IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キョウセラ インターナショナル インコーポレイテッドの特許一覧

特許7507769統合フィルタを備えたアンテナ素子を有するアンテナアレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】統合フィルタを備えたアンテナ素子を有するアンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/26 20060101AFI20240621BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240621BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20240621BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01Q3/26 Z
H01Q21/06
H01Q21/24
H01Q13/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021541585
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020013658
(87)【国際公開番号】W WO2020150335
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】62/793,772
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/884,855
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/743,322
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317005044
【氏名又は名称】キョウセラ インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルセラー,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ピロト,アンディー
(72)【発明者】
【氏名】ザキ,カウサル エー.
(72)【発明者】
【氏名】アティア,アリ
(72)【発明者】
【氏名】タロ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リード,タイラー
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-334580(JP,A)
【文献】特開平10-065439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0123255(US,A1)
【文献】特開2004-260582(JP,A)
【文献】特開2013-219533(JP,A)
【文献】特開2001-267835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0017806(US,A1)
【文献】米国特許第05422647(US,A)
【文献】特開平02-284505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/26
H01Q 21/06
H01Q 21/24
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子を具備するフェーズドアレイアンテナであって、前記各アンテナ要素は、
放射素子と、
前記放射素子に隣接する接地素子と、
前記接地素子を介して前記放射素子にカップリングされた共振器と、を備え、
前記フェーズドアレイアンテナは、前記共振器のサイズによって少なくとも部分的に決定されるスキャン角を有し、
前記各放射素子は、平面金属パッチ放射器であり、
前記各接地素子は、平面金属接地パッチであり、
前記各共振器は、金属筐体内の平面金属共振器パッチを含み、
前記平面金属共振器パッチは、長さおよび幅を有し、前記長さが前記幅よりも大きく、
前記フェーズドアレイアンテナの第1の次元における第1のグリッド間隔は、前記長さによって制限され、
前記フェーズドアレイアンテナの第2の次元における第2のグリッド間隔は、前記幅によって制限され、
第1の方向でのスキャン角度は、少なくとも部分的に前記第1のグリッド間隔によって決定され、
第2の方向でのスキャン角度は、少なくとも部分的に前記第2のグリッド間隔によって決定され、
前記第2のグリッド間隔は、前記第1のグリッド間隔よりも大きく、
第1の方向でのスキャン角度は、第2の方向でのスキャン角度よりも大きい、フェーズドアレイアンテナ。
【請求項2】
前記各平面金属共振器パッチは入力ポートを有し、前記各アンテナ素子は、電磁信号が前記入力ポートに印加されたときに、前記入力ポートから前記平面金属パッチ放射器を介して自由空間へのフィルタ伝達関数に従って、前記平面金属パッチ放射器から電磁エネルギーを放射するように構成され、
前記フィルタ伝達関数は、少なくとも部分的に、前記平面金属パッチ放射器と前記平面金属共振器パッチとの間の距離によって決定される、請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項3】
前記フィルタ伝達関数の選択性は、少なくとも部分的に、前記平面金属パッチ放射器と前記平面金属共振器パッチとの間の距離に基づく、請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項4】
前記フィルタ伝達関数の自由空間への出力カップリングは、少なくとも部分的に、前記平面金属パッチ放射器と前記平面金属接地パッチとの間の距離に基づく、請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項5】
前記平面金属接地パッチの開口部が、前記平面金属共振器パッチを前記平面金属パッチ放射器に電気的にカップリングさせるためのカプラを形成する、請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項6】
一組の金属ポストにより接続された前記平面金属接地パッチおよび別の平面金属接地によって金属筐体が形成される、請求項3に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項7】
前記各アンテナ素子は、電磁信号が入力ポートに印加されたときに、前記平面金属パッチ放射器から円偏波に従って電磁エネルギーを放射するように構成される、請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項8】
前記各平面金属共振器パッチは別の入力ポートを有し、前記各アンテナ素子は、前記電磁信号が前記入力ポートに印加されたときに、右旋円偏波(RHCP)に従って前記平面金属パッチ放射器子から電磁エネルギーを放射し、また前記電磁信号が別の入力ポートに適用されるときには、左旋円偏波(LHCP)に従って前記平面金属パッチ放射器から電磁エネルギーを放射するように構成される、請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項9】
前記第1のグリッド間隔および前記第2のグリッド間隔は、自由空間内における前記電磁信号の周波数において半波長未満である、請求項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項10】
