(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20240621BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B65D81/32 U
B65D47/34 110
(21)【出願番号】P 2020199167
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-06-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社アルビオンへ納品(販売日:令和2年6月2日)
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】下谷 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲男
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-229025(JP,A)
【文献】特開2007-099286(JP,A)
【文献】特開平11-198975(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0286932(US,A1)
【文献】国際公開第2019/193742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B65D 47/34
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステムを有する複数のポンプと、
複数の前記ポンプそれぞれの前記ステムの上端部に取付けられた押下ヘッドと、を備え、
複数のポンプは左右方向に並べられて設けられ、
前記押下ヘッドに、複数の前記ステム内に各別に連通する複数の吐出孔が左右方向に間隔をあけて形成され、
前記押下ヘッドを押下して複数の前記ステムを下方に移動させ各前記ポンプを作動させることにより、内容液が各前記ステム内を通して複数の前記吐出孔から各別に吐出され、
左右方向で互いに隣り合う前記吐出孔同士の間隔と、左右方向で互いに隣り合う前記ステム同士の間隔と、が異なり、
前記押下ヘッドは、
複数の前記ステムが連結されたヘッド部材と、
前記ヘッド部材に取付けられ、複数の前記吐出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記ヘッド部材と前記ノズル部材との間には、
複数の前記ステム内と複数の前記吐出孔とを各別に連通し、左右方向に延びる複数の横通路と、
前記ヘッド部材および前記ノズル部材により密に挟まれ、前記ヘッド部材および前記ノズル部材のうちのいずれか一方との間に、複数の前記横通路を画成するパッキンと、が設けられ、
前記パッキンには、各前記ステム内と各前記吐出孔とを各前記横通路を通して各別に連通する複数の連通孔が形成されている、吐出器。
【請求項2】
左右方向で互いに隣り合う前記吐出孔の中心軸線同士の間隔は、左右方向で互いに隣り合う前記ステムの中心軸線同士の間隔より狭くなっている、請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記ポンプ、前記吐出孔、前記横通路、および前記連通孔は2つずつ設けられ、
2つの前記吐出孔は、前方に向けて開口し、かつ前後方向から見て、左右方向で隣り合う前記ステム同士の間に設けられている、請求項2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記ヘッド部材は、
前記ステムに連結されて上下方向に延びる装着筒と、
前記装着筒の上端部から前方に向けて突出した突出筒と、を備え、
前記ノズル部材は、表裏面が前後方向を向き、前記吐出孔が形成された主板部を備え、
前記パッキンは、前記突出筒の前端開口縁に当接し、前記主板部の後面との間に複数の前記横通路を画成し、
前記主板部には、後方に向けて突出して前記パッキンに密に当接し、左右方向で隣り合う前記吐出孔同士の連通を遮断し、複数の前記横通路を画成する仕切突部が形成され、
前記連通孔は、前記突出筒内と前記横通路とを連通している、請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステムを有する複数のポンプと、複数のポンプそれぞれのステムの上端部に取付けられた押下ヘッドと、を備え、複数のポンプは左右方向に並べられて設けられ、押下ヘッドに、複数のステム内に各別に連通する複数の吐出孔が左右方向に間隔をあけて形成され、押下ヘッドを押下して複数のステムを下方に移動させ各ポンプを作動させることにより、内容液が各ステム内を通して複数の吐出孔から各別に吐出される吐出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、左右方向で互いに隣り合う吐出孔同士の間隔と、左右方向で互いに隣り合うステム同士の間隔と、が同じになっており、吐出時