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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
E02F9/22 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020196143
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084335
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 琢也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 善広
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/142447(WO,A1)
【文献】特開2015-017382(JP,A)
【文献】実開昭60-091648(JP,U)
【文献】特開2010-216208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0146230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/12
9/20
9/22
9/26
B66C 23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に対して旋回可能に配置された上部旋回体と、
前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回を停止させる旋回制動装置と、
前記旋回制動装置の作動及び開放を制御するアクチュエータと、
前記旋回制動装置を開放するための信号を出力する第1切替部材と、
前記アクチュエータの下流側端子とグランドとの間に設けられた第1回路の導通状態と非導通状態とを切り替える第2切替部材と、
前記アクチュエータの下流側端子とグランドとの間に設けられた第2回路の導通状態と非導通状態とを切り替える第3切替部材と、
第1コントローラと、
第2コントローラと、
を備え、
前記第2切替部材は、前記第1コントローラからの指令に基づいて前記第1回路の導通状態と非導通状態とを切り替え、
前記第2コントローラは、前記第1切替部材からの前記信号を受信した場合、前記第2回路が導通状態となるように前記第3切替部材を切り替える指令を出力する、
作業機械。
【請求項2】
前記第1コントローラは、前記第2切替部材、を有し、
前記第2コントローラは、前記第3切替部材、を有する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記第2コントローラは、前記第1切替部材が導通状態であるか否かを判定する態判定部、を有する、
請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記旋回制動装置を作動する第4切替部材をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記アクチュエータは、電磁ソレノイドであり、励磁すると前記旋回制動装置を開放し、消磁すると前記旋回制動装置を作動させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記第1コントローラは、前記アクチュエータを制御する駆動制御部と、前記第2切替部材を制御する遮断制御部とを有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記下部走行体に対して前記上部旋回体を旋回させるための駆動力を発生させる電動機をさらに備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械には、上部旋回体の旋回機構を駆動するための電動機または電動機の駆動制御システムなどに異常が発生した場合、旋回駐車ブレーキを作動させて上部旋回体を停止保持する機能が設けられている。この時、上部旋回体が下部走行体に対して角度を有する状態で停止保持されると、車両の移動が難しくなることがある。そこで、旋回駐車ブレーキを解除するための旋回開放スイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2011/142447号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旋回駐車ブレーキを含む回路に異常が発生した場合、旋回駐車ブレーキに対する制御が適切にできない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様に従えば、下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能に配置された上部旋回体と、前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回を停止させる旋回制動装置と、前記旋回制動装置の作動及び開放を制御するアクチュエータと、前記旋回制動装置を開放するための信号を出力する第1切替部材と、前記アクチュエータの下流側端子とグランドとの間に設けられた第1回路の導通状態と非導通状態とを切り替える第2切替部材と、前記アクチュエータの下流側端子とグランドとの間に設けられた第2回路の導通状態と非導通状態とを切り替える第3切替部材と、第1コントローラと、第2コントローラと、を備え、前記第2切替部材は、前記第1コントローラからの指令に基づいて前記第1