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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ペルオキシド含有ポリオレフィン配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20240621BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20240621BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20240621BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20240621BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C08L23/04
C08L23/10
C08K5/14
C08J3/24 Z CES
H01B7/02 F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020512015
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018047658
(87)【国際公開番号】W WO2019046088
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】62/551,995
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バァラァトゥ アイ.
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-126537(JP,A)
【文献】国際公開第2007/116928(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/132560(WO,A1)
【文献】特開平11-026791(JP,A)
【文献】特開2007-302907(JP,A)
【文献】特開平08-283470(JP,A)
【文献】国際公開第2006/085603(WO,A1)
【文献】特開2004-292561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/
C08K 5/14
C08J 3/24
H01B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たるみのない被覆導体を高温押出により調製するためのポリオレフィン配合物であって、すべてが前記ポリオレフィン配合物の総重量に基づいて、
60~99.45重量パーセント(重量%)の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物であって、本質的に、エチレン系(コ)ポリマー、または前記エチレン系(コ)ポリマーおよびポリプロピレンポリマーの組み合わせからなり、但し、前記ポリプロピレンポリマーが前記ポリオレフィン配合物の0~<40重量%であること、前記エチレン系(コ)ポリマーが、50~99.0重量%のエチレンモノマー単位、および50~>0重量%の(C~C20)アルファ-オレフィン由来のコモノマー単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであることを条件とする、エチレン系(コ)ポリマー組成物;
0.30~0.60重量%の(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド;ならびに
0.5~5重量%の(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、から構成され、
すべてがそれぞれの半減期温度試験方法に従って測定されたときに、構成成分(C)が、110.0℃超の10時間半減期温度および/または130.0℃超の1時間半減期温度を有し、
前記構成成分(B)が、110.0℃以下の10時間半減期温度および/または130.0℃以下の1時間半減期温度を有する、ポリオレフィン配合物。
【請求項2】
制約(i)前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度が、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度よりも少なくとも摂氏11度(℃)高いこと;
(ii)前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度が、40℃~<110.0℃であること;
(iii)前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度が、110.0℃超~150℃であること;
(iv)前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの前記1時間半減期温度が、60℃~<130.0℃であること;
(v)前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの前記1時間半減期温度が、130.0℃超~150℃であること;
(vi)(i)および(ii)の両方;
(vii)(i)および(iii)の両方;
(viii)(ii)および(iii)の両方;
(ix)(i)および(iv)の両方;
(x)(i)および(v)の両方;
(xi)(iv)および(v)の両方;
(xii)(i)~(iii)の各々;ならびに
(xiii)(i)、(iv)、および(v)の各々、
のいずれか1つによってさらに特徴付けられる、請求項1に記載のポリオレフィン配合物。
【請求項3】
0.9~4.5重量%の(C)によってさらに特徴付けられる、請求項1または2に記載のポリオレフィン配合物。
【請求項4】
0.05~2.0重量%未満の(D)酸化防止剤;
0.05~<2.0重量%の(E)アルケニル官能性助剤;
0.05~<2.0重量%の(F)トリー遅延剤;
0.05~<2.0重量%の(G)ヒンダードアミン安定剤;ならびに
0.05~<10.0重量%の(H)焼成粘土充填剤
からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含み、但し、前記ポリオレフィン配合物の総量が100重量%であることを条件とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリオレフィン配合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリオレフィン配合物を作製する方法であって、
前記方法が、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド、および(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、ならびに任意の添加剤を一緒に混合して、ポリオレフィン配合物を作製することを含む、方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリオレフィン配合物から中間組成物を調製する方法であって、
前記方法が、前記ポリオレフィン配合物を、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的で、かつ前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的ではない、温度で高温押出し、それによって、すべてが前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることなく、または前記ポリオレフィン配合物もしくは中間組成物を完全に硬化させることなく、前記ポリオレフィン配合物のレオロジーを修飾して、前記ポリオレフィン配合物の溶融粘度より大きい溶融粘度を有する中間組成物を得るように、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることを含む、方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリオレフィン配合物を硬化させる方法であって、
前記方法が、第1に、前記ポリオレフィン配合物を、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的で、かつ前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的ではない、第1の温度で高温押出し、それによって、すべてが前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることなく、または前記ポリオレフィン配合物もしくは中間組成物を完全に硬化させることなく、前記ポリオレフィン配合物のレオロジーを修飾して、前記ポリオレフィン配合物の溶融粘度より大きい溶融粘度を有する中間組成物を得るように、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることと、
第2に、前記中間組成物を、前記第1の温度よりも10.0℃超高く、前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的である、第2の温度で加熱し、それによって、前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させ、前記中間組成物を完全に硬化させるか、または実質的に架橋させて、架橋されたポリオレフィン生成物を得ることと、を含む、方法。
【請求項8】
高温押出により得られた前記中間組成物を形状決めして、前記中間組成物から構成される形状決めされた形態を得ることを独立してさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の硬化させる方法を含む、架橋ポリオレフィン生成物の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の硬化方法を含む、架橋ポリオレフィン生成物の形状決めされた形態を含む製造物品の製造方法。
【請求項11】
導電性コアと、前記導電性コアを少なくとも部分的に取り囲み、請求項6に記載の方法によって調製された前記中間組成物または請求項9に記載の方法によって調製された架橋ポリオレフィン生成物を含む被覆層と、を含む、たるみのない被覆導体の製造方法。
【請求項12】
導電する方法であって、請求項11に記載の方法で製造された被覆導体の前記導電性コアの両端に電圧を印加し、それによって、前記導電性コアを通る電気の流れを発生させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本分野には、ポリオレフィン配合物、それから作製される生成物、それを作製および使用する方法、ならびにそれを含有する物品が含まれる。
【背景技術】
【0002】
J.E.Vostovichらに対するUS2,930,083は、架橋ポリエチレンの押出、およびそれによるワイヤ被覆プロセスに関する。
【0003】
R.van Drunenらに対するUS5,614,592は、充填剤を含まないペルオキシドのマスターバッチおよびそれを作製するためのプロセスに関する。
【0004】
Y.C.KimおよびK.S.Yangは、Polymer Journal,1999,volume 31,number 17,579~584頁で、「Effect of Peroxide Modification on Melt Fracture of Linear Low Density Polyethylene during Extrusion」を発表した。
【0005】
P.Nylander(「Nylander」)によるEP2 468 813 A1は、スコーチ耐性ポリエチレン組成物に関する。具体的には、架橋性ポリエチレン組成物であって、(i)1000個の炭素原子当たりの炭素-炭素二重結合の総量が少なくとも0.1である不飽和ポリエチレンと、(ii)第1および第2のペルオキシドを含む架橋剤混合物と、を含み、第1のペルオキシドが、第2のペルオキシドのものよりも摂氏1~10度高い10時間半減期温度を有し、上記第1のペルオキシドが、架橋剤混合物の第1および第2のペルオキシドの総量に基づいて、少なくとも8重量%の量で存在する、架橋性ポリエチレン組成物。Nylanderは、押出中の早期架橋を回避しようと努めている[0061]。
【0006】
G.Milaniらは、Journal of Applied Polymer Science、2014、COI:10.1002/APP.40075で、「A Combined Experimental-Numerical Rheometric and Mechanical Characterization of EPM/EPDM Rubber for Medium Voltage Cable Applications Vulcanized with Peroxides」を発表した。
【発明の概要】
【0007】
電力ケーブルの被覆の高温押出など、従来のペルオキシド含有ポリオレフィン組成物(溶融)の高温押出の性能を損なう問題を認識した。ポリオレフィンの溶融温度よりも高いが、ペルオキシドの分解温度よりも低い温度では、押出中にいくつかの従来の組成物がせん断誘起加熱を受ける。これは、不必要に温度逸脱を引き起こし、ペルオキシドの早期分解および付随する組成物の早期架橋につながる可能性がある。架橋は、組成物がもはや電力ケーブル用の満足のいく被覆ではなくなる可能性があるほどの範囲であり得る。他の従来の組成物は、低すぎるゼロせん断粘度および/または熱間押出中に低すぎる低ひずみ伸長粘度を有し、それにより、不必要に、連続加硫(CV)管内で架橋され得る前にたるむ被覆につながる。したがって、(溶融物としての)従来の組成物は、早期のペルオキシドの分解/早期の架橋またはたるみを受ける。これらの問題は、ポリオレフィンが、ワイヤおよびケーブル用途で使用するための可撓性電気絶縁などの可撓性架橋ポリオレフィン生成物を作製するために設計されたエラストマーである場合、深刻化する。かかるポリオレフィンエラストマーは、典型的には、メタロセンまたはポストメタロセン触媒などの分子触媒で合成され、比較的狭い分子量分布の線状ポリマーである。かかるエラストマーの溶融物は、高分子量(および高せん断粘度)のポリマーのみが、被覆が架橋され得るまで適切にたるみに抵抗するように、ワイヤまたは導体の被覆として、押出中に不十分にせん断減粘化する。これらの問題は、射出成形プロセスなど、従来のペルオキシド含有ポリオレフィン組成物の溶融物を混合および形状決めする他のプロセスにとって厄介である。
