(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】表示装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3225 20160101AFI20240621BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240621BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240621BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240621BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09F9/33
G09G3/20 624B
G09G3/20 641A
H10K59/10
(21)【出願番号】P 2020144459
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】河江 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山下 淳一
(72)【発明者】
【氏名】藤森 隆成
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0039935(US,A1)
【文献】特開2014-150482(JP,A)
【文献】特開2013-076812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0327809(US,A1)
【文献】国際公開第2002/075713(WO,A1)
【文献】特開2003-223136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
G09G3/00-3/08
3/12-3/16
3/19-3/26
3/30-3/34
3/38
H03K5/00-5/02
5/08-5/1254
5/15-5/26
99/00
H04N5/66-5/74
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を駆動する画素回路と、
を備え、
前記画素回路は、
定電流源と、
PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、
を備え、
前記定電流源は、少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、所定の周期でアクティブ及びインアクティブが切り替わる発光許可信号がアクティブの場合に定電流を出力し、前記発光許可信号がインアクティブの場合に出力をHiZ状態にするように構成され、
前記PWM制御回路は、
前記発光モードにおいて、前記発光許可信号がアクティブの場合に、映像信号とノコギリ波状のスロープ信号との比較結果を制御ノードに出力し、前記発光許可信号がインアクティブの場合に前記比較結果の出力を停止させる、増幅トランジスタと、
前記制御ノードと基準電位端子との間に設けられ、前記発光許可信号がアクティブの場合にオフし、前記発光許可信号がインアクティブの場合にオンする、前記増幅トランジスタと同一導電型の第1スイッチトランジスタと、
前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、前記制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、
を有する、
表示装置。
【請求項2】
前記スロープ信号は、前記増幅トランジスタによる前記映像信号との比較によって、当該増幅トランジスタがオフからオンに切り替わるようなノコギリ波状の信号である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記PWM制御回路は、
前記制御トランジスタのソース及びゲート間に設けられた第1容量素子をさらに有する、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記P
WM制御回路は、
前記増幅トランジスタのソースに接続され、
電源電位の供給、前記映像信号
の供給、及び、HiZ状態の設定の何れかが選択的に
行われる第1電位入力端子と、
前記映像信号の最大値を示す定電位、及び、前記スロープ信号
の何れかが選択的に供給される第2電位入力端子と、
前記第2電位入力端子と前記増幅トランジスタのゲートとの間に設けられた第2容量素子と、
前記増幅トランジスタのドレイン及びゲート間の導通、非導通を切り替える、前記増幅トランジスタと同一導電型の第2スイッチトランジスタと、
をさらに有する、
請求項1~3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1電位入力端子には、前記スキャンモードのうちの映像信号供給モードにおいて前記映像信号が供給され、前記発光モードにおいて、前記発光許可信号がアクティブの場合に電源電位が供給され、前記発光許可信号がインアクティブの場合にHiZ状態が設定され、且つ、前記初期化モード、及び、前記スキャンモードのうち前記映像信号供給モード以外のモードにおいて、HiZ状態が設定され、
前記第2スイッチトランジスタは、前記スキャンモードのうちの前記映像信号供給モードにおいて前記第1電位入力端子に前記映像信号が供給されたのに伴ってオンし、前記映像信号供給モード以外のモードにおいてオフするように構成されている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記PWM制御回路は、
前記基準電位端子及び前記増幅トランジスタのゲートの間の導通、非導通を切り替える、前記増幅トランジスタと同一導電型の第3スイッチトランジスタをさらに有する、
請求項4又は5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第3スイッチトランジスタは、前記初期化モードにおいてオンし、前記初期化モード以外のモードにおいてオフするように構成されている、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
発光素子と、
前記発光素子を駆動する画素回路と、
を備え、
前記画素回路は、
定電流源と、
PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、
を備え、
前記PWM制御回路は、
増幅トランジスタと、
前記増幅トランジスタと同一導電型の第1スイッチトランジスタと、
前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、
を有する、
表示装置の制御方法であって、
少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、
所定の周期でアクティブ及びインアクティブが切り替わる発光許可信号がインアクティブの場合、前記定電流源の出力をHiZ状態に設定し、且つ、前記増幅トランジスタをオフした状態で、前記第1スイッチトランジスタをオンして基準電位端子と前記制御ノードとの間を導通させることにより、前記制御トランジスタをオンし、
前記発光許可信号がアクティブの場合、前記定電流源から定電流を出力し、且つ、前記第1スイッチトランジスタをオフした状態で、前記増幅トランジスタから映像信号とノコギリ波状のスロープ信号との比較結果を前記制御ノードに出力する、
