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特許7507744ディスプレイまたはタッチパネル用に強化されたカバーガラス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ディスプレイまたはタッチパネル用に強化されたカバーガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/10 20060101AFI20240621BHJP
   B60K 35/50 20240101ALI20240621BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240621BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240621BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C03C27/10 E
B60K35/50
G02F1/1333
G06F3/041 460
G06F3/041 650
G06F3/041 660
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021508311
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019046089
(87)【国際公開番号】W WO2020041015
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】62/719,836
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】クマール,アチュール
(72)【発明者】
【氏名】リー,チォン-チュン
(72)【発明者】
【氏名】モウ,ジンファー
(72)【発明者】
【氏名】ポアシー,ステファン
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194916(WO,A1)
【文献】特開2017-76389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C27/06-27/12
G09F9/00-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内システムであって、
ディスプレイおよびタッチパネルを含み、該タッチパネルはユーザからタッチ入力を受けるように構成されたタッチ感応領域を画成する、ディスプレイモジュールと、
前記ディスプレイモジュール上に配置されたカバーガラスであって、第1の主面、前記ディスプレイモジュールに取り付けられた、前記第1の主面と反対側の第2の主面および前記第1の主面と前記第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さを含むカバーガラスと、
前記ディスプレイモジュールと前記カバーガラスとの間に配置された中間層と
を含み、
前記第1の主面は湾曲しており、
前記第1の厚さは約1.1mm以下であり、
前記車両室内システムは、さらに前記タッチ感応領域の補強部を含み、該補強部は、
前記ディスプレイモジュールと前記カバーガラスの間に配置される、1.1mm以下の第3の厚さを含む第2のガラス基板と、該第2のガラス基板と該ディスプレイモジュールの間に配置される前記中間層を含む、
車両室内システム。
【請求項2】
前記中間層のヤング率と前記第1の厚さは、
(a)前記第1の厚さが約0.4mm以上、かつ前記中間層の前記ヤング率が約10kPa以上かつ約30kPa以下
を満たす、請求項1記載の車両室内システム。
【請求項3】
前記中間層のヤング率と前記第1の厚さは、
(b)前記第1の厚さが約0.7mm以上、かつ前記中間層の前記ヤング率が約30kPa以上かつ約48kPa以下
を満たす、請求項1記載の車両室内システム。
【請求項4】
前記中間層は、光学的に透明な接着剤である、請求項1から3までのいずれか1項記載の車両室内システム。
【請求項5】
前記第1の厚さは、0.7mm以下である、請求項1から4までのいずれか1項記載の車両室内システム。
【請求項6】
前記中間層は、約10Pa~約200Paの範囲のヤング率を有する、請求項1記載の車両室内システム。
【請求項7】
前記中間層は、約125μm~約2000μmの厚さを有する、請求項1からまでのいずれか1項記載の車両室内システム。
【請求項8】
前記補強部は、光ファイバのメッシュを含み、該メッシュは、前記第2の主面に対して平行に延びている、請求項1からまでのいずれか1項記載の車両室内システム。
【請求項9】
前記カバーガラスは、前記ディスプレイモジュールに冷間成形されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の車両室内システム。



【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、米国特許法第119条のもと、2018年8月20日に出願された米国仮特許出願第62/719,836号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、カバーガラスを含む車両室内システムおよび同車両室内システムを形成するための方法に関し、より詳細には、タッチパネルおよびディスプレイ用に強化されたカバーガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
車両室内は湾曲面を含み、このような湾曲面には、ディスプレイ、タッチパネルおよび/または他のカバーガラスコンポーネントを組み込むことができる。車載ディスプレイを使用する場合、環境条件が損なわれるため、車載ディスプレイの可読性および光学性能の重要性が高まる場合がある。例えば、車載ディスプレイは、ディスプレイユーザ(すなわち、車両乗員)に対して固定されることが多く、照明条件は厳しく、制御が困難である場合がある。これら全てにより、読みにくい条件がもたらされる場合がある。加えて、車載ディスプレイを使用する際には、運転者が道路をわずかしか見ることができないことや、ディスプレイに電力を供給する車両のエネルギーまたは燃料効率に関する懸念を含めて、更なる制約が存在する。また、美的なまたはデザインの観点から、ディスプレイは、ユーザからタッチ入力を受けた場合であっても、均一で信頼性のある性能を有することがしばしば望まれる。
【0004】
しかしながら、これらのディスプレイの光学性能および可読性は、ユーザがタッチした際に悪影響を受ける場合がある。ディスプレイデバイスパネルが曲がっていたり、湾曲していたりすると、外因性の応力遅延が発生する場合があり、かなりのレベルでは、光漏れまたは光学性能の低下により、ユーザに見えるアーチファクトがもたらされる場合がある。ディスプレイ産業では、これらの目に見える欠陥を、凹凸または傷を意味する日本語に基づいて「むら」と呼んでいる。このむらの影響は、さまざまな種類のディスプレイに存在する場合があり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)において知られている。むらは、ディスプレイ画面上に低コントラストおよび不規則な輝度変化(すなわち、不均一な輝度)の領域として現れる。さまざまな種類のむら、例えば、スポットむら、ラインむらおよびブロブむらが存在する。通常、むら欠陥は、通常セルアセンブリに関連するプロセス不備により引き起こされ、このプロセス不備が、ディスプレイを通る光の透過に影響を及ぼす。ユーザがタッチしたタッチディスプレイまたは表面の状況では、カバーガラス、下にある接着剤またはディスプレイユニットに生じる曲がりまたは湾曲は、タッチ圧力により引き起こされ、LCD基板ガラスに、複屈折が液晶に光学的に結合してディスプレイデバイスにおける光漏れにつながる応力遅延をもたらす場合がある。例えば、黒(ゼログレースケール)および低グレースケールにおける欠陥レベルの不快な光漏れ領域が、湾曲したLCD、例えば、ディスプレイの角隅付近に存在する場合がある。したがって、曲がったまたは湾曲したディスプレイ表面における光漏れを軽減または排除するための物品および方法を提供することが有利であろう。さまざまな実施形態では、本明細書に開示された方法は、平坦なまたは湾曲したカバーガラスを有するディスプレイを含むディスプレイにおけるむらを最小限に抑えるかまたは防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、光学性能が改善され、タッチ起因むらが低減されたタッチパネルディスプレイ上に、湾曲した肉薄のガラス基板を組み込むことができる車両室内システムの必要性を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、車両室内システムであって、湾曲面を有するベースと、湾曲面上に配置されたディスプレイと、ディスプレイ上に配置されたカバーガラスとを含む、車両室内システムに関する。カバーガラスは、第1の主面、第1の主面と反対側の第2の主面および第1の主面と第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さを含む第1の領域を含む。カバーガラスは、第1の主面、第1の主面と反対側の第3の主面および第1の主面と第3の主面との間の距離として定義される第2の厚さを含む第2の領域をさらに含む。ディスプレイは第3の主面に取り付けられており、第2の領域はディスプレイのタッチ感応領域に対応している。第2の厚さは第1の厚さよりも厚い。本開示の幾つかの実施形態の態様は、カバーガラスは、第2の領域に、第1の主面を有する第1のガラス基板と、第3の主面を有する第2のガラス基板とをさらに含む、上記車両室内システムを提供する。
【0007】
本開示の別の実施形態は、車両室内システムであって、ディスプレイおよびタッチパネルを有するディスプレイモジュールと、ディスプレイモジュール上に配置されたカバーガラスと、ディスプレイモジュールとカバーガラスとの間に配置された中間層とを含む、車両室内システムに関する。カバーガラスは、第1の主面、ディスプレイモジュールに取り付けられた、第1の主面と反対側の第2の主面および第1の主面と第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さを含む。第1の主面は湾曲しており、タッチパネルが、第1の主面へのユーザによるタッチを認識したとき、車両室内システムはむらを呈さない。幾つかの実施形態の態様では、車両室内システムは、中間層に配置された少なくとも1つの光ファイバをさらに含み、光ファイバは、第2の主面に対して平行に延びている。
【0008】
更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載してあり、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるかまたは以下の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面を含む、本明細書に記載した実施形態を実施することにより認識される。
【0009】
前述の一般的な説明および下記詳細な説明は両方とも、単に例示的なものであり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することが意図されることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、説明と共に、種々の実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】1つ以上の実施形態に係る車両室内システムを備える車両室内の斜視図である。
図2】幾つかの実施形態に係る車両室内システム用のガラス物品の斜視図である。
図3】幾つかの実施形態に係る図2のガラス物品の一部の拡大図である。
図4】1つ以上の実施形態に係る車両室内システムの断面図である。
図5】幾つかの実施形態に係る車両室内システム用のガラス積層体の断面図である。
図6A】幾つかの実施形態に係る車両室内システム用の平坦なガラス物品および湾曲したガラス物品それぞれの断面図である。
図6B】幾つかの実施形態に係る車両室内システム用の平坦なガラス物品および湾曲したガラス物品それぞれの断面図である。
図7】幾つかの実施形態に係る車両室内システムにおける応力をモデル化するためのモデルの斜視図である。
図8A】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8B】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8C】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8D】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8E】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8F】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8G】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8H】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8I】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図8J】タッチ実験に供された幾つかの実施形態に係る車両室内システムのサンプルおよび実験中のシステムのディスプレイの測定された輝度を示す図である。
図9】むらの影響とタッチむら可視係数を計算するのに使用される種々の測定値とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここから、種々の実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。
【0012】
一般的には、車両室内システムは、透明であるように設計された各種の湾曲面、例えば、湾曲したディスプレイ表面および湾曲した非ディスプレイガラスカバーを含むことができ、本開示は、これらの湾曲面を有する物品およびこれらの湾曲面をガラス材料から形成するための方法を提供する。ガラス材料から湾曲した車両表面を形成することにより、車両室内に従来見られる典型的な湾曲面プラスチックパネルと比較して、数多くの利点が提供される。例えば、ガラスは、典型的には、プラスチックカバー材料と比較して、多くの湾曲したカバー材料用途、例えば、ディスプレイ用途およびタッチスクリーン用途において、向上した機能性およびユーザ体験を提供すると考えられている。また、ガラス表面は、ディスプレイおよびタッチパネルの境界を越えて延び、広い表面領域にわたってシームレスなガラス表面を提供することができる。また、ガラスの領域は、金属、木材、皮革、炭素繊維等の他の材料または他の表面を模倣する外観を含む各種の色、パターン、テクスチャにより装飾的であることができる。
