる。いくつかの実施形態において、その後、得られた上澄みをバッファーと合わせ、その後、得られた上澄み及びバッファーの組み合わせを30kDaメンブランフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過に供して保持液を生成し、保持液を4℃において5,000rpm(6120g)で5分間遠心分離して上澄みを生成する。上澄みは、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALである。実施形態において、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液は、複数の、アメリカカブトガニの溶解されたアメボサイトのプールである。
【0062】
[0080]いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を得ることにより生成される。いくつかの実施形態において、その後、溶液をバッファーと合わせ、その後、得られた溶液及びバッファーの組み合わせを20kDa~50kDaメンブランフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過(TFF)に供して保持液を生成し、保持液を、4℃において20,000×g超で25分を超える間遠心分離して、上澄みを生成する。上澄みは、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALである。実施形態において、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液は、複数の、アメリカカブトガニの溶解されたアメボサイトのプールである。いくつかの実施形態において、連続的なTFFは、少なくとも4のダイアフィルトレーション容量(DV)を含む。いくつかの実施形態において、連続的なTFFは、少なくとも5のダイアフィルトレーション容量を含む。いくつかの実施形態において、連続的なTFFは、少なくとも6のダイアフィルトレーション容量を含む。いくつかの実施形態において、連続的なTFFは、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は少なくとも15のダイアフィルトレーション容量を含む。
【0063】
[0081]いくつかの実施形態において、本開示による実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALは、本明細書に記載されている技術的特徴の任意の組み合わせを利用する方法により、生成される。したがって当業者は、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを生成するのに十分な、列挙されたフィルター、フィルターサイズ、フィルター流量、バッファー、遠心分離速度、遠心分離温度、遠心分離時間などのいずれかを使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、LALは、(i)20,000×g超、22,000×g超、24,000×g超、25,000×g超、26,000×g超、28,000×g超、30,000×g超、35,000×g超、40,000×g超、45,000×g超、又は50,000×g超において遠心分離され、(ii)2℃~10℃、2℃~8℃、又は4℃の温度で遠心分離され、(iii)20~120分間、20~90分間、20~60分間、20~40分間、又は約30分間遠心分離され、(iv)500mL/分を超える、例えば、500mL/分~2000mL/分、800mL/分~1500mL/分、又は1000mL/分~1200mL/分の流量でTFFを受け、(v)50kDaフィルター、45kDaフィルター、40kDaフィルター、35kDaフィルター、30kDaフィルター、25kDaフィルター、又は20kDaフィルターを使用するTFFを受け、(vii)少なくとも4DV、少なくとも5DV、少なくとも6DV、少なくとも7DV、又は少なくとも8DVを使用するTFFを受ける、などである。
【0064】
[0082]いくつかの実施形態において、発色アッセイは、サンプル中のエンドトキシンの有無を判断する。他の実施形態において、発色アッセイは、サンプル中のエンドトキシンの量を定量することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、サンプル中のエンドトキシンの量を求めるために、サンプル中のエンドトキシンの発色効果を既知のエンドトキシン標準と比較するステップをさらに含む。
【0065】
[0083]いくつかの実施形態において、本開示は、発色アッセイを使用して、生物学的サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)生物学的サンプルを清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)及びAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAを含む水性試薬と接触させるステップと、(b)サンプル中のエンドトキシンの存在下におけるAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAからのpNAの酵素切断によって生じる405nmにおける吸光度の変化を測定するステップとを含み、LALが、実質的にコアギュローゲンを含まない、方法を対象とする。
【0066】
