(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】塗布具付容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
A45D34/04 525B
(21)【出願番号】P 2020063436
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-210612(JP,A)
【文献】中国実用新案第206252057(CN,U)
【文献】特開2012-231913(JP,A)
【文献】特開2009-153826(JP,A)
【文献】特開平10-099127(JP,A)
【文献】特開2014-100898(JP,A)
【文献】特開平07-075753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0164210(US,A1)
【文献】実開平01-086917(JP,U)
【文献】特開平08-295097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容し、押圧により変形可能な容器体と、
前記容器体の口部に装着された装着キャップと、
前記装着キャップに固定され、前記容器体の内部に連通する連通路が形成された軸部材と、
前記容器体の内部において前記軸部材の下端に保持された第1塗布具と、
前記容器体の上方に位置し、前記連通路を通じて前記内容物が供給される第2塗布具と、
前記連通路と前記第2塗布具との間の流路を開閉可能な開閉部材と、
前記装着キャップに対して軸方向に移動可能な吐出部材と、
前記第2塗布具を保持する保持部材と、を備え、
前記吐出部材は、前記第2塗布具に
前記内容物を供給する吐出孔を有し、
前記開閉部材は、
周壁部と、前記周壁部に形成された開閉孔
と、を有し、前記装着キャップに対する上下動が規制され、
前記吐出部材は、前記開閉孔を径方向内側から閉塞する吐出筒を有し、
前記吐出部材が前記装着キャップに対して軸方向に移動することで、前記開閉孔が開閉され
、
前記保持部材と前記装着キャップとが螺合することで、前記吐出部材が前記開閉部材に対して上昇し、前記吐出筒による前記開閉孔の閉塞が解除される、塗布具付容器。
【請求項2】
前記第1塗布具および前記第2塗布具の種類が互いに異なっている、請求項1に記載の塗布具付容器。
【請求項3】
前記軸部材の下部が前記容器体内で変位可能に構成されている、請求項1または2に記載の塗布具付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内容物を収容する容器体と、容器体内に挿入された塗布具と、を備え、塗布具に付着した内容物を被塗布部に塗布することができるように構成された塗布具付容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内容物を被塗布部に塗布する際に、広い範囲で塗布する場合と、狭い範囲で塗布する場合と、を切り替え可能にすることが求められていた。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、内容物を塗布する範囲を切り替えることが可能な塗布具付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る塗布具付容器は、内容物を収容し、押圧により変形可能な容器体と、前記容器体の口部に装着された装着キャップと、前記装着キャップに固定され、前記容器体の内部に連通する連通路が形成された軸部材と、前記容器体の内部において前記軸部材の下端に保持された第1塗布具と、前記容器体の上方に位置し、前記連通路を通じて前記内容物が供給される第2塗布具と、前記連通路と前記第2塗布具との間の流路を開閉可能な開閉部材と、前記装着キャップに対して軸方向に移動可能な吐出部材と、前記第2塗布具を保持する保持部材と、を備え、前記吐出部材は、前記第2塗布具に前記内容物を供給する吐出孔を有し、前記開閉部材は、周壁部と、前記周壁部に形成された開閉孔と、を有し、前記装着キャップに対する上下動が規制され、前記吐出部材は、前記開閉孔を径方向内側から閉塞する吐出筒を有し、前記吐出部材が前記装着キャップに対して軸方向に移動することで、前記開閉孔が開閉され、前記保持部材と前記装着キャップとが螺合することで、前記吐出部材が前記開閉部材に対して上昇し、前記吐出筒による前記開閉孔の閉塞が解除される。
【0007】
上記態様によれば、第1塗布具を用いる場合は、装着キャップを口部から外し、第1塗布具を容器体から取り出せばよい。第2塗布具を用いる場合は、装着キャップが口部に装着されたまま、容器体を押圧して変形させることで、連通路を通して内容物を第2塗布具に供給すればよい。このように、第1塗布具または第2塗布具を選択的に用いて、内容物を被塗布部に塗布することができる。したがって、例えば広い範囲に内容物を塗布する場合には第1塗布具を用い、より狭い範囲に内容物を塗布する場合には第2塗布具を用いるなど、内容物を塗布する範囲を切り替えることが可能となっている。また、不意に内容物が第2塗布具に供給されて漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0010】