表示装置の制御方法。
【請求項9】
前記P
WM制御回路は、
前記増幅トランジスタのソースに接続され、
電源電位の供給、前記映像信号
の供給、及び、HiZ状態の設定の何れかが選択的に
行われる第1電位入力端子と、
前記映像信号の最大値を示す定電位、及び、前記スロープ信号
の何れかが選択的に供給される第2電位入力端子と、
前記第2電位入力端子と前記増幅トランジスタのゲートとの間に設けられた第2容量素子と、
前記増幅トランジスタのドレイン及びゲート間の導通、非導通を切り替える、前記増幅トランジスタと同一導電型の第2スイッチトランジスタと、
をさらに有し、
前記初期化モードにおいて、
前記第2スイッチトランジスタ及び前記第1スイッチトランジスタのそれぞれをオンして前記増幅トランジスタのゲートと基準電位端子との間を導通させることにより、当該増幅トランジスタのゲート電位を初期化する、
請求項8に記載の表示装置の制御方法。
【請求項10】
発光素子と、
前記発光素子を駆動する画素回路と、
を備え、
前記画素回路は、
定電流を出力する定電流源と、
PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、
を備え、
前記PWM制御回路は、
少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、映像信号とスロープ信号との比較結果を制御ノードに出力する増幅トランジスタと、
ソースが前記制御ノードに接続され、且つ、ゲート
に対して、前記初期化モードの場合にバイアス電位が供給され、前記初期化モード以外のモードの場合にフローティング状態に設定
される、前記増幅トランジスタと同一導電型の負荷トランジスタと、
前記負荷トランジスタのソース及びゲート間に設けられた容量素子と、
前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、前記制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、
を有する、
表示装置。
【請求項11】
前記PWM制御回路は、
バイアス電位が供給されるバイアス電位入力端子と、
前記バイアス電位入力端子及び前記負荷トランジスタのゲートの間の導通、非導通を切り替える、前記増幅トランジスタと同一導電型の第1スイッチトランジスタと、
をさらに有する、
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1スイッチトランジスタは、前記初期化モードにおいてオンし、前記初期化モード以外のモードにおいてオフするように構成されている、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記P
WM制御回路は、
前記増幅トランジスタのソースに接続され、
電源電位の供給、前記映像信号
の供給、及び、HiZ状態の設定の何れかが選択的に
行われる第1電位入力端子と、
前記映像信号の最大値を示す定電位、及び、前記スロープ信号
の何れかが選択的に供給される第2電位入力端子と、
前記第2電位入力端子と前記増幅トランジスタのゲートとの間に設けられた第2容量素子と、
前記増幅トランジスタのドレイン及びゲート間の導通、非導通を切り替える、前記増幅トランジスタと同一導電型の第2スイッチトランジスタと、
をさらに有する、
請求項10~12の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1電位入力端子には、前記スキャンモードのうちの映像信号供給モードにおいて前記映像信号が供給され、前記発光モードにおいて電源電位が供給され、前記初期化モード、及び、前記スキャンモードのうち前記映像信号供給モード以外のモードにおいて、HiZ状態が設定され、
前記第2スイッチトランジスタは、前記スキャンモードのうちの前記映像信号供給モードにおいて前記第1電位入力端子に前記映像信号が供給されたのに伴ってオンし、前記映像信号供給モード以外のモードにおいてオフするように構成されている、
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記PWM制御回路は、
基準電位が供給される基準電位端子と、
前記基準電位端子及び前記増幅トランジスタのゲートの間の導通、非導通を切り替える、前記増幅トランジスタと同一導電型の第3スイッチトランジスタと、
をさらに有する、
請求項13又は14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第3スイッチトランジスタは、前記初期化モードにおいてオンし、前記初期化モード以外のモードにおいてオフするように構成されている、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記PWM制御回路は、
前記増幅トランジスタと前記制御ノードとの間に設けられ、動作モードが前記発光モードであるか否かを表す発光許可信号がアクティブの場合にオンする、前記増幅トランジスタと同一導電型の第4スイッチトランジスタをさらに備えた、
請求項10~16の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記負荷トランジスタのドレインには、前記発光許可信号が供給され、
前記発光許可信号がインアクティブの場合、前記第4スイッチトランジスタはオフに制御され、且つ、前記制御トランジスタは前記負荷トランジスタを介して供給された前記発光許可信号によってオフに制御される、
請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記スロープ信号は、三角波である
請求項10~18の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項20】
発光素子と、
前記発光素子を駆動する画素回路と、
を備え、
前記画素回路は、
定電流を出力する定電流源と、
PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、
を備え、
前記PWM制御回路は、
少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、映像信号とスロープ信号との比較結果を制御ノードに出力する増幅トランジスタと、
ソースが前記制御ノードに接続され、且つ、ゲートがフローティング状態に設定可能に構成された、前記増幅トランジスタと同一導電型の負荷トランジスタと、
前記負荷トランジスタのソース及びゲート間に設けられた容量素子と、
前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、前記制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、
を有する、
表示装置の制御方法であって、
前記負荷トランジスタのゲートにバイアス電位を印加し、
前記負荷トランジスタのゲートにバイアス電位が印加された状態で当該負荷トランジスタのゲートをフローティング状態に設定し、
前記発光モードにおいて、前記画素回路によって前記発光素子を駆動する、