[0084]実施形態において、本発明は、発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)30%~60%(v/v)の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む第1の溶液を、発色基質を含む第2の溶液と合わせて第3の溶液を生成するステップであって、第3の溶液の75%~85%(v/v)が第1の溶液であり、第3の溶液の15%~25%(v/v)が第2の溶液である、ステップと、(b)第3の溶液をエンドトキシンを含有するサンプルと合わせるステップと、(c)発色基質の吸光度の変化を測定するステップとを含む、方法を提供する。実施形態において、本発明は、発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)50%(v/v)の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む第1の溶液を、発色基質を含む第2の溶液と合わせて第3の溶液を生成するステップであって、第3の溶液の80%(v/v)が第1の溶液であり、第3の溶液の20%(v/v)が第2の溶液である、ステップと、(b)第3の溶液をエンドトキシンを含有するサンプルと合わせるステップと、(c)発色基質の吸光度の変化を測定するステップとを含む、方法を提供する。実施形態において、第1の溶液は、バッファー及び界面活性剤をさらに含む。実施形態において、本発明は、発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)35~45%(v/v)の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL及び15%~25%(v/v)の発色基質を含む溶液を、生物学的サンプルと接触させるステップと、(b)発色基質の吸光度の変化を測定するステップとを含む、方法を提供する。実施形態において、本発明は、発色アッセイを使用して、サンプル中のエンドトキシンを検出する方法であって、本方法は、(a)40%(v/v)の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL及び20%(v/v)の発色基質を含む溶液を、生物学的サンプルと接触させるステップと、(b)発色基質の吸光度の変化を測定するステップとを含む、方法を提供する。実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む溶液は、バッファー及び界面活性剤をさらに含む。
【0067】
[0085]実施形態において、LALからコアギュローゲンを除去し、コアギュローゲンを含まないLALを清澄化することで、発色アッセイは驚くほどに高い感度を有する。いくつかの実施形態において、本方法は、0.0001EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシンの感度を有する。実施形態において、本方法は、0.0005EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシン、0.008EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシン、0.001EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシン、0.005EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシン、0.01EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシン、0.02EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシン、0.03EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシン、又は0.05EU/mL~1.0EU/mLエンドトキシンの感度を有する。実施形態において、0.05EU/mL未満、0.03EU/mL未満、0.01EU/mL未満、0.008EU/mL未満、0.006EU/mL未満、0.005EU/mL未満、0.004EU/mL未満、0.003EU/mL未満、0.002EU/mL未満、又は0.001EU/mL未満である。
【0068】
[0086]いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較してより滑らかな反応特性をもたらす。いくつかの実施形態において、別バッチ間の反応特性は、反応特性がより滑らかなためによりばらつきが少ない。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coの反応特性は、清澄化されていないLAL-coと比較して曲線により良く適合する。
【0069】
[0087]いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較してより滑らかな反応特性をもたらす。いくつかの実施形態において、別バッチ間の反応特性は、反応特性がより滑らかなためによりばらつきが少ない。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coの反応特性は、清澄化されていないLAL-coと比較して曲線により良く適合する。
【0070】