複数のアンテナ素子を含むフェーズドアレイアンテナであって、前記各アンテナ素子は、
入力ポートを有する入力平面共振器素子と、
前記入力平面共振器素子に電気的にカップリングされた平面放射器素子と、
前記平面放射器素子と前記入力平面共振器素子との間に配置された平面接地素子と、を具備し、
前記各アンテナ素子は、電磁信号が前記入力ポートに印加されたときに、前記入力ポートから前記平面放射器素子を通って自由空間へのフィルタ伝達関数に従って、前記平面放射器素子から電磁エネルギーを放射するように構成され、
前記フィルタ伝達関数は、少なくとも部分的に、前記平面放射器素子と前記入力平面共振器素子との間の距離によって決定され
前記平面接地素子の開口部を通る金属ポストが、前記入力平面共振器素子を前記平面放射器素子に接続して、前記入力平面共振器要素を前記平面放射器要素に電気的にカップリングさせる、フェーズドアレイアンテナ。
【請求項11】
前記フィルタ伝達関数の選択性は、少なくとも部分的に、前記平面放射器素子と前記入力平面共振器素子との間の距離に基づく、請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項12】
前記フィルタ伝達関数の自由空間への出力カップリングは、少なくとも部分的に、前記平面放射器素子と前記平面接地素子との間の距離に基づく、請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項13】
前記各アンテナ素子の前記平面接地素子における開口部が、前記入力平面共振器素子を前記平面放射器素子に電気的にカップリングするためのカプラを形成する、請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項14】
前記入力平面共振器素子は、一組の金属ポストにより接続された前記平面接地素子および別の接地面素子によって形成された共振器筐体内にある、請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項15】
前記各アンテナ素子は、電磁信号が前記入力ポートに印加されたときに、円偏波に従って、前記平面放射器素子から電磁エネルギーを放射するように構成される、請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項16】
前記平面放射器素子が別の入力ポートを有し、前記各アンテナ素子は、前記電磁信号が前記入力ポートに印加されたときに、右旋円偏波(RHCP)に従って前記平面放射器素子から電磁エネルギーを放射し、前記電磁信号が前記別の入力ポートに印加されたときに、左旋円偏波(LHCP)に従って前記平面放射器素子から電磁エネルギーを放射するように構成される、請求項15に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項17】
前記入力ポートへのアクセスを提供する入力開口部と前記平面放射器素子を露出させる放射開口部とを除いた前記各アンテナ要素を取り囲む外部筐体を更に具備する、請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項18】
前記平面放射器素子は、自由空間内における前記電磁信号の周波数において、前記平面放射器素子の各側に沿って半波長未満である、請求項10に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年1月17日に出願された「固有のフィルタリング動作を有するマルチパッチアンテナ」と題する仮出願第62/793,772号、整理番号KII-SC PRO 00011 US、および2019年8月9日に出願された「5Gフェーズドアレイアンテナモジュール」と題する仮出願第62/884855号、整理番号KII-SC PRO 00013 USの優先権を主張するものであり、これらは何れも本契約の譲受人に譲渡されたものであり、その全体を明示的に本明細書の一部として援用する。
【0002】
本出願は、「統合フィルタを備えたアンテナ装置」と題するPCT特許出願(代理人整理番号KII-SC 00011A US)、ならびに「積層された平面共振器を有する統合フィルタを備えたアンテナ装置」(代理人整理番号KII-SC 00011B US)および「統合フィルタを備えたアンテナ装置」と題するPCT特許出願に関し、両者ともここでの譲受人に譲渡された本願と同時に出願されたものであり、且つ本明細書の一部として明示的に本願に援用される。
【0003】
本発明は、一般には無線通信に関し、より具体的にはフェーズドアレイアンテナに関する。
【背景技術】
【0004】
無線通信システムにおいて、アンテナは、電磁信号を受信および/または送信するために使用される。送信中は電気エネルギーが放出され、受信中は電気エネルギーが捕捉される。無線周波数(Radio Frequency:RF)システムでは、システムが興味対象とする帯域外での干渉を排除するために、アンテナの後にフィルタが配置される。フィルタは通常、適切な選択性を提供しながら、所望の帯域で動作するように適切にカップリングされた共振器の相互接続として設計される。このような構造の共振周波数は、共振器の物理的寸法および構造全体に直接関係している。通常は、共振器の物理的寸法が半波長に近づくときに共振が達成される。フェーズドアレイアンテナは複数のアンテナ素子を有し、アンテナ素子への入力信号を操作してアンテナビームの方向を制御できる。スキャンボリュームは、特定のアクティブ反射減衰レベルを維持しながら、ビームがボアサイトから指向され得る最大角度に基づくフェーズドアレイアンテナの特性である。言い換えると、スキャンボリュームは、特定のアクティブ反射減衰量レベルを維持しながら、ビームを方向に向けることができるアレイ正面の空間の体積である。アンテナ素子間のグリッド間隔を狭くすることによって、スキャンボリュームを増大させることができる。
【発明の概要】
【0005】
フェーズドアレイアンテナは複数のアンテナ素子を含み、各アンテナ素子は、フィルタと統合されたアンテナを含むアンテナ装置である。各アンテナ装置は複数の共振器を含み、共振器の少なくとも一部はそれぞれ金属キャビティに囲まれ、少なくとも1つの共振器は自由空間に露出されて放射器素子を形成する。各アンテナ装置は、ラジエーター要素の寸法およびアンテナ装置内の放射器素子の位置によって少なくとも部分的に決定されるフィルタ伝達関数を有する。フェーズドアレイアンテナのスキャンボリュームは、アンテナ装置のフィルタの少なくとも1つの物理的寸法に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、複数のアンテナ素子を含むフェーズドアレイアンテナのブロック図であり、各アンテナ素子は、統合されたフィルタを備えたアンテナ装置を含む。
図1B図1Bは、図1Aのフェーズドアレイアンテナ内の複数のアンテナ素子の一例を示すブロック図である。
図1C図1Cは、統合フィルタを備えたアンテナ装置のブロック図である。
図2A図2Aは、接地面間に平面共振器素子を含むアンテナ装置の一例における分解斜視図であり、ここでは接地面がビアと接続され、また接地面の開口部が共振器素子間のカップリングを提供している。
図2B図2Bは、図2AのA-A線に沿った前記アンテナ装置の側断面図である。
図2C図2Cは、外部筐体を透明にして示す前記アンテナ装置の斜視図である。
図3A図3Aは、カップリング行列モデリングの一例についてのモデリングラベルを示す、アンテナ装置の斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aの構造のカップリング行列モデリング関係の図である。
