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特許7507691フレーバー改変剤としてのモノエステル糖誘導体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】フレーバー改変剤としてのモノエステル糖誘導体
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240621BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20240621BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20240621BHJP
【FI】
A23L27/00 C
A23L27/20 G
A23L27/30 A
A23L27/30 C
A23L27/30 Z
A23L27/00 101A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020554467
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019070664
(87)【国際公開番号】W WO2020025693
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】62/714,047
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18190305.5
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エリック フルロ
(72)【発明者】
【氏名】ファビエンヌ メアンゼ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム ドゥラトル
(72)【発明者】
【氏名】アンジェラ ディ ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】マウデ ガイヤール
(72)【発明者】
【氏名】イザベル カイユ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エルニ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリア ラルキヌス-ハーフナー
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-247243(JP,A)
【文献】特開平03-285643(JP,A)
【文献】特開平03-285664(JP,A)
【文献】特開平03-157349(JP,A)
【文献】特開平03-247229(JP,A)
【文献】特開平04-041404(JP,A)
【文献】国際公開第2015/050240(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
A23L 27/20
A23L 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーバー増強化合物及び人工甘味料を含むフレーバー付与した物品であって、フレーバー増強化合物が、D-グルコース-6-O-オクタノエートであり、フレーバー増強化合物が、フレーバー付与した物品の全質量に対して50ppm~500ppmの範囲の濃度でフレーバー付与した物品に存在し、フレーバー付与した物品が飲料品である、フレーバー付与した物品。
【請求項2】
人工甘味料が、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムK、ステビオールグリコシド、モグロシド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載のフレーバー付与した物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月2日に出願された米国仮特許出願第62/714,047号(United States Provisional Application No. 62/714,047)、及び2018年8月22日に出願された欧州特許出願第18190305.5号(European Patent Application No. 18190305.5)に対して優先権を主張し、双方の全記載内容は参照をもってその全体を本明細書に組み込まれたものとする。
【0002】
技術分野
本明細書において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む組成物、並びにフレーバー付与した物品の味覚プロフィールを改善するための甘味増強剤、苦味遮断剤、酸味遮断剤、又は収斂味低減剤としてのそれらの使用が一般に開示される。
【0003】
背景技術
フレーバー改変剤は、フレーバー物品の本来のフレーバーを補足、強化、又は改質するために付加される物質である。フレーバーは、味、におい、又は香りと化学的感覚の要素とを組み合わせた知覚として定義される。フレーバーの知覚は、口腔と鼻腔との双方の受容体の化学的刺激の結果である。基本的な味は、甘い、酸っぱい、塩辛い、及び苦いである。他の基本的な味として説明される旨味は、他の成分及びフレーバープロフィールの構成要素の味の効果を高める。旨味及び特定の三叉神経効果を含むこれらの基本的な味は、口腔で知覚される。香りは、消費される前に食品から発せられるにおい、又は製品を噛む及び飲み込む時に知覚されるフレーバーであってよい。
【0004】
フレーバー又は香り改変剤は、食品(飲料を含む)、パーソナルケア製品もしくは家庭用ケア製品、医薬品、又は他の組成物に添加して、所望のフレーバー又は香りを増強することによって、又は望ましくない属性を遮断もしくは排除することによって製品の受け入れを高めることができる。フレーバー改変剤は、フレーバー付与した物品、例えば摂取可能な食品、栄養補助食品及び医薬品、並びにオーラルケア及びパーソナルケア製品(例えば、うがい薬、歯磨き粉、化粧品、香水等)、又は家庭及び企業等の中及びその周辺で見出されてよい製品の味又は香りを変更するために使用されてよい。
【0005】
糖の特定の脂質化エステル、例えば脂質化グルコースエステルは、界面活性剤及び乳化剤として使用されうる。ある場合に、かかる乳化剤は、例えば製造プロセス中に水性媒体への油性物質の混合を高めることが望ましい食品に使用されうる。脂質化グルコースエステルの特定のかかる使用は、欧州特許出願公開第0428157号明細書(European Patent Publication No. 0 428 157)に記載されている。しかし、これらの使用は、一般に、本開示によって提供されるものよりも高濃度の化合物を要求する。低濃度でのフレーバー改変剤としての特定のかかる脂質化グルコースエステルの使用は、そこでは評価されなかった。
【0006】
フレーバー付与した物品のフレーバープロフィールを変更及び強化するための安全で効果的な化合物の開発は、特定の課題を呈し続けている。その役割を果たすことができる天然で安全な化合物を発見することが望ましい。
【0007】
要約
近年、糖化合物の第一級アルコールで形成される特定のエステルが、十分に低濃度で使用される場合に、味覚改変剤として効果的に機能し、かつフレーバー付与した食品及び飲料品、特に人工低カロリー甘味料を使用する品種のフレーバープロフィールを改善できることが発見された。本開示は、特定のかかる化合物、かかる化合物を含むフレーバー物品、並びに食品及び飲料品のフレーバープロフィールを改善するためのかかる化合物の使用を提供する。
【0008】
第一の態様において、本開示は、糖化合物の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体であるフレーバー増強化合物を提供する。いくつかの実施形態において、糖化合物はグルコースであり、ここでエステルは、グルコース化合物の6位で炭素に結合した第一級アルコールで形成される。かかる誘導体は、典型的に、有機酸、例えば脂肪酸、及びそれらの任意の適したエステルから形成される。
【0009】
第二の態様において、本開示は、第一の態様のフレーバー増強化合物の1つ以上を含むフレーバー付与した物品を提供する。いくつかの実施形態において、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して950ppm以下の濃度でフレーバー付与した物品に存在する。
【0010】
第三の態様において、本開示は、フレーバー付与した物品のフレーバープロフィールを改善するための方法であって、フレーバー付与した物品を提供すること、及び第一の態様のフレーバー増強化合物の1つ以上をフレーバー付与した物品に導入することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上のフレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して950ppm以下の濃度で導入される。
【0011】
第四の態様において、本開示は、フレーバー付与した物品のフレーバープロフィールを改善するための方法であって、フレーバー付与した物品を製造するための1つ以上の成分を含む混合物を提供すること、第一の態様のフレーバー増強化合物の1つ以上を該混合物に導入して、フレーバー増強混合物を形成すること、及びフレーバー増強混合物を使用してフレーバー付与した物品を形成することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上のフレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、効果的な量で、例えば嗅覚又は味覚の効果的な量で、例えば950nm以下の濃度で導入される。
【0012】
第五の態様において、本開示は、被験者(例えばそれらを必要とする被験者)においてフレーバー付与した物品のフレーバー知覚を改善するための方法であって、フレーバー付与した物品を被験者に投与することを含み、その際、フレーバー付与した物品は、第一の態様のフレーバー増強化合物の1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のフレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、効果的な量で、例えば嗅覚又は味覚の効果的な量で、例えば950ppm以下の濃度でフレーバー付与した物品に存在する。
【0013】
第六の態様において、本開示は、人工甘味料のオフノートを低減又は遮断するための方法であって、人工甘味料を含む組成物を提供すること、第一の態様のフレーバー増強化合物の1つ以上を該組成物に導入することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上のフレーバー増強化合物は、組成物の全質量に対して、効果的な量で、例えば嗅覚又は味覚の効果的な量で、例えば950ppm以下の濃度で導入される。
【0014】
第七の態様において、本開示は、被験者(例えばそれらを必要とする被験者)において人工甘味料のオフノート知覚を低減又は遮断するための方法であって、組成物を被験者に投与することを含み、その際、組成物は、第一の態様のフレーバー増強化合物の1つ以上及び人工甘味料を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のフレーバー増強化合物は、組成物の全質量に対して、効果的な量で、例えば嗅覚又は味覚の効果的な量で、例えば950ppm以下の濃度で組成物中に存在する。
【0015】
それぞれの前記態様において、第一の態様のフレーバー増強化合物は、任意の適した方法で提供されうる。例えば、いくつかの態様において、それらは組成物の一部として配合され、その際該組成物は、第一の態様のフレーバー増強化合物の1つ以上を含む。いくつかのかかる実施形態において、前記組成物は、キャリヤー、例えば液体キャリヤー(例えば、水)、又は固体キャリヤー(例えば、デンプン、デキストロース、セルロース等)をさらに含む。いくつかの実施形態において、かかる組成物は、1つ以上の甘味料、例えばスクロース、高フルクトースコーンシロップ、ステビオールグリコシド、レバウシオシド、羅漢果抽出物、モグロシド等、又はそれらの任意の混合物を含む。
【0016】
前記態様のいくつかにおいて、前記方法は、フレーバープロフィールを改善すること、又はフレーバープロフィールの知覚を改善することを含む。いくつかの実施形態において、かかる方法は、苦味又は苦味の知覚を低減又は遮断すること、酸味又は酸味の知覚を低減又は遮断すること、収斂味又は収斂味の知覚を低減又は遮断すること、甘味又は甘味の知覚を増強、増加又は改善すること、又はそれらの任意の組み合わせの1つ以上を含む。
【0017】
フレーバー増強化合物は、任意の適した方法で生成されうる。いくつかの実施形態において、フレーバー増強化合物は、酸供与体分子を使用した糖の酵素によるエステル化によって生成される。
【0018】
フレーバー増強化合物は、他の特徴の中でも、酸(又はそのエステル)によってもたらされる糖部分及びテール部分を含む。糖部分は、任意の適した糖に由来してよい。かかる糖の制限のない例は、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース及びタロースである。酸によってもたらされるテール部分の制限のない例は、酢酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ヘキサデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、バターオイルの脂肪酸、オリーブオイルの脂肪酸、フェニルプロパン酸、ケイ皮酸、カフェイン酸、カプロン酸、ラウリン酸、9-デセン酸、10-ウンデセン酸、ステアリン酸、9-ドデセン酸、及びドデカン酸である。いくつかのさらなる実施形態において、フレーバー増強化合物は、グルコース-6-O-アセテート、グルコース-6-O-ヘキサノエート、グルコース-6-オクタノエート、グルコース-6-O-デカノエート、グルコース-6-O-ヘキサデカノエート、グルコース-6-O-オレエート、グルコース-6-O-ラウレート、グルコース-6-O-ミリステート、グルコース-6-O-パルミテート、グルコース-6-O-フェニルプロパノエート、グルコース-6-O-シンナメート、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0019】
さらなる態様、及びその実施形態は、以下の詳細な説明、図面、要約、及び特許請求の範囲に記載される。
【0020】
図面の簡単な説明
以下の図面は、本明細書において開示される組成物及び方法の種々の実施形態を説明する目的で提供される。図面は、例示のみを目的として提供されており、好ましい組成物もしくは好ましい方法を説明すること、又は特許請求される発明の範囲に対する任意の制限の源として役立つことを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、対照の乳製品組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート(71007)100ppmを含む乳製品試験組成物(3%(w/v)スクロースで甘味付けされた乳)の官能特性を示すグラフを示す。
図2図2は、対照のコーヒー飲料組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 200ppmを含むコーヒー飲料試験組成物(乳を含むコーヒー)の官能特性を示すグラフを示す。