回路の導通状態と非導通状態とを切り替え、前記第2コントローラは、前記第1切替部材からの前記信号を受信した場合、前記第2回路が導通状態となるように前記第3切替部材を切り替える指令を出力する、作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の態様に従えば、旋回駐車ブレーキを適切に制御可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る作業機械の概略構成図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械の旋回駐車ブレーキを含む回路の概略図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械の概略ブロック図である。
図4図4は、本実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機械のメインコントローラで行われる処理内容を示したフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る作業機械のメインコントローラで行われる処理内容を示したフローチャートである。
図7図7は、従来の作業機械の旋回駐車ブレーキを含む回路の概略図である。
図8図8は、従来の作業機械の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0009】
(実施形態)
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械1の概略構成図である。図2は、実施形態に係る作業機械1の旋回駐車ブレーキ30を含む回路の概略図である。図3は、実施形態に係る作業機械1の概略ブロック図である。本実施形態においては、作業機械1は、油圧ショベルとする。作業機械1は、図示しない下部走行体と、上部旋回体2と、図示しない作業機と、作業機を駆動する図示しない油圧シリンダとを備える。
【0010】
上部旋回体2は、作業機を支持する。作業機は、図示しないブーム、アーム、バケットを含む。上部旋回体2には、図示しない運転席が設けられている。上部旋回体2は、下部走行体に対して旋回可能に取り付けられている。
【0011】
作業機械1には、エンジン5と、発電電動機6と、キャパシタ(蓄電池)7と、旋回モータ(電動機)3と、インバータ9と、メインコントローラ(第1コントローラ)10と、サブコントローラ(第2コントローラ)20と、油圧ポンプ8とを含んで構成されている。
【0012】
エンジン5の出力軸には、発電作用と電動作用とを行うための発電電動機6が連結される。発電電動機6は、発電作用によって電力を発生し、旋回モータ3及びキャパシタ7へ電力を供給する。旋回モータ3は、下部走行体に対して上部旋回体2を旋回させるための駆動力を発生させる。キャパシタ7は、発電電動機6または旋回モータ3へ供給するための電力を蓄電する。インバータ9は、発電電動機6と旋回モータ3とキャパシタ7とに供給される電力を制御する。メインコントローラ10は、旋回モータ3及びインバータ9を制御する。
【0013】
油圧ポンプ8は、エンジン5と発電電動機6とによって駆動される。油圧ポンプ8は、発電電動機6の駆動軸に連結される。油圧ポンプ8の吐出圧油は、バルブ40を介して、作業機用油圧シリンダ41,42,43、走行用油圧モータ44,45に供給される。例えば作業機用油圧シリンダ41,42,43はそれぞれ、図示しないブーム、アーム、バケットを作動させる油圧シリンダである。走行用油圧モータ44,45はそれぞれ、図示しない下部走行体の右側履帯と左側履帯とを回転作動させる油圧モータである。走行用油圧モータ44,45は、図示しないオペレータ操作装置の操作に応じて回転作動する。
【0014】
作業機操作レバー46a,46b,46cが操作されると、作業機用油圧シリンダ41,42,43にそれぞれ圧油が供給され、図示しないブーム、アーム、バケットがそれぞれ作動される。
【0015】
作業機操作レバー46a,46b,46cにはそれぞれ、操作量に応じて変化するパイロット圧を検出するパイロット圧センサ50a,50b,50cが設けられている。パイロット圧センサ50a,50b,50cはそれぞれ、作業機操作レバー46a,46b,46cの操作量(角度)に応じて変化する圧力を検出する圧力センサであって、検出した圧力に応じた値の電気信号を出力する。なお、ポテンショメータなど、操作量を検出し得るセンサであれば圧力センサ以外の他のセンサを用いて同様の電気信号を出力させてもよい。パイロット圧センサ50a,50b,50cの区別を要しない場合、パイロット圧センサ50として説明する。パイロット圧センサ50で検出されたパイロット圧を示す信号(以下、「作業機操作信号」という。)は、メインコントローラ10に入力される。
【0016】
旋回操作レバー4は、旋回モータ3を回転駆動させる操作レバーである。旋回操作レバー4が操作されると、旋回モータ3が回転駆動されて、上部旋回体2が下部走行体に対して旋回作動される。なお、旋回モータ3の回転速度は、スイングマシナリ9aにより減速される。
【0017】
