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特許7507678釣状況管理装置、これを備えた釣竿及び釣状況管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】釣状況管理装置、これを備えた釣竿及び釣状況管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/12 20060101AFI20240621BHJP
   A01K 87/00 20060101ALI20240621BHJP
   A01K 87/08 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A01K97/12 Z
A01K87/00 640Z
A01K87/08 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020212836
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022099078
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】小田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】三屋 幸久
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183102(JP,A)
【文献】実開昭62-094780(JP,U)
【文献】特開2017-029051(JP,A)
【文献】特開2010-246394(JP,A)
【文献】特開2002-233284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00
A01K 61/00-61/65
A01K 61/80-63/10
A01K 65/00
A01K 73/06-73/10
A01K 79/00-81/06
A01K 91/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を備え、端部に釣針を有する釣糸が取付けられた釣竿に設けられる釣状況管理装置であって、
該把持部に設けられ、該把持部に振動を発生させる振動生成部と、該釣竿に設けられ、該釣竿の動きと振動を少なくとも含む釣状況を検出して釣状況に関するデータを生成する検出部と、該釣状況に関するデータを記録する記録部と、該釣状況に関するデータに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部と、外部からの他のユーザの釣状況に関するデータを受信する送受信部と、を備え、
前記処理部は、該外部からの他のユーザの釣状況に関するデータに基づき生成された振動発生信号を該振動生成部に送信し、該振動生成部は前記把持部に振動を発生させることを特徴とする、釣状況管理装置。
【請求項2】
前記記録部は、各釣行毎の釣状況に関するデータを履歴データとして記録する、請求項1に記載の釣状況管理装置。
【請求項3】
前記記録部は、各釣行毎の釣状況に関する他のユーザのデータを履歴データとして記録する、請求項に記載の釣状況管理装置。
【請求項4】
前記釣状況は、前記釣竿の振動と、前記釣竿の加速度とを少なくとも含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の釣状況管理装置。
【請求項5】
前記釣状況は、前記釣糸の張力と、前記釣糸の放出糸長とをさらに含む、請求項に記載の釣状況管理装置。
【請求項6】
表示部を備え、該表示部は、前記釣状況を表示する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の釣状況管理装置。
【請求項7】
前記振動生成部は、前記把持部を振動させるアクチュエータ部を備え、前記処理部による振動発生信号に基づき該アクチュエータ部を駆動させる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の釣状況管理装置。
【請求項8】
釣竿と、情報処理装置と、該情報処理装置と通信可能に接続され、把持部を備え、端部に釣針を有する釣糸が取付けられた釣竿に設けられる釣状況管理装置と、を備える釣状況管理システムであって、
前記情報処理装置は、該釣竿の動きと振動を少なくとも含む釣状況に関するデータを記録する記録部を備え、
前記釣状況管理装置は、前記把持部に設けられ、該把持部に振動を発生させる振動生成部と、該釣竿に設けられ、釣状況を検出して釣状況に関するデータを生成する検出部と、
該釣状況に関するデータに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部と、前記情報処理装置からの他のユーザの釣状況に関するデータを受信する送受信部と、を備え、
前記検出部により検出された釣状況に関するデータは、前記記録部に格納され、前記処理部は、該記録部に格納された釣状況に関するデータに基づき、前記振動生成部に振動発生信号を送信するものであり、
前記処理部は、前記情報処理装置からの他のユーザの釣状況に関するデータに基づき生成された振動発生信号を該振動生成部に送信し、該振動生成部は前記把持部に振動を発生させることを特徴とする、釣状況管理システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、表示部を備え、該表示部は、前記記録部に格納された釣状況に関するデータを表示する、請求項に記載の釣状況管理システム。
【請求項10】
前記釣状況管理装置は、表示部を備え、前記情報処理装置から釣状況に関するデータを取得し、該釣状況に関するデータを該表示部に表示する、請求項に記載の釣状況管理システム。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の釣状況管理装置を備えることを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣状況を記録し、再現するための装置、これを備えた釣竿、これを備えた管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣り竿を模擬できる装置や魚信の検出ができる装置が知られている。釣り竿を模擬できる装置は、釣り竿を保持して釣りの所定の体験ができるようになっている。また、魚信の検出ができる装置では、所謂アタリの振動を検知して、これを発光体やブザーなどの報知手段や電子装置を用いて釣人に知らせるようにしている。