図4A図4Aは、二重直線偏波を有するアンテナ装置の一例の分解斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aの線B-Bに沿った、アンテナ装置の水平断面図である。
図5図5は、二重偏波と、両方の偏波の伝達関数において伝送零点を生成する共振キャビティと、を備えた、アンテナ装置の一例の分解斜視図である。
図6A図6Aは、円偏波を有するアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
図6B図6Bは、カップリング行列モデリングの一例についてのモデリングラベルを示すアンテナ装置の斜視図である。
図6C図6Cは、図6Bの構造についてのカップリング行列モデリング関係を示す図である。
図7図7は、接地面間に平面共振器素子を含むアンテナ装置の一例における側断面図であり、ここでは接地面がビアと接続され、また接地面を通るビアが共振器素子間のカップリングを提供する。
図8A図8Aは、接地面間に平面共振器素子を含むアンテナ装置の一例の分解斜視図であり、ここでは接地面がビアに接続され、また隣接していない共振器素子がダンベルカプラを介してカップリングされる。
図8B図8Bは、アンテナ装置の側断面図である。
図9図9は、ビアおよび金属ストリップによって実装された非隣接クロスカップリングを備えた、アンテナ装置の一例における側断面図である。
図10A図10Aは、フェーズドアレイアンテナおよび関連するスキャンボリュームアンテナパターンの一例を示す斜視図である。
図10B図10Bは、フェーズドアレイアンテナおよび関連するスキャンボリュームアンテナパターンの一例を示す頂面図である。
図10C図10Cは、フェーズドアレイアンテナの一部を示す頂面図である。
図10D図10Dは、フェーズドアレイアンテナの一部を示す正面図である。
図10E図10Eは、フェーズドアレイアンテナ1000の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記で述べたように、興味の対象である帯域の外の干渉を拒絶するために、RFシステムのアンテナにはフィルタが接続される。アンテナは殆どの状況において必要な選択性を提供しないため、アンテナおよびフィルタが別々に設計され、必要な機能を実現するために相互接続される。フィルタは通常、適切な選択性と適切な通過帯域インピーダンス整合を提供しながら、所望の帯域で動作するように、適切にカップリングされた共振器の相互接続として設計される。フェーズドアレイアンテナには幾つかのアンテナ素子が含まれ、ここでは各アンテナ素子がフィルタに接続される。多くの場合、従来のシステムにおいて、アンテナ素子のグリッド間隔は、各フィルタを対応するアンテナ素子に隣接して配置できないようなものである。結果として、フィルタとアンテナ素子との間の接続には、ワイヤ、マイクロストリップ、ストリップライン、導電性トレース、または他の導電性接続が含まれることがあり、これは信号損失をもたらす。更に、従来のシステムでは、フィルタおよびアンテナ素子は通常別々に実装され、フィルタとアンテナ素子の間にインピーダンス整合ネットワークを挿入する必要がある。これにより追加の損失が発生し、スキャンボリュームが減少する可能性がある。フェーズドアレイでは、アンテナから見たアクティブインピーダンスはスキャン角度によって変化するため、インピーダンス整合ネットワークは、スキャンボリューム内の全ての角度で特定の反射減衰量レベルを達成するために、アンテナから見た様々なアクティブインピーダンス間の妥協点を提供する必要がある。
【0008】
本明細書で述べる例によれば、フェーズドアレイアンテナの各アンテナ素子は、フィルタと同じ固有の挙動を有する放射構造体であるアンテナ装置を具備する。その結果、フィルタは各アンテナ素子の一部であり、フェーズドアレイアンテナがフィルタリングを提供する。アンテナ素子を形成する各統合フィルタアンテナ装置は、フィルタがグリッド間隔内に実装される従来の技術で可能であるよりも、遥かに小さいグリッド間隔に対応するように実装できる。その結果、放射器とフィルタの間の損失のある接続が排除され、従来のアンテナに比較してグリッド間隔が小さくなり、スキャンボリュームが増加する。
【0009】
フィルタの設計方法論は、アンテナ素子を形成するアンテナ装置を実装するためのフィルタと同じ固有の挙動を持った、放射構造体(アンテナ)を作製するために適用される。例えば、制限された通過帯域内にある信号は送受信されるが、通過帯域外の信号は拒否される(または少なくとも大幅に減衰される)。その結果、両方の機能(放射とフィルタリング)が1つの構造に統合される。従来のアンテナは、一部の周波数が減衰する固有のフィルタリング特性を有する可能性があるが、ここで説明するアンテナ装置の例は、共振器、放射器、および全体構造の寸法を選択すること、ならびに放射器と当該構造の残りの部分との関係に関連する寸法を選択することによって、特定の望ましいフィルタ伝達関数を有するように設計される。したがって当該構造は、放射器と、フィルタ部品を含む他のコンポーネントとの間の相互作用を考慮に入れることによって、所望の全体的な周波数応答を得るように構成される。加えて、相互接続を排除してオーム損失を減らし、コンパクトな構造を形成することができる。このコンパクトな構造は、スタンドアローンのシングルアンテナシステムおよびマルチエレメントアンテナアレイの両方にとって、多くの状況で有益であり得る。上記で述べたように、アンテナ装置のコンパクトな構造は、グリッド間隔が半波長以下であるフェーズドアレイアンテナ内の各アンテナ素子として、アンテナ装置を実装することを可能にする。したがって、フェーズドアレイアンテナはフィルタリング機能を含んでいる。統合されたフィルタリングを備えた結果として得られるフェーズドアレイ構造は、フィルタの設計パラメータが、他の性能特性の中でも、特にスキャンボリュームを決定する設計特性を有する。各アンテナ素子の放射素子の寸法は、アンテナ装置の共振器の構成要素の寸法によって少なくとも部分的に制限されるので、共振器の寸法の選択は、フェーズドアレイアンテナのグリッド間隔の寸法を制限する。スキャンボリュームは、グリッド間隔によって少なくとも部分的に決定されるため、アンテナ装置における1つの共振器の少なくとも1つの寸法に依存する。
【0010】
以下で述べる幾つかの例において、アンテナ装置は金属キャビティ内に封入され、垂直に積層され、相互に結合された幾つかの金属パッチ共振器を含む。1つの手法において、金属パッチ間の結合は、接地面の正確な形状の開口部またはアイリスで達成される。他の状況において、金属パッチは、ビアと呼ばれることもある金属ポストを使用した層間電気接続を用いて結合される。
【0011】
議論された構造の1つの利点は、共振器の1つ(放射共振器)を放射器として使用することである。放射共振器は完全には密閉されていないため、当該構造体を自由空間に放射させ、アンテナとして機能させる。3つの空間次元の全てにおける寸法制御と、自由空間およびその下の共振器の両方へのカップリングにより、自由空間へ放射するフィルタが形成される。したがって、アンテナ装置のフィルタリング伝達関数は、少なくとも部分的には、放射器素子(自由空間に露出された共振器素子)と、例えば当該放射器素子と別の共振器金属パッチとの間の接地パッチのような、アンテナ装置の別の構成要素との間の距離に基づく。
【0012】
図1Aは、複数のアンテナ素子12を含むフェーズドアレイアンテナ10のブロック図であり、各アンテナ素子は、統合されたフィルタを備えたアンテナ装置14を含む。一例において、複数のアンテナ素子12は、当該アンテナ素子12が他のアンテナ素子に対して定位置に固定されたままであるように、フレームまたは他のアセンブリ(図示せず)に固定される。幾つかの状況では、フェーズドアレイ構造全体を、単一のユニットとして移動および方向付けることができる。典型的な実装形態において、各アンテナ素子は他の回路に接続されており、送信および/または受信信号の位相を操作して、フェーズドアレイアンテナにより形成されるアンテナビームの方向および/または形状を変更できるようになっている。