の操作性を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、吐出時の操作性を容易に向上させることができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステムを有する複数のポンプと、複数の前記ポンプそれぞれの前記ステムの上端部に取付けられた押下ヘッドと、を備え、複数のポンプは左右方向に並べられて設けられ、前記押下ヘッドに、複数の前記ステム内に各別に連通する複数の吐出孔が左右方向に間隔をあけて形成され、前記押下ヘッドを押下して複数の前記ステムを下方に移動させ各前記ポンプを作動させることにより、内容液が各前記ステム内を通して複数の前記吐出孔から各別に吐出され、左右方向で互いに隣り合う前記吐出孔同士の間隔と、左右方向で互いに隣り合う前記ステム同士の間隔と、が異なり、前記押下ヘッドは、複数の前記ステムが連結されたヘッド部材と、前記ヘッド部材に取付けられ、複数の前記吐出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記ヘッド部材と前記ノズル部材との間には、複数の前記ステム内と複数の前記吐出孔とを各別に連通し、左右方向に延びる複数の横通路と、前記ヘッド部材および前記ノズル部材により密に挟まれ、前記ヘッド部材および前記ノズル部材のうちのいずれか一方との間に、複数の前記横通路を画成するパッキンと、が設けられ、前記パッキンには、各前記ステム内と各前記吐出孔とを各前記横通路を通して各別に連通する複数の連通孔が形成されている。
【0007】
本発明によれば、左右方向で互いに隣り合う吐出孔同士の間隔と、左右方向で互いに隣り合うステム同士の間隔と、が異なっているので、例えば、前者の間隔を後者の間隔より狭くすると、複数の吐出孔から吐出された内容物を受け取りやすくすることが可能になり、また、前者の間隔を後者の間隔より広くすると、複数の吐出孔から内容物を、互いに離れた複数の位置に吐出すること等が可能になり、吐出時の操作性を容易に向上させることができる。
押下ヘッドに、複数のステム内と複数の吐出孔とを各別に連通し、左右方向に延びる複数の横通路が設けられているので、左右方向で互いに隣り合う吐出孔同士の間隔を、左右方向で互いに隣り合うステム同士の間隔に対して容易に異ならせることができる。
押下ヘッドが、複数のステムが連結されたヘッド部材と、ヘッド部材に取付けられ、複数の吐出孔が形成されたノズル部材と、を備えているので、左右方向に延びる横通路を、押下ヘッドに、成形金型の構造の複雑化を抑えつつ容易に設けることができる。
ヘッド部材とノズル部材との間に、ヘッド部材およびノズル部材により密に挟まれ、ヘッド部材およびノズル部材のうちのいずれか一方との間に、複数の横通路を画成するパッキンが設けられ、パッキンに、複数のステム内と複数の吐出孔とを各横通路を通して各別に連通する複数の連通孔が形成されている。したがって、ヘッド部材とノズル部材との間に設けられた横通路が、左右方向に延びて横長に形成されていても、パッキンによって横通路を確実にシールすることができる。
【0008】
左右方向で互いに隣り合う前記吐出孔の中心軸線同士の間隔は、左右方向で互いに隣り合う前記ステムの中心軸線同士の間隔より狭くなってもよい。
【0009】
この場合、左右方向で互いに隣り合う吐出孔の中心軸線同士の間隔が、左右方向で互いに隣り合うステムの中心軸線同士の間隔より狭くなっているので、複数の吐出孔から吐出された内容物を受け取りやすくすること等が可能になり、吐出時の操作性を容易に向上させることができる。
【0010】
前記ポンプ、前記吐出孔、前記横通路、および前記連通孔は2つずつ設けられ、2つの前記吐出孔は、前方に向けて開口し、かつ前後方向から見て、左右方向で隣り合う前記ステム同士の間に設けられてもよい。
【0011】
この場合、2つの吐出孔が、前方に向けて開口し、かつ前後方向から見て、左右方向で隣り合うステム同士の間に設けられているので、押下ヘッドを押下したときに、複数の吐出孔から前方に向けて吐出された内容物を、より受け取りやすくすることが可能になり、吐出時の操作性を確実に向上させることができる。
【0012】
前記ヘッド部材は、前記ステムに連結されて上下方向に延びる装着筒と、前記装着筒の上端部から前方に向けて突出した突出筒と、を備え、前記ノズル部材は、表裏面が前後方向を向き、前記吐出孔が形成された主板部を備え、前記パッキンは、前記突出筒の前端開口縁に当接し、前記主板部の後面との間に複数の前記横通路を画成し、前記主板部には、後方に向けて突出して前記パッキンに密に当接し、左右方向で隣り合う前記吐出孔同士の連通を遮断し、複数の前記横通路を画成する仕切突部が形成され、前記連通孔は、前記突出筒内と前記横通路とを連通してもよい。
【0013】