また、前記第1塗布具および前記第2塗布具の種類が互いに異なっていてもよい。
【0011】
この場合、内容物を塗布する範囲をより容易に切り替えることが可能となる。
【0012】
また、前記軸部材の下部が前記容器体内で変位可能に構成されていてもよい。
【0013】
この場合、第2塗布具を使用する際に、軸部材の下部を容器体内で側方に寄せることで、容器体を押圧により変形しやすくなる。また、第1塗布具を使用する際に、軸部材の下部を装着キャップ等に対して変位させることで、使用者の好みに合わせた任意の角度に軸部材の下部を調整することが可能である。さらに、容器体の内容物の残量が少なくなった場合、軸部材の下部を容器体内で変位させることで、容器体の底部周辺に溜まった内容物を第1塗布具によって掬い取ることができる。したがって、内容物をより効率よく使い切ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、内容物を塗布する範囲を切り替えることが可能な塗布具付容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】第1実施形態に係る塗布具付容器の縦断面図である。
【
図2】
図1Bの第2塗布具を使用する際の状態を示す図である。
【
図3】第2実施形態に係る塗布具付容器の縦断面図である。
【
図4】第3実施形態に係る塗布具付容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の塗布具付容器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、塗布具付容器1は、容器体2と、第1塗布具3と、第2塗布具4と、蓋体5と、軸部材10と、しごき片20と、装着キャップ30と、保持部材40と、連結部材50と、吐出部材60と、開閉部材70と、を備える。容器体2はチューブ成形により形成され、内部に内容物が収容される。内容物としては、特に限定されないが、例えば化粧液、薬液、接着液、洗浄液などの液体を採用可能である。
【0017】
(方向定義)
本実施形態では、容器体2の中心軸線を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向において、容器体2の底部2c側を下方といい、口部2a側を上方という。上下方向から見て、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
容器体2は、口部2a、胴部2b、および底部2cを有している。容器体2は軟材質の樹脂等により形成されており、少なくとも胴部2bが押圧により変形可能である。口部2aは胴部2bよりも肉厚が大きく、外周面に雄ネジ部が形成されている。
【0019】
第1塗布具3は、塗布体3aと、取付部3bと、を有している。本実施形態の塗布体3aはスポンジである。取付部3bは棒状であり、塗布体3aから上方に延びている。第1塗布具3は、軸部材10の下端に固定されている。
【0020】
軸部材10は、本体部11と、連通路12と、突部13と、環状部14と、固定部15と、を有している。本体部11は上下方向に沿って延びている。本体部11の下部は容器体2の内部に位置し、本体部11の上部は容器体2の口部2aから上方に突出している。本体部11の下端部には、上方に向けて延びる取付孔11aが形成されている。取付孔11aに、第1塗布具3の取付部3bが挿入されて係止されていることで、第1塗布具3が軸部材10に固定されている。
【0021】
連通路12は、複数の横孔12aおよび縦孔12bにより構成されている。複数の横孔12aは本体部11のうち容器体2内に位置する部分において、径方向に延びており、周方向に間隔を空けて形成されている。各横孔12aは容器体2内に開口している。縦孔12bは、本体部11の上端面から下方に向けて延びており、横孔12aに達している。連通路12により、容器体2内と軸部材10の上方の空間とが連通している。
突部13は、本体部11から径方向外側に突出している。突部13は横孔12aよりも上方に位置している。
【0022】
環状部14は、本体部11から径方向外側に突出している。環状部14は上下方向から見て環状に形成されている。固定部15は、環状部14の径方向外端から上方に延びており、筒状に形成されている。環状部14および固定部15は、横孔12aよりも上方に形成され、容器体2の外部に位置している。環状部14により、固定部15が本体部11に接続されている。
【0023】
しごき片20は、口部2aに固定されている。しごき片20は、嵌合筒部21と、係止部22と、当接部23と、を有している。嵌合筒部21は口部2aの内側に嵌合されている。係止部22は嵌合筒部21の上端から径方向外側に延びており、口部2aの上端面にその上方から当接している。当接部23は嵌合筒部21の上下方向における中間部分から径方向内側に延びており、径方向内側に向かうに従って下方に向かうように傾斜している。当接部23は上下方向に対して傾斜した筒状に形成されている。当接部23は、弾性変形可能に形成され、軸部材10の本体部11の外周面に当接する。
