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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240621BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G09F9/30 309
G09F9/30 308D
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/00 302
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020104075
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2020204770
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0072418
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 彦 錫
(72)【発明者】
【氏名】金 ヒョン 植
(72)【発明者】
【氏名】崔 正 ミン
(72)【発明者】
【氏名】金 相 烈
(72)【発明者】
【氏名】田 宇 植
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0122608(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0047544(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110532(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148672(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109309099(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0183015(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109671864(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162637(US,A1)
【文献】国際公開第2019/073678(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190389(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0159077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G09G 3/12-3/14
G09G 3/30-3/3291
H01L 21/02
H01L 21/76
H01L 23/52
H01L 27/12
H01L 33/00-33/46
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄膜トランジスタ、前記複数の薄膜トランジスタに電気的に連結される複数のディスプレイ素子が配置された表示領域、及び前記表示領域の外周辺に位置する第1非表示領域を含む基板と、
前記基板を垂直方向に貫通する貫通部と、
前記貫通部と前記表示領域との間に位置する第2非表示領域と、
前記複数の薄膜トランジスタと前記複数のディスプレイ素子との間に位置し、前記第2非表示領域の一部まで延長される平坦化層と、
前記複数のディスプレイ素子上に位置し、順次に積層された第1無機封止層、有機封止層、及び第2無機封止層を含む封止層と、を備え、
前記複数のディスプレイ素子のそれぞれは、前記平坦化層上に位置する画素電極、前記画素電極上の対向電極、及び前記画素電極と前記対向電極との間の中間層を含み、
前記第1無機封止層と前記第2無機封止層とは、前記貫通部に至るように延長されて前記第2非表示領域で互いに直接接し、
前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層は、前記第1無機封止層下に位置する他の無機層に直接接し、
前記中間層の終端及び前記対向電極の終端のそれぞれは、前記平坦化層の終端を越えて延長されて前記平坦化層の終端と前記貫通部との間で前記第1無機封止層に直接接し、
前記平坦化層の縁端は、前記中間層の縁端及び前記対向電極の縁端が前記第1無機封止層に直接接する部分から離隔されることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層は、前記基板の上面に直接接することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記基板は、順次に積層された第1基底層、第1バリア層、第2基底層、及び第2バリア層を含み、
前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層は、前記第2バリア層に直接接することを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれの半導体層とゲート電極との間に位置する第1無機絶縁層と、
前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれの前記ゲート電極とソース電極との間、及び前記ゲート電極とドレイン電極との間に位置する第2無機絶縁層と、を更に含み、
前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層に直接接する前記他の無機層は、前記第1無機絶縁層又は前記第2無機絶縁層であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2非表示領域において、前記平坦化層上には、前記貫通部を取り囲む第1内部ダムが更に位置し、
前記有機封止層は、前記第1内部ダムによって区画された領域外に位置することを特徴とする請求項に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記平坦化層上に位置し、前記画素電極のエッジを覆う画素定義膜を更に含み、
前記第1内部ダムは、前記画素定義膜と同一材質を含むことを特徴とする請求項に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第2非表示領域において、前記平坦化層上には、前記第1内部ダムから離隔された位置に、前記貫通部を取り囲む第2内部ダムを更に含むことを特徴とする請求項に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第2非表示領域において、前記第2無機絶縁層上には、前記平坦化層によって覆われた複数のデータ線が位置し、
