特許 7507740 オートバイ用エアバッグ装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-06-20

(45)【発行日】2024-06-28

(54)【発明の名称】オートバイ用エアバッグ装置

(51)【国際特許分類】

   B62J 27/20 20200101AFI20240621BHJP

【ＦＩ】

B62J27/20

【請求項の数】 8

(21)【出願番号】P 2021199631

(22)【出願日】2021-12-08

(65)【公開番号】P2023085131

(43)【公開日】2023-06-20

【審査請求日】2023-07-05

(73)【特許権者】

【識別番号】503358097

【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー

(74)【代理人】

【識別番号】100114557

【弁理士】

【氏名又は名称】河野 英仁

(74)【代理人】

【識別番号】100078868

【弁理士】

【氏名又は名称】河野 登夫

(74)【代理人】

【識別番号】100098143

【弁理士】

【氏名又は名称】飯塚 雄二

(72)【発明者】

【氏名】土生 優

(72)【発明者】

【氏名】村上 翔

【審査官】中島 昭浩

(56)【参考文献】

【文献】国際公開第２０１９／２０７７７５（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２００１－２１９８８４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－３１２５６８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－１０４１５３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００３－２３７６６２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００６－２９８１５４（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６２Ｊ ２７／２０

Ｂ６０Ｒ ２１／１６ － ２１／３３

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

ウィンドシールドを有するオートバイに搭載され、乗員を保護するオートバイ用エアバッグ装置であって、
前記ウィンドシールドの下部近傍に配置され、膨張ガスを発生するガス発生器と、
前記膨張ガスによって、ハンドルの前方で前記ウィンドシールドの内面に接触して膨張・展開するエアバッグとを備え、
前記エアバッグは、前記ウィンドシールドの左側に位置する左側チャンバと、前記ウィンドシールドの右側に位置する右側チャンバとを有し、
前記ガス発生器からの膨張ガスを前記エアバッグに導くガイド部材を更に備え、
前記ガイド部材は、一端が前記ガス発生器に連結され、他端が前記左側チャンバと前記右側チャンバとに連結されるＹ字状の流路を形成する
オートバイ用エアバッグ装置。

【請求項2】

ウィンドシールドを有するオートバイに搭載され、乗員を保護するオートバイ用エアバッグ装置であって、
前記ウィンドシールドの下部近傍に配置され、膨張ガスを発生するガス発生器と、
前記膨張ガスによって、ハンドルの前方で前記ウィンドシールドの内面に接触して膨張・展開するエアバッグとを備え、
前記エアバッグは、前記ウィンドシールドの左側に位置する左側チャンバと、前記ウィンドシールドの右側に位置する右側チャンバとを有し、
前記エアバッグを収容し、当該エアバッグの展開に伴って開裂するエアバッグケースを備え、
前記エアバッグケースは、前記ウィンドシールドの左縁部に沿って配置され、前記エアバッグの前記左側チャンバを収容する左側ケースと、前記ウィンドシールドの右縁部に沿って配置され、前記エアバッグの前記右側チャンバを収容する右側ケースとを含む
オートバイ用エアバッグ装置。

【請求項3】

前記エアバッグケースは、前記ウィンドシールドの下端から上端まで延びる
請求項２に記載のオートバイ用エアバッグ装置。

【請求項4】

前記エアバッグケースは、前記ウィンドシールドの下端から、上端に達するまでの中間部分まで延びる
請求項２に記載のオートバイ用エアバッグ装置。

【請求項5】

前記左側チャンバと前記右側チャンバとの間には非膨張部が形成される
請求項１から請求項４のいずれか１項に記載のオートバイ用エアバッグ装置。

【請求項6】

前記左側チャンバと前記右側チャンバの境界部分には空間が形成される
請求項１から請求項５のいずれか１項に記載のオートバイ用エアバッグ装置。

【請求項7】

前記空間において、上部は、下部よりも幅が狭い
請求項６に記載のオートバイ用エアバッグ装置。

【請求項8】

前記ガス発生器を概ね水平な状態で収容するインフレータボックスを更に備えた
請求項１から請求項７のいずれか１項に記載のオートバイ用エアバッグ装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、オートバイに搭載されるオートバイ用エアバッグ装置に関する。