【0008】
この問題に対する技術的な解決策は、先行技術からは明らかではない。混合して溶融したときに、低せん断粘度/低せん断誘起加熱、ならびに高いゼロせん断粘度および/または高い低ひずみ伸張粘度/たるみなしの以前の競合する組み合わせを示す、新しいポリオレフィン配合物を発見するには、発明性が必要である。理想的には、かかる組成およびプロセスは、酸化防止剤、助剤、トリー遅延剤、ヒンダードアミン安定剤、および/または充填剤などの1つ以上の添加剤の存在下で作用するであろう。
【0009】
本発明者らの技術的な解決策には、エチレン系(コ)ポリマー組成物と、効果的な量のより低い温度で分解する有機ペルオキシドと、効果的な量のより高い温度で分解する有機ペルオキシドと、を含むポリオレフィン配合物が含まれる。ポリオレフィン配合物の溶融物の混合中に、有機ペルオキシドおよび量が選出され、溶融物の温度は、より低い温度で分解するペルオキシドが、より高い温度で分解する有機ペルオキシドが実質的に分解されることなく、実質的に完全に分解され得るように選出される。これにより、ポリオレフィン配合物の溶融物を押出して、架橋され得るまで、たるみを防止する十分に修飾されたレオロジー(例えば、修飾された溶融粘度)を有する中間組成物を得ることが可能である。本発明者らの技術的な解決策には、中間組成物およびそれらから作製された架橋ポリオレフィン生成物、それらを作製および使用する方法、ならびにそれらを含有する物品も含まれる。
【0010】
本発明のポリオレフィン配合物および生成物は、鋳造、被覆、押出、フィルム、ラミネート、成形物品、およびシートを含む、ポリエチレンが利用されるあらゆる用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概要および要約は、参照により本明細書に援用される。
【0012】
ポリオレフィン配合物の混合および加熱中に、より低い温度で分解する有機ペルオキシドは、より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることなく、実質的に分解され得る。この選択的な分解により、中間体組成物が架橋され得るまで、たるみを防止しながら、特定の最終用途のために中間体組成物の形状決めを可能にする修飾されたレオロジー(例えば、修飾された溶融粘度)を有する、本発明の中間組成物が得られる。より高い温度で分解する有機ペルオキシドは、中間組成物中で実質的に未分解のままであり、それにより、中間組成物をたるみなく形状決めし、硬化させて、本発明の架橋ポリオレフィン生成物(実質的に完全な架橋)を得ることができる。例えば、中間組成物を導電性コア(例えば、ワイヤ)上の被覆として押出することができ、被覆/導体をCV管内での加硫操作で硬化させて、導電性コアと、架橋ポリオレフィン生成物の被覆と、を備える電力ケーブルを得ることができる。
【0013】
本発明のポリオレフィン配合物、中間組成物、および/または架橋ポリオレフィン生成物は、より低い温度で分解する有機ペルオキシド、またはより高い温度で分解する有機ペルオキシドのいずれかを含有するが、両方は含有しない、比較組成物または生成物に対して少なくとも1つの改善された特性を有し得る。改善された特性(複数可)は、硬化前の溶融ゼロせん断粘度の増加および/または最終的な架橋の程度の増加であり得る。最終的な架橋の程度は、照射対ペルオキシド/加熱、ペルオキシドの組成および量、ならびに温度などの採用された硬化条件下で達成され得る、所与のエチレン系(コ)ポリマーのカップリングの最大範囲である。
【0014】
特定の本発明の実施形態は、相互参照を容易にするための番号付き態様として以下に説明される。追加の実施形態は、本明細書の他の場所で説明される。
【0015】
態様1.ポリオレフィン配合物であって、すべてがポリオレフィン配合物の総重量に基づいて、60~99.45重量パーセント(重量%)の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物であって、本質的に、エチレン系(コ)ポリマー、またはエチレン系(コ)ポリマーおよびポリプロピレンポリマー(50~100重量%、代替的に75~100重量%、代替的に95~100重量%のプロピレンコモノマー単位)の組み合わせからなり、但し、ポリプロピレンポリマーがポリオレフィン配合物の0~<40重量%であることを条件とする、60~99.45重量パーセント(重量%)の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物;0.05~2.0重量%の(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド;ならびに0.5~5重量%の(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、から構成され、すべてがそれぞれの半減期温度試験方法(後述)に従って測定されたときに、構成成分(C)が、110.0℃超の10時間半減期温度および/または130.0℃超の1時間半減期温度を有し、構成成分(B)が、110.0℃以下の10時間半減期温度および/または130.0℃以下の1時間半減期温度を有する、ポリオレフィン配合物。(A)~(C)の総重量%が100重量%未満である実施形態では、ポリオレフィン配合物は、後述する構成成分(D)~(I)などの少なくとも1つの添加剤をさらに含む。すべての態様において、ポリオレフィン配合物の総重量は100.00重量%である。ポリオレフィン配合物は、構成成分(A)以外のポリオレフィンを含まない場合がある。
【0016】
態様2.ポリオレフィン配合物であって、すべてがポリオレフィン配合物の総重量に基づいて、60~99.45重量パーセント(重量%)の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物であって、本質的に、エチレン系(コ)ポリマー、またはエチレン系(コ)ポリマーおよびポリプロピレンポリマー(50~100重量%、代替的に75~100重量%、代替的に95~100重量%のプロピレンコモノマー単位)の組み合わせからなり、但し、ポリプロピレンポリマーがポリオレフィン配合物の0~<40重量%であることを条件とする、60~99.45重量パーセント(重量%)の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物;0.05~2.0重量%の(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド;ならびに0.5~5重量%の(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、から構成され、半減期温度試験方法(後述)に従って測定されたときに、構成成分(C)が、構成成分(B)の10時間半減期温度よりも10℃超高い10時間半減期温度を有する、ポリオレフィン配合物。(A)~(C)の総重量%が100重量%未満である実施形態では、ポリオレフィン配合物は、後述する構成成分(D)~(I)などの少なくとも1つの添加剤をさらに含む。すべての態様において、ポリオレフィン配合物の総重量は100.00重量%である。ポリオレフィン配合物は、構成成分(A)以外のポリオレフィンを含まない場合がある。
【0017】
態様3.制約(i)(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの10時間半減期温度が、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの10時間半減期温度よりも少なくとも摂氏11度(℃)、代替的に少なくとも13℃、代替的に少なくとも15℃、代替的に少なくとも17℃、代替的に少なくとも20℃高いこと;(ii)(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの10時間半減期温度が、40℃~<110.0℃、代替的に60℃~109℃、代替的に80℃~109℃、代替的に85℃~105℃、代替的に90℃~100℃であること;(iii)(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの10時間半減期温度が、110.0℃超~150℃、代替的に111℃超~140℃、代替的に112℃超~130℃、代替的に115.0℃超~125℃、代替的に116℃超~120℃であること;(iv)(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの1時間半減期温度が、60℃~<130.0℃、代替的に90℃~129℃、代替的に110℃~120℃、代替的に111℃~119℃であること;(v)(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの1時間半減期温度が、130.0°C超~150°C、代替的に131℃超~140℃、代替的に132℃超~140℃、代替的に135.0℃超~139℃であること;(vi)(i)および(ii)の両方;(vii)(i)および(iii)の両方;(viii)(ii)および(iii)の両方;(ix)(i)および(iv)の両方;(x)(i)および(v)の両方;(xi)(iv)および(v)の両方;(xii)(i)~(iii)の各々;ならびに(xiii)(i)、(iv)、および(v)の各々、のいずれか1つによってさらに特徴付けられる、態様1または2に記載のポリオレフィン配合物。原則として、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの一実施形態は、40℃より低い10時間半減期温度を有し得、(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの一実施形態は、150℃より高い10時間半減期温度を有し得る。
【0018】
態様4.制約(i)0.1~1.5重量%の(B)、代替的に0.2~1.0重量%の(B);(ii)0.9~4.5重量%の(C)、代替的に1.0~3.0重量%の(C);(iii)(i)および(ii)の両方、のいずれか1つによってさらに特徴付けられる、態様1~3のいずれか1つに記載のポリオレフィン配合物。
【0019】
態様5.制約(i)エチレン系(コ)ポリマーが、ポリエチレンホモポリマーであること;(ii)エチレン系(コ)ポリマーが、50~99.0重量%のエチレンモノマー単位、および50~>0重量%の(C~C20)アルファ-オレフィン由来のコモノマー単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであること;(iii)エチレン系(コ)ポリマーが、51~99.0重量%のエチレンモノマー単位、および49~1.0重量%の不飽和カルボン酸エステルコモノマー単位を含む、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーであること;(iv)エチレン系(コ)ポリマー組成物が、本質的に、(i)~(iii)のいずれか1つのエチレン系(コ)ポリマーからなること;ならびに(v)エチレン系(コ)ポリマー組成物が、本質的に、(i)~(iii)のいずれか1つのエチレン系(コ)ポリマーおよびポリプロピレンポリマーの組み合わせからなること、のいずれか1つによって記載される態様1~4のいずれか一項に記載のポリオレフィン配合物。
【0020】
態様6.0.05~2.0重量%未満の(D)酸化防止剤;0.05~<2.0重量%の(E)アルケニル官能性助剤;0.05~<2.0重量%の(F)トリー遅延剤(例えば、水トリー遅延剤);0.05~<2.0重量%の(G)ヒンダードアミン安定剤;ならびに0.05~<10.0重量%の(H)焼成粘土充填剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含み、但し、ポリオレフィン配合物の総量が100重量%であることを条件とする、態様1~5のいずれか一項に記載のポリオレフィン配合物。いくつかの態様では、ポリオレフィン配合物は、ポリプロピレンポリマーを含まず、(D)酸化防止剤;(E)アルケニル官能性助剤;(F)トリー遅延剤;(G)ヒンダードアミン安定剤;および(H)焼成粘土充填剤をさらに含む。いくつかの態様では、ポリオレフィン配合物は、ポリプロピレンポリマーを含み、(D)酸化防止剤;(E)アルケニル官能性助剤;(F)トリー遅延剤;(G)ヒンダードアミン安定剤;および(H)焼成粘土充填剤をさらに含む。
【0021】
態様7.態様1~6のいずれか1つに記載のポリオレフィン配合物を作製する方法であって、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド、および(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、ならびに任意の添加剤を一緒に混合して、態様1~5および6のいずれか1つに記載のポリオレフィン配合物をそれぞれ作製することを含む、方法。
【0022】
態様8.態様1~6のいずれか1つに記載のポリオレフィン配合物を、ポリオレフィン配合物を完全に硬化させることなく、その溶融粘度を修飾するような方法で、化学的に修飾する方法であって、ポリオレフィン配合物を、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的で、かつ(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的ではない、温度で加熱し、それによって、すべてが(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることなく、またはポリオレフィン配合物もしくは中間組成物を完全に硬化させることなく、ポリオレフィン配合物のレオロジーを修飾して、ポリオレフィン配合物の溶融粘度より大きい溶融粘度を有する中間組成物を得るように、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることを含む、方法。
【0023】
