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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】自動車外装品
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20240621BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B60J3/00 B
B60J3/00 C
B60R13/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020095632
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021008262
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019121913
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314014184
【氏名又は名称】DNP田村プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】森 高徳
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/138931(WO,A1)
【文献】特開平08-011531(JP,A)
【文献】実開昭49-085719(JP,U)
【文献】特開2001-105852(JP,A)
【文献】実開昭52-119217(JP,U)
【文献】実開昭55-061012(JP,U)
【文献】特開平08-080733(JP,A)
【文献】特開2007-276544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0092144(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
B60J 1/00 - 1/20
B60R 13/04
B62D 35/00 - 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のリアサイドドアの窓枠の上縁に沿って前後方向へ延びる長尺状に形成され、前記窓枠の上縁に沿って取り付けられる本体と、
前記本体に沿って形成され、前記本体から車両外側方向へ向けて延設される翼部とを備え、
前記翼部は、前記本体の後端部に近付くに従って車両外側方向への張り出し幅が増大すると共に、上面に、後方へ行くに従い、上方へ向けて傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする自動車外装品。
【請求項2】
自動車のリアサイドドアの窓枠の上縁に沿って前後方向へ延びる長尺状に形成され、前記窓枠の上縁に沿って取り付けられる本体と、
前記本体に沿って形成され、前記本体から車両外側方向へ向けて延設される翼部とを備え、
前記翼部は、前記本体の後端部に近付くに従って車両外側方向への張り出し幅が増大すると共に、下面に、後方へ行くに従い、下方へ向けて傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする自動車外装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車両本体側面及び/又は窓枠の上縁に沿って取り付けられる自動車外装品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の走行時における空気抵抗の低減や操縦安定性等を目的とした自動車外装品が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用ルーフ装置では、車両のルーフの車両左右端部に載置される突出部材によって、流れの遅いルーフ表面近傍の空気流の境界層と、車両側面の空気流が合流することを抑制し、突出部材の風下での渦発生を抑制している。これにより、渦によって車両後部が後方へ引っ張られることを予防し、燃費悪化を予防できる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5935533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような突出部材による車両用ルーフ装置は、車両のルーフから上方へ向けて突出するため、例えば、ルーフ上にルーフキャリア等の外装品を取り付けようとした際には、当該突出部材を避けて、より高い位置でルーフキャリア等の外装品を取り付ける事となり、より空気抵抗を受けやすくなることが考えられる。