旋回操作レバー4には、操作量に応じて変化するパイロット圧を検出するパイロット圧センサ51が設けられている。より詳しくは、旋回操作レバー4には、左パイロット圧センサ51a及び右パイロット圧センサ51cが設けられている。左パイロット圧センサ51aは、左旋回量を示す左パイロット圧を検出する。右パイロット圧センサ51cは、右旋回量を示す右パイロット圧を検出する。左パイロット圧センサ51a及び右パイロット圧センサ51cの区別を要しない場合、パイロット圧センサ51として説明する。パイロット圧センサ51は、旋回操作レバー4の操作量(角度)に応じて変化する圧力を検出する圧力センサであって、検出した圧力に応じた値の電気信号を出力するものである。なお、ポテンショメータなど、操作量を検出し得るセンサであれば圧力センサ以外の他のセンサを用いて同様の電気信号を出力させてもよい。パイロット圧センサ51で検出されたパイロット圧を示す信号(以下、「旋回操作信号」という。)は、メインコントローラ10に入力される。
【0018】
なお、パイロット圧センサ50及びパイロット圧センサ51は、対応する操作レバーの操作量を検出できる場所であれば任意の箇所に設けることができる。例えば、対応する操作レバーに付設してもよく、対応する操作弁の下流側の配管に設けてもよい。
【0019】
旋回操作レバー4に付設されたパイロット圧センサ51で検出された旋回操作信号は、信号線81を介してメインコントローラ10の旋回制御部11に取り込まれる。
【0020】
本実施形態では、説明の便宜のため、作業機操作レバー46a,46b,46c及び旋回操作レバー4に、それぞれ図示しないブーム、アーム、バケット及び上部旋回体2が個別に対応づけられているものとして説明したが、これらブーム、アーム、バケット及び上部旋回体2のうちいずれか2つの組み合わせを、1本の操作レバーで共用して上下左右の操作で作動させるとともに他の2つの組み合わせを他の1本の操作レバーで共用して上下左右の操作で作動させる実施も当然可能である。例えば、運転席の左右それぞれに操作レバーを設け、左操作レバーに、アームと上部旋回体2を対応づけるとともに、右操作レバーに、バケットとブームを対応づける実施が可能である。この場合、上部旋回体2は、左操作レバーを上側に傾斜させると右旋回側に作動し、左操作レバーを下側に傾斜させると左旋回側に作動するとともに、図示しないアームは、左操作レバーを左側に傾斜させるとダンプ側に作動し、左操作レバーを右側に傾斜させると掘削側に作動する。
【0021】
後述するメインコントローラ10は、旋回操作レバー4の操作量に応じた駆動信号を生成する。メインコントローラ10は、生成した駆動信号を旋回モータ3に出力して、上部旋回体2を回転駆動させる。
【0022】
[旋回駐車ブレーキ]
旋回駐車ブレーキ(旋回制動装置)30は、上部旋回体2を制動させる。旋回駐車ブレーキ30は、下部走行体に対する上部旋回体2の回転を停止させる。より詳しくは、旋回操作レバー4を中立位置に位置させると、旋回モータ3のサーボ系で旋回モータ3の位置が保持されるとともに、旋回駐車ブレーキ30が作動して、上部旋回体2は停止保持される。旋回駐車ブレーキ30は、旋回モータ3または旋回モータ3を制御するCPUに故障等の異常が生じた場合、上部旋回体2を停止保持させる。
【0023】
旋回モータ3の駆動軸3aに、旋回駐車ブレーキ30のブレーキ用油圧シリンダ31のロッド31aが当接すると、旋回モータ3の駆動軸3aがロックされて、上部旋回体2が機械的に停止保持される。この状態を、ブレーキ作動状態という。なお、旋回モータ3の駆動軸3aにディスク板を設け、このディスク板をブレーキパッドで挟むことにより旋回モータ3の駆動軸3aをロックするディスクブレーキ方式を採用してもよい。
【0024】
旋回モータ3の駆動軸3aからブレーキ用油圧シリンダ31のロッド31aが離れると、旋回モータ3の駆動軸3aがロック状態から開放されて、上部旋回体2が旋回自在となる。この状態を、ブレーキ開放状態という。
【0025】
より詳しくは、油圧ポンプ8の吐出油路8aに設けられた減圧弁8b、油路8c、ブレーキ用制御弁32を介して、ブレーキ用油圧シリンダ31の油室31bに、圧油が供給されることで、旋回モータ3の駆動軸3aからブレーキ用油圧シリンダ31のロッド31aが離れ、旋回駐車ブレーキ30が開放状態となる。
【0026】
旋回駐車ブレーキソレノイド32aは、旋回駐車ブレーキ30の作動及び開放を制御する。ブレーキ用制御弁32は、付設された旋回駐車ブレーキソレノイド(アクチュエータ)32aにオンの電気信号(以下、「ブレーキ開放指令信号」という。)が加えられることにより、旋回駐車ブレーキソレノイド32aが駆動して弁位置が開放状態となり、旋回駐車ブレーキ30を開放状態にさせる。旋回駐車ブレーキソレノイド32aは、電磁ソレノイドである。旋回駐車ブレーキソレノイド32aは、励磁すると旋回駐車ブレーキ30を開放し、消磁すると旋回駐車ブレーキ30を作動させる。
【0027】
旋回駐車ブレーキソレノイド32aに加えられるオンの電気信号、つまりブレーキ開放指令信号は、メインコントローラ10の出力端子35から出力される。
【0028】
メインコントローラ10の出力端子35は、電気信号線34を介してブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aに電気的に接続されている。メインコントローラ10の出力端子35にブレーキ開放指令信号が出力されると、旋回ロックスイッチ36及び電気信号線34を介してブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aにオンの電気信号が加えられ、旋回駐車ブレーキ30を開放状態にさせる。
【0029】