[0088]いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、指定の光学密度により速く到達する。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、30mODにより速く到達する。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、30mODに20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%速く到達する。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、50mODにより速く到達する。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、50mODに20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%速く到達する。
【0071】
[0089]いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、0EU/mL標準(ブランク標準)と0.005EU/mL標準との間に、より大きな(時間)分離を有する。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、0EU/mL標準(ブランク標準)と0.005EU/mL標準との間に、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%大きな(時間)分離を有する。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、0EU/mL標準(ブランク標準)と0.0005EU/mL標準との間に、より大きな(時間)分離を有する。いくつかの実施形態において、清澄化LAL-coは、清澄化されていないLAL-coと比較して、0EU/mL標準(ブランク標準)と0.0005EU/mL標準との間に、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%大きな(時間)分離を有する。本発明は、(a)実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL(「LAL-co」)と(b)バッファーとを含む組成物を、さらに提供する。実施形態において、このような組成物は30%~60%(v/v)の清澄化LAL-coを含み、実施形態においては、40%~60%(v/v)、実施形態においては、50%(v/v)の清澄化LAL-coを含む。実施形態において、本発明は、(a)実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALと、(b)バッファーと、(c)界面活性剤とを含む組成物を提供する。実施形態において、このような組成物は30%~60%の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含み、実施形態においては、40%~60%(v/v)、実施形態においては、50%の清澄化LAL-coを含む。実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む本発明の組成物は、7.4~7.5のpHのトリスバッファーを含む。実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む本発明の組成物は、トリスバッファー、塩化ナトリウム、トレハロース、及び塩化マグネシウムを含む。実施形態において、本発明の組成物は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL、約25mM~約50mMのトリスバッファー、約80mMの塩化ナトリウム、約70mMのトレハロース、及び約10mMの塩化マグネシウムを含む。実施形態において、本発明の組成物は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL、約50%のLAL-co、約50mMのトリスバッファー、約75mMのトレハロース、約77mMの塩化ナトリウム、及び約10mMの塩化マグネシウムを含み、pHは7.4~7.5である。実施形態において、本発明は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL、バッファー、及び広いpH範囲にわたり両性イオン性を保持する両性イオン界面活性剤を含む組成物を提供する。実施形態において、バッファーは、分子式C19H41NO3Sを有するn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート(ズイッタージェント(ZWITTERGENT)(登録商標)3-14界面活性剤)である。実施形態において、界面活性剤は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む組成物中に、約0.2mM~0.5mM、約0.3mM~0.4mM、又は約0.44mMにて存在する。実施形態において、本発明の組成物は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL、約25mM~約50mMのトリスバッファー、約20mM~約90mMのトレハロース、約80mMの塩化ナトリウム、及び約10mMの塩化マグネシウムを含む。実施形態において、本発明の組成物は、約50%のLAL-co、約50mMのトリスバッファー、約75mMのトレハロース、約77mMの塩化ナトリウム、約10mMの塩化マグネシウム、及び分子式C19H41NO3Sを有する約0.44mMのn-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート(ズイッタージェント(登録商標)3-14界面活性剤)を含み、pHは約7.4~7.5である。
【0072】