【0013】
ガラス基板は、美的および触覚的の両方に魅力的で耐久性のある表面を提供することができる。さらに、薄いガラス基板は、改良されたエネルギーおよび燃費のために車両の重量を軽くすることができる。また、カバーガラス用の薄い基板は、曲率半径の小さい種々の湾曲面または曲線を形成する際に利点を有することもできる。ただし、より薄いカバーガラスは、光漏れまたはむらが増加する場合がある。例えば、基板が、ユーザのためのタッチインタフェースを提供する場合、ユーザのタッチの力は、上述したように、薄いカバーガラスを偏向させ、応力を発生させ、光漏れをもたらす場合がある。
【0014】
したがって、以下により詳細に記載するように、本出願人は、タッチ起因むらが比較的ない車両室内システムをもたらすガラス基板の冷間曲げ片を利用して、車両室内システム用のディスプレイ等の物品を形成する効率的かつ費用対効果の高い方法を提供するガラス物品および関連する製造方法を開発した。一般的には、本明細書に記載した製造方法は、接着材料を使用して、ガラス物品をフレームに冷間曲げ加工することを提供する。本開示の物品およびシステムは、薄いカバーガラスを使用しながら、比較的硬い表面またはシステムスタックを達成する、ユーザからのタッチ入力を受け取ることが意図された車両室内システムの領域を強化する構造を使用する。本明細書に開示された車両室内システムは、車両室内表面としてガラス物品またはガラス積層体を含む。ガラス物品または積層体は、ディスプレイ、タッチパネルまたは車両内の他の表面のうちの1つ以上のためのカバーガラスとして働くことができる。例えば、車両室内システムは、ダッシュボード、センタコンソール、インストルメントクラスタ、ディスプレイ、インフォテインメントモジュール、ステアリングホイール、タッチパネルおよび室内ドアパネルの全部または一部であることができる。
【0015】
本明細書で使用する場合、「ガラス物品」は、モノリシックガラス系基板またはガラス系積層体を指すことができる。種々の実施形態によれば、ガラス物品は、平坦、湾曲または平坦部分と湾曲部分との組合せであることができ、ガラス物品の形状は、熱間成形または冷間成形の製品であることができる。
【0016】
本明細書で使用する場合、「冷間曲げ加工され」、「冷間曲げ加工する」、「冷間成形され」または「冷間成形する」という用語は、ガラス基板のガラス材料のガラス転移点未満である冷間成形温度でガラス基板を曲げることを指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、「むら」の有無は、下記のように式(1)により定義されるタッチむら可視係数(δ)値により決定される。
【0018】
式(1):δ=(B-M)/(B+M)
値Mは、むらで測定される最小輝度である。値Bは、Ba、Bb、LamおよびLabの測定値を使用する式(2)を使用して計算され、これらの測定値は、図9に示されたように、ある次元にわたるむらでの輝度を特徴付ける。図9において、測定値は、長さの次元に沿って得られるが、測定値は、幅の次元に沿ってまたはむらの最大の次元にわたって得ることができる。値Labは、むらの最長距離(例えば、図9において、むらの左端点から右端点までの距離(ピクセル)である)。値Lamは、Labを測定するのに使用される開始点(すなわち、むらの左端点)と値Mの位置との間の距離である。
【0019】
式(2):B=Ba+(Bb-Ba)×(Lam/Lab)
0.05以下(≦0.05)であるタッチむら可視係数δは、タッチむらが存在しないことを示す。
【0020】
典型的な方法では、湾曲したガラス物品は、所望の形状を達成するために、ガラス基板の熱間成形を使用して形成される。本明細書に記載したように、典型的なガラスの熱間成形プロセスの欠点を回避する各種の湾曲したガラス物品およびその製造方法が提供される。例えば、熱間成形プロセスは、本明細書に記載した冷間曲げ加工プロセスと比較してエネルギー集約的であり、湾曲したガラスコンポーネントを形成するコストが大きくなる。加えて、熱間成形プロセスでは、典型的には、ガラス表面処理、例えば、反射防止コーティングの適用が著しく困難になる。このため、多くのコーティング材料は、熱間成形プロセスの前に平坦なガラス材料片に適用することができない。典型的には、コーティング材料は、熱間成形プロセスの高温に耐えられないためである。さらに、熱間曲げ加工後の湾曲したガラス基板の表面へのコーティング材料の適用は、平坦なガラス基板への適用より実質的に困難である。熱成形に必要とされる更なる高温加熱工程を回避することにより、本明細書に記載した冷間成形プロセスおよびシステムにより製造されるガラス物品は、熱成形プロセスにより同様に製造されたガラス成形物品より、改善された光学特性および/または改善された表面特性を有する。それにもかかわらず、本明細書の説明から明らかになるように、本開示の実施形態は、熱間成形および冷間成形ガラス物品の両方に適用可能である。
【0021】
図1を参照して、車両室内10は、ガラス表面を有する種々のコンポーネントおよびシステム、例えば、車両室内システム100,110,120を含むことができる。車両室内システム100は、センタコンソールベース102として示されるフレームを含み、湾曲したディスプレイ106を含む湾曲面104を含む。車両室内システム110は、ダッシュボードベース112として示されるフレームを含み、湾曲したディスプレイ116を含む湾曲面114を含む。ダッシュボードベース112は、典型的には、湾曲したディスプレイを含むこともできるインストルメントパネル118を含む。車両室内システム120は、ステアリングホイールベース122として示されるフレームを含み、湾曲面124および湾曲したディスプレイ126を含む。1つ以上の実施形態では、車両室内システムは、アームレスト、構造ピラー、シートバック、フロアボード、ヘッドレスト、ドアパネルまたは湾曲面を含む車両室内の任意の部分であるフレームを含む。他の実施形態では、フレームは、自立型ディスプレイ(例えば、車両の一部に持続的に接続されていないディスプレイまたは上記された表面もしくはフレームのうちの1つから離れて取り付けられているディスプレイ)のための筐体の一部である。本明細書に記載した実施形態は、湾曲したガラス基板、フレーム、表面、ディスプレイ等を参照して記載することができるが、実施形態は、平坦なガラス基板、フレーム、表面、ディスプレイ、タッチパネル等を有する物品および車両室内システムを含むことが企図される。
【0022】
本明細書に記載した車両室内システムの実施形態は、車両室内システム100,110および120のそれぞれにおいて使用することができる。さらに、本明細書に記載した湾曲したガラス物品は、車両室内システム100,110および/または120での使用を含む、本明細書に記載した湾曲したディスプレイ実施形態のいずれかのための湾曲したカバーガラスとして使用することができる。さらに、種々の実施形態では、車両室内システム100,110および120の種々の非ディスプレイコンポーネントを、本明細書に記載したガラス物品から形成することができる。このような幾つかの実施形態では、本明細書に記載したガラス物品は、ダッシュボード、センタコンソール、ドアパネル等のための非ディスプレイカバー表面として使用することができる。このような実施形態では、ガラス材料は、その重量、美的外観等に基づいて選択することができ、ガラス基板を隣接する非ガラスコンポーネントと視覚的に合致させるためにまたは他の設計もしくは美的理由のために、パターン(例えば、刷毛塗り金属外観、木目調外観、皮革調外観、着色外観等)を有するコーティング(例えば、インクまたは顔料コーティング)を提供することができる。特定の実施形態では、このようなインクまたは顔料コーティングは、デッドフロント機能性を提供する透明性レベルを有することができる。
【0023】
図2に、本開示の車両室内システムの幾つかの実施形態のためのガラス物品200の例を示す。具体的には、ガラス物品200は、単一のガラス基板から形成されているかまたは複数の隣接するガラス基板から形成されているかにかかわらず、一体化されたガラス表面を車両室内に提示する。このため、ガラス物品は、センタコンソール202、ダッシュボード204およびインストルメントパネル206を形成することができ、これらはそれぞれ、ディスプレイ212,214,216を含むことができる。ディスプレイ212,214および216は、1つ以上のタッチパネルまたはタッチ感応領域を含むことができる。接続部分220,222,224および226は、センタコンソール202、ダッシュボード204およびインストルメントパネル206のそれぞれの境界を定めかつ/またはそれらを接続している。接続部分220,222,224および226はそれぞれ、平坦であるかまたは湾曲していることができる。湾曲部分は、単一の曲率半径を有する単一曲線、主曲率半径および交差曲率を有する複合曲線または変曲点で合流する異なるもしくは反対方向における2つの曲率半径を有する逆曲線を含むことができる。例えば、部分222および224は、2つの曲線の変曲または合流を表す線223を有する逆曲線を示す。
【0024】
図3に、1つ以上の実施形態に係る図2のガラス物品200の一部の拡大図230を示す。拡大図230に、ガラス物品200のセンタコンソール202部分が、中間層238を介して互いに積層された第1のガラス基板234および第2のガラス基板236を含む積層部分232を含むことを示す。中間層238に適した材料は、ポリビニルブチラール(PVB)を含む。積層部分232が、タッチ対応ディスプレイの一部である場合には、第2ガラス基板236は、ユーザにとってタッチ表面として機能する第1ガラス基板234の下側に設けられる。このため、第2のガラス基板は、薄い第1のガラス基板234のための構造補強を提供し、ディスプレイ内のタッチ起因むらを軽減するかまたは効果的に排除する。この構造の更なる詳細を以下に記載する。
【0025】
図4に、1つ以上の実施形態に係る車両室内システム300の例を示す。図4を参照して、本開示の幾つかの実施形態に係る車両室内システム300は、ベースまたはフレーム302と、ベース302上に配置またはベース302に結合されたディスプレイ304と、ディスプレイ304上に配置されたカバーガラス306とを含む。ベース302は、カバーガラスを支持するための支持面303を提供し、ディスプレイ304を支持するための表面または保持機構(図示せず)を提供することもできる。実施形態において、この支持面303は湾曲しており、カバーガラス306は、湾曲した支持面の曲率に適合するように成形または冷間成形されている。カバーガラス306は、第1の主面311と、第1の主面311と反対側の第2の主面312と、第1の主面311と第2の主面312との間の距離として定義される第1の厚さT1とを有する第1の領域308を含む。車両室内システムの完成状態において、第1の主面311は、車両室内に面している(すなわち、車両室内システムのユーザまたは車両の運転者/乗員に面している)表面である。カバーガラス306は、第1の主面311と、第1の主面311と反対側の第3の主面313と、第1の主面311と第3の主面313との間の距離として定義される第2の厚さT2とを含む第2の領域309をさらに含む。この場合、第2の厚さT2は第1の厚さT1よりも厚い。
【0026】
図4に示されたように、カバーガラス306の第2の領域309は、ディスプレイ304の位置またはディスプレイ304のタッチ感応領域に対応している。第2の領域309の厚さ(T2)の増加により、第2の領域がディスプレイのタッチ対応表面である場合に、カバーガラス306に構造的支持または剛性が提供される。一方、第1の領域308は、相対的に薄い第1の厚さT1を維持し、これにより、例えば、第1の領域308がより容易に湾曲するかまたはベース302の平坦でない表面に合致することを可能にし、カバーガラス306の総重量を減少させることを含む利点が提供される。実施形態は、タッチ対応ディスプレイに対応する第2の領域309に限定されない。すなわち、デザインの観点から、ユーザまたは他の物体によりタッチされまたは衝撃を受けたときに、ディスプレイが最小のむらを有するかまたはむらを全く有さないように、非タッチ対応ディスプレイのために第2の領域309の補強を使用するのが望ましい場合がある。中間層または接着剤318は、ディスプレイ304とカバーガラス306との間に配置される。接着剤318は、光学的に透明な接着剤(OCA)であることができ、硬化する液体接着剤もしくは感圧性接着剤(PSA)、テープまたはその両方であることができる。
【0027】
1つ以上の実施形態によれば、カバーガラス306は、第2の領域309において、第1の主面311を有する第1のガラス基板314と、第3の主面313を有する第2のガラス基板316とを含む。また、第2のガラス基板316は、第3の主面313と反対側で、第2の主面312に面する第4の主面315も有する。また、カバーガラス306は、第1の領域308に、第1のガラス基板314も含むが、第2のガラス基板316は含まない。このため、第1のガラス基板314は、T1の厚さを有し、第2のガラス基板316は、第3の主面313と第4の主面315との間の距離として定義される第3の厚さT3を有する。第3の厚さT3は、第2の厚さT2と第1の厚さT1との差から、第1のガラス基板314と第2のガラス基板316との間に配置された中間層から任意の追加の厚さを引いたものにほぼ等しい。1つ以上の実施形態における第2の厚さT2は、約0.5mm超、約0.9mm超、約1.0mm超、約1.1mm超または約1.5mm超である。第1の厚さT1は、約1.1mm以下、約1.0mm未満、約0.7mm未満、約0.5mm未満、約0.3mm未満または約0.1mm~約0.3mmである。1つ以上の特定の実施形態では、第1の厚さT1は、少なくとも約0.1mmである。また、第2の厚さT2は、少なくとも約1.25mmであることができる。第3の厚さT3は、約1.1mm以下、約1.0mm以下、約0.7mm以下、約0.55mm以下、約0.5mm以下または約0.3mm以下であることができる。第3の厚さT3は、少なくとも0.1mmであることができる。
【0028】
例えば、本出願人は、0.7mmの第1の厚さT1を有する第1のガラス基板314をベース302上に冷間成形することができ、第2のガラス基板316が約0.55mmの第3の厚さT3を有する実施形態を見出した。約700mmの曲率半径を有する湾曲したLCDディスプレイ(ディスプレイ304)上に配置された、約0.25mm~約0.5mmの厚さを有する光学的に透明な接着剤(OCA)である中間層318を使用することにより、0.7mmまたはそれ以上の厚さのカバーガラスと比較して、むらを劇的に減少させた車両室内システムを提供することができる。また、これらの厚さの組合せにより、ヘッドフォーム衝撃試験(HIT)に関連する規制要件を満たすのに十分な構造的完全性の車両室内システムも提供される。HITは、衝突時に頭部が車両室内システムの表面に衝突する場合ある車両乗員の安全性を確保するように設計されている。
【0029】