【0013】
アンテナ素子は、グリッド間隔によって互いに分離されており、アンテナ素子12の寸法が、通常はグリッド間隔を決定する。アンテナ素子は必ずしも正方形ではないので、フェーズドアレイグリッドの第1の次元(例えば、幅)18におけるグリッド間隔16は、第2の次元(例えば、長さ)22におけるグリッド間隔20とは異なる可能性がある。フェーズドアレイアンテナは、任意の数のアンテナ素子を含み得る。図1Aの例では4×4のアレイが示されており、両方の次元18、22において追加のアンテナ素子が含まれ得ることを示すために、黒い点が含まれている。アレイは、典型的な数が16ないし数千の範囲である任意の数の素子を含み得る。各方向のアンテナ素子の数とグリッド間隔は、通常はアンテナアレイの特定のアプリケーションによって異なる。5G仕様に従って動作する基地局の場合、アンテナアレイには通常、8×8の構成で配置された64個の素子が存在する。複数のアンテナを一緒に操作して、より大きなアレイ、例えば128、256、512、1024素子、またはその他の構成を形成することもできる。屋内適用およびモバイル装置の場合、アレイサイズは小さく、通常は4×4または2×8アレイで構成された16個の素子を有する。状況によっては、スキャンボリュームは垂直方向よりも水平方向の方が大きく、波長(λ)での適切なグリッド間隔の例は、約0.45λ×0.65λである。
【0014】
ここでの例において、グリッド間隔は次元に沿って均一であり、例えば第1の次元18に沿った間隔16が同じであり且つ第2の次元22に沿った間隔20が同じであるが、第1の次元の間隔16が第2の次元間隔20と同じでないことがある。しかしながら、状況によっては、次元18、22の少なくとも一方に沿ったグリッド間隔は均一でない場合がある。
【0015】
図1Bは、図1Aのフェーズドアレイアンテナ10の中の複数のアンテナ素子12のうち、1つの例を示すブロック図である。この例におけるアンテナ素子12の各々はアンテナ装置14であり、これは各々に結合された少なくとも2つの共振器24、26を含む統合構造体であり、ここでの共振器の1つは放射素子24である。少なくとも1つの他の共振器26は、金属筐体28内に封入されている。
【0016】
図1Cは、統合フィルタを備えたアンテナ装置100のブロック図である。アンテナ装置100は放射フィルタであり、ここでは少なくとも2つの共振器が互いに結合され、これら共振器の1つが放射器である。このアンテナ装置は、特定の実装に応じて、送信、受信、またはその両方に使用され得る。したがって、アンテナ装置100は、図1Aおよび図1Bのアンテナ装置14の一例である。例えば図1Cの例について、アンテナ装置100は、入力共振器102、中間共振器104、および放射器を形成する出力共振器106を含む。以下で述べるように、アンテナ装置100は、幾つかの中間共振器104を含み得る。ここでの例において、各非放射共振器102、104は、金属筐体116、118のキャビティ112、114内に配置された金属共振器素子108、110で形成される。金属筐体116、118は、動作周波数における電磁筐体を形成し、したがって、開口部のない連続的な金属壁を含まないことがある。以下で説明するように、例えば、2つの平面導電性パッチ間の一連の金属ポスト(ビア)は、金属筐体の側壁を形成することがあり、ここでの2つの平面導電性パッチは、金属筐体の上部および下部を形成する。別の例では、金属スクリーンを使用して金属筐体を形成することができる。空気以外の誘電体(図1Cには示されていない)が、例として各キャビティ内で使用される。ある金属筐体の一部が、別の金属製筐体の一部を形成する場合がある。例えば、共振器が、接地面層の間に配置された平面導電性パッチで実装される場合、2つの隣接する共振器間の接地面層は、下部金属筐体の頂部および上部金属筐体の底部を形成し得る。
【0017】
共振器内の共振器素子は、カップリング120、122を介して互いに結合される。各カップリング120、122は、ポストまたはネジなどの導電性要素で形成され得るか、または共振器素子を分離する接地面内の開口部を用いて実装され得る。以下で説明するように、例えば、2つの隣接する共振器素子を分離する接地面内のアイリスを用いてカップリングを形成できる。カップリング120、122はまた、非隣接共振器素子の間に形成されてもよい。したがって、カップリング120、122は、任意の2つの共振器素子間で電磁エネルギーをカップリングする任意のメカニズムであり得る。
【0018】
入力共振器102は、信号源または受信機に接続できる入力ポート124を有する。したがって、入力ポート124は、他のデバイス、コンポーネント、および回路へのインターフェースを提供する。アンテナ装置100の、入力ポート124から出力共振器(放射器)106を通る伝達関数126は、少なくとも非放射共振器102、104、カップリング120、122、および放射共振器106の特性、ならびに他の構成要素に対する放射器の位置によって決定される。殆どの場合、伝達関数126は、入力ポート124の特性にも依存する。したがって、伝達関数126は、共振器102、104、106およびカップリング120、122の寸法、ならびに当該構造内における放射器106の相対位置を選択することによって、特定の基準を満たすように適合または構成することができる。例えば、共振器が接地面筐体内の積層共振器素子であり、カップリングが接地面のアイリスで形成される実装では、伝達関数は少なくともアイリスの形状およびサイズ、共振器素子間の距離、共振器の寸法、最後の共振器(放射器)と隣接する接地面との間の距離、および入力ストリップのサイズに依存する。したがって、アンテナ装置の設計は、出力共振器の特性、およびアンテナ装置構造内における出力共振器の他のコンポーネントとの相互作用を考慮に入れる。その結果、所望の全体的なフィルタ伝達関数を実現するために、他の設計パラメータに加えて、放射器106と隣接する接地(図の下)との間の分離(距離)が選択される。したがって、放射器106と隣接する共振器素子110との間の距離(D1)128、および放射器106と筐体の接地面との間の距離(D2)130は、所望の出力カップリングおよび伝達関数を提供するように選択される。ここでの例について、出力カップリングは、(D1)128および(D2)130を調整することによって調整される。また、(D2)130を変更せずに(D1)128を変更すると、出力カップリングを変更せずに選択性が変更される。したがって、フィルタ伝達関数は通常、距離(D1)128および(D2)130を調整することによって調整される。
【0019】
結果として、他の設計パラメータに加えて、放射器106と隣接する共振器素子110との間の分離(距離)が、所望の全体的なフィルタ伝達関数126を実現するように選択される。より具体的には、放射器106と隣接する共振器素子110との間の距離(D1)128は、フィルタ伝達関数126のフィルタ応答の選択性129に影響を与え、放射器106と隣接する接地面132との間の距離(D2)130は、自由空間への出力カップリングに影響を与える。例において、アイリス122の寸法は、D1の変化と同様に選択性に影響を与える。本明細書で説明する例において、隣接する接地面132は、出力共振器素子106に隣接する筐体118の一部によって形成される。ここで述べるように、フィルタ伝達関数126の選択性129は、周波数に対する減衰のフィルタ応答の形状である。したがって、選択性129は、通過帯域(複数可)および阻止帯域(複数可)の帯域幅、ならびに通過帯域(複数可)と阻止帯域(複数可)との間の遷移の特性のようなパラメータを含む。したがって、少なくとも放射器106と隣接する共振器素子110との間の距離(D1)128、および放射器106と筐体の接地面との間の距離(D2)130は、所望の出力カップリングおよびフィルタ応答を提供するように選択される。以下で説明するように、フィルタ伝達関数はまた、共振器素子106、108、110の寸法、および共振器間のカップリングを形成する構造体の寸法に基づく。