[0090]本開示は、清澄化LALを含み、実質的にコアギュローゲンを含まない組成物であって、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を4℃において2000rpmで8分間遠心分離し、上澄みを生成するステップと、(a)の上澄みをバッファーと合わせるステップと、(b)の組み合わせを30kDaメンブランフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過に供し、保持液を生成するステップと、(c)の保持液を4℃において5000rpm(例えば6120g)で5分間遠心分離し、上澄みを生成するステップであり、上澄みが、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALである、ステップとを含む、方法により生成される、組成物をさらに対象とする。
【0073】
[0091]本開示は、(1)実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL、バッファー、及び界面活性剤と、(2)発色基質とを含む、組成物をさらに対象とする。いくつかの実施形態において、組成物中の発色基質は、pNAを含む。いくつかの実施形態において、組成物中の発色基質は、Ac-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAである。いくつかの実施形態において、組成物は、30%~50%の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL調製物と、10%~30%の発色基質とを含む(v/v)。いくつかの実施形態において、組成物は、約35%~約45%の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALと、15%~25%の発色基質とを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、40%の実質的にコアギュローゲンを含まないLAL調製物と、20%の発色基質(wt/wt)とを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、約40%の実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LAL調製物と、20%のAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNAとを含む(wt/wt)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、単一の容器、例えば、単一のバイアルに入れてある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、凍結乾燥されている。例えば、本開示は、40%の実質的にコアギュローゲンを含まないLAL調製物と、30%のAc-Ile-Glu-Ala-Arg-pNA(wt/wt)とを含む、凍結乾燥組成物を特に示す。
【0074】
[0092]いくつかの実施形態において、本発明は、発色アッセイキットを対象とする。本キットは、清澄化LAL及び発色基質を含む試薬を含む、LAL発色アッセイと通常関連づけられる1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、(a)実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化リムルスアメボサイトライセート(LAL)と、(b)発色基質と、(c)LAL及び発色基質を使用してエンドトキシンを検出するための説明書とを含む、キットを対象とする。いくつかの実施形態において、本キットは、さまざまな試薬を含み、それぞれの試薬が異なる量のコアギュローゲンが除去された清澄化LALを含む。
【0075】
[0093]本キットは、1つ以上の容器を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、清澄化LAL及び発色基質は、単一の容器に入れてある。いくつかの実施形態において、清澄化LAL及び発色基質は、2つの別個の容器に入れてある。いくつかの実施形態において、本キットは、清澄化LALを含む滅菌容器を含む。いくつかの実施形態において、本キットは、アッセイに使用するための清澄化LAL及び/又は発色基質を再構成することができる再構成バッファーを含む。いくつかの実施形態において、滅菌容器は、滅菌バイアルである。いくつかの実施形態において、本キットは、陽性エンドトキシン対照として使用することが可能であるか、又は標準中のエンドトキシンの量を定量するために使用可能である対照標準エンドトキシンをさらに含む。いくつかの実施形態において、本キットは、2つ以上の対照標準エンドトキシンを1つ以上の濃度で含む。
【0076】
[0094]当業者は、LALからコアギュローゲンを除去するためにさまざまな方法を使用することが可能であることを理解することができる。これらのそれぞれの方法は、効率、精製率、費用、及び労力が異なる場合もあるが、当業者の知識の範囲内である。本開示は、タンジェンシャルフローろ過を使用して、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを生成する方法を含む。タンジェンシャルフローろ過(TFF)は、供給流の大部分がフィルターの中へではなく、フィルターの面を横切って接線方向に移動するクロスフローろ過を指す。TFFを使用することによって、(フィルターを詰まらせる可能性がある)大半のLALタンパク質を含む保持液が、ろ過プロセスの間に実質的に洗い流され、コアギュローゲンが透過液にろ過される。いくつかの実施形態において、TFFは、バッチ式デッドエンドろ過とは異なる連続的なプロセスである。
【0077】