表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその制御方法に関し、例えばコストを低減するのに適した表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、OLED(Organic Light Emitting Diode)や微小なLED(以下、マイクロLEDと称す)等の自発光型の発光素子を2次元マトリックス状に実装した表示装置の開発が進んでいる。ここで、発光素子としてマイクロLEDが用いられている場合、発光のカラーシフト抑止の観点から、発光素子の階調表現はPWM駆動によって行われることが多い。例えば、特許文献1には、発光素子をPWM駆動する駆動回路の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、発光素子をPWM駆動する駆動回路が、CMOS回路の構成を有しているため、コストが増大してしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コストを低減することが可能な表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る表示装置は、発光素子と、前記発光素子を駆動する画素回路と、を備え、前記画素回路は、定電流源と、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、を備え、前記定電流源は、少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、所定の周期でアクティブ及びインアクティブが切り替わる発光許可信号がアクティブの場合に定電流を出力し、前記発光許可信号がインアクティブの場合に出力をHiZ状態にするように構成され、前記PWM制御回路は、前記発光モードにおいて、前記発光許可信号がアクティブの場合に、映像信号とノコギリ波状のスロープ信号との比較結果を制御ノードに出力し、前記発光許可信号がインアクティブの場合に前記比較結果の出力を停止させる、増幅トランジスタと、前記制御ノードと基準電位端子との間に設けられ、前記発光許可信号がアクティブの場合にオフし、前記発光許可信号がインアクティブの場合にオンする、前記増幅トランジスタと同一導電型の第1スイッチトランジスタと、前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、前記制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、を有する。この表示装置は、CMOS回路を用いること無く発光素子をPWM駆動することができるため、コストを低減することができる。
【0007】
本発明の一態様に係る表示装置の制御方法は、発光素子と、前記発光素子を駆動する画素回路と、を備え、前記画素回路は、定電流源と、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、を備え、前記PWM制御回路は、増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタと同一導電型の第1スイッチトランジスタと、前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、を有する、表示装置の制御方法であって、少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、所定の周期でアクティブ及びインアクティブが切り替わる発光許可信号がインアクティブの場合、前記定電流源の出力をHiZ状態に設定し、且つ、前記増幅トランジスタをオフした状態で、前記第1スイッチトランジスタをオンして基準電位端子と前記制御ノードとの間を導通させることにより、前記制御トランジスタをオンし、前記発光許可信号がアクティブの場合、前記定電流源から定電流を出力し、且つ、前記第1スイッチトランジスタをオフした状態で、前記増幅トランジスタから映像信号とノコギリ波状のスロープ信号との比較結果を前記制御ノードに出力する。この表示装置の制御方法では、CMOS回路を用いること無く発光素子をPWM駆動することができるため、コストを低減することができる。
【0008】
本発明の一態様に係る表示装置は、発光素子と、前記発光素子を駆動する画素回路と、を備え、前記画素回路は、定電流を出力する定電流源と、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、を備え、前記PWM制御回路は、少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、映像信号とスロープ信号との比較結果を制御ノードに出力する増幅トランジスタと、ソースが前記制御ノードに接続され、且つ、ゲートがフローティング状態に設定可能に構成された、前記増幅トランジスタと同一導電型の負荷トランジスタと、前記負荷トランジスタのソース及びゲート間に設けられた容量素子と、前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、前記制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、を有する。この表示装置は、CMOS回路を用いること無く発光素子をPWM駆動することができるため、コストを低減することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る表示装置の制御方法は、発光素子と、前記発光素子を駆動する画素回路と、を備え、前記画素回路は、定電流を出力する定電流源と、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路と、を備え、前記PWM制御回路は、少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成された動作モードのうち前記発光モードにおいて、映像信号とスロープ信号との比較結果を制御ノードに出力する増幅トランジスタと、ソースが前記制御ノードに接続され、且つ、ゲートがフローティング状態に設定可能に構成された、前記増幅トランジスタと同一導電型の負荷トランジスタと、前記負荷トランジスタのソース及びゲート間に設けられた容量素子と、前記定電流源と前記発光素子との間に設けられ、前記制御ノードの電位に応じてオンオフが切り替わる、前記増幅トランジスタと同一導電型の制御トランジスタと、を有する、表示装置の制御方法であって、前記負荷トランジスタのゲートにバイアス電位を印加し、前記負荷トランジスタのゲートにバイアス電位が印加された状態で当該負荷トランジスタのゲートをフローティング状態に設定し、前記発光モードにおいて、前記画素回路によって前記発光素子を駆動する。この表示装置の制御方法では、CMOS回路を用いること無く発光素子をPWM駆動することができるため、コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、コストを低減することが可能な表示装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る表示装置に設けられた画素の構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図3】実施の形態2に係る表示装置に設けられた画素の構成例を示す図である。
【
図4】実施の形態2に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】実施の形態3に係る表示装置に設けられた画素の構成例を示す図である。
【
