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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】吐水装置および吐水方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/20 20060101AFI20240621BHJP
   A47K 3/02 20060101ALI20240621BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61H 9/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A47K3/20
A47K3/02
A47K3/00 E
A61H9/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020155338
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049232
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】池堂 浩史
(72)【発明者】
【氏名】松下 圭太
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 壱成
(72)【発明者】
【氏名】山下 未華
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-166673(JP,A)
【文献】特開2003-153975(JP,A)
【文献】特開2009-21043(JP,A)
【文献】特開2019-210628(JP,A)
【文献】特開2019-10532(JP,A)
【文献】特開平9-103381(JP,A)
【文献】特開2017-217421(JP,A)
【文献】特開2020-110644(JP,A)
【文献】特開2017-104192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-3/40
A61H 9/00
E03C 1/04-1/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽から取水し、浴槽水位よりも上側から吐水する第1吐水部と、
前記浴槽から取水し、浴槽水位よりも上側から吐水する第2吐水部と、
吐水開始時には、前記第1吐水部からの吐水を開始した後に前記第2吐水部からの吐水を開始し、吐水停止時には、前記第2吐水部からの吐水を停止した後に前記第1吐水部からの吐水を停止する制御を実施する制御部と、
を備え、
前記第1吐水部は、水を膜状に吐き出す第1吐水口を有し、
前記第2吐水部は、前記第1吐水部よりも吐水される範囲が狭い第2吐水口を有し、
前記第1吐水部は、前記第2吐水部よりも上方から吐水する吐水装置。
【請求項2】
前記第2吐水部は、前記第2吐水部の吐水と停止とを切り替えるボール弁を有し、
前記ボール弁は、
水が流通する弁流路が形成された弁体と、
前記弁流路を流出した水が流入する流出管と、を有し、
前記弁流路における前記流出管に水を流出する流出孔は、前記弁体が回転する方向に延びる形状であり、
前記弁体が回転して前記流出孔と前記流出管とが重なると、前記弁流路を流出した水が前記流出管に流入し、
前記制御部は、吐水停止後には、再び吐水を行う際に前記弁体を回転させる方向を、前記弁体の回転方向の一方側および他方側のうちの、前記流出孔が前記流出管とより早く重なる側に回転させる制御を行う請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記第1吐水部からの吐水と前記第2吐水部からの吐水と、を切り替えるスイッチを有し、
前記制御部は、前記スイッチに入力された第1指令の後に、前記第1指令に応じた処理が完了する前に前記第1指令とは異なる複数の第2指令が入力された場合に、前記複数の第2指令のうちの前記第1指令に応じた処理が完了した時点での最終入力結果に対応する前記第2指令に応じた処理を行う請求項1または2に記載の吐水装置。
【請求項4】