【0003】
このような釣り竿を模擬できる装置は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、釣りゲーム等に用いられる入力装置に係り、特に、釣り糸等の機械的な拘束なく、釣り竿等を模擬できる入力装置およびその処理技術に係り、操作者が把持部を把持して操作することによりその全体が動かされる入力装置であって、当該入力装置の動きを検出する動き検出手段を備えたことを特徴とする入力装置が開示されている。
【0004】
また、魚信の検出ができる装置として、特許文献2では、釣竿の先端に位置するように形成された取付体の前方の下側に、釣糸支承環の支持杆を設け、該支持杆の下端近傍に水平方向に伸びる支軸を有する枢軸部を設け、該枢軸部に上部に回動接点を有する釣糸支承環の中部を軸着し、取付体の前端下側に固定接点を設け、釣糸支承環を常時後傾姿勢をとらせるようにし、釣糸支承環をくぐらせた釣糸が釣糸支承環の下半部に当接するとき、その当接によって後傾姿勢の釣糸支承環を前傾する向きに回動させて回動接点を固定接点に接触させ、釣糸の前記の当接が緩められると釣糸支承環が後傾する向きに回動して回動接点が固定接点から離れるように構成し、かつ、電池の一方の電極と回動接点とを結線し他方の電極と固定接点とを結線して、その結線路中に電気報知器を挿設したところの感知部と、釣竿の先端近傍の下側にあって釣糸支承環の後方に位置して釣糸を係止する釣糸係止部とから成る魚信の感知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-214155号公報
【文献】特開2005-34116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る態様では、アタリ(魚信)の際の釣り竿を模擬することができるとするものの、該アタリはあくまで魚が餌を咥え、釣針に魚がかかった状態であり、該アタリ以外の仕掛け投入から魚を釣り上げるまでの間の状態を模擬するものではなく、また、釣り竿の模擬はあくまでゲーム上のものでありかつ限定的なものとならざるを得ないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に掛かる態様では、アタリの感知を行うことができるとするものの、該アタリ以外の仕掛け投入から魚を釣り上げるまでの間の状態を知ること自体が難しいため、これを記録したり、再現することがそもそもできないという問題があった。
【0008】
着底を含め仕掛け投入からアタリまでの間の魚や釣糸の状況、またアタリ以降の巻上げ等の状況(以下、総合して釣状況と呼ぶこととする)を広く検出すると共に、これを記録し、かつ再現できれば、釣りへの関心や興味を大幅に高めることに繋がるが、特許文献1に係る態様も含め、このような釣状況の記録や再現を行うことはできていない。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上述のような釣状況を検出すると共に、これを記録し、かつこれを再現することが可能な釣状況管理装置、これを備えた釣竿及びこれを備えた釣状況管理システムを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置は、把持部を備え、端部に釣針を有する釣糸が取付けられた釣竿に設けられる釣状況管理装置であって、該把持部に設けられ、該把持部に振動を発生させる振動生成部と、該釣竿に設けられ、該釣竿の動きと振動を少なくとも含む釣状況を検出して釣状況に関するデータを生成する検出部と、該釣状況に関するデータを記録する記録部と、該釣状況に関するデータに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部と、を備えるように構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置は、送受信部を備え、該送受信部は、外部から他のユーザの釣状況に関するデータを受信し、前記情報処理部は、該釣状況に関するデータに基づき、前記振動生成部に振動発生信号を送信し、該振動生成部は前記把持部に振動を発生させるように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置において、前記記録部は、各釣行毎の釣状況に関するデータを履歴データとして記録するように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置において、前記記録部は、各釣行毎の釣状況に関する他のユーザのデータを履歴データとして記録するように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置において、前記釣状況は、前記釣竿の振動と、前記釣竿の加速度とを少なくとも含むように構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置において、前記釣状況は、前記釣糸の張力と、前記釣糸の放出糸長とをさらに含むように構成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置は、表示部を備え、該表示部は、前記釣状況を表示するように構成される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置において、前記振動生成部は、前記把持部を振動させるアクチュエータ部を備え、当該処理部による振動発生信号に基づき該アクチュエータ部を駆動させるように構成される。