図3図3は、対照のストロベリーフレーバーを付与した瓶詰めの水の組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 100ppmを含むストロベリーフレーバーを付与した瓶詰めの水の試験組成物(7%(w/v)スクロースを含むストロベリーBWAT)の官能特性を示すグラフを示す。
図4図4は、対照のレモンフレーバーを付与したアルコール飲料組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 100ppmを含むレモンフレーバー付与したアルコール飲料試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図5図5は、対照のレモンフレーバーを付与したアルコール飲料組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 200ppmを含むレモンフレーバー付与したアルコール飲料試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図6図6は、対照のザクロジュース組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 100ppmを含むザクロジュース試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図7図7は、対照のエナジードリンク組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 100ppmを含むエナジードリンク試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図8図8は、対照のエナジードリンク組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 200ppmを含むエナジードリンク試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図9図9は、対照のラズベリーフレーバーを付与した水組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 100ppmを含むラズベリーフレーバーを付与した水試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図10図10は、対照のラズベリーフレーバーを付与した水組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 200ppmを含むラズベリーフレーバーを付与した水試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図11図11は、対照のオレンジフレーバーを付与した水組成物と比較した、グルコース-6-O-オクタノエート 200ppmを含むオレンジフレーバーを付与した水試験組成物の官能特性を示すグラフを示す。
図12図12は、示されたモデル系におけるグルコース-6-O-オクタノエート 100ppmの官能特性を示すグラフを示す:(a)SG95(95%の純粋なステビオールグリコシドを含む組成物)0.02%、(b)SG95 0.03%、クエン酸 0.15%、(c)スクロース4%及びスクロース5%/クエン酸0.15%、(d)転化糖7%、クエン酸0.15%、グレープフルーツフレーバー0.01%を含むグレープフルーツ飲料、(e)セミスキムミルク、4%スクロースあり及びなし。
図13図13は、示されたモデル系におけるグルコース-6-O-アセテート 100ppmの官能特性を示すグラフを示す:スクロース4%、SG95(95%の純粋なステビオールグリコシドを含む組成物)0.02%;パラセタモール0.09%のビターカクテル;キニーネ0.0007%;スクロース5%/クエン酸0.15%。
図14図14は、示されたモデル系におけるグルコース-6-O-アセテート 100ppmの官能特性を示すグラフを示す:スクロース4%;SG95(95%の純粋なステビオールグリコシドを含む組成物)0.02%;パラセタモール0.09%のビターカクテル、キニーネ0.0007%;スクロース5%/クエン酸0.15%;SG95 0.03%;クエン酸0.15%;転化糖を7%含むグレープフルーツ飲料;クエン酸0.15%、及びグレープフルーツフレーバー0.01%。
図15図15は、示されたモデル系におけるグルコース-6-O-デカノエート 100ppmの官能特性を示すグラフを示す:スクロース4%、SG95(95%の純粋なステビオールグリコシドを含む組成物)0.02%;パラセタモール0.09%のビターカクテル、キニーネ0.0007%;スクロース5%/クエン酸0.15%;SG95 0.03%;クエン酸0.15%;転化糖を7%含むグレープフルーツ飲料;クエン酸0.15%、及びグレープフルーツフレーバー0.01%。
図16図16は、示されたモデル系におけるグルコース-6-O-ヘキサデカノエート 100ppmの官能特性を示すグラフを示す:スクロース4%、SG95(95%の純粋なステビオールグリコシドを含む組成物)0.02%;パラセタモール0.09%のビターカクテル、キニーネ0.0007%;スクロース5%/クエン酸0.15%;SG95 0.03%;クエン酸0.15%;転化糖を7%含むグレープフルーツ飲料;クエン酸0.15%、及びグレープフルーツフレーバー0.01%。
図17図17は、示されたモデル系におけるグルコース-6-O-オレエート 100ppmの官能特性を示すグラフを示す:スクロース4%、SG95(95%の純粋なステビオールグリコシドを含む組成物)0.02%;パラセタモール0.09%のビターカクテル、キニーネ0.0007%;スクロース5%/クエン酸0.15%;SG95 0.03%;クエン酸0.15%;転化糖を7%含むグレープフルーツ飲料;クエン酸0.15%、及びグレープフルーツフレーバー0.01%。
図18図18は、示されたモデル系におけるグルコース-6-O-オレイル誘導体 100ppmの官能特性を示すグラフを示す:スクロース4%、SG95(95%の純粋なステビオールグリコシドを含む組成物)0.02%;パラセタモール0.09%のビターカクテル、キニーネ0.0007%;スクロース5%/クエン酸0.15%;SG95 0.03%;クエン酸0.15%;転化糖を7%含むグレープフルーツ飲料;クエン酸0.15%、及びグレープフルーツフレーバー0.01%。
【0022】
発明の詳細な説明
以下の記載において、例示として示される実施されうる特定の実施形態が参照される。これらの実施形態は、当業者が本明細書に記載される種々の本発明を実施できるように詳細に記載されており、かつ他の態様及び実施形態を使用してもよく、本明細書に提示された態様及び実施形態の範囲から逸脱することなく論理的な変更を行ってもよいことを理解すべきである。したがって、以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本明細書において提示される種々の態様の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0023】
要約は、読者が技術的開示の本質及び要旨を迅速に確認できるように提供される。要約は、特許請求の範囲又は意味を制限するために使用されないという理解の下で提示される。
【0024】
食品の品質を向上させ、かつかかる製品に新たな異なるフレーバー及び香りの感覚を提供することが長い間目標であった。比較的長い貯蔵寿命を有することが期待される食品の商業生産は、しばしば、加工条件の使用、貯蔵条件の使用、又は食品組成物に望ましくない異味を生じさせうる成分の添加を要求する。味の問題に対する典型的な解決策は、しばしば成分及び製造の費用が高いために効果的ではない。フレーバー改変剤の使用は、食品組成物中の望ましくない異味を排除又は実質的に低減し、かつ食品の全体的な味を改善するか、又は新たに新規の味の体験を提供することができる。
【0025】
特定のフレーバー製品は、強い苦味、収斂味、又は酸味の成分(例えば、カフェイン、キニーネ、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、KCl等)を含んでよい。かかるフレーバー付与した物品において、フレーバー付与した物品に対する消費者の好みを高めるために、苦味を遮断し、強い苦味、収斂味、又は酸味の成分の渋味又は酸味を調節することが望ましい場合がある。さらに、強い苦味、収斂味、又は酸味の成分を含むフレーバー付与した物品の甘味を高めることも望ましい場合がある。
【0026】
フレーバー増強化合物
第一の態様において、本開示は、糖化合物の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体であるフレーバー増強化合物を提供する。いくつかの実施形態において、糖化合物はグルコースであり、ここでエステルは、グルコース化合物の6位で炭素に結合した第一級アルコールで形成される。かかる誘導体は、典型的に、有機酸、例えば脂肪酸、及びそれらの任意の適したエステルから形成される。
【0027】
本明細書において開示されるフレーバー増強化合物は、任意の適した方法で生成されてよい。したがって、ある態様において、本開示は、酸供与体分子を使用する糖の酵素によるエステル化を含むプロセスによってかかる化合物を生成する方法を提供する。それらのいくつかの実施形態において、酵素はリパーゼである。他のかかる実施形態の1つにおいて、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカ(Candida antartica)から得られる。
【0028】
エステルの糖部分は、その遊離(非エステル化)形での第一級アルコールを有する任意の適した糖の部分であってよい。例えば、いくつかの実施形態において、糖部分は、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、及びタロースからなる群から選択される糖の部分である。いくつかの実施形態において、糖部分はグルコース部分である。
【0029】
エステルの酸部分は、任意の天然脂肪酸の部分を含む任意の適した有機酸、例えば有機カルボン酸の酸部分であってよい。いくつかの実施形態において、酸部分は、酢酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ヘキサデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、脂肪酸、バターオイルの酸、オリーブオイルの脂肪酸、フェニルプロパン酸、ケイ皮酸、カフェイン酸、没食子酸、及びフェルラ酸からなる群から選択される有機カルボン酸の部分である。いくつかの他の実施形態において、酸部分は、9-デセン酸、10-ウンデセン酸、9-ドデセン酸、及びドデカン酸からなる群から選択される有機カルボン酸の部分である。いくつかの他の実施形態において、酸部分はオクタン酸の部分である。いくつかの他の実施形態において、酸部分は、魚又はクリル油の脂肪酸から選択される有機カルボン酸の部分である。
【0030】
化合物を製造するプロセスのいくつかの実施形態において、反応を糖の第一級アルコール基に限定することが望ましい。したがって、いくつかのかかる実施形態において、反応は酵素の存在下で実施される。いくつかのかかる実施形態において、酵素は、第一級アルコール官能基を有するものを除いて、糖上の蟻ヒドロキシル基(ant hydroxyl groups)のエステル化を実質的に制限する。したがって、例えば、糖がアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、及びタロースからなる群から選択される場合に、かかる酵素による方法を使用するエステル化は、糖化合物の6-OH位置で付着するドナーアシル基を有するエステル化をもたらすであろう。
【0031】
例えば、糖がフルクトース、ソルボース、タガトース、プシコースからなる群から選択される場合に、かかる酵素による方法を使用するエステル化は、1-OH又は6-OH残基でのドナーアシル基によるエステル化をもたらすであろう。したがって、いくつかの実施形態において、得られる組成物は、ドナーアシル基が糖の1-OH位置に共有結合しているモノエステル誘導体である。代わりに、いくつかの他のかかる実施形態において、得られる組成物は、ドナーアシル基が糖の6-OH位置に共有結合しているモノエステル誘導体であってよい。代わりに、いくつかの実施形態において、得られる組成物は、ドナーアシル基が糖の1-OH位置と6-OH位置の双方に共有結合しているジエステル誘導体であってよい。したがって、いくつかの実施形態において、得られる組成物は、モノエステル及びジエステル誘導体のいずれかの混合物である。
【0032】
本明細書において開示されるエステルを、他の方法で製造してもよい。例えば、他のいくつかの実施形態において、フレーバー増強化合物は、リパーゼの存在下で糖をtert-ブタノール及び酸供与体をインキュベートすることによって生じる。いくつかのかかる実施形態において、糖、tert-ブタノール、酸供与体、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、糖、tert-ブタノール、酸供与体、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの態様において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解させ、そしてシリカカラムに適用する。いくつかのさらなる実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応の酸供与体を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、フレーバー増強化合物を、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによって、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子をカラムから溶出する。そして、溶出したフレーバー増強化合物を、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。フレーバー増強化合物の溶液を、いくつかのさらなる実施形態において、凍結乾燥させる。
【0033】
いくつかの実施形態において、例えば、グルコース-6-O-アセテートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及び酢酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの他の実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのさらなる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、酢酸、及びリパーゼ混合物を、50℃を超えない温度で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、酢酸、及びリパーゼ混合物を濾過し、溶媒、例えばアルコール(例えばエタノール)ですすぎ、そして濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応の酢酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-アセテートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-アセテートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-アセテートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-アセテートも凍結乾燥させる。