浴槽から取水し、浴槽水位よりも上側から吐水する第1吐水部および第2吐水部を制御する制御部が実行する吐水方法であって、
前記第1吐水部は、水を膜状に吐き出す第1吐水口を有し、
前記第2吐水部は、前記第1吐水部よりも吐水される範囲が狭い第2吐水口を有し、
前記第1吐水部は、前記第2吐水部よりも上方から吐水し、
前記制御部が、吐水開始時には、前記第1吐水部からの吐水を開始した後に前記第2吐水部からの吐水を開始し、吐水停止時には、前記第2吐水部からの吐水を停止した後に前記第1吐水部からの吐水を停止する制御を実施する吐水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置および吐水方法に関する。
【0002】
従来、浴槽の水を循環させ、膜状に吐水される水を入浴者の肩にかけてマッサージ効果を与える吐水装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。本明細書における「水」は、冷水および温水(湯)を含む用語として用いられる。このような吐水装置において、マッサージ効果をより高めるために、入浴者の肩への膜状の吐水と同時に線状に吐水される水を入浴者の首にかけることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-104192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
首用の線状の吐水は、肩用の膜状の吐水より吐水される範囲が狭く、勢いよく吐水されるため、入浴者の首に当たった水が飛び散り、外観がよくないという問題がある。
【0005】
本開示は、水が飛び散ることを抑えることができる吐水装置および吐水方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る吐水装置は、浴槽から取水し、浴槽水位よりも上側から吐水する第1吐水部と、前記浴槽から取水し、浴槽水位よりも上側から吐水する第2吐水部と、吐水開始時には、前記第1吐水部からの吐水を開始した後に前記第2吐水部からの吐水を開始し、吐水停止時には、前記第2吐水部からの吐水を停止した後に前記第1吐水部からの吐水を停止する制御を実施する制御部と、を備え、前記第1吐水部は、水を膜状に吐き出す第1吐水口を有し、前記第2吐水部は、前記第1吐水部よりも吐水される範囲が狭い第2吐水口を有し、前記第1吐水部は、前記第2吐水部よりも上方から吐水する
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る吐水方法は、浴槽から取水し、浴槽水位よりも上側から吐水する第1吐水部および第2吐水部を制御する制御部が実行する吐水方法であって、前記第1吐水部は、水を膜状に吐き出す第1吐水口を有し、前記第2吐水部は、前記第1吐水部よりも吐水される範囲が狭い第2吐水口を有し、前記第1吐水部は、前記第2吐水部よりも上方から吐水し、前記制御部が、吐水開始時には、前記第1吐水部からの吐水を開始した後に前記第2吐水部からの吐水を開始し、吐水停止時には、前記第2吐水部からの吐水を停止した後に前記第1吐水部からの吐水を停止する制御を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】吐水装置を示す図である。
図2】吐水を示す図である。
図3】吐水装置を示す模式図である。
図4】ボール弁の斜視図である。
図5】ボール弁の断面斜視図(第1の位置)である。
図6】ボール弁の断面斜視図(第2の位置)である。
図7】肩首吐水の開始を説明するフローチャートである。
図8】肩首吐水の停止を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、第1実施形態による吐水装置1は、浴槽2に設置され、浴槽2に溜められている水を循環させて入浴者6の肩、首および腰に吐水するように構成されている。浴槽2に溜められ、吐水装置1によって入浴者6にかけられる水を「浴槽水2a」と表記する。吐水装置1は、肩吐水部311(第1吐水部)と、腰吐水部321と、首吐水部331(第2吐水部)と、を有している。肩吐水部311は、浴槽水2aを入浴者6の肩に吐水する肩吐水口31(第1吐水口)を備える。腰吐水部321は、浴槽水2aを入浴者6の腰に吐水する腰吐水口32を備える。首吐水部331は、浴槽水2aを入浴者6の首に吐水する首吐水口33(第2吐水口)を備える。肩吐水口31および首吐水口33は、浴槽2の水位よりも上方に位置している。腰吐水口32は、浴槽2の水位2b(浴槽水位)よりも下方に位置している。
