(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】炭水化物が低減された水切り酸性乳製品
(51)【国際特許分類】
A23C 9/12 20060101AFI20240621BHJP
A23C 9/123 20060101ALI20240621BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A23C9/12
A23C9/123
A23C9/13
(21)【出願番号】P 2021521169
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2019078458
(87)【国際公開番号】W WO2020079270
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506375923
【氏名又は名称】コンパニ・ジェルベ・ダノン
【氏名又は名称原語表記】COMPAGNIE GERVAIS DANONE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー、マコーミック
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー、セイント-デニス
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ、マッカーシー
(72)【発明者】
【氏名】パオラ、フラッピ
(72)【発明者】
【氏名】ホセ、マリア、カール、ピケラス
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134023(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142193(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/115586(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水切り酸性乳製品を製造する方法であって:
工程1)炭水化物希釈液体酸性乳製品であって、該炭水化物希釈液体酸性乳製品の総重量の最大3.00重量%の炭水化物濃度、
該炭水化物希釈液体酸性乳製品の総重量の1.50~2.75重量%のタンパク質濃度、および最大5.00のpHを有する、前記炭水化物希釈液体酸性乳製品を調製する工程であって、
-工程a)タンパク質および少なくとも1種の炭水化物を含む初期乳原料を供給する工程であって、前記少なくとも1種の炭水化物は、ラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖の少なくとも1種、またはそれらの混合物を含む、前記工程、
-工程b)水性炭水化物希釈液を添加することにより希釈する工程、および
-工程c)酸性化する工程
を含む、前記工程1)、
工程2)前記炭水化物希釈液体酸性乳製品を分離して、
A)炭水化物濃度が低減された水切り酸性乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を含む製品を調製する工程、
工程3)前記水切り酸性乳製品を回
収する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記工程1)が、前記工程a)、それに次ぐ前記工程b)、それに次ぐ前記工程c)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程1)が、前記工程a)、それに次ぐ前記工程b)および工程c)を含み、前記工程b)および工程c)が同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記工程1)が、前記工程a)、それに次ぐ前記工程c)、それに次ぐ前記工程b)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記初期乳原料が、3.70%を超える初期炭水化物濃度を有する液体初期乳原料であり、前記希釈により、前記炭水化物濃度が、前記初期炭水化物濃度の値に対して少なくとも20%低減する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液体初期乳原料が、少なくとも2.00重量
%のタンパク質濃度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭水化物希釈液体酸性乳製品が、最大で2.50重量%の炭水化物濃度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記炭水化物希釈液体酸性乳製品が、少なくとも0.50重量%の炭水化物濃度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記炭水化物希釈液体酸性乳製品が、
1.50~2.50重量%のタンパク質濃度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記炭水化物希釈液体酸性乳製品が、炭水化物に対して0.50~1.50のタンパク質の重量比を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法であって、
-前記初期乳原料が液体の形態であり、
-前記工程b)が、前記工程a)と工程c)との間に行われ、1体積部の初期乳原料と少なくとも0.25体積部の水性炭水化物希釈液とを混合することを含む、
前記方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法であって、
-前記初期乳原料が液体の形態であり、
-前記工程c)が前記工程a)の後に行われて初期酸性化乳原料を生成し、
-前記工程b)が前記工程a)および工程c)の後に行われ、1体積部の初期酸性化乳原料と少なくとも0.25体積部の水性炭水化物希釈液とを混合することを含む、
前記方法。
【請求項13】
前記混合が、最大4体積部の水性炭水化物希釈液を用いて行われる、請求項11および12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記液体酸性炭水化物で希釈された乳製品が、最大で4.80のpHを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記工程c)が:
-乳酸菌による発酵、
-酵素による発酵、および/または
-酸性化合物の添加
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記希釈工程b)が、バッチごとに行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記希釈工程b)が、工程全体を通して連続的に行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記希釈工程b)が、さらに混合を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記分離工程2)が、遠心分離または限外濾過である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記工程3)が、前記水切り酸性乳製品をさらなる食品形態に加工し、かつ/またはそれをさらなる食品成分と混合する工程をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記乳原料が、乳、半脱脂乳、脱脂乳、粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、練乳、脱脂濃縮乳、脱脂練乳、エバミルク、脱脂エバミルク、限外濾過乳残渣、限外濾過脱脂乳残渣、精密濾過乳、精密濾過脱脂乳、乳タンパク質、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエイタンパク質、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、カゼインまたはカゼイネート、クリーム、バターミルクのうちの少なくとも1種、またはそれらの混合物を含む、請求項1~
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記炭水化物濃度が低減された水切り酸性乳製品が、0.03を超えるカルシウム/タンパク質比を有する、請求項1~
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記水切り酸性乳製品が、少なくとも6.00重量%のタンパク質含有量を有する、請求項1~
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記水切り酸性乳製品が、タンパク質の重量による量と炭水化物の量との間の比が少なくとも3.00である、請求項1~
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記水切り酸性乳製品におけるタンパク質の重量による量と炭水化物の量との間の比が少なくとも5.00である、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記水性炭水化物希釈液が、実質的に炭水化物を含まず、任意に実質的にタンパク質を含まない、請求項1~
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記水性炭水化物希釈液が水である、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法がラクトース添加工程を含まない、請求項1~
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1~
28のいずれか一項に記載の方法であって:
前記炭水化物濃度が低減された水切り酸性乳製品を水で希釈することであって、前記炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の水による希釈が、4体積の炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品を少なくとも1体積の水で希釈して、炭水化物濃度が低減された希釈水切り発酵乳製品を生成すること、および
前記炭水化物濃度が低減された希釈水切り酸性乳製品を分離して、
i)前記炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の炭水化物濃度と比較して炭水化物濃度が低減された二次水切り酸性乳製品、および
ii)酸性ホエイ副産物
を生成すること
をさらに含む、前記方法。
【請求項30】
前記希釈が混合をさらに含む、請求項
29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において、炭水化物濃度が低減された乳製品を製造するための方法が記載されている。より具体的には、本明細書において、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品を製造するための方法、およびそれによって製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品が記載されている。炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品を使用して製造される製品、およびそれを製造するための方法も本明細書に包含される。
【背景技術】
【0002】
水切りヨーグルト等の水切り発酵乳製品は、乳原料を乳酸菌で発酵させた後、濃縮された水切り発酵乳製品および酸性ホエイ副産物を生成する分離工程を含む方法によって得られる製品である。
【0003】
水切り発酵乳製品を製造するための標準的な方法
水切り発酵乳製品を製造するための方法は、例えば、ギリシャヨーグルトおよびフレッシュチーズを製造するために使用され得る。
【0004】
特定の実施形態では、標準的な方法は、約3.3%の総窒素(タンパク質)および約4.0%の乳糖を有する乳の初期出発原料を必要とし、これが発酵および分離/濃縮されて、約10.0%の総窒素(タンパク質)および約4.0%の乳糖を有する水切り発酵乳製品、ならびに約0.4%の総窒素(タンパク質)および約4.0%の乳糖を含むホエイ副産物が製造される。このような標準的な方法における流量比は、流出1に対して流入~3の比である。標準的な方法には、3~4倍の標準濃度係数が含まれる。これにより、標準的な方法により、タンパク質含有量が高く、炭水化物が3%を超える(例えば、4.0%の乳糖)を含む水切り発酵乳製品が製造される。炭水化物の%は、食品ラベルで明らかであり、当技術分野において公知の標準的な方法を使用して製造される水切り発酵乳製品のカップあたり少なくとも5~6グラム(g)の総炭水化物があることを示す。
【0005】
標準的な方法を使用して製造される水切り製品にはかなりの量の炭水化物が残っているため、そのような製品は、制限された食事をしている一部の消費者には不適切な場合がある。実際に、一部の消費者は、タンパク質含有量が高く炭水化物含有量が低い製品の利用を評価するであろう。本発明は、炭水化物の含有量が低減された水切り製品の必要性、および/またはそのような製品を製造するための方法の必要性に対処するものである。本発明はまた、炭水化物の含有量が低減され、かつタンパク質の含有量が高い水切り製品の必要性、および/またはそのような製品を製造するための方法の必要性にも対処するものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、水切り酸性乳製品を製造するための方法を用いて、上記の問題および/または必要性の少なくとも1つに対処するものであって、
工程1)最大3.00重量%の炭水化物濃度、および最大5.00のpHを有する、炭水化物希釈液体酸性乳製品を調製する工程であって、
-工程a)タンパク質および少なくとも1種の炭水化物を含む初期乳原料を供給する工程であって、上記少なくとも1種の炭水化物がラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖の少なくとも1種、またはそれらの混合物を含む、上記工程、
-工程b)水性炭水化物希釈液を添加することにより希釈する工程、および
-工程c)酸性化する工程
を含む上記工程1)、
工程2)上記炭水化物希釈液体酸性乳製品を分離して、
A)炭水化物濃度が低減された水切り酸性乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を含む製品を調製する工程、
工程3)上記水切り酸性乳製品を回収し、それを任意にさらなる食品形態に加工し、かつ/またはそれをさらなる食品成分と混合する工程