図6】実施の形態3に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る表示装置に設けられた画素1の構成例を示す図である。実施の形態1に係る表示装置は、例えばOLEDディスプレイやマイクロLEDディスプレイなどの自発光型かつアクティブマトリックス型の表示装置である。
【0013】
例えば、実施の形態1に係る表示装置は、複数の画素1が二次元マトリックス状に配置されたパネルと、データドライバやスキャンドライバ等によって構成された制御回路と、を少なくとも備える。制御回路は、例えば、二次元マトリックス状に配置された複数の画素1を、1行毎に順番にスキャン(選択)し、スキャンした行の画素1に対して映像信号を書き込んでいく。そして、例えば、全ての画素1に対する映像信号の書き込みが完了すると、それらの画素1の発光素子を一斉に発光させる。
【0014】
画素1は、
図1に示すように、発光素子D1と、発光素子D1をPWM(Pulse Width Modulation)駆動する画素回路(駆動回路)10と、によって構成されている。
【0015】
発光素子D1は、自発光型の素子であって、例えば有機ELやマイクロLEDなどである。本実施の形態では、発光素子D1がマイクロLEDである場合を例に説明する。なお、発光素子D1がマイクロLEDである場合、発光のカラーシフト抑止の観点から、発光素子D1の階調表現はPWM駆動によって行われることが多い。
【0016】
画素回路10は、定電流出力回路(定電流源)11と、PWM制御回路12と、を有する。
【0017】
定電流出力回路11は、定電流を出力可能に構成されている。具体的には、定電流出力回路11は、トランジスタTR11~TR13と、容量素子C11と、を有する。本実施の形態では、トランジスタTR11~TR13が何れもPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
【0018】
トランジスタTR11は、入力端子pamsと、定電流出力回路11の出力ノードであるノードN1と、の間に設けられている。なお、入力端子pamsには、動作モードに応じて、外部から電源電位VDDが供給されたり、映像信号に対応する入力電位Vpamが供給されたり、HiZ状態が設定されたりする。なお、HiZ状態とは、ハイインピーダンス状態の略であって、入力端子(ここでは入力端子pams)にHiZ状態が設定されるとは、入力端子に供給される信号が無い状態、即ち、入力端子がオープンの状態のことである。
【0019】
トランジスタTR13は、トランジスタTR11のゲートと、基準電位(ここでは接地電位)VSSが供給される基準電位端子(以下、基準電位端子VSSと称す)と、の間に設けられ、リセット信号入力端子(以下、リセット信号入力端子rstと称す)を介してゲートに印加されるリセット信号rstに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR13は、リセット信号rstがLレベルの場合にオンし、リセット信号rstがHレベルの場合にオフする。
【0020】
トランジスタTR12は、トランジスタTR11のゲートと、トランジスタTR11のドレインと、の間に設けられ、スキャン信号入力端子(以下、スキャン信号入力端子SCと称す)を介してゲートに印加されるスキャン信号SCに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR12は、スキャン信号SCがLレベルの場合にオンし、スキャン信号SCがHレベルの場合にオフする。
【0021】
容量素子C11は、トランジスタTR11のゲートと、電源電位VDDが供給される電源電位端子(以下、電源電位端子VDDと称す)と、の間に設けられている。
【0022】
PWM制御回路12は、トランジスタTR21~TR25と、容量素子C21と、を有する。本実施の形態では、トランジスタTR21~TR25が何れもPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
【0023】
トランジスタ(制御トランジスタ)TR21は、定電流出力回路11の出力ノードであるノードN1と、発光素子D1のアノードと、の間に設けられ、ノード(制御ノード)N2の電位に基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR21は、ノードN2の電位が基準電位VSSを示す場合にオンし、ノードN2の電位が電源電位VDDを示す場合にオフする。
【0024】
トランジスタTR22は、増幅トランジスタであって、入力端子in1とノードN2との間に設けられている。なお、入力端子in1には、動作モードに応じて、外部から電源電位VDDが供給されたり、映像信号(映像信号に相当する電位)Vpwmが供給されたり、HiZ状態が設定されたりする。
【0025】
トランジスタ(第3スイッチトランジスタ)TR25は、トランジスタTR22のゲートと、基準電位端子VSSと、の間に設けられ、ゲートに印加されるリセット信号rstに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR25は、リセット信号rstがLレベルの場合にオンし、リセット信号rstがHレベルの場合にオフする。
【0026】
トランジスタ(第2スイッチトランジスタ)TR24は、トランジスタTR22のゲートと、トランジスタTR22のドレインと、の間に設けられ、ゲートに印加されるスキャン信号SCに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR24は、スキャン信号SCがLレベルの場合にオンし、スキャン信号SCがHレベルの場合にオフする。
【0027】
容量素子C21は、トランジスタTR22のゲートと、入力端子in2と、の間に設けられている。なお、入力端子in2には、動作モードに応じて、外部から映像信号の最大値を示す定電位が供給されたり、ノコギリ波状のスロープ信号が供給されたりする。
【0028】
トランジスタ(第1スイッチトランジスタ)TR23は、基準電位端子VSSとノードN2との間に設けられ、入力端子emを介してゲートに印加される発光許可信号emに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR23は、発光許可信号emがLレベル(ここではインアクティブ)の場合にオンし、発光許可信号emがHレベル(ここではアクティブ)の場合にオフする。
【0029】
なお、トランジスタTR21のゲート及びソース間には、容量素子が追加で設けられても良い。
【0030】
(実施の形態1に係る表示装置の動作)
続いて、
図1に加えて、
図2を用いて、実施の形態1に係る表示装置の動作(制御方法)について説明する。
図2は、実施の形態1に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。なお、実施の形態1に係る表示装置の動作モードは、少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成されている。
【0031】
まず、初期化モード(時刻t11~t12)では、リセット信号rstがLレベルに設定され、スキャン信号SCがHレベルに設定され、発光許可信号emがLレベルに設定される。また、入力端子pams,in1にはHiZ状態の設定がなされ、入力端子in2には映像信号Vpwmの最大電位である電位Vpwm_maxが供給される。
【0032】