【0010】
図2に示すように、肩吐水口31は、横方向に延びるスリット状に形成され、浴槽水2aを膜状に吐水する。腰吐水口32は、丸孔状に形成され、浴槽水2aを線状に噴射する。腰吐水口32は、複数設けられていてもよい。首吐水口33は、肩吐水口31よりも幅方向の寸法が小さい。首吐水口33は、浴槽水2aを吐水する幅方向の範囲が、肩吐水口31が吐水する幅方向の範囲よりも狭い。首吐水口33は、複数設けられていてもよい。首吐水口33からの吐水は、肩吐水口31からの吐水および腰吐水口32からの吐水よりも流量が少ない。肩吐水口31は、首吐水口33よりも上方に位置している。首吐水口33から吐水される浴槽水2aは、肩吐水口31から吐水されて浴槽2の内部に向かう浴槽水2aに向かって吐水される。
【0011】
図3に示すように、吐水装置1は、ポンプ3と、第1流路41と、第2流路42と、第3流路43と、第4流路44と、第1弁51と、第2弁52と、制御部34(図1参照)と、を有している。ポンプ3は、浴槽水2a(図1および図2参照)を圧送する。第1流路41は、ポンプ3の下流に接続される。第1弁51は、第1流路41の下流に接続される。第2流路42および第3流路43は、第1弁51の下流に接続され、第1弁51を介して分岐する。第4流路44は、第1弁51よりも上流において第1流路41から分岐する。第2弁52は、第4流路44に設けられる。制御部34は、ポンプ3、第1弁51および第2弁52を制御する。第2流路42は、肩吐水口31に接続されている。第3流路43は、腰吐水口32に接続されている。第4流路44は、首吐水口33に接続されている。第1流路41-第4流路44はいずれも管体が形成している。肩吐水部311は、少なくとも第2流路42および肩吐水口31を有している。首吐水部331は、少なくとも第4流路44、首吐水口33および第2弁52を有している。
【0012】
第1弁51は、三方弁である。第1弁51は、第1流路41からの浴槽水2aを第2流路42のみに流すモード(肩吐水モードとする)、第3流路43のみに流すモード(腰吐水モードとする)、第2流路42および第3流路43の両方に流すモード(肩腰吐水モードとする)、のいずれかに切り替え可能に構成されている。
【0013】
第2弁52は、二方弁である。第2弁52は、第1流路41から分岐して第4流路44に流入した浴槽水2aが更に下流側へ流れることを切り替え可能に構成されている。第2弁52が開放されると第4流路44に浴槽水2aが流れる。第2弁52が閉鎖されると第4流路44には浴槽水2aが流れない。
【0014】
第2弁52には、図4に示すボール弁53が採用されている。図4に示すように、ボール弁53は、弁箱10と、弁体20と、を備えている。弁箱10は、箱本体部11と、流入管(流入口)12と、流出管(流出口)13と、を有している。説明の便宜上、流入管12が延びる方向をZ方向として、上流側を-Z側とし、下流側を+Z側とする。流出管13が延びる方向をX方向として、上流側を-X側とし、下流側を+X側とする。Z方向及びX方向と直交する方向をY方向とする。
【0015】
箱本体部11は、略立方体形状に形成されている。図5は、ボール弁53のX方向及びZ方向に沿う断面斜視図であり、弁体20が第1の位置にある場合を示す。図5に示すように、箱本体部11の内部は、中空状に形成されている。箱本体部11の-Z側の端部には、貫通孔である流入開口11aが形成されている。箱本体部11の+X側の端部には、貫通孔である流出開口11bが形成されている。箱本体部11の形状は、略立方体形状に限られず、内部で弁体20が回転可能な形状であれば適宜設定可能である。
【0016】
流入管12は、箱本体部11の流入開口11aに接続されている。流入管12は、円筒状に形成されている。流入管12は、流入開口11aから-Z方向に延びている。流入管12の内部は、浴槽水2aが流通可能な流入路12rとされている。
【0017】