むらを減少させるために、均一な厚さ(例えば、約1.1mm)のより厚いカバーガラスを使用することができるが、ガラスのコスト、重量および成形性に欠点がある。例えば、ガラス基板の剛性は、厚さに対して二乗の関係を有するため、厚さが増すにつれて、剛性が劇的に高くなり、湾曲面の形成がますます困難になる。加えて、OCAの厚さを厚くすることによりむらが減少可能である場合があるが、そうすることにより、OCAを湾曲したディスプレイに適用するときに処理が変化してしまう(すなわち、均一に適用するのが困難である)。このように、接着フィルムを、液体OCAの代わりに、湾曲したディスプレイ上に使用することができる。接着フィルムは、例えば、約0.15mmの厚さを有することができる。しかしながら、接着フィルムはむらを減少させない。このため、本開示の実施形態は、これらの幾つかの技術的課題を克服する。
【0030】
第1のガラス基板314および第2のガラス基板316の一方または両方は、強化ガラス材料を含むことができる。特に、強化ガラス材料は、イオン交換プロセス等により化学的に強化することができる。特定の実施形態では、第1のガラス基板314は化学的に強化され、第2のガラス基板316は、非強化であってもよいし、強化(化学的に強化を含む)されていてもよい。化学強化ガラス材料は、アルカリアルミノケイ酸ガラスまたはアルカリホウアルミノケイ酸ガラスであってよい。また、ガラス材料は、非強化または強化ソーダ石灰ガラスも含むことができる。薄いポリマー中間層または接着剤を第1のガラス基板314と第2のガラス基板316との間に配置して、それらを互いに積層することができる。この中間層は、例えば、後に硬化される液体接着剤または接着フィルムであってよい。
【0031】
図4の車両室内システム300は、ベース302ならびに第1の領域308および第2の領域309にわたって、わずかな曲率を示す。種々の実施形態によれば、第1のガラス基板314および第2のガラス基板316の一方または両方は、第2の領域309において湾曲していてよい。代替的には、第2の領域309は湾曲していなくてもよい。いずれにしても、第1のガラス基板314は、第2の領域309の曲率(平坦または湾曲)に関係なく、第1の領域308において湾曲していてよい。第1のガラス基板314および第2のガラス基板316の一方または両方は、ディスプレイおよび/またはベースに対して冷間成形されていてよい。
【0032】
図5に、湾曲部分と平坦部分との両方を有する車両室内システムのためのカバーガラス300の実施形態の例を示す。カバーガラス300は、肉薄の領域306により分離された2つの肉厚の領域302,304を含む。この実施形態では、肉厚の領域302および304はそれぞれ、中間層312を間に挟んで第1のガラス基板308および第2のガラス基板310を有する積層ガラス領域である。一方、薄いガラス領域は、第1のガラス基板308のみを含む。上述したように、肉厚の領域302,304は、車両室内システムのスクリーンまたはタッチパネル(例えば、図2におけるディスプレイ214および216)に対応することができる。肉薄の領域306の相対的な薄さにより、複雑または複合的な曲率を有することを含む所望の曲率に容易に湾曲させることが可能となる。加えて、湾曲は、第1のガラス基板308の冷間成形により達成することができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、車両室内システム用のカバーガラスは、複数の積層ガラス基板の領域を使用するのではなく、厚さが変化するモノリシックガラス基板を使用する。例えば、図6Aおよび図6Bに、図5におけるカバーガラス300と同様であるが、単一のガラス基板322から構成されるカバーガラス320を示す。1つ以上の実施形態によれば、ガラス基板322は、均一な厚さを有するガラス基板から形成されており、そのガラス基板は、1つ以上の領域において局所的に薄くなっている。具体的には、カバーガラス320は、均一な厚さTの最初のガラス基板の主面に対応する第1の主面331および第2の主面332を有する。薄くなった領域334は、例えば、エッチング、研削、研磨またはレーザ切断を含む数多くの方法のいずれかにより、ガラス基板320の一部に形成される。薄くなった部分の厚さはT未満であり、上述した厚さT1の厚さに対応する数値を有することができる。幾つかの実施形態では、薄くなった部分は、例えば、約0.2mmの厚さに研削することができる。例えば、局所的に薄くなった領域334は、第1の主面331と反対側の第3の主面333を形成している。図6Aでは、カバーガラス320は平坦であるが、図6Bでは、カバーガラス320は、薄くなった領域334が湾曲するようにカバーガラス320が冷間成形され、その結果、冷間成形されたカバーガラス320’が生じる。
【0034】
1つ以上の実施形態によれば、カバーガラスとディスプレイ/タッチパネルとの間の比較的厚い中間層またはむらの影響を低減する所定のヤング率を有する中間層を使用してディスプレイのタッチ領域を補強することによっても、タッチ起因むらを低減することができる。例えば、約500μm~約1000μmの厚さを有する光学的に透明な樹脂(OCR)は、冷間成形および緊密な曲げ半径を可能にする比較的薄い(例えば、約0.4mm)カバーガラスを使用しながら、タッチ起因むらの影響を抑制するのに役立つことができる。1つ以上の実施形態では、中間層についてのヤング率は、約10KPa~約200KPaの範囲(例えば、約15KPa~約200KPa、約20KPa~約200KPa、約25KPa~約200KPa、約30KPa~約200KPa、約35KPa~約200KPa、約40KPa~約200KPa、約45KPa~約200KPa、約50KPa~約200KPa、約55KPa~約200KPa、約60KPa~約200KPa、約70KPa~約200KPa、約75KPa~約200KPa、約80KPa~約200KPa、約85KPa~約200KPa、約90KPa~約200KPa、約95KPa~約200KPa、約100KPa~約200KPa、約120KPa~約200KPa、約140KPa~約200KPa、約150KPa~約200KPa、約10KPa~約190KPa、約10KPa~約180KPa、約10KPa~約170KPa、約10KPa~約160KPa、約10KPa~約150KPa、約10KPa~約140KPa、約10KPa~約130KPa、約10KPa~約120KPa、約10KPa~約110KPa、約10KPa~約100KPa、約10KPa~約90KPa、約10KPa~約80KPa、約10KPa~約70KPa、約10KPa~約60KPa、約10KPa~約50KPa、約10KPa~約40KPaまたは約10KPa~約30KPaならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲)にあることができる。
【0035】
1つ以上の実施形態では、中間層は、約125μm~約2000μm、約150μm~約2000μm、約725μm~約2000μm、約200μm~約2000μm、約225μm~約2000μm、約250μm~約2000μm、約275μm~約2000μm、約300μm~約2000μm、約325μm~約2000μm、約350μm~約2000μm、約375μm~約2000μm、約400μm~約2000μm、約425μm~約2000μm、約450μm~約2000μm、約475μm~約2000μm、約500μm~約2000μm、約550μm~約2000μm、約600μm~約2000μm、約650μm~約2000μm、約700μm~約2000μm、約750μm~約2000μm、約800μm~約2000μm、約850μm~約2000μm、約900μm~約2000μm、約950μm~約2000μm、約1000μm~約2000μm、約1250μm~約2000μm、約1500μm~約2000μm、約1750μm~約2000μm、約125μm~約1900μm、約125μm~約1800μm、約125μm~約1700μm、約125μm~約1600μm、約125μm~約1500μm、約125μm~約1400μm、約125μm~約1300μm、約125μm~約1200μm、約125μm~約1100μm、約125μm~約1000μm、約125μm~約975μm、約125μm~約950μm、約125μm~約925μm、約125μm~約900μm、約125μm~約875μm、約125μm~約850μm、約125μm~約825μm、約125μm~約800μm、約125μm~約775μm、約125μm~約750μm、約125μm~約725μm、約125μm~約700μm、約125μm~約675μm、約125μm~約650μm、約125μm~約625μm、約125μm~約600μm、約125μm~約575μm、約125μm~約550μm、約125μm~約525μm、約125μm~約500μm、約125μm~約470μm、約125μm~約450μm、約125μm~約425μm、約125μm~約300μm、約125μm~約250μmまたは約250μm~約1000μmの範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲にある厚さを有することができる。
【0036】
加えて、1つ以上の実施形態によれば、1つ以上の光ファイバを、カバーガラスとディスプレイ/タッチパネルとの間の中間層(OCA)内または上に堆積させることができる。光ファイバは、カバーガラスまたはディスプレイの表面に対して平行に延びており、ディスプレイのタッチ対応領域を補強する。加えて、光ファイバは、人間の目には見えないため、光学性能および画像の明瞭度に悪影響を及ぼすことがない。
【0037】
図4を参照して、種々の実施形態では、ガラス基板306の第1の主面311および/または第2の主面312もしくは第3の主面313は、1つ以上の表面処理部または層を含むことができる。表面処理部は、第1の主面311および/または第2の主面312もしくは第3の主面313の少なくとも一部を覆うことができる。例示的な表面処理部は、アンチグレア表面/コーティング、反射防止表面/コーティングおよび顔料デザインを含む。1つ以上の実施形態では、第1の主面311および/または第2の主面312もしくは第3の主面313の少なくとも一部は、アンチグレア表面、反射防止表面および顔料デザインのうちのいずれか1つ、いずれか2つまたは3つ全てを含むことができる。例えば、第1の主面311は、アンチグレア表面を含むことができ、第2の主面312または第3の主面313は、反射防止表面を含むことができる。別の例では、第1の主面311は、反射防止表面を含み、第2の主面312または第3の主面313は、アンチグレア表面を含む。さらに別の例では、第1の主面311は、アンチグレア表面および反射防止表面のいずれか一方または両方を含み、第2の主面312または第3の主面313は、顔料デザインを含む。
【0038】
顔料デザインは、顔料(例えば、インク、塗料等)から形成される任意の美的デザインを含むことができ、木目調デザイン、刷毛塗り金属デザイン、グラフィックデザイン、ポートレートまたはロゴを含むことができる。顔料デザインは、ガラス基板上に印刷することができる。1つ以上の実施形態では、アンチグレア表面は、エッチングされた表面を含む。1つ以上の実施形態では、反射防止表面は多層コーティングを含む。
【0039】
幾つかの実施形態では、ガラス基板は、(例えば、真空チャック、静電チャック、プレス等を介して)力を加えることにより、湾曲した型表面上の湾曲した形状に曲げられる。例えば、湾曲した型表面は、真空チャックもしくは静電チャックまたはプレスの一部であることができる。この場合、ガラス基板を曲げる力は、圧力差、静電力またはプレス表面との接触からの力であってよい。曲がった形状にある間、中間層材料、例えば、ポリマー中間層材料または接着剤をガラス基板の露出表面上に提供することができる。幾つかの実施形態では、次いで、(例えば、湾曲した型表面の湾曲した形状に対応する)湾曲した支持面を有するフレームを、中間層材料が支持面とガラス基板との間に配置されるように、曲がった形状にある間にガラス基板と接触させる。ディスプレイ、バックライトユニットおよび/またはタッチパネルを含むディスプレイモジュールをディスプレイモジュールとガラス基板との間の中間層によりガラス基板に適用することができる。場合によっては、ディスプレイモジュールを、フレームおよびディスプレイモジュールが湾曲した状態にあるガラス基板に同時に取り付けられるように、ガラス基板に取り付ける前にフレームに取り付けることができる。代替的には、フレームおよびディスプレイモジュールを平坦な状態でガラス基板に同時に取り付けることができ、ディスプレイモジュール、フレームおよびガラス基板のスタック全体は、必要に応じて、その後に湾曲させることができる。さらに別の代替例では、ディスプレイモジュールを、フレームに取り付ける前にガラス基板に接着させることができ、ガラス基板およびディスプレイモジュールは、両方を湾曲したフレームに取り付ける前に湾曲させることができる。フレームおよび中間層材料を冷間曲げ加工ガラス基板に適用した後、中間層材料を(例えば、冷却、硬化等により)固化させて、湾曲した物品を形成する。
【0040】
上述したように、カバーガラスの曲率は、平坦なガラス基板をフレームの湾曲した支持面に冷間成形した結果または平坦なガラスとフレームとの積層体が湾曲した形状に冷間曲げ加工された結果であることができる。一般的には、カバーガラスは、曲げ力を加えることにより所望の湾曲形状に冷間成形されるかまたは冷間曲げ加工される。冷間曲げ加工後に、カバーガラスは、第1の主面および第2の主面がそれぞれ、曲率半径を有する少なくとも1つの湾曲部分を含むように、湾曲形状を有する。フレームの支持面は、例えば、凸湾曲面であることができる。このような実施形態では、カバーガラスは、第2の主面および/または第3の主面が湾曲した支持面の凸湾曲形状に概ね適合する凹形状を画定し、第1の主面が湾曲した支持面の凸湾曲形状に概ね合致するまたは類似する凸形状を画定するように曲がっている。このような実施形態では、主面は両方とも、ベースの湾曲面の曲率半径に概ね合致する第1の曲率半径を画定する。幾つかの実施形態では、湾曲した支持面の半径の約10%以内である。特定の実施形態では、結合材料(または接着剤)およびベースの剛性により、曲げ力の除去後にガラス基板が湾曲した形状に保持される。
【0041】
曲げ力を加えている間に、ガラス基板の最高温度は、ガラス基板のガラス材料のガラス転移点未満である。特定の実施形態では、ガラス基板は、曲げ加工中に、熱間成形ガラスを湾曲した形状に適用する場合のように、加熱要素、炉、オーブン等により能動的に加熱されない。種々の実施形態では、ガラス基板の温度は、曲げ力を加えている間、400℃、300℃、200℃またはさらに100℃未満に維持される。この冷間曲げ加工アプローチにより、湾曲したガラス基板の形成が可能となり、一方、ガラス基板上に位置する種々のコーティングが保持される。同コーティングは、ガラス曲げ加工プロセスに典型的に関連する高温で損傷または破壊されてしまう場合がある
