IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

<>
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図1
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図2
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図3
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図4
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図5
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図6
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図7
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図8
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図9
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図10
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図11
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図12
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図13
  • 特許-作業機械の遠隔操作システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】作業機械の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240621BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240621BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/26 A
E02F9/24 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020092563
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021188310
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 康博
(72)【発明者】
【氏名】森永 淳
(72)【発明者】
【氏名】皆川 真範
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-144378(JP,A)
【文献】特開平11-158930(JP,A)
【文献】特開2004-018220(JP,A)
【文献】特開平05-196004(JP,A)
【文献】特開2020-084702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/26
E02F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地からの操作信号により動作する作業機械が有する作業機の姿勢の検出データ、又は近接スイッチの出力を受信するセンサデータ受信部と、
前記検出データ、又は近接スイッチの出力に基づいて、前記作業機が可動範囲の端部位置に接近している又は到達したと判定した場合、警報制御信号を出力する警報制御部と、
作業現場の画像を受信する画像データ受信部と、
前記画像を表示する表示部と、
前記遠隔地に設けられ、前記警報制御部からの前記警報制御信号に基づいて、警報を出力する警報装置と、を備える、
作業機械の遠隔操作システム。
【請求項2】
前記作業機が前記端部位置を含む前記可動範囲の端部区間において前記端部位置に接近している場合、前記作業機の速度が減少され、
前記警報制御部は、前記検出データ、又は近接スイッチの出力に基づいて、前記端部区間に隣接する警報区間において前記作業機が前記端部位置に接近していると判定した場合、前記警報制御信号を出力する、
請求項1に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記警報制御部は、前記検出データ、又は近接スイッチの出力に基づいて、前記作業機が前記端部区間において前記端部位置に接近していると判定した場合、前記警報制御信号を出力する、
請求項2に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記警報制御部は、前記検出データ、又は近接スイッチの出力に基づいて、前記作業機が前記端部位置に到達したと判定した場合、前記警報制御信号を出力する、
請求項2又は請求項3に記載の作業機械の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、作業機械を遠隔操作する技術が知られている。作業機械の遠隔操作において、作業機械が稼働する作業現場の画像が撮像装置により撮像される。撮像装置により撮像された画像は、遠隔地に送信され、遠隔地に配置されている表示装置に表示される。遠隔地の操作者は、表示装置に表示された画像を見ながら、作業機械を遠隔操作する。特許文献1には、撮像装置が旋回体の運転室に配置され、運転室の前方の画像を撮像する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-068236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械は、作業機を用いて作業を実施する。作業機を用いる作業において、作業機に衝撃が作用する可能性がある。遠隔地の操作者は、作業機に作用する衝撃を認識することが困難である。そのため、遠隔地の操作者は、作業機に過度な衝撃が作用する遠隔操作を実施してしまう可能性がある。作業機に過度な衝撃が作用すると、作業機の劣化が促進される可能性がある。
【0005】
本開示は、作業機に衝撃が作用することを遠隔地の操作者に認識させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、遠隔地からの操作信号により動作する作業機械が有する作業機の姿勢の検出データを受信するセンサデータ受信部と、前記検出データに基づいて、前記作業機が可動範囲の端部位置に接近している又は到達したと判定した場合、警報制御信号を出力する警報制御部と、前記遠隔地に設けられ、前記警報制御部からの前記警報制御信号に基づいて、警報を出力する警報装置と、を備える、作業機械の遠隔操作システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機に衝撃が作用することを遠隔地の操作者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業機械の遠隔操作システムを示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
図4図4は、実施形態に係る遠隔操作室を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機械の油圧システムを示す模式図である。
図6図6は、実施形態に係る作業機械の遠隔操作システムを示す機能ブロック図である。
図7図7は、実施形態に係る作業機要素の可動範囲を説明するための模式図である。
図8図8は、実施形態に係る第1画像処理部の処理を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る表示制御部の処理を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る警報制御部の処理を説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係る作業機械の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
図13図13は、実施形態に係る作業機械の動作を説明するための図である。
図14図14は、実施形態に係る作業機械の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、作業機械1の旋回体3の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0011】
[第1実施形態]
<遠隔操作システム>
図1は、実施形態に係る作業機械1の遠隔操作システム100を示す模式図である。遠隔操作システム100は、作業現場で稼動する作業機械1を遠隔操作する。作業現場として、鉱山又は採石場が例示される。
【0012】
遠隔操作システム100の少なくとも一部は、遠隔操作室200に配置される。遠隔操作室200は、作業現場から離れた遠隔地に設置される。遠隔操作システム100は、遠隔操作装置40と、表示装置50と、制御装置60とを備える。
【0013】
遠隔操作装置40は、遠隔操作室200に配置される。遠隔操作装置40は、遠隔操作室200において操作者に操作される。操作者は、操縦シート45に着座した状態で、遠隔操作装置40を操作することができる。