メインコントローラ10の出力端子35と電気信号線34の間には、出力端子35から出力されるブレーキ開放指令信号を電気信号線34に接続させるかまたは電気的な接続を遮断させるためのスイッチ(第4切替部材)36が設けられている。スイッチ36は、旋回ロックスイッチである。旋回ロックスイッチ36は、旋回駐車ブレーキ30を作動する。旋回ロックスイッチ36は、旋回駐車ブレーキ30を作動状態または開放状態にするために手動によって操作されるスイッチである。通常、旋回ロックスイッチ36は電気的に接続されるオン位置36aに位置されている。旋回ロックスイッチ36がオン位置36aに位置されると、ブレーキ開放指令信号によってブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aが駆動されて、旋回駐車ブレーキ30が開放状態となる。旋回ロックスイッチ36は、上部旋回体2を停止保持させたいときに手動にてオフ位置36bに位置される。旋回ロックスイッチ36がオフ位置36bに位置にされると、電気信号線34が当該スイッチ位置で電気的に遮断され、旋回駐車ブレーキ30が作動状態となる。旋回ロックスイッチ36は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aと電源であるバッテリ33とを接続する回路の導通状態と非導通状態とを切り替える。
【0030】
図1に示すように、バッテリ33は、ブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aにオンの電気信号を給電するために設けられている。バッテリ33のプラス端子33aは、電気信号線39を介して電気信号線34に電気的に接続されている。電気信号線39と電気信号線34との電気的な接続の間には、スイッチ38が設けられている。スイッチ38の下流側には整流素子であるダイオード38Dがバッテリ33から旋回駐車ブレーキソレノイドへ給電可能に設けられている。
【0031】
旋回モータ3または旋回モータ3を制御するCPUに故障等の異常が生じて旋回駐車ブレーキ30が作動すると、作業機械1の移動が困難な状態で上部旋回体2が停止保持される場合がある。例えば、ブームやアーム等が下部走行体の走行方向に対して角度を有している状態で上部旋回体2が停止保持される。このため、旋回駐車ブレーキ30を開放するためのスイッチ(第1切替部材)38が設けられている。スイッチ38は、旋回モータ3または旋回モータ3を制御するCPUに故障等の異常や旋回駐車ブレーキ30を含む回路に異常が発生したときに、手動で非導通状態から導通状態に接点を切り替えることで、旋回駐車ブレーキ30を開放するための信号を出力する。スイッチ38は、旋回開放スイッチである。スイッチ38は、手動によって操作されるスイッチである。
【0032】
旋回開放スイッチ38は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの上流側端子と電源とを接続する回路の導通状態と非導通状態とを切り替える。より詳しくは、旋回開放スイッチ38は、電気信号線39の途中に配置され、電気信号線39を電気的に接続させるか、または電気的な接続を遮断させるように構成される。旋回開放スイッチ38は、旋回ロックスイッチ36より電源側の回路に配置され、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの上流側端子と電源との間に設けられる回路の導通状態と非導通状態とを切り替える。
【0033】
旋回開放スイッチ38は、通常、非導通状態となるオフ位置38aに位置されている。上部旋回体2を旋回自在にさせたい場合、旋回開放スイッチ38が導通状態となるオン位置38bとなるように旋回開放スイッチ38を手動操作する。これにより、旋回開放スイッチ38が導通状態になり、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの上流側端子と電源との間に設けられる回路が導通状態となる。
【0034】
旋回開放スイッチ38と旋回ロックスイッチ36との間の電気信号線39の途中には、ダイオード38Dが配置されている。ダイオード38Dは、電流の流れを旋回開放スイッチ38から旋回ロックスイッチ36へ向かう方向へ整流する。
【0035】
[メインコントローラ]
メインコントローラ10は、駆動制御部11aとしての機能と、遮断制御部11bとしての機能とを実装する。言い換えると、駆動制御部11aと遮断制御部11bとは、メインコントローラ10内に設けられている。メインコントローラ10には、出力端子35を介して電気信号線34が電気的に接続されている。メインコントローラ10は、旋回モータ3に駆動制御信号を出力して旋回モータ3を制御するとともに、旋回駐車ブレーキ30を解除するためのブレーキ開放指令信号を生成してブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aへ出力する。
【0036】
メインコントローラ10は、後述する旋回制御部11と、旋回制御部11の異常を監視する異常監視部12と、スイッチング素子14と、スイッチング素子16と、スイッチング素子(第2切替部材)17とを有する。
【0037】
旋回制御部11は、スイッチング素子16及びスイッチング素子17のオンとオフとを切り替える。旋回制御部11は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aに対して旋回駐車ブレーキ30の作動及び開放の指令を出力する駆動制御部11aとしての機能を実装する。旋回制御部11は、旋回操作信号と作業機操作信号に基づきブレーキ開放指令信号を生成する。旋回制御部11で旋回操作信号の内容が「旋回操作レバー4が中立位置から操作された」ことを示す内容であるか、または作業機操作信号の内容が「作業機操作レバー46a,46b,46cの少なくともいずれかが中立位置から操作された」ことを示す内容であると判断された場合には、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号を生成して、スイッチング素子16に出力する。旋回制御部11で旋回操作信号の内容が「旋回操作レバー4が中立位置にある」ことを示す内容であって、かつ作業機操作信号の内容が「作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置にある」ことを示す内容であると判断された場合には、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号を生成しない。