前記第1内部ダムは、前記複数のデータ線のうちの少なくとも一部に重畳して位置することを特徴とする請求項に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ装置の前面から物理的ボタンなどが除去され、画像を表示する表示領域が拡大されている。一例として、表示領域を拡大させるために、カメラのようなディスプレイ装置の機能を拡張させるための別途の部材を表示領域内に配置させたディスプレイ装置が紹介されている。一方、カメラのような別途の部材を表示領域内に配置するためには、表示領域内に、別途の部材が位置することができる溝又は貫通部などを形成する必要がある。但し、表示領域内に形成された溝又は貫通部は、外部の水分などが表示領域内に浸透する新たな透湿経路にもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0065059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、表示領域内の貫通部を介して外部の水分などが浸透することを遮断するディスプレイ装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるディスプレイ装置は、複数の薄膜トランジスタ、前記複数の薄膜トランジスタに電気的に連結される複数のディスプレイ素子が配置された表示領域、及び前記表示領域の外周辺に位置する第1非表示領域を含む基板と、前記基板を垂直方向に貫通する貫通部と、前記貫通部と前記表示領域との間に位置する第2非表示領域と、前記複数のディスプレイ素子上に位置し、順次に積層された第1無機封止層、有機封止層、及び第2無機封止層を含む封止層と、を備え、前記第1無機封止層と前記第2無機封止層とは、前記貫通部に至るように延長されて前記第2非表示領域で互いに直接接し、前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層は、前記第1無機封止層の下に位置する他の無機層に直接接する。
【0006】
前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層は、前記基板の上面に直接接し得る。
前記基板は、順次に積層された第1基底層、第1バリア層、第2基底層、及び第2バリア層を含み、前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層は、前記第2バリア層に直接接し得る。
前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれの半導体層とゲート電極との間に位置する第1無機絶縁層と、前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれの前記ゲート電極とソース電極との間、及び前記ゲート電極とドレイン電極との間に位置する第2無機絶縁層と、を更に含み、前記第2非表示領域において、前記第1無機封止層に直接接する前記他の無機層は、前記第1無機絶縁層又は前記第2無機絶縁層であり得る。
前記複数の薄膜トランジスタと前記複数のディスプレイ素子との間に位置する平坦化層を更に含み、前記平坦化層は、前記第2非表示領域の一部まで延長され得る。
前記複数のディスプレイ素子のそれぞれは、前記平坦化層上に位置する画素電極、前記画素電極上の対向電極、及び前記画素電極と前記対向電極との間の中間層を含み、前記中間層に含まれる少なくとも一部の層及び前記対向電極は、前記平坦化層の外側まで延長され得る。
前記第2非表示領域において、前記平坦化層上には、前記貫通部を取り囲む第1内部ダムが更に位置し、前記有機封止層は、前記第1内部ダムによって区画された領域外に位置し得る。
前記平坦化層上に位置し、前記画素電極のエッジを覆う画素定義膜を更に含み、前記第1内部ダムは、前記画素定義膜と同一材質を含み得る。
前記第2非表示領域において、前記平坦化層上には、前記第1内部ダムから離隔された位置に、前記貫通部を取り囲む第2内部ダムを更に含み得る。
前記第2非表示領域において、前記第2無機絶縁層上には、前記平坦化層によって覆われた複数のデータ線が位置し、前記第1内部ダムは、前記複数のデータ線のうちの少なくとも一部に重畳して位置し得る。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるディスプレイ装置の製造方法は、表示領域、前記表示領域の外周辺に位置する第1非表示領域、及び前記表示領域によって少なくとも一部が囲まれた第2非表示領域を含むディスプレイ装置の製造方法であって、前記表示領域において、基板上に、複数の薄膜トランジスタ、前記複数の薄膜トランジスタを覆う平坦化層、及び前記平坦化層上に位置して前記複数の薄膜トランジスタに電気的に連結される複数の画素電極を形成する段階と、前記第2非表示領域内に金属層を形成する段階と、前記複数の画素電極上に、中間層及び対向電極を形成する段階と、前記金属層を前記基板から除去する段階と、前記対向電極上に、第1無機封止層、有機封止層、及び第2無機封止層を順次に形成する段階と、前記第2非表示領域の中央部に、前記基板を貫通する貫通部を形成する段階と、を有し、前記中間層に含まれる少なくとも一部の層及び前記対向電極は、前記表示領域から前記第2非表示領域に延長されて前記金属層上に形成され、前記金属層上に形成された前記中間層に含まれる少なくとも一部の層及び前記対向電極は、前記金属層の除去によって前記基板から分離される。
【0008】
前記金属層は、前記複数の画素電極と同時に形成され得る。
前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれは、半導体層、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極を含み、前記金属層は、前記半導体層、前記ゲート電極、又は前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同時に形成され得る。
前記第1無機封止層と前記第2無機封止層とは、前記金属層が除去された領域で互いに直接接し、前記第1無機封止層は、前記金属層が除去された領域で、前記第1無機封止層下に位置する他の無機層に直接接し、前記貫通部は、前記基板と共に、前記第1無機封止層、前記第2無機封止層、及び前記他の無機層を貫通して形成され得る。
前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれの半導体層とゲート電極との間の第1無機絶縁層、並びに前記複数の薄膜トランジスタのそれぞれのゲート電極とソース電極との間、及び前記ゲート電極とドレイン電極との間の第2無機絶縁層は、前記第2非表示領域の少なくとも一部まで延長され、前記金属層は、前記第1無機絶縁層上又は前記第2無機絶縁層上に形成され得る。
前記基板は、順次に積層された第1基底層、第1バリア層、第2基底層、及び第2バリア層を含み、前記第1無機封止層は、前記金属層が除去された領域で、前記第2バリア層に直接接し得る。
前記平坦化層上に、前記複数の画素電極のエッジを覆う画素定義膜を形成する段階を更に含み、前記平坦化層は、前記金属層から一定間隔離隔されるように前記第2非表示領域の一部まで延長され、前記第2非表示領域において、前記平坦化層上には、前記画素定義膜と同一材質を含む第1内部ダムが形成され得る。
前記第1内部ダムは、前記貫通部を取り囲むように形成され、前記有機封止層は、前記第1内部ダムによって区画された領域外に位置し得る。
前記中間層に含まれる少なくとも一部の層は、前記金属層と前記平坦化層との間の離隔された領域で、前記第1無機封止層下に位置する他の無機層に接し得る。