流出管13は、箱本体部11の流出開口11bに接続されている。流出管13は、円筒状に形成されている。流出管13は、流出開口11bから+X方向に延びている。流出管13の内部は、浴槽水2a(図1、および2参照)が流通可能な流出路13rとされている。
【0018】
弁体20は、箱本体部11の内部に回転可能に設けられている。弁体20は、略球形状に形成されている。弁体20は、弁体20の中心を通るZ方向に延びる軸線回りに回転可能である。弁体20の+Z側の端部には、軸支持部21が形成されている。軸支持部21は、箱本体部11に弁体20の中心を通るZ方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されている。弁体20には、弁体20を貫通し、浴槽水2aが流通可能な弁流路20rが形成されている。
【0019】
図5に示すように、弁流路20rは、-Z側に開口するとともに、Z方向に直交する方向に開口している。弁流路20rは、-Z側に開口する側が流入孔22となり、Z方向に直交する方向に開口する側が流出孔23となっている。弁流路20rは、弁体20の内部で90°屈曲し、浴槽水2aの流れる方向を90°屈曲させている。流入孔22は、Z方向から見て略円形状をなしている。流入孔22は、流入管12の流入路12rに連通するとともに、弁流路20rに連通している。
【0020】
流出孔23は、弁体20の中心を通るZ方向に延びる軸線20aを中心として回る方向(以下、R方向とする)に沿って形成されている。流出孔23は、流出管13の流出路13rに連通するとともに、弁流路20rに連通している。
【0021】
流出孔23は、軸線20aを中心とするR方向の略90°の範囲にわたって形成されている。流出孔23における弁体20のR方向の一方側(図5の右側)の開口端を、第1開口端23aとする。流出孔23における弁体20のR方向の他方側(図5の左側)の開口端を、第2開口端23bとする。流出孔23は、第1開口端23aから第2開口端23bまで連続した形状(繋がった形状)をなしている。
【0022】
第1開口端23aのR方向の一方側の端部23cは、略円弧状をなしている。第2開口端23bのR方向の他方側の端部23dは、略円弧状をなしている。第1開口端23aの円弧状をなす端部23cの半径R1は、第2開口端23bの円弧状をなす端部23dの半径R2よりも大きい。第1開口端23aのZ方向の長さ(直径=半径R1×2)は、第2開口端23bのZ方向の長さ(直径=半径R2×2)よりも長い。
【0023】
第1開口端23aの仮想開口面積を半径R1の仮想円S1の面積として、第2開口端23bの仮想開口面積を半径R2の仮想円S2の面積とする。第1開口端23aの仮想開口面積は、第2開口端23bの仮想開口面積よりも大きい。
【0024】
第1開口端23aと第2開口端23bとの中間部分(以下、開口中間部とする)23mのZ方向の長さは、第1開口端23aのZ方向の長さよりも短く、第2開口端23bのZ方向の長さよりも長い。
【0025】
弁体20は、制御部34(図1参照)によって、図5に示す第1の位置及び図6に示す第2の位置で停止可能とされている。図5に示す第1の位置では、流出孔23の第1開口端23aが箱本体部11の流出開口11b側及び流出管13の流出路13r側を向いている。図6に示す第2の位置では、流出孔23の第2開口端23bが箱本体部11の流出開口11b側及び流出管13の流出路13r側を向いている。第1開口端23aの仮想開口面積は、第2開口端23bの仮想開口面積よりも大きい。流出管13から見て、第1の位置における流出孔23の開口面積の合計は、第2の位置における流出孔23の開口面積の合計よりも大きい。これによって、第1の位置における流出孔23から流出される浴槽水2aの流出量は、第2の位置における流出孔23から流出される浴槽水2aの流出量よりも多い。
【0026】
流出孔23は、第1開口端23aから第2開口端23bまで連続した形状(繋がった形状)をなしている。これによって、流出孔23の開口中間部23mが箱本体部11の流出開口11b側及び流出管13の流出路13r側を向いている中間位置でも、流出孔23から浴槽水2aが流出可能とされている。浴槽水2aは、第1の位置から第2の位置まで連続的に流出可能とされている。
【0027】