態様9.態様1~6のいずれか1つに記載のポリオレフィン配合物を硬化させる方法であって、第1に、ポリオレフィン配合物を、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的で、かつ(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的ではない、第1の温度で加熱し、それによって、すべてが(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることなく、またはポリオレフィン配合物もしくは中間組成物を完全に硬化させることなく、ポリオレフィン配合物のレオロジーを修飾して、ポリオレフィン配合物の溶融粘度より大きい溶融粘度を有する中間組成物を得るように、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることと、第2に、中間組成物を、第2の温度よりも10.0℃超高く、(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的である、第2の温度で加熱し、それによって、(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させ、中間組成物を完全に硬化させるか、または実質的に架橋させて、架橋されたポリオレフィン生成物を得ることと、を含む、方法。硬化ステップは、(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるために、十分に長い時間、十分に高い温度(典型的には、150℃以上)加熱することを伴う。
【0024】
態様10.中間組成物を形状決めして、中間組成物から構成される形状決めされた形態を得ることを独立してさらに含む、態様8に記載の方法または態様9に記載の方法。形状決めステップは、態様9の第2の加熱ステップの前に行われる。いくつかの態様では、形状決めは、中間組成物の被覆、延伸、押出、成形、またはプレスを含み、それによって作製される形状決めされた形態は、被覆、延伸物品、押出物品、成形物品、またはプレス部品を含む。態様9の第2の加熱ステップにより、架橋ポリオレフィン生成物として、形状決めされた形態を得る。いくつかの態様では、ポリオレフィン配合物の構成成分(B)および(C)の各々の10時間および/または1時間半減期温度は、電力ケーブル用の導電性コア上の中間組成物の被覆の熱間押出に特に有用であるように選出され得る。電力ケーブル用のかかる被覆の熱間押出に使用される温度は、130℃~150℃であり得る。押出条件には、ダイの寸法と押出速度も含まれ得る。第2の加熱ステップは、CV管内で中間組成物を硬化させて被覆導体を得る前に、中間組成物の被覆のたるみなしに、行うことができる。
【0025】
態様11.態様9または10に記載の硬化する方法によって作製された、架橋ポリオレフィン生成物。
【0026】
態様12.態様11に記載の硬化方法によって調製された架橋ポリオレフィン生成物の形状決めされた形態を含む製造物品。いくつかの態様では、製造物品は、被覆、フィルム、シート、および射出成形物品から選択される。例えば、電力ケーブルの被覆、農業用フィルム、食品包装、ガーメントバッグ、食料品バッグ、重袋、工業用シート、パレットおよびシュリンクラップ、バッグ、バケツ、冷凍容器、蓋、およびおもちゃ。
【0027】
態様13.導電性コアと、導電性コアを少なくとも部分的に取り囲み、態様1~6のいずれか1つに記載のポリオレフィン配合物、態様8に記載の方法によって調製された中間組成物、または態様11に記載の架橋ポリオレフィン生成物を含む被覆層と、を含む被覆導体。被覆導体は、態様10の方法に記載の押出実施形態によって作製され得る。
【0028】
態様14.導電する方法であって、態様13に記載の被覆導体の導電性コアの両端に電圧を印加し、それによって、導電性コアを通る電気の流れを発生させることを含む、方法。
【0029】
任意の番号付けされた態様を、後述の実施例のいずれか1つの制約によって修正することができる。
【0030】
「助剤」という用語は、架橋を向上させる化合物、すなわち、硬化助剤を意味する。典型的な助剤は、それらのそれぞれの骨格または環の部分構造中に炭素原子を含有する、非環式または環式化合物である。したがって、従来の助剤の骨格または環の部分構造は、炭素に基づいている(炭素系部分構造)。
【0031】
「(コ)ポリマー」という用語は、「ホモポリマーまたはコポリマー」の縮合形態である。ホモポリマーは、1つのモノマーのみに由来するモノマー単位から構成された高分子であり、コモノマーではない。コポリマーは、モノマーを重合することによって作製されるモノマー単位と、1つ以上の異なるコモノマーを重合することによって作製される1つ以上の異なるタイプのコモノマー単位と、を有する高分子または高分子の集合体である。モノマーおよびコモノマーは重合性分子である。モノマー単位または「マー」とも呼ばれるモノマー単位は、単一のモノマー分子によって高分子(複数可)の構造に寄与される(由来する)最大の構成単位である。コモノマー単位または「コマー」とも呼ばれるコモノマー単位は、単一のコモノマー分子によって高分子(複数可)の構造に寄与される(由来する)最大の構成単位である。各単位は典型的には二価である。「バイポリマー」は、モノマーと1つのコモノマーとから作製されるコポリマーである。「ターポリマー」は、モノマーと2つの異なるコモノマーとから作製されるコポリマーである。エチレン系コポリマーは、モノマー単位がモノマーエチレン(CH=CH)に由来し、1分子当たり平均して、高分子の少なくとも50重量パーセントを占め、コモノマー単位が本明細書に記載される1つ以上のコモノマーに由来し、1分子当たり平均して、高分子の>0~最大で50重量パーセントを占めるようなコポリマーである。
【0032】
「硬化」および「架橋」という用語は、本明細書において互換的に使用され、架橋生成物(ネットワークポリマー)を形成することを意味する。
【0033】
「エチレン系(コ)ポリマー」という用語は、HC=CHに由来する50~100重量%の反復単位と、(C~C20)アルファ-オレフィン、酢酸ビニル、およびアクリル酸アルキルから選択されるそれぞれ50~0重量%の1つ以上のコモノマーと、を含有し、ポリプロピレンポリマーを含まない、高分子を意味する。エチレン系(コ)ポリマーは、100重量%のエチレンモノマー単位および0重量%のコモノマー単位を有するポリエチレンホモポリマー、または>50~<100重量%のエチレンモノマー単位および>0~<50重量%、代替的に1~<50重量%、代替的に5~<50重量%のコモノマー単位を有するエチレン/コモノマーコポリマーであり得る。
【0034】
「温度で分解する有機ペルオキシド」という表現を修飾する「より低い」および「より高い」という用語は、相互に関連している。
【0035】
「(メタ)アクリレート」という用語には、アクリレート、メタクリレート、およびそれらの組み合わせが含まれる。(メタ)アクリレートは、非置換であってもよい。
【0036】
上に記載されるように、溶融形態の中間組成物のレオロジーは、それが作製される溶融形態のポリオレフィン配合物のレオロジーと比較して修飾される。レオロジー修飾の相対的範囲は、動的振動せん断粘度試験方法および/または伸長粘度試験方法および/またはゼロせん断粘度試験方法によって特徴付けることができ、後述される。いくつかの態様では、特徴付けは、動的振動せん断粘度試験法および/またはゼロせん断粘度試験法、代替的に動的振動せん断粘度試験法ならびに135℃で測定されたそのV100および/またはV0.1/V100試験値による。比較の目的で、構成成分(A)、(B)、および(C)からなるポリオレフィン配合物の実施形態、およびそれから調製される中間組成物の実施形態の特徴付けを実施することができる。比較の目的で、構成成分(A)、(B)、および(C)からなるポリオレフィン配合物の実施形態を所与の溶融混合温度(例えば、135℃)で、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの半減期の少なくとも6倍(6x)以上に等しいと計算された期間にわたってレオロジー修飾に供した後、特徴付けを実施することができ、(レオロジー修飾を行うためではなく)期間を計算するために、その温度(例えば、135℃)で(B)の半減期をドデカン中で測定し、それによって、レオロジー修飾された中間組成物を得る。期間は、その温度でのドデカン中の(B)の半減期の少なくとも6x、代替的に少なくとも12倍(12x)、代替的に少なくとも18倍(18x)、ならびにその温度でのドデカン中の(B)の半減期の最大で60倍(60x)、代替的に最大で45倍(45x)、代替的に最大で30倍(30x)に等しくなるように計算することができる。
【0037】
中間組成物を得るためのポリオレフィン配合物の分子間に形成される熱的に不可逆的な結合の範囲は、架橋ポリオレフィン生成物を得るための中間組成物の分子間に形成される熱的に不可逆的な結合の範囲よりもある程度小さい。この差は、後述されるゲル含有率試験方法によって特徴付けることができる。概して、ゲル含有率が高いと、分子間に形成される熱的に不可逆的な結合の範囲は大きくなり、その逆も同様である。中間組成物は、0%~(<)40%未満、代替的に0%~<30%、代替的に0%~<20%、代替的に0%~<10%、代替的に0%~<5%、代替的に0%~<1%、代替的に(>)0%超~(<)40%未満、代替的に>0%~<30%、代替的に>0%~<20%、代替的に>0%~<10%、代替的に>0%~<5%、代替的に>0%~<1%のゲル含有率(不溶性画分)を有し得る。いくつかの態様では、中間組成物は、0%、代替的に0.01%、代替的に0.05%、代替的に0.1%の最小ゲル含有率を有し得る。架橋ポリオレフィン生成物は、(≧)40%以上~100%、代替的に≧50%~100%、代替的に≧60%~100%、代替的に≧70%~100%、代替的に≧40%~<100%、代替的に≧50%~<100%、代替的に≧60%~<100%、代替的に≧70%~<100%のゲル含有率(不溶性画分)を有し得る。いくつかの態様では、架橋ポリオレフィン生成物は、99%、代替的に95%、代替的に90%の最大のゲル含有率を有し得る。上記のゲル含有率は、ゲル含有率試験方法によって特徴付けられる。
【0038】
構成成分(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物:高分子が炭素原子から本質的になるか、もしくは炭素原子からなる骨格を有する、エチレンモノマーおよび任意選択的に1つ以上のオレフィン官能性コモノマーから作製された反復単位で構成される単相もしくは多相の、均一もしくは不均一な、連続相もしくは非連続相の架橋性高分子、または架橋する際にネットワーク構造を得るかかる架橋性高分子の集合体。(A)は、エチレン由来の反復単位を含有するポリエチレンホモポリマー、またはエチレン由来の反復単位と、エチレンとは異なるアルファ-オレフィンコモノマー由来の反復単位とを含有する、コポリマーとも称されるエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーであり得る。インターポリマーには、バイポリマー、ターポリマーなどが含まれる。
【0039】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、99~100重量%のエチレンモノマー単位を含有するポリエチレンホモポリマーであり得る。ポリエチレンホモポリマーは、配位重合によって作製された高密度ポリエチレン(HDPE)ホモポリマー、またはラジカル重合によって作製された低密度ポリエチレン(LDPE)ホモポリマーであり得る。
【0040】
代替的に、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、50~<100重量%のエチレンモノマー単位、および50~0重量%の(C~C20)アルファ-オレフィン由来のコモノマー単位を含有するエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり得る。(A)エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーのエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの実施形態は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、または高密度ポリエチレン(HDPE)であり得る。代替的に、ポリオレフィンポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)であり得る。インターポリマーの全重量に基づいて、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%のα-オレフィン含有量を有するエチレン/アルファ-オレフィン(「α-オレフィン」)インターポリマー。これらのインターポリマーは、インターポリマー全重量に基づいて、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、または35重量%未満のアルファ-オレフィン含有量を有し得る。例示的なエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、20~1重量%のジエンコモノマー単位を含有するエチレン/プロピレン、エチレン/1-ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン/ジエン、50~100重量%のエチレンモノマー単位、49~0重量%超のプロピレンコモノマー単位、および20~1重量%のジエンコモノマー単位を含有するエチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/1-ブテン、エチレン/1-ブテン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)である。エチレン/ジエンコポリマーまたはEPDM中のジエンコモノマー単位を作製するために使用されるジエンは、独立して、1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、またはそれらのいずれか2つ以上の組み合わせであり得る。
