(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】プラグコネクター
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20240621BHJP
H01R 13/405 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/405
(21)【出願番号】P 2020026941
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0023449
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517036127
【氏名又は名称】ヒロセコリア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,スン ホ
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0094068(US,A1)
【文献】特開2018-170296(JP,A)
【文献】特開2016-031842(JP,A)
【文献】特開2015-050132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/40-13/533
H01R 24/00-24/86
H01R 43/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットコネクターに結合されるプラグコネクターであって、
基底部と、前記基底部の上面から突出する第1壁部と、前記基底部の上面から突出し、前記第1壁部と交差する第2壁部と、前記基底部の上面から突出し、前記第2壁部と交差し、前記第1壁部と対向する第3壁部と、前記基底部の上面から突出し、前記第1及び第3壁部と交差し、前記第2壁部と対向する第4壁部と、を含むモールド部;及び
第1アーム部を含む第1プラグ端子;を含み、
前記第1アーム部は、前記第1壁部の上部の少なくとも一部を覆いながら延長される第1延長部と、前記第1延長部の一端から延長され、前記基底部の下面から突出する第2延長部と、を含み、
前記モールド部は、前記第1プラグ端子に対してインサートモールディングで形成され、前記第1延長部の下面と前記モールド部との間に間隙がなく、
前記第1延長部は、前記第1壁部の隣接した上面と少なくとも一部の区間で段差を有し、前記段差は、前記第1延長部がさらに突出するように形成され
、
前記第1延長部は、前記第1壁部に埋め込まれておらず、
前記第2延長部の少なくとも一部は前記第1壁部に埋め込まれており、
前記段差が存在する区間は、前記第1延長部の頂点から前記第1延長部と前記第2延長部とが出合う地点までであり、
前記第1アーム部は、前記第1延長部の他端から前記第1壁部の外側面に沿って延長される第3延長部をさらに含み、
前記段差が存在する区間は、前記第1延長部の頂点から前記第1延長部と前記第3延長部とが出合う地点までをさらに含み、
前記段差が存在する区間は、前記第1延長部と前記第3延長部とが出合う地点である前記第3延長部の一端から前記第3延長部の他端までをさらに含む、プラグコネクター。
【請求項2】
前記プラグコネクターを上面から見たとき、前記第1延長部と前記第1壁部の上面とが隣接する箇所の縦断面において、前記
第1延長部の断面は、円の一部でありながら前記第1壁部の上面より突出している、請求項
1に記載のプラグコネクター。
【請求項3】
前記プラグコネクターを上面から見たとき、前記第1延長部と前記第1壁部の上面とが隣接する箇所の縦断面において、前記
第1延長部の断面は、下方が穿孔したコの字状でありながら前記第1壁部の上面より突出している、請求項
1に記載のプラグコネクター。
【請求項4】
前記第2延長部は、前記基底部の下面に対して平行に前記プラグコネクターの外側に突出する第1実装部をさらに含む、請求項
1に記載のプラグコネクター。
【請求項5】
前記第2壁部及び前記第4壁部のいずれか一方または両方上に、前記第1プラグ端子と電気的に絶縁される複数の第2プラグ端子をさらに含み、
前記複数の第2プラグ端子は、前記第2壁部の隣接した上面と段差を有さないように形成される、請求項1に記載のプラグコネクター。
【請求項6】
前記第1プラグ端子は、前記第1壁部及び前記第2壁部にわたって配置される第2アーム部をさらに含み、
前記第2アーム部は、前記基底部の下面に沿って延長される第2実装部を含む、請求項1に記載のプラグコネクター。
【請求項7】
前記第1プラグ端子は、前記第1壁部及び前記第4壁部にわたって配置される第3アーム部をさらに含み、
前記第3アーム部は、前記基底部の下面に沿って延長される第3実装部を含む、請求項
6に記載のプラグコネクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグコネクターに関し、より具体的には、電源端子を含むプラグコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各基板が相互連結される場合、ソルダリングなどの方法によってそれぞれの基板と連結される二つのコネクターが使用されており、前記二つのコネクターは互いに連結されてもよい。ここで、二つのコネクターのうち一つはプラグコネクターであって、残りの一つはソケットコネクターである。ソケットコネクターはレセプタクル(receptacle)コネクターとも呼ばれる。このようなプラグコネクターとソケットコネクターは、モールド部に端子を配置して形成されてもよい。プラグコネクターとソケットコネクターは、互いに締結されることによって電気コネクター組立体を形成することができる。
【0003】
電子機器の小型化の趨勢に伴い、コネクターの小型化及び低背化も要求される実情にある。しかし、コネクターの小型化及び低背化により、コネクターのモールド部が破損しやすくなり、潰れなどが発生したり、望まない半田上がり(solder wick)が発生したり、所望の程度の端子支持力が発揮されないなどの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、強度及び実装性が改善され、実装時に隙間を介した半田上がりが最小化され、モールド部の破損が最小化されるプラグコネクターを提供することにある。