【0020】
ここでの議論について、送信装置としてのアンテナ装置と、受信装置としてのアンテナ装置との間には相反性がある。したがって、アンテナ装置の受信特性および送信特性は、当該例においては同一である。送信に関して述べられるアンテナ装置の特性、設計パラメータ、および構成は、受信装置として使用されるときのアンテナ装置に適用され得る。したがって、アンテナ装置が信号を受信するために使用されるとき、放射器は信号を捕捉し、入力ポートにおいて出力を提供する。より具体的に言えば、アンテナ装置100は線形受動構造であるため、相反定理は、送信機および受信機としてのその動作に適用される。したがって、アンテナ装置100は、送信時と受信時でまったく同じように動作する。送信モードにおいて、アンテナ装置100の入力ポート124での信号は、放射器106に電流を誘導し、その結果、電磁場が自由空間に送信される。受信モードでは、アンテナ装置100に到達する自由空間内の電磁波が、放射器106に電流を誘導し、次いで、放射器106は、アンテナの入力ポート124において信号を生成する。
【0021】
図2Aは、接地面間に平面共振器素子を含むアンテナ装置200の一例における分解斜視図であり、ここでは接地面がビアと接続され、また接地面の開口部が共振器素子間のカップリングを提供する。図2Bは、アンテナ装置200の図1CのA-Aに沿った側断面図である。図2Cは、外側筐体201を透明として示すアンテナ装置200の斜視図である。図2A図2Bおよび図2Cは、必ずしも一定の縮尺ではなく、複数の素子の相対的な位置を示す一般的な図解以上のものであることは意図していない。本明細書で述べる例において、外部筐体201は、入力ポートおよび放射器のための開口部を除き、アンテナ装置構造を取り囲んでいる。追加のシールドおよび接地接続を提供することに加えて、外側筐体201は構造的安定性を提供する。外側筐体201を形成するための適切な技術の例には、金属シート、金属ビア、およびこれら2つの組み合わせを使用することが含まれる。しかし、状況によっては、外部筐体201を省略することができる。
【0022】
図2Aおよび図2Bの例のアンテナ装置200は、入力共振器202、2つの中間共振器204、206、および出力共振器(放射器)208を含む。したがって、図2のアンテナ装置200は、図1Cを参照して上述したアンテナ装置100の一例である。共振器202、204、206の共振器筐体210、212、214は、一組のビア216、218、220で互いに接続された2つの接地面によって形成される。放射器を形成する出力共振器素子222を除いて、各放射器素子224、226、228は、2つの接地面と、これら2つの接地面の間に連結された一組のビア216、218、220とによって形成された筐体に囲まれている。2つの内部接地面230、232の各々は、2つの共振器筐体210、212の一部を形成する。例えば、下部中間接地面230は、入力共振器202用の入力共振器筐体210の頂部を形成し、また、下部中間共振器204用の下部中間筐体212の底部を形成する。上部中間接地面232は、下部中間共振器204用の下部中間筐体212の頂部を形成し、上部中間共振器206の上部中間共振器214用の底部を形成する。例えば、共振器を形成する金属パッチ構造は、自由空間に露出された放射器および入力ポートへのアクセスを提供する開口部のみを備えた外部筐体201に封入されている。この外側筐体201は、図2Aおよび図2Bには示されていない。
【0023】
底部(下部)接地面234以外に、接地面230、232、236は、隣接する共振器素子間のカップリングを提供する開口部238、240、242を含む。以下で述べる他の例において、底部接地面は、底部接地面の下の共振キャビティへのカップリングを提供する開口部を含み得る。上記で述べたように、カップリングを提供する接地面の開口部はアイリスと称することができる。アイリスの寸法および形状によって、カップリングの特性が決まる。したがって、アンテナ装置のフィルタ伝達関数は、アイリスの形状および寸法を選択することにより、少なくとも部分的に確立することができる。更に、アイリスと共振器形状の向きによって、アンテナ装置の放射パターンの偏波が決まる。以下で説明するように、アンテナ装置は、単一偏波、二重偏波、または円偏波を持つように設計することができる。したがって、アイリスの寸法および形状の選択を使用して、所望のフィルタ伝達関数および偏波放射パターンを取得できる。
【0024】
共振器素子および接地面は、誘電体材料(図2Aには示されていない)によって互いに分離されている。一例では、プリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)技術を使用してアンテナ装置を形成する。したがって、接地面および共振器素子は、誘電体基板246上に積層された金属シートで形成することができる。ここで述べる例では、空気の誘電率よりも大きい誘電率を有する誘電体材料が使用され、幾つかの図ではハッチングを付した断面で示されている。分解図では、分かり易くするために誘電体を示していない。これらの例では、誘電体材料は構造内で均一であるが、状況によっては、異なる誘電体材料を使用することがある。一対の接地面間の複数のビアは、各共振器筐体の側壁を形成する。入力ポートは、下部筐体を通って延びるストリップライン247のセクションで形成される。入力は、他の手法を使用して形成してもよい。別の例では、入力ポートは、下部筐体を通って延びる金属ポストまたはビアによって形成される。アンテナ装置200が信号を送信するために使用されるとき、送信機が入力ポートに接続され、無線周波数(RF)信号が入力ポートを介してアンテナ装置に供給される。RF信号はアンテナ装置によってフィルタリングされ、フィルタリングされた信号は放射素子から放射される。共振器素子の寸法は、共振器の共振周波数を決定する。図2Aおよび図2Bの例について、各共振素子は矩形の金属パッチであり、共振器素子はサイズが僅かに異なる。共振器のサイズは類似しているが、各共振器の負荷が異なると異なるサイズをもたらす結果になる。共振器の共振を決定する矩形の金属パッチの寸法は、入力の側から反対側へと伸びる距離である。したがって、図2Aの例については、距離250、252、254、256が、共振器の共振周波数を決定する。望ましいフィルタ応答は、誘電体、金属パッチの長さ、アイリスの長さ、接地面と共振器素子の間の間隔、隣接する共振器素子の間の間隔、および最後の共振器(放射器)106と隣接する接地面132(図中では放射器の直下の接地)との間の間隔(D2)130を選択することによって達成される。上記のように、放射器106と隣接する共振器素子110との間の距離(D1)128は、フィルタ伝達関数126のフィルタ応答の選択性129に影響を与え、また放射器106と隣接する接地面132との間の距離(D2)130は、自由空間への出力カップリングに影響を与える。したがって、図2Aおよび図2Bについては、放射器222を形成する金属パッチと上部中間共振器素子228を形成する金属パッチとの間の距離248は、フィルタ応答の選択性を部分的に決定する。自由空間への出力結合は、金属パッチ放射器222と接地面236との間の距離258に少なくとも部分的に依存する。したがって、金属パッチ放出体222と金属パッチ共振器素子228との間の距離248は、図1Cの放射器106と隣接する共振器素子110との間の距離(D1)128の一例である。金属パッチ放出体222と接地面236との間の距離258は、図1Cの放出体106と接地面132との間の距離(D2)130の一例である。