【0041】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物のエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの態様の(C~C20)アルファ-オレフィンコポリマーは、式(I):HC=C(H)-R(I)の化合物であり得、式中、Rは、直鎖(C~C18)アルキル基である。(C~C18)アルキル基は、1~18個の炭素原子を有する一価の非置換飽和炭化水素である。Rの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、およびオクタデシルである。いくつかの実施形態では、(C~C20)アルファ-オレフィンは、1-プロペン、1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテン、代替的に1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテン、代替的に1-ブテンまたは1-ヘキセン、代替的に、1-ブテンまたは1-オクテン、代替的に1-ヘキセンまたは1-オクテン、代替的に1-ブテン、代替的に1-ヘキセン、代替的に1-オクテン、代替的に1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンのうちの任意の2つの組み合わせである。代替的に、アルファ-オレフィンは、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンをもたらす、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環式構造を有し得る。(C~C20)アルファ-オレフィンは、エチレンモノマーとのコモノマーとして使用され得る。
【0042】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、本質的に、架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマー、または架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーとポリプロピレンポリマーとの組み合わせからなり得る。
【0043】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物のエチレン系(コ)ポリマーのコポリマーの実施形態の架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーの実施形態は、エチレンモノマーと少なくとも1つの不飽和カルボン酸エステルコモノマーとを共重合することによって作製される。各不飽和カルボン酸エステルコモノマーは独立して、水素原子および1分子当たり3~20個の炭素原子を有し得る、すなわち、(C~C20)不飽和カルボン酸エステルコモノマーであり得る。いくつかの態様では、不飽和カルボン酸エステルコモノマーは、(C~C)カルボン酸ビニルであり得、架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレン-(C~C)カルボン酸ビニルコポリマーであり、このコポリマーは、エチレン-(C~C)カルボン酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、代替的に>0~3.0重量%、代替的に>0~2.0重量%、代替的に0.5~2.0重量%の(C~C)カルボン酸ビニルコモノマー含有量を有し得る。いくつかの態様では、(C~C)カルボン酸ビニルは、2~8個の炭素原子、代替的に2~4個の炭素原子を有するカルボン酸陰イオンのビニルエステルである。(C~C)カルボン酸ビニルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、またはブタン酸ビニルなどの(C~C)カルボン酸ビニルであり得、架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレン-(C~C)カルボン酸ビニルバイポリマー、代替的にエチレン-酢酸ビニル(EVA)バイポリマー、代替的にエチレン-プロピオン酸ビニルバイポリマー、代替的にエチレン-ブタン酸ビニルバイポリマーであり得る。EVAバイポリマーは、本質的に、エチレン由来のモノマー単位および酢酸ビニル由来のコモノマー単位からなる。EVAバイポリマーの酢酸ビニルコモノマー単位含有量は、EVAバイポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、代替的に>0~3.0重量%、代替的に>0~2.0重量%、代替的に0.5~2.0重量%であり得る。重量%値は、EVAの1分子当たりの平均である。代替的にまたは加えて、(A)(例えば、EVAバイポリマー)は、ASTM D1238-04に従って測定された、2~60g/10分、代替的に5~40g/10分のメルトインデックス(190℃、2.16kg)を有し得る。
【0044】
いくつかの態様では、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物のエチレン系(コ)ポリマーのコポリマーの実施形態の架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーの実施形態を作製するために使用される不飽和カルボン酸エステルコモノマーは、(C~C)アルキル(メタ)アクリレートであり得、架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレン-(C~C)アルキル(メタ)アクリレートコポリマー(EAA)であり、このコポリマーは、エチレン-(C~C)アルキル(メタ)アクリレートコポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、代替的に>0~3.0重量%、代替的に>0~2.0重量%、代替的に0.5~2.0重量%の(C~C)アルキル(メタ)アクリレートコモノマー含有量を有し得る。いくつかの態様では、(C~C)アルキルは、(C~C)アルキル、(C~C)アルキル、または(C~C)アルキルであり得る。EAAは、本質的に、エチレン由来のモノマー単位、ならびにエチルアクリレートおよび/またはエチルメタクリレートコモノマー単位などの1つ以上の異なるタイプの(C~C)アルキル(メタ)アクリレート由来のコモノマー単位からなる。(C~C)アルキルは、メチル、エチル、1,1-ジメチルエチル、ブチル、または2-エチルヘキシルであり得る。(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレート、またはこれらの組み合わせであり得る。(C~C)アルキル(メタ)アクリレートは、エチルアクリレートであり得、EAAは、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)であり得、または(C~C)アルキル(メタ)アクリレートは、エチルメタクリレートであり得、EAAは、エチレン-エチルメタクリレートコポリマー(EEMA)であり得る。EEAまたはEEMAのエチルアクリレートまたはエチルメタクリレートコモノマー単位含有量は、それぞれ独立して、EEAまたはEEMAバイポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、代替的に>0~3.0重量%、代替的に>0~2.0重量%、代替的に0.5~2.0重量%であり得る。
【0045】
いくつかの態様では、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物のエチレン系(コ)ポリマーのコポリマーの実施形態を作製するために使用されるコモノマーは、Chaudharyに対するWO2016/200600 A1(2016年5月24日に出願されたPCT/US16/033879)の段落[0019]、またはMeverdenらに対するUS5,266,627の加水分解性シランモノマーなどのオレフィン官能性加水分解性シランをさらに含み得る。オレフィン官能性加水分解性シランは、(A)のエチレン系(コ)ポリマーのコポリマーの実施形態にグラフト化(反応器後)され得る。代替的に、オレフィン官能性加水分解性シランをエチレンおよびコモノマーと共重合させて、加水分解性シリル基を含有するエチレン系(コ)ポリマーのコポリマーの実施形態を直接作製することができる。いくつかの態様において、オレフィン官能性加水分解性シランは、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)、ビニルトリアセトキシシラン、またはガンマ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランであり、加水分解性シリル基は、2-トリメトキシシリルエチル、2-トリエトキシシリルエチル、2-トリアセトキシエチルで、または3-トリメトキシシリルプロピルオキシカルボニルエチルもしくは3-トリメトキシシリルプロピルオキシカルボニルプロピルである。
【0046】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、ポリプロピレンポリマーを含み得ない。代替的に、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、99~100重量%のプロピレンモノマー単位を含有するポリプロピレンホモポリマー;代替的に50~<100重量%のプロピレンモノマー単位および50~0重量%のエチレンコモノマー単位を含有するプロピレン/エチレンコポリマー;代替的に50~<100重量%のプロピレンモノマー単位、49~>0重量%のエチレン単位、および20~1重量%のジエンコモノマー単位を含有するプロピレン/エチレン/ジエン(EPDM)コポリマーをさらに含み得る。ジエンコモノマー単位を作製するために使用されるジエンは、1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、またはビニルノルボルネンであり得る。
【0047】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、2つ以上の異なるエチレン系(コ)ポリマーのブレンド、または2つ以上の異なる触媒との重合反応の反応器生成物であり得る。The Dow Chemical CompanyのELITE(商標)ポリマーなど、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、2つ以上の反応器で作製され得る。
【0048】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、その多くが当技術分野において周知である任意の好適なプロセスによって作製され得る。(A)を調製するために、ポリオレフィンポリマーを生成するための、任意の従来のまたは今後発見される生成プロセスを用いることができる。典型的には、生成プロセスは、1つ以上の重合反応を含む。例えば、エチレン系(コ)ポリマーは、高圧重合プロセスを使用して調製され得るLDPEであり得る。代替的に、エチレン系(コ)ポリマーは、チーグラ-ナッタ、酸化クロム、メタロセン、ポストメタロセン触媒などの1つ以上の重合触媒を使用して行われる配位重合プロセスを使用して調製され得る。好適な温度は、0℃~250℃、または30℃、または200℃である。好適な圧力は、大気圧(101kPa)~10,000気圧(約1,013メガパスカル(「MPa」))である。ほとんどの重合反応では、用いられる触媒対重合性オレフィン(モノマー/コモノマー)のモル比は、10-12:1~10-1:1、または10-9:1~10-5:1である。
【0049】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物のエチレン系(コ)ポリマーのコポリマーの実施形態の架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーの実施形態に好適な重合方法は、一般的によく知られている。架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレンと1つ以上の不飽和カルボン酸エステルコモノマーとを低圧または高圧(例えば、触媒なし)の反応器中で共重合させて、架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーを得ることによって作製することができる。代替的に、架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、架橋性エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーのグラフトコポリマー形態を作製するために、任意選択的に、ペルオキシドまたは触媒で開始または促進された、ポリエチレンと不飽和カルボン酸エステルなどのコモノマーとの反応押出など、反応器後グラフト化方法によって作製され得る。
【0050】
(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物は、バルク形態の顆粒またはペレットであり得る。ポリオレフィン配合物中の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物の量は、ポリオレフィン配合物の総重量に基づいて、60~99.45重量%、代替的に75~99.45重量%、代替的に80~99.00重量%、代替的に85~99.00重量%、代替的に90~98重量%であり得る。
【0051】
構成成分(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドおよび構成成分(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドは独立して、式R-O-O-Rのモノペルオキシドまたは式R-O-O-R-O-O-Rのジペルオキシドであり得、式中、各Rは、(C~C20)アルキル基、(C~C20)アルキル-C(=O)-基、(C~C20)アルキル-O-C(=O)-基、または(C~C10)アリール基であり、Rは、(C~C10)アルキレン、-C(=O)-(C~C10)アルキレン、-C(=O)-(C~C10)アルキレン-C(=O)-、(C~C)シクロアルキレン、またはフェニレンである二価の基であり;但し(a)または(b)であることを条件とし:条件(a)は、構成成分(B)が-OOH基を含まず、110.0℃以下の10時間半減期温度および/または130.0℃以下の1時間半減期温度を有し、構成成分(C)が-OOH基を含まず、110.0℃超の10時間半減期温度および/または130.0℃超の1時間半減期温度を有すること;または条件(b)は、構成成分(C)が構成成分(B)の10時間半減期温度よりも10℃超高い10時間半減期温度を有することである;半減期温度は、後述の半減期温度試験に従って測定される。