【0014】
表示装置50は、遠隔操作室200に配置される。表示装置50は、作業現場の画像を表示する。遠隔操作室200の操作者は、作業現場の状況を直接視認することができない。遠隔操作室200の操作者は、表示装置50を介して作業現場の状況を視認することができる。
【0015】
操作者は、表示装置50に表示される作業現場の画像を見ながら、遠隔操作装置40を操作する。作業機械1は、遠隔操作装置40によって遠隔操作される。
【0016】
制御装置60は、遠隔操作室200に配置される。制御装置60は、コンピュータシステムを含む。
【0017】
作業機械1は、制御装置300を備える。制御装置300は、コンピュータシステムを含む。
【0018】
制御装置60と制御装置300とは、通信システム400を介して通信する。通信システム400として、インターネット(internet)、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、携帯電話通信網、及び衛星通信網が例示される。通信システム400は、通信されるデータを中継する中継局を含んでもよい。
【0019】
<作業機械>
図2は、実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。図3は、実施形態に係る作業機械1を示す側面図である。実施形態においては、作業機械1が積込機械の一種である油圧ショベルであることとする。作業機械1は、作業現場において稼働する。作業機械1は、例えば作業現場の積込場において稼働する。作業機械1は、作業対象の掘削作業を実施する。作業対象として、土砂又は鉱石が例示される。また、作業現場において、運搬車両の一種であるダンプトラックが稼働する。作業機械1は、ダンプトラックに積荷を積み込む積込作業を実施する。積荷として、掘削作業により掘削された掘削物が例示される。
【0020】
図2及び図3に示すように、作業機械1は、走行体2と、走行体2に支持される旋回体3と、旋回体3に取り付けられる作業機4と、作業機4を駆動する油圧シリンダ5と、作業機械1の位置を検出する位置センサ71と、旋回体3の姿勢を検出する車体姿勢センサ72と、作業機4の姿勢を検出する作業機姿勢センサ73と、撮像装置30とを備える。
【0021】
走行体2は、旋回体3を支持した状態で走行する。旋回体3は、作業機械1の車体である。走行体2は、旋回体3の下方に配置される。走行体2は、旋回体3を旋回可能に支持する。走行体2は、駆動輪2Aと、従動輪2Bと、駆動輪2A及び従動輪2Bに支持される履帯2Cとを有する。駆動輪2A及び従動輪2Bのそれぞれは、回転軸DXを中心に回転する。駆動輪2A、従動輪2B、及び履帯2Cのそれぞれは、一対設けられる。駆動輪2Aの回転により、履帯2Cが回転する。履帯2Cが回転することにより、走行体2が走行する。
【0022】
旋回体3は、走行体2に支持された状態で旋回軸RXを中心に旋回可能である。旋回軸RXは、上下方向に延伸する。旋回体3は、運転室3Aと、ロアデッキ3Bと、ステップ3Cと、アッパデッキ3Dとを有する。運転室3Aは、作業者が搭乗可能な旋回体3の内部空間である。運転室3Aは、旋回体3の前部且つ上部に配置される。ロアデッキ3Bは、旋回体3の後部且つ下部に配置される。アッパデッキ3Dは、旋回体3の前部且つ上部に配置される。ステップ3Cは、ロアデッキ3Bとアッパデッキ3Dとを繋ぐ。アッパデッキ3Dは、運転室3Aを囲むように配置される。アッパデッキ3Dの少なくとも一部は、運転室3Aの前方に配置される。ロアデッキ3B、ステップ3C、及びアッパデッキ3Dのそれぞれに、柵状の手すり3Eが配置される。
【0023】
ロアデッキ3B、ステップ3C、及びアッパデッキ3Dのそれぞれは、作業者が通行可能な通路を含む。作業者は、ロアデッキ3B、ステップ3C、及びアッパデッキ3Dを通行して、運転室3Aに搭乗することができる。
【0024】
また、旋回体3は、ラダー3Fを有する。ラダー3Fは、アッパデッキ3Dに繋がる。
【0025】
作業機4は、旋回体3の前部に取り付けられる。作業機4は、旋回軸RXよりも前方に配置される。作業機4は、前方に延伸するように動作することができる。作業機4は、旋回体3に連結されるブーム4Aと、ブーム4Aに連結されるアーム4Bと、アーム4Bに連結されるバケット4Cとを含む。ブーム4Aの基端部は、ピンを介して旋回体3の前部に連結される。アーム4Bの基端部は、ピンを介してブーム4Aの先端部に連結される。バケット4Cの基端部は、ピンを介してアーム4Bの先端部に連結される。バケット4Cは、先端刃4Dを有する。バケット4Cにより作業対象が掘削される。
【0026】
ブーム4Aは、ブーム回転軸AXを中心に回転可能に旋回体3の前部に連結される。アーム4Bは、アーム回転軸BXを中心に回転可能にブーム4Aに連結される。バケット4Cは、バケット回転軸CXを中心に回転可能にアーム4Bに連結される。
【0027】
ブーム回転軸AXとアーム回転軸BXとバケット回転軸CXとは、平行である。ブーム回転軸AX、アーム回転軸BX、及びバケット回転軸CXのそれぞれは、旋回体3の車幅方向に延伸する。
【0028】
実施形態において、作業機械1は、ローディングショベルである。ローディングショベルとは、バケット4Cの先端刃4Dが前方を向くようにバケット4Cがアーム4Bに取り付けられている油圧ショベルをいう。
【0029】
油圧シリンダ5は、ブーム4Aを駆動するブームシリンダ5Aと、アーム4Bを駆動するアームシリンダ5Bと、バケット4Cを駆動するバケットシリンダ5Cとを含む。ブームシリンダ5Aの基端部は、旋回体3に連結される。ブームシリンダ5Aの先端部は、ブーム4Aに連結される。アームシリンダ5Bの基端部は、ブーム4Aに連結される。アームシリンダ5Bの先端部は、アーム4Bに連結される。バケットシリンダ5Cの基端部は、ブーム4Aに連結される。バケットシリンダ5Cの先端部は、バケット4Cに連結される。
【0030】
位置センサ71は、作業機械1の位置を検出する。位置センサ71は、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)を利用して作業機械1の絶対位置を検出する。位置センサ71は、旋回体3に設けられたGNSS受信機を含む。
【0031】
車体姿勢センサ72は、旋回体3の姿勢を検出する。旋回体3の姿勢は、水平面に対する旋回体3の傾斜角度(ロール、ピッチ)を含む。車体姿勢センサ72は、旋回体3に設けられた慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含む。
【0032】
作業機姿勢センサ73は、作業機4の姿勢を検出する。作業機4の姿勢は、作業機4の角度を含む。作業機姿勢センサ73は、旋回体3に対するブーム4Aの角度を検出するブーム姿勢センサ73Aと、ブーム4Aに対するアーム4Bの角度を検出するアーム姿勢センサ73Bと、アーム4Bに対するバケット4Cの角度を検出するバケット姿勢センサ73Cとを含む。
【0033】
実施形態において、作業機姿勢センサ73は、油圧シリンダ5に配置されたストロークセンサである。油圧シリンダ5は、シリンダチューブと、シリンダチューブの内側で移動するピストンと、ピストンに接続されるロッドとを有する。ストロークセンサは、ロッドの移動距離を示す油圧シリンダ5のストローク長を検出する。ストローク長とは、油圧シリンダ5のストロークエンドからのロッドの移動距離をいう。ストロークエンドとは、ロッドの可動範囲の端部位置をいう。すなわち、ストロークエンドとは、油圧シリンダ5が最も縮んだ状態のロッドの位置又は油圧シリンダ5が最も伸びた状態のロッドの位置をいう。
【0034】
ブーム姿勢センサ73Aは、ブームシリンダ5Aに配置されたストロークセンサである。ブーム姿勢センサ73Aは、ブームシリンダ5Aのストローク長を検出する。
【0035】
アーム姿勢センサ73Bは、アームシリンダ5Bに配置されたストロークセンサである。アーム姿勢センサ73Bは、アームシリンダ5Bのストローク長を検出する。
【0036】
バケット姿勢センサ73Cは、バケットシリンダ5Cに配置されたストロークセンサである。バケット姿勢センサ73Cは、バケットシリンダ5Cのストローク長を検出する。
【0037】
撮像装置30は、作業現場を撮像して作業現場の画像を取得する。撮像装置30は、旋回体3に配置される。撮像装置30は、旋回体3に固定される。
【0038】
撮像装置30により取得される作業現場の画像として、作業機械1の作業対象の画像、作業機械1の少なくとも一部の画像、作業現場に存在する構造物の画像、作業機械1とは別の作業機械の画像、及び作業現場で働く作業者の画像が例示される。実施形態において、作業機械1の作業対象の画像は、作業機4の掘削対象の画像を含む。
【0039】
撮像装置30は、光学系と、光学系を通過した光を受光するイメージセンサとを有する。イメージセンサは、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。
【0040】
実施形態において、撮像装置30は、撮像範囲Mを撮像する。撮像範囲Mは、作業機械1の作業対象を含むように設定される。
【0041】
実施形態において、上下方向は、旋回軸RXと平行な方向である。左右方向は、ブーム回転軸AXと平行な方向である。前後方向は、ブーム回転軸AX及び旋回軸RXの両方と直交する方向である。走行体2の接地面を基準として旋回体3が存在する方向が上方であり、上方の逆方向が下方である。旋回軸RXを基準として左右方向の一方が右方であり、右方の逆方向が左方である。旋回軸RXを基準として作業機4が存在する方向が前方であり、前方の逆方向が後方である。