一般的には、R1は、関連する車両室内フレームの形状に基づいて選択され、一般的には、R1は、20mm~5mである。加えて、カバーガラスは、0.05mm~2mmの範囲にある厚さt(例えば、主面間で測定された平均厚さ)を有する。具体的な実施態様では、tは、1.5mm以下であり、より具体的な実施態様では、tは、0.3mm~0.7mmである。このような薄いガラス基板は、折れ目のない冷間成形を利用すると同時に、各種の車両室内用途の高品質カバー層を提供する、各種の湾曲した形状(本明細書に記載した比較的大きい曲率半径を含む)に冷間成形することができる。加えて、このような薄いガラス基板は、より容易に変形させることができ、湾曲した支持面に対して存在する場合がある形状の不整合およびギャップを潜在的に補償することができる。
【0042】
ディスプレイモジュールとガラス基板との間の中間層材料は、フレームとガラス基板との間の中間層材料と同じかまたは異なってよい。例えば、ガラス基板とディスプレイモジュールとの間および/またはガラス基板とフレームとの間の中間層材料は、光学的に透明な接着剤(OCA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エポキシ、シリコン材料、アクリル、シアノアクリレート、ウレタン、エポキシアクリレート、構造用接着剤または当該技術分野において公知で任意の適切な中間層材料のうちの1種以上であることができる。
【0043】
本明細書に記載した実施形態の第1のガラス基板および第2のガラス基板を積層するために、第1のガラス基板および第2のガラス基板は、それらの間にPVB中間層を有して積層することができる。得られたスタックを、スタックから気泡を除去するために、真空環境に供することができる。次いで、スタックは、スタックの積層を完了するのに十分な時間、圧力および温度の下で、オートクレーブ内で積層サイクルを受けることができる。オートクレーブの圧力は最大約15bar(1.5MPa)であってよく、温度は最高約250℃であってよい。
【0044】
本開示の実施形態によれば、むらの影響が大幅に低減されたかまたは実質的に全くない車両室内システムが提供される。すなわち、車両室内システムのユーザが、第2の領域(309)における車両室内表面(例えば、図4における第1の主面311)をタッチした場合、車両室内システムはむらを呈さない。とりわけ、車両室内システムは、タッチパネルがユーザによるこのようなタッチを認識したとき、むらを呈さない。通常のタッチスクリーン使用のために、このシステムは、例えば、最大約5Nまたは最大約10Nのタッチ力に対応するように設計することができる。ただし、タッチの力は変化する場合があり、本開示の実施形態は、より大きな力にも対応するように設計することができる。タッチが行われる間に車両室内システムにより維持されなければならない応力のレベルを決定するために、以下の実施例に記載したように、カバーガラス内の応力を決定する目的でモデル化を行った。
【実施例
【0045】
図7に、ユーザのタッチをシミュレートし、システム内の起因応力を測定するために使用される車両室内システムのコンピュータモデル400を示す。モデル400は、ベース402と、カバーガラス404と、それらの間の中間層406とを含む。カバーガラス404上のタッチを、63.7KPaのタッチ圧力で10mmの直径を有する円形領域408上でシミュレートした。カバーガラス404を、0.40mm、0.55mm、0.70mmおよび1.10mmの厚さを有する強化アルミノケイ酸ガラス基板としてモデル化した。中間層406を、10KPa、20KPaおよび30KPaのヤング率ならびに0.125mm、0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、1.0mmおよび2.0mmの厚さを有する光学的に透明な接着剤としてモデル化した。タッチに起因した応力の結果を以下の表1に示す。モデル化および表1に示された結果に基づいて、本開示の幾つかの実施形態を、約11.5KPa以下、約11KPa以下、約10KPa以下または約9.6KPa以下のタッチ起因応力を受けるように設計する。
【0046】
【表1-1】
【0047】
【表1-2】
【0048】
表2に、カバーガラスの厚さとOCAの厚さが、ディスプレイ上の応力と液晶変位にどのように影響を及ぼすかを示す。表2におけるOCAに対するヤング率は、86KPaであり、タッチ力は、10Nとした。
【0049】
【表2】
【0050】
種々のカバーガラスおよびOCAの厚さを有する、カバーガラスを備えた7インチ(17.78cm)ディスプレイの物理的サンプルを作製し、サンプルの応力および液晶変位を測定した。ディスプレイに適用されたユーザタッチをシミュレートするために、10mmの直径を有し、軟質ゴムにより覆われた負荷ピンを負荷点または「指」として使用した。負荷ピンを、10Nの負荷および5mm/分の試験速度でカバーガラスの表面に適用した。シミュレートされたタッチを受けたこれらのサンプルを図8A図8Jに示し、得られたむらの影響を各サンプルの下の変位距離(ピクセル)の関数として、タッチ位置およびその周辺で測定された輝度の均一性の変化により定量する。理論に拘束されるものではないが、幾つかの実施形態では、0.05以下のタッチむら可視係数は、タッチむらがユーザにより観察されないことを示す。
【0051】
図8Aにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、30KPaのヤング率を有し、250マイクロメートル(μm)の厚さを有する、E3 displays, LLC社により製造されたOCAの層とを有した。図8Bにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、30KPaのヤング率を有し、500μmの厚さを有する、E3 Displays, LLC社により製造されたOCAの層とを有した。図8Cにおいて、サンプルは、1.1mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、30KPaのヤング率を有し、250μmの厚さを有する、E3 Displays, LLC社により製造されたOCAの層とを有した。図8Dにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、25KPaのヤング率を有し、250μmの厚さを有する、Henkel Corporation社により製造されたOCAの層とを有した。図8Eにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、15KPaのヤング率を有し、250μmの厚さを有する、Momentive Performance Materials Inc.社により製造されたOCAの層とを有した。図8Fにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、15KPaのヤング率を有し、1000μmの厚さを有する、Momentive Performance Materials Inc.社により製造されたOCAの層とを有した。図8Gにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、30KPaのヤング率を有し、プラスチック光ファイバメッシュを備え、250μmの厚さを有する、E3 Displays, LLC社により製造されたOCAの層とを有した。図8Hにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、48KPaのヤング率を有し、0.5mmの厚さを有する、Opt(Alpha)Gelの商品名でTaica社により製造されたOCAの発泡薄層とを有した。図8Iにおいて、サンプルは、0.55mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、48KPaのヤング率を有し、0.8mmの厚さを有する、Opt(Alpha)Gelの商品名でTaica社により製造されたOCAの発泡薄層とを有した。図8Jにおいて、サンプルは、0.7mmの厚さを有する化学強化アルミノケイ酸ガラス基板製のカバーガラスと、48KPaのヤング率を有し、0.5mmの厚さを有する、Opt(Alpha)Gelの商品名でTaica社により製造されたOCAの発泡薄層とを有した。
【0052】
図8A図8Jにおけるサンプルの多くは、タッチにより輝度の低下が生じたことにより示される、むらの影響に対するカバーガラスの厚さ、OCAの厚さおよびOCAの軟度またはヤング率の影響を示している。例えば、図8A図8Bとを比較すると、両方とも同じOCA材料を使用しているが、厚さが異なるサンプルでは、図8BにおけるOCAの厚さが厚くなったことにより、むらの影響の減少がもたらされた(すなわち、タッチによる輝度の低下が少なかった)。図8Cも同様に、同じOCA材料を使用し、図8Aと同じ厚さであるが、より厚いカバーガラス(1.1mmの厚さを有する)であり、より厚いカバーガラスによるむらの影響が比較的少ないことを示している。図8Dおよび図8Eのサンプルでは、より柔らかいOCA材料が使用されている(上記したように、Henkel社およびMomentive社のOCAは、E3社のOCAよりも低いヤング率を有する)。図8Fのサンプルでは、タッチ起因むらの影響は非常に小さい。また、このサンプルは、(Momentive社製の)より低いヤング率のOCAにより、輝度の減少がより小さくなり、このため、むらの影響が小さくなることを示す。これは、表1において上に示されたモデル化された結果で予測された。この場合、より低いヤング率のOCAにより、より低い応力がもたらされる。図8Gでは、図8Eからのサンプルを、光ファイバをOCAに組み込むように変更した。図8Eは、この代替的な実施形態によっても同様に、むらの減少がもたらされることを実証している。結果を定量するために、実施例8A~8Jのそれぞれについて、タッチむら可視係数も計算し、表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
表3に示されたように、図8Cおよび図8Jの実施例は、0.05以下のタッチむら可視係数を示し、むらの影響がないかまたは最少であることを示した。
【0055】
1つ以上の実施形態に係るガラス基板は、強化ガラスシート(例えば、熱強化ガラス材料、化学強化ガラスシート等)から形成される。このような実施形態では、ガラス基板が、強化ガラス材料から形成される場合、第1の主面および第2の主面は、圧縮応力下にあり、このため、主面は、破断を生じることなく、凸形状に曲げ加工する際に、より大きな引張応力を受けることができる。これにより、強化ガラス基板は、より緊密に湾曲した表面に適合することができる。
【0056】
冷間成形されたガラス基板の特徴は、ガラス基板が湾曲した形状に曲げられた後に、第1の主面と第2の主面との間で非対称に表面が圧縮されることである。このような実施形態では、冷間成形プロセス前にまたは冷間成形中に、ガラス基板の第1の主面および第2の主面におけるそれぞれの圧縮応力は実質的に等しい。冷間成形後、主面上の圧縮応力が、冷間成形前より冷間成形後に大きくなるように、凹状主面上の圧縮応力が大きくなる。対照的に、凸状主面は、曲げ加工中に引張応力を受け、表面上の表面圧縮応力の正味の低下を引き起こし、その結果、曲げ加工後の表面における圧縮応力は、ガラスシートが平坦である場合の表面における圧縮応力より小さくなる。
【0057】
上記したように、加工上の利点、例えば、高価なかつ/または遅い加熱工程の排除を提供することに加えて、本明細書に記載した冷間成形プロセスは、特に車両室内またはディスプレイカバーガラス用途のための、熱間成形ガラス物品より優れた各種の特性を有する湾曲したガラス物品を形成すると考えられる。例えば、本出願人は、少なくとも幾つかのガラス材料について、熱間成形プロセス中の加熱により、湾曲したガラスシートの光学特性が低下し、このため、本明細書に記載した冷間曲げ加工プロセス/システムを利用して形成された湾曲したガラス基板により、熱間曲げ加工プロセスでは達成できないと考えられる改善された光学品質と、湾曲したガラス形状との両方が提供されると考えている。
【0058】
さらに、多くのガラス表面処理(例えば、アンチグレアコーティング、反射防止コーティング等)は、典型的には、湾曲したガラス物品をコーティングするのに適していない堆積プロセス、例えば、スパッタリングプロセスにより適用される。加えて、多くの表面処理(例えば、アンチグレアコーティング、反射防止コーティング、装飾コーティング等)も、熱間曲げ加工プロセスに関連する高温に耐えることができない。このため、本明細書に記載した特定の実施形態では、1つ以上の表面処理が、冷間曲げ加工前にガラス基板の主面の一方または両方に適用され、表面処理を含むガラス基板は、本明細書に記載したように、湾曲した形状に曲げられている。このため、本出願人は、本明細書に記載した方法およびシステムにより、典型的な熱間成形プロセスとは対照的に、1種以上のコーティング材料がガラスに適用された後にガラスの曲げ加工が可能となると考えている。
【0059】
また、本開示の実施形態は、種々のガラス基板表面上に装飾的または機能的コーティングまたはフィルムも含むことができる。例えば、飛散防止フィルムを、カバーガラスと、下にあるベースもしくはフレームとの間またはモノリシックもしくは積層カバーガラス物品におけるガラス基板の内面もしくは外面の一方に配置することができる。飛散防止フィルムの厚さは、約250μm~約500μmであってよい。また、飛散防止フィルム自体も、タッチ起因むらに対する緩和効果を有する場合がある。加えて、飛散防止フィルムは、ディスプレイ上にデッドフロント外観を作り出すという付加的な目的を有することができる。
【0060】
本明細書に開示された物品および方法は、ガラス基板が1つよりも多くの曲率半径を有する複雑な形状に曲げられることを可能にする。例えば、図8に示されるように、ガラス基板は、主面の一方または両方が、断面で見たときにS字形のガラス基板を形成する凸状湾曲部と凹状湾曲部との両方を有するような形状に曲げることができる。
【0061】
種々の実施形態では、冷間成形されたガラス基板は、主半径および交差曲率を含む複合曲線を有することができる。複雑に湾曲した冷間成形されたガラス基板は、2つの独立した方向において区別できる曲率半径を有することができる。このため、1つ以上の実施形態によれば、複雑に湾曲した冷間成形されたガラス基板は、「交差曲率」を有するものとして特徴付けることができる。この場合、冷間成形されたガラス基板は、所定の次元に対して平行な軸線(すなわち、第1の軸線)に沿って湾曲しており、同じ次元に対して垂直な軸線(すなわち、第2の軸線)に沿っても湾曲している。相当な最小半径を相当な交差曲率および/または曲がりの深さと組み合わせたときに、冷間成形されたガラス基板および湾曲したディスプレイの曲率をより複雑にすることができる。種々の実施形態では、ガラス基板は、同じかまたは異なる湾曲した形状を有する3つ以上の湾曲した領域を有することができる。幾つかの実施形態では、ガラス基板は、可変曲率半径を有する湾曲した形状を有する1つ以上の領域を有することができる。
【0062】