【0038】
旋回制御部11は、旋回操作信号のみに基づきブレーキ開放指令信号を生成してもよい。旋回制御部11で旋回操作信号の内容が「旋回操作レバー4が中立位置から操作された」ことを示す内容であると判断された場合には、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号を生成して、スイッチング素子16に出力する。旋回制御部11で旋回操作信号の内容が「旋回操作レバー4が中立位置に位置している」ことを示す内容であると判断された場合には、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号を生成しない。
【0039】
旋回制御部11は、作業機操作信号のみに基づきブレーキ開放指令信号を生成してもよい。旋回制御部11で作業機操作信号の内容が「作業機操作レバー46a,46b,46cの少なくともいずれかが中立位置から操作された」ことを示す内容であると判断された場合には、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号を生成して、スイッチング素子16に出力する。これは、旋回モータ3のサーボが働いているので、作業機操作レバー46a,46b,46cの操作のみで判断して、ブレーキ開放にしても問題は生じないからである。作業機操作信号の内容が「作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置にある」ことを示す内容であると判断された場合には、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号を生成しない。
【0040】
旋回制御部11は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG1との間に設けられる第1回路C1を遮断する指令を出力する遮断制御部11bとしての機能を実装する。旋回制御部11は、例えば、旋回ロックスイッチ36の上流側での天絡等の異常を検出すると、旋回駐車ブレーキ作動指令信号を生成する。天絡の例としては、旋回ロックスイッチ36と旋回駐車ブレーキソレノイド32aの間の電気信号線34がバッテリ33と電気的に導通状態となるものである。
【0041】
旋回制御部11でスイッチング素子16がオフでブレーキ開放指令信号が出力されていない状態で、「フィードバック電圧が閾値以上である」ことを検出したと判断された場合には、天絡等の異常であるとして、旋回制御部11は、旋回駐車ブレーキ作動指令信号を生成して、スイッチング素子17に出力する。旋回制御部11で「フィードバック電圧が閾値以上である」ことを検出したと判断されない場合には、旋回制御部11は、旋回駐車ブレーキ作動指令信号を生成しない。なお、フィードバック電圧の検出は第1回路C1を流れる電流をメインコントローラ10で電圧に変換し、変換後の電圧値をCPUで入力し判定することで求めるようにしてもよい。
【0042】
異常監視部12は、スイッチング素子14のオンとオフとを切り替える。より詳しくは、異常監視部12は、旋回制御部11の異常を検出した場合、旋回駐車ブレーキ30を作動状態にするために、スイッチング素子14に、スイッチング信号としてオフの電気信号を出力する。異常監視部12は、旋回制御部11の異常を検出しない場合、スイッチング素子14に、スイッチング信号としてオンの電気信号を出力する。
【0043】
スイッチング素子14は、メインコントローラ10の電源側から電力を供給する回路上に配置されている。スイッチング素子14は、異常監視部12の指令に基づいて、回路の導通状態と非導通状態とを切り替える。スイッチング素子14は、例えば、FET(Field Effect Transistor)またはトランジスタなどである。スイッチング素子14が導通状態になると、旋回駐車ブレーキソレノイド32aに電圧が印加可能とされる。スイッチング素子14が非導通状態になると、旋回駐車ブレーキソレノイド32aに電圧が印加されない。
【0044】
スイッチング素子16は、旋回制御部11の指令に基づいて、回路の導通状態と非導通状態とを切り替える。スイッチング素子16は、例えば、FETまたはトランジスタなどである。スイッチング素子16が非導通状態になると、旋回ロックスイッチ36の上流側端子への電源の供給が遮断される。これにより、ブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aに電圧が印加されず、旋回駐車ブレーキ30が作動状態になる。スイッチング素子16が導通状態になると、旋回ロックスイッチ36の上流側へ電源が供給される。これにより、ブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aに電圧が印加され、旋回駐車ブレーキ30が開放状態になる。
【0045】