【0005】
また、プラグコネクターとソケットコネクターとの結合時におけるモールド部の潰れ、屑発生などの問題を解決する。
【0006】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されなく、言及していない他の技術的課題は、下記の記載から通常の技術者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、ソケットコネクターに結合されるプラグコネクターであって、基底部と、前記基底部の上面から突出する第1壁部と、前記基底部の上面から突出し、前記第1壁部と交差する第2壁部と、前記基底部の上面から突出し、前記第2壁部と交差し、前記第1壁部と対向する第3壁部と、前記基底部の上面から突出し、前記第1及び第3壁部と交差し、前記第2壁部と対向する第4壁部とを含むモールド部;及び第1アーム部を含む第1プラグ端子;を含み、前記第1アーム部は、前記第1壁部の上部の少なくとも一部を覆いながら延長される第1延長部と、前記第1延長部の一端から延長され、前記基底部の下面から突出する第2延長部とを含み、前記モールド部は、前記第1プラグ端子に対してインサートモールディングで形成され、前記第1延長部の下面と前記モールド部との間に間隙がなく、前記第1延長部は、前記第1壁部の隣接した上面と少なくとも一部の区間で段差を有し、前記段差は、前記第1延長部がさらに突出するように形成されるプラグコネクターが提供される。
【0008】
好ましくは、前記第1延長部は、前記第1壁部に埋め込まれておらず、前記第2延長部の少なくとも一部は前記第1壁部に埋め込まれており、前記段差が存在する区間は、前記第1延長部の頂点から前記第1延長部と前記第2延長部とが出合う地点までである。
【0009】
好ましくは、前記第1アーム部は、前記第1延長部の他端から前記第1壁部の外側面に沿って延長される第3延長部をさらに含み、前記段差が存在する区間は、前記第1延長部の頂点から前記第1延長部と前記第3延長部とが出合う地点までをさらに含む。
【0010】
好ましくは、前記段差が存在する区間は、前記第1延長部と前記第3延長部とが出合う地点である前記第3延長部の一端から前記第3延長部の他端までをさらに含む。
【0011】
好ましくは、前記プラグコネクターを上面から見たとき、前記第1延長部と前記第1壁部の上面とが隣接する箇所の縦断面において、前記1延長部の断面は、円の一部でありながら前記第1壁部の上面より突出している。
【0012】
好ましくは、前記プラグコネクターを上面から見たとき、前記第1延長部と前記第1壁部の上面とが隣接する箇所の縦断面において、前記第1延長部の断面は、下方が穿孔した「コ」の字状でありながら前記第1壁部の上面より突出している。
【0013】
好ましくは、前記第2延長部は、前記基底部の下面に対して平行に前記プラグコネクターの外側に突出する第1実装部をさらに含む。
【0014】
好ましくは、前記第2壁部及び前記第4壁部のいずれか一方または両方上に、前記第1プラグ端子と電気的に絶縁される複数の第2プラグ端子をさらに含み、前記複数の第2プラグ端子は、前記第2壁部の隣接した上面と段差を有さないように形成される。
【0015】
好ましくは、前記第1プラグ端子は、前記第1壁部及び前記第2壁部にわたって配置される第2アーム部をさらに含み、前記第2アーム部は、前記基底部の下面に沿って延長される第2実装部を含む。
【0016】
好ましくは、前記第1プラグ端子は、前記第1壁部及び前記第4壁部にわたって配置される第3アーム部をさらに含み、前記第3アーム部は、前記基底部の下面に沿って延長される第3実装部を含む。
【0017】
好ましくは、前記第3延長部の下端部には切欠部が形成されており、前記プラグコネクターを上面から見たとき、前記第3延長部は第1折曲部を介して前記第1アーム部と連結されており、前記第3延長部は第2折曲部を介して前記第2アーム部と連結されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の技術的思想の各実施例によると、少なくとも次のような効果がある。
【0019】
一実施例に係るプラグコネクターにおいて端子支持力が強化される。端子支持力が高いことは、実装後、モールド部からプラグ端子が分離し難くなることを意味する。
【0020】
プラグコネクターとソケットコネクターが基板に実装されて互いに結合された後、一つのコネクターを抜去(すなわち、コネクター同士を分離)する場合に電源端子が離脱する問題も、このようなモールドと端子の支持力/付着力の強化によって緩和され得る。
【0021】
また、半田上がりが防止される。実装部は、基板に 半田付け(soldering)によって付着することによって実装されるが、このような半田付け過程で狭い隙間に液体が浸透する現象、すなわち、浸透圧によって液体状態の半田が実装部に乗って上がるおそれがある。しかし、本発明の構造では、例えば、第3延長部240がモールド部内に埋め込まれており、露出していない構造であるので、露出している場合に比べて半田上がりの可能性が小さくなる。
【0022】
また、第1モールド部100をインサートモールディングにより形成することによって、モールドと端子との間の隙間をなくし、それによっても半田上がりの可能性がさらに減少し得る。
【0023】
一方、本発明の構造によると、電源端子付近でモールド面が電源端子に接する確率及び回数が減少し、それによるモールドの擦れ、潰れ(バリなど)が減少する。
【0024】
本発明に係る効果は、以上で例示した内容によって制限されなく、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るプラグコネクター10及びソケットコネクター20を示す図である。
【
図2a】本発明の技術的思想の一実施例に係るプラグコネクター10を説明するための斜視図である。
【
図2b】本発明の技術的思想の一実施例に係るプラグコネクター10を説明するための斜視図である。
【
図2c】本発明の技術的思想の一実施例に係るプラグコネクター10を説明するための斜視図である。
【