【0034】
他の実施形態において、グルコース-6-O-ヘキサノエートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びヘキサン酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、ヘキサン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、ヘキサン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のヘキサン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ヘキサノエートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-ヘキサノエートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-ヘキサノエートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ヘキサノエートも凍結乾燥させる。
【0035】
他の実施形態において、グルコース-6-O-オクタノエートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びオクタン酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、オクタン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートしてよい。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、オクタン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のオクタン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-オクタノエートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-オクタノエートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-オクタノエートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-オクタノエートを凍結乾燥させる。
【0036】
他の実施形態において、グルコース-6-O-デカノエートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びデカン酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、デカン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、デカン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のデカン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-デカノエートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-デカノエートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-デカノエート、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵してよい。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-デカノエートを凍結乾燥させる。
【0037】
他の実施形態において、グルコース-6-O-ヘキサデカノエートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びヘキサデカン酸でインキュベートすることによって生成される。いくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、ヘキサデカン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、ヘキサデカン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のヘキサデカン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ヘキサデカノエートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-ヘキサデカノエートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-ヘキサデカノエートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ヘキサデカノエートを凍結乾燥させる。
【0038】
他の実施形態において、グルコース-6-O-オレエートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びオレイン酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、オレイン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、オレイン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のオレイン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-オレエートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-オレエートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-オレエートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-オレエートも凍結乾燥させてよい。
【0039】
他の実施形態において、グルコース-6-O-ラウレートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びラウリン酸でインキュベートすることによって生成される。いくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、ラウリン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、ラウリン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のラウリン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ラウレートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-ラウレートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-ラウレートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ラウレートを凍結乾燥させる。
【0040】
他の実施形態において、グルコース-6-O-ミリステートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びミリスチン酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、ミリスチン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、ミリスチン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得てよい。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のミリスチン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ミリステートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-ミリステートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-ミリステートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-ミリステートも凍結乾燥させてよい。
【0041】
他の実施形態において、グルコース-6-O-パルミテートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びパルミチン酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、パルミチン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、パルミチン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のパルミチン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-パルミテートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-パルミテートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-パルミテートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-パルミテートを凍結乾燥させる。
【0042】
他の実施形態において、グルコース-6-O-フェニルプロパノエートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びフェニルプロパン酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、フェニルプロパン酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、フェニルプロパン酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のフェニルプロパンを、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-フェニルプロパノエートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-フェニルプロパノエートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-フェニルプロパノエートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-フェニルプロパノエートを凍結乾燥させる。
【0043】
他の実施形態において、グルコース-6-O-シンナメートは、リパーゼの存在下でグルコースをtert-ブタノール及びケイ皮酸でインキュベートすることによって生成される。それらのいくつかの実施形態において、リパーゼは、カンジダ・アンタークティカから得られる。いくつかのかかる実施形態において、グルコース、tert-ブタノール、ケイ皮酸、及びリパーゼ混合物を、50℃以下で4日間までインキュベートする。インキュベーション後に、グルコース、tert-ブタノール、ケイ皮酸、及びリパーゼ混合物を、濾過し、エタノールですすぎ、濃縮して、濃縮した反応生成物を得る。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解し、そしてシリカカラムに適用する。いくつかの実施形態において、濃縮した反応生成物中の未反応のケイ皮酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-シンナメートを、1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによって濃縮した反応生成物から精製し、それによってグルコース-6-O-シンナメートをカラムから溶出する。そして、溶出したグルコース-6-O-シンナメートを、濃縮し、水に溶解させ、そして貯蔵する。いくつかの実施形態において、グルコース-6-O-シンナメートを凍結乾燥させる。
【0044】
他の実施形態において、グルコースの第一級アルコール残基の他のモノエステル誘導体は、酸供与体としてトリグリセリドを、例えばバター油又はオリーブ油において見出されるトリグリセリドを使用して生成される。代わりに、いくつかのさらなる実施形態において、グルコースの第一級アルコール残基の他のモノエステル誘導体は、酸供与体としてバター油又はオリーブ油を使用して生成されてよい。
【0045】
他の実施形態において、前記で概説した方法を使用して、他の糖の、例えば、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、及びタロースの第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を生成する。
【0046】
いくつかの実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、グルコース-6-O-アセテート、グルコース-6-O-ヘキサノエート、グルコース-6-オクタノエート、グルコース-6-O-デカノエート、グルコース-6-O-ヘキサデカノエート、グルコース-6-O-オレエート、グルコース-6-O-ラウレート、グルコース-6-O-ミリステート、グルコース-6-O-パルミテート、グルコース-6-O-フェニルプロパノエート、グルコース-6-O-シンナメート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、Handayaniら(IOSR Journal of Applied Chemistry, vol. 1(6), pp. 45-50 (2012))において開示される方法に従って生成される。
【0048】
いくつかの代わりの実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、スクロースエステルをインベルターゼで処理し、それによって、フルクトース及びグルコースのモノエステルの混合物を生成することによって生成される。スクロースは、グルコース及びフルクトースが縮合してα-D-グルコピラノシル-(1→2)-β-D-フルクトフラノシドを生成することから形成される二糖である。ショ糖は、8個のヒドロキシル基を有し、脂肪酸エステルと反応してスクロースエステルを生成することができる。スクロースの8個のヒドロキシル基のうち、3個(C6、C1’、及びC6’)は第一級であり、他(C2、C3、C4、C3’、及びC4’)は第二級である。3個の第一級ヒドロキシル基は、立体障害が少ないため反応性が高く、その結果、最初に脂肪酸と反応してスクロースのモノエステル、ジエステル又はトリエステルをもたらす。スクロースエステルを製造するために使用される典型的な飽和脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸であり、典型的な不飽和脂肪酸は、オレイン酸及びエルシン酸である。
【0049】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化1】