【0025】
アンテナ装置200は、共振器202、204、206、208の寸法、共振器間のカップリングを形成する構造の特性、および共振器の構成要素間の間隔、ならびに放出体222の寸法、放出体222へのカップリングを形成する構造の特性、および他のアンテナ装置200の構成要素に対する放出体222の相対位置を選択することにより、入力ストリップライン247から自由空間への所望のフィルタ伝達関数126を有するように構築される。
【0026】
以下で更に詳細に述べるように、アンテナ装置の利点の1つは、放射面の何れかの側に沿って、半波長(λ/2)未満であるパッケージの中にフィルタおよびアンテナを実装する能力を含む。アンテナ装置は、異なる形状およびより大きなサイズの領域に実装できるが、状況によっては、何れかの側でサイズを半波長(λ/2)未満に制限することが有利である。図2Cの例については、放射器が配置される外側筐体201の平面は、半波長(λ/2)未満である幅248および長さ250を有する。他の状況では、複数のアンテナ装置が単一の外部筐体内に配置され、ここでの各放射器はそれぞれの側のλ/2未満の領域内にある。更に他の状況において、外側筐体201の寸法は、当該装置が、アレイの1つの方向のみにおいてλ/2未満のグリッド間隔内に収まるようなものである。
【0027】
図3Aは、カップリング行列モデリングの一例についての、モデリングラベルを示すアンテナ装置200の斜視図である。図3Bは、図3Aの構造についての、カップリング行列モデリング関係の図である。フィルタ回路をシミュレートし且つフィルタを設計するための1つの技術は、本明細書の議論に従って、アンテナ装置を設計するために適用できる技術の一例であるカップリング行列モデルを含んでいる。
【0028】
マイクロ波およびミリ波周波数では、バンドパスフィルタは、共振器を相互接続(即ち、カップリング)することによって構築されることが多い。共振器は、カスケード接続で(即ち、隣接する共振器間で)でカップリングできる。これは全極周波数応答を生じ、または、非隣接共振器間カップリングを含み、それにより伝送零点を含む可能性のあるより複雑な周波数応答が導かれる。これらのフィルタは、単純な集中定数回路を用いてモデル化できる。同期直接カップリング共振器フィルタの一般的な2ポートモデルの場合、直接カップリング(隣接カップリング間)とクロスカップリング(非隣接共振器間)を表すことができる。回路シミュレータは、全ての可能なカップリング(隣接および非隣接)を含む回路応答をシミュレートするために使用でき、同期共振器(コンデンサおよびインダクタによって形成される)、アドミタンスインバータ、および周波数に依存しないアドミタンスを含む場合がある。適切な回路シミュレータの例には、NIAWR Microwave OfficeやAnsys Designer回路シミュレータが含まれる。フィルタの中心周波数および帯域幅が定義されると、フィルタ回路は、カップリング行列と呼ばれる行列形式で表すことができる。カップリング行列Mの様々なエントリーは、回路の様々なコンポーネントを表す。対角要素は、周波数に依存しないアドミタンスの虚数部を表すが、非対角エントリーは、共振器間のカップリング(即ち、反転定数)を表す。このモデリングおよび設計の方法論は、バンドパス直接カップリング共振器フィルタのシミュレーションおよび設計に使用され、ここで説明するアンテナ装置の例を設計するために使用できる手法の一例である。図3Aの例について、共振器はカスケード接続でカップリングされ、ここでは隣接する共振器がカップリングされて全極周波数応答を形成する。このモデルは、放射器へのカップリング、および放射器から自由空間へのカップリングにも適用できる。
【0029】
一例によれば、フィルタの中心周波数、帯域幅、通過帯域等リップル反射減衰量レベル、および伝送零点の位置が選択される。これらのパラメータを用いて、この応答を合成するカップリング行列を分析的に計算できる。
【0030】
カップリング行列は、カップリング行列の様々な要素を制御する物理的形状の特徴を識別することによって、実際の実装に変換される。一般に、例えば、共振器のサイズを変更して、その共振周波数(即ち、カップリング行列の対応する対角要素)を変更することができ、共振器間に作製される開口部のサイズは、それらの間のカップリングの量を制御することができる。様々な方法論を使用して、回路モードから幾何学的な値を抽出でき、ここでの通常の設計手順は、初期寸法の組を取得することから始まる。手順には、入力群遅延を確認すること、構造をより単純なブロックに分割すること、EMシミュレーションを同等のブロックの回路シミュレーションと比較することが含まれ得る。初期寸法が確立された後に、最適化設計手順が適用される。したがって、アンテナ装置の設計には、必要とされる適切な通過帯域応答と帯域外排除を提供するカップリング行列を合成することが含まれる。このカップリング行列を合成するために、共振器の数(N)、中心周波数(f0)、帯域幅(Bandwidth:BW)、および必要な通過帯域の等リップル反射減衰量の値が、特定の排除特性を満たすために決定される。
【0031】
図3Aおよび3Bの例については、9つの幾何学的寸法が操作されて、所望のフィルタ応答を実現し、ここでの幾何学的寸法には、共振器素子を形成する4つの金属パッチの長さ、金属パッチ間のカップリングを形成する3つの開口部の幅、金属パッチ放射器から接地面への距離、および入力タップの幅が含まれる。図3Bのカップリングモデルは、各幾何学的寸法をカップリング行列のエントリーとペアにする。入力ストリップライン247の入力タップ幅302は、MS1を制御する。入力共振器素子224の長さ304は、M11を制御する。第1の中間共振器素子226を形成する金属パッチの長さ306は、M22を制御する。第2の中間共振器素子228を形成する金属パッチの長さ308は、M33を制御する。放射器素子222を形成する金属パッチの長さ310は、M44を制御する。開口部238の長さ312は、M12を制御する。開口部240の長さ314は、M23を制御する。開口部242の長さ316は、M34を制御する。金属パッチ放射器222と接地面236との間の距離250は、M4Lを制御する。放射器特性に対応する行列要素を含むカップリング行列要素を調整および最適化することにより、フィルタおよびアンテナを含む統合アンテナ装置の所望の伝達関数を達成することができる。
【0032】
上記で述べた技術は、アンテナ装置100の他の実装に適用することができる。以下で述べるように、アンテナ装置100の他の例には、二重偏波および複数のポートを有する実装、円偏波を有する実装、および周波数応答において伝送零点を有する実装が含まれる。特定の構造に対して上記で説明した設計手法を適切に変更および適用することにより、これらの例ならびに他の実装をシミュレートおよび最適化することができる。
【0033】