図3】
図2aの斜視図において、第1モールド部100を除外した場合の端子200、300の配置を示す図である。
【
図4a】
図2aの左側下端(第1壁部120付近)を拡大した図である。
【
図4b】
図4aにおいて第1モールド部100を除外したことを示す図である。
【
図5a】プラグコネクター10の第3壁部140付近を示した図である。
【
図6a】第3壁部140付近でのプラグコネクター10及びソケットコネクター20の一部断面図である。
【
図6b】第3壁部140付近でのプラグコネクター10及びソケットコネクター20の一部断面図である。
【
図7a】第3壁部140近傍における(第1アーム部210の)第1延長部220及び第2延長部230などと(第1モールド部100の)第3壁部140との間の段差を示す図である。
【
図7b】第3壁部140近傍における(第1アーム部210の)第1延長部220及び第2延長部230などと(第1モールド部100の)第3壁部140との間の段差を示す図である。
【
図8】
図5bの断面と関連してプラグコネクター10とソケットコネクター20とが結合される場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に説明している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に具現可能である。但し、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を称する。
【0027】
一つの構成要素が他の構成要素と「連結された」または「結合された」と称されるものは、一つの構成要素が他の構成要素と直接連結または結合された場合、またはそれらの中間に他の構成要素を介在した場合を全て含む。その一方で、一つの構成要素が他の構成要素と「直接連結された」または「直接結合された」と称されるものは、それらの中間に他の構成要素を介在していないことを示す。「及び/または」は、言及した各アイテムのそれぞれ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。
【0028】
一つの構成要素が他の構成要素の「上」にあると称されるものは、一つの構成要素が他の構成要素の直上にある場合のみならず、それらの中間に他の構成要素を介在した場合を全て含む。その一方で、一つの構成要素が他の構成要素の「直接上」または「直上」にあると称されるものは、それらの中間に他の構成要素を介在していないことを示す。空間的に相対的な用語である「下」、「下」、「下部」、「上」、「上部」などは、図面に示しているように、一つの構成要素と他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に示している方向に加えて、使用時または動作時における素子の互いに異なる方向を含む用語と理解しなければならない。
【0029】
例えば、図面に示している素子をひっくり返す場合、他の素子の「下」または「下」にあると記述された構成要素は、他の構成要素の「上」に置かれる場合も含む。よって、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を全て含み得る。構成要素は他の方向にも配向することができ、これによって、空間的に相対的な各用語は配向によって解釈され得る。
【0030】
本明細書で使用された用語は、各実施例を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は、文句で特に言及していない限り、複数型も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」で言及した構成要素、段階、動作及び/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0031】
「第1」及び「第2」などの用語が多様な構成要素を敍述するために使用されるが、これらの構成要素がこれらの用語によって制限されないことは当然である。これらの用語は、ただ一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。よって、以下で言及する第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得ることも当然である。
【0032】
他の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に共通的に理解され得る意味で使用可能である。また、一般に使用される事前に定義されている各用語は、明白に特別に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0033】
図1は、本発明に係るプラグコネクター10及びソケットコネクター20を示す図である。
【0034】
図1の上部にはプラグコネクター10が示されており、
図1の下部にはソケットコネクター20が示されている。
【0035】
プラグコネクター10は、第1モールド部100、第1プラグ端子200、第2プラグ端子300などを含む。
【0036】
図1に示したプラグコネクター10においては、構造確認の便宜上、第1プラグ端子200及び第2プラグ端子300が上方に向かっているが、実際の結合時には、
図1に示したプラグコネクター10を(
図2cのように)上下反転し、第1プラグ端子200及び第2プラグ端子300を下方に向かわせた後、
図1の下端に示したソケットコネクター20に結合する。
【0037】
以下では、このような結合のためのソケットコネクター20に対して説明する。
【0038】
ソケットコネクター20は、例えば、第2モールド部400、第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600を含んでもよい。
【0039】
第2モールド部400は、第1モールド部100を収容する形状を有してもよい。例えば、第1モールド部100は、第2モールド部400によって定義される空間に挿入される形状を有してもよい。
【0040】
第2モールド部400は、樹脂及びエポキシなどを含む絶縁体として形成されてもよいが、これに制限されるのではない。
【0041】