種々の実施形態では、本明細書に開示されたカバーガラスの1つまたは2つの層に使用されるガラス基板の厚さtは、2mm以下であってよく、具体的には0.3mm~1.1mmである。例えば、厚さtは、約0.1mm~約1.5mm、約0.15mm~約1.5mm、約0.2mm~約1.5mm、約0.25mm~約1.5mm、約0.3mm~約1.5mm、約0.35mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.5mm、約0.45mm~約1.5mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.55mm~約1.5mm、約0.6mm~約1.5mm、約0.65mm~約1.5mm、約0.7mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1.05mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.95mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.85mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.75mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.65mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.55mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mmまたは約0.3mm~約0.7mmの範囲にあることができる。他の実施形態では、厚さtは、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに入る。
【0063】
ガラス基板の幅Wは、厚さtに対して直交する第1の主面または第2の主面のうちの一方の第1の最大寸法と定義される。種々の実施形態では、幅Wは、5cm~250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲にある。他の実施形態では、Wは、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに入る。
【0064】
ガラス基板の長さL1は、厚さtと幅Wとの両方に対して直交する第1の表面または第2の表面のうちの一方の第2の最大寸法と定義される。種々の実施形態では、長さL1は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲にある。他の実施形態では、L1は、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに入る。
【0065】
種々の実施形態では、ガラス基板502の1つ以上の曲率半径は、約20mm以上、約40mm以上または約60mm以上である。例えば、第1の曲率半径および/または第2の曲率半径は、約20mm~約10,000mm、約30mm~約10,000mm、約40mm~約10,000mm、約50mm~約10,000mm、約60mm~約10,000mm、約70mm~約10,000mm、約80mm~約10,000mm、約90mm~約10,000mm、約100mm~約10,000mm、約120mm~約10,000mm、約140mm~約10,000mm、約150mm~約10,000mm、約160mm~約10,000mm、約180mm~約10,000mm、約200mm~約10,000mm、約220mm~約10,000mm、約240mm~約10,000mm、約250mm~約10,000mm、約260mm~約10,000mm、約270mm~約10,000mm、約280mm~約10,000mm、約290mm~約10,000mm、約300mm~約10,000mm、約350mm~約10,000mm、約400mm~約10,000mm、約450mm~約10,000mm、約500mm~約10,000mm、約550mm~約10,000mm、約600mm~約10,000mm、約650mm~約10,000mm、約700mm~約10,000mm、約750mm~約10,000mm、約800mm~約10,000mm、約900mm~約10,000mm、約950mm~約10,000mm、約1000mm~約10,000mm、約1250mm~約10,000mm、約1500mm~約10,000mm、約2000mm~約10,000mm、約3000mm~約10,000mm、約4000mm~約10,000mm、約5000mm~約10,000mm、約7250mm~約10,000mm、約20mm~約9000mm、約20mm~約8000mm、約20mm~約7000mm、約20mm~約6000mm、約20mm~約5000mm、約20mm~約4000mm、約20mm~約3000mm、約20mm~約2500mm、約20mm~約2250mm、約20mm~約2000mm、約20mm~約1750mm、約20mm~約1700mm、約20mm~約1600mm、約20mm~約1400mm、約20mm~約1300mm、約20mm~約1200mm、約20mm~約1100mm、約20mm~約1000mm、約20mm~約950mm、約20mm~約900mm、約20mm~約850mm、約20mm~約800mm、約20mm~約750mm、約20mm~約700mm、約20mm~約650mm、約20mm~約200mm、約20mm~約550mm、約20mm~約500mm、約20mm~約450mm、約20mm~約400mm、約20mm~約350mm、約20mm~約300mmまたは約20mm~約250mmの範囲にあることができる。他の実施形態では、第1の曲率半径および/または第2の曲率半径は、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに入る。1つ以上の実施形態では、第1の曲率半径は第2の曲率半径と異なる。例えば、第2の曲率半径は第1の曲率半径よりも大きくてよい。
【0066】
本明細書に記載した実施形態によれば、車両室内コンポーネントのガラス基板は、ディスプレイ(例えば、電子ディスプレイ)を示すことが意図された1つ以上の領域を含むことができる。加えて、幾つかの実施形態に係るガラス基板は、ガラス基板の複数の領域および複数の方向に湾曲していることができる(すなわち、ガラス基板は、平行であってもよいし、平行でなくてもよい種々の軸線を中心に湾曲していることができる)。したがって、可能性のある実施形態の形状および形態は、本明細書に示された実施例に限定されない。ガラス基板は、1つ以上の平坦部分、1つ以上の円錐部分、1つ以上の円筒部分、1つ以上の球状部分等を含む複数の異なる形状を含む複雑な表面を有するように成形することができる。
【0067】
車両室内システムの種々の実施形態は、車両、例えば、列車、自動車(例えば、乗用車、トラック、バス等)、船舶(ボート、船、潜水艦等)および航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプター等)に組み込むことができる。
【0068】
強化ガラスの特性
上記したように、幾つかの実施形態のカバーガラスのガラス基板は強化されていてよい。1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、表面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力を含むように強化されていてよい。圧縮応力領域は、引張応力を示す中央部分によりバランスされる。DOCにおいて、応力は、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に交差する。
【0069】
種々の実施形態では、ガラス基板は、物品の部分間の熱膨張係数のミスマッチを利用して、圧縮応力領域および引張応力を示す中央領域を作り出すことにより、機械的に強化することができる。幾つかの実施形態では、ガラス転移点を超える温度までガラスを加熱し、次いで、急速に急冷することにより、ガラス基板を熱的に強化することができる。
【0070】
種々の実施形態では、ガラス基板は、イオン交換により化学的に強化することができる。イオン交換プロセスにおいて、ガラス基板の表面またはその付近のイオンが、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンにより置き換えられるかまたはそれと交換される。ガラス基板が、アルカリアルミノケイ酸ガラスを含むような実施形態では、物品の表層におけるイオンおよびより大きなイオンは、一価のアルカリ金属カチオン、例えば、Li、Na、K、RbおよびCsである。代替的には、表層における一価のカチオンを、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオン、例えば、Ag等に置き換えることができる。このような実施形態では、ガラス基板内で交換された一価のイオン(またはカチオン)により、応力が発生する。
【0071】
イオン交換プロセスは、典型的には、ガラス基板中のより小さいイオンと交換されるより大きいイオンを含有する溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)中にガラス基板を浸漬することにより行われる。水性塩浴も利用することができることに留意されたい。加えて、浴の組成は、1種よりも多くのより大きなイオン(例えば、Na+およびK+)または1種のより大きなイオンを含むことができる。浴の組成および温度、浸漬時間、塩浴(または複数の塩浴)中へのガラス基板の浸漬の回数、複数の塩浴の使用、追加の工程、例えば、アニーリング、洗浄等を含むが、これらに限定されないイオン交換プロセスのためのパラメータは、一般的には、ガラス基板の組成(物品の構造および任意の存在する結晶相を含む)ならびに強化により生じるガラス基板の所望のDOCおよびCSにより決定されることが当業者に理解されるであろう。例示的な溶融浴の組成は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩および塩化物を含むことができる。典型的な硝酸塩は、KNO、NaNO、LiNO、NaSOおよびそれらの組合せを含む。溶融塩浴の温度は、典型的には、約380℃~最高約450℃の範囲にある。一方、浸漬時間は、ガラス基材の厚さ、浴温度およびガラス(または一価のイオン)拡散率に応じて、約15分~最長約100時間の範囲にある。ただし、上記されたものとは異なる温度および浸漬時間も使用することができる。
【0072】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、約370℃~約480℃の温度を有する、100%のNaNO、100%のKNOまたはNaNOとKNOとの組合せの溶融塩浴に浸漬させることができる。幾つかの実施形態では、ガラス基板は、約5%~約90%のKNOおよび約10%~約95%のNaNOを含む溶融混合塩浴に浸漬させることができる。1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、第1の浴に浸漬させた後、第2の浴に浸漬させることができる。第1の浴および第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有することができる。第1の浴および第2の浴への浸漬時間は変化させることができる。例えば、第1の浴への浸漬を第2の浴への浸漬より長くすることができる。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ガラス基材は、約420℃未満(例えば、約400℃または約380℃)の温度を有するNaNOおよびKNO(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴に約5時間未満または約4時間以内でさえ浸漬させることができる。
【0074】
イオン交換条件は、「スパイク」を提供するようにまたは得られるガラス基板の表面もしくは表面付近の応力プロファイルの傾斜を大きくするように調整することができる。スパイクにより、より大きな表面CS値をもたらすことができる。このスパイクは、本明細書に記載したガラス基板に使用されるガラス組成物の固有の特性により、単一の組成または混合組成を有する浴を使用して、単一の浴または複数の浴により達成することができる。
【0075】
1つよりも多くの一価のイオンがガラス基板内で交換される1つ以上の実施形態では、異なる一価のイオンが、ガラス基板内の異なる深さに交換する(かつ異なる深さでガラス基板内に異なる大きさの応力を発生させる)ことができる。得られた応力発生イオンの相対的深さを決定することができ、応力プロファイルの異なる特性を生じる場合がある。
【0076】
CSは、当該技術分野において公知の手段を使用して、例えば、市販の機器、例えば、Orihara Industrial Co., Ltd.社(日本)製のFSM-6000を使用する表面応力計(FSM)により測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定による。次に、SOCを、当該技術分野において公知の方法、例えば、繊維および4点曲げ法(その両方が、ASTM標準C770-98(2013)、表題「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」に記載されている。同文献は、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする)ならびにバルクシリンダ法により測定される。本明細書で使用する場合、CSは、圧縮応力層内で測定される最高圧縮応力値である「最大圧縮応力」であってよい。幾つかの実施形態では、最大圧縮応力は、ガラス基板の表面に位置する。他の実施形態では、最大圧縮応力は、表面より下の深さで生じ、圧縮プロファイルに「埋め込みピーク」の外観を与える場合がある。
【0077】
DOCは、強化方法および条件に応じて、FSMによりまたは散乱光偏光計(SCALP)(例えば、Glasstress Ltd.社(Tallinn, Estoniaに所在)から入手可能なSCALP-04散乱光偏光計)により測定することができる。ガラス基板をイオン交換処理により化学的に強化する場合には、どのイオンをガラス基板内で交換するかに応じて、FSMまたはSCALPを使用することができる。ガラス基板中の応力が、ガラス基板内でカリウムイオンを交換することにより生じる場合、FSMを使用して、DOCを測定する。応力が、ガラス基板内でナトリウムイオンを交換することにより生じる場合、SCALPを使用してDOCを測定する。ガラス基板中の応力が、ガラス内でカリウムイオンとナトリウムイオンとの両方を交換することにより生じる場合、DOCをSCALPにより測定する。なぜならば、ナトリウムの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは圧縮応力の大きさの変化を示す(ただし、圧縮から引張への応力の変化は示さない)と考えられるためである。このようなガラス基板中でのカリウムイオンの交換深さは、FSMにより測定される。中心張力またはCTは最大引張応力であり、SCALPにより測定される。