を含む。
【0007】
第1の特定の態様では、以下の工程を含む方法が提示される:
液体初期乳原料を水で希釈する工程であって、液体初期乳原料の水による希釈が、4体積の液体初期乳原料を少なくとも1体積の水で希釈して、希釈された液体初期乳原料を生成する工程であって、
上記液体初期乳原料が少なくとも1種の炭水化物を含み、少なくとも1種の炭水化物が初期炭水化物濃度で存在し、少なくとも1種の炭水化物がラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖の少なくとも1種、またはそれらの混合物を含み、液体初期乳原料が2~5重量%等の少なくとも1.50重量%、特に1.50~5.00重量%のタンパク質を含み;
希釈された液体初期乳原料を少なくとも1種の乳酸菌で発酵させて、希釈液体発酵乳製品を生成する工程;
上記液体発酵乳製品を分離して:
A.初期炭水化物濃度のそれと比較して炭水化物濃度が低減した水切り発酵乳製品であって、低減した炭水化物濃度が、初期炭水化物濃度のそれと比較して少なくとも10%、特に少なくとも20%低減している水切り発酵乳製品、および
B.酸性ホエイ副産物
を含む製品を生成する工程;および
上記水切り発酵乳製品を有利に回収し、それを任意にさらなる食品形態に加工し、かつ/またはそれをさらなる食品成分と混合する工程。
【0008】
上記方法の特定の実施形態において、液体初期乳原料の希釈は、1体積の液体初期乳原料を4体積以下の水で希釈して、希釈された液体初期乳原料を生成することを含む。
【0009】
上記方法の別の特定の実施形態において、上記方法は、希釈された液体初期乳原料が、希釈された液体乳原料の総重量に対して1.5重量%~6.0重量%、1.5重量%~2重量%、2重量%~3重量%、3重量%~4重量%、4重量%~5重量%または5重量%~6重量%のタンパク質含有量を有するという条件を含む。
【0010】
その別の特定の実施形態では、希釈された液体初期乳原料は、2.0重量%以下の炭水化物を含む。
【0011】
第2の特定の態様では、以下の工程を含む方法が提示される:
少なくとも1.5重量%、特に少なくとも2重量%のタンパク質を含む液体初期乳原料を少なくとも1種の乳酸菌で発酵させて、液体発酵乳原料を生成する工程であって、上記液体初期乳原料が少なくとも1種の炭水化物を含み、少なくとも1つの炭水化物が初期炭水化物濃度で存在し、少なくとも1種の炭水化物がラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖の少なくとも1種、またはそれらの混合物を含み;
液体発酵乳原料を水で希釈する工程であって、上記液体発酵乳原料の希釈が、4体積の液体発酵乳製品を少なくとも1体積の水で希釈して、希釈された発酵液体乳製品を生成することを含み、上記発酵および希釈が同時に行われ;
希釈された上記液体発酵乳製品を分離して:
A.初期炭水化物濃度のそれと比較して炭水化物濃度が低減した水切り発酵乳製品であって、低減した炭水化物濃度が、初期炭水化物濃度のそれと比較して少なくとも10%、特に少なくとも20%低減している水切り発酵乳製品、および
B.酸性ホエイ副産物
を含む製品を生成する工程;および
上記水切り発酵乳製品を有利に回収し、それを任意にさらなる食品形態に加工し、かつ/またはそれをさらなる食品成分と混合する工程。
【0012】
上記方法の特定の実施形態において、上記液体発酵乳原料の希釈は、1体積の液体発酵乳原料を4体積以下の水で希釈して、希釈された液体発酵乳原料を生成することを含む。
【0013】
第3の特定の態様では、以下の工程を含む方法が提示される:
少なくとも1.5重量%、特に少なくとも2重量%のタンパク質を含む液体初期乳原料を少なくとも1種の乳酸菌で発酵させて、液体は行乳原料を生成する工程であって、上記液体初期乳原料が少なくとも1種の炭水化物を含み、少なくとも1種の炭水化物が初期炭水化物濃度で存在し、少なくとも1種の炭水化物がラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖の少なくとも1種、またはそれらの混合物を含み;
液体発酵乳原料を水で希釈する工程であって、上記液体発酵乳製品の希釈が、4体積の液体発酵乳製品を少なくとも1体積の水で希釈して、希釈された発酵液体乳製品を製造することを含み;
希釈された上記液体発酵乳製品を分離して:
A.初期炭水化物濃度のそれと比較して炭水化物濃度が低減した水切り発酵乳製品であって、低減した炭水化物濃度が、初期炭水化物濃度のそれと比較して少なくとも10%、特に少なくとも20%低減している水切り発酵乳製品、および
B.酸性ホエイ副産物
を含む製品を生成する工程;および
上記水切り発酵乳製品を有利に回収し、それを任意にさらなる食品形態に加工し、かつ/またはそれをさらなる食品成分と混合する工程。
【0014】
上記方法の特定の実施形態において、上記液体発酵乳製品の希釈は、1:4体積/体積(v/v)以下であり、1体積の液体発酵乳製品が4体積以下の水で希釈され、希釈された液体発酵乳製品が生成される。
【0015】
第4の特定の態様では、以下の工程を含む方法が提示される:
濃縮された液体初期乳原料を水で希釈して希釈された液体初期乳原料を生成する工程であって、濃縮された上記液体初期乳原料の水による希釈が、1体積の濃縮された液体初期乳原料を少なくとも1体積の水で希釈することを含み、
上記濃縮された液体初期乳原料が少なくとも1種の炭水化物を含み、少なくとも1種の炭水化物が初期炭水化物濃度で存在し、少なくとも1種の炭水化物がラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖の少なくとも1種、またはそれらの混合物を含み、濃縮された液体初期乳原料が少なくとも6重量%のタンパク質を含むみ;
希釈された液体初期乳原料を少なくとも1種の乳酸菌で発酵させて、液体発酵乳製品を生成する工程;
上記液体発酵乳製品を分離して:
i.初期炭水化物濃度のそれと比較して炭水化物濃度が低減した水切り発酵乳製品であって、低減した炭水化物濃度が、初期炭水化物濃度のそれと比較して少なくとも20%低減している水切り発酵乳製品、および
ii.酸性ホエイ副産物
を含む製品を生成する工程;および
上記水切り発酵乳製品を有利に回収し、それを任意にさらなる食品形態に加工し、かつ/またはそれをさらなる食品成分と混合する工程。
【0016】
その特定の実施形態では、濃縮された液体初期乳原料は、6~15重量%のタンパク質、特に10重量%~12重量%のタンパク質、さらにより具体的には10.5重量%~11.5重量%のタンパク質を含む。
【0017】
そのさらに特定の実施形態では、希釈された液体初期乳原料は、2.0重量%以下の炭水化物を含む。
【0018】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、希釈はバッチ式で行われる。別の特定の実施形態では、希釈は工程全体を通して連続的に行われる。本明細書に記載の方法の別の特定の実施形態では、希釈はさらに混合を含む。
【0019】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、分離は遠心分離または限外濾過である。
【0020】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、初期乳原料、特に液体初期乳原料は、乳、半脱脂乳、脱脂乳、粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、脱脂乳濃縮物、練乳、脱脂練乳、エバミルク、脱脂エバミルク、限外濾過乳残渣、限外濾過脱脂乳残渣、精密濾過乳、精密濾過脱脂乳、乳タンパク質、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエイタンパク質、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、カゼインまたはカゼイネート、クリーム、バターミルク、またはそれらの混合物のうちの少なくとも1種を含む。
【0021】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、0.03を超えるカルシウム/タンパク質比を有する。
【0022】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、方法はラクトース添加工程を含まない。
【0023】
本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、方法はさらに、
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品を水で希釈する工程であって、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の水による希釈が、4体積の炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品を少なくとも1体積の水で希釈して、炭水化物濃度が低減された希釈された水切り発酵乳製品を生成することを含み、
炭水化物濃度が低減された希釈された上記水切り発酵乳製品を分離して、
a)炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の炭水化物濃度のそれと比較して炭水化物濃度が低減した二次水切り発酵乳製品、および
b)酸性ホエイ副産物
を生成する工程、
上記二次水切り発酵乳製品を有利に回収し、それを任意にさらなる食品形態に加工し、かつ/またはそれをさらなる食品成分と混合する工程。
【0024】
特定の実施形態では、希釈はさらに混合を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の特定の実施形態を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の特定の実施形態を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の特定の実施形態を示すフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0026】
例えば「ギリシャヨーグルト」等の水切り発酵乳製品の製造方法は、乳酸産生細菌によって発酵させた乳製品から濃縮乳製品を製造することを目的とするものである。発酵すると、乳酸菌によりpHを低下し、タンパク質が沈殿してカードが形成する。濃縮は、通常、限外濾過または遠心分離を含む分離工程によって達成される。分離工程は方法に不可欠であり、酸ホエイ副産物をカードから分離することにより、発酵乳製品カード中のタンパク質が濃縮される。方法の発酵および分離工程により、水切りされていない乳製品と比較して、高いタンパク質含有量および高い密度を有する水切り発酵乳製品が生成する。したがって、水切り発酵乳製品は濃縮製品として認識される。その場合、水切り発酵乳製品を製造する方法の任意の工程において希釈工程を導入することは、水切り発酵乳製品を製造するという根本的な目的に反直感的である。
【0027】
定義
「乳製品」という用語は、牛乳、羊乳、山羊乳、水牛乳またはバイソン乳等の動物の乳、好ましくは牛乳に少なくとも部分的に基づくまたは由来する原料、組成物または製品を指す。
【0028】
「水切り酸性乳製品」または「水切り発酵乳製品」という用語は、本明細書において、本明細書に記載の分離工程からもたらされる酸性のまたは発酵した乳製品をそれぞれ説明するために使用される。水切り酸性乳製品は、液体原料を酸性化することによって製造される酸性化乳製品であり、その少なくとも一部は液体乳原料であり、本明細書に記載の分離工程によって分離される。酸性化は発酵によって行うことができる。したがって、水切り発酵乳製品は、液体原料の発酵によって製造される発酵乳製品であり、その少なくとも一部は液体乳原料である。乳酸菌は通常、発酵工程に使用される。水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品は、分離工程の結果ほとんどのホエイが除去されるため、水切りされていない酸性乳製品と比較して粘度が高い。水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品の形態の非限定的な例としては、例えば、ギリシャヨーグルト、フレッシュチーズ、水切りヨーグルト飲料および冷凍水切りヨーグルト製品の形態の製品が挙げられる。
【0029】
「炭水化物」という用語は、本明細書では、別段の定めがない限り、ラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖またはそれらの混合物を示すために使用される。「乳糖」という用語は、本明細書では、同じものを示すために使用することができる。組成物または製品が特にガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖またはそれらの混合物を含まない限り、「炭水化物」または「乳糖」という用語は、本明細書ではラクトースを示すために使用される。
【0030】
「炭水化物濃度が低減した」という用語は、本明細書では、初期状態のおよび/または水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品を製造するために使用される標準的な方法に従って製造される場合の製品または組成物と比較して低い炭水化物濃度を有する製品または組成物を説明するために使用される。炭水化物濃度が低減した、水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品の形態の非限定的な例としては、例えば、ギリシャヨーグルト、フレッシュチーズ、水切りヨーグルト飲料および冷凍水切りヨーグルト製品の形態の製品が挙げられる。
【0031】
炭水化物濃度が低減した、水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品はまた、炭水化物濃度を測定するアッセイで試験した場合、それが製造される液体乳原料(例えば、標準乳または粉乳から得られる再構成乳)と比較して、特に炭水化物濃度が低減している。炭水化物濃度が低減した水切り酸性(例えば、発酵)乳製品は、初期乳原料(例えば、液体初期乳原料)と比較して、または炭水化物希釈液体酸性(例えば、発酵)乳製品と比較して、特に炭水化物濃度が低下している。その実施形態において、炭水化物濃度が低減した、水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品中の炭水化物の量は、それが製造される液体乳原料(例えば、標準乳)中の炭水化物の量と比較した場合に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%[炭水化物重量/総製品重量(w/w)として表される%]減少している。炭水化物濃度が低減した、水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品を生成するために本明細書で使用することができる液体初期乳原料の炭水化物濃度は、典型的には2.00%~5.00%等の1.50~5.00%、例えば、1.50~2.00%、または2.00~2.50%、または2.50~3.00%、または3.00~3.50%、または3.50~4.00%、または4.00~4.50%、または4.50~5.00%の炭水化物重量/総重量(w/w)である。