より詳しくは、スイッチング素子16に、スイッチング信号としてオンの電気信号、つまりブレーキ開放指令信号が旋回制御部11から入力された場合、スイッチング素子16からオンの電気信号、つまりブレーキ開放指令信号が出力される。スイッチング素子16は、出力端子35を介して電気信号線34に電気的に接続されている。これにより、メインコントローラ10でブレーキ開放指令信号が生成された場合、ブレーキ開放指令信号が旋回駐車ブレーキ30の旋回駐車ブレーキソレノイド32aに出力され、旋回駐車ブレーキ30が開放状態となる。
【0046】
スイッチング素子17は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの上流側端子で天絡等の異常が発生した場合に旋回駐車ブレーキ30を作動状態にするために設けられている。スイッチング素子17は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG1との間に設けられる第1回路C1上に配置されている。スイッチング素子17は、メインコントローラ10に設けられている。スイッチング素子17は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG1との間に設けられる第1回路C1の導通状態と非導通状態とを切り替える。スイッチング素子17は、遮断制御部11bとしての旋回制御部11からの指令に基づいて、導通状態と非導通状態とを切り替える。スイッチング素子17は、旋回制御部11の指令に基づいて、第1回路C1を遮断する。スイッチング素子17は、例えば、FETまたはトランジスタなどである。
【0047】
スイッチング素子17は、ブレーキ開放指令信号が出力端子35に出力されている場合導通状態であり、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側(グランドG1側)の第1回路C1が遮断されない。スイッチング素子17は、例えば、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの上流側(電源側)で天絡が発生した場合、旋回駐車ブレーキ作動指令信号によって非導通状態になり、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側の第1回路C1が遮断される。これにより、ブレーキ用制御弁32の旋回駐車ブレーキソレノイド32aへの給電が停止され、旋回駐車ブレーキ30の油室31bから油がタンクに抜け、ばね圧によりロッド31aが当接することにより旋回駐車ブレーキ30が作動状態になる。スイッチング素子17は、旋回制御部11からスイッチング信号としてオフの電気信号、つまり旋回駐車ブレーキ作動指令信号が入力された場合、非導通状態となる。メインコントローラ10で旋回駐車ブレーキ作動指令信号が生成された場合、旋回駐車ブレーキ作動指令信号がスイッチング素子17に出力され、スイッチング素子17は非導通状態となる。
【0048】
[サブコントローラ]
サブコントローラ20は、状態判定部21と、スイッチング素子(第3切替部材)22とを有する。サブコントローラ20には、電気信号線39においてダイオード38Dより上流側に配置された端子(接続点)23から電気信号線24が電気的に接続されている。端子23は、旋回開放スイッチ38とダイオード38Dの間に設けられている。これにより、サブコントローラ20は、旋回開放スイッチ38からの信号を受信する。サブコントローラ20は、旋回開放スイッチ38からの信号を受信した場合、第2回路C2が導通状態となるようにスイッチング素子22を切り替える指令を出力する。
【0049】
状態判定部21は、旋回開放スイッチ38が導通状態であるか否かを判定する。状態判定部21は、判定結果に基づいて、スイッチング素子22のオンとオフとを切り替える信号を出力する。より詳しくは、手動で旋回開放スイッチ38の接点を、オフ位置38aからオン位置38bに切り替えた場合、状態判定部21は、例えばバッテリ33からの給電に基づく信号を受信し、第2回路C2が導通状態となるようにスイッチング素子22を切り替える指令を出力する。状態判定部21は、旋回開放スイッチ38がオン位置38bか否かを判定する。
【0050】
スイッチング素子22は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG2との間に設けられる第2回路C2上に配置されている。スイッチング素子22は、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG2との間に設けられる第2回路C2の導通状態と非導通状態とを切り替える。スイッチング素子22は、例えば、FETまたはトランジスタなどである。スイッチング素子22は、メインコントローラ10とは異なるコントローラに設けられる。スイッチング素子22は、サブコントローラ20に設けられる。
【0051】
スイッチング素子22は、状態判定部21からの指令に基づいて、第2回路C2の導通状態と非導通状態とを切り替える。スイッチング素子22は、状態判定部21の指令に基づいて、第2回路C2を接続する。
【0052】
スイッチング素子22は、旋回開放スイッチ38と連動して動作する。スイッチング素子22は、通常、非導通状態であり、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側(グランドG2側)の第2回路C2が遮断されている。スイッチング素子22は、例えば、旋回開放スイッチ38が導通状態となるように切り替えられた場合、導通状態になり、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側の第2回路C2が接続される。
【0053】