【0078】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、(本明細書に記載したように)ガラス基板の厚さtの百分率として記載するDOCを示すように強化することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、DOCは、約0.05t以上、約0.1t以上、約0.11t以上、約0.12t以上、約0.13t以上、約0.14t以上、約0.15t以上、約0.16t以上、約0.17t以上、約0.18t以上、約0.19t以上、約0.2t以上、約0.21t以上であることができる。幾つかの実施形態では、DOCは、約0.08t~約0.25t、約0.09t~約0.25t、約0.18t~約0.25t、約0.11t~約0.25t、約0.12t~約0.25t、約0.13t~約0.25t、約0.14t~約0.25t、約0.15t~約0.25t、約0.08t~約0.24t、約0.08t~約0.23t、約0.08t~約0.22t、約0.08t~約0.21t、約0.08t~約0.20t、約0.08t~約0.19t、約0.08t~約0.18t、約0.08t~約0.17t、約0.08t~約0.16tまたは約0.08t~約0.15tの範囲にあることができる。場合によっては、DOCは、約20μm以下であることができる。1つ以上の実施形態では、DOCは、約40μm以上(例えば、約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、約60μm~約300μm、約70μm~約300μm、約80μm~約300μm、約90μm~約300μm、約100μm~約300μm、約110μm~約300μm、約120μm~約300μm、約140μm~約300μm、約150μm~約300μm、約40μm~約290μm、約40μm~約280μm、約40μm~約260μm、約40μm~約250μm、約40μm~約240μm、約40μm~約230μm、約40μm~約220μm、約40μm~約210μm、約40μm~約200μm、約40μm~約180μm、約40μm~約160μm、約40μm~約150μm、約40μm~約140μm、約40μm~約130μm、約40μm~約120μm、約40μm~約110μmまたは約40μm~約100μm)であることができる。他の実施形態では、DOCは、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに入る。
【0079】
1つ以上の実施形態では、強化ガラス基板は、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上または約1050MPa以上のCS(ガラス基板内の表面または深さにおいて見出すことができる)を有することができる。
【0080】
1つ以上の実施形態では、強化ガラス基板は、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上または約85MPa以上の最大引張応力または中心張力(CT)を有することができる。幾つかの実施形態では、最大引張応力または中心引張(CT)は、約40MPa~約100MPaの範囲にあることができる。他の実施形態では、CSは、この段落に記載した正確な数値範囲に入る。
【0081】
ガラス組成物
1つ以上の実施形態に係るカバーガラスのガラス基板に使用するのに適したガラス組成物は、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウアルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラスおよびアルカリ含有ホウアルミノケイ酸ガラスを含む。
【0082】
特に断らない限り、本明細書に開示されたガラス組成物は、酸化物ベースで分析されるモルパーセント(モル%)で記載する。
【0083】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約66モル%~約80モル%、約67モル%~約80モル%、約68モル%~約80モル%、約69モル%~約80モル%、約70モル%~約80モル%、約72モル%~約80モル%、約65モル%~約78モル%、約65モル%~約76モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約74モル%、約65モル%~約72モル%または約65モル%~約70モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、SiOを含むことができる。
【0084】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約4モル%超または約5モル%超の量で、Alを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約7モル%超~約15モル%、約7モル%超~約14モル%、約7モル%~約13モル%、約4モル%~約12モル%、約7モル%~約11モル%、約8モル%~約15モル%、約9モル%~約15モル%、約10モル%~約15モル%、約11モル%~約15モル%または約12モル%~約15モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲で、Alを含む。1つ以上の実施形態では、Alの上限は、約14モル%、14.2モル%、14.4モル%、14.6モル%または14.8モル%であることができる。
【0085】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、アルミノケイ酸ガラス物品としてまたはアルミノケイ酸ガラス組成物を含むように記載する。このような実施形態では、ガラス組成物またはそれから形成される物品は、SiOおよびAlを含み、ソーダ石灰ケイ酸ガラスではない。この点に関して、ガラス組成物またはそれから形成される物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量で、Alを含む。
【0086】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、B(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.1モル%~約0.5モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、Bを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Bを実質的に含まない。
【0087】
本明細書で使用する場合、組成物の成分に関して「実質的に含まない」という表現は、この成分が最初の装入の間に組成物に能動的にまたは意図的に添加されないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在する場合があることを意味する。
【0088】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、場合により、P(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下または0.5モル%以下の非ゼロ量のPを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Pを実質的に含まない。
【0089】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上の総量のRO(アルカリ金属酸化物、例えば、LiO、NaO、KO、RbOおよびCsOの総量である)を含むことができる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または11モル%~約13モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の総量のROを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、RbO、CsOまたはRbOとCsOとの両方を実質的に含まないことができる。1つ以上の実施形態では、ROは、LiO、NaOおよびKOのみの総量を含むことができる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、LiO、NaOおよびKOから選択される少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を含むことができ、このアルカリ金属酸化物は、約8モル%以上の量で存在する。
【0090】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上の量で、NaOを含む。1つ以上の実施形態では、該組成物は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または約11モル%~約16モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲で、NaOを含む。
【0091】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約4モル%未満のKO、約3モル%未満のKOまたは約1モル%未満のKOを含み、場合によっては、ガラス組成物は、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.2モル%、約0モル%~約0.1モル%、約0.5モル%~約4モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約0.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、約0.5モル%~約1.5モル%または約0.5モル%~約1モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、KOを含むことができる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、KOを実質的に含まないことができる。
【0092】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、LiOを実質的に含まない。
【0093】
1つ以上の実施形態では、組成物中のNaOの量は、LiOの量より多いことができる。場合によっては、NaOの量は、LiOとKOとの組み合わせた量より多いことができる。1つ以上の代替的な実施形態では、組成物中のLiOの量は、NaOの量またはNaOとKOとの組み合わせた量より多いことができる。
【0094】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約2モル%の範囲の総量で、RO(アルカリ土類金属酸化物、例えば、CaO、MgO、BaO、ZnOおよびSrOの総量である)を含むことができる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、最大約2モル%の非ゼロ量のROを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約1.8モル%、約0モル%~約1.6モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1.4モル%、約0モル%~約1.2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.5モル%の量ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲で、ROを含む。
【0095】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約1モル%未満、約0.8モル%未満または約0.5モル%未満の量で、CaOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、CaOを実質的に含まない。
【0096】
幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0.1モル%~約7モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約6モル%または約3モル%~約6モル%ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量で、MgOを含む。
【0097】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量で、ZrOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲で、ZrOを含む。
【0098】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量で、SnOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲で、SnOを含む。
【0099】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品に色または色合いを付与する酸化物を含むことができる。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に曝される場合に、ガラス物品の変色を防止する酸化物を含む。このような酸化物の例は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、WおよびMoの酸化物を含むが、これらに限定されない。
【0100】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Feとして表されるFeを含み、Feは、約1モル%まで(およびそれを含む)の量で存在する。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Feを実質的に含まない。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量で、Feを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲で、Feを含む。
【0101】
ガラス組成物が、TiOを含む場合、TiOは、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下または約1モル%以下の量で存在することができる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、TiOを実質的に含まないことができる。
【0102】
