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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】自動排水装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/07 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
E03B7/07 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021047174
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146289
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】小仲 正純
(72)【発明者】
【氏名】魚津 颯二郎
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-198033(JP,A)
【文献】特開2013-170376(JP,A)
【文献】特開2012-237156(JP,A)
【文献】特開2019-065694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 7/07
7/08
7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上水道の水道本管から排水系までの捨水配管に介設される接続配管と、その接続配管の途中に組み込まれる電磁弁とをユニット化した配管ユニットを備え、自動的に上水道の水を排水系に捨水する自動排水装置の操作方法において、
前記自動排水装置の設置地点の近傍で携帯可能な計算機により排水の内容を示す条件の計算を行い、計算した排水の内容を示す条件に基づいて自動排水装置を作動させることを特徴とする自動排水装置の操作方法。
【請求項2】
前記計算機で計算される排水の内容を示す条件が、排水実施時間および排水インターバルを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動排水装置の操作方法。
【請求項3】
前記排水実施時間は、前記自動排水装置が設置される管路の水圧と自動排水装置の単位時間あたりの排水流量との関係の実測データに基づいて計算されることを特徴とする請求項2に記載の自動排水装置の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水道の捨水配管の途中に設けられ、自動的に上水道の水を捨水する自動排水装置の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上水道の水(以下、「水道水」ともいう。)は、浄水場で注入された塩素が配水管網全体で一定濃度以上の残留塩素として保持されることにより、安全性が確保されている。しかし、近年では、人口の減少や節水機器の普及、ライフスタイルの変化等により水道水の需要量は減少傾向にあり、上水道の管路末端部等における水道水の滞留による水質劣化(具体的には、残留塩素の濃度低下)が問題となっている。
【0003】
水道水の水質劣化に対する対策として、多くの事業体では、水道本管の管路末端部や管網の滞留部等から排水溝等の排水系まで捨水配管を設け、捨水、すなわち捨水配管から排水系への常時排水や、捨水配管に設けた排水バルブの開閉による定期的な排水を行っている。しかし、常時排水の場合は無収水量の増加や水資源の損失が問題となり、定期的排水の場合は、事業体の職員が排水バルブの設置場所に赴いて排水バルブの開閉作業を行う必要があるため、職員の労務負担の問題がある。
【0004】
これに対して、捨水配管の途中に、電磁弁等の排水バルブと、その排水バルブの開閉をタイマ等で制御するコントローラとを備えた自動排水装置を設置し、任意のタイミングで自動的に捨水を行えるようにして、適正な水質を維持しつつ、無収水量の削減と労務負担の低減を図ることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
しかしながら、上記のような自動排水装置は、比較的大きな設置スペースを必要とし、構成部品も多いため、設置コストが高く、設置場所での組み立てにも手間がかかる。
【0006】
そこで、本発明者らは、上水道の水道本管から排水系までの捨水配管に介設される接続配管と、その接続配管の途中に組み込まれる電磁弁とをユニット化した配管ユニットを備えた自動排水装置を提案した(特願2020-27832)。この自動排水装置では、接続配管と電磁弁がユニット化されているので、従来のものに比べて、装置全体が小型化されて設置スペースが少なくてすみ、設置作業も容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-221762号公報
【文献】特開2013-170376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記のように接続配管と電磁弁をユニット化して、設置作業が容易に行えるようにした自動排水装置においても、使用時の排水実施時間や排水インターバル等の排水条件の設定には時間と手間を要するという問題が残されていた。