第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600は、第2モールド部400の壁部上に配置されてもよい。また、複数の第1ソケット端子500及び複数の第2ソケット端子600が第2モールド部400の壁部上に配置されてもよい。
【0042】
第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600は導電性物質を含んでもよい。
【0043】
例えば、第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600は、銅などを含む金属物質で形成されてもよいが、これに制限されるのではない。
【0044】
これによって、プラグコネクター10がソケットコネクター20に締結されるとき、第1プラグ端子200及び第2プラグ端子300は第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600と電気的に連結され得る。
【0045】
例えば、第1プラグ端子200は第1ソケット端子500と電気的に連結されてもよく、第2プラグ端子300は第2ソケット端子600と電気的に連結されてもよい。例えば、第1プラグ端子200が電源端子である場合、第1ソケット端子500は電源電気信号を入出力することができる。例えば、第2プラグ端子300が信号端子である場合、第2ソケット端子600はデータ電気信号を入出力することができる。
【0046】
ソケットコネクター20は、一実施例に係るプラグコネクター10が締結される例示的なソケットコネクターであってもよい。ソケットコネクター20は、例えば、第2モールド部400、第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600を含んでもよい。
【0047】
第2モールド部400は、第1モールド部100を収容する形状を有してもよい。例えば、第1モールド部100は、第2モールド部400によって定義される空間に挿入される形状を有してもよい。
【0048】
第2モールド部400は、樹脂及びエポキシなどを含む絶縁体として形成されてもよいが、これに制限されるのではない。
【0049】
第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600は第2モールド部400の壁部上に配置されてもよい。また、複数の第1ソケット端子500及び複数の第2ソケット端子600が第2モールド部400の壁部上に配置されてもよい。
【0050】
図1のソケットコネクター20において、両端のそれぞれの第1ソケット端子500はプラスチックハウジング(第2モールド部400)を覆っている。すなわち、プラスチックハウジングが第1ソケット端子500を覆っている部分はなく、第1ソケット端子500がプラスチックハウジングを覆い、第1ソケット端子500は露出している。従来例として、第1ソケット端子500の一部(例えば、ソケットコネクター20のコーナー部分に該当する部分)がプラスチックハウジングに覆われている場合があるが、本発明は、それに比べて第1ソケット端子500の金属が全体的にカバーしているので、ハウジングのクラックを防止し、さらに容易な結合動作を可能にする。
【0051】
一方、一例として、第2プラグ端子300及び第2ソケット端子600として、信号端子は0.3Aの電流を許容する32個のPINで構成されてもよく、第1プラグ端子200及び第1ソケット端子500として、電源端子は5Aの電流を許容することができる。プラグコネクター10の第1モールド部100及び/またはソケットコネクター20の第2モールド部400は、プラスチック材質であることが好ましく、例えば、LCP(Liquid Crystal Polymer)であってもよい。プラグコネクター10の第1プラグ端子200及び第2プラグ端子300及び/またはソケットコネクター20の第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600は、金属材質であることが好ましく、例えば、銅合金に金めっき(ニッケルアンダーレイヤー)を施したものであってもよい。
【0052】
図2a、
図2b及び
図2cは、本発明の技術的思想の一実施例に係るプラグコネクター10を説明するための斜視図である。
【0053】
図2aにおいて、プラグコネクター10は、第1モールド部100、第1プラグ端子200及び第2プラグ端子300を含む。
【0054】
第1モールド部100は、基底部110及び第1~第4壁部120、130、140、150を含んでもよい。第1~第4壁部120、130、140、150は、基底部110の上面からそれぞれ突出する形状を有してもよい。
【0055】
具体的には、第1壁部120は、基底部110上で第1方向Xに延長されてもよい。第2壁部130は、基底部110上で第1方向Xと交差する第2方向Yに延長されてもよい。第3壁部140は、基底部110上で第1壁部120と対向してもよい。第4壁部150は、基底部110上で第2壁部130と対向してもよい。このとき、第2壁部130は、第1壁部120の一側及び第3壁部140の一側と連結されてもよい。また、第4壁部150は、第1壁部120の他側及び第3壁部140の他側と連結されてもよい。これによって、基底部110及び第1~第4壁部120、130、140、150は、互いに連結されることにより第1モールド部100を形成することができる。
【0056】
第1~第4壁部120、130、140、150は、プラグコネクター10がソケットコネクター(
図1の20)に締結される空間を定義することができる。例えば、第1~第4壁部120、130、140、150は、基底部110の上面の縁部に沿って形成されてもよい。これによって、基底部110の上面の中央部上に空間が形成され、この空間にソケットコネクター(
図1の20)の一部が挿入され、プラグコネクター10とソケットコネクター(
図1の20)とが締結され得る。
【0057】
第1モールド部100は、樹脂及びエポキシなどを含む絶縁体として形成されてもよいが、これに制限されるのではない。
【0058】