【0042】
実施形態において、撮像装置30は、運転室3Aに配置される。撮像装置30の光学系の光軸OAは、前後方向に延伸する。
【0043】
以下の説明において、撮像装置30により撮像された撮像範囲Mの画像を適宜、画像P、と称する。
【0044】
<遠隔操作室>
図4は、実施形態に係る遠隔操作室200を示す図である。図4に示すように、遠隔操作室200に遠隔操作装置40及び表示装置50が配置される。
【0045】
遠隔操作装置40は、操縦シート45に着座した操作者に操作される。操作者は、表示装置50の表示画面と正対するように操縦シート45に着座する。操作者は、表示装置50の表示画面を見ながら、遠隔操作装置40を操作する。
【0046】
遠隔操作装置40が操作されることにより生成された操作信号は、制御装置60及び通信システム400を介して作業機械1の制御装置300に送信される。制御装置300は、通信システム400を介して取得した操作信号に基づいて、作業機械1を動作させる。作業機械1は、作業機械1の遠隔地からの操作信号により動作する。作業機械1の動作は、走行体2の動作、旋回体3の動作、及び作業機4の動作の少なくとも一つを含む。
【0047】
走行体2の動作は、走行体2の前進動作及び後進動作を含む。旋回体3の動作は、旋回体3の左旋回動作及び右旋回動作を含む。作業機4の動作は、ブーム4Aの上げ動作、ブーム4Aの下げ動作、アーム4Bのダンプ動作、アーム4Bの掘削動作、バケット4Cの掘削動作、及びバケット4Cのダンプ動作を含む。
【0048】
遠隔操作装置40は、旋回体3及び作業機4の動作のために操作される左作業レバー41及び右作業レバー42と、走行体2の動作のために操作される左走行ペダル43及び右走行ペダル44とを含む。
【0049】
左作業レバー41は、操縦シート45の左方に配置される。右作業レバー42は、操縦シート45の右方に配置される。一例として、左作業レバー41が前後方向に操作されることにより、アーム4Bがダンプ動作又は掘削動作する。左作業レバー41が左右方向に操作されることにより、旋回体3が左旋回動作又は右旋回動作する。右作業レバー42が左右方向に操作されることにより、バケット4Cが掘削動作又はダンプ動作する。右作業レバー42が前後方向に操作されることにより、ブーム4Aが下げ動作又は上げ動作する。なお、左作業レバー41が前後方向に操作されたときに旋回体3が右旋回動作又は左旋回動作し、左作業レバー41が左右方向に操作されたときにアーム4Bがダンプ動作又は掘削動作してもよい。左作業レバー41の操作方向及び右作業レバー42の操作方向と作業機4の動作との関係は任意である。
【0050】
左走行ペダル43及び右走行ペダル44は、操縦シート45の前側下方に配置される。左走行ペダル43は、右走行ペダル44の左方に配置される。左走行ペダル43が操作されることにより、走行体2の左側の履帯2Cが前進動作又は後進動作する。右走行ペダル44が操作されることにより、走行体2の右側の履帯2Cが前進動作又は後進動作する。
【0051】
また、遠隔操作室200には、作業機械1の稼働状況を示す作業機械稼働データを表示する第1モニタ装置501と、作業機械1に搭載されている電気機器を作動させるために操作される操作スイッチ502とが配置される。第1モニタ装置501は、作業機械稼働データとして、例えば作業機械1に搭載されているエンジンの燃料の残量、エンジンの冷却液の温度、油圧シリンダ5を駆動するための作動油の温度、及び走行体2の走行速度を表示する。操作スイッチ502は、作業機械1に搭載されている電気機器として、例えば作業機械1に設けられている前照灯を作動させる。
【0052】
表示装置50は、作業機械1から送信された画像Pを表示する。画像Pは、制御装置300及び通信システム400を介して、遠隔操作システム100の制御装置60に送信される。制御装置60は、通信システム400を介して取得した画像Pを表示装置50に表示させる。
【0053】
表示装置50は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。実施形態において、表示装置50は、隣接するように配置された複数のフラットパネルディスプレイを含む。実施形態において、表示装置50は、中央ディスプレイ51と、中央ディスプレイ51の左側に配置される左ディスプレイ52と、中央ディスプレイ51の右側に配置される右ディスプレイ53と、中央ディスプレイ51の上側に配置される上ディスプレイ54と、中央ディスプレイ51の下側に配置される下ディスプレイ55とを含む。
【0054】
表示装置50に表示される画像Pは、操作者が作業機械1の運転室3Aに設けられている運転シートに着座したと仮定したときの操作者の前方空間の視界に相当する画像である。遠隔操作室200の操作者は、作業機械1の運転シートに実際に着座している感覚を得ることができる。
【0055】
遠隔操作室200の操作者は、遠隔操作装置40を操作して作業機4を動作させて、作業対象を掘削する。作業機4のバケット4Cにより掘削された掘削物は、積荷としてダンプトラックに積み込まれる。
【0056】
実施形態において、ダンプトラックは、作業現場の管制施設から送信される制御指令に基づいて走行する無人ダンプトラックである。遠隔操作室200には、作業現場における無人ダンプトラックの稼働状況を示すダンプトラック稼働データを表示する第2モニタ装置503が配置される。無人ダンプトラックには、無人ダンプトラックの位置データを検出する位置センサが配置される。位置センサは、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)を利用して無人ダンプトラックの絶対位置を検出する。第2モニタ装置503は、ダンプトラック稼働データとして、作業現場で稼動する複数の無人ダンプトラックのそれぞれの位置を表示する。また、操作者は、第2モニタ装置503に設けられている入力装置を操作して、無人ダンプトラックを停車させたり発車させたりすることができる。
【0057】
また、遠隔操作室200には、作業機4のガイダンスデータを表示する第3モニタ装置504が配置される。ガイダンスデータとして、作業対象の目標設計面と作業機4との相対距離、作業対象の形状、及び作業対象の鉱石分布が例示される。
【0058】
<油圧システム>
図5は、実施形態に係る作業機械1の油圧システム20を示す模式図である。図5に示すように、油圧システム20は、油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から供給された作動油に基づいて作業機4を駆動する油圧シリンダ5と、油圧ポンプ21に接続されるポンプ流路22と、ポンプ流路22を介して油圧シリンダ5に供給される作動油の流量を調整する流量制御弁23と、油圧シリンダ5の作動油の圧力を検出する圧力センサ74とを備える。
【0059】
油圧ポンプ21は、作業機械1の動力源から伝達された動力により駆動する。作業機械1の動力源として、ディーゼルエンジン又は電動モータが例示される。油圧ポンプ21は、作動油を吐出する。実施形態において、油圧ポンプ21は、可変容量型油圧ポンプである。
【0060】
油圧シリンダ5は、油圧ポンプ21から供給された作動油に基づいて作業機4を動作させる。作業機4は、所定の可動範囲で動作する。油圧シリンダ5は、ブーム4Aを動作させるブームシリンダ5Aと、アーム4Bを動作させるアームシリンダ5Bと、バケット4Cを動作させるバケットシリンダ5Cとを含む。
【0061】
油圧シリンダ5は、ボトム室BRとロッド室RRとを有する。ボトム室BRに作動油が供給されることにより、油圧シリンダ5は伸びる。ロッド室RRに作動油が供給されることにより、油圧シリンダ5は縮む。
【0062】
流量制御弁23は、油圧シリンダ5に供給される作動油の流量を調整する。流量制御弁23は、ブームシリンダ5Aに供給される作動油の流量を調整するブーム流量制御弁23Aと、アームシリンダ5Bに供給される作動油の流量を調整するアーム流量制御弁23Bと、バケットシリンダ5Cに供給される作動油の流量を調整するバケット流量制御弁23Cとを含む。
【0063】
流量制御弁23は、ポンプポートPaと、ボトムポートPbと、ロッドポートPcと、タンクポートPdとを有する。
【0064】
ポンプポートPaは、供給流路24及びポンプ流路22を介して油圧ポンプ21に接続される。ボトムポートPbは、ボトム流路25を介して油圧シリンダ5のボトム室BRに接続される。ロッドポートPcは、ロッド流路26を介して油圧シリンダ5のロッド室RRに接続される。タンクポートPdは、排出流路27を介してタンク28に接続される。
【0065】
油圧ポンプ21から吐出された作動油は、ポンプ流路22及び供給流路24を流通した後、ポンプポートPaから流量制御弁23に流入することができる。ボトムポートPbから流出した作動油は、ボトム流路25を流通した後、油圧シリンダ5のボトム室BRに流入することができる。また、油圧シリンダ5のボトム室BRから流出した作動油は、ボトム流路25を流通した後、ボトムポートPbから流量制御弁23に流入することができる。ロッドポートPcから流出した作動油は、ロッド流路26を流通した後、油圧シリンダ5のロッド室RRに流入することができる。また、油圧シリンダ5のロッド室RRから流出した作動油は、ロッド流路26を流通した後、ロッドポートPcから流量制御弁23に流入することができる。タンクポートPdから流出した作動油は、排出流路27を流通した後、タンク28に排出される。