例示的なガラス組成物は、約65モル%~約75モル%の範囲の量でSiO、約8モル%~約14モル%の範囲の量でAl、約12モル%~約17モル%の範囲の量でNaO、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量でKOおよび約1.5モル%~約6モル%の範囲の量でMgOを含む。場合により、SnOは、本明細書に別途開示された量で含ませることができる。前述のガラス組成物の段落は、おおよその範囲を表すが、他の実施形態では、ガラス基板134は、上述した正確な数値範囲のいずれか1つに入る任意のガラス組成物から製造することができると理解されたい。
【0103】
態様(1)は、車両室内システムであって、湾曲面を含むベースと、湾曲面上に配置されたディスプレイと、ディスプレイ上に配置されたカバーガラスであって、第1の主面、第1の主面と反対側の第2の主面および第1の主面と第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さを含む第1の領域と、第1の主面、第1の主面と反対側の第3の主面および第1の主面と第3の主面との間の距離として定義される第2の厚さを含む第2の領域とを含むカバーガラスとを含み、ディスプレイは第3の主面に取り付けられており、第2の領域はディスプレイのタッチ感応領域に対応しており、第2の厚さは第1の厚さよりも厚い、車両室内システムに関する。
【0104】
態様(2)は、カバーガラスは、第2の領域に、第1の主面を含む第1のガラス基板と、第3の主面を含む第2のガラス基板とをさらに含む、態様(1)記載の車両室内システムに関する。
【0105】
態様(3)は、第1のガラス基板および第2のガラス基板のうちの少なくとも一方は強化されている、態様(2)記載の車両室内システムに関する。
【0106】
態様(4)は、カバーガラスは、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間にポリマー中間層を含む、態様(2)記載の車両室内システムに関する。
【0107】
態様(5)は、カバーガラスは、第1の領域に第1のガラス基板を含むが、第2のガラス基板を含まない、態様(2)から(4)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0108】
態様(6)は、第2の厚さは1.1mm超であり、第1の厚さは約1.1mm以下である、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0109】
態様(7)は、第1の厚さは、1.0mm未満、0.7mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満または約0.1mm~0.3mmである、態様(1)から(6)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0110】
態様(8)は、第1の厚さは少なくとも約0.1mmである、態様(7)記載の車両室内システムに関する。
【0111】
態様(9)は、第2の厚さは少なくとも1.25mmである、態様(1)から(8)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0112】
態様(10)は、第2のガラス基板は、第3の主面と反対側の第4の表面と、第3の主面と第4の表面との間の距離として定義される第3の厚さとをさらに含み、第3の厚さは、1.1mm未満、1.0mm未満、0.7mm未満、0.5mm未満または0.3mm未満である、態様(2)から(9)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0113】
態様(11)は、第3の厚さは約0.55mmである、態様(10)記載の車両室内システムに関する。
【0114】
態様(12)は、第1の厚さは約0.7mmである、態様(11)記載の車両室内システムに関する。
【0115】
態様(13)は、ディスプレイモジュールは湾曲している、態様(1)から(12)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0116】
態様(14)は、第1のガラス基板および第2のガラス基板のうちの少なくとも一方は、第2の領域で湾曲している、態様(13)記載の車両室内システムに関する。
【0117】
態様(15)は、第1の領域は湾曲している、態様(13)記載の車両室内システムに関する。
【0118】
態様(16)は、第2の領域は湾曲していない、態様(15)記載の車両室内システムに関する。
【0119】
態様(17)は、カバーガラスとディスプレイモジュールとの間に接着剤の層をさらに含む、態様(1)から(16)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0120】
態様(18)は、接着剤は、光学的に透明な接着剤である、態様(17)記載の車両室内システムに関する。
【0121】
態様(19)は、接着剤はポリビニルブチラール(PVB)である、態様(17)または(18)記載の車両室内システムに関する。
【0122】
態様(20)は、接着剤の厚さは、約1.0mm未満または約0.5mm未満である、態様(17)から(19)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0123】
態様(21)は、接着剤の厚さは少なくとも約0.25mmである、態様(20)記載の車両室内システムに関する。
【0124】
態様(22)は、カバーガラスは、冷間成形されたカバーガラスである、態様(1)から(21)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0125】
態様(23)は、第1のガラス基板および第2のガラス基板のうちの少なくとも一方は、冷間成形されたガラス基板である、態様(2)から(22)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0126】
態様(24)は、第3の主面は、ベースの湾曲面に合致している、態様(1)から(23)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0127】
態様(25)は、第2の主面の少なくとも一部は、ベースの湾曲面に合致している、態様(1)から(24)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0128】
態様(26)は、カバーガラスとベースとの間に配置された飛散防止フィルムをさらに含む、態様(1)から(25)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0129】
態様(27)は、飛散防止フィルムの厚さは約250μm~約500μmである、態様(26)記載の車両室内システムに関する。
【0130】
態様(28)は、ディスプレイモジュールはタッチパネルを含む、態様(1)から(27)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0131】
態様(29)は、車両室内システムのユーザが第2の領域における第1の主面にタッチしたとき、車両室内システムはむらを呈さない、態様(1)から(28)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0132】
態様(30)は、タッチパネルが、第1の主面へのユーザによるタッチを認識したとき、車両室内システムはむらを呈さない、態様(28)または(29)記載の車両室内システムに関する。
【0133】
態様(31)は、第1の主面へのユーザによるタッチが約5N以上または約10N以上の力を第1の主面に加えることをタッチパネルが認識したとき、車両室内システムは、0.05以下のタッチむら可視係数を示す、態様(1)から(30)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0134】
態様(32)は、態様(31)記載の車両室内システムに関する。
【0135】
態様(33)は、第1の領域における第1の主面は湾曲していて、第1の曲率半径を含む、態様(1)から(30)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0136】
態様(34)は、第2の領域における第1の主面は平坦である、態様(1)から(31)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0137】
態様(35)は、第2の領域における第1の主面は湾曲していて、第2の曲率半径を含む、態様(33)記載の車両室内システムに関する。
【0138】
態様(36)は、第2の曲率半径は第1の曲率半径よりも大きい、態様(35)記載の車両室内システムに関する。
【0139】
態様(37)は、第1の曲率半径は約5m以下である、態様(33)から(36)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0140】
態様(38)は、カバーガラスは強化されている、態様(1)から(37)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0141】
態様(39)は、カバーガラスは、アルカリアルミノケイ酸ガラス、アルカリホウアルミノケイ酸ガラスまたはソーダ石灰ガラスを含む、態様(1)から(38)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0142】
態様(40)は、車両室内システムは、中間層に配置された少なくとも1つの光ファイバをさらに含み、光ファイバは、第2の主面に対して平行に延びている、態様(1)から(39)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0143】
態様(41)は、車両室内システムは、ダッシュボード、センタコンソール、インストルメントクラスタ、ディスプレイ、インフォテインメントモジュール、ステアリングホイール、タッチパネルおよび室内ドアパネルのうちの少なくとも1つである、態様(1)から(40)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0144】
態様(42)は、車両室内システムであって、ディスプレイおよびタッチパネルを含むディスプレイモジュールと、ディスプレイモジュール上に配置されたカバーガラスであって、第1の主面、ディスプレイモジュールに取り付けられた、第1の主面と反対側の第2の主面および第1の主面と第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さを含むカバーガラスと、ディスプレイモジュールとカバーガラスとの間に配置された中間層とを含み、第1の主面は湾曲しており、タッチパネルが、第1の主面へのユーザによるタッチを認識したとき、車両室内システムはむらを呈さない、車両室内システムに関する。
【0145】
態様(43)は、車両室内システムは、0.05以下のタッチむら可視係数を示す、態様(42)記載の車両室内システムに関する。
【0146】
態様(44)は、ユーザによるタッチは、約5N以上または約10N以上の力を第1の主面に加える、態様(42)または(43)記載の車両室内システムに関する。
【0147】
態様(45)は、第1の主面とタッチとの間の接触の表面領域は、約10mmの直径を有する、態様(42)から(44)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0148】
態様(46)は、中間層は、光学的に透明な接着剤である、態様(42)から(45)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0149】
態様(47)は、第1の厚さは、約2mm以下、約1.1mm以下、約0.7mm以下、約0.55mm以下または約0.4mm以下である、態様(42)から(45)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0150】
態様(48)は、中間層は、約10KPa~約200KPaの範囲のヤング率を有する、態様(42)から(47)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0151】
態様(49)は、中間層は、約125μm~約2000μmの厚さを有する、態様(40)から(48)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0152】
態様(50)は、中間層の厚さは、約250μm~約1000μmの範囲にある、態様(49)記載の車両室内システムに関する。
【0153】
態様(51)は、第1の厚さは約0.4mm以上であり、中間層のヤング率は約10KPa以上であるか、第1の厚さは約0.55mm以上であり、中間層のヤング率は約20KPa以上であるか、第1の厚さは約0.7mm以上であり、中間層の弾性率は約30KPa以上であるか、または第1の厚さは約1.1mmであり、中間層の弾性率は約50KPa以上である、態様(47)から(50)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0154】
態様(52)は、車両室内システムは、中間層に配置されたメッシュをさらに含み、メッシュのファイバは、第2の主面に対して平行に延びている、態様(42)から(51)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0155】
態様(53)は、メッシュは、タッチパネルに対応する領域に配置された光ファイバを含む、態様(52)記載の車両室内システムに関する。
【0156】
態様(54)は、カバーガラスは、ディスプレイモジュールに冷間成形されている、態様(42)から(53)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0157】
態様(55)は、カバーガラスは、アルカリアルミノケイ酸ガラス、アルカリホウアルミノケイ酸ガラスまたはソーダ石灰ガラスを含む、態様(42)から(54)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0158】
態様(56)は、車両室内システムは、ダッシュボード、センタコンソール、インストルメントクラスタ、ディスプレイ、インフォテインメントモジュール、ステアリングホイール、タッチパネルおよび室内ドアパネルのうちの少なくとも1つである、態様(42)から(55)までのいずれか1つ記載の車両室内システムに関する。
【0159】
特に断らない限り、本明細書に記載した任意の方法は、その工程が特定の順序で行われることが必要であると解釈されることを全く意図していない。したがって、方法クレームが、その工程に続くような順序で実際に言及していないかまたは工程が特定の順序に限定されることが特許請求の範囲もしくは説明に何らかの方法で具体的に記載していない場合、任意の特定の順序が推論されることを全く意図していない。加えて、本明細書で使用する場合、「a」という冠詞は、1つまたは1つよりも多くの構成または構成要素を含むことを意図しており、1つのみを意味すると解釈されることを意図していない。
【0160】