それにより、PWM制御回路12では、トランジスタTR24がオフした状態でトランジスタTR25がオンするため、トランジスタTR22のゲート電位Vg22が、基準電位VSS(0V)に初期化される。
【0033】
同様にして、定電流出力回路11では、トランジスタTR12がオフした状態でトランジスタTR13がオンするため、トランジスタTR11のゲート電位Vg11が、基準電位VSS(0V)に初期化される。
【0034】
また、PWM制御回路12では、トランジスタTR23がオンするため、ノードN2の電位は基準電位VSS(0V)を示す。それにより、トランジスタTR21はオンする。但し、このとき、入力端子pamsがHiZ状態に設定され、それにより、定電流出力回路11の出力がHiZ状態となっているため、発光素子D1に電流は流れない。つまり、発光素子D1は発光しない。
【0035】
その後、動作モードが初期化モードからスキャンモードに切り替わる(時刻t12)。
スキャンモード(時刻t12~t15)では、まず、リセット信号rstがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t12)。
【0036】
それにより、PWM制御回路12では、トランジスタTR25がオフするため、トランジスタTR22のゲートは、基準電位VSSが印加された状態で、フローティング状態となる。同様にして、定電流出力回路11では、トランジスタTR13がオフするため、トランジスタTR11のゲートは、基準電位VSSが印加された状態で、フローティング状態となる。
【0037】
その後、スキャン信号SCが一時的にHレベルからLレベルに切り替わり、発光許可信号emもそれに合わせて一時的にLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t13)。また、このとき、入力端子in1には映像信号Vpwmが供給され、入力端子pamsには定電流設定値に対応した入力電位Vpamが供給される。なお、スキャンモードのうち入力端子in1に映像信号Vpwmが供給される期間(時刻t13~t14)を特に映像信号供給モードとも称す。
【0038】
それにより、PWM制御回路12では、トランジスタTR24がオンするため、入力端子in1に供給された映像信号Vpwmが、トランジスタTR22,TR24を介して、トランジスタTR22のゲートに印加される。このとき、トランジスタTR22のゲート電位Vg22は、Vpwm-|Vth22|まで上昇する。なお、Vpwmは映像信号Vpwmの電位を表し、Vth22はトランジスタTR22の閾値電圧を表している。
【0039】
同様にして、定電流出力回路11では、トランジスタTR12がオンするため、入力端子pamsに供給された入力電位Vpamが、トランジスタTR11,TR12を介して、トランジスタTR11のゲートに印加される。このとき、トランジスタTR11のゲート電位Vg11は、Vpam-|Vth11|となる。なお、Vth11はトランジスタTR11の閾値電圧を表している。
【0040】
また、PWM制御回路12では、トランジスタTR23がオフするため、ノードN2の電位Vn2は、Vpwm-|Vth22|を示す。一方で、このとき、入力端子pamsには入力電位Vpamが供給されているため、定電流出力回路11の出力電位(ノードN1の電位)Vn1は、Vpam-|Vth11|を示している。ここで、入力電位Vpamは、トランジスタTR21のゲート及びソース間の電位差Vgs21(=Vn2-Vn1)がトランジスタTR21の閾値電圧Vth21以上になるように(即ち、|Vgs21|≦|Vth21|になるように)予め設定されている。それにより、トランジスタTR21がオフするため、発光素子D1に電流は流れない。つまり、発光素子D1は発光しない。
【0041】
その後、再び、スキャン信号SCがLレベルからHレベルに切り替わり、発光許可信号emもそれに合わせてHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t14)。また、入力端子pams,in1には再びHiZ状態の設定がなされる。
【0042】
それにより、PWM制御回路12では、トランジスタTR24がオフするため、トランジスタTR22のゲートは、電位Vpwm-|Vth22|が印加された状態で、フローティング状態となる(時刻t14~t15)。同様にして、定電流出力回路11では、トランジスタTR12がオフするため、トランジスタTR11のゲートは、電位Vpam-|Vth11|が印加された状態で、フローティング状態となる(時刻t14~t15)。
【0043】
その後、動作モードがスキャンモードから発光モードに切り替わる(時刻t15)。
発光モード(時刻t15~t19)では、リセット信号rstがHレベル、スキャン信号SCがHレベルに固定された状態で、発光許可信号emの電位が周期的に切り替わる。
【0044】
ここで、発光許可信号emがLレベルを示す期間中、入力端子pams,in1にはHiZ状態の設定がなされ、入力端子in2には電位Vpwm_maxの固定電位が供給される。それに対し、発光許可信号emがHレベルを示す期間中、入力端子pams,in1には電源電位VDDが供給され、入力端子in2には、電位Vpwm_maxから電位Vpwm_minにかけて立ち下がるスロープ信号が供給される。なお、電位Vpwm_maxは、映像信号Vpwmの最大電位を表し、電位Vpwm_minは、映像信号Vpwmの最小電位を表している。
【0045】
まず、発光許可信号emがLレベルの期間(例えば時刻t15~t16)では、トランジスタTR22の出力がHiZ状態で、かつ、トランジスタTR23がオンするため、ノードN2の電位は基準電位VSS(0V)を示す。換言すると、ノードN2の電位は基準電位VSSに初期化される。それにより、トランジスタTR21はオンする。但し、このとき、入力端子pamsがHiZ状態に設定され、それにより、定電流出力回路11の出力がHiZ状態となっているため、発光素子D1に電流は流れない。つまり、発光モードにおいて、発光許可信号emがLレベルの期間中、発光素子D1は発光しない。
【0046】
次に、発光許可信号emがHレベルの期間では、トランジスタTR23がオフする一方で、トランジスタTR22が、映像信号Vpwmとスロープ信号との比較結果をノードN2に出力する。
【0047】
ここで、入力端子in2の電位のVpwm_maxからの変化量をΔVin2とすると、トランジスタTR22のゲート電位Vg22は、以下の式(1)のように表すことができる。
【0048】
Vg22=Vpwm-|Vth22|+ΔVin2 ・・・(1)
【0049】
また、トランジスタTR22のオンオフは、トランジスタTR22のゲート及びソース間の電位差Vgs22と、トランジスタTR22の閾値電圧Vth22と、の大小関係によって決まる。例えば、トランジスタTR22は、|Vgs22|-|Vth22|>0の場合にオンし、|Vgs22|-|Vth22|≦0の場合にオフする。
【0050】
ここで、|Vgs22|-|Vth22|は、式(1)より、以下の式(2)のように表すことができる。
【0051】
|Vgs22|-|Vth22|
=VDD-Vg22-|Vth22|
=VDD-Vpwm+|Vth22|-ΔVin2-|Vth22|
=VDD-Vpwm-ΔVin2 ・・・(2)
【0052】