上部旋回体2を旋回自在にさせたい場合、旋回開放スイッチ38を手動操作する。これにより、旋回開放スイッチ38が導通状態になる。これにより、スイッチング素子22によって、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG2との間に設けられる第2回路C2が導通状態になる。旋回駐車ブレーキソレノイド32aに電圧が旋回ロックスイッチ36を介して印加され、旋回駐車ブレーキ30が開放状態となる。
【0054】
[コンピュータシステム]
図4は、本実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述のコントローラ60は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述のメインコントローラ10の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0055】
[旋回駐車ブレーキの制御処理]
つぎに、図5図6に示すフローチャートを参照して、実施形態の処理の手順について説明する。図5は、実施形態に係る作業機械1のメインコントローラ10で行われる処理内容を示したフローチャートである。図6は、実施形態に係る作業機械1のメインコントローラ10で行われる処理内容を示したフローチャートである。
【0056】
図5を用いて、ブレーキ開放指令信号の生成について説明する。旋回制御部11は、旋回操作レバー4と、作業機操作レバー46a,46b,46cとは全て中立であるか否かを判断する(ステップS101)。より詳しくは、旋回制御部11は、旋回操作信号の内容が「旋回操作レバー4が中立位置にある」ことを示す内容であって、かつ作業機操作信号の内容が「作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置にある」ことを示す内容であるか否かを判断する。
【0057】
旋回制御部11は、旋回操作レバー4と、作業機操作レバー46a,46b,46cとは全て中立であると判断した場合(ステップS101でYes)、ステップS102へ進む。より詳しくは、旋回制御部11が旋回操作信号の内容が「旋回操作レバー4が中立位置にある」ことを示す内容であって、かつ作業機操作信号の内容が「作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置にある」ことを示す内容であると判断した場合には、ステップS102へ進む。
【0058】
なお、「旋回操作レバー4が中立位置にある」ことを示す内容のみで、ステップS102へ進むようにしてもよい。
【0059】
旋回制御部11は、旋回操作レバー4と、作業機操作レバー46,46b,46cの少なくともいずれかが中立ではないと判断した場合(ステップS101でNo)、ステップS104へ進む。より詳しくは、旋回制御部11が旋回操作信号の内容が「旋回操作レバー4が中立位置から操作された」ことを示す内容であるか、または作業機操作信号の内容が「作業機操作レバー46a,46b,46cの少なくともいずれかが中立位置から操作された」ことを示す内容であると判断した場合には、ステップS104へ進む。
【0060】
旋回制御部11は、旋回操作レバー4、作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置に位置されてから所定時間(例えば5秒)以上経過しているか否かを判断する(ステップS102)。
【0061】
旋回制御部11が旋回操作レバー4、作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置に位置されてから所定時間(例えば5秒)以上経過していると判断した場合には(ステップS102でYes)、ステップS103へ進む。
【0062】
旋回制御部11が旋回操作レバー4、作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置に位置されてから所定時間(例えば5秒)以上経過していないと判断した場合(ステップS102でNo)、ステップS104へ進む。
【0063】
旋回制御部11は、ステップS102でYesの場合、旋回駐車ブレーキ30を作動状態にすべきと判断し、ブレーキ開放指令信号は生成しない(ステップS103)。この結果、旋回駐車ブレーキ30は、作動状態を維持し、上部旋回体2が旋回不可で維持される。
【0064】
旋回制御部11は、旋回駐車ブレーキ30を開放状態にすべきと判断し、ブレーキ開放指令信号が生成される(ステップS104)。また、スイッチング素子17を導通状態とする。この結果、旋回駐車ブレーキ30は、開放状態となり、スイッチング素子17が導通状態となることから、上部旋回体2が旋回自在となる。
【0065】
図6を用いて、旋回駐車ブレーキ作動指令信号の生成について説明する。旋回制御部11は、旋回駐車ブレーキソレノイドの32aの上流側での天絡等の故障を検出したか否かを判断する(ステップS111)。より詳しくは、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号の出力がオフで、「フィードバック電圧が閾値以上である」ことを検出したか否かを判断する。
【0066】
旋回駐車ブレーキソレノイドの32aの上流側での故障を検出したと判断した場合(ステップS111でYes)、ステップS112へ進む。より詳しくは、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号の出力がオフで、「フィードバック電圧が閾値以上である」ことを検出した場合、ステップS112へ進む。