【0018】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理システムは、釣竿と、情報処理装置と、該情報処理装置と通信可能に接続され、把持部を備え、端部に釣針を有する釣糸が取付けられた釣竿に設けられる釣状況管理装置と、を備える釣状況管理システムであって、前記情報処理装置は、該釣竿の動きと振動を少なくとも含む該釣状況に関するデータを記録する記録部を備え、前記釣状況管理装置は、前記把持部に設けられ、該把持部に振動を発生させる振動生成部と、該釣竿に設けられ、釣状況を検出して釣状況に関するデータを生成する検出部と、該釣状況に関するデータに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部と、を備え、前記検出部により検出された釣状況に関するデータは、前記記録部に格納され、前記処理部は、該記録部に格納された釣状況に関するデータに基づき、前記振動生成部に振動発生信号を送信するように構成される。
【0019】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理システムにおいて、前記情報処理装置は、表示部を備え、該表示部は、前記記録部に格納された釣状況に関するデータを表示するように構成される。
【0020】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理システムにおいて、前記釣状況管理装置は、表示部を備え、前記情報処理装置から釣状況に関するデータを取得し、該釣状況に関するデータを該表示部に表示するように構成される。
【0021】
本発明の一実施形態に係る釣竿は、上記いずれかの釣状況管理装置を備えるように構成される。
【発明の効果】
【0022】
上記実施形態によれば、釣状況を検出すると共に、これを記録し、かつこれを再現することが可能な釣状況管理装置、これを備えた釣竿及びこれを備えた釣状況管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る釣竿を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る釣状況管理システムを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置における釣状況に関するデータと再現方法を説明する図である。
図5】本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100における管理方法を含めた使用手順全体の一例を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100におけるデータ記録の方法を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100における記録データの再現(再生)の手順の一例を説明する図である。
図8】本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100におけるデータ送信の方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る釣竿の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0025】
図1は、釣竿を説明する図である。図示のように、釣竿11は、竿体2と、竿体2に釣竿11を介して取り付けられたリール6と、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド10と、を備える。図示の実施形態においては、釣竿11及び釣糸ガイド10の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0026】
竿体2は、例えば、元竿3、中竿5、及び穂先竿7等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていても良い。
【0027】
元竿3、中竿5、及び穂先竿7は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。
【0028】
図示の実施形態において、元竿3、中竿5及び穂先竿7には、釣竿11に装着されるリール6から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイド10(釣糸ガイド10A~10D)が設けられている。より具体的には、元竿3には釣糸ガイド10Aが設けられ、中竿5には釣糸ガイド10Bが設けられ、穂先竿7には釣糸ガイド10Cが設けられている。穂先竿7の先端には、トップガイド10Dが設けられるが、詳細は省略する。
【0029】
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1は、把持部4を備え、端部に釣針16を有する釣糸8が取付けられた釣竿11に設けられる釣状況管理装置1であって、該把持部4に設けられ、該把持部4に振動を発生させる振動生成部12と、該釣竿11に設けられ、該釣竿11の動きと振動を少なくとも含む釣状況を検出して釣状況に関するデータを生成する検出部13と、該釣状況に関するデータを記録する記録部14と、該釣状況に関するデータに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部15と、を備えるように構成される。
【0030】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置によれば、釣状況を検出すると共に、これを記録し、かつこれを再現することが可能な釣状況管理装置を提供することが可能となる。これにより、釣人は、アタリ以前の釣糸や釣針等の状況やアタリ以降の釣糸や釣針等の状況(釣竿の手元で感じる振動等の情報)を釣竿の把持部で再現することができるため、釣人の技量の向上、釣果の向上及び釣への関心の向上に繋げることができる。
【0031】
ここで、検出部13として、圧電素子、ひずみゲージ"又は歪検出素子を用いることができるがこれらに限られない。検出部13により検出された釣状況に関するデータに基づき、該釣竿の動きや振動を振動生成部12により忠実に再現することができる。また、該釣竿の動きや振動を振動生成部12により増幅して生成してもよい。または、該釣竿の動きや振動を振動生成部12において伝達強度を調整して生成するようにしてもよい。なお、当該釣糸8には、釣針16に加えて、ルアーや集魚部材(例えば、コマセ籠や集魚板など)等を取付けることができ(これらに限られない)、これらを総称して釣針等と呼ぶこととする。