【0050】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化2】
【0051】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化3】
【0052】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化4】
【0053】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化5】
【0054】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化6】
【0055】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化7】
【0056】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化8】
【0057】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化9】
【0058】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化10】
【0059】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化11】
【0060】
一実施形態において、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子は、次の構造を有する:
【化12】
【0061】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、フレーバー付与した物品の苦味の低減又は遮断、フレーバー付与した物品の酸味の低減又は遮断、フレーバー付与した物品の収斂味の低減又は遮断、フレーバー付与した物品の甘味の増強、増加又は改善、フレーバー付与した物品の味覚プロフィールの改善、又はそれらの利点の任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの利益を提供し、かつ糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子の嗅覚又は味覚の有効量をフレーバー付与した物品に付加するステップを含む方法を提供する。
【0062】
いくつかの代わりの実施形態において、本開示は、人工甘味料のオフノートを低減又は遮断し、かつ糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子の嗅覚又は味覚の有効量を人工甘味料に添加するステップを含む方法を提供する。
【0063】
いくつかの実施形態において、人工甘味料は、フレーバー付与した物品に組み込まれるか又は添加される。
【0064】
任意の適した量のフレーバー増強化合物を、本明細書において提供される任意の種々の態様及び実施形態において使用することができる。いくつかの実施形態において、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、フレーバー増強化合物が1000ppm以下、又は950ppm以下、又は900ppm以下、又は800ppm以下、又は750ppm以下、又は700ppm以下、又は600ppm以下、又は500ppm以下の濃度で存在する濃度で存在する。いくつかの実施形態において、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、50~1000ppm、又は50~950ppm、又は50~900ppm、又は50~800ppm、又は50~750ppm、又は50~700ppm、又は50~600ppm、又は50~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、60~1000ppm、又は60~950ppm、又は60~900ppm、又は60~800ppm、又は60~750ppm、又は60~700ppm、又は60~600ppm、又は60~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、70~1000ppm、又は70~950ppm、又は70~900ppm、又は70~800ppm、又は70~750ppm、又は70~700ppm、又は70~600ppm、又は70~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、80~1000ppm、又は80~950ppm、又は80~900ppm、又は80~800ppm、又は80~750ppm、又は80~700ppm、又は80~600ppm、又は80~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、90~1000ppm、又は90~950ppm、又は90~900ppm、又は90~800ppm、又は90~750ppm、又は90~700ppm、又は90~600ppm、又は90~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、100~1000ppm、又は100~950ppm、又は100~900ppm、又は100~800ppm、又は100~750ppm、又は100~700ppm、又は100~600ppm、又は100~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、150~1000ppm、又は150~950ppm、又は150~900ppm、又は150~800ppm、又は150~750ppm、又は150~700ppm、又は150~600ppm、又は150~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、200~1000ppm、又は200~950ppm、又は200~900ppm、又は200~800ppm、又は100~750ppm、又は200~700ppm、又は200~600ppm、又は200~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、250~1000ppm、又は250~950ppm、又は250~900ppm、又は250~800ppm、又は250~750ppm、又は250~700ppm、又は250~600ppm、又は250~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、300~1000ppm、又は300~950ppm、又は300~900ppm、又は300~800ppm、又は300~750ppm、又は300~700ppm、又は300~600ppm、又は300~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、350~1000ppm、又は350~950ppm、又は350~900ppm、又は350~800ppm、又は350~750ppm、又は350~700ppm、又は350~600ppm、又は350~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、400~1000ppm、又は400~950ppm、又は400~900ppm、又は400~800ppm、又は400~750ppm、又は400~700ppm、又は400~600ppm、又は400~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、450~1000ppm、又は450~950ppm、又は450~900ppm、又は450~800ppm、又は450~750ppm、又は450~700ppm、又は450~600ppm、又は450~500ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、フレーバー付与した物品の全質量に対して、500~1000ppm、又は500~950ppm、又は500~900ppm、又は500~800ppm、又は500~750ppm、又は500~700ppm、又は500~600ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、550~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、600~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、650~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、700~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、750~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、800~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、850~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、900~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。代わりに、フレーバー増強化合物は、950~1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。
【0065】
いくつかの実施形態において、フレーバー増強化合物は、50ppm、又は60ppm、又は70ppm、又は80ppm、又は90ppm、又は100ppm、又は150ppm、又は100ppm、又は150ppm、又は200ppm、又は250ppm、又は300ppm、又は350ppm、又は400ppm、又は450ppm、又は500ppm、又は550ppm、又は600ppm、又は650ppm、又は700ppm、又は750ppm、又は800ppm、又は850ppm、又は900ppm、又は950ppm、又は1000ppmの濃度でフレーバー付与した物品に存在する。
【0066】
したがって、いくつかの他の実施形態において、本開示は、それらを必要とする被験者における苦味の知覚の低減又は遮断、それらを必要とする被験者における酸味の知覚の低減又は遮断、それらを必要とする被験者における収斂味の低減又は遮断、それらを必要とする被験者における甘味の知覚の増強、増加又は改善、被験者によって知覚される味覚プロフィールの改善、又はそれらの利点の任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの利益を提供し、かつ糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子の嗅覚又は味覚の有効量と被験者とを接触させることを含む方法を提供する。
【0067】
いくつかの他の実施形態において、本開示は、それらを必要とする被験者における人工甘味料のオフノートの知覚を低減又は遮断し、かつ糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子の嗅覚又は味覚の有効量と被験者とを接触させることを含む方法を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態において、人工甘味料は、フレーバー付与した物品に組み込まれるか又は添加される。
【0069】
いくつかの実施形態において、被験者と接触させる糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子の嗅覚又は味覚の有効量は、50~1000ppmである。
【0070】
組成物
以下の実施例に示されるように、本開示は、驚くべきことに、そして予想外に、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子を含む組成物が、フレーバー付与した物品の苦味の低減又は遮断、フレーバー付与した物品の酸味の低減又は遮断、フレーバー付与した物品の収斂味の低減又は遮断、フレーバー付与した物品の甘味の増強、増加又は改善、フレーバー付与した物品の味覚プロフィールの改善、又はそれらの利点の任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの利益を提供するために有用であることが見出されたことを示す。
【0071】
さらに、驚くべきことに、そして予想外に、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子を含む組成物が、それらを必要とする被験者における苦味の知覚の低減又は遮断、それらを必要とする被験者における酸味の知覚の低減又は遮断、それらを必要とする被験者における収斂味の知覚の低減又は遮断、それらを必要とする被験者における甘味の知覚の増強、増加又は改善、被験者によって知覚されるフレーバー付与した物品の味覚プロフィールの改善、又はそれらの利点の任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの利益を提供するために有用であることが見出された。
【0072】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子を含む組成物を提供する。
【0073】
いくつかのかかる実施形態において、組成物は、約60質量%超、例えば、約70質量%超、約80質量%超、約90質量%超、約98質量%超、又は約99質量%超の純度での糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子を含む。
【0074】
いくつかの態様において、組成物は、さらに、少なくとも1つの追加の甘味料を含む。少なくとも1つの追加の甘味料は、人工甘味料であってよく、又は代わりに天然甘味料であってよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、アビジアサポニン、アブルソシド、特にアブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、アセスルファムカリウム、アドバンテーム、アルビジアサポニン、アリテーム、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、バユノシド、特にバユノシド1、バユノシド2、ブラゼイン、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノダルコシド、カルノシフロシド、カレラメ、クルクリン、シアニン、クロロゲン酸、シクラメート及びその塩、シクロカリオシドI、ジヒドロケルセチン-3-アセテート、ジヒドロフラベノール、ダルコシド、ガウディチャウディオシド、グリチルリチン、グリチルリチン酸、ジペノシド、ヘマトキシリン、イソモグロシド、特にイソモグロシドV、ラグドゥネーム、マガプ、マビンリン、ミクラキュリン、モグロシド(羅漢果)、特にモグロシドIV、モグロシドV、モナチン及びその誘導体、モネリン、ムクロジオシド、ナリンギンジヒドロカルコン(NarDHC)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(NDHC)、ネオテーム、オスラジン、ペンタジン、ペリアンドリンI-V、ペリラルチン、D-フェニルアラニン、フロミソシド、特にフロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、フロリジン、フィロズルチン、ポルポディオシド、ポリポドシドA、プテロカリオシド、レバウジオシド、特にレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH)、ルブソシド、サッカリン及びその塩及び誘導体、スカンデノシド、セリゲアニンA、シャメノシド、特にシャメノシドI、ステビア、ステビオールビオシド、ステビオシド及び他のステビオールグリコシド、ストロギン、特にストロギン1、ストロギン2、ストロギン4、スアビオシドA、シアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、スクラロース、スクロネート、スクロオクテート、タリン、テロスモシドA15、ソーマチン、特にソーマチンI及びII、トランスアネトール、トランスシンナムアルデヒド、トリロバチン、D-トリプトファン、エリスリトール、ガラクチトール、マルチトール及びソルビトールシロップを含む水素化デンプンシロップ、イノシトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、アラビノース、デキストリン、デキストロース、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、フルクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖シロップ、ガラクトース、ガラクトオリゴ糖、グルコース、グルコース及び(水素化)デンプンシロップ/加水分解物、イソマルツロース、ラクトース、加水分解ラクトース、マルトース、マンノース、ラムノース、リボース、スクロース、タガトース、トレハロース、並びにキシロースからなる群から選択される。