第1プラグ端子200は、第1モールド部100の第1壁部120及び/または第3壁部140上に配置されてもよい。説明の便宜上、以下では、第1壁部120上に配置される第1プラグ端子200を中心に説明する。但し、第3壁部140上に配置される他の第2プラグ端子300も、方向のみが対称であるだけで、同一の構造であってもよい。
【0059】
図2bは、
図2aと同一であるが、部品間の明確な区別及び視認性を考慮した上で、陰影及びカラーを表示して示した図である。
【0060】
図2cは、
図2aに示したプラグコネクター10を上下反転して示した図である。
【0061】
図面の左側下端には、第1プラグ端子200が基板の3箇所に実装されていることが示されており、図面の右側上端には、他の第1プラグ端子200が基板の3箇所に実装されていることが示されている。例示的な従来例に比べて、実装部の箇所が多いことも本発明の特徴の一つである。これは、PCB基板との付着力を強化することを促進する。
【0062】
図3は、
図2aの斜視図において、第1モールド部100を除外した場合の端子200、300の配置を示す図である。
【0063】
図3に示すように、両端にそれぞれ1個ずつの第1プラグ端子200が配置されており、それらの間に複数(例えば、32個)の第2プラグ端子300が配置されている。
【0064】
第1プラグ端子200は、一例として電源端子であってもよく、第2プラグ端子300は、一例として信号端子であってもよい。
【0065】
図4aは、
図2aの左側下端(第1壁部120付近)を拡大した図であって、
図4bは、
図4aにおいて第1モールド部100を除外したことを示す図である。
【0066】
図4aには、第1モールド部100のうち第1壁部120が示されており、基底部110の一部、第2壁部130の一部、第4壁部150の一部が示されている。
【0067】
図2a、
図2c及び
図3に対する説明では簡略に第1プラグ端子200と表示したが、
図4a及び
図4bのように、細部的には、第1プラグ端子200は、互いに連結された第1アーム部210、第2アーム部250及び第3アーム部260を含んでもよい。一例として、一つの金属板の切断及び折り曲げにより、第1アーム部210、第2アーム部250及び第3アーム部260が互いに連結された状態で形成された第1プラグ端子200を得ることができる。但し、これは一例であって、複数のアーム部210、250、260同士が一つに連結されていない実施例も、必要に応じては可能である。
【0068】
第1プラグ端子200の第1アーム部210は、第1モールド部100の第1壁部120上に配置されてもよい。第1アーム部210は、第1延長部220、第2延長部230及び第3延長部240を含んでもよい。
【0069】
第1アーム部210の第1延長部220は、第1壁部120の上面に沿って延長されてもよい。例えば、第1延長部220は、第1壁部120の上面上で第2方向Yに延長されてもよい。これによって、第1延長部220は第1壁部120の上面の一部を覆うことができる。
【0070】
第1アーム部210の第2延長部230は、第1延長部220の一端から延長され、基底部110の下面から突出してもよい。例えば、第2延長部230の一端(例えば、
図5bの上側)は、第1延長部220の一端(例えば、
図5bの左側)から延長され、第2延長部230の他端(例えば、
図5bの下側)は、基底部110の下面から突出したものであってもよい。また、第2延長部230の一部は、第1壁部120の内部に引き込まれてもよい。プラグコネクター10の第1アーム部210の第2延長部230と第1延長部220は、コネクターで結合した最終状態でソケットコネクター20の第1ソケット端子500の下端上面(
図1及び
図8参照)に接触してもよく、または少しの公差を置いて接触しなくてもよい。
【0071】
図4a及び
図4bでは、第1壁部120付近のみを示したが、
図1のように、第3壁部140付近も対称的に形成されていてもよい。
【0072】
図4a及び
図4bにおいて、第1プラグ端子200の第2アーム部250は、第1モールド部100の第1壁部120及び第2壁部130にわたって配置されてもよい。例えば、
図4a及び
図4bに示したように、第2アーム部250は、第2壁部130の上部を覆う形状を有してもよい。
【0073】
第1アーム部210の第2延長部230は、下方で第1実装部230mと出合う。これは、一体に形成されて屈曲(ベンディング)されることが好ましい。第1実装部230mの下側に示した部材は、基板に実装される場合を想定した上で、基板の一部を示したものである。
【0074】
一実施例において、第2アーム部250は第2実装部250mを含んでもよい。
【0075】
第2実装部250mは、基底部110の下面に沿って延長されてもよい。第2実装部250mは、半田付けなどの方法でプラグコネクター10を基板(図示せず)などに実装することができる。
【0076】
第1プラグ端子200の第3アーム部260は、第1モールド部100の第1壁部120及び第4壁部150にわたって配置されてもよい。例えば、
図4a及び
図4bに示したように、第3アーム部260は、第4壁部150の上部を覆う形状を有してもよい。
【0077】
一実施例において、第3アーム部260は第3実装部260mを含んでもよい。
【0078】
第3実装部260mは、基底部110の下面に沿って延長されてもよい。第3実装部260mは、半田付けなどの方法でプラグコネクター10を基板などに実装することができる。
【0079】
第2実装部250m及び第3実装部260mの下側に示した部材は、基板に実装される場合を想定した上で、基板の一部を示したものである。第2プラグ端子の実装部の下側に示した部材も、同様に基板の一部を示したものである。
【0080】
一実施例に係る第1プラグ端子200は、3個の実装部を備えており、プラグコネクター10が基板などから分離されやすくなることを防止することができる。例えば、
図4a及び
図4bに示したように、第1~第3実装部230m、250m、260mが基底部110の下面から露出してもよい。3個の実装部を含む第1プラグ端子200は、プラグコネクターが基板などに実装される部分の面積を拡張し、プラグコネクターが基板などから分離されやすくなることを容易に防止することができる。
【0081】