[0095]いくつかの実施形態において、本開示は、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを生成する方法であって、本方法は、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイト由来の溶液を2~10℃において1000~3000rpmで2~15分間遠心分離し、第1の上澄みを生成するステップ(「第1の遠心分離」)と、上澄みをバッファーと合わせるステップと、組み合わせを20kDa~50kDaフィルターを使用してろ過し、保持液を生成するステップと、保持液を2~10℃において3000~7000rpmで2~10分間遠心分離し、第2の上澄みを生成するステップ(「第2の遠心分離」)とを含み、第2の上澄みが、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを含む、方法を対象とする。実施形態において、ろ過するステップは、LALをTFFに供するステップである。いくつかの実施形態において、当該LALは、TFFに先立ってバッファーに入れられる。いくつかの実施形態において、バッファーは、トリスバッファー又はMESバッファーである。いくつかの実施形態において、バッファーは、約6.0~約9.0、又は約7.0~約8.0のpHを有する。実施形態において、第1の遠心分離は、2000rpmにおいて遠心分離するステップを含む。実施形態において、第1の遠心分離は、8分間遠心分離するステップを含む。実施形態において、第1の遠心分離は、4℃において遠心分離するステップを含む。実施形態において、第2の遠心分離は、5000rpmにおいて遠心分離するステップを含む。実施形態において、第2の遠心分離は、5分間遠心分離するステップを含む。実施形態において、第2の遠心分離は、4℃において遠心分離するステップを含む。
【0078】
[0096]さまざまな膜をTFFに使用することができる。得られる保持液中で減少させる所望タンパク質のサイズに応じて、さまざまな孔径のフィルターをTFFに使用することができる。本開示において、C因子、B因子、G因子、及び凝固酵素前駆体は、LALの凝固カスケード系に関与し、コアギュローゲンの不溶性コアギュリンゲルへの変換をもたらすことが知られている。本明細書において提供される開示の目的のために、コアギュローゲンの減少、並びにC因子、B因子、G因子、及び凝固酵素前駆体の保持をもたらす任意のTFF操作(並びに付随のフィルター孔径、孔タイプ、及びバッファー系)を使用することができる。したがって、いくつかの実施形態において、TFF操作は、50kDaフィルター、45kDaフィルター、40kDaフィルター、35kDaフィルター、30kDaフィルター、25kDaフィルター、又は20kDaフィルターを使用する。いくつかの実施形態において、40kDa~25kDaフィルターを使用する。いくつかの実施形態において、膜は、10~80kDaフィルター又は20~50kDaフィルターである。いくつかの実施形態において、フィルターは、30kDaフィルターである。
【0079】
[0097]本明細書中で開示されている方法に使用される膜としては、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)、ポリスルホン(PS)及びポリエーテルスルホン(PES)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを生成する方法は、修飾ポリエーテルスルホン(mPES)メンブランフィルターを使用したTFFを使用して実施される。LALからのコアギュローゲンの除去を最適化するために、膜を横切るLALの流量を調節することができる。いくつかの実施形態において、TFFは、200mL/分~800mL/分、300mL/分~600mL/分、又は350mL/分~500mL/分の流量で実施される。いくつかの実施形態において、TFFは、500mL/分を超える、例えば、500mL/分~2000mL/分、800mL/分~1500mL/分、又は1000mL/分~1200mL/分の流量で実施される。いくつかの実施形態において、TFFは、1000mL/分、1100mL/分、1200mL/分、1300mL/分又は1400mL/分において実施される。いくつかの実施形態において、TFFは、1100mL/分において実施される。
【0080】
[0098]実施形態において、本発明は、実質的にコアギュローゲンを含まないLALを遠心分離するステップにより、実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを製造する方法を提供する。
【実施例】
【0081】
実施例1
清澄化LAL-coを使用したエンドトキシン検出の改善
[0099]実質的にコアギュローゲンを含まないLAL(LAL-co)及び清澄化LAL-coを含有するサンプルの発色エンドトキシンアッセイ(chromogenic endotoxin assay)の反応速度及び感度を、
図1に示すように、96ウェルプレート上で試験した。行A~Fは、エンドトキシン標準の量を増加させることを含む。50%のLAL-co又は清澄化LAL-coを含有する第1の溶液を発色基質を含有する第2の溶液と合わせて第3の最終溶液を形成し、その後、第3の溶液をエンドトキシンを含有するサンプルと接触させた。
図1の列1~3では、第3の溶液は、50%の清澄化LAL-coの第1の溶液、及び50%の第2の溶液を含有していた(すなわち、第3の最終溶液の25%が清澄化LAL-coを含有していた)(50/50/50溶液)。
図1の列4~6では、第3の溶液は、80%の清澄化LAL-coの溶液、及び20%の第2の溶液を含有していた(すなわち、第3の最終溶液の40%が清澄化LAL-coを含有している)(50/80/20溶液)。