【背景技術】

【0002】

自動車（４輪車）においては、事故発生時に乗員を保護するために、１つまたは複数のエアバッグを装備することが標準的になりつつある。近年では更に、オートバイ（２輪車）にエアバッグ装置を搭載することが、提案され、実用化されている。

【0003】

自動車に搭載されるエアバッグ装置においては、ステアリングホイールやインストルメントパネル等を展開したエアバッグの支持面（反力面）として利用することができるため、エアバッグの展開挙動及び展開姿勢を安定させることが比較的容易である。これに対して、オートバイに搭載されるエアバッグは、展開したエアバッグを支持する部分が少なく、エアバッグの展開挙動、展開姿勢を安定させることが課題である。

【0004】

また、オートバイは自動車に比べてエアバッグ装置を収容するスペースが限られるため、エアバッグ装置の設置位置によっては、展開したエアバッグがハンドルに干渉して、展開挙動が不安定となったり、乗員に傷害を与えたりする恐れがあった。

【発明の開示】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、展開挙動及び展開姿勢の安定化に寄与する、オートバイ用エアバッグ装置を提供することを目的とする。

【0006】

本発明の他の目的は、展開したエアバッグのハンドルへの干渉を抑制するとともに、乗員の加害性を低減させることが可能なオートバイ用エアバッグ装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記目的を達成するために、本発明は、ウィンドシールドを有するオートバイに搭載され、乗員を保護するオートバイ用エアバッグ装置であって、前記ウィンドシールドの下部近傍に配置され、膨張ガスを発生するガス発生器と；前記膨張ガスによって、ハンドルの前方で前記ウィンドシールドの内面に接触して膨張・展開するエアバッグと；を備える。

【0008】

ここで、「乗員を保護する」とは、少なくとも、衝突によって乗員が前方に投げ出されるのを抑制すること、すなわち前方への移動を拘束することと、乗員の頭部が自分のオートバイの前方部分に衝突するのを防ぐことを含む。

【0009】

また、「ウィンドシールド」とは、「風防」、「ウィンドスクリーン」、「メーターバザー」等と称することができ、乗員の前方において、オートバイのヘッドライトやハンドル等の他の構造部よりも上方に延びる、板状の部材であり、透明、半透明、不透明の場合がある。

【0010】

また、「ウィンドシールドの内面に接触して」とは、ウィンドシールドに沿って展開後も接触する場合の他、展開の途中で一時的に接触する場合も含む意味である。

【0011】

なお、以下の説明において、オートバイの進行方向を「前方」、その反対方向を「後方」と称し、座標の軸を示すときは「前後方向」と言う。また、進行方向に対して右側を「右方向」、左側を「左方向」と称し、座標の軸を示すときは「左右方向」と言う。更に、垂直上方を「上方」、垂直下方を「下方」と称し、座標の軸を示すときは「上下方向」と言う。

【0012】

上記のような構成の本発明によれば、ウィンドシールドの下部近傍からエアバッグが上方に向かって、ウィンドシールドの内面に接触して展開することになるため、展開時にエアバッグがハンドルに干渉することがない。そのため、エアバッグの展開挙動、展開姿勢、展開形状が安定する。また、エアバッグはハンドルよりも前方で展開するため、展開初期の段階でエアバッグが乗員に直接的に過大な圧力を加えることがなく、乗員への加害性を抑制することが可能となる。更に、エアバッグが展開する際にウィンドシールドが反力面となり得るため、エアバッグに乗員が進入したときに、乗員を確実に支持・拘束することが可能となる。

【0013】

前記エアバッグは、前記ウィンドシールドの左側に位置する左側チャンバと、前記ウィンドシールドの右側に位置する右側チャンバとを有する構成とすることができる。

【0014】

上記のように、エアバッグを左右に分割することにより、エアバッグをウィンドシールドの左右縁部に収容することができ、エアバッグ装置が作動していない状況で、ウィンドシールドを通した視界を大きく確保することができる。