従って、車両の全高が高くなることがないと共に車両のルーフ上に何らかの外装品を装着することを妨げずに、自動車の燃費性能の悪化を防ぐ事が可能な自動車外装品が求められていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、車両のルーフ上に何らかの外装品を装着することを妨げずに、燃費性能の悪化を防ぐ事が可能な自動車外装品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、自動車のリアサイドドアの窓枠の上縁に沿って前後方向へ延びる長尺状に形成され、窓枠の上縁に沿って取り付けられる本体と、本体に沿って形成され、本体から車両外側方向へ向けて延設される翼部とを備え、翼部は、本体の後端部に近付くに従って車両外側方向への張り出し幅が増大すると共に、上面に、後方へ行くに従い、上方へ向けて傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、自動車のリアサイドドアの窓枠の上縁に沿って前後方向へ延びる長尺状に形成され、窓枠の上縁に沿って取り付けられる本体と、本体に沿って形成され、本体から車両外側方向へ向けて延設される翼部とを備え、翼部は、本体の後端部に近付くに従って車両外側方向への張り出し幅が増大すると共に、下面に、後方へ行くに従い、下方へ向けて傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、翼部によって、車両のルーフ表面近傍を流れる空気流と車両の側面を流れる空気流との合流を、車両のより後方で発生させることができるため、空気流の合流によって発生する渦による車両後部の負圧領域の発生を車両のより後方とすることで、燃費性能の悪化を防止できる。また、車両の側面に設けることで、車両の全高に影響を与えることなく、上記効果を得られる。加えて、翼部の傾斜部が走行に伴って生じる空気流を受け、車両を下方へ押さえる力が働くため、操縦安定性が向上する。
請求項2に記載の発明によれば、上記と同様の効果が得られることに加えて、翼部の傾斜部が走行に伴って生じる空気流を受けて揚力が発生し、車体を上方へ浮かせる力が働くため、タイヤの路面に対する接地荷重が軽減され、燃費性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自動車へ自動車外装品を取り付けた状態を示す説明図である。
図2】(A)はリア用自動車外装品を示す説明図、(B)はフロント用自動車外装品を示す説明図、(C)はリア用自動車外装品に設けた傾斜部の傾斜角を示す説明図である。
図3】(A)は自動車外装品を取り付けていない状態の車両周辺の空気流を示す説明図、(B)は自動車外装品を取り付けた状態の車両周辺の空気流を示す説明図、(C)は、翼部の傾斜部が空気流から受ける力及び空気流によって翼部の傾斜部に働く力を示す説明図である。
図4】(A)はリア用自動車外装品の変形例1を示す説明図、(B)は(A)の平面視であって、(A)における翼部の張り出し幅を示す説明図である。
図5】(A)はリア用自動車外装品の変形例2を示す説明図、(B)はリア用自動車外装品の変形例2を取り付けた際の車両周辺の空気流を示す説明図である。
図6】リア用自動車外装品の変形例3の取付状態を示す説明図である。
図7】(A)はリア用自動車外装品の変形例4を示す説明図、(B)は翼部の傾斜部が空気流から受ける力及び空気流によって翼部の傾斜部に働く力を示す説明図である。
図8】(A)はリア用自動車外装品の変形例5を示す説明図、(B)は図8(A)におけるA-A線断面図、(C)は、リア用自動車外装品の変形例5を取り付けた際の車両周辺の空気流を示す説明図である。
図9】(A)-(C)は折曲部の変形例を示す断面図である。
図10】外形に応じた寸法の算出方法を示す説明図である。
図11】寸法算出時における基準点を示す説明図である。
図12】上方へ傾斜する傾斜部と下方へ向けて傾斜する傾斜部とを設けたリア用自動車外装品の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動車Vの自動車外装品10は、リア用自動車外装品11と、フロント用自動車外装品12とを含み、それぞれ、取り付け部材や両面テープ等の取付手段(図示せず)を介して、自動車Vの車両側面の窓枠2上縁に沿って取り付けられる。
本発明において、「車両本体」とは車両の本体のみを指し、「車両」とは車両本体や窓枠等を含む車両全体を指す。
【0010】