【0076】
いくつかのさらなる実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、国際公開第2012/107203号(PCT Publication No. WO2012/107203)において開示される甘味料から選択されてよい。
【0077】
代わりに、いくつかの他の実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、国際公開第2011/130705号(PCT Publication No. WO2011/130705)において開示される化合物から選択されてよい。
【0078】
代わりに、いくつかの他の実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、欧州特許第0 605 261号明細書(European Patent No. 0 605 261 B1)において開示される化合物から選択されてよい。
【0079】
代わりに、いくつかの他の実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、ノビレチン、シネンセチン、ヘプタメトキシフラボン、及びタンゲレチンからなる群から選択されるポリメトキシフラボンであってよい。
【0080】
代わりに、いくつかの他の実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、国際公開第2012/107203号(PCT Publication No. WO2012/107203)において開示されるポリメトキシフラボンであってよい。
【0081】
代わりに、いくつかの他の実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、国際公開第2011/130705号(PCT Publication No. WO2011/130705)において開示されるポリメトキシフラボンであってよい。
【0082】
代わりに、いくつかの他の実施形態において、少なくとも1つの追加の甘味料は、欧州特許第0 605 261号明細書(European Patent No. 0 605 261 B1)において開示されるポリメトキシフラボンであってよい。
【0083】
いくつかの実施形様において、組成物は、さらに、追加の甘味増強剤の少なくとも1つ、例えば少なくとも2つ又は少なくとも3つを含む。適した追加の甘味増強剤は当業者に周知である。一態様において、少なくとも1つの追加の甘味増強剤は、テルペン(例えばセスキテルペン、ジテルペン、及びトリテルペン)、フラボノイド、アミノ酸、タンパク質、ポリオール、他の公知の天然甘味料(例えばシンナムアルデヒド、セリゲアイン及びヘマトキシリン)、セスキテルマラングリコシド、及びそれらの類似体からなる群から選択されてよい。例示的な甘味増強剤は、ステビオールグリコシド、例えばステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ダルコシドA、ルブソシド;ヘルナンドゥルシン;パインロジンジテルペノイド;ムクロジオシド;バイユノシド;フロミソシド、例えばフロミソシドI及びフロミソシドII;グリチルリチン酸;ペリアンドリン、例えばペリアンドリンI、ペリアンドリンII、ペリアンドリンIII、及びペリアンドリンIV;オスラジン;ポリポドシド、例えばポリポドシドA及びポリポドシドB;モグロシド、例えばモグロシドIV及びモグロシドV;アブルソシドA及びアブルソシドB;シクロカリオシド、例えばシクロカリオシドA及びシクロカリオシドB;プテロカリオシドA及びプテロカリオシドB;フラボノイド、例えばフィロズルチン、フロリジン、ネオアスチルビン、及びジヒドロケルセチンアセテート;アミノ酸、例えばグリシン及びモナチン;タンパク質、例えばソーマチン(ソーマチンI、ソーマチンII、ソーマチンiii、及びソーマチンIV)、モネリン、マビンリン(マビンリンI及びマビンリンII)、ブラゼイン、ミラクリン、及びクルクリン;ポリオール、例えばエリスリトール;シンナムアルデヒド;セリゲアイン、例えばセリゲアインA及びセリゲアインB;ヘマトキシリン;並びにそれらの混合物を含む。さらに例示的な甘味増強剤は、パインロジンジテルペノイド;フロリジン;ネオアスチルビン;ジヒドロケルセチンアセテート;グリシン;エリスリトール;シンナムアルデヒド;セリゲアインA;セリゲアインB;ヘマトキシリン;レバウジオシドA;レバウジオシドB;レバウジオシドC;レバウジオシドD;レバウジオシドE;ダルコシドA;ステビオルビオシド;ルブソシド;ステビア;ステビオシド;ステビオール13-Ο-β-D-グリコシド;モグロシドV;羅漢果;シャメノシド;シャメノシドI;モナチン及びその塩(モナチンSS、RR、RS、SR);クルクリン;グリチルリチン酸及びその塩;ソーマチンI;ソーマチンII;ソーマチンIII;ソーマチンIV;モネリン;マビンリンI;マビンリンII;ブラゼイン;ヘルナンドゥルシン;フィロズルチン;グリシフィリン;フロリジン;トリロバチン;バイユノシド;オスラジン;ポリポドシドA;ポリポドシドB;プテロカリオシドA;プテロカリオシドB;ムクロジオシド;ムクロジオシドlib;フロミソシドI;フロミソシドII;ペリアンドリンI;ペリアンドリンII;ペリアンドリンIII;ペリアンドリンVI;ペリアンドリンV;シクロカリオシドA;シクロカリオシドB;スアビオシドA;スアビオシドB;スアビオシドG;スアビオシドH;スアビオシドI;スアビオシドJ;ラブダングリコシド;バイユノシド;ガウディコウジオシドA(gaudichaudioside A);モグロシドIV;イソモグロシド;ブリオダルコシド;ブリオビオシド;ブリオシド;ブリオノシド;カルノシフロシドV;カルノシフィオシドVI;スカンデノシドR6;11-オキソモグロシドV;アブルソシドA;アブルソシドB;アブルソシドC;アブルソシドD;アブルソシドE;ジペノシドXX;グリチルリチン;アピオグリシルリチン;アラボグリシルリチン;ペンタジン;ペリルアルデヒド;レバウジオシドF;ステビオール;13-[(2-O-(3-O-α-D-グルコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-(4-O-α-D-グルコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(3-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-l6-エン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-ヒドロキシ-カウレ-16-エン-18-酸-D-グルコピラノシルエステル;13-メチル-16-オキソ-17-ノルカウラン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-グリコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-15-エン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-D-グルコピラノシル-3-O-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-15-エン-18-酸;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-グルコピラノシル]-β-D-グルコピラノシル)オキシ]-l7-ヒドロキシ-カウレ-15-エン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]-16-ヒドロキシカウラン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]-16-ヒドロキシカウラン-18-酸;イソステビオール;モグロシドIA;モグロシドIE;モグロシド11-A;モグロシド11-E;モグロシドIII;モグロシドV;イソモグロシドV;11-オキソモグロシド;モグロール;11-オキソモグロール;11-オキソモグロシドIA;l-[13-ヒドロキシカウレ-16-エノ-18-エート]β-D-グルコピラヌロン酸;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシルβ-D-グルコピラノシル)オキシ]-17-ヒドロキシ-カウレ-15-エン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-18-酸-(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)エステル(レバウジオシドE);13-[(2-O-α-L-ラムノピラノシル-3-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-18-酸-(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)エステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-P-D-グルコピラノシル--D-グルコピラノシル)オキシ]-カウレ-16-エン-18-酸-(2-O-a-L-ラムノピラノシル-β-D-グルコピラノシル)エステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシルβ-D-グルコピラノシル)オキシ]-17-オキソ-カウレ-15-エン-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-(6-O-β-D-グルコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-フルクトフラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸-(6-O-β-D-キシロピラノシル-β-D-グルコピラノシル)エステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸-(4-O-(2-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-グルコピラノシル)エステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-P-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸-(2-O-6-デオキシβ-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)エステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-15-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-キシロピラノシル-P-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-β-D-キシロピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(3-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸P-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-6-デオキシβ-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-18-酸β-D-グルコピラノシルエステル;13-[(2-O-6-デオキシβ-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル;並びにそれらの混合物を含む。
【0084】
さらに例示的な甘味増強剤は、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドD、13-[(2-O-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-グルコピラノシル]-β-D-グルコピラノシル)オキシ]-17-ヒドロキシ-カウレ-15-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル、13-[(2-O-(3-O-β-D-グルコピラノシル)-β-D-グルコピラノシル-3-O-β-D-グルコピラノシル-β-D-グルコピラノシル)オキシ]カウレ-16-エン-l8-酸β-D-グルコピラノシルエステル、及びレバウソシドを含む。さらに例えば、少なくとも1つの甘味増強剤は、レバウジオシドA、ステビオシド、レバウジオシドD、レバウジオシドE、モグロシドV、モグロシドIV、ブラゼイン、及びモナチンから選択される。いくつかの実施形態において、本明細書において開示される味覚増強化合物は、レバウジオシド、スクラロース、モグロシド、又はそれらの任意の組み合わせと組み合わせてフレーバー付与した物品中に存在する。
【0085】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの甘味増強剤は、少なくとも1つの甘味増強剤の甘味検出閾値レベル以下の量で存在する。いくつかの態様において、少なくとも1つの甘味増強剤は、少なくとも1つの甘味増強剤の甘味検出閾値レベル未満の量で存在する。甘味検出閾値レベルは、特定の化合物に特有であってよい。しかしながら、一般的に、いくつかの態様において、少なくとも1つの甘味増強剤は、0.5ppm~1000ppmの範囲の量で存在する。例えば、少なくとも1つの甘味増強剤は、1ppm~300ppmの範囲の量で存在してよく、少なくとも1つの甘味増強剤は、0.1ppm~75ppmの範囲の量で存在してよく、少なくとも1つの甘味増強剤は、500ppm~3000ppmの範囲の量で存在してよい。
【0086】