流出孔23の開口中間部23mのZ方向の長さは、第1開口端23aのZ方向の長さよりも短く、第2開口端23bのZ方向の長さよりも長い。これによって、中間位置において流出孔23から流出される浴槽水2aの流出量は、第1の位置における流出孔23から流出される浴槽水2aの流出量よりも少なく、第2の位置における流出孔23から流出される浴槽水2aの流出量よりも多い。
【0028】
弁体20のR方向において、第1開口端23aと反対側の面を第1止水面24aとする。弁体20のR方向において、第2開口端23bと反対側の面を第2止水面24bとする。第1止水面24a及び第2止水面24bは、弁体20の球面の一部である。上述しているように、弁体20は、弁体20の中心を通るZ方向に延びる軸線回りに回転可能に構成されている。Z方向に延びる軸線回りの一方側をT1方向とし、他方側をT2方向とする。
【0029】
弁体20を第1の位置にした吐水量が多い状態から止水するには、弁体20の第2止水面24bを流出管13の流出路13r側に向けるように、弁体20をT1方向に90°回転させる。この後、制御部34によって、弁体20はさらにT1方向に90°回転して、第1止水面24aが流出管13の流出路13r側を向くまで回転する。これによって、止水状態から吐水状態に切り替える際には、弁体20をT1方向に90°回転させて、第2の位置として、吐水量が少ない状態から吐水させることができる。第2の位置から止水するには、弁体20の第1止水面24aを流出管13の流出路13r側に向けるように、弁体20をT2方向に90°回転させる。
【0030】
このように構成されたボール弁53では、第1の位置における流出孔23から流出される浴槽水2aの流出量は、第2の位置における流出孔23から流出される浴槽水2aの流出量よりも多い。これによって、弁体20を回転させることで、流出管13から流出する流量を調整することができる。
【0031】
上記のボール弁53では、流出管13から見て、第1の位置における流出孔23の開口面積の合計は、第2の位置における流出孔23の開口面積の合計よりも大きい。これによって、弁体20を回転させることで、流出管13から流出する流量を調整することができる。
【0032】
上記のボール弁53では、浴槽水2aは、第1の位置から第2の位置まで連続的に流出可能とされている。これによって、弁体20が回転して第1の位置と第2の位置との間の中間位置でも、流出管13から浴槽水2aが途切れることなく流出する。
【0033】
上記のボール弁53では、ポンプから供給された浴槽水2aがボール弁53を流通して、首吐水口33から吐水される構成である。これによって、ボール弁53を回転させて、首吐水口33からの流量を調整することができる。ボール弁53は、回転方向(T1方向、T2方向)を選択できる。これにより、吐水を開始する際には、流出孔23の第1開口端23aおよび第2開口端23bのうち流出管13に近い側が流出管13に向かうように回転させることで、吐水開始までの遷移時間を短縮することができる。
【0034】
吐水装置1は、ポンプ3から圧送された浴槽水2aが、第1流路41に流れ、一部がそのまま第1流路41を流れて第1弁51に達し、残りが第1流路41の下流の第1弁51よりも上流で第4流路44に流入する。第1弁51に達した浴槽水2aは、第1弁51の切り替えによって、第2流路42のみ、第3流路43のみ、および第2流路42および第3流路43の両方、のいずれかに流入する。浴槽水2aが第2流路42のみに流入する場合は、肩吐水口31から浴槽2に吐水される。浴槽水2aが第3流路43のみに流入する場合は、腰吐水口32から浴槽2に吐水される。浴槽水2aが、第2流路42および第3流路43に流入する場合は、肩吐水口31および腰吐水口32の両方から浴槽2に吐水される。第4流路44に流入した浴槽水2aは、第2弁52が開放されていると、第4流路44を流れ、首吐水口33から浴槽2へ吐水される。第4流路44に流入した浴槽水2aは、第2弁52が閉鎖されていると第4流路44を流れず、首吐水口33から吐水されない。
【0035】
制御部34は、入浴者6が操作したスイッチ35(図1参照)の信号に応じて、ポンプ3、第1弁51および第2弁52の駆動を制御する。制御部34は、スイッチ35に入力された第1指令の後に、第1指令が完了する前に第1指令とは異なる複数の第2指令が入力された場合に、複数の第2指令のうちの第1指令が完了した時点での最終入力結果に対応する第2指令を行う。すなわち、制御部34は、第1指令による吐水が行われている際に、スイッチ35のボタンが何度も押された場合に、第1指令による吐水が完了した時点でのスイッチ35による最終入力結果に対応する吐水を行う。