式(2)を見ても分かるように、トランジスタTR22は、閾値電圧Vth22に依存せずにオンオフの切り替えを行う。つまり、閾値電圧Vth22に経年劣化による変化や特性ばらつきがあった場合でも、トランジスタTR22は、映像信号Vpwmとスロープ信号との比較結果を正確に出力することができる。
【0053】
例えば、スロープ信号の電位が大きく、トランジスタTR22のゲート電位Vg22がVDD-|Vth22|以上を示す場合、トランジスタTR22はオフする(例えば時刻t16~t17)。このとき、トランジスタTR23もオフしているが、ノードN2の電位が基準電位VSS(初期化された状態)を維持しているため、トランジスタTR21はオンする。それにより、発光素子D1は発光する。
【0054】
スロープ信号の電位が徐々に低下して、トランジスタTR22のゲート電位Vg22がVDD-|Vth22|未満になると、トランジスタTR22はオンする(例えば時刻t17~t18)。それにより、ノードN2の電位が電源電位VDDに上昇するため、トランジスタTR21はオフする。それにより、発光素子D1の発光は停止する。
【0055】
発光モードでは、時刻t15~t18のような動作が繰り返される(時刻t15~t19)。発光モードにおける発光素子D1の発光期間の割合(デューティ比)、即ち、発光素子D1の輝度は、映像信号Vpwmに基づいて決定される。なお、上述の説明からもわかるように、スロープ信号は、増幅トランジスタTR22による映像信号Vpwmとの比較によって当該増幅トランジスタTR22がオフからオンに切り替わるような波形の傾き(ここでは立ち下がり)を有する。
【0056】
このように、実施の形態1に係る表示装置では、画素回路10に設けられた各トランジスタが同一導電型のMOSトランジスタによって構成されている。それにより、実施の形態1に係る表示装置は、画素回路にCMOS回路が用いられる場合と比較して、コストを低減することができる。
【0057】
また、画素回路10は、トランジスタTR22,TR23が同時にオンしないように制御されるため、トランジスタTR22,TR23に流れる貫通電流を実質的にゼロに抑制することができる。なお、トランジスタTR23は、負荷トランジスタとして用いられているのではなく、単にスイッチトランジスタとして用いられているに過ぎないため、トランジスタサイズを大きくして抵抗値を大きくする必要が無く、回路規模の増大も抑制される。
【0058】
本実施の形態では、画素回路10に設けられた各トランジスタがPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明したが、これに限られない。画素回路10に設けられた各トランジスタがNチャネルMOSトランジスタであっても良い。
【0059】
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2に係る表示装置に設けられた画素2の構成例を示す図である。実施の形態2に係る表示装置は、実施の形態1に係る表示装置の場合と比較して、複数の画素1の代わりに複数の画素2を備えている。
【0060】
画素2は、
図3に示すように、発光素子D1と、発光素子D1をPWM駆動する画素回路(駆動回路)20と、によって構成されている。
【0061】
画素回路20は、定電流出力回路(定電流源)21と、PWM制御回路22と、を有する。なお、画素回路20に設けられた定電流出力回路21及びPWM制御回路22は、それぞれ、画素回路10に設けられた定電流出力回路11及びPWM制御回路12に対応する。
【0062】
定電流出力回路21は、定電流出力回路11と比較して、トランジスタTR13の代わりに、トランジスタTR14を備える。本実施の形態では、トランジスタTR14がPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
【0063】
トランジスタTR14は、発光素子D1に並列接続され、発光許可信号emに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR14は、発光許可信号emがLレベル(ここではインアクティブ)の場合にオンし、発光許可信号emがHレベル(ここではアクティブ)の場合にオフする。
【0064】
定電流出力回路21のその他の構成については、定電流出力回路11の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0065】
PWM制御回路22は、PWM制御回路12と比較して、トランジスタTR25を備えていない。PWM制御回路22のその他の構成については、PWM制御回路12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0066】
(実施の形態2に係る表示装置の動作)
続いて、
図3に加えて、
図4を用いて、実施の形態2に係る表示装置の動作(制御方法)について説明する。
図4は、実施の形態2に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。以下では、主に、実施の形態1に係る表示装置の場合と異なる動作について説明する。なお、
図4に示すタイミングチャートにおける時刻t21~t29は、それぞれ
図2に示すタイミングチャートにおける時刻t11~t19に対応する。
【0067】
まず、初期化モード(時刻t21~t22)では、スキャン信号SCがLレベルに設定され、発光許可信号emがLレベルに設定される。また、入力端子pams,in1にはHiZ状態の設定がなされ、入力端子in2には映像信号Vpwmの最大電位である電位Vpwm_maxが供給される。
【0068】
それにより、PWM制御回路22では、トランジスタTR23,TR24がオンするため、トランジスタTR22のゲート電位Vg22は、基準電位VSS(0V)に初期化される。つまり、PWM制御回路22では、トランジスタTR25の代わりに、トランジスタTR23,TR24を用いて、ゲート電位Vg22の初期化が行われる。
【0069】
同様にして、定電流出力回路21では、トランジスタTR14,TR12がオンし、トランジスタTR21もオンするため、トランジスタTR11のゲート電位Vg11は、基準電位VSS(0V)に初期化される。つまり、定電流出力回路21では、トランジスタTR13の代わりに、トランジスタTR12,TR14,TR21を用いて、ゲート電位Vg11の初期化が行われる。
【0070】
実施の形態2に係る表示装置のその他の動作については、実施の形態1に係る表示装置の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0071】
このように、実施の形態2に係る表示装置は、実施の形態1に係る表示装置と同等程度の効果を奏することができる。
【0072】
即ち、実施の形態2に係る表示装置では、画素回路20に設けられた各トランジスタが同一導電型のMOSトランジスタによって構成されている。それにより、実施の形態2に係る表示装置は、画素回路にCMOS回路が用いられる場合と比較して、コストを低減することができる。
【0073】
また、画素回路20は、トランジスタTR22,TR23が同時にオンしないように制御されるため、トランジスタTR22,TR23に流れる貫通電流を実質的にゼロに抑制することができる。なお、トランジスタTR23は、負荷トランジスタとして用いられているのではなく、単にスイッチトランジスタとして用いられているに過ぎないため、トランジスタサイズを大きくして抵抗値を大きくする必要が無く、回路規模の増大も抑制される。
【0074】