本明細書において使用されるように、「甘味閾値」、「甘味認識閾値」、及び「甘味検出閾値」という用語は、人間の味覚によって知覚される特定の甘味化合物の公知の最低濃度でのレベルを意味すると理解され、それは人によって異なる。例えば、水中のスクロースの典型的な甘味閾値レベルは、0.5%であってよい。さらに、例えば、使用される少なくとも1つの甘味増強剤は、甘味閾値レベルを決定するために、水中で0.5%のスクロース検出レベルよりも少なくとも25%低く及び少なくとも25%高く水中でアッセイされてよい。当業者は、少なくとも1つの甘味増強剤の濃度を選択して、少なくとも1つの甘味料を含む組成物に増強させた甘味を付与することができるであろう。例えば、当業者は、少なくとも1つの甘味増強剤が、少なくとも1つの甘味料を含まない組成物に任意の知覚可能な甘味を付与しないように、少なくとも1つの甘味増強剤の濃度を選択してよい。いくつかの実施形態において、甘味料として前記した化合物は、甘味増強剤としても機能しうる。一般的に言えば、いくつかの甘味料は、甘味増強剤としても機能してよく、その逆もある。
【0087】
調製物
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に提示されるいくつかの態様による組成物を含む調製物を提供する。これらの調製物において、本明細書に提示されるいくつかの態様による組成物は、アモルファス固体、結晶、粉末、タブレット、液体、立方体、ガラスもしくはコーティング、粒状化生成物、キャリヤー/粒子に豊富に存在するか又はキャリヤー/粒子上にコーティングしたカプセル化した形態、湿潤もしくは乾燥、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適した形態をとってよい。
【0088】
例えば、一実施形態において、本明細書に提示されるいくつかの態様による組成物は、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子を含む組成物を含む、事前に分割されたパケット又はすぐに使用できる調製物で提供することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の調製物は、当業者に公知のさらなる添加剤を含む。これらの添加剤には、気泡形成剤、バルク剤、キャリヤー、繊維、糖アルコール、オリゴ糖、糖、高甘味度甘味料、栄養甘味料、風味剤(flavorings)、フレーバー増強剤、フレーバー安定剤、酸味料、固結防止剤及び易流動剤が含まれるが、これらに限定されない。かかる添加剤は、例えば、H. Mitchell(Sweeteners and Sugar Alternatives in Food Technology(2006))によって記載されており、それは参照をもって本明細書に組み込まれたものとする。本明細書において使用されるように、「風味剤」という用語は、当業者に公知のいくつかのフレーバー、例えば天然及び人工フレーバーを含んでよい。これらの風味剤は、合成フレーバー油及び風味剤芳香物又は風味油、植物、葉、花、果実等に由来するオレオリジン及び抽出物、並びにそれらの混合物から選択されてよい。制限のない代表的なフレーバー油は、スピアミント油、シナモン油、ウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、ニホンハッカ油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、セダーリーフ油、ナツメグ油、オールスパイス、セージ油、メイス、ビターアーモンド油、及びカッシア油を含む。人工、天然及び合成フルーツフレーバー、例えばバニラ、並びにレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチを含む柑橘油、並びにリンゴ、ナシ、ピーチ、グレープ、ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、スイカ、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、ウメ、チェリー、ラズベリー、ブラックベリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤ等のフルーツ精油も有用な風味剤である。他の潜在的なフレーバーは、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー及びヨーグルトフレーバー;バニラフレーバー;ティーフレーバー又はコーヒーフレーバー、例えば緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバーチョコレートフレーバー及びコーヒーフレーバー;ミントフレーバー、例えばペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー及びニホンハッカフレーバー;スパイシーフレーバー、例えばアギフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンジェリカフレーバー、フェンネルフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェーフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、ペッパーフレーバー、コリアンダーフレーバー、ササフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、サンショウ(Zanthoxyli Fructus)フレーバー、シソフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ジンジャーフレーバー、スターアニスフレーバー、ホースラディッシュフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、カプシカムフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー、及びワサビ(Japanese horseradish)フレーバー;アルコールフレーバー、例えばワインフレーバー、ウィスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、リキュールフレーバー;フローラルフレーバー;及び植物性フレーバー、例えばタマネギフレーバー、ニンニクフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、マッシュルームフレーバー、トマトフレーバーを含む。これらの風味剤は、液体又は固体の形態で使用されてよく、個々に又は混合して使用されてよい。慣用的に使用されるフレーバーは、個々に使用するか混合して使用するかにかかわらず、ミント、例えばペパーミント、メントール、スペアミント、人工バニラ、シナモン誘導体、及び種々のフルーツフレーバーを含む。フレーバーは、息をさわやかにする特性、特に冷却剤と組み合わせて使用した場合のミントフレーバーを提供してもよい。
【0090】
フレーバーは、息をさわやかにする特性、特に冷却剤と組み合わせて使用した場合のミントフレーバーを提供してもよい。これらの風味剤は、液体又は固体の形態で使用されてよく、個々に又は混合して使用されてよい。他の有用な香味料には、アルデヒド及びエステル、例えばシンナミルアセテート、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセテート、ユーゲニルホルメート、p-メチルアミゾール等を使用してよい。一般的に、任意の風味剤又は食品添加剤、例えばChemicals Used in Food Processing(publication 1274, pages 63-258, by the National Academy of Sciences)において記載されているものを使用してよい。この文献は、参照をもって組み込まれたものとする。
【0091】
アルデヒド風味剤のさらなる例は、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、アニスアルデヒド(カンゾウ、アニス)、シンナムアルデヒド(シナモン)、シトラール、すなわちアルファ-シトラール(レモン、ライム)、ネラル、すなわちベータ-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、アルファ-アミルシンナムアルデヒド(スパイシーなフルーティーフレーバー)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラル(改質、多くの種類)、デカナール(柑橘系フルーツ)、アルデヒドC-8(柑橘系フルーツ)、アルデヒドC-9(柑橘系フルーツ)、アルデヒドC-12(柑橘系フルーツ)、2-エチルブチルアルデヒド(ベリー系フルーツ)、ヘキセナール、すなわちトランス-2(ベリー系フルーツ)、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、ベラトルアルデヒド(バニラ)、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、すなわちメロナール(メロン)、2,6-ジメチルオクタナール(グリーンフルーツ)、及び2-ドデセナール(柑橘類、マンダリン)、チェリー、グレープ、イチゴのショートケーキ、並びにそれらの混合物を含むが、これらに制限されない。これらの風味剤のリストは単なる例示であり、「風味剤」という用語又は一般的な開示の範囲のいずれかを制限することを意味するものではない。
【0092】
いくつかの実施形態において、風味剤は、液体の形態又は乾燥させた形態のいずれかで使用されうる。後者の形態で使用される場合に、オイルを適した乾燥手段、例えば噴霧乾燥を使用してよい。代わりに、風味剤は、水溶性材料、例えばセルロース、デンプン、砂糖、マルトデキストリン、アラビアゴム等に吸収されてよく、又はカプセル化されてよい。かかる乾燥させた形態を調製するための実際の技術は周知である。
【0093】
いくつかの態様において、風味剤は、フレーバーの最初の破裂又はフレーバーの長期の感覚を提供するために、当技術分野において周知の多くの別個の物理的形態で使用されてよい。それら限定されることなく、かかる物理的形態は、遊離形態、例えば噴霧乾燥、粉末化、ビーズ形態、カプセル化形態、及びそれらの混合物を含む。
【0094】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に提示されるいくつかの態様による組成物を含むテーブルトップ(table-top)甘味料生成物を提供する。
【0095】
本明細書において使用される「テーブルトップ甘味料」という用語は、種々の食品の調製において又は食品への添加物として使用できる、少なくとも1つの甘味料、及び任意に少なくとも1つの甘味増強剤を含む甘味料組成物をいう。一例として、テーブルトップ甘味料は、焼き菓子又は他の甘味食品の調製において使用されうる。他の例として、テーブルトップ甘味料を使用して、調理済み食品、例えば飲料、果物又はヨーグルトを味付け、甘味付け、又はその他の方法でカスタマイズしてよい。
【0096】
一態様において、テーブルトップ甘味料は、結晶、顆粒、又は粉末の形態である。種々の態様において、テーブルトップ甘味料は、1つ以上の甘味料又は1つ以上の甘味増強剤を含みうる。一態様において、テーブルトップ甘味料は、カロリー甘味料又は実質的にノンカロリーの甘味料のいずれか又は双方、及び適宜、1つ以上の甘味増強剤を含みうる。テーブルトップ甘味料において使用してよいカロリー甘味料の典型的な例は、スクロース、フルクトース、及びグルコースを含む。これらのカロリー甘味料の慣用的なテーブルトップ形態は、サトウキビ糖、ミツバチ糖等を含む。ここ数十年で、実質的にノンカロリーの甘味料が人気を博している。多くの場合に、これらの甘味料は、カロリー甘味料の代替品として使用でき、しばしば「砂糖代替品」といわれる。
【0097】
例示的なテーブルトップ甘味料製品は、国際公開第2012/107203号(PCT Publication No. WO2012/107203)において開示されている。
【0098】
いくつかの実施形態において、テーブルトップ甘味料製品は、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子を含む組成物の有効量を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に提示されるいくつかの態様による組成物を含むフレーバー付与した物品を提供する。いくつかの態様において、フレーバー付与した物品は、糖の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体を含む少なくとも1つの分子を含む組成物の嗅覚又は味覚の有効量を含む。
【0100】
フレーバー付与した物品は、飲料、歯科用製品、化粧品、医薬品、及び動物飼料又は動物向け食品を含むが、これらに制限されない。例えば、消費可能な製品は、これらに制限されないが、シリアル製品、米製品、タピオカ製品、サゴ製品、パン製品、ビスケット製品、ペストリー製品、パン製品、菓子製品、デザート製品、ガム、チューインガム、チョコレート、アイス、ハチミツ製品、糖蜜製品、酵母製品、ベーキングパウダー、塩及びスパイス製品、セイバリー製品、マスタード製品、酢製品、ソース(調味料)、タバコ製品、葉巻、紙巻きタバコ、加工食品、調理済みフルーツ及び野菜製品、肉及び肉製品、ゼリー、ジャム、フルーツソース、卵製品、牛乳及び乳製品、ヨーグルト、チーズ製品、バター及びバター代替製品、牛乳代替製品、大豆製品、食用油及び脂肪製品、医薬品、飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、ビール、ソフトドリンク、ミネラルウォーター、炭酸水、及び再構成が必要な形態を含む他のノンアルコールドリンク、フルーツドリンク、フルーツジュース、コーヒー、人工コーヒー、お茶、ココア、食品抽出物、植物抽出物、肉抽出物、調味料、甘味料、栄養補助食品、ゼラチン、医薬品及び非医薬品のガム、タブレット、トローチ、ドロップ、エマルジョン、エリキシル、シロップ及び他の飲料製造用の製剤、並びにそれらの組み合わせを含む、全ての食品を含む。
【0101】
本明細書において使用される「ノンアルコール飲料」という用語は、食品に使用する甘味料に対して2003年12月22日の指令2003/115/EC、及び2004年6月30日の指令94/35/EC(参照をもって本明細書に組み込まれたものとする)において挙げられている全てのノンアルコール飲料を含むが、これらに限定されない。例えば、水ベースのフレーバー飲料、エネルギーを低減させた又は砂糖を添加していない牛乳及び牛乳誘導体ベース又はフルーツジュースベースの飲料、エネルギーを低減させた又は砂糖を添加していない「ガセオサ(Gaseosa)」:二酸化炭素、甘味料、香料を添加したノンアルコールの水ベースの飲料を含むが、これらに限定されない。
【0102】
フレーバー付与した物品は、水ベースの消費可能な製品、固形の乾燥消費可能な製品、乳製品、乳由来の製品、及び乳製品代替製品を含むが、これらに限定されない。一態様において、消費可能な製品は、これらに限定されないが、水、水性飲料、強化/わずかに甘くした水飲料、フレーバー付与した炭酸水及び蒸留水及び食卓用水、炭酸飲料、非炭酸飲料、炭酸水、スティルウォーター、ソフトドリンク、非アルコール飲料、アルコール飲料、ビール、ワイン、リカー、フルーツ飲料、ジュース、フルーツジュース、野菜ジュース、ブロスドリンク、コーヒー、お茶、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ハーブ茶、カカオ(例えば水ベース)、茶ベースの飲料、コーヒーベースの飲料、カカオベースの飲料、浸出液、シロップ、冷凍フルーツ、冷凍フルーツジュース、水ベースのアイス、フルーツアイス、シャーベット、ドレッシング、サラダドレッシング、ジャム、マーマレード、缶詰フルーツ、セイバリー、調理済み製品、例えば調理済みサラダ、ソース、ケチャップ、マスタード、ピクルスとマリネした魚、ソース、スープ、及び飲料の植物材料(例えば、加工なし又は挽いたもの)、又は濃縮還元用のインスタント粉末(例えば、コーヒー豆、挽いたコーヒー、インスタントコーヒー、カカオ豆、カカオ粉末、インスタントカカオ、茶葉、インスタント茶粉末)を含む水ベースの消費可能な製品である。他の実施形態において、消費可能な製品は、これらに限定されないが、シリアル、焼き菓子、ビスケット、パン、朝食用シリアル、シリアルバー、エネルギーバー/栄養バー、グラノーラ、ケーキ、餅、クッキー、クラッカー、ドーナツ、マフィン、ペストリー、菓子、チューインガム、チョコレート製品、チョコレート、フォンダン、ハードキャンディー、マシュマロ、プレスしたタブレット、スナック食品、植物性材料(加工なし又は挽いたもの)、及び濃縮還元用のインスタント粉末を含む固体の乾燥した消費可能な製品である。