この場合、パッキンが、突出筒の前端開口縁に当接し、主板部の後面との間に複数の横通路を画成し、主板部に、後方に向けて突出してパッキンに密に当接し、左右方向で隣り合う吐出孔同士の連通を遮断し、複数の横通路を画成する仕切突部が形成され、連通孔が、突出筒内と横通路とを連通しているので、密にシールされた横通路を備え、吐出時の操作性を容易に向上させることが可能な吐出器を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、吐出時の操作性を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態の吐出容器を前方から見た図である。
【
図2】一実施形態の吐出容器が有する一方のポンプの、前後方向に沿う縦断面図である。
【
図3】一実施形態の吐出容器が有する他方のポンプの、前後方向に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る吐出容器は、
図1~
図4に示されるように、吐出器1、複数の容器本体W1、W2、および外装体20を備えている。
【0017】
複数の容器本体W1、W2は、それぞれの中心軸線O1、O2が互いにほぼ平行となるように、左右方向に並べられて設けられている。複数の容器本体W1、W2に、例えば効能、若しくは色等が互いに異なる内容液が各別に収容されている。内容液の粘度は、例えば10mPa・s以上40000mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以上20000mPa・s以下となっている。
【0018】
図1~
図3に示されるように、外装体20は有底筒状に形成されている。外装体20内に、複数の容器本体W1、W2が収容されている。外装体20の上端部に、肩カバー20aが取付けられている。
図2は、
図4のII-II線矢視断面図を含み、
図3は、
図4のIII-III線矢視断面図を含んでいる。
【0019】
吐出器1は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステム11、12を有する複数のポンプ13、14と、複数のポンプ13、14それぞれのステム11、12の上端部に取付けられた押下ヘッド15と、を備えている。
【0020】
押下ヘッド15に、複数のステム11、12内に各別に連通する複数の吐出孔16、17が形成されている。押下ヘッド15を押下して複数のステム11、12を下方に移動させ各ポンプ13、14を作動させることにより、内容液が各ステム11、12内を通して複数の吐出孔16、17から各別に吐出される。
ステム11、12を下降端位置まで下方に移動させるときの上下方向のストローク量が、複数のポンプ13、14それぞれにおいて、互いに同じになっている。なお、前記ストローク量を、複数のポンプ13、14それぞれにおいて、互いに異ならせてもよい。
【0021】
複数のポンプ13、14は、それぞれのステム11、12が、中心軸線O1、O2と各別に同軸に位置するように、並列に設けられている。複数のポンプ13、14は、複数の容器本体W1、W2に各別に装着されている。
複数のポンプ13、14はそれぞれ、装着キャップ27、28を備えており、装着キャップ27、28が容器本体W1、W2の口部に各別に装着されることで、ポンプ13、14が容器本体W1、W2に取付けられている。各装着キャップ27、28における頂壁部の上面、および外周面には、それぞれの全周にわたって、外装体20に設けられた肩カバー20aが当接、若しくは近接している。これにより、ポンプ13、14および容器本体W1、W2が、外装体20に固定されている。
【0022】
ポンプ13、14は、シリンダ21、22と、シリンダ21、22内に上下摺動可能に嵌合されたピストン23、24と、シリンダ21、22から下方に向けて延びるパイプ25、26と、を備えている。ピストン23、24は、ステム11、12の上下動に連係する。パイプ25、26の下端開口は、容器本体W1、W2の底部内に開口している。シリンダ21、22、ピストン23、24、およびパイプ25、26は、中心軸線O1、O2と各別に同軸に配設されている。
【0023】
押下ヘッド15を押下してステム11、12を下方に移動させると、ピストン23、24が、シリンダ21、22内を下方に向けて摺動し、シリンダ21、22内において、ピストン23、24より下方に位置する部分に充満されている内容液が、加圧されて、ステム11、12内を通して吐出孔16、17から吐出される。
【0024】
押下ヘッド15は、有頂筒状に形成されている。押下ヘッド15は、1つ設けられ、複数のポンプ13、14それぞれのステム11、12の上端部に一体に取付けられている。押下ヘッド15の頂壁部に、下方に向けて突出し、複数のステム11、12に各別に嵌合された複数の装着筒18、19が形成されている。
【0025】
押下ヘッド15の周壁部に、外側に向けて突出する複数の吐出筒31、32が形成されている。複数の吐出筒31、32は、押下ヘッド15の周壁部から同じ向きに突出している。吐出筒31、32は、上下方向から見て、ポンプ13、14が並べられた左右方向と直交する方向に向けて延びている。