【0032】
炭水化物濃度を測定するための適切なアッセイとしては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびパルスドアンペロメトリ検出器を備える高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC-PAD)が挙げられる。好ましくは、HPAEC-PADが使用される。
【0033】
特定の実施形態において、ラクトース濃度を測定するためのアッセイは、Association of Official Agricultural Chemists(AOAC)984.22を含み、このアッセイは、存在するラクトースを検出するために液体クロマトグラフィー(LC)を利用する。
【0034】
「水性炭水化物希釈液」または「希釈液」という用語は、炭水化物を含む材料、組成物または生成物に添加された場合、例えば混合された場合に、炭水化物の重量濃度を低減するために使用することができる水性液体を指す。したがって、希釈液の炭水化物の重量濃度は、原料または製品の炭水化物の重量濃度よりも低く、特に少なくとも2倍低く、より具体的には少なくとも10倍低い。希釈液は、さらに特に実質的に炭水化物を含まない。希釈液は、特に実質的に脂肪を含まない。希釈液は、特に実質的にタンパク質を含まない。希釈液は水であり得る。
【0035】
「酸性ホエイ」という用語は、本明細書では、分離工程の副産物を説明するために使用される。酸性ホエイは、製品が、炭水化物濃度が低減した、水切りされた、酸性の、例えば発酵した乳製品である分離工程の副産物である本明細書に記載の実施形態において、酸性ホエイの乳糖濃度は、約1.6%、<1.6%、<1.5%または≦1.0%である。
【0036】
「重量%」という用語は、特に明記されていない限り、対応する製品の総重量に基づくものである。例えば、2.00重量%の量の炭水化物を含む材料、組成物または製品は、材料、組成物または製品の総重量に基づいて2.00重量%を意味する。
【0037】
「実質的に含まない」という用語は、本発明の文脈において、生成物における当該成分の濃度が0.1%未満、具体的には0.05%未満、より具体的には0.01%未満であり得ることを意味する。より好ましくは、「実質的に含まない」という用語は、本発明の文脈において、本明細書に開示される許容可能な分析方法を使用して検出可能な成分(例えば、炭水化物、脂肪またはタンパク質)がないことを意味する。
【0038】
「約」という用語は、本発明の文脈において、当該値が、示された値よりも10%、特に5%、特に1%低くまたは高くなり得ることを意味する。
【0039】
「液」という用語は、本発明の文脈において、固体または気体ではなく、流れて注ぐことができる物質または組成物を意味する。
【0040】
「濃縮液」、「濃縮」または「濃縮形態」という用語は、本発明の文脈において、特にその水分含有量の少なくとも約60%が蒸発するまで乳を加熱することによって濃縮工程が行われることを意味する。より好ましくは、「濃縮液」、「濃縮」または「濃縮形態」という用語は、本発明の文脈において、水が蒸発するにつれて乳の乾燥物が増加することを意味する。
【0041】
組成物の「脂肪含有量」は、組成物の総重量に対する組成物中に存在する脂肪成分の重量に対応する。脂肪含有量は重量パーセントとして表される。脂肪含有量は、標準NF ISO8262-3に記載されているWeibull-Berntrop重量分析法により測定することができる。通常、脂肪含有量は、組成物を調製するために使用される成分の脂肪含有量に基づいて把握され、製品の脂肪含有量は、これらのデータに基づいて計算される。
【0042】
組成物の「タンパク質含有量」は、組成物の総重量に対する組成物中に存在するタンパク質の重量に対応する。タンパク質含有量は、重量パーセントとして表される。タンパク質含有量は、総窒素の測定に基づいて乳製品のタンパク質含有量を決定するための標準的方法であるケルダール分析(NF EN ISO 8968-1)により測定することができる。窒素に係数、通常は6.38を掛けて、結果が総タンパク質として表される。この方法は、AOAC Method 991.20(1)およびInternational Dairy Federation Standard(IDF)20B:1993の両方に記載されている。通常、総タンパク質含有量は、製品の調製に使用されるすべての成分について知られており、総タンパク質含有量はこれらのデータから計算される。
【0043】
製品の「乾燥物」は、製品の総重量に対する製品中に存在する非揮発性成分の重量に対応する。乾燥物は重量パーセントで表される。「非揮発性成分」は、103~105℃での生成物の蒸発工程後に残る固形物に対応する。乾燥物は、102℃での加熱工程を含むNF V04 370に開示される方法により測定することができる。通常、乾燥物は製品の製造に使用されるすべての成分について知られており、乾燥物はこれらのデータから計算される。
【0044】
方法
炭水化物濃度が低減された、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は、乳原料から粉末または液体の形態で、好ましくは液体の形態で製造する工程において製造することができる。液体乳原料および植物混合物(vegetal mix)の混合物もまた、本明細書に記載され、当技術分野で公知の製造工程の出発材料として本明細書に含まれる。原料および方法工程の詳細を以下に示す。
【0045】
工程1)
工程1)は、炭水化物濃度が最大3.00重量%であり、pHが最大5.00である、酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品を調製する工程である。
【0046】
特定の実施形態では、工程1)は、ラクトース添加工程を含まない。特定の実施形態では、この方法は、ラクトース添加工程を含まない。
【0047】
工程1)は、水性炭水化物希釈液が初期原料または組成物に添加される希釈工程b)を含む。この工程により、初期原料組成物または製品の炭水化物濃度が低減する。希釈後の炭水化物濃度、特に酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品の炭水化物濃度は、最大で2.50重量%等の最大で3.00重量%であり、例えば、最大で2.25重量%、特に最大で2.00重量%である。希釈後の炭水化物濃度、特に酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品の炭水化物濃度は、少なくとも0.10重量%であり得る。例えば、希釈後の炭水化物濃度、特に酸性、例えば、発酵した炭水化物希釈液体乳製品の炭水化物濃度は、0.10~0.50重量%、または0.50~0.75重量%、または0.75~1.00重量%、または1.00~1.25重量%、または1.25~1.50重量%、または1.50~1.75重量%、または1.75~2.00重量%、または2.00~2.25重量%、または2.25~2.50重量%、または2.50~2.75重量%、または2.75~3.00重量%であり得る。
【0048】
希釈工程では、初期原料、組成物または製品のタンパク質濃度を低減することもできる。希釈後のタンパク質濃度、特に酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品のタンパク質濃度は、例えば、少なくとも1.60重量%等の少なくとも1.50重量%であり得る。希釈後のタンパク質濃度、特に酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品のタンパク質濃度は、典型的には最大で4.80重量%である。例えば、希釈後のタンパク質濃度、特に酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品は1.50~1.60%、または1.60~1.75%、または1.75%~2.00%、または2.00%~2.25%、または2.25%~2.50%、または2.50%~2.75%、または2.75%~3.00%、または3.00%~3.25%、または3.25%~3.50%、または3.50%~3.75%、または3.75%~4.00%、または4.00%~4.25%、または4.25%~4.50%、または4.50%~4.75%、または4.75%~4.80%であり得る。
【0049】
酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品は、炭水化物に対するタンパク質の重量比が0.50~1.50、例えば0.50~0.75、または0.75~1.00、または1.00~1.25、または1.25~1.50であり得る。
【0050】
酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品は、少なくとも1.70重量%、特に少なくとも3.00重量%等の少なくとも2.00重量%の乾燥物を有し得る。酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品の固形分は、1.70重量%~2.00重量%、または2.00重量%~2.50重量%、または2.50重量%~3.00重量%、または3.00重量%~3.50重量%、または3.50重量%~4.00重量%、または4.00重量%~4.50重量%、または4.50重量%~5.00重量%、または5.00重量%~5.50重量%、または5.50重量%~6.00重量%、または6.00重量%~6.50重量%、または6.50重量%~7.00重量%、または7.00重量%~8.00重量%、または8.00重量%~9.00重量%、または9.00重量%~10.00重量%、または10.00重量%~11.00重量%等の1.70~11.00重量%であり得る。
【0051】
工程1)はまた、酸性化工程c)を含み、原料または組成物は、より低いpHを有するように改変される。例として、乳酸菌による発酵が挙げられる。酸性化後のpHは、最大5.00である。酸性化後のpHは、最大4.80であり得る。酸性化後のpHは、少なくとも3.00であり得る。例えば、酸性化後のpHは、3.00~3.50、または3.50~4.00、または4.00~4.50、または4.50~4.80、または4.80~5.00であり得る。
【0052】
工程1)はまた、タンパク質および少なくとも1種の炭水化物を含む初期乳原料を供給する第1の工程a)を含み、少なくとも1種の炭水化物は、ラクトース、ガラクトース、グルコース、ガラクトオリゴ糖の少なくとも1種、またはそれらの混合物を含む。乳原料の詳細は以下のとおりである。初期乳原料は、乳原料粉末、乳原料液等の様々な形態、任意に濃縮形態、例えば乳または乳濃縮物の形態で提供され得る。好ましくは、初期乳原料は乳原料液であり、任意に濃縮形態であり、再構成された粉末を含む。
【0053】
初期乳原料は、少なくとも2.50重量%、例えば2.50~3.00重量%、または3.00~3.25重量%、または3.25~3.50重量%、または3.50~3.70重量%、または3.70~3.80重量%、または3.80~4.00重量%、または4.00~4.25重量%、または4.25~4.50重量%、または4.50~4.75重量%、または4.75~5.00重量%の初期炭水化物濃度を有する液体初期乳原料であり得る。
【0054】
液体初期乳原料は、少なくとも2.00重量%、例えば、2.00重量%~2.50重量%、または2.50重量%~3.00重量%、または3.00重量%~3.50重量%、または3.50重量%~4.00重量%、または4.00重量%~4.50重量%、または5.50重量%~5.00重量%、または5.00重量%~5.50重量%、または5.50重量%~6.00重量%のタンパク質濃度を有し得る。
【0055】
液体初期乳原料は、1.70~5.00、例えば1.70~1.80、または1.80~2.00、または2.00~2.50、または2.50~3.00、または3.00~3.50、または3.50~4.00、または4.00~4.50、または4.50~5.00の炭水化物に対するタンパク質の重量比を有し得る。
【0056】
液体初期乳原料の希釈により、炭水化物濃度が初期炭水化物濃度のそれと比較して少なくとも20%低減され得る。低減は、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%であり得る。希釈により、タンパク質濃度が初期タンパク質濃度のそれと比較して少なくとも20%低減され得る。低減は、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%であり得る。
【0057】
希釈工程b)は、方法の工程1)全体を通してバッチ式または連続的に行うことができる。特定の実施形態では、希釈工程b)は、混合をさらに含むことができる。別の特定の実施形態では、希釈工程b)は、透析ろ過をさらに含むことができる。
【0058】
一つの実施形態では、希釈液は実質的に炭水化物を含まない。希釈液はまた、有利には、実質的にタンパク質を含まない。希釈液は脂肪を含まなくてもよい。一つの実施形態では、希釈液は水である。本明細書で使用される場合、「水」という用語は、「飲料水」または「飲用水」を指し、飲用または食品調製に安全に使用できる水である。したがって、本明細書で使用される水は、消費時に有害な量の合成または天然の化合物または生物学的因子(例えば、ウイルス、細菌)を実質的に含まない水(H2O)を指す。特定の実施形態では、本明細書で使用される水は、飲用水に許容される量の緩衝塩および不純物を含み得る。
【0059】
初期乳原料が粉末である場合、上記のように、希釈工程により標準的な乳濃度よりも炭水化物濃度が低くなる。また、典型的には、タンパク質濃度が標準の乳濃度よりも低くなる。そのような場合、希釈工程b)は任意に、標準的な乳濃度を有する液体に到達するための予備希釈工程、および上記濃度に到達するための後続の工程を含み得る。
【0060】
初期乳原料が、液乳(milk liquid)または液乳製品(dairy liquid)とも呼ばれる液体である場合、上記のように、希釈工程により初期濃度よりも炭水化物濃度が低くなる。また、典型的には、タンパク質濃度が初期濃度よりも低くなる。