前記第2非表示領域内には、前記平坦化層によって覆われた複数のデータ線が形成され、前記第1内部ダムは、前記複数のデータ線のうちの少なくとも一部に重畳して形成され得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ディスプレイ装置は、カメラのような別途の部材が配置される貫通部を含み、貫通部を取り囲む領域で、封止層の第1無機膜と第2無機膜とが直接接し、第1無機膜が下の他の無機膜に直接接することにより、非表示領域を最小化させ、貫通部を介した外部の水分などの浸透を遮断することができる。しかし、そのような効果により、本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の一例を概略的に図示した平面図である。
図2図1のI-I’断面、及びII-II’断面の一例を概略的に図示した断面図である。
図3図1のA部分を拡大して概略的に図示した平面図である。
図4図3の貫通部の一例を概略的に図示した平面図である。
図5図4のIII-III’断面の一例を概略的に図示した断面図である。
図6図4のIII-III’断面の他の例を概略的に図示した断面図である。
図7図4のIII-III’断面の更に他の例を概略的に図示した断面図である。
図8図1のディスプレイ装置の製造過程を概略的に図示した断面図である。
図9図1のディスプレイ装置の製造過程を概略的に図示した断面図である。
図10図1のディスプレイ装置の製造過程を概略的に図示した断面図である。
図11図1のディスプレイ装置の製造過程を概略的に図示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施形態を参照することで、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、多様な形態に具現される。
【0012】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用される。
【0013】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0014】
以下の実施形態において、「含む」又は「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴又は構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴又は構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0015】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素などの部分が、他の部分の上又は上部にあるとする場合、他の部分の真上にある場合だけではなく、その中間に、他の膜、領域、構成要素などが介在する場合も含む。
【0016】
図面では、説明の便宜のために、構成要素の大きさが誇張されたり縮小されたりする。例えば、図面に示した各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示しているため、本発明は、必ずしも図示しているものに限定されるものではない。
【0017】
ある実施形態が異なって具現可能な場合、特定の工程順序は、説明する順序と異なるように遂行され得る。例えば、連続して説明する2つの工程が実質的に同時に遂行され、説明する順序と反対の順序に進められ得る。
【0018】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図面を参照して説明する際に、同一であるか又は対応する構成要素は、同一図面符号を付する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の一例を概略的に図示した平面図であり、図2は、図1のI-I’断面及びII-II’断面の一例を概略的に図示した断面図である。
【0020】
図1及び図2を参照すると、本実施形態によるディスプレイ装置10は、映像を表示する表示領域DA、表示領域DAの外周辺に位置する第1非表示領域PA1、及び表示領域DAによって少なくとも一部が取り囲まれた第2非表示領域PA2を含む。それは、基板100が、表示領域DA、第1非表示領域PA1、及び第2非表示領域PA2を有するものとして理解される。
【0021】
表示領域DAにはディスプレイ素子が位置し、第1非表示領域PA1は、各種電子素子や印刷回路基板などが電気的に付着される領域であるパッド領域などを含む。
【0022】
表示領域DAには、ディスプレイ素子以外にも、ディスプレイ素子に電気的に連結される薄膜トランジスタ210が位置する。図2では、ディスプレイ素子として、有機発光素子300が表示領域DAに位置するように図示している。有機発光素子300が薄膜トランジスタ210に電気的に連結されるということは、有機発光素子300の画素電極310が薄膜トランジスタ210に電気的に連結されるものとして理解される。
【0023】
第2非表示領域PA2は、表示領域DAによって少なくとも一部が取り囲まれ、表示領域DAと貫通部Hとの間に位置する。図1は、第2非表示領域PA2が表示領域DA内に位置し、表示領域DAによって全体的に取り囲まれた構成を図示しているが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、第2非表示領域PA2の一部は、第1非表示領域PA1に当接する。
【0024】
貫通部Hは、ディスプレイ装置10の機能のための別途の部材又はディスプレイ装置10に新たな機能を追加する別途の部材のための空間になる。例えば、貫通部Hには、センサ、光源、カメラモジュールなどが位置する。貫通部Hは、2以上形成され得る。
【0025】
一方、貫通部Hは、基板100、及び基板100上に積層された複数の層を垂直方向に貫通する領域であるため、外部の水分又は酸素が貫通部Hによって露出したディスプレイ装置10の内部垂直側面を介して、ディスプレイ装置10の内部に浸透し得る。しかし、本発明によると、第2非表示領域PA2に貫通部Hを取り囲む堀(moat)領域MAを含むことにより、上述のような透湿を効果的に防止することができる。堀領域MAについては、図3以降で詳細に後述するが、以下では、図2を参照して、ディスプレイ装置10の構成について先ず説明する。
【0026】
基板100は、多様な素材を含む。画像が基板100方向に具現される背面発光型である場合、基板100は、透明な材質から形成されなければならない。しかし、画像が基板100の反対方向に具現される前面発光型である場合、基板100は、必ずしも透明な材質によって形成する必要はない。その場合、金属で基板100を形成することができる。金属で基板100を形成する場合、基板100は、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレススチール(SUS)、インバー合金、インコネル合金、コバール合金などを含む。
【0027】
一例として、基板100は、第1基底層101、第1バリア層102、第2基底層103、及び第2バリア層104が順次に積層された多層構造を有する。
【0028】
第1基底層101及び第2基底層103は、例えばSiOを主成分にする透明なガラス材質からなる。しかし、第1基底層101及び第2基底層103は、必ずしもそれに限定されるものではなく、透明なプラスチック材質から形成され得る。プラスチック材質は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)などである。
【0029】