【0052】
いくつかの態様では、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドは、110.0℃以下の10時間半減期温度、または130.0°以下の1時間半減期温度を有する。いくつかの態様では、(B)は、110.0°C以下の10時間半減期温度と130.0°C以下の1時間半減期温度とを有する。いくつかの態様では、(B)は、(名前および[CAS番号]):ジイソブチリルペルオキシド[3437-84-1];クミルペルオキシネオデカノエート[26748-47-0];ジ(3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート[52238-68-3];1,1,3,3-テトラメトキシブチルペルオキシネオデカノエート[51240-95-0];クミルペルオキシネオヘプタノエート[130097-36-8];tert-アミルペルオキシネオデカノエート[68299-16-1];ペルオキシジカーボネート[78350-78-4,19910-65-7、および105-65-6]の混合物;ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート[19910-65-7];ジイソプロピルペルオキシジカーボネート[105-64-6];ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート[15520-11-3];ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート[16111-62-9];tert-ブチルペルオキシネオデカノエート[26748-41-4];ジブチルペルオキシジカーボネート[16215-49-9];ジセチルペルオキシジカーボネート[26322-14-5];ジミリステルペルオキシジカーボネート[53220-22-7];1,1,3,3-テトラメトキシブチルペルオキシピバレート[22288-41-1];tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート[26748-38-9];tert-アミルペルオキシピバレート[29240-17-3];tert-ブチルペルオキシピバレート[927-07-1];ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド[3851-87-4];ジラウロイルペルオキシド[105-74-8];ジデカノイルペルオキシド[762-12-9];1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート[22288-43-3];tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート[686-31-7];ジベンゾイルペルオキシド[94-36-0];tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート[3006-82-4];tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート[2550-33-6];tert-ブチルペルオキシイソブチレート[109-13-7];tert-アミルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート[70833-40-8];tert-アミルペルオキシアセテート[690-83-5];tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリエチルヘキサノエート[13122-18-4];tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート[2372-21-6];tert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート[34443-12-4];tert-アミルペルオキシベンゾエート[4511-39-1];tert-ブチルペルオキチアセテート[107-71-1];tert-ブチルペルオキシベンゾエート[614-45-9];またはそれらのいずれか2つの組み合わせである、モノペルオキシドである。いくつかの態様では、(B)は、(名前および[CAS番号]):2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン[13052-09-0];1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン[6731-36-8];1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン[15667-10-4];1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン[3006-86-8];2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン[2167-23-9];4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレラート[995-33-5];またはそれらのいずれか2つの組み合わせである、ジペルオキシドである。いくつかの態様では、(B)は、前述のモノペルオキシドのいずれか1つと前述のジペルオキシドのいずれか1つとの組み合わせである。前述の(B)は(例えば、AkzoNobelおよび/またはGelest Inc.から)市販されている。
【0053】
いくつかの態様では、(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドは、110.0℃超の10時間半減期温度、または130.0℃超の1時間半減期温度を有する。いくつかの態様では、(C)より高い温度で分解するペルオキシドは、110.0℃超の10時間半減期温度と130.0℃超の1時間半減期温度とを有する。いくつかの態様では、(C)は、(名前および[CAS番号]):ジクミルペルオキシド[80-43-3];tert-ブチルクミルペルオキシド[3457-61-2];ジ-tert-ブチルペルオキシド[110-05-4];3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン[215877-64-8];またはそれらのいずれか2つの組み合わせである、モノペルオキシドである。いくつかの態様では、(C)は、(名前および[CAS番号]):ジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン[25155-25-3](単一位置異性体または2つもしくは3つの位置異性体の混合物);2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン[78-63-7];2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3[1068-27-5];3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリミチル-1,4,7-トリペルオキソン[24748-23-0];またはその任意の2つの組み合わせである、ジペルオキシドである。いくつかの態様では、(C)は、前述のモノペルオキシドのいずれか1つと前述のジペルオキシドのいずれか1つとの組み合わせである。前述の(C)は(例えば、AkzoNobelおよび/またはGelest Inc.から)市販されている。
【0054】
任意選択的な構成成分(D)酸化防止剤:酸化を阻害する有機分子、またはかかる分子の集合体。(D)酸化防止剤は、ポリオレフィン組成物および/または架橋ポリオレフィン生成物に酸化防止特性を提供するように機能する。好適な(D)の例としては、ビス(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル)アミン(例えば、NAUGARD445)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)(例えば、VANOX MBPC)、2,2’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール(CAS番号90-66-4、4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)(4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾールとしても既知である)、CAS番号96-69-5、市販のLOWINOX TBM-6)、2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール(CAS番号90-66-4、市販のLOWINOX TBP-6)、トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4、6-トリオン(例えば、CYANOX 1790)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(例えば、IRGANOX 1010、CAS番号6683-19-8)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸2,2’-チオジエタンジイルエステル(例えば、IRGANOX 1035、CAS番号41484-35-9)、ジステアリルチオジプロピオネート(「DSTDP」)、ジラウリルチオジプロピオネート(例えば、IRGANOX PS800)、ステアリル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、IRGANOX 1076)、2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェニル(IRGANOX 1726)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(例えば、IRGANOX 1520)、および2’,3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド(IRGANOX 1024)が挙げられる。いくつかの態様では、(D)は、4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)(4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)としても既知である、2,2’-チオビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール、トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、ジステアリルチオジプロピオネート、またはジラウリルチオジプロピオネート、またはそれらのいずれか2つ以上の組み合わせである。組み合わせは、トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオンとジステアリルチオジプロピオネートであってもよい。いくつかの態様では、ポリオレフィン配合物および架橋ポリオレフィン生成物は、(D)酸化防止剤を含まない。存在する場合、(D)酸化防止剤は、ポリオレフィン配合物の0.01~1.5重量%、代替的に0.05~1.2重量%、代替的に0.1~1.0重量%であり得る。
【0055】
任意選択的な構成成分(E)アルケニル官能性助剤:骨格または環の部分構造、それに結合した2つ以上のプロペニル、アクリレート、および/またはビニル基を含有する分子であって、部分構造が、炭素原子、および任意選択的に、窒素原子から構成される、分子、またはかかる分子の集合体。(E)アルケニル官能性助剤は、ケイ素原子を含み得ない。(E)アルケニル官能性助剤は、制約(i)~(v):(i)(E)が、2-アリルフェニルアリルエーテル、4-イソプロペニル-2,6-ジメチルフェニルアリルエーテル、2,6-ジメチル-4-アリルフェニルアリルエーテル、2-メトキシ-4-アリルフェニルアリルエーテル、2,2’-ジアリルビスフェノールA、O,O’-ジアリルビスフェノールA、またはテトラメチルジアリルビスフェノールAであること;(ii)(E)が、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテンまたは1,3-ジイソプロペニルベンゼンであること;(iii)(E)が、トリアリルイソシアヌレート(「TAIC」)、トリアリルシアヌレート(「TAC」)、トリアリルトリメリテート(「TATM」)、N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン(「HATATA」、N,N,N,N,N,N-ヘキサアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミンとしても既知である)、オルトギ酸トリアリル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、クエン酸トリアリル、またはアコニチン酸トリアリルであること;(iv)(E)が、(i)のプロペニル官能性助剤のうちのいずれか2つの混合物であること、のいずれか1つによって説明されるような、プロペニル官能性助剤であり得る。代替的に、(E)は、トリメチロールプロパントリアクリレート(「TMPTA」)、トリメチロールプロパントリメチルアクリレート(「TMPTMA」)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、およびプロポキシ化グリセリルトリアクリレートから選択されるアクリレート官能性の従来の助剤であり得る。代替的に、(E)は、少なくとも50重量%の1,2-ビニル含有量を有するポリブタジエンおよびトリビニルシクロヘキサン(「TVCH」)から選択されるビニル官能性助剤であり得る。代替的に、(E)は、US5,346,961またはUS4,018,852に記載されているアルケニル官能性助剤であり得る。代替的に、(E)は、アルファ-メチルスチレンダイマー(AMSD)であり得る。代替的に、(E)は、前述のアルケニル官能性助剤のうちの組み合わせまたは任意の2つ以上であり得る。いくつかの態様では、ポリオレフィン配合物および架橋ポリオレフィン生成物は、(E)アルケニル官能性助剤を含まない。存在する場合、(E)アルケニル官能性助剤は、ポリオレフィン配合物の0.01~4.5重量%、代替的に0.05~2重量%、代替的に0.1~1重量%、代替的に0.2~0.5重量%であり得る。