【0015】

前記左側チャンバと前記右側チャンバとの間に、非膨張部を形成することができる。

【0016】

前記左側チャンバと前記右側チャンバの境界部分に空間を形成することができる。

【0017】

ここで、「空間」は、乗員の頭部よりも十分に小さいことが好ましい。空間が大きすぎると、乗員の頭部がウィンドシールドに直接衝突する恐れがあるためである。

【0018】

また、エアバッグの展開時に左右のチャンバの境界部分に空間を設けることにより、エアバッグの展開挙動、展開形状が安定することになる。仮に、左右のチャンバ同士がウィンドシールドの中央付近で接触すると、エアバッグの中央付近が乗員側に湾曲する恐れがある。

【0019】

前記インフレータからの膨張ガスを前記エアバッグに導くガイド部材を更に備えることができる。

【0020】

前記ガイド部材は、一端（入力側又は上流側）が前記インフレータに連結され、他端（出力側又は下流側）が前記左側チャンバと前記右側チャンバとに連結されるＹ字状の流路を形成する構造とすることができる。

【0021】

前記エアバッグを収容し、当該エアバッグの展開に伴って開裂するエアバッグケースを備えることができる。

【0022】

前記エアバッグケースは、前記ウィンドシールドの左縁部に沿って配置され、前記エアバッグの前記左側チャンバを収容する左側ケースと；前記ウィンドシールドの右縁部に沿って配置され、前記エアバッグの前記右側チャンバを収容する右側ケースとを含むことができる。

【0023】

前記エアバッグケースは、前記ウィンドシールドの下端から上端まで延びる構成とすることができる。

【0024】

このような構成とすることにより、ウィンドシールド全体を速やかにエアバッグで覆うことが可能となる。

【0025】

前記エアバッグケースは、前記ウィンドシールドの下端から、上端に達するまでの中間部分まで延びる構成とすることができる。

【0026】

このような構成とすることにより、エアバッグケースによってウィンドシールドが覆われて視界を妨げる面積を小さくすることができる。特に、ウィンドシールドの上方部分は乗員の視野に入りやすい部分である。

【0027】

前記エアバッグは、単一のチャンバによって形成されることができる。左右一対のチャンバを使用する場合に比べ、構造を簡素化することが可能となる。

【0028】

前記インフレータを概ね水平な状態で収容するインフレータボックスを更に備えることができる。例えば、シリンダー状（筒状）のインフレータを使用する場合には、インフレータを水平な状態で収容すれば、垂直な状態で収容する場合に比べて、収容スペースの自由度が増すことになる。

【0029】

本発明は、あらゆるタイプのオートバイに適用可能である。例えば、スクーター、アドベンチャー、ツアラー、スポーツツアラー、スクラブラー、クラシック（レトロ）、アメリカン（クルーザー）、ネイキッド、ストリートファイター、オフロード・スーパーモタード、スーパースポーツ、ストリート、ミニバイク、３輪トライク、４輪バギー等が含まれる。

【図面の簡単な説明】

【0030】

【図1】図１は、本発明に係るオートバイ用エアバッグ装置を装備したオートバイを示す側面図であり、当該装置が作動していない状態を示す。

【図2】図２は、本発明に係るオートバイ用エアバッグ装置を装備したオートバイを示す側面図であり、衝突によって当該装置が作動した状態を示す。

【図3】図３は、本発明の第１実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置の構成を示す正面図であり、当該装置が作動する前の状態を示す。

【図4】図４（Ａ）は、図３のＡ－Ａ方向の概略断面図である。同図（Ｂ）は、同一箇所においてエアバッグが展開した状態を示す概略断面図である。

【図5】図５は、本発明の第１実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置の構成を示す正面図であり、当該装置が作動した状態を示す。

【図6】図６は、本発明の第１実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置が作動した状態を示すものであり、ハンドル等の構造部との位置関係を示す。

【図7】図７は、本発明の第２実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置の構成を示す正面図であり、当該装置が作動する前の状態を示す。

【図8】図８は、本発明の第３実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置が作動した状態を示す正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0031】