【0036】
肩吐水口31からの吐水を行う場合は、ポンプ3を作動し、第2弁52を閉鎖するとともに、第1弁51を肩吐水モードとする。これにより、第1流路41を流れる浴槽水2aは、第2流路42のみに流入する。浴槽水2aは、第1流路41から第2流路42を通って肩吐水口31から浴槽2に吐水される。腰吐水口32からの吐水を行う場合は、ポンプ3を作動し、第2弁52を閉鎖するとともに、第1弁51を腰吐水モードとする。これにより、第1流路41を流れる浴槽水2aは、第3流路43のみに流入するとする。浴槽水2aは、第1流路41から第3流路43を通って腰吐水口32から浴槽2に吐水される。
【0037】
肩吐水口31および腰吐水口32の両方からの吐水を行う場合は、ポンプ3を作動し、第2弁52を閉鎖するとともに、第1弁51を肩腰吐水モードとする。第1流路41を流れる浴槽水2aは、を第2流路42および第3流路43とする。浴槽水2aは、第1流路41から第2流路42に流入し肩吐水口31から浴槽2に吐水されるとともに、第1流路41から第3流路43に流入し腰吐水口32から浴槽2に吐水される。
【0038】
肩吐水口31および首吐水口33の両方からの吐水を行う場合は、ポンプ3を作動し、第2弁52を開放するとともに、第1弁51を肩吐水モードとする。第1流路41を流れる浴槽水2aは、第2流路42および第4流路44に流入する。浴槽水2aは、第1流路41から第2流路42に流入し肩吐水口31から浴槽2に吐水されるとともに、第1流路41から第4流路44に流入し首吐水口33から浴槽2に吐水される。腰吐水口32および首吐水口33の両方からの吐水を行う場合は、ポンプ3を作動し、第2弁52を開放するとともに、第1弁51を腰吐水モードとする。第1流路41を流れる浴槽水2aは、第3流路43および第4流路44に流入する。浴槽水2aは、第1流路41から第3流路43に流入し腰吐水口32から浴槽2に吐水されるとともに、第1流路41から第4流路44に流入し首吐水口33から浴槽2に吐水される。
【0039】
肩吐水口31、腰吐水口32および首吐水口33の全てからの吐水を行う場合は、ポンプ3を作動し、第2弁52を開放するとともに、第1弁51を肩腰吐水モードとする。第1流路41を流れる浴槽水2aは、第2流路42、第3流路43および第4流路44に流入する。浴槽水2aは、第1流路41から第2流路42に流入し肩吐水口31から浴槽2に吐水されるとともに、第1流路41から第3流路43に流入し腰吐水口32から浴槽2に吐水され、さらに第1流路41から第4流路44に流入し首吐水口33から浴槽2に吐水される。
【0040】
上記の吐水装置1および吐水方法では、肩吐水口31および首吐水口33の両方からの吐水(肩首吐水とする)を行う場合(腰吐水口32からの吐水を行う場合も含む)には、制御部34は、以下のように制御を実施する。吐水開始時には、肩吐水口31からの吐水を開始した後に首吐水口33からの吐水を開始する。図7に示すように、制御部は、肩首吐水開始の信号を受信する(S-11)と、首吐水口33からの吐水(首吐水とする)が行われているか判断する(S-12)。首吐水が行われている場合は、首吐水を停止し(S-13)、肩吐水口31からの吐水(肩吐水とする)を開始する(S-14)。首吐水が行われていない場合は、肩吐水を開始する(S-14)。肩吐水を開始し所定時間が経過したら、首吐水を開始する(S-15)。これにより首肩吐水が行われる(S-16)。
【0041】
首肩吐水の停止時には、首吐水口33からの吐水を停止した後に肩吐水口31からの吐水を停止する。図8に示すように、制御部は、肩首吐水停止の信号を受信する(S-21)と、首吐水を停止する(S-22)。首吐水を停止し所定時間が経過したら肩吐水を停止する(S-23)。これにより、肩首吐水が停止する(S-24)。
【0042】
このようにすることにより、上記の吐水装置1および吐水方法では、首吐水口33から吐水される浴槽水2aを、肩吐水口31から吐水されている浴槽水2aに向かって吐水させることができる。これにより、首吐水口33から吐水された浴槽水2aが飛び散ることを抑えることができる。