【0066】
流量制御弁23は、ロッド状のスプールを移動させて油圧シリンダ5に供給される作動油の流量及び方向を切り換えるスライドスプール方式の流量制御弁である。スプールが軸方向に移動することにより、ボトム室BRに対する作動油の供給とロッド室RRに対する作動油の供給とが切り換わる。また、スプールの移動量に基づいて、油圧シリンダ5に供給される作動油の流量が調整される。
【0067】
流量制御弁23のスプールは、油圧シリンダ5のボトム室BRに作動油を供給する第1作動位置Q1と、油圧シリンダ5のロッド室RRに作動油を供給する第2作動位置Q2と、第1作動位置Q1と第2作動位置Q2との間に配置され作動油を流通させない停止位置Q3とに移動する。
【0068】
流量制御弁23のスプールが第1作動位置Q1に配置されると、油圧ポンプ21から吐出された作動油は、ポンプ流路22及び供給流路24を流通した後、ポンプポートPaから流量制御弁23に流入し、ボトムポートPbから流出する。ボトムポートPbから流出した作動油は、ボトム流路25を流通した後、油圧シリンダ5のボトム室BRに流入する。これにより、油圧シリンダ5は、伸びる。油圧シリンダ5が伸びると、ロッド室BRから作動油が流出する。油圧シリンダ5のロッド室BRから流出した作動油は、ロッド流路26を流通した後、ロッドポートPcから流量制御弁23に流入し、タンクポートPdから流出する。タンクポートPdから流出した作動油は、排出流路27を介してタンク28に排出される。
【0069】
流量制御弁23のスプールが第2作動位置Q2に配置されると、油圧ポンプ21から吐出された作動油は、ポンプ流路22及び供給流路24を流通した後、ポンプポートPaから流量制御弁23に流入し、ロッドポートPcから流出する。ロッドポートPcから流出した作動油は、ロッド流路26を流通した後、油圧シリンダ5のロッド室RRに流入する。これにより、油圧シリンダ5は、縮む。油圧シリンダ5が縮むと、ボトム室BRから作動油が流出する。油圧シリンダ5のボトム室BRから流出した作動油は、ボトム流路25を流通した後、ボトムポートPbから流量制御弁23に流入し、タンクポートPdから流出する。タンクポートPdから流出した作動油は、排出流路27を介してタンク28に排出される。
【0070】
流量制御弁23のスプールが停止位置Q3に配置されると、作動油は、流量制御弁23を流通することができない。油圧シリンダ5は、伸縮しない。
【0071】
圧力センサ74は、油圧シリンダ5の作動油の圧力を検出する。圧力センサ74は、ブームシリンダ5Aの作動油の圧力を検出するブーム圧力センサ74Aと、アームシリンダ5Bの作動油の圧力を検出するアーム圧力センサ74Bと、バケットシリンダ5Cの作動油の圧力を検出するバケット圧力センサ74Cとを含む。
【0072】
実施形態において、圧力センサ74は、油圧シリンダ5に供給される作動油の圧力を検出する。圧力センサ74は、ボトム流路25及びロッド流路26のそれぞれに設けられる。ロッド室RRに作動油が供給され、油圧シリンダ5が縮む場合、ロッド流路26に設けられている圧力センサ74が、油圧シリンダ5に供給される作動油の圧力を検出する。ボトム室BRに作動油が供給され、油圧シリンダ5が伸びる場合、ボトム流路25に設けられている圧力センサ74が、油圧シリンダ5に供給される作動油の圧力を検出する。なお、圧力センサ74は、ボトム室BR及びロッド室RRのそれぞれに設けられてもよい。
【0073】
<制御装置>
図6は、実施形態に係る作業機械1の遠隔操作システム100を示す機能ブロック図である。図6に示すように、遠隔操作システム100は、遠隔地に配置される通信装置6と、通信装置6に接続される制御装置60と、制御装置60に接続される遠隔操作装置40と、制御装置60に接続される表示装置50とを備える。また、遠隔操作システム100は、作業機械1に配置される通信装置7と、通信装置7に接続される制御装置300と、制御装置300に接続される撮像装置30と、制御装置300に接続されるセンサ70と、制御装置300により制御される走行体2と、制御装置300により制御される旋回体3と、制御装置300により制御される油圧シリンダ5とを備える。センサ70は、位置センサ71と、車体姿勢センサ72と、作業機姿勢センサ73と、圧力センサ74とを含む。
【0074】
制御装置300は、走行体制御部301と、旋回体制御部302と、作業機制御部303と、ストロークエンド判定部304と、画像データ送信部305と、センサデータ送信部306とを有する。
【0075】
走行体制御部301は、制御装置60から送信された遠隔操作装置40の操作信号を受信する。走行体制御部301は、遠隔操作装置40の操作信号に基づいて、走行体2の動作を制御する制御信号を出力する。
【0076】
旋回体制御部302は、制御装置60から送信された遠隔操作装置40の操作信号を受信する。旋回体制御部302は、遠隔操作装置40の操作信号に基づいて、旋回体3の動作を制御する制御信号を出力する。
【0077】
作業機制御部303は、制御装置60から送信された遠隔操作装置40の操作信号を受信する。作業機制御部303は、遠隔操作装置40の操作信号に基づいて、作業機4の動作を制御する制御信号を出力する。作業機4の動作を制御する制御信号は、油圧シリンダ5の動作を制御する制御信号を含む。油圧シリンダ5の動作を制御する制御信号は、流量制御弁23を制御する制御信号を含む。
【0078】
ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4の角度を算出する。作業機4の角度と油圧シリンダ5のストローク長とは相関する。ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて演算処理を実施して、作業機4の角度を算出することができる。ストロークエンド判定部304は、ブーム姿勢センサ73Aの検出データに基づいて演算処理を実施して、旋回体3に対するブーム4Aの角度を算出することができる。ストロークエンド判定部304は、アーム姿勢センサ73Bの検出データに基づいて演算処理を実施して、ブーム4Aに対するアーム4Bの角度を算出することができる。ストロークエンド判定部304は、バケット姿勢センサ73Cの検出データに基づいて演算処理を実施して、アーム4Bに対するバケット4Cの角度を算出することができる。
【0079】
また、ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、油圧シリンダ5のシリンダ位置を算出することができる。シリンダ位置とは、油圧シリンダ5のストロークエンドに対するロッドの相対位置をいう。上述のように、ストロークエンドとは、ロッドの可動範囲の端部位置をいう。ストロークエンド判定部304は、ブーム姿勢センサ73Aの検出データに基づいて演算処理を実施して、ブームシリンダ5Aのシリンダ位置を算出することができる。ストロークエンド判定部304は、アーム姿勢センサ73Bの検出データに基づいて演算処理を実施して、アームシリンダ5Bのシリンダ位置を算出することができる。ストロークエンド判定部304は、バケット姿勢センサ73Cの検出データに基づいて演算処理を実施して、バケットシリンダ5Cのシリンダ位置を算出することができる。
【0080】
また、ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、油圧シリンダ5のストローク長を算出することができる。上述のように、ストローク長とは、油圧シリンダ5のストロークエンドからのロッドの移動距離をいう。
【0081】
また、ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、油圧シリンダ5のシリンダ速度を算出することができる。シリンダ速度とは、油圧シリンダ5のシリンダチューブに対するロッドの速度をいう。ストロークエンド判定部304は、ブーム姿勢センサ73Aの検出データに基づいて演算処理を実施して、ブームシリンダ5Aのシリンダ速度を算出することができる。ストロークエンド判定部304は、アーム姿勢センサ73Bの検出データに基づいて演算処理を実施して、アームシリンダ5Bのシリンダ速度を算出することができる。ストロークエンド判定部304は、バケット姿勢センサ73Cの検出データに基づいて演算処理を実施して、バケットシリンダ5Cのシリンダ速度を算出することができる。
【0082】
すなわち、実施形態において、作業機姿勢センサ73は、作業機4の角度センサ、油圧シリンダ5のシリンダ位置センサ、油圧シリンダ5のストローク長センサ、及び油圧シリンダ5のシリンダ速度センサの少なくとも一つとして機能することができる。
【0083】
なお、作業機姿勢センサ73は、ポテンショメータのような作業機4の角度を検出可能な角度センサを含んでもよい。また、作業機姿勢センサ73は、作業機4に設けられた慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)でもよい。
【0084】
ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部位置に接近しているか否かを判定する。
【0085】
図7は、実施形態に係る作業機4の可動範囲を説明するための模式図である。作業機4は、相対移動可能な複数の作業機要素を含む。作業機4の作業機要素は、ブーム4A、アーム4B、及びバケット4Cを含む。以下の説明において、作業機4の可動範囲は、作業機要素の可動範囲であることとする。