図1の列7~9では、第3の溶液は、50%の全LAL-coの溶液、及び50%の第2の溶液を含有していた(すなわち、最終溶液の25%が全LAL-coを含有している)。
図1の列10~12では、第3の溶液は、80%の全LAL-coの溶液、及び20%の第2の溶液を含有している(すなわち、最終溶液の40%が全LAL-coを含有している)。
【0082】
[00100]
図1は、清澄化LAL-co並びにより多くのLAL-co及びより少ない基質の配合物を使用すると、驚くべきことに、速度及び滑らかな反応特性を有するブランク分離間の分離の増加がもたらされることを示している。
図4は、この観察結果をさらに示している。3つの異なる50/80/20溶液を調製し、0.0005EU/mL及び0.005EU/mL標準で試験した。これらの清澄化LAL-coの溶液は、それぞれ31分及び17分の平均30mOD時間(mOD time)を有した。反応曲線はより滑らかで、よりばらつきが少なかった。さらに、0EU/mLサンプル及び0.0005EU/mLサンプル(940秒)と0EU/mLサンプル及び0.005EU/mLサンプル(1755秒)との間には、より大きな時間分離があった。したがって、清澄化LAL-coは、改善されたアッセイ性能(例えば、増加した反応速度、0EU/mL対照からのより大きな差別化)、より少量の基質、及びよりばらつきが少なくなるより滑らかな反応曲線をもたらす。
【0083】
実施例2
清澄化LAL-coの調製
[00101]
図3は、清澄化LAL-coを調製する方法を示す概略図である。最初に、溶解されたアメリカカブトガニ由来のアメボサイトの複数バッチをプールし、LALデイプールを形成した。LALデイプールを、4℃において2000rpmで8分間遠心分離した。上澄みを注意深く除去し、バッファーと合わせた。得られた溶液を、30kDamPESメンブランフィルターを使用したタンジェンシャルフローろ過(TFF)によりろ過した。保持液は、LAL-coを含有していた。その後、保持液を4℃において5000rpmで5分間遠心分離し(
図2参照)、上澄みを保管容器に移し、4℃において保管した。
【0084】
実施例3
実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを形成するために使用するLALデイプールの安定性
[00102]清澄化LAL-coを形成するために使用するLALデイプールの安定性を、0.0005EU/mL及び0.005EU/mL標準を使用して調査した。LALデイプールを1年間、2年間、及び3年間保管し、清澄化LAL-coを形成するために使用した。示した期間の終わりに、清澄化LAL-coサンプルを使用して50%の清澄化LAL-coを含有する溶液を形成し、その後溶液をLAL発色試薬と80:20の比率で混合して96ウェルプレートに入れ、その後405nmにおける吸光度を測定するインキュベートプレートリーダーに入れた。その反応を黄色の外観により経時的に自動的に監視した。
【0085】
[00103]エンドトキシンの存在下において、ライセートは、発色基質を切断して、溶液を黄色くすることになる。変化に必要とされる時間は、存在するエンドトキシンの量と反比例する。それぞれのサンプルに関して反応及び分離時間は、
図5、
図6、
図7、
図8、及び
図9でわかる。
図5、6、及び7は、同じサンプル及び実験に由来するものである。
図8及び9は、同じ実施例及び実験に由来するものである。
図5のx軸は時間(秒)、y軸はmODの変化である。
図7のy軸は時間(秒)である。このデータは、清澄化LAL-coを形成するために使用するLALデイプールは少なくとも3年間安定であり、その増加した反応時間、滑らかな反応曲線、並びにブランク標準(0EU/mL)とエンドトキシン対照(0.005EU/mL及び0.0005EU/mL)との間のより大きな分離が保持されていることを示唆している。
図8のy軸は0.005EU/mLの秒単位の反応時間、x軸はさまざまな年数のLAL源を表す。左側のプロットは清澄化LAL-coのデータ、右は未処理LALのデータである。このデータは、TFFを使用してLALを処理し、得られたLAL-coを遠心分離することで、LAL性能の経時的な差異を克服することができることを示唆している。
図9のグラフのy軸はmODの変化を示し、x軸は秒単位の時間である。このテーブルは、0.005EU/mL標準に関してグラフから取得した反応時間及びこの時間と0EU/mLブランクとの間の分離を含有する。このデータは、清澄化LAL-coは、その未処理LAL対照物よりも、標準に対するより速い反応時間、及びブランクと低い標準との間のより大きな分離を有することを示唆している。
【0086】
実施例4
[00104]連続的なタンジェンシャルフローろ過のさまざまなダイアフィルトレーション容量(DV)を調査し、(ブランクと0.005EU/mL標準とを比較して)どの容量が、1200秒の反応時間を達成しながらにして最良の感度を示したかを決定した。
図10参照。4DVを超えるとコアギュローゲンが除去され、1200秒未満の反応時間を達成することを発見した。5、6、及び7DVが、所望の反応時間を示すと同時に、最も高い感度を示してダイアフィルトレーション容量を最小化した。
【0087】
[00105]それぞれのDVからの保持液のSDS-PAGE分析は、LAL洗浄のためにより多くのダイアフィルトレーション容量を使用するに伴い、20kDaバンド(コアギュローゲンのおよそのMW)のバンド密度が減少することを実証した。例えば、