種々の変更および変形を、開示された実施形態の趣旨または範囲から逸脱することなく行うことができることは、当業者に明らかであろう。実施形態の趣旨および要旨を包含する開示された実施形態の変更、組合せ、部分組合せおよび変形を、当業者であれば想起することができるため、開示された実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内の全てを含むと解釈されるべきである。
【0161】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0162】
実施形態1
車両室内システムであって、
湾曲面を含むベースと、
前記湾曲面上に配置されたディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置されたカバーガラスであって、
第1の主面、前記第1の主面と反対側の第2の主面および前記第1の主面と前記第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さを含む第1の領域と、
前記第1の主面、前記第1の主面と反対側の第3の主面および前記第1の主面と前記第3の主面との間の距離として定義される第2の厚さを含む第2の領域と
を含むカバーガラスと
を含み、
前記ディスプレイは前記第3の主面に取り付けられており、前記第2の領域は前記ディスプレイのタッチ感応領域に対応しており、
前記第2の厚さは前記第1の厚さよりも厚い、
車両室内システム。
【0163】
実施形態2
前記カバーガラスは、前記第2の領域に、前記第1の主面を含む第1のガラス基板と、前記第3の主面を含む第2のガラス基板とをさらに含む、実施形態1記載の車両室内システム。
【0164】
実施形態3
前記第1のガラス基板および前記第2のガラス基板のうちの少なくとも一方は強化されている、実施形態2記載の車両室内システム。
【0165】
実施形態4
前記カバーガラスは、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間にポリマー中間層を含む、実施形態2記載の車両室内システム。
【0166】
実施形態5
前記カバーガラスは、前記第1の領域に前記第1のガラス基板を含むが、前記第2のガラス基板を含まない、実施形態2から4までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0167】
実施形態6
前記第2の厚さは1.1mm超であり、前記第1の厚さは約1.1mm以下である、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0168】
実施形態7
前記第1の厚さは、1.0mm未満、0.7mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満または約0.1mm~0.3mmである、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0169】
実施形態8
前記第1の厚さは少なくとも約0.1mmである、実施形態7記載の車両室内システム。
【0170】
実施形態9
前記第2の厚さは少なくとも1.25mmである、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0171】
実施形態10
前記第2のガラス基板は、前記第3の主面と反対側の第4の表面と、前記第3の主面と前記第4の表面との間の距離として定義される第3の厚さとをさらに含み、
前記第3の厚さは、1.1mm未満、1.0mm未満、0.7mm未満、0.5mm未満または0.3mm未満である、実施形態2から9までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0172】
実施形態11
前記第3の厚さは約0.55mmである、実施形態10記載の車両室内システム。
【0173】
実施形態12
前記第1の厚さは約0.7mmである、実施形態11記載の車両室内システム。
【0174】
実施形態13
前記ディスプレイモジュールは湾曲している、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0175】
実施形態14
前記第1のガラス基板および前記第2のガラス基板のうちの少なくとも一方は、前記第2の領域で湾曲している、実施形態13記載の車両室内システム。
【0176】
実施形態15
前記第1の領域は湾曲している、実施形態13記載の車両室内システム。
【0177】
実施形態16
前記第2の領域は湾曲していない、実施形態15記載の車両室内システム。
【0178】
実施形態17
前記カバーガラスと前記ディスプレイモジュールとの間に接着剤の層をさらに含む、実施形態1から16までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0179】
実施形態18
前記接着剤は、光学的に透明な接着剤である、実施形態17記載の車両室内システム。
【0180】
実施形態19
前記接着剤はポリビニルブチラール(PVB)である、実施形態17または18記載の車両室内システム。
【0181】
実施形態20
前記接着剤の厚さは、約1.0mm未満または約0.5mm未満である、実施形態17から19までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0182】
実施形態21
前記接着剤の厚さは少なくとも約0.25mmである、実施形態20記載の車両室内システム。
【0183】
実施形態22
前記カバーガラスは、冷間成形されたカバーガラスである、実施形態1から21までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0184】
実施形態23
前記第1のガラス基板および前記第2のガラス基板のうちの少なくとも一方は、冷間成形されたガラス基板である、実施形態2から22までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0185】
実施形態24
前記第3の主面は、前記ベースの前記湾曲面に合致している、実施形態1から23までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0186】
実施形態25
前記第2の主面の少なくとも一部は、前記ベースの前記湾曲面に合致している、実施形態1から24までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0187】
実施形態26
前記カバーガラスと前記ベースとの間に配置された飛散防止フィルムをさらに含む、実施形態1から25までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0188】
実施形態27
前記飛散防止フィルムの厚さは約250μm~約500μmである、実施形態26記載の車両室内システム。
【0189】
実施形態28
前記ディスプレイモジュールはタッチパネルを含む、実施形態1から27までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0190】
実施形態29
前記車両室内システムのユーザが前記第2の領域における前記第1の主面にタッチしたとき、前記車両室内システムはむらを呈さない、実施形態1から28までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0191】
実施形態30
前記タッチパネルが、前記第1の主面へのユーザによるタッチを認識したとき、前記車両室内システムはむらを呈さない、実施形態28または29記載の車両室内システム。
【0192】
実施形態31
前記第1の主面へのユーザによるタッチが約5N以上または約10N以上の力を前記第1の主面に加えることを前記タッチパネルが認識したとき、前記車両室内システムは、0.05以下のタッチむら可視係数を示す、実施形態1から30までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0193】
実施形態32
前記第1の主面と前記タッチとの間の接触の表面領域は、約10mmの直径を有する、実施形態31記載の車両室内システム。
【0194】
実施形態33
前記第1の領域における前記第1の主面は湾曲していて、第1の曲率半径を含む、実施形態1から32までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0195】
実施形態34
前記第2の領域における前記第1の主面は平坦である、実施形態1から33までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0196】
実施形態35
前記第2の領域における前記第1の主面は湾曲していて、第2の曲率半径を含む、実施形態33記載の車両室内システム。
【0197】
実施形態36
前記第2の曲率半径は前記第1の曲率半径よりも大きい、実施形態35記載の車両室内システム。
【0198】
実施形態37
前記第1の曲率半径は約5m以下である、実施形態33から36までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0199】
実施形態38
前記カバーガラスは強化されている、実施形態1から37までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0200】
実施形態39
前記カバーガラスは、アルカリアルミノケイ酸ガラス、アルカリホウアルミノケイ酸ガラスまたはソーダ石灰ガラスを含む、実施形態1から38までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0201】
実施形態40
前記車両室内システムは、前記中間層に配置された少なくとも1つの光ファイバをさらに含み、前記光ファイバは、前記第2の主面に対して平行に延びている、実施形態1から39までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0202】
実施形態41
前記車両室内システムは、ダッシュボード、センタコンソール、インストルメントクラスタ、ディスプレイ、インフォテインメントモジュール、ステアリングホイール、タッチパネルおよび室内ドアパネルのうちの少なくとも1つである、実施形態1から40までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0203】
実施形態42
車両室内システムであって、
ディスプレイおよびタッチパネルを含むディスプレイモジュールと、
前記ディスプレイモジュール上に配置されたカバーガラスであって、第1の主面、前記ディスプレイモジュールに取り付けられた、前記第1の主面と反対側の第2の主面および前記第1の主面と前記第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さを含むカバーガラスと、
前記ディスプレイモジュールと前記カバーガラスとの間に配置された中間層と
を含み、
前記第1の主面は湾曲しており、
前記タッチパネルが、前記第1の主面へのユーザによるタッチを認識したとき、前記車両室内システムはむらを呈さない、
車両室内システム。
【0204】
実施形態43
前記車両室内システムは、0.05以下のタッチむら可視係数を示す、実施形態42記載の車両室内システム。
【0205】
実施形態44
前記ユーザによる前記タッチは、約5N以上または約10N以上の力を前記第1の主面に加える、実施形態42または43記載の車両室内システム。
【0206】
実施形態45
前記第1の主面と前記タッチとの間の接触の表面領域は、約10mmの直径を有する、実施形態42から44までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0207】
実施形態46
前記中間層は、光学的に透明な接着剤である、実施形態42から45までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0208】
実施形態47
前記第1の厚さは、約2mm以下、約1.1mm以下、約0.7mm以下、約0.55mm以下または約0.4mm以下である、実施形態42から45までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0209】
実施形態48
前記中間層は、約10KPa~約200KPaの範囲のヤング率を有する、実施形態42から46までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0210】
実施形態49
前記中間層は、約125μm~約2000μmの厚さを有する、実施形態42から47までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0211】
実施形態50
前記中間層の厚さは、約250μm~約1000μmの範囲にある、実施形態49記載の車両室内システム。
【0212】
実施形態51
前記第1の厚さは約0.4mm以上であり、前記中間層の前記ヤング率は約10KPa以上であるか、
前記第1の厚さは約0.55mm以上であり、前記中間層の前記ヤング率は約20KPa以上であるか、
前記第1の厚さは約0.7mm以上であり、前記中間層の前記弾性率は約30KPa以上であるか、または
前記第1の厚さは約1.1mmであり、前記中間層の前記弾性率は約50KPa以上である、実施形態47から50までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0213】
実施形態52
前記車両室内システムは、前記中間層に配置されたメッシュをさらに含み、前記メッシュのファイバは、前記第2の主面に対して平行に延びている、実施形態42から51までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0214】
実施形態53
前記メッシュは、前記タッチパネルに対応する領域に配置された光ファイバを含む、実施形態52記載の車両室内システム。
【0215】
実施形態54
前記カバーガラスは、前記ディスプレイモジュールに冷間成形されている、実施形態42から53までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0216】
実施形態55
前記カバーガラスは、アルカリアルミノケイ酸ガラス、アルカリホウアルミノケイ酸ガラスまたはソーダ石灰ガラスを含む、実施形態42から54までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
【0217】
実施形態56
前記車両室内システムは、ダッシュボード、センタコンソール、インストルメントクラスタ、ディスプレイ、インフォテインメントモジュール、ステアリングホイール、タッチパネルおよび室内ドアパネルのうちの少なくとも1つである、実施形態42から55までのいずれか1つ記載の車両室内システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9