【0086】
作業機4は、油圧シリンダ5のストロークにより定められる可動範囲において移動することができる。作業機4の可動範囲は、油圧シリンダ5のロッドの可動範囲に基づいて定められる。作業機4の可動範囲の端部位置は、油圧シリンダ5のストロークエンドに基づいて規定される。油圧シリンダ5がストロークエンドに到達すると、作業機4は可動範囲の端部位置に到達する。
【0087】
実施形態において、作業機4の可動範囲に、端部区間、警報区間、及び中間区間が規定される。端部区間とは、端部位置を含む可動範囲の一部の区間をいう。中間区間とは、可動範囲の中央位置を含む可動区間の一部の区間をいう。警報区間とは、端部区間と中央位置との間の可動範囲の一部の区間をいう。実施形態において、警報区間とは、端部区間と中間区間との間の区間をいう。警報区間は、端部区間及び中間区間のそれぞれに隣接するように規定される。後述するように、作業機4が警報区間において端部位置に接近している場合、遠隔地において警報が出力される。
【0088】
なお、警報区間は、端部区間に含まれてもよい。警報区間は、省略されてもよい。
【0089】
可動範囲に対する端部区間の長さの比率は、任意に設定可能である。端部区間は、可動範囲の1[%]以上20[%]以下の任意の比率でもよい。同様に、可動範囲に対する警報区間の長さの比率は、任意に設定可能である。警報区間は、可動範囲の1[%]以上20[%]以下の任意の比率でもよい。端部区間の長さは、中間区間の長さよりも短い。
【0090】
ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部位置を含む端部区間に存在するか否かを判定する。作業機4の可動範囲の端部位置は、油圧シリンダ5のストロークエンドに基づいて規定される。作業機4の可動範囲の端部区間は、油圧シリンダ5のストローク長に基づいて規定される。ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部区間に存在するか否かを判定することができる。
【0091】
同様に、ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部区間と中央位置との間の警報区間に存在するか否かを判定することができる。ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の中央位置を含む中間区間に存在するか否かを判定することができる。
【0092】
実施形態において、作業機制御部303は、クッション制御を実施する。クッション制御とは、油圧シリンダ5のロッドがストロークエンドに接近したときにロッドを減速させる制御をいう。クッション制御においては、作業機制御部303は、遠隔操作装置40により生成された操作信号に基づくシリンダ速度よりもロッドを減速させる。クッション制御においては、油圧シリンダ5のロッドとストロークエンドとの距離が短くなるほど、ロッドの速度が減少される。クッション制御により、油圧シリンダ5のロッドがストロークエンドに到達したときの衝撃が緩和される。
【0093】
作業機制御部303は、ストロークエンド判定部304により作業機4が可動範囲の端部位置に接近していると判定された場合、油圧シリンダ5に供給される作動油の流量を減少させる制御指令を流量制御弁23に出力する。これにより、端部位置に接近する作業機4の速度を減少させるクッション制御が実施される。クッション制御においては、作業機4と端部位置との距離が短くなるほど、作業機4の速度が減少される。なお、作業機4の速度は、作業機4と端部位置との距離が短くなるほど漸次減少されてもよいし、段階的に減少されてもよい。なお、クッション制御において、作業機4が端部位置に到達するときに、作業機4の速度がゼロになってもよいし、ゼロにならなくてもよい。
【0094】
実施形態において、クッション制御は、作業機4が端部区間に配置され、且つ、作業機4が端部位置に接近するように動作するときに実施される。すなわち、作業機制御部303は、ストロークエンド判定部304により、作業機4が端部区間において端部位置に接近していると判定された場合、油圧シリンダ5に供給される作動油の流量を減少させる制御指令を流量制御弁23に出力する。これにより、作業機4が端部区間において端部位置に接近している場合、作業機4の速度を減少させるクッション制御が実施される。
【0095】
例えば、作業機制御部303は、ストロークエンド判定部304によりブーム4Aが可動範囲の端部区間において端部位置に接近するように動作していると判定された場合、ブームシリンダ5Aに供給される作動油の流量を減少させる制御指令をブーム流量制御弁23Aに出力する。作業機制御部303は、ストロークエンド判定部304によりアーム4Bが可動範囲の端部区間において端部位置に接近するように動作していると判定された場合、アームシリンダ5Bに供給される作動油の流量を減少させる制御指令をアーム流量制御弁23Bに出力する。作業機制御部303は、ストロークエンド判定部304によりバケット4Cが可動範囲の端部区間において端部位置に接近するように動作していると判定された場合、バケットシリンダ5Cに供給される作動油の流量を減少させる制御指令をバケット流量制御弁23Cに出力する。
【0096】
画像データ送信部305は、撮像装置30により取得された作業機械1の周辺の画像を制御装置60に送信する。画像データ送信部305は、撮像範囲Mの画像Pを撮像装置30から取得する。画像データ送信部305は、画像Pを制御装置60に送信する。
【0097】
センサデータ送信部306は、作業機械1に搭載されているセンサ70の検出データを制御装置60に送信する。上述のように、センサ70は、作業機械1の位置を検出する位置センサ71、旋回体3の姿勢を検出する車体姿勢センサ72、作業機4の姿勢を検出する作業機姿勢センサ73、及び油圧シリンダ5の作動油の圧力を検出する圧力センサ74を含む。
【0098】
通信装置7は、通信システム400を介して通信装置6と通信する。通信装置7は、通信装置6を介して制御装置60から送信された遠隔操作装置40の操作信号を受信して、制御装置300に出力する。通信装置7は、画像データ送信部305から受信した撮像範囲Mの画像Pを遠隔地の通信装置6に送信する。通信装置7は、画像Pの画像データを圧縮するエンコーダを含む。画像Pは、圧縮された状態で、通信装置7から通信装置6に送信される。通信装置7は、センサデータ送信部306から受信した位置センサ71の検出データ、車体姿勢センサ72の検出データ、作業機姿勢センサ73の検出データ、及び圧力センサ74の検出データを遠隔地の通信装置6に送信する。
【0099】
通信装置6は、通信システム400を介して通信装置7と通信する。通信装置6は、遠隔操作装置40が操作されることにより生成された操作信号を通信装置7に送信する。通信装置6は、通信装置7を介して制御装置300から送信された画像Pを受信して、制御装置60に出力する。通信装置6は、圧縮された画像Pの画像データを復元するデコーダを含む。画像Pは、復元された状態で、通信装置6から制御装置60に出力される。通信装置6は、通信装置7を介して制御装置300から送信された位置センサ71の検出データ、車体姿勢センサ72の検出データ、作業機姿勢センサ73の検出データ、及び圧力センサ74の検出データを受信して、制御装置60に出力する。
【0100】
制御装置60は、操作信号送信部61と、画像データ受信部62と、センサデータ受信部63と、画像処理部64と、表示制御部65と、警報制御部66とを有する。
【0101】
操作信号送信部61は、作業機械1を遠隔操作する操作信号を送信する。遠隔操作装置40が操作者に操作されることにより、作業機械1を遠隔操作する操作信号が生成される。操作信号送信部61は、遠隔操作装置40の操作信号を制御装置300に送信する。
【0102】
画像データ受信部62は、作業機械1の周辺の画像を受信する。画像データ受信部62は、作業機械1の周辺の画像として画像Pを受信する。画像データ受信部62は、通信装置6のデコーダにより復元された画像Pを取得する。
【0103】
センサデータ受信部63は、センサ70の検出データを受信する。センサ70の検出データは、旋回体3に係る検出データ及び作業機4に係る検出データを含む。センサデータ受信部63は、位置センサ71により検出された作業機械1の位置の検出データ、車体姿勢センサ72により検出された旋回体3の姿勢の検出データ、作業機姿勢センサ73により検出された作業機4の姿勢の検出データ、及び圧力センサ74により検出された油圧シリンダ5の作動油の圧力の検出データを受信する。
【0104】
画像処理部64は、画像データ受信部62により受信された画像Pを分割する。
【0105】
図8は、実施形態に係る画像処理部64の処理を説明するための図である。図8に示すように、画像データ受信部62により画像Pが取得される。画像Pは、旋回体3の前方空間SPの画像である。画像Pには、バケット4Cを含む作業機4の一部が映っている。また、画像Pには、旋回体3の前方の作業対象が映っている。また、画像Pには、アッパデッキ3Dの手すり3Eが映っている。
【0106】
画像処理部64は、画像Pを複数の画像に分割する。画像処理部64は、画像Pを、中央ディスプレイ51に表示させるための画像P11と、左ディスプレイ52に表示させるための画像P12と、右ディスプレイ53に表示させるための画像P13と、上ディスプレイ54に表示させるための画像P14と、下ディスプレイ55に表示させるための画像P15とに分割する。