【0032】
ここで、端部に釣針16を有する釣糸が取付けられた釣竿11という場合、当該端部は、仕掛けの種類によっては、厳密な意味で端部とはならない場合もある。例えば、釣糸の端部に仕掛けやルアー若しくはその他の部材が設けられ、これらに釣針16が設けられることもあるし、釣糸自体が複数の釣糸で構成されていたり、複数の釣糸とこれらの釣糸間に別の中間部材が取付けられるなど様々な態様が考えられる。以上のことから、釣糸には、1つの釣糸、複数の釣糸、又は複数の釣糸とこれらの間に設けられた中間部材とで構成され得、釣糸の端部に釣針を設けるという場合、釣糸の端部に直接又は中間部材(仕掛けやルアー等が想定されるがこれらに限られない)を介して設けることを意味するものと理解されたい。
【0033】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1は、送受信部17を備え、該送受信部17は、外部から他のユーザの釣状況に関するデータを受信し、当該情報処理部15は、該釣状況に関するデータに基づき、当該振動生成部12に振動発生信号を送信し、該振動生成部12は把持部4に振動を発生させるように構成される。ここで、把持部4の一部として振動生成部12を構成することができ、把持部4に振動を発生させることは、振動生成部12自身が振動することも含むものとする(本明細書を通じて同様とする)。ここで、他のユーザの釣状況には、同じユーザの別の釣竿に関する釣状況も含むものとする。ここで、外部とは、外部の情報通信端末(例えば、スマートフォンなど)や情報処理装置、情報処理システムが考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置によれば、他のユーザの釣状況を取得し、これを再現することが可能な釣状況管理装置を提供することが可能となる。これにより、釣人は、他のユーザによる、アタリ以前の釣糸や釣針等の状況やアタリ以降の釣糸や釣針等の状況(釣竿の手元で感じる振動等の情報)を釣竿の把持部で再現することができるため、他のユーザから学ぶことができ、釣人の技量の向上、釣果の向上及び釣への関心の向上に繋げることができる。
【0035】
また、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、当該記録部14は、各釣行毎の釣状況に関するデータを履歴データとして記録するように構成される。これにより、操作者が同操作者の過去の釣状況を履歴データとして保持することができるため、当該データを表示や再現等を行う際に用いることができる。
【0036】
また、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、当該記録部14は、各釣行毎の釣状況に関する他のユーザのデータを履歴データとして記録するように構成される。これにより、操作者が他のユーザの過去の釣状況を履歴データとして保持することができるため、当該データを表示や再現等を行う際に用いることができる。
【0037】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、当該釣状況は、釣竿の振動と、釣竿の加速度とを少なくとも含むように構成される。
【0038】
また、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、当該釣状況は、釣糸の張力と、釣糸の放出糸長とをさらに含むように構成される。また、その他に、風量、温度、日照、又は船/はしけ等の釣り場(立地点)の振動等も含まれるが、これらに限られない。
【0039】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1は、表示部(図示しない)を備え、該表示部は、当該釣状況を表示するように構成される。
【0040】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、当該振動生成部12は、当該把持部4を振動させるアクチュエータ部を備え、当該処理部15による振動発生信号に基づき該アクチュエータ部を駆動させるように構成される。ここで、また、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置において、前記アクチュエータ部は、板状アクチュエータであるように構成される。板状アクチュエータが望ましい理由は、まず、振動生成12の振動波形を釣人の実釣感覚と同化させるのに最適であること(板の変形形態が釣竿の変形形態と同じで、穂先の変形・振動が手元にあるように感ずる)、次に、物理的な変形により、例えば、低周波数(1Hz~)の振動も感じ取ることができることからである。
【0041】
次に、図3、及び図2の一部を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況管理システム100について説明する。図示のように、本発明の一実施形態に係る釣状況管理システム100は、釣竿11と、情報処理装置30と、該情報処理装置30と通信可能に接続され、把持部4を備え、端部に釣針16を有する釣糸8が取付けられた釣竿11に設けられる釣状況管理装置1と、を備える釣状況管理システム100であって、当該情報処理装置30は、該釣竿11の動きと振動を少なくとも含む該釣状況に関するデータを記録する記録部31を備え、当該釣状況管理装置1は、当該把持部4に設けられ、該把持部4に振動を発生させる振動生成部12と、該釣竿11に設けられ、釣状況を検出して釣状況に関するデータを生成する検出部13と、該釣状況に関するデータに基づき、該振動生成部に振動発生信号を送信する処理部15と、を備え、当該検出部13により検出された釣状況に関するデータは、当該記録部31に格納され、当該処理部15は、該記録部に格納された釣状況に関するデータに基づき、当該振動生成部12に振動発生信号を送信するように構成される。ここで、「通信可能に接続」とは、通信可能な状態で無線若しくは有線により接続されることをいう。