図4Aは、二重偏波を備えたアンテナ装置400の例の分解斜視図である。図4Bは、図4AのB-B線に沿って取られたアンテナ装置400の頂部断面図である。図4Aおよび図4Bのアンテナ装置400は、したがって、図1Cを参照して上記で述べたアンテナ装置100の別の例である。図4Aおよび図4Bの例について、アンテナ装置400は、水平偏波入力ポート402および垂直偏波入力ポート404を含む2つの入力ポート402、404を有する。二重配向は、同じ組の共振器および放射器の寸法を調整し、且つアイリスの形状を調整することによって達成される。各アイリス406、408、410は、2つの矩形のアイリス412、414の組み合わせであり、ここでは入力ポートの方向に垂直であるより長い寸法のアイリスが、当該入力からの信号をカップリングさせる。入力ポートの方向に平行な最長寸法を持つアイリスからの結合は、2つの入力ポートと信号間の分離を顕著に少なくする。したがって、水平入力ポート402の方向418に対して垂直な長さ416を有するアイリスの第1の矩形部分412は、水平入力ポート402で受信された信号をカップリングする。垂直入力ポート404の方向422に対して垂直な、長さ420を有するアイリスの第2の矩形部分414は、垂直入力ポート404で受信された信号をカップリングする。同じ向きを有する矩形部分、共振器、および放射器の各組は、図2A図2B図3Aおよび図3Bを参照して説明したようにして機能する。
【0034】
図5は、二重偏波と、両方の偏波の伝達関数において伝送零点を生成する共振キャビティ(補助共振器)502と、を備えた、アンテナ装置500の一例を示す分解斜視図である。図5の例について、共振キャビティ(補助共振器)502は、入力共振器接地面506、別の接地面508、およびこれら2つの接地面506、508に接続するビア510によって囲まれた金属共振パッチ504で形成される。補助共振器は、入力共振器512の他の共振器とは反対側に配置される。金属共振パッチ504は、入力共振器接地面506内のアイリス516を介して、入力共振器共振素子514にカップリングされる。例えば、アイリス516は、他のアイリスと同じ形状および向きを有する。1つの観点からすると、追加の共振キャビティ502は、特定の周波数およびその近傍でのエネルギー伝達を排除するためのメカニズムを提供する。共振キャビティ502内の金属共振パッチ504は、入力共振器に単独でカップリングされる。これは、他の共振器、または当該構造体の入力および出力の何れかに少なくとも二重にカップリングされる他の共振器とは異なる。結果として、パッチ504の共振周波数におけるエネルギーは、共振キャビティ502内に閉じ込められ、放射器に向かって継続して自由空間に放射されることができない。これは、一重にカップリングされた共振器がフィルタの様々な段階に配置され、周波数応答において伝送零点を形成する抽出極フィルタの特性に類似している。
【0035】
図6Aは、円偏波を有するアンテナ装置600の一例を示す分解斜視図である。図6Aのアンテナ装置600は、図1Cを参照して上記で述べたアンテナ装置100の一例であり、ここでは中間キャビティと入力キャビティが単一のキャビティである。したがって、アンテナ装置600は、アンテナの通過帯域内の2つの共振をサポートする入力素子と、これもまたアンテナ装置の通過帯域内の2つの共振をサポートする放射器と、を含む。したがって、図6Aの例について、アンテナ装置は単一のキャビティ602および放射器604を含む。共振器素子606および放射器素子604はそれぞれ、各パッチに含まれる2つの共振の間のカップリングを提供するために、対角線上で互いに対向する隅部にノッチを有する。放射器素子604の切り欠きのある隅部608、610は、切り欠きのない共振器素子606の隅部612、614の上に配置される。したがって、共振器素子606の2つの切り欠きのある隅部616、618は、切り欠きのない放射器素子604の隅部620、622の真下に配置される。図6Aの例について、アイリス624は、寸法の長い方が入力ポート626の方向に平行であるような配向を有する。円偏光は、90°の位相差を有する2つの直交直線偏光を供給することによって達成できる。これは、放射パッチが2つの直線偏光を維持する図6Aに示す構造を用いて達成できる。隅部の差し込みは、各パッチによって維持される2つの共鳴間のカップリングを提供する。偏光と所望の通過帯域での入力マッチングとの間の90°の位相差は、入力パッドの寸法および位置、2つのパッチの寸法、差し込みのサイズ、アイリスのサイズ、ならびに両パッチの間の差し込みの相対位置を適切に選択することによって実現される。この構成を用いれば、軸率帯域幅と同じマッチング帯域幅を有する円偏波アンテナを実装できる。
【0036】
図6Bは、アンテナ装置600の斜視図であり、カップリング行列モデリングの例についてのモデリングラベルを示す。図6Cは、図6Bの構造のカップリング行列モデリング関係である。上記で述べたように、カップリング行列モデルは、本明細書の議論に従ってアンテナ装置を設計するために適用できる技術の例である。この例では、MS1は、少なくとも部分的に、入力ポート626の幅650に基づいている。MS1は、入力ポート「ステップ」の長さ651によっても制御することができる。設計手法の一例では、最大入力カップリングが達成されるまで、幅650が増加される。続いて、長さ651が、所望の入力結合が達成されるまで増加される。
【0037】
M11およびM22は、それぞれ、共振器素子606の長さ652および幅654に基づいている。M23およびM14は、それぞれアイリス624の長さ656および幅658に基づいている。M44およびM33は、それぞれ、放射器素子604の長さ660および幅662に基づいている。M12は、共振器素子606のノッチ付き隅部616および622のサイズ664に基づいている。M34は、放射器素子604のノッチ付き隅部608および610のサイズ666に基づいている。M4Vは、放射器素子と隣接する接地との間の距離668に基づく。
【0038】
図7は、接地面の間に平面共振器素子を含むアンテナ装置700の一例における側断面図であり、ここでは接地面がビアで接続され、また接地面を通るビアが共振器素子間のカップリングを提供する。図7のアンテナ装置700の構造および動作は、カップリングがアイリスではなくビア702、704、706で形成されることを除き、上記で述べたアンテナ装置200と同様である。入力共振器素子224は、2つの共振器素子224、226の間にある接地面230内の開口部708を通過する金属ポストまたはビア702を介して、第1の中間共振器素子226にカップリングされる。第1の中間共振器素子226は、2つの共振器素子226、228の間の接地面232内にある開口710を通過する金属ポストまたはビア704を介して、第2の中間共振器素子228にカップリングされる。第2の中間共振器素子228は、共振器素子228と放射器素子222との間にある接地面236内の開口712を通過する金属ポストまたはビア706を介して、放射器素子222にカップリングされる。上記で述べたモデリングおよび設計技術は、ビアが適切なカップリング特性で表されるアンテナ装置700に使用することができる。図7の例については、ビアの位置および寸法が、隣接する共振器間のカップリングを制御する。
【0039】
図8Aは、接地面間に平面共振器素子を含むアンテナ装置800の分解斜視図および例であり、ここでは接地面がビアを用いて接続され、また非隣接共振器素子がダンベルカプラを介してカップリングされている。図8Bは、アンテナ装置800の側断面図である。アンテナ装置800の構造および動作は、ダンベル802カプラが入力共振器素子804を第2の中間共振器素子806にカップリングさせることを除いて、上記のアンテナ装置400と同様である。ダンベルカプラ802は、パッチ810、812の間に接続された金属ポストまたはビア808で形成されてもよい。図8の例について、ビア808は、接地面816のアイリス814を通過し、第1の共振器素子820の開口818を通過し、接地面824のアイリス822を通過する。したがって、ダンベルカプラによる非隣接カップリングが、アイリスを介したカップリングに追加される。非隣接カップリングにより、伝達関数において伝送零点を生成できるため、アンテナ装置の設計の融通性が高まる。