【0107】
表示制御部65は、作業機械1の周辺の画像を表示装置50に表示させる。表示制御部65は、作業機械1の周辺の画像として画像Pを表示装置50に表示させる。
【0108】
図9は、実施形態に係る表示制御部65の処理を説明するための図である。図9に示すように、表示制御部65は、画像Pの一部である画像P11を中央ディスプレイ51に表示させる。表示制御部65は、画像Pの一部である画像P12を左ディスプレイ52に表示させる。表示制御部65は、画像Pの一部である画像P13を右ディスプレイ53に表示させる。表示制御部65は、画像Pの一部である画像P14を上ディスプレイ54に表示させる。表示制御部65は、画像Pの一部である画像P15を下ディスプレイ55に表示させる。
【0109】
実施形態において、表示制御部65は、旋回体3の姿勢を示す車体データ画像P3、作業機4の姿勢を示す作業機データ画像P4、ダンプトラックに積み込まれる積荷の重量を示す積荷データ画像P5、及びバケット4Cの先端刃4Dの位置を示すバケットデータ画像P6を表示装置50に表示させる。
【0110】
表示制御部65は、車体姿勢センサ72の検出データに基づいて、水平面に対する旋回体3の傾斜角度を算出する。表示制御部65は、車体データ画像P3として、旋回体3の傾斜角度を示すシンボル画像を表示装置50に表示させる。実施形態において、車体データ画像P3は、上ディスプレイ54に表示される。
【0111】
また、表示制御部65は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4の姿勢を算出する。表示制御部65は、作業機データ画像P4として、作業機4の姿勢を示すアニメーション画像を表示装置50に表示させる。実施形態において、作業機データ画像P4は、右ディスプレイ53に表示される。
【0112】
また、表示制御部65は、バケット4Cに保持された積荷の重量を検出する重量センサ(不図示)の検出データに基づいて、ダンプトラックに積み込まれる積荷の重量を算出する。表示制御部65は、積荷データ画像P5として、積荷の重量を示すインジケータ画像を表示装置50に表示させる。実施形態において、積荷データ画像P5は、右ディスプレイ53に表示される。なお、ダンプトラックに積み込まれた積荷の重量を検出する重量センサがダンプトラックに設けられ、重量センサの検出データが制御装置60に送信されてもよい。
【0113】
また、表示制御部65は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、バケット4Cの先端刃4Dの上下方向の位置を算出する。表示制御部65は、バケットデータ画像P6として、バケット4Cの先端刃4Dの上下方向の位置を示すインジケータ画像を表示装置50に表示させる。先端刃4Dの上下方向の位置とは、地面GRからの高さ位置をいう。実施形態において、バケットデータ画像P6は、右ディスプレイ53に表示される。
【0114】
警報制御部66は、作業機姿勢センサ73により検出された作業機4の姿勢の検出データに基づいて、作業機4が作業機4の可動範囲の端部位置に接近していると判定した場合、警報制御信号を出力する。すなわち、警報制御部66は、油圧シリンダ5のピストンがストロークエンドに接近し、作業機4が可動範囲の端部位置に接近していると判定した場合、警報制御信号を出力する。
【0115】
警報制御部66は、作業機姿勢センサ73により検出された作業機4の姿勢の検出データに基づいて、作業機4が警報区間において端部位置に接近するように動作していると判定した場合、警報制御信号を出力する。実施形態において、警報制御部66は、作業機4が中間区間から警報区間に移動したと判定した場合、警報制御信号の出力を開始する。
【0116】
上述のように、作業機4が警報区間から端部区間に移動するとクッション制御が開始される。実施形態において、警報制御部66は、作業機4が中間区間から警報区間に移動したと判定した場合、クッション制御が開始される前に、警報制御信号の出力を開始する。
【0117】
また、警報制御部66は、作業機姿勢センサ73により検出された作業機4の姿勢の検出データに基づいて、作業機4が端部区間において端部位置に接近するように動作していると判定した場合、警報制御信号を出力する。実施形態において、警報制御部66は、作業機4が警報区間及び端部区間のそれぞれにおいて端部位置に向かって移動していると判定した場合、警報制御信号の出力を継続する。作業機制御部303は、ストロークエンド判定部304により作業機4が警報区間から端部区間に移動したと判定された場合、クッション制御を開始する。
【0118】
また、警報制御部66は、作業機姿勢センサ73により検出された作業機4の姿勢の検出データに基づいて、作業機4が端部位置に到達したと判定した場合、警報制御信号を出力する。すなわち、実施形態において、警報制御部66は、作業機4が警報区間及び端部区間のそれぞれにおいて端部位置に向かって移動している場合、及び作業機4が端部位置に到達した場合のそれぞれにおいて、警報制御信号を出力する。
【0119】
図10は、実施形態に係る警報制御部66の処理を説明するための図である。実施形態において、警報制御部66は、表示装置50に警報制御信号を出力する。表示装置50は、作業機械1の遠隔地に設けられ、警報制御部66からの警報制御信号に基づいて、警報を出力する。実施形態において、表示装置50は、警報装置として機能する。図10に示すように、油圧シリンダ5がストロークエンドに接近し、作業機4が端部位置に接近するように動作した場合、警報制御部66は、警報として、作業機データ画像P4を点滅させる。警報制御部66は、作業機データ画像P4の全体を点滅させてもよいし、作業機データ画像P4の背景画像を点滅させてもよい。なお、警報制御部66は、警報として、表示装置50に表示される作業機4の色を変更したり作業機4の画像を点滅させたりしてもよい。作業機4の色の変更は、作業機4の全体の色の変更でもよいし、作業機4の一部の色の変更でもよい。例えばアーム4Bが端部位置に接近している場合、警報制御部66は、アーム4Bの色を変更してもよい。作業機4の画像の点滅は、作業機4の全体の画像の点滅でもよいし、作業機4の一部の画像の点滅でもよい。例えばアーム4Bが端部位置に接近している場合、警報制御部66は、アーム4Bの画像を点滅させてもよい。
【0120】
なお、警報制御部66は、警報として、コンピュータグラフィックス(CG:Computer Graphics)を表示装置50に表示させてもよい。例えばバケット4Cが端部位置に接近している場合、警報制御部66は、バケット4Cの位置及び姿勢を示すコンピュータグラフィックスを画像Pに重畳するように表示装置50に表示させてもよい。
【0121】
<遠隔操作方法>
図11は、実施形態に係る作業機械1の遠隔操作方法を示すフローチャートである。
【0122】
遠隔操作装置40が操作されることにより、制御装置60の操作信号送信部61から制御装置300に作業機械1を遠隔操作する操作信号が送信される(ステップSB1)。
【0123】
撮像装置30は、撮像範囲Mを撮像する。画像データ送信部305は、通信装置7及び通信システム400を介して、画像Pを制御装置60に送信する(ステップSA1)。
【0124】
作業機姿勢センサ73は、作業機4の姿勢を検出する。センサデータ送信部306は、通信装置7及び通信システム400を介して、作業機姿勢センサ73により検出された作業機4の姿勢の検出データを制御装置60に送信する(ステップSA2)。
【0125】
実施形態において、センサデータ送信部306は、通信装置7及び通信システム400を介して、作業機姿勢センサ73の検出データのみならず、位置センサ71の検出データ、車体姿勢センサ72の検出データ、及び圧力センサ74の検出データを制御装置60に送信する。
【0126】
なお、ステップSA1の処理の前にステップSA2の処理が実施されてもよいし、ステップSA1の処理とステップSA2の処理とが並行して実施されてもよい。
【0127】
画像データ受信部62は、作業機械1から送信された画像Pを、通信装置6を介して受信する。
【0128】
画像処理部64は、画像Pを画像P11と画像P12と画像P13と画像P14と画像P15とに分割する(ステップSB2)。
【0129】
表示制御部65は、表示装置50に画像Pを表示させる(ステップSB3)。
【0130】
ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部区間において端部位置に接近しているか否かを判定する(ステップSA3)。
【0131】
ステップSA3において、作業機4が端部区間において端部位置から離れるように動作していると判定された場合、又は作業機4が端部区間に配置されていないと判定された場合(ステップSA3:No)、制御装置300は、ステップSA1の処理に戻る。
【0132】
ステップSA3において、作業機4が端部区間において端部位置に接近するように動作していると判定された場合(ステップSA3:Yes)、作業機制御部303は、クッション制御を実施する(ステップSA4)。
【0133】
すなわち、作業機制御部303は、油圧シリンダ5に供給される作動油の流量を減少させる制御指令を流量制御弁23に出力する。これにより、端部区間において端部位置に接近するように動作している作業機4の速度が減少する。
【0134】