さらに、画素回路20は、画素回路10の場合よりもトランジスタの数を減らすことできるとともに、リセット信号rstを用いる必要もない。
【0075】
本実施の形態では、各画素回路10に設けられた各トランジスタがPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明したが、これに限られない。各画素回路10に設けられた各トランジスタがNチャネルMOSトランジスタであっても良い。
【0076】
<実施の形態3>
図5は、実施の形態3に係る表示装置に設けられた画素3の構成例を示す図である。実施の形態3に係る表示装置は、実施の形態1に係る表示装置の場合と比較して、複数の画素1の代わりに複数の画素3を備えている。
【0077】
画素3は、
図5に示すように、発光素子D1と、発光素子D1をPWM駆動する画素回路(駆動回路)30と、によって構成されている。
【0078】
画素回路30は、定電流出力回路31と、PWM制御回路32と、を有する。なお、画素回路30に設けられた定電流出力回路31及びPWM制御回路32は、それぞれ、画素回路10に設けられた定電流出力回路11及びPWM制御回路12に対応する。
【0079】
定電流出力回路31については、定電流出力回路11と同様の回路構成であるため、その説明を省略する。
【0080】
PWM制御回路32は、PWM制御回路12と比較して、トランジスタTR26,TR27と、容量素子C22と、をさらに備える。また、PWM制御回路32では、トランジスタTR23が、スイッチトランジスタとしてでは無く、負荷トランジスタとして用いられている。本実施の形態では、トランジスタTR26,TR27が何れもPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
【0081】
トランジスタTR23は、負荷トランジスタであって、トランジスタTR21のゲート(ノードN2)と、入力端子emと、の間に設けられている。
【0082】
トランジスタ(第1スイッチトランジスタ)TR26は、トランジスタTR23のゲートと、バイアス電位Vbsが供給されるバイアス電位入力端子(以下、バイアス電位入力端子Vbsと称す)と、の間に設けられ、ゲートに印加されるリセット信号rstに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR26は、リセット信号rstがLレベルの場合にオンし、リセット信号rstがHレベルの場合にオフする。
【0083】
容量素子C22は、トランジスタTR23のゲート及びソース間に設けられている。
【0084】
トランジスタ(第4スイッチトランジスタ)TR27は、トランジスタTR22,TR24のそれぞれのドレインと、トランジスタTR21のゲート(ノードN2)と、の間に設けられ、ゲートに印加される発光許可信号emに基づいてオンオフを切り替える。例えば、トランジスタTR27は、発光許可信号emがLレベル(ここではアクティブ)の場合にオンし、発光許可信号emがHレベル(ここではインアクティブ)の場合にオフする。
【0085】
PWM制御回路32のその他の構成については、PWM制御回路12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0086】
(実施の形態3に係る表示装置の動作)
続いて、
図5に加えて、
図6を用いて、実施の形態3に係る表示装置の動作(制御方法)について説明する。
図6は、実施の形態3に係る表示装置の動作を示すタイミングチャートである。なお、実施の形態3に係る表示装置の動作モードは、少なくとも初期化モード、スキャンモード、及び、発光モードによって構成されている。
【0087】
まず、初期化モード(時刻t31~t32)では、リセット信号rstがLレベルに設定され、スキャン信号SCがHレベルに設定され、発光許可信号emがHレベルに設定される。また、入力端子pams,in1にはHiZ状態の設定がなされ、入力端子in2には映像信号Vpwmの最小電位である電位Vpwm_minが供給される。
【0088】
それにより、PWM制御回路32では、トランジスタTR24がオフした状態でトランジスタTR25がオンするため、トランジスタTR22のゲート電位Vg22が、基準電位VSS(0V)に初期化される。
【0089】
同様にして、定電流出力回路31では、トランジスタTR12がオフした状態でトランジスタTR13がオンするため、トランジスタTR11のゲート電位Vg11が、基準電位VSS(0V)に初期化される。
【0090】
また、PWM制御回路32では、トランジスタTR26がオンするため、トランジスタTR23のゲートにはバイアス電位Vbsが印加される。このバイアス電位Vbsは、負荷トランジスタとして用いられるトランジスタTR23が高抵抗を実現するような高い値に設定されている。
【0091】
なお、このとき、トランジスタTR27がオフしているため、ノードN2には、高抵抗のトランジスタTR23を介して、Hレベルの発光許可信号emが供給される。それにより、トランジスタTR21がオフするため、発光素子D1に電流は流れない。つまり、発光素子D1は発光しない。
【0092】
その後、動作モードが初期化モードからスキャンモードに切り替わる(時刻t32)。
スキャンモード(時刻t32~t35)では、まず、リセット信号rstがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t32)。
【0093】
それにより、PWM制御回路32では、トランジスタTR25がオフするため、トランジスタTR22のゲートは、基準電位VSSが印加された状態で、フローティング状態となる。同様にして、定電流出力回路31では、トランジスタTR13がオフするため、トランジスタTR11のゲートは、基準電位VSSが印加された状態で、フローティング状態となる。
【0094】
また、PWM制御回路32では、トランジスタTR26がオフするため、トランジスタTR23のゲートは、バイアス電位Vbsが印加された状態で、フローティング状態となる。それにより、トランジスタTR23は、トランジスタサイズを大きくしなくても、高抵抗の負荷トランジスタを実現することができる。
【0095】
その後、スキャン信号SCが一時的にHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t33)。また、このとき、入力端子in1には映像信号Vpwmが供給され、入力端子pamsには、定電流設定値に対応した入力電位Vpamが供給される。なお、スキャンモードのうち入力端子in1に映像信号Vpwmが供給される期間(時刻t33~t34)を特に映像信号供給モードとも称す。
【0096】
それにより、PWM制御回路32では、トランジスタTR24がオンするため、入力端子in1に供給された映像信号Vpwmが、トランジスタTR22,TR24を介して、トランジスタTR22のゲートに印加される。このとき、トランジスタTR22のゲート電位Vg22は、Vpwm-|Vth22|まで上昇する。なお、Vpwmは映像信号Vpwmの電位を表し、Vth22はトランジスタTR22の閾値電圧を表している。
【0097】
同様にして、定電流出力回路31では、トランジスタTR12がオンするため、入力端子pamsに供給された入力電位Vpamが、トランジスタTR11,TR12を介して、トランジスタTR11のゲートに印加される。このとき、トランジスタTR11のゲート電位Vg11は、Vpam-|Vth11|となる。なお、Vth11はトランジスタTR11の閾値電圧を表している。