【0043】
上記の吐水装置1では、肩吐水部311は、浴槽水2aを膜状に吐き出す肩吐水口31を有している。これにより、肩吐水口31から吐水される浴槽水2aが飛び散ることを抑えることができる。
【0044】
上記の実施形態では、肩吐水口31が首吐水口33よりも上方に位置している。すなわち、肩吐水部311は、首吐水部331よりも上方から吐水する。これにより、首吐水口33から吐水される浴槽水2aを、肩吐水口31から吐水されている浴槽水2aに向かって吐水させることができる。その結果、首吐水口33から吐水された浴槽水2aが飛び散ることを抑えることができる。
【0045】
上記の吐水装置1では、首吐水口33は、首吐水口33の吐水と停止とを切り替えるボール弁53を有している。ボール弁53は、首吐水口33の吐水と停止とを切り替えるための回転方向(T1方向、T2方向)を選択できる。制御部34は、吐水停止後には、再び吐水を行う際に吐水開始までの遷移時間が短くなるようにボール弁53の弁体の回転を制御する。これにより、制御部34は、首吐水口33からの吐水開始の指令を受信してから首吐水口33からの吐水開始までの時間が短くなるように制御することができ、吐水装置1が違和感のない快適な吐水を提供することができる。
【0046】
上記の吐水装置1では、制御部34は、スイッチ35に入力された第1指令の後に、第1指令が完了する前に第1指令とは異なる複数の第2指令が入力された場合に、複数の第2指令のうちの第1指令が完了した時点での最終入力結果に対応する第2指令を行う。これにより、吐水の切り替わり時に、他の吐水に移行することによる意図せぬ吐水が行われることなく、吐水装置1が違和感のない快適な吐水を提供することができる。
【0047】
上記の吐水装置1では、首吐水口33は、肩吐水口31より吐水の範囲が狭く、肩吐水口31よりも首吐水口33から吐水された浴槽水2aが飛び散りやすい。上記の吐水装置1では、首吐水口33から吐水される浴槽水2aを、肩吐水口31から吐水されている浴槽水2aに向かって吐水させるため、首吐水口33から吐水された浴槽水2aが飛び散ることを効率的に抑えることができる。
【0048】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。上記の実施形態では、第1吐水部が肩吐水口31からの吐水の肩吐水部311であり、第2吐水部が首吐水口33からの吐水の首吐水部331である。吐水される位置は上記以外であってもよい。上記の実施形態では、肩吐水部311は、浴槽水2aを膜状に吐き出す肩吐水口31を有している。首吐水部331は、肩吐水口31よりも幅方向の寸法が小さい首吐水口33を有している。首吐水口33は、浴槽水2aを吐水する幅方向の範囲が、肩吐水口31が吐水する幅方向の範囲よりも狭い。これに対し、各吐水口の形状や、浴槽水2aを吐き出す形態は上記以外であってもよい。
【0049】
上記の実施形態では、肩吐水口31は、首吐水口33よりも上方に位置している。肩吐水口31および首吐水口33の位置関係は、上記以外であってもよい。上記の実施形態では、第2弁52にボール弁53を採用し、そのボール弁53が吐水停止後には、ボール弁53の弁体20の回転方向を制御可能に構成されている。第2弁52に使用する弁は、上記以外であってもよい。
【0050】
上記の実施形態では、スイッチ35は、スイッチ35に入力された第1指令の後に、第1指令が完了する前に第1指令とは異なる複数の第2指令が複数入力された場合に、複数の第2指令のうちの第1指令が完了した時点の直前に入力された第2指令を行うように構成されている。これに対し、複数の第2指令が複数入力された場合に、第1指令の後に最初に入力された第2指令を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 吐水装置、2 浴槽、2a 浴槽水、2b 水位、20 弁体、31 肩吐水口(第1吐水口)、33 首吐水口(第2吐水口)、34 制御部、35 スイッチ、53 ボール弁、311 肩吐水部(第1吐水部)、331首吐水部(第2吐水部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8