図11参照。SDS-PAGEからのバンド密度を使用することは、コアギュローゲンが未ろ過LAL中の総染色タンパク質の約37%を占め、それぞれのダイアフィルトレーション容量が20kDaタンパク質バンドを減少させることを示唆している。それぞれのダイアフィルトレーション容量後に収集したそれぞれの保持液中の総タンパク質濃度は、280nmにおける吸光度を測定することにより決定した。例えば、
図12参照。SDS-PAGEからのデータを使用したコアギュローゲンからなるそれぞれの保持液サンプルの百分率にタンパク質の総濃度を掛けることにより、それぞれの保持液中のコアギュローゲン濃度の推定値を計算することができた。それぞれのDV後のコアギュローゲン濃度を、
図13に示す。
【0088】
実施例5
[00106]未ろ過LAL組成物中には、多数のタンパク質が存在することが知られている。いくつかの既知のタンパク質の一覧を
図14に示す。Iwanaga Sら、Frontiers in Bioscience 3. 973:973~984(1998)。30kDa未満の分子量のタンパク質は、影付きにされている。他の小分子の除去が性能向上に寄与するかどうかを決定するための調査を実施した。LAL組成物を、30kDaフィルター又は10kDaフィルターのいずれかを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過に供した。予想通り、SDS-PAGEは、コアギュローゲン(およそ20kDa)は30kDaフィルターを使用して除去されるが、10kDaフィルターでは除去されないことを実証した。
図15参照。30kDaフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過は、未ろ過LAL及び10kDaフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過の両方と比較して、反応時間を減少させることが示された。30kDaフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過はまた、未ろ過LAL及び10kDaフィルターを使用した連続的なタンジェンシャルフローろ過の両方と比較して、ブランクと0.005EU/mLサンプルとの間の分離を改善した。
【0089】
実施例6
[00107]遠心分離速度が反応速度及び分離に及ぼす影響を評価した。LAL組成物を調製し、その後、10,000×g、20,000×g、30,000×g又は40,000×gのいずれかにおいて、30分間遠心分離した。その後、ブランク及び0.005EU/mL標準の両方を使用して、反応時間及び分離に関して保持液を試験した。それぞれの保持液の光学密度もまた、測定した。結果は、
図17及び
図18でわかる。未清澄化材料は、遠心分離した保持液よりも高い光学密度を有する。分離と遠心分離速度との間の相関もまた観察し、この場合、遠心分離速度を増加させると、ブランクと0.005EU/mL標準との間のより大きな分離がもたらされる。清澄化された保持液の性能を評価するために実施する、405nMにおける吸光プレートリーダーを利用したカイネティック-比色法アッセイ(Kinetic chromogenic assays)(デルタt(秒):30、デルタmOD:50)は、遠心分離が、エンドトキシンとは無関係に基質が切断されることに寄与する何かを除去していることを示唆しており、これは清澄化ステップのさらなる効果を示唆するものである。
【0090】
実施例7
[00108]実質的にコアギュローゲンを含まない清澄化LALを凍結及び解凍することにより引き起こされる、性能に対する影響を調査した。本明細書に記載されている方法(30kDaの連続的なTFF、30,000×gにおいて遠心分離)により調製した保持液の活性を、凍結前、及びその後保持液を凍結して室温において解凍した後に測定した。結果を
図19に示す。この調査は、凍結/解凍前後の同等の性能を示唆していた。
【0091】
[00109]実施形態のいずれの範囲からも逸脱することなく、本明細書に記載されている方法及び用途に対する他の適した変更及び適応が行えることは、関連分野の当業者には明らかであろう。上述の実施例は、例示する目的のためだけに含まれ、限定することは意図しない。
【0092】
[00110]特定の実施形態が本明細書中で例示され、記載されてきたが、特許請求の範囲は、記載され、示されている特定の形態又は部分の配置に限定されないことが理解されるべきである。本明細書には、実例となる実施形態が開示されてきており、特定の用語が利用されているが、それらの用語は、一般的で説明的な意味でのみ使用され、限定の目的ではない。上記の教示を考慮して、実施形態の変更及び変形が可能である。したがって、実施形態が具体的に記載されている以外の方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0093】
[00111]各種実施形態が上に記載されてきたが、それら実施形態は、本技術の実例及び例として提示されたにすぎず、限定の意図ではない。本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部にさまざまな変更を行うことができることは関連分野の当業者には明白であろう。したがって、本技術の広さ及び範囲は、上記の実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ定義されるべきである。本明細書において述べられているそれぞれの実施形態、及び本明細書中で引用されるそれぞれの文献のそれぞれの特徴を、任意のその他の実施形態の特徴と組み合わせて使用することができることも理解されるであろう。本明細書において述べられているすべての特許及び公報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。