第1基底層101及び第2基底層103は、互いに同一であるか又は異なる厚みを有する。例えば、第1基底層101及び第2基底層103のそれぞれは、ポリイミドを含み、3μm~20μmの厚みを有する。
【0030】
第1バリア層102及び第2バリア層104は、外部異物が基板100を介してディスプレイ装置10の内部に浸透することを防止する層であり、窒化ケイ素(SiN)及び/又は酸化ケイ素(SiO)のような無機物を含む単層又は多層である。一例として、第1バリア層102は隣接層間の接着力を向上させるための非晶質シリコン層とシリコンオキサイド層との多層であり、第2バリア層はシリコンオキサイド層である。また、第1バリア層102及び第2バリア層104のそれぞれは、4,000Å~7,000Åの厚みを有するが、本発明は、それに限定されるものではない。
【0031】
基板100上には、バッファ層が更に形成される。バッファ層は、基板100を介して浸透する異物又は湿気を遮断する。例えば、バッファ層は、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、アルミニウムオキサイド、アルミニウムナイトライド、チタンオキサイド、又はチタンナイトライドなどの無機物や、ポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物を含み、例示した材料のうちの複数の積層体によって形成され得る。一実施形態において、上述の基板100の第2バリア層104は、多層構造を有するバッファ層の一部として理解される。
【0032】
基板100の表示領域DAには薄膜トランジスタ210が配置され、薄膜トランジスタ210以外に、薄膜トランジスタ210に電気的に連結されるディスプレイ素子が配置される。図2では、ディスプレイ素子として、有機発光素子300を図示している。ここで、基板100の第1非表示領域PA1にも、薄膜トランジスタ(図示せず)が配置され得る。第1非表示領域PA1に位置する薄膜トランジスタは、例えば表示領域DA内に印加される電気的信号を制御するための回路部の一部である。
【0033】
薄膜トランジスタ210は、非晶質シリコン、多結晶シリコン、又は有機半導体物質を含む半導体層211、ゲート電極213、ソース電極215及びドレイン電極217を含む。一方、基板100上にバッファ層が配置された場合、半導体層211は、バッファ層上に位置する。
【0034】
半導体層211の上部には、ゲート電極213が配置され、ゲート電極213に印加される信号によってソース電極215とドレイン電極217とが電気的に連結される。ゲート電極213は、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)のうちの1以上の物質を含み、単層構造又は多層構造を有する。この場合、半導体層211とゲート電極213との絶縁性を確保するために、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、又はシリコンオキシナイトライドのような無機物によって形成される第1無機絶縁層120が、半導体層211とゲート電極213との間に介在する。第1無機絶縁層120は、表示領域DA、第1非表示領域PA1、及び第2非表示領域PA2に亘って形成される。
【0035】
ゲート電極213の上部には、第2無機絶縁層130が配置され、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、又はシリコンオキシナイトライドのような無機物を含み、単層構造又は多層構造を有するように形成される。第2無機絶縁層130は、表示領域DA、第1非表示領域PA1、及び第2非表示領域PA2に亘って形成される。
【0036】
第2無機絶縁層130の上部には、ソース電極215及びドレイン電極217が配置される。ソース電極215及びドレイン電極217は、第2無機絶縁層130及び第1無機絶縁層120に形成されたコンタクトホールを介して、半導体層211にそれぞれ電気的に連結される。ソース電極215及びドレイン電極217は、導電性などを考慮し、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、銅(Cu)のうちの1以上の物質を含み、単層構造又は多層構造を有する。
【0037】
上記構造の薄膜トランジスタ210の保護のために、薄膜トランジスタ210を覆う保護膜(図示せず)が配置される。保護膜は、例えば、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、又はシリコンオキシナイトライドのような無機物で形成される。保護膜は、単層又は多層である。
【0038】
薄膜トランジスタ210上には、平坦化層140が配置される。例えば、図2に示すように、薄膜トランジスタ210よりも高い位置に有機発光素子300が配置される場合、平坦化層140は、薄膜トランジスタ210を覆い、薄膜トランジスタ210による屈曲を平坦化する役割を行う。平坦化層140は、例えば、アクリル、ベンゾシクロブテン(BCB)、又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)のような有機絶縁物を含む。図2では、平坦化層140を単層に図示しているが、多層であるというように多様な変形が可能である。ここで、本実施形態によるディスプレイ装置10は、保護膜及び平坦化層140をいずれも有するが、必要に応じて平坦化層140のみを有する。
【0039】
表示領域DA内において、平坦化層140上には、画素電極310、対向電極330、及びその間に介在する、発光層を含む中間層320を有する有機発光素子300が配置される。
【0040】
平坦化層140には、薄膜トランジスタ210のソース電極215及びドレイン電極217のうちの少なくともいずれか一つを露出させる開口部が存在し、平坦化層140上には、開口部を介してソース電極215及びドレイン電極217のうちのいずれか一つとコンタクトして薄膜トランジスタ210に電気的に連結される画素電極310が配置される。
【0041】
画素電極310は、(半)透明電極又は反射型電極である。画素電極310が(半)透明電極である場合には、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO、In、IGO、又はAZOを含む。画素電極310が反射型電極である場合には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びそれらの化合物などによって形成された反射漠、及びITO、IZO、ZnO、In、IGO、又はAZOによって形成された層を有する。しかし、本発明はそれらに限定されるものではなく、画素電極310は、多様な材質を含み、その構造も単層又は多層になるというように、多様な変形が可能である。
【0042】
平坦化層140の上部には、画素定義膜150が配置される。画素定義膜150は、各副画素に対応する開口、即ち少なくとも画素電極310の中央部を露出させる開口を有することにより、画素を定義する役割を行う。また、図2に示すような場合、画素定義膜150は、画素電極310のエッジと画素電極310の上部の対向電極330との距離を増大させることにより、画素電極310のエッジにおけるアークなどの発生を防止する役割を行う。画素定義膜150は、例えばポリイミド又はHMDSOのような有機絶縁物を含む。
【0043】