【0056】
任意選択的な構成成分(F)トリー遅延剤(例えば、水トリー遅延剤):水および/または電気トリーイングを阻害する分子、またはかかる分子の集合体。トリー遅延剤は、水トリー遅延剤または電気トリー遅延剤であり得る。水トリー遅延剤は、電界と湿気または水分との複合効果にさらされるとポリオレフィンを劣化させるプロセスである、水トリーイングを阻害する化合物である。電圧安定剤とも呼ばれる電気トリー遅延剤は、部分的な放電に起因する固体電気絶縁における電気的前駆破壊プロセスである、電気トリーイングを阻害する化合物である。電気トリーイングは、水がない場合に発生し得る。水トリーイングおよび電気トリーイングは、被覆がポリオレフィンを含有する、被覆導体を含有する電気ケーブルについての問題である。(F)は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)であり得る。いくつかの態様では、ポリオレフィン組成物および架橋ポリオレフィン生成物は、(F)トリー遅延剤を含まない。存在する場合、(F)トリー遅延剤は、ポリオレフィン組成物の0.01~1.5重量%、代替的に0.05~1.2重量%、代替的に0.1~1.0重量%であり得る。
【0057】
任意選択的な構成成分(G)ヒンダードアミン安定剤:少なくとも1つの立体的にかさ高い有機基に結合し、劣化または分解の阻害剤として機能する塩基性窒素原子を含有する分子、またはかかる分子の集合体。(G)は、立体障害のあるアミノ官能基を有し、酸化的劣化を阻害し、ポリオレフィン組成物の保存期間を増加することもできる化合物である。好適な(G)の例としては、ブタン二酸ジメチルエステル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-エタノール(CAS番号65447-77-0、市販のLOWILITE 62)を含むポリマー、およびN,N’-ビスホルミル-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサメチレンジアミン(CAS番号124172-53-8、市販のUvinul 4050 H)が挙げられる。いくつかの態様では、ポリオレフィン組成物および架橋ポリオレフィン生成物は、(G)ヒンダードアミン安定剤を含まない。存在する場合、(G)ヒンダードアミン安定剤は、ポリオレフィン組成物の、0.001~1.5重量%、代替的に0.002~1.2重量%、代替的に0.002~1.0重量%、代替的に0.005~0.5重量%、代替的に0.01~0.2重量%、代替的に0.05~0.1重量%であり得る。
【0058】
任意選択的な構成成分(H)焼成粘土充填剤は、焼成アルミニウムフィロシリケートを得るために、含水アルミニウムフィロシリケートを加熱して、含水アルミニウムフィロシリケートを乾燥させる(すなわち、水を追い出す)ことによって作製された処理された鉱物である。処理された鉱物は、焼成アルミニウムフィロシリケート、および任意選択的に、鉄、マグネシウム、アルカリ金属、およびアルカリ土類から選択される追加の元素を含まないか、それらのうちの1種以上を含み得る。(H)焼成粘土は、焼成カオリン鉱物、焼成スメクタイト鉱物、焼成イライト鉱物、焼成クロライト鉱物、焼成セピオライト鉱物、または焼成アタパルガイト鉱物であり得る。焼成カオリン鉱物は、焼成カオリナイト、焼成ダイカイト、焼成ハロイサイト、または焼成ナクライトであり得る。焼成スメクタイト鉱物は、焼成モンモリロナイト、焼成ノントロナイト、焼成バイデライト、または焼成サポナイトであり得る。焼成イライト鉱物は、焼成粘土雲母であり得る。(H)焼成粘土は、焼成モンモリロナイト、焼成ノントロナイト、焼成バイデライト、焼成ボルコンスコイト、焼成ヘクトライト、焼成サポナイト、焼成ソーコナイト;焼成バーミキュライト;焼成ハロイサイト;焼成セリサイト;またはそれらのいずれか2つ以上の組み合わせであり得る。いくつかの態様では、焼成粘土は、焼成モンモリロナイト、またはBASFのTranslink 37などの焼成カオリン鉱物である。いくつかの態様では、ポリオレフィン配合物および架橋ポリオレフィン生成物は、(H)焼成粘土を含まない。(H)焼成粘土は、存在する場合、すべてがポリオレフィン配合物の総重量に基づいて、>0~39.45重量%、代替的に>0~33重量%、代替的に>0~25.0重量%、代替的に0.1~20重量%の量、代替的に3~10重量%の量で存在し得る。
【0059】
加えて、ポリオレフィン配合物は、酸捕捉剤、カーボンブラック、担体樹脂、着色剤、エキステンダー油、難燃剤、潤滑剤、金属不活性化剤、メチルラジカル捕捉剤、核剤、可塑剤、加工助剤、スコーチ遅延剤、スリップ剤、および界面活性剤から選択される1つ以上の任意選択的な添加剤の各々を0.005~1重量%、代替的に0.005~0.5重量%さらに含み得る。いくつかの態様では、ポリオレフィン配合物および架橋ポリオレフィン生成物は、直前の添加剤のいずれも含まない。
【0060】
架橋ポリオレフィン生成物:ポリオレフィン配合物の硬化中に形成されるC-C結合架橋を含有する、ネットワーク状のポリオレフィン樹脂を含有する反応生成物。ネットワーク状のポリエチレン樹脂は、ネットワーク構造を得るための(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物の高分子のカップリングの反応生成物を含み得る。
【0061】
架橋ポリオレフィン生成物はまた、それぞれ(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドおよび/または(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの分解または反応のアルコール副生成物などの硬化副生成物を含み得る。ポリオレフィン配合物が、(D)酸化防止剤などの任意選択的な添加剤または構成成分のうちのいずれか1つ以上をさらに含有するとき、架橋ポリオレフィン生成物はまた、(D)などの任意選択的な添加剤または構成成分のうちのいずれか1つ以上、またはポリオレフィン配合物の硬化中にポリオレフィン配合物から形成される1つ以上の反応生成物を含有し得る。架橋ポリオレフィン生成物は、分割固体形態または連続形態であり得る。分割固体形態は、顆粒、ペレット、粉末、またはそれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含み得る。連続形態は、成形部品(例えば、射出成形部品)または押出成形部品(例えば、被覆導体またはケーブル)であり得る。
【0062】
化合物は、そのすべての同位体および天然の存在量ならびに同位体濃縮形態を含む。濃縮形態は、医学的用途または偽造防止用途を有し得る。
【0063】
本明細書の化合物、組成物、配合物、混合物、または生成物のいずれも、H、Li、Be、B、C、N、O、F、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、ランタノイド、およびアクチノイドから選出される化学元素のいずれも含まない場合があるが、但し、化合物、組成物、配合物、混合物、または反応生成物に必要な化学元素(例えば、ポリエチレンに必要なCおよびH、またはアルコールに必要なC、H、およびO)は除外されない。
【0064】
特に示されない限り、以下を適用する。代替的に、異なる実施形態に先行する。ASTMは、ASTM International(West Conshohocken,Pennsylvania,USA)である。IECは、国際電気標準会議(Geneva,Switzerland)である。ISOは、国際標準化機構(Geneva,Switzerland)である。いずれの比較実施例も例示目的でのみ使用されており、先行技術とはみなされない。含まないまたは欠いているは、完全に存在しないこと、代替として検出不可能であることを意味する。IUPACは、国際純正応用化学連合(IUPAC Secretariat,Research Triangle Park,North Carolina,USA)である。必須ではなく、選択の許容を与えることができる。操作可能とは、機能的に可能または効果的であることを意味する。任意選択的な(任意選択的に)とは、存在しない(含まれない)、または代替的に存在する(含まれる)ことを意味する。PPMは、重量ベースである。特性は、標準試験方法およびそれらのための条件(例えば、粘度:23℃および101.3kPa)を使用して測定される。範囲は、端点、部分範囲、およびその中に包含される整数値および/または小数値を含むが、整数の範囲が小数値を含まない場合を除く。室温:23℃±1℃。
【0065】
AC絶縁破壊(ACBD)強度試験方法(架橋後、非時効状態の、または時効状態のACBD(kV/mm)):AC誘電体強度としても知られている。以下に記載される圧縮成形方法2を使用して、公称0.90mm(35ミル)の厚さの硬化(架橋)圧縮成形プラークとして試験用試験片を調製する。試験片を、0.01モル(M)の塩化ナトリウム水溶液で充填されたガラス製U字管中で、6キロボルト(kV)で21日間時効させて、時効状態の試験片を得る。Exxon Univolt N61変圧器油を使用して、Brinkman AC誘電体強度試験機で、非時効状態のまたは時効状態の試験片のACBD強度を試験する。
【0066】
圧縮成形方法1:(溶融レオロジー測定用の試験試料を調製するために使用される)。ペルオキシドのうちの1種以上の分解に起因する有意な架橋を防止するための次の条件で圧縮成形される:120℃で3分間の500ポンド/平方インチ(psi)(3.5MPa)、次いで120℃で3分間の2500psi、30℃で2500psi(17MPa)での冷却、そして圧力を開放して得られた成形プラークを除去。
【0067】
圧縮成形方法2:(電気および機械的測定用の試験試料を調製するために使用される)。異なる寸法の完全に硬化(架橋)された試験片を作製するための次の条件で圧縮成形される:125℃で3分間の500psi(3.5MPa)、次いで180℃で20分間の2500psi(17MPa)、30℃で2500psi(17MPa)での冷却、そして圧力を開放して得られた成形プラークを除去。
【0068】
密度は、ASTM D792-13、変位によるプラスチックの密度および比重(相対密度)のための標準試験方法、方法B(水以外の液体中、例えば、液体2-プロパノール中の固体プラスチックを試験するための)に従って測定される。試験試料は、シートまたは成形された試験片の形態の非時効状態の固体である。結果は、立方センチメートル当たりのグラム単位(g/cmまたはg/cc)で報告する。
【0069】
誘電率および散逸率の試験方法(2kV、130℃、架橋後60Hzでの散逸率(%))。ASTM D150-11,Standard Test Methods for AC Loss Characteristics and Permitivity(Dielectric Constant)of Solid Electrical Insulationに従って、60Hzで、GUILDLINE High Voltage Capacitance Bridgeユニット、TETTEX試験片ホルダー付きモデル9920A、およびTETTEX AG Instruments Temperature Control Unitで試験を行う。試験片は、圧縮成形方法2で調製された、硬化(架橋)された1.3mm(50ミル)の厚さの圧縮成形プラークである。プラークを60℃の真空オーブン内で5日間脱気する。圧縮成形および脱気されたプラークから直径88.9ミリメートル(mm、3.5インチ)の円形のディスク状の試験片を切り取り、試験片を25℃、40℃、90℃、および130℃の温度で60ヘルツ(Hz)および2kVの応力で試験する。
【0070】
動的振動せん断粘度試験方法(135℃でのV0.1/V100、および135℃でのV100(Pa.s))は、絶縁層押出条件の代表的な135℃の温度および0.25%のひずみで、TA Instruments Advanced Rheometric Expansion Systemを使用して、0.1ラジアン/秒(rad/秒、「V0.1」)~100rad/秒(「V100」)の範囲にわたり行われる。V0.1およびV100は、それぞれ0.1rad/秒および100rad/秒での粘度であり、比V0.1/V100は、せん断減粘特徴の尺度である。パスカル秒(Pa.s)で粘度を測定した。試験用試験片は、圧縮成形方法1によって調製された非時効状態の圧縮成形プラークから取得される。
【0071】
伸長粘度試験方法(135℃または150℃、1/秒、0.2、0.5、または1のHenckyひずみでの伸長粘度(Pa.s);135℃または150℃、1/秒での最大伸長粘度(Pa.s);および135℃または150℃、1/秒での最大伸長粘度に対応するヘンキーひずみ)は、伸長粘度取り付け形態およびTA Orchestratorソフトウェアを備えたARES FCUレオメーターを使用して測定される。135℃または150℃で1/秒の速度で試験を行って、押出条件をシミュレートする。得られた最大粘度値(ピーク)、得られた最大ヘンキーひずみ、0.2、0.5、および1のヘンキーひずみでの粘度を報告する。試験用試験片は、圧縮成形方法1によって調製された非時効状態の圧縮成形プラークから取得される。ポアズで測定し、100,000ポワズ=10.0kPa.sで、キロパスカル秒(kPa.s)に変換した。
【0072】