【0040】
図9は、非隣接クロスカップリングを備えたアンテナ装置900の一例を示す側断面図である。アンテナ装置900の構造および動作は、ストリップラインおよびビアが非隣接共振器をカップリングするために使用されることを除き、上記のアンテナ装置200と同様である。例えば、接地面902、904、906、908は、複数のビア910、912で互いに接続され、下部接地面902は、複数のビア914で上部接地面908に接続される。ビア910、912、914は、図9に側壁として示されているが、それらはビアの複数の互い違い列を含むことがある。
【0041】
例えば、ストリップラインは、共振器素子を形成する2つの非隣接金属共振器パッチを、ストリップラインを接続するビアに接続し、それにより2つの共振器要素をカップリングさせる。ストリップライン916は、入力共振器金属パッチ共振器918をビア920に接続し、ストリップライン922は、第2の中間金属パッチ共振器924をビア920に接続する。その結果、入力共振器金属パッチ共振器918は、第2の中間金属パッチ共振器924にカップリングされる。
【0042】
ビア920を更にシールドするために、下部接地面902はビア914に接続される。例えば、下部接地面902は金属面926を介してビア914に接続され、また上部接地面908は別の金属面928を介してビア914にカップリングされる。非隣接共振器素子918、924間のカップリングに加えて、図9の例示的構造は、他の例において上述したような隣接共振器間のカップリングを含む。入力共振器素子902は、アイリス932を介して第1の中間共振器素子930にカップリングされる。第1の中間共振器要素930は、アイリス934を介して第2の中間共振器要素924にカップリングされる。第2の中間共振器要素924は、アイリス938を介して放射器素子936にカップリングされる。
【0043】
したがって、カップリングおよびパッチの寸法、ならびに放射器と隣接共振器との間の距離を適切に選択することによって、当該アンテナ装置は、直接カップリングされた共振器フィルタおよびアンテナとして機能するように設計できる。ビア、ダンベルプローブ、または入力共振器に隣接し且つ他の共振器の反対側にある追加の共振器を使用して非隣接カップリングを実装することにより、伝送零点を伝達関数に導入できる。この統合された構造は、フィルタおよびアンテナをコンパクトな形式で実装することを可能にし、これは少なくとも幾つかの実装において顕著な影響を有する。例えば、適切なフィルタ特性と、アンテナ放射パターンおよび偏波を有するアンテナ装置は、動作周波数の全体に亘って半波長未満の寸法を有する領域内に実装することができる。
【0044】
図10Aは、フェーズドアレイアンテナ1000およびアンテナの関連スキャンボリューム1002の一例を示す斜視図であり、図10Bはその頂面図である。図10Cは、フェーズドアレイアンテナ1000の一部を示す頂面図であり、図10Dはその正面図であり、図10Eはその側面図である。スキャンボリューム1002は、アンテナ1000がその放射エネルギーを方向付けることができる空間の部分を表す。フェーズドアレイアンテナ1000は、複数のアンテナ素子を含み、各アンテナ素子は、統合されたフィルタを備えたアンテナ装置である。したがって、フェーズドアレイアンテナ1000は、上記で述べたフェーズドアレイアンテナ10の一例である。図10Aおよび図10Bの例については、フェーズドアレイアンテナ1000は、第1の方向1004に第1のグリッド間隔を有し、また第2の方向1006に第2のグリッド間隔を有し、ここでの第2のグリッド間隔1006は第1のグリッド間隔1004よりも大きい。フェーズドアレイアンテナのスキャン角度は、選択された信号強度またはアンテナ利得についてのボアサイト1007からの最大角度である。最大走査角は少なくとも部分的にはグリッド間隔によって決定されるので、第1の配向1004における走査角(α)1008は、第2の配向1006における走査角(β)1010よりも大きく、走査体積1002は楕円形である。グリッド間隔が両方の方向で同じ例では、アンテナパターン1002は円形であり得る。
【0045】
フェーズドアレイアンテナは、独立して制御できる幾つかのアンテナで構成される。一緒に動作することで、個々のアンテナまたは素子は、個々の送信機および受信機、または送信機および受信機の群に接続することができる。個々のアンテナから放射される電磁波は合体して重なり合い、強め合う干渉(加算)をして所望の方向に放射される電力を高め、弱め合う干渉(キャンセル)をして他の方向に放射される電力を低減する。受信に使用する場合、個々のアンテナ素子からの個別の電磁気電流が受信機で正しい位相関係と組み合わされて、所望の方向から受信した信号を強化し、望まない方向からの信号をキャンセルする。フェーズドアレイには、各素子の振幅および位相を制御して「位相」ステアリングを可能にするコンポーネントが含まれている。言い換えれば、電磁波が電子的に操縦されている間、アレイは機械的には静止している。アクティブ電子フェーズドアレイ(AESA)には、フェーズドアレイ内に配置されたアクティブ素子が含まれる。アンテナ素子の位相的な性質とそれに続くカップリングにより、アンテナ素子にアクティブインピーダンス制御の追加要件が課せられる。位相ステアリングの要件は、素子の間隔を決定し、通常、動作スペクトルの上端において約半波長である。フェーズドアレイアンテナは、周波数スペクトルのより効率的な使用を可能にし、従来の通信システムの要求を満たすのに役立つ。ただし、従来の技術では、サイドローブレベル、アクティブ反射減衰量、効率、アレイ利得、スキャンボリュームなどのパラメータに関連する他の要件を満たしながら、アレイ内の各アンテナ素子で必要なフィルタリングを実現することはできないという制限がある。しかしながら、本明細書に記載のアンテナ装置および技術は、これらの要件を満たすフェーズドアレイアンテナの実装を可能にする。
【0046】
フェーズドアレイアンテナを設計するための適切な技術の一例は、特定の特性を得るために、1つまたは複数の寸法が選択される回路シミュレータアプリケーションを使用すること、および他の特性を調整および補償するために、他の寸法を体系的に設定することが含まれる。アンテナアレイを設計するための適切な技術の例において、設計は、フィルタの仕様および必要なスキャンボリュームから始める。スキャンボリュームから、方位角および仰角のグリッド間隔が、放射器パッチと平面金属接地との間の最大距離と共に決定される。これらの値から、フィルタの最大出力カップリングが計算され、当該最大出力カップリング値の制約の下でフィルタ仕様を満たすように、当該カップリングに基づく回路モデル、カップリング行列が合成される。この回路モデルから、個々のアンテナ素子(アンテナ装置)の設計を参照して、当該構造の寸法が上記のように取得される。
【0047】
明らかに、これらの教示を考慮すれば、当業者には、本発明の他の実施形態および改変が容易に生じるであろう。上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであり、これは上記で述べた明細書および添付の図面と併せて検討したときに、そのような全ての実施形態および改変を含むものである。したがって本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるのではなく、以下の特許請求の範囲と、その均等物の全範囲と、を参照して決定される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E