【0067】
旋回制御部11は、旋回駐車ブレーキソレノイドの32aの上流側での故障を検出していないと判断した場合(ステップS111でNo)、処理を終了する。より詳しくは、旋回制御部11は、ブレーキ開放指令信号の出力がオフで、「フィードバック電圧が閾値以上である」ことを検出しない場合、処理を終了する。
【0068】
旋回制御部11は、ステップS111において、旋回駐車ブレーキソレノイドの32aの上流側での故障を検出したと判断した場合、旋回駐車ブレーキ30を作動状態にすべきと判断し、旋回駐車ブレーキ作動指令信号を生成する(ステップS112)。この結果、スイッチング素子17が非導通状態となり、旋回駐車ブレーキ30は、作動状態になり、上部旋回体2が旋回不可となる。
【0069】
[効果]
以上のように本実施形態では、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG1との間に設けられた第1回路C1上に、スイッチング素子17が配置されている。本実施形態では、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子25とグランドG2との間に設けられた第2回路C2上に、スイッチング素子22が配置されている。本実施形態では、スイッチング素子17は、メインコントローラ10からの指令に基づいて、導通状態と非導通状態とを切り替える。本実施形態では、サブコントローラ20は、旋回開放スイッチ38からの信号を受信した場合、第2回路C2が導通状態となるようにスイッチング素子22を切り替える指令を出力する。本実施形態によれば、旋回駐車ブレーキ30を含む回路に異常が生じた場合に、旋回駐車ブレーキ30を作動状態にできる。
【0070】
本実施形態では、メインコントローラ10にスイッチング素子17が配置され、サブコントローラ20にスイッチング素子22が配置されている。本実施形態によれば、メインコントローラ10に異常が生じた場合でも、サブコントローラ20によってスイッチング素子22を適切に切り替えせることができる。この場合、旋回開放スイッチ38を操作することにより、旋回駐車ブレーキ30を開放した状態にすることができ、旋回自在とすることができる。また、スイッチング素子17の故障等、メインコントローラ10側の動作に異常等があった場合においても、同様に旋回駐車ブレーキ30を開放した状態にすることができる。
【0071】
本実施形態では、パイロット圧センサ51で検出された旋回操作信号は、メインコントローラ10に入力される。
【0072】
図7図8を用いて、従来の作業機械1の旋回駐車ブレーキ制御装置について説明する。図7は、従来の作業機械1の旋回駐車ブレーキ30を含む回路の概略図である。図8は、従来の作業機械1の概略ブロック図である。旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側端子がスイッチング素子などを介さずにグランドと接続されている。これにより、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの上流側で異常が発生した場合、旋回駐車ブレーキソレノイド32aの下流側の回路が遮断されず、旋回駐車ブレーキ30が開放状態のままとなり、上部旋回体2が旋回自在の状態のままとなる場合がある。
【0073】
なお、実施形態では、ハイブリッドの作業機械1を想定して説明したがこれに限定されず、電動作業機械及び油圧作業機械にも適用することができる。実施形態では、旋回モータ3を電動機と想定して説明したがこれに限定されず、旋回モータ3は油圧によって駆動する油圧モータであってもよい。
【0074】
実施形態の図5では、ステップS102の判断処理を設け、旋回駐車ブレーキ30を作動状態にする条件を、旋回操作レバー4、作業機操作レバー46a,46b,46cの全てが中立位置に位置されてから所定時間(例えば5秒)以上経過していることにしているが、ステップS102の判断処理を省略して、旋回駐車ブレーキ30を作動状態にしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…作業機械、2…上部旋回体、3…旋回モータ(電動機)、3a…駆動軸、4…旋回操作レバー、5…エンジン、6…発電電動機、7…キャパシタ、8…油圧ポンプ、9…インバータ、10…メインコントローラ(第1コントローラ)、11…旋回制御部、11a…駆動制御部、11b…遮断制御部、12…異常監視部、14…スイッチング素子、16…スイッチング素子、17…スイッチング素子(第2切替部材)、20…サブコントローラ(第2コントローラ)、21…状態判定部、22…スイッチング素子(第3切替部材)、30…旋回駐車ブレーキ(旋回制動装置)、31…ブレーキ用油圧シリンダ、31a…ロッド、31b…油室、32…ブレーキ用制御弁、32a…旋回駐車ブレーキソレノイド(アクチュエータ)、33…バッテリ、33a…プラス端子、34…電気信号線、35…出力端子、36…旋回ロックスイッチ(第4切替部材)、36a…オン位置、36b…オフ位置、38…旋回開放スイッチ(第1切替部材)、38b…オン位置、38a…オフ位置、38D…ダイオード、39…電気信号線、40…バルブ、41,42,43…作業機用油圧シリンダ、44,45…走行用油圧モータ、46a,46b,46c…作業機操作レバー、50…パイロット圧センサ、50a,50b,50c…パイロット圧センサ、51…パイロット圧センサ、51a…左パイロット圧センサ、51c…右パイロット圧センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8