第1プラグ端子200は導電性物質を含んでもよい。例えば、第1プラグ端子200は、銅などを含む金属物質で形成されてもよいが、これに制限されるのではない。
【0082】
一実施例において、第1プラグ端子200は電源端子であってもよい。すなわち、第1プラグ端子200は、電源電気信号を入出力し、プラグコネクター10が実装される基板などに電源を供給することができる。しかし、本発明の技術的思想がこれに制限されるのではなく、第1プラグ端子200は電源電気信号を入出力しなくてもよい。
【0083】
第2プラグ端子300は、第1モールド部100の第2壁部130及び/または第4壁部150上に配置されてもよい。しかし、第2プラグ端子300は第1プラグ端子200と電気的に絶縁されてもよい。
【0084】
第2プラグ端子300は、第2壁部130及び/または第4壁部150上に複数配置されてもよい。例えば、
図1などに示したように、複数の第2プラグ端子300は、第2壁部130及び第4壁部150にわたって配置されてもよい。
【0085】
第2プラグ端子300は導電性物質を含んでもよい。例えば、第2プラグ端子300は、銅などを含む金属物質で形成されてもよいが、これに制限されるのではない。
【0086】
一実施例において、第2プラグ端子300は信号端子であってもよい。すなわち、第2プラグ端子300は、データ電気信号を入出力し、プラグコネクター10が実装される基板の電気素子などにデータを伝達することができる。しかし、複数の第2プラグ端子300が全て同一のデータ電気信号を入出力するのではなく、必要に応じて、複数の第2プラグ端子300が互いに異なる種類のデータ電気信号を入出力してもよい。
【0087】
一方、
図4bにおいて、第3延長部240の下端部には切欠部240gが形成されている。一例として、当該切欠部240gは、上方が狭く、下方が広い平行四辺形である。そして、プラグコネクター10を上面から見たとき、第1アーム部210の第3延長部240は、第2アーム部250と第1折曲部(ベンディング部)を介して連結されており、第3延長部240は、第3アーム部と第2折曲部(ベンディング部)を介して連結されている。
図4bの例では、一つの金属片を折り曲げて第1折曲部及び第2折曲部を形成することによって、上面から見てコの字状(
図3参照)の第1プラグ端子200(すなわち、第1アーム部210、第2アーム部250及び第3アーム部260)を得ることができる。このとき、第3延長部240の下端部に形成された切欠部240gは、道具(コア)を入れてベンディング(折り曲げ)作業をするのに使用される。すなわち、この切欠部240gがない場合、第1折曲部、第2折曲部などを形成することが困難になり得る。この切欠部240gは、このような横方向へのベンディングのみならず、下方へのベンディングをするのにも使用可能である。
【0088】
図5aは、プラグコネクター10の第3壁部140付近を示した図であって、
図5bは、
図5aのA-A'線断面図である。
【0089】
上述したように、第1アーム部210は、第1延長部220、第2延長部230、及び第3延長部240を含んでもよい。
【0090】
図5bに示したように、第1プラグ端子200の第1アーム部210のA-A'線断面を見ると、略半円状の第1延長部220があり、第1延長部220の一端からその下方に第3延長部240が延長されており、第1延長部220の他端からその下方に第2延長部230が延長されており、第2延長部230が底面近傍で折り曲げられることによって実装部230mが形成されている。
【0091】
図5bに示した第1プラグ端子200の第1アーム部210の断面において、第1アーム部210は第3壁部140と結合されており、一部は第3壁部140によって隠されており、一部は露出している。例えば、
図5bにおいて、略半円状の第1延長部220は、その外側が露出しており、その内側は第1モールド部100の一部である第3壁部140で充填されている。また、
図5bにおいて、第3延長部240の外側は露出しており、その内側は第1モールド部100の一部である第3壁部140で充填されている。一方、第2延長部230は、外部に露出して視認される部分がないか、そのような部分がほとんどないことが分かる。
【0092】
図5a及び
図5bを参照すると、部分的に露出している第1アーム部210は、第2延長部230の上端(第1延長部220と第2延長部230とが出合う部分)から第2延長部230の下端(第2延長部230が底面から折り曲げられる部分)に至るまで第3壁部140内に埋め込まれている。
図5bにおいて、第3壁部140の内壁表面と第2延長部230との間の距離は、下側に行くほど遠くなる構造であって、上部のいずれかの地点ではD1だけ離れており、それより下部の他のいずれかの地点ではD2だけ離れていることが示されている(但し、D2>D1)。
【0093】
すなわち、
図5bに示した一例において、第1プラグ端子200の第1アーム部210の第2延長部230は、斜線方向に第1モールド部100の第3壁部140内に埋め込まれる構造である。D1及びD2の厚さによる強度及び十分な実装部230mの長さ確保などを考慮した上で、この斜線の角度は、約5°~40°、好ましくは10°~30°、さらに好ましくは15°~20°程度であってもよい。
【0094】
図5a及び
図5bは、第3壁部140付近での第1プラグ端子200を示したものであるが、第1壁部120付近での他の第1プラグ端子200に対しても同一に適用可能であることは当然である。
【0095】
このような構造による利点の一例としては、端子支持力が強化されるという点を挙げることができる。端子支持力が高いことは、実装後、第1モールド部100から第1プラグ端子200が分離し難くなることを意味する。プラグコネクター10及び/またはソケットコネクター20が基板に実装され、コネクター10、20同士が結合された後、コネクター10、20を抜去する場合に電源端子(例えば、第1プラグ端子200)が離脱する問題も、このようなモールドと端子の支持力/付着力の強化によって緩和され得る。
【0096】
また、このような構造による利点の他の例としては、半田上がりが防止されるという点を挙げることができる。