有機発光素子300の中間層320は、発光層を含む。発光層は、所定の色相の光を放出する高分子有機物又は低分子有機物を含む。また、中間層320は、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、ホール注入層(HIL:hole injection layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)のうちの少なくともいずれか1層の機能層を含む。機能層は、有機物質を含む。一方、中間層320をなす複数の層のうちの一部、例えば機能層は、複数個の有機発光素子300に亘って一体に形成される。
【0044】
対向電極330は、表示領域DAを覆うように配置される。対向電極330は、複数個の有機発光素子300で一体に形成され、複数個の画素電極310に対応する。対向電極330は、(半)透明電極又は反射型電極である。対向電極330が(半)透明電極である場合には、仕事関数が小さい金属、即ち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びそれらの化合物によって形成される層と、ITO、IZO、ZnO、又はInのような(半)透明導電層と、を有する。対向電極330が反射型電極である場合には、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びそれらの化合物によって形成される層を有する。しかし、対向電極330の構成及び材料は、それらに限定されるものではなく、多様な変形が可能である。
【0045】
一方、ディスプレイ装置10がイメージをディスプレイするためには、対向電極330に事前に設定された電気的信号が印加されなければならない。そのために、第1非表示領域PA1には電圧線420が位置し、対向電極330に事前に設定された電気的信号を伝達する。電圧線420は、共通電源電圧(ELVSS)線である。
【0046】
電圧線420は、表示領域DA内の多様な導電層を形成する際に、同一物質によって同時に形成される。図2では、表示領域DA内の薄膜トランジスタ210のソース電極215及びドレイン電極217が第2無機絶縁層130上に位置するように、第1非表示領域PA1で電圧線420が第2無機絶縁層130上に位置するように図示している。その場合、表示領域DA内の薄膜トランジスタ210のソース電極215及びドレイン電極217を第2無機絶縁層130上に形成する際に、同一物質によって同時に第1非表示領域PA1で第2無機絶縁層130上に電圧線420を形成するように理解される。それにより、電圧線420は、ソース電極215及びドレイン電極217と同一構造を有することになる。しかし、本発明は、それに限定されるものではなく、ゲート電極213を形成する際に、電圧線420を同一物質で同時に第1無機絶縁層120上に形成するというように、多様な変形が可能である。
【0047】
対向電極330は、電圧線420に直接コンタクトするか、或いは図2に示すように、保護導電層421を介して電圧線420に電気的に連結される。保護導電層421は、平坦化層140上に位置し、電圧線420上に延長されて電圧線420に電気的に連結される。それにより、対向電極330は、第1非表示領域PA1で保護導電層421にコンタクトし、保護導電層421もまた第1非表示領域PA1で電圧線420にコンタクトする。
【0048】
保護導電層421は、図2に示すように平坦化層140上に位置する。従って、表示領域DA内で平坦化層140上に位置する構成要素と同一物質によって同時に形成される。具体的には、表示領域DA内の画素電極310を平坦化層140上に形成する際に、同一物質により同時に第1非表示領域PA1で平坦化層140上に保護導電層421を形成する。それにより、保護導電層421は、画素電極310と同一構造を有する。保護導電層421は、図2に示すように、平坦化層140によって覆われずに露出した電圧線420の部分を覆う。それにより、第1制限ダム610や第2制限ダム620を形成する過程などにおいて、平坦化層140の外部に露出した電圧線420が損傷することを防止する。
【0049】
一方、外部からの酸素や水分などの不純物が平坦化層140を介して表示領域DA内に浸透することを防止するために、図2に示すように、平坦化層140が第1非表示領域PA1で開口140bを有するようにする。開口140bは、表示領域DAを取り囲む。同時に、保護導電層421を形成する際に、保護導電層421が開口140bを充填するようにする。それにより、第1非表示領域PA1の平坦化層140に浸透した不純物が表示領域DA内の平坦化層140に浸透することを効果的に防止することができる。
【0050】
対向電極330上には、有機発光素子300から発生した光の効率を向上させる役割を行うキャッピング層160が位置する。キャッピング層160は、対向電極330を覆い、対向電極330の外側に延長されて対向電極330の下部に位置する保護導電層421にコンタクトする。対向電極330は、表示領域DAを覆い、表示領域DAの外側に延長されるため、キャッピング層160も、表示領域DAを覆い、表示領域DAの外側の第1非表示領域PA1にまで延長される。キャッピング層160は、有機物を含む。
【0051】
上述のように、キャッピング層160は、有機発光素子300から発生した光の効率を向上させる役割を行う。例えば、外部への光取り出し効率などを高める役割を行う。キャッピング層160による効率向上は、表示領域DAで均一になされることが望ましい。その点を考慮し、キャッピング層160が下部層の上面の屈曲に対応する上面を有するようにすることが望ましい。即ち、図2に示すように、対向電極330上に位置するキャッピング層160の部分では、キャッピング層160の上面が対向電極330の上面の屈曲に対応する形状を有する。
【0052】
キャッピング層160の上部には、封止層500が位置する。封止層500は、外部からの水分や酸素などから有機発光素子300を保護する役割を行う。そのために、封止層500は、有機発光素子300が位置する表示領域DAだけではなく、表示領域DAの外側の第1非表示領域PA1にまで延長された形状を有する。封止層500は、多層構造を有する。具体的に、図2に示すように、封止層500は、第1無機封止層510、有機封止層520、及び第2無機封止層530を含む。
【0053】
第1無機封止層510は、キャッピング層160を覆い、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、及び/又はシリコンオキシナイトライドなどを含む。
【0054】
第1無機封止層510は、下部の構造物に沿って形成されるため、図2に示すように、上面が平坦ではない。有機封止層520は第1無機封止層510を覆って十分な厚みを有し、有機封止層520の上面は表示領域DAの全般に亘って実質的に平坦である。有機封止層520は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ヘキサメチルジシロキサン、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸など)、又はその任意の組み合わせを含む。
【0055】
第2無機封止層530は、有機封止層520を覆い、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、及び/又はシリコンオキシナイトライドなどを含む。第2無機封止層530は、有機封止層520の外側に延長され、第1無機封止層510にコンタクトすることにより、有機封止層520を外部に露出させない。