【0042】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理システムによれば、釣状況を検出すると共に、これを別の情報処理装置内に記録し、必要に応じて記録情報を参照することで釣竿の手元で感じる振動等を釣竿の把持部で再現することが可能となる。これにより、釣状況に関するデータを情報処理装置で一元的に管理でき、必要に応じて、当該データを取得することで、釣人は、アタリ以前の釣糸や釣針等の状況やアタリ以降の釣糸や釣針等の状況(釣竿の手元で感じる振動等の情報)を釣竿の把持部で再現することができるため、釣人の技量の向上、釣果の向上及び釣への関心の向上に繋げることができる。ここで、情報処理装置とは、コンピュータ、スマートフォン、ゲーム再生機、又はクラウドシステムが考えられるが、これらに限られない。
【0043】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理システム1において、当該情報処理装置30は、表示部32を備え、該表示部32は、記録部31に格納された釣状況に関するデータを表示するように構成される。このようにして、釣状況を情報処理装置30で管理することが可能となる。
【0044】
本発明の一実施形態に係る釣状況管理システム1において、当該釣状況管理装置1は、表示部(図示しない)を備え、当該情報処理装置30から釣状況に関するデータを取得し、該釣状況に関するデータを該表示部に表示するように構成される。このようにして、釣状況を釣状況管理装置1で管理することが可能となる。
【0045】
また、本発明の一実施形態に係る釣竿11は、上述したいずれかの釣状況管理装置1を備えるように構成される。
【0046】
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1における釣状況に関するデータについて説明する。図4において、横軸は時間を示し、縦軸に電圧を示す。図示の例では、カワハギを例に釣の開始からカワハギが釣れるまでの、該釣竿の動きや振動を検出部13により捉えたものである。
【0047】
例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、検出部13が、図示の釣状況に関するデータAを検出したとすると、波形の性質から釣竿による誘いの動作中であることが判るため、当該振動生成部は、釣竿による誘いの動作中であることを示す第1の振動を生成するようにする。
【0048】
また、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、検出部13が、図示の釣状況に関するデータBを検出したとすると、波形の性質から釣針に魚が近付いている(所謂前アタリとも呼ぶ)ことを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣針に魚が近付いていることを示す第2の振動を生成するようにする。
【0049】
次に、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、検出部13が、図示の釣状況に関するデータCを検出したとすると、波形の性質から釣針への魚のアタリを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣針への魚のアタリを示す第3の振動を生成するようにする。
【0050】
また、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、検出部13が、図示の釣状況に関するデータDを検出したとすると、波形の性質から釣糸の合わせ及び巻上げ中であることを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣糸の合わせ及び巻上げ中であることを示す第4の振動を生成するようにする。
【0051】
次に、例えば、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1において、検出部13が、図示の釣状況に関するデータEを検出したとすると、波形の性質から釣糸の巻上げ中であることを示すことが判るため、当該振動生成部は、釣糸の巻上げ中であることを示す第5の振動を生成するようにする。
【0052】
次に、図5を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100における管理方法を含めた使用手順全体の一例につき、説明する。図示のように、まず、釣行の計画を行う(SA1)。その後、釣行を実施する(SA2)。釣りの間、釣行データ(釣状況に関するデータ)を記録していき(SA3)。釣行へのフィードバックを行う(SA4)。
【0053】
次に、釣行の実施(SA2)が終了すると、自身、若しくは自身と他のユーザに係る前回又はこれまでの釣行データ(釣状況に関するデータ)の履歴を参照することができる(SA5)。その際、自身の各釣行毎に記録した釣行データ(釣状況に関するデータ)を参照することができる(SA6)。また、釣状況に関する他の釣人(ユーザ)のデータを必要に応じて取得することもできる(SA7)。
【0054】
その後、このような釣行データ(釣状況に関するデータ)に基づき、アタリ以前の釣糸や釣針等の状況やアタリ以降の釣糸や釣針等の状況(釣竿の手元で感じる振動等の情報)を釣竿の把持部で再現することができる(SA8)。また、このような釣行データ(釣状況に関するデータ)を用いて、自己分析(例えば、どのような誘い方法であったか、どのような前あたりが有ったか、どの様な当たりであったか、あたりに対してどのように対応したか(どのように合わせたかを含む)又はどのように、掛った魚とやり取りをしたか等)を行う(SA9)。
【0055】
次に、当該再現後、スキルを学習することができる(SA10)。その後、次回の釣行におけるタックルや釣法を検討する(SA11)。このようにして、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100を用いると、釣人は、自身や他のユーザによる、アタリ以前の釣糸や釣針等の状況やアタリ以降の釣糸や釣針等の状況(釣竿の手元で感じる振動等の情報)を釣竿の把持部で再現等することができるため、自身や他のユーザから学ぶことができ、釣人の技量の向上、釣果の向上及び釣への関心の向上に繋げることができる。