【0061】
初期乳原料が、濃縮液乳(milk concentrate liquid)または濃縮液乳製品(dairy concentrate liquid)とも呼ばれる濃縮液である場合、上記のように、希釈工程により標準的な乳濃度よりも炭水化物濃度が低くなる。また、典型的には、タンパク質濃度が標準の乳濃度よりも低くなる。そのような場合、希釈工程b)は任意に、標準的な乳濃度に到達するための予備希釈工程、および上記濃度に到達するための後続の工程を含み得る。
【0062】
工程a)、b)およびc)は、様々な順序で行うことができる。一つの実施形態では、工程a)は、工程b)および工程c)の前に行われる。
【0063】
希釈工程b)は、工程a)と工程c)との間に行うことができ、1体積部の初期乳原料、より具体的には液体または濃縮物の形態の初期乳原料を、少なくとも0.25体積部の希釈液体と混合することを含み得る。一つの実施形態では、混合は、最大4体積部の希釈液で行われる。
【0064】
希釈工程b)は、工程a)および工程c)の後に行うことができ、1体積部の初期酸性化乳原料と少なくとも0.25体積部の希釈液とを混合することを含み得る。一つの実施形態では、混合は、最大4体積部の希釈液で行われる。
【0065】
希釈工程b)は、工程a)の後に、工程c)と共に行うことができ、1体積部の初期酸性化乳原料と少なくとも0.25体積部の希釈液とを混合することを含み得る。一つの実施形態では、混合は、最大4体積部の希釈液で行われる。
【0066】
希釈工程b)は、工程a)と共に、かつ工程c)の前または後に行うことができ、1体積部の初期乳原料と少なくとも0.25体積部の希釈液とを混合することを含み得る。一つの実施形態では、混合は、最大4体積部の希釈液で行われる。典型的には、希釈工程b)は透析ろ過であり、有利には、限外濾過された乳を初期乳原料として供給する限外濾過工程と共に行われる。したがって、限外濾過された乳は、その調製中に直接希釈される。
【0067】
一つの実施形態では、工程1)は、工程a)、それに次ぐ工程b)、それに次ぐ工程c)を含む。一つの実施形態では、工程1)は、乳等の液体乳原料を供給すること、次いで希釈液を添加することによって希釈すること、次いで、例えば、好ましくは乳酸菌で発酵させることにより酸性化することを含む。一つの実施形態では、工程1)は、濃縮乳または練乳またはエバミルク等の濃縮形態の液体乳原料を提供すること、次いで希釈液を添加することによって希釈すること、次いで、例えば、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化することを含む。一つの実施形態では、工程1)は、粉乳等の粉末形態の乳原料を提供すること、次いで希釈液を添加することによって希釈すること、次いで、例えば、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化することを含む。
【0068】
一つの実施形態では、工程1)は、工程a)、それに次ぐ工程b)および工程c)を含み、工程b)および工程c)が同時に行われる。一つの実施形態では、工程1)は、乳等の液体乳原料を提供すること、次いで、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化しながら、希釈液を添加することにより希釈することを含む。一つの実施形態では、工程1)は、濃縮乳または練乳またはエバミルク等の濃縮形態の液体乳原料を提供すること、次いで、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化しながら、希釈液を添加することによって希釈することを含む。一つの実施形態では、工程1)は、粉乳等の粉末形態の乳原料を提供すること、次いで、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化しながら、希釈液を添加することによって希釈することを含む。
【0069】
一つの実施形態では、工程1)は、工程a)、それに次ぐ工程c)、それに次ぐ工程b)を含む。一つの実施形態では、工程1)は、乳等の液体乳原料を提供すること、次いで、例えば、好ましくは液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化すること、次いで希釈液を添加することによって希釈することを含む。一つの実施形態では、工程1)は、濃縮乳または練乳またはエバミルク等の濃縮形態の液体乳原料を提供すること、次いで、例えば、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化すること、次いで希釈液を添加することによって希釈することを含む。一つの実施形態では、工程1)は、粉乳等の粉末形態の乳製品を提供すること、次いで、例えば、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化すること、次いで希釈液を添加することによって希釈することを含む。
【0070】
濃縮乳原料または粉末乳原料を使用する場合は、発酵前に水を添加して再構成する必要がある。
【0071】
一つの実施形態では、工程1)は、工程a)および工程b)、それに次ぐ工程c)を含み、工程a)および工程b)は同時に行われる。一つの実施形態では、工程1)は、限外濾過された乳等の液体乳原料の提供および(特に透析ろ過による)希釈を同時に行うこと、次いで、例えば、特に液体酸性細菌で発酵させることにより酸性化することを含む。
【0072】
乳原料
本発明の方法は、液体または粉末の形態で乳原料を提供および加工することを含む。例としては、乳、半脱脂乳、脱脂乳、粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、練乳、脱脂濃縮乳、脱脂練乳、エバミルク、脱脂エバミルク、乳タンパク質、クリーム、バターミルクまたはそれらの混合物が挙げられる。乳原料は、典型的には、乳および/または乳から得られる成分(例えば、乳タンパク質濃縮物、ホエイタンパク質濃縮物および限外濾過された乳)を含む。「液体乳原料」は、「乳ベースの組成物」を含み得る。「液体乳原料」は、100%の「乳ベースの組成物」、少なくとも95%の「乳ベースの組成物」、少なくとも90%の「乳ベースの組成物」、少なくとも85%の「乳ベースの組成物」、少なくとも80%の「乳ベースの組成物」、少なくとも75%の「乳ベースの組成物」、少なくとも70%の「乳ベースの組成物」、少なくとも65%の「乳ベースの組成物」、少なくとも60%の「乳ベースの組成物」、少なくとも55%の「乳ベースの組成物」または少なくとも50%の「乳ベースの組成物」を含み得る。
【0073】
そのような製品および/または方法において有用な乳ベースの組成物は、乳製品の当業者、より具体的には、発酵乳製品の当業者によって知られている。本明細書において、乳ベースの組成物は、乳または乳画分を含む組成物、および予め分離されたいくつかの乳画分を混合することによって得られる組成物を包含する。本明細書に記載されるように、水または他の添加物は、乳、乳画分および混合物に添加され得る。特定の実施形態では、乳は、動物の乳、例えば牛の乳である。例えば羊乳、山羊乳、水牛乳またはバイソン乳等の代替の動物乳を使用することができる。
【0074】
乳ベースの組成物は、典型的には、乳、半脱脂乳、脱脂乳、粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、乳タンパク質、クリーム、バターミルクおよびそれらの混合物からなる群から選択される成分を含み得る。いくらかの水または添加剤を混合することができる。添加することができる添加剤の例としては、繊維およびテクスチャー改質剤、特にテクスチャー改質剤が挙げられる。例としては、食品の全体的な食感または口当たりを改変するために使用されるテクスチャー化剤が挙げられ、ゲル化剤(例えば、ゼラチン、寒天、カラギーナン、ペクチン、天然ガム)、安定化剤(例えば、寒天、ペクチン、アラビアガム、ゼラチン)、乳化剤(例えば、レシチン、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリド(E471)、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドのエステル(E472a-f))および増粘剤(例えば、寒天ガム、キサンタンガム、ペクチン、寒天、カラギーナン、アルギン酸)が挙げられる。
【0075】
乳ベースの組成物は、典型的には、0.00重量%~5.00重量%、例えば0.00重量%~1.00重量%、または1.00重量%~2.00重量%、または2.00重量%~3.00重量%、または3.00重量%~4.00重量%、または4.00重量%~5.00重量%の脂肪含有量を有し得る。
【0076】
乳ベースの組成物は、典型的には、2.00重量%~6.00重量%、例えば、2.00重量%~3.00重量%、または3.00重量%~4.00重量%、または4.00重量%~5.00重量%、または5.00重量%~6.00重量%のタンパク質含有量を有し得る。
【0077】
液体乳原料は炭水化物を含む。炭水化物の量は、典型的には約3.80重量%~5.00重量%である。
【0078】
一つの実施形態では、乳原料は、以下の含有量(重量%):
-3.00重量%~3.50重量%の乳タンパク質
-0.00重量%~3.50重量%の脂肪
-3.80重量%~5.00重量%の炭水化物
を含む。
【0079】
乳のpHは、例えば、6.60~7.00であり得る。乳の乾燥物は、例えば6.80%~13.00%であり得る。一つの実施形態では、乳は、2.00%未満の脂肪、より具体的には1.00%未満の脂肪、より具体的には0.50%未満の脂肪を含む低脂肪乳である。乳は、例えば脱脂乳であり得る。
【0080】
乳ベースの組成物の成分および/またはその量は、上記タンパク質および/または脂肪および/または炭水化物の量を有するように選択することができる。
【0081】
特定の実施形態では、乳原料中の炭水化物の組成は、酵素を用いることによって変更される。そのような酵素は、ラクトース、ガラクトース、グルコースおよび/またはガラクトオリゴ糖等の炭水化物に作用するように選択することができる。例えば、ラクターゼ酵素を使用して、ラクトースをグルコースおよびガラクトースに加水分解することができる。そのような酵素は当業者に公知であり、市販されている。そのような変更は、酸性化工程c)の前、最中または後に行うことができる。
【0082】
工程c)-酸性化
工程c)は酸性化工程である。典型的には、到達したpHにより乳原料のタンパク質の構造またはコンフォメーションが変更されて、沈殿物またはカードを形成するように行われる。そのような酸性化工程は当業者に公知である。その例としては、以下が挙げられる:
-乳酸菌による発酵[例えば、中温性または好熱性細菌を用いる;発酵乳製品(乳成分の組み合わせ):pH<4.80]、
-レンネットやキモシン等の酵素による発酵[発酵乳製品(乳成分の組み合わせ):pH<4.80]、および/または
-酸性化合物の添加:乳原料(乳成分)への酸の直接添加;pH<4.80;適切な酸の例としては、限定されないが、乳酸、クエン酸および/またはリンゴ酸が挙げられる。
【0083】
好ましくは、工程c)は発酵工程である。
【0084】
発酵
一つの実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1種の乳酸菌を用いた発酵工程を含む。この工程では、液体乳原料に乳酸菌を接種し、次いで、混合物を発酵温度で発酵させる。そのような接種および発酵操作は、当業者に公知である。そのような発酵工程が行われる場合、初期乳原料は、ラクトース、グルコース、ガラクトースまたはそれらの混合物を含むべきであり、このことは当業者に公知である。
【0085】
特定の実施形態によれば、ラクターゼもまた、好ましくは熱処理された液体乳原料に添加される。
【0086】
発酵中、乳酸菌は乳酸を生成し、それによりpHが低下される。pHが低下すると、タンパク質が凝固して、典型的には破壊的pH(breaking pH)でカードが形成される。
【0087】
発酵温度は、30℃~45℃、より具体的には35℃~40℃であり得、pHは、タンパク質が凝固してカードを形成する破壊的pHまで低下する。
【0088】
破壊的pHは、より具体的には3.5~5.0、より一層具体的には4.00~5.0、さらにより一層具体的には4.50~4.80であり得る。
【0089】
乳酸菌
一つの実施形態では、本発明の方法は乳酸菌を必要とする。適切な乳酸菌は当業者に公知である。本明細書において、乳酸菌を発酵素(ferment)または培養素(culture)またはスターターと呼ぶことができる。使用することができる乳酸菌の例としては:
-ラクトバチルス(Lactobacilli)、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、
-ストレプトコッカス(Streptococci)、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、
-ビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、
-ラクトコッカス(Lactococci)、例えば、ラクトコッカス・ラクティス 亜種ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス 亜種 クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、
-プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ 亜種 シェルマニ(Propionibacterium freudenreichii ssp shermanii)、プロピオニバクテリウム・アシディプロピオニシ(Propionibacterium acidipropionici)、プロピオニバクテリウム・ソエニ(Propionibacteriumthoenii)等のプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、
-およびそれらの混合物および/または組み合わせ
が挙げられる。
【0090】
特に、使用することができる乳酸菌としては:
-ラクトバチルス(Lactobacilli)、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、
-ストレプトコッカス(Streptococci)、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、
-ビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、
-ラクトコッカス(Lactococci)、例えば、ラクトコッカス・ラクティス 亜種ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、
-プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ 亜種 シェルマニ(Propionibacterium freudenreichii ssp shermanii)、プロピオニバクテリウム・アシディプロピオニシ(Propionibacterium acidipropionici)、プロピオニバクテリウム・ソエニ(Propionibacteriumthoenii)等のプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、
-およびそれらの混合物および/または組み合わせ
が挙げられる。
【0091】
乳酸菌は、ラクトバチルス・デルブルエキ 亜種 ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii ssp bulgaricus)(すなわち、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus))およびストレプトコッカス・サリバリウス 亜種 サーモフィルス(Streptococcus salivarius ssp. thermophilus)(すなわち、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus))細菌を含むか、実質的に構成されるか、または構成されていてもよい。本発明で使用される乳酸菌は、典型的には、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)細菌とラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)細菌との群集(association)を含む。この群集は公知であり、しばしばヨーグルト共生と呼ばれる。例としては、デュポン社が販売している培養素YoMix(登録商標)495が挙げられる。
【0092】
本発明で使用される乳酸菌は、典型的には、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)細菌およびラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、特に2種のラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の群集を含む。
【0093】
本発明で使用されるより好ましい乳酸菌は:
-番号CNCM I-1632で寄託されるラクトバチルス・デルブルエキ 亜種 ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)または番号CNCM I-1519で寄託されるラクトバチルス・デルブルエキ 亜種 ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、または番号CNCM I-2787で寄託されるラクトバチルス・デルブルエキ 亜種 ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、
-番号CNCM I-2273寄託されたラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、
-番号CNCM I-4993で寄託されたラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、
-番号CNCM-1630で寄託されたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、または番号CNCM-4992で寄託されたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)または番号CNCM-5030で寄託されたストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、
-番号CNCM-1631で寄託されたラクトバチルス・ラクティス 亜種 ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、
-番号CNCM-3558で寄託されたラクトバチルス・ラクティス 亜種 クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、
-番号CNCM-2494で寄託されたビフィドバクテリウム・アニマリス 亜種 ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)、
およびそれらの組み合わせから選択される。上記乳酸菌は、ブダペスト条約に基づいてパスツール研究所の本部(25 rue du Docteur Roux 75724 PARIS Cedex 15 FRANCE)にあるCollection Nationale de Cultures de Micro-organismes(CNCM)に寄託されている。
【0094】
さらなる実施形態では、発酵中に他の細菌を添加してもよく、そのような細菌はプロバイオティクス細菌を含み得る。プロバイオティクス細菌は当業者に公知である。プロバイオティクス細菌の例としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレビス(Bifidobacterium brevis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・アニマリス(Bifidobacterium animalis animalis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・ラクティス(Bifidobacterium animalis lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・カゼイ・パラカゼイ(Lactobacillus casei paracasei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・デルブルエキ 亜種 ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルエキ 亜種 ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp lactis)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)等のいくつかのビフィドバクテリア(Bifidobacteria)およびラクトバチルス(Lactobacilli)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0095】
一つの実施形態では、乳酸菌はビフィドバクテリアを含まない。一つの実施形態では、乳酸菌は、ラクトバチルス・アシドフィルス細菌を含まない。一つの実施形態では、乳酸菌はビフィドバクテリアを含まず、ラクトバチルス・アシドフィルス細菌を含まない。
【0096】
乳酸菌は、任意の適切な形態、例えば、噴霧乾燥形態、凍結乾燥形態または凍結形態、好ましくは液体形態で導入することができる。乳原料への乳酸菌の導入は、接種とも呼ばれる。
【0097】
一つの実施形態では、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は、生存形態または生存可能な形態の乳酸菌を有する。
【0098】
ラクターゼ
本発明で使用されるラクターゼは、DSMによって販売されているMaxilact(登録商標)、特にCHR Hansenによって販売されているMaxilact(登録商標) Lgi 5000またはHa-lactase(商標) 5200等の任意の種類のラクターゼであり得る。ラクターゼまたはβ-ガラクトシダーゼ(E.C:3.2.1.23)は、ラクトース(二糖)がその構成要素の単糖であるグルコースおよびガラクトースへの加水分解を触媒する酵素である。ラクターゼは、多種多様な微生物から分離されている。ラクターゼは、細胞内または細胞外で産生されたラクターゼであり得る。ラクターゼと細菌の培養物とは、乳製品に同時にまたは別々に添加される。有利には、ラクターゼは、細菌の培養の前または培養と共に添加される。好ましくは、ラクターゼは、細菌の培養の前、特に細菌の培養の10~40分前、特に細菌の培養の20~30分前に乳製品に添加される。
【0099】
熱処理
本発明の方法は、例えば工程1)の間に、少なくとも1つの熱処理工程を含み得る。本発明の方法は、典型的には、希釈工程の前または後、および酸性化工程の前に、特にそのような工程が乳酸菌による発酵を伴う場合、液体乳原料の熱処理を伴う。そのような熱処理は、例えば、低温殺菌または滅菌として当業者に公知である。熱処理は、例えば細菌等の微生物汚染を除去するために使用される。熱処理は、チューブまたはプレート熱交換器等の従来の熱交換器により行うことができる。熱処理は、例えば、80℃~99℃の温度、より具体的には85℃~95℃で、例えば、1分~15分間行うことができる。
【0100】
本発明の方法は、熱処理工程の前または後、より具体的には20バール~300バール、より具体的には50バール~250バールの圧力での平滑化工程をさらに含み得る。
【0101】
熱処理後、液体乳原料は、典型的には発酵温度まで冷却される。
【0102】
工程2)-分離
本発明の方法は、典型的には分離工程を含む。分離工程は、炭水化物希釈液体酸性乳製品に対して行われ:
A)炭水化物濃度が低減された水切り酸性乳製品
B)酸性ホエイ副産物
を含む製品を生成する。
【0103】
この工程では、酸性ホエイ副産物が、タンパク質の凝固によって生じる発酵乳製品またはカードから分離される。分離工程に続いて:
-酸性の、例えば発酵した水切り乳製品、より具体的には、炭水化物濃度が低減された、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品と呼ばれる、典型的には凝固タンパク質を含む水切り酸性乳製品;および
-副産物としての酸性ホエイ組成物
が生成される。
【0104】
そのような分離工程は、例えば、「ギリシャヨーグルト」を製造するための工程において、当業者に公知である。分離は、例えば、逆浸透、限外濾過または遠心分離によって行うことができる。分離工程は、例えば、30℃~45℃の温度で行うことができる。
【0105】
一つの実施形態では、水切り酸性乳製品は、炭水化物濃度が低減され、カルシウム/タンパク質比が0.03よりも大きい。
【0106】
特定の実施形態では、分離は、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品中のタンパク質濃度が、酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品のタンパク質濃度に対して少なくとも3.0等の少なくとも2.0の係数で乗算されるように行われる。係数は、好ましくは最大で7.0、例えば2.0~3.0、または3.0~4.0、または4.0~5.0、または5.0~6.0、または6.0~7.0である。特に、分離は、酸性ホエイ副産物が、酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品の少なくとも2/3の重量であり、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品が最大1/3の重量であるように行われる。より具体的には、酸性ホエイ副産物は最大で6/7の重量であり、水切り製品は少なくとも1/7の重量である。例えば、酸性ホエイ副産物は2/3~3/4であり、水切り製品は1/4~1/3であり、または酸性ホエイ副産物は3/4~4/5であり、水切り生成物は1/5~1/4であり、または酸性ホエイ副産物は4/5~5/6であり、水切り生成物は1/6~1/5であり、または酸性ホエイ副産物は5/6~6/7であり、水切り製品は1/7~1/6である。
【0107】
一つの実施形態では、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は、少なくとも6.00重量%のタンパク質濃度を有する。タンパク質濃度は、最大で18.00重量%であり、例えば6.00~7.00重量%、または7.00~8.00重量%、または8.00~9.00重量%、または9.00~10.00重量%、または10.00~11.00重量%、または11.00~12.00重量%、または12.00%~15.00重量%、または15.00~18.00%であり得る。
【0108】
一つの実施形態では、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は、タンパク質の重量と炭水化物の重量との間の比が少なくとも3.00である。比は最大10.00であり得る。例えば、比は3.00~4.00、または4.00~5.00、または5.00~6.00、または6.00~7.00、または7.00~8.00、または8.00~9.00、または9.00~10.00であり得る。一つの実施形態では、この比は、酸性の、例えば発酵した炭水化物希釈液体乳製品中のタンパク質の量と炭水化物の量との間の比に対して少なくとも20%増大する。増大は、少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%であり得る。増大は、典型的には最大500%である。
【0109】
水切り発酵乳製品はタンパク質を大量に含み、炭水化物濃度が低く、消費に適しており、価値がある。本明細書では、炭水化物濃度が低減された「ホワイトマス(white mass)」とも呼ばれる。
【0110】
本発明の方法は、様々な工程で、上記の成分、調製物、構成要素または組成物に、さらに成分または調製物を添加することを含み得ることが言及される。例えば、中間調製に関するセクションに記載されているいくつかの成分は、さらなる加工工程3)の前に添加することができる。
【0111】
温度
特定の実施形態では:
-熱処理は80℃~99℃、より具体的には85℃~95℃の温度で行われ、
-酸性化、例えば発酵は30℃~45℃の温度で行われ、かつ
-分離工程は30℃~45℃の温度で行われる。
【0112】