【0056】
封止層500は、第1無機封止層510、有機封止層520、及び第2無機封止層530を含む多層構造を介して、封止層500内にクラックが発生しても、第1無機封止層510と有機封止層520との間、又は有機封止層520と第2無機封止層530との間でクラックを連結させない。それにより、外部からの水分や酸素などが表示領域DAに浸透することになる経路形成を防止したり最小化させたりする。
【0057】
一方、封止層500を形成する過程において、下部の構造物が損傷する。例えば、第1無機封止層510は、化学気相蒸着法を利用して形成される。化学気相蒸着法を利用して第1無機封止層510を形成する際に、第1無機封止層510が形成される直下の層が損傷する。従って、第1無機封止層510をキャッピング層160上に直接形成すると、有機発光素子300から発生した光の効率を向上させる役割を行うキャッピング層160が損傷し、ディスプレイ装置の光効率が低下してしまう。従って、封止層500を形成する過程でキャッピング層160の損傷を防止するために、キャッピング層160と封止層500との間に保護層170が介在する。保護層170は、LiFを含む。
【0058】
上述のように、キャッピング層160は、表示領域DAだけではなく、外側の第1非表示領域PA1にまで延長される。それにより、保護層170は、キャッピング層160の外側に延長されてキャッピング層160と封止層500とを直接コンタクトさせない。その場合、保護層170は、キャッピング層160の終端160aを覆い、保護層170の終端170aが平坦化層140上に位置する。具体的に、図2に示すように、保護層170は、終端170aが平坦化層140上で保護導電層421に直接コンタクトする。
【0059】
従って、封止層500の最下層である第1無機封止層510は、有機物によって形成されたキャッピング層160に接することなく、LiFのような無機物によって形成された保護層170に接することになるため、封止層500とその下部層との接合力が高く維持される。それにより、ディスプレイ装置10の製造過程や、製造後の使用過程において、封止層500が下部層から剥離されることを効果的に防止したり最小化させたりすることができる。
【0060】
一方、封止層500を形成する際、具体的には、有機封止層520を形成する際に、有機封止層520形成用物質が事前に設定された領域内に位置するように限定することが必要である。そのために、図2に示すように、第1制限ダム610を第1非表示領域PA1に位置させる。具体的に、第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130は勿論、平坦化層140は、図2に示すように、基板100の表示領域DAだけではなく、第1非表示領域PA1にも存在する。第1制限ダム610は、平坦化層140から離隔されるように第1非表示領域PA1に位置する。
【0061】
第1制限ダム610は、多層構造を有する。即ち、第1制限ダム610は、基板100に近い部分から遠くなる方向に第1層611及び第2層613を含む。第1層611は表示領域DAの平坦化層140を形成する際に同一物質によって同時に形成され、第2層613は表示領域DAの画素定義膜150を形成する際に同一物質によって同時に形成される。
【0062】
ここで、図2に示すように、第1制限ダム610以外に、第1制限ダム610と平坦化層140の終端140aとの間に第2制限ダム620も存在する。第2制限ダム620は、電圧線420上の保護導電層421部分上に位置する。第2制限ダム620も、平坦化層140から離隔されて第1非表示領域PA1に位置する。第2制限ダム620は、第1制限ダム610のように多層構造を有するが、第1制限ダム610よりは基板100からの高さが低くなるように第1制限ダム610よりもより少数の層を含む。図2では、第2制限ダム620が、第1制限ダム610の第2層613と同一物質によって同時に形成されたように図示している。
【0063】
従って、有機封止層520は、第2制限ダム620によって位置が限定され、形成過程において、第2制限ダム620の外側に有機封止層520形成用物質が越えていくことが防止される。仮に有機封止層520形成用物質が部分的に第2制限ダム620の外側に越えていくとしても、第1制限ダム610によって位置が限定され、それ以上基板100のエッジ100a方向に有機封止層520形成用物質を移動させない。それに反し、化学気相蒸着法を介して形成される第1無機封止層510及び第2無機封止層530は、図2に示すように、第2制限ダム620及び第1制限ダム610を覆い、第1制限ダム610の外側まで形成される。
【0064】
一方、図2に示すように、第1非表示領域PA1にはクラック防止部630が位置する。クラック防止部630は、基板100のエッジ100aの少なくとも一部に沿って延長される。例えば、クラック防止部630は、表示領域DAをぐるりと一周する形状を有する。ここで、一部区間では、クラック防止部630が不連続である形状を有する。クラック防止部630は、ディスプレイ装置10の製造過程中、母基板の切断時、又はディスプレイ装置10の使用時、衝撃などにより無機物によって形成された第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130に発生し得るクラックが表示領域DAに伝達されることを防止する。
【0065】
クラック防止部630は、多様な形状を有し、図2に示すように、表示領域DAに形成される一部構成要素と同一物質によって同時に形成されてもよく、また多層構造を有することもできる。図2では、クラック防止部630が下層630’と下層630’上に位置する上層630”とを有する多層構造であるように図示している。具体的に、図2では、クラック防止部630が第1無機絶縁層120と同一物質を含む下層630’と、第1無機絶縁層120上の第2無機絶縁層130と同一物質を含む上層630”とを含むように図示している。クラック防止部630は、基板100上にバッファ層が形成された場合、バッファ層と同一物質を含む層を含む。そして、図2に示すように、クラック防止部630は、1個ではなく相互離隔された複数個であってもよい。
【0066】
クラック防止部630は、第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130の一部が除去されることによって形成されたように理解される。即ち、図2に示すように、クラック防止部630の少なくともある一側には、第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130が除去された溝が形成され、クラック防止部630は、溝に隣接する第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130の残余分によって構成される。
【0067】
クラック防止部630は、図2に示すように、カバー層650によって覆われる。カバー層650は、例えば表示領域DAに平坦化層140を形成する際に、同一物質によって同時に形成される。即ち、カバー層650は、無機物を含むクラック防止部630を覆う有機物によって形成された層である。カバー層650は、第1無機絶縁層120及び/又は第2無機絶縁層130の基板100のエッジ100a方向の終端を覆い、同時にクラック防止部630も覆う。
【0068】