【0009】
すなわち、自動排水装置の排水条件は、水質を維持しつつ、排水量ができるだけ少なくなるように設定する必要があるが、水道管路内の残留塩素濃度の減少速度は水温によって変化するため、夏季と冬季では水質を維持するのに適正な条件が異なる。また、近年では気候変動の影響により、一度設定した条件が適正でなくなる場合もある。そのため、排水条件は使用環境の変化に応じて適時設定変更する必要がある。
【0010】
そして、排水条件の設定には、自動排水装置の設置場所で試行錯誤的に条件を絞り込んでいく方法がとられていたため、排水条件の設定変更が必要となるごとに、条件の絞り込み作業に多くの時間と手間がかかっていた。
【0011】
そこで、本発明は、接続配管と電磁弁とをユニット化した自動排水装置における排水条件の設定を容易に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明は、上水道の水道本管から排水系までの捨水配管に介設される接続配管と、その接続配管の途中に組み込まれる電磁弁とをユニット化した配管ユニットを備え、自動的に上水道の水を排水系に捨水する自動排水装置の操作方法において、前記自動排水装置の設置地点の近傍で携帯可能な計算機により排水条件の計算を行い、計算した排水条件に基づいて自動排水装置を作動させるようにした。
【0013】
すなわち、自動排水装置に設定する排水条件を計算によって求めるようにすることにより、従来の試行錯誤的な条件の絞り込み作業をなくすとともに、その計算に携帯可能な計算機を用いることにより、自動排水装置の設置地点の近傍で排水条件を計算し、計算した排水条件をその場で自動排水装置に設定して、すぐに新たな排水条件で自動排水装置を作動させることができるようにしたのである。
【0014】
上記の構成において、前記計算機で計算される排水条件としては、排水実施時間および排水インターバルを含むようにするとよい。
【0015】
また、前記排水実施時間は、前記自動排水装置が設置される管路の水圧と自動排水装置の単位時間あたりの排水流量との関係の実測データに基づいて計算されるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自動排水装置の操作方法は、上述したように、捨水配管に介設される接続配管と電磁弁をユニット化して、設置スペースが少なくてすみ、手間をかけずに設置できるようにした自動排水装置において、その設置地点の近傍で携帯可能な計算機により排水条件の計算を行うようにしたものであるから、排水条件の設定変更が必要となったときに、従来のような試行錯誤的な条件の絞り込み作業を行うことなく、効率よく排水条件の設定を行うことができ、すぐに新たな排水条件で自動排水装置を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の対象となる自動排水装置の設置状態の説明図
図2図1の自動排水装置を収納容器に収納した状態の外観斜視図
図3図2の自動排水装置の外観斜視図(収納容器の本体部を除いた状態)
図4図3の自動排水装置の配管ユニットの外観斜視図
図5図4の平面図
図6】本発明の対象となる別の自動排水装置の設置状態の説明図
図7図6の平面図(マンホール蓋および地層を除いた状態)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の対象となる自動排水装置1の設置状態を示す。この自動排水装置1は、外形が略直方体状の収納容器としての量水器ボックス2に収納された状態で、上水道の水道本管3の管路末端部等から排水系としての排水溝4までの捨水配管5の途中に設けられて、後述するように自動的に水道水を排水溝4に捨水するものである。
【0019】
前記水道本管3の管路末端部および捨水配管5は地中に埋設されており、量水器ボックス2も上面を地表に露出させた状態で埋設されている。なお、捨水配管5は、サドル付き分水栓6を介して水道本管3と接続されている。
【0020】
前記量水器ボックス2は、一般家庭用の小型のもので、図2および図3に示すように、2つの枠部材を上下に重ねた本体部2aと底板2bとが別体に形成されており、本体部2aを取り除いた状態で底板2b上に自動排水装置1を配置した後、本体部2aをかぶせて底板2bと一体化することにより、自動排水装置1が収納されるようになっている。また、本体部2aの上面に設けた蓋2cを開けることにより、収納した自動排水装置1のメンテナンスを行うことができる。なお、本体部2aと底板2bとの間には、自動排水装置1の捨水配管5との接続部を通す開口が設けられているが、その開口は自動排水装置1の接続部の周囲が土止め板2dで塞がれて、量水器ボックス2の埋設時に土等が内部に入り込まないようになっている。
【0021】
また、図3乃至図5に示すように、この自動排水装置1は、接続配管11とその途中に組み込まれる逆止弁付き止水栓12、採水バルブ13、量水器14および電磁弁15を予め組み立てた状態でユニット化した配管ユニット16と、コントローラボックス17とを備えている。その電磁弁15およびコントローラボックス17は、JIS規格における保護等級でのIP67に相当する防塵防水性能を有している。また、図示は省略するが、コントローラボックス17には、電磁弁15を制御するコントローラと、そのコントローラへ電力を供給する電源部が内蔵されている。そして、接続配管11の上流端および下流端の接続部11a、11bをそれぞれ量水器ボックス2の左右の側面の底部近傍から突出させた状態で、量水器ボックス2内に配置されるようになっている。