ゲル含有量試験方法:ASTM D2765に従って、デカヒドロナフタレン(デカリン)でポリマーを抽出することによって、架橋によりエチレンプラスチック中で生成されるゲル含有量(不溶性画分)を決定する。これは、架橋の程度または範囲を測定する1つの方法である。182℃で以下のMDR実験で得られた試験片に対する試験を行う。WILEYミル(20メッシュスクリーン)を使用して、粉末試料を、各試料につき少なくとも1グラムの材料で調製する。120メッシュスクリーンからポーチを作製する。ポーチを慎重に製造して、そこから粉末試料が漏れることを回避する。完成したポーチの幅は1.90センチ(cm、0.75インチ)以下であり、長さは5.08cm(2インチ)以下である。空のポーチを分析天びんで計量する。0.3グラム(+/-0.02g)の粉末試料をポーチに留置する。ポーチ内の折り目を無理に開放してはならない。ポーチ+試料を計量する。ポーチをステープルで密封し、密封されたポーチを内側の試料およびステープルと共に計量する。密封したポーチを、1リットル(L)の沸騰しているデカヒドロナフタレン(デカリン)と10グラムの2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-第三級ブチルフェノール)とを含有するフラスコ内に留置する。加熱されたマントル内のフラスコ中で6時間沸騰させ、電圧レギュレーターをオフにし、(デカリン)がその引火点を下回って冷却するまで冷却水を流し続ける。デカリンが冷却したら、冷却水を止め、フラスコからポーチを除去する。ポーチをフードの下で冷却させて、できるだけ多くの溶媒を除去する。次いで、ポーチを150℃に設定された真空オーブン内に4時間留置し、25インチ(635mm)の水銀の真空を維持する。ポーチをオーブンから取り出し、室温まで冷却させる。分析天びん上の、冷却されたポーチ+残りの試料+ステープルの重量を記録する。式%抽出=100×(W3-W4)/(W2-W1)を使用して、パーセント抽出(%抽出)を計算する。式中、xは、乗算を示し、/は、除算を示し、W1は、空のポーチの重量であり、W2は、ポーチ+ステープル留め前の試料の重量であり、W3は、試料、ポーチ、およびステープルの重量であり、W4は、ポーチ、ステープル、および抽出後の残りの試料の重量である。ゲル含有量=100%-%抽出。
【0073】
半減期温度試験方法:示差走査熱量測定-熱活性モニタリング(DSC-TAM)による有機ペルオキシドの分解熱流束のモニタリングにより、ドデカン中0.1モル(M)の濃度の有機ペルオキシドの溶液で測定され、純粋なドデカンの熱流束と比較される。溶液から放出される熱は、有機ペルオキシドの濃度[P]に直接関係する。1時間半減期温度は、その温度で60分(60.0分)加熱した後、有機ペルオキシドの50パーセント(50.0パーセント)が分解する熱エネルギーの尺度である。10時間半減期温度は、その温度で600分(600.0分)加熱した後、有機ペルオキシドの50パーセント(50.0パーセント)が分解する熱エネルギーの尺度である。1時間半減期温度は、10時間半減期温度よりも高い。有機ペルオキシドの1時間または10時間の半減期温度が高いほど、試験方法におけるペルオキシドの安定性は高くなり、ポリオレフィン配合物における有機ペルオキシドの安定性は高くなる。
【0074】
ホットクリープ伸び率およびホットセット試験方法(200°Cでのホットクリープ、架橋後0.2MPa(%)):ホットクリープ伸び率を測定して、硬化(架橋)の程度または範囲を決定し、ホットセットを使用して、ホットクリープ伸び後の試料緩和を測定する。試験は電力ケーブル絶縁材料のICEA-T-28-562-2003試験方法に基づく。圧縮成形方法2で調製された1.3ミリメートル(mm、50ミル)の厚さの試験片に対して、試験片の底部に加えられる0.2メガパスカル(MPa)の力を使用して、ガラスドアを有し、150℃または200℃に設定されたオーブン内で、ホットクリープを実行する。ASTM D412タイプDに従って作製された引張棒から各試料材料の3つの試験片を切り取る。試験片を15分間伸ばし、長さの増加率を測定する。3つの値の平均をホットクリープとして報告する。加熱下で5分間負荷を除去し、10分間室温で試験片を冷却した後、同じ試験片のホットセット値を取得する。破壊されるか、または>175%のホットクリープを有する試料は、試験に失敗する。破壊されず、かつ<175%のホットクリープを有する試料は、試験に合格する。
【0075】
メルトインデックス(I)は、ASTM D1238-04(190℃、2.16kg)、押出プラトメーターによる熱可塑性樹脂のメルトフローレートの標準試験方法に従って、以前は「条件E」として既知であり、またIとしても既知である190℃/2.16キログラム(kg)の条件を使用して測定される。結果を、10分当たりの溶出したグラム単位(g/10分)または1.0分当たりのデシグラム(dg/1分)で報告する。10.0dg=1.00g。測定されたIは、ポリマーが2.16キログラム(kg)の力を受ける10分の間、内径2.0955ミリメートル(0.0825インチ)の押出レオメーターオリフィスを通して力を受け得る190℃でのポリオレフィンポリマー(例えば、ポリエチレン)の量である。Iは、ポリオレフィンポリマーの重量平均分子量(M)に反比例するが、反比例は、必ずしも線形ではない。したがって、概して、Mが高いほど、Iは低くなる。
【0076】
スコーチ時間および最終的な架橋試験方法(MDR:ts1、140℃(分));およびMH-ML(N-m)はそれぞれ、Alpha Technologies Rheometer MDRモデル2000を使用して、試験材料のムービングダイレオメーター(MDR)分析を実施する。試験は、ASTMの手順D 5289、「Standard Test Method for Rubber-Property Vulcanization Using Rotorless Cure Meters」に基づく。6グラムの試験材料を使用してMDR分析を実施する。両方の温度条件について、0.5度のアーク振動で182℃または140℃で材料を試験する。コールドプレス後、BRABENDER(商標)混合ボウルから直接試験するための材料を取得する。試験材料をMDR機器に入れる。弾性トルクは、それぞれ、140℃で0(開始)~120分の時間、または182℃で0(開始)~20分の時間の関数として測定し、弾性トルク曲線対時間をプロットした。ts1(140℃での最小値(ML)からの弾性トルクの0.113ニュートンメートル(N-m)増加の時間)により、スコーチまでの時間とも称されるスコーチ時間または押出条件での早期架橋に対する抵抗を評価する。スコーチ時間をts1@140℃と略す。最終的な架橋の程度は、182℃でのMH(最大弾性トルク)-ML(最小弾性トルク)に反映される。
【0077】
ショアAおよびショアD硬度試験方法:6.4mm(250ミル)の厚さ、51mmの直径を有する架橋試験片を調製し、ASTM D2240-15,Standard Test Method for Rubber Property-Durometer Hardnessを使用して試験する。5つの測定値の平均を報告する。試験用試験片は、圧縮成形方法2によって調製された非時効状態の圧縮成形プラークである。
【0078】
引張強度、引張伸び率、引張係数、および引張割線係数試験方法。圧縮成形方法2で調製したプラークから切り取った、公称1.78mm(70ミル)の厚さを有するタイプIVドッグボーン形状の試験片として、試験用試験片を調製する。成形後に23℃に維持された非時効状態の架橋ポリオレフィン生成物試験片、およびType II ASTM D5423-93 Testing Mechanical Convection Ovenを使用して、136°Cのオーブン内で最大7日間時効された、時効状態の架橋ポリオレフィン生成物試験片の引張特性を測定する。ASTM D638-10,Standard Test Method for Tensile Properties of Plastics、UL 1581,Reference Standard for Electrical Wires,Cables,and Flexible Cords、およびUL 2556,Wire and Cable Test Methodsに従って、1分当たり50.8cm(20インチ)の変位速度で引張測定を行う。5つの測定値の平均を報告する。
【0079】
ゼロせん断粘度(135℃(Pa.s)でのゼロせん断粘度)は、動的振動せん断粘度試験方法から推定されるか、またはSR-200、25.0パスカル、3分のクリープ、15分の回復、135℃を使用するクリープ回復から測定される。試験用試験片は、圧縮成形方法1によって調製された非時効状態の圧縮成形プラークである。
【実施例
【0080】
エチレン系(コ)ポリマー(A1):0.922g/cmの密度と、1.8g/10分(190℃、2.16kg)のメルトインデックス(I)と、を有し、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)より取得される、高圧反応器製の低密度ポリエチレン(LDPE)生成物。エチレン系(コ)ポリマー(A1)は、Introduction to Polymer Chemistry,Stille,Wiley and Sons,New York,1962、149~151頁に記載されるタイプの管状高圧反応器およびプロセスで作製される。プロセスは、フリーラジカルで開始され、170~310メガパスカル(MPa、すなわち平方インチ当たり25,000~45,000ポンド(psi))の圧力、および200℃~350℃の温度で行われる。
【0081】
エチレン系(コ)ポリマー(A2):0.870g/cmの密度と、4.8g/10分(190℃、2.16kg)のメルトインデックス(I)と、を有し、The Dow Chemical Companyより取得した、分子触媒製のエチレン/1-オクテンエラストマーコポリマー開発製品番号XUS 38660.00。
【0082】
エチレン系(コ)ポリマー(A3):0.880g/cmの密度と、18g/10分(190℃、2.16kg)のメルトインデックス(I2)と、を有し、The Dow Chemical Companyから取得した、分子触媒製のエチレン/1-オクテンエラストマーコポリマー開発製品番号XUS 38661.00。
【0083】
より低い温度で分解する有機ペルオキシド(B1):114.9℃の1時間半減期温度と、96.4℃の10時間半減期温度と、を有し、ArkemaからLuperox 231として取得した、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン。
【0084】
より高い温度で分解する有機ペルオキシド(C1):137.0℃の1時間半減期温度と、117.1℃の10時間半減期温度と、を有し、AkzoNobelからPerkadox BC-FFとして取得した、ジクミルペルオキシド。
【0085】
酸化防止剤(D1):AddivantからLowinox TBM-6として取得した、4,4’-チオビス(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)。
【0086】
アルケニル官能性助剤(E1):NOF America CorporationからNofmer MSDとして取得した、アルファ-メチルスチレンダイマー。
【0087】
遅延剤(F1):20,000グラム/モルの平均分子量を有し、ClariantからPolyglykol 20000 SRUとして取得した、ポリエチレングリコール。
【0088】
ヒンダードアミン安定剤(G1):SABO S.p.A.(Levate、Italy)からSabostab UV 119として取得した、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2’’-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N’,N’’-ジブチル-N’,N’’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-(主成分)。
【0089】
一般的な調製1:(C1)を60℃に加熱して溶融する。液体(B1)を(C1)の溶融物と共に混合して、ペルオキシド混合物を得る。(E1)をペルオキシドまたはペルオキシド混合物に、ペルオキシド/(E1)の5:1の重量/重量比で添加して、(B1)、(C1)、および(E1)を含む第2の混合物を得る。固形物(A2)、(D1)、(F1)、および(G1)を容器内で、手で別々に混合して、固形混合物を得る。カムローターを備えた420mLのBrabenderバッチミキサー内で、固体混合物を190℃および毎分40回転(rpm)で5分間配合してブレンドを得る。ブレンドをコールドプレスして薄い薄シートにし、シートをストリップに切り取る。ストリップを冷凍庫内で固め、固めたストリップをペレタイザーに通して供給し、(A2)、(D1)、(F1)、および(G1)を含むペレットを作製する。ペレットをガラス瓶内で、50℃で2時間加熱し、第2の混合物の測定された量をシリンジから加熱されたペレットに噴霧する。得られた噴霧されたペレットを瓶内で、室温で10分間タンブルブレンドし、噴霧されたペレットを含有する瓶を50℃のオーブン内に16時間留置し、次に瓶の含有量を再び室温で10分間タンブルブレンドし、次いで、カムローターを120℃で30rpm、10分間使用して、瓶の含有量を420mLのBrabenderミキシングボウル内で混合して、(A2)、(B1)、(C1)、(D1)、(E1)、(F1)、および(G1)を含むポリオレフィン配合物を得る。ポリオレフィン配合物の含有量を以下の表1に報告する。ポリオレフィン配合物のコールドプレスまたは圧縮成形試料は、場合によっては、関連する試験方法に従って、組成物を特徴付けることがある。結果を後の表2に報告する。
【0090】
比較実施例1(CE1):一般的な調製1に従って調製され、以下の表1に示される組成物および表2に示される特性を有する。
【0091】
本発明の実施例1~4(IE1~IE4):一般的な調製1に従って調製され、以下の表1に示される組成物および表2に示される特性を有する。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