【0024】
装着キャップ30は、下筒部31と、上筒部32と、接続部33と、中筒部34と、係止部35と、を有している。下筒部31の内周面には、口部2aの雄ネジ部に螺着する雌ネジ部が形成されている。これにより、装着キャップ30は、口部2aに対して着脱可能に装着されている。下筒部31のうち雌ネジ部が形成された部分の上方に、軸部材10の固定部15が嵌合している。これにより、軸部材10が装着キャップ30に固定されている。
【0025】
上筒部32は、下筒部31よりも上方に位置している。上筒部32の外周面には雄ネジ部が形成されている。接続部33は、上筒部32から径方向内側に延びており、上下方向から見て環状に形成されている。中筒部34は、接続部33の径方向内端から上方に延びており、筒状に形成されている。係止部35は、中筒部34の上端から径方向内側に延びており、上下方向から見て環状に形成されている。
【0026】
保持部材40は、操作部41と、囲繞筒部42と、保持部43と、を有している。操作部41は、上筒部32を囲う筒状に形成されており、内周面に雌ネジ部が形成されている。操作部41の雌ネジ部が上筒部32の雄ネジ部が螺着されていることで、保持部材40が装着キャップ30に対して容器軸O回りに回転すると、保持部材40が装着キャップ30に対して上下動する。囲繞筒部42は、操作部41よりも上方に位置している。保持部43は、囲繞筒部42から上方に延びており、上方に向かうに従って縮径する筒状に形成されている。保持部43は、第2塗布具4を径方向外側から保持している。
【0027】
連結部材50は、保持部材40と吐出部材60とを連結している。連結部材50は、固定筒部51と、環状部52と、保持筒部53と、を有している。固定筒部51は囲繞筒部42の内側に嵌合されており、これにより、連結部材50が保持部材40に固定されている。環状部52は固定筒部51から径方向内側に延び、上下方向から見て環状に形成されている。保持筒部53は環状部52の径方向内端から上方に延びており、上方に向かうに従って縮径する筒状に形成されている。保持筒部53は吐出部材60を径方向外側から保持している。
【0028】
図1Bに示すように、吐出部材60は、吐出筒61と、フランジ部62と、を有している。吐出筒61は、上方に向かうに従って縮径する筒状に形成されている。フランジ部62は、吐出筒61の上下方向における中間部分から径方向外側に突出しており、上下方向から見て環状に形成されている。連結部材50の固定筒部51には、フランジ部62にアンダーカット嵌合する嵌合突起が形成されており、これにより吐出部材60が連結部材50に固定されている。吐出筒61の上端開口部は、第2塗布具4に内容物を供給する際に、内容物が吐出される吐出孔61aとされている。
【0029】
本実施形態では、保持部材40、連結部材50、吐出部材60がそれぞれ別体であるが、保持部材40と連結部材50が一体であってもよいし、連結部材50と吐出部材60が一体であってもよい。あるいは、保持部材40、連結部材50、吐出部材60が一体に形成されていてもよい。
【0030】
開閉部材70は、周壁部71および底壁部72を有する有底筒状に形成されている。周壁部71は、吐出部材60の吐出筒61のうち、フランジ部62よりも下方の部分を径方向外側から囲っている。周壁部71には、複数の開閉孔71aおよび嵌合突起71bが形成されている。複数の開閉孔71aは、周壁部71を径方向に貫通しており、周方向に間隔を空けて形成されている。
図1Bに示すように、保持部材40が下降端位置(操作部41が下筒部31に当接した位置)にある場合、開閉孔71aは吐出筒61によって径方向内側から閉塞される。
【0031】
底壁部72には、上方に向けて突出する支持突起72aが形成されている。支持突起72aは、上下方向から見て環状に形成されており、吐出筒61の下端を径方向内側から支持している。底壁部72の上端には、径方向外側に突出するフランジ部73が形成されている。フランジ部73は係止部35に上方から接している。フランジ部73および嵌合突起71bが上下方向において係止部35を挟むことで、開閉部材70の装着キャップ30に対する上下動が規制されている。
【0032】
蓋体5は、有頂筒状に形成されており、第2塗布具4を覆っている。蓋体5の周壁の下端部は、保持部材40の囲繞筒部42に着脱可能に外嵌されている。
第2塗布具4は容器体2の上方に位置している。本実施形態の第2塗布具4は、先端が細い刷毛(筆)であり、第1塗布具3よりも狭い範囲で内容物を塗布することが可能となっている。このように、第1塗布具3と第2塗布具4とでは、種類が互いに異なっている。連結部材50の固定筒部51と保持筒部53との間に毛束を配置し、保持部43によって上端部の毛先を径方向内側に寄せることで、刷毛(筆)である第2塗布具4が構成されるとともに、保持部材40および連結部材50によって保持されている。第2塗布具4の内側において、吐出部材60の吐出孔61aが開口している。
【0033】
次に、以上のように構成された塗布具付容器1の作用について説明する。
【0034】