図2(A)に示すように、リア用自動車外装品11は、自動車Vの前後方向へ延びる長尺状に形成される。リア用自動車外装品11は、両面テープ等の取付手段を介して窓枠2の上縁に沿って取り付けられる本体3と、本体3の下縁から車両外側方向へ向けて延設される翼部4とを備える。本体3の上下方向の幅Hは両面テープ等の取付手段の接着強度が確保できる幅(少なくとも5mm)であって、最大でも法規上支障がない寸法で適宜設定される。本体3は車両と対向する面に両面テープ等の貼着面を備えて窓枠2へ取り付けられる。翼部4の板厚(上下方向の幅)は、本体3の板厚と同等に設けられる。
翼部4の張り出し幅Wは、本体3が備える両面テープ等の貼着面を基準に、本体3を含む車両外側方向への幅であり、2mm≦W≦100mmの範囲で適宜設定される。また、翼部4は、本体3の長手方向前端から、中央付近にかけて本体3と同等の板厚に設けられた後、長手方向中央付近から後端へかけて、後方へ行くに従い、板厚が厚くなると共に上方へ向けて3段階に傾斜する傾斜部5が設けられている。
【0011】
図2(B)に示すように、フロント用自動車外装品12は、自動車Vの前後方向へ延びる長尺状に形成される。フロント用自動車外装品12は、両面テープ等の取付手段を介して窓枠2の上縁に沿って取り付けられる本体6と、本体6から車両外側方向へ向けて延設される翼部7を備える。この時、翼部7は、本体6の外側表面に沿う様に、本体6の長手方向中央付近から後端へかけて形成されると共に、前方端部は本体6の上縁を起点とし、後方端部は本体6の下縁を終点として形成されている。また、翼部7は、後方へ行くに従い、上方へ向けて傾斜する傾斜部8を備えている。
【0012】
図2(C)に示すように、リア用自動車外装品11に設けた傾斜部5の各傾斜面の傾斜角∠αは、車両側面の上縁形状や空気流によって受ける力の向きや大きさに応じて適宜変更され、本体3上縁と平行な線を基準に、1°≦∠α≦89°の範囲で設定される。
【0013】
続いて、自動車外装品10による空気の流れを説明する。
自動車外装品10を取り付けずに走行すると、図3(A)に示すように、車両側面を流れる空気流A1及びB1は上方へ向けて流れるため、ルーフ表面近傍の流れの遅い空気流C1と容易に合流し、この空気流の合流部で渦が発生するため、車両後方の車両に近い位置で負圧領域が生じて車両が後方へ向けて引き寄せられ、燃費性能の悪化に繋がる。
一方、自動車外装品10を取り付けて走行すると、図3(B)に示すように、翼部4,7によって車両側面を流れる空気流A2及びB2の上方へ向けての流れが抑制されると共に、ルーフ表面近傍の空気流C2の下方へ向けての流れも抑制されるので、各空気流A2,B2及びC2は合流することなく、より後方へ向けて流されることになる。従って、渦が発生する空気流の合流部を車両後方のより車両から遠い位置へずらせるため、負圧領域が車両のより後方で発生することとなり、燃費性能の悪化を防止できる。
さらに、リア用自動車外装品11の傾斜部5は、自動車Vの走行によって生じた空気流C2によって、図3(C)に示すように、後方下向きの力D1を受ける。この時、傾斜部5の傾斜によって、リア用自動車外装品11には、下方へ向けて働く力E1が生じる。この下方へ向けて働く力E1により、車両が下方へ向けて押さえられるため、操縦安定性が向上する。さらに、傾斜部5を多段状に設けた場合には、空気流C2を受ける面積が増え、下方へ向けて働く力E1をより広範囲で得ることができる。なお、フロント用自動車外装品12の傾斜部8も同様の効果を奏する。
【0014】
上記形態の自動車外装品10は、自動車Vの前後方向へ延びる長尺状に形成され、自動車Vの窓枠2の上縁に沿って取り付けられる本体3,6と、本体3,6下縁に沿って形成され、本体3,6から車両外側方向へ向けて延設される翼部4,7とを備える。
このようにして構成される自動車外装品10によれば、翼部4,7によって、車両のルーフ表面近傍を流れる空気流C2と車両の側面を流れる空気流A2,B2との合流部を、車両のより後方とすることができ、渦の発生による車両後方の負圧領域の発生位置を車両のより後方とすることで、燃費性能の悪化を防止できる。また、車両の側面に設けるため、車両の全高に影響を与えることなく、上記効果を得られる。
【0015】
また、翼部4,7は、後方へ行くに従い、上方へ向けて傾斜する傾斜部5,8を設けている。
よって、走行に伴って生じる空気流により傾斜部5,8が力を受け、車両を下方へ押さえる力が働くため、操縦安定性が向上する。
【0016】
図4(A),(B)は、本発明における実施形態のリア用自動車外装品の変形例1を示す図である。但し、図1-3と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図4(A)に示すように、リア用自動車外装品11aの翼部4aは、本体3の長手方向中央付近から膨出し始め、本体3の後端部へ近づくに従い、その張り出し幅が増大した状態となっている。また、傾斜部5aも翼部4aの張り出し幅の増大に合わせて、より幅広に形成される。