本発明の方法は、少なくとも1つの冷却工程を含み得る。例えば、本発明の方法は、熱処理と酸性化(例えば、発酵)との間に冷却を含み得る。本発明の方法は、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して行われる冷却工程を含み、貯蔵温度、例えば1℃~10℃、例えば4℃の冷却温度に到達する。一つの実施形態では、本発明の方法は、炭水化物濃度が低減した、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品の冷却工程を4℃~10℃の温度に冷却する工程を含む。
【0113】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、発酵の終了時および分離前に、熱ショック工程と呼ばれる温度上昇工程等の熱処理工程を含む。この工程は、典型的には温度を50℃~75℃、より具体的には50℃~60℃の温度に上げることによって行われる。このような熱ショック工程は、炭水化物濃度が低減された、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品の官能特性の安定化に寄与し得る。
【0114】
一つの実施形態では、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は、生存形態または生存可能な形態の乳酸菌の株を有する。適用される温度条件は、乳酸菌の生存に十分に有利なものである。
【0115】
特定の実施形態では、本発明の方法は以下の段階を含む:
発酵等の酸性化の前、最中または後の希釈->温度上昇(熱ショック)->分離->水切り酸性(例えば発酵)乳製品の冷却。
【0116】
工程3)-さらなる加工
酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は回収され、任意に、例えばさらなる食品形態に加工され、かつ/またはさらなる食品成分と混合される。
【0117】
それは、例えば、タンクに貯蔵され、食品包装に導入され、さらなる形態(例えば、粉末、一片(bite)、クリスプ、充填物(filling))で食品の製造に必要な成分として使用され、かつ/またはさらなる食品成分と混合され得る。特定の実施形態では、改変調製物は、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品に関連するか、またはそれと混合される。改変調製物としては、例えば、以下に記載される中間調製物、特にスラリーまたは果実調製物が挙げられる。そのような中間調製物は、安定性または官能特性、例えばテクスチャー、味および/または風味等の製品のいくつかの特性を改変または他の調整するために有用である。
【0118】
一つの実施形態では、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は、中間調製物でさらに加工されて、改変された酸性の、例えば発酵した乳製品をもたらす。中間調製物は、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品中の層または個別の含有物と混合されるか、またはそれとして配置することができる。そのような改変された酸性の、例えば発酵した乳製品は、完成品または調整された製品、またはフレーバー製品とも呼ばれる。
【0119】
酸性の、例えば発酵した水切り乳製品と中間調製物との重量比は、例えば50/50~99/1、好ましくは60/40~95/5、例えば50/50~60/40、または60/40~70/30、または70/30~75/25、または75/25~80/20、または80/20~85/15、または85/15~90/10、または90/10~95/5、または95/5~99/1であり得る。
【0120】
平滑化
本発明の方法は、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品が平滑化される平滑化工程を含む。そのような工程は、典型的には、いくらかの撹拌および/またはせん断を含み、当業者によって公知である。平滑化工程は、例えば撹拌によって、または静的または動的平滑化によって行われ得る。一つの実施形態では、平滑化は、例えばWO2007/09596に記載されているようなローターステーターミキサーにより行われる動的平滑化である。本明細書に記載の方法に関して、「ローターステーターミキサー」とは、製品が歯車付きリングを通過し、リングの一部が静的であり、残りの部分が設定された速度で回転している装置を指す。部分的に静的または回転している歯車付きリングのこのシステムは、定義されたせん断を製品に適用する。特定の実施形態では、ローターステーターミキサーは、リング状ローターおよびリング状ステーターを備え、ローターおよびステーターの各リングは所定の幅を有する放射状スロットを備え、ローターの回転速度を調整して周速度を調整することを含む。ローターは、周速度が2m/秒~13m/秒の間、特に3m/秒~5m/秒の間、より具体的には3.6m/秒~4m/秒の間になるように操作することができる。例えば、本発明の方法は、30℃~45℃の温度で、より具体的にはローターステーターミキサーを用いて行われる動的平滑化工程を含み得る。
【0121】
平滑化工程は、中間調製物を添加する前または後に行うことができる。平滑化工程は、中間調製物の混合をもたらすか、またはそれに寄与し得る。
【0122】
中間調製物
中間調製物は当業者に公知である。それらは、典型的には、乳製品組成物、例えば、酸性の、例えば発酵した乳組成物、または酸性の、例えば発酵した水切り乳組成物の味、口当たりおよび/またはテクスチャーを改変するために使用される。それらはまた、栄養素等のいくつかの添加物を導入するのに使用することができる。それらは、典型的には甘味料、フレーバー、色調整剤、安定化剤、調節剤、繊維、シリアルおよび/または果物を含む。中間調製物は、例えばスラリーまたは果物調製物である。フレーバーとしては、例えば、果実フレーバー、焼き菓子フレーバー、菓子フレーバー、バニラフレーバー、キャラメルフレーバー、コーヒーフレーバーおよび/またはチョコレートフレーバーが挙げられる。果実を含む中間調製物は、果物調製物と呼ばれる。本明細書において、果実は、例えば、完全な果実、断片、ピューレ、濃縮物、ジュース等を含む任意の果実形態を指す。
【0123】
特にスラリーの形態の中間調製物は、典型的には、少なくとも1種の安定化剤を有する安定化システムを含む。安定化システムは、少なくとも2種の安定剤を含み得る。そのような安定化剤は当業者に公知である。それらは、典型的には、固形物、例えば果実や果実抽出物等の相分離を回避するのに役立ち、かつ/または離液を回避するのに役立つ。それらは、典型的には、組成物にいくらかの粘度、例えば1~20cm/分、好ましくは4~12cm/分の粘度(20℃におけるBostwick粘度)をもたらす。
【0124】
安定化システムまたは安定化剤は、例えばデンプン、ペクチン、グアー、キサンタン、カラギーナン、ローカストビーンガムまたはそれらの混合物であり得る。安定化システムの量は、典型的には0.5~5重量%である。
【0125】
中間調製物は、典型的には官能的改変剤を含み得る。そのような成分は当業者に公知である。
【0126】
官能的改変剤は、例えば甘味剤、着色剤、シリアルおよび/またはシリアル抽出物であり得る。
【0127】
甘味料の例は、糖成分、およびステビオールグリコシド、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、サッカリン、D-アルロース、エリスリトールおよびラカンカ成分等の高甘味度甘味料と呼ばれる成分、およびそれらの混合物または関連物である。
【0128】
糖成分の例としては、砂糖、ショ糖、果糖シロップ、サトウキビシロップ、高果糖コーンシロップ等が挙げられる。
【0129】
特定の実施形態では、中間体は、添加された糖を実質的に含まず、例えば糖、ショ糖、果糖シロップ、サトウキビシロップ、高果糖コーンシロップ等を実質的に含まない。
【0130】
ラカンカの成分の例としては、モンクフルーツ、モンクフルーツ抽出物、およびモグロシドV等のモグロシドが挙げられる。
【0131】
ステビオールグリコシドの例としては、ステビオシド、レバウディオシドA、レバウディオシドB、レバウディオシドC、レバウディオシドD、レバウディオシドM、およびそれらの混合物または関連物(association)が挙げられる。特定の実施形態では、中間調製物は、甘味料または甘味増強剤としてレバウディオシドMを含む。レバウディオシドMは、ステビオシドまたは他のレバウディオシドに関連する好ましくない味の初期値(default)が制限された、目的の深い甘味または甘味の増強をもたらす。一つの実施形態では、中間調製物およびその量は、改変された水切り酸性乳製品が、15ppm~600ppm、例えば重量として15ppm~20ppm、または20ppm~30ppm、または30ppm~50ppm、または50ppm~100ppm、または100ppm~150ppm、または150ppm~200ppm、200ppm~250ppm、または250ppm~300ppm、または300ppm~400ppm、または400ppm~500ppm、または500ppm~600ppmの量のレバウディオシドMを含むようなものである。150ppm~200ppmまたは200ppm~250ppmの量の主なまたは唯一の甘味料としてのレバウディオシドMは、良好な甘味をもたらすのに効果的であることが証明されている。
【0132】
果実の例としては、例えば、イチゴ、モモ、アプリコット、マンゴー、リンゴ、ナシ、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、パッションフルーツ、チェリー、およびそれらの混合物または関連物が挙げられる。
【0133】
フルーツフレーバーの例としては、ストロベリーフレーバー、モモフレーバー、アプリコットフレーバー、マンゴーフレーバー、リンゴフレーバー、ナシフレーバー、ラズベリーフレーバー、ブルーベリーフレーバー、ブラックベリーフレーバー、パッションフルーツフレーバー、チェリーフレーバー、およびそれらの混合物または関連物が挙げられる。
【0134】
果実は、例えば次のように供給される:
-冷凍果実キューブ、例えば10mm果実キューブ、例えば個別の急速冷凍果実キューブ、例えばイチゴ、モモ、アプリコット、マンゴー、リンゴ、ナシの果実キューブ、またはそれらの混合物、
-無菌果実キューブ、例えば10mm果実キューブ、例えばイチゴ、モモ、アプリコット、マンゴー、リンゴまたはナシの果実キューブ、またはそれらの混合物、
-果実ピューレ、例えば2~5倍、より具体的には3倍に濃縮された果実ピューレ、例えばイチゴ、モモ、アプリコット、マンゴー、ラズベリー、ブルーベリーまたはリンゴ果実のピューレまたはそれらの混合物、
-無菌果実ピューレ、例えばイチゴ、ラズベリー、ピーチ、アプリコット、ブルーベリーまたはリンゴの単一無菌果実ピューレまたはそれらの混合物、
-冷凍全果実、例えば個別の急速冷凍全果実、例えばブルーベリー、ラズベリーまたはブラックベリー冷凍全果実、またはそれらの混合物、
-それらの混合物。
【0135】
中間調製物の成分および/または構成要素およびその量は、典型的には、中間調製物が1~65ブリックス、例えば1~10ブリックス、または10~15ブリックス、または15~20ブリックス、または20~25ブリックス、または25~30ブリックス、または30~35ブリックス、または35~40ブリックス、または40~45ブリックス、または45~50ブリックス、または50~55ブリックス、または55~60ブリックス、または55~60ブリックス、または60~65ブリックスのブリックス度数を有するようなものであり得る。
【0136】
果実調製物は、例えば、30~80重量%、例えば50~70重量%の量の果実を含み得る。
【0137】
中間調製物は水を含み得る。特定の実施形態では、水の一部は、例えば果実または果実抽出物から、またはリン酸溶液から、果実調製物等の中間調製物を調製するために使用される成分に由来し得る。
【0138】
果実調製物またはスラリー等の中間調製物は、クエン酸等のpH調整剤を含み得る。果実調製物等の中間調製物は、2.5~5のpH、好ましくは2.8~4.2のpHを有し得る。
【0139】
一つの実施形態では、中間調製物は、その炭水化物含有量、好ましくはその糖含有量が、中間調製物100g当たり最大10g、好ましくは100g当たり最大6g、好ましくは100g当たり最大4.0g、例えば100g当たり4.0g~100g当たり3.5g、または100g当たり3.5g~100g当たり3.0g、または100g当たり3.0g~100g当たり2.5g、または100g当たり2.5g~100g当たり2.0g、または100g当たり2.0g~100g当たり1.5gであるようなものである。
【0140】
一つの実施形態では、中間調製物およびその量、ならびに/または成分または構成要素およびその量は、改変された、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品中の炭水化物含有量、好ましくは糖含有量が低くなるようなものである。例えば、量は、改変された製品100g当たり最大4(4.0)g、または100g当たり最大3(3.0)g、または100g当たり最大2(2.0)g、または100g当たり最大1.5gであり得る。
【0141】
一つの実施形態では、改変された、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品は、実質的に糖が添加されていない。
【0142】
一つの実施形態では、中間調製物およびその量、ならびに/または成分または構成要素およびその量は、改変された、酸性の、例えば発酵した水切り乳製品が、タンパク質の重量と炭水化物、好ましくは糖の重量との間の比が少なくとも3.00であるようなものである。比は最大10.00であり得る。例えば、比は3.00~4.00、または4.00~5.00、または5.00~6.00、または6.00~7.00、または7.00~8.00、または8.00~9.00、または9.00~10.00であり得る。
【0143】
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品を製造するための例示的な工程
第1の例示的な実施形態
第1の実施形態では、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、3.3%の総窒素(タンパク質)および4.0%の乳糖を有する乳を含む液体初期乳原料を水で希釈して、<3.0%の乳糖を有する希釈された液体初期乳原料を生成することによって製造される。液体の初期乳原料は、脱脂乳とクリームとの混合物を含み得る。特定の実施形態では、液体初期乳原料は、等量の水で希釈されて、約1.7%の総窒素および約2.0%の乳糖を有する希釈された液体初期乳原料を生成する。より特定の実施形態では、液体初期乳原料は、少なくとも1体積の水で4体積の液体乳原料に希釈されて、<2.0%の乳糖を有する希釈された液体乳原料を生成する。希釈された液体初期乳製品を本明細書に記載のように発酵させて、発酵希釈液体乳製品を生成する。発酵希釈液体乳製品を遠心分離機分離器(~5注入=1排出の流量比)で分離して:
A)それを生成する液体初期乳原料と比較して炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
が得られる。
【0144】
第1の実施形態は、希釈前の液体初期乳原料の熱処理、または希釈された液体初期乳原料の熱処理、希釈前の熱処理された液体初期乳原料の平滑化、または熱処理された希釈液体初期乳原料の平滑化;発酵希釈液体乳原料の温度上昇(「発酵混合熱ショック」)、および炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して行われる動的平滑化をさらに含み得る。第1の実施形態は、典型的には、発酵工程の前の液体乳製品の希釈により、遠心分離工程中の5~6倍の濃度比(すなわち、最終タンパク質含有量が初期タンパク質含有量より5~6倍高い)を有する。
【0145】
第1の実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、典型的には、約9.5%の総窒素含有量および約1.6%の乳糖含有量を有する。したがって、第1の実施形態の方法は、液体初期乳原料(出発原料)と比較して炭水化物濃度の60%の低減をもたらす。
【0146】
第2の例示的な実施形態
第2の実施形態では、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、3.3%の総窒素(タンパク質)および3.0%の乳糖を有する乳を含む液体初期乳原料を発酵させ、発酵液体乳製品を水で希釈し(例えば、発酵液体乳製品を水で~1:1に希釈する)、希釈された発酵液体乳製品を遠心分離機(~5注入=1排出の流量比)で分離して、
A)それを生成する液体初期乳原料と比較して炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を得ることによって製造される。
【0147】
特定の実施形態では、発酵液体乳製品は、少なくとも1体積の水で4体積の発酵液体乳製品に希釈されて、希釈された発酵液体乳製品を生成する。
【0148】
第2の実施形態は、発酵前の液体初期乳原料の熱処理、発酵前の熱処理された液体初期乳原料の平滑化;発酵希釈液体乳製品の温度上昇(「発酵混合熱ショック」)、および炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して行われる動的平滑化をさらに含み得る。第2の実施形態は、典型的には、発酵工程後の液体乳製品の希釈により、遠心分離工程中の5~6倍の濃度比を有する。
【0149】
第2の実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、典型的には、約9.5%の総窒素含有量および<1.5%の乳糖含有量を有する。したがって、第2の実施形態の方法は、液体初期乳原料(出発原料)と比較して炭水化物濃度の>50%の低減をもたらす。
【0150】
第3の例示的な実施形態
第3の実施形態では、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、乳、水、および総窒素(タンパク質)が3.3%および乳糖が≦1.0%の限外濾過(UF)乳を含む希釈液体初期乳原料を発酵させ、発酵させた希釈液体乳原料を遠心分離機(~3注入=1排出の流量比)で分離して、
A)それを生成する液体初期乳原料と比較して炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
得ることによって製造される。
【0151】
第3の実施形態は、発酵前の希釈された液体初期乳原料の熱処理、発酵前の熱処理された希釈液体初期乳原料の平滑化;発酵希釈液体乳製品の温度上昇(「発酵混合熱ショック」)、および炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して行われる動的平滑化をさらに含み得る。
【0152】
第3の実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、典型的には、8.0%~11.0%、特に約9.5%の総窒素含有量、および約≦1.0%の乳糖含有量を有する。
【0153】
第4の例示的な実施形態
第4の実施形態では、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、3.3%の総窒素(タンパク質)および1.8~2.5%の乳糖、特に1.8%~2.0%の乳糖等の≦2.5%の乳糖を有する限外濾過(UF)され、かつ透析ろ過された乳を含む希釈液体初期乳原料を発酵させ、発酵させた希釈液体乳原料を遠心分離機(~3注入=1排出の流量日)で分離して、
A)それを生成する液体初期乳原料と比較して炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を得ることによって製造される。
【0154】
したがって、希釈工程(工程b))は、初期乳原料(限外濾過された乳)を供給する限外濾過工程(工程a))と同時に行われる透析ろ過である。
【0155】
第4の実施形態は、発酵前の希釈された液体初期乳原料の熱処理、発酵前の熱処理された希釈液体初期乳原料の平滑化、発酵希釈液体乳製品の温度上昇(「発酵混合熱ショック」)、および炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して行われる動的平滑化をさらに含み得る。
【0156】
第4の実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、典型的には、8.0%~11.0%、特に約9.5%の総窒素含有量、および1.0%~1.6%、特に1.0%~1.3%の乳糖含有量を有する。
【0157】
第5の例示的な実施形態
第5の実施形態では、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、乳、水、および総窒素(タンパク質)が2.5%±1.0%および乳糖が≦2.0%、好ましくは1.8%~2.0%乳糖等の1.8%~2.5%乳糖等の≦2.5%の乳タンパク質濃縮物(MPC;炭水化物が少ない)を含む液体初期乳原料を発酵させ、発酵させた希釈液体乳原料を遠心分離機(~3~5注入=1排出の流量比)で分離して、
A)それを生成する液体乳原料と比較して炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を得ることによって製造される。
【0158】
特定の実施形態では、乳、水および乳タンパク質濃縮物を含む希釈液体初期乳原料の乳糖含有量は、<3.0%である。より特定の実施形態では、希釈液体初期乳原料は、炭水化物含有量が≦2.0%になるように希釈された脱脂乳、炭水化物含有量を変えずに窒素含有量を約2.5%に増大させるために添加されるMPC、および乳脂肪含有量を約0.3%に増大させるためのクリームを含む。初期希釈は、脱脂乳、再構成された脱脂乳(脱脂粉乳および水)、または低炭水化物の再構成された乳混合物で行うことができる。他の実施形態は、例えば、醤油、米、ココナッツまたはカラスムギ(avena)、およびそれらの組み合わせに基づく少なくとも1つの植物混合物を、初期糖が低減するように液体初期乳原料に添加することを含む。
【0159】
第5の実施形態は、発酵前の希釈された液体初期乳原料の熱処理、発酵前の熱処理された希釈液体初期乳原料の平滑化、発酵希釈液体乳製品の温度上昇(「発酵混合熱ショック」)、および炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して行われる動的平滑化をさらに含み得る。
【0160】
第5の実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、典型的には、約9.5%の総窒素含有量、および≦1.0%の乳糖含有量または1.0%~1.6%、特に1.0%~1.3%の乳糖含有量を有する。したがって、第5の実施形態の方法は、液体初期乳原料(出発原料)と比較して、炭水化物濃度の≦50%の低減をもたらす。
【0161】
本明細書に記載され、本明細書に提示される例示的な実施形態のいずれか1つに実施される発酵培養素(fermentation culture)は:
A)好熱性乳酸菌(40℃で発酵するため)、例としては、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)が挙げられるが、これらに限定されない、および/または
B)中温性乳酸菌(30℃で発酵するため)の例としては、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)およびラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)が含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
第6の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の使用方法
炭水化物濃度が低減された「ホワイトマス」(WM)とも呼ばれる、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、完成品として加工される。プレーン製品の場合、炭水化物濃度が低減された150グラム(g)のホワイトマスがカップで調整される。フレーバー製品の場合、82%のWMと18%のフルーツ調製物とがスラリーの形態で混合され、カップで調整される。一つの実施形態では、フルーツスラリーは、フレーバー剤、着色剤および安定剤を含む。
【0163】
第7の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
この実施形態によれば、液体初期乳原料は、発酵工程の前に、方法の任意の時点で希釈することができる。
【0164】
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、以下の成分を使用してパイロット規模で製造される:
-液体初期乳原料:総窒素(タンパク質)を3.30%、および乳糖を4.00%含む乳。タンパク質と炭水化物との比は約0.8である、
-1体積の乳を1体積の水で希釈して生成した、総窒素を約1.65%、および乳糖を2.00%含む希釈された液体初期乳原料。タンパク質と炭水化物との比は約0.8である、
-希釈された液体初期乳原料を95℃±3℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)熱処理する、
-任意に、熱処理された希釈液体初期乳原料を60℃の温度、69バール(±20バール)の圧力で平滑化し、次いで熱処理された液体初期乳原料を希釈する、
-希釈液体初期乳原料に、適切な温度(例えば40℃)で0.002~0.02重量%(例えば0.02%)の培養素を含む発酵培養素を接種する、
-任意に、0.06重量%のラクターゼを添加する、
-40℃の温度で発酵させて破壊的pH4.65±0.05に到達させる、
-任意に、温度を59.5℃の温度に2.5分間上昇させる(「発酵混合熱ショック」)、
-遠心分離機(例えば、Westphalia KNA3 パイロット規模遠心分離機)を使用して、41.5℃の温度、5重量部の酸性ホエイ副産物に対して1重量部の水切り発酵乳製品の流量比(約6倍の濃度)で分離する。水切り発酵乳製品は、タンパク質を約9.5重量%、および乳糖を1.6重量%含む。タンパク質と炭水化物との比は約5.9であり、かつ、
-任意に、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して動的平滑化を行う。
【0165】
酸性ホエイ副産物は、0.15~0.5重量%のタンパク質、特に0.4重量%のタンパク質、および2.0重量%の乳糖を含む。
【0166】
この実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、約9.5%の総窒素含有量および約1.6%の乳糖含有量を有する。したがって、この実施形態に記載される方法によれば、標準的な方法を使用して製造される水切り発酵乳製品と比較して、総窒素含有量および炭水化物含有量の低減に反映されるように、高いタンパク質レベルを有するという点で、従前製造されていたものよりも優れた特性を有する水切り発酵乳製品が製造される。
【0167】
第8の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、以下の成分を使用してパイロット規模で製造される:
-液体初期乳原料:総窒素(タンパク質)を3.3%、および≧3.0%の乳糖を含む乳、
-発酵培養素:上記のとおりである。
【0168】
手順には、次の工程が含まれる:
-液体初期乳原料を95℃±3℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)熱処理する、
-任意に、熱処理された液体初期乳原料を、温度60℃、圧力69バール(±20バール)で平滑化する、
-熱処理された液体初期乳原料に、適切な温度(例えば40℃)で0.002~0.02重量%の発酵培養素(例えば0.02重量%の培養素)を接種する、
-40℃の温度で発酵させて破壊的pH4.65(±0.05)に到達させる、
-任意に、温度を59.5℃の温度に2.5分間上昇させる(「発酵混合熱ショック」)、
-分離前に~50%に希釈する(発酵液体乳製品を水で~1:1に希釈する)、
-遠心分離機(例えば、Westphalia KNA3 パイロット規模遠心分離機;~5注入=1排出の流量比)を使用して、41.5℃の温度で分離して、
A)炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を得、かつ
-任意に、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して動的平滑化を行う。
【0169】
液体乳製品が発酵工程の後に希釈される実施形態では、高い濃度が必要とされる。より具体的には、5~6倍の濃度比が必要であり、これは、通常3~4倍の標準濃度比を必要とする他の水切りヨーグルトに必要な濃度比よりも高い。
【0170】
この実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、約9.5%の総窒素含有量および≦1.5%の乳糖含有量を有する。したがって、この実施形態に記載される方法によれば、標準的な方法を使用して製造される水切り発酵乳製品と比較して、総窒素含有量および炭水化物含有量の低減に反映されるように、高いタンパク質レベルを有するという点で、従前製造されていたものよりも優れた特性を有する水切り発酵乳製品が製造される。