第1塗布具3を用いて内容物を被塗布部に塗布する場合は、蓋体5が装着されたまま、装着キャップ30を容器体2に対して容器軸O回りに回転させる。これにより、下筒部31の雌ネジ部と口部2aの雄ネジ部とが螺合し、装着キャップ30が容器体2に対して上昇する。このとき、装着キャップ30に固定されている軸部材10も上昇するが、しごき片20は口部2aに固定されているため、軸部材10はしごき片20に対して上昇する。これにより、当接部23が軸部材10の本体部11の外周面を摺動し、本体部11に付着した余分な内容物をしごき落とすことができる。第1塗布具3が容器体2から上方に離脱した後、第1塗布具3を被塗布部に当てることで、内容物を塗布できる。
【0035】
第2塗布具4を用いて内容物を被塗布部に塗布する場合は、例えば下筒部31と操作部41とを両手で把持することなどにより、保持部材40を装着キャップ30に対して容器軸O回りに回転させる。これにより、上筒部32の雄ネジ部と操作部41の雌ネジ部とが螺合し、保持部材40が装着キャップ30に対して上昇する。このとき、連結部材50を介して保持部材40に固定されている吐出部材60も上昇するが、開閉部材70は装着キャップ30に固定されているため、吐出部材60が開閉部材70に対して上昇する。これにより、
図2に示すように、吐出筒61による開閉孔71aの閉塞が解除される。
【0036】
開閉孔71aが開いた状態で、容器体2の胴部2bを握ることなどにより圧縮変形させると、容器体2の内圧が高まり、内容物が連通路12を通して軸部材10の上方に流動する。さらに、内容物は、周壁部71と中筒部34との間の隙間、開閉孔71a、および吐出筒61内を通過し、吐出孔61aから吐出される。吐出孔61aから吐出された内容物は、第2塗布具4に含浸若しくは付着する。したがって、蓋体5を外し、第2塗布具4を被塗布部に当てることで、内容物を塗布できる。なお、蓋体5を外すタイミングは適宜変更してもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の塗布具付容器1は、内容物を収容し、押圧により変形可能な容器体2と、容器体2の口部2aに装着された装着キャップ30と、装着キャップ30に固定され、容器体2の内部に連通する連通路12が形成された軸部材10と、容器体2の内部において軸部材10の下端に保持された第1塗布具3と、容器体2の上方に位置し、連通路12を通じて内容物が供給される第2塗布具4と、を備える。第1塗布具3を用いる場合は、装着キャップ30を口部2aから外し、第1塗布具3を容器体2から取り出せばよい。第2塗布具4を用いる場合は、装着キャップ30が口部2aに装着されたまま、容器体2を弾性変形させることで、連通路12を通して内容物を第2塗布具4に供給すればよい。このように、本実施形態によれば、第1塗布具3または第2塗布具4を選択的に用いて、内容物を被塗布部に塗布することができる。したがって、例えば広い範囲に内容物を塗布する場合にはスポンジ状の第1塗布具3を用い、より狭い範囲に内容物を塗布する場合には筆状の第2塗布具4を用いるなど、内容物を塗布する範囲を切り替えることが可能となっている。
【0038】
また、塗布具付容器1は、連通路12と第2塗布具4との間の流路を開閉可能な開閉部材70を備えている。したがって、第2塗布具4を使用しない場合に、不意に内容物が第2塗布具4に供給されて漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0039】
また、第1塗布具3および第2塗布具4の種類が互いに異なっていることで、内容物を塗布する範囲をより容易に切り替えることが可能である。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0041】
図3に示すように、本実施形態の塗布具付容器1Aは、第1実施形態における開閉部材70に代えて、開閉部材80を備えている。また、装着キャップ30の一部が第2塗布具36とされ、蓋体5および軸部材10の形状が第1実施形態と異なる。
【0042】
第2塗布具36は、上筒部32の上端を閉塞するように形成されている。第2塗布具36は、容器軸Oに対して傾斜した傾斜面とされている。第2塗布具36には、吐出孔36aと、嵌合部36bと、が形成されている。吐出孔36aは第2塗布具36を上下に貫通している。蓋体5の頂壁から下方に延びる柱状部5aが、吐出孔36aに対して、上方から挿入されている。嵌合部36bは、第2塗布具36から下方に向けて延びる筒状に形成されており、上筒部32の径方向内側に位置している。
【0043】
開閉部材80は、取付筒部81と、弁体82と、連結部83と、を有している。取付筒部81は上筒部32と嵌合部36bとの間の隙間に下方から挿入されており、嵌合部36bに外嵌されている。これにより、開閉部材80が装着キャップ30に取り付けられている。弁体82は、縦孔12bの上端開口を閉塞する板状に形成されている。弁体82と取付筒部81とは、連結部83によって連結されている。開閉部材80は、連通路12の内圧が高まったとき、弁体82が連結部83回りに上方に揺動し、縦孔12bを開放するように構成されている。すなわち、本実施形態の開閉部材80も、連通路12と吐出孔36aとの間の流路を開閉可能となっている。
【0044】