表2のデータで示されるように、CE1は、比較的劣った溶融せん断および伸長特性を有する。140℃で行われたMDR試験からの本質的に類似したML(ポリマー溶融時の最小弾性トルク)の値は、120℃以下の温度で、組成物CE1およびIE1~IE4の架橋がペルオキシドを組み込むプロセスでほとんどまたは全く発生しなかったことを示す。しかしながら、135℃のより高い温度で行われる動的振動せん断試験では、IE1~IE4の組成物は、V0.1/V100の値から明らかなように、CE1のものと比較して高められた溶融せん断減粘特徴を呈した。CE1と比較してIE1~IE4では、135℃でのゼロせん断および伸長粘度の増加も観察された。140℃で行われたMDR試験では、CE1と比較してIE1~IE4ではより低い値のts1(すなわち、より速い架橋)が観察された。135℃と140℃の温度は、ケーブル押出プロセスで典型的には使用される温度の代表である。これらの発見は、低い温度で分解するペルオキシド(B1)を含有しなかった組成物CE1と比較して、比較的早く分解する低い温度で分解するペルオキシド(B1)を含有する組成物IE1~IE4で、(これらの温度で行った溶融レオロジー試験中に)ポリマー鎖のより大きなカップリングが「in situ」で発生したことを示唆している。
【0095】
本発明の実施例IE1~IE4の最終的な架橋の程度(ゲル含有量およびホットクリープにより測定)は十分に高かった。IE1~IE4の誘電体強度の値は、28kV/mm以上の値が望ましい電力ケーブルの絶縁層に好適であった。驚くべきことに、IE1~IE4の組成物中に低い温度で分解するペルオキシド(B1)を含むことは、望ましくは、130℃の試験温度でより低い散逸率をもたらした。
【0096】
比較実施例2(CE2):一般的な調製1に従って調製され、表3に示される組成物および表4に示される特性を有する。
【0097】
本発明の実施例5~7(IE5~IE7):一般的な調製1に従って調製され、表3に示される組成物および表4に示される特性を有する。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
表4のデータで示されるように、CE2は、比較的劣った溶融せん断および伸長特性を有する。140℃で行われたMDR試験からのCE2、IE5、およびIE6の本質的に類似したML(ポリマー溶融時の最小弾性トルク)の値は、120℃以下の温度で、ポリマーの架橋がペルオキシドを組み込むプロセスでほとんどまたは全く発生しなかったことを示す。しかしながら、135℃のより高い温度で行われる動的振動せん断試験では、IE5およびIE6の組成物は、V0.1/V100の値から明らかなように、CE2のものと比較して高められた溶融せん断減粘特徴を呈した。CE2と比較して、IE5およびIE6では、135℃でのゼロせん断および伸長粘度の増加も観察された。組成物(IE7)中に少量のLDPEを含めると、135℃で溶融レオロジー特性がさらに改善された。140℃で行われたMDR試験では、CE2と比較してIE5~IE7ではより低い値のts1(すなわち、より速い架橋)が観察された。この場合もまた、135℃と140℃の温度は、ケーブル押出プロセスで典型的に使用される温度の代表である。これらの発見は、低い温度で分解するペルオキシド(B1)を含有しなかった組成物CE2よりも、比較的早く分解する低い温度で分解するペルオキシド(B1)を含有する組成物IE5~IE7で、(これらの温度で行った溶融レオロジー試験中に)ポリマー鎖のより大きなカップリングが「in situ」で発生したことを示唆している。
【0101】
「請求項」および「複数の請求項」を、それぞれ「態様」または「複数の態様」で置き換えることを除いて、以下の特許請求の範囲を番号付き態様として参照により本明細書に組み込む。
例えば、以下のとおりである。
[態様1]ポリオレフィン配合物であって、すべてが前記ポリオレフィン配合物の総重量に基づいて、60~99.45重量パーセント(重量%)の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物であって、本質的に、エチレン系(コ)ポリマー、または前記エチレン系(コ)ポリマーおよびポリプロピレンポリマーの組み合わせからなり、但し、前記ポリプロピレンポリマーが前記ポリオレフィン配合物の0~<40重量%であることを条件とする、エチレン系(コ)ポリマー組成物;0.05~2.0重量%の(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド;ならびに0.5~5重量%の(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、から構成され、すべてがそれぞれの半減期温度試験方法に従って測定されたときに、構成成分(C)が、110.0℃超の10時間半減期温度および/または130.0℃超の1時間半減期温度を有し、前記構成成分(B)が、110.0℃以下の10時間半減期温度および/または130.0℃以下の1時間半減期温度を有する、ポリオレフィン配合物。
[態様2]ポリオレフィン配合物であって、すべてが前記ポリオレフィン配合物の総重量に基づいて、60~99.45重量パーセント(重量%)の(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物であって、本質的に、エチレン系(コ)ポリマー、または前記エチレン系(コ)ポリマーおよびポリプロピレンポリマーの組み合わせからなり、但し、前記ポリプロピレンポリマーが前記ポリオレフィン配合物の0~<40重量%であることを条件とする、エチレン系(コ)ポリマー組成物;0.05~2.0重量%の(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド;ならびに0.5~5重量%の(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、から構成され、半減期温度試験方法に従って測定されたときに、構成成分(C)が、前記構成成分(B)の10時間半減期温度よりも10℃超高い10時間半減期温度を有する、ポリオレフィン配合物。
[態様3]制約(i)前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度が、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度よりも少なくとも摂氏11度(℃)高いこと;(ii)前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度が、40℃~<110.0℃であること;(iii)前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの前記10時間半減期温度が、110.0℃超~150℃であること;(iv)前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドの前記1時間半減期温度が、60℃~<130.0℃であること;(v)前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドの前記1時間半減期温度が、130.0℃超~150℃であること;(vi)(i)および(ii)の両方;(vii)(i)および(iii)の両方;(viii)(ii)および(iii)の両方;(ix)(i)および(iv)の両方;(x)(i)および(v)の両方;(xi)(iv)および(v)の両方;(xii)(i)~(iii)の各々;ならびに(xiii)(i)、(iv)、および(v)の各々、のいずれか1つによってさらに特徴付けられる、上記態様[1]または[2]に記載のポリオレフィン配合物。
[態様4]制約(i)0.1~1.5重量%の(B)、代替的に0.2~1.0重量%の(B);(ii)0.9~4.5重量%の(C)、代替的に1.0~3.0重量%の(C);(iii)(i)および(ii)の両方、のいずれか1つによってさらに特徴付けられる、上記態様[1]~[3]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物。
[態様5]制約(i)前記エチレン系(コ)ポリマーが、ポリエチレンホモポリマーであること;(ii)前記エチレン系(コ)ポリマーが、50~99.0重量%のエチレンモノマー単位、および50~>0重量%の(C ~C 20 )アルファ-オレフィン由来のコモノマー単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであること;(iii)前記エチレン系(コ)ポリマーが、51~99.0重量%のエチレンモノマー単位、および49~1.0重量%の不飽和カルボン酸エステルコモノマー単位を含む、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーであること;(iv)前記エチレン系(コ)ポリマー組成物が、本質的に、(i)~(iii)のいずれか1つの前記エチレン系(コ)ポリマーからなること;ならびに(v)前記エチレン系(コ)ポリマー組成物が、本質的に、(i)~(iii)のいずれか1つの前記エチレン系(コ)ポリマーおよび前記ポリプロピレンポリマーの組み合わせからなること、のいずれか1つによって記載される上記態様[1]~[4]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物。
[態様6]0.05~2.0重量%未満の(D)酸化防止剤;0.05~<2.0重量%の(E)アルケニル官能性助剤;0.05~<2.0重量%の(F)トリー遅延剤(例えば、水トリー遅延剤);0.05~<2.0重量%の(G)ヒンダードアミン安定剤;ならびに0.05~<10.0重量%の(H)焼成粘土充填剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含み、但し、前記ポリオレフィン配合物の総量が100重量%であることを条件とする、上記態様[1]~[5]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物。
[態様7]上記態様[1~6]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物を作製する方法であって、前記方法が、(A)エチレン系(コ)ポリマー組成物、(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシド、および(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシド、ならびに任意の添加剤を一緒に混合して、上記態様[1]~[5]および[6]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物をそれぞれ作製することを含む、方法。
[態様8]上記態様[1]~[6]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物を、前記ポリオレフィン配合物を完全に硬化させることなく、その溶融粘度を修飾するような方法で、化学的に修飾する方法であって、前記方法が、前記ポリオレフィン配合物を、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的で、かつ前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的ではない、温度で加熱し、それによって、すべてが前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることなく、または前記ポリオレフィン配合物もしくは中間組成物を完全に硬化させることなく、前記ポリオレフィン配合物のレオロジーを修飾して、前記ポリオレフィン配合物の溶融粘度より大きい溶融粘度を有する中間組成物を得るように、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることを含む、方法。
[態様9]上記態様[1]~[6]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物を硬化させる方法であって、前記方法が、第1に、前記ポリオレフィン配合物を、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的で、かつ前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的ではない、第1の温度で加熱し、それによって、すべてが前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることなく、または前記ポリオレフィン配合物もしくは中間組成物を完全に硬化させることなく、前記ポリオレフィン配合物のレオロジーを修飾して、前記ポリオレフィン配合物の溶融粘度より大きい溶融粘度を有する中間組成物を得るように、前記(B)より低い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させることと、第2に、前記中間組成物を、前記第2の温度よりも10.0℃超高く、前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させるのに効果的である、第2の温度で加熱し、それによって、前記(C)より高い温度で分解する有機ペルオキシドを実質的に分解させ、前記中間組成物を完全に硬化させるか、または実質的に架橋させて、架橋されたポリオレフィン生成物を得ることと、を含む、方法。
[態様10]前記中間組成物を形状決めして、前記中間組成物から構成される形状決めされた形態を得ることを独立してさらに含む、上記態様[8]に記載の方法または上記態様[9]に記載の方法。
[態様11]上記態様[9]または[10]に記載の硬化させる方法によって作製された架橋ポリオレフィン生成物。
[態様12]上記態様[10]に記載の硬化方法によって調製された架橋ポリオレフィン生成物の形状決めされた形態を含む製造物品。
[態様13]導電性コアと、前記導電性コアを少なくとも部分的に取り囲み、上記態様[1]~[6]のいずれかに記載のポリオレフィン配合物、上記態様[8]に記載の方法によって調製された前記中間組成物、または上記態様[11]に記載の架橋ポリオレフィン生成物を含む被覆層と、を含む被覆導体。
[態様14]導電する方法であって、上記態様[13]に記載の被覆導体の前記導電性コアの両端に電圧を印加し、それによって、前記導電性コアを通る電気の流れを発生させることを含む、方法。