以下、本発明に係るオートバイ用エアバッグ装置について、添付図面に基づいて説明する。

【0032】

図１及び図２は、本発明に係るオートバイ用エアバッグ装置を装備したオートバイを示す側面図であり、当該装置が作動していない状態（図１）と、衝突によって当該装置が作動した状態（図２）を示す。

【0033】

本発明に係るオートバイ用エアバッグ装置は、ウィンドシールド１２を有するオートバイに搭載され、乗員Ｒを保護するものであり、ウィンドシールド１２の下部近傍に配置され、膨張ガスを発生するガス発生器１４と；膨張ガスによって、ハンドル１８の前方でウィンドシールド１２の内面に接触して膨張・展開するエアバッグ１６とを備えている。

【0034】

（第１実施例）
図３は、本発明の第１実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置の構成を示す正面図であり、当該装置が作動する前の状態を示す。図４（Ａ）は、図３のＡ－Ａ方向の概略断面図である。同図（Ｂ）は、同一箇所においてエアバッグが展開した状態を示す概略断面図である。図５は、本発明の第１実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置の構成を示す正面図であり、当該装置が作動した状態を示す。図６は、本発明の第１実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置が作動した状態を示すものであり、ハンドル等の構造部との位置関係を示す。

【0035】

図３に示すように、ウィンドシールド１２は下端から中間部分までは左右外側に広がり、中間部分から上端にかけて左右の幅が狭まるような形状となっている。図３において、インフレータ１４の実際の収容状態は、下図のように概ね水平姿勢を保つようになっている。

【0036】

図５に示すように、エアバッグ１６は、ウィンドシールド１２の左側に位置する左側チャンバ１６Ｌと、ウィンドシールド１２の右側に位置する右側チャンバ１６Ｒとから構成されている。これら一対のチャンバ１６Ｌ，１６Ｒは、バッグとして独立している。

【0037】

図５に示すように、左側チャンバ１６Ｌと右側チャンバ１６Ｒの境界部分、すなわちウィンドシールド１２の左右中央付近には空間（隙間）１６Ｘが形成されている。空間１６Ｘは、乗員Ｒの頭部が進入しやすい上部では幅が狭く、乗員の頭部よりも十分に小さくなっている。この部分での空間が大きすぎると、乗員Ｒの頭部がウィンドシールドに直接衝突する恐れがある。一方、空間１６Ｘの下部は、上部に比べて面積が大きくなっており、エアバッグ１６全体の容量を最小限に抑えることができる。

【0038】

更に、エアバッグ１６の展開時に左右のチャンバ１６Ｌ，１６Ｒの境界部分に空間１６Ｘを設けることにより、エアバッグ１６の展開挙動、展開形状が安定することになる。仮に、左右のチャンバ１６Ｌ，１６Ｒ同士がウィンドシールド１２の中央付近で接触すると、エアバッグ１６の中央付近が乗員側に湾曲する恐れがある。

【0039】

図３及び図５に示すように、インフレータ１４からの膨張ガスをエアバッグ１６に導くガイド部材２０が設けられている。ガイド部材２０は、一端２０ａがインフレータ１４に連結され、他端２０Ｌ，２０Ｒが左側チャンバ１６Ｌと右側チャンバ１６Ｒとに連結されるＹ字状の流路を形成する。そして、インフレータ１４から放出される膨張ガスが、左側チャンバ１６Ｌと右側チャンバ１６Ｒに均等に分配されることになる。

【0040】

図３及び図４に示すように、本実施例に係るエアバッグ装置は、エアバッグ１６を収容し、当該エアバッグ１６の展開に伴って開裂するエアバッグケース２２Ｌ，２２Ｒを備えている。

【0041】

エアバッグケース２２Ｌ，２２Ｒは、ウィンドシールド１２の左縁部に沿って配置され、エアバッグ１６の左側チャンバ１６Ｌを収容する左側ケース２２Ｌと；ウィンドシールド１２の右縁部に沿って配置され、エアバッグ１６の右側チャンバ１６Ｒを収容する右側ケース２２Ｒとから構成されている。