図5bにおいて、実装部230mは、基板に半田付けによって付着することによって実装されるが、このような半田付け過程で狭い隙間に液体が浸透する現象、すなわち、浸透圧によって液体状態の半田が実装部に乗って上がるおそれがある。しかし、
図5bの構造では、第1アーム部210のうち実装部230mから延長されて上側に上がっていく部分(例えば、第2延長部230)が第1モールド部100の第3壁部140内に埋め込まれており、露出していない構造であるので、露出している場合に比べて半田上がりの可能性は小さくなる。そして、後述するが、このような構造に加えて、第3壁部140(さらに、第1モールド部100)をインサートモールディングにより形成することによって、前記第3壁部140と第1アーム部210との間の隙間をなくし、それによっても半田上がりの可能性がさらに減少し得る。
【0097】
一方、
図5bにおいて、第1延長部220の縦断面は、下側が穿孔した略半円であるが、他の形状も可能であり、例えば、第1延長部220の縦断面は、下側が穿孔した「コ」の字状であってもよい。
【0098】
図6a及び
図6bは、第3壁部140付近でのプラグコネクター10及びソケットコネクター20の一部断面図である。
【0099】
図6aは、第2プラグ端子300(例えば、信号端子)近傍での断面及び第2ソケット端子600(例えば、信号端子)近傍での断面を示す。
【0100】
図6bは、第1プラグ端子200(例えば、電源端子)近傍での断面及び第1ソケット端子500(例えば、信号端子)近傍での断面を示す。
【0101】
図6a及び
図6bの断面から見るように、第1モールド部100は、第1プラグ端子200及び第2プラグ端子300の少なくとも一部を覆っており、第2モールド部400は、第1ソケット端子500及び第2ソケット端子600の少なくとも一部を覆っている。このとき、第1モールド部100及び/または第2モールド部400は、インサートモールディング(インサート成形)によって形成されたものであってもよい。インサートモールディングで形成する場合には様々な利点があるが、例えば、半田上がりが防止されることを挙げることができ、特に、
図5bと関連して説明した第2延長部230の斜線下降構造(すなわち、漸進的にD2>D1である構造)によると、このような半田上がりはさらに確実に防止され得る。もちろん、斜線下降構造の長所は、ただ半田上がりの防止のみに限定されるのではなく、製品(コネクター)の抜去時に電源端子が離脱することを防止し、支持力を強化することも含まれ得る。
【0102】
図7a及び
図7bは、第3壁部140近傍で(第1アーム部210の)第1延長部220及び第2延長部230などと(第1モールド部100の)第3壁部140との間の段差を示す図である。
【0103】
図7bは、
図7aのプラグコネクター10において四角形で表示した部分(第3壁部140付近)を拡大して示した図である。
【0104】
図7bに示したように、第1アーム部210と第3壁部140の露出部とが接する部分がある。第1アーム部210は、例えば、金属材質であって、第3壁部140は、一例として、プラスチック材質である。
図7bに示したように、第1アーム部210が露出した部分のうち、特に第1延長部220において、第1延長部220の上方面は、隣接した第3壁部140の上方面に比べてさらに高く位置している。
図7bには、第1アーム部210のうち例示的に選定された3箇所がE1、E2、E3と表示されているが、E1地点は第1延長部220に該当する部分であって、E2地点は大略的に第1延長部220と第3延長部240とが出合う部分であって、E3地点は大略的に第3延長部240に該当する部分である。E1、E2、E3地点において、第3壁部140の露出面に比べて第1アーム部210の露出面(すなわち、第1延長部220の露出面)がさらに外部に突出していることが好ましい。E1、E2、E3地点のうち一部において、たとえ第3壁部140の露出面と第1アーム部210の露出面(すなわち、第1延長部220の露出面)とが同じ高さで連続する面を形成したとしても、E1、E2、E3地点のうち少なくとも一つ以上では、第3壁部140の露出面に比べて第1アーム部210の露出面(すなわち、第1延長部220の露出面)がさらに外部に突出していることが好ましい。例えば、少なくとも第1延長部220の全部または一部は、隣接する第3壁部140の面に比べて外部に突出していることが好ましい。一例として、
図7bにおいて、E1は、隣接した第3壁部140に比べて突出しており、E2は、隣接した第3壁部140に比べて突出しているが、その突出量がE1より少なく、E3は、隣接した第3壁部140とほぼ同一の面であるか、または微細に内側に入り込んでいる。
【0105】
このような構造によると、相手物(すなわち、ソケットコネクター20)と締結される場合において、特にE1及びE2と表示された部分で金属部同士が先に接触することが可能である。
【0106】
本発明のような構造ではなく、E1地点において第3壁部140の露出面とE1地点の露出面とが実質的に同一の高さであると仮定してみると、ソケットコネクター20の第1ソケット端子500は、プラグコネクター10の(第1プラグ端子200ではなく)第1プラグ端子200に隣接した第3壁部140(すなわち、第1モールド部100)に先に接触する場合もある。この場合、部材間の強度差に起因して摩耗の問題が発生する(後述する
図8参照)。
【0107】
しかし、本発明の構造によると、E1地点において第3壁部140の露出面がE1地点の露出面よりさらに外部に突出しているので、モールド面(すなわち、第3壁部140の露出面)が金属(すなわち、ソケットコネクター20の第1ソケット端子500)に接する確率及び回数が減少し、それによるモールドの擦れ、潰れ(バリなど)が減少する。
【0108】
このような本発明の段差を形成するためには、
図6a及び
図6bに示したように第1モールド部100及び/または第2モールド部400を形成するとき、インサートモールディング方式によって形成することが好ましい。PG成形によると、このような段差形成及び第3壁部140と第1アーム部210との密着が容易でない。放電成形も考慮できるが、これによると、加工の精密度が低下し、適用が容易でない。
【0109】
付け加えると、このようなE1、E2、E3は、