【0171】
この実施形態では、発酵は、希釈されていない液体初期乳原料に対して行われる。したがって、破壊的pHが高くなる可能性があり、これにより、より多くの炭水化物が乳酸に変換されることから、乳糖の異化作用は、分離前により重要である。
【0172】
第9の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、以下の成分を使用してパイロット規模で製造される:
-液体乳原料:乳、水、および総窒素(タンパク質)が3.3%、乳糖が≦1.0%の限外ろ過(UF)乳を含む。この実施形態では、希釈された液体初期乳原料は、方法の開始時に希釈される、
-発酵培養素:上記のとおりである。
【0173】
手順には、次の工程が含まれる:
-希釈された液体初期乳原料を95℃±3℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)熱処理する、
-任意に、熱処理された希釈液体初期乳原料を、温度60℃、圧力69バール(±20バール)で平滑化する、
-希釈された液体初期乳原料に、適切な温度(例えば40℃)で培養素0.002~0.02重量(例えば0.02重量%)の重量での発酵培養素を接種する、
-40℃の温度で発酵させて破壊的pH4.65(±0.05)に到達させる、
-任意に、温度を59.5℃の温度に2.5分間上昇させる(「発酵混合熱ショック」)、
-遠心分離機(例えば、Westphalia KNA3 パイロット規模遠心分離機;~3注入=1排出の流量比)を使用して、41.5℃の温度で分離し、
A)炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を得、かつ
-任意に、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して動的平滑化を行う。
【0174】
液体初期乳原料が発酵工程の前に希釈される実施形態では、発酵前のタンパク質および炭水化物の濃度の正確な制御により、標準的な方法を使用して製造される他の水切りヨーグルトを生成するために使用されるものと同様の3~4倍の標準濃度比を使用することが可能になる。
【0175】
この実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、8.0%~11.0%、特に約9.5%の総窒素含有量および約≦1.0%の乳糖含有量を有する。したがって、この実施形態に記載される方法によれば、標準的な方法を使用して製造される水切り発酵乳製品と比較して、総窒素含有量および炭水化物含有量の低減に反映されるように、高いタンパク質レベルを有するという点で、従前製造されていたものよりも優れた特性を有する水切り発酵乳製品が製造される。
【0176】
第10の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、以下の成分を使用してパイロット規模で製造される:
-液体乳製品:総窒素(タンパク質)を3.3%、および1.8~2.5%の乳糖、特に1.8%~2.0%の乳糖等の乳糖を≦2.5%を含む限外ろ過(UF)および透析ろ過された乳を含む。この実施形態では、希釈された液体初期乳原料は、方法の開始時に希釈される、
-発酵培養素:上記のとおりである。
【0177】
手順には、次の工程が含まれる:
-希釈された液体初期乳原料を95℃±3℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)熱処理する、
-任意に、熱処理された希釈液体初期乳原料を、温度60℃、圧力69バール(±20バール)で平滑化する、
-希釈された液体初期乳原料に、適切な温度(例えば40℃)で0.002~0.02重量%(例えば0.02%)の培養素の発酵培養素を接種する、
-40℃の温度で発酵させて破壊的pH4.65(±0.05)に到達させる、
-任意に、温度を59.5℃の温度に2.5分間上昇させる(「発酵混合熱ショック」)、
-遠心分離機(例えば、Westphalia KNA3 パイロット規模遠心分離機;~3注入=1排出の流量比)を使用して、41.5℃の温度で分離して、
A)炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を得、かつ
-任意に、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して動的平滑化を行う。
【0178】
液体初期乳原料が発酵工程の前に希釈される実施形態では、発酵前のタンパク質および炭水化物の濃度の正確な制御により、標準的な方法を使用して製造される他の水切りヨーグルトを生成するために使用されるものと同様の3~4倍の標準濃度比を使用することが可能になる。
【0179】
この実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、8.0%~11.0%、特に約9.5%の総窒素含有量および1.0%~1.3%の乳糖含有量を有する。したがって、この実施形態に記載される方法によれば、標準的な方法を使用して製造される水切り発酵乳製品と比較して、総窒素含有量および炭水化物含有量の低減に反映されるように、高いタンパク質レベルを有するという点で、従前製造されていたものよりも優れた特性を有する水切り発酵乳製品が製造される。
【0180】
第11の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、以下の成分を使用してパイロット規模で製造される:
-液体初期乳原料:乳、水、および総窒素(タンパク質)が2.5%±1.0%、乳糖が<3.0%含む乳タンパク質濃縮物(MPC;炭水化物が少ない)を含む。特定の実施形態では、乳糖含有量は、2.0%以下等の≦2.5%以下である。例えば、乳糖含有量は、1.8%~2.0%等の1.8%~2.5%である。この実施形態では、液体初期乳原料は、方法の開始時に希釈される。
【0181】
特定の実施形態では、希釈液体初期乳原料は、糖含有量が、2.0%以下等の2.5%以下の炭水化物、例えば1.8%~2.0%等の1.8%~2.5%の炭水化物の糖含有量を達成するように、希釈された脱脂乳を含み、MPCが添加されて、炭水化物含有量を変えることなく窒素含有量が約2.5%に増大される。
【0182】
初期希釈は、脱脂乳、再構成された脱脂乳(脱脂粉乳および水)または低炭水化物の再構成された乳混合物に対して行われる。
【0183】
他の実施形態は、例えば、醤油、米、ココナッツまたはカラスムギ、およびそれらの組み合わせに基づく少なくとも1つの植物混合物を、初期糖が低減するように液体初期乳原料に添加することを含む
-発酵培養:上記のとおりである。
【0184】
手順には、次の工程が含まれる:
-希釈された液体初期乳原料を95℃±3℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)熱処理する、
-任意に、熱処理された希釈液体初期乳原料を、温度60℃、圧力69バール(±20バール)で平滑化する、
-希釈された液体初期乳原料に、適切な温度(例えば40℃)で0.002~0.02重量%(例えば0.02%)の培養素の発酵培養物を接種する、
-40℃の温度で発酵させて破壊的pH4.65(±0.05)に到達させる、
-任意に、温度を59.5℃の温度に2.5分間上昇させる(「発酵混合熱ショック」)、
-遠心分離機(例えば、Westphalia KNA3 パイロット規模遠心分離機;~3~5注入=1排出の流量比)を使用して、41.5℃の温度で分離して、
A)炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品、および
B)酸性ホエイ副産物
を得、かつ
-任意に、炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品に対して動的平滑化を行う。
【0185】
この実施形態に従って製造される炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、約9.5%の総窒素含有量、1.0%以下または1.0%~1.6%、特に1.0%~1.3%の乳糖含有量を有する。したがって、この実施形態に記載される方法によれば、標準的な方法を使用して製造される水切り発酵乳製品と比較して、総窒素含有量および炭水化物含有量の低減に反映されるように、高いタンパク質レベルを有するという点で、従前製造されていたものよりも優れた特性を有する水切り発酵乳製品が製造される。
【0186】
第12の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品は、以下の成分を使用してパイロット規模で製造される:
-液体初期乳原料:3.45%の総窒素(タンパク質)、およびラクトースを含む5%の乳炭水化物を含む乳。タンパク質と炭水化物との比は約0.69である、
-希釈液:水
-培養素:Dupont社が販売するYo-Mix(登録商標)495。
【0187】
製造手順は次のとおりである:
-乳を供給する、
-乳を限外ろ過して、9.74%の総窒素(タンパク質)、およびラクトースを含む5%の乳炭水化物を含む保持液と、0.18%の非タンパク質窒素およびラクトースを含む5%の乳炭水化物を含む透過液とを生成する、
-1体積の保持液を約3体積の水で希釈して、約3.2%の総窒素、およびラクトースを含む1.6%の乳炭水化物を含む希釈液体乳原料を生成する、
-希釈された液体乳原料を、温度60℃、圧力69バール(±20バール)で平滑化する、
-希釈された液体乳原料を95℃±3℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)熱処理する
-希釈された液体乳製品に、40℃で0.004重量%の培養素を接種する、
-40℃の温度で発酵させて、4.50の破壊pHに到達させる、
-遠心分離機(例えば、Westphalia KNA3 パイロット規模遠心分離機)を使用して、約3重量部の酸性ホエイ副産物に対して約1重量部の水切り発酵乳製品の流量比(約2.8倍の濃度)で、41.5℃の温度で分離し、水切り発酵乳製品を回収する。
【0188】
結果:
水切り発酵乳製品は、8.95重量%のタンパク質、およびラクトースを含む約1重量%の乳炭水化物を含む。
【0189】
タンパク質と炭水化物との比は約8.95である。
【0190】
酸性ホエイ副産物は、0.15~0.40重量%のタンパク質、およびラクトースを含む約1重量%の乳炭水化物を含む。
【0191】
第13の例示的な実施形態
炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
以下の成分が使用される:
-液体初期乳原料:3.36%の総窒素、およびラクトースを含む4.8%乳炭水化物含む乳。タンパク質と炭水化物との比は約0.7である、
-希釈液:水
-培養素:DN-YOMIX GSD1 1500DCU。供給元:Danisco社。
【0192】
製造手順は次のとおりである:
パートI:限外ろ過
-乳を供給する、
-乳を限外濾過して、9.4%の総窒素(タンパク質)、およびラクトースを含む4.7%の乳炭水化物、および0.17%の総窒素(非タンパク質窒素のみ)を含む透過液を生成する。
パートII:希釈と分離
-1体積の乳を3体積の水で希釈して、約3.2%の総窒素、およびラクトースを含む1.6%の乳炭水化物を含む希釈液体乳製品を生成する、
-希釈液体乳製品を、73℃の温度、1000psi(±100psi)の圧力で平滑化する、
-希釈液体乳製品を92℃±2℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)熱処理する、
-希釈液体乳製品に、40℃で0.0041重量%の培養素を接種する、
-40℃の温度で発酵させて、4.75の破壊pHに到達させる、
-遠心分離機(KDBセパレーター)を使用して、3重量部の産生ホエイ副産物に対して1重量部の水切り発酵乳製品(濃度約3倍)の流量比で、温度40℃で分離する、
-水切り発酵乳製品を回収する。
【0193】
結果:
水切り発酵乳製品(白色の塊)は、9.6重量%のタンパク質、およびラクトースを含む0.65重量%の乳炭水化物含む。
【0194】
タンパク質と炭水化物との比は約14.8である。
【0195】
酸性ホエイ副産物は0.16重量%のタンパク質を含む。
【0196】
本発明のさらなる詳細または利点は、以下の非限定的な実施例に示される。
【実施例】
【0197】
実施例1-炭水化物濃度が低減された水切り発酵乳製品の製造
以下の成分を使用した:
-液体初期乳原料:3.30%の総窒素(タンパク質)、およびラクトースを含む4.00%の乳炭水化物を含む乳。タンパク質と炭水化物との比は約0.82であった、
-希釈液:水
-培養素:Dupont社が販売するYo-Mix(登録商標)495。
【0198】
製造手順は以下の通りであった。
-乳を供給した、
-1体積の乳を1体積の水で希釈して、約1.65%の総窒素、およびラクトースを含む2.00%の乳炭水化物を含む希釈液体乳製品を生成した。タンパク質と炭水化物との比は約0.82であった、
-希釈液体乳製品を、温度60℃、圧力69バール(±20バール)で平滑化した、
-希釈液体乳製品を95℃±3℃の温度で5~7分間(例えば6.5分間)で熱処理した、
-希釈液体乳製品に、40℃で0.004重量%の培養素を接種した、
-40℃の温度で発酵させて、4.50の破壊的pHに到達させた、
-遠心分離機(例えば、Westphalia KNA3 パイロット規模遠心分離機)を使用して、41.5℃の温度、4.2重量部の酸性ホエイ副産物に対して1重量部の水切り発酵乳製品の流量比(約5.2倍の濃度)で分離した、
-水切る発酵乳製品を回収した。
【0199】
結果:
水切り発酵乳製品は、9.5重量%のタンパク質、およびラクトースを含む1.6重量%の乳炭水化物を含んでいた。
【0200】
タンパク質と炭水化物との比は約5.9であった。
【0201】
酸性ホエイ副産物は、0.4重量%のタンパク質、およびラクトースを含む2.0重量%の乳炭水化物を含んでいまた。
【0202】
比較例1-水切り発酵乳製品の標準的な製造
実施例1による手順は、希釈工程なしで行われ、結果としてより低い濃度係数で行われた:分離は、3重量部の酸性ホエイ副産物に対して1重量部の水切り発酵乳製品の流量比(約3倍の濃度)で行われた。
【0203】
結果:
水切り発酵乳製品は、10.0重量%のタンパク質、およびラクトースを含む4.0重量%の乳炭水化物を含んでいた。
【0204】
タンパク質と炭水化物との比は約2.5であった。
【0205】
本発明の方法は、炭水化物の量を低減させ、濃縮物中の炭水化物に対するタンパク質の収量を増大させることが分かる。