警報制御部66は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の警報区間において端部位置に接近しているか否かを判定する(ステップSB4)。
【0135】
ステップSB4において、作業機4が警報区間において端部位置から離れるように動作していると判定された場合、又は作業機4が警報区間及び端部区間のそれぞれに配置されていないと判定された場合(ステップSB4:No)、制御装置60は、ステップSB1の処理に戻る。
【0136】
ステップSB4において、作業機4が警報区間において端部位置に接近するように動作していると判定された場合(ステップSB4:Yes)、警報制御部66は、警報制御信号を出力する(ステップSB5)。
【0137】
なお、ステップSA3の判定は、遠隔操作室200の制御装置60により実施されてもよい。ステップSB4の判定は、作業機械1の制御装置300により実施されてもよい。
【0138】
図10を参照して説明したように、警報制御部66は、表示装置50に警報を出力させる。遠隔地の操作者は、表示装置50から出力される警報を見て、作業機4が端部位置に接近するように動作していることを認識することができる。
【0139】
なお、本実施形態においては、説明を簡単にするため、作業機4の可動範囲が油圧シリンダ5のロッドの可動範囲に基づいて定められることとした。すなわち、作業機4の可動範囲の端部位置は、油圧シリンダ5のストロークエンドに基づいて規定され、油圧シリンダ5がストロークエンドに到達すると、作業機4は可動範囲の端部位置に到達することとした。ブーム4A、アーム4B、及びバケット4Cからなる作業機要素の相対角度に基づいて、油圧シリンダ5がストロークエンドに到達する前に、作業機4の機構上の制約により、作業機要素が可動範囲の端部位置に到達する場合がある。この場合、作業機4の機構に基づいて、作業機要素の端部位置が設定されてもよい。また、作業機4の機構に基づいて、端部区間及び警報区間が設定されてもよい。例えば、第1作業機要素(例えばブーム4A)と第2作業機要素(例えばアーム4B)との相対角度と、第3作業機要素(例えばバケット4C)の端部位置との相関関係(マップデータのような相関データ又は関係式)が予め求められる場合、ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データと予め求められている相関関係とに基づいて、第3作業機要素が可動範囲の端部位置に接近しているか否かを判定することができる。
【0140】
<コンピュータシステム>
図12は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置60及び制御装置300のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の制御装置60の機能及び制御装置300の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0141】
遠隔地に配置されているコンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、作業機4の姿勢の検出データを受信することと、検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部位置に接近している又は到達したと判定した場合、警報制御信号を警報装置に出力することと、を実行することができる。
【0142】
<効果>
以上説明したように、実施形態によれば、作業機械1は、作業機姿勢センサ73の検出データを遠隔地に送信する通信装置6を備える。これにより、遠隔地の操作者は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4に衝撃が作用する可能性があることを認識することができる。
【0143】
例えばクッション制御が実施されない場合において、油圧シリンダ5のロッドがストロークエンドに到達して、作業機4が可動範囲の端部位置に到達したとき、作業機4に衝撃が作用する可能性がある。操作者が作業機械1に実際に搭乗している場合、作業機4に衝撃が作用したことを体感することができる。一方、操作者が遠隔地に存在する場合、作業機4に衝撃が作用したことを体感することができない。そのため、遠隔地の操作者は、作業機4に過度な衝撃が作用する遠隔操作を実施してしまう可能性がある。作業機4に過度な衝撃が作用すると、作業機4の劣化が促進される可能性がある。また、クッション制御が実施される場合においても、作業機4が端部位置に何度も到達すると、作業機4が劣化する可能性がある。
【0144】
実施形態においては、作業機械1から遠隔地に作業機姿勢センサ73の検出データが送信される。作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部位置に接近するように動作していると判定された場合、遠隔地において警報が出力される。これにより、遠隔地の操作者は、作業機4が端部位置に接近していることを認識することができる。したがって、遠隔地の操作者は、作業機4に過度な衝撃が作用しないように遠隔操作を実施することができる。遠隔地の操作者は、例えば作業機4が端部位置に到達しないように、遠隔操作装置40を操作することができる。
【0145】
実施形態においては、作業機4が警報区間から端部区間に移動したとき、クッション制御が実施される。これにより、作業機4に作用する衝撃が緩和される。また、撮像装置30により取得された画像データの通信遅延に起因して、遠隔地の操作者の意思に反して、作業機4が端部位置に到達してしまう可能性がある。撮像装置30により取得された画像データの通信遅延が発生する可能性は、遠隔操作装置40の操作信号の通信遅延が発生する可能性よりも高い。遠隔地の操作者が、表示装置50に表示されている画像を見ながら、作業機4が端部位置の直前で停止するように遠隔操作装置40を操作したとしても、画像データの通信遅延に起因して、遠隔地の操作者の意思に反して、作業機4が端部位置に到達してしまう可能性がある。実施形態においては、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいてクッション制御が実施される。これにより、画像データの通信遅延が発生しても、作業機4に衝撃が作用することが抑制される。
【0146】
実施形態においては、作業機4が中間区間から警報区間に移動したときに、警報制御部66からの警報制御信号の出力が開始され、表示装置50からの警報の出力が開始される。すなわち、作業機4のクッション制御が実施される前に表示装置50からの警報の出力が開始される。これにより、遠隔地の操作者は、作業機4に過度な衝撃を作用させない遠隔操作をより確実に実施することができる。
【0147】
また、作業機4が警報区間から端部区間に移動した後においても、警報制御部66からの警報制御信号の出力が継続され、表示装置50からの警報の出力が継続される。これにより、遠隔地の操作者は、作業機4が端部区間において端部位置に接近していることを認識することができる。
【0148】
また、実施形態においては、作業機4が端部位置に到達した後においても、警報制御部66からの警報制御信号の出力が継続され、表示装置50からの警報の出力が継続される。これにより、遠隔地の操作者は、作業機4が端部位置に到達したことを認識することができる。
【0149】
<その他の実施形態>
なお、上述の実施形態においては、ストロークエンド判定部304は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部区間に存在するか否かを判定することとした。ストロークエンド判定部304は、近接スイッチの出力に基づいて、作業機4が可動範囲の端部区間に存在するか否かを判定してもよい。近接スイッチとは、作業機4が可動範囲の端部位置に移動したときに作動するスイッチをいう。
【0150】
なお、上述の実施形態においては、警報制御部66は、表示装置50に警報を出力させることとした。警報制御部66は、例えば第1モニタ装置501、第2モニタ装置503、及び第3モニタ装置504の少なくとも一部に警報を出力させてもよい。表示装置50、第1モニタ装置501、第2モニタ装置503、及び第3モニタ装置504の少なくとも一部に警報を出力させる場合、「レバー操作に注意してください」、「ストロークエンド接近中」等の警報メッセージが表示されてもよい。遠隔操作室200に音声出力装置又はブザーが配置されている場合、警報制御部66は、警報として、音声出力装置又はブザーから警告音を出力させてもよい。また、操縦シート45に振動発生装置が配置されている場合、警報制御部66は、警報として、操縦シート45を振動させてもよい。すなわち、警報装置は、表示装置50でなくてもよく、第1モニタ装置501、第2モニタ装置503、第3モニタ装置504、音声出力装置、ブザー、及び振動発生装置の少なくとも一つでもよい。
【0151】
なお、上述の実施形態においては、警報制御部66は、作業機4が端部位置に到達する前から警報を出力させることとした。警報制御部66は、作業機姿勢センサ73の検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部位置に到達したと判定した場合、警報を出力させてもよい。すなわち、警報制御部66は、端部位置に接近するように動作する作業機4が端部位置に到達した後に警報を出力させてもよい。これにより、遠隔地の操作者は、警報に基づいて、作業機4が端部位置に到達したこと、及び作業機4に衝撃が作用した可能性があることを認識することができる。図12を参照して説明した遠隔地に配置されているコンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、作業機4の姿勢の検出データを受信することと、検出データに基づいて、作業機4が可動範囲の端部位置に到達したと判定した場合、警報を出力させることと、を実行することができる。