【0022】
前記配管ユニット16は、接続配管11の上流側(図中の右側)の接続部11aが捨水配管5の水道本管3側の管路に接続され、下流側(図中の左側)の接続部11bが捨水配管5の排水溝4側の管路に接続されるようになっている。
【0023】
接続配管11は、両接続部11a、11bの間の部分が、上流側の接続部11aから平面視で略矩形を描くように折れ曲がったうえ、その矩形のわずかに上方を通って下流側の接続部11bにつながっており、その途中に上流側から順に逆止弁付き止水栓12、採水バルブ13、量水器14および電磁弁15が組み込まれている。
【0024】
また、前記コントローラボックス17は、図3に示すように、配管ユニット16の上方で採水バルブ13と接触しない位置にやや傾いた姿勢で配置されている。なお、コントローラボックス17は、量水器ボックス2内に収納できればその配置位置に制約はない。そして、コントローラボックス17内のコントローラが、タイマ制御により後述する所定の排水条件で電磁弁15を開閉して、水道本管3の管路末端部の水道水を排水溝4に捨水するようになっている。
【0025】
この自動排水装置1は、上述したように、捨水配管5に介設される接続配管11と、逆止弁付き止水栓12、採水バルブ13、量水器14および電磁弁15をユニット化して装置全体を小型化するとともに、電磁弁15およびコントローラボックス17に高い防塵防水性能を付与しているので、設置スペースが少なくてすみ、小型の量水器ボックス2に収納して地中に設置することができる。また、施工現場では、組み立ての手間が少なく、量水器ボックス2に収納して捨水配管5と接続するだけで設置することができる。したがって、従来の装置に比べると、施工時の設置工事費を低減でき、設置作業も容易に行うことができる。さらに、設置場所の制約が少ないので、従来の装置では設置が困難であった場所にも設置できる可能性が高い。
【0026】
また、配管ユニット16には、電磁弁15の上流側に逆止弁付き止水栓12を組み込んでいるので、その逆止弁が水道本管3と排水溝4のクロスコネクションを防止する役割を果たし、電磁弁15が開いたまま故障した際も排水溝4からの逆流による水道本管3内の汚染を防止できるし、電磁弁15のメンテナンスや交換の際には、止水栓で水道水の電磁弁15への流入を止めた状態で作業を行うことができる。しかも、その逆止弁と止水栓とが一体化されているので、部品点数が少なく、装置全体の大型化が抑えられている。
【0027】
また、接続配管11の途中に採水バルブ13が組み込まれているので、水道本管3の管路末端部の水質検査を行う際に、検査員が捨水配管5の排水口に行かずとも自動排水装置1の採水バルブ13から採水でき、採水作業にかかる手間が少ない。
【0028】
また、接続配管11の途中に量水器14が組み込まれているので、捨水時の自動排水装置1の動作確認と排水流量の管理を行うことができる。
【0029】
なお、配管ユニット16における逆止弁付き止水栓12、採水バルブ13、量水器14および電磁弁15の配置は、電磁弁15の上流側に逆止弁付き止水栓12を組み込むことを除いて、任意に変更することができるし、採水バルブ13と量水器14のいずれか一方または両方を省略することもできる。そして、採水バルブや量水器を省略する場合には、あいたスペースにほかの機器を組み込むこともできる。
【0030】
また、自動排水装置1の上流側の捨水配管5は、実施形態ではサドル付き分水栓6を介して水道本管3と接続されているが、その他の方法で水道本管3と接続してもよい。その他の接続方法としては、例えば、呼び径の小さい水道本管の場合に、その管路の末端部を縮径して直接接続する方法や、管路にT字管を設けて分岐させた部分と接続する方法がある。
【0031】
さらに、上記の実施形態では、自動排水装置1を一般家庭用の量水器ボックス2に収納して地中に設置したが、自動排水装置を収納する収納容器は量水器ボックスに限らない。また、自動排水装置の設置場所は地上とすることもでき、その場合の電磁弁やコントローラボックスの防塵防水性能は実施形態ほど高いものでなくてもよい。
【0032】
次に、この自動排水装置1における排水条件の設定方法について説明する。この実施形態では、排水条件として排水実施時間と排水インターバルを計算機で計算して設定する。排水条件の設定にあたっては、予め、自動排水装置1が設置される管路について、滞留管路延長、管路の水圧、滞留していないときの残留塩素濃度および滞留開始からの時間と残留塩素濃度との関係の情報を確認する。なお、これらの情報がすでに明らかな場合には、あらためて確認しなくてもよい。
【0033】
排水条件の算出は以下のようにして行う。まず、滞留している管路延長(L)相当分の管内水量(W)は、管路の内径をDとすると下記(1)式で表される。
W=L×π×D/4 ・・・(1)
そこで、滞留水を確実に排水するために、(1)式で求めた管内水量(W)の2倍を1回あたりの排水量とする。
【0034】
上記の排水量(2×W)の排水を行うために必要な排水実施時間(A)は、自動排水装置1の単位時間あたりの排水流量をQとすると、下記(2)式により求められる。
A=2×W/Q ・・・(2)