図4(A),(B)に示すように、翼部4aの最大となる張り出し幅W1は、翼部4aの張り出し幅W<W1≦100mmの範囲で適宜構成される。この時、翼部4aの張り出し幅Wは、図2(A)に示すリア用自動車外装品11の翼部4における張り出し幅Wと同じである。
このように形成されたリア用自動車外装品11aは、翼部4aの後方を幅広に形成したことで、車両のルーフ表面近傍を流れる空気流と車両側面を流れる空気流とが車両の後方付近で合流することをより効果的に防止できる。また、傾斜部5aが幅広となることで、空気流から受ける力が増大し、大きな力で車両が下方へ押さえられるため、操縦安定性がより向上する。
【0017】
図5(A),(B)は、本発明における実施形態のリア用自動車外装品の変形例2を示す図である。但し、図1-4と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図5(A)に示すように、リア用自動車外装品11bの翼部4bは、本体3の長手方向中央付近から膨出し始め、本体3の後端部へ近づくに従い、その張り出し幅が増大した状態となると共に、翼部4bの後端部付近の外側端縁には、上方へ向けて倒立する折曲部90が設けられ、翼部4bと併せて、横断面略L字形状に形成される。
このように形成されたリア用自動車外装品11bは、変形例1の効果に加え、図5(B)に示すように、折曲部90によって、車両のルーフ表面近傍を流れる空気流C3が車両側面へ流れ落ちることを効果的に抑制できるため、車両のルーフ表面近傍を流れる空気流C3と車両側面を流れる空気流A3とが車両の後方付近で合流することをより効果的に防止できる。
また、折曲部90を設けた翼部4bが車両側面へ流れ落ちようとする車両のルーフ表面近傍の空気流C3を受けることで、空気流から受ける力が増大し、より大きな力で車両が下方へ押さえられるため、操縦安定性がより向上する。
【0018】
図6は、本発明における実施形態のリア用自動車外装品の変形例3を示す図である。但し、図1-5と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図6に示すように、リア用自動車外装品11cの翼部4cは、本体3の長手方向中央付近から膨出し始め、本体3の後端部へ近づくに従い、その張り出し幅が増大した状態となると共に、翼部4cの後端部付近の外側端縁には折曲部91が設けられ、翼部4cと併せて、車両方向へ開口した横断面略コ字形状に形成される。また、リア用自動車外装品11cは、車両への取付状態において、リア用自動車外装品11cと車両本体外面とからなるトンネル部Tが、前方から後方へかけて窄まるように形成される。
このように形成されたリア用自動車外装品11cは、変形例1及び2の効果に加え、トンネル部T後方の開口面積が、トンネル部T前方の開口面積よりも狭いため、車両走行時、前方からトンネル部Tへ進入した空気流を絞り、流速を速めて後方へ吹き出すため、吹き出された空気流により車両後方に生じる渦を整流して走行抵抗を低減できる。
【0019】
図7(A)、(B)は、本発明における実施形態のリア用自動車外装品の変形例4を示す図である。但し、図1-6と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図7(A)に示すように、リア用自動車外装品11dの翼部4dは、本体3の後端部に近づくに従い、上方へ上り傾斜すると共に、本体3の後端付近では、その張り出し幅がより増大した状態となる。さらに、張り出し幅が増大した部分の下面には、下り傾斜する傾斜部5bが形成されている。
このように形成されたリア用自動車外装品11dは、翼部4dの後方を幅広に形成したことで、車両のルーフ表面近傍を流れる空気流と車両側面を流れる空気流とが車両の後方付近で合流することをより効果的に防止できる。さらに、リア用自動車外装品11dの傾斜部5bは、自動車Vの走行によって生じた空気流A3によって、図7(B)に示すように、後方上向きの力D2を受ける。この時、傾斜部5bの傾斜によって、リア用自動車外装品11dには、上方へ向けて働く力、即ち揚力E2が生じる。この揚力E2が、車両を上方へ向けて浮かせる力として働くため、タイヤにかかる接地荷重が軽減され、燃費性能が向上する。
【0020】
図8(A),(B),(C)は、本発明における実施形態のリア用自動車外装品の変形例5を示す図である。但し、図1-7と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図8(A)に示すように、リア用自動車外装品11eの翼部4eは、本体3の後端部に近づくに従い、上方へ上り傾斜すると共に、本体3の後端付近では、その張り出し幅がより増大した状態となる。さらに、張り出し幅がより増大した部分の外側端縁には折曲部92が設けられ、翼部4eと併せて、下方へ開口した横断面略L字形状に形成される。また、図8(B)に示すように、翼部4eにおける張り出し幅がより増大した部分の下面には、下り傾斜する傾斜部5bが形成されている。