【0152】
なお、上述の実施形態において、警報の出力は省略されてもよい。警報が出力されない状態で、クッション制御が実施されてもよい。
【0153】
なお、上述の実施形態において、クッション制御は実施されなくてもよい。例えば、操作者が遠隔操作装置40をゆっくりと操作している場合、作業機4に作用する衝撃は小さい。ロッドのシリンダ速度が速度閾値以下の場合にはクッション制御が実施されなくてもよい。
【0154】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0155】
図13は、実施形態に係る作業機械1の動作を説明するための図である。図13に示すように、作業機械1が作業機4を作業対象に衝突させたとき、作業機4に衝撃が作用する可能性がある。例えば、作業機4が作業対象を掘削したとき又は作業機械1が作業機4を作業対象に下したときに、作業機4に衝撃が作用する可能性がある。また、クッション制御が実施されないとき、作業機4が端部位置に到達することにより、作業機4に衝撃が作用する可能性がある。
【0156】
実施形態において、警報制御部66は、センサデータ受信部63により受信された作業機4に係る検出データに基づいて、作業機4に作用した衝撃のレベルが閾値以上であると判定した場合、警報制御信号を出力する。衝撃のレベルに係る閾値は、予め定められた値であり、警報制御部66に保有されている。
【0157】
作業機4に衝撃が作用した場合、作業機4が所定値以上の振幅で振動する。すなわち、作業機4に衝撃が作用した場合、作業機4の姿勢が第1閾値以上の振幅で往復するように変化する。警報制御部66は、作業機姿勢センサ73により検出された作業機4の姿勢の検出データに基づいて、衝撃のレベルが閾値以上であるか否かを判定することができる。
【0158】
また、作業機4に衝撃が作用した場合、油圧シリンダ5の作動油の圧力が急激に変化する。すなわち、作業機4に衝撃が作用した場合、油圧シリンダ5の作動油の圧力が第2閾値以上の変化量で上昇する。警報制御部66は、圧力センサ74により検出された作動油の圧力の検出データに基づいて、衝撃のレベルが閾値以上であるか否かを判定することができる。
【0159】
また、作業機4に衝撃が作用した場合、旋回体3が所定値以上の振幅又は加速度でピッチ方向に振動する。警報制御部66は、旋回体3に設けられている慣性計測装置(IMU)を含む車体姿勢センサ72の検出データに基づいて、衝撃のレベルが閾値以上であるか否かを判定することができる。
【0160】
また、作業機4に衝撃が作用した場合、作業機4が所定値以上の加速度で振動する。作業機4に加速度センサが配置されている場合、警報制御部66は、加速度センサの検出データに基づいて、衝撃のレベルが閾値以上であるか否かを判定することができる。
【0161】
図14は、実施形態に係る作業機械1の遠隔操作方法を示すフローチャートである。図14に示す例においては、警報制御部66が圧力センサ74により検出された作動油の圧力の検出データに基づいて、衝撃のレベルが閾値以上であるか否かを判定することとする。なお、上述のように、警報制御部66は、作業機姿勢センサ73の検出データ、車体姿勢センサ72の検出データ、及び加速度センサの検出データの少なくとも一つに基づいて、衝撃のレベルが閾値以上であるか否かを判定することができる。
【0162】
遠隔操作装置40が操作されることにより、制御装置60の操作信号送信部61から制御装置300に作業機械1を遠隔操作する操作信号が送信される(ステップSB11)。
【0163】
画像Pが作業機械1から制御装置60に送信される(ステップSA11)。
【0164】
センサ70の検出データが作業機械1から制御装置60に送信される。実施形態において、センサデータ送信部306は、通信装置7及び通信システム400を介して、少なくとも圧力センサ74により検出された油圧シリンダ5の作動油の圧力の検出データを制御装置60に送信する(ステップSA12)。
【0165】
なお、ステップSA11の処理の前にステップSA12の処理が実施されてもよいし、ステップSA11の処理とステップSA12の処理とが並行して実施されてもよい。
【0166】
画像データ受信部62は、作業機械1から送信された画像Pを、通信装置6を介して受信する。画像処理部64は、画像Pを画像P11と画像P12と画像P13と画像P14と画像P15とに分割する(ステップSB12)。
【0167】
表示制御部65は、表示装置50に画像Pを表示させる(ステップSB13)。
【0168】
警報制御部66は、圧力センサ74の検出データに基づいて、作業機4に作用した衝撃のレベルが閾値以上であるか否かを判定する(ステップSB14)。
【0169】
ステップSB14において、作業機4に作用した衝撃のレベルが閾値未満であると判定された場合(ステップSB14:No)、制御装置60は、ステップSB12の処理に戻る。
【0170】
ステップSB14において、作業機4に作用した衝撃のレベルが閾値以上であると判定された場合(ステップSB14:Yes)、警報制御部66は、警報制御信号を出力する(ステップSB15)。
【0171】
なお、ステップSB14の判定は、作業機械1の制御装置300により実施されてもよい。
【0172】
このように、図12を参照して説明した遠隔地に配置されているコンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、作業機4に係る検出データを受信することと、検出データに基づいて、作業機4に作用した衝撃のレベルが閾値以上であると判定した場合、警報制御信号を警報装置に出力することと、を実行することができる。
【0173】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、遠隔操作室200の制御装置60が警報制御部66として機能することとした。作業機械1の制御装置300が警報制御部66として機能してもよい。作業機械1に設けられている警報制御部66から出力された警報制御信号が通信システム400を介して遠隔操作室200に送信され、警報制御部66からの警報制御信号に基づいて、遠隔操作室200に設けられている警報装置が警報を出力してもよい。
【0174】
なお、上述の実施形態においては、作業機械1がローディングショベルであることとした。作業機械1はバックホウでもよい。また、作業機械1は、作業機を有する作業機械であればよく、ブルドーザでもよいし、ホイールローダでもよい。
【符号の説明】
【0175】
1…作業機械、2…走行体、2A…駆動輪、2B…従動輪、2C…履帯、3…旋回体、3A…運転室、3B…ロアデッキ、3C…ステップ、3D…アッパデッキ、3E…手すり、3F…ラダー、4…作業機、4A…ブーム、4B…アーム、4C…バケット、4D…先端刃、5…油圧シリンダ、5A…ブームシリンダ、5B…アームシリンダ、5C…バケットシリンダ、6…通信装置、7…通信装置、20…油圧システム、21…油圧ポンプ、22…ポンプ流路、23…流量制御弁、23A…ブーム流量制御弁、23B…アーム流量制御弁、23C…バケット流量制御弁、24…供給流路、25…ボトム流路、26…ロッド流路、27…排出流路、28…タンク、30…撮像装置、40…遠隔操作装置、41…左作業レバー、42…右作業レバー、43…左走行ペダル、44…右走行ペダル、45…操縦シート、50…表示装置、51…中央ディスプレイ、52…左ディスプレイ、53…右ディスプレイ、54…上ディスプレイ、55…下ディスプレイ、60…制御装置、61…操作信号送信部、62…画像データ受信部、63…センサデータ受信部、64…画像処理部、65…表示制御部、66…警報制御部、70…センサ、71…位置センサ、72…車体姿勢センサ、73…作業機姿勢センサ、73A…ブーム姿勢センサ、73B…アーム姿勢センサ、73C…バケット姿勢センサ、74…圧力センサ、74A…ブーム圧力センサ、74B…アーム圧力センサ、74C…バケット圧力センサ、100…遠隔操作システム、200…遠隔操作室、300…制御装置、301…走行体制御部、302…旋回体制御部、303…作業機制御部、304…ストロークエンド判定部、305…画像データ送信部、306…センサデータ送信部、400…通信システム、501…第1モニタ装置、502…操作スイッチ、503…第2モニタ装置、504…第3モニタ装置、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、AX…ブーム回転軸、BR…ボトム室、BX…アーム回転軸、CX…バケット回転軸、GR…地面、RR…ロッド室、RX…旋回軸、M…撮像範囲、OA…光軸、P…画像、P11…画像、P12…画像、P13…画像、P14…画像、P15…画像、P3…車体データ画像、P4…作業機データ画像、P5…積荷データ画像、P6…バケットデータ画像、Pa…ポンプポート、Pb…ボトムポート、Pc…ロッドポート、Pd…タンクポート、Q1…第1作動位置、Q2…第2作動位置、Q3…停止位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14