図3は、図1のA部分を拡大して概略的に図示した平面図であり、図4は、図3の貫通部の一例を概略的に図示した平面図であり、図5は、図4のIII-III’断面の一例を概略的に図示した断面図である。また、図6及び図7のそれぞれは、図4のIII-III’断面の他の例を図示した断面図である。
【0069】
図3は、貫通部H及び貫通部H周辺を概略的に図示している。図3を参照すると、貫通部H周囲の表示領域DAにはデータ線DLに電気的に連結された複数の有機発光素子300が配置され、第2非表示領域PA2は貫通部Hと表示領域DAとの間にある映像が表示されない領域として定義される。
【0070】
データ線DLは、第1方向に延長され、データドライバ1100に電気的に連結される。一例として、データドライバ1100は、COP(chip on panel)タイプであり、第1非表示領域PA1(図1)に配置されるか、或いは第1非表示領域PA1(図1)に具備された端子に電気的に連結された軟性回路基板(図示せず)上に配置される。
【0071】
一方、第1方向に延長されたデータ線DLのうちの一部は、表示領域DA領域内に配置された貫通部Hにより、第1方向に沿って直線状に形成されなくなる。その場合、データ線DLの一部は貫通部Hを迂回するように形成され、貫通部Hを迂回するデータ線DLの一部は貫通部H周囲の第2非表示領域PA2に位置する。
【0072】
一方、図3には示していないが、スキャン線は、データ線DLと交差する第2方向に沿って延長され、貫通部Hが形成された領域では、スキャン線の一部が貫通部Hを迂回するように形成される。他の例として、ディスプレイ装置10(図1)は、表示領域DAの両側にそれぞれ配置された2つのスキャンドライバを具備することにより、スキャン線が貫通部Hを迂回しないようにする。即ち、貫通部Hの左側に配置された有機発光素子300に電気的に連結されるスキャン線と、貫通部Hの右側に配置された有機発光素子300に電気的に連結されるスキャン線とは、互いに異なるスキャンドライバに連結される。
【0073】
貫通部Hについて、更に詳細に示す図4及び図5を参照すると、基板100を垂直方向に貫通する貫通部Hの周辺には、貫通部Hを取り囲む堀領域MAが位置する。堀領域MAは、第2非表示領域PA2内に位置する。
【0074】
第2非表示領域PA2には、データ線DLの一部が位置する。一例として、第2非表示領域PA2で、データ線DLは、第2無機絶縁層130上に位置し、平坦化層140によって覆われる。
【0075】
第2非表示領域PA2の平坦化層140上には、第1内部ダム710が位置し、第1内部ダム710から離隔された第2内部ダム720が更に位置する。第2内部ダム720は、第1内部ダム710と貫通部Hとの間で平坦化層140上に位置する。
【0076】
第1内部ダム710及び第2内部ダム720は、表示領域の画素定義膜150(図2の150)を形成する際に、同一物質によって同時に形成され、貫通部Hをそれぞれ取り囲む。第1内部ダム710及び第2内部ダム720は、図3で説明した第1制限ダム610(図2)及び第2制限ダム620(図2)と同一の役割を行う。従って、有機封止層520の形成過程において、有機封止層520形成用物質が貫通部Hに向けて流れることを防止することにより、有機封止層520は、第1内部ダム710によって区画された領域外に位置する。第2内部ダム720は、有機封止層520形成用物質の流れを二次的に遮断する。一方、第1無機封止層510及び第2無機封止層530は、第2内部ダム720を経て貫通部Hまで延長されて形成される。
【0077】
第1内部ダム710及び第2内部ダム720は、第2非表示領域PA2に配置されたデータ線DLのうちの少なくとも一部に重畳するように位置し、それにより、第2非表示領域PA2の面積が縮小される。
【0078】
第2非表示領域PA2には第1無機封止層510と第2無機封止層530とが直接接し、第1無機封止層510は、その下に存在する他の無機層に直接接する。更に具体的に、第2非表示領域PA2には無機物からなる層だけ存在する堀領域MAが位置し、堀領域MAで第1無機封止層510と第2無機封止層530とが直接接し、第1無機封止層510は、その下に存在する他の無機層に直接接する。一例として、第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130が堀領域MAまで延長されて形成される際に、第1無機封止層510は、第2無機絶縁層130に直接接する。
【0079】
他の例として、図6に示すように、第1無機絶縁層120は堀領域MAまで延長され、第2無機絶縁層130は、第2非表示領域PA2で平坦化層140によって覆われる。その場合、堀領域MAで、第1無機封止層510は、第1無機絶縁層120に直接接する。
【0080】
更に他の例として、図7に示すように、第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130がいずれも堀領域MAまで延長されず、第2非表示領域PA2で平坦化層140によって覆われる。その場合、堀領域MAで、第1無機封止層510は、基板100の上面に直接接する。具体的に、堀領域MAで、第1無機封止層510は、第2バリア層104(図2)に直接接する。一方、基板100上にバッファ層が更に形成される場合は、堀領域MAで、第1無機封止層510は、バッファ層に直接接する。
【0081】
従って、堀領域MAにより、貫通部Hによって現れたディスプレイ装置10(図1)の側断面を介して外部の水分などが表示領域内部に浸透することを効果的に防止することができる。
【0082】
一方、従来は、貫通部Hを取り囲んで互いに離隔された複数の溝を基板100の深さ方向に形成し、溝によって中間層320が短絡されて不連続的に形成されるようにすることで、貫通部Hを介する透湿を防止していた。しかし、透湿防止効果を向上させるためには、溝を多く形成しなければならず、それにより、第2非表示領域PA2の面積が増大してしまった。例えば、貫通部Hを取り囲む溝を20個形成する場合に溝が位置する領域の長さは約300μmである一方、本発明によりディスプレイ装置10(図1)が堀領域MAを具備する場合、堀領域MAの長さは100μm以下に形成される。ここで、従来の溝が位置する領域の長さ及び本発明による堀領域MAの長さは、いずれも貫通部Hが中心である円の半径方向に測定された長さを意味する。即ち、本発明によると、貫通部Hを取り囲む堀領域MAにより、優秀な透湿防止効果を有すると共に第2非表示領域PA2の面積を縮小させることができる。
【0083】
また、堀領域MAで、第1無機封止層510は、その下に存在する他の無機層に直接接することになるため、ディスプレイ装置10(図1)の製造過程や製造後の使用過程において、封止層500(図2)の剥離を効果的に防止することができる。
【0084】
図8図11は、図1のディスプレイ装置の製造過程を概略的に図示した断面図であり、図1のI-I’断面と、図4のIII-III’断面とを共に図示する。
【0085】
先ず、図8を参照すると、基板100上に、薄膜トランジスタ210、及び薄膜トランジスタ210を覆う平坦化層140を形成する。一例として、薄膜トランジスタ210は表示領域DA内に位置し、平坦化層140は第2非表示領域(PA)の一部まで延長されて形成される。
【0086】