以下、上下方向から見て、吐出筒31、32が、押下ヘッド15の周壁部の外周面から突出する向きを前方といい、この逆向きを後方という。
【0026】
吐出筒31、32の前端開口が、吐出孔16、17となっている。これにより、複数の吐出孔16、17は、同じ向きに開口している。複数の吐出孔16、17は、上下方向の同じ位置に、左右方向に並べられて設けられている。なお、隣り合う吐出孔16、17の上下方向の位置を互いに異ならせてもよい。吐出孔16、17は、前方から見て円形状を呈する。複数の吐出孔16、17の各内径は、互いに同じになっている。吐出筒31、32は、前方に向かうに従い下方に向けて延びている。吐出孔16、17は、斜め下方に向けて開口している。
なお、複数の吐出孔16、17の各内径を、互いに異ならせてもよく、また、吐出孔16、17は、前方から見て矩形状等を呈してもよい。
【0027】
左右方向で互いに隣り合う吐出孔16、17の中心軸線同士の間隔と、左右方向で互いに隣り合う容器本体W1、W2の中心軸線O1、O2(ステムの中心軸線)同士の間隔と、が異なっている。左右方向で互いに隣り合う吐出孔16、17の中心軸線同士の間隔が、左右方向で互いに隣り合う容器本体W1、W2の中心軸線O1、O2同士の間隔より狭くなっている。吐出筒31、32は、押下ヘッド15の周壁部における左右方向の中央部に設けられている。
【0028】
吐出筒31、32の各前端部31a、32aは、吐出孔16、17回りに沿う全周にわたってその径方向の外側に向けて膨出している。吐出筒31、32の前端部31a、32aの外周面は、その径方向の外側に向けて膨出する曲面状に形成されている。吐出筒31、32の前端部31a、32aの外径は、前方に向かうに従い小さくなっている。吐出筒31、32の前端部31a、32aにおいて、後方を向く後端面は、斜め上方を向く平面となっている。
【0029】
押下ヘッド15は、各ステム11、12が連結されたヘッド部材33と、ヘッド部材33に取付けられ、複数の吐出孔16、17が形成されたノズル部材34と、を備えている。ヘッド部材33およびノズル部材34は、例えば射出成形等により形成されている。
ヘッド部材33は、有頂筒状に形成され、その周壁部に、前方に向けて開口した窪み部33aが形成されている。ノズル部材34は、前端が閉塞され後端が開口した横向きの筒状に形成され、その周壁部が、ヘッド部材33の窪み部33a内に嵌合されている。
【0030】
ヘッド部材33とノズル部材34との間には、複数の横通路15a、15bと、パッキン35と、が設けられている。
【0031】
複数の横通路15a、15bは、複数のステム11、12内と複数の吐出孔16、17とを各別に連通し、左右方向に延びている。
パッキン35は、ヘッド部材33およびノズル部材34により密に挟まれ、ヘッド部材33およびノズル部材34のうちのいずれか一方との間に、複数の横通路15a、15bを画成している。パッキン35には、各ステム11、12内と各吐出孔16、17とを各横通路15a、15bを通して各別に連通する複数の連通孔35a、35bが形成されている。パッキン35は、前後方向から見て左右方向に長い長方形状を呈する板状に形成されている。パッキン35は、例えばエラストマ、ニトリルゴム、ブチルゴム、若しくはシリコンゴム等の軟材質で形成されている。
【0032】
ポンプ13、14、吐出孔16、17、横通路15a、15b、および連通孔35a、35bは2つずつ設けられ、2つの吐出孔16、17は、前後方向から見て、左右方向で隣り合うステム11、12同士の間に設けられている。
なお、2つの吐出孔16、17は、前後方向から見て、左右方向で隣り合うステム11、12同士の間から、左右方向の外側に離れて設けられてもよい。左右方向で互いに隣り合う吐出孔16、17の中心軸線同士の間隔を、左右方向で互いに隣り合う容器本体W1、W2の中心軸線O1、O2同士の間隔より広くしてもよい。
【0033】
ヘッド部材33は、ステム11、12に連結されて上下方向に延びる装着筒18、19と、装着筒18、19の上端部から前方に向けて突出した突出筒36、37と、を備えている。
ノズル部材34は、表裏面が前後方向を向き、吐出孔16、17が形成された主板部34aを備えている。主板部34aは、ノズル部材34の前記周壁部における前端開口を閉塞している。
【0034】
パッキン35は、ノズル部材34の前記周壁部内に挿入されている。パッキン35は、ヘッド部材33およびノズル部材34により前後方向に密に挟まれている。パッキン35は、突出筒36、37の前端開口縁に当接し、主板部34aの後面との間に複数の横通路15a、15bを画成している。パッキン35の連通孔35a、35bは、パッキン35を前後方向に貫き、突出筒36、37内と横通路15a、15bとを連通している。
主板部34aには、後方に向けて突出してパッキン35の前面に密に当接し、左右方向で隣り合う吐出孔16、17同士の連通を遮断し、複数の横通路15a、15bを画成する仕切突部34bが形成されている。
【0035】