【0103】
本発明を最良に例証するが、以下の実施例に制限されない。
【0104】
実施例
実施例1:フレーバー増強化合物の合成
グルコース-6-O-アセテートの合成: グルコース 3g、tert-ブタノール 150ml、酢酸 19.2g、4Å分子ふるい(Alfa Aesar製、Karlsruhe、Germany) 6g、及び商標名NOVOZYM 435で販売されているCandida antartica社から得られる固定化リパーゼからなるリパーゼ3gを、500mlのErlenmeyerフラスコに添加した。その反応混合物を50℃で4日間オービタルシェイカー中でインキュベートした。
【0105】
次に、その反応混合物を、コットンプラグ上で濾過し、エタノール50~100mlですすぎ、そして濃縮して、濃縮した反応生成物を得た。濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解させ、そしてシリカカラム(19×5.5cm I.D.)に適用した。濃縮した反応生成物中の未反応の酢酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去した。グルコース-6-O-アセテートを、さらなるグルコース-6-O-アセテートの溶出がカラムから検出されなくなるまで1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによってカラムから溶出させた。そして、溶出させたグルコース-6-O-アセテートを、濃縮し、水に溶解させ、凍結乾燥させ、室温で貯蔵した。
【0106】
グルコース-6-O-ヘキサノエートの合成: グルコース 3g、tert-ブタノール 150ml、ヘキサン酸 19.2g、4Å分子ふるい(Alfa Aesar製、Karlsruhe、Germany) 6g、及び商標名NOVOZYM 435で販売されているCandida antartica社から得られる固定化リパーゼからなるリパーゼ3gを、500mlのErlenmeyerフラスコに添加した。その反応混合物を50℃で4日間オービタルシェイカー中でインキュベートした。
【0107】
次に、その反応混合物を、濾過し、エタノール50~100mlですすぎ、そして濃縮して、濃縮した反応生成物を得た。濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解させ、そしてシリカカラム(19×5.5cm I.D.)に適用した。濃縮した反応生成物中の未反応のヘキサン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去した。グルコース-6-O-ヘキサノエートを、さらなるグルコース-6-O-ヘキサノエートの溶出がカラムから検出されなくなるまで1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによってカラムから溶出させた。そして、溶出させたグルコース-6-O-ヘキサノエートを、濃縮し、水に溶解させ、凍結乾燥させ、室温で貯蔵した。
【0108】
グルコース-6-O-オクタノエートの合成: グルコース 3g、tert-ブタノール 150ml、オクタン酸 19.2g、4Å分子ふるい(Alfa Aesar製、Karlsruhe、Germany) 6g、及び商標名NOVOZYM 435で販売されているCandida antartica社から得られる固定化リパーゼからなるリパーゼ3gを、500mlのErlenmeyerフラスコに添加した。その反応混合物を50℃で4日間オービタルシェイカー中でインキュベートした。
【0109】
次に、その反応混合物を、濾過し、エタノール50~100mlですすぎ、そして濃縮して、濃縮した反応生成物を得た。濃縮した反応生成物を、酢酸エチルに溶解させ、そしてシリカカラム(19×5.5cm I.D.)に適用した。濃縮した反応生成物中の未反応のオクタン酸を、シリカカラムを酢酸エチルで洗浄することによって除去した。グルコース-6-O-オクタノエートを、さらなるグルコース-6-O-オクタノエートの溶出がカラムから検出されなくなるまで1:1の比率の酢酸エチル/エタノールをシリカカラムに適用することによってカラムから溶出させた。そして、溶出させたグルコース-6-O-オクタノエートを、濃縮し、水に溶解させ、凍結乾燥させ、室温で貯蔵した。
【0110】
前記反応を、次の酸供与体分子を使用して繰り返した:酢酸、ヘキサン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、バターオイル、オリーブオイル、フェニルプロパン酸、及びケイ皮酸。典型的な収率を表1において報告する。
【0111】
【表1】
【0112】
前記反応を、糖としてフルクトースを使用し、かつ酸供与体分子としてオクタン酸を使用して繰り返した。D-(-)-フルクトースの酵素によるエステル化は複雑な混合物をもたらした:ジエステルに加えて、6-O-オクタノイル-β-フルクトフラノース、1-O-オクタノイル-α-フルクトピラノース及び1-O-オクタノイル-β-フルクトフラノースを、分取HPLCによる単離後の合成混合物中で同定した。
【0113】
13C NMRを、合成された特定の化合物について記録した。表2は、それぞれの化合物について13C NMRで記録した化学シフトを示す。
【0114】
【表2】
【0115】
実施例2:感覚特性
前記実施例1において記載の方法に従って製造したグルコース-6-O-オクタノエートを、乳製品試験組成物(3%(w/v)スクロースで甘味付けした牛乳)に添加して、試験組成物中の最終濃度を100ppmにした。並行して、3%(w/v)スクロースで甘味付けした牛乳を含む対照組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、グルコース-6-O-オクタノエート100ppmを含む乳製品試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0116】
結果を以下の図1及び表3に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0117】
【表3】
【0118】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート100ppmが乳製品試験調製物の知覚される甘味を増強することができることを示唆している。
【0119】
次に、グルコース-6-O-オクタノエートをコーヒー組成物(牛乳を含むEmmi Noirコーヒー)に添加して、試験組成物中の最終濃度を200ppmにした。並行して、牛乳を含むEmmi Noirコーヒーを含む対照組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0120】
結果を以下の図2及び表4に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0121】
【表4】
【0122】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート200ppmがコーヒー飲料試験調製物の知覚される甘味を増強し、収斂味を低減することができることを示唆している。
【0123】
次に、グルコース-6-O-オクタノエートを、フルーツフレーバー付与したボトルウォーター試験組成物(7%(w/v)を含むストロベリーフレーバーを付与した水)に添加して、試験組成物中の最終濃度を100ppmにした。並行して、7%(w/v)スクロースを含むストロベリーフレーバーを付与した水を含む対照組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0124】
結果を以下の図3及び表5に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0125】
【表5】
【0126】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート100ppmがストロベリーフレーバーを付与した水試験調製物の知覚される酸味を低減することができることを示唆している。
【0127】
次に、グルコース-6-O-オクタノエートをレモンフレーバーを付与したアルコール飲料試験調製物に添加して、試験組成物中の最終濃度を100ppmにした。並行して、レモンフレーバーを付与したアルコール飲料を含む対照組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0128】
結果を以下の図4及び表6に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0129】
【表6】
【0130】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート100ppmがレモンフレーバーを付与したアルコール飲料試験調製物の知覚される苦味を低減することができることを示唆している。図5及び以下の表7を参照すると、レモンフレーバーを付与したアルコール飲料試験調製物中のグルコース-6-O-オクタノエートの濃度を200ppmに増加させると、レモンフレーバー付与したアルコール飲料試験調製物の知覚される甘味が増加するように見えた。
【0131】
【表7】
【0132】
次に、グルコース-6-O-オクタノエートをザクロジュース組成物に添加して、試験組成物中の最終濃度を100ppmにした。並行して、ザクロジュースを含む対照組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0133】
結果を以下の図6及び表8に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0134】
【表8】
【0135】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート100ppmがザクロジュース試験調製物の知覚される甘味を増強し、収斂味、苦味及び酸味を低減することができることを示唆している。
【0136】
次に、グルコース-6-O-オクタノエートをエネルギー飲料調製物に添加して、試験組成物中の最終濃度を100ppmにした。並行して、対照のエネルギー飲料組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0137】
結果を以下の図7及び表9に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0138】
【表9】
【0139】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート100ppmがエネルギー飲料試験調製物の知覚される甘味を増加することができることを示唆している。図8及び以下の表10を参照すると、エネルギー飲料試験調製物中のグルコース-6-O-オクタノエートの濃度を200ppmに増加させると、エネルギー飲料試験調製物の知覚される甘味が増加し、かつ知覚される甘味が持続するように見えた。
【0140】
【表10】
【0141】
次に、グルコース-6-O-オクタノエートをラズベリーフレーバーを付与した水調製物に添加して、試験組成物中の最終濃度を100ppmにした。並行して、ラズベリーフレーバーを付与した水を含む対照組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0142】
結果を以下の図9及び表11に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0143】
【表11】
【0144】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート100ppmがラズベリーフレーバーを付与した水試験調製物の知覚される酸味を低減することができることを示唆している。図10及び以下の表12を参照すると、ラズベリーフレーバーを付与した水試験調製物中のグルコース-6-O-オクタノエートの濃度を200ppmに増加させると、ラズベリーフレーバー付与した水試験調製物の知覚される苦味、収斂味及びオフノートが減少するように見えた。
【0145】
【表12】
【0146】
次に、グルコース-6-O-オクタノエートをオレンジフレーバーを付与した試験調製物に添加して、試験組成物中の最終濃度を200ppmにした。並行して、オレンジフレーバーを含む対照組成物も生成した。6~8人からなる感覚パネルが、試験組成物と対照組成物の全体的なフレーバー、甘味、酸味、苦味、収斂味、オフノート、及び甘味の持続性を比較した。その結果を、ダンカン比較試験を使用して分析した。
【0147】
結果を以下の図11及び表13に示す。キー:結果は、ダンカン比較試験からの信頼度の90%、*95%、**99%、***99.9%で著しく異なる。同一の文字を有する試料は、ダンカン比較試験に従った有意差はなかった。
【0148】
【表13】
【0149】
これらのデータは、グルコース-6-O-オクタノエート200ppmがオレンジフレーバー試験調製物の知覚される苦味及び収斂味を低減することができることを示唆している。
【0150】
実施例3:味覚改変剤の特性
グルコースのモノエステル誘導体を含む種々の組成物の感覚特性を、以下の表14に概説される種々のモデル系で試験した。
【0151】
【表14】
【0152】
図12~18は、次のそれぞれの化合物の甘味改変剤の特性を示す(前記した種々のモードシステムにおいて100ppmで試験):グルコース-6-O-オクタノエート、グルコース-6-O-アセテート、グルコース-6-O-ヘキサノエート、グルコース-6-O-デカノエート、グルコース-6-O-ヘキサデカノエート、グルコース-6-O-オレエート及びグルコース-6-O-オレイル誘導体。感覚特性を、15人からなる感覚パネルによって評価し、ノーズクリップを着用した被験者(NCあり)及びノーズクリップなしの被験者(NCなし)で特性を評価した。被験者は、100ppmで化合物を使用せずに及び使用して、対応するモデル混合物についての異なる感覚属性の知覚強度を線形スケール(「0」顕著に強いから「10」非常に強い)で評価する。化合物ありと化合物なしとのモデル混合物間の知覚強度の差を、それぞれの属性ごとに表す。統計的データ処理(片側対応ステューデント検定(unilateral paired student test))をそれぞれの属性で得て、化合物の有意又は有意でない味覚調節効果について結論を出す。
【0153】
図12は、前記表に概説される種々のモデル混合物におけるグルコース-6-O-オクタノエート100ppmの甘味改変剤の特性を示す。これらのデータは、100ppmで、グルコース-6-O-オクタノエートが、スクロース、SG95、及びセミスキムミルク+スクロースのモデル混合物において有意な甘味増強効果を有することを示唆する。ノーズクリップの有無にかかわらず、それぞれ、SG95において99%、スクロースにおいて99%及び95%、セミスキムミルク+スクロースにおいて99%及び99.9%の有意レベルを有する。