薄膜トランジスタ210は、半導体層211、ゲート電極213、ソース電極215、及びドレイン電極217を含み、半導体層211とゲート電極213との間には無機物からなる第1無機絶縁層120が形成され、第1無機絶縁層120は、表示領域DA、第1非表示領域PA1(図1)、及び第2非表示領域PA2に亘って形成される。また、ゲート電極213とソース電極215との間、及びゲート電極213とドレイン電極217との間に形成された第2無機絶縁層130は、無機物によって形成され、第1非表示領域PA1(図1)及び第2非表示領域PA2まで延長されて形成される。
【0087】
次に、平坦化層140にドレイン電極217を露出させる開口部を形成し、平坦化層140上に画素電極310を形成する。画素電極310は、基板100上に画素電極310を形成するための金属物質を形成した後、それをパターニングして形成する。画素電極310は、開口部を介してドレイン電極217にコンタクトする。
【0088】
一方、画素電極310を形成する際に、第2非表示領域PA2には金属層Mが共に形成される。従って、金属層Mは、画素電極310と同一材質を含む。金属層Mは、第2非表示領域PA2の中央部分に形成され、第2非表示領域PA2まで延長された平坦化層140の終端から一定距離離隔される。
【0089】
他の例として、金属層Mは、薄膜トランジスタ210を形成する過程中に形成される。一例として、金属層Mは、ゲート電極213と共に形成されるか、又はソース電極215及びドレイン電極217と共に形成される。或いは、金属層Mは、半導体層211と共に形成される。
【0090】
ここで、金属層Mが半導体層211と共に形成される場合、金属層Mは基板100上に直接形成され、金属層Mがゲート電極213と共に形成される場合、金属層Mは基板100上又は第1無機絶縁層120上に形成され、金属層Mがソース電極215及びドレイン電極217と共に形成される場合、金属層Mは、基板100、第1無機絶縁層120、又は第2無機絶縁層130の上に形成される。
【0091】
次に、図9に示すように、画素電極310上に画素定義膜150を形成する。画素定義膜150は、画素電極310のエッジを覆うが、画素電極310の中央部を露出させる開口を含む。一方、画素定義膜150を形成する過程において、第2非表示領域PA2には第1内部ダム710が形成される。また、必要に応じて、第2内部ダム720を第1内部ダム710と共に形成する。第1内部ダム710及び第2内部ダム720は、第2非表示領域PA2で平坦化層140上に位置する。
【0092】
一方、画素定義膜150の開口によって露出された画素電極310上に、中間層320及び対向電極330を積層して有機発光素子300を形成する。その際、中間層320に含まれる少なくとも一部の層は、表示領域DA及び第2非表示領域PA2の全体に一体に形成される。また、対向電極330、対向電極330の上に形成されたキャッピング層160、及び保護層170も、表示領域DA及び第2非表示領域PA2の全体に一体に形成される。従って、中間層320又は中間層320に含まれる一部の層、対向電極330、キャッピング層160、及び保護層170は、第2非表示領域PA2の金属層M上に連続的に積層される。
【0093】
次に、図10及び図11に示すように、基板100から金属層Mを除去して基板100上に封止層500を形成した後、第2非表示領域PA2の中央部に基板100などを貫通する貫通部Hを形成する。
【0094】
金属層Mは、基板100方向にレーザLを照射して除去する。レーザL照射によって金属層Mを加熱して基板100から金属層Mを除去すると、金属層M上に積層された中間層320、又は中間層320に含まれる一部の層、対向電極330、キャッピング層160、及び保護層170は、金属層Mと共に基板100から分離され、それにより、中間層320などに含まれる有機膜が表示領域DAから貫通部Hまで連続して形成されることを防止することができる。
【0095】
一方、金属層M及び平坦化層140は互いに一定距離離隔されて形成され、中間層320に含まれる一部の層が金属層Mと平坦化層140との間の離隔領域で金属層Mの直下に位置する無機層と接するようにする。従って、中間層320に含まれる一部の層などが金属層Mによって段差が発生して段差部位に応力が集中することから金属層Mの除去時に金属層Mに対応する領域だけが容易に分離され、金属層Mの除去時に中間層320に含まれる一部の層が平坦化層140又は第2内部ダム720の側面に沿って剥離されることを防止することができる。
【0096】
金属層Mを除去した後には、第1無機封止層510、有機封止層520、及び第2無機封止層530を順次に形成した後、第2非表示領域PA2内に貫通部Hを形成する。
【0097】
第1無機封止層510及び第2無機封止層530は、表示領域DAだけでなく、第2非表示領域PA2にも形成される。それに反し、有機封止層520は、第1内部ダム710及び第2内部ダム720によって形成領域が制限される。従って、第2非表示領域PA2において、平坦化層140の外側では、第1無機封止層510と第2無機封止層530とが互いに直接接する。
【0098】
一方、貫通部Hは、基板100、及び基板100上に積層された第1無機絶縁層120、第2無機絶縁層130、第1無機封止層510、及び第2無機封止層530を垂直方向に貫通して形成される。従って、堀領域MAは、第2非表示領域PA2から金属層Mが除去された領域のうち、貫通部Hを除いた領域として定義される。
【0099】
金属層Mの除去により、堀領域MAで、第1無機封止層510は、下部の他の無機層に直接接する。一例として、第1無機封止層510は、第2無機絶縁層130に直接接し、それにより、貫通部Hの側断面から水分などが表示領域DA側に浸透することを効果的に防止することができる。従って、従来の、透湿防止のために貫通部Hを取り囲む溝を基板100の深さ方向に形成することに比べ、ディスプレイ装置10(図1)の製造工程が単純化される。
【0100】
一方、図11では、第1無機封止層510が堀領域MAで第2無機絶縁層130に直接接する例を図示しているが、本発明は、それに限定されるものではなく、図6及び図7で示したように、第1無機絶縁層120及び第2無機絶縁層130の形成領域を設定することにより、第1無機封止層510は、堀領域MAで、第1無機絶縁層120に直接接するか、或いは基板100に直接接する。
【0101】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0102】
10 ディスプレイ装置
100 基板
100a エッジ
101、103 第1、第2基底層
102、104 第1、第2バリア層
120、130 第1、第2無機絶縁層
140 平坦化層
140a、160a、170a 終端
150 画素定義膜
160 キャッピング層
170 保護層
210 薄膜トランジスタ
211 半導体層
213 ゲート電極
215 ソース電極
217 ドレイン電極
300 有機発光素子
310 画素電極
320 中間層
330 対向電極
420 電圧線
421 保護導電層
500 封止層
510、530 第1、第2無機封止層
520 有機封止層
610、620 第1、第2制限ダム
611、613 第1、第2層
630 クラック防止部
630’ 下層
630” 上層
650 カバー層
710、720 第1、第2内部ダム
1100 データドライバ
DA 表示領域
DL データ線
H 貫通部
M 金属層
MA 堀領域
PA1、PA2 第1、第2非表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11