本実施形態の軸部材10は、本体部11が、下部16と上部17とに分かれて形成されている。下部16の上端部にはボールジョイント16aが設けられ、上部17の下端部には、ボールジョイント16aを回動可能に支持する支持部17aが設けられている。この構成により、下部16はボールジョイント16aを中心として回動可能となっている。連通路12(横孔12aおよび縦孔12b)は、上部17に形成されている。また、上部17の上端部には、有底筒状の弁座部18が形成されている。弁座部18の径方向中央部に縦孔12bが開口しており、開閉部材80の弁体82は弁座部18に上方から接している。弁座部18は下筒部31内に嵌合されており、これにより上部17が装着キャップ30に固定されている。ボールジョイント16aおよび支持部17aにより、上部17が装着キャップ30および容器体2に固定された状態で、下部16が容器体2内で変位可能に構成されている。
【0045】
第2塗布具36を用いて内容物を被塗布部に塗布する場合は、蓋体5を取り外し、容器体2の胴部2bを押圧して内圧を高める。これにより、連通路12を通じて流動する内容物が弁体82を押し上げ、連通路12と吐出孔36aとの間の流路が開放され、内容物が吐出孔36aから吐出される。したがって、第2塗布具36を被塗布部に当てることで、内容物を塗布することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の塗布具付容器1Aも、内容物を収容し、押圧により変形可能な容器体2と、容器体2の口部2aに装着された装着キャップ30と、装着キャップ30に固定され、容器体2の内部に連通する連通路12が形成された軸部材10と、容器体2の内部において軸部材10の下端に保持された第1塗布具3と、容器体2の上方に位置し、連通路12を通じて内容物が供給される第2塗布具36と、を備えている。これにより、第1実施形態と同様に、内容物を塗布する範囲を切り替えることが可能となる。
【0047】
また、塗布具付容器1Aは、連通路12と第2塗布具36との間の流路を開閉可能な開閉部材80を備えている。したがって、第2塗布具36を使用しない場合に、不意に内容物が第2塗布具36に供給されて漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態では、軸部材10の下部16が容器体2内で変位可能に構成されている。これにより、第2塗布具4を使用する際に、軸部材10の下部16を容器体2内で側方に寄せることで、容器体2を押圧により変形しやすくなる。また、第1塗布具3を使用する際に、下部16を蓋体5や装着キャップ30に対して変位させることで、使用者の好みに合わせた任意の角度に下部16を調整することが可能である。さらに、容器体2の内容物の残量が少なくなった場合、軸部材10の下部16を容器体2内で変位させることで、容器体2の底部2c周辺に溜まった内容物を第1塗布具3によって掬い取ることができる。したがって、内容物をより効率よく使い切ることができる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明するが、第2実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0050】
図4に示すように、本実施形態の塗布具付容器1Bは、外容器90を備えている。また、開閉部材80を備えておらず、軸部材10の本体部11が装着キャップ30の嵌合部36bに下方から挿入されている。
【0051】
外容器90は、外容器本体91と、ボタン92と、を有している。外容器本体91は有底筒状に形成されており、その内側に容器体2の胴部2bおよび底部2cが収容されている。容器体2の口部2aは、外容器本体91から上方に突出している。ボタン92は、外容器本体91に対して径方向に移動可能に設けられている。ボタン92は、径方向内側に向けて押圧されると、容器体2の胴部2bを圧縮して容器体2の内容積を減少させるように構成されている。
【0052】
本実施形態では、蓋体5を外してボタン92を押すと、容器体2の内圧が高まり、連通路12を通して内容物が吐出孔36aから吐出される。従って、使用者は、第2塗布具36を用いて内容物を被塗布部に塗布することができる。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0054】
具体的には、前記第1実施形態では、第1塗布具3の塗布体3aはスポンジ状であり、第2塗布具4は刷毛であったが、第1塗布具3および第2塗布具4の種類は適宜変更可能である。例えば、第1塗布具3が、第2塗布具4よりも広範囲に内容物を塗布することが可能な刷毛であってもよい。
また、軸部材10の本体部11は、上下方向に延びる筒状であってもよい。
また、第1~第3実施形態において、第1塗布具が第2塗布具よりも狭い範囲で内容物を塗布するように構成されていてもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1、1A、1B…塗布具付容器 2…容器体 2a…口部 3…第1塗布具 4、36…第2塗布具 10…軸部材 12…連通路 30…装着キャップ 36a、61a…吐出孔 70、80…開閉部材