図4aにおいてもその対応箇所が確認可能である。第1モールド部100(特に、第1壁部120または第3壁部140など)は、第1プラグ端子200に対してインサートモールディングを行うことによって形成されている。第1プラグ端子200に対するインサートモールディング(インサート成形)方法を使用しない場合、本発明のコネクターの大きさが小さい点を考慮すると、適切な寸法の段差を形成することが困難になり得る。
【0110】
第1延長部220は、第1壁部120(または第3壁部140)の隣接した上面と少なくとも一部の区間で段差を有し、段差は、第1延長部220がさらに突出するように形成される。段差部は、例えば、
図7bのE1、E2、E3地点である。
【0111】
E1及びその近傍箇所と関連して、段差が存在する区間は、第1延長部220の頂点から第1延長部220と第2延長部230とが出合う地点までであってもよい。
【0112】
E2及びその近傍箇所と関連して、段差が存在する区間は、第1延長部220の頂点から第1延長部220と第3延長部240とが出合う地点までをさらに含んでもよい。
【0113】
E3及びその近傍箇所と関連して、段差が存在する区間は、第1延長部220と第3延長部240とが出合う地点である第3延長部240の一端から第3延長部240の他端(すなわち、第3延長部240の最下部)までをさらに含んでもよい。
【0114】
E3の段差の必要性よりは、E1、E2の段差の必要性がさらに大きい。また、結合時にぶつかる可能性を勘案すると、E1の段差がE2の段差よりさらに大きいことが好ましい場合もある。
【0115】
このような構成により、モールド面(すなわち、第1モールド部100の第1壁部120または第3壁部140の露出面)が金属(すなわち、ソケットコネクター20の第1ソケット端子500)に接する確率及び回数が減少し、それによるモールドの擦れ、潰れ(バリなど)が減少する。
【0116】
圧入成形において、本発明と同じ段差の外形を有しているとしても、本発明と同じ効果は発揮されない。その理由は、圧入構造が、モールドに端子を挿入するものであるが、このとき、不可避に端子とモールドとの間に離隔(間隙)が存在するためである。その結果、外形上では、本発明の段差のように金属部の端子がさらに突出したように見えるとしても、実際にプラグコネクターとソケットコネクターとの結合過程で圧力を受けると離隔だけ押されるので、結合時には、実際に金属部がモールド部に比べてさらに突出していない可能性が非常に大きい。よって、本発明における段差は、少なくとも第1プラグ端子に対するインサート成形であることを前提とするとき、その効果(結合過程で意図せずにモールドと金属とが接触し、モールド屑が生じることを防止)が発揮される。
【0117】
参考までに、第2プラグ端子300が信号端子である場合、第2プラグ端子300は上述した段差を有さなくても構わない。信号端子としての第2プラグ端子300と第2ソケット端子600は、主にロック(lock)の役割をするので、結合時の摩耗などの問題においても第1プラグ端子200の場合とは多少異なり得る。
【0118】
図8は、
図5bの断面と関連して、プラグコネクター10とソケットコネクター20とが結合される場合を示す図である。
【0119】
図5bでは、第1延長部220が上方にあり、実装部230mが下方にあったが、
図8では、
図5bの部材を上下反転し、第1延長部220が下方に向かい、実装部230mが上方に向かった状態でプラグコネクター10がソケットコネクター20に結合されている。
【0120】
本発明のコネクター10、20のサイズが非常に小さいことを考慮すると、プラグコネクター10とソケットコネクター20が最初から定位置で結合されはじめる場合よりは、
図8のように少しずれた位置で結合されはじめる場合が多い。この場合、本発明のプラグコネクター10は、第2プラグ端子300の金属部分と第3壁部140のプラスチック部分に段差が存在し、金属部分がさらに突出しているので、
図8のような場合であっても、第3壁部140のプラスチック部分が先にソケットコネクター20に接触するのではなく、第2プラグ端子300の金属部分(例えば、第1延長部220の露出部)が先にソケットコネクター20に接触する。よって、モールドの擦れ、潰れ(バリなど)の発生が低減し、自己整列(self alignment)もある程度可能になる。
【0121】
図8の過程を経た後、プラグコネクター10とソケットコネクター20との結合が完了した状態を想定してみると、一例として、第1延長部220のみがソケットコネクター20の第1ソケット端子500の下端に接触し、第2延長部230及び第3延長部240は第1ソケット端子500の左右側に接触しない場合もある。もちろん、これは一例であって、結合が完了した状態で、第1延長部220とソケットコネクター20の第1ソケット端子500の下端との間に微細な公差を置いて接触を防止することによって、結合が完了した状態で第1延長部220、第2延長部230及び第3延長部240が第1ソケット端子500に接触しない実施例も可能である。
【0122】
以上では、添付の図面を参照して本発明の各実施例を説明したが、本発明は、前記各実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に製造可能であり、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずとも他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。そのため、以上で記述した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものでないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0123】
10 プラグコネクター
20 ソケットコネクター
100 第1モールド部
110 基底部
120、130、140、150 壁部
200 第1プラグ端子
210、250、260 アーム部
220、230、240 延長部
230m 第1実装部
300 第2プラグ端子
E1、E2、E3 段差
400 第2モールド部
500 第1ソケット端子
600 第2ソケット端子