【0042】

図４に示すように、エアバッグケース２２Ｌ，２２Ｒは、樹脂等によって三角筒状に成形されており、エアバッグ１６の膨張に伴って内側縁部が開裂するようになっている。この開裂箇所は、他の箇所よりも脆弱に成形されている。なお、エアバッグケース２２Ｌ，２２Ｒの形状は、三角筒状以外にも、四角筒状や円筒状とすることもできる。

【0043】

図３に示すように、本実施例においては、エアバッグケース２２Ｌ，２２Ｒは、ウィンドシールド１２の下端から上端に達するまでの中間部分まで延びている。このような構成とすることにより、エアバッグ装置が作動していない通常の状態において、エアバッグケース２２Ｌ，２２Ｒによってウィンドシールド１２が覆われて視界を妨げる面積を小さくすることができる。

【0044】

なお、エアバッグカバー２２Ｌ，２２Ｒは、ウィンドシールド１２を支持する支持部材としての機能を果たすことも可能である。

【0045】

図３に示すように、エアバッグユニットの実際の収容状態においては、インフレータ１４を概ね水平な状態で収容するインフレータボックス３０が使用される。そして、スタッドボルト１４ａによってインフレータ１４を当該ボックス３０に固定するようになっている。

【0046】

図６に示すように、エアバッグ１６（１６Ｌ，１６Ｒ）は、ハンドル１８及びメータ２６の前方で展開することになる。

【0047】

本実施例によれば、ウィンドシールド１２の下部近傍からエアバッグ１６が上方に向かって、ウィンドシールド１２の内面に接触して展開することになるため、展開時にエアバッグ１６がハンドル１８等の構造部材に干渉することがない。そのため、エアバッグ１６の展開挙動、展開姿勢、展開形状が安定する。また、エアバッグ１６はハンドル１８よりも前方で展開するため、展開初期の段階でエアバッグ１６が乗員Ｒに直接的に過大な圧力を加えることがなく、乗員Ｒへの加害性を低減することが可能となる。

【0048】

また、図２に示すように、エアバッグ１６が展開する際にウィンドシールド１２が反力面となるため、エアバッグ１６に乗員Ｒが進入したときに、乗員Ｒを確実に拘束することが可能となる。

【0049】

更に、エアバッグ１６を左右に分割することにより、エアバッグ１６をウィンドシールド１２の左右縁部に収容することができ、エアバッグ装置が作動していない状況で、ウィンドシールド１２を通した視界を大きく確保することができる。

【0050】

（第２実施例）
図７は、本発明の第２実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置の構成を示す正面図であり、当該装置が作動する前の状態を示す。本実施例と上述した第１実施例との相違点は、エアバッグ１６を収容するエアバッグケース１２２Ｌ，１２２Ｒの形状のみであり、他の構成については同一であるため、重複した説明は省略する。

【0051】

図７に示すように、本実施例においては、エアバッグケース１２２Ｌ，１２２Ｒは、ウィンドシールド１２の下端から上端近傍まで延びる構成となっている。本実施例によれば、左右のエアバッグチャンバ１６Ｌ，１６Ｒが、エアバッグケース１２２Ｌ，１２２Ｒに細長く圧縮された状態で収容され、インフレータ１４から供給される膨張ガスによって、ウィンドシールド１２の左右両側から中央に向かって一気に展開することになる。すなわち、ウィンドシールド１２全体を速やかにエアバッグ１６で覆うことが可能となる。

【0052】

（第３実施例）
図８は、本発明の第３実施例に係るオートバイ用エアバッグ装置が作動した状態を示す正面図である。本実施例と上述した第１及び第２実施例との相違点は、エアバッグ２１６を単一のチャンバとして形成することである。本実施例においては、ハウジング２３０の内部にインフレータとエアバッグ２１６が収容され、エアバッグ２１６は当該ハウジング２３０の上部からウィンドシールド１２に沿って上方に展開することになる。

【0053】

本実施例によれば、エアバッグを単一のチャンバで形成しているため、一対のチャンバを使用する場合に比べ、構造を簡素化することが可能となる。

【0054】

以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】