【0056】
次に、図6を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100におけるデータ記録の方法の一例につき、説明する。図示のように、まず、釣行の実施の際、釣状況に関するデータの記録を開始する(SB1)。そして、時刻を取得する(SB2)。以降、釣竿の振動や加速度等の検出を行い(SB4)、また釣状況管理装置1の外部において釣糸の張力や糸長等の検出を行い(SB5)、これらの各検出値(センサ値)を取得する(SB3)。そして、取得した当該各検出値(センサ値)の一次保存を行う(SB6)。
【0057】
次に、取得した当該各検出値(センサ値)を時系列に整理する処理を行い、すなわち取得した各検出値(センサ値)の時系列補完を行う(SB7)。必要に応じて、欠損データの補完を行う。その後、これらのデータを釣状況に関するデータとして記録する(SB8)。次に、当該データの送信要否を判断し(SB9)、必要であれば、データ送信を行い(SB10)、釣状況に関するデータの記録を終了するか否か判断する(SB11)。一方、当該データの送信の必要がない場合は、釣状況に関するデータの記録を終了するか否か判断する(SB11)。釣状況に関するデータの記録を終了する場合は、データ記録を終了とする(SB12)。釣状況に関するデータの記録を終了しない場合は、上述の時刻の取得(SB2)に戻る。
【0058】
次に、図7を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100における記録データの再現(再生)の手順の一例につき、説明する。ここで、記録データの再現(再生)とは、釣行時の魚とのやり取りを含む仕掛け投入(釣り動作開始)から仕掛け回収(釣り動作終了)までの竿の振動を再現(再生)することを指すものとする(本明細書を通じて同様とする)。図示のように、まず、再現の対象となる、釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)を取得する(SC1)。そして、再生対象となるデータがあるか否かを判断する(SC2)。釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)がない場合は、記録データの再現(再生)を終了する(SC11)。
【0059】
釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)がある場合は、記録データの詳細情報を取得する(SC3)。次に、記録データ(再生対象データリスト)の再現(再生)を行うか否かを判断する(SC4)。釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の再現(再生)を行わない場合は、上記詳細情報の取得に戻る(SC3)。釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の再現(再生)を行う場合は、釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の一再生分のデータ(レコード)を取得する(SC5)。次に、再現(再生)時間間隔値を取得する(SC6)。
【0060】
そして、釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の一再生分のデータ(レコード)の再現(再生)時間が問題ないか否か判断する(SC7)。釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の一再生分のデータ(レコード)の再現(再生)時間に問題がある場合は、上記釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の一再生分のデータ(レコード)の取得に戻る(SC5)。釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の一再生分のデータ(レコード)の再現(再生)時間に問題がない場合は、データを表示する(SC8)。ここで、データの表示とは、振動波形を指す。次に、振動生成部(振動アクチュエータ)の制御を行い、再現(再生)を行う(SC9)。そして、次のデータがあるか否か判断し(SC10)、次のデータがない場合は、再現(再生)を終了する(SC11)。次のデータがある場合は、上記釣状況に関する記録データ(再生対象データリスト)の一再生分のデータ(レコード)の取得に戻る(SC5)。
【0061】
次に、図8を参照して、本発明の一実施形態に係る釣状況管理装置1又は釣状況管理システム100におけるデータ送信の方法の一例につき、説明する。図示のように、まず、記録部(データ記録部)の状態を確認する(SD1)。そして、未送信データがあるかを判断する(SD2)。未送信データがない場合は、データ送信を完了する(SD7)。
【0062】
未送信データがある場合は、送信先と接続するかを判断する(SD3)。送信先と接続しない場合は、データ送信を完了する(SD7)。他方で、送信先と接続する場合は、未送信データを記録部より送信する(SD4)。そして、未送信データの送信が成功したか判断する(SD5)。未送信データの送信が何らかの理由で中断している若しくは完了しなかった場合は、上記未送信データの記録部からの送信に戻る(SD4)。未送信データの送信が成功した場合は、当該データの状態を送信済みの状態に設定し(SD6)、送信完了とする(SD7)。
【0063】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 釣状況管理装置
2 竿体
3 元竿
4 把持部
5 中竿
6 リール
7 穂先竿
8 釣糸
10 釣糸ガイド
11 釣竿
12 振動生成部
13 第1の検出部
14 記録部
15 処理部
16 釣針
17 送受信部
30 情報処理装置
31 記録部
32 表示部
100 釣状況管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8