ここで、自動排水装置1は内蔵された電磁弁15で流量調整が可能であるが、基本的に電磁弁15は全開状態で運用されるので、自動排水装置1が設置される管路の水圧と電磁弁15を全開とした状態の単位時間あたりの排水流量との関係を予め実測しておき、その実測データに基づいて決定した排水流量(Q)を上記(2)式に適用して、排水実施時間(A)を求める。
【0035】
続いて、管路の残留塩素濃度を適切に維持するための排水インターバル(I)の計算を行う。その残留塩素濃度(C)と経過時間すなわち滞留時間(t)の関係は、一般に下記(3)式で表される。
C=C×e-k・t ・・・(3)
ここで、Cは初期残留塩素濃度、kは残留塩素濃度減少速度係数であり、その残留塩素濃度減少速度係数(k)には、(公財)水道技術研究センターが発行している「管路内残留塩素濃度管理マニュアル(技術レポートNo.31)」に示されているもの(下記表1)が用いられる。
なお、管路のCおよびtとCとの関係がすでに分かっている場合は、それらを(3)式に代入することにより、表1を用いずに管路の実態に即したkを求めることができる。
【0036】
【表1】
【0037】
上記(3)式において、残留塩素濃度(C)が管理目標値(C)まで低下するのに要する時間(t)を排水インターバル(I)とすればよい。したがって、排水インターバル(I)は、下記(4)式により求められる。
I=ln(C/C)/(-k) ・・・(4)
【0038】
なお、排水インターバル(I)は、夏季と夏季以外について別々に設定するようにし、それぞれ該当する期間の平均水温等を用いる。この実施形態では、夏季を7~9月の3カ月間としているが、環境条件等に応じて任意に設定することができる。
【0039】
そして、実際の操作としては、上記の排水条件の計算を、自動排水装置1の設置地点の近傍でタブレット端末やノートパソコン等の携帯可能な計算機によって行い、計算した排水条件を自動排水装置1のコントローラに入力して設定し、設定した排水条件に基づいて自動排水装置1を作動させるようにしている。
【0040】
この自動排水装置1の操作方法は、上述したように、排水条件を計算によって求めるようにしたので、排水条件の設定変更が必要となったときに、従来のような試行錯誤的な条件の絞り込み作業を行うことなく、効率よく排水条件の設定を行うことができ、水質維持業務における労務負担の低減に寄与することができる。また、その排水条件の計算を携帯可能な計算機で行うようにしたので、装置設置地点の近傍で計算した排水条件をその場で自動排水装置に設定して、すぐに新たな排水条件で自動排水装置1を作動させることができる。したがって、水温や初期残留塩素濃度等の急激な変化が生じた際にも、状況に応じた迅速な対応が可能である。
【0041】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0042】
例えば、排水条件の項目や計算方法は、実施形態のものに限らず、自動排水装置の設置場所に適した検討条件がある場合や、新たな知見が得られたような場合には、それらの条件や情報を自由に反映させることができる。
【0043】
また、本発明が対象とする自動排水装置は、接続配管と電磁弁とをユニット化した配管ユニットを備えたものであり、図1乃至図5のような量水器ボックスに収納されるものに限らない。
【0044】
例えば、図6および図7に示した自動排水装置7は、コントローラボックス17の配置および接続配管11の両側の接続部11a、11bを下向きにした点以外は図1乃至図5に示したものとほぼ同じ構成でマンホール8内に収納されており、その接続配管11の両接続部11a、11bをマンホール8の底版8aの開口部から引き込まれた捨水配管5の水道本管3側および排水溝4側の管路に接続することにより、マンホール8の側壁8bへの穿孔を不要としたものである。このようにマンホールに収納される自動排水装置にも、もちろん本発明を適用することができる。
【0045】
また、各実施形態の自動排水装置は、装置全体の小型化のために逆止弁付き止水栓を用いているが、逆止弁と止水栓を別々に接続配管の途中に組み込むようにしてもよい。
【0046】
そして、本発明が対象とする自動排水装置は、水道水の水質劣化防止を目的として、水道本管の管路末端部や管網中で水の滞留が生じる箇所から排水系までの捨水配管の途中に設置するものであるが、ほかの目的で設置される自動排水装置の操作方法に本発明を適用することも考えられる。
【0047】
本発明の適用が考えられる自動排水装置としては、例えば、夏期等の水温が上昇する時間帯に自動で排水するように設定することにより、温かい水を排水して上流側の冷たい水を引き込み、冷たくておいしい水を需要者に供給できるようにしたものや、寒冷地で、冬期夜間の凍結防止のためにやむなく常時排水している場所において、凍結のおそれのある夜間のみに自動で排水するように設定することにより、排水量を削減できるようにしたものがあげられる。
【符号の説明】
【0048】
1、7 自動排水装置
2 量水器ボックス(収納容器)
3 水道本管
4 排水溝(排水系)
5 捨水配管
8 マンホール
11 接続配管
12 逆止弁付き止水栓
13 採水バルブ
14 量水器
15 電磁弁
16 配管ユニット
17 コントローラボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7