【0098】
なお、このとき、トランジスタTR27がオフしているため、ノードN2には、高抵抗のトランジスタTR23を介して、Hレベルの発光許可信号emが供給され続けている。それにより、トランジスタTR21がオフするため、発光素子D1に電流は流れない。つまり、発光素子D1は発光しない。
【0099】
その後、再び、スキャン信号SCがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t34)。また、入力端子pams,in1には再びHiZ状態の設定がなされる。
【0100】
それにより、PWM制御回路32では、トランジスタTR24がオフするため、トランジスタTR22のゲートは、電位Vpwm-|Vth22|が印加された状態で、フローティング状態となる(時刻t34~t35)。同様にして、定電流出力回路31では、トランジスタTR12がオフするため、トランジスタTR11のゲートは、電位Vpam-|Vth11|が印加された状態で、フローティング状態となる(時刻t34~t35)。
【0101】
その後、動作モードがスキャンモードから発光モードに切り替わる(時刻t35)。
発光モード(時刻t35~t40)では、リセット信号rstがHレベル、スキャン信号SCがHレベルに固定された状態で、発光許可信号emがLレベルになる。また、入力端子pams,in1には電源電位VDDが供給され、入力端子in2には、電位Vpwm_minと電位Vpwm_maxとの間を振幅する三角波状のスロープ信号が供給される。なお、電位Vpwm_maxは、映像信号Vpwmの最大電位を表し、電位Vpwm_minは、映像信号Vpwmの最小電位を表している。
【0102】
それにより、トランジスタTR27がオンするため、トランジスタTR22は、映像信号Vpwmとスロープ信号との比較結果をノードN2に出力する。なお、ノードN2の電位が変化しても、容量素子C22のブートストラップ動作により、トランジスタTR23のゲート及びソース間の電位差Vgs23は、一定の値に維持される。つまり、トランジスタTR23は高抵抗に維持される。したがって、トランジスタTR21は、映像信号Vpwmとスロープ信号との比較結果に応じてオンオフを切り替える。
【0103】
ここで、入力端子in2の電位のVpwm_minからの変化量をΔVin2とすると、トランジスタTR22のゲート電位Vg22は、以下の式(3)のように表すことができる。
【0104】
Vg22=Vpwm-|Vth22|+ΔVin2 ・・・(3)
【0105】
また、トランジスタTR22のオンオフは、トランジスタTR22のゲート及びソース間の電位差Vgs22と、トランジスタTR22の閾値電圧Vth22と、の大小関係によって決まる。例えば、トランジスタTR22は、|Vgs22|-|Vth22|>0の場合にオンし、|Vgs22|-|Vth22|≦0の場合にオフする。
【0106】
ここで、|Vgs22|-|Vth22|は、式(3)より、以下の式(4)のように表すことができる。
【0107】
|Vgs22|-|Vth22|
=VDD-Vg22-|Vth22|
=VDD-Vpwm+|Vth22|-ΔVin2-|Vth22|
=VDD-Vpwm-ΔVin2 ・・・(4)
【0108】
式(4)を見ても分かるように、トランジスタTR22は、閾値電圧Vth22に依存せずにオンオフの切り替えを行う。つまり、閾値電圧Vth22に経年劣化による変化や特性ばらつきがあった場合でも、トランジスタTR22は、映像信号Vpwmとスロープ信号との比較結果を正確に出力することができる。
【0109】
例えば、スロープ信号の立ち上がり過程において、トランジスタTR22のゲート電位Vg22がVDD-|Vth22|未満の場合、トランジスタTR22はオンする(例えば時刻t35~t36)。それにより、ノードN2の電位がHレベル(電源電位VDD)になるため、トランジスタTR21はオフする。そのため、発光素子D1は発光しない。その後、スロープ信号の立ち上がりが進み、トランジスタTR22のゲート電位Vg22がVDD-|Vth22|以上になると、スロープ信号の立ち上がりが完了するまで、トランジスタTR22はオフする(例えば時刻t36~t37)。それにより、ノードN2の電位がLレベル(基準電位VSS)になるため、トランジスタTR21はオンする。それにより、発光素子D1は発光する。
【0110】
その後、スロープ信号の立ち下がり過程において、トランジスタTR22のゲート電位Vg22がVDD-|Vth22|以上の場合、トランジスタTR22はオフする(例えば時刻t37~t38)。ノードN2の電位がLレベルに維持されているため、トランジスタTR21はオンを維持する。それにより、発光素子D1は発光する。その後、スロープ信号の立ち下がりが進み、トランジスタTR22のゲート電位Vg22がVDD-|Vth22|未満になると、スロープ信号の立ち下がりが完了するまで、トランジスタTR22はオンする(例えば時刻t38~t39)。それにより、ノードN2の電位がHレベルになるため、トランジスタTR21はオフする。それにより、発光素子D1の発光は停止する。
【0111】
発光モードでは、時刻t35~t39のような動作が繰り返される(時刻t35~t40)。発光モードにおける発光素子D1の発光期間の割合(デューティ比)、即ち、発光素子D1の輝度は、映像信号Vpwmに基づいて決定される。
【0112】
このように、実施の形態3に係る表示装置では、画素回路30に設けられた各トランジスタが同一導電型のMOSトランジスタによって構成されている。それにより、実施の形態3に係る表示装置は、画素回路にCMOS回路が用いられる場合と比較して、コストを低減することができる。
【0113】
また、画素回路30では、負荷トランジスタとして用いられるトランジスタTR23のゲート及びソース間の電位差Vgs23が、容量素子C22のブートストラップ動作によって一定の値に維持されている。それにより、トランジスタTR23はサイズを大きくしなくても高抵抗に維持される。つまり、画素回路30は、回路規模を増大させずに、トランジスタTR22,TR23に流れる貫通電流を抑制することができる。さらに、画素回路30は、出力振幅(ノードN2の電位の振幅)を確保することができるとともに、貫通電流の全出力領域での一定化を実現することができる。
【0114】
本実施の形態では、画素回路10に設けられた各トランジスタがPチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明したが、これに限られない。画素回路10に設けられた各トランジスタがNチャネルMOSトランジスタであっても良い。
【0115】
また、本実施の形態では、トランジスタTR23のドレインが入力端子emに接続された場合を例に説明したが、これに限られない。トランジスタTR23のドレインは、基準電位端子VSSに接続されてもよい。但し、その場合、トランジスタTR21のオンオフは、必要に応じて別経路からの発光許可信号emによって制御される必要がある。
【符号の説明】
【0116】
1 画素
2 画素
3 画素
10 画素回路
11 定電流出力回路
12 PWM制御回路
20 画素回路
21 定電流出力回路
22 PWM制御回路
30 画素回路
31 定電流出力回路
32 PWM制御回路
C11 容量素子
C21 容量素子
C22 容量素子
D1 発光素子
TR11~R14 トランジスタ
TR21~TR27 トランジスタ