このように形成されたリア用自動車外装品11eは、変形例4の効果に加え、折曲部92によって、図8(C)に示すように、車体側面の空気流B2が車体上方へ流れることを効果的に防ぐことができる。従って、車体側面の空気流を傾斜部5bに効果的に誘導することができるため、より多くの揚力を得ることが可能となることから、燃費性能がより向上する。
【0021】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、翼部は、本体と別体として設けても良く、本体の全域又は一部に設けても良く、上下方向の幅を本体の上下方向の幅と同じ幅のまま、又は本体の上下方向の幅と同じ幅から、車両外側方向へ滑らかに先細りする形状や段状に先細りする形状に膨出させても良く、その形状や設ける位置についても、車両に合わせて適宜変更可能である。
また、翼部は、本体の外側表面に沿って形成されれば良く、前方端部の起点や後方端部の終点は、本体の上縁、短手方向中央付近、下縁等、任意の位置で適宜設定される。
また、折曲部を備えた翼部の形状は限定されず、例えば、本体の上縁や短手方向中央から外側へ向けて翼部を膨出させ、翼部の外側端縁から折曲部を下垂させた形状であっても良いし、断面も略L字形状や略コ字形状だけでなく、図9(A)に示すような円弧状、図9(B)に示すようなクランク状、図9(C)に示すような略T字形状等に形成しても良い。加えて、折曲部は、翼部の外側端縁以外にも、翼部上面や下面の任意の位置に形成してもよく、形状及び設ける位置は適宜組み合わせて構成することもできる。なお、折曲部を備えた翼部の外形寸法は、図10に示すように、外形に応じた各種の寸法Wa,Wb,Ha,Pを用いて、(1)Wa+Ha、(2)Wa+Wb+Ha、(3)Pの式で表され、算出される値が8mm~600mmの範囲で適宜設定される。また、図11に示すように、寸法Wa,Wb,Haは、交点Zを基準として計測される。
また、傾斜部は、翼部と別体として設けても良く、その形状についても、平らでも、多段状でも、曲面でも良く、それらの組み合わせで形成されても良い。
また、傾斜部の前方及び/又は後方には、後方へ向けて下る傾斜面及び/又は上る傾斜面を備えても良い。
また、傾斜部を設ける位置は、車両走行時に生じる空気流から力を受ける位置であれば限定されず、複数箇所設けることも可能である。なお、下方へ傾斜する傾斜部は、効率よく揚力を得るために、翼部下面の後部又は後端部に設けることが望ましい。
また、翼部に設ける傾斜部は、図12に示すように、上方へ傾斜する傾斜部5aと下方へ傾斜する傾斜部5bとの両方を設けても良い。この場合、傾斜部5a,5bが空気流を受けることで、上方へ向けて働く力と下方へ向けて働く力とが共に発生するため、車体の上下方向の揺れが抑制されて、操縦安定性の向上を図ることができる。
また、断面略コ字形状に設けた折曲部と車両本体外面とによって形成されるトンネル部は、前方から後方へ向けて窄まる形状に限定されず、トンネル部前方の開口面積よりトンル部後方の開口面積が小さければ、トンネル部内に傾斜部を設けても良い。
また、幅広に設けた翼部は、車両前方から後方へ広がる形状だけでなく、後方から前方へ広がる形状であっても、これらの組み合わせであっても良い。
また、自動車外装品は、空気流の整流効果を高めるため、例えば突起状のリブなどを適宜設けることもできる。
さらに、本体及び翼部は、車両本体側面及び/又は窓枠の上縁であれば、車両前後方向の全域又は一部に選択的に取り付けることが可能である。従って、仮に、フロント用自動車外装品とリア用自動車外装品とを同時に取り付けなかったとしても、フロント用自動車外装品又はリア用自動車外装品の何れかが取り付けられていれば良く、また、フロント用自動車外装品とリア用自動車外装品とを一体に設けた自動車外装品を取り付けた場合でも、上記効果を得ることができる。
さらにまた、本体は、車両上下方向の幅Hを広くすることでサイドバイザーとしての機能を備えることが可能となる。この場合、幅Hは法規(道路運送車両の保安基準等)上支障がない寸法で、30mm~300mmの範囲内で設定される。
【符号の説明】
【0022】
10・・自動車外装品、11・・リア用自動車外装品、12・・フロント用自動車外装品、2・・窓枠、3,6・・本体、4,7・・翼部、5,8・・傾斜部、90,91・・折曲部、V・・自動車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12