【0154】
グルコース-6-O-オクタノエートは、甘酸っぱいモデル混合物においてノーズクリップなしで95%での有意な酸味の遮断効果も有する。ステビアサワーモデルにおいてノーズクリップありで95%での有意な甘味の遮断効果を有する。飲料用グレープフルーツモデルにおいて、ノーズクリップありで丸み/厚み/口の有意なコーティング強化効果を有し、ノーズクリップなしで95%での有意な酸味遮断効果を有する。
【0155】
図13は、種々のモデル混合物におけるグルコース-6-O-アセテート100ppmの甘味改変剤の特性を示す。これらのデータは、100ppmで、グルコース-6-O-アセテートが、味付けしたモデル系において有意な調節効果を有さなかったことを示唆する。それにもかかわらず、グルコース-6-O-アセテートは、スクロースにおける甘味効果をわずかに高める効果があり、カンゾウの味及び甘味の余韻についてSG95におけるわずかな遮断効果を有する。Ilは、わずかな苦味の遮断効果も有する。
【0156】
図14は、種々のモデル混合物におけるグルコース-6-O-ヘキサノエート100ppmの甘味改変剤の特性を示す。これらのデータは、100ppmで、グルコース-6-O-ヘキサノエートが、95%でノーズクリップありで、SG95において有意な甘味及び甘味の余韻の遮断効果を有することを示唆する。95%でノーズクリップの有無にかかわらず甘酸っぱいモデル系において有意な甘味の増強効果を有する。グルコース-6-O-ヘキサノエートは、95%でノーズクリップの有無にかかわらずSG95の酸味モデル系において有意な酸味の増強効果及び有意なカンゾウの味の遮断効果を有する。
【0157】
図15は、種々のモデル混合物におけるグルコース-6-O-デカノエート100ppmの甘味改変剤の特性を示す。これらのデータは、100ppmで、グルコース-6-O-デカノエートが、95%でノーズクリップなしで、SG95酸味モデル系において有意なカンゾウの味の遮断効果を有することを示唆する。全ての他のモデル系において観察された有意な影響はなかった。
【0158】
図16は、種々のモデル混合物におけるグルコース-6-O-ヘキサデカノエート100ppmの甘味改変剤の特性を示す。これらのデータは、100ppmで、グルコース-6-O-ヘキサデカノエートが、ノーズクリップありで有意な苦味の増強効果を有することを示唆する。ノーズクリップなしでSG95/酸味モデル系において有意な甘味の遮断効果を有し、グレープフルーツ飲料において有意な丸み/厚み/口のコーティングの増強効果を有する。全てのこれらの効果は、95%のレベルで有意である。
【0159】
図17は、種々のモデル混合物におけるグルコース-6-O-オレエートの甘味改変剤の特性を示す。これらのデータは、100ppmで、グルコース-6-O-オレエートが、少なくとも有意レベルの95%でノーズクリップの有無にかかわらず、SG95及びSG95酸味モデル系において有意なカンゾウの味の遮断効果を有することを示唆する。95%でノーズクリップなしで有意な苦味の増強効果を有する。95%でノーズクリップなしで有意な甘味の余韻の遮断効果も有する。
【0160】
図18は、種々のモデル混合物におけるグルコース-6-O-オレイル誘導体100ppmの甘味改変剤の特性を示す。これらのデータは、100ppmで、グルコース-6-O-オレイル誘導体が、95%でノーズクリップありで、SG95モデル系において有意な甘味の余韻の遮断効果を有することを示唆する。95%でグレープフルーツにおいて有意なフレーバー強度の遮断効果を有する。
【0161】
実施例4:収斂味の特性
散逸モニタリング付き水晶発振子マイクロバランス(QCM-D)は、表面上の薄膜をモニタリング及び特徴付けし、薄膜の形成、吸着、脱着、分子相互作用、反応及び構造の特性を含む表面現象を分析するためのリアルタイムのナノスケール技術である。このように、QCMは非常に感度の良い天秤として作用する。
【0162】
QCMセンサーは、一対の電極の間に挟まれた薄い石英ディスクからなる。水晶の圧電特性によって、その電極間にAC電圧を印加することにより水晶を励起して振動させることができる。通常、電極は金からなり、広範囲の種々の材料でコーティングできる。センサーの共振周波数(f)は、振動に結合された水を含む総振動質量に依存する。センサーに薄膜を取り付けに場合に、周波数が減少する。膜が薄く硬い場合に、周波数における減少は、膜の質量に比例する。周波数モニタリングは、吸着した膜の質量変化及び厚さについての情報を提供する。吸着したフィルムは、センサーの振動を減衰させる。センサーの振動の減衰又はエネルギー散逸(D)は、膜の柔らかさ(粘弾性)を示す。したがって、散逸は、吸着した膜の剛性に関係する。
【0163】
この技術を使用して、β-ラクトグロブリン層上に吸着したBWATラズベリー水膜の特性を分析し、得られた物理化学的データを前述の感覚データと比較した。β-ラクトグロブリンを、口腔内のタンパク質層を模倣するために使用した。
【0164】
測定を二回実施した。まずタンパク質層を水晶に吸着させた。平衡が得られたらすぐに、過剰なタンパク質層をミリポア水ですすいで均一なタンパク質単層を作成した。その後、ラズベリー水を、タンパク質層上で洗い流し、周波数の変化及びエネルギー散逸を10分の時間経過中に監視した。ミリポアでの最後のすすぎステップを実施した。
【0165】
収斂味/苦味調節剤としてのグルコース-6-O-オクタノエート(G6O)の役割を理解するために、次の溶液をそれらの吸着挙動について調査した。表15は、BWAT試験溶液(G6Oなし)、及びそれぞれG6O 200ppm及び1000ppmを有する2つのBWAT溶液のタンパク質層の質量吸収を示す。
【0166】
【表15】
【0167】
G6Oの存在下で、対照試料と比較してより高い質量吸着が観察されている。10分以上の質量吸着モニタリングにわたって、吸着された質量は再度洗い流され始める。G6O濃度が高いほど、洗い流された質量は少なくなる。
【0168】
これらデータを感覚評価と相関させると、G6Oの存在下で恒久的に結合した層が収斂味及び苦味の知覚に影響を与えると想定されうる:吸着した膜が厚く、タンパク質層に吸着した質量が大きいほど、収斂味のあるフレーバー成分の感覚の影響は小さくなる。
【0169】
感覚データとQCM-Dとの間の相関関係をここで最初に説明する。したがって、QCM-Dは、収斂味の評価の物理化学的アプローチを可能にする。
【0170】
追加の実施形態
G1. フレーバー増強化合物であって、糖部分及び酸部分を有する糖化合物の第一級アルコール残基のモノエステル誘導体である、フレーバー増強化合物。
【0171】
G2. 糖部分が、単糖部分又は二糖部分である、G1に記載のフレーバー増強化合物。
【0172】
G3. 糖部分が、単糖部分である、G2に記載のフレーバー増強化合物。
【0173】
G4. 糖部分が、ペントース部分又はヘキソース部分である、G3に記載のフレーバー増強化合物。
【0174】
G5. 糖部分が、ペントース部分である、G4に記載のフレーバー増強化合物。
【0175】
G6. 糖部分が、アラビノース部分、リキソース部分、リボース部分、キシロース部分、リブロース部分、キシルロース部分、又はデオキシリボース部分である、G5に記載のフレーバー増強化合物。
【0176】
G7. 糖部分が、ヘキソース部分である、G4に記載のフレーバー増強化合物。
【0177】
G8. 糖部分が、アロース部分、アルトロース部分、グルコース部分、マンノース部分、グロース部分、イドース部分、ガラクトース部分、タロース部分、プシコース部分、フルクトース部分、ソルボース部分、又はタガトース部分である、G7に記載のフレーバー増強化合物。
【0178】
G9. 糖部分が、グルコース部分である、G8に記載のフレーバー増強化合物。
【0179】
G10. 糖部分が、フルクトース部分、ソルボース部分、タガトース部分、プシコース部分、アロース部分、アルトロース部分、グルコース部分、マンノース部分、グロース部分、イドース部分、ガラクトース部分、又はタロース部分である、G3に記載のフレーバー増強化合物。
【0180】
G11. 糖部分が、D立体化学配置にある、G3からG10までのいずれかに記載のフレーバー増強化合物。
【0181】
G12. 糖部分が、L立体化学配置にある、G3からG10までのいずれかに記載のフレーバー増強化合物。
【0182】
G13. 酸部分が、C6-24脂肪酸部分である、G1からG12までのいずれかに記載のフレーバー増強化合物。
【0183】
G14. 酸部分が、ヘキサノエート部分、オクタノエート部分、デカノエート部分、9-デセノエート部分、10-ウンデセノエート部分、ドデカノエート部分、9-ドデセノエート部分、テトラデカノエート部分、ヘキサデカノエート部分、オクタデカノエート部分、オレエート部分、リノレエート部分、リノレネート部分、エイコサペンタエノエート部分、又はドコサヘキサエノエート部分である、G13に記載のフレーバー増強化合物。
【0184】
G15. 酸部分が、天然油の酸部分である、G1からG12までのいずれかに記載のフレーバー増強化合物。
【0185】
G16. 天然油が、植物油、海藻油、魚油、トール油、又は動物性脂肪である、G15に記載のフレーバー増強化合物。
【0186】
G17. 天然油が、ナタネ油(キャノーラ油)、ココナッツ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パームカーネル油、桐油、ジャトロファ油、マスタードシード油、ペニークレス油、カメリナ油、ヘンプシード油、又はヒマシ油である、G16に記載のフレーバー増強化合物。
【0187】
G18. 酸部分が、アセテート部分、ヘキサノエート部分、オクタノエート部分、デカノエート部分、オレエート部分、パルミテート部分、ヘキサデカノエート部分、ラウレート部分、ミリステート部分、バター油の脂肪酸部分、オリーブ油の脂肪酸部分、フェニルプロパノエート部分、シンナメート部分、カフェエート部分、ガレート部分、又はフェルレート部分である、G1からG12までのいずれかに記載のフレーバー増強化合物。
【0188】
G19. D-グルコース-6-O-アセテート、D-グルコース-6-O-ヘキサノエート、D-グルコース-6-O-オクタノエート、D-グルコース-6-O-デカノエート、D-グルコース-6-O-ラウレート、D-グルコース-6-O-ミリステート、D-グルコース-6-O-パルミテート、D-グルコース-6-O-オレエート、D-グルコース-6-O-3-フェニルプロパノエート、及びD-グルコース-6-O-シンナメートからなる群から選択される、G1に記載のフレーバー増強化合物。
【0189】
G20. D-グルコース-6-O-オクタノエートである、G1に記載のフレーバー増強化合物。
【0190】
G21. G1からG20のいずれかに記載の1つ以上のフレーバー増強化合物を含むフレーバー付与した物品。
【0191】
G22. フレーバー増強化合物が、フレーバー付与した物品の全質量に対して950ppm以下の濃度でフレーバー付与した物品に存在する、G21に記載のフレーバー付与した物品。
【0192】
G23. フレーバー増強化合物が、フレーバー付与した物品の全質量に対して50ppm~500ppmの範囲の濃度でフレーバー付与した物品に存在する、G22に記載のフレーバー付与した物品。
【0193】
G24. フレーバー付与した物品のフレーバープロフィールを改善するための方法であって、フレーバー付与した物品を準備すること、G1からG20のいずれかに記載のフレーバー増強化合物の1つ以上をフレーバー付与した物品に導入することを含む、前記方法。
【0194】
G25. フレーバー増強化合物を、フレーバー付与した物品の全質量に対して950ppm以下の濃度でフレーバー付与した物品に導入することを含む、G24に記載の方法。
【0195】
G26. フレーバー増強化合物を、フレーバー付与した物品の全質量に対して50ppm~500ppmの範囲の濃度でフレーバー付与した物品に導入することを含む、G24に記載の方法。
【0196】
G27. フレーバー付与した物品のフレーバープロフィールを改善するための方法であって、フレーバー付与した物品を製造するための1つ以上の成分を含む混合物を準備すること、G1からG20のいずれかに記載のフレーバー増強化合物の1つ以上を該混合物に導入して、フレーバー増強混合物を形成すること、及びフレーバー増強混合物を使用してフレーバー付与した物品を形成することを含む、前記方法。
【0197】
G28. フレーバー増強化合物を、フレーバー増強混合物の全質量に対して950ppm以下の濃度で混合物に導入することを含む、G27に記載の方法。
【0198】
G29. フレーバー増強化合物を、フレーバー増強混合物の全質量に対して50ppm~500ppmの範囲の濃度で混合物に導入することを含む、G27に記載の方法。
【0199】
G30. ヒト被験者においてフレーバー付与した物品のフレーバー知覚を改善するための方法であって、フレーバー付与した物品をヒト被験者に投与することを含み、その際、フレーバー付与した物品は、G1からG20のいずれかに記載のフレーバー増強化合物の1つ以上を含む、前記方法。
【0200】
G31. フレーバー増強化合物が、フレーバー付与した物品の全質量に対して950ppm以下の濃度でフレーバー付与した物品に存在する、G30に記載の方法。
【0201】
G32. フレーバー増強化合物が、フレーバー付与した物品の全質量に対して50ppm~500ppmの範囲の濃度でフレーバー付与した物品に存在する、G30に記載の方法。
【0202】
G33. 人工甘味料のオフノートを低減又は遮断するための方法であって、人工甘味料を含む組成物を準備すること、G1からG20のいずれかに記載のフレーバー増強化合物の1つ以上を該組成物に導入することを含む、前記方法。
【0203】
G34. フレーバー増強化合物を、組成物の全質量に対して950ppm以下の濃度で組成物に導入することを含む、G33に記載の方法。
【0204】
G35. フレーバー増強化合物を、組成物の全質量に対して50ppm~500ppmの範囲の濃度で組成物に導入することを含む、G33に記載の方法。
【0205】
G36. 人工甘味料が、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ステビオールグリコシド(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドD、又はレバウジオシドM)、モグロシド、又はそれらの任意の組み合わせである、G33からG35のいずれかに記載の方法。
【0206】
G37. ヒト被験者において人工甘味料のオフノート知覚を低減又は遮断するための方法であって、組成物を被験者に投与することを含み、その際、組成物は、G1からG20のいずれかに記載のフレーバー増強化合物の1つ以上及び人工甘味料を含む、前記方法。
【0207】
G38. フレーバー増強化合物が、組成物の全質量に対して950ppm以下の濃度で組成物に存在する、G37に記載の方法。
【0208】
G39. フレーバー増強化合物が、組成物の全質量に対して50ppm~500ppmの範囲の濃度で組成物に存在する、G37に記載の方法。
【0209】
G40. 人工甘味料が、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ステビオールグリコシド(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドD、又はレバウジオシドM)、モグロシド、又はそれらの任意の組み合わせである、G37からG39のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図13
図14
図15
図16
図17
図18