主板部34aには、後方に向けて突出してパッキン35の前面に密に当接し、左右方向に長い環状の画成筒34c、34dが、左右方向に間隔をあけて2つ形成されている。画成筒34c、34dの左右方向の外端部内に、パッキン35の連通孔35a、35bが開口している。画成筒34c、34dの左右方向の内端部内に、吐出筒31、32の後端開口が開口している。画成筒34c、34dの左右方向の内端部は、押下ヘッド15における左右方向の中央部に位置している。画成筒34c、34dは、仕切突部34bに左右方向に接続されている。
横通路15a、15bは、画成筒34c、34dの内周面、仕切突部34b、およびパッキン35の前面により画成されている。
【0036】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、左右方向で互いに隣り合う吐出孔16、17同士の間隔と、左右方向で互いに隣り合うステム11、12同士の間隔と、が異なっているので、例えば、前者の間隔を後者の間隔より狭くすると、複数の吐出孔16、17から吐出された内容物を受け取りやすくすることが可能になり、また、前者の間隔を後者の間隔より広くすると、複数の吐出孔16、17から内容物を、互いに離れた複数の位置に吐出すること等が可能になり、吐出時の操作性を容易に向上させることができる。
【0037】
押下ヘッド15に、複数のステム11、12内と複数の吐出孔16、17とを各別に連通し、左右方向に延びる複数の横通路15a、15bが設けられているので、左右方向で互いに隣り合う吐出孔16、17同士の間隔を、左右方向で互いに隣り合うステム11、12同士の間隔に対して容易に異ならせることができる。
押下ヘッド15が、複数のステム11、12が連結されたヘッド部材33と、ヘッド部材33に取付けられ、複数の吐出孔16、17が形成されたノズル部材34と、を備えているので、左右方向に延びる横通路15a、15bを、押下ヘッド15に、成形金型の構造の複雑化を抑えつつ容易に設けることができる。
【0038】
ヘッド部材33とノズル部材34との間に、ヘッド部材33およびノズル部材34により密に挟まれ、ヘッド部材33およびノズル部材34のうちのいずれか一方との間に、複数の横通路15a、15bを画成するパッキン35が設けられ、パッキン35に、複数のステム11、12内と複数の吐出孔16、17とを各横通路15a、15bを通して各別に連通する複数の連通孔35a、35bが形成されている。
したがって、ヘッド部材33とノズル部材34との間に設けられた横通路15a、15bが、左右方向に延びて横長に形成されていても、パッキン35によって横通路15a、15bを確実にシールすることができる。
【0039】
左右方向で互いに隣り合う吐出孔16、17の中心軸線同士の間隔が、左右方向で互いに隣り合う容器本体W1、W2の中心軸線O1、O2同士の間隔より狭くなっているので、複数の吐出孔16、17から吐出された内容物を受け取りやすくすること等が可能になり、吐出時の操作性を容易に向上させることができる。
【0040】
2つの吐出孔16、17が、前方に向けて開口し、かつ前後方向から見て、左右方向で隣り合うステム11、12同士の間に設けられているので、押下ヘッド15を押下したときに、複数の吐出孔16、17から前方に向けて吐出された内容物を、より受け取りやすくすることが可能になり、吐出時の操作性を確実に向上させることができる。
【0041】
パッキン35が、突出筒36、37の前端開口縁に当接し、主板部34aの後面との間に複数の横通路15a、15bを画成し、主板部34aに、後方に向けて突出してパッキン35に密に当接し、左右方向で隣り合う吐出孔16、17同士の連通を遮断し、複数の横通路15a、15bを画成する仕切突部34bが形成され、連通孔35a、35bが、突出筒36、37内と横通路15a、15bとを連通しているので、密にシールされた横通路15a、15bを備え、吐出時の操作性を容易に向上させることが可能な吐出器1を容易に得ることができる。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0043】
例えば、複数の横通路15a、15bは、パッキン35とヘッド部材33との間に画成されてもよく、パッキン35の連通孔35a、35bは、画成筒34c、34dの左右方向の内端部内に開口してもよく、連通孔35a、35bは、吐出孔16、17と横通路15a、15bとを連通してもよい。
【0044】
吐出器1は、3つ以上のポンプを有してもよい。
押下ヘッド15の周壁部に、吐出筒31、32を形成せず、吐出孔16、17のみを形成してもよい。
吐出孔16、17は、例えば上方に向けて開口してもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 吐出器
11、12 ステム
13、14 ポンプ
15 押下ヘッド
15a、15b 横通路
16、17 吐出孔
18、19 装着筒
33 ヘッド部材
34 ノズル部材
34a 主板部
34b 仕切突部
35 パッキン
35a、35b 連通孔
36